JP2016011331A - インク、インクセット、三次元造形物および三次元造形物の製造方法 - Google Patents

インク、インクセット、三次元造形物および三次元造形物の製造方法 Download PDF

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福本  浩
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Abstract

【課題】発色性に優れた三次元造形物を提供すること、発色性に優れた三次元造形物を効率よく製造することができる製造方法を提供すること、また、発色性に優れた三次元造形物の製造に好適に用いることができるインク、インクセットを提供すること。
【解決手段】本発明のインクは、層を積層することにより製造される三次元造形物の製造に用いられるインクであって、第1の領域と、当該第1の領域で囲まれた中空部としての第2の領域とを有する中空粒子を含むことを特徴とする。前記三次元造形物とした状態において、前記第1の領域の構成材料の屈折率n1と前記第2の領域の構成材料の屈折率n2との差n1−n2が0.25以上であるのが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、インク、インクセット、三次元造形物および三次元造形物の製造方法に関する。
従来より、例えば、三次元CADソフト等で生成した三次元物体のモデルを基にして、三次元造形物を形成する方法が知られている。
三次元造形物を形成する方法の一つとして、積層法が知られている。積層法では、一般的に、三次元物体のモデルを多数の二次元断面層に分割した後、各二次元断面層に対応する断面部材を順次造形しつつ、断面部材を順次積層することによって三次元造形物を形成する。
積層法は、造形しようとする三次元造形物のモデルさえあれば、直ちに形成することが可能であり、造形に先立って金型を作成するなどの必要がないので、迅速にしかも安価に三次元造形物を形成することが可能である。また、薄い板状の断面部材を一層ずつ積層して形成するので、例えば内部構造を有する複雑な物体であっても、複数の部品に分けることなく一体の造形物として形成することが可能である。
また、積層法では、複数種の三次元造形物を同一装置で好適に製造することができる。
また、積層法では、造形領域(ステージ)の大きさにもよるが、複数個、複数種の三次元造形物を同時進行的に製造することができる。
このような積層法としては、例えば、特許文献1に記載されたような方法がある。
しかしながら、従来においては、着色した三次元造形物(白色の三次元造形物を含む)を得る場合に、発色性を十分に優れたものとすることができないという問題があった。
このような問題を解決する目的で、白色の三次元造形物を得る場合には、白色顔料である酸化チタンを含む結合剤材料(白色結合剤材料)を付与することが行われてきた。また、白色以外の色で着色した三次元造形物を得る場合には、製造すべき三次元造形物の着色剤を含む結合剤材料(カラー結合剤材料)が付与されるべき領域よりも内側(中心部側)に白色顔料である酸化チタンを含む結合剤材料(白色結合剤材料)を付与することにより、白色部を形成することが行われてきた。
しかしながら、酸化チタンは、比重が大きいため、結合剤材料中に含ませた場合に、沈降を生じやすく、結合剤材料中での均一な分散が困難であった。また、酸化チタンの沈降等を防止するためには、三次元造形物の製造装置に、結合剤材料の撹拌機構を設ける必要があるが、この場合、装置の大型化、複雑化を招き、装置のコストが上昇する。
また、酸化チタンは、結合剤材料を構成する他の成分に比べて高価な材料である。
このようなことから、酸化チタンを用いた場合には、三次元造形物の生産コストが上昇する。
また、酸化チタンは、光の遮蔽性が高い材料であるため、例えば、結合剤材料が光硬化性樹脂(紫外線硬化性樹脂を含む)を含むものである場合、三次元造形物を製造する際に、光硬化性樹脂を硬化させるための光が酸化チタンによって遮蔽されてしまい、光硬化性樹脂の硬化反応を好適に進行させることができないという問題があった。
特開平6−218712号公報
本発明の目的は、発色性に優れた三次元造形物を提供すること、発色性に優れた三次元造形物を効率よく製造することができる製造方法を提供すること、また、発色性に優れた三次元造形物の製造に好適に用いることができるインク、インクセットを提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のインクは、層を積層することにより製造される三次元造形物の製造に用いられるインクであって、
第1の領域と、当該第1の領域で囲まれた中空部としての第2の領域とを有する中空粒子を含むことを特徴とする。
これにより、発色性に優れた三次元造形物の製造に好適に用いることができるインクを提供することができる。
本発明のインクでは、前記三次元造形物とした状態において、前記第1の領域の構成材料の屈折率n1と前記第2の領域の構成材料の屈折率n2との差n1−n2が0.25以上であることが好ましい。
これにより、三次元造形物の発色性を特に優れたものとすることができる。
本発明のインクでは、前記中空粒子に加えて、紫外線硬化性樹脂を含むことが好ましい。
これにより、三次元造形物の機械的強度を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形物の生産性、インクの保存安定性等を特に優れたものとすることができる。
本発明のインクでは、前記第2の領域の平均径は、0.01μm以上80μm以下であることが好ましい。
これにより、三次元造形物の発色性を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形物の軽量化の効果を特に顕著に発揮させることができる。
本発明のインクでは、前記中空粒子の平均粒径が0.1μm以上100μm以下であることが好ましい。
これにより、三次元造形物の発色性、機械的強度、寸法精度を特に優れたものとすることができる。
本発明のインクでは、前記第1の領域は、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、スチレン−アクリル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよび炭酸カルシウムよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものであることが好ましい。
これにより、三次元造形物の発色性を容易かつ確実に優れたものとすることができる。また、三次元造形物の機械的強度、寸法精度を特に優れたものとすることができる。
本発明のインクでは、前記第1の領域の平均厚さは、0.04μm以上24μm以下であることが好ましい。
これにより、三次元造形物の発色性を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形物の機械的強度、寸法精度を特に優れたものとすることができる。
本発明のインクでは、前記第2の領域の構成材料は、気体であることが好ましい。
これにより、三次元造形物の発色性を容易かつ確実に優れたものとすることができる。また、三次元造形物のさらなる軽量化を図ることができる。
本発明のインクでは、前記第2の領域の構成材料は、空気であることが好ましい。
これにより、三次元造形物の発色性を、より容易にまたより確実に優れたものとすることができる。また、三次元造形物の生産コストのさらなる低減を図ることができる。
本発明のインクでは、前記中空粒子全体の体積に占める前記第2の領域の体積の割合は、1体積%以上90体積%以下であることが好ましい。
これにより、三次元造形物の発色性を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形物の機械的強度、寸法精度を特に優れたものとしつつ、三次元造形物の軽量化の効果を特に顕著に発揮させることができる。
本発明のインクは、粒体を含む組成物を用いて形成された層に、付与されるものであることが好ましい。
これにより、製造される三次元造形物の形状の安定性、寸法精度等を特に優れたものとすることができる。
本発明のインクセットは、層を積層することにより製造される三次元造形物の製造に用いられる複数種のインクを備えたインクセットであって、
第1の領域と、当該第1の領域で囲まれた中空部としての第2の領域とを有する中空粒子を含むインクを少なくとも1種備えていることを特徴とする。
これにより、発色性に優れた三次元造形物の製造に好適に用いることができるインクセットを提供することができる。
本発明の三次元造形物は、本発明のインクを用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、発色性に優れた三次元造形物を提供することができる。
本発明の三次元造形物は、本発明のインクセットを用いて製造されたことを特徴とする三次元造形物。
これにより、発色性に優れた三次元造形物を提供することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法は、三次元造形用組成物を用いて層を形成する層形成工程と、
前記層のうち所定の領域に、結合剤を含む結着液を付与する結着液付与工程とを有し、
これらの工程を順次繰り返し行うことにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、
前記結着液は、第1の領域と、当該第1の領域で囲まれた中空部としての第2の領域とを有する中空粒子を含むインクであることを特徴とする。
これにより、発色性に優れた三次元造形物を効率よく製造することができる製造方法を提供することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法の好適な実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の三次元造形物の製造方法の好適な実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の三次元造形物の製造に用いるインク(結着液)の一例を模式的に示す拡大断面図である。 各実施例および各比較例で製造する三次元造形物(三次元造形物A)の形状を示す斜視図である。 各実施例および各比較例で製造する三次元造形物(三次元造形物B)の形状を示す斜視図である。
以下、添付する図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細な説明をする。
《三次元造形物の製造方法》
まず、本発明の三次元造形物の製造方法について説明する。
図1、図2は、本発明の三次元造形物の製造方法の好適な実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。
図1、図2に示すように、本実施形態の製造方法は、粒体を含む組成物(三次元造形用組成物)1’を用いて、所定の厚さを有する層1を形成する層形成工程(1a、1d)と、インクジェット法により、層1に対し、インク(結着液)2を付与するインク付与工程(1b、1e)と、層1に付与されたインク(結着液)2中に含まれる結合剤22を硬化させ、粒体を結合させることにより、層1中に結合部(硬化部)3を形成する硬化工程(1c、1f)とを有し、これらの工程を順次繰り返し行い(1g)、さらに、その後に、各層1を構成する粒体のうち、結合部3以外のものを除去する未結合粒子除去工程(1h)を有している。
以下、各工程について説明する。
≪層形成工程≫
層形成工程では、粒体を含む組成物(三次元造形用組成物)1’を用いて、所定の厚さを有する層1を形成する(1a、1d)。
特に、1回目の層形成工程では、ステージ(支持体)9上に、粒体を含む組成物(三次元造形用組成物)1’を用いて、所定の厚さを有する層1を形成し(1a)、2回目以降の層形成工程では、層1(結合部3が形成された層1)上に、粒体を含む組成物(三次元造形用組成物)1’を用いて、所定の厚さを有する新たな層1を形成する(1d)。
なお、組成物(三次元造形用組成物)1’については、後に詳述する。
本工程では、スキージー、ローラー等の平坦化手段を用いて、層1を表面が平坦化されたものとして形成する。
本工程で形成される層1の厚さは、特に限定されないが、例えば、30μm以上500μm以下であるのが好ましく、70μm以上150μm以下であるのがより好ましい。これにより、三次元造形物10の生産性を十分に優れたものとしつつ、製造される三次元造形物10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。
なお、例えば、三次元造形用組成物1’が固体状(ペレット状)をなすものである場合(例えば、三次元造形用組成物1’が保存温度(例えば、室温(25℃))付近において固体状をなすバインダーとしての熱可塑性樹脂を含むものであり、当該バインダーにより複数の粒体が結合された状態のものである場合)、層形成に先立って、三次元造形用組成物1’を加熱により溶融し、流動性を有する状態にしてもよい。これにより、簡易な方法で、層形成を効率よく行うことができ、形成される層1の厚さの不本意なばらつきをより効果的に防止することができる。その結果、より寸法精度の高い三次元造形物10をより高い生産性で製造することができる。
また、三次元造形用組成物1’が固体状(ペレット状)をなすものである場合において、層形成に先立って、三次元造形用組成物1’を加熱により溶融し、流動性を有する状態とする場合、加熱により三次元造形用組成物1’が流動性を有する状態において、粒体は、粒状を維持している必要がある。
≪インク付与工程(結着液付与工程)≫
層1に対して、インクジェット法により、層1を構成する粒体を結合する機能を有するインク(結着液)2を付与する(1b、1e)。
本工程では、層1のうち三次元造形物10の実部(実体のある部位)に対応する部位にのみ、選択的にインク(結着液)2を付与する。
これにより、層1を構成する粒体同士を結合させ、最終的に所望の形状の結合部(硬化部)3を形成することができる。
特に、本工程では、インクジェット法によりインク2を付与するため、インク2の付与パターンが微細な形状のものであっても再現性よくインク2を付与することができる。その結果、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度を特に高いものとすることができる。
また、2回目以降のインク付与工程(1e参照)で層1に付与されたインク2は、当該層1を構成する粒体同士を結合に利用されるとともに、付与されたインク2の一部は、それよりも下の層1に浸透する。このため、インク2は、各層1内での粒体同士を結合だけでなく、隣接する層間での粒体同士の結合にも利用される。その結果、最終的に得られる三次元造形物10は、全体としての機械的強度に優れたものとなる。
インク(結着液)2は、後に説明するような中空粒子21を含むものである。これにより、発色性に優れた三次元造形物10を好適に製造することができる。
なお、インク(結着液)2については、後に詳述する。
≪硬化工程(結合工程)≫
インク付与工程で層1にインク2を付与した後、層1に付与されたインク2に含まれる結合剤22を硬化させ、結合部(硬化部)3を形成する(1c、1f)。これにより、(硬化をさせない場合に比べて)結合剤22と粒体との結合強度を特に優れたものとすることができ、その結果、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができる。
本工程は、結合剤22の種類により異なるが、例えば、結合剤22が熱硬化性樹脂の場合、加熱により行うことができ、結合剤22が光硬化性樹脂の場合、対応する光の照射により行うことができる(例えば、結合剤22が紫外線硬化性樹脂の場合は紫外線の照射により行うことができる)。
結合剤22が光硬化性樹脂の場合(特に、紫外線硬化性樹脂の場合)、従来においては、硬化させるべき部位が酸化チタンを含む材料で構成されたものである場合等に、酸化チタンが光を遮蔽してしまい、光硬化性樹脂の硬化が好適に進行しないという問題があったが、本発明では、インクが後に詳述するような中空粒子を含むものであるため、光の透過性を優れたものとすることができる。このため、短時間でかつ比較的少ないエネルギー量で、結合剤22を十分に硬化させることができる。したがって、三次元造形物の生産性の向上、省エネルギーの観点からも有利である。
本工程を紫外線の照射により行う場合、当該紫外線のピーク波長は、340nm以上400nm以下であるのが好ましく、350nm以上380nm以下であるのがより好ましい。
このようにして形成される結合部(硬化部)3は、中空部212を有する中空粒子21を含むものである。すなわち、接合部(硬化部)3を構成する中空粒子は、第1の領域(シェル部)211と、第1の領域211で囲まれた中空部としての第2の領域(コア部)212とを有するものである。
これにより、第1の領域211と第2の領域212との界面で、外光を効果的に反射する(散乱させる)ことができ、最終的に得られる三次元造形物10における発色性を優れたものとすることができる。
また、中空粒子21を含むことにより、三次元造形物10において、酸化チタン等の白色顔料を用いなくても、白色を好適に表現することができる。
また、このような中空粒子21は、第2の領域(中空部)212を有しているので、中空部を有さない粒子(中実粒子)に比べて軽量化を図ることができる。このため、三次元造形物10の軽量化を図ることができる。
また、このような中空粒子21を用いることにより、外光を効果的に反射する(散乱させる)ことができる一方で、酸化チタンのように、光硬化性樹脂を硬化させる光(例えば、紫外線)を隠蔽してしまうという問題の発生も効果的に防止することができる。したがって、三次元造形物10の製造時における光硬化性樹脂の硬化反応を効果的に進行させることができ、三次元造形物10の生産性を優れたものとすることができるとともに、三次元造形物10の機械的強度を確実に優れたものとすることができる。
また、このような中空粒子21は、一般に、酸化チタンに比べて安価であるため、三次元造形物10の生産コストの低減の観点からも有利である。
中空粒子21は、第1の領域211と第2の領域212とを有するものであればよいが、第1の領域211の構成材料の屈折率をn1と第2の領域212の構成材料の屈折率をn2としたとき、n1−n2≧0.25の関係を満足するものであるのが好ましく、n1−n2≧0.45の関係を満足するものであるのがより好ましく、n1−n2≧0.50の関係を満足するものであるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
なお、本発明において、特に断りのない限り、屈折率とは、絶対屈折率のことを指し、25℃において、波長589.3nmの光を用いた測定により得られる値のことを言う。
中空粒子21の平均粒径は、0.1μm以上100μm以下であるのが好ましく、0.3μm以上30μm以下であるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の発色性を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができるとともに、三次元造形物10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。
なお、本明細書において、平均粒径とは、体積基準の平均径を言い、例えば、サンプルをメタノールに添加し、超音波分散器で3分間分散した分散液をコールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INS製TA−II型)にて、50μmのアパチャーを用いて測定することにより求めることができる。
第1の領域211は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、第1の領域211の構成材料としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、スチレン−アクリル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等の有機材料、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等の無機材料、有機材料と無機材料との複合材料等が挙げられる。
中でも、第1の領域211は、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、スチレン−アクリル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよび炭酸カルシウムよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものであるのが好ましい。
これにより、第1の領域211と第2の領域212との屈折率の差を容易に好適な値にすることができ、三次元造形物10の発色性を容易かつ確実に優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の機械的強度、寸法精度を特に優れたものとすることができる。
第1の領域211の平均厚さは、0.04μm以上24μm以下であるのが好ましく、0.1μm以上14μm以下であるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の発色性を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の機械的強度、寸法精度を特に優れたものとすることができる。
第2の領域212は、例えば、各種気体で構成されたものとすることができる。
これにより、第1の領域211と第2の領域212との屈折率の差を容易に好適な値にすることができ、三次元造形物10の発色性を容易かつ確実に優れたものとすることができる。また、三次元造形物10のさらなる軽量化を図ることができる。
各種気体の中でも、第2の領域212は、空気で構成されたものであるのが好ましい。
これにより、第1の領域211と第2の領域212との屈折率の差をより容易に好適な値にすることができ、三次元造形物10の発色性を、より容易にまたより確実に優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の生産コストのさらなる低減を図ることができる。
なお、第2の領域212は、減圧状態または真空であってもよい。このような場合、屈折率n2としては、1.00を採用することができる。
第2の領域212の平均径は、0.01μm以上80μm以下であるのが好ましく、0.05μm以上10μm以下であるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の発色性を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の軽量化の効果を特に顕著に発揮させることができる。
なお、本明細書において、平均径とは、体積基準の平均径を言う。
三次元造形物10を構成する層1全体の体積に占める第2の領域212の体積の総和の割合は、1体積%以上90体積%以下であるのが好ましく、2体積%以上85体積%以下であるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の発色性を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の機械的強度、寸法精度を特に優れたものとしつつ、三次元造形物10の軽量化の効果を特に顕著に発揮させることができる。
中空粒子21全体の体積に占める第2の領域212の体積の割合は、2体積%以上95体積%以下であるのが好ましく、5体積%以上90体積%以下であるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の発色性を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の機械的強度、寸法精度を特に優れたものとしつつ、三次元造形物10の軽量化の効果を特に顕著に発揮させることができる。
結合剤22により形成された結合部(硬化部)3の屈折率をn3、第1の領域211の屈折率をn1としたとき、−0.10≦n3−n1≦0.10の関係を満足するのが好ましく、−0.07≦n3−n1≦0.07の関係を満足するのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の発色性を特に優れたものとすることができる。
なお、インク付与工程と硬化工程とは、同時進行的に行ってもよい。すなわち、1つの層1全体のパターン全体が形成される前に、インク2が付与された部位から順次硬化反応を進行させるものであってもよい。
≪未結合粒子除去工程≫
そして、前記のような一連の工程を繰り返し行った後に、後処理工程として、各層1を構成する粒体のうち、結合剤22により結合していないもの(未結合粒子)を除去する未結合粒子除去工程(1h)を行う。これにより、三次元造形物10が取り出される。
本工程の具体的な方法としては、例えば、刷毛等で未結合粒子を払い除ける方法、未結合粒子を吸引により除去する方法、空気等の気体を吹き付ける方法、水等の液体を付与する方法(例えば、液体中に前記のようにして得られた積層体を浸漬する方法、液体を吹き付ける方法等)、超音波振動等の振動を付与する方法等が挙げられる。また、これらから選択される2種以上の方法を組み合わせて行うことができる。より具体的には、空気等の気体を吹き付けた後に、水等の液体に浸漬する方法や、水等の液体に浸漬した状態で、超音波振動を付与する方法等が挙げられる。中でも、前記のようにして得られた積層体に対し、水を含む液体を付与する方法(特に、水を含む液体中に浸漬する方法)を採用するのが好ましい。
前述したような製造方法によれば、発色性に優れた三次元造形物を効率よく製造することができる。
《三次元造形用組成物》
次に、三次元造形物の製造に用いる三次元造形用組成物1’について説明する。
三次元造形用組成物1’は、層を積層することにより三次元造形物を製造するのに用いられるものである。
そして、三次元造形用組成物1’は、インク2が付与される層1を形成するものである。
これにより、製造される三次元造形物10の形状の安定性、寸法精度等を特に優れたものとすることができる。
(粒体)
三次元造形用組成物1’は、粒体を含むものである。
粒体の構成材料としては、例えば、無機材料や有機材料、これらの複合体等が挙げられる。
粒体を構成する無機材料としては、例えば、各種金属や金属化合物等が挙げられる。金属化合物としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコン、酸化錫、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム等の各種金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の各種金属水酸化物;窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミ等の各種金属窒化物;炭化珪素、炭化チタン等の各種金属炭化物;硫化亜鉛等の各種金属硫化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の各種金属の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の各種金属の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等の各種金属のケイ酸塩;リン酸カルシウム等の各種金属のリン酸塩;ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム等の各種金属のホウ酸塩や、これらの複合化物等が挙げられる。
粒体を構成する有機材料としては、例えば、合成樹脂、天然高分子等が挙げられ、より具体的には、ポリエチレン樹脂;ポリプロピレン;ポリエチレンオキサイド;ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン;ポリスチレン;ポリウレタン;ポリウレア;ポリエステル;シリコーン樹脂;アクリルシリコーン樹脂;ポリメタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとする重合体;メタクリル酸メチルクロスポリマー等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとするクロスポリマー(エチレンアクリル酸共重合樹脂等);ナイロン12、ナイロン6、共重合ナイロン等のポリアミド樹脂;ポリイミド;カルボキシメチルセルロース;ゼラチン;デンプン;キチン;キトサン等が挙げられる。
中でも、粒体は、無機材料で構成されたものであるのが好ましく、金属酸化物で構成されたものであるのがより好ましく、シリカで構成されたものであるのがさらに好ましい。これにより、三次元造形物10の機械的強度、耐光性等の特性を特に優れたものとすることができる。また、特に、粒体がシリカで構成されたものであると、前述した効果がより顕著に発揮される。また、シリカは、流動性にも優れているため、厚さの均一性がより高い層1の形成に有利であるとともに、三次元造形物10の生産性、寸法精度を特に優れたものとする上でも有利である。
粒体は、疎水化処理等の表面処理が施されたものであってもよい。
粒体に施された疎水化処理としては、粒体(母粒子)の疎水性を高める処理であればいかなるものであってもよいが、炭化水素基を導入するものであるのが好ましい。これにより、粒体の疎水性をより高いものとすることができる。また、容易かつ確実に、各粒体や粒体表面の各部位での疎水化処理の程度の均一性をより高いものとすることができる。
疎水化処理に用いる化合物としては、シリル基を含むシラン化合物が好ましい。疎水化処理に用いることのできる化合物の具体例としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、1−プロペニルメチルジクロロシラン、プロピルジメチルクロロシラン、プロピルメチルジクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、テトラデシルトリクロロシラン、3−チオシアネートプロピルトリエトキシシラン、p−トリルジメチルクロロシラン、p−トリルメチルジクロロシラン、p−トリルトリクロロシラン、p−トリルトリメトキシシラン、p−トリルトリエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブチロキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブチロキシシラン、ジ−t−ブチルジ−t−ブチロキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクタデシルメチルジエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチルクロロシラン、オクタデシルメチルジクロロシラン、オクタデシルメトキシジクロロシラン、7−オクテニルジメチルクロロシラン、7−オクテニルトリクロロシラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、オクチルメチルジクロロシラン、オクチルジメチルクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、10−ウンデセニルジメチルクロロシラン、ウンデシルトリクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、メチルオクタデシルジメトキシシラン、メチルドデシルジエトキシシラン、メチルオクタデシルジメトキシシラン、メチルオクタデシルジエトキシシラン、n−オクチルメチルジメトキシシラン、n−オクチルメチルジエトキシシラン、トリアコンチルジメチルクロロシラン、トリアコンチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルイソプロポキシシラン、メチル−n−ブチロキシシラン、メチルトリ−sec−ブチロキシシラン、メチルトリ−t−ブチロキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルイソプロポキシシラン、エチル−n−ブチロキシシラン、エチルトリ−sec−ブチロキシシラン、エチルトリ−t−ブチロキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、2−〔2−(トリクロロシリル)エチル〕ピリジン、4−〔2−(トリクロロシリル)エチル〕ピリジン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1,3−(トリクロロシリルメチル)ヘプタコサン、ジベンジルジメトキシシラン、ジベンジルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、フェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルメチルジメトキシシラン、ベンジルジメチルメトキシシラン、ベンジルジメトキシシラン、ベンジルジエトキシシラン、ベンジルメチルジエトキシシラン、ベンジルジメチルエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ジベンジルジメトキシシラン、ジベンジルジエトキシシラン、3−アセトキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、6−(アミノヘキシルアミノプロピル)トリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシシラン、ω−アミノウンデシルトリメトキシシラン、アミルトリエトキシシラン、ベンゾオキサシレピンジメチルエステル、5−(ビシクロヘプテニル)トリエトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、8−ブロモオクチルトリメトキシシラン、ブロモフェニルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、2−クロロメチルトリエトキシシラン、クロロメチルメチルジエトキシシラン、クロロメチルメチルジイソプロポキシラン、p−(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、クロロフェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、2−(4−クロロスルフォニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、2−シアノエチルトリメトキシシラン、シアノメチルフェネチルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリメトキシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリエトキシシラン、3−シクロヘキセニルトリクロロシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリクロロシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルジメチルクロロシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルメチルジクロロシシラン、
シクロヘキシルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジクロロシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、(シクロヘキシルメチル)トリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロオクチルトリクロロシラン、(4−シクロオクテニル)トリクロロシラン、シクロペンチルトリクロロシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、1,1−ジエトキシ−1−シラシクロペンタ−3−エン、3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、(ジメチルクロロシリル)メチル−7,7−ジメチルノルピナン、(シクロヘキシルアミノメチル)メチルジエトキシシラン、(3−シクロペンタジエニルプロピル)トリエトキシシラン、N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(フルフリルオキシメチル)トリエトキシシラン、2−ヒドロキシ−4−(3−トリエトキシプロポキシ)ジフェニルケトン、3−(p−メトキシフェニル)プロピルメチルジクロロシラン、3−(p−メトキシフェニル)プロピルトリクロロシラン、p−(メチルフェネチル)メチルジクロロシラン,p−(メチルフェネチル)トリクロロシラン、p−(メチルフェネチル)ジメチルクロロシラン、3−モルフォリノプロピルトリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、1,2,3,4,7,7,−ヘキサクロロ−6−メチルジエトキシシリル−2−ノルボルネン、1,2,3,4,7,7,−ヘキサクロロ−6−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、3−ヨードプロピルトリメトキシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチル{2−(3−トリメトキシシリルプロピルアミノ)エチルアミノ}−3−プロピオネート、7−オクテニルトリメトキシシラン、R−N−α−フェネチル−N’−トリエトキシシリルプロピルウレア、S−N−α−フェネチル−N’−トリエトキシシリルプロピルウレア、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルメチルジメトキシシラン、フェネチルジメチルメトキシシラン、フェネチルジメトキシシラン、フェネチルジエトキシシラン、フェネチルメチルジエトキシシラン、フェネチルジメチルエトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、(3−フェニルプロピル)ジメチルクロロシラン、(3−フェニルプロピル)メチルジクロロシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(トリエトキシシリルプロピル)ダンシルアミド、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、2−(トリエトキシシリルエチル)−5−(クロロアセトキシ)ビシクロヘプタン、(S)−N−トリエトキシシリルプロピル−O−メントカルバメート、3−(トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンズアミド、3−(トリエトキシシリル)プロピルサクシニック無水物、N−〔5−(トリメトキシシリル)−2−アザ−1−オキソ−ペンチル〕カプロラクタム、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、N−(トリメトキシシリルエチル)ベンジル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、フェニルビニルジエトキシシラン、3−チオシアナートプロピルトリエトキシシラン、(トリデカフロオロ−1,1,2,2,−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、N−{3−(トリエトキシシリル)プロピル}フタルアミド酸、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジメトキシシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシシラン、1−トリメトキシシリル−2−(クロロメチル)フェニルエタン、2−(トリメトキシシリル)エチルフェニルスルホニルアジド、β−トリメトキシシリルエチル−2−ピリジン、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリブチルアンモニウムブロマイド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリブチルアンモニウムクロライド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、ビニルメチルジエトキシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルフェニルジクロロシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、ビニルフェニルジメチルシラン、ビニルフェニルメチルクロロシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリス−t−ブトキシシラン、アダマンチルエチルトリクロロシラン、アリルフェニルトリクロロシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、3−アミノフェノキシジメチルビニルシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルジメチルクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、ベンジルトリクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ベンジルメチルジクロロシラン、フェネチルジイソプロピルクロロシラン、フェネチルトリクロロシラン、フェネチルジメチルクロロシラン、フェネチルメチルジクロロシラン、5−(ビシクロヘプテニル)トリクロロシラン、5−(ビシクロヘプテニル)トリエトキシシラン、2−(ビシクロヘプチル)ジメチルクロロシラン、2−(ビシクロヘプチル)トリクロロシラン、1,4−ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、ブロモフェニルトリクロロシラン、3−フェノキシプロピルジメチルクロロシラン、3−フェノキシプロピルトリクロロシラン、t−ブチルフェニルクロロシラン、t−ブチルフェニルメトキシシラン、t−ブチルフェニルジクロロシラン、p−(t−ブチル)フェネチルジメチルクロロシラン、p−(t−ブチル)フェネチルトリクロロシラン、1,3−(クロロジメチルシリルメチル)ヘプタコサン、((クロロメチル)フェニルエチル)ジメチルクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)メチルジクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)トリクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)トリメトキシシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリクロロシラン、2−シアノエチルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルメチルジエトキシシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルジメチルエトキシシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルトリクロロシラン、フッ化アルキルシラン等を挙げることができ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、ヘキサメチルジシラザンを疎水化処理に用いるのが好ましい。これにより、粒体の疎水性をより高いものとすることができる。また、容易かつ確実に、各粒体や粒体表面の各部位での疎水化処理の程度の均一性をより高いものとすることができる。
シラン化合物を用いた疎水化処理を液相で行う場合には、シラン化合物を含む液中に、疎水化処理を施すべき粒体(母粒子)を浸漬することで、好適に所望の反応を進行させることができ、シラン化合物の化学吸着膜を形成することができる。
また、シラン化合物を用いた疎水化処理を気相で行う場合には、シラン化合物の蒸気に疎水化処理を施すべき粒体(母粒子)を曝すことで、好適に所望の反応を進行させることができ、シラン化合物の化学吸着膜を形成することができる。
粒体の平均粒径は、特に限定されないが、1μm以上25μm以下であるのが好ましく、1μm以上15μm以下であるのがより好ましい。これにより、三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、複数個の粒体を含む組成物1’の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
粒体のDmaxは、3μm以上40μm以下であるのが好ましく、5μm以上30μm以下であるのがより好ましい。これにより、三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、複数個の粒体を含む組成物1’の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
粒体は、いかなる形状を有するものであってもよいが、球形状をなすものであるのが好ましい。これにより、複数個の粒体を含む組成物1’の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。
組成物1’中における粒体の含有率は、10質量%以上90質量%以下であるのが好ましく、15質量%以上65質量%以下であるのがより好ましい。これにより、組成物(粒体含有組成物)1’の流動性を十分に優れたものとしつつ、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができる。
三次元造形用組成物1’は、粒体を含むものであればよいが、さらに、溶剤と、バインダーとを含むものであるのが好ましい。
これにより、三次元造形用組成物1’の取り扱い性(取り扱いのしやすさ)を特に優れたものとすることができ、厚さの均一性がより高い層1を容易に形成することができるとともに、層1の不本意な変形をより効果的に防止することができる。その結果、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。
(水溶性樹脂)
組成物1’は、複数個の粒体とともに、バインダーとしての水溶性樹脂を含むものであってもよい。水溶性樹脂を含むことにより、層1のインク2が付与されていない部位において粒体同士を結合(仮固定)し、粒体の不本意な飛散等を効果的に防止することができる。これにより、作業者の安全や、製造される三次元造形物10の寸法精度の向上を図ることができる。
水溶性樹脂は、少なくともその一部が水に可溶なものであればよいが、例えば、25℃における水に対する溶解度(水100gに溶解可能な質量)が5[g/100g水]以上のものであるのが好ましく、10[g/100g水]以上のものであるのがより好ましい。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリカプロラクトンジオール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、変性ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのランダム共重合ポリマー等の合成ポリマー、コーンスターチ、マンナン、ペクチン、寒天、アルギン酸、デキストラン、にかわ、ゼラチン等の天然ポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酸化でんぷん、変性でんぷん等の半合成ポリマー等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
水溶性樹脂製品の具体例としては、例えば、メチルセルロース(信越化学社製、メトローズSM−15)、ヒドロキシエチルセルローズ(フジケミカル社製、AL−15)、ヒドロキシプロピルセルローズ(日本ソーダ社製、HPC−M)、カルボキシメチルセルローズ(ニチリン化学社製、CMC−30)、澱粉リン酸エステルナトリュウム(I)(松谷化学社製、ホスター5100)、ポリビニールピロリドン(東京化学社製、PVP K−90)、メチルビニールエーテル/無水マレイン酸コポリマー(GAFガントレット社製、AN−139)、ポリアクリルアミド(和光純薬社製)、変性ポリアミド(変性ナイロン)(東レ社製、AQナイロン)、ポリエチレンオキサイド(製鉄化学社製、PEO−1、明成化学工業社製、アルコックス)、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのランダム共重合ポリマー(明成化学工業社製、アルコックスEP)、ポリアクリル酸ナトリウム(和光純薬社製)、カルボキシビニルポリマー/架橋型アクリル系水溶性樹脂(住友精化社製、アクペック)等が挙げられる。
中でも、バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルアルコールである場合、三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができる。また、ケン化度や重合度の調整により、バインダーの特性(例えば、水溶性、耐水性等)や組成物1’の特性(例えば、粘度、粒体の固定力、濡れ性等)をより好適に制御することができる。このため、多様な三次元造形物10の製造により好適に対応することができる。また、ポリビニルアルコールは、各種水溶性樹脂の中でも、安価で、かつ、供給が安定したものである。このため、生産コストを抑制しつつ、安定的な三次元造形物10の製造を行うことができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルアルコールを含むものである場合、当該ポリビニルアルコールのケン化度は、85以上90以下であるのが好ましい。これにより、水に対するポリビニルアルコールの溶解度の低下を抑制することができる。そのため、組成物1’が水を含むものである場合に、隣接する層1間の接着性の低下をより効果的に抑制することができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルアルコールを含むものである場合、当該ポリビニルアルコールの重合度は、300以上1000以下であるのが好ましい。これにより、組成物1’が水を含むものである場合に、各層1の機械的強度や隣接する層1間の接着性を特に優れたものとすることができる。
また、バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルピロリドン(PVP)である場合、以下のような効果が得られる。すなわち、ポリビニルピロリドンは、ガラス、金属、プラスチック等の各種材料に対する接着性に優れているため、層1のうちインク2が付与されない部分の強度・形状の安定性を特に優れたものとし、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、ポリビニルピロリドンは、各種有機溶剤に対して、高い溶解性を示すため、組成物1’が有機溶剤を含む場合において、組成物1’の流動性を特に優れたものとすることができ、不本意な厚さのばらつきがより効果的に防止された層1を好適に形成することができ、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、ポリビニルピロリドンは、水に対しても高い溶解性を示すため、未結合粒子除去工程(造形終了後)において、各層1を構成する粒体のうち、結合剤22により結合していないものを容易かつ確実に除去することができる。また、ポリビニルピロリドンは、各種着色剤との親和性に優れているため、インク付与工程において着色剤を含むインク2を用いた場合に、着色剤が不本意に拡散してしまうのを効果的に防止することができる。また、ポリビニルピロリドンには帯電防止機能があるため、層形成工程において組成物1’としてペースト化していない粉体を用いる場合に、当該粉体の飛散を効果的に防止することができる。また、層形成工程において組成物1’としてペースト化されたものを用いる場合に、ペースト状の組成物1’がポリビニルピロリドンを含むものであると、組成物1’中に泡が巻き込まれてしまうことを効果的に防止することができ、層形成工程において、泡の巻き込みによる欠陥が発生するのを効果的により防止することができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルピロリドンを含むものである場合、当該ポリビニルピロリドンの重量平均分子量は、10000以上1700000以下であるのが好ましく、30000以上1500000以下であるのがより好ましい。これにより、前述した機能をより効果的に発揮することができる。
また、バインダーとしての水溶性樹脂がポリカプロラクトンジオールである場合、組成物1’を好適にペレット状とすることができ、粒体の不本意な飛散等をより効果的に防止することができ、組成物1’の取り扱い性(取り扱いの容易性)が向上し、作業者の安全や、製造される三次元造形物10の寸法精度の向上を図ることができるとともに、比較的低い温度で溶融させることができるため、三次元造形物10の生産に要するエネルギー・コストを抑制することができるとともに、三次元造形物10の生産性を十分に優れたものとすることができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリカプロラクトンジオールを含むものである場合、当該ポリカプロラクトンジオールの重量平均分子量は、10000以上1700000以下であるのが好ましく、30000以上1500000以下であるのがより好ましい。これにより、前述した機能をより効果的に発揮することができる。
組成物1’中において、バインダーとしての水溶性樹脂は、少なくとも層形成工程において、液状の状態(例えば、溶解状態、溶融状態等)をなすものであるのが好ましい。これにより、容易かつ確実に、組成物1’を用いて形成される層1の厚さの均一性を、より高いものとすることができる。
(溶剤)
組成物1’は、前述したような成分に加えて、揮発性の溶剤を含むものであってもよい。これにより、組成物1’の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。また、層1の形成時に、粒体が不本意に飛散すること等をより効果的に防止することができる。
溶剤は、バインダーを溶解するものであるのが好ましい。これにより、組成物1’の流動性を良好なものとすることができ、組成物1’を用いて形成される層1の厚さの不本意なばらつきをより効果的に防止することができる。また、溶剤が除去された状態の層1を形成した際に、層1全体にわたって、より高い均一性で、バインダーを粒体に付着させることができ、不本意な組成のむらが発生するのをより効果的に防止することができる。このため、最終的に得られる三次元造形物10の各部位での機械的強度の不本意なばらつきの発生をより効果的に防止することができ、三次元造形物10の信頼性をより高いものとすることができる。
組成物1’を構成する溶剤としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール性溶剤;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート、プロピレングリコール1−モノエチルエーテル2−アセタート等のグリコールエーテルアセテート系溶剤;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、組成物1’は、水を含むものであるのが好ましい。これにより、バインダーとしての水溶性樹脂をより確実に溶解することができ、組成物1’の流動性、組成物1’を用いて形成される層1の組成の均一性を特に優れたものとすることができる。また、水は層1形成後の除去が容易であるとともに、三次元造形物10中に残存した場合においても悪影響を与えにくい。また、人体に対する安全性、環境問題の観点等からも有利である。
組成物1’が溶剤を含むものである場合、組成物1’中における溶剤の含有率は、5質量%以上75質量%以下であるのが好ましく、35質量%以上70質量%以下であるのがより好ましい。これにより、前述したような溶剤を含むことによる効果がより顕著に発揮されるとともに、三次元造形物10の製造過程において溶剤を短時間で容易に除去することができるため、三次元造形物10の生産性向上の観点から有利である。
特に、組成物1’が溶剤として水を含むものである場合、組成物1’中における水の含有率は、20質量%以上73質量%以下であるのが好ましく、50質量%以上70質量%以下であるのがより好ましい。これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
(その他の成分)
また、組成物1’は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、水溶性樹脂以外のバインダー;重合開始剤;重合促進剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤等が挙げられる。
《インク(結着液)》
次に、本発明のインクについて詳細に説明する。
図3は、本発明の三次元造形物の製造に用いるインク(結着液)の一例を模式的に示す拡大断面図である。
インク2は、中空粒子21を含むものである。
(中空粒子)
インク2を構成する中空粒子21は、第1の領域211と、当該第1の領域211で囲まれた中空部としての第2の領域212とを有するものである。
このような中空粒子を含むインク2を用いることにより、製造される三次元造形物10は、発色性に優れたものとなる。
インク2を構成する中空粒子21は、第1の領域211、第2の領域212について、最終的な三次元造形物10中に含まれる中空粒子21が有する第1の領域211、第2の領域212について述べたのと同様の条件を満足するものであるのが好ましい。
これにより、発色性に優れた三次元造形物10をより容易に製造することができる。また、製造される三次元造形物10の発色性を特に優れたものとすることができる。
また、インク2を構成する中空粒子21は、最終的な三次元造形物10中に含まれる中空粒子21とは、異なる条件のものであってもよい。
例えば、中空粒子21は、三次元造形物10の製造過程において、変形するものであってもよい。
また、中空粒子21は、三次元造形物10の製造過程において、変質(例えば、重合反応の進行による分子量の変化)するものであってもよい。
また、図3に示す構成では、単一の中空粒子21が、第2の領域(コア部)212を1つだけ有しており、これを膜状の第1の領域(シェル部)211が覆っている、コアシェル構造を有している。
このような構成であることにより、三次元造形物10の寸法精度、機械的強度を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の製造時においては、中空粒子21を含むインク2の流動性、インクジェット法等による吐出安定性を好適なものとすることができ、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
また、図3に示す構成では、中空粒子21は、球状をなすものであるが、中空粒子21の形状は、これに限定されず、いかなるものであってもよい。
例えば、中空粒子21は、紡錘形状(回転楕円体)等であってもよい。
また、中空粒子21は、第1の領域211によって仕切られた複数の第2の領域212を有するものであってもよい。例えば、中空粒子21は、図3に示すような中空のコアシェル構造を有する粒子が複数個凝集したような形態のものであってもよい。
インク2中における中空粒子21の含有率は、1質量%以上30質量%以下であるのが好ましく、5質量%以上20質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、インク2の吐出安定性を特に優れたものとしつつ、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができる。
(結合剤)
インク2’は、前述した中空粒子21に加え、結合剤22を含むものである。
結合剤22は、粒体を結合する機能を有するものである。
結合剤22としては、例えば、熱可塑性樹脂;熱硬化性樹脂;可視光領域の光により硬化する可視光硬化性樹脂(狭義の光硬化性樹脂)、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化性樹脂等の各種光硬化性樹脂;X線硬化性樹脂等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、得られる三次元造形物10の機械的強度や三次元造形物10の生産性等の観点から、結合剤22は、硬化性樹脂が好ましい。また、各種硬化性樹脂の中でも、得られる三次元造形物10の機械的強度や三次元造形物10の生産性、インク2の保存安定性等の観点から、特に、紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)が好ましい。
紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)としては、紫外線照射により、光重合開始剤から生じるラジカル種またはカチオン種等により、付加重合または開環重合が開始され、重合体を生じるものが好ましく使用される。付加重合の重合様式として、ラジカル、カチオン、アニオン、メタセシス、配位重合が挙げられる。また、開環重合の重合様式として、カチオン、アニオン、ラジカル、メタセシス、配位重合が挙げられる。
付加重合性化合物としては、例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物等が挙げられる。付加重合性化合物として、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく使用できる。
エチレン性不飽和重合性化合物は、単官能の重合性化合物および多官能の重合性化合物、またはそれらの混合物の化学的形態をもつ。単官能の重合性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステル類、アミド類等が挙げられる。多官能の重合性化合物としては、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類とイソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、カルボン酸との脱水縮合反応物等も使用できる。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類またはチオール類との置換反応物も使用できる。
不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルであるラジカル重合性化合物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルが代表的であり、単官能のもの、多官能のもののいずれも用いることができる。
単官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
二官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
三官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
四官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
五官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
六官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリレート以外の重合性化合物としては、例えば、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステル等が挙げられる。
イタコン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられる。
クロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等が挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げられる。
マレイン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
その他のエステルの例としては、例えば、特公昭46−27926号公報、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報に記載のアミノ基を含有するもの等も用いることができる。
また、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドのモノマーの具体例としては、例えば、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
その他の好ましいアミド系モノマーとしては、例えば、特公昭54−21726号公報に記載のシクロへキシレン構造を有するもの等が挙げられる。
また、イソシアネートと水酸基との付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(1)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(R)COOCHCH(R)OH (1)
(ただし、式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に、HまたはCHを示す。)
本発明において、エポキシ基、オキセタン基等の環状エーテル基を分子内に1つ以上有するカチオン開環重合性の化合物を紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)として好適に用いることができる。
カチオン重合性化合物としては、例えば、開環重合性基を含む硬化性化合物等が挙げられ、中でも、ヘテロ環状基含有硬化性化合物が特に好ましい。このような硬化性化合物としては、例えば、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、環状ラクトン誘導体、環状カーボネート誘導体、オキサゾリン誘導体などの環状イミノエーテル類、ビニルエーテル類等が挙げられ、中でも、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、ビニルエーテル類が好ましい。
好ましいエポキシ誘導体の例としては、例えば、単官能グリシジルエーテル類、多官能グリシジルエーテル類、単官能脂環式エポキシ類、多官能脂環式エポキシ類等が挙げられる。
グリシジルエーテル類の具体的な化合物を例示すると、例えば、ジグリシジルエーテル類(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等)、3官能以上のグリシジルエーテル類(例えば、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等)、4官能以上のグリシジルエーテル類(例えば、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル等)、脂環式エポキシ類(例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401(以上、ダイセル化学工業(株)製))、EHPE(ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテル等)、オキセタン類(例えば、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)等)等が挙げられる。
重合性化合物としては、脂環式エポキシ誘導体を好ましく用いることができる。「脂環式エポキシ基」とは、シクロペンテン基、シクロヘキセン基等のシクロアルケン環の二重結合を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化した部分構造を言う。
脂環式エポキシ化合物としては、シクロヘキセンオキシド基またはシクロペンテンオキシド基を1分子内に2個以上有する多官能脂環式エポキシ類が好ましい。脂環式エポキシ化合物の具体例としては、例えば、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、ジ(2,3−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオキサイド等が挙げられる。
分子内に脂環式構造を有しない通常のエポキシ基を有するグリシジル化合物を、単独で使用したり、前記の脂環式エポキシ化合物と併用することもできる。
このような通常のグリシジル化合物としては、例えば、グリシジルエーテル化合物やグリシジルエステル化合物等を挙げることができるが、グリシジルエーテル化合物を併用することが好ましい。
グリシジルエーテル化合物の具体例を挙げると、例えば、1,3−ビス(2,3−エポキシプロピロキシ)ベンゼン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポシキ樹脂、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂等の芳香族グリシジルエーテル化合物、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリトリグリシジルエーテル等の脂肪族グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。グリシジルエステルとしては、例えば、リノレン酸ダイマーのグリシジルエステル等を挙げることができる。
重合性化合物としては、4員環の環状エーテルであるオキセタニル基を有する化合物(以下、単に「オキセタン化合物」ともいう。)を使用することができる。オキセタニル基含有化合物は、1分子中にオキセタニル基を1個以上有する化合物である。
結合剤22は、それ単独で液状をなすもの(流動性を有するもの)であるのが好ましい。
これにより、インク2の構成成分として揮発性の溶剤を用いなくても、結合剤22を、中空粒子21を分散させる分散媒として機能させることができ(図3参照)、中空粒子21を好適に分散させることができる。その結果、三次元造形物10の製造過程において、溶剤の蒸発工程を設けなくてもよく、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。また、最終的に得られる三次元造形物10中に溶剤が残存することによる不都合の発生を効果的に防止することができる。
インク2中における結合剤22の含有率は、80質量%以上であるのが好ましく、85質量%以上であるのがより好ましい。これにより、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができる。
(その他の成分)
また、インク2は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、顔料、染料等の各種着色剤;分散剤;界面活性剤;重合開始剤;重合促進剤;溶剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤;増粘剤;フィラー;凝集防止剤;消泡剤等が挙げられる。
特に、インク2が着色剤を含むことにより、着色剤の色に対応する色に着色された三次元造形物10を得ることができる。
特に、着色剤として、顔料を含むことにより、インク2、三次元造形物10の耐光性を良好なものとすることができる。顔料は、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前述したように、本発明では、酸化チタンのような白色顔料を用いなくても発色性に優れた三次元造形物を得ることができるが、発色性のさらなる向上等を目的に、前述したような問題を十分に防止できる範囲で、酸化チタン等の白色顔料を用いてもよい。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに詳しくは、黒色(ブラック)の顔料として使用されるカーボンブラックとしては、例えば、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(以上、キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ(Degussa)社製)等が挙げられる。
白色(ホワイト)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21等が挙げられる。
黄色(イエロー)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180等が挙げられる。
紅紫色(マゼンタ)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、またはC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50等が挙げられる。
藍紫色(シアン)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バット ブルー 4、60等が挙げられる。
また、前記以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン 7,10、C.I.ピグメントブラウン 3,5,25,26、C.I.ピグメントオレンジ 1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63等が挙げられる。
インク2が顔料を含むものである場合、当該顔料の平均粒径は、300nm以下であるのが好ましく、50nm以上250nm以下であるのがより好ましい。これにより、インク2の吐出安定性やインク2中における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができるとともに、より優れた画質の画像を形成することができる。
また、染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、および塩基性染料等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
染料の具体例としては、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35等が挙げられる。
インク2が着色剤を含むものである場合、当該インク2中における着色剤の含有率は、1質量%以上20質量%以下であるのが好ましい。これにより、特に優れた隠蔽性および色再現性が得られる。
インク2が顔料を含む場合に、分散剤をさらに含むものであると、顔料の分散性をより良好なものとすることができる。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤等の顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。高分子分散剤の具体例としては、例えば、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、およびエポキシ樹脂のうち1種以上を主成分とするもの等が挙げられる。高分子分散剤の市販品としては、例えば、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、ノベオン(Noveon)社から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 36000等)、BYK社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズ等が挙げられる。
インク2が界面活性剤を含むものであると、三次元造形物10の耐擦性をより良好なものとすることができる。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤としての、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等を用いることができ、中でも、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いるのが好ましい。界面活性剤の具体例としては、例えば、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(以上、BYK社製商品名)等を挙げられる。
また、インク2は、溶剤を含むものであってもよい。
これにより、インク2の粘度調整を好適に行うことでき、インク2が高粘度の成分を含むものであっても、インク2のインクジェット方式による吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
インク2中における溶剤の含有率は、5質量%以下であるのが好ましく、1質量%以下であるのがより好ましく、特に、インク2は、揮発性の溶剤を含まないものであるのが好ましい。
また、インク2の粘度は、10mPa・s以上30mPa・s以下であるのが好ましく、15mPa・s以上25mPa・s以下であるのがより好ましい。
これにより、インクジェット法によるインク2の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。なお、本明細書中において、粘度とは、E型粘度計(東京計器社製 VISCONIC ELD)を用いて25℃において測定される値をいう。
《インクセット》
次に、本発明のインクセットについて説明する。
本発明のインクセットは、複数種のインクを備えるものであって、そのうち少なくとも1種のインクとして、前述したような本発明のインクを備えるものである。
これにより、発色性に優れた三次元造形物を好適に製造することができる。
また、複数種のインクを備えることにより、多色の三次元造形物を製造したり、製造される三次元造形物の色再現領域を広いものとすることができる。
インクセットが着色剤を含むインクを備えるものである場合、少なくとも、藍紫色(シアン)のインク、紅紫色(マゼンタ)のインクおよび黄色(イエロー)のインクを備えるのが好ましい。
これにより、表現できる色再現領域をより広いものとすることができる。
また、本発明のインクセットは、前述したような本発明のインクを複数種備えるものであってもよい。
これにより、製造される三次元造形物における発色性の調整、白色度の調整をより好適に行うことができる。
また、本発明のインクセットは、中空粒子も着色剤も含まない透明のインクを備えるものであってもよい。
これにより、三次元造形物の外観上、色調に影響を与えない領域に付与するインクとして着色剤を含まないインクを用いることができる。また、三次元造形物の外表面に、中空粒子も着色剤も含まない透明のインクを用いて形成された領域(コート層)を設けることができ、三次元造形物の耐久性の向上を図ることができる。
《三次元造形物》
次に、本発明の三次元造形物について説明する。
本発明の三次元造形物は、前述したような本発明のインク、本発明のインクセットを用いて製造されたものである。
これにより、発色性に優れた三次元造形物を提供することができる。
本発明の三次元造形物の用途は、特に限定されないが、例えば、人形、フィギュア等の鑑賞物・展示物;インプラント等の医療機器等が挙げられる。
また、本発明の三次元造形物は、プロトタイプ、量産品、オーダーメード品のいずれに適用されるものであってもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、インク中において結合剤が中空粒子を分散する液状の分散媒として機能する場合について中心的に説明したが、結合剤はインク中において固体状をなすものであってもよい。例えば、インク中において、結合剤は、中空粒子とともに揮発性の溶剤(分散媒)に分散した状態のものであってもよい。
また、前述した実施形態では、全ての層に対して、結合部を形成するものとして説明したが、結合部が形成されない層を有していてもよい。例えば、ステージの直上に形成された層に対して、結合部を形成しないものとし、犠牲層として機能させてもよい。
また、前述した実施形態では、インク付与工程をインクジェット法により行う場合について中心的に説明したが、インク付与工程は他の方法(例えば、他の印刷方法)を用いて行うものであってもよい。
また、本発明の三次元造形物を製造する製造方法においては、必要に応じて、前処理工程、中間処理工程、後処理工程を行ってもよい。
前処理工程としては、例えば、ステージの清掃工程等が挙げられる。
中間処理工程としては、例えば、三次元造形用組成物がペレット状をなすものである場合、層形成工程とインク付与工程との間に、加熱を中止等する工程(バインダー固化工程)を有していてもよい。これにより、バインダーが固体状態となり、層を粒体同士の結合力がより強いものとして得ることができる。また、例えば、三次元造形用組成物が水等の溶剤成分(分散媒)を含むものである場合、層形成工程とインク付与工程との間に、当該溶剤成分を除去する溶剤成分除去工程を有していてもよい。これにより、層形成工程をより円滑に行うことができ、形成される層の厚さの不本意なばらつきをより効果的に防止することができる。その結果、より寸法精度の高い三次元造形物をより高い生産性で製造することができる。
後処理工程としては、例えば、洗浄工程、バリ取り等を行う形状調整工程、着色工程、被覆層形成工程、未硬化の結合剤22を確実に硬化させるための光照射処理や加熱処理を行う結合剤硬化完了工程等が挙げられる。
また、前述した実施形態では、インク付与工程と硬化工程(結合工程)とを有する方法について中心的に説明したが、例えば、インクが結合剤として熱可塑性樹脂を含むものを用いた場合には、インク付与工程の後に硬化工程(結合工程)を設ける必要がない(インク付与工程に結合工程を兼ねさせることができる)。
前述した実施形態では、層の形成に用いる組成物(三次元造形用組成物)が、粒体に加え、他の成分(溶剤、バインダー等)を含むものである場合について中心的に説明したが、組成物(三次元造形用組成物)は、少なくとも粒体を含むものであればよく、他の成分を含まないものであってもよい。
また、前述した実施形態では、粒体を含む組成物(三次元造形用組成物)を用いて層を形成し、当該層に中空粒子を含むインクを所定のパターンで付与する方法について説明したが、本発明においては、中空粒子を含むインクを用いて三次元造形物を製造すればよく、前述したような粒体を含む組成物(三次元造形用組成物)を用いないで、三次元造形物を製造してもよい。これにより、三次元造形物の製造に用いる材料を少なくすることができ、結合剤により結合しなかった粒体の除去・回収の処理を省略することができる。
以下に具体的な実施例をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に温度条件を示していない処理は、室温(25℃)において行ったものである。また、各種測定条件についても特に温度条件を示していないものは、室温(25℃)における数値である。
(実施例1)
[1]インク(結着液)の製造
以下の各成分を混合し、インク(結着液)を製造した。
<中空粒子>
・第1の領域がスチレン−アクリル共重合体(屈折率n1:1.50)で構成され、第2の領域が空気(屈折率n2:1.00)で構成された、コアシェル構造を有し球状をなす中空粒子:10質量部
<重合性化合物>
・アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル:27質量部
・フェノキシエチルアクリレート:5質量部
・2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート:13.75質量部
・ジプロピレングリコールジアクリレート:15質量部
・4−ヒドロキシブチルアクリレート:20質量部
<重合開始剤>
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド:5質量部
・2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド:4質量部
<蛍光増白剤(増感剤)>
・1,4−ビス−(ベンズオキサゾイル−2−イル)ナフタレン:0.25質量部
なお、中空粒子は、平均粒径が0.4μm、第1の領域の平均厚さが0.1μm、第2の領域の平均径が0.2μmであった。
また、インクの25℃における粘度は、23mPa・sであった。
[2]三次元造形物の製造
前記のようにして得られたインクを用いて、図4に示すような形状、すなわち、JIS K 7139:1996(ISO 3167:1993)に準拠したダンベル状の三次元造形物A(全長:200mm)、および、図5に示すような形状、すなわち、厚さ:4mm×幅:10mm×長さ:80mmの立方体形状である三次元造形物Bを、以下のようにして製造した。
まず、シリカ粉末(粒体):100質量部と、水:325質量部と、ポリビニルピロリドン(重量平均分子量:50000):50質量部とを混合し、三次元造形用組成物を得た。シリカ粉末の平均粒径は2.6μm、Dmaxは10μmであった。なお、平均粒径およびDmaxは、サンプルをメタノールに添加し、超音波分散器で3分間分散した分散液をコールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INS製TA−II型)にて、50μmのアパチャーを用いて測定することにより求めた。
次に、支持体(ステージ)の表面に、前記のようにして得られた三次元造形用組成物を用いて、スキージー法により、厚さ:20μmの層を形成した(層形成工程)。本工程における組成物の粘度は、10000mPa・sであった。
次に、形成された層を加熱する溶剤除去工程(層加熱工程)を行った。
溶剤除去工程では、加熱温度:40℃×加熱時間:20秒という条件の第1の加熱処理と、加熱温度:60℃×加熱時間:20秒という条件の第2の加熱処理とをこの順で行った。
また、第1の加熱処理、第2の加熱処理は、いずれも、熱風の吹き付けにより行った。第1の加熱処理での熱風の風速は7.5m/秒、第2の加熱処理での熱風の風速は7.5m/秒であった。
次に、三次元造形用組成物で構成された層に、インクジェット法により、所定のパターンで前記のようにして調製したインク(結着液)を付与した(インク付与工程)。
次に、前記層に紫外線を照射し、三次元造形用組成物中に含まれる結合剤を硬化させた(硬化工程)。
その後、製造すべき三次元造形物の形状に応じて、インクの付与パターンを変更しつつ、複数の層が積層するように、前記層形成工程ないし硬化工程の一連の工程を繰り返し行った。
その後、前記のようにして得られた積層体を水中に浸漬し、超音波振動を付与することにより、各層のうち結合剤により結合していないもの(未結合部)を除去し、三次元造形物Aおよび三次元造形物Bをそれぞれ2個ずつ得た。
その後、60℃×20分間という条件で、乾燥処理を施した。
(実施例2〜9)
中空粒子の構成、中空粒子の配合量を表1に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にしてインクを調製し、また、前記実施例1と同様にして三次元造形物を製造した。
(比較例1)
中空粒子の代わりに中空部を有さない酸化チタン(平均粒径:2.8μm)を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてインクを調製し、また、前記実施例1と同様にして三次元造形物を製造した。
(比較例2)
中空粒子の代わりに中空部を有さないスチレン−アクリル共重合体製の粒体(平均粒径:2.8μm)を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてインクを調製し、また、前記実施例1と同様にして三次元造形物を製造した。
前記各実施例および比較例で用いたインクの条件、製造された三次元造形物の条件を表1にまとめて示した。なお、表1中、スチレン−アクリル共重合体を「StAc」、ポリスチレンを「PS」、ポリアクリロニトリルを「PAN」、ポリメタクリル酸メチルを「PMMA」、ポリエチレンを「PE」、ポリプロピレンを「PP」、二酸化珪素を「Si」、酸化アルミニウムを「Al」、炭酸カルシウムを「CaCO」、酸化チタンを「TiOポリビニルピロリドンを「PVP」で示した。
なお、前記各実施例では、インクの粘度は、いずれも、15mPa・s以上25mPa・s以下の範囲内の値であった。また、比較例1、2については、第1の領域の欄に粒体(中空粒子の代わりに用いた粒体)の条件を示した。なお、比較例1、2については、表1中の「平均厚さ」は、「平均粒径」に読み替えるものとする。
Figure 2016011331
[3]評価
[3.1]インク(結着液)の吐出安定性
前記各実施例および比較例のインク(結着液)について、下記に示すような試験による評価を行った。
まず、チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した液滴吐出装置および前記各実施例および比較例のインク(結着液)を用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、50%RHの環境下で、各インク(結着液)について、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、2000000発(2000000滴)の液滴の連続吐出を行った。その後、液滴吐出装置の運転を停止し、液滴吐出装置の流路に各インク(結着液)が充填された状態で、25℃、50%RHの環境下に、360時間放置した。
その後、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、25℃、50%RHの環境下で、4000000発(4000000滴)の液滴の連続吐出を行った。上記360時間放置した後の、液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルから吐出された4000000発の液滴について、ノズル面から500μm離れた基材(記録媒体)に着弾した各液滴の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。この値が小さいほど飛行曲がりの発生が効果的に防止されていると言える。
A:ズレ量dの平均値が0.07μm未満。
B:ズレ量dの平均値が0.07μm以上0.14μm未満。
C:ズレ量dの平均値が0.14μm以上0.17μm未満。
D:ズレ量dの平均値が0.17μm以上0.21μm未満。
E:ズレ量dの平均値が0.21μm以上。
[3.2]発色性
前記各実施例および各比較例の三次元造形物Aについて、光学濃度OD値を、SpectroScan(GretagMacbeth社製)を用いた測定により求め、以下の基準に従い発色性の評価を行った。
A:OD値が1.31以上である。
B:OD値が1.21以上1.31未満である。
C:OD値が1.11以上1.21未満である。
D:OD値が1.01以上1.11未満である。
E:OD値が1.01未満である。
[3.3]寸法精度
前記各実施例および各比較例の三次元造形物Bについて、厚さ、幅、長さを測定し、設計値からのずれ量を求め、以下の基準に従い評価した。
A:厚さ、幅、長さのうち、設計値からのずれ量が最も大きいものについての設計値からのずれ量が1.0%未満である。
B:厚さ、幅、長さのうち、設計値からのずれ量が最も大きいものについての設計値からのずれ量が1.0%以上2.0%未満である。
C:厚さ、幅、長さのうち、設計値からのずれ量が最も大きいものについての設計値からのずれ量が2.0%以上4.0%未満である。
D:厚さ、幅、長さのうち、設計値からのずれ量が最も大きいものについての設計値からのずれ量が4.0%以上7.0%未満である。
E:厚さ、幅、長さのうち、設計値からのずれ量が最も大きいものについての設計値からのずれ量が7.0%以上である。
[3.4]引張強度および引張弾性率
前記各実施例および各比較例の三次元造形物Aについて、JIS K 7161:1994(ISO 527:1993)に準拠し、引張降伏応力:50mm/分、引張弾性率:1mm/分という条件で測定を行い、引張強度および引張弾性率について、以下の基準に従い評価した。
(引張強度)
A:引張強度が35MPa以上。
B:引張強度が30MPa以上35MPa未満。
C:引張強度が20MPa以上30MPa未満。
D:引張強度が10MPa以上20MPa未満。
E:引張強度が10MPa未満。
(引張弾性率)
A:引張弾性率が1.5GPa以上。
B:引張弾性率が1.3GPa以上1.5GPa未満。
C:引張弾性率が1.1GPa以上1.3GPa未満。
D:引張弾性率が0.9GPa以上1.1GPa未満。
E:引張弾性率が0.9GPa未満。
[3.5]曲げ強度および曲げ弾性率
前記各実施例および各比較例の三次元造形物Bについて、JIS K 7171:1994(ISO 178:1993)に準拠し、支点間距離64mm、試験速度:2mm/分という条件で測定を行い、曲げ強度および曲げ弾性率について、以下の基準に従い評価した。
(曲げ強度)
A:曲げ強度が65MPa以上。
B:曲げ強度が60MPa以上65MPa未満。
C:曲げ強度が45MPa以上60MPa未満。
D:曲げ強度が30MPa以上45MPa未満。
E:曲げ強度が30MPa未満。
(曲げ弾性率)
A:曲げ弾性率が2.4GPa以上。
B:曲げ弾性率が2.3GPa以上2.4GPa未満。
C:曲げ弾性率が2.2GPa以上2.3GPa未満。
D:曲げ弾性率が2.1GPa以上2.2GPa未満。
E:曲げ弾性率が2.1GPa未満。
これらの結果を表2にまとめて示す。
Figure 2016011331
表2から明らかなように、本発明では、発色性に優れた三次元造形物を得ることができた。また、本発明では、寸法精度に優れ、機械的強度に優れた三次元造形物を得ることができた。また、本発明では、三次元造形物の製造に用いるインク(結着液)として、酸化チタンを含まないものを用いているので、インク(結着液)の吐出安定性が優れており、安定的に目的とする形状の三次元造形物を製造することができた。また、本発明では、酸化チタンを用いる必要がないので、三次元造形物の生産コストを抑制することができた。これに対し、比較例では、満足のいく結果が得られなかった。特に、酸化チタンを含む材料を用いて三次元造形物を製造した比較例1では、機械的強度が特に低いものであった。これは、酸化チタンの高い光の遮蔽性により、硬化工程における硬化反応が十分に進行しなかったこと、インク中における酸化チタンの分散状態が不均一であり、製造された三次元造形物においても、不本意な組成のばらつきがあったこと等によるためであると考えられる。
10…三次元造形物
1…層
1’…組成物(三次元造形用組成物)
2…インク(結着液)
21…中空粒子
211…第1の領域(シェル部)
212…第2の領域(中空部、コア部)
22…結合剤
3…結合部(硬化部)
9…支持体(ステージ)

Claims (15)

  1. 層を積層することにより製造される三次元造形物の製造に用いられるインクであって、
    第1の領域と、当該第1の領域で囲まれた中空部としての第2の領域とを有する中空粒子を含むことを特徴とするインク。
  2. 前記三次元造形物とした状態において、前記第1の領域の構成材料の屈折率n1と前記第2の領域の構成材料の屈折率n2との差n1−n2が0.25以上である請求項1に記載のインク。
  3. 前記中空粒子に加えて、紫外線硬化性樹脂を含む請求項1または2に記載のインク。
  4. 前記第2の領域の平均径は、0.01μm以上80μm以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインク。
  5. 前記中空粒子の平均粒径が0.1μm以上100μm以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインク。
  6. 前記第1の領域は、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、スチレン−アクリル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよび炭酸カルシウムよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものである請求項1ないし5のいずれか1項に記載のインク。
  7. 前記第1の領域の平均厚さは、0.04μm以上24μm以下である請求項1ないし6のいずれか1項に記載のインク。
  8. 前記第2の領域の構成材料は、気体である請求項1ないし7のいずれか1項に記載のインク。
  9. 前記第2の領域の構成材料は、空気である請求項8に記載のインク。
  10. 前記中空粒子全体の体積に占める前記第2の領域の体積の割合は、1体積%以上90体積%以下である請求項1ないし9のいずれか1項に記載のインク。
  11. インクは、粒体を含む組成物を用いて形成された層に、付与されるものである請求項1ないし10のいずれか1項に記載のインク。
  12. 層を積層することにより製造される三次元造形物の製造に用いられる複数種のインクを備えたインクセットであって、
    第1の領域と、当該第1の領域で囲まれた中空部としての第2の領域とを有する中空粒子を含むインクを少なくとも1種備えていることを特徴とするインクセット。
  13. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載のインクを用いて製造されたことを特徴とする三次元造形物。
  14. 請求項12に記載のインクセットを用いて製造されたことを特徴とする三次元造形物。
  15. 三次元造形用組成物を用いて層を形成する層形成工程と、
    前記層のうち所定の領域に、結合剤を含む結着液を付与する結着液付与工程とを有し、
    これらの工程を順次繰り返し行うことにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、
    前記結着液は、第1の領域と、当該第1の領域で囲まれた中空部としての第2の領域とを有する中空粒子を含むインクであることを特徴とする三次元造形物の製造方法。
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