JP2016168704A - 三次元造形装置、製造方法およびコンピュータープログラム - Google Patents

三次元造形装置、製造方法およびコンピュータープログラム Download PDF

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Abstract

【課題】粉体層に液体を吐出して三次元物体を造形する三次元造形装置において、造形精度を向上させることのできる技術の提供。【解決手段】粉末を含む粉末含有組成物を用いて粉体層を形成する粉体層形成部と、硬化性を有する液体を、粉体層の一方の面に向けて吐出するヘッド部50と、液体がヘッド部50から吐出された後、液体が粉体層内を浸透して粉体層の他方の面に到達する前、かつ、液体の少なくとも一部が粉体層の一方の面よりもヘッド部50側にあるときに、液体に硬化エネルギーを付与する硬化エネルギー付与部60とを備える三次元造形装置100。【選択図】図1

Description

本発明は、三次元造形装置に関する。
近年、インクジェット技術を採用した三次元造形装置が注目されている。この種の三次元造形装置は、硬化性を有する液体をインクジェットヘッドから粉体層に吐出させて断面体を形成する工程を、高さ方向に何層にも重ねて行うことにより、三次元物体を造形する(例えば、特許文献1,2参照)。
特開平06−218712号公報 特開2001−150556号公報
インクジェットヘッドから吐出された液体は、粉体層に着弾すると、粉体層内で全方向に浸透する。そのため、従来の技術では、液体が粉体層内で周囲へ濡れ広がり、造形物の輪郭がぼやけてしまう場合がある。従って、粉体層に液体を吐出して三次元物体を造形する三次元造形装置において、造形精度を向上させることのできる技術が求められている。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、三次元の物体を造形する三次元造形装置が提供される。この三次元造形装置は、粉末を含む粉末含有組成物を用いて粉体層を形成する粉体層形成部と;硬化性を有する液体を、前記粉体層の一方の面に向けて吐出するヘッド部と;前記液体が前記ヘッド部から吐出された後、前記液体が前記粉体層内を浸透して前記粉体層の他方の面に到達する前、かつ、前記液体の少なくとも一部が前記粉体層の前記一方の面よりも前記ヘッド部側にあるときに、前記液体に硬化エネルギーを付与する硬化エネルギー付与部と;を備えることを特徴とする。このような形態の三次元造形装置であれば、液体が粉体層の一方の面から他方の面に到達する前、かつ、液体の少なくとも一部が粉体層の一方の面よりもヘッド部側にあるときに、液体に硬化エネルギーが付与されるため、粉体層内で液体が過度に濡れ広がることを抑制することができる。そのため、三次元物体を精度よく造形することができる。
(2)上記形態の三次元造形装置において、前記硬化エネルギー付与部は、前記液体の硬化率が20%以上50%以下になるように、前記硬化エネルギーを付与してもよい。このような形態の三次元造形装置であれば、粉体層内で液体が過度に濡れ広がることをより効果的に抑制することができる。
(3)上記形態の三次元造形装置において、前記硬化エネルギー付与部は、前記液体が吐出された後、前記液体のうち、前記粉体層の前記一方の面よりも前記ヘッド部側に位置する部分の流動性が、前記粉体層の前記一方の面よりも前記他方の面側に位置する部分の流動性よりも低くなるように前記硬化エネルギーを付与してもよい。このような形態の三次元造形装置によっても、粉体層内で液体が過度に濡れ広がることをより効果的に抑制することができる。
(4)上記形態の三次元造形装置において、前記硬化エネルギー付与部は、前記ヘッド部から吐出された前記液体の前記一方の面に沿った直径が、前記液体が前記粉体層に着弾した際の直径に、前記粉体層の厚みの2倍の値を加算した値になる前に、前記硬化エネルギーの付与を開始してもよい。このような形態の三次元造形装置であれば、粉体層内に液体が広がりきる前に硬化エネルギーを与えることができるので、粉体層内で液体が過度に濡れ広がることを抑制することができる。
(5)上記形態の三次元造形装置において、前記硬化エネルギー付与部は、前記液体が前記ヘッド部から吐出された後、30ミリ秒から1秒までの間に、前記硬化エネルギーの付与を開始してもよい。このような形態の三次元造形装置であれば、液体が粉体層の一方の面から他方の面に到達する前、かつ、液体の少なくとも一部が粉体層の一方の面よりもヘッド部側にあるタイミングで硬化エネルギーが付与される可能性を高めることができる。
(6)上記形態の三次元造形装置において、前記粉末含有組成物は、粉末と水溶性樹脂と溶剤とを含んでもよい。
本発明は、三次元造形装置としての形態以外にも、種々の形態で実現することが可能である。例えば、三次元造形装置が三次元の物体を製造する製造方法や、コンピューターが三次元造形装置を制御して三次元の物体を造形するためのコンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムが記録された一次的でない有形の記録媒体等の形態で実現することができる。
第1実施形態としての三次元造形装置の概略構成を示す説明図である。 本実施形態において結合材が粉体層に浸透していく様子を示す図である。 仮硬化を行うタイミングを説明するための図である。 粉体の代表的な組成を示す図である。 実験結果の一覧を示す図である。 仮硬化エネルギーと硬化率との関係を示す図である。 輪郭ボケの有無を判定するための造形パターンを示す図である。 図7(A)の一部を拡大した図である。 図7(B)の一部を拡大した図である。
A.第1実施形態:
図1は、本発明の第1実施形態としての三次元造形装置の概略構成を示す説明図である。三次元造形装置100は、造形部10と、粉体供給部20と、平坦化機構30と、粉体回収部40と、ヘッド部50と、硬化エネルギー付与部60と、制御部70と、を備えている。制御部70には、コンピューター200が接続されている。三次元造形装置100とコンピューター200とをあわせて広義の三次元造形装置として捉えることもできる。図1には、互いに直行するX方向とY方向とZ方向とを示している。Z方向は、鉛直方向に沿った方向であり、X方向は、水平方向に沿った方向である。Y方向は、Z方向およびX方向に垂直な方向である。以下では、図1における+Z方向側を「上」といい、−Z方向側を「下」という。
造形部10は、内部に三次元物体が造形される槽状の構造体である。造形部10は、XY方向に沿った平坦な造形ステージ11と、造形ステージ11の周囲を囲みZ方向に立設された枠体12と、造形ステージ11をZ方向に沿って移動させるアクチュエーター13とを備える。造形ステージ11は、制御部70がアクチュエーター13の動作を制御することにより、枠体12内においてZ方向に移動する。
粉体供給部20は、造形部10内に粉体(より具体的には、粉末を含有する粉末含有組成物)を供給する装置である。粉体供給部20は、例えば、ホッパーやディスペンサーにより構成される。粉体の組成については後述する。
平坦化機構30は、造形部10の上面を水平方向(XY方向)に移動することによって、造形部10内または、枠体12上に供給された粉体を平坦化し、造形ステージ11上に粉体層を形成するための機構である。平坦化機構30は、例えば、スキージやローラーによって構成される。平坦化機構30によって造形部10から押し出された粉体は、造形部10に隣接して設けられた粉体回収部40内に排出される。粉体層の厚みは、例えば、50μm以下、好ましくは、25μm以下である。粉体供給部20および平坦化機構30は、本願の「粉体層形成部」に相当する。
ヘッド部50にはタンク51が接続されている。タンク51には、粉体層中の粉末同士を結合させるための液体(結合剤)が収容されている。ヘッド部50は、タンク51から液体の供給を受け、その液体をZ方向に沿って、造形部10中の粉体層に吐出する。ヘッド部50は、造形部10中に造形される三次元物体に対して、X方向およびY方向に移動可能である。また、ヘッド部50は、造形部10内の造形ステージ11がZ方向に移動することによって、三次元物体に対して相対的にZ方向に移動可能である。ヘッド部50は、液体として、実体部形成用インクと、犠牲層形成用インクとを吐出可能である。実体部形成用インクとは、三次元物体の実体部を形成するためのインクである。犠牲層形成用インクとは、実体部が備えるオーバーハング部等を支持するため犠牲層を形成するためのインクである。本実施形態では、これらのインクとして、紫外線硬化型のインクを用いる。犠牲層形成用インクによって形成された犠牲層は、三次元物体の造形後に除去される。実体部形成用インクと犠牲層形成用インクの詳細な組成については後述する。
本実施形態のヘッド部50は、いわゆるピエゾ駆動方式の液滴吐出ヘッドである。ピエゾ駆動方式の液滴吐出ヘッドは、微細なノズル穴が設けられた圧力室を液体で満たしておき、ピエゾ素子を用いて圧力室の側壁を撓ませることによって、圧力室の容積減少分に相当する体積の液体を液滴として吐出することが可能である。後述する制御部70は、ピエゾ素子に印加する電圧波形を制御することによって、ヘッド部50から吐出する一滴あたりの液体の量を調整することが可能である。
硬化エネルギー付与部60は、ヘッド部50から吐出された液体を硬化させるためのエネルギーを付与するための装置である。本実施形態では、硬化エネルギー付与部60は、ヘッド部50をX方向に挟むように配置された本硬化用発光装置61と仮硬化用発光装置62とによって構成されている。仮硬化用発光装置62は、ヘッド部50から吐出された液体が、粉体層中で横方向に濡れ広がることを抑制するための仮硬化(ピニング)を行うために用いられる。本硬化用発光装置61は、仮硬化後に、液体を完全に硬化させる本硬化(キュアリング)を行うために用いられる。本実施形態では、本硬化用発光装置61および仮硬化用発光装置62は、液体を硬化させるための硬化エネルギーとして、紫外線を照射する。硬化エネルギー付与部60は、液体の種類によっては、硬化エネルギーとして他の種類のエネルギーを付与するものであってもよい。以下では、仮硬化のために仮硬化用発光装置62から付与されるエネルギーを「仮硬化エネルギー」といい、本硬化のために本硬化用発光装置61から付与されるエネルギーを「本硬化エネルギー」という。本実施形態において、仮硬化とは、液体が、粉体層中で横方向に濡れ広がることを抑制することができる程度の粘度を有するように硬化された状態、あるいは、そのように硬化させることをいう。
仮硬化用発光装置62と本硬化用発光装置61とは、ヘッド部50の移動に伴って移動しながら仮硬化エネルギーあるいは本硬化エネルギーを付与する。より具体的には、例えば、ヘッド部50が、+X方向に移動しながら液体を吐出すると、吐出された液体の上方を仮硬化用発光装置62が通過しながら仮硬化エネルギーを付与する。ヘッド部50が+X方向の端部へ移動すると、ヘッド部50は−X方向へ戻る。このとき、本硬化用発光装置61は、仮硬化された液体の上方を−X方向に移動しながら本硬化エネルギーを付与する。仮硬化エネルギーや本硬化エネルギーを付与するタイミングは、ヘッド部50から本硬化用発光装置61あるいは仮硬化用発光装置62までの距離を調整したり、ヘッド部50の移動速度を調整したりすることによって決定することができる。なお、本硬化用発光装置61と仮硬化用発光装置62とは、それぞれヘッド部50から独立して設けられていてもよい。
制御部70は、CPUとメモリーとを備えている。CPUは、メモリーあるいは記録媒体に記憶されたコンピュータープログラムをメモリーにロードして実行することによって、アクチュエーター13と、粉体供給部20と、平坦化機構30と、ヘッド部50と、硬化エネルギー付与部60と、を制御して三次元物体を造形する機能を有する。この機能には、液体がヘッド部50から吐出された後、液体が粉体層内を浸透して粉体層の下面に到達する前、かつ、液体の少なくとも一部が粉体層の上面よりもヘッド部50側にあるときに、液体に硬化エネルギーを付与するように硬化エネルギー付与部60を制御する機能が含まれる。なお、制御部70が有する機能は、電子回路によって実現されてもよい。また、制御部70が有する機能は、コンピューター200に備えられていてもよい。
三次元造形装置100が三次元物体を造形(製造)する手法を簡単に説明する。まず、コンピューター200が、三次元物体の形状を表すポリゴンデータを、Z方向の造形解像度(積層ピッチ)に従ってスライスし、XY方向に沿った複数の断面データを生成する。この断面データは、X方向およびY方向について所定の造形解像度を有しており、各要素に対して階調値が格納された二次元のビットマップデータによって表される。各要素に格納された階調値は、その要素に対応するXY座標に吐出する液体の量を表す。つまり、本実施形態では、ビットマップデータによって、三次元造形装置100の制御部70に対して、液体を吐出させる座標と、吐出させる液体の量とが指定される。
三次元造形装置100の制御部70は、コンピューター200から断面データを取得すると、粉体供給部20および平坦化機構30を制御して造形部10内に粉体層を形成する。そして、断面データに従ってヘッド部50を駆動して液体を粉体層に吐出し、その後、吐出された液体に向かって硬化エネルギー付与部60を制御して紫外光を照射し、仮硬化および本硬化を行う。すると、紫外光によって液体が硬化して粉体同士が結合し、造形部10内には、1層分の断面データに対応する断面体が形成される。こうして1層分の断面体を形成すると、制御部70は、アクチュエーター13を駆動して造形ステージ11を、Z方向の造形解像度に応じた積層ピッチ分、Z方向に沿って降下させる。造形ステージ11を降下させると、制御部70は、造形ステージ11上に既に形成された断面体の上に新たな粉体層を形成する。新たな粉体層を形成すると、制御部70は、コンピューター200から次の断面データを受け取って、新たな粉体層に液体を吐出して紫外光を照射することにより、新たな断面体を形成する。このように制御部70は、コンピューター200から各層の断面データを受け取ると、アクチュエーター13や粉体供給部20、平坦化機構30、ヘッド部50、硬化エネルギー付与部60を制御することにより、1層ずつ断面体を形成し、それを積層していくことにより、三次元物体を造形する。
図2は、本実施形態において液体が粉体層に浸透していく様子を示す図である。本実施形態では、まず、図2(A)に示すように、液滴状の液体80がヘッド部50から吐出されると、その液体は、造形ステージ11、あるいは、先に形成された断面体の上方に形成された粉体層81に着弾する。ヘッド部50から吐出された液体80の飛行速度は、例えば、6〜10m/秒である。
液体80が粉体層81に着弾した直後、本実施形態では、図2(B)に示すように、制御部70が硬化エネルギー付与部60を制御して仮硬化エネルギーを付与し、液体80を仮硬化させる。硬化エネルギー付与部60によって仮硬化エネルギーが付与されるタイミングは、液体80がヘッド部50から吐出された後、液体80が粉体層81の底面82に到達する前で、かつ、液体80の少なくとも一部が、粉体層81の上面(一方の面)83よりも上方にあるタイミングである。
図3は、仮硬化を行うタイミングを説明するための図である。上述した仮硬化のタイミングは、更に、ヘッド部50から吐出された液体80のXY方向の直径R2が、液体80が粉体層81に着弾した際の直径R1、より詳しくは、着弾して横方向(XY方向)に変形したのち、表面張力によって形状が元に戻った際の直径R1に、粉体層81の厚みTの2倍の値を加算した値(R1+2T)になる前であることが好ましい。液体80の直径R2は、液体80が粉体層81中で等方的に浸透すると、主に粉体層81の上面83において、最大で、上述した値(R1+2T)まで濡れ広がる可能性があるからである。
また、硬化エネルギー付与部60は、液体80が過度に広がることを抑制するため、液体80のうち、粉体層81の上面83よりもヘッド部50側に位置する部分の流動性が、粉体層81の上面83よりも底面(他方の面)82側に位置する部分の流動性よりも低くなるように硬化エネルギーを付与することが好ましい。液体80の一部が、粉体層81の上面よりも上方に位置し、液体80の残りの一部が、粉体層81の上面よりも下方に位置するタイミングで仮硬化を行えば、必然的に、液体80のうち、粉体層81の上面よりも上方に位置する部分の流動性は、粉体層81の上面83よりも底面82側に位置する部分の流動性よりも低くなる。
さらに、硬化エネルギー付与部60は、液体80がヘッド部50から吐出された後、30ミリ秒から1秒までの間に、仮硬化エネルギーの付与を開始することが好ましい。このようなタイミングで仮硬化エネルギーの付与が開始されれば、液体80がヘッド部50から吐出された後、液体80が粉体層81の底面82に到達する前で、かつ、液体80の少なくとも一部が、粉体層81の上面83よりも上方にあるタイミングに仮硬化が行われる可能性を高めることができる。
なお、硬化エネルギー付与部60は、ヘッド部50から液体が吐出されて、粉体層81にその液体が着弾する前に仮硬化エネルギーを付与してもよい。つまり、硬化エネルギー付与部60は、液体80の飛行中に仮硬化を行ってもよい。
硬化エネルギー付与部60は、液体80の硬化率が、20%以上50%以下、より好ましくは30%以上40%以下になるように仮硬化エネルギーを付与することが好ましい。この硬化率の好適な範囲は、実験結果に基づくものであり、実験の詳細な内容は後で説明する。
以上のようにして液体80に仮硬化エネルギーが付与されると、主に液体80の上側の表面の粘度が高くなる。すると、図2(C)に示すように、液体80は、横方向(XY方向)へ過度に広がることなく、粉体層81中を縦方向(Z方向下向き)に浸透していく。液体80が粉体層81の底面82まで浸透すると、図2(D)に示すように、制御部70は、硬化エネルギー付与部60を制御して、本硬化用発光装置61から本硬化エネルギーを付与し、液体80を粉体層81中に固定させる。
以上で説明した本実施形態の三次元造形装置100によれば、ヘッド部50から液体80が粉体層81に吐出された後、液体80が粉体層81の底面82に到達する前で、かつ、液体80の少なくとも一部が、粉体層81の上面83よりも上方にあるタイミングで仮硬化が行われるため、液体80が粉体層81に完全に浸透する前に液体80の上表面の粘度を高くすることができる。そのため、液体80が粉体層81内に縦方向に浸透する際に、液体80が横方向に過度に濡れ広がることが抑制される。従って、造形解像度に応じた所定の精度よりも、液体80が横方向に大きくはみ出すことが抑制される。この結果、三次元物体の輪郭部分がぼやけてしまうことを抑制することが可能となり、三次元物体を精度よく造形することができる。
また、本実施形態では、上記のとおり、仮硬化によって液体80の上方の表面の粘度が高くなるため、液体80が粉体層81内で全方向に浸透することが抑制される。この結果、例えば、粉体層81中の粉末の拡散状態が均一でない場合に、不規則な方向に液体80が浸透することが抑制される。従って、三次元物体の造形精度が高くなるとともに、例えば、物体表面の質感を向上させることができる。
更に、本実施形態によれば、液体80が横方向に濡れ広がることが抑制されるので、断面体同士の上下方向の密着性を向上させることが可能になる。このような効果は、断面体の厚みが100〜200μm程度に厚くなるモード(例えば、「高速造形モード」)で造形を行う場合に特に有効である。
また、図3に示すように、液体80は、浸透方向に沿って粉体層81中を扇状に広がる傾向があるが、本実施形態では、液体80が横方向に濡れ広がることが抑制されるので、液体80が扇状に広がることも抑制される。そのため、扇状の形状が積層されることによって、造形された物体の側面に段差が生じてしまうことを抑制することができる。
B.実体部形成用インクおよび犠牲層形成用インクの組成:
B1.実体部形成用インク
<硬化性樹脂>
実体部形成用インクは、少なくとも硬化性樹脂(硬化成分)を含む。硬化性樹脂(硬化成分)としては、例えば、熱硬化性樹脂;可視光領域の光により硬化する可視光硬化性樹脂(狭義の光硬化性樹脂)、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化性樹脂等の各種光硬化性樹脂;X線硬化性樹脂等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、得られる三次元物体の機械的強度や三次元物体の生産性、実体部形成用インクの保存安定性等の観点から、特に、紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)が好ましい。
紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)としては、紫外線照射により、光重合開始剤から生じるラジカル種またはカチオン種等により、付加重合または開環重合が開始され、重合体を生じるものが好ましく使用される。付加重合の重合様式として、ラジカル、カチオン、アニオン、メタセシス、配位重合が挙げられる。また、開環重合の重合様式として、カチオン、アニオン、ラジカル、メタセシス、配位重合が挙げられる。
付加重合性化合物としては、例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物等が挙げられる。付加重合性化合物として、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく使用できる。エチレン性不飽和重合性化合物は、単官能の重合性化合物および多官能の重合性化合物、またはそれらの混合物の化学的形態をもつ。
単官能の重合性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステル類、アミド類等が挙げられる。多官能の重合性化合物としては、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族のアミン化合物とのアミド類が用いられる。
また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類とイソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、カルボン酸との脱水縮合反応物等も使用できる。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類またはチオール類との置換反応物も使用できる。不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルであるラジカル重合性化合物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルが代表的であり、単官能のもの、多官能のもののいずれも用いることができる。
単官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
二官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
三官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
四官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
五官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
六官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリレート以外の重合性化合物としては、例えば、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステル等が挙げられる。
イタコン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられる。
クロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラクロトネート等が挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げられる。
マレイン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
また、不飽和カルボン酸と脂肪族アミン化合物とのアミドのモノマーの具体例としては、例えば、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。その他の好ましいアミド系モノマーとしては、例えば、特公昭54−21726号公報に記載のシクロへキシレン構造を有するもの等が挙げられる。
本発明において、エポキシ基、オキセタン基等の環状エーテル基を分子内に1つ以上有するカチオン開環重合性の化合物を紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)として好適に用いることができる。カチオン重合性化合物としては、例えば、開環重合性基を含む硬化性化合物等が挙げられ、中でも、ヘテロ環状基含有硬化性化合物が特に好ましい。このような硬化性化合物としては、例えば、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、環状ラクトン誘導体、環状カーボネート誘導体、オキサゾリン誘導体などの環状イミノエーテル類、ビニルエーテル類等が挙げられ、中でも、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、ビニルエーテル類が好ましい。
好ましいエポキシ誘導体の例としては、例えば、単官能グリシジルエーテル類、多官能グリシジルエーテル類、単官能脂環式エポキシ類、多官能脂環式エポキシ類等が挙げられる。グリシジルエーテル類の具体的な化合物を例示すると、例えば、ジグリシジルエーテル類(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等)、3官能以上のグリシジルエーテル類(例えば、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等)、4官能以上のグリシジルエーテル類(例えば、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル等)、脂環式エポキシ類(例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401(以上、ダイセル化学工業(株)製))、EHPE(ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテル等)、オキセタン類(例えば、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)等)等が挙げられる。
重合性化合物としては、脂環式エポキシ誘導体を好ましく用いることができる。「脂環式エポキシ基」とは、シクロペンテン基、シクロヘキセン基等のシクロアルケン環の二重結合を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化した部分構造を言う。脂環式エポキシ化合物としては、シクロヘキセンオキシド基またはシクロペンテンオキシド基を1分子内に2個以上有する多官能脂環式エポキシ類が好ましい。脂環式エポキシ化合物の具体例としては、例えば、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、ジ(2,3−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオキサイド等が挙げられる。
分子内に脂環式構造を有しない通常のエポキシ基を有するグリシジル化合物を、単独で使用したり、前記の脂環式エポキシ化合物と併用することもできる。このような通常のグリシジル化合物としては、例えば、グリシジルエーテル化合物やグリシジルエステル化合物等を挙げることができるが、グリシジルエーテル化合物を併用することが好ましい。
グリシジルエーテル化合物の具体例を挙げると、例えば、1,3−ビス(2,3−エポキシプロピロキシ)ベンゼン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポシキ樹脂、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂等の芳香族グリシジルエーテル化合物、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の脂肪族グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。グリシジルエステルとしては、例えば、リノレン酸ダイマーのグリシジルエステル等を挙げることができる。重合性化合物としては、4員環の環状エーテルであるオキセタニル基を有する化合物(以下、単に「オキセタン化合物」ともいう。)を使用することができる。オキセタニル基含有化合物は、1分子中にオキセタニル基を1個以上有する化合物である。
実体部形成用インクは、前述した硬化成分の中でも、特に、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ポリエーテル系脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、および、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。これにより、より適切な硬化速度で実体部形成用インクを硬化させることができるとともに、三次元物体の生産性を特に優れたものとすることができる。また、三次元物体の強度、耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
また、これらの硬化成分を含むことにより、実体部形成用インクの硬化物の各種溶媒(例えば、水等)に対する溶解性、膨潤性を特に低いものとすることができる。その結果、犠牲層を除去する工程において、より確実に、高い選択性で犠牲層を除去することができ、三次元物体に欠陥が生じたりすること等による不本意な変形を防止することができる。その結果、より確実に、三次元物体の寸法精度をより高いものとすることができる。
また、実体部形成用インクの硬化物の膨潤性(溶媒の吸収性)を低いものとすることができるため、例えば、犠牲層を除去する工程後の後処理としての乾燥処理を省略または簡略化することができる。また、最終的に得られる三次元物体の耐溶剤性も向上するため、三次元物体の信頼性は特に高いものとなる。特に、実体部形成用インクが(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルを含むものであると、酸素阻害を受けにくく低エネルギーでの硬化が可能であり、また、他モノマーを含めた共重合を促進し、造形物の強度を高めるという効果が得られる。
また、実体部形成用インクがポリエーテル系脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含むものであると、造形物の高強度化と高靱性化を両立させるという効果が得られる。また、実体部形成用インクが2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートを含むものであると、柔軟性を持ち破断伸び率を向上させる効果が得られる。また、実体部形成用インクが4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを含むものであると、PMMA、PEMA粒子やシリカ粒子、金属粒子等への密着性を向上することにより、造形物の強度を高めるという効果が得られる。
実体部形成用インクが前述した特定の硬化成分((メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ポリエーテル系脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、および、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートよりなる群から選択される1種または2種以上)を含むものである場合、実体部形成用インクを構成する全硬化成分に対する当該特定の硬化成分の割合は、80質量%以上であるのが好ましく、90質量%以上であるのがより好ましく、100質量%であるのがさらに好ましい。これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
実体部形成用インク中における硬化成分の含有率は、80質量%以上97質量%以下であるのが好ましく、85質量%以上95質量%以下であるのがより好ましい。これにより、最終的に得られる三次元物体の機械的強度を特に優れたものとすることができる。また、三次元物体の生産性を特に優れたものとすることができる。また、粉末を構成する粒子の屈折率をn1、実体部形成用インクに含まれる硬化性樹脂の硬化物の屈折率をn2としたとき、|n1−n2|≦0.2の関係を満足することが好ましく、|n1−n2|≦0.1の関係を満足するのがより好ましい。これにより、製造された三次元物体の外表面における光の散乱をより効果的に防止することができる。その結果、より鮮明な色表現を行うことができる。
<重合開始剤>
実体部形成用インクは、重合開始剤を含むことが好ましい。これにより、三次元物体の製造時における実体部形成用インクの硬化速度を速めることができ、三次元物体の生産性を特に優れたものとすることができる。
重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤(芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物等)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物等)や光カチオン重合開始剤等を用いることができ、具体的には、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、およびビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられ、これらのうちから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、実体部形成用インクを構成する重合開始剤としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドを含むものであるのが好ましい。
このような重合開始剤を含むことにより、より適切な硬化速度で実体部形成用インクを硬化させることができ、三次元物体の生産性を特に優れたものとすることができる。また、三次元物体の強度、耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。特に、後に詳述する犠牲層形成用インクとともに、実体部形成用インクが、重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドを含むものであると、実体部形成用インクおよび犠牲層形成用インクについて、硬化速度の制御をより好適に行うことができ、三次元物体の生産性をさらに優れたものとすることができる。
実体部形成用インクが、後に詳述する犠牲層形成用インクとともに、重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドを含むものである場合、実体部形成用インク中におけるビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドの含有率は、犠牲層形成用インク中におけるビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドの含有率よりも高いものであるのが好ましい。これにより、実体部形成用インクおよび犠牲層形成用インクを、それぞれ、より好適な速度で硬化させることができる。
実体部形成用インク中における重合開始剤の含有率は、特に限定されないが、犠牲層形成用インク中における重合開始剤の含有率よりも高いものであるのが好ましい。これにより、実体部形成用インクおよび犠牲層形成用インクを、それぞれ、より好適な速度で硬化させることができる。また、例えば、硬化工程の処理条件を調整することにより、硬化工程終了後において、三次元物体の硬化度を十分に高いものとしつつ、犠牲層の重合度を比較的低いものとすることができる。その結果、犠牲層除去工程において犠牲層をより容易に除去することができることとなり、三次元物体の生産性を特に優れたものとすることができる。また、照射するエネルギー線量を必要以上に高める必要がないため、省エネルギーの観点からも好ましい。
特に、実体部形成用インク中における重合開始剤の含有率をX1[質量%]、犠牲層形成用インク中における重合開始剤の含有率をX2[質量%]としたとき、1.05≦X1/X2≦2.0の関係を満足するのが好ましく、1.1≦X1/X2≦1.5の関係を満足するのがより好ましい。これにより、実体部形成用インクおよび犠牲層形成用インクを、それぞれ、より好適な速度で硬化させることができ、三次元物体の生産性をさらに優れたものとすることができる。
実体部形成用インク中における重合開始剤の含有率の具体的な値としては、3.0質量%以上18質量%以下であるのが好ましく、5.0質量%以上15質量%以下であるのがより好ましい。これにより、より適切な硬化速度で実体部形成用インクを硬化させることができ、三次元物体の生産性を特に優れたものとすることができる。また、実体部形成用インクを硬化させて形成される三次元造形物(実体部)1の機械的強度、形状の安定性を特に優れたものとすることができる。その結果、三次元物体の強度、耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
以下に実体部形成用インク中における硬化性樹脂と重合開始剤との配合比率(以下に述べる「その他の成分」を除くインク組成)の好ましい具体例を示すが、本発明における実体部形成用インクの組成は、以下に述べるものに限定されるものではない。
「配合比率例」
・アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル:32質量部
・ポリエーテル系脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー:10質量部
・2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート:13.75質量部
・ジプロピレングリコールジアクリレート:15質量部
・4−ヒドロキシブチルアクリレート:20質量部
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド:5質量部
・2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド:4質量部
前記のような配合の場合に、前述したような効果がより顕著に発揮される。
<その他の成分>
実体部形成用インクは、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、顔料、染料等の各種着色剤;分散剤;界面活性剤;増感剤;重合促進剤;溶剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤;増粘剤;フィラー;凝集防止剤;消泡剤等が挙げられる。
特に、実体部形成用インクが着色剤を含むことにより、着色剤の色に対応する色に着色された三次元物体を得ることができる。特に、着色剤として、顔料を含むことにより、実体部形成用インク、三次元物体の耐光性を良好なものとすることができる。顔料は、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。前記無機顔料の中でも、好ましい白色を呈するためには、酸化チタンが好ましい。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに詳しくは、黒色(ブラック)の顔料として使用されるカーボンブラックとしては、例えば、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製)、Regal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(以上、キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ(Degussa)社製)等が挙げられる。
白色(ホワイト)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21等が挙げられる。
黄色(イエロー)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180等が挙げられる。
紅紫色(マゼンタ)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、またはC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50等が挙げられる。
藍紫色(シアン)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バット ブルー 4、60等が挙げられる。
また、前記以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン 7,10、C.I.ピグメントブラウン 3,5,25,26、C.I.ピグメントオレンジ 1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63等が挙げられる。
実体部形成用インクが顔料を含むものである場合、当該顔料の平均粒径は、300nm以下であるのが好ましく、50nm以上250nm以下であるのがより好ましい。これにより、実体部形成用インクの吐出安定性や実体部形成用インク中における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができるとともに、より優れた画質の画像を形成することができる。
また、染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、および塩基性染料等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。染料の具体例としては、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35等が挙げられる。
実体部形成用インクが着色剤を含むものである場合、当該実体部形成用インク中における着色剤の含有率は、1質量%以上20質量%以下であるのが好ましい。これにより、特に優れた隠蔽性および色再現性が得られる。特に、実体部形成用インクが着色剤として酸化チタンを含むものである場合、当該実体部形成用インク中における酸化チタンの含有率は、12質量%以上18質量%以下であるのが好ましく、14質量%以上16質量%以下であるのがより好ましい。これにより、特に優れた隠蔽性が得られる。
実体部形成用インクが顔料を含む場合に、分散剤をさらに含むものであると、顔料の分散性をより良好なものとすることができる。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤等の顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。
高分子分散剤の具体例としては、例えば、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、およびエポキシ樹脂のうち1種以上を主成分とするもの等が挙げられる。
実体部形成用インクが界面活性剤を含むものであると、三次元物体の耐擦性をより良好なものとすることができる。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤としての、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等を用いることができ、中でも、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いるのが好ましい。
実体部形成用インクは、溶剤を含むものであってもよい。これにより、実体部形成用インクの粘度調整を好適に行うことでき、実体部形成用インクが高粘度の成分を含むものであっても、実体部形成用インクのインクジェット方式による吐出安定性を特に優れたものとすることができる。溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、実体部形成用インクの粘度は、10mPa・s以上30mPa・s以下であるのが好ましく、15mPa・s以上25mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法による実体部形成用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。なお、本明細書中において、粘度とは、E型粘度計(東京計器社製 VISCONIC ELD)を用いて25℃において測定される値をいう。
また、三次元物体の製造には、複数種の実体部形成用インクを用いてもよい。例えば、着色剤を含む実体部形成用インク(カラーインク)と、着色剤を含まない実体部形成用インク(クリアインク)とを用いてもよい。これにより、例えば、三次元物体の外観上、色調に影響を与える領域に付与する実体部形成用インクとして着色剤を含む実体部形成用インクを用い、三次元物体の外観上、色調に影響を与えない領域に付与する実体部形成用インクとして着色剤を含まない実体部形成用インクを用いることができ、三次元物体の生産コストの低減の観点等から有利である。
また、最終的に得られる三次元物体において、着色剤を含む実体部形成用インクを用いて形成された領域の外表面に、着色剤を含まない実体部形成用インクを用いて形成された領域(コート層)を設けるように、複数種の実体部形成用インクを併用してもよい。着色剤(特に、顔料)を含む部分は、着色剤を含まない部分に比べて脆く、傷や欠け等を生じやすいが、着色剤を含まない実体部形成用インクを用いて形成される領域(コート層)を設けることにより、このような問題の発生を効果的に防止することができる。また、三次元物体の長期間の使用により、表面が摩耗した場合等であっても、三次元物体の色調の変化を効果的に防止、抑制することができる。また、例えば、異なる組成の着色剤を含む複数種の実体部形成用インクを用いてもよい。これにより、これらの実体部形成用インクの組み合わせにより、表現できる色再現領域を広いものとすることができる。
複数種の実体部形成用インクを用いる場合、少なくとも、藍紫色(シアン)の実体部形成用インク、紅紫色(マゼンタ)の実体部形成用インクおよび黄色(イエロー)の実体部形成用インクを用いるのが好ましい。これにより、これらの実体部形成用インクの組み合わせにより、表現できる色再現領域をより広いものとすることができる。
また、白色(ホワイト)の実体部形成用インクと、他の有色の実体部形成用インクとを併用することにより、例えば、以下のような効果が得られる。すなわち、最終的に得られる三次元物体を、白色(ホワイト)の実体部形成用インクが付与された第1の領域と、第1の領域よりも外表面側に設けられた白色以外の有色の実体部形成用インクが付与された領域(第2の領域)とを有するものとすることができる。これにより、白色(ホワイト)の実体部形成用インクが付与された第1の領域が隠蔽性を発揮することができ、三次元物体の彩度をより高めることができる。
B2.犠牲層形成用インク
<硬化性樹脂>
犠牲層形成用インクは、少なくとも硬化性樹脂(硬化成分)を含む。犠牲層形成用インクを構成する硬化性樹脂(硬化成分)としては、例えば、実体部形成用インクの構成成分として例示した硬化性樹脂(硬化成分)と同様のものが挙げられる。
特に、犠牲層形成用インクを構成する硬化性樹脂(硬化成分)と、前述した実体部形成用インクを構成する硬化性樹脂(硬化成分)とは、同種のエネルギー線で硬化するものであるのが好ましい。これにより、三次元造形物製造装置の構成が複雑化するのを効果的に防止することができ、三次元物体の生産性を特に優れたものとすることができる。また、三次元物体の表面形状をより確実に制御することができる。また、犠牲層形成用インクの硬化物が、親水性を有するものを用いるのが好ましい。これにより、水等の水系液体によって犠牲層を容易に除去することが可能となる。
犠牲層形成用インクは、各種硬化成分の中でも、特に、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、および、(メタ)アクリロイルモルフォリン、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものであるのが好ましい。これにより、より適切な硬化速度で犠牲層形成用インクを硬化させることができ、三次元物体の生産性を特に優れたものとすることができる。また、硬化物の親水性をより好適なものとすることができ、犠牲層を容易に除去することができる。
また、犠牲層形成用インクを硬化させて形成される犠牲層の機械的強度、形状の安定性を特に優れたものとすることができる。その結果、三次元物体の製造時に、下層(第1の層)の犠牲層が上層(第2の層)を形成するための実体部形成用インクをより好適に支持することができる。そのため、三次元物体の不本意な変形(特に、ダレ等)をより好適に防止することができ(第1の層の犠牲層がサポート材として機能し)、最終的に得られる三次元物体の寸法精度をさらに優れたものとすることができる。特に、犠牲層形成用インクが(メタ)アクリロイルモルフォリンを含むものであると、以下のような効果が得られる。
すなわち、(メタ)アクリロイルモルフォリンは、硬化反応が進行した場合であっても完全硬化でない状態(完全硬化でない状態の(メタ)アクリロイルモルフォリンの重合体)では、水等の各種溶媒に対する溶解性が高い状態が高いものである。したがって、前述したような犠牲層除去工程において、実体部に欠陥が生じるのをより効果的に防止しつつ、犠牲層を選択的かつ確実に、また、効率よく除去することができる。その結果、より高い信頼性で、所望の形態の三次元物体を生産性良く得ることができる。
また、犠牲層形成用インクがテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートを含むものであると、硬化後の柔軟性が保たれ、犠牲層を除去する液体による処理により容易にゲル状になることで除去性を高めるという効果が得られる。
また、犠牲層形成用インクがエトキシエトキシエチル(メタ)アクリレートを含むものであると、硬化後もタック性が残存し易く、犠牲層を除去する液体による除去性を高められるという効果が得られる。
また、犠牲層形成用インクがポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートを含むものであると、犠牲層を除去する液体が水を主成分とする場合に、液体への溶解性を高め、除去を容易にするという効果が得られる。
犠牲層形成用インクが前述した特定の硬化成分(テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、および、(メタ)アクリロイルモルフォリンよりなる群から選択される1種または2種以上)を含むものである場合、犠牲層形成用インクを構成する全硬化成分に対する当該特定の硬化成分の割合は、80質量%以上であるのが好ましく、90質量%以上であるのがより好ましく、100質量%であるのがさらに好ましい。これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
犠牲層形成用インク中における硬化成分の含有率は、83質量%以上98.5質量%以下であるのが好ましく、87質量%以上95.4質量%以下であるのがより好ましい。これにより、形成される犠牲層の形状の安定性を特に優れたものとすることができ、三次元物体の製造時に断面体を付き重ねていった場合に、下側の断面体が不本意に変形することをより効果的に防止することができ、上側の断面体を好適に支持することができる。その結果、最終的に得られる三次元物体の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、三次元物体の生産性を特に優れたものとすることができる。
<重合開始剤>
犠牲層形成用インクは、重合開始剤を含むものであるのが好ましい。これにより、三次元物体の製造時における犠牲層形成用インクの硬化速度を適度に速めることができ、三次元物体の生産性を特に優れたものとすることができる。また、形成される犠牲層の形状の安定性を特に優れたものとすることができ、三次元物体の製造時に断面体を付き重ねていった場合に、下側の断面体が不本意に変形することをより効果的に防止することができ、上側の断面体を好適に支持することができる。その結果、最終的に得られる三次元物体の寸法精度を特に優れたものとすることができる。
犠牲層形成用インクを構成する重合開始剤としては、例えば、実体部形成用インクの構成成分として例示した重合開始剤と同様のものが挙げられる。中でも、犠牲層形成用インクは、重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドを含むものであるのが好ましい。このような重合開始剤を含むことにより、より適切な硬化速度で犠牲層形成用インクを硬化させることができ、三次元物体の生産性を特に優れたものとすることができる。
また、犠牲層形成用インクを硬化させて形成される犠牲層の機械的強度、形状の安定性を特に優れたものとすることができる。その結果、三次元物体の製造時に、下層(第1の層)の犠牲層が上層(第2の層)を形成するための実体部形成用インクをより好適に支持することができる。そのため、実体部の不本意な変形(特に、ダレ等)をより好適に防止することができ(第1の層の犠牲層がサポート材として機能し)、最終的に得られる三次元物体の寸法精度をさらに優れたものとすることができる。
犠牲層形成用インク中における重合開始剤の含有率の具体的な値としては、1.5質量%以上17質量%以下であるのが好ましく、4.6質量%以上13質量%以下であるのがより好ましい。これにより、より適切な硬化速度で犠牲層形成用インクを硬化させることができ、三次元物体の生産性を特に優れたものとすることができる。
また、犠牲層形成用インクを硬化させて形成される犠牲層の機械的強度、形状の安定性を特に優れたものとすることができる。その結果、三次元物体の製造時に、下層(第1の層)の犠牲層が上層(第2の層)を形成するための実体部形成用インクをより好適に支持することができる。そのため、実体部の不本意な変形(特に、ダレ等)をより好適に防止することができ(第1の層の犠牲層がサポート材として機能し)、最終的に得られる三次元物体の寸法精度をさらに優れたものとすることができる。
以下に犠牲層形成用インク中における硬化性樹脂と重合開始剤との配合比率(以下に述べる「その他の成分」を除くインク組成)の好ましい具体例を示すが、本発明における犠牲層形成用インクの組成は、以下に述べるものに限定されるものではない。
「配合比率例1」
・テトラヒドロフルフリルアクリレート:36質量部
・エトキシエトキシエチルアクリレート:55.75質量部
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド:3質量部
・2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド:5質量部
「配合比率例2」
・ジプロピレングリコールジアクリレート:37質量部
・ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート:55.85質量部
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド:3質量部
・2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド:4質量部
「配合比率例3」
・テトラヒドロフルフリルアクリレート:36質量部
・アクリロイルモルフォリン:55.75質量部
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド:3質量部
・2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド:5質量部
「配合比率例4」
・アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル:36質量部
・ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート:55.75質量部
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド:3質量部
・2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド:5質量部
前記のような配合の場合に、前述したような効果がより顕著に発揮される。
<その他の成分>
犠牲層形成用インクは、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、顔料、染料等の各種着色剤;分散剤;界面活性剤;増感剤;重合促進剤;溶剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤;増粘剤;フィラー;凝集防止剤;消泡剤等が挙げられる。特に、犠牲層形成用インクが着色剤を含むことにより、犠牲層の視認性が向上し、最終的に得られる三次元物体において、犠牲層の少なくとも一部が不本意に残存することをより確実に防止することができる。
犠牲層形成用インクを構成する着色剤としては、例えば、実体部形成用インクの構成成分として例示した着色剤と同様のものが挙げられるが、三次元物体の表面の法線方向から観察した際に当該犠牲層形成用インクにより形成される犠牲層と重なり合う実体部の色(三次元物体の外観上視認されるべき色)とは異なる色となるような着色剤であるのが好ましい。これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
犠牲層形成用インクが顔料を含む場合に、分散剤をさらに含むものであると、顔料の分散性をより良好なものとすることができる。犠牲層形成用インクを構成する分散剤としては、例えば、実体部形成用インクの構成成分として例示した分散剤と同様のものが挙げられる。また、犠牲層形成用インクの粘度は、10mPa・s以上30mPa・s以下であるのが好ましく、15mPa・s以上25mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法による犠牲層形成用インクの吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
C.粉体の組成:
本実施形態における粉体(粉末含有組成物)は、粉末と、水溶性樹脂とを含む。以下、各成分について詳細に説明する。
<粉末>
粉末は、複数個の粒子で構成されている。粒子としては、いかなる粒子を用いることができるが、多孔質の粒子(多孔質粒子)で構成されていることが好ましい。これにより、三次元物体を製造する際に、硬化性樹脂を空孔内に好適に侵入させることができ、結果として、機械的強度に優れた三次元造形物の製造に好適に用いることができる。
粉末を構成する多孔質粒子の構成材料としては、例えば、無機材料や有機材料、これらの複合体等が挙げられる。多孔質粒子を構成する無機材料としては、例えば、各種金属や金属化合物等が挙げられる。金属化合物としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコン、酸化錫、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム等の各種金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の各種金属水酸化物;窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミ等の各種金属窒化物;炭化珪素、炭化チタン等の各種金属炭化物;硫化亜鉛等の各種金属硫化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の各種金属の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の各種金属の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等の各種金属のケイ酸塩;リン酸カルシウム等の各種金属のリン酸塩;ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム等の各種金属のホウ酸塩や、これらの複合化物等が挙げられる。
多孔質粒子を構成する有機材料としては、例えば、合成樹脂、天然高分子等が挙げられ、より具体的には、ポリエチレン樹脂;ポリプロピレン;ポリエチレンオキサイド;ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン;ポリスチレン;ポリウレタン;ポリウレア;ポリエステル;シリコーン樹脂;アクリルシリコーン樹脂;ポリメタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとする重合体;メタクリル酸メチルクロスポリマー等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとするクロスポリマー(エチレンアクリル酸共重合樹脂等);ナイロン12、ナイロン6、共重合ナイロン等のポリアミド樹脂;ポリイミド;カルボキシメチルセルロース;ゼラチン;デンプン;キチン;キトサン等が挙げられる。
中でも、多孔質粒子は、無機材料で構成されたものであるのが好ましく、金属酸化物で構成されたものであるのがより好ましく、シリカで構成されたものであるのがさらに好ましい。これにより、三次元造形物の機械的強度、耐光性等の特性を特に優れたものとすることができる。また、特に、多孔質粒子がシリカで構成されたものであると、前述した効果がより顕著に発揮される。また、シリカは、流動性にも優れているため、厚さの均一性がより高い層の形成に有利であるとともに、三次元物体の生産性、寸法精度を特に優れたものとすることができる。
また、多孔質粒子は、疎水化処理が施されたものであるのが好ましい。ところで、一般に、実体部形成用インクおよび犠牲層形成用インクに含まれる硬化性樹脂は疎水性を有する傾向がある。したがって、多孔質粒子が疎水化処理されたものであることにより、硬化性樹脂を多孔質粒子の空孔内により好適に侵入させることができる。その結果、アンカー効果がより顕著に発揮され、得られる三次元物体の機械的強度をさらに優れたものとすることができる。また、多孔質粒子が疎水化処理されたものであると、好適に再利用することができる。より詳しく説明すると、多孔質粒子が疎水化処理されたものであると、後に詳述する水溶性樹脂と多孔質粒子との親和性が低下するため、空孔内に入り込むことが防止されることとなる。その結果、三次元物体の製造において、インクが付与されなかった領域の多孔質粒子は、水等で洗浄することにより不純物を容易除去することができ、高い純度で回収することができる。このため、再度、回収した粉末を、所定の割合で、水溶性樹脂等と混合することにより、確実に所望の組成に制御された粉末を得ることができる。
粉末を構成する多孔質粒子に施す疎水化処理としては、多孔質粒子の疎水性を高める処理であればいかなるものであってもよいが、炭化水素基を導入するものであるのが好ましい。これにより、粒子の疎水性をより高いものとすることができる。また、容易かつ確実に、各粒子や粒子表面の各部位(空孔内部の表面を含む)での疎水化処理の程度の均一性をより高いものとすることができる。
疎水化処理に用いる化合物としては、シリル基を含むシラン化合物が好ましい。疎水化処理に用いることのできる化合物の具体例としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、1−プロペニルメチルジクロロシラン、プロピルジメチルクロロシラン、プロピルメチルジクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、テトラデシルトリクロロシラン、3−チオシアネートプロピルトリエトキシシラン、p−トリルジメチルクロロシラン、p−トリルメチルジクロロシラン、p−トリルトリクロロシラン、p−トリルトリメトキシシラン、p−トリルトリエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブチロキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブチロキシシラン、ジ−t−ブチルジ−t−ブチロキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクタデシルメチルジエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチルクロロシラン、オクタデシルメチルジクロロシラン、オクタデシルメトキシジクロロシラン、7−オクテニルジメチルクロロシラン、7−オクテニルトリクロロシラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、オクチルメチルジクロロシラン、オクチルジメチルクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、10−ウンデセニルジメチルクロロシラン、ウンデシルトリクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、メチルオクタデシルジメトキシシラン、メチルドデシルジエトキシシラン、メチルオクタデシルジメトキシシラン、メチルオクタデシルジエトキシシラン、n−オクチルメチルジメトキシシラン、n−オクチルメチルジエトキシシラン、トリアコンチルジメチルクロロシラン、トリアコンチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルイソプロポキシシラン、メチル−n−ブチロキシシラン、メチルトリ−sec−ブチロキシシラン、メチルトリ−t−ブチロキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルイソプロポキシシラン、エチル−n−ブチロキシシラン、エチルトリ−sec−ブチロキシシラン、エチルトリ−t−ブチロキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、2−〔2−(トリクロロシリル)エチル〕ピリジン、4−〔2−(トリクロロシリル)エチル〕ピリジン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1,3−(トリクロロシリルメチル)ヘプタコサン、ジベンジルジメトキシシラン、ジベンジルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、フェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルメチルジメトキシシラン、ベンジルジメチルメトキシシラン、ベンジルジメトキシシラン、ベンジルジエトキシシラン、ベンジルメチルジエトキシシラン、ベンジルジメチルエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ジベンジルジメトキシシラン、ジベンジルジエトキシシラン、3−アセトキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、6−(アミノヘキシルアミノプロピル)トリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシシラン、ω−アミノウンデシルトリメトキシシラン、アミルトリエトキシシラン、ベンゾオキサシレピンジメチルエステル、5−(ビシクロヘプテニル)トリエトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、8−ブロモオクチルトリメトキシシラン、ブロモフェニルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、2−クロロメチルトリエトキシシラン、クロロメチルメチルジエトキシシラン、クロロメチルメチルジイソプロポキシラン、p−(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、クロロフェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、2−(4−クロロスルフォニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、2−シアノエチルトリメトキシシラン、シアノメチルフェネチルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリメトキシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリエトキシシラン、3−シクロヘキセニルトリクロロシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリクロロシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルジメチルクロロシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルメチルジクロロシシラン、シクロヘキシルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジクロロシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、(シクロヘキシルメチル)トリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロオクチルトリクロロシラン、(4−シクロオクテニル)トリクロロシラン、シクロペンチルトリクロロシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、1,1−ジエトキシ−1−シラシクロペンタ−3−エン、3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、(ジメチルクロロシリル)メチル−7,7−ジメチルノルピナン、(シクロヘキシルアミノメチル)メチルジエトキシシラン、(3−シクロペンタジエニルプロピル)トリエトキシシラン、N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(フルフリルオキシメチル)トリエトキシシラン、2−ヒドロキシ−4−(3−トリエトキシプロポキシ)ジフェニルケトン、3−(p−メトキシフェニル)プロピルメチルジクロロシラン、3−(p−メトキシフェニル)プロピルトリクロロシラン、p−(メチルフェネチル)メチルジクロロシラン,p−(メチルフェネチル)トリクロロシラン、p−(メチルフェネチル)ジメチルクロロシラン、3−モルフォリノプロピルトリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、1,2,3,4,7,7,−ヘキサクロロ−6−メチルジエトキシシリル−2−ノルボルネン、1,2,3,4,7,7,−ヘキサクロロ−6−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、3−ヨードプロピルトリメトキシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチル{2−(3−トリメトキシシリルプロピルアミノ)エチルアミノ}−3−プロピオネート、7−オクテニルトリメトキシシラン、R−N−α−フェネチル−N’−トリエトキシシリルプロピルウレア、S−N−α−フェネチル−N’−トリエトキシシリルプロピルウレア、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルメチルジメトキシシラン、フェネチルジメチルメトキシシラン、フェネチルジメトキシシラン、フェネチルジエトキシシラン、フェネチルメチルジエトキシシラン、フェネチルジメチルエトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、(3−フェニルプロピル)ジメチルクロロシラン、(3−フェニルプロピル)メチルジクロロシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(トリエトキシシリルプロピル)ダンシルアミド、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、2−(トリエトキシシリルエチル)−5−(クロロアセトキシ)ビシクロヘプタン、(S)−N−トリエトキシシリルプロピル−O−メントカルバメート、3−(トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンズアミド、3−(トリエトキシシリル)プロピルサクシニック無水物、N−〔5−(トリメトキシシリル)−2−アザ−1−オキソ−ペンチル〕カプロラクタム、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、N−(トリメトキシシリルエチル)ベンジル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、フェニルビニルジエトキシシラン、3−チオシアナートプロピルトリエトキシシラン、(トリデカフロオロ−1,1,2,2,−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、N−{3−(トリエトキシシリル)プロピル}フタルアミド酸、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジメトキシシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシシラン、1−トリメトキシシリル−2−(クロロメチル)フェニルエタン、2−(トリメトキシシリル)エチルフェニルスルホニルアジド、β−トリメトキシシリルエチル−2−ピリジン、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリブチルアンモニウムブロマイド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリブチルアンモニウムクロライド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、ビニルメチルジエトキシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルフェニルジクロロシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、ビニルフェニルジメチルシラン、ビニルフェニルメチルクロロシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリス−t−ブトキシシラン、アダマンチルエチルトリクロロシラン、アリルフェニルトリクロロシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、3−アミノフェノキシジメチルビニルシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルジメチルクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、ベンジルトリクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ベンジルメチルジクロロシラン、フェネチルジイソプロピルクロロシラン、フェネチルトリクロロシラン、フェネチルジメチルクロロシラン、フェネチルメチルジクロロシラン、5−(ビシクロヘプテニル)トリクロロシラン、5−(ビシクロヘプテニル)トリエトキシシラン、2−(ビシクロヘプチル)ジメチルクロロシラン、2−(ビシクロヘプチル)トリクロロシラン、1,4−ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、ブロモフェニルト
リクロロシラン、3−フェノキシプロピルジメチルクロロシラン、3−フェノキシプロピルトリクロロシラン、t−ブチルフェニルクロロシラン、t−ブチルフェニルメトキシシラン、t−ブチルフェニルジクロロシラン、p−(t−ブチル)フェネチルジメチルクロロシラン、p−(t−ブチル)フェネチルトリクロロシラン、1,3−(クロロジメチルシリルメチル)ヘプタコサン、((クロロメチル)フェニルエチル)ジメチルクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)メチルジクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)トリクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)トリメトキシシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリクロロシラン、2−シアノエチルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルメチルジエトキシシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルジメチルエトキシシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルトリクロロシラン、フッ化アルキルシラン等を挙げることができ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、ヘキサメチルジシラザンを疎水化処理に用いるのが好ましい。これにより、粒子の疎水性をより高いものとすることができる。また、容易かつ確実に、各粒子や粒子表面の各部位(空孔内部の表面を含む)での疎水化処理の程度の均一性をより高いものとすることができる。シラン化合物を用いた疎水化処理を液相で行う場合には、シラン化合物を含む液中に、疎水化処理を施すべき粒子を浸漬することで、好適に所望の反応を進行させることができ、シラン化合物の化学吸着膜を形成することができる。また、シラン化合物を用いた疎水化処理を気相で行う場合には、シラン化合物の蒸気に化処理を施すべき粒子を曝すことで、好適に所望の反応を進行させることができ、シラン化合物の化学吸着膜を形成することができる。
粉末を構成する粒子の平均粒径は、特に限定されないが、1μm以上25μm以下であるのが好ましく、1μm以上15μm以下であるのがより好ましい。これにより、三次元物体の機械的強度を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元物体における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元物体の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、粉末の流動性、粉末を含む粉末含有組成物の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができる。なお、本発明において、平均粒径とは、体積基準の平均粒径を言い、例えば、サンプルをメタノールに添加し、超音波分散器で3分間分散した分散液をコールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INS製TA−II型)にて、50μmのアパチャーを用いて測定することにより求めることができる。
粉末を構成する粒子のDmaxは、3μm以上40μm以下であるのが好ましく、5μm以上30μm以下であるのがより好ましい。これにより、三次元物体の機械的強度を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元物体における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元物体の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、粉末の流動性、粉末を含む粉末含有組成物の流動性を特に優れたものとし、三次元物体の生産性を特に優れたものとすることができる。また、製造される三次元物体の表面における、粒子による光の散乱をより効果的に防止することができる。
粒子が多孔質粒子の場合、多孔質粒子の空孔率は、50%以上であるのが好ましく、55%以上90%以下であるのがより好ましい。これにより、硬化性樹脂が入り込む空間(空孔)を十分に有するとともに、多孔質粒子自体の機械的強度を優れたものとすることができ、結果として、空孔内に結合樹脂が侵入してなる三次元物体の機械的強度を特に優れたものとすることができる。なお、本発明において、粒子の空孔率とは、粒子の見かけ体積中に対する、粒子の内部に存在する空孔の割合(体積率)のことを言い、粒子の密度をρ[g/cm]、粒子の構成材料の真密度ρ0[g/cm]としたときに、{(ρ0−ρ)/ρ0}×100で表される値である。
粒子が多孔質粒子の場合、多孔質粒子の平均空孔径(細孔直径)が10nm以上であるのが好ましく、50nm以上300nm以下であるのがより好ましい。これにより、最終的に得られる三次元物体の機械的強度を特に優れたものとすることができる。また、三次元物体の製造に、顔料を含む着色インクを用いる場合において、顔料を多孔質粒子の空孔内に好適に保持することができる。このため、不本意な顔料の拡散を防止することができ、高精細な画像をより確実に形成することができる。
粉末を構成する粒子は、いかなる形状を有するものであってもよいが、球形状をなすものであるのが好ましい。これにより、粉末の流動性、粉末を含む粉末含有組成物の流動性を特に優れたものとし、三次元物体の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元物体における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元物体の寸法精度を特に優れたものとすることができる。粉末は、前述したような条件(例えば、前記粒子の構成材料、疎水化処理の種類等)が互いに異なる複数種の粒子を含むものであってもよい。
粉末の空隙率は、70%以上98%以下であるのが好ましく、75%以上97.7%以下であるのがより好ましい。これにより、三次元造形物の機械的強度を特に優れたものとすることができる。また、粉末の流動性、粉末を含む粉末含有組成物の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物の寸法精度を特に優れたものとすることができる。なお、本発明において、粉末の空隙率とは、所定容量(例えば、100mL)の容器内を粉末で満たした場合における、前記容器の容量に対する、粉末を構成する全粒子が有する空孔の体積と、粒子間に存在する空隙の体積との和の比率のことを言い、粉末の嵩密度をΡ[g/cm]、粉末の構成材料の真密度Ρ0[g/cm]としたときに、{(Ρ0−Ρ)/Ρ0}×100で表される値である。粉末含有組成物中における粉末の含有率は、10質量%以上90質量%以下であるのが好ましく、15質量%以上58質量%以下であるのがより好ましい。これにより、粉末含有組成物の流動性を十分に優れたものとしつつ、最終的に得られる三次元物体の機械的強度を特に優れたものとすることができる。
<水溶性樹脂>
粉末含有組成物は、複数個の粒子とともに、水溶性樹脂を含む。水溶性樹脂を含むことにより、粒子同士を結合(仮固定)し、粒子の不本意な飛散等を効果的に防止することができる。これにより、製造される三次元物体の寸法精度の向上を図ることができる。本発明において、水溶性樹脂とは、少なくともその一部が水に可溶なものであればよいが、例えば、25℃における水に対する溶解度(水100gに溶解可能な質量)が5[g/100g水]以上のものであるのが好ましく、10[g/100g水]以上のものであるのがより好ましい。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、変性ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド等の合成ポリマー、コーンスターチ、マンナン、ペクチン、寒天、アルギン酸、デキストラン、にかわ、ゼラチン等の天然ポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酸化でんぷん、変性でんぷん等の半合成ポリマー等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、水溶性樹脂がポリビニルアルコールである場合、三次元物体の機械的強度を特に優れたものとすることができる。また、ケン化度や重合度の調整により、水溶性樹脂の特性(例えば、水溶性、耐水性等)や粉末含有組成物の特性(例えば、粘度、粒子の固定力、濡れ性等)をより好適に制御することができる。このため、多様な三次元物体の製造により好適に対応することができる。また、ポリビニルアルコールは、各種水溶性樹脂の中でも、安価で、かつ、供給が安定したものである。このため、生産コストを抑制しつつ、安定的な三次元物体の製造を行うことができる。
水溶性樹脂がポリビニルアルコールを含むものである場合、当該ポリビニルアルコールのケン化度は、85以上90以下であるのが好ましい。これにより、水に対するポリビニルアルコールの溶解度の低下を抑制することができる。そのため、粉末含有組成物が水を含むものである場合に、隣接する断面体間の接着性の低下をより効果的に抑制することができる。水溶性樹脂がポリビニルアルコールを含むものである場合、当該ポリビニルアルコールの重合度は、300以上1000以下であるのが好ましい。これにより、粉末含有組成物が水を含むものである場合に、各断面体の機械的強度や隣接する断面体間の接着性を特に優れたものとすることができる。
また、水溶性樹脂がポリビニルピロリドン(PVP)である場合、以下のような効果が得られる。すなわち、ポリビニルピロリドンは、ガラス、金属、プラスチック等の各種材料に対する接着性に優れているため、層のうちインクが付与されない部分の強度・形状の安定性を特に優れたものとし、最終的に得られる三次元物体の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、ポリビニルピロリドンは、各種有機溶媒に対して、高い溶解性を示すため、粉末含有組成物が有機溶剤を含む場合において、粉末含有組成物の流動性を特に優れたものとすることができ、不本意な厚さのばらつきがより効果的に防止された粉体層を好適に形成することができ、最終的に得られる三次元物体の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、ポリビニルピロリドンは、水に対しても高い溶解性を示すため、造形終了後の未結合粒子除去工程において、各粉体層を構成する粒子のうち、硬化性樹脂により結合していないものを容易かつ確実に除去することができる。また、ポリビニルピロリドンは、粉末との親和性が適度なものであるため、前述したような空孔内への入り込みが十分に起こりにくいものである一方で、粒子の表面に対する濡れ性は比較的高いものである。このため、前述したような仮固定の機能をより効果的に発揮することができる。また、ポリビニルピロリドンは、各種着色剤との親和性に優れているため、インク付与工程において着色剤を含む実体部形成用インクおよび犠牲層形成用インクを用いた場合に、着色剤が不本意に拡散してしまうのを効果的に防止することができる。また、ポリビニルピロリドンには帯電防止機能があるため、粉体層形成工程において粉末含有組成物としてペースト化していない粉体を用いる場合に、当該粉体の飛散を効果的に防止することができる。また、粉体層形成工程において粉末含有組成物としてペースト化されたものを用いる場合に、ペースト状の粉体がポリビニルピロリドンを含むものであると、粉末含有組成物中に泡が巻き込まれてしまうことを効果的に防止することができ、粉体層形成工程において、泡の巻き込みによる欠陥が発生するのを効果的により防止することができる。水溶性樹脂がポリビニルピロリドンを含むものである場合、当該ポリビニルピロリドンの重量平均分子量は、10000以上1700000以下であるのが好ましく、30000以上1500000以下であるのがより好ましい。これにより、前述した機能をより効果的に発揮することができる。
粉末含有組成物中において、水溶性樹脂は、少なくとも粉体層を形成する工程において、液状の状態(例えば、溶解状態、溶融状態等)をなすものであるのが好ましい。これにより、容易かつ確実に、粉末含有組成物を用いて形成される層の厚さの均一性を、より高いものとすることができる。粉末含有組成物中における水溶性樹脂の含有率は、粉末の嵩体積に対して、15体積%以下であるのが好ましく、2体積%以上5体積%以下であるのがより好ましい。これにより、前述したような水溶性樹脂の機能を十分に発揮させつつ、実体部形成用インクおよび犠牲層形成用インクが侵入する空間をより広く確保することができ、三次元物体の機械的強度を特に優れたものとすることができる。
<溶剤>
粉末含有組成物は、前述したような水溶性樹脂、粉末に加えて、溶剤を含むものであってもよい。これにより、粉末含有組成物の流動性を特に優れたものとし、三次元物体の生産性を特に優れたものとすることができる。溶剤は、水溶性樹脂を溶解するものであるのが好ましい。これにより、粉末含有組成物の流動性を良好なものとすることができ、粉末含有組成物を用いて形成される粉体層の厚さの不本意なばらつきをより効果的に防止することができる。また、溶剤が除去された状態の粉体層を形成した際に、粉体層全体にわたって、より高い均一性で、水溶性樹脂を粒子に付着させることができ、不本意な組成のむらが発生するのをより効果的に防止することができる。このため、最終的に得られる三次元物体の各部位での機械的強度の不本意なばらつきの発生をより効果的に防止することができ、三次元物体の信頼性をより高いものとすることができる。
粉末含有組成物を構成する溶剤としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール性溶剤;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート、プロピレングリコール1−モノエチルエーテル2−アセタート等のグリコールエーテルアセテート系;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、粉末含有組成物は、水を含むものであるのが好ましい。これにより、水溶性樹脂をより確実に溶解することができ、粉末含有組成物の流動性、粉末含有組成物を用いて形成される粉体層の組成の均一性を特に優れたものとすることができる。また、水は粉体層形成後の除去が容易であるとともに、三次元物体中に残存した場合においても悪影響を与えにくい。また、人体に対する安全性、環境問題の観点等からも有利である。
粉末含有組成物が溶剤を含むものである場合、粉末含有組成物中における溶剤の含有率は、5質量%以上75質量%以下であるのが好ましく、35質量%以上70質量%以下であるのがより好ましい。これにより、前述したような溶剤を含むことによる効果がより顕著に発揮されるとともに、三次元物体の製造過程において溶剤を短時間で容易に除去することができるため、三次元物体の生産性向上の観点から有利である。特に、粉末含有組成物が溶剤として水を含むものである場合、粉末含有組成物中における水の含有率は、20質量%以上73質量%以下であるのが好ましく、50質量%以上70質量%以下であるのがより好ましい。これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
<その他の成分>
粉末含有組成物は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、重合開始剤;重合促進剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤等が挙げられる。
D.実験結果:
次に、液体を仮硬化させた際の液体の硬化率の好適な範囲を確認するために行った実験の内容およびその結果について説明する。
図4は、上記実施形態で使用可能な粉体(粉末含有組成物)の代表的な組成を示す図である。タイプ1の粉体は、多孔質シリカとして、トクヤマ社製X−37B(平均粒径3.7μm、嵩比重0.3g/cm)を含んでいる。タイプ2の粉体は、多孔質シリカとして東ソー・シリカ社製E−75(平均粒径2.4μm、嵩比重0.26g/cm)を含んでいる。タイプ1およびタイプ2ともに、バインダ(水溶性樹脂)としては、例えば、日本酢ビポバール社製のPVA(型番JP−05)や日本触媒社製のPVP(型番K−30)を用いることができる。タイプ1、タイプ2ともに、多孔質シリカを35質量部、バインダを10質量部、水を55質量部、それぞれ含んでいる。
三次元物体の造形精度を確保するためには、例えば、XY方向の造形解像度が720dpi、断面体の厚さ(積層ピッチ)が50μmの場合には、1滴あたりの液体の吐出量は、タイプ1とタイプ2の多孔質シリカの種類に応じて、以下のような量であることが好ましい。なお、括弧内の数値は、造形解像度に応じた単位体積(ボクセル)あたりの液体の充填率を示す。
<タイプ1>
良好な範囲:34ng(44.5%)〜42ng(56.2%)
より好ましい値:38ng(50.9%)
<タイプ2>
良好な範囲:32ng(42.9%)〜40ng(53.6%)
より好ましい値:36ng(48.2%)
本実験では、粉体としてタイプ1の粉体を用い、液体として、以下の組成の実体部形成用インクを用いた。
・アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル:32質量部
・ポリエーテル系脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー:10質量部
・2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート:13.75質量部
・ジプロピレングリコールジアクリレート:15質量部
・4−ヒドロキシブチルアクリレート:20質量部
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド:5質量部
・2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド:4質量部
また、この実験におけるXY方向の造形解像度は720dpiであり、断面体の厚さ(積層ピッチ)は、50μmである。そして、1滴あたりの液体の吐出量は38ngであり、インクの飛行速度は8m/秒である。また、仮硬化エネルギーが付与されるタイミングは、液体がヘッド部から吐出された後、液体が粉体層の底面に到達する前で、かつ、液体の少なくとも一部が、粉体層の上面よりも上方にある特定のタイミングである。
図5は、実験結果の一覧を示す図である。この実験では、上述した実施形態で説明したタイミングで仮硬化を行う際に、仮硬化エネルギーを様々に変化させ、粉体層中に形成される物体の輪郭ボケと本硬化への影響を評価した。図5には、仮硬化用発光装置62に印加する電圧と、その電圧に応じて出力される仮硬化エネルギーと、ピーク照度とが示されており、更に、これらの条件に応じて、液体の硬化率の測定結果と、輪郭ボケが発生したか否か、本硬化が阻害されたか否かを示す実験結果が示されている。図6には、この実験の結果得られた、仮硬化エネルギーと硬化率との関係を示している。
この実験において、硬化率は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)(Nicolet社製Magna860)を用いて、サンダードームアタッチメントにて、810cm−1付近のピーク波長を測定することによって求めた。より具体的には、硬化エネルギーを付与していない液体のピーク強度を0%硬度とし、ピーク強度の減少率を硬化率とした。なお、二重結合の消失が飽和して定常状態になった際のピーク強度を100%硬度とした。
図7は、輪郭ボケの有無を判定するための造形パターンを示す図である。本実験では、輪郭ボケを判定するために、図7に示す造形パターンを粉体層中に形成した。この造形パターンは、1mm×5mmの矩形形状を複数並べることにより構成されている。図7(A)は、仮硬化エネルギーが8.7mJ/cmの時に粉体層中に形成されたパターンであり、図7(B)は、仮硬化エネルギーが0mJ/cm、つまり、仮硬化エネルギーを与えていない場合に粉体層中に形成されたパターンである。
図8は、図7(A)の一部を拡大した図である。また、図9は、図7(B)の一部を拡大した図である。本実験では、造形パターン中のすべての矩形形状の長手方向の設計値(5mm)に対する誤差が、±1%の範囲内の場合に合格(OK)とし、それ以外の場合に不合格(NG)と判定した。この判定基準によれば、図8に示すように、仮硬化エネルギーが8.7mJ/cmの場合には、長手方向の寸法は、±1%の範囲に収まっているため合格となるが、図9に示すように、仮硬化エネルギーが0mJ/cmの場合には、長手方向の寸法が±1%の範囲を超えているため、判定結果は不合格となる。
この実験において、仮硬化によって本硬化が阻害されたか否かは、本硬化後の造形パターン中のすべての矩形形状の硬化率が95%以上で、かつ、硬化後の造形パターンの表面にタック性が残らない場合に合格(OK)と判定し、これらの条件を満たさない場合に不合格(NG)とした。なお、本硬化後の硬化率は、98%以上であることがより好ましい。本硬化エネルギーとしては、本実験では、170mJ/cmのエネルギーを与えた。なお、本硬化エネルギーは、マージンを考慮すると、200mJ/cm以上であることがより好ましい。
図5および図6に示した実験結果によれば、仮硬化によって造形物の硬化率が20%以上となれば、造形物に輪郭ボケは生じなかった。また、仮硬化による造形物の硬化率が49%を超え、62%以上となると、本硬化を行っても造形物の硬化率が所定の硬化率(95%)まで上がらないか、あるいは表面にタック性が残存し、仮硬化によって本硬化が阻害される結果となった。従って、この実験結果によれば、液体の硬化率が20%以上50%以下になるように、仮硬化エネルギーを付与することが好ましいことが確認された。この仮硬化エネルギーの範囲は、本実験で用いたインクでは、約5〜15mJ/cmである。なお、輪郭ボケおよび本硬化の阻害の両方の観点から、マージンを考慮すると、液体の硬化率が、30%以上40%以下になるように、仮硬化エネルギーを付与することがより好ましい。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…造形部
11…造形ステージ
12…枠体
13…アクチュエーター
20…粉体供給部
30…平坦化機構
40…粉体回収部
50…ヘッド部
51…タンク
60…硬化エネルギー付与部
61…本硬化用発光装置
62…仮硬化用発光装置
70…制御部
80…液体
81…粉体層
100…三次元造形装置
200…コンピューター

Claims (9)

  1. 三次元の物体を造形する三次元造形装置であって、
    粉末を含む粉末含有組成物を用いて粉体層を形成する粉体層形成部と、
    硬化性を有する液体を、前記粉体層の一方の面に向けて吐出するヘッド部と、
    前記液体が前記ヘッド部から吐出された後、前記液体が前記粉体層内を浸透して前記粉体層の他方の面に到達する前、かつ、前記液体の少なくとも一部が前記粉体層の前記一方の面よりも前記ヘッド部側にあるときに、前記液体に硬化エネルギーを付与する硬化エネルギー付与部と、
    を備える三次元造形装置。
  2. 請求項1に記載の三次元造形装置であって、
    前記硬化エネルギー付与部は、前記液体の硬化率が20%以上50%以下になるように、前記硬化エネルギーを付与する、三次元造形装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の三次元造形装置であって、
    前記硬化エネルギー付与部は、前記液体が吐出された後、前記液体のうち、前記粉体層の前記一方の面よりも前記ヘッド部側に位置する部分の流動性が、前記粉体層の前記一方の面よりも前記他方の面側に位置する部分の流動性よりも低くなるように前記硬化エネルギーを付与する、三次元造形装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の三次元造形装置であって、
    前記硬化エネルギー付与部は、前記ヘッド部から吐出された前記液体の前記一方の面に沿った直径が、前記液体が前記粉体層に着弾した際の直径に、前記粉体層の厚みの2倍の値を加算した値になる前に、前記硬化エネルギーの付与を開始する、三次元造形装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の三次元造形装置であって、
    前記硬化エネルギー付与部は、前記液体が前記ヘッド部から吐出された後、30ミリ秒から1秒までの間に、前記硬化エネルギーの付与を開始する、三次元造形装置。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の三次元造形装置であって、
    前記粉末含有組成物は、粉末と水溶性樹脂と溶剤とを含む、三次元造形装置。
  7. 三次元造形装置が三次元の物体を製造する製造方法であって、
    粉末を含む粉末含有組成物を用いて粉体層を形成し、
    硬化性を有する液体を、前記粉体層の一方の面に向けて吐出し、
    前記液体が吐出された後、前記液体が前記粉体層内を浸透して前記粉体層の他方の面に到達する前、かつ、前記液体の少なくとも一部が前記粉体層の前記一方の面よりも前記ヘッド部側にあるときに、前記液体に硬化エネルギーを付与する、
    製造方法。
  8. 請求項7に記載の製造方法であって、
    前記粉末含有組成物は、粉末と水溶性樹脂と溶剤とを含む、製造方法。
  9. 三次元造形装置を制御して三次元の物体を製造するためのコンピュータープログラムであって、
    前記三次元造形装置を制御して、粉末を含む粉末含有組成物を用いて粉体層を形成させる機能と、
    前記三次元造形装置を制御して、硬化性を有する液体を、前記粉体層の一方の面に向けて吐出させる機能と、
    前記三次元造形装置を制御して、前記液体が吐出された後、前記液体が前記粉体層内を浸透して前記粉体層の他方の面に到達する前、かつ、前記液体の少なくとも一部が前記粉体層の前記一方の面よりも前記ヘッド部側にあるときに、前記液体に硬化エネルギーを付与させる機能と、
    をコンピューターに実現させるコンピュータープログラム。
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