JP2016132102A - 三次元造形物の製造方法、三次元造形物製造装置および三次元造形物 - Google Patents

三次元造形物の製造方法、三次元造形物製造装置および三次元造形物 Download PDF

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Abstract

【課題】寸法精度、機械的強度に優れた三次元造形物を優れた生産性で製造することができる三次元造形物の製造方法、三次元造形物製造装置を提供すること、また、前記三次元造形物の製造方法、前記三次元造形物製造装置を用いて製造された、寸法精度、機械的強度に優れた三次元造形物を提供すること。【解決手段】本発明の三次元造形物の製造方法は、層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、粒子および溶剤を含む層形成用組成物を用いて前記層を形成する層形成工程と、前記層から前記溶剤を除去する溶剤除去工程と、前記粒子を結合し結合部を形成する結合部形成工程とを有し、前記溶剤除去工程において、前記層の外表面と加熱手段とを離間した状態で対向させ、前記層と前記加熱手段との間の空間に開口する排気口から排気することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、三次元造形物の製造方法、三次元造形物製造装置および三次元造形物に関する。
粉末(粒子)を含む組成物を用いて材料層(単位層)を形成し、これらを積層することにより、三次元造形物を造形する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、次のような操作を繰り返すことによって三次元造形物を造形する。まず、粉末を均一な厚さで薄く敷き詰めて材料層を形成し、この材料層の所望部分のみにおいて、選択的に粉末同士を結合させ結合部を形成する。この結果、粉末同士が結合した結合部に薄い板状の部材(以下、「断面部材」という)が形成される。その後、その材料層の上にさらに材料層を薄く形成し、所望部分のみにおいて、選択的に粉末同士を結合させ結合部を形成する。その結果、新たに形成された材料層にも、新たな断面部材が形成される。このとき、新たに形成された断面部材は、先に形成された断面部材にも結合される。このような操作を繰り返して、薄い板状の断面部材(結合部)を一層ずつ積層することによって、三次元造形物を造形することができる。
また、本発明者は、粉末(粒子)を溶剤に分散させた組成物(層形成用組成物)を用いることにより、組成物の流動性が向上し、平坦性の高い層を好適に形成することができることを見出していた。
しかしながら、溶剤を含む層形成用組成物を用いて層を形成した場合、粒子を結合して結合部を形成する際に前記溶剤が残存していると、形成される結合部の寸法精度が低下したり、結合部における粒子の結合強度が低下し、三次元造形物の機械的強度が低下する等の問題があった。
特開2003−53847号公報
本発明の目的は、寸法精度、機械的強度に優れた三次元造形物を優れた生産性で製造することができる三次元造形物の製造方法を提供すること、寸法精度、機械的強度に優れた三次元造形物を優れた生産性で製造することができる三次元造形物製造装置を提供すること、また、前記三次元造形物の製造方法、前記三次元造形物製造装置を用いて製造された、寸法精度、機械的強度に優れた三次元造形物を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の三次元造形物の製造方法は、層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、
粒子および溶剤を含む層形成用組成物を用いて前記層を形成する層形成工程と、
前記層から前記溶剤を除去する溶剤除去工程と、
前記粒子を結合し結合部を形成する結合部形成工程とを有し、
前記溶剤除去工程において、前記層の外表面と加熱手段とを離間した状態で対向させ、前記層と前記加熱手段との間の空間に開口する排気口から排気することを特徴とする。
これにより、寸法精度、機械的強度に優れた三次元造形物を優れた生産性で製造することができる三次元造形物の製造方法を提供することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記溶剤除去工程を、前記層が載置されたステージと、当該ステージの外周に配された枠体と、前記加熱手段とによって、前記空間の前記排気口以外を密閉した状態で行うものであることが好ましい。
これにより、三次元造形物を製造する装置の構成を簡易なものとしつつ、層から溶剤を除去する際に、層と加熱手段との間に密閉空間を好適に形成することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記枠体は、前記層に対して、上下方向に相対的に移動可能なものであることが好ましい。
これにより、三次元造形物を製造する装置の構成を簡易なものとしつつ、層から溶剤を除去する際に、層と加熱手段との間に密閉空間をより好適に形成することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、nを1以上の整数とした場合において、n番目の前記層を形成する際の状態を第1の状態、前記n番目の前記層から前記溶剤を除去する際の状態を第2の状態としたとき、前記ステージの高さを基準としたときの前記枠体の高さは、前記第1の状態よりも前記第2の状態のほうが高いものであることが好ましい。
これにより、層から溶剤を除去する際に、層と加熱手段との間に密閉空間を好適に形成することができる。また、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができる。また、層の不本意な変形等を生じにくいため、最終的に得られる三次元造形物の寸法精度をより確実に優れたたものとすることができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記n番目の前記層に対して、前記結合部を形成する際の状態を第3の状態としたとき、前記ステージの高さを基準としたときの前記枠体の高さは、前記第2の状態よりも前記第3の状態のほうが低いものであることが好ましい。
これにより、より高い寸法精度を有する三次元造形物をより優れた生産性で製造することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記結合部形成工程は、インクジェット法を用いて結着液を付与することにより行うものであることが好ましい。
これにより、結着液の付与パターンが微細な形状のものであっても再現性よく結着液を付与することができ、微細な構造を有する三次元造形物であっても、より生産性良く製造することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記溶剤の沸点をTbp[℃]としたとき、前記加熱手段による加熱温度は、(Tbp−50)℃以上(Tbp−2)℃以下であることが好ましい。
これにより、層からの溶剤の急激な揮発(突沸等)をより確実に防止し、形成される層の平坦性をより高いものとしつつ、溶剤の除去効率をより優れたものとすることができ、三次元造形物の生産性をより優れたものとすることができる。
本発明の三次元造形物製造装置は、粒子および溶剤を含む層形成用組成物を用いて、層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物製造装置であって、
前記組成物が付与され、前記層が形成されるステージと、
前記層に対向し離間した状態で前記層を加熱する加熱手段と、
前記層と前記加熱手段との間の空間から排気する排気手段と、
前記粒子を結合し結合部を形成する結合部形成手段とを有することを特徴とする。
これにより、寸法精度、機械的強度に優れた三次元造形物を優れた生産性で製造することができる三次元造形物製造装置を提供することができる。
本発明の三次元造形物は、本発明の三次元造形物の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、寸法精度、機械的強度に優れた三次元造形物を提供することができる。
本発明の三次元造形物は、本発明の三次元造形物製造装置を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、寸法精度、機械的強度に優れた三次元造形物を提供することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法の好適な実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の三次元造形物の製造方法の好適な実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の三次元造形物の製造方法の好適な実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の三次元造形物製造装置の好適な実施形態を模式的に示す断面図である。
以下、添付する図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細な説明をする。
《三次元造形物の製造方法》
まず、本発明の三次元造形物の製造方法について説明する。
図1、図2、図3は、本発明の三次元造形物の製造方法の好適な実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。
図1、図2、図3に示すように、本実施形態の製造方法は、粒子および溶剤を含む組成物(層形成用組成物)11を用いて、所定の厚さを有する層1を形成する層形成工程(1a、1e)と、層1から溶剤を除去する溶剤除去工程(層加熱工程)(1b、1f)と、インクジェット法により、層1に対し、結着液12を付与する結着液付与工程(1c、1g)と、層1に付与された結着液12中に含まれる結合剤を硬化させ、粒子を結合させることにより、層1中に硬化部(結合部)13を形成する硬化工程(1d、1h)とを有し、これらの工程を順次繰り返し行い(1i)、さらに、その後に、各層1を構成する粒子のうち、結合剤により結合していないものを除去する未結合粒子除去工程(1j)を有している。
以下、各工程について説明する。
≪層形成工程≫
層形成工程では、粒子および溶剤を含む組成物(層形成用組成物)11を用いて、所定の厚さを有する層1を形成する(1a、1e)。
組成物11が粒子を含むものであることにより、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度等を優れたものとすることができる。
また、組成物11が粒子に加え溶剤を含むものであることにより、例えば、組成物11をペースト状のものとすることができ、組成物11の流動性を高め層1形成時の作業性を向上させることができるとともに、表面の平坦性の高い層1を容易かつ確実に形成することができる。また、層1形成時等における粉末(粒子)の不本意な飛散等を効果的に防止することができる。
前記溶剤は、粒子を分散する機能を有するもの(分散媒として機能するもの)であればいかなるものであってもよいが、水系溶剤であるのが好ましい。
水系溶剤は、一般に適度な揮発性を有しているため、層形成工程における作業性(作業のしやすさ、作業効率)をより優れたものとしつつ、最終的に得られる三次元造形物10中に溶剤が不本意に残存することをより確実に防止することができる。
また、水系溶剤は、水素結合等により、分子間の結合力が強く、溶剤除去工程(層加熱工程)において、層1からの溶剤分子(水系溶剤)の除去に伴い、層1の内部(深部)に存在する溶剤分子も層1の外部に移動する効果が非水系の溶剤に比べて強く表れる。したがって、水系溶剤を用いることにより、層1中に溶剤が不本意に残存することをより効果的に防止することができる。
また、水系溶剤は、一般に安全性が高い。このため、三次元造形物10の製造時における作業者の安全を図る上でも好ましい。
なお、本発明において、水系溶剤とは、水または水との親和性の高い液体のことをいい、具体的には、25℃における水100gに対する溶解度が、50g以上のもののことをいう。
以下の説明では、組成物11が水系溶剤を含むものである場合について中心的に説明する。
なお、組成物(層形成用組成物)11については、後に詳述する。
本工程では、平坦化手段を用いて、層1を表面が平坦化されたものとして形成する。
1回目の層形成工程では、ステージ41の表面に所定の厚さで層1を形成する(1a)。このとき、ステージ41の側面と側面支持部45とが密着(当接)した状態となっており、ステージ41と側面支持部45との間から、組成物11が落下することが防止されている。
2回目以降の層形成工程では、先の工程で形成された層1(第1の層)の表面に新たな層1(第2の層)を形成する(1e)。このとき、ステージ41上の層1(ステージ41上に複数の層1がある場合には、少なくとも最も上側に設けられた層1)の側面と側面支持部45とが密着(当接)した状態となっており、ステージ41とステージ41上の層1との間から、組成物11が落下することが防止されている。
本工程における組成物11の粘度(E型粘度計(例えば、東京計器社製 VISCONIC ELD等)を用いて測定される値)は、500mPa・s以上60000mPa・s以下であるのが好ましく、1000mPa・s以上20000mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、形成される層1における不本意な膜厚のばらつきの発生をより効果的に防止することができる。
本工程で形成する層1の厚さは、特に限定されないが、例えば、5μm以上500μm以下であるのが好ましく、10μm以上100μm以下であるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の生産性を十分に優れたものとしつつ、製造される三次元造形物10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物10の寸法精度をより優れたものとすることができる。また、溶剤除去工程(層加熱工程)における溶剤の除去も短時間で効率よく行うことができ、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度をより優れたものとすることができる。
≪溶剤除去工程(層加熱工程)≫
層形成工程で層1を形成した後、層1中に含まれる溶剤を除去する(1b、1f)。
特に、本工程では、層1の外表面と加熱手段7とを離間した状態で対向させ、層1と加熱手段7との間の空間(間隙)9を密閉状態として、当該空間9から排気(吸引)する。
これにより、最終的に得られる三次元造形物10中の溶剤の含有率を確実に低いものとすることができ、粒子と結合剤との結合力をより高いものとすることができる。また、粒子間の溶剤が存在していた領域に隙間(空隙)を確実に形成することができ、後の結着液付与工程で当該隙間(空隙)に結着液を好適に浸透させることができる。また、溶剤除去時に、層1と加熱手段7との間に空間(間隙)9を設けて、層1の外表面が他の部材と非接触の状態とすることにより、層1の構成成分(特に、粒子)が前記部材に付着すること等による層1の乱れを効果的に防止することができる。以上のようなことから、三次元造形物10の寸法精度、機械的強度を確実に優れたものとすることができる。また、効率よく溶剤を除去することができるため、三次元造形物10の生産性を優れたものとすることができる。また、層1から揮発した溶剤が拡散してしまうことを防止することができ、例えば、三次元造形物10を製造する装置に揮発した溶剤が付着(例えば、結露等)し、装置の構成部材に悪影響が及ぶことをより確実に防止することができる。
なお、本発明において、密閉とは、対象となる空間に含まれる気体が、無制限な拡散をすることが防止された状態のことを指し、必ずしも、空間を隙間なく閉じた状態でなくてもよい。例えば、密閉された空間には、当該空間から排気する排気部と、当該空間内に所定の方向性で気流が生じるように気体を導入する気体導入部とが設けられていてもよい。
層1と加熱手段7との間の空間を密閉状態とする方法は特に限定されないが、本実施形態では、本工程を、層1が載置されたステージ41と、ステージ41の外周に配された枠体(側面支持部)45と、加熱手段7とによって、空間9を密閉した状態で行う。
これにより、三次元造形物10を製造する装置の構成を簡易なものとしつつ、層1から溶剤を除去する際に、層1と加熱手段7との間に密閉空間を好適に形成することができる。
本工程における空間9の高さ(層1の外表面と加熱手段7の表面との間隔)は、0.1mm以上20mm以下であるのが好ましく、5mm以上10mm以下であるのがより好ましい。
これにより、層1の不本意な変形等を確実に防止しつつ、層1からの溶剤の除去効率をより優れたものとすることができる。
空間9を形成する部材(本実施形態では、ステージ41、枠体45および加熱手段7)のうちの少なくとも一部には、溶剤除去工程において、空間9内に外部から気体を導入する気体導入部(図示せず)が設けられていてもよい。これにより、空間9内での気体の移動をより円滑なものとすることができ、層1からの溶剤の除去効率をより優れたものとすることができ、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。特に、加熱手段に気体流入部(気体流入孔)が設けられていると、加熱手段7により加熱された気体を、溶剤を含む層1に効率よく供給することができ、層1からの溶剤の除去効率を特に優れたものとすることができる。
枠体45は、層1に対して、上下方向に相対的に移動可能なものである。
これにより、三次元造形物10を製造する装置の構成を簡易なものとしつつ、層1から溶剤を除去する際に、層1と加熱手段7との間に密閉空間をより好適に形成することができる。
本実施形態では、ステージ41の高さに対する枠体45の相対的な高さを、所定の層1を形成する層形成工程よりも、当該層1中に含まれる溶剤を除去する溶剤除去工程において、高いものとする。すなわち、nを1以上の整数とした場合において、n番目の層1を形成する際の状態を第1の状態(図1中の(1a)、図2中の(1e)参照)、前記n番目の層1から溶剤を除去する際の状態を第2の状態(図1中の(1b)、図2中の(1f)参照)としたとき、ステージ41の高さを基準としたときの枠体45の高さは、第1の状態よりも第2の状態のほうが高いものである。
これにより、層1から溶剤を除去する際に、層1と加熱手段7との間に密閉空間を好適に形成することができる。また、三次元造形物10を製造する装置の構成部材の、前記密閉空間を形成するために移動する移動量を少ないものとすることができ、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。また、層1の不本意な変形等を生じにくいため、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度をより確実に優れたたものとすることができる。
本実施形態では、ステージ41の高さに対する枠体45の相対的な高さを、所定の層1中に含まれる溶剤を除去する溶剤除去工程よりも、当該層1に結合部13を形成する結合部形成工程(結着液付与工程)において、低いものとする。すなわち、n番目の層1に対して、結合部13を形成する際(結着液12を付与する際)の状態を第3の状態(図1中の(1c)、図2中の(1g)参照)としたとき、ステージ41の高さを基準としたときの枠体45の高さは、第2の状態よりも第3の状態のほうが低いものである。
これにより、層1から溶剤を除去する際に、層1と加熱手段7との間に密閉空間を好適に形成することができる。また、三次元造形物10を製造する装置の構成部材の、前記密閉空間を形成するために移動する移動量を少ないものとすることができ、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。また、層1の不本意な変形等をより効果的に防止しつつ、層1からの溶剤の除去効率をより優れたものとすることができるとともに、結着液12を付与する際の位置精度を特に優れたものとすることができ、形成すべき結合部13の精度を特に優れたものとすることができる。したがって、より高い寸法精度を有する三次元造形物10をより優れた生産性で製造することができる。
層1と加熱手段7との間の空間9(密閉空間)から排気する方法は、特に限定されないが、本実施形態では、ステージ41に設けられた孔部411および枠体45に設けられた孔部451から、吸引をすることにより行う。
これにより、層1の不本意な変形(例えば、層1からの粒子の不本意な離脱等による変形等)をより効果的に防止しつつ、層1からの溶剤の除去をさらに効率よく行うことができ、三次元造形物10の寸法精度、生産性をさらに優れたものとすることができる。
特に、溶剤を含む層1(溶剤が除去されるべき層1)の外表面とは反対の面側に配されたステージ41の孔部411から排気をすることにより、加熱手段により加熱された気体を層1の内部に効率よく導入することができ、溶剤除去の効率をより優れたものとすることができる。
また、溶剤を含む層1(溶剤が除去されるべき層1)の側面側に配された枠体45の孔部451から排気をすることにより、また、層1の積層数が多い場合や、溶剤除去処理が施されるべき層1の下面側に設けられた層1に形成された結合部13の面積が比較的大きいものである場合等であっても、効率よく溶剤除去を行うことができる。
孔部411および孔部451は、その大きさ(径)が層1を構成する粒子の大きさ(径)よりも小さいものである。
ステージ41に設けられた孔部411を介した吸引の条件、枠体45に設けられた孔部451を介した吸引の条件は、適宜調整してもよい。例えば、溶剤除去工程の初期の段階では、ステージ41に設けられた孔部411を介した吸引をし、その後、ステージ41に設けられた孔部411を介した吸引を行いつつ、枠体45に設けられた孔部451を介した吸引を行うように制御してもよい。
これにより、層1の不本意な変形(例えば、層1の外周部側への粒子の不本意な移動等)をより効果的に防止しつつ、層1からの溶剤の除去をさらに効率よく行うことができ、三次元造形物10の寸法精度、生産性をさらに優れたものとすることができる。
また、例えば、ステージ41上に形成された層1の数(積層数)に応じて、吸引力を調整してもよい。より具体的には、例えば、ステージ41上に形成された層1の数が少ない場合に比べて、ステージ41上に形成された層1の数が多い場合には、ステージ41に設けられた孔部411を介した吸引力を大きいものとしてもよい。これにより、最上面に設けられた層1から溶剤を除去する際の当該最上面に設けられた層1に加わる吸引力が、ステージ41上に形成された層1の数(積層数)によってばらつくことを効果的に防止することができる。その結果、積層数によらず、安定した条件で、溶剤の除去を行うことができる。
なお、複数の層1が積層されている場合でも、層1中に含まれる粒子間の空隙の存在により、孔部411を介した吸引を安定的に行うことができる。
また、本実施形態において、加熱手段7は、層1と全面に対向するように設けられたものである。
これにより、層1全体から効率よく溶剤を除去することができ、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができ、また、製造される三次元造形物10の信頼性をより優れたものとすることができる。
加熱手段7による加熱温度は、特に限定されないが、溶剤の沸点をTbp[℃]としたとき、(Tbp−50)℃以上(Tbp−2)℃以下であるのが好ましく、(Tbp−30)℃以上(Tbp−5)℃以下であるのがより好ましい。
これにより、層1からの溶剤の急激な揮発(突沸等)をより確実に防止し、形成される層1の平坦性をより高いものとしつつ、溶剤の除去効率をより優れたものとすることができ、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。
加熱手段7による加熱時間は、特に限定されないが、0.2秒以上120秒以下であるのが好ましく、0.5秒以上90秒以下であるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の生産性をより優れたものとしつつ、本工程後における層1中の溶剤の含有率をより低いものとすることができ、三次元造形物10の信頼性をより優れたものとすることができる。
本工程(溶剤除去工程)の終了後、層1と加熱手段7との間の空間9の密閉状態を解除するのに先立って、空間9からの排気を停止するのが好ましい。
これにより、層1と加熱手段7との間の空間9の密閉状態を解除する際に、層1の不本意な変形を効果的に防止することができる。
≪結着液付与工程≫
次に、当該層1に対し、層1を構成する粒子を結合するための結着液12を付与する(1c、1g)。
本工程では、溶剤が除去された層1のうち三次元造形物10の実部(実体のある部位)に対応する部位にのみ、選択的に結着液12を付与する。
これにより、層1を構成する粒子同士を強固に結合させ、最終的に所望の形状の結合部(硬化部)13を形成することができる。また、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度を優れたものとすることができる。
特に、溶剤が除去された層1に対して、結着液12を付与するため、層1を構成する粒子間の隙間に結着液12を好適に浸透させることができ、目的とするパターンを容易かつ確実に形成することができる。
また、本実施形態では、層1に対する結着液12の付与を、インクジェット法により行う。
これにより、結着液12の付与パターンが微細な形状のものであっても再現性よく結着液12を付与することができる。その結果、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度をより高いものとすることができる。
また、結着液12は、粒子を結合する機能を有する結合剤を含むものであればよいが、本実施形態では、結合剤として硬化性樹脂を含むものであり、特に、結合剤として光硬化性樹脂(特に、紫外線硬化性樹脂)を含むものであるのが好ましい。
これにより、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度や、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。また、結着液12の保存安定性、三次元造形物10の生産コストの面からも有利である。
なお、結着液12については、後に詳述する。
≪硬化工程(結合部形成工程)≫
結着液付与工程で層1に結着液12を付与した後、層1に付与された結着液12に含まれる結合剤を硬化させ、硬化部(結合部)13を形成する(1d、1h)。
本実施形態では、結着液12は、結合剤として硬化性樹脂(重合性化合物)を含むものであり、本工程は、硬化性樹脂の種類等に応じた処理を施すことにより、硬化部(結合部)13を形成する。例えば、硬化性樹脂(重合性化合物)が熱硬化性の重合性化合物(熱硬化性樹脂)である場合、加熱により硬化させることができ、硬化性樹脂(重合性化合物)が光硬化性の重合性化合物(光硬化性樹脂)である場合、光の照射により硬化させることができる。
なお、結着液付与工程と硬化工程とは、同時進行的に行ってもよい。すなわち、1つの層1全体のパターン全体が形成される前に、結着液12が付与された部位から順次硬化反応を進行させるものであってもよい。
≪未結合粒子除去工程≫
そして、前記のような一連の工程を繰り返し行い(1i)、その後、後処理工程として、各層1を構成する粒子のうち、結合剤により結合していないもの(未結合粒子)を除去する未結合粒子除去工程(1j)を行う。これにより、三次元造形物10が取り出される。
本工程の具体的な方法としては、例えば、刷毛等で未結合粒子を払い除ける方法、未結合粒子を吸引により除去する方法、空気等の気体を吹き付ける方法、水等の液体を付与する方法(例えば、液体中に前記のようにして得られた積層体を浸漬する方法、液体を吹き付ける方法等)、超音波振動等の振動を付与する方法等が挙げられる。また、これらから選択される2種以上の方法を組み合わせて行うことができる。より具体的には、空気等の気体を吹き付けた後に、水等の液体に浸漬する方法や、水等の液体に浸漬した状態で、超音波振動を付与する方法等が挙げられる。中でも、前記のようにして得られた積層体に対し、水を含む液体を付与する方法(特に、水を含む液体中に浸漬する方法)を採用するのが好ましい。
前述したような本発明の製造方法によれば、機械的強度および寸法精度に優れた三次元造形物を優れた生産性で安定的に製造することができる。
《三次元造形物製造装置》
次に、本発明の三次元造形物製造装置について説明する。
図4は、本発明の三次元造形物製造装置の好適な実施形態を模式的に示す断面図である。
三次元造形物製造装置100は、粒子および溶剤を含む組成物(層形成用組成物)11を用いて、層1を繰り返し成形し積層することにより、三次元造形物10を製造するものである。
本実施形態の三次元造形物製造装置100は、制御部2と、粒子および溶剤を含む組成物(層形成用組成物)11を収容する組成物供給部(層形成用組成物供給部)3と、組成物供給部3から供給された組成物11を用いて層1を形成する層形成部4と、層1に対向し離間した状態で層1を加熱する加熱手段(層加熱手段)7と、層1から気化した溶剤を排気する排気手段(図示せず)と、溶剤が除去された層1に結着液12を吐出する結着液吐出部(結着液付与手段)5と、結着液12を硬化させるための紫外線を照射する紫外線照射手段(硬化手段)6とを有している。
制御部2は、コンピューター21と、駆動制御部22とを有している。
コンピューター21は、内部にCPUやメモリ等を備えて構成される一般的な卓上型コンピューター等である。コンピューター21は、三次元造形物10の形状をモデルデータとしてデータ化し、それを平行な幾層もの薄い断面体にスライスして得られる断面データ(スライスデータ)を駆動制御部22に対して出力する。
駆動制御部22は、層形成部4、層加熱手段7、結着液吐出部5、紫外線照射手段6、排気手段等をそれぞれに駆動する制御手段として機能する。具体的には、例えば、結着液吐出部5による結着液12の吐出パターンや吐出量、組成物供給部3からの組成物11の供給量、ステージ41の下降量、層加熱手段7による加熱の条件(加熱温度、押圧力等)、排気手段等を制御する。
組成物供給部3は、駆動制御部22からの指令により移動し、内部に収容された組成物11が、組成物仮置部44に供給されるように構成されている。
層形成部4は、組成物供給部3から供給された組成物11を一時的に保持する組成物仮置部44と、組成物仮置部44に保持された組成物11を平坦化しつつ層1を形成するスキージー(平坦化手段)42と、スキージー42の動作を規制するガイドレール43と、形成された層1を支持するステージ41と、ステージ41を取り囲む側面支持部(枠体)45とを有している。
先に形成された層1の上に、新たな層1を形成するのに際して、先に形成された層1を、側面支持部(枠体)45に対して相対的に下方に移動させる。これにより、新たに形成される層1の厚さが規定される。
特に、本実施形態では、ステージ41は、先に形成された層1の上に、新たな層1を形成するのに際して、駆動制御部22からの指令により所定量だけ順次下降する。このように、ステージ41がZ方向(上下方向)に移動可能に構成されていることにより、新たな層1の形成に際して、層1の厚さを調整するために移動させるべき部材の数を減らすことができるため、三次元造形物製造装置100の構成をより単純なものとすることできる。
また、層1中に含まれる溶剤を除去するのに際して、粒子および溶剤を含む組成物を用いて層1を形成する際よりも、ステージ41を、側面支持部(枠体)45に対して相対的に下方に移動させる。これにより、枠体45の上面に加熱手段7を当接させることにより、層1と加熱手段7との間に密閉空間を好適に形成することができる。
ステージ41は、表面(組成物11が付与される部位)が平坦なものである。
これにより、厚さの均一性の高い層1を容易かつ確実に形成することができる。また、製造される三次元造形物10において、不本意な変形等が生じることを効果的に防止することができる。
また、ステージ41には、厚さ方向(上下方向)に貫通する孔部411が設けられている(図1、図2、図3参照。図4中には図示せず)。
これにより、層1の不本意な変形(例えば、層1からの粒子の不本意な離脱等による変形等)をより効果的に防止しつつ、層1からの溶剤の除去をより効率よく行うことができ、三次元造形物10の寸法精度、生産性をより優れたものとすることができる。
ステージ41は、高強度の材料で構成されたものであるのが好ましい。ステージ41の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼等の各種金属材料等が挙げられる。また、ステージ41を、ステンレス鋼等の各種金属材料の焼結体で構成されたものとすることにより、例えば、ステージ41を、前述したような孔部411を有する多孔質体として好適に製造することができる。
また、ステージ41の表面(組成物11が付与される部位)には、表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、組成物11の構成材料や結着液12の構成材料がステージ41に付着してしまうことをより効果的に防止したり、ステージ41の耐久性をより優れたものとし、三次元造形物10のより長期間にわたる安定的な生産を図ったりすることができる。ステージ41の表面の表面処理に用いられる材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等が挙げられる。
スキージー42は、Y方向に延在する長手形状を有するものであり、下部先端が尖った刃状の形状を有するブレードを備えている。
ブレードのY方向の長さは、ステージ41(造形領域)の幅(Y方向の長さ)以上のものである。
なお、三次元造形物製造装置100は、スキージー42による組成物11の拡散が円滑に行えるように、ブレードに微小振動を与えるバイブレーション機構(図示せず)を備えていてもよい。
側面支持部(枠体)45は、ステージ41上に形成された層1の側面を支持する機能を有する。また、層1の形成時には、層1の面積を規定する機能も有している。また、層1からの溶剤除去時には、層1と加熱手段7との間の空間を密閉状態とする側面部として機能する。
また、枠体45には、孔部451が設けられている(図1、図2、図3参照。図4中には図示せず)。
これにより、層1の不本意な変形(例えば、層1からの粒子の不本意な離脱等による変形等)をより効果的に防止しつつ、層1からの溶剤の除去をより効率よく行うことができ、三次元造形物10の寸法精度、生産性をより優れたものとすることができる。
側面支持部(枠体)45は、高強度の材料で構成されたものであるのが好ましい。側面支持部(枠体)45の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼等の各種金属材料等が挙げられる。また、側面支持部(枠体)45を、ステンレス鋼等の各種金属材料の焼結体で構成されたものとすることにより、側面支持部(枠体)45を、前述したような孔部451を有する多孔質体として好適に製造することができる。
また、側面支持部45の表面(組成物11と接触しうる部位)には、表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、組成物11の構成材料や結着液12の構成材料が側面支持部45に付着してしまうことをより効果的に防止したり、側面支持部45の耐久性をより優れたものとし、三次元造形物10のより長期間にわたる安定的な生産を図ったりすることができる。また、先に形成された層1を側面支持部45に対して相対的に下方に移動させる際に、層1に不本意な乱れが生じることを効果的に防止することができる。その結果、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度、信頼性をより優れたものとすることができる。側面支持部45の表面の表面処理に用いられる材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等が挙げられる。
加熱手段(層加熱手段)7は、層1に対向し離間した状態で層1に加熱処理(層加熱処理)を施すものである。
このような加熱手段7を備えることにより、最終的に得られる三次元造形物10中の溶剤の含有率を確実に低いものとすることができ、粒子と結合剤との結合力をより高いものとすることができる。また、粒子間の溶剤が存在していた領域に隙間(空隙)を確実に形成することができ、加熱処理によって溶剤が除去された層1に結着液12を付与した際に結着液12を当該隙間(空隙)に好適に浸透させることができる。また、溶剤除去時に、加熱手段7と層1とを離間状態(非接触状態)とすることにより、層1を構成する粒子が不本意に移動することを効果的に防止することができる。以上のようなことから、三次元造形物10の寸法精度、機械的強度を確実に優れたものとすることができる。また、効率よく溶剤を除去することができるため、三次元造形物10の生産性を優れたものとすることができる。
また、本実施形態において、加熱手段7は、平面視した際に、ステージ41の面積(層1が設けられる部位の面積)以上の面積を有するものであり、ステージ41上に設けられた層1と全面に対向することができるものである。
これにより、層1全体から効率よく溶剤を除去することができ、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができ、また、製造される三次元造形物10の信頼性をより優れたものとすることができる。
加熱処理の条件は、例えば、図示しないセンサーにより層1の温度や、層1中の溶剤の含有率、層1の近傍の雰囲気に含まれる溶剤成分の含有率等を検出し、その検出結果に基づいて、制御してもよい。また、タイマーにより、加熱条件の変更を行ってもよい。
排気手段は、層1から気化した溶剤を排気する機能を有するものである。
このような排気手段を有することにより、層1からの溶剤の除去を促進することができ、三次元造形物10の生産性を優れたものとすることができる。また、層1から揮発した溶剤が三次元造形物製造装置100内の不本意な部位(例えば、結着液付与手段5やステージ41が収容された空間の壁面等)に結露(凝縮)することを防止することができ、三次元造形物10の製造を安定的に行うことができるとともに、三次元造形物製造装置100の構成部材の劣化等を防止することができる。
特に、層1と加熱手段7との間の空間9を密閉状態として、当該空間9から排気することにより、層1から揮発した溶剤が拡散してしまうことを防止することができ、例えば、三次元造形物10を製造する装置に揮発した溶剤が付着(例えば、結露等)し、装置の構成部材に悪影響が及ぶことをより確実に防止することができる。
また、排気手段は、加熱手段により加熱された気体が、層1の内部に導入され、溶剤を含む層1の外表面とは反対の面側から、溶剤を含む気体を排気するように構成されている。
このような構成であることにより、溶剤をより効率よく除去することができ、製造される三次元造形物10中の溶剤の含有率を確実に低いものとすることができ、三次元造形物10の機械的強度、寸法精度を特に優れたものとすることができる。
なお、三次元造形物製造装置100は、排気手段により排気された気体からは当該気体中に含まれる溶剤を液化(凝縮)させ回収する回収手段を備えるものであってもよい。
結着液付与手段(結着液吐出部)5は、図示しない結着液収容部から供給された結着液12を、層1に付与するものである。
結着液吐出部(結着液付与手段)5は、駆動制御部22からの指令により、各層1において形成すべきパターンに応じて結着液12の付与パターン等が制御されている。
本実施形態では、結着液付与手段5が、インクジェット法により結着液12を吐出する結着液吐出部である。
これにより、微細なパターンで結着液12を付与することができ、微細な構造を有する三次元造形物10であってもより生産性良く製造することができる。
液滴吐出方式(インクジェット法の方式)としては、ピエゾ方式や、結着液12を加熱して発生した泡(バブル)により結着液12を吐出させる方式等を用いることができるが、結着液12の構成成分の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
紫外線照射手段(硬化手段)6は、層1に付与された結着液12を硬化させるための紫外線を照射するものである。
前述したような本発明の三次元造形物製造装置によれば、機械的強度および寸法精度に優れた三次元造形物を優れた生産性で安定的に製造することができる。
<組成物(層形成用組成物)>
次に、本発明の三次元造形物の製造に用いる組成物(層形成用組成物)11について詳細に説明する。
組成物(層形成用組成物)11は、少なくとも、複数個の粒子を含む三次元造形用粉末と、当該粒子を分散する溶剤とを含むものである。
(三次元造形用粉末(粒子))
三次元造形用粉末を構成する粒子の構成材料としては、例えば、無機材料や有機材料、これらの複合体等が挙げられる。
粒子を構成する無機材料としては、例えば、各種金属や金属化合物等が挙げられる。金属化合物としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコン、酸化錫、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム等の各種金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の各種金属水酸化物;窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミニウム等の各種金属窒化物;炭化珪素、炭化チタン等の各種金属炭化物;硫化亜鉛等の各種金属硫化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の各種金属の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の各種金属の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等の各種金属のケイ酸塩;リン酸カルシウム等の各種金属のリン酸塩;ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム等の各種金属のホウ酸塩や、これらの複合化物等が挙げられる。
粒子を構成する有機材料としては、例えば、合成樹脂、天然高分子等が挙げられ、より具体的には、ポリエチレン樹脂;ポリプロピレン;ポリエチレンオキサイド;ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン;ポリスチレン;ポリウレタン;ポリウレア;ポリエステル;シリコーン樹脂;アクリルシリコーン樹脂;ポリメタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとする重合体;メタクリル酸メチルクロスポリマー等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとするクロスポリマー(エチレンアクリル酸共重合樹脂等);ナイロン12、ナイロン6、共重合ナイロン等のポリアミド樹脂;ポリイミド;カルボキシメチルセルロース;ゼラチン;デンプン;キチン;キトサン等が挙げられる。
中でも、粒子は、金属酸化物で構成されたものであるのが好ましく、シリカで構成されたものであるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の機械的強度、耐光性等の特性をより優れたものとすることができる。
また、特に、粒子がシリカで構成されたものであると、前述した効果がより顕著に発揮される。また、シリカは、それ自体の流動性にも優れており、シリカを含む組成物11の流動性をより優れたものとすることができる。これにより、厚さの均一性がより高い層1の形成に有利であるとともに、三次元造形物10の生産性、寸法精度をより優れたものとする上でも有利である。
粒子は、疎水化処理等の表面処理が施されたものであってもよい。
粒子に施された疎水化処理としては、粒子(母粒子)の疎水性を高める処理であればいかなるものであってもよいが、炭化水素基を導入するものであるのが好ましい。
これにより、粒子の疎水性をより高いものとすることができる。また、容易かつ確実に、各粒子や粒子表面の各部位(外部に開放する空孔を有するものである場合には、空孔内部の表面を含む)での疎水化処理の程度の均一性をより高いものとすることができる。
疎水化処理に用いる化合物としては、シリル基を含むシラン化合物が好ましい。疎水化処理に用いることのできる化合物の具体例としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、1−プロペニルメチルジクロロシラン、プロピルジメチルクロロシラン、プロピルメチルジクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、テトラデシルトリクロロシラン、3−チオシアネートプロピルトリエトキシシラン、p−トリルジメチルクロロシラン、p−トリルメチルジクロロシラン、p−トリルトリクロロシラン、p−トリルトリメトキシシラン、p−トリルトリエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブチロキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブチロキシシラン、ジ−t−ブチルジ−t−ブチロキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクタデシルメチルジエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチルクロロシラン、オクタデシルメチルジクロロシラン、オクタデシルメトキシジクロロシラン、7−オクテニルジメチルクロロシラン、7−オクテニルトリクロロシラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、オクチルメチルジクロロシラン、オクチルジメチルクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、10−ウンデセニルジメチルクロロシラン、ウンデシルトリクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、メチルオクタデシルジメトキシシラン、メチルドデシルジエトキシシラン、メチルオクタデシルジエトキシシラン、n−オクチルメチルジメトキシシラン、n−オクチルメチルジエトキシシラン、トリアコンチルジメチルクロロシラン、トリアコンチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルイソプロポキシシラン、メチル−n−ブチロキシシラン、メチルトリ−sec−ブチロキシシラン、メチルトリ−t−ブチロキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルイソプロポキシシラン、エチル−n−ブチロキシシラン、エチルトリ−sec−ブチロキシシラン、エチルトリ−t−ブチロキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、2−〔2−(トリクロロシリル)エチル〕ピリジン、4−〔2−(トリクロロシリル)エチル〕ピリジン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1,3−(トリクロロシリルメチル)ヘプタコサン、ジベンジルジメトキシシラン、ジベンジルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、フェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルメチルジメトキシシラン、ベンジルジメチルメトキシシラン、ベンジルジメトキシシラン、ベンジルジエトキシシラン、ベンジルメチルジエトキシシラン、ベンジルジメチルエトキシシラン、3−アセトキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、6−(アミノヘキシルアミノプロピル)トリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ω−アミノウンデシルトリメトキシシラン、アミルトリエトキシシラン、ベンゾオキサシレピンジメチルエステル、5−(ビシクロヘプテニル)トリエトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、8−ブロモオクチルトリメトキシシラン、ブロモフェニルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、2−クロロメチルトリエトキシシラン、クロロメチルメチルジエトキシシラン、クロロメチルメチルジイソプロポキシラン、p−(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、クロロフェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、2−(4−クロロスルフォニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、2−シアノエチルトリメトキシシラン、シアノメチルフェネチルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリメトキシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリエトキシシラン、3−シクロヘキセニルトリクロロシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリクロロシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルジメチルクロロシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルメチルジクロロシラン、シクロヘキシルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジクロロシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、(シクロヘキシルメチル)トリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロオクチルトリクロロシラン、(4−シクロオクテニル)トリクロロシラン、シクロペンチルトリクロロシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、1,1−ジエトキシ−1−シラシクロペンタ−3−エン、3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、(ジメチルクロロシリル)メチル−7,7−ジメチルノルピナン、(シクロヘキシルアミノメチル)メチルジエトキシシラン、(3−シクロペンタジエニルプロピル)トリエトキシシラン、N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(フルフリルオキシメチル)トリエトキシシラン、2−ヒドロキシ−4−(3−トリエトキシプロポキシ)ジフェニルケトン、3−(p−メトキシフェニル)プロピルメチルジクロロシラン、3−(p−メトキシフェニル)プロピルトリクロロシラン、p−(メチルフェネチル)メチルジクロロシラン,p−(メチルフェネチル)トリクロロシラン、p−(メチルフェネチル)ジメチルクロロシラン、3−モルフォリノプロピルトリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、1,2,3,4,7,7,−ヘキサクロロ−6−メチルジエトキシシリル−2−ノルボルネン、1,2,3,4,7,7,−ヘキサクロロ−6−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、3−ヨードプロピルトリメトキシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチル{2−(3−トリメトキシシリルプロピルアミノ)エチルアミノ}−3−プロピオネート、R−N−α−フェネチル−N’−トリエトキシシリルプロピルウレア、S−N−α−フェネチル−N’−トリエトキシシリルプロピルウレア、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルメチルジメトキシシラン、フェネチルジメチルメトキシシラン、フェネチルジメトキシシラン、フェネチルジエトキシシラン、フェネチルメチルジエトキシシラン、フェネチルジメチルエトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、(3−フェニルプロピル)ジメチルクロロシラン、(3−フェニルプロピル)メチルジクロロシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(トリエトキシシリルプロピル)ダンシルアミド、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、2−(トリエトキシシリルエチル)−5−(クロロアセトキシ)ビシクロヘプタン、(S)−N−トリエトキシシリルプロピル−O−メントカルバメート、3−(トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンズアミド、3−(トリエトキシシリル)プロピルサクシニック無水物、N−〔5−(トリメトキシシリル)−2−アザ−1−オキソ−ペンチル〕カプロラクタム、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、N−(トリメトキシシリルエチル)ベンジル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、フェニルビニルジエトキシシラン、3−チオシアナートプロピルトリエトキシシラン、(トリデカフロオロ−1,1,2,2,−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、N−{3−(トリエトキシシリル)プロピル}フタルアミド酸、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、1−トリメトキシシリル−2−(クロロメチル)フェニルエタン、2−(トリメトキシシリル)エチルフェニルスルホニルアジド、β−トリメトキシシリルエチル−2−ピリジン、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリブチルアンモニウムブロマイド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリブチルアンモニウムクロライド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、ビニルメチルジエトキシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルフェニルジクロロシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、ビニルフェニルジメチルシラン、ビニルフェニルメチルクロロシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリス−t−ブトキシシラン、アダマンチルエチルトリクロロシラン、アリルフェニルトリクロロシラン、3−アミノフェノキシジメチルビニルシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルジメチルクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、ベンジルトリクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ベンジルメチルジクロロシラン、フェネチルジイソプロピルクロロシラン、フェネチルトリクロロシラン、フェネチルジメチルクロロシラン、フェネチルメチルジクロロシラン、5−(ビシクロヘプテニル)トリクロロシラン、2−(ビシクロヘプチル)ジメチルクロロシラン、2−(ビシクロヘプチル)トリクロロシラン、1,4−ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、ブロモフェニルトリクロロシラン、3−フェノキシプロピルジメチルクロロシラン、3−フェノキシプロピルトリクロロシラン、t−ブチルフェニルクロロシラン、t−ブチルフェニルメトキシシラン、t−ブチルフェニルジクロロシラン、p−(t−ブチル)フェネチルジメチルクロロシラン、p−(t−ブチル)フェネチルトリクロロシラン、
1,3−(クロロジメチルシリルメチル)ヘプタコサン、((クロロメチル)フェニルエチル)ジメチルクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)メチルジクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)トリクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)トリメトキシシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリクロロシラン、2−シアノエチルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルメチルジエトキシシラン、3−シアノプロピルジメチルエトキシシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルトリクロロシラン、フッ化アルキルシラン等を挙げることができ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、ヘキサメチルジシラザンを疎水化処理に用いるのが好ましい。
これにより、粒子の疎水性をより高いものとすることができる。また、容易かつ確実に、各粒子や粒子表面の各部位(外部に開放する空孔を有するものである場合には、空孔内部の表面を含む)での疎水化処理の程度の均一性をより高いものとすることができる。
シラン化合物を用いた疎水化処理を液相で行う場合には、シラン化合物を含む液中に、疎水化処理を施すべき粒子(母粒子)を浸漬することで、好適に所望の反応を進行させることができ、シラン化合物の化学吸着膜を形成することができる。
また、シラン化合物を用いた疎水化処理を気相で行う場合には、シラン化合物の蒸気に疎水化処理を施すべき粒子(母粒子)を曝すことで、好適に所望の反応を進行させることができ、シラン化合物の化学吸着膜を形成することができる。
粒子の平均粒径は、特に限定されないが、1μm以上25μm以下であるのが好ましく、1μm以上15μm以下であるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の機械的強度をより優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物10の寸法精度をより優れたものとすることができる。また、組成物11の流動性をより優れたものとし、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。
なお、本発明において、平均粒径とは、体積基準の平均粒径を言い、例えば、サンプルをメタノールに添加し、超音波分散器で3分間分散した分散液をコールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INS製TA−II型)にて、50μmのアパチャーを用いて測定することにより求めることができる。
粒子のDmaxは、3μm以上40μm以下であるのが好ましく、5μm以上30μm以下であるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の機械的強度をより優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物10の寸法精度をより優れたものとすることができる。また、組成物11の流動性をより優れたものとし、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。
粒子の空孔率は、50%以上であるのが好ましく、55%以上90%以下であるのがより好ましい。
これにより、結合剤が入り込む空間(空孔)を十分に有するとともに、粒子自体の機械的強度を優れたものとすることができ、結果として、空孔内に結合剤が侵入してなる結合部13を有する三次元造形物10の機械的強度をより優れたものとすることができる。
なお、本発明において、粒子の空孔率とは、粒子の見かけ体積中に対する、粒子の内部に存在する空孔の割合(体積率)のことを言い、粒子の密度をρ[g/cm]、粒子の構成材料の真密度ρ[g/cm]としたときに、{(ρ−ρ)/ρ}×100で表される値である。
粒子の平均空孔径(細孔直径)が10nm以上であるのが好ましく、50nm以上300nm以下であるのがより好ましい。
これにより、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度をより優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の製造に、顔料を含む結着液(着色インク)を用いる場合において、顔料を粒子の空孔内に好適に保持することができる。このため、不本意な顔料の拡散を防止することができ、高精細な画像をより確実に形成することができる。
粒子は、いかなる形状を有するものであってもよいが、球形状をなすものであるのが好ましい。これにより、組成物11の流動性をより優れたものとし、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物10の寸法精度をより優れたものとすることができる。
組成物11は、複数種の粒子を含むものであってもよい。
組成物11中における粒子の含有率は、8質量%以上91質量%以下であるのが好ましく、10質量%以上60質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、組成物11の流動性を十分に優れたものとしつつ、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度をより優れたものとすることができる。
(溶剤)
組成物11は、粒子に加えて、溶剤を含むものである。
これにより、例えば、組成物11をペースト状のものとすることができ、組成物11の流動性を高め層1形成時の作業性を向上させることができるとともに、表面の平坦性の高い層1を容易かつ確実に形成することができる。また、層1形成時等における粉末(粒子)の不本意な飛散等を効果的に防止することができる。
特に、組成物11が、溶剤として水系溶剤を含む場合、以下のような効果が得られる。
すなわち、水系溶剤は、水との親和性が高いものであるため、後述する水溶性樹脂を好適に溶解することができる。これにより、組成物11の流動性を良好なものとすることができ、組成物11を用いて形成される層1の厚さの不本意なばらつきをより効果的に防止することができる。また、水系溶剤が除去された状態の層1を形成した際に、層1全体にわたって、より高い均一性で、水溶性樹脂を粒子に付着させることができ、不本意な組成のむらが発生するのをより効果的に防止することができる。このため、最終的に得られる三次元造形物10の各部位での機械的強度の不本意なばらつきの発生をより効果的に防止することができ、三次元造形物10の信頼性をより高いものとすることができる。
組成物11を構成する水系溶剤としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール性溶剤;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート、プロピレングリコール1−モノエチルエーテル2−アセタート等のグリコールエーテルアセテート系溶剤;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、組成物11は、水を含むものであるのが好ましい。これにより、水溶性樹脂をより確実に溶解することができ、組成物11の流動性、組成物11を用いて形成される層1の組成の均一性をより優れたものとすることができる。また、水は溶剤除去工程での除去が容易である。また、人体に対する安全性、環境問題の観点等からも有利である。
組成物11中における溶剤の含有率は、9質量%以上92質量%以下であるのが好ましく、22質量%以上89質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したような溶剤を含むことによる効果がより顕著に発揮されるとともに、三次元造形物10の製造過程において溶剤をより短時間で容易に除去することができるため、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。また、溶剤を除去した状態の層1中に、適度な割合で空隙を含ませることができ、結着液の浸透性をより優れたものとすることができ、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度、寸法精度等をより優れたものとすることができる。
水系溶剤が水を含むものである場合、水系溶剤中に占める水の割合は、80質量%以上であるのが好ましく、90質量%以上であるのがより好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
(バインダー)
組成物11は、複数個の粒子、溶剤とともに、バインダーを含むものであってもよい。
これにより、組成物11を用いて形成された層1(特に、溶剤が除去された状態の層1)において、複数個の粒子を好適に結合(仮固定)することができ、粒子の不本意な飛散等を効果的に防止することができる。これにより、作業者の安全や、製造される三次元造形物10の寸法精度のさらなる向上を図ることができる。
組成物11がバインダーを含むものである場合、組成物11において、バインダーは溶剤に溶解しているものであるのが好ましい。
これにより、組成物11の流動性をより良好なものとすることができ、組成物11を用いて形成される層1の厚さの不本意なばらつきをより効果的に防止することができる。また、溶剤が除去された状態の層1を形成した際に、層1全体にわたって、より高い均一性で、バインダーを粒子に付着させることができ、不本意な組成のむらが発生するのをより効果的に防止することができる。このため、最終的に得られる三次元造形物10の各部位での機械的強度の不本意なばらつきの発生をより効果的に防止することができ、三次元造形物10の信頼性をより高いものとすることができる。
バインダーとしては、組成物11を用いて形成された層1(特に、溶剤が除去された状態の層1)において複数個の粒子を仮固定する機能を有するものであればよいが、水溶性樹脂を好適に用いることができる。
水溶性樹脂を含むことにより、組成物11が溶剤として水系溶剤(特に、水)を含む場合に、組成物11中にバインダー(水溶性樹脂)を溶解状態で含ませることができ、組成物11の流動性、取り扱い性(取り扱いの容易性)をより優れたものとすることができる。その結果、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。
また、水溶性樹脂を含む層形成用組成物を用いて形成された層を自然乾燥させた場合等には、水溶性樹脂と水系溶剤との親和性が高いことから、層中から溶剤(水系溶剤)を十分に除去することが困難であるが、本発明では、層と加熱手段との間の空間を密閉状態として当該空間から排気することにより、結合部が形成されるべき層中の溶剤の含有率を確実に十分に低いものとすることができ、前述したような効果を確実に得ることができる。
また、三次元造形物10の製造過程において層1の結着液12が付与されなかった部位を、水系溶剤(特に、水)を付与することにより、容易かつ効率よく除去することができる。その結果、三次元造形物10の生産性をより優れたものとすることができる。また、層1の除去されるべき部位が、最終的に得られた三次元造形物10に付着、残存することを容易かつ確実に防止することができるため、三次元造形物10の寸法精度をより優れたものとすることができる。
以下、バインダーとしての水溶性樹脂について中心に説明する。
水溶性樹脂は、少なくともその一部が水系溶剤に可溶なものであればよいが、例えば、25℃における水に対する溶解度(水100gに溶解可能な質量)が5[g/100g水]以上のものであるのが好ましく、10[g/100g水]以上のものであるのがより好ましい。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリカプロラクトンジオール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリルアミド、変性ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのランダム共重合ポリマー等の合成ポリマー、コーンスターチ、マンナン、ペクチン、寒天、アルギン酸、デキストラン、にかわ、ゼラチン等の天然ポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酸化でんぷん、変性でんぷん等の半合成ポリマー等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
水溶性樹脂製品の具体例としては、例えば、メチルセルロース(信越化学社製、メトローズSM−15)、ヒドロキシエチルセルローズ(フジケミカル社製、AL−15)、ヒドロキシプロピルセルローズ(日本ソーダ社製、HPC−M)、カルボキシメチルセルローズ(ニチリン化学社製、CMC−30)、澱粉リン酸エステルナトリュウム(I)(松谷化学社製、ホスター5100)、ポリビニルピロリドン(東京化学社製、PVP K−90)、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー(GAFガントレット社製、AN−139)、ポリアクリル酸ナトリウム(東亜合成社製、アロンT−50、アロンA−210、アロンAC−103)、ポリアクリル酸アンモニウム(東亜合成社製、アロンA−30SL、アロンAS−1100、アロンAS−1800)、ポリアクリルアミド(和光純薬社製)、変性ポリアミド(変性ナイロン)(東レ社製、AQナイロン)、ポリエチレンオキサイド(製鉄化学社製、PEO−1、明成化学工業社製、アルコックス)、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのランダム共重合ポリマー(明成化学工業社製、アルコックスEP)、ポリアクリル酸ナトリウム(和光純薬社製)、カルボキシビニルポリマー/架橋型アクリル系水溶性樹脂(住友精化社製、アクペック)等が挙げられる。
中でも、バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルアルコールである場合、三次元造形物10の機械的強度をより優れたものとすることができる。また、ケン化度や重合度の調整により、バインダーの特性(例えば、水溶性、耐水性等)や組成物11の特性(例えば、粘度、粒子の固定力、濡れ性等)をより好適に制御することができる。このため、多様な三次元造形物10の製造により好適に対応することができる。また、ポリビニルアルコールは、各種水溶性樹脂の中でも、安価で、かつ、供給が安定したものである。このため、生産コストを抑制しつつ、安定的な三次元造形物10の製造を行うことができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルアルコールを含むものである場合、当該ポリビニルアルコールのケン化度は、85以上90以下であるのが好ましい。これにより、水系溶剤(特に、水)に対するポリビニルアルコールの溶解度の低下を抑制することができる。そのため、組成物11が水系溶剤(特に、水)を含むものである場合に、隣接する層1間の接着性の低下をより効果的に抑制することができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルアルコールを含むものである場合、当該ポリビニルアルコールの重合度は、300以上1000以下であるのが好ましい。これにより、組成物11が水系溶剤(特に、水)を含むものである場合に、各層1の機械的強度や隣接する層1間の接着性をより優れたものとすることができる。
また、バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルピロリドン(PVP)である場合、以下のような効果が得られる。すなわち、ポリビニルピロリドンは、ガラス、金属、プラスチック等の各種材料に対する接着性に優れているため、層1のうち結着液12が付与されない部分の強度・形状の安定性をより優れたものとし、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度をより優れたものとすることができる。また、ポリビニルピロリドンは、各種有機溶剤に対して、高い溶解性を示すため、組成物11が有機溶剤を含む場合において、組成物11の流動性をより優れたものとすることができ、不本意な厚さのばらつきがより効果的に防止された層1を好適に形成することができ、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度をより優れたものとすることができる。また、ポリビニルピロリドンは、水系溶剤(特に、水)に対しても高い溶解性を示すため、未結合粒子除去工程(造形終了後)において、各層1を構成する粒子のうち、結合剤により結合していないものを容易かつ確実に除去することができる。また、ポリビニルピロリドンは、各種着色剤との親和性に優れているため、結着液付与工程において着色剤を含む結着液12を用いた場合に、着色剤が不本意に拡散してしまうのを効果的に防止することができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルピロリドンを含むものである場合、当該ポリビニルピロリドンの重量平均分子量は、10000以上1700000以下であるのが好ましく、30000以上1500000以下であるのがより好ましい。
これにより、前述した機能をより効果的に発揮することができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリカプロラクトンジオールを含むものである場合、当該ポリカプロラクトンジオールの重量平均分子量は、10000以上1700000以下であるのが好ましく、30000以上1500000以下であるのがより好ましい。
これにより、前述した機能をより効果的に発揮することができる。
組成物11中において、バインダーは、層形成工程において、液状の状態(例えば、溶解状態、溶融状態等)をなすものであるのが好ましい。これにより、容易かつ確実に、組成物11を用いて形成される層1の厚さの均一性を、より高いものとすることができる。
組成物11がバインダーを含むものである場合、組成物11中におけるバインダーの含有率は、0.5質量%以上25質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以上10質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したようなバインダーを含むことによる効果がより顕著に発揮されるとともに、組成物11中における粒子等の含有率を十分に高いものとすることができ、三次元造形物10の生産性、製造される三次元造形物10の機械的強度等をより優れたものとすることができる。
(その他の成分)
また、組成物11は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、重合開始剤;重合促進剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤等が挙げられる。
<結着液>
次に、本発明の三次元造形物の製造に用いる結着液について詳細に説明する。
結着液12は、少なくとも結合剤を含むものである。
(結合剤)
結着液12は、結合剤として、少なくとも紫外線硬化性樹脂を含むものである。
紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)としては、紫外線照射により、光重合開始剤から生じるラジカル種またはカチオン種等により、付加重合または開環重合が開始され、重合体を生じるものが好ましく使用される。付加重合の重合様式として、ラジカル、カチオン、アニオン、メタセシス、配位重合が挙げられる。また、開環重合の重合様式として、カチオン、アニオン、ラジカル、メタセシス、配位重合が挙げられる。
付加重合性化合物としては、例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物等が挙げられる。付加重合性化合物として、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく使用できる。
エチレン性不飽和重合性化合物は、単官能の重合性化合物および多官能の重合性化合物、またはそれらの混合物の化学的形態をもつ。単官能の重合性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステル類、アミド類等が挙げられる。多官能の重合性化合物としては、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類とイソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、カルボン酸との脱水縮合反応物等も使用できる。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類またはチオール類との置換反応物も使用できる。
不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルであるラジカル重合性化合物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルが代表的であり、単官能のもの、多官能のもののいずれも用いることができる。
単官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
二官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
三官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
四官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
五官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
六官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリレート以外の重合性化合物としては、例えば、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステル等が挙げられる。
イタコン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられる。
クロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等が挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げられる。
マレイン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
その他のエステルの例としては、例えば、特公昭46−27926号公報、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報に記載のアミノ基を含有するもの等も用いることができる。
また、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドのモノマーの具体例としては、例えば、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
その他の好ましいアミド系モノマーとしては、例えば、特公昭54−21726号公報に記載のシクロへキシレン構造を有するもの等が挙げられる。
また、イソシアネートと水酸基との付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(1)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(R)COOCHCH(R)OH (1)
(ただし、式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に、HまたはCHを示す。)
本発明において、エポキシ基、オキセタン基等の環状エーテル基を分子内に1つ以上有するカチオン開環重合性の化合物を紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)として好適に用いることができる。
カチオン重合性化合物としては、例えば、開環重合性基を含む硬化性化合物等が挙げられ、中でも、ヘテロ環状基含有硬化性化合物が特に好ましい。このような硬化性化合物としては、例えば、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、環状ラクトン誘導体、環状カーボネート誘導体、オキサゾリン誘導体などの環状イミノエーテル類、ビニルエーテル類等が挙げられ、中でも、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、ビニルエーテル類が好ましい。
好ましいエポキシ誘導体の例としては、例えば、単官能グリシジルエーテル類、多官能グリシジルエーテル類、単官能脂環式エポキシ類、多官能脂環式エポキシ類等が挙げられる。
グリシジルエーテル類の具体的な化合物を例示すると、例えば、ジグリシジルエーテル類(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等)、三官能以上のグリシジルエーテル類(例えば、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等)、四官能以上のグリシジルエーテル類(例えば、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル等)、脂環式エポキシ類(例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401(以上、ダイセル化学工業(株)製))、EHPE(ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテル等)、オキセタン類(例えば、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)等)等が挙げられる。
重合性化合物としては、脂環式エポキシ誘導体を好ましく用いることができる。「脂環式エポキシ基」とは、シクロペンテン基、シクロヘキセン基等のシクロアルケン環の二重結合を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化した部分構造を言う。
脂環式エポキシ化合物としては、シクロヘキセンオキシド基またはシクロペンテンオキシド基を1分子内に2個以上有する多官能脂環式エポキシ類が好ましい。脂環式エポキシ化合物の具体例としては、例えば、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、ジ(2,3−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオキサイド等が挙げられる。
分子内に脂環式構造を有しない通常のエポキシ基を有するグリシジル化合物を、単独で使用したり、前記の脂環式エポキシ化合物と併用することもできる。
このような通常のグリシジル化合物としては、例えば、グリシジルエーテル化合物やグリシジルエステル化合物等を挙げることができるが、グリシジルエーテル化合物を併用することが好ましい。
グリシジルエーテル化合物の具体例を挙げると、例えば、1,3−ビス(2,3−エポキシプロピロキシ)ベンゼン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポシキ樹脂、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂等の芳香族グリシジルエーテル化合物、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリトリグリシジルエーテル等の脂肪族グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。グリシジルエステルとしては、例えば、リノレン酸ダイマーのグリシジルエステル等を挙げることができる。
重合性化合物としては、4員環の環状エーテルであるオキセタニル基を有する化合物(以下、単に「オキセタン化合物」ともいう。)を使用することができる。オキセタニル基含有化合物は、1分子中にオキセタニル基を1個以上有する化合物である。
結着液12中における結合剤の含有率は、80質量%以上であるのが好ましく、85質量%以上であるのがより好ましい。これにより、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度をより優れたものとすることができる。
(その他の成分)
また、結着液12は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、顔料、染料等の各種着色剤;分散剤;界面活性剤;重合開始剤;重合促進剤;溶剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤;増粘剤;フィラー;凝集防止剤;消泡剤等が挙げられる。
特に、結着液12が着色剤を含むことにより、着色剤の色に対応する色に着色された三次元造形物10を得ることができる。
特に、着色剤として、顔料を含むことにより、結着液12、三次元造形物10の耐光性を良好なものとすることができる。顔料は、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記無機顔料の中でも、好ましい白色を呈するためには、酸化チタンが好ましい。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに詳しくは、黒色(ブラック)の顔料として使用されるカーボンブラックとしては、例えば、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(以上、キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ(Degussa)社製)等が挙げられる。
白色(ホワイト)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21等が挙げられる。
黄色(イエロー)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180等が挙げられる。
紅紫色(マゼンタ)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、またはC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50等が挙げられる。
藍紫色(シアン)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー 1,2,3,15,15:1,15:2,15:3,15:34,15:4,16,18,22,25,60,65,66、C.I.バット ブルー 4,60等が挙げられる。
また、前記以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン 7,10、C.I.ピグメントブラウン 3,5,25,26、C.I.ピグメントオレンジ 1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63等が挙げられる。
結着液12が顔料を含むものである場合、当該顔料の平均粒径は、300nm以下であるのが好ましく、50nm以上250nm以下であるのがより好ましい。これにより、結着液12の吐出安定性や結着液12中における顔料の分散安定性をより優れたものとすることができるとともに、より優れた画質の画像を形成することができる。
また、染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、および塩基性染料等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
染料の具体例としては、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクトブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35等が挙げられる。
結着液12が着色剤を含むものである場合、当該結着液12中における着色剤の含有率は、1質量%以上20質量%以下であるのが好ましい。これにより、より優れた隠蔽性および色再現性が得られる。
特に、結着液12が着色剤として酸化チタンを含むものである場合、当該結着液12中における酸化チタンの含有率は、12質量%以上30質量%以下であるのが好ましく、14質量%以上25質量%以下であるのがより好ましい。これにより、より優れた隠蔽性が得られる。
結着液12が顔料を含む場合に、分散剤をさらに含むものであると、顔料の分散性をより良好なものとすることができる。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤等の顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。高分子分散剤の具体例としては、例えば、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、およびエポキシ樹脂のうち1種以上を主成分とするもの等が挙げられる。高分子分散剤の市販品としては、例えば、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、ノベオン(Noveon)社から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 36000等)、BYK社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズ等が挙げられる。
結着液12が界面活性剤を含むものであると、三次元造形物10の耐擦性をより良好なものとすることができる。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤としての、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等を用いることができ、中でも、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いるのが好ましい。界面活性剤の具体例としては、例えば、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(以上、BYK社製商品名)等を挙げられる。
また、結着液12は、溶剤を含むものであってもよい。これにより、結着液12の粘度調整を好適に行うことでき、結着液12が高粘度の成分を含むものであっても、結着液12のインクジェット方式による吐出安定性をより優れたものとすることができる。
溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、結着液12の粘度は、1mPa・s以上30mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上25mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法による結着液12の吐出安定性をより優れたものとすることができる。なお、本明細書中において、粘度とは、特に条件の指定がない限り、E型粘度計(例えば、東京計器社製 VISCONIC ELD等)を用いて25℃において測定される値をいう。
《三次元造形物》
本発明の三次元造形物は、前述したような製造方法、製造装置を用いて製造することができる。
これにより、機械的強度および寸法精度に優れた三次元造形物を提供することができる。
本発明の三次元造形物の用途は、特に限定されないが、例えば、人形、フィギュア等の鑑賞物・展示物;インプラント等の医療機器等が挙げられる。
また、本発明の三次元造形物は、プロトタイプ、量産品、オーダーメード品のいずれに適用されるものであってもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、ステージを下降させる構成について代表的に説明したが、本発明の製造方法では、例えば、側面支持部が上方に移動するように構成されていてもよい。
また、平坦化手段として、前述したようなスキージーの代わりに、ローラー等を用いてもよい。
また、本発明の三次元造形物製造装置は、組成物供給部から供給された組成物のうち層の形成に用いられなかったものを回収するための、図示しない回収機構を備えるものであってもよい。これにより、層形成部に余剰の組成物が蓄積されることを防止しつつ、十分な量の組成物を供給することができるため、層における欠陥の発生をより効果的に防止しつつ、より安定的に三次元造形物を製造することができる。また、回収した組成物を、再度、三次元造形物の製造に用いることができるため、三次元造形物の製造コストの低減に寄与することができ、また、省資源の観点からも好ましい。
また、本発明の三次元造形物製造装置は、未結合粒子除去工程で除去された組成物を回収するための回収機構を備えていてもよい。
また、図示の構成では、三次元造形物製造装置は、層の加熱を行う加熱手段(層加熱手段)として、1つの加熱手段を備えているが、複数の層加熱手段を備えていてもよい。
また、前述した実施形態では、全ての層に対して、結合部を形成するものとして説明したが、結合部が形成されない層を有していてもよい。例えば、ステージの直上に形成された層に対して、結合部を形成しないものとし、犠牲層として機能させてもよい。
また、前述した実施形態では、複数の層のそれぞれについて、個別に、層の外表面と加熱手段とを離間した状態で対向させ、層と加熱手段との間の空間を密閉状態として、当該空間から排気する溶剤除去処理を施すものとして説明したが、複数の層を積層した後に、これらの層についてまとめて溶剤除去処理を施してもよい。例えば、ステージの直上に形成された層に対しては、単独では、溶剤除去処理を施さず、その表面に2番目の層が重ね合わされた状態で、2層の積層体に対して溶剤除去処理を施してもよい。
また、前述した実施形態では、結着液付与工程をインクジェット法により行う場合について中心的に説明したが、結着液付与工程は他の方法(例えば、他の印刷方法)を用いて行うものであってもよい。
また、本発明の製造方法においては、必要に応じて、前処理工程、中間処理工程、後処理工程を行ってもよい。
前処理工程としては、例えば、ステージの清掃工程等が挙げられる。
後処理工程としては、例えば、洗浄工程、バリ取り等を行う形状調整工程、着色工程、被覆層形成工程、未硬化の結合剤を確実に硬化させるための紫外線照射処理を行う結合剤硬化完了工程等が挙げられる。
また、前述した実施形態では、平坦化手段がステージ上を移動するものとして説明したが、ステージが移動することにより、ステージとスキージーとの位置関係が変化し、平坦化がなされるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、層と加熱手段との間の密閉状態とされた空間からの排気を、層の側面方向および下面方向からの吸引により行うものとして説明したが、排気方向(吸引方向)は、このようなものに限定されず、いかなるものであってもよい。
例えば、層の側面方向および下面方向のうち一方の方向のみから排気(吸引)するものであってもよい。
また、層の上方(加熱手段が配されている面側)から排気(吸引)を行ってもよい。
また、前述した実施形態では、結着液が硬化性樹脂(重合性化合物)を含むものである場合について中心的に説明したが、結着液は、例えば、硬化性樹脂(重合性化合物)の代わりに熱可塑性樹脂を含むものであってもよい。このような場合であっても、熱可塑性樹脂を溶融状態から固化状態とすることや、結着液中に含まれる溶剤(熱可塑性樹脂を溶解する溶媒)を除去して熱可塑性樹脂を固化状態とすること等により、結合部を形成することができる。
また、前記の説明では、結合部の形成を、結着液を用いて行う場合について中心的に説明したが、本発明では、結合部の形成は、いかなる方法で行ってもよく、例えば、エネルギー線を照射して、粒子を融着(焼結、接合)することにより行うものであってもよい。このような方法で結合部を形成して三次元造形物を製造する場合において、層形成用組成物として粒子に加えて溶剤を含むものを用いると、結合部の形成時に層中に溶剤が残存していると、エネルギー線の照射により溶剤が急激に揮発し、層(結合部)に不本意な変形を生じることがあり、最終的に得られる三次元造形物の寸法精度が低下するという問題を顕著に生じる。また、粒子の強固な結合が阻害され、三次元造形物の機械的強度が低下するという問題も顕著に生じる。これに対し、本発明では、エネルギー線を照射して層を構成する粒子を融着(焼結、接合)することにより結合部の形成を行う場合であっても、結合部の形成時(エネルギー線の照射時)に層中に含まれる溶剤を確実に少ないものとすることができるため、前述したような問題の発生を確実に防止することができる。
10…三次元造形物
1…層
11…組成物(層形成用組成物)
12…結着液
13…硬化部(結合部)
100…三次元造形物製造装置
2…制御部
21…コンピューター
22…駆動制御部
3…組成物供給部(層形成用組成物供給部)
4…層形成部
41…ステージ
411…孔部
42…スキージー(平坦化手段)
43…ガイドレール
44…組成物仮置部
45…側面支持部(枠体)
451…孔部
5…結着液吐出部(結着液付与手段)
6…紫外線照射手段(硬化手段)
7…加熱手段(層加熱手段)
9…空間(間隙)

Claims (10)

  1. 層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、
    粒子および溶剤を含む層形成用組成物を用いて前記層を形成する層形成工程と、
    前記層から前記溶剤を除去する溶剤除去工程と、
    前記粒子を結合し結合部を形成する結合部形成工程とを有し、
    前記溶剤除去工程において、前記層の外表面と加熱手段とを離間した状態で対向させ、前記層と前記加熱手段との間の空間に開口する排気口から排気することを特徴とする三次元造形物の製造方法。
  2. 前記溶剤除去工程を、前記層が載置されたステージと、当該ステージの外周に配された枠体と、前記加熱手段とによって、前記空間の前記排気口以外を密閉した状態で行うものである請求項1に記載の三次元造形物の製造方法。
  3. 前記枠体は、前記層に対して、上下方向に相対的に移動可能なものである請求項2に記載の三次元造形物の製造方法。
  4. nを1以上の整数とした場合において、n番目の前記層を形成する際の状態を第1の状態、前記n番目の前記層から前記溶剤を除去する際の状態を第2の状態としたとき、前記ステージの高さを基準としたときの前記枠体の高さは、前記第1の状態よりも前記第2の状態のほうが高いものである請求項3に記載の三次元造形物の製造方法。
  5. 前記n番目の前記層に対して、前記結合部を形成する際の状態を第3の状態としたとき、前記ステージの高さを基準としたときの前記枠体の高さは、前記第2の状態よりも前記第3の状態のほうが低いものである請求項4に記載の三次元造形物の製造方法。
  6. 前記結合部形成工程は、インクジェット法を用いて結着液を付与することにより行うものである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  7. 前記溶剤の沸点をTbp[℃]としたとき、前記加熱手段による加熱温度は、(Tbp−50)℃以上(Tbp−2)℃以下である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  8. 粒子および溶剤を含む層形成用組成物を用いて、層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物製造装置であって、
    前記組成物が付与され、前記層が形成されるステージと、
    前記層に対向し離間した状態で前記層を加熱する加熱手段と、
    前記層と前記加熱手段との間の空間から排気する排気手段と、
    前記粒子を結合し結合部を形成する結合部形成手段とを有することを特徴とする三次元造形物製造装置。
  9. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする三次元造形物。
  10. 請求項8に記載の三次元造形物製造装置を用いて製造されたことを特徴とする三次元造形物。
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