JP2016198929A - 三次元造形物の製造方法および三次元造形物 - Google Patents

三次元造形物の製造方法および三次元造形物 Download PDF

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英司 岡本
平井 利充
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Abstract

【課題】層の積層方向の上流側に面した外表面の質感(グロス調やマット調)を容易に調整することが可能な三次元造形物の製造方法を提供すること、および、外表面の質感に優れた三次元造形物を提供すること。【解決手段】本発明の三次元造形物の製造方法は、層を積層することにより三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、粒子を含む三次元造形用組成物を用いて層を形成する層形成工程と、前記層に前記粒子同士を結合する本体部形成用インクを吐出し、前記三次元造形物の本体となるべき本体部を形成する本体部形成工程と、犠牲層形成用インクを用いて、犠牲層を形成する犠牲層形成工程と、を有し、n番目の前記層における前記本体部の少なくとも一部が、n−1番目の前記層と同じ階層に形成された前記犠牲層と接していることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、三次元造形物の製造方法および三次元造形物に関する。
粉体を結合液で固めながら、三次元物体を造形する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、次のような操作を繰り返すことによって三次元物体を造形する。まず、粉体を均一な厚さで薄く敷き詰めて粉体層を形成し、この粉体層の所望部分に結合液を吐出することによって粉体同士を結合させる。この結果、粉体層の中で、結合液が吐出された部分だけが結合して、薄い板状の部材(以下、「断面部材」という)が形成される。その後、その粉体層の上にさらに粉体層を薄く形成し、所望部分に結合液(硬化性インク)を吐出する。その結果、新たに形成された粉体層の結合液が吐出された部分にも、新たな断面部材が形成される。このとき、粉体層上に吐出した結合液が染み込んで、先に形成された断面部材に到達するので、新たに形成された断面部材は先に形成された断面部材にも結合される。このような操作を繰り返して、薄い板状の断面部材を一層ずつ積層することによって、三次元物体を造形することができる。
このような三次元造形技術は、造形しようとする物体の三次元形状データさえあれば、粉体を結合させて直ちに造形可能であり、造形に先立って金型を作成するなどの必要がないので、迅速にしかも安価に三次元物体を造形することが可能である。また、薄い板状の断面部材を一層ずつ積層して造形するので、例えば内部構造を有する複雑な物体であっても、複数の部品に分けることなく一体の造形物として形成することが可能である。
しかしながら、従来の粉体を用いた製造方法では、粉体の凹凸が外表面に影響して、外表面の質感がマット調になってしまい、グロス調の表現をするのが困難であった。
特開平6−218712号公報
本発明の目的は、層の積層方向の上流側に面した外表面の質感(グロス調やマット調)を容易に調整することが可能な三次元造形物の製造方法を提供すること、および、外表面の質感に優れた三次元造形物を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の三次元造形物の製造方法は、層を積層することにより三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、
粒子を含む三次元造形用組成物を用いて層を形成する層形成工程と、
前記層に前記粒子同士を結合する本体部形成用インクを吐出し、前記三次元造形物の本体となるべき本体部を形成する本体部形成工程と、
犠牲層形成用インクを用いて、犠牲層を形成する犠牲層形成工程と、を有し、
n番目の前記層における前記本体部の少なくとも一部が、n−1番目の前記層と同じ階層に形成された前記犠牲層と接していることを特徴とする。
これにより、層の積層方向の上流側に面した外表面の質感(グロス調やマット調)を容易に調整することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記犠牲層は、前記層に前記犠牲層形成用インクを吐出することにより形成するものであることが好ましい。
これにより、層の積層方向の上流側に面した外表面の質感(グロス調やマット調)をより容易に調整することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記層中に含まれる複数の前記粒子を結合するのに必要な本体部形成用インクの量を100質量部としたとき、前記犠牲層を形成するために前記層に吐出する前記犠牲層形成用インクの量は、110質量部以上140質量部以下であることが好ましい。
これにより、層の積層方向の上流側に面した外表面の質感をより効率よくグロス調にすることができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記犠牲層を形成するために前記層に吐出する前記犠牲層形成用インクを、前記層の厚みに加え、前記層の厚みの5%以上20%以下の厚みの犠牲層形成用インク層が形成されるように吐出することが好ましい。
これにより、外層の積層方向の上流側に面した外表面の質感をより効率よくグロス調にすることができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記犠牲層は、前記犠牲層形成用インクのみで形成されることが好ましい。
これにより、層の積層方向の上流側に面した外表面の質感をグロス調により容易にすることができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記犠牲層形成用インクは、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、および、(メタ)アクリロイルモルフォリン、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであることが好ましい。
これにより、犠牲層を容易に除去することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記粒子の平均粒径は、1μm以上25μm以下であることが好ましい。
これにより、層の積層方向の上流側に面した外表面の質感(グロス調やマット調)をより容易に調整することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記三次元造形用組成物は、水系溶剤と水溶性樹脂を含むことが好ましい。
これにより、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができる。
本発明の三次元造形物は、本発明の三次元造形物の製造方法により製造されたことを特徴とする。
これにより、外表面の質感に優れた三次元造形物を提供することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法の好適な実施形態について、各工程を示す模式図である。 本発明の三次元造形物の製造方法の好適な実施形態について、各工程を示す模式図である。 三次元造形物製造装置の好適な実施形態を上から平面視した平面図である。 図3に示す三次元造形物製造装置の側面図である。
以下、添付する図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細な説明をする。
1.三次元造形物の製造方法
まず、本発明の三次元造形物の製造方法について説明する。
図1、図2は、本発明の三次元造形物の製造方法の好適な実施形態について、各工程を示す模式図である。
図1、図2に示すように、本実施形態の三次元造形物の製造方法は、層1を積層することにより三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であり、粒子を含む三次元造形用組成物を用いて、層1を形成する層形成工程と、犠牲層形成用インク2を用いて犠牲層20を形成する犠牲層形成工程と、層1に対して、粒子同士を結合する本体部形成用インク3を吐出し、本体部30を形成する本体部形成工程と、を有している。
さらに、本実施形態の三次元造形物の製造方法では、n番目の層1における本体部30の少なくとも一部が、n−1番目の層1と同じ階層に形成された犠牲層20と接している。
このような特徴を有することにより、層1の積層方向の上流側に面した外表面の質感(グロス調やマット調)を容易に調整することができる。その結果、外表面の質感に優れた三次元造形物を提供することができる。
以下、本実施形態の三次元造形物の製造方法の各工程について、添付する図面を参照しつつ、説明する。
<層形成工程>
まず、図1(a)に示すように、造形ステージ102上に、粒子を含む三次元造形用組成物を用いて、層1を形成する。
本工程は、例えば、スキージ法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スピンコート法等の方法を用いることにより行うことができる。
本工程で形成される層1の厚さは、特に限定されないが、10μm以上100μm以下であるのが好ましく、10μm以上50μm以下であるのがより好ましい。これにより、三次元造形物1000の生産性を十分に優れたものとしつつ、製造される三次元造形物1000における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止することができる。
なお、三次元造形用組成物中に水系溶媒が含まれている場合には、層1を加熱して、層1を乾燥してもよい。
<犠牲層形成工程>
本工程では、図1(b)に示すように、形成した層1に対して、犠牲層形成用インク2を吐出し、犠牲層20を形成する。なお、犠牲層形成用インク2については後に詳述する。
犠牲層20は、形成すべき三次元造形物1000の、層1の積層方向の上流側に面した外表面の質感を調整する機能を有する層である。また、犠牲層20は、上の階層の層1(当該犠牲層20に積層した層1)に対して吐出する本体部形成用インク3および犠牲層形成用インク2が下の階層の層1に浸透を抑制する浸透抑制層としても機能する。
犠牲層20の形成に際し、犠牲層形成用インク2の吐出量を調整することにより、上の階層で当該犠牲層20と接する本体部30の接触面31の質感を調整することができる。言い換えると、n−1番目の層1と同じ階層に形成された犠牲層20と接しているn番目の層1における本体部30の接触面の質感を調整することができる。
例えば、犠牲層20の形成に際し、層1中に含まれる複数の粒子を結合するのに必要な本体部形成用インク3と同等の量の犠牲層形成用インク2を用いた場合、犠牲層20表面には、粒子の凹凸が現れているため、当該犠牲層20と接する本体部30の接触面31の質感を、マット調とすることができる。
一方で、犠牲層20の形成に際し、層1中に含まれる複数の粒子を結合するのに必要な本体部形成用インク3の量よりも多く犠牲層形成用インク2を吐出した場合、犠牲層20表面には犠牲層形成用インク2で構成されたインク層(犠牲層形成用インク層)が形成されるため、当該犠牲層20と接する本体部30の接触面31の質感を、グロス調とすることができる。また、溶媒を含む三次元造形用組成物を用いて層1を形成し、加熱しない場合においては、犠牲層形成用インク2を吐出すると層1内への犠牲層形成用インク2の浸透が抑制される。その結果、表面にインク層(犠牲層形成用インク層)が形成される。そして、吐出した犠牲層形成用インク2を硬化処理した後に層1を乾燥しても、層1表面には硬化したインク層(犠牲層形成用インク層)を形成することができる。この場合においても、当該犠牲層20と接する本体部30の接触面31の質感を、グロス調とすることができる。
なお、層1中に含まれる複数の粒子を結合するのに必要な本体部形成用インク3の量よりも多く犠牲層形成用インク2を吐出する場合、犠牲層20を形成するために層1に吐出する犠牲層形成用インク2の吐出量は、層1中に含まれる複数の粒子を結合するのに必要な本体部形成用インク3の量を100質量部としたとき、110質量部以上140質量部以下であるのが好ましく、120質量部以上140質量部以下であるのがより好ましい。これにより、層の積層方向の上流側に面した外表面の質感をより効率よくグロス調にすることができる。
また、層1中に含まれる複数の粒子を結合するのに必要な本体部形成用インク3の量よりも多く犠牲層形成用インク2を吐出する場合、犠牲層形成用インク2を、層1の厚みに加え、層1の厚みの5%以上20%以下の厚みの犠牲層形成用インク層が形成されるように吐出することが好ましく、層1の厚みの10%以上20%以下の厚みの犠牲層形成用インク層が形成されるように吐出することがより好ましい。これにより、層1の積層方向の上流側に面した外表面の質感をより効率よくグロス調にすることができる。
本工程において、必要に応じて、吐出した犠牲層形成用インク2を硬化する処理を行ってもよい。
硬化処理は、硬化成分の種類により異なるが、例えば、硬化成分が熱硬化性の場合、加熱により行うことができ、硬化成分が光硬化性の場合、対応する光の照射により行うことができる(例えば、硬化成分が紫外線硬化性の場合は紫外線の照射により行うことができる)。
なお、本実施形態では、層1に対して犠牲層形成用インク2を吐出して犠牲層20を形成したが、犠牲層形成用インク2のみを用いて犠牲層20を形成してもよい。これにより、層1の積層方向の上流側に面した外表面の質感を容易にグロス調にすることができる。
<第2層形成工程>
次に、上述した層形成工程と同様にして、図1(c)に示すように、犠牲層20を形成した層1上に、層1を積層する。
<本体部形成工程および第2犠牲層形成工程>
次に、図1(d)に示すように、積層した層1に対して、インクジェット法により、本体部形成用インク3を吐出して、三次元造形物1000の本体となるべき本体部30を形成する。なお、本体部形成用インク3については、後に詳述する。
図1(d)に示すように、本体部30は、1つ階層が下の犠牲層20の上に形成されているため、層1の積層方向の上流側に面した外表面の質感が調整されている。
なお、本体部形成用インク3を吐出したのち、必要に応じて、吐出した本体部形成用インク3を硬化する処理を行ってもよい。硬化処理については、上記犠牲層形成用インク2の場合と同様である。
また、図1(d)に示すように、本体部30の形成とともに、当該本体部30と同階層の層1に犠牲層形成用インク2を吐出して、犠牲層20を形成する(第2犠牲層形成工程)。
その後、第2層形成工程、本体部形成工程、第2犠牲層形成工程の一連の工程を繰り返し行う(図1(e)、(f)、図2(g)〜(j)参照)。これにより、三次元造形物1000が得られる(図2(j)参照)。
なお、図2(h)に示すように、一部に犠牲層20を形成しない領域を設けてもよい。これにより、図2(j)中における本体部30の層の積層方向の下流側の面32をマット調とすることができる。
<除去工程>
その後、後処理工程として、各層1を構成する粒子のうち、各インクにより結合していないもの(未結合粒子)および犠牲層20を除去する除去工程を行う(図2(k))。これにより、三次元造形物1000が取り出される。
本工程の具体的な方法としては、例えば、刷毛等で未結合粒子を払い除ける方法、未結合粒子を吸引により除去する方法、空気等の気体を吹き付ける方法、水等の液体を付与する方法(例えば、液体中に前記のようにして得られた積層体を浸漬する方法、液体を吹き付ける方法等)、超音波振動等の振動を付与する方法等が挙げられる。また、これらから選択される2種以上の方法を組み合わせて行うことができる。より具体的には、空気等の気体を吹き付けた後に、水等の液体に浸漬する方法や、水等の液体に浸漬した状態で、超音波振動を付与する方法等が挙げられる。中でも、前記のようにして得られた積層体に対し、水を含む液体を付与する方法(特に、水を含む液体中に浸漬する方法)を採用するのが好ましい。これにより、未結合粒子を、より容易かつより確実に、三次元造形物1000から、除去することができる。また、未結合粒子を除去する際に三次元造形物1000に傷等の欠陥が生じることをより確実に防止することができる。また、このような方法を採用することにより、三次元造形物1000の洗浄を兼ねて行うことができる。
また、犠牲層20を除去する方法としては、例えば、犠牲層20を選択的に溶解する液体を用いて犠牲層20を選択的に溶解除去する方法や、本体部30に比べて犠牲層20の吸収性が高い液体を用いて、犠牲層20に選択的に当該液体を吸収させることにより、犠牲層20を膨潤させたり、犠牲層20の機械的強度を低下させたうえで、当該犠牲層20を剥離したり、破壊する方法等が挙げられる。
本工程で用いる液体としては、本体部30、犠牲層20の構成材料等により異なるが、例えば、水や、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類等を用いることができ、これらから選択される1種または2種以上を含むものであり、犠牲層の溶解性を高めるために水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、有機アミン等の水酸化イオンを生じる水溶性物質、剥離された犠牲層の分離を容易にする界面活性剤等を混合したものであってもよい。
2.本体部形成用インク
次に、本体部形成用インク3について説明する。
本体部形成用インク3は、少なくとも硬化性樹脂(硬化成分)を含むものである。
硬化性樹脂は、硬化することによって、粒子を結合する機能を備えた成分である。
硬化性樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂;可視光領域の光により硬化する可視光硬化性樹脂(狭義の光硬化性樹脂)、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化性樹脂等の各種光硬化性樹脂;X線硬化性樹脂等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。各種硬化性樹脂の中でも、得られる三次元造形物の機械的強度や三次元造形物の生産性、本体部形成用インク3の保存安定性等の観点から、特に、紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)が好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、紫外線照射により、光重合開始剤から生じるラジカル種またはカチオン種等により、付加重合または開環重合が開始され、重合体を生じるものが好ましく使用される。付加重合の重合様式として、ラジカル、カチオン、アニオン、メタセシス、配位重合が挙げられる。また、開環重合の重合様式として、カチオン、アニオン、ラジカル、メタセシス、配位重合が挙げられる。
本体部形成用インク3中における硬化性樹脂の含有率は、80質量%以上であるのが好ましく、85質量%以上であるのがより好ましい。これにより、最終的に得られる三次元造形物の機械的強度を特に優れたものとすることができる。
また、本体部形成用インク3は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、顔料、染料等の各種着色剤;分散剤;界面活性剤;重合開始剤;重合促進剤;溶剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤;増粘剤;フィラー;凝集防止剤;消泡剤等が挙げられる。
特に、本体部形成用インク3が着色剤を含むことにより、着色剤の色に対応する色に着色された三次元造形物を得ることができる。
特に、着色剤として、顔料を含むことにより、本体部形成用インク3、三次元造形物の耐光性を良好なものとすることができる。顔料は、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本体部形成用インク3が顔料を含むものである場合、当該顔料の平均粒径は、300nm以下であるのが好ましく、50nm以上250nm以下であるのがより好ましい。これにより、本体部形成用インク3の吐出安定性や本体部形成用インク3中における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができるとともに、より優れた画質の画像を形成することができる。
本体部形成用インク3が着色剤を含むものである場合、当該本体部形成用インク3中における着色剤の含有率は、1質量%以上20質量%以下であるのが好ましい。これにより、特に優れた隠蔽性および色再現性が得られる。
特に、本体部形成用インク3が着色剤として酸化チタンを含むものである場合、当該本体部形成用インク3中における酸化チタンの含有率は、12質量%以上18質量%以下であるのが好ましく、14質量%以上16質量%以下であるのがより好ましい。これにより、特に優れた隠蔽性が得られる。
本体部形成用インク3が顔料を含む場合に、分散剤をさらに含むものであると、顔料の分散性をより良好なものとすることができる。その結果、顔料の偏りによる部分的な機械的強度の低下をより効果的に抑制することができる。
分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤等の顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。高分子分散剤の具体例としては、例えば、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、およびエポキシ樹脂のうち1種以上を主成分とするもの等が挙げられる。
本体部形成用インク3が界面活性剤を含むものであると、三次元造形物の耐擦性をより良好なものとすることができる。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤としての、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等を用いることができ、中でも、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いるのが好ましい。
また、本体部形成用インク3は、溶剤を含むものであってもよい。これにより、本体部形成用インク3の粘度調整を好適に行うことでき、本体部形成用インク3が高粘度の成分を含むものであっても、本体部形成用インク3のインクジェット方式による吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本体部形成用インク3の粘度は、10mPa・s以上25mPa・s以下であるのが好ましく、15mPa・s以上20mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法によるインクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。なお、本明細書中において、粘度とは、E型粘度計(東京計器社製 VISCONIC ELD)を用いて25℃において測定される値をいう。
また、三次元造形物の製造には、複数種の本体部形成用インク3を用いてもよい。
例えば、着色剤を含む本体部形成用インク3(カラーインク)と、着色剤を含まない本体部形成用インク3(クリアインク)とを用いてもよい。これにより、例えば、三次元造形物の外観上、色調に影響を与える領域に付与する本体部形成用インク3として着色剤を含む本体部形成用インク3を用い、三次元造形物の外観上、色調に影響を与えない領域に付与する本体部形成用インク3として着色剤を含まない本体部形成用インク3を用いてもよい。また、最終的に得られる三次元造形物において、着色剤を含む本体部形成用インク3を用いて形成された領域の外表面に、着色剤を含まない本体部形成用インク3を用いた領域(コート層)を設けるように、複数種の本体部形成用インク3を併用してもよい。
また、例えば、異なる組成の着色剤を含む複数種の本体部形成用インク3を用いてもよい。これにより、これらの本体部形成用インク3の組み合わせにより、表現できる色再現領域を広いものとすることができる。
複数種の本体部形成用インク3を用いる場合、少なくとも、シアンの本体部形成用インク3、マゼンタの本体部形成用インク3およびイエローの本体部形成用インク3を用いるのが好ましい。これにより、これらの本体部形成用インク3の組み合わせにより、表現できる色再現領域をより広いものとすることができる。
また、白色(ホワイト)の本体部形成用インク3を、他の有色の本体部形成用インク3と併用することにより、例えば、以下のような効果が得られる。すなわち、最終的に得られる三次元造形物を、白色(ホワイト)の本体部形成用インク3が付与された第1の領域と、第1の領域と重なり合い、かつ、第1の領域よりも外表面側に設けられた白色以外の有色の本体部形成用インク3が付与された領域とを有するものとすることができる。これにより、白色(ホワイト)の本体部形成用インク3が付与された第1の領域が隠蔽性を発揮することができ、三次元造形物の彩度をより高めることができる。
3.犠牲層形成用インク
次に、犠牲層形成用インクについて説明する。
犠牲層形成用インク2は、少なくとも硬化性樹脂(硬化成分)を含むものである。
犠牲層形成用インク2は、除去工程においてその硬化物が除去可能なものであれば特に限定されないが、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、および、(メタ)アクリロイルモルフォリン、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルよりなる群から選択される1種または2種以上を含むのが好ましい。
これにより、より適切な硬化速度で犠牲層形成用インク2を硬化させることができる。また、犠牲層20を容易に除去することができる。
犠牲層形成用インク2中における硬化成分の含有率は、83質量%以上98.5質量%以下であるのが好ましく、87質量%以上95.4質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、形成される犠牲層20の形状の安定性を特に優れたものとすることができる。
また、犠牲層形成用インク2は、重合開始剤を含むものであるのが好ましい。これにより、三次元造形物1000の製造時における犠牲層形成用インク2の硬化速度を適度に速めることができ、三次元造形物1000の生産性を特に優れたものとすることができる。また、形成される犠牲層20の形状の安定性を特に優れたものとすることができる。その結果、最終的に得られる三次元造形物1000の寸法精度を特に優れたものとすることができる。
犠牲層形成用インク2を構成する重合開始剤としては、特に限定されないが、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドを含むものであるのが好ましい。このような重合開始剤を含むことにより、より適切な硬化速度で犠牲層形成用インク2を硬化させることができる。
犠牲層形成用インク2中における重合開始剤の含有率の具体的な値としては、1.5質量%以上17質量%以下であるのが好ましく、4.6質量%以上13質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、より適切な硬化速度で犠牲層形成用インク2を硬化させることができ、三次元造形物1000の生産性を特に優れたものとすることができる。
また、犠牲層形成用インク2は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、顔料、染料等の各種着色剤;分散剤;界面活性剤;増感剤;重合促進剤;溶剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤;増粘剤;フィラー;凝集防止剤;消泡剤等が挙げられる。
特に、犠牲層形成用インク2が着色剤を含むことにより、犠牲層20の視認性が向上し、最終的に得られる三次元造形物1000において、犠牲層20の少なくとも一部が不本意に残存することをより確実に防止することができる。
犠牲層形成用インク2を構成する着色剤としては、例えば、本体部形成用インク3の構成成分として例示した着色剤と同様のものが挙げられるが、三次元造形物1000の表面の法線方向から観察した際に当該犠牲層形成用インク2により形成される犠牲層20と重なり合う本体部30の色(三次元造形物1000の外観上視認されるべき色)とは異なる色となるような着色剤であるのが好ましい。これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
犠牲層形成用インク2が顔料を含む場合に、分散剤をさらに含むものであると、顔料の分散性をより良好なものとすることができる。犠牲層形成用インク2を構成する分散剤としては、例えば、本体部形成用インク3の構成成分として例示した分散剤と同様のものが挙げられる。
また、犠牲層形成用インク2の粘度は、10mPa・s以上30mPa・s以下であるのが好ましく、15mPa・s以上25mPa・s以下であるのがより好ましい。
これにより、インクジェット法による犠牲層形成用インク2の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
また、三次元造形物1000の製造には、複数種の犠牲層形成用インク2を用いてもよい。
例えば、本体部形成用インク3の硬化時における粘弾性が互いに異なる2種以上の犠牲層形成用インク2を備えるものであってもよい。
これにより、最終的に得られる三次元造形物1000を、微細な質感の程度が互いに異なる複数の領域を有するものとして得ることができる。その結果、より複雑な外観の表現が可能となり、三次元造形物1000の美的外観(審美性)、高級感等を特に優れたものとすることができる。
4.三次元造形用組成物
次に、三次元造形用組成物について詳細に説明する。
三次元造形用組成物は、複数の粒子を含むものである。
以下、各成分について詳細に説明する。
≪粒子≫
粒子としては、いかなる粒子を用いることができるが、多孔質の粒子(多孔質粒子)で構成されていることが好ましい。これにより、三次元造形物を製造する際に、本体部形成用インク3中の硬化性成分を空孔内に好適に侵入させることができ、結果として、機械的強度に優れた三次元造形物の製造に好適に用いることができる。
粒子の構成材料としては、例えば、無機材料や有機材料、これらの複合体等が挙げられる。
粒子を構成する無機材料としては、例えば、各種金属や金属化合物等が挙げられる。金属化合物としては、例えば、アルミニウム、チタン、鉄、銅、マグネシウム、ステンレス鋼、マルエージング鋼、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコン、酸化錫、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム等の各種金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の各種金属水酸化物;窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミニウム等の各種金属窒化物;炭化珪素、炭化チタン等の各種金属炭化物;硫化亜鉛等の各種金属硫化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の各種金属の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の各種金属の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等の各種金属のケイ酸塩;リン酸カルシウム等の各種金属のリン酸塩;ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム等の各種金属のホウ酸塩や、これらの複合化物等、石膏(硫酸カルシウムの各水和物、硫酸カルシウムの無水物)が挙げられる。
粒子を構成する有機材料としては、例えば、合成樹脂、天然高分子等が挙げられ、より具体的には、ポリエチレン樹脂;ポリプロピレン;ポリエチレンオキサイド;ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン;ポリスチレン;ポリウレタン;ポリウレア;ポリエステル;シリコーン樹脂;アクリルシリコーン樹脂;ポリメタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとする重合体;メタクリル酸メチルクロスポリマー等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとするクロスポリマー(エチレンアクリル酸共重合樹脂等);ナイロン12、ナイロン6、共重合ナイロン等のポリアミド樹脂;ポリイミド;カルボキシメチルセルロース;ゼラチン;デンプン;キチン;キトサン等が挙げられる。
中でも、粒子は、無機材料で構成されたものであるのが好ましく、金属酸化物で構成されたものであるのがより好ましく、シリカで構成されたものであるのがさらに好ましい。これにより、三次元造形物の機械的強度、耐光性等の特性を特に優れたものとすることができる。また、シリカは、流動性にも優れているため、厚さの均一性がより高い層の形成に有利であるとともに、三次元造形物の生産性、寸法精度を特に優れたものとすることができる。
粒子の平均粒径は、特に限定されないが、1μm以上25μm以下であるのが好ましく、1μm以上15μm以下であるのがより好ましい。これにより、層1の積層方向の上流側に面した外表面の質感(グロス調やマット調)をより容易に調整することができる。また、三次元造形物の機械的強度を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形用組成物の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができる。なお、本発明において、平均粒径とは、体積基準の平均粒径を言い、例えば、サンプルをメタノールに添加し、超音波分散器で3分間分散した分散液をコールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INS製TA−II型)にて、50μmのアパチャーを用いて測定することにより求めることができる。
粒子のDmaxは、3μm以上40μm以下であるのが好ましく、5μm以上30μm以下であるのがより好ましい。これにより、三次元造形物の機械的強度を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形用組成物の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができる。
粒子は、いかなる形状を有するものであってもよいが、球形状をなすものであるのが好ましい。これにより、三次元造形用組成物の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物の寸法精度を特に優れたものとすることができる。
三次元造形用組成物中における三次元造形用粉末の含有率は、10質量%以上90質量%以下であるのが好ましく、15質量%以上58質量%以下であるのがより好ましい。粒子は多孔性であってもよく、かさ密度が概ね0.1g/cm〜1.0g/cmの範囲が適当であり、0.15g/cm〜0.5g/cmの範囲の多孔性粉末がより好ましい。これにより、三次元造形用組成物の流動性を十分に優れたものとしつつ、最終的に得られる三次元造形物の機械的強度を特に優れたものとすることができる。
≪水系溶媒≫
三次元造形用組成物は、水系溶媒を含んでいてもよい。水系溶媒を含むことにより、三次元造形用組成物の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができる。
三次元造形用組成物を構成する水系溶媒としては、水および/または水との相溶性に優れる液体で構成されたものであるが、主として水で構成されたものであるのが好ましく、特に、水の含有率が70wt%以上のものであるのが好ましく、90wt%以上のものであるのがより好ましい。これにより、三次元造形用組成物の流動性、三次元造形用組成物を用いて形成される層1の組成の均一性を特に優れたものとすることができる。また、水は層1形成後の除去が容易であるとともに、三次元造形物中に残存した場合においても悪影響を与えにくい。また、人体に対する安全性、環境問題の観点等からも有利である。
三次元造形用組成物中における溶媒の含有率は、5質量%以上75質量%以下であるのが好ましく、35質量%以上70質量%以下であるのがより好ましい。これにより、前述したような溶媒を含むことによる効果がより顕著に発揮されるとともに、三次元造形物の製造過程において溶媒を短時間で容易に除去することができるため、三次元造形物の生産性向上の観点から有利である。
特に、三次元造形用組成物が水系溶媒として水を含むものである場合、三次元造形用組成物中における水の含有率は、20質量%以上73質量%以下であるのが好ましく、50質量%以上70質量%以下であるのがより好ましい。これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
≪水溶性樹脂≫
三次元造形用組成物は、水溶性樹脂を含むものであってもよい。水溶性樹脂を含むことにより、粒子同士を結合(仮固定)し、粒子の不本意な飛散等を効果的に防止することができる。これにより、作業者の安全や、製造される三次元造形物の寸法精度の向上を図ることができる。また、水溶性樹脂は、粒子表面との親和性が高いため、粒子表面を容易に被覆することができる。
水溶性樹脂は、少なくともその一部が水に可溶なものであるのが好ましく、例えば、25℃における水に対する溶解度(水100gに溶解可能な質量)が5[g/100g水]以上のものであるのがより好ましく、10[g/100g水]以上のものであるのがさらに好ましい。これにより、粒子表面との親和性をより高いものとすることができるとともに、未結合粒子除去工程において、未結合粒子をより容易に除去することができる。
三次元造形用組成物中において、水溶性樹脂は、少なくとも層形成工程において、液状の状態(例えば、溶解状態、溶融状態等)をなすものであるのが好ましい。これにより、容易かつ確実に、三次元造形用組成物を用いて形成される層1の厚さの均一性を、より高いものとすることができる。
水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミンからなる群から選択される少なくとも1種を含むものを用いるのが好ましい。これにより、水溶性樹脂と粒子との親和性(水溶性樹脂が有する水溶性の官能基と粒子表面の水酸基またはカルボキシル基またはアミノ基との間で水素結合)を特に高いものとすることができる。
また、水溶性樹脂は水酸基を有し、水系溶媒との親和性(溶解性)が高いため容易に均一に溶解させることができる。三次元造形用組成物中における水溶性樹脂の含有率は、粒子の嵩体積に対して、15体積%以下であるのが好ましく、2体積%以上5体積%以下であるのがより好ましい。これにより、前述したような水溶性樹脂の機能を十分に発揮させつつ、本体部形成用インク3が侵入する空間をより広く確保することができ、三次元造形物の機械的強度を特に優れたものとすることができる。
≪その他の成分≫
また、三次元造形用組成物は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、重合開始剤;重合促進剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤等が挙げられる。
5.三次元造形物製造装置
次に、三次元造形物製造装置の好適な実施形態について説明する。
図3は、三次元造形物製造装置の好適な実施形態を上から平面視した平面図、図4は、図3に示す三次元造形物製造装置の側面図である。
三次元造形物製造装置100は、図3、図4に示すように、三次元造形物が造形される造形部10と、三次元造形用組成物を供給する供給部11と、供給された三次元造形用組成物を用いて造形部10に三次元造形用組成物の層1を形成するスキージ(層形成手段)12と、層1を形成した際に余剰の三次元造形用組成物を回収する回収部13と、層1を加熱する加熱手段14と、層1に対して犠牲層形成用インク2および本体部形成用インク3を吐出する吐出部15と、層1に対して紫外線を照射する紫外線照射手段16と、を有している。
造形部10は、図3、図4に示すように、枠体101と、枠体101内部に設けられた造形ステージ102とを有している。
枠体101は、枠状の部材で構成されている。
造形ステージ102は、XY平面において矩形型の形状を有している。
造形ステージ102は、図示せぬ駆動手段によってZ軸方向に可動(昇降)するよう構成されている。
枠体101の内壁面と造形ステージ102とで形成される領域に層1が形成される。
また、造形部10は、図示せぬ駆動手段によってX軸方向に駆動可能となっている。
そして、造形部10が、X軸方向、すなわち、後述する吐出部15の描画領域へ移動することで、吐出部15によって層1に犠牲層形成用インク2および本体部形成用インク3が吐出される。
供給部11は、三次元造形物製造装置100内に三次元造形用組成物を供給する機能を有している。
供給部11は、三次元造形用組成物が供給される供給領域111と、供給領域111に対して三次元造形用組成物を供給する供給手段112とを有している。
供給領域111は、X軸方向に長尺の長方形状をなしており、枠体101の一辺と接するように設けられている。また、供給領域111は、枠体101の上面と面一となるように設けられている。
供給領域111に供給された三次元造形用組成物は、後述するスキージ12により、造形ステージ102に搬送され、層1を形成する。
スキージ(層形成手段)12は、X軸方向に長尺の板状をなしている。また、スキージ12は、図示せぬ駆動手段によってY軸方向に駆動するよう構成されている。また、スキージ12は、その短軸方向の先端が、枠体101の上面および供給領域111と接するよう構成されている。
このスキージ12は、Y軸方向に移動しながら、供給領域111に供給された三次元造形用組成物を造形ステージ102に搬送し、造形ステージ102上に層1を形成する。
本実施形態では、スキージ12の移動方向と、造形部10の移動方向とが交差(直交)するよう構成されている。このような構成とすることにより、吐出部15による本体部形成用インク3の吐出が行われている際に、次の層1の形成の準備を行うことができ、三次元造形物の生産効率を向上させることができる。
回収部13は、上面が開口した箱状の部材であり、造形部10とは別体として設けられている。この回収部13は、層1の形成で余剰となった三次元造形用組成物を回収する機能を有している。
回収部13は、枠体101と接しており、枠体101を介して供給部11と対向するように設けられている。
スキージ12によって運ばれた余剰の三次元造形用組成物は、この回収部13で回収され、回収された三次元造形用組成物は、再利用に供される。
加熱手段14は、層1を加熱して、層1を乾燥させる機能を有している。すなわち、層1中に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去する機能を有している。
吐出部15は、形成した層1に対して本体部形成用インク3を吐出する機能を有している。
具体的には、造形ステージ102上に層1を形成した造形部10がX軸方向に移動し、吐出部15の下部の描画領域に差し掛かった際に、層1に対して吐出部15から犠牲層形成用インク2および本体部形成用インク3が吐出される。
吐出部15は、インクジェット方式で、犠牲層形成用インク2および本体部形成用インク3の液滴を吐出する液滴吐出ヘッドが搭載されている。また、吐出部15は、図示せぬ本体部形成用インク3供給部を備えている。本実施形態では、いわゆるピエゾ駆動方式の液滴吐出ヘッドが採用されている。液滴吐出ヘッドは、本体部形成用インク3が吐出される複数のノズル列と犠牲層形成用インク2が吐出される複数のノズル列を有しており、造形ステージ102の移動方向における吐出部15の最上流と最下流側には犠牲層形成用インク2のノズル列が配置されている。これにより三次元造形物1000の生産性に優れ、高い寸法精度で三次元造形物1000を製造することができる。
紫外線照射手段16は、吐出部15の移動方向(X軸方向)の両端に2つ設けられている。
紫外線照射手段16は、層1に対して紫外線を照射することにより、層1中の硬化性成分を硬化させ、層1中の粒子同士を結合させる機能を有している。また、紫外線照射手段16は、吐出部15と独立して図中上下方向に移動することができる。これにより、層1に対しての照射距離を調整することができる。
なお、上述した説明では、層形成手段として、スキージ12を用いた場合について説明したが、スキージに限定されず、例えば、ローラーであってもよい。
また、回収部13には、スキージ12に付着した三次元造形用組成物を除去する除去手段を設けてもよい。除去手段としては、超音波、ふき取り、静電気等を用いることができる。
また、上記説明では、紫外線照射手段16を有するものとして説明したが、これに限定されない。例えば、硬化性成分が熱硬化性樹脂を含む場合には、加熱手段であってもよい。
6.三次元造形物
本発明の三次元造形物は、前述したような三次元造形物の製造方法を用いて製造されたものである。これにより、外表面の質感に優れた三次元造形物を提供することができる。
本発明の三次元造形物の用途は、特に限定されないが、例えば、人形、フィギュア等の鑑賞物・展示物;インプラント等の医療機器等が挙げられる。
また、本発明の三次元造形物は、プロトタイプ、量産品、オーダーメード品のいずれに適用されるものであってもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、回収部と造形部とが別体となっている構成について説明したが、これに限定されず、回収部と造形部とは一体的に構成されていてもよい。この場合、スキージは移動せずに、造形部および回収部の移動によって層を形成するものであってもよい。
また、本発明の三次元造形物の製造方法においては、必要に応じて、前処理工程、後処理工程を行ってもよい。
前処理工程としては、例えば、造形ステージの清掃工程等が挙げられる。
後処理工程としては、例えば、洗浄工程、バリ取り等を行う形状調整工程、着色工程、被覆層形成工程、未硬化の紫外線硬化性樹脂を確実に硬化させるための光照射処理や加熱処理を行う紫外線硬化性樹脂硬化完了工程等が挙げられる。
また、前述した実施形態では、全ての層に対して、本体部形成用インク3を付与するものとして説明したが、本体部形成用インク3が付与されない層を有していてもよい。例えば、造形ステージの直上に形成された層に対して、本体部形成用インク3を付与しないものとし、犠牲層として機能させてもよい。
また、前述した実施形態では、吐出工程をインクジェット法により行う場合について中心的に説明したが、吐出工程は他の方法(例えば、他の印刷方法)を用いて行うものであってもよい。
1…層
2…犠牲層形成用インク
3…本体部形成用インク
10…造形部
11…供給部
12…スキージ(層形成手段)
13…回収部
14…加熱手段
15…吐出部
16…紫外線照射手段
20…犠牲層
30…本体部
31…接触面
32…面
100…三次元造形物製造装置
101…枠体
102…造形ステージ
111…供給領域
112…供給手段
1000…三次元造形物

Claims (9)

  1. 層を積層することにより三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、
    粒子を含む三次元造形用組成物を用いて層を形成する層形成工程と、
    前記層に前記粒子同士を結合する本体部形成用インクを吐出し、前記三次元造形物の本体となるべき本体部を形成する本体部形成工程と、
    犠牲層形成用インクを用いて、犠牲層を形成する犠牲層形成工程と、を有し、
    n番目の前記層における前記本体部の少なくとも一部が、n−1番目の前記層と同じ階層に形成された前記犠牲層と接していることを特徴とする三次元造形物の製造方法。
  2. 前記犠牲層は、前記層に前記犠牲層形成用インクを吐出することにより形成するものである請求項1に記載の三次元造形物の製造方法。
  3. 前記層中に含まれる複数の前記粒子を結合するのに必要な本体部形成用インクの量を100質量部としたとき、前記犠牲層を形成するために前記層に吐出する前記犠牲層形成用インクの量は、110質量部以上140質量部以下である請求項2に記載の三次元造形物の製造方法。
  4. 前記犠牲層を形成するために前記層に吐出する前記犠牲層形成用インクを、前記層の厚みに加え、前記層の厚みの5%以上20%以下の厚みの犠牲層形成用インク層が形成されるように吐出する請求項2に記載の三次元造形物の製造方法。
  5. 前記犠牲層は、前記犠牲層形成用インクのみで形成される請求項1に記載の三次元造形物の製造方法。
  6. 前記犠牲層形成用インクは、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、および、(メタ)アクリロイルモルフォリン、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  7. 前記粒子の平均粒径は、1μm以上25μm以下である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  8. 前記三次元造形用組成物は、水系溶剤と水溶性樹脂を含む請求項1ないし7のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法により製造されたことを特徴とする三次元造形物。
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