JP2016221894A - 三次元造形物の製造方法、三次元造形物製造装置および三次元造形物 - Google Patents

三次元造形物の製造方法、三次元造形物製造装置および三次元造形物 Download PDF

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Abstract

【課題】グロス調の外観を呈する部位を有する三次元造形物を、優れた生産性で製造することができる三次元造形物の製造方法、三次元造形物製造装置の提供。
【解決手段】層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、粒子を含む層形成用組成物を用いて前記層を形成する層形成工程と、前記層にインクを付与するインク付与工程とを含む一連の工程を繰り返し行うものであり、複数の前記層のうち少なくとも一部について、先に形成された前記層である第1の層1上に、新たな前記層である第2の層を積層するのに先立ち、第1の層1に対し、厚さ方向に凹部15を形成する凹部形成工程1cと、凹部15内にインク122を付与する工程とを有する三次元造形物を製造する方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、三次元造形物の製造方法、三次元造形物製造装置および三次元造形物に関する。
粉末(粒子)を含む組成物を用いて材料層(単位層)を形成し、これらを積層することにより、三次元造形物を造形する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、次のような操作を繰り返すことによって三次元造形物を造形する。まず、粉末を均一な厚さで薄く敷き詰めて材料層を形成し、この材料層の所望部分のみにおいて、選択的に粉末同士を結合させ結合部を形成する。この結果、粉末同士が結合した結合部に薄い板状の部材(以下、「断面部材」という)が形成される。その後、その材料層の上にさらに材料層を薄く形成し、所望部分のみにおいて、選択的に粉末同士を結合させ結合部を形成する。その結果、新たに形成された材料層にも、新たな断面部材が形成される。このとき、新たに形成された断面部材は、先に形成された断面部材にも結合される。このような操作を繰り返して、薄い板状の断面部材(結合部)を一層ずつ積層することによって、三次元造形物を造形することができる。
しかしながら、上記のような方法では、得られる三次元造形物の表面が、粉末によるざらつき感が目立ったものとなり、グロス調の外観を得ることが困難であった。
上記のような問題を解決するために、例えば、造形後に後処理としてコート層の形成をすることも考えられるが、このような場合、三次元造形物の生産性が低下する。また、コート層の厚みに不本意なばらつきを生じてしまい、最終的に得られる三次元造形物の表面精度、寸法精度を優れたものとすることが困難である。このような問題は、例えば、製造すべき三次元造形物が表面に凹凸を有する場合等において、より顕著に発生していた。
特開2010−229170号公報
本発明の目的は、グロス調の外観を呈する部位を有する三次元造形物を、優れた生産性で製造することができる三次元造形物の製造方法、三次元造形物製造装置を提供すること、また、前記三次元造形物の製造方法、三次元造形物製造装置を用いて製造された、グロス調の外観を呈する部位を有する三次元造形物を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の三次元造形物の製造方法は、層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、
粒子を含む層形成用組成物を用いて前記層を形成する層形成工程と、
前記層にインクを付与するインク付与工程とを含む一連の工程を繰り返し行うものであり、
複数の前記層のうち少なくとも一部について、先に形成された前記層である第1の層上に、新たな前記層である第2の層を積層するのに先立ち、前記第1の層に対し、厚さ方向に凹部を形成する凹部形成工程と、前記凹部内にインクを付与する工程とを有することを特徴とする。
これにより、グロス調の外観を呈する部位を有する三次元造形物を、優れた生産性で製造することができる三次元造形物の製造方法を提供することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記凹部は、前記層の厚さ方向に貫通する孔部であることが好ましい。
これにより、三次元造形物の外観をより優れたものとすることができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記第1の層に対する前記凹部形成工程に先立って、前記第1の層に対して行う工程として、前記第1の層に第1のインクを付与する第1のインク付与工程と、前記第1のインクを固化させる第1のインク固化工程とを有し、
前記第1の層に対する前記凹部形成工程の後に、前記第1の層に対して行う工程として、前記凹部内に第2のインクを付与する第2のインク付与工程と、前記第2のインクを固化させる第2のインク固化工程とを有することが好ましい。
これにより、最終的に得られる三次元造形物の機械的強度、表面精度をより優れたものとすることができる。また、三次元造形物における不本意な色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記第1のインクは、硬化性樹脂を含む硬化性インクであることが好ましい。
これにより、三次元造形物の耐久性、形状の安定性等をより優れたものとすることができる。また、三次元造形物の生産性をより優れたものとすることができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記凹部形成工程は、前記凹部が形成される前記層中に含まれる前記硬化性樹脂に対して仮硬化処理を施した後に行うものであり、
当該凹部形成工程の後に、前記仮硬化処理が施された前記硬化性樹脂に対し、本硬化処理を行うことが好ましい。
これにより、最終的に得られる三次元造形物の機械的強度、生産性、表面精度をより優れたものとすることができる。また、三次元造形物における不本意な色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記第2のインクは、硬化性樹脂を含む硬化性インクであることが好ましい。
これにより、三次元造形物の耐久性、形状の安定性等をより優れたものとすることができる。また、三次元造形物の生産性をより優れたものとすることができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記硬化性インクは、前記硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を含むものであることが好ましい。
これにより、同一工程において、インクの付与と硬化性樹脂の硬化(仮硬化)とを、より好適に同時進行的に行うことができ、三次元造形物の製造をより安定的に行うことができるとともに、三次元造形物の生産性をより優れたものとすることができる。また、三次元造形物の機械的強度等をさらに優れたものとすることができる。また、インクの保存安定性、三次元造形物の生産コストの面からも有利である。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記層形成用組成物は、前記粒子を仮固定する機能を有するバインダーを含むものであることが好ましい。
これにより、三次元造形物の生産性をより優れたものとしつつ、三次元造形物の表面精度をより優れたものとすることができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記凹部形成工程において、前記インクが付与された部位を含む領域に前記凹部を形成することが好ましい。
これにより、凹部形成工程における凹部の形成をより好適に行うことができ、三次元造形物の表面形状をより精度よく制御することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記凹部形成工程は、切削により行うものであることが好ましい。
これにより、三次元造形物の表面形状の制御がより容易であるとともに、より効率よく凹部を形成することができ、三次元造形物の生産性をより優れたものとすることができる。また、最終的に得られる三次元造形物の信頼性をより優れたものとすることができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記凹部形成工程は、エンドミルを用いて行うものであることが好ましい。
これにより、最終的に得られる三次元造形物の表面形状等をより優れたものとすることができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記凹部内に、前記三次元造形物の実体部の形成に用いる実体部形成用インクとともに、前記実体部と接触する犠牲層を形成するための犠牲層形成用インクを付与することが好ましい。
これにより、三次元造形物の表面形状を、より好適に制御することができ、三次元造形物の表面精度、寸法精度をより確実に優れたものとすることができる。
本発明の三次元造形物製造装置は、層を積層することにより三次元造形物を製造する三次元造形物製造装置であって、
粒子を含む層形成用組成物が付与され、前記層が形成、積層されるステージと、
前記層にインクを付与するインク付与手段と、
前記層に対し、厚さ方向に凹部を形成する凹部形成手段とを有し、
前記インク付与手段として、前記凹部に前記インクを付与するものを有することを特徴とする。
これにより、グロス調の外観を呈する部位を有する三次元造形物を、優れた生産性で製造することができる三次元造形物製造装置を提供することができる。
本発明の三次元造形物は、本発明の三次元造形物の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、グロス調の外観を呈する部位を有する三次元造形物を提供することができる。
本発明の三次元造形物は、本発明の三次元造形物製造装置を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、グロス調の外観を呈する部位を有する三次元造形物を提供することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法の第1実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の三次元造形物の製造方法の第1実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の三次元造形物の製造方法の第1実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の三次元造形物の製造方法の一例を示すフローチャートである。 本発明の三次元造形物の製造方法の第2実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の三次元造形物の製造方法の第2実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の三次元造形物の製造方法の第2実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の三次元造形物製造装置の好適な実施形態を模式的に示す断面図である。 図8に示す三次元造形物製造装置のステージ付近を平面視した平面図であり、図9中、(a)は、層形成時における各部材の配置の一例を示す図であり、(b)は、インクを付与する際、当該インクを仮硬化する際の各部材の配置の一例を示す図である。 図8に示す三次元造形物製造装置のステージ付近を平面視した平面図であり、図10中、(c)は、凹部形成手段を用いて層に凹部を形成する際の各部材の配置の一例を示す図であり、(d)は、インクを本硬化させ、硬化部を形成する際の各部材の配置の一例を示す図である。
以下、添付する図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細な説明をする。
《三次元造形物の製造方法》
まず、本発明の三次元造形物の製造方法について説明する。
[第1実施形態]
図1、図2、図3は、本発明の三次元造形物の製造方法の第1実施形態について、各工程を模式的に示す断面図、図4は、本発明の三次元造形物の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図1、図2、図3に示すように、本実施形態の製造方法は、複数の粒子を含む層形成用組成物11を用いて層1を形成する層形成工程(1a、1f)と、硬化性樹脂を含む第1のインク(実体部形成用インク、結着液)121を、層1に付与する第1のインク付与工程(1b、1g)と、第1のインク(実体部形成用インク、結着液)121が付与された層1に凹部15を形成する凹部形成工程(1c、1h)と、硬化性樹脂を含む第2のインク(実体部形成用インク、表面層形成用インク)122を、凹部15に付与する第2のインク付与工程(1d、1i)と、層1に付与されたインク(第1のインク121および第2のインク122)中に含まれる硬化性樹脂を硬化(本硬化)させ、層1中に硬化部(第1の硬化部131、第2の硬化部132)を形成する硬化工程(1e、1j)とを有する一連の工程を繰り返し行い(1k)、さらに、その後に、各層1を構成する粒子のうち、硬化部(第1の硬化部131、第2の硬化部132)が形成されていない領域としての不要部19を除去する不要部除去工程(1l)を有している。このように、本実施形態の製造方法では、複数の層のうち少なくとも一部について、先に形成された層1である第1の層に、新たな層1である第2の層を積層するのに先立ち、前記第1の層に対し、厚さ方向に凹部15を形成する凹部形成工程と、凹部15内にインク(第2のインク122)を付与する工程(第2のインク付与工程)とを有している。言い換えると、本実施形態では、複数回行う層形成工程の間に、中間工程として、層1の一部を除去して凹部15を形成する工程と、凹部15にインクを付与する工程とを有している。
このように、複数回行う層形成工程の間に、中間工程としての凹部形成工程およびインク付与工程(第2のインク付与工程)を有することにより、最終的に得られる三次元造形物10の表面に、層形成用組成物11を構成する粒子が含まれず、第2のインク122の構成材料で構成された表面層132を形成することができる。その結果、グロス調の外観を呈する三次元造形物10を提供することができる。
また、第2のインク122の構成材料で構成された表面層132を設けることにより、層形成用組成物11を構成する粒子が、三次元造形物10の外表面に露出することを効果的に防止することができ、三次元造形物10から粒子が不本意に脱落すること(例えば、三次元造形物10に摩擦力が加わった際等における粒子の不本意な脱落等)が効果的に防止され、三次元造形物10の耐擦性、耐久性を優れたものとすることができる。
また、三次元造形物10の表面形状を精度よく制御することができる。特に、各層について、凹部15の形成により形成される面(露出する面)を、所望の曲率の曲面や、平滑度の高い平面、所望の角度で傾斜した傾斜面等、所望の形状に、容易かつ確実に制御することができる。また、例えば、層1間での段差による表面精度の低下を防止することができる。また、製造すべき三次元造形物10が微小な凹凸を有する等、複雑な形状を有するものであっても、精度よく製造することができる。
ところで、グロス調の外観を得るために、例えば、造形後に後処理としてコート層の形成をすることも考えられるが、このような場合、三次元造形物の生産性が低下する。また、コート層の厚みに不本意なばらつきを生じてしまい、最終的に得られる三次元造形物の表面精度、寸法精度を優れたものとすることが困難である。このような問題は、例えば、製造すべき三次元造形物が表面に凹凸を有する場合等において、より顕著に発生していた。また、後処理としてのコート層の形成を行った後に、切削等の後加工をすることも考えられるが、このような場合、三次元造形物の生産性が著しく低下するとともに、形状によっては、後加工が実質的に不可能な場合もある。これに対し、本実施形態の製造方法では、造形後の後処理、後加工を省略することができ、後処理、後加工を行う場合であっても、これらを簡略化することができるため、三次元造形物の生産性を優れたものとすることができる。また、後加工では、表現することが困難な表面形状(例えば、深い凹部や湾曲または屈曲した凹部を有する表面形状等)であっても、好適に表現することができる。
なお、本発明において、「第1の層」、「第2の層」とは、複数の層を有する積層体を構成する任意の2つの層についての相対的な関係を表す用語である。例えば、nを1以上の整数とした場合に、第n層と第(n+1)層との関係では、第n層が第1の層、第(n+1)層が第2の層であり、第(n+1)層と第(n+2)層との関係では、第(n+1)層が第1の層、第(n+2)層が第2層であり、第(n+2)層と第(n+3)層との関係では、第(n+2)層が第1の層、第(n+3)層が第2層である。
以下、各工程について説明する。
≪層形成工程≫
層形成工程では、複数個の粒子を含む組成物(層形成用組成物)11を用いて、所定の厚さを有する層1を形成する(1a、1f)。
組成物11が粒子を含むものであることにより、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度等を優れたものとすることができる。
組成物11は、粒子に加え、さらに、粒子を仮固定する機能を有するバインダーを含むものであるのが好ましい。
これにより、組成物11を用いて形成される層1の形状の安定性を優れたものとすることができ、後に詳述する凹部形成工程での凹部15の形成をより好適に行うことができる。その結果、三次元造形物10の生産性をより優れたものとしつつ、第2のインク122を用いて形成される表面層132の形状をより好適に制御することができ、三次元造形物10の表面精度をより優れたものとすることができる。また、表面層132の厚みの不本意なばらつき等をより効果的に防止することができ、三次元造形物10における不本意な色むら等の発生をより効果的に防止することができる。また、組成物11を用いて形成された層1において、複数個の粒子を好適に結合(仮固定)することができ、粒子の不本意な飛散等を効果的に防止することができる。これにより、作業者の安全や、製造される三次元造形物10の寸法精度のさらなる向上を図ることができる。
また、組成物11は、溶剤を含むものであってもよい。
これにより、組成物11の流動性を優れたものとすることができ、層1の形成をより容易に行うことができる。また、比較的薄い層1であっても、好適に形成することができる。このため、三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、組成物11が溶剤を含むものであると、層1の構成材料としての粒子が不本意に飛散することを効果的に防止することができる。これにより、粒子(粉体)を作業者等が誤って吸引してしまったりすることや、酸化しやすい材料で構成された粒子を含む場合における粉体爆発等の危険を回避することができる。したがって、三次元造形物10の製造時の安全性を特に優れたものとすることができる。また、組成物11が、バインダーとともに溶剤を含む場合、層1の形成時における組成物11の流動性を特に優れたものとしつつ、溶剤が除去された後の層1の形状の安定性を優れたものとすることができ、前述したような効果がより顕著に発揮される。
なお、組成物(層形成用組成物)11については、後に詳述する。
本工程では、平坦化手段を用いて、層1を表面が平坦化されたものとして形成する。
1回目の層形成工程では、ステージ41の表面に所定の厚さで層1を形成する(1a)。このとき、ステージ41の側面と側面支持部45とが密着(当接)した状態となっており、ステージ41と側面支持部45との間から、組成物11が落下することが防止されている。
2回目以降の層形成工程では、先の工程で形成された層1(第1の層)の表面に新たな層1(第2の層)を形成する(1f)。このとき、ステージ41上の層1(ステージ41上に複数の層1がある場合には、少なくとも最も上側に設けられた層1)の側面と側面支持部45とが密着(当接)した状態となっており、ステージ41とステージ41上の層1との間から、組成物11が落下することが防止されている。
本工程で形成する層1の厚さは、特に限定されないが、例えば、5μm以上500μm以下であるのが好ましく、10μm以上100μm以下であるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の生産性をより優れたものとしつつ、後述する凹部形成工程における凹部15の形成をより好適に行うことができ、最終的に得られる三次元造形物10における表面層132の厚さや、三次元造形物10の表面形状をより精度よく制御することができる。また、組成物11が溶剤を含む場合に、層1形成後の層1中からの溶剤の除去をより効率よく行うことができ、三次元造形物10の生産性をさらに優れたものとすることができるとともに、最終的な三次元造形物10中に溶剤が不本意に残存することをより効果的に防止することができる。また、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度等をより優れたものとすることができる。
組成物11が溶剤を含むものである場合、層1の形成の後、インク(第1のインク121)の付与に先立って、溶剤を層1から除去する処理(溶剤除去処理)を行ってもよい。これにより、最終的な三次元造形物10中に溶剤が不本意に残存することをより効果的に防止することができる。また、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度等をより優れたものとすることができる。
溶剤除去処理としては、例えば、加熱処理や減圧処理等が挙げられる。
溶剤除去処理を加熱により行う場合、加熱温度は、溶剤の沸点等により異なるが、35℃以上99℃以下であるのが好ましく、40℃以上95℃以下であるのがより好ましい。
これにより、溶剤の急激な気化(突沸等)による層1の乱れを防止しつつ、より効率よく溶剤を除去することができる。その結果、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度を十分に優れたものとしつつ、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
層形成用組成物11中に含まれる溶剤の沸点をTbp[℃]としたとき、加熱温度は、(Tbp−65)℃以上(Tbp−1)℃以下であるのが好ましく、(Tbp−60)℃以上(Tbp−5)℃以下であるのがより好ましい。
これにより、溶剤の急激な気化(突沸等)による層1の乱れを防止しつつ、より効率よく溶剤を除去することができる。その結果、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度を十分に優れたものとしつつ、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
層1の加熱時間は、特に限定されないが、0.2秒以上120秒以下であるのが好ましく、0.5秒以上90秒以下であるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の生産性をより優れたものとしつつ、例えば、層1の厚さが比較的厚い場合や加熱温度が比較的低い場合であっても、本工程の後に層1中に残存する溶剤の含有率をより低いものとすることができる。その結果、最終的な三次元造形物10中に残存する溶剤の含有率も確実により低いものとすることができ、三次元造形物10の機械的強度、信頼性等をより優れたものとすることができる。
≪第1のインク付与工程≫
その後、層1に対し、層1を構成する粒子を結合する機能を有する第1のインク121を付与する(1b、1g)。
これにより、層1を構成する粒子同士を強固に結合させることができ、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度を優れたものとすることができる。
また、本実施形態では、第1のインク121の付与とともに、第1のインク121中に含まれる硬化性樹脂の仮硬化を行い、仮硬化部(第1の仮硬化部)131’を形成する。
これにより、後の凹部形成工程に先立ち、層1の凹部15が形成される部位近傍の領域(凹部15が形成される部位を含む)の形状の安定性を向上させることができるとともに、凹部形成工程を行う際の当該領域の硬度が高くなりすぎ、加工性が低下することを防止することができ、凹部形成工程において、より好適に凹部15を形成することができる。
本工程では、層1のうち、少なくとも、三次元造形物10の実体部(実体のある部位)に対応する部位の少なくとも一部を含む領域に第1のインク121を付与するが、三次元造形物10の実体部(実体のある部位)の表面付近を除く部位(コア部)に対応する部位に加え、凹部15が形成されるべき部位の少なくとも一部を含む領域に、選択的に第1のインク121を付与するのが好ましい。
これにより、後の凹部形成工程における凹部15の形成をより好適に行うことができ、三次元造形物10の表面形状をより精度よく制御することができる。特に、凹部15の形成を切削のような機械加工やレーザー加工により行う場合の、加工性をより優れたものとすることができ、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。
また、本実施形態では、層1に対する第1のインク121の付与を、インクジェット法により行う。
これにより、第1のインク121の付与パターンが微細な形状のものであっても再現性よく第1のインク121を付与することができる。その結果、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度をより高いものとすることができる。
第1のインク121は、層1中に含まれる粒子同士を結合する結合剤を含むものであればよいが、結合剤として硬化性樹脂(重合性化合物)を含むものであるのが好ましい。
これにより、三次元造形物10の耐久性、形状の安定性等をより優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。
第1のインク121が結合剤として硬化性樹脂(重合性化合物)を含むものである場合、硬化性樹脂の種類等に応じた処理を施すことにより、硬化性樹脂を仮硬化させることができる。例えば、硬化性樹脂(重合性化合物)が熱硬化性の重合性化合物(熱硬化性樹脂)である場合、加熱により仮硬化させることができ、硬化性樹脂(重合性化合物)が光硬化性の重合性化合物(光硬化性樹脂)である場合、光の照射により仮硬化させることができる。
なお、第1のインク121の付与と硬化性樹脂の仮硬化とは、同時進行的に行ってもよい。すなわち、1つの層1全体のパターン全体が形成される前に、第1のインク121が付与された部位から順次仮硬化反応を進行させるものであってもよい。
これにより、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
第1のインク121は、各種硬化性樹脂の中でも、光硬化性樹脂を含むものであるのが好ましく、紫外線硬化性樹脂を含むものであるのがより好ましい。
これにより、本工程において、第1のインク121の付与と硬化性樹脂の仮硬化とを、より好適に同時進行的に行うことができる。より具体的には、第1のインク121をインクジェット法により付与する場合等において、長期間にわたって、第1のインク121を吐出するノズルに第1のインク121が固着することをより効果的に防止し、安定的な三次元造形物10の製造を行うことができるとともに、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。
特に、紫外線硬化性樹脂を含むことにより、前述したような効果がより顕著に発揮されるとともに、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度等をさらに優れたものとすることができる。また、第1のインク121の保存安定性、三次元造形物10の生産コストの面からも有利である。
なお、第1のインク121については、後に詳述する。
≪凹部形成工程≫
その後、層1に対し、三次元造形物10の表面に対応する面が形成されるように(露出するように)、凹部15を形成する(1c、1h)。
このように、積層体の製造過程において凹部15を形成することにより、三次元造形物10の表面を含む領域の少なくとも一部に、層形成用組成物11を構成する粒子が含まれず、第2のインク122の構成材料で構成された表面層132を形成することができる。その結果、グロス調の外観を呈する三次元造形物10を提供することができる。また、複数回行う層形成工程の間に行われた中間工程としての凹部形成工程で凹部15を形成することにより、当該凹部15は、その形状が好適に制御されたものとなるため、凹部15内に形成される第2の硬化部(表面層)132の形状を精度よく制御することができ、最終的に得られる三次元造形物10の表面形状も精度よく制御することができる。また、第2の硬化部(表面層)132の厚みの不本意なばらつき等を効果的に防止することができるため、三次元造形物10における不本意な色むら等の発生を防止することができる。
特に、本実施形態では、凹部15を、層1の厚さ方向に貫通する孔部として形成する。
これにより、三次元造形物10の外観をより優れたものとすることができる。
本発明において、第1の層に対する凹部形成工程は、第2の層を積層するのに先立ち行うものであれば、いかなるタイミングで行うものであってもよいが、凹部が形成される層(第1の層)中に含まれる硬化性樹脂の少なくとも一部を硬化させる硬化処理を施した後に行うものであるのが好ましい。
これにより、第1の層の形状の安定性がより高い状態で凹部を形成することができ、凹部15の形成時における層1(第1の層)の不本意な変形等を効果的に防止することができ、三次元造形物10の表面精度をより優れたものとすることができる。また、第2の硬化部(表面層)132の厚みの不本意なばらつき等をより効果的に防止することができ、三次元造形物10における不本意な色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
特に、本実施形態では、凹部形成工程は、凹部(孔部)15が形成される層1中に含まれる硬化性樹脂に対して仮硬化処理を施した後に行うものであり、さらに、本工程の後に、仮硬化処理が施された硬化性樹脂に対し、本硬化処理(1e、1j参照)を行う。
これにより、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度を優れたものとすることができるとともに、本工程(凹部形成工程)をより好適に行うことができ、三次元造形物10の生産性、表面精度をより優れたものとすることができる。また、三次元造形物10における不本意な色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
本工程においては、第1のインク121が付与された部位を含む領域に凹部15を形成するのが好ましい。
これにより、凹部15の形成をより好適に行うことができ、三次元造形物10の表面形状をより精度よく制御することができる。特に、凹部15の形成を切削のような機械加工やレーザー加工により行う場合の、加工性をより優れたものとすることができ、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。また、第2の硬化部(表面層)132の厚みの不本意なばらつき等をより効果的に防止することができ、三次元造形物10における不本意な色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
本工程は、凹部15を形成することができれば、いかなる方法を用いて行うものであってもよく、例えば、切削等の機械加工、レーザー加工、エッチング等の化学加工等により行うことができるが、切削により行うものであるのが好ましい。
これにより、三次元造形物10の表面形状の制御がより容易であるとともに、より効率よく凹部15を形成することができ、さらに、凹部15の形成前の前処理、凹部15の形成後の後処理を省略または簡略化することができ、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。また、凹部15近傍の層1の構成材料の不本意な変性、劣化等をより効果的に防止することができ、最終的に得られる三次元造形物10の信頼性をより優れたものとすることができる。
本工程を切削により行う場合、例えば、ドリル、エンドミル等を用いて行うことができるが、エンドミルを用いて行うものであるのが好ましい。
これにより、より微細な大きさ、形状の凹部15であっても好適に形成することができ、最終的に得られる三次元造形物10の表面層132の厚さ、表面形状等をより優れたものとすることができる。また、第2の硬化部(表面層)132の厚みの不本意なばらつき等をより効果的に防止することができ、三次元造形物10における不本意な色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
凹部15は、単一の処理で形成してもあってもよいし、複数の処理により形成してもよい。例えば、複数回の切削加工により凹部15を形成してもよい。これにより、凹部15の形状の微調整を好適に行うことができ、三次元造形物10の表面精度をより優れたものとすることができる。
また、図示の構成では、各層1に設けられる凹部15は、いずれも、直線的に設けられたものであるが、凹部15は、単一の層1内において、湾曲部や屈曲部を有するものとして形成されるものであってもよい。
本工程は、凹部15の形成に伴い層1から除去された除去部を吸引等により除去しつつ行うのが好ましい。
これにより、凹部15の形成効率が向上し、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。また、層1から除去された除去部により、形成される凹部15の形状に乱れが生じることを効果的に防止し、三次元造形物10の表面精度をより確実に優れたものとすることができる。また、三次元造形物10における不本意な色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
≪第2のインク付与工程≫
その後、凹部形成工程で形成された凹部15内に第2のインク(実体部形成用インク、表面層形成用インク)122を付与する(1d、1i)。
これにより、凹部15が設けられた部位に対応する部位に、層形成用組成物11を構成する粒子が含まれず、第2のインク122の固化物(硬化物)で構成された表面層(第2の硬化部、本硬化部)132を形成することができる。その結果、グロス調の外観を呈する三次元造形物10を提供することができる。
また、第2のインク122の固化物(硬化物)で構成された表面層132を設けることにより、層形成用組成物11を構成する粒子が、三次元造形物10の外表面に露出することを効果的に防止することができ、三次元造形物10から粒子が不本意に脱落すること(例えば、三次元造形物10に摩擦力が加わった際等における粒子の不本意な脱落等)が効果的に防止され、三次元造形物10の耐擦性、耐久性を優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の表面形状を精度よく制御することができる。
また、本実施形態では、第2のインク122の付与とともに、第2のインク122中に含まれる硬化性樹脂の仮硬化を行い、仮硬化部(第2の仮硬化部)132’を形成する。
これにより、第2のインク122が付与された部位に不本意な変形が生じることを効果的に防止しつつ、三次元造形物の生産性をより優れたものとすることができる。
本工程では、凹部15が設けられた部位に選択的に第2のインク122を付与する。
これにより、凹部15に対応する形状、大きさの表面層132を形成することができ、前述したような効果が確実に発揮される。
特に、三次元造形物10の実体部のうち表面層132以外の部位(第1の硬化部131、コア部)となるべき部位と接触するように第2のインク122を付与することにより、第2の硬化部(表面層)132と、第1の硬化部(コア部)131との密着性を優れたものすることができ、三次元造形物10の機械的強度、耐久性をより優れたものとすることができる。
また、本実施形態では、凹部15への第2のインク122の付与を、インクジェット法により行う。
これにより、第2のインク122の付与パターンが微細な形状のものであっても再現性よく第2のインク122を付与することができる。その結果、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度をより高いものとすることができる。
第2のインク122は、固体状の表面層132を形成し得るものであれば、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、硬化性樹脂(重合性化合物)を含むものであるのが好ましい。
これにより、三次元造形物10の耐久性、形状の安定性等をより優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。
第2のインク122が硬化性樹脂(重合性化合物)を含むものである場合、硬化性樹脂の種類等に応じた処理を施すことにより、硬化性樹脂を仮硬化させることができる。例えば、硬化性樹脂(重合性化合物)が熱硬化性の重合性化合物(熱硬化性樹脂)である場合、加熱により仮硬化させることができ、硬化性樹脂(重合性化合物)が光硬化性の重合性化合物(光硬化性樹脂)である場合、光の照射により仮硬化させることができる。
なお、第2のインク122の付与と硬化性樹脂の仮硬化とは、同時進行的に行ってもよい。すなわち、層1に設けられた凹部15全体に第2のインク122が付与される前に、第2のインク122が付与された部位から順次仮硬化反応を進行させるものであってもよい。
これにより、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
第2のインク122は、各種硬化性樹脂の中でも、光硬化性樹脂を含むものであるのが好ましく、紫外線硬化性樹脂を含むものであるのがより好ましい。
これにより、本工程において、第2のインク122の付与と硬化性樹脂の仮硬化とを、より好適に同時進行的に行うことができる。より具体的には、第2のインク122をインクジェット法により付与する場合等において、長期間にわたって、第2のインク122を吐出するノズルに第2のインク122が固着することをより効果的に防止し、安定的な三次元造形物10の製造を行うことができるとともに、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。
特に、紫外線硬化性樹脂を含むことにより、前述したような効果がより顕著に発揮されるとともに、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度等をさらに優れたものとすることができる。また、第2のインク122の保存安定性、三次元造形物10の生産コストの面からも有利である。
なお、第2のインク122については、後に詳述する。
≪硬化工程(本硬化工程)≫
その後、第1のインク121に含まれる硬化性樹脂、および、第2のインク122に含まれる硬化性樹脂を硬化(本硬化)させ、第1の硬化部(本硬化部、コア部)131、および、第2の硬化部(本硬化部、表面層)132を形成する(1e、1j)。
特に、本工程で形成される第2の硬化部(表面層)132は、表面形状、厚さ、色調等が好適に制御されたものであるため、最終的に得られる三次元造形物10の美的外観(審美性)を優れたものとすることができる。
特に、本実施形態では、凹部15が形成されるべき層1に対し、予め仮硬化処理を施しており、凹部15が設けられた層1に対し、本工程で、仮硬化された層1中の硬化性樹脂を本硬化させる。
このように、凹部形成工程の後に、仮硬化処理が施された硬化性樹脂に対し、本硬化処理を行うことにより、凹部形成工程での加工性をより優れたものとすることができるとともに、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度、耐久性等をより優れたものとすることができる。
また、本実施形態では、本工程(本硬化工程)で、第1のインク121に含まれる硬化性樹脂とともに、第2のインク122に含まれる硬化性樹脂を、硬化(本硬化)させる。これにより、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。また、第1のインク121に含まれる硬化性樹脂と、第2のインク122に含まれる硬化性樹脂とを、異なる工程で硬化(本硬化)させる場合に比べて、三次元造形物10の内部応力を小さいものとすることができ、三次元造形物10の耐久性、信頼性をより優れたものとすることができる。
本工程では、第1のインク付与工程で付与された第1のインク121中に含まれる硬化性樹脂(重合性化合物)の種類、第2のインク付与工程で付与された第2のインク122中に含まれる硬化性樹脂(重合性化合物)の種類等に応じた処理を施すことにより、本硬化部131および132を形成する。例えば、硬化性樹脂(重合性化合物)が熱硬化性の重合性化合物(熱硬化性樹脂)である場合、加熱により本硬化させることができ、硬化性樹脂(重合性化合物)が光硬化性の重合性化合物(光硬化性樹脂)である場合、光の照射により硬化させることができる。第1のインク121中に含まれる硬化性樹脂(重合性化合物)と、第2のインク122中に含まれる硬化性樹脂(重合性化合物)とが同種のものである場合、単一の処理により、これらの硬化性樹脂を硬化させることができるため、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。また、第1の硬化部131と第2の硬化部132との密着性をより優れたものとすることができ、三次元造形物10の機械的強度、耐久性をより優れたものとすることができる。
≪不要部除去工程≫
前記のような一連の工程を繰り返し行い(1k)、その後、後処理工程として、硬化部(第1の硬化部131、第2の硬化部132)が設けられた層1を複数有する積層体から、硬化部(第1の硬化部131、第2の硬化部132)が形成されていない領域としての不要部19を除去する不要部除去工程(1l)を行う。
これにより、三次元造形物10が取り出される。前述したように、凹部形成工程において凹部15を形成し、第2のインク付与工程において凹部15内に第2のインク122を付与しているため、本工程では、第2のインク122の硬化物で構成された表面層132が三次元造形物10の表面として露出する。そして、表面層132は、層形成用組成物11を構成する粒子が含まれていないものである。したがって、グロス調の外観を呈する部位(表面層132が設けられた部位)を有する三次元造形物10を得ることができる。また、表面層132が設けられていることにより、三次元造形物10から粒子が不本意に脱落すること(例えば、三次元造形物10に摩擦力が加わった際等における粒子の不本意な脱落等)が効果的に防止され、三次元造形物10の耐擦性、耐久性を優れたものとすることができる。また、本工程においては、表面精度に優れた三次元造形物10が取り出される。その結果、本工程後の後処理(例えば、切削、研削、研磨等の後処理)を省略または簡略化することができる。
本工程の具体的な方法としては、例えば、刷毛等で不要部19を構成する粒子を払い除ける方法、不要部19を構成する粒子を吸引により除去する方法、空気等の気体を吹き付ける方法、水等の液体を付与する方法(例えば、液体中に前記のようにして得られた積層体を浸漬する方法、液体を吹き付ける方法等)、超音波振動等の振動を付与する方法等が挙げられる。また、これらから選択される2種以上の方法を組み合わせて行うことができる。より具体的には、空気等の気体を吹き付けた後に、水等の液体に浸漬する方法や、水等の液体に浸漬した状態で、超音波振動を付与する方法等が挙げられる。中でも、前記のようにして得られた積層体に対し、水を含む液体を付与する方法(特に、水を含む液体中に浸漬する方法)を採用するのが好ましい。
これにより、不要部19を、より容易かつより確実に除去することができる。また、不要部19を除去する際に三次元造形物10に傷等の欠陥が生じることをより確実に防止することができる。
前述したような三次元造形物の製造方法をフローチャートにまとめると、図4のようになる。
[第2実施形態]
次に、本発明の三次元造形物の製造方法の第2実施形態について説明する。
図5、図6、図7は、本発明の三次元造形物の製造方法の第2実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。以下の説明では、前述した実施形態との相違点について中心的に説明し、同様の事項についての説明は省略する。
図5、図6、図7に示すように、本実施形態の三次元造形物10の製造方法は、複数の粒子を含む層形成用組成物11を用いて層1を形成する層形成工程(2a、2f)と、硬化性樹脂を含む第1のインク(実体部形成用インク、結着液)121を、層1に付与する第1のインク付与工程(2b、2g)と、第1のインク(実体部形成用インク、結着液)121が付与された層1に凹部15を形成する凹部形成工程(2c、2h)と、硬化性樹脂を含む第2のインク(実体部形成用インク、表面層形成用インク)122とともに、犠牲層18を形成するための犠牲層形成用インク17を、凹部15に付与するインク付与工程(第2のインクおよび犠牲層形成用インク付与工程)(2d、2i)と、層1に付与されたインク(第1のインク121および第2のインク122)中に含まれる硬化性樹脂を硬化(本硬化)させ、層1中に硬化部(第1の硬化部131、第2の硬化部132)を形成する硬化工程(2e、2j)とを有する一連の工程を繰り返し行い(2k)、さらに、その後に、各層1を構成する粒子のうち、硬化部(第1の硬化部131、第2の硬化部132)が形成されていない領域としての不要部19、犠牲層18を除去する不要部除去工程(2l)を有している。すなわち、前述した実施形態では、凹部形成工程の後に、凹部15内に第2のインク122を付与していたのに対し(第2のインク付与工程)、本実施形態では、凹部形成工程の後に、凹部15内に第2のインク122とともに犠牲層形成用インク17を付与する点(第2のインクおよび犠牲層形成用インク付与工程)で、本実施形態は前述した実施形態と異なっている。
このように、凹部15内に第2のインク122とともに、犠牲層形成用インク17を付与することにより、第2のインク122により形成される表面層132の表面形状を、より好適に制御することができる。より具体的には、第2のインク122とともに犠牲層形成用インク17を用いることにより、凹部15内において第2のインク122と犠牲層形成用インク17とを接触させ、最終的に得られる三次元造形物10における表面層132の表面となるべき部位が、粒子を含む部位(不要部19として除去されるべき部位)に接触することが防止される。その結果、粒子を含む部位(不要部19として除去されるべき部位)の表面形状が、表面層132の表面に転写されてしまうことを防止することができ、より好適なグロス調の外観を呈する表面層132を形成することができる。
また、不要部19となるべき部位に、第1のインク121の構成成分(例えば、硬化性樹脂やその重合反応生成物等)が含まれる場合であっても、表面層132と不要部19とが強固に結合してしまうことを効果的に防止することができる。その結果、三次元造形物10の表面精度、寸法精度をより確実に優れたものとすることができる。
なお、犠牲層形成用インク(第3のインク)17については、後に詳述する。
前述したような本発明の製造方法によれば、グロス調の外観を呈する部位を有する三次元造形物を、優れた生産性で製造することができる。また、三次元造形物の表面精度を優れたものとすることができる。また、三次元造形物の耐擦性等を優れたものとすることができる。
《三次元造形物製造装置》
次に、本発明の三次元造形物製造装置について説明する。
図8は、本発明の三次元造形物製造装置の好適な実施形態を模式的に示す断面図、図9、図10は、図8に示す三次元造形物製造装置のステージ付近を平面視した平面図であり、図9中、(a)は、層形成時における各部材の配置の一例を示す図であり、(b)は、インクを付与する際、当該インクを仮硬化する際の各部材の配置の一例を示す図であり、図10中、(c)は、凹部形成手段を用いて層に凹部を形成する際の各部材の配置の一例を示す図であり、(d)は、インクを本硬化させ、硬化部を形成する際の各部材の配置の一例を示す図である。
三次元造形物製造装置100は、複数の粒子を含む組成物(層形成用組成物)11を用いて、層1を繰り返し成形し積層することにより、三次元造形物10を製造するものである。
本実施形態の三次元造形物製造装置100は、制御部2と、粒子を含む組成物(層形成用組成物)11を収容する層形成用組成物供給部3と、層形成用組成物供給部3から供給された層形成用組成物11を用いて層1を形成する層形成部4と、第1のインク121を吐出する第1のインク付与手段(第1のインク吐出ヘッド)、第2のインク122を吐出する第2のインク付与手段(第2のインク吐出ヘッド)、および、第3のインク(犠牲層形成用インク)17を吐出する第3のインク付与手段(第3のインク吐出ヘッド)が設けられたキャリッジ5と、インク中に含まれる硬化性樹脂を硬化させるための紫外線を照射する紫外線照射手段(硬化手段)6と、層1に厚さ方向に凹部15を形成する凹部形成手段7と、層1が積層されてなる積層体から不要部19、犠牲層18を除去し、三次元造形物10を現出させる現像部9と、現像部9において不要部19、犠牲層18を除去する機能を有する液体(除去液)を付与する除去液付与手段40と、加熱手段50とを有している。
制御部2は、コンピューター21と、駆動制御部22とを有している。
コンピューター21は、内部にCPUやメモリ等を備えて構成される一般的な卓上型コンピューター等である。コンピューター21は、三次元造形物10の形状をモデルデータとしてデータ化し、それを平行な幾層もの薄い断面体にスライスして得られる断面データ(スライスデータ)を駆動制御部22に対して出力する。
駆動制御部22は、層形成部4、キャリッジ5、紫外線照射手段6、凹部形成手段7、除去液付与手段40、加熱手段50や、後に説明するシャッター93等をそれぞれに駆動する制御手段として機能する。具体的には、例えば、層形成用組成物供給部3からの層形成用組成物11の供給量、ステージ41の下降量、キャリッジ5が有する各インク付与手段(吐出ヘッド)からの各インクの吐出パターンや吐出量、凹部形成手段7による凹部15の形成パターン、除去液付与手段40による除去液の吐出量、加熱手段50の移動や加熱温度、シャッター93の開閉等を制御する。
層形成用組成物供給部3は、駆動制御部22からの指令により移動し、内部に収容された層形成用組成物11が、層形成用組成物仮置部44に供給されるように構成されている。
層形成部4は、層形成用組成物供給部3から供給された層形成用組成物11を一時的に保持する層形成用組成物仮置部44と、層形成用組成物仮置部44に保持された層形成用組成物11を平坦化しつつ層1を形成するスキージー(平坦化手段)42と、スキージー42の動作を規制するガイドレール43と、形成された層1を支持するステージ41と、ステージ41を取り囲む側面支持部(枠体)45とを有している。
先に形成された層1の上に、新たな層1を形成するのに際して、先に形成された層1を、側面支持部(枠体)45に対して相対的に下方に移動させる。これにより、新たに形成される層1の厚さが規定される。
特に、本実施形態では、ステージ41は、先に形成された層1の上に、新たな層1を形成するのに際して、駆動制御部22からの指令により所定量だけ順次下降する。このように、ステージ41がZ軸方向(上下方向)に移動可能に構成されていることにより、新たな層1の形成に際して、層1の厚さを調整するために移動させるべき部材の数を減らすことができるため、三次元造形物製造装置100の構成をより単純なものとすることできる。
ステージ41は、表面(層形成用組成物11が付与される部位)が平坦なものである。
これにより、厚さの均一性の高い層1を容易かつ確実に形成することができる。また、製造される三次元造形物10において、不本意な変形等が生じることを効果的に防止することができる。
ステージ41は、XY平面において矩形型の形状を有している。
ステージ41は、図示しない駆動手段によってZ軸方向に可動(昇降)するよう構成されている。
ステージ41は、高強度の材料で構成されたものであるのが好ましい。ステージ41の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼等の各種金属材料等が挙げられる。
また、ステージ41の表面(層形成用組成物11が付与される部位)には、表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、層形成用組成物11の構成材料等がステージ41に付着してしまうことをより効果的に防止したり、ステージ41の耐久性をより優れたものとし、三次元造形物10のより長期間にわたる安定的な生産を図ったりすることができる。ステージ41の表面の表面処理に用いられる材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等が挙げられる。
スキージー42は、Y軸方向に延在する長手形状を有するものであり、下部先端が尖った刃状の形状を有するブレードを備えている。
ブレードのY軸方向の長さは、ステージ41(造形領域)の幅(Y軸方向の長さ)以上のものである。
スキージー42は、図示しない駆動手段によってX軸方向に駆動するよう構成されている。また、スキージー42は、その短軸方向の先端が、層形成用組成物仮置部44の上面および枠体45の上面と接するよう構成されている。
スキージー42は、X軸方向に移動しながら、層形成用組成物仮置部44に供給された層形成用組成物11をステージ41上の空間に搬送し、層1を形成する。
なお、三次元造形物製造装置100は、ブレードに微小振動を与えるバイブレーション機構(図示せず)を備えていてもよい。これにより、スキージー42による層形成用組成物11の拡散をより円滑に行うことができる。
側面支持部(枠体)45は、ステージ41上に形成された層1の側面を支持する機能を有する。また、層1の形成時には、層1の面積を規定する機能も有している。
枠体45は、枠状の部材で構成されている。
枠体45は、高強度の材料で構成されたものであるのが好ましい。枠体45の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼等の各種金属材料等が挙げられる。
また、枠体45の表面(層形成用組成物11と接触しうる部位)には、表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、層形成用組成物11の構成材料等が側面支持部45に付着してしまうことをより効果的に防止したり、側面支持部45の耐久性をより優れたものとし、三次元造形物10のより長期間にわたる安定的な生産を図ったりすることができる。また、先に形成された層1を側面支持部45に対して相対的に下方に移動させる際に、層1に不本意な乱れが生じることを効果的に防止することができる。その結果、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度、信頼性をより優れたものとすることができる。側面支持部45の表面の表面処理に用いられる材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等が挙げられる。
枠体45の内壁面とステージ41とで形成される領域に層1が形成される。
キャリッジ5には、第1のインク121を吐出する第1のインク付与手段(第1のインク吐出ヘッド)、第2のインク122を吐出する第2のインク付与手段(第2のインク吐出ヘッド)、および、第3のインク(犠牲層形成用インク)17を吐出する第3のインク付与手段(第3のインク吐出ヘッド)が設けられている。各インク付与手段は、図示しないインク収容部に接続されており、これらのインク収容部から供給された各インクが吐出されるように構成されている。
キャリッジ5は、駆動制御部22からの指令により、各層1において形成すべきパターンに応じて各インクの付与パターン等が制御されている。
具体的には、キャリッジ5は、層1と相対的位置関係が変化することができるように構成されており、第1のインク付与手段(第1のインク吐出ヘッド)が、第1の仮硬化部131’を形成すべき部位の上部に位置するときに、第1のインク121を吐出するように構成されており、第2のインク付与手段(第2のインク吐出ヘッド)が、第2の硬化部132を形成すべき部位の上部に位置するときに、第2のインク122を吐出するように構成されており、第3のインク付与手段(第3のインク吐出ヘッド)が、犠牲層18を形成すべき部位の上部に位置するときに、第3のインク(犠牲層形成用インク)17を吐出するように構成されている。
また、本実施形態では、キャリッジ5は、ステージ41上の領域(平面視した際にステージ41と重なり合う領域)と、ステージ41上以外の領域(平面視した際にステージ41と重なり合わない領域)との間を移動可能に構成されている(図8、図9、図10参照)。
これにより、インクの付与時(図9(b)参照)以外に、キャリッジ5をステージ41上の領域から退避させ、キャリッジ5がステージ41上の領域に存在することによる問題の発生を効果的に防止することができる。より具体的には、例えば、層1の形成時に(図9(a)参照)、層形成用組成物11中に含まれる粒子が舞いあがり、キャリッジ5が有するインク吐出ヘッドに付着すること等を効果的に防止することができ、長期間にわたって安定的な液滴吐出を行うことができる。また、例えば、三次元造形物製造装置100が、図示しない加熱手段(例えば、組成物11が溶剤を含むものであり、層1から溶剤を除去する機能を有する加熱手段)を有するものである場合、キャリッジ5が有するインク吐出ヘッドが乾燥すること、キャリッジ5が有するインク吐出ヘッドに固形物が析出すること等を効果的に防止することができ、長期間にわたって安定的な液滴吐出を行うことができる。
本実施形態では、キャリッジ5が有するインク吐出ヘッドは、インクジェット法によりインクを吐出するものである。
これにより、微細なパターンでインクを付与することができ、微細な構造を有する三次元造形物10であっても、より生産性良く製造することができる。
液滴吐出方式(インクジェット法の方式)としては、ピエゾ方式や、インクを加熱して発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式等を用いることができるが、インクの構成成分の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
図示の構成では、キャリッジ5は、造形領域(ステージ41)のY軸方向に移動(主走査)するとともに、造形領域(ステージ41)のX軸方向に移動(副走査)することができるように構成されたシリアルヘッドである。
紫外線照射手段(硬化手段)6は、層1に付与されたインクを硬化させるための紫外線を照射するものである。
本実施形態としては、紫外線照射手段(硬化手段)6として、第1の紫外線照射手段(仮硬化手段)61と、第2の紫外線照射手段(本硬化手段)62とを有している。
第1の紫外線照射手段(仮硬化手段)61は、キャリッジ5の主走査方向(Y軸方向)の両端に2つ設けられている。
これにより、キャリッジ5のY軸方向正負の移動の両方において、インクの付与と、インクの硬化(仮硬化)との処理を、同時進行的に好適に行うことができ、インクの印刷パターンをより確実に所望の形状に制御することができ、三次元造形物10の寸法精度をより確実に優れたものとすることができる。
特に、紫外線照射手段(硬化手段)6として、第1の紫外線照射手段(仮硬化手段)61と第2の紫外線照射手段(本硬化手段)62とを有することにより、三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとしつつ、三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができる。また、全体としての三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
第2の紫外線照射手段(本硬化手段)62は、その照射領域が、造形領域(ステージ41)のY軸方向の幅以上の長さを持つものであり、キャリッジ5の副走査方向(X軸方向)に移動可能に構成されている。
これにより、三次元造形物10の生産性をさらに優れたものとすることができる。
第1の紫外線照射手段(仮硬化手段)61による紫外線の照射強度は、8.7mJ/cm以上40.7mJ/cm以下であるのが好ましい。また、第2の紫外線照射手段(本硬化手段)62による紫外線の照射強度は、166mJ/cm以上5000mJ/cm以下であるのが好ましい。
凹部形成手段7は、層1(第1の層)に対し、凹部15を形成する機能を有するものである。
凹部形成手段7は、層1に凹部15を形成することができるものであれば、いかなるものであってもよく、凹部形成手段7としては、例えば、切削等の機械加工により凹部15を形成するもの、レーザー加工により凹部15を形成するもの、エッチング等の化学加工により凹部15を形成するもの等が挙げられるが、切削により凹部15を形成するものであるのが好ましい。
これにより、凹部15の形状、大きさ、表面層132の厚さ、三次元造形物の表面形状等の制御がより容易であるとともに、より効率よく凹部15を形成することができ、さらに、凹部15の形成前の前処理、凹部15の形成後の後処理を省略または簡略化することができ、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。また、凹部15近傍の層1の構成材料の不本意な変性、劣化等をより効果的に防止することができ、最終的に得られる三次元造形物10の信頼性をより優れたものとすることができる。
凹部形成手段7が切削により凹部15を形成するものである場合、凹部形成手段7としては、例えば、ドリル、エンドミル等が挙げられるが、エンドミルが好ましい。
これにより、より微細な大きさ、形状の凹部15であっても好適に形成することができ、最終的に得られる三次元造形物10の表面層132の厚さ、表面形状等をより優れたものとすることができる。
三次元造形物製造装置100は、凹部15の形成に伴い層1から除去された除去部を吸引する機能を有する図示しない吸引手段を有するものであってもよい。
これにより、凹部15の形成効率が向上し、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。また、層1から除去された除去部により、形成される凹部15の形状に乱れが生じることを効果的に防止し、三次元造形物10の表面精度をより確実に優れたものとすることができる。また、三次元造形物10における不本意な色むら等の発生をより効果的に防止することができる。
現像部9は、積層体から不要部19、犠牲層18を除去し、三次元造形物10を現出させる部位である。
このような現像部9を有することにより、三次元造形物10の生産性を優れたものとすることができる。また、作業者の技量等により、三次元造形物10の品質(例えば、寸法精度等)のばらつきを抑制することができ、安定した品質の三次元造形物10を安定的に提供することができる。また、三次元造形物製造装置100からの取出しの前に、不要部19、犠牲層18を除去するため、不要部19、犠牲層18の構成材料が、装置外で飛散・拡散してしまうことを効果的に防止することができ、環境面、作業者の安全面等からも好ましい。また、三次元造形物製造装置100から取り出される三次元造形物10は、不要部19、犠牲層18が除去された状態のものであるため、不要部19、犠牲層18を含む積層体に比べて、小型化、軽量化しており、三次元造形物製造装置100から容易に取り出すことができ、取出し時における落下等による三次元造形物10の破損等を効果的に防止することができる。なお、前述したように、三次元造形物10の製造過程において、凹部15を形成しており、三次元造形物10の表面となるべき部位の表面精度が優れたものとなっている。また、三次元造形物10の表面となるべき部位と、これに接触する部位(不要部19、犠牲層18)との密着力は比較的弱いものとなっている。したがって、現像部9において、不要部19、犠牲層18を容易かつ確実に除去することができ、グロス調の外観を呈する部位を有し、表面精度に優れた三次元造形物10を得ることができる。
図示の構成では、現像部9は、シャッター93により、ステージ41上に層1を形成する造形領域(第1の領域)から独立する(遮断される)ように構成されている。
これにより、除去された不要部19、犠牲層18が、現像部9以外の部位に不本意に拡散してしまうことを効果的に防止することができる。また、除去液付与手段40から供給された液体(除去液)が、現像部9以外の部位に不本意に漏出することを効果的に防止することができる。また、加熱手段50により現像部9内の積層体または三次元造形物10を加熱する際の断熱性を向上させることができ、エネルギー効率を優れたものとすることができる。
シャッター93の構成材料としては、例えば、各種金属材料等が挙げられる。
また、現像部9には、窓部91が設けられている。
これにより、加熱手段50により現像部9内の積層体または三次元造形物10を加熱する際の加熱効率を特に優れたものとすることができる。また、現像部9の外部に加熱手段50を配することにより、加熱手段50を好適に移動させることができ、後に詳述するように、現像部9内の積層体、三次元造形物10の加熱だけでなく、例えば、ステージ41上の層1の加熱等にも、加熱手段50を用いることができる。
窓部91は、エネルギー線(例えば、赤外線(遠赤外線等)等)の透過性を有する材料(例えば、Ge、Si、サファイア、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、カルコゲナイドガラス、ダイヤモンド、石英、フッ化マグネシウム、塩化ナトリウム等)で構成されたものであってもよいし、開口部となっていてもよい。窓部91が開口部である場合、エネルギー線の照射による加熱だけでなく、温風による加熱も好適に行うことができる。
また、図示の構成では、現像部9は、層1が形成される部位よりも低い部位に設けられている。
これにより、三次元造形物製造装置100の低背化を図ることができ、三次元造形物製造装置100のメンテナンス等を容易に行うことができる。
また、現像部9には、不要部19、犠牲層18が除去されることにより得られた三次元造形物10を取り出すことができる取出し部(取出し口)92が設けられている。
このように、現像部9から直接三次元造形物10を取り出すことができるように構成されていることにより、三次元造形物製造装置100が大型化することを効果的に防止することができる。
特に、本実施形態では、取出し部(取出し口)92は、層1が形成される部位よりも低い部位に設けられている。
これにより、三次元造形物10を容易に取り出すことができる。特に、大型の三次元造形物や重量の大きい三次元造形物を製造した場合、三次元造形物の取出し部が高い部位にあると、取出し時における落下等による三次元造形物の破損等が生じ易くなるが、上記のような構成により、このような問題の発生をより効果的に防止することができる。
また、現像部9の壁面には、例えば、現像部9の内部の様子を観察することができる観察窓が設けられていてもよい。
これにより、例えば、三次元造形物10の取出し前に、不要部19、犠牲層18の除去が十分に行われているか否かを確認することができ、必要に応じて、現像部9における不要部19、犠牲層18の除去処理を追加(延長)して行うことができる。その結果、全体としての三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
除去液付与手段40は、現像部9において、不要部19、犠牲層18を除去する液体(除去液)を付与するものである。
このような除去液付与手段40を備えることにより、より短時間で効率よく不要部19、犠牲層18を除去することができる。特に、微小な凹部内に存在する不要部19、犠牲層18であっても容易かつ確実に除去することができる。また、例えば、不要部19を構成する粒子が飛散すること等をより効果的に防止することができ、不要部19、犠牲層18の構成材料の回収がより容易なものとなる。
除去液付与手段40が付与する液体は、不要部19、犠牲層18を除去することができるものであればいかなるものであってもよいが、水を含むものであるのが好ましい。これにより、不要部19、犠牲層18の除去効率を特に優れたものとすることができる。特に、層形成用組成物11、犠牲層形成用インク17が後に詳述するような水溶性樹脂を含むものである場合、不要部19、犠牲層18の除去効率を顕著に優れたものとすることができる。また、人体に対する安全性、環境問題の観点等からも有利である。
また、本実施形態の三次元造形物製造装置100は、加熱手段50を有している。
これにより、例えば、製造過程における層1や不要部19、犠牲層18が除去された三次元造形物10が揮発性の液体(例えば、層形成用組成物11が溶剤を含む場合の当該溶剤や、インクが溶剤を含む場合の当該溶剤等)を含む場合に、当該液体を効率よく除去することができ、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。また、加熱手段50で現像部9内の積層体を加熱することにより、不要部19、犠牲層18の除去効率を特に優れたものとすることができ、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。また、例えば、硬化性樹脂の硬化反応を十分に進行させることができ、硬化部(第1の硬化部131、第2の硬化部132)の不本意な変形をより効果的に防止することができ、三次元造形物10の寸法精度をより確実に優れたものとすることができる。
加熱手段50は、移動可能に構成されており、異なる複数の領域を加熱することができる。
これにより、異なる複数の工程で、同一の加熱手段50を用いて加熱処理を行うことができ、三次元造形物製造装置100の小型化、構成の簡略化を図ることができる。また、異なる複数の工程で加熱処理を行うことにより、最終的に得られる三次元造形物10の信頼性を特に優れたものとすることができるとともに、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
特に、本実施形態では、加熱手段50は、ステージ41上に層1を形成する造形領域(第1の領域)と、現像部9に対向する領域(第2の領域)との間を移動可能なものである。
これにより、例えば、最終的に得られる三次元造形物10中に揮発性の液体が不本意に含まれることや、硬化部(第1の硬化部131、第2の硬化部132)における硬化反応の進行が不十分であることによる三次元造形物10の機械的強度の低下等の問題の発生をより効果的に防止しつつ、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
また、本実施形態では、現像部9に対向する領域(第2の領域)の下方に、積層体を移動することができるように構成されている。
これにより、前述したような効果が得られるとともに、三次元造形物製造装置100の低背化を図ることができる。
加熱手段50は、図示の構成では、前述したガイドレール43に設置され、その動作が規制されているが、例えば、ガイドレール43とは別個に設けられた(独立して設けられた)ガイドレールに設置されたものであってもよい。
三次元造形物製造装置100は、現像部9において、積層体に振動(例えば、超音波振動等)を付与する振動付与手段(図示せず)を備えるものであってもよい。
これにより、不要部19、犠牲層18を容易に除去することができる。
三次元造形物製造装置100は、現像部9において、積層体に対して摩擦力を加えるブラシ(図示せず)を備えるものであってもよい。
これにより、不要部19、犠牲層18が目的とする三次元造形物10に強固に付着している場合等であっても、確実に除去することができる。また、微小な凹部内に存在する不要部19、犠牲層18であっても確実に除去することができる。
前述したような製造装置(三次元造形物製造装置)によれば、グロス調の外観を呈する部位を有する三次元造形物を、優れた生産性で製造することができる。また、三次元造形物の表面精度を優れたものとすることができる。また、三次元造形物の耐擦性等を優れたものとすることができる。
<層形成用組成物>
次に、本発明の三次元造形物の製造に用いる組成物(層形成用組成物)11について詳細に説明する。
組成物(層形成用組成物)11は、少なくとも、複数個の粒子を含むものである。
(粒子)
粒子の構成材料としては、例えば、無機材料や有機材料、これらの複合体等が挙げられる。
粒子を構成する無機材料としては、例えば、各種金属や金属化合物等が挙げられる。金属としては、例えば、アルミニウム、チタン、鉄、銅、マグネシウム、ステンレス鋼、マルエージング鋼等が挙げられ、金属化合物としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコン、酸化錫、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム等の各種金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の各種金属水酸化物;窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミニウム等の各種金属窒化物;炭化珪素、炭化チタン等の各種金属炭化物;硫化亜鉛等の各種金属硫化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の各種金属の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の各種金属の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等の各種金属のケイ酸塩;リン酸カルシウム等の各種金属のリン酸塩;ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム等の各種金属のホウ酸塩や、これらの複合化物、石膏(硫酸カルシウムの各水和物、硫酸カルシウムの無水物)等が挙げられる。
粒子を構成する有機材料としては、例えば、合成樹脂、天然高分子等が挙げられ、より具体的には、ポリエチレン樹脂;ポリプロピレン;ポリエチレンオキサイド;ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン;ポリスチレン;ポリウレタン;ポリウレア;ポリエステル;シリコーン樹脂;アクリルシリコーン樹脂;ポリメタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとする重合体;メタクリル酸メチルクロスポリマー等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとするクロスポリマー(エチレンアクリル酸共重合樹脂等);ナイロン12、ナイロン6、共重合ナイロン等のポリアミド樹脂;ポリイミド;カルボキシメチルセルロース;ゼラチン;デンプン;キチン;キトサン等が挙げられる。
中でも、粒子は、金属酸化物で構成されたものであるのが好ましく、シリカで構成されたものであるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の機械的強度、耐光性等の特性をより優れたものとすることができる。
また、特に、粒子がシリカで構成されたものであると、前述した効果がより顕著に発揮される。また、シリカは、それ自体の流動性にも優れており、シリカを含む組成物11の流動性をより優れたものとすることができる。これにより、厚さの均一性がより高い層1の形成に有利であるとともに、三次元造形物10の生産性、寸法精度をより優れたものとする上でも有利である。
粒子は、疎水化処理等の表面処理が施されたものであってもよい。
粒子に施された疎水化処理としては、粒子(母粒子)の疎水性を高める処理であればいかなるものであってもよいが、炭化水素基を導入するものであるのが好ましい。
これにより、粒子の疎水性をより高いものとすることができる。また、容易かつ確実に、各粒子や粒子表面の各部位(外部に開放する空孔を有するものである場合には、空孔内部の表面を含む)での疎水化処理の程度の均一性をより高いものとすることができる。
疎水化処理に用いる化合物としては、シリル基を含むシラン化合物が好ましい。
粒子の平均粒径は、特に限定されないが、1μm以上25μm以下であるのが好ましく、1μm以上15μm以下であるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の機械的強度をより優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物10の寸法精度をより優れたものとすることができる。また、組成物11の流動性をより優れたものとし、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。
なお、本発明において、平均粒径とは、体積基準の平均粒径を言い、例えば、サンプルをメタノールに添加し、超音波分散器で3分間分散した分散液をコールターカウンター法粒度分布測定器(例えば、COULTER ELECTRONICS INC製 TA−II型)にて、50μmのアパチャーを用いて測定することにより求めることができる。
粒子のDmaxは、3μm以上40μm以下であるのが好ましく、5μm以上30μm以下であるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の機械的強度をより優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物10の寸法精度をより優れたものとすることができる。また、組成物11の流動性をより優れたものとし、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。
粒子は、緻密なものであってもよいが、空孔を有するもの(特に、多孔質粒子)であるのが好ましい。
これにより、粒子間の隙間だけでなく、粒子の内部の空間(空孔)にも結合剤を侵入させることができ、三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができる。
粒子の空孔率は、50体積%以上であるのが好ましく、55体積%以上90体積%以下であるのがより好ましい。
これにより、結合剤が入り込む空間(空孔)を十分に有するとともに、粒子自体の機械的強度を優れたものとすることができ、結果として、三次元造形物10の機械的強度をより優れたものとすることができる。
なお、本発明において、粒子の空孔率とは、粒子の見かけ体積中に対する、粒子の内部に存在する空孔の割合(体積率)のことを言い、粒子の密度をρ[g/cm]、粒子の構成材料の真密度ρ[g/cm]としたときに、{(ρ−ρ)/ρ}×100で表される値である。
粒子の平均空孔径(細孔直径)が10nm以上であるのが好ましく、50nm以上300nm以下であるのがより好ましい。
これにより、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度をより優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の製造に、顔料を含む第1のインク121(着色インク)を用いる場合において、顔料を粒子の空孔内に好適に保持することができる。このため、不本意な顔料の拡散を防止することができ、高精細な画像をより確実に形成することができる。
粒子は、いかなる形状を有するものであってもよいが、球形状をなすものであるのが好ましい。これにより、組成物11の流動性をより優れたものとし、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。
組成物11は、複数種の粒子を含むものであってもよい。
組成物11中における粒子の含有率は、8質量%以上91質量%以下であるのが好ましく、10質量%以上60質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、組成物11の流動性を十分に優れたものとしつつ、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度をより優れたものとすることができる。
(溶剤)
組成物11は、複数個の粒子に加えて、溶剤を含むものであってもよい。
これにより、例えば、組成物11をペースト状のものとすることができ、組成物11の流動性を優れたものとすることができ、層1の形成をより容易に行うことができる。また、比較的薄い層1であっても、好適に形成することができる。このため、三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、組成物11が溶剤を含むものであると、層1の構成材料としての粒子が不本意に飛散することを効果的に防止することができる。これにより、粒子(粉体)を作業者等が誤って吸引してしまったりすることや、酸化しやすい材料で構成された粒子を含む場合における粉体爆発等の危険を回避することができる。したがって、三次元造形物10の製造時の安全性を特に優れたものとすることができる。また、組成物11が、後に詳述するバインダーとともに溶剤を含む場合、層1の形成時における組成物11の流動性を特に優れたものとしつつ、溶剤が除去された後の層1の形状の安定性を優れたものとすることができ、前述したような効果がより顕著に発揮される。
特に、組成物11が、溶剤として水系溶剤を含む場合、以下のような効果が得られる。
すなわち、水系溶剤は、水との親和性が高いものであるため、組成物11が後述する水溶性樹脂とともに水系溶剤を含むものである場合に、水溶性樹脂を好適に溶解することができる。これにより、組成物11の流動性を良好なものとすることができ、組成物11を用いて形成される層1の厚さの不本意なばらつきをより効果的に防止することができる。また、水系溶剤が除去された状態の層1を形成した際に、層1全体にわたって、より高い均一性で、水溶性樹脂を粒子に付着させることができ、不本意な組成のむらが発生するのをより効果的に防止することができる。このため、最終的に得られる三次元造形物10の各部位での機械的強度の不本意なばらつきの発生をより効果的に防止することができ、三次元造形物10の信頼性をより高いものとすることができる。
なお、本発明において、水系溶剤とは、水または水との親和性の高い液体のことをいい、具体的には、25℃における水100gに対する溶解度が、50g以上のもののことをいう。
組成物11を構成する水系溶剤としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール性溶剤;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート、プロピレングリコール1−モノエチルエーテル2−アセタート等のグリコールエーテルアセテート系溶剤;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、組成物11は、水を含むものであるのが好ましい。
これにより、水溶性樹脂をより確実に溶解することができ、組成物11の流動性、組成物11を用いて形成される層1の組成の均一性をより優れたものとすることができる。また、水は除去が容易である。また、人体に対する安全性、環境問題の観点等からも有利である。
組成物11中における溶剤の含有率は、9質量%以上92質量%以下であるのが好ましく、22質量%以上89質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したような溶剤を含むことによる効果がより顕著に発揮されるとともに、三次元造形物10の製造過程において溶剤をより短時間で容易に除去することができるため、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。また、溶剤を除去した状態の層1中に、適度な割合で空隙を含ませることができ、第1のインク121の浸透性をより優れたものとすることができ、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度、寸法精度等をより優れたものとすることができる。
水系溶剤が水を含むものである場合、水系溶剤中に占める水の割合は、80質量%以上であるのが好ましく、90質量%以上であるのがより好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
(バインダー)
組成物11は、複数個の粒子とともに、バインダーを含むものであってもよい。
これにより、組成物11を用いて形成された層1の形状の安定性を優れたものとすることができ、凹部形成工程での凹部15の形成をより好適に行うことができる。その結果、三次元造形物10の生産性をより優れたものとしつつ、第2のインク122を用いて形成される表面層132の形状をより好適に制御することができ、三次元造形物10の表面精度をより優れたものとすることができる。また、表面層132の厚みの不本意なばらつき等をより効果的に防止することができ、三次元造形物10における不本意な色むら等の発生をより効果的に防止することができる。また、組成物11を用いて形成された層1において、複数個の粒子を好適に結合(仮固定)することができ、粒子の不本意な飛散等を効果的に防止することができる。これにより、作業者の安全や、製造される三次元造形物10の寸法精度のさらなる向上を図ることができる。
組成物11がバインダーとともに溶剤を含むものである場合、組成物11において、バインダーは溶剤に溶解しているものであるのが好ましい。
これにより、組成物11の流動性をより良好なものとすることができ、組成物11を用いて形成される層1の厚さの不本意なばらつきをより効果的に防止することができる。また、層1から溶剤が除去された状態において、層1全体にわたって、より高い均一性で、バインダーを粒子に付着させることができ、不本意な組成のむらが発生するのをより効果的に防止することができる。このため、最終的に得られる三次元造形物10の各部位での機械的強度の不本意なばらつきの発生をより効果的に防止することができ、三次元造形物10の信頼性をより高いものとすることができる。
バインダーとしては、組成物11を用いて形成された層1(特に、組成物11が溶剤を含むものである場合には、溶剤が除去された状態の層1)において複数個の粒子を仮固定する機能を有するものであればよいが、水溶性樹脂を好適に用いることができる。
水溶性樹脂を含むことにより、組成物11が溶剤として水系溶剤(特に、水)を含む場合に、組成物11中にバインダー(水溶性樹脂)を溶解状態で含ませることができ、組成物11の流動性、取り扱い性(取り扱いの容易性)をより優れたものとすることができる。その結果、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。
また、三次元造形物10の製造過程において層1の第1のインク121が付与されなかった部位(不要部19)を、水系溶剤(特に、水)を付与することにより、容易かつ効率よく除去することができる。その結果、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。また、層1の除去されるべき部位が、最終的に得られた三次元造形物10に付着、残存することを容易かつ確実に防止することができるため、三次元造形物10の寸法精度をより優れたものとすることができる。
以下、バインダーとしての水溶性樹脂について中心に説明する。
水溶性樹脂は、少なくともその一部が水系溶剤に可溶なものであればよいが、例えば、25℃における水に対する溶解度(水100gに溶解可能な質量)が5[g/100g水]以上のものであるのが好ましく、10[g/100g水]以上のものであるのがより好ましい。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリカプロラクトンジオール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリルアミド、変性ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのランダム共重合ポリマー等の合成ポリマー、コーンスターチ、マンナン、ペクチン、寒天、アルギン酸、デキストラン、にかわ、ゼラチン等の天然ポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酸化でんぷん、変性でんぷん等の半合成ポリマー等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(その他の成分)
また、組成物11は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、重合開始剤;重合促進剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤等が挙げられる。
<第1のインク(結着液)>
次に、第1のインク121について詳細に説明する。
第1のインク121は、少なくとも、組成物11中に含まれる粒子同士を結合する結合剤を含むものである。
(結合剤)
結合剤としては、各種熱可塑性樹脂や、各種硬化性樹脂を用いることができるが、硬化性樹脂が好ましい。
これにより、三次元造形物10の耐久性、形状の安定性等をより優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。
以下、第1のインク121が結合剤として硬化性樹脂を含む場合について代表的に説明する。
硬化性樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂;可視光領域の光により硬化する可視光硬化性樹脂(狭義の光硬化性樹脂)、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化性樹脂等の各種光硬化性樹脂;X線硬化性樹脂等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、得られる三次元造形物10の機械的強度や三次元造形物10の生産性、第1のインク121の保存安定性等の観点から、特に、紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)が好ましい。
紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)としては、紫外線照射により、光重合開始剤から生じるラジカル種またはカチオン種等により、付加重合または開環重合が開始され、重合体を生じるものが好ましく使用される。付加重合の重合様式として、ラジカル、カチオン、アニオン、メタセシス、配位重合が挙げられる。また、開環重合の重合様式として、カチオン、アニオン、ラジカル、メタセシス、配位重合が挙げられる。
第1のインク121中における結合剤の含有率は、80質量%以上であるのが好ましく、85質量%以上であるのがより好ましい。これにより、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができる。
(重合開始剤)
第1のインク121は、重合開始剤を含むものであってもよい。第1のインク121が重合開始剤を含むものであると、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の機械的強度、寸法精度をより優れたものとすることができる。
第1のインク121を構成する重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤(芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物等)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物等)や光カチオン重合開始剤等を用いることができ、具体的には、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、およびビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられ、これらのうちから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、第1のインク121を構成する重合開始剤としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドを含むものであるのが好ましい。
これにより、第1のインク121の保存安定性を優れたものとしつつ、三次元造形物10の生産性をさらに優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の機械的強度、寸法精度をさらに優れたものとすることができる。
第1のインク121中における重合開始剤の含有率の具体的な値としては、3.0質量%以上18質量%以下であるのが好ましく、5.0質量%以上15質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、第1のインク121の保存安定性を優れたものとしつつ、三次元造形物10の生産性をさらに優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の機械的強度、寸法精度をさらに優れたものとすることができる。
(その他の成分)
また、第1のインク121は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、顔料、染料等の各種着色剤;分散剤;界面活性剤;重合促進剤;溶剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤;増粘剤;フィラー;凝集防止剤;消泡剤等が挙げられる。
特に、第1のインク121が着色剤を含むことにより、着色剤の色に対応する色に着色された三次元造形物10を得ることができる。特に、第2のインク122が着色剤を含まないものであっても、着色剤の色に対応する色に着色された三次元造形物10を得ることができる。また、第2のインク122を用いて形成される表面層132が、着色剤を含む場合であっても、その下地である第1の硬化部131が着色剤を含むものであることにより、三次元造形物10の色味の調整を好適に行うことができる。また、第1のインク121が白色、黒色等の無彩色の着色剤を含むものであると、優れた隠蔽性が発揮され、表面層132の発色性をより優れたものとすることができる。
特に、着色剤として、顔料を含むことにより、第1のインク121、三次元造形物10の耐光性を良好なものとすることができる。顔料は、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記無機顔料の中でも、好ましい白色を呈するためには、酸化チタンが好ましい。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
第1のインク121が顔料を含むものである場合、当該顔料の平均粒径は、300nm以下であるのが好ましく、50nm以上250nm以下であるのがより好ましい。これにより、第1のインク121の吐出安定性や第1のインク121中における顔料の分散安定性をより優れたものとすることができるとともに、より優れた画質の画像を形成することができる。
第1のインク121が着色剤を含むものである場合、当該第1のインク121中における着色剤の含有率は、1質量%以上20質量%以下であるのが好ましい。これにより、より優れた隠蔽性および色再現性が得られる。
特に、第1のインク121が着色剤として酸化チタンを含むものである場合、当該第1のインク121中における酸化チタンの含有率は、12質量%以上30質量%以下であるのが好ましく、14質量%以上25質量%以下であるのがより好ましい。これにより、より優れた隠蔽性が得られる。
第1のインク121が顔料を含む場合に、分散剤をさらに含むものであると、顔料の分散性をより良好なものとすることができる。
分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤等の顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。高分子分散剤の具体例としては、例えば、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、およびエポキシ樹脂のうち1種以上を主成分とするもの等が挙げられる。
また、第1のインク121は、溶剤を含むものであってもよい。これにより、第1のインク121の粘度調整を好適に行うことでき、第1のインク121が高粘度の成分を含むものであっても、第1のインク121のインクジェット方式による吐出安定性をより優れたものとすることができる。
溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、第1のインク121の粘度は、1mPa・s以上30mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上25mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法による第1のインク121の吐出安定性をより優れたものとすることができる。
なお、本明細書中において、粘度とは、特に条件の指定がない限り、E型粘度計(例えば、東京計器社製 VISCONIC ELD等)を用いて25℃において測定される値をいう。
また、三次元造形物10の製造には、複数種の第1のインク121を用いてもよい。
例えば、着色剤を含む第1のインク121(カラーインク)と、着色剤を含まない第1のインク121(クリアインク)とを用いてもよい。これにより、例えば、三次元造形物10の外観上、色調に影響を与える領域に付与する第1のインク121として着色剤を含む第1のインク121を用い、三次元造形物10の外観上、色調に影響を与えない領域に付与する第1のインク121として着色剤を含まない第1のインク121を用いてもよい。
また、例えば、異なる組成の着色剤を含む複数種の第1のインク121を用いてもよい。これにより、これらの第1のインク121の組み合わせにより、表現できる色再現領域を広いものとすることができる。
複数種の第1のインク121を用いる場合、少なくとも、シアンの第1のインク121、マゼンタの第1のインク121およびイエローの第1のインク121を用いるのが好ましい。これにより、これらの第1のインク121の組み合わせにより、表現できる色再現領域をより広いものとすることができる。
また、白色(ホワイト)の第1のインク121を、他の有色のインクと併用することにより、例えば、以下のような効果が得られる。すなわち、最終的に得られる三次元造形物10を、白色(ホワイト)の第1のインク121が付与された第1の領域と、第1の領域と重なり合い、かつ、第1の領域よりも外表面側に設けられた白色以外の有色のインクが付与された領域とを有するものとすることができる。これにより、白色(ホワイト)の第1のインク121が付与された第1の領域が隠蔽性を発揮することができ、三次元造形物10の彩度をより高めることができる。
<第2のインク(表面層形成用インク)>
次に、第2のインク122について詳細に説明する。
第2のインク122は、少なくとも、表面層132の構成成分としての固形分またはその前駆体を含むものである。
(樹脂材料)
第2のインク122は、通常、樹脂材料を含むものである。第2のインク122中に含まれる樹脂材料としては、各種熱可塑性樹脂や、各種硬化性樹脂等が挙げられるが、硬化性樹脂が好ましい。
これにより、三次元造形物10の耐久性、形状の安定性等をより優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。
以下、第2のインク122が硬化性樹脂を含む場合について代表的に説明する。
硬化性樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂;可視光領域の光により硬化する可視光硬化性樹脂(狭義の光硬化性樹脂)、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化性樹脂等の各種光硬化性樹脂;X線硬化性樹脂等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、得られる三次元造形物10の機械的強度や三次元造形物10の生産性、第2のインク122の保存安定性等の観点から、特に、紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)が好ましい。
紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)としては、例えば、第1のインク121の構成材料として例示したものが挙げられる。
特に、第1のインク121と第2のインク122とが、共通の紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)を含むことにより、第1の硬化部131と第2の硬化部132との密着性をより優れたものとすることができ、三次元造形物10の耐久性等をより優れたものとすることができる。
第2のインク122中における樹脂材料の含有率は、80質量%以上であるのが好ましく、85質量%以上であるのがより好ましい。これにより、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができる。
(重合開始剤)
第2のインク122が重合開始剤を含むものであると、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の機械的強度、寸法精度をより優れたものとすることができる。
第2のインク122を構成する重合開始剤としては、例えば、第1のインク121の構成材料として例示したもの等が挙げられる。
中でも、第2のインク122を構成する重合開始剤としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドを含むものであるのが好ましい。
これにより、第2のインク122の保存安定性を優れたものとしつつ、三次元造形物10の生産性をさらに優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の機械的強度、寸法精度をさらに優れたものとすることができる。
特に、後に詳述する犠牲層形成用インク17とともに、第2のインク122が、重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドを含むものであると、第2のインク122および犠牲層形成用インク17について、硬化処理後の硬化度(重合度)の制御をより好適に行うことができ、表面層132の表面形状の制御を確実に行うことができるとともに、必要時に犠牲層18の選択的な除去をより好適に行うことができる。
第2のインク122が、犠牲層形成用インク17とともに、重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドを含むものである場合、第2のインク122中におけるビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドの含有率は、犠牲層形成用インク17中におけるビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドの含有率よりも高いものであるのが好ましい。
これにより、第2のインク122および犠牲層形成用インク17を、それぞれ、より確実に、好適な硬化度で硬化させることができる。
第2のインク122中における重合開始剤の含有率は、特に限定されないが、犠牲層形成用インク17中における重合開始剤の含有率よりも高いものであるのが好ましい。
これにより、第2のインク122および犠牲層形成用インク17を、それぞれ、より確実に、好適な硬化度で硬化させることができる。また、照射するエネルギー線量を必要以上に高める必要がないため、省エネルギーの観点からも好ましい。
特に、第2のインク122中における重合開始剤の含有率をX[質量%]、犠牲層形成用インク17中における重合開始剤の含有率をX[質量%]としたとき、1.05≦X/X≦2.0の関係を満足するのが好ましく、1.1≦X/X≦1.5の関係を満足するのがより好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
第2のインク122中における重合開始剤の含有率の具体的な値としては、3.0質量%以上18質量%以下であるのが好ましく、5.0質量%以上15質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、第2のインク122の保存安定性を優れたものとしつつ、三次元造形物10の生産性をさらに優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の機械的強度、寸法精度をさらに優れたものとすることができる。
(その他の成分)
また、第2のインク122は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、顔料、染料等の各種着色剤;分散剤;界面活性剤;重合促進剤;溶剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤;増粘剤;フィラー;凝集防止剤;消泡剤等が挙げられる。
特に、第2のインク122が着色剤を含むことにより、着色剤の色に対応する色に着色された三次元造形物10を得ることができる。
特に、着色剤として、顔料を含むことにより、第2のインク122、三次元造形物10の耐光性を良好なものとすることができる。顔料は、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。
着色剤としては、特に限定されないが、例えば、第1のインク121の構成材料として例示したもの等が挙げられる。
第2のインク122が顔料を含むものである場合、当該顔料の平均粒径は、300nm以下であるのが好ましく、50nm以上250nm以下であるのがより好ましい。これにより、第2のインク122の吐出安定性や第2のインク122中における顔料の分散安定性をより優れたものとすることができるとともに、より優れた画質の画像を形成することができる。
第2のインク122が着色剤を含むものである場合、当該第2のインク122中における着色剤の含有率は、1質量%以上20質量%以下であるのが好ましい。これにより、より優れた色再現性が得られる。
特に、第2のインク122が着色剤として酸化チタンを含むものである場合、当該第2のインク122中における酸化チタンの含有率は、12質量%以上30質量%以下であるのが好ましく、14質量%以上25質量%以下であるのがより好ましい。
第2のインク122が顔料を含む場合に、分散剤をさらに含むものであると、顔料の分散性をより良好なものとすることができる。
分散剤としては、特に限定されないが、例えば、第1のインク121の構成材料として例示したもの等が挙げられる。
第2のインク122が界面活性剤を含むものであると、三次元造形物10の耐擦性をより良好なものとすることができる。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤としての、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等を用いることができ、中でも、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いるのが好ましい。
また、第2のインク122は、溶剤を含むものであってもよい。これにより、第2のインク122の粘度調整を好適に行うことでき、第2のインク122が高粘度の成分を含むものであっても、第2のインク122のインクジェット方式による吐出安定性をより優れたものとすることができる。
溶剤としては、例えば、第1のインク121の構成材料として例示したもの等が挙げられる。
また、第2のインク122の粘度は、1mPa・s以上30mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上25mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法による第2のインク122の吐出安定性をより優れたものとすることができる。
また、三次元造形物10の製造には、複数種の第2のインク122を用いてもよい。
例えば、異なる組成の着色剤を含む複数種の第2のインク122を用いてもよい。これにより、これらの第2のインク122の組み合わせにより、表現できる色再現領域を広いものとすることができる。
複数種の第2のインク122を用いる場合、少なくとも、シアンの第2のインク122、マゼンタの第2のインク122およびイエローの第2のインク122を用いるのが好ましい。これにより、これらの第2のインク122の組み合わせにより、表現できる色再現領域をより広いものとすることができる。
<第3のインク(犠牲層形成用インク)>
犠牲層形成用インク(第3のインク)17は、第2のインク122が固化し、表面層132を形成する際に、固体状をなし、表面層132の表面形状を規定する機能を有するものであればよいが、通常、造形後に選択的に除去することが可能な固形分またはその前駆体を含むものである。
このような成分としては、例えば、熱可塑性樹脂や硬化性樹脂(硬化成分)等の樹脂材料が挙げられる。
(樹脂材料)
熱可塑性樹脂としては、例えば、前述した層形成用組成物11の構成材料として例示したもの等が挙げられる。
また、硬化性樹脂(硬化成分)としては、例えば、前述した第1のインク121、第2のインク122の構成材料として例示したもの等が挙げられる。
犠牲層形成用インク17が硬化性樹脂を含むものである場合、犠牲層形成用インク17中に含まれる硬化性樹脂と、第1のインク121中に含まれる硬化性樹脂、第2のインク122中に含まれる硬化性樹脂とは、同種のエネルギー線で硬化するものであるのが好ましい。
これにより、三次元造形物製造装置の構成が複雑化するのを効果的に防止することができ、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の表面形状をより確実に制御することができる。
また、犠牲層形成用インク17の硬化物が、親水性を有するものを用いるのが好ましい。これにより、水等の水系溶剤によって犠牲層18を容易に除去することが可能となる。
犠牲層形成用インク17は、各種硬化成分の中でも、特に、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、および、(メタ)アクリロイルモルフォリン、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。
これにより、より適切な硬化速度で犠牲層形成用インク17を硬化させることができ、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。また、硬化物の親水性をより好適なものとすることができ、水等の水系溶剤を用いることにより犠牲層18を容易に除去することができる。
特に、犠牲層形成用インク17が(メタ)アクリロイルモルフォリンを含むものであると、以下のような効果が得られる。
すなわち、(メタ)アクリロイルモルフォリンは、硬化反応が進行した場合であっても完全硬化でない状態(完全硬化でない状態の(メタ)アクリロイルモルフォリンの重合体)では、水等の各種溶媒に対する溶解性が高い状態が高いものである。したがって、前述したような不要部除去工程において、三次元造形物10の実体部(第1の硬化部131、第2の硬化部132)に欠陥が生じるのをより効果的に防止しつつ、犠牲層18を選択的かつ確実に、また、効率よく除去することができる。その結果、より高い信頼性で、所望の形態の三次元造形物10を生産性良く得ることができる。
また、犠牲層形成用インク17がテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートを含むものであると、硬化後の柔軟性が保たれ、犠牲層18を除去する液体による処理により容易にゲル状になることで除去性を高めることができる。
また、犠牲層形成用インク17がエトキシエトキシエチル(メタ)アクリレートを含むものであると、硬化後もタック性が残存し易く、犠牲層18を除去する液体による除去性を高めることができる。
また、犠牲層形成用インク17がポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートを含むものであると、犠牲層18を除去する液体が水を主成分とする場合に、液体への溶解性を高め、除去をさらに容易にすることができる。
犠牲層形成用インク17が前述した特定の硬化成分(テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、および、(メタ)アクリロイルモルフォリンよりなる群から選択される1種または2種以上)を含むものである場合、犠牲層形成用インク17を構成する全硬化成分に対する当該特定の硬化成分の割合は、80質量%以上であるのが好ましく、90質量%以上であるのがより好ましく、100質量%であるのがさらに好ましい。これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
犠牲層形成用インク17中における硬化成分の含有率は、83質量%以上98.5質量%以下であるのが好ましく、87質量%以上95.4質量%以下であるのがより好ましい。
(重合開始剤)
また、犠牲層形成用インク17は、重合開始剤を含むものであるのが好ましい。
これにより、三次元造形物10の製造時における犠牲層形成用インク17の硬化速度を適度に速めることができ、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
また、造形時における犠牲層18の形状の安定性を優れたものとすることができ、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度をより確実に優れたものとすることができる。
犠牲層形成用インク17を構成する重合開始剤としては、例えば、第1のインク121の構成成分、第2のインク122の構成成分として例示したもの等が挙げられる。
中でも、犠牲層形成用インク17は、重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドを含むものであるのが好ましい。
このような重合開始剤を含むことにより、より適切な硬化速度で犠牲層形成用インク17を硬化させることができ、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。また、犠牲層形成用インク17中に含まれる硬化成分の重合度をより好適に制御することができる。その結果、犠牲層18の除去をより容易にかつより確実に行うことができ、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度をより優れたものとすることができる。
犠牲層形成用インク17中における重合開始剤の含有率の具体的な値としては、1.5質量%以上17質量%以下であるのが好ましく、4.6質量%以上13質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、より適切な硬化速度で犠牲層形成用インク17を硬化させることができ、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。また、犠牲層形成用インク17中に含まれる硬化成分の重合度をより好適に制御することができる。その結果、犠牲層18の除去をより容易にかつより確実に行うことができ、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度をより優れたものとすることができる。
(その他の成分)
また、犠牲層形成用インク17は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、顔料、染料等の各種着色剤;分散剤;界面活性剤;増感剤;重合促進剤;溶剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤;増粘剤;フィラー;凝集防止剤;消泡剤等が挙げられる。
特に、犠牲層形成用インク17が着色剤を含むことにより、犠牲層18の視認性が向上し、最終的に得られる三次元造形物10において、犠牲層18の少なくとも一部が不本意に残存することをより確実に防止することができる。
犠牲層形成用インク17を構成する着色剤としては、例えば、第1のインク121の構成成分、第2のインク122の構成成分として例示したもの等が挙げられるが、三次元造形物10の表面の法線方向から観察した際に当該犠牲層形成用インク17により形成される犠牲層18と重なり合う表面層132の色(三次元造形物10の外観上視認されるべき色)とは異なる色となるような着色剤であるのが好ましい。これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
犠牲層形成用インク17が顔料を含む場合に、分散剤をさらに含むものであると、顔料の分散性をより良好なものとすることができる。犠牲層形成用インク17を構成する分散剤としては、例えば、第1のインク121の構成成分、第2のインク122の構成成分として例示したもの等が挙げられる。
また、犠牲層形成用インク17の粘度は、10mPa・s以上30mPa・s以下であるのが好ましく、15mPa・s以上25mPa・s以下であるのがより好ましい。
これにより、インクジェット法による犠牲層形成用インク17の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
また、三次元造形物10の製造には、複数種の犠牲層形成用インク17を用いてもよい。
《三次元造形物》
本発明の三次元造形物は、前述したような三次元造形物の製造方法、三次元造形物製造装置を用いて製造することができる。
これにより、グロス調の外観を呈する部位を有する三次元造形物が得られる。また、表面精度に優れた三次元造形物を得ることができる。また、三次元造形物の耐擦性等を優れたものとすることができる。
本発明の三次元造形物の用途は、特に限定されないが、例えば、人形、フィギュア等の鑑賞物・展示物;インプラント等の医療機器等が挙げられる。
また、本発明の三次元造形物は、プロトタイプ、量産品、オーダーメード品のいずれに適用されるものであってもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の三次元造形物製造装置では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
例えば、前述した実施形態では、ステージを下降させる構成について代表的に説明したが、例えば、側面支持部が上方に移動するように構成されていてもよい。
また、前述した実施形態では、平坦化手段がステージ上を移動するものとして説明したが、ステージが移動することにより、ステージとスキージーとの位置関係が変化し、平坦化がなされるものであってもよい。
また、平坦化手段として、前述したようなスキージーの代わりに、ローラー等を用いてもよい。
また、前述した実施形態では、第1のインクを吐出する第1のインク付与手段(第1のインク吐出ヘッド)、第2のインクを吐出する第2のインク付与手段(第2のインク吐出ヘッド)、および、第3のインク(犠牲層形成用インク)を吐出する第3のインク付与手段(第3のインク吐出ヘッド)が、単一のキャリッジに設けられている場合について代表的に説明したが、これらのうち少なくとも1種は、異なるキャリッジに設けられたものであってもよい。
また、前述した実施形態では、インク付与手段(インク吐出ヘッド)がシリアルヘッドである場合について説明したが、インク付与手段(インク吐出ヘッド)は、例えば、ラインヘッドであってもよい。
また、三次元造形物製造装置は、層形成用組成物供給部から供給された層形成用組成物のうち層の形成に用いられなかったものを回収するための、図示しない回収機構を備えるものであってもよい。これにより、層形成部に余剰の層形成用組成物が蓄積されることを防止しつつ、十分な量の層形成用組成物を供給することができるため、層における欠陥の発生をより効果的に防止しつつ、より安定的に三次元造形物を製造することができる。また、回収した層形成用組成物を、再度、三次元造形物の製造に用いることができるため、三次元造形物の製造コストの低減に寄与することができ、また、省資源の観点からも好ましい。
また、三次元造形物製造装置は、不要部除去工程で除去された層形成用組成物(不要部)を回収するための回収機構を備えていてもよい。
また、三次元造形物製造装置は、層から除去された気体状の溶剤を装置の外部へ排出する排気手段や、層から除去された溶剤を回収する溶剤回収手段を備えるものであってもよい。溶剤回収手段は、少なくとも一部が気化した溶剤を液化(凝縮)させる機能を有するものであってもよい。溶剤回収手段としては、例えば、デュワー冷却器、アリーン冷却器、グラハム冷却器、ジムロート冷却器、リービッヒ冷却器、フリードリヒ冷却器、ホプキンス冷却器、ウエスト冷却器、コールドフィンガー等を採用することができる。
また、現像部の構成は、前述した実施形態で説明したようなものに限定されない。
また、前述した実施形態では、三次元造形物製造装置が、現像部を有するものである場合について代表的に説明したが、三次元造形物製造装置は現像部を有していないものであってもよい。
また、前述した実施形態では、インク付与工程をインクジェット法により行う場合について中心的に説明したが、インク付与工程は他の方法(例えば、他の印刷方法)を用いて行うものであってもよい。
また、前述した実施形態では、全ての層に対して、凹部を形成する場合について代表的に説明したが、本発明では、複数の層のうちの少なくとも一部について凹部を形成すればよく、凹部が形成されない層を有していてもよい。
また、前述した実施形態では、凹部形成工程は、層中に含まれる硬化性樹脂を仮硬化させた後に行うものとして説明したが、凹部形成工程のタイミングは、特に限定されず、例えば、硬化性樹脂を本硬化させた後に行うものであってもよい。
また、前述した実施形態では、硬化性樹脂の硬化反応を仮硬化の処理と本硬化の処理とに分けて行う場合について中心的に説明したが、例えば、仮硬化のための処理を省略し、1工程で硬化性樹脂の硬化反応を完結させてもよい。
また、前述した実施形態では、三次元造形物が、積層体の最下層の下面および最上層の上面以外の表面全体(側面全体)に、第2のインクを用いて形成された表面層を有するものとして説明したが、第2のインクを用いて形成された表面層(層形成用組成物を構成する粒子を含まない部位)は、積層体の最下層の下面や最上層の上面に設けられていてもよい。積層体の最下層の下面に表面層を形成する場合、例えば、積層体の最下層に相当する層を形成した後に、当該層において三次元造形物の実体部が形成されるべき部位全体に凹部を形成し、当該凹部に第2のインクを付与し、その後、硬化させる方法や、積層体の最下層に対応する部位に層形成用組成物を用いて層を形成する前に、第2のインクを用いて所望の形状の硬化部または仮硬化部を形成する方法を採用することにより、好適に当該表面層を形成することができる。また、積層体の最上層の上面に表面層を形成する場合、例えば、積層体の最上層に相当する層を形成した後に、当該層において三次元造形物の実体部が形成されるべき部位全体に凹部を形成し、当該凹部に第2のインクを付与し、その後、硬化させる方法や、積層体の最上層に対応する部位には、層形成用組成物を用いた層の形成を行わず、第2のインクを所望の形状に付与し、その後硬化させる方法を採用することにより、好適に当該表面層を形成することができる。
また、第2のインクを用いて形成された表面層は、積層体の側面の一部に選択的に設けられていてもよい。これにより、例えば、三次元造形物の表面精度を高いものとしつつ、グロス調の外観を呈する部位と、マット調の外観を呈する部位とを混在させることができ、三次元造形物の審美性のさらなる向上を図ることができる。このように、グロス調の部位に加え、マット調の部位を有する三次元造形物は、例えば、層に形成した凹部の一部について、第2のインクを付与せずに、その上側の層を形成する際に、層形成用組成物の一部を当該凹部に充填させる方法を採用することにより、好適に製造することができる。
また、前述した実施形態では、全ての層に対して、硬化部を形成するものとして説明したが、硬化部が形成されない層を有していてもよい。例えば、ステージに接触するように形成された層に対して、硬化部を形成しないものとし、犠牲層として機能させてもよい。このような犠牲層を設けることにより、凹部の形成時に、ステージや切削に用いる切削具(エンドミル等)等に損傷、破損等が発生することをより効果的に防止することができる。
また、前述した実施形態では、凹部を、層の厚さ方向に貫通する孔部として形成する場合について中心的に説明したが、凹部は、層の厚さ方向の一部のみに設けられたものであり、層の厚さ方向に貫通しないもの(底部を有するもの)であってもよい。
また、本発明は、少なくとも一部の層について、複数回行う層形成工程の間に、中間工程として、層の厚さ方向に凹部を形成するものであればよく、複数回行う層形成工程の間に、凹部の形成以外の加工を施してもよい。例えば、層の外表面の一部や、層上に存在するインクの硬化物(仮硬化物を含む)を除去する処理を行ってもよい。これにより、当該層の外表面(上面)の平滑性を優れたものとすることができ、層の厚みのばらつきによる寸法精度の低下(特に、厚みのばらつきが累積されることによる寸法精度の低下)を効果的に防止することができ、最終的に得られる三次元造形物の寸法精度をより優れたものとすることができる。このような加工は、例えば、前述した凹部の形成で説明したのと同様の手段により行うことができる。また、このような加工は、いかなるタイミングで行うものであってもよいが、凹部形成工程と同一工程において行うのが好ましい。これにより、三次元造形物の生産性をより優れたものとしつつ、三次元造形物の寸法精度をより優れたものとすることができる。
また、本発明の三次元造形物の製造方法においては、全ての工程を同一の装置を用いて行う必要はなく、例えば、三次元造形物の製造方法の工程のうちの一部(例えば、不要部除去工程)は、他の装置を用いて行ったり、手作業で行ってもよい。
また、本発明の製造方法においては、必要に応じて、前処理工程、中間処理工程、後処理工程を行ってもよい。
前処理工程としては、例えば、ステージの清掃工程等が挙げられる。
後処理工程としては、例えば、洗浄工程、形状調整工程、着色工程、被覆層形成工程、未硬化の硬化性樹脂を確実に硬化させるための紫外線照射処理を行う硬化完了工程等が挙げられる。
10…三次元造形物
1…層
11…組成物(層形成用組成物)
121…第1のインク(実体部形成用インク、結着液)
131’…仮硬化部(第1の仮硬化部)
131…第1の硬化部(本硬化部、コア部)
122…第2のインク(実体部形成用インク、表面層形成用インク)
132’…仮硬化部(第2の仮硬化部)
132…第2の硬化部(本硬化部、表面層)
15…凹部(孔部)
17…犠牲層形成用インク(第3のインク)
18…犠牲層
19…不要部
100…三次元造形物製造装置
2…制御部
21…コンピューター
22…駆動制御部
3…層形成用組成物供給部
4…層形成部
41…ステージ
42…スキージー(平坦化手段)
43…ガイドレール
44…層形成用組成物仮置部
45…側面支持部(枠体)
5…キャリッジ
6…紫外線照射手段(硬化手段)
61…第1の紫外線照射手段(仮硬化手段)
62…第2の紫外線照射手段(本硬化手段)
7…凹部形成手段
9…現像部
91…窓部
92…取出し部(取出し口)
93…シャッター
40…除去液付与手段
50…加熱手段

Claims (15)

  1. 層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、
    粒子を含む層形成用組成物を用いて前記層を形成する層形成工程と、
    前記層にインクを付与するインク付与工程とを含む一連の工程を繰り返し行うものであり、
    複数の前記層のうち少なくとも一部について、先に形成された前記層である第1の層上に、新たな前記層である第2の層を積層するのに先立ち、前記第1の層に対し、厚さ方向に凹部を形成する凹部形成工程と、前記凹部内にインクを付与する工程とを有することを特徴とする三次元造形物の製造方法。
  2. 前記凹部は、前記層の厚さ方向に貫通する孔部である請求項1に記載の三次元造形物の製造方法。
  3. 前記第1の層に対する前記凹部形成工程に先立って、前記第1の層に対して行う工程として、前記第1の層に第1のインクを付与する第1のインク付与工程と、前記第1のインクを固化させる第1のインク固化工程とを有し、
    前記第1の層に対する前記凹部形成工程の後に、前記第1の層に対して行う工程として、前記凹部内に第2のインクを付与する第2のインク付与工程と、前記第2のインクを固化させる第2のインク固化工程とを有する請求項1または2に記載の三次元造形物の製造方法。
  4. 前記第1のインクは、硬化性樹脂を含む硬化性インクである請求項3に記載の三次元造形物の製造方法。
  5. 前記凹部形成工程は、前記凹部が形成される前記層中に含まれる前記硬化性樹脂に対して仮硬化処理を施した後に行うものであり、
    当該凹部形成工程の後に、前記仮硬化処理が施された前記硬化性樹脂に対し、本硬化処理を行う請求項4に記載の三次元造形物の製造方法。
  6. 前記第2のインクは、硬化性樹脂を含む硬化性インクである請求項3ないし5のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  7. 前記硬化性インクは、前記硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を含むものである請求項4ないし6のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  8. 前記層形成用組成物は、前記粒子を仮固定する機能を有するバインダーを含むものである請求項1ないし7のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  9. 前記凹部形成工程において、前記インクが付与された部位を含む領域に前記凹部を形成する請求項1ないし8のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  10. 前記凹部形成工程は、切削により行うものである請求項1ないし9のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  11. 前記凹部形成工程は、エンドミルを用いて行うものである請求項10に記載の三次元造形物の製造方法。
  12. 前記凹部内に、前記三次元造形物の実体部の形成に用いる実体部形成用インクとともに、前記実体部と接触する犠牲層を形成するための犠牲層形成用インクを付与する請求項1ないし11のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  13. 層を積層することにより三次元造形物を製造する三次元造形物製造装置であって、
    粒子を含む層形成用組成物が付与され、前記層が形成、積層されるステージと、
    前記層にインクを付与するインク付与手段と、
    前記層に対し、厚さ方向に凹部を形成する凹部形成手段とを有し、
    前記インク付与手段として、前記凹部に前記インクを付与するものを有することを特徴とする三次元造形物製造装置。
  14. 請求項1ないし12のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする三次元造形物。
  15. 請求項13に記載の三次元造形物製造装置を用いて製造されたことを特徴とする三次元造形物。
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