JP2016150510A - 三次元造形物製造装置および三次元造形物 - Google Patents

三次元造形物製造装置および三次元造形物 Download PDF

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Abstract

【課題】大型化を防止することが可能な三次元造形物製造装置を提供すること、および、信頼性の高い三次元造形物を提供すること。
【解決手段】三次元造形物製造装置100は、三次元造形物が形成される造形台10と、粒子および溶媒を含む三次元造形用組成物を造形台10に供給する三次元造形用組成物供給手段11と、供給された三次元造形用組成物を用いて層1を形成する層形成手段12と、を有する層形成領域20と、形成した層1中の溶媒を除去する溶媒除去手段14を備えた溶媒除去領域30と、溶媒を除去した層1に対して複数の粒子同士を結合する結合剤を含む結合液を吐出する吐出手段15を備えた結合液吐出領域40と、を有し、各領域に対して、造形台10が相対的に移動するよう構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、三次元造形物製造装置および三次元造形物に関する。
粉体を結合液で固めながら、三次元物体を造形する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、次のような操作を繰り返すことによって三次元物体を造形する。まず、粉体を均一な厚さで薄く敷き詰めて粉体層を形成し、この粉体層の所望部分に結合液を吐出することによって粉体同士を結合させる。この結果、粉体層の中で、結合液が吐出された部分だけが結合して、薄い板状の部材(以下、「断面部材」という)が形成される。その後、その粉体層の上にさらに粉体層を薄く形成し、所望部分に結合液(硬化性インク)を吐出する。その結果、新たに形成された粉体層の結合液が吐出された部分にも、新たな断面部材が形成される。このとき、粉体層上に吐出した結合液が染み込んで、先に形成された断面部材に到達するので、新たに形成された断面部材は先に形成された断面部材にも結合される。このような操作を繰り返して、薄い板状の断面部材を一層ずつ積層することによって、三次元物体を造形することができる。
このような三次元造形技術は、造形しようとする物体の三次元形状データさえあれば、粉体を結合させて直ちに造形可能であり、造形に先立って金型を作成するなどの必要がないので、迅速にしかも安価に三次元物体を造形することが可能である。また、薄い板状の断面部材を一層ずつ積層して造形するので、例えば内部構造を有する複雑な物体であっても、複数の部品に分けることなく一体の造形物として形成することが可能である。
しかしながら、従来の三次元造形物を製造する装置は、複雑な構造となっており、装置が大型化する傾向があった。
特開平6−218712号公報
本発明の目的は、大型化を防止することが可能な三次元造形物製造装置を提供すること、および、信頼性の高い三次元造形物を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の三次元造形物製造装置は、層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物製造装置であって、
前記三次元造形物が形成される造形台と、
粒子および溶媒を含む三次元造形用組成物を前記造形台に供給する三次元造形用組成物供給手段と、供給された前記三次元造形用組成物を用いて前記層を形成する層形成手段と、を有する層形成領域と、
形成した前記層中の前記溶媒を除去する溶媒除去手段を備えた溶媒除去領域と、
前記溶媒を除去した前記層に対して複数の前記粒子同士を結合する結合液を吐出する吐出手段を備えた結合液吐出領域と、を有し、
前記各領域に対して、前記造形台が相対的に移動するよう構成されていることを特徴とする。
これにより、装置が大型化するのを防止することができる。
本発明の三次元造形物製造装置では、前記造形台は、前記三次元造形用組成物供給手段、前記層形成手段、前記溶媒除去手段、および、前記吐出手段の鉛直方向下側を移動するよう構成されていることが好ましい。
これにより、三次元造形物製造装置のさらなる小型化を図ることができる。
本発明の三次元造形物製造装置では、前記造形台の移動方向において、前記溶媒除去領域、前記層形成領域、および、前記結合液吐出領域の順に配列していることが好ましい。
これにより、三次元造形物製造装置のさらなる小型化を図ることができる。
本発明の三次元造形物製造装置では、前記層形成領域と、前記溶媒除去領域と、を隔絶することが可能な隔絶手段を有することが好ましい。
これにより、層形成領域に対する溶媒除去領域の影響を小さいものとすることができる。
本発明の三次元造形物製造装置では、前記溶媒除去手段として、加熱手段を有していることが好ましい。
これにより、より効率よく溶媒を除去することができる。
本発明の三次元造形物は、本発明の三次元造形物製造装置により製造されたことを特徴とする。
これにより、信頼性の高い三次元造形物を提供することができる。
本発明の三次元造形物製造装置の好適な実施形態の側面側からの断面図である。 図1に示す三次元造形物製造装置を上から平面視した際の平面図である。 図1に示す三次元造形物製造装置の動作状態を示す側面側からの断面図である。 図1に示す三次元造形物製造装置の動作状態を示す側面側からの断面図である。 図1に示す三次元造形物製造装置の動作状態を示す側面側からの断面図である。
以下、添付する図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細な説明をする。
1.三次元造形物製造装置
まず、本発明の三次元造形物製造装置の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の三次元造形物製造装置の好適な実施形態の側面側からの断面図、図2は、図1に示す三次元造形物製造装置を上から平面視した際の平面図、図3〜5は、図1に示す三次元造形物製造装置の動作状態を示す側面側からの断面図である。
三次元造形物製造装置100は、粒子および溶媒を含む三次元造形用組成物を用いて形成した層1を積層することにより、三次元造形物を製造する装置である。
三次元造形物製造装置100は、図1、図2に示すように、三次元造形物が造形される造形台10と、造形台10に層1を形成するための層形成領域20と、造形台10に形成された層1中の溶媒を除去する溶媒除去領域30と、溶媒を除去した層1に対して複数の粒子を結合する結合液を吐出する結合液吐出領域40と、を有している。
層形成領域20は、三次元造形用組成物を供給する三次元造形用組成物供給手段11と、供給された三次元造形用組成物を用いて造形台10に三次元造形用組成物の層1を形成するスキージ(層形成手段)12と、を有している。
溶媒除去領域30は、溶媒除去手段としての加熱手段14を有している。
結合液吐出領域40は、層1に対して結合液を吐出する吐出手段15と、層1に対して紫外線を照射する紫外線照射手段16と、を有している。
なお、三次元造形用組成物および結合液については後に詳述する。
以下、各構成について詳細に説明する。
造形台10は、図1、図2に示すように、枠体101と、枠体101内部に設けられた造形ステージ102と、三次元造形用組成物が供給される供給領域103と、を有している。
造形台10の側方には一対の平行なレール19が延設されている。
造形台10はレール19の延設方向(X軸方向)に沿って、レール19に往復移動可能に取り付けられている。レール19は、基台に対して動かないように固定されている。なお、レール19は一本であってもよい。
造形台10は、X方向駆動モータ(図示せず)を備えている。X軸方向駆動モータは、ステッピングモータ等であり、制御部からX軸方向の駆動信号が供給されると、造形台10をX軸方向に移動させる。なお、後述するメンテナンス部に関しても、X軸方向駆動モータを有し、独立して移動可能な構成となっている。
造形台10は、三次元造形用組成物供給手段11、スキージ12、加熱手段14、および、吐出手段15の鉛直方向下側を移動するよう構成されている。
枠体101は、枠状の部材で構成されている。
造形ステージ102は、XY平面において矩形型の形状を有している。
造形ステージ102は、図示せぬ駆動手段によってZ軸方向に駆動(昇降)するよう構成されている。
枠体101の内壁面と造形ステージ102とで形成される領域に層1が形成される。
供給領域103は、三次元造形用組成物供給手段11から三次元造形用組成物が供給される領域である。
供給領域103は、Y軸方向に長尺の形状をなしており、枠体101の溶媒除去領域30側に設けられている。
層形成領域20は、三次元造形用組成物供給手段11と、スキージ(層形成手段)12と、を有している。
三次元造形用組成物供給手段11は、供給領域103に三次元造形用組成物を供給する機能を有している。三次元造形用組成物供給手段11としては、ディスペンサ、ホッパー等を用いることができる。
スキージ(層形成手段)12は、Y軸方向に長尺の板状をなしている。また、スキージ12は、その短軸方向の先端が、枠体101の上面および供給領域103と接するよう構成されている。
供給領域103に供給された三次元造形用組成物は、図3に示すように、造形台10の移動に伴って、後述するスキージ12により、造形ステージ102上に搬送され、層1を形成する。
本実施形態では、供給領域103とは反対側の枠体101と接するように、回収部13が設けられている。
回収部13は、上面が開口した箱状の部材であり、造形台10とは別体として設けられている。この回収部13は、層1の形成で余剰となった三次元造形用組成物を回収する機能を有している。そして、回収された三次元造形用組成物は、再利用に供される。
回収部13は、層1の形成で余剰となった三次元造形用組成物を回収するまで、造形台10とともに移動するよう構成されている。
溶媒除去領域30は、層形成領域20に隣接して設けられている。
溶媒除去領域30は、加熱手段14を有している。
加熱手段14は、層形成領域20で形成した層1を加熱して、層1中に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去する機能を有している。
造形台10が溶媒除去領域30に移動し層1を加熱する際に、回収部13は造形台10と切り離れて層形成領域20に待機する(図4参照)。または、結合液吐出領域40からさらに−X軸方向(図中右方向)の領域に移動する。この場合、後述する吐出手段15による、溶媒を除去した層1に対して結合液を吐出する時までに、移動が完了していればよい。
溶媒除去領域30と、層形成領域20との間には、両領域を隔絶するシャッター(隔絶手段)18が設けられている。このようなシャッター18を設けることにより、溶媒除去領域30の影響によって、回収部13内の回収した三次元造形用組成物、または、造形台10に付着した三次元造形用組成物、または、スキージ(層形成手段)12に付着した三次元造形用組成物が乾燥して三次元造形物製造装置100内に飛散するのをより効果的に防止することができる。また、層形成領域20における層1の形成不良、揮発溶媒の結露による装置汚染、部材の劣化等を防止することができる。例えば、溶媒除去領域30の熱の影響を低減することにより、供給領域103に供給される三次元造形用組成物の粘度変化や、スキージ12などの層形成手段の熱膨張、弾性率変化による層形成不良(層厚変化等)、三次元造形用組成物供給手段11からの供給量バラツキ、造形台、枠体、レールの熱膨張等を抑制することができる。なお、本明細書において「隔絶」とは、溶媒除去領域30からの熱や、空気がほぼ層形成領域20に漏れないようになっていることを意味し、必ずしも、溶媒除去領域30内の熱、空気が層形成領域20に漏れることを完全に防止できる状態になっている必要はなくても良い。また、物理的なシャッターの他、溶媒除去領域30に隣り合う領域との間をエアーカーテンなどによって隔絶してもよい。
シャッター18は、加熱手段14が稼働している間は閉まり、造形台10が移動する際には開くよう構成されている。
結合液吐出領域40は、層1に対して結合液を吐出する吐出手段15と、層1に吐出された結合液に対して紫外線を照射する紫外線照射手段16と、を有している。
結合液吐出領域40は、層形成領域20の溶媒除去領域30とは反対側に設けられている。このように、結合液吐出領域40を溶媒除去領域30から離して設置することにより、吐出液に対する溶媒除去領域30の熱や、揮発溶媒の影響をより小さいものとすることができ、吐出手段15の吐出精度が向上し、より高精度な造形物を造形することができる。
吐出手段15は、溶媒を除去した層1に対して結合液を吐出する機能を有している。
具体的には、図5に示すように、溶媒を除去した層1が形成された造形台10が溶媒除去領域30から−X軸方向(図中右方向)に移動し、吐出手段15の下部の描画領域に差し掛かった際に、層1に対して吐出手段15から結合液が吐出される。
吐出手段15は、インクジェット方式で、結合液の液滴を吐出する液滴吐出ヘッドが搭載されている。また、吐出手段15は、図示せぬ結合液供給部を備えている。本実施形態では、いわゆるピエゾ駆動方式の液滴吐出ヘッドが採用されている。また、本実施形態では、吐出手段15には、液滴吐出ヘッドとして、ノズルがY軸方向に複数並んだラインヘッドが採用されている。ここで、「ラインヘッド」とは、X軸方向と交差するY軸方向に形成されたノズルの領域が、造形ステージ102全体をカバー可能なように設けられた液滴吐出ヘッドである。なお、ラインヘッドのY軸方向のノズルの領域は、三次元造形物製造装置が対応している全ての造形台10のY軸方向全体をカバー可能でなくてもよい。
なお、シアン、マゼンタ、イエロー、クリヤーなどの複数種類の結合液の液滴を吐出する場合は、ラインヘッドをX軸方向に複数設ける。
紫外線照射手段16は、吐出手段15の層形成領域20とは反対側に設けられている。
紫外線照射手段16は、層1に対して紫外線を照射することにより、層1中の結合剤を硬化させ、層1中の粒子同士を結合させる機能を有している。なお、シアン、マゼンタ、イエロー、クリヤーなどの複数種類の結合液の液滴を吐出する場合は、各色毎に紫外線照射手段16を設ける。
回収部13の溶媒除去領域30側とは反対には、メンテナンス部17が設けられている。
メンテナンス部17は、スキージ12に付着した三次元造形用組成物をワイピングするワイピング手段、吐出手段15の液滴吐出ヘッドをメンテナンスするヘッドメンテナンス手段、三次元造形用組成物供給手段11の供給口をメンテナンスする供給口メンテナンス手段等で構成されている。各メンテナンス手段は、独立して駆動可能となっている。例えば、吐出手段15の液滴吐出ヘッドをメンテナンスするヘッドメンテナンス手段は、液滴吐出ヘッドのノズルが結合液で目詰まりしないように結合液のフラッシングを行う際に、液滴を受けるためのフラッシング受け部材や、液滴吐出ヘッドのノズルプレートをワイピングするためのゴムブレードや、布などのワイピング部材を備えている。
以上説明したような三次元造形物製造装置100では、無駄なく各手段を配置されているため、移動機構を少なくすることができる。その結果、装置の小型化を図ることができる。さらに、無駄なく各手段を配置されているため、三次元造形物の製造をより高速に行うことができる。
また、本実施形態の三次元造形物製造装置100では、造形台10の移動方向において、溶媒除去領域30、層形成領域20、および、結合液吐出領域40が、この順に配置されている。このような構成とすることにより、より効率よく三次元造形物を製造することができ、三次元造形物の製造のさらなる高速化を図ることができる。また、結合液吐出領域40を端に設けることで、液滴吐出ヘッドの交換をより容易に行うことができる。
また、三次元造形物製造装置100は、制御部50と、当該制御部50に接続されたコンピューター60と、を有している。
制御部50は、CPUとメモリーとを備えている。CPUは、メモリーあるいは記録媒体に記憶されたコンピュータープログラムをメモリーにロードして実行することによって、上述した各部を制御する。
三次元造形物製造装置100が三次元物体を造形する手順を簡単に説明する。まず、コンピューター60が、三次元造形物の形状を表す三次元データを、Z方向の積層ピッチに従ってスライスし、XY方向に沿った複数の断面データを生成する。制御部50は、コンピューター60から断面データを取得すると、三次元造形用組成物供給手段11、スキージ12および造形台10を制御して枠体101内部に層を形成する。そして、造形台10を移動させ加熱手段14を制御して、枠体101内部の層を加熱する。その後、造形台10を移動し、断面データに従って吐出手段15を駆動して結合液を層に吐出し、吐出された結合液に向かって紫外線照射手段16を制御して紫外光を照射する。すると、紫外光によって結合剤が硬化して粉体同士が結合し、枠体101内部には、1層分の断面データに対応する断面体が形成される。こうして1層分の断面体を形成すると、制御部50は、アクチュエーター(図示せず)を駆動して造形ステージ102を、Z方向の造形解像度に応じた積層ピッチ分、Z方向に沿って降下させる。造形ステージ102を降下させると、制御部50は、造形ステージ102上に既に形成された断面体の上に新たな層1を形成する。新たな層1を形成すると、制御部50は、コンピューター60から次の断面データを受け取って、新たな層1に結合液を吐出して紫外光を照射することにより、新たな断面体を形成する。このように制御部50は、コンピューター60から各層の断面データを受け取ると、アクチュエーターや三次元造形用組成物供給手段11、スキージ12、加熱手段14、吐出手段15、紫外線照射手段16を制御することにより、1層ずつ断面体を形成し、それを積層していくことにより、三次元造形物を造形する。制御部50は、コンピューター60からの定期的なメンテナンス作業指示に応じて、メンテナンス部17にメンテナンスを実施させる。
なお、上述した説明では、層形成手段として、スキージ12を用いた場合について説明したが、スキージに限定されず、例えば、ローラーであってもよい。
また、上記説明では、紫外線照射手段16を有するものとして説明したが、これに限定されない。例えば、結合剤が熱硬化性樹脂を含む場合には、加熱手段であってもよい。
2.三次元造形物の製造方法
次に、上述した三次元造形物製造装置を用いた三次元造形物の製造方法について説明する。
まず、三次元造形用組成物供給手段11により、三次元造形用組成物を供給領域103に供給する。
次に、造形台10がX軸方向(図中左方向)に移動するにともなって、供給領域103に供給した三次元造形用組成物がスキージ12によって造形ステージ102に運ばれ、層1が形成される。
層1の厚さは、特に限定されないが、30μm以上500μm以下であるのが好ましく、70μm以上150μm以下であるのがより好ましい。これにより、三次元造形物の生産性を十分に優れたものとしつつ、製造される三次元造形物における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物の寸法精度を特に優れたものとすることができる。
層1の形成後に余剰の三次元造形用組成物は、回収部13に回収される。回収部13は、余剰の三次元造形用組成物を回収した後、造形台10との移動を停止する。これにより、回収した三次元造形用組成物の変質(例えば、再利用ができなくなる)を防止することができる。また、加減速を伴う造形台の移動速度が向上し、その結果、造形時間を短縮することができる。
次に、層1が形成された造形台10は、図4に示すように、溶媒除去領域30に移動する。なお、層形成領域20と溶媒除去領域30において、造形台10の移動速度は同じであっても異なってもよい。例えば、移動速度が異なる場合は、造形台10が溶媒除去領域30に入ると、層形成領域20を移動している際に比べて移動速度を上げる。こうすることで、層1全体の熱履歴がより安定し、層1に対する結合液の浸透が均一になる。
次に、図4に示すように、溶媒除去領域30において、シャッター18を閉めた状態で、加熱手段14により層1を加熱して、層1中に含まれる溶媒を除去する。
なお、造形台10が溶媒除去領域30に移動している間に、メンテナンス部17によって、スキージ12、三次元造形用組成物供給手段11の供給口および液滴吐出ヘッドのメンテナンスを行う。なお、メンテナンスは層1の形成毎に実施する必要はなく、スキージ12、三次元造形用組成物供給手段11の供給口および液滴吐出ヘッドの全てのメンテナンスを実施しなくてもよい。メンテナンスが完了すると、各メンテナンス手段はメンテナンス前の位置に移動する。各メンテナンス手段の移動が完了すると、回収部13も結合液吐出領域40よりも−X軸方向(図中右方向)に移動する。なお、生産性を向上するために、各メンテナンス手段の移動と同時に移動することが望ましい。
次に、シャッター18を開けて、造形台10を結合液吐出領域40に移動させる。このとき、回収部13およびメンテナンス部17の各メンテナンス手段は、結合液吐出領域40よりも−X軸方向(図中右方向)に移動が完了している(図5参照)。
なお、層形成領域20と結合液吐出領域40において、造形台10の移動速度は同じであっても異なってもよい。例えば、移動速度が異なる場合は、造形台10が結合液吐出領域40に入ると、層形成領域20を移動している際に比べて移動速度を下げる。こうすることで、層1に対して結合液の吐出精度を高めることができる。また、結合液吐出領域40に入る手前で造形台10は止まってもよい。
また、結合液吐出領域40において、吐出手段15がY軸方向に移動しながら吐出を行うシリアルスキャン方式による吐出の場合においては、吐出時には造形台10は静止している。
次に、結合液吐出領域40の吐出手段15の描画領域において、図5に示すように、層1に対して結合液を吐出する。
次に、紫外線照射手段16によって層1に紫外線を照射し、層1中の結合剤を硬化させ、硬化した層1と未硬化部とを形成する(紫外線照射工程)。
その後、造形ステージ102を形成する層1の厚さ分だけZ軸方向に降下させ、上記各工程を順に繰り返す。その後、未硬化部を除去することにより、三次元造形物が形成される。
上記のように製造された三次元造形物は、信頼性が高いものとなっている。
3.三次元造形用組成物
次に、三次元造形用組成物について詳細に説明する。
三次元造形用組成物は、複数の粒子と溶媒とを含むものである。
以下、各成分について詳細に説明する。
≪粒子≫
粒子としては、いかなる粒子を用いることができるが、多孔質の粒子(多孔質粒子)で構成されていることが好ましい。これにより、三次元造形物を製造する際に、結合液中の結合剤を空孔内に好適に侵入させることができ、結果として、機械的強度に優れた三次元造形物の製造に好適に用いることができる。
粒子の構成材料としては、例えば、無機材料や有機材料、これらの複合体等が挙げられる。
粒子を構成する無機材料としては、例えば、各種金属や金属化合物等が挙げられる。金属化合物としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコン、酸化錫、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム等の各種金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の各種金属水酸化物;窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミ等の各種金属窒化物;炭化珪素、炭化チタン等の各種金属炭化物;硫化亜鉛等の各種金属硫化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の各種金属の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の各種金属の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等の各種金属のケイ酸塩;リン酸カルシウム等の各種金属のリン酸塩;ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム等の各種金属のホウ酸塩や、これらの複合化物等が挙げられる。
粒子を構成する有機材料としては、例えば、合成樹脂、天然高分子等が挙げられ、より具体的には、ポリエチレン樹脂;ポリプロピレン;ポリエチレンオキサイド;ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン;ポリスチレン;ポリウレタン;ポリウレア;ポリエステル;シリコーン樹脂;アクリルシリコーン樹脂;ポリメタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとする重合体;メタクリル酸メチルクロスポリマー等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとするクロスポリマー(エチレンアクリル酸共重合樹脂等);ナイロン12、ナイロン6、共重合ナイロン等のポリアミド樹脂;ポリイミド;カルボキシメチルセルロールス;ゼラチン;デンプン;キチン;キトサン等が挙げられる。
中でも、粒子は、無機材料で構成されたものであるのが好ましく、金属酸化物で構成されたものであるのがより好ましく、シリカで構成されたものであるのがさらに好ましい。これにより、三次元造形物の機械的強度、耐光性等の特性を特に優れたものとすることができる。また、シリカは、流動性にも優れているため、厚さの均一性がより高い層の形成に有利であるとともに、三次元造形物の生産性、寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、粒子がシリカで構成されたものであると、製造される三次元造形物の表面における、粒子による光の散乱をより効果的に防止することができる。また、シリカは、一般に表面に水酸基を有しており、好適に用いることができる。
シリカとしては、市販のものを好適に用いることができる。
粒子の平均粒径は、特に限定されないが、1μm以上25μm以下であるのが好ましく、1μm以上15μm以下であるのがより好ましい。これにより、三次元造形物の機械的強度を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形用粉末の流動性、三次元造形用粉末を含む三次元造形用組成物の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができる。なお、本発明において、平均粒径とは、体積基準の平均粒径を言い、例えば、サンプルをメタノールに添加し、超音波分散器で3分間分散した分散液をコールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INS製TA−II型)にて、50μmのアパチャーを用いて測定することにより求めることができる。
粒子のDmaxは、3μm以上40μm以下であるのが好ましく、5μm以上30μm以下であるのがより好ましい。これにより、三次元造形物の機械的強度を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形用粉末の流動性、三次元造形用粉末を含む三次元造形用組成物の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができる。また、製造される三次元造形物の表面における、粒子による光の散乱をより効果的に防止することができる。
粒子は、いかなる形状を有するものであってもよいが、球形状をなすものであるのが好ましい。これにより、三次元造形用粉末の流動性、三次元造形用粉末を含む三次元造形用組成物の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、製造される三次元造形物の表面における、粒子による光の散乱をより効果的に防止することができる。
三次元造形用組成物中における三次元造形用粉末の含有率は、10質量%以上90質量%以下であるのが好ましく、15質量%以上58質量%以下であるのがより好ましい。粒子は多孔性であってもよく、かさ密度が概ね0.1g/cm〜1.0g/cmの範囲が適当であり、0.15g/cm〜0.5g/cmの範囲の多孔性粉末がより好ましい。これにより、三次元造形用組成物の流動性を十分に優れたものとしつつ、最終的に得られる三次元造形物の機械的強度を特に優れたものとすることができる。
≪溶媒≫
三次元造形用組成物は、溶媒を含む。これにより、三次元造形用組成物の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができる。
三次元造形用組成物を構成する溶媒としては、特に限定されないが、水系溶媒を用いるのが好ましい。水系溶媒としては、水および/または水との相溶性に優れる液体で構成されたものであるが、主として水で構成されたものであるのが好ましく、特に、水の含有率が70wt%以上のものであるのが好ましく、90wt%以上のものであるのがより好ましい。これにより、水溶性樹脂をより確実に溶解することができ、三次元造形用組成物の流動性、三次元造形用組成物を用いて形成される層1の組成の均一性を特に優れたものとすることができる。また、水は層1形成後の除去が容易であるとともに、三次元造形物中に残存した場合においても悪影響を与えにくい。また、人体に対する安全性、環境問題の観点等からも有利である。
三次元造形用組成物中における溶媒の含有率は、5質量%以上75質量%以下であるのが好ましく、35質量%以上70質量%以下であるのがより好ましい。これにより、前述したような溶媒を含むことによる効果がより顕著に発揮されるとともに、三次元造形物の製造過程において溶媒を短時間で容易に除去することができるため、三次元造形物の生産性向上の観点から有利である。
特に、三次元造形用組成物が溶媒として水を含むものである場合、三次元造形用組成物中における水の含有率は、20質量%以上73質量%以下であるのが好ましく、50質量%以上70質量%以下であるのがより好ましい。これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
≪水溶性樹脂≫
三次元造形用組成物は、複数個の粒子とともに、水溶性樹脂を含むものであってもよい。水溶性樹脂を含むことにより、粒子同士を結合(仮固定)し、粒子の不本意な飛散等を効果的に防止することができる。これにより、作業者の安全や、製造される三次元造形物の寸法精度の向上を図ることができる。また、水溶性樹脂は、粒子表面との親和性が高いため、粒子表面を容易に被覆することができる。
水溶性樹脂は、少なくともその一部が水に可溶なものであるのが好ましく、例えば、25℃における水に対する溶解度(水100gに溶解可能な質量)が5[g/100g水]以上のものであるのがより好ましく、10[g/100g水]以上のものであるのがさらに好ましい。これにより、粒子表面との親和性をより高いものとすることができるとともに、未結合粒子除去工程において、未結合粒子をより容易に除去することができる。
三次元造形用組成物中において、水溶性樹脂は、少なくとも層形成工程において、液状の状態(例えば、溶解状態、溶融状態等)をなすものであるのが好ましい。これにより、容易かつ確実に、三次元造形用組成物を用いて形成される層1の厚さの均一性を、より高いものとすることができる。
水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミンからなる群から選択される少なくとも1種を含むものを用いるのが好ましい。これにより、水溶性樹脂と粒子との親和性(水溶性樹脂が有する水溶性の官能基と粒子表面の水酸基またはカルボキシル基またはアミノ基との間で水素結合)を特に高いものとすることができる。
また、水溶性樹脂は水酸基を有し、水系溶媒との親和性(溶解性)が高いため容易に均一に溶解させることができる。三次元造形用組成物中における水溶性樹脂の含有率は、粒子の嵩体積に対して、15体積%以下であるのが好ましく、2体積%以上5体積%以下であるのがより好ましい。これにより、前述したような水溶性樹脂の機能を十分に発揮させつつ、結合液が侵入する空間をより広く確保することができ、三次元造形物の機械的強度を特に優れたものとすることができる。
≪その他の成分≫
また、三次元造形用組成物は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、重合開始剤;重合促進剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤等が挙げられる。
4.結合液
次に、結合液について詳細に説明する。
≪結合剤≫
結合液は、少なくとも結合剤を含むものである。
結合剤は、硬化することによって、粒子を結合する機能を備えた成分である。
結合剤としては、例えば、熱可塑性樹脂;熱硬化性樹脂;可視光領域の光により硬化する可視光硬化性樹脂(狭義の光硬化性樹脂)、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化性樹脂等の各種光硬化性樹脂;X線硬化性樹脂等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、得られる三次元造形物の機械的強度や三次元造形物の生産性等の観点から、結合剤は、硬化性樹脂が好ましい。また、各種硬化性樹脂の中でも、得られる三次元造形物の機械的強度や三次元造形物の生産性、結合液の保存安定性等の観点から、特に、紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)が好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、紫外線照射により、光重合開始剤から生じるラジカル種またはカチオン種等により、付加重合または開環重合が開始され、重合体を生じるものが好ましく使用される。付加重合の重合様式として、ラジカル、カチオン、アニオン、メタセシス、配位重合が挙げられる。また、開環重合の重合様式として、カチオン、アニオン、ラジカル、メタセシス、配位重合が挙げられる。
付加重合性化合物としては、例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物等が挙げられる。付加重合性化合物として、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく使用できる。
エチレン性不飽和重合性化合物は、単官能の重合性化合物および多官能の重合性化合物、またはそれらの混合物の化学的形態をもつ。単官能の重合性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステル類、アミド類等が挙げられる。多官能の重合性化合物としては、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類とイソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、カルボン酸との脱水縮合反応物等も使用できる。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類またはチオール類との置換反応物も使用できる。
≪その他の成分≫
また、結合液は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、顔料、染料等の各種着色剤;分散剤;界面活性剤;重合開始剤;重合促進剤;溶剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤;増粘剤;フィラー;凝集防止剤;消泡剤等が挙げられる。
特に、結合液が着色剤を含むことにより、着色剤の色に対応する色に着色された三次元造形物を得ることができる。
特に、着色剤として、顔料を含むことにより、結合液、三次元造形物の耐光性を良好なものとすることができる。顔料は、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記無機顔料の中でも、好ましい白色を呈するためには、酸化チタンが好ましい。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
結合液が顔料を含むものである場合、当該顔料の平均粒径は、300nm以下であるのが好ましく、50nm以上250nm以下であるのがより好ましい。これにより、結合液の吐出安定性や結合液中における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができるとともに、より優れた画質の画像を形成することができる。
また、染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、および塩基性染料等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
結合液が着色剤を含むものである場合、当該結合液中における着色剤の含有率は、1質量%以上20質量%以下であるのが好ましい。これにより、特に優れた隠蔽性および色再現性が得られる。
特に、結合液が着色剤として酸化チタンを含むものである場合、当該結合液中における酸化チタンの含有率は、12質量%以上18質量%以下であるのが好ましく、14質量%以上16質量%以下であるのがより好ましい。これにより、特に優れた隠蔽性が得られる。
結合液が顔料を含む場合に、分散剤をさらに含むものであると、顔料の分散性をより良好なものとすることができる。その結果、顔料の偏りによる部分的な機械的強度の低下をより効果的に抑制することができる。
分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤等の顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。高分子分散剤の具体例としては、例えば、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、およびエポキシ樹脂のうち1種以上を主成分とするもの等が挙げられる。
結合液が界面活性剤を含むものであると、三次元造形物の耐擦性をより良好なものとすることができる。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤としての、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等を用いることができ、中でも、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いるのが好ましい。また、結合液は、溶剤を含むものであってもよい。これにより、結合液の粘度調整を好適に行うことでき、結合液が高粘度の成分を含むものであっても、結合液のインクジェット方式による吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、結合液の粘度は、10mPa・s以上25mPa・s以下であるのが好ましく、15mPa・s以上20mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法によるインクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。なお、本明細書中において、粘度とは、E型粘度計(東京計器社製 VISCONIC ELD)を用いて25℃において測定される値をいう。
また、三次元造形物の製造には、複数種の結合液を用いてもよい。
例えば、着色剤を含む結合液(カラーインク)と、着色剤を含まない結合液(クリアインク)とを用いてもよい。これにより、例えば、三次元造形物の外観上、色調に影響を与える領域に付与する結合液として着色剤を含む結合液を用い、三次元造形物の外観上、色調に影響を与えない領域に付与する結合液として着色剤を含まない結合液を用いてもよい。また、最終的に得られる三次元造形物において、着色剤を含む結合液を用いて形成された領域の外表面に、着色剤を含まない結合液を用いた領域(コート層)を設けるように、複数種の結合液を併用してもよい。
また、例えば、異なる組成の着色剤を含む複数種の結合液を用いてもよい。これにより、これらの結合液の組み合わせにより、表現できる色再現領域を広いものとすることができる。
複数種の結合液を用いる場合、少なくとも、藍紫色(シアン)の結合液、紅紫色(マゼンタ)の結合液および黄色(イエロー)の結合液を用いるのが好ましい。これにより、これらの結合液の組み合わせにより、表現できる色再現領域をより広いものとすることができる。
また、白色(ホワイト)の結合液を、他の有色の結合液と併用することにより、例えば、以下のような効果が得られる。すなわち、最終的に得られる三次元造形物を、白色(ホワイト)の結合液が付与された第1の領域と、第1の領域と重なり合い、かつ、第1の領域よりも外表面側に設けられた白色以外の有色の結合液が付与された領域とを有するものとすることができる。これにより、白色(ホワイト)の結合液が付与された第1の領域が隠蔽性を発揮することができ、三次元造形物の彩度をより高めることができる。
5.三次元造形物
本発明の三次元造形物は、前述したような三次元造形物製造装置を用いて製造されたものである。これにより、信頼性の高い三次元造形物を提供することができる。
本発明の三次元造形物の用途は、特に限定されないが、例えば、人形、フィギュア等の鑑賞物・展示物;インプラント等の医療機器等が挙げられる。
また、本発明の三次元造形物は、プロトタイプ、量産品、オーダーメード品のいずれに適用されるものであってもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、回収部と造形台とが別体となっている構成について説明したが、これに限定されず、回収部と造形台とは一体的に構成されていてもよい。
また、三次元造形物の製造方法においては、必要に応じて、前処理工程、後処理工程を行ってもよい。
前処理工程としては、例えば、造形ステージの清掃工程等が挙げられる。
後処理工程としては、例えば、洗浄工程、バリ取り等を行う形状調整工程、着色工程、被覆層形成工程、未硬化の紫外線硬化性樹脂を確実に硬化させるための光照射処理や加熱処理を行う紫外線硬化性樹脂硬化完了工程等が挙げられる。
また、前述した実施形態では、全ての層に対して、結合液を付与するものとして説明したが、結合液が付与されない層を有していてもよい。例えば、造形ステージの直上に形成された層に対して、結合液を付与しないものとし、犠牲層として機能させてもよい。
また、前述した実施形態では、吐出工程をインクジェット法により行う場合について中心的に説明したが、吐出工程は他の方法(例えば、他の印刷方法)を用いて行うものであってもよい。
また、三次元造形用組成物として、溶媒を含まない石膏粉末を用いてもよい。この場合は、結合液としては結合剤を含まない水系インクが採用できる。水系インクを選択的に付着させたところが水酸化物になり水和反応になって固まる。各層形成毎に加熱処理を行っても、造形終了後に造形物全体に加熱処理を行ってもよい。
1…層
10…造形台
11…三次元造形用組成物供給手段
12…スキージ(層形成手段)
13…回収部
14…加熱手段(溶媒除去手段)
15…吐出手段
16…紫外線照射手段
17…メンテナンス部
18…シャッター(隔絶手段)
19…レール
20…層形成領域
30…溶媒除去領域
40…結合液吐出領域
50…制御部
60…コンピューター
100…三次元造形物製造装置
101…枠体
102…造形ステージ
103…供給領域

Claims (6)

  1. 層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物製造装置であって、
    前記三次元造形物が形成される造形台と、
    粒子および溶媒を含む三次元造形用組成物を前記造形台に供給する三次元造形用組成物供給手段と、供給された前記三次元造形用組成物を用いて前記層を形成する層形成手段と、を有する層形成領域と、
    形成した前記層中の前記溶媒を除去する溶媒除去手段を備えた溶媒除去領域と、
    前記溶媒を除去した前記層に対して複数の前記粒子同士を結合する結合液を吐出する吐出手段を備えた結合液吐出領域と、を有し、
    前記各領域に対して、前記造形台が相対的に移動するよう構成されていることを特徴とする三次元造形物製造装置。
  2. 前記造形台は、前記三次元造形用組成物供給手段、前記層形成手段、前記溶媒除去手段、および、前記吐出手段の鉛直方向下側を移動するよう構成されている請求項1に記載の三次元造形物製造装置。
  3. 前記造形台の移動方向において、前記溶媒除去領域、前記層形成領域、および、前記結合液吐出領域の順に配列している請求項1または2に記載の三次元造形物製造装置。
  4. 前記層形成領域と、前記溶媒除去領域と、を隔絶することが可能な隔絶手段を有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の三次元造形物製造装置。
  5. 前記溶媒除去手段として、加熱手段を有している請求項1ないし4のいずれか1項に記載の三次元造形物製造装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の三次元造形物製造装置により製造されたことを特徴とする三次元造形物。
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