JP2016078337A - 三次元造形物の製造方法および三次元造形物 - Google Patents

三次元造形物の製造方法および三次元造形物 Download PDF

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Abstract

【課題】寸法精度に優れた三次元造形物を効率よく製造することができる三次元造形物の製造方法を提供すること、また、寸法精度に優れた三次元造形物を提供すること。
【解決手段】本発明の三次元造形物の製造方法は、層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、粒子および溶剤を含む層形成用組成物を用いて前記層を形成する層形成工程と、前記溶剤を含む状態の前記層上に、固化部の形成に用いる液体を付与する第1の液体付与工程と、前記層から前記溶剤を除去する溶剤除去工程とを有することを特徴とする。また、前記固化部を含む前記層の表面のうち、当該層を平面視した際に当該固化部と重ならない領域に対して、前記液体を付与する前記第1の液体付与工程を有しているのが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、三次元造形物の製造方法および三次元造形物に関する。
粉末(粒子)を含む組成物を用いて粉末層(層)を形成し、これらを積層することにより、三次元造形物を造形する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、次のような操作を繰り返すことによって三次元造形物を造形する。まず、粉末を均一な厚さで薄く敷き詰めて粉末層を形成し、この粉末層の所望部分のみに結合剤材料(液体)を塗布して、粉末(粒子)同士を結合させて結合部を形成する。この結果、粉末同士が結合した結合部に薄い板状の部材(以下、「断面部材」という)が形成される。その後、その粉末層の上にさらに粉末層を薄く形成し、所望部分のみにおいて、選択的に粉末同士を結合させ結合部を形成する。その結果、新たに形成された粉末層にも、新たな断面部材が形成される。このとき、新たに形成された断面部材は、先に形成された断面部材にも結合される。このような操作を繰り返して、薄い板状の断面部材(結合部)を一層ずつ積層することによって、三次元造形物を造形することができる。
しかしながら、このような技術では、すでに形成されている層(下層)の表面に新たな層(上層)を形成し当該層(上層)に結合部を形成する場合において、当該層(上層)に形成すべき結合部が、下層に形成されている結合部と重ならない領域を有するものである場合、当該領域に結合部を形成するために付与したインクが、上層だけでなく下層にも浸透してしまい、目的とする形状の結合部を形成することができず、最終的に得られる三次元造形物の寸法精度が低下するという問題があった。
特開平6−218712号公報
本発明の目的は、寸法精度に優れた三次元造形物を効率よく製造することができる三次元造形物の製造方法を提供すること、また、寸法精度に優れた三次元造形物を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の三次元造形物の製造方法は、層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、
粒子および溶剤を含む層形成用組成物を用いて前記層を形成する層形成工程と、
前記溶剤を含む状態の前記層上に、固化部の形成に用いる液体を付与する第1の液体付与工程と、
前記層から前記溶剤を除去する溶剤除去工程とを有することを特徴とする。
これにより、寸法精度に優れた三次元造形物を効率よく製造することができる三次元造形物の製造方法を提供することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、下からn番目の前記層の表面に形成された前記固化部の少なくとも一部を、当該固化部の形成に係る前記第1の液体付与工程の後に行う前記層形成工程において、下から(n+1)番目の前記層中に埋没させることが好ましい(ただし、nは1以上の整数)。
これにより、三次元造形物の寸法精度を特に優れたものとすることができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記固化部を含む前記層の表面のうち、当該層を平面視した際に当該固化部と重ならない部位を含む領域に対して、前記液体を付与する前記第1の液体付与工程を有していることが好ましい。
これにより、本発明による効果がより顕著に発揮される。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記溶剤除去工程の後に、前記溶剤が除去された状態の前記層に固化部の形成に用いる液体を付与し、当該層中に当該液体を浸透させる第2の液体付与工程をさらに有していることが好ましい。
これにより、層の内部に固化部を形成することができ、最終的に得られる三次元造形物は、機械的強度に特に優れ、不本意な変形がより確実に防止されたより信頼性の高いものとなる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記層が形成されていないステージ上に固化部の形成に用いる液体を付与する第3の液体付与工程をさらに有することが好ましい。
これにより、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形物全体としての美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記層形成用組成物は、前記溶剤として水系溶剤を含むものであることが好ましい。
これにより、層形成用組成物の流動性、層形成用組成物を用いて形成される層の組成の均一性を特に優れたものとすることができる。また、水は層の形成後の除去が容易であるとともに、三次元造形物中に残存した場合においても悪影響を与えにくい。また、人体に対する安全性、環境問題の観点等からも有利である。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記層形成用組成物は、前記粒子および前記溶剤に加えて、バインダーを含むものであることが好ましい。
これにより、層形成用組成物を用いて形成された層において、複数個の粒子を好適に結合(仮固定)することができ、粒子の不本意な飛散等を効果的に防止することができる。これにより、作業者の安全や、製造される三次元造形物の寸法精度のさらなる向上を図ることができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記液体は、硬化性樹脂を含むものであることが好ましい。
これにより、得られる三次元造形物の機械的強度や三次元造形物の生産性等を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形物の寸法精度、信頼性を特に優れたものとすることができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記液体は、アクリル系重合性化合物を含むものであることが好ましい。
これにより、最終的に得られる三次元造形物の強度を特に優れたものとすることができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記液体は、シリコーン系重合性化合物を含むものであることが好ましい。
これにより、例えば、ゴム状の弾性を有する材料で構成された三次元造形物を好適に製造することができる。
本発明の三次元造形物は、本発明の三次元造形物の製造方法を用いて製造されたものであることを特徴とする。
これにより、寸法精度に優れた三次元造形物を提供することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法の好適な実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の三次元造形物の製造方法の好適な実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の三次元造形物の製造方法の好適な実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。
以下、添付する図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細な説明をする。
《三次元造形物の製造方法》
まず、本発明の三次元造形物の製造方法について説明する。
図1、図2、図3は、本発明の三次元造形物の製造方法の好適な実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。
図1、図2、図3に示すように、本実施形態の三次元造形物10の製造方法は、粒子11および溶剤12を含む層形成用組成物1’を用いて層1を形成する層形成工程(1b、1f、1j)と、溶剤12を含む状態の層1上に、固化部2(第1の固化部2A)の形成に用いる液体(固化部形成用液体)2’を付与する第1の液体付与工程(1c、1g)と、層1から溶剤12を除去する溶剤除去工程(1d、1h)と、溶剤12が除去された状態の層1に固化部2(第2の固化部2B)の形成に用いる液体(固化部形成用液体)2’を付与し、当該層1中に液体2’を浸透させる第2の液体付与工程(1e、1i)とを有し、これらの工程を順次繰り返し行い(1k)、さらに、その後に、各層1を構成する粒子11のうち、固化部2で結合していないものを除去する未結合粒子除去工程(1l)を有している。
このように、第1の液体付与工程において、溶剤12を含む状態の層1上に、固化部2(第1の固化部2A)の形成に用いる液体(固化部形成用液体)2’を付与することにより、固化部2の形成に用いる液体2’が目的とする部位以外の部位に不本意に浸透することを防止することができる。その結果、所望の形状の固化部2(第1の固化部2A)を容易かつ確実に形成することができ、結果として、寸法精度に優れた三次元造形物10を効率よく製造することができる。
また、本実施形態では、1回目の層形成工程に先立ち、層1(層形成用組成物1’を用いて形成される層1)が形成されていないステージ9上に固化部2(第3の固化部2C)の形成に用いる液体(固化部形成用液体)2’を付与する第3の液体付与工程をさらに有している(1a)。
これにより、最も下側の層1に埋没する固化部2(粒子11を含まない固化部2)を形成することができ、粒子11を含まない固化部2を含まない層1を形成しなくても済むため、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。また、最終的に得られる三次元造形物10において、側面視した際に外表面を構成する固化部2を、粒子11を含まない材料で構成された部位で統一することができるため、三次元造形物10全体としての美的外観を特に優れたものとすることができる。
以下、各工程について説明する。
≪第3の液体付与工程≫
第3の液体付与工程では、層1が形成されていないステージ9上に固化部2(第3の固化部2C)の形成に用いる液体2’をインクジェット法により付与する(1a参照)。
本工程においては、最終的に得られる三次元造形物10の一部に対応する部位に液体2’を付与する。図示の構成では、最終的に得られる三次元造形物10を側面視した際に視認されうる外表面付近の領域に対応する部位に、液体2’を付与している。
これにより、例えば、最終的に得られる三次元造形物10において、側面視した際に外表面を構成する固化部2を、粒子11を含まない材料で構成された部位で統一することができるため、三次元造形物10全体としての美的外観を特に優れたものとすることができる。
特に、本工程では、インクジェット法により液体2’を付与するため、液体2’の付与パターンが微細な形状のものであっても再現性よく液体2’を付与することができる。その結果、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度を特に高いものとすることができる。
液体2’は、固化部2(第3の固化部2C)の構成成分を含むものであればよく、例えば、樹脂材料を溶媒に溶解したものや、溶融した樹脂材料を含むもの、重合性化合物(未硬化の樹脂材料)を含むもの等を用いることができる。
付与された液体2’は、その後の所定の処理が施されることにより、固化部2(第3の固化部2C)となる(後述する第1の液体付与工程で付与される液体2’、第2の液体付与工程で付与される液体2’についても同様)。
例えば、液体2’として樹脂材料を溶媒に溶解したものを用いる場合、液体2’の付与の後に溶媒を除去することにより、固化部2が形成される。
また、液体2’として溶融した樹脂材料を含むものを用いる場合、液体2’の付与の後に冷却することにより、固化部2が形成される。
また、液体2’として重合性化合物(未硬化の樹脂材料)を含むものを用いる場合、液体2’の付与の後に重合性化合物を硬化させることにより、硬化部としての固化部2が形成される。重合性化合物の硬化方法は、重合性化合物の種類により異なる。例えば、重合性化合物が熱硬化性の重合性化合物(熱硬化性樹脂)である場合、加熱により硬化させることができ、重合性化合物が光硬化性の重合性化合物(光硬化性樹脂)である場合、光の照射により硬化させることができる。
また、単一の工程内において、所定の厚さの固化部2を形成するために、液体2’の付与と、液体2’の固化とを含む一連の処理を繰り返し行ってもよい。
なお、液体2’については、後に詳述する。
≪層形成工程≫
層形成工程では、粒子11および溶剤12を含む組成物(層形成用組成物)1’を用いて、所定の厚さを有する層1を形成する(1b、1f、1j参照)。
特に、1回目の層形成工程では、固化部2(第3の固化部2C)が設けられたステージ(支持体)9上に、粒子11および溶剤12を含む組成物(層形成用組成物)1’を用いて、所定の厚さを有する層1を形成し(1b)、2回目以降の層形成工程では、層1(図示の構成では、結合部3が形成された層1)上に、粒子11および溶剤12を含む組成物(層形成用組成物)1’を用いて、所定の厚さを有する新たな層1を形成する(1f、1j)。
なお、組成物(層形成用組成物)1’については、後に詳述する。
本工程では、スキージー、ローラー等の平坦化手段を用いて、層1を表面が平坦化されたものとして形成する。
また、本実施形態では、本工程で形成される層1中に、先に形成されている固化部2の少なくとも一部を埋没させるように行う。
すなわち、前述した第3の液体付与工程で形成された固化部2(第3の固化部2C)が外表面に露出している状態で行う層形成工程では、当該固化部2(第3の固化部2C)の少なくとも一部を埋没させるように行い(1b参照)、後述する第1の液体付与工程で形成された固化部2(第1の固化部2A)が外表面に露出している状態で行う層形成工程では、当該固化部2(第1の固化部2A)の少なくとも一部を埋没させるように行う(1f、1j参照)。
これにより、例えば、当該固化部2(本工程で層1に埋没する固化部2)の上面側に、後の工程で形成する固化部2の形状の安定性が向上する。その結果、三次元造形物10の寸法精度は特に優れたものとなる。
また、例えば、当該固化部2(本工程で層1に埋没する固化部2)を埋没させる層1の当該固化部2に接触する部位に、後の工程で、第2の固化部2Bを形成する場合に(1e、1i参照)、本工程で層1に埋没する固化部2と、第2の固化部2Bとの間で、不本意な高低差が生じることをより効果的に防止することができる。その結果、三次元造形物10の寸法精度は特に優れたものとなる。
また、本工程では、本工程で埋没される固化部2の上面に組成物1’(特に、粒子11)が残存しないように行うのが好ましい。
これにより、当該固化部2と、後の第1の液体付与工程で形成される固化部2(第1の固化部2A)との密着性の低下を防止することができる。また、美的外観が損なわれることを防止することができる。
図示の構成では、本工程で形成される層1の厚さが、埋没する固化部2(第3の固化部2C、第1の固化部2A)の厚さと同一であるが、本工程で形成される層1の厚さは、埋没する固化部2(第3の固化部2C、第1の固化部2A)の厚さよりも小さいものであってもよい。このような構成とする場合、例えば、本工程で形成される層1の外表面が、埋没する固化部2(第3の固化部2C、第1の固化部2A)の頂部よりも低い位置となるように、平坦化手段による押圧を調整すればよい。これにより、本工程で埋没される固化部2の上面に加わる、平坦化手段による押圧力を比較的大きいものとすることができ、本工程で埋没される固化部2の上面に組成物1’(特に、粒子11)が残存することをより効果的に防止することができる。
本工程で形成される層1の厚さは、特に限定されないが、例えば、20μm以上500μm以下であるのが好ましく、30μm以上150μm以下であるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の生産性を十分に優れたものとしつつ、製造される三次元造形物10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。
層形成工程における層形成用組成物の粘度は、500mPa・s以上1000000mPa・s以下であるのが好ましい。
これにより、本工程をより効率よく行うことができ、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。なお、本明細書中において、粘度とは、E型粘度計(東京計器社製 VISCONIC ELD)を用いて25℃において測定される値をいう。
≪第1の液体付与工程≫
第1の液体付与工程では、層形成工程で形成された溶剤12を含む状態の層1の表面(上面)を含む領域に、固化部2(第1の固化部2A)の形成に用いる液体2’を付与する(1c、1g参照)。
このように、液体2’を付与する際に、液体2’が付与される層1が溶剤12を含む状態であること、言い換えると、層1中での粒子11の隙間が溶剤で埋められた状態であることにより、当該層1の内部への液体2’の不本意な浸透を好適に防止することができ、層1の上面上に、所望の形状で固化部2(第1の固化部2A)を形成することができる。
特に、本実施形態では、埋没した固化部2(第1の固化部2A、第3の固化部2C)を含む層1の表面のうち、当該層1を平面視した際に当該固化部2(第1の固化部2A、第3の固化部2C)と重ならない部位を含む領域に対して、液体2’を付与する工程としての第1の液体付与工程を有している(1c、1g参照)。
従来の三次元造形法において、すでに形成されている層(下層)の表面に新たな層(上層)を形成し当該層(上層)に結合部(固化部)を形成する場合において、当該層(上層)に形成すべき結合部(固化部)が、下層に形成されている結合部(固化部)と重ならない領域を有するものである場合に、目的とする形状の結合部(固化部)を形成することができず、最終的に得られる三次元造形物の寸法精度が低下するという問題が顕著に発生していたが、本発明では、このような構成の三次元造形物を製造する場合であっても、最終的に得られる三次元造形物の寸法精度を優れたものとすることができる。したがって、埋没した固化部(第1の固化部、第3の固化部)を含む層の表面のうち、当該層を平面視した際に当該固化部(第1の固化部、第3の固化部)と重ならない部位を含む領域に対して、液体を付与する工程としての第1の液体付与工程を有する場合に、本発明の効果がより顕著に発揮される。
これに対し、層中に溶剤を含まない状態で、当該層の固化部が設けられていない部位に液体を付与した場合、当該層の表面に液体を保持するは困難であり、付与した液体は、当該層の内部に浸透してしまう。その結果、当該液体により、所望の形状の固化部を形成することは困難となり、製造される三次元造形物の寸法精度は低いものとなる。
また、本工程では、インクジェット法により液体2’を付与するため、液体2’の付与パターンが微細な形状のものであっても再現性よく液体2’を付与することができる。その結果、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度を特に高いものとすることができる。
≪溶剤除去工程≫
溶剤除去工程では、層1から溶剤12を除去する(1d、1h参照)。
これにより、層1を構成する粒子の間に、溶剤等が存在しない空間4が形成される。この空間4は、後の第2の液体付与工程で、液体2’を吸収する吸収部として機能する。
本工程は、層1から溶剤12を除去するものであればいかなる条件で行うものであってもよいが、例えば、加熱処理、減圧処理、送風等により行うことができる。
本工程を加熱により行う場合、層1の構成材料等(粒子11、溶剤12等の種類等)により異なるが、加熱温度は、例えば、30℃以上100℃以下であるのが好ましく、60℃以上95℃以下であるのがより好ましい。温度範囲の上限としては、急激な気化による形状変化防止のため溶剤12の沸点以下とすることが好ましい。
これにより、層1の構成材料等の不本意な変性や、層1等の不本意な変形等を防止ししつつ、効率よく溶剤12を除去することができ、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
≪第2の液体付与工程≫
第2の液体付与工程では、溶剤12が除去された状態の層1に固化部2(第2の固化部2B)の形成に用いる液体2’を付与し、当該層1中に液体2’を浸透させる(1e、1i参照)。
これにより、層1の内部(粒子11間の空間4であった部位)に固化部2(第2の固化部2B)を形成することができ、その結果、当該固化部2(第2の固化部2B)により粒子11が結合した結合部3を形成することができる。このようにして形成される結合部3は、粒子11と固化部2(第2の固化部2B)とを含むものであるため、硬度や機械的強度に特に優れたものとなる。したがって、最終的に得られる三次元造形物10は、機械的強度に特に優れ、不本意な変形がより確実に防止されたより信頼性の高いものとなる。
また、本工程では、インクジェット法により液体2’を付与するため、液体2’の付与パターンが微細な形状のものであっても再現性よく液体2’を付与することができる。その結果、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度を特に高いものとすることができる。
≪未結合粒子除去工程≫
そして、前記のような一連の工程を繰り返し行った後に(1k参照)、後処理工程として、各層1を構成する粒子11のうち、固化部2により結合していないもの(未結合粒子)を除去する未結合粒子除去工程(1l参照)を行う。これにより、三次元造形物10が取り出される。
本工程の具体的な方法としては、例えば、刷毛等で未結合粒子を払い除ける方法、未結合粒子を吸引により除去する方法、空気等の気体を吹き付ける方法、水等の液体を付与する方法(例えば、液体中に前記のようにして得られた積層体を浸漬する方法、液体を吹き付ける方法等)、超音波振動等の振動を付与する方法等が挙げられる。また、これらから選択される2種以上の方法を組み合わせて行うことができる。より具体的には、空気等の気体を吹き付けた後に、水等の液体に浸漬する方法や、水等の液体に浸漬した状態で、超音波振動を付与する方法等が挙げられる。中でも、前記のようにして得られた積層体に対し、水を含む液体を付与する方法(特に、水を含む液体中に浸漬する方法)を採用するのが好ましい。
前述したような本発明の製造方法によれば、寸法精度に優れ、機械的強度、耐久性に優れた三次元造形物を効率よく製造することができる。また、三次元造形物の歩留まりが向上するので、三次元造形物の製造コストの低減の観点からも有利である。
<液体(固化部形成用液体)>
次に、本発明の三次元造形物の製造に用いる液体(固化部形成用液体)について詳細に説明する。
液体(固化部形成用液体)2’は、少なくとも固化部2の構成成分(前駆体を含む)を含むものである。
(樹脂材料)
液体2’は、樹脂材料を含むものであるのが好ましい。
これにより、形成される固化部2の強度等を特に優れたものとすることができる。また、第2の固化部2Bにおいては、粒子11を結合する結合剤として好適に機能することができ、三次元造形物10の機械的強度、形状の安定性を特に優れたものとすることができる。
樹脂材料としては、例えば、熱可塑性樹脂;熱硬化性樹脂;可視光領域の光により硬化する可視光硬化性樹脂(狭義の光硬化性樹脂)、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化性樹脂等の各種光硬化性樹脂;X線硬化性樹脂等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、液体2’中に含まれる樹脂材料としては、硬化性樹脂であるのが好ましい。
これにより、得られる三次元造形物10の機械的強度や三次元造形物10の生産性等を特に優れたものとすることができる。また、硬化性樹脂を用いた場合、一般に、固化部2としての硬化部の耐熱性が優れたものとなるため、積層に伴い累積的な熱履歴を受ける固化部2に不本意な変形や、材料の不本意な変性、劣化が生じることをより効果的に防止することができ、三次元造形物10の寸法精度、信頼性を特に優れたものとすることができる。
また、各種硬化性樹脂の中でも、得られる三次元造形物10の機械的強度や三次元造形物10の生産性、液体2’の保存安定性等の観点から、特に、紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)が好ましい。
紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)としては、紫外線照射により、光重合開始剤から生じるラジカル種またはカチオン種等により、付加重合または開環重合が開始され、重合体を生じるものが好ましく使用される。付加重合の重合様式として、ラジカル、カチオン、アニオン、メタセシス、配位重合が挙げられる。また、開環重合の重合様式として、カチオン、アニオン、ラジカル、メタセシス、配位重合が挙げられる。
付加重合性化合物としては、例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物等が挙げられる。付加重合性化合物として、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく使用できる。
エチレン性不飽和重合性化合物は、単官能の重合性化合物および多官能の重合性化合物、またはそれらの混合物の化学的形態をもつ。単官能の重合性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステル類、アミド類等が挙げられる。多官能の重合性化合物としては、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
特に、液体2’は、重合性化合物として、アクリル酸、メタクリル酸またはこれらの誘導体(例えば、エステル化合物等)等のアクリル系重合性化合物を含むものであるのが好ましい。
これにより、最終的に得られる三次元造形物10の強度を特に優れたものとすることができる。
また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類とイソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、カルボン酸との脱水縮合反応物等も使用できる。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類またはチオール類との置換反応物も使用できる。
不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルであるラジカル重合性化合物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルが代表的であり、単官能のもの、多官能のもののいずれも用いることができる。
単官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
二官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
三官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
四官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
五官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
六官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリレート以外の重合性化合物としては、例えば、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステル等が挙げられる。
イタコン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられる。
クロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等が挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げられる。
マレイン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
その他のエステルの例としては、例えば、特公昭46−27926号公報、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報に記載のアミノ基を含有するもの等も用いることができる。
また、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドのモノマーの具体例としては、例えば、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
その他の好ましいアミド系モノマーとしては、例えば、特公昭54−21726号公報に記載のシクロへキシレン構造を有するもの等が挙げられる。
また、イソシアネートと水酸基との付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(1)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(R)COOCHCH(R)OH (1)
(ただし、式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に、HまたはCHを示す。)
本発明において、エポキシ基、オキセタン基等の環状エーテル基を分子内に1つ以上有するカチオン開環重合性の化合物を紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)として好適に用いることができる。
カチオン重合性化合物としては、例えば、開環重合性基を含む硬化性化合物等が挙げられ、中でも、ヘテロ環状基含有硬化性化合物が特に好ましい。このような硬化性化合物としては、例えば、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、環状ラクトン誘導体、環状カーボネート誘導体、オキサゾリン誘導体などの環状イミノエーテル類、ビニルエーテル類等が挙げられ、中でも、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、ビニルエーテル類が好ましい。
好ましいエポキシ誘導体の例としては、例えば、単官能グリシジルエーテル類、多官能グリシジルエーテル類、単官能脂環式エポキシ類、多官能脂環式エポキシ類等が挙げられる。
グリシジルエーテル類の具体的な化合物を例示すると、例えば、ジグリシジルエーテル類(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等)、3官能以上のグリシジルエーテル類(例えば、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等)、4官能以上のグリシジルエーテル類(例えば、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル等)、脂環式エポキシ類(例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401(以上、ダイセル化学工業(株)製))、EHPE(ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテル等)、オキセタン類(例えば、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)等)等が挙げられる。
重合性化合物としては、脂環式エポキシ誘導体を好ましく用いることができる。「脂環式エポキシ基」とは、シクロペンテン基、シクロヘキセン基等のシクロアルケン環の二重結合を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化した部分構造を言う。
脂環式エポキシ化合物としては、シクロヘキセンオキシド基またはシクロペンテンオキシド基を1分子内に2個以上有する多官能脂環式エポキシ類が好ましい。脂環式エポキシ化合物の具体例としては、例えば、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、ジ(2,3−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオキサイド等が挙げられる。
分子内に脂環式構造を有しない通常のエポキシ基を有するグリシジル化合物を、単独で使用したり、前記の脂環式エポキシ化合物と併用することもできる。
このような通常のグリシジル化合物としては、例えば、グリシジルエーテル化合物やグリシジルエステル化合物等を挙げることができるが、グリシジルエーテル化合物を併用することが好ましい。
グリシジルエーテル化合物の具体例を挙げると、例えば、1,3−ビス(2,3−エポキシプロピロキシ)ベンゼン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポシキ樹脂、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂等の芳香族グリシジルエーテル化合物、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリトリグリシジルエーテル等の脂肪族グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。グリシジルエステルとしては、例えば、リノレン酸ダイマーのグリシジルエステル等を挙げることができる。
重合性化合物としては、4員環の環状エーテルであるオキセタニル基を有する化合物(以下、単に「オキセタン化合物」ともいう。)を使用することができる。オキセタニル基含有化合物は、1分子中にオキセタニル基を1個以上有する化合物である。
また、液体2’は、重合性化合物として、シリコーン系重合性化合物(重合することによりシリコーン系樹脂となるもの)を含むものであってもよい。
これにより、例えば、ゴム状の弾性を有する材料で構成された三次元造形物10を好適に製造することができる。その結果、弾性変形による可動部、変形部を有する三次元造形物を好適に製造することができる。
液体2’中における樹脂材料の含有率は、80質量%以上であるのが好ましく、85質量%以上であるのがより好ましい。これにより、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度等を特に優れたものとすることができる。
(その他の成分)
また、液体2’は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、顔料、染料等の各種着色剤;分散剤;界面活性剤;重合開始剤;重合促進剤;溶剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤;増粘剤;フィラー;凝集防止剤;消泡剤等が挙げられる。
特に、液体2’が着色剤を含むことにより、着色剤の色に対応する色に着色された三次元造形物10を得ることができる。
特に、着色剤として、顔料を含むことにより、液体2’、三次元造形物10の耐光性を良好なものとすることができる。顔料は、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記無機顔料の中でも、好ましい白色を呈するためには、酸化チタンが好ましい。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに詳しくは、黒色(ブラック)の顔料として使用されるカーボンブラックとしては、例えば、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(以上、キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ(Degussa)社製)等が挙げられる。
白色(ホワイト)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21等が挙げられる。
黄色(イエロー)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180等が挙げられる。
紅紫色(マゼンタ)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、またはC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50等が挙げられる。
藍紫色(シアン)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バット ブルー 4、60等が挙げられる。
また、前記以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン 7,10、C.I.ピグメントブラウン 3,5,25,26、C.I.ピグメントオレンジ 1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63等が挙げられる。
液体2’が顔料を含むものである場合、当該顔料の平均粒径は、300nm以下であるのが好ましく、50nm以上250nm以下であるのがより好ましい。これにより、液体2’の吐出安定性や液体2’中における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができるとともに、より優れた画質の画像を形成することができる。
なお、本明細書において、平均粒径とは、体積基準の平均粒径を言い、例えば、サンプルをメタノールに添加し、超音波分散器で3分間分散した分散液をコールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INS製TA−II型)にて、50μmのアパチャーを用いて測定することにより求めることができる。
また、染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、および塩基性染料等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
染料の具体例としては、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35等が挙げられる。
液体2’が着色剤を含むものである場合、当該液体2’中における着色剤の含有率は、1質量%以上20質量%以下であるのが好ましい。これにより、特に優れた隠蔽性および色再現性が得られる。
特に、液体2’が着色剤として酸化チタンを含むものである場合、当該液体2’中における酸化チタンの含有率は、12質量%以上18質量%以下であるのが好ましく、14質量%以上16質量%以下であるのがより好ましい。これにより、特に優れた隠蔽性が得られる。
液体2’が顔料を含む場合に、分散剤をさらに含むものであると、顔料の分散性をより良好なものとすることができる。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤等の顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。高分子分散剤の具体例としては、例えば、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、およびエポキシ樹脂のうち1種以上を主成分とするもの等が挙げられる。高分子分散剤の市販品としては、例えば、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、ノベオン(Noveon)社から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 36000等)、BYK社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズ等が挙げられる。
液体2’が界面活性剤を含むものであると、三次元造形物10の耐擦性をより良好なものとすることができる。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤としての、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等を用いることができ、中でも、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いるのが好ましい。界面活性剤の具体例としては、例えば、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(以上、BYK社製商品名)等を挙げられる。
また、液体2’は、溶剤を含むものであってもよい。これにより、液体2’の粘度調整を好適に行うことでき、液体2’が高粘度の成分を含むものであっても、液体2’のインクジェット方式による吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、液体2’の粘度は、2mPa・s以上30mPa・s以下であるのが好ましく、5mPa・s以上20mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法による液体2’の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
また、三次元造形物10の製造には、複数種の液体2’を用いてもよい。
例えば、第1の液体付与工程で用いる液体2’(第1の固化部2Aの形成に用いる液体2’)、第2の液体付与工程で用いる液体2’(第2の固化部2Bの形成に用いる液体2’)、第3の液体付与工程で用いる液体2’(第3の固化部2Cの形成に用いる液体2’)は、互いに同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
また、着色剤を含む液体2’(カラーインク)と、着色剤を含まない液体2’(クリアインク)とを用いてもよい。これにより、例えば、三次元造形物10の外観上、色調に影響を与える領域に付与する液体2’として着色剤を含む液体2’を用い、三次元造形物10の外観上、色調に影響を与えない領域に付与する液体2’として着色剤を含まない液体2’を用いてもよい。また、最終的に得られる三次元造形物10において、着色剤を含む液体2’を用いて形成された領域の外表面に、着色剤を含まない液体2’を用いて形成された領域(コート層)を設けるように、複数種の液体2’を併用してもよい。
また、例えば、異なる組成の着色剤を含む複数種の液体2’を用いてもよい。これにより、これらの液体2’の組み合わせにより、表現できる色再現領域を広いものとすることができる。
複数種の液体2’を用いる場合、少なくとも、藍紫色(シアン)の液体2’、紅紫色(マゼンタ)の液体2’および黄色(イエロー)の液体2’を用いるのが好ましい。これにより、これらの液体2’の組み合わせにより、表現できる色再現領域をより広いものとすることができる。
また、白色(ホワイト)の液体2’を、他の有色の液体2’と併用することにより、例えば、以下のような効果が得られる。すなわち、最終的に得られる三次元造形物10を、白色(ホワイト)の液体2’が付与された第1の領域と、第1の領域と重なり合い、かつ、第1の領域よりも外表面側に設けられた白色以外の有色の液体2’が付与された領域(第2の領域)とを有するものとすることができる。これにより、白色(ホワイト)の液体2’が付与された第1の領域が隠蔽性を発揮することができ、三次元造形物10の彩度をより高めることができる。
<層形成用組成物>
次に、本発明の三次元造形物の製造に用いる層形成用組成物について詳細に説明する。
組成物(層形成用組成物)1’は、充填剤としての粒子11と、粒子11を分散する分散媒としての溶剤12とを含むものである。
このような層形成用組成物1’を用いることにより、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度等を特に優れたものとすることができるとともに、組成物1’の流動性を優れたものとし、粒子11の凝集等も効果的に防止することができ、製造時における組成物1’の取扱いのし易さ(取扱い性)を特に優れたものとすることができる。また、前述したように、組成物1’を用いて形成される層1との位置関係が互いに異なる第1の固化部2Aと第2の固化部2Bとを容易かつ確実に作り分けることができ、製造される三次元造形物10を、機械的強度等に優れるとともに、寸法精度にも優れたものとすることができる。
(粒子)
層形成用組成物1’は、粒子11を複数個含むものである。
粒子11は、硬度の高いものであるのが好ましい。
これにより、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度等を特に優れたものとすることができる。
粒子11の硬さは、例えば、MCT−210(島津製作所社製)を用いた粒子圧縮強度評価により求めることができる。
粒子11は、外部に開放する空孔を有する多孔質で、かつ、疎水化処理が施されたものであるのが好ましい。
このような構成であることにより、三次元造形物10を製造する際に(第2の液体付与工程において)、液体2’を構成する樹脂材料またはその反応生成物(以下、これらを総称して単に「樹脂材料」ともいう。)を空孔内に好適に侵入させることができ、アンカー効果が発揮され、その結果、粒子11の結合力を特に優れたものとすることができ、結果として、三次元造形物10全体としての機械的強度を特に優れたものとすることができる。また、液体2’を構成する樹脂材料が、粒子11の空孔内に入り込むことにより、液体2’の不本意な濡れ広がりを効果的に防止することができる。その結果、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度をより高いものとすることができる。
粒子11の構成材料としては、例えば、無機材料や有機材料、これらの複合体等が挙げられる。
粒子11を構成する無機材料としては、例えば、各種金属や金属化合物等が挙げられる。金属化合物としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコン、酸化錫、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム等の各種金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の各種金属水酸化物;窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミ等の各種金属窒化物;炭化珪素、炭化チタン等の各種金属炭化物;硫化亜鉛等の各種金属硫化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の各種金属の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の各種金属の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等の各種金属のケイ酸塩;リン酸カルシウム等の各種金属のリン酸塩;ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム等の各種金属のホウ酸塩や、これらの複合化物等が挙げられる。
粒子11を構成する有機材料としては、例えば、合成樹脂、天然高分子等が挙げられ、より具体的には、ポリエチレン樹脂;ポリプロピレン;ポリエチレンオキサイド;ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン;ポリスチレン;ポリウレタン;ポリウレア;ポリエステル;シリコーン樹脂;アクリルシリコーン樹脂;ポリメタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとする重合体;メタクリル酸メチルクロスポリマー等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとするクロスポリマー(エチレンアクリル酸共重合樹脂等);ナイロン12、ナイロン6、共重合ナイロン等のポリアミド樹脂;ポリイミド;カルボキシメチルセルロールス;ゼラチン;デンプン;キチン;キトサン等が挙げられる。
中でも、粒子11は、金属酸化物で構成されたものであるのが好ましく、シリカで構成されたものであるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物の機械的強度、耐光性等の特性を特に優れたものとすることができる。
また、特に、粒子11がシリカで構成されたものであると、前述した効果がより顕著に発揮される。また、シリカは、流動性にも優れているため、厚さの均一性がより高い層の形成に有利であるとともに、三次元造形物の生産性、寸法精度を特に優れたものとする上でも有利である。
粒子11は、疎水化処理等の表面処理が施されたものであってもよい。
粒子11に施された疎水化処理としては、粒子(母粒子)の疎水性を高める処理であればいかなるものであってもよいが、炭化水素基を導入するものであるのが好ましい。
これにより、粒子11の疎水性をより高いものとすることができる。また、容易かつ確実に、各粒子11や粒子11表面の各部位(外部に開放する空孔を有するものである場合には、空孔内部の表面を含む)での疎水化処理の程度の均一性をより高いものとすることができる。
疎水化処理に用いる化合物としては、シリル基を含むシラン化合物が好ましい。疎水化処理に用いることのできる化合物の具体例としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、1−プロペニルメチルジクロロシラン、プロピルジメチルクロロシラン、プロピルメチルジクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、テトラデシルトリクロロシラン、3−チオシアネートプロピルトリエトキシシラン、p−トリルジメチルクロロシラン、p−トリルメチルジクロロシラン、p−トリルトリクロロシラン、p−トリルトリメトキシシラン、p−トリルトリエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブチロキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブチロキシシラン、ジ−t−ブチルジ−t−ブチロキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクタデシルメチルジエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチルクロロシラン、オクタデシルメチルジクロロシラン、オクタデシルメトキシジクロロシラン、7−オクテニルジメチルクロロシラン、7−オクテニルトリクロロシラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、オクチルメチルジクロロシラン、オクチルジメチルクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、10−ウンデセニルジメチルクロロシラン、ウンデシルトリクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、メチルオクタデシルジメトキシシラン、メチルドデシルジエトキシシラン、メチルオクタデシルジメトキシシラン、メチルオクタデシルジエトキシシラン、n−オクチルメチルジメトキシシラン、n−オクチルメチルジエトキシシラン、トリアコンチルジメチルクロロシラン、トリアコンチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルイソプロポキシシラン、メチル−n−ブチロキシシラン、メチルトリ−sec−ブチロキシシラン、メチルトリ−t−ブチロキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルイソプロポキシシラン、エチル−n−ブチロキシシラン、エチルトリ−sec−ブチロキシシラン、エチルトリ−t−ブチロキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、2−〔2−(トリクロロシリル)エチル〕ピリジン、4−〔2−(トリクロロシリル)エチル〕ピリジン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1,3−(トリクロロシリルメチル)ヘプタコサン、ジベンジルジメトキシシラン、ジベンジルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、フェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルメチルジメトキシシラン、ベンジルジメチルメトキシシラン、ベンジルジメトキシシラン、ベンジルジエトキシシラン、ベンジルメチルジエトキシシラン、ベンジルジメチルエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ジベンジルジメトキシシラン、ジベンジルジエトキシシラン、3−アセトキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、6−(アミノヘキシルアミノプロピル)トリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシシラン、ω−アミノウンデシルトリメトキシシラン、アミルトリエトキシシラン、ベンゾオキサシレピンジメチルエステル、5−(ビシクロヘプテニル)トリエトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、8−ブロモオクチルトリメトキシシラン、ブロモフェニルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、2−クロロメチルトリエトキシシラン、クロロメチルメチルジエトキシシラン、クロロメチルメチルジイソプロポキシラン、p−(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、クロロフェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、2−(4−クロロスルフォニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、2−シアノエチルトリメトキシシラン、シアノメチルフェネチルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリメトキシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリエトキシシラン、3−シクロヘキセニルトリクロロシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリクロロシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルジメチルクロロシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルメチルジクロロシシラン、
シクロヘキシルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジクロロシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、(シクロヘキシルメチル)トリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロオクチルトリクロロシラン、(4−シクロオクテニル)トリクロロシラン、シクロペンチルトリクロロシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、1,1−ジエトキシ−1−シラシクロペンタ−3−エン、3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、(ジメチルクロロシリル)メチル−7,7−ジメチルノルピナン、(シクロヘキシルアミノメチル)メチルジエトキシシラン、(3−シクロペンタジエニルプロピル)トリエトキシシラン、N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(フルフリルオキシメチル)トリエトキシシラン、2−ヒドロキシ−4−(3−トリエトキシプロポキシ)ジフェニルケトン、3−(p−メトキシフェニル)プロピルメチルジクロロシラン、3−(p−メトキシフェニル)プロピルトリクロロシラン、p−(メチルフェネチル)メチルジクロロシラン,p−(メチルフェネチル)トリクロロシラン、p−(メチルフェネチル)ジメチルクロロシラン、3−モルフォリノプロピルトリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、1,2,3,4,7,7,−ヘキサクロロ−6−メチルジエトキシシリル−2−ノルボルネン、1,2,3,4,7,7,−ヘキサクロロ−6−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、3−ヨードプロピルトリメトキシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチル{2−(3−トリメトキシシリルプロピルアミノ)エチルアミノ}−3−プロピオネート、7−オクテニルトリメトキシシラン、R−N−α−フェネチル−N’−トリエトキシシリルプロピルウレア、S−N−α−フェネチル−N’−トリエトキシシリルプロピルウレア、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルメチルジメトキシシラン、フェネチルジメチルメトキシシラン、フェネチルジメトキシシラン、フェネチルジエトキシシラン、フェネチルメチルジエトキシシラン、フェネチルジメチルエトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、(3−フェニルプロピル)ジメチルクロロシラン、(3−フェニルプロピル)メチルジクロロシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(トリエトキシシリルプロピル)ダンシルアミド、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、2−(トリエトキシシリルエチル)−5−(クロロアセトキシ)ビシクロヘプタン、(S)−N−トリエトキシシリルプロピル−O−メントカルバメート、3−(トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンズアミド、3−(トリエトキシシリル)プロピルサクシニック無水物、N−〔5−(トリメトキシシリル)−2−アザ−1−オキソ−ペンチル〕カプロラクタム、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、N−(トリメトキシシリルエチル)ベンジル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、フェニルビニルジエトキシシラン、3−チオシアナートプロピルトリエトキシシラン、(トリデカフロオロ−1,1,2,2,−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、N−{3−(トリエトキシシリル)プロピル}フタルアミド酸、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジメトキシシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシシラン、1−トリメトキシシリル−2−(クロロメチル)フェニルエタン、2−(トリメトキシシリル)エチルフェニルスルホニルアジド、β−トリメトキシシリルエチル−2−ピリジン、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリブチルアンモニウムブロマイド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリブチルアンモニウムクロライド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、ビニルメチルジエトキシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルフェニルジクロロシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、ビニルフェニルジメチルシラン、ビニルフェニルメチルクロロシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリス−t−ブトキシシラン、アダマンチルエチルトリクロロシラン、アリルフェニルトリクロロシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、3−アミノフェノキシジメチルビニルシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルジメチルクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、ベンジルトリクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ベンジルメチルジクロロシラン、フェネチルジイソプロピルクロロシラン、フェネチルトリクロロシラン、フェネチルジメチルクロロシラン、フェネチルメチルジクロロシラン、5−(ビシクロヘプテニル)トリクロロシラン、5−(ビシクロヘプテニル)トリエトキシシラン、2−(ビシクロヘプチル)ジメチルクロロシラン、2−(ビシクロヘプチル)トリクロロシラン、1,4−ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、ブロモフェニルトリクロロシラン、3−フェノキシプロピルジメチルクロロシラン、3−フェノキシプロピルトリクロロシラン、t−ブチルフェニルクロロシラン、t−ブチルフェニルメトキシシラン、t−ブチルフェニルジクロロシラン、p−(t−ブチル)フェネチルジメチルクロロシラン、p−(t−ブチル)フェネチルトリクロロシラン、1,3−(クロロジメチルシリルメチル)ヘプタコサン、((クロロメチル)フェニルエチル)ジメチルクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)メチルジクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)トリクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)トリメトキシシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリクロロシラン、2−シアノエチルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルメチルジエトキシシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルジメチルエトキシシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルトリクロロシラン、フッ化アルキルシラン等を挙げることができ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、ヘキサメチルジシラザンを疎水化処理に用いるのが好ましい。
これにより、粒子11の疎水性をより高いものとすることができる。また、容易かつ確実に、各粒子11や粒子11表面の各部位(外部に開放する空孔を有するものである場合には、空孔内部の表面を含む)での疎水化処理の程度の均一性をより高いものとすることができる。
シラン化合物を用いた疎水化処理を液相で行う場合には、シラン化合物を含む液中に、疎水化処理を施すべき粒子(母粒子)を浸漬することで、好適に所望の反応を進行させることができ、シラン化合物の化学吸着膜を形成することができる。
また、シラン化合物を用いた疎水化処理を気相で行う場合には、シラン化合物の蒸気に疎水化処理を施すべき粒子(母粒子)を曝すことで、好適に所望の反応を進行させることができ、シラン化合物の化学吸着膜を形成することができる。
粒子11の平均粒径は、特に限定されないが、1μm以上25μm以下であるのが好ましく、1μm以上15μm以下であるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、層形成用組成物1’の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
粒子11のDmaxは、3μm以上40μm以下であるのが好ましく、5μm以上30μm以下であるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、層形成用組成物1’の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
粒子11の空孔率は、50%以上であるのが好ましく、55%以上90%以下であるのがより好ましい。
これにより、樹脂材料(結合剤)が入り込む空間(空孔)を十分に有するとともに、粒子11自体の機械的強度を優れたものとすることができ、結果として、空孔内に樹脂材料が侵入してなる結合部3を有する三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができる。
なお、本発明において、粒子11の空孔率とは、粒子11の見かけ体積中に対する、粒子11の内部に存在する空孔の割合(体積率)のことを言い、粒子11の密度をρ[g/cm]、粒子11の構成材料の真密度ρ[g/cm]としたときに、{(ρ−ρ)/ρ}×100で表される値である。
粒子11の平均空孔径(細孔直径)が10nm以上であるのが好ましく、50nm以上300nm以下であるのがより好ましい。
これにより、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の製造に、顔料を含む液体2’(着色インク)を用いる場合において、顔料を粒子11の空孔内に好適に保持することができる。このため、不本意な顔料の拡散を防止することができ、高精細な画像をより確実に形成することができる。
粒子11は、いかなる形状を有するものであってもよいが、球形状をなすものであるのが好ましい。これにより、層形成用組成物1’の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。
層形成用組成物1’は、複数種の粒子11を含むものであってもよい。
層形成用組成物1’中における粒子11の含有率は、8質量%以上91質量%以下であるのが好ましく、10質量%以上53質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、層形成用組成物1’の流動性を十分に優れたものとしつつ、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができる。
(溶剤)
層形成用組成物1’は、溶剤12を含むものである。
これにより、層形成用組成物1’の取り扱い性(取り扱いのしやすさ)を特に優れたものとすることができ、厚さの均一性がより高い層1を容易に形成することができるとともに、層1の不本意な変形をより効果的に防止することができる。また、第1の液体付与工程において、液体2’が層1(溶剤12を含む層1)中に不本意に浸透してしまうことを効果的に防止することができ、第1の液体付与工程で形成される固化部2を確実に所望の形状を有するものとすることができる。以上のようなことから、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。
層形成用組成物1’を構成する溶剤としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール性溶剤;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート、プロピレングリコール1−モノエチルエーテル2−アセタート等のグリコールエーテルアセテート系溶剤;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、層形成用組成物1’は、水系溶剤を含むものであるのが好ましく、水を含むものであるのがより好ましい。
これにより、層形成用組成物1’の流動性、層形成用組成物1’を用いて形成される層1の組成の均一性を特に優れたものとすることができる。また、水は層1の形成後の除去が容易であるとともに、三次元造形物10中に残存した場合においても悪影響を与えにくい。また、人体に対する安全性、環境問題の観点等からも有利である。また、第1の固化部2Aの形成に用いる液体2’が、前述したような重合性化合物(特に、アクリル系重合性化合物、シリコーン系重合性化合物)を含むものである場合、層1(溶剤12を含む層1)中への当該液体2’の不本意な浸透をより効果的に防止することができ、所望の形状を有する第1の固化部2Aをより確実に形成することができ、三次元造形物10の寸法精度、信頼性を特に優れたものとすることができる。また、層形成用組成物1’が後に詳述するバインダーとして水溶性樹脂を含む場合に、層形成用組成物1’中において、当該水溶性樹脂をより好適な溶解状態することができ、後に詳述するようなバインダー(水溶性樹脂)を含むことによる効果がより効果的に発揮される。
水系溶剤は、水に対する溶解性の高い溶剤であればよいが、具体的には、例えば、25℃における水に対する溶解度(水100gに溶解可能な質量)が30[g/100g水]以上のものであるのが好ましく、50[g/100g水]以上のものであるのがより好ましい。
層形成用組成物1’中における溶剤12の含有率は、9質量%以上92質量%以下であるのが好ましく、29質量%以上89質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したような溶剤12を含むことによる効果がより顕著に発揮されるとともに、三次元造形物10の製造過程において溶剤12を短時間で容易に除去することができるため、三次元造形物10の生産性向上の観点から有利である。
特に、層形成用組成物1’中における水の含有率は、18質量%以上92質量%以下であるのが好ましく、47質量%以上90質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
(バインダー)
層形成用組成物1’は、複数個の粒子11、溶剤12とともに、バインダーを含むものであってもよい。
これにより、層形成用組成物1’を用いて形成された層1(特に、溶剤12が除去された状態の層1)において、複数個の粒子11を好適に結合(仮固定)することができ、粒子11の不本意な飛散等を効果的に防止することができる。これにより、作業者の安全や、製造される三次元造形物10の寸法精度のさらなる向上を図ることができる。
層形成用組成物1’がバインダーを含むものである場合、層形成用組成物1’において、バインダーは溶剤12に溶解しているものであるのが好ましい。
これにより、層形成用組成物1’の流動性を特に良好なものとすることができ、層形成用組成物1’を用いて形成される層1の厚さの不本意なばらつきをより効果的に防止することができる。また、溶剤12が除去された状態の層1を形成した際に、層1全体にわたって、より高い均一性で、バインダーを粒子11に付着させることができ、不本意な組成のむらが発生するのをより効果的に防止することができる。このため、最終的に得られる三次元造形物10の各部位での機械的強度の不本意なばらつきの発生をより効果的に防止することができ、三次元造形物10の信頼性をより高いものとすることができる。
バインダーとしては、層形成用組成物1’を用いて形成された層1(特に、溶剤12が除去された状態の層1)において複数個の粒子11を仮固定する機能を有するものであればよいが、水溶性樹脂を好適に用いることができる。
水溶性樹脂を含むことにより、層形成用組成物1’が溶剤12として水系溶剤(特に、水)を含む場合に、層形成用組成物1’中にバインダー(水溶性樹脂)を溶解状態で含ませることができ、層形成用組成物1’の流動性、取り扱い性(取り扱いの容易性)を特に優れたものとすることができる。その結果、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
また、三次元造形物10の製造過程において層1の液体2’が付与されなかった部位を、水系溶剤(特に、水)を付与することにより、容易かつ効率よく除去することができる。その結果、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。また、層の除去されるべき部位が、最終的に得られた三次元造形物10に付着、残存することを容易かつ確実に防止することができるため、三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。
以下、バインダーとしての水溶性樹脂について中心に説明する。
水溶性樹脂は、少なくともその一部が水系溶剤に可溶なものであればよいが、例えば、25℃における水に対する溶解度(水100gに溶解可能な質量)が5[g/100g水]以上のものであるのが好ましく、10[g/100g水]以上のものであるのがより好ましい。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリカプロラクトンジオール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、変性ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのランダム共重合ポリマー等の合成ポリマー、コーンスターチ、マンナン、ペクチン、寒天、アルギン酸、デキストラン、にかわ、ゼラチン等の天然ポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酸化でんぷん、変性でんぷん等の半合成ポリマー等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
水溶性樹脂製品の具体例としては、例えば、メチルセルロース(信越化学社製、メトローズSM−15)、ヒドロキシエチルセルローズ(フジケミカル社製、AL−15)、ヒドロキシプロピルセルローズ(日本ソーダ社製、HPC−M)、カルボキシメチルセルローズ(ニチリン化学社製、CMC−30)、澱粉リン酸エステルナトリュウム(I)(松谷化学社製、ホスター5100)、ポリビニールピロリドン(東京化学社製、PVP K−90)、メチルビニールエーテル/無水マレイン酸コポリマー(GAFガントレット社製、AN−139)、ポリアクリルアミド(和光純薬社製)、変性ポリアミド(変性ナイロン)(東レ社製、AQナイロン)、ポリエチレンオキサイド(製鉄化学社製、PEO−1、明成化学工業社製、アルコックス)、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのランダム共重合ポリマー(明成化学工業社製、アルコックスEP)、ポリアクリル酸ナトリウム(和光純薬社製)、カルボキシビニルポリマー/架橋型アクリル系水溶性樹脂(住友精化社製、アクペック)等が挙げられる。
中でも、バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルアルコールである場合、三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができる。また、ケン化度や重合度の調整により、バインダーの特性(例えば、水溶性、耐水性等)や層形成用組成物1’の特性(例えば、粘度、粒子11の固定力、濡れ性等)をより好適に制御することができる。このため、多様な三次元造形物10の製造により好適に対応することができる。また、ポリビニルアルコールは、各種水溶性樹脂の中でも、安価で、かつ、供給が安定したものである。このため、生産コストを抑制しつつ、安定的な三次元造形物10の製造を行うことができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルアルコールを含むものである場合、当該ポリビニルアルコールのケン化度は、85以上90以下であるのが好ましい。これにより、水系溶剤(特に、水)に対するポリビニルアルコールの溶解度の低下を抑制することができる。そのため、層形成用組成物1’が水系溶剤(特に、水)を含むものである場合に、隣接する層1間の接着性の低下をより効果的に抑制することができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルアルコールを含むものである場合、当該ポリビニルアルコールの重合度は、300以上1000以下であるのが好ましい。これにより、層形成用組成物1’が水系溶剤(特に、水)を含むものである場合に、各層1の機械的強度や隣接する層1間の接着性を特に優れたものとすることができる。
また、バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルピロリドン(PVP)である場合、以下のような効果が得られる。すなわち、ポリビニルピロリドンは、ガラス、金属、プラスチック等の各種材料に対する接着性に優れているため、層1のうち液体2’が付与されない部分の強度・形状の安定性を特に優れたものとし、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、ポリビニルピロリドンは、各種有機溶媒に対して、高い溶解性を示すため、層形成用組成物1’が有機溶剤を含む場合において、層形成用組成物1’の流動性を特に優れたものとすることができ、不本意な厚さのばらつきがより効果的に防止された層1’を好適に形成することができ、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、ポリビニルピロリドンは、水系溶剤(特に、水)に対しても高い溶解性を示すため、未結合粒子除去工程(造形終了後)において、各層1を構成する粒子11のうち、樹脂材料(結合剤)により結合していないものを容易かつ確実に除去することができる。また、ポリビニルピロリドンは、各種着色剤との親和性に優れているため、第2の液体付与工程において着色剤を含む液体2’を用いた場合に、着色剤が不本意に拡散してしまうのを効果的に防止することができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルピロリドンを含むものである場合、当該ポリビニルピロリドンの重量平均分子量は、10000以上1700000以下であるのが好ましく、30000以上1500000以下であるのがより好ましい。
これにより、前述した機能をより効果的に発揮することができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリカプロラクトンジオールを含むものである場合、当該ポリカプロラクトンジオールの重量平均分子量は、10000以上1700000以下であるのが好ましく、30000以上1500000以下であるのがより好ましい。
これにより、前述した機能をより効果的に発揮することができる。
層形成用組成物1’中において、バインダーは、層形成工程において、液状の状態(例えば、溶解状態、溶融状態等)をなすものであるのが好ましい。これにより、容易かつ確実に、層形成用組成物1’を用いて形成される層1の厚さの均一性を、より高いものとすることができる。
層形成用組成物1’がバインダーを含むものである場合、層形成用組成物1’中におけるバインダーの含有率は、0.5質量%以上25質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以上10質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したようなバインダーを含むことによる効果がより顕著に発揮されるとともに、層形成用組成物1’中における粒子11等の含有率を十分に高いものとすることができ、製造される三次元造形物10の機械的強度等を特に優れたものとすることができる。
(その他の成分)
また、層形成用組成物は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、重合開始剤;重合促進剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤等が挙げられる。
《三次元造形物》
本発明の三次元造形物は、前述したような本発明の製造方法を用いて製造されたものである。
これにより、寸法精度に優れた三次元造形物を提供することができる。
本発明の三次元造形物の用途は、特に限定されないが、例えば、人形、フィギュア等の鑑賞物・展示物;インプラント等の医療機器等が挙げられる。
また、本発明の三次元造形物は、プロトタイプ、量産品、オーダーメード品のいずれに適用されるものであってもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、全ての層に対して、固化部を形成するものとして説明したが、固化部が形成されない層を有していてもよい。例えば、ステージの直上に形成された層に対して、固化部を形成しないものとし、犠牲層として機能させてもよい。
また、前述した実施形態では、層形成工程、第1の液体付与工程、溶剤除去工程および第2の液体付与工程を、一連の工程として繰り返し行う場合について、中心的に説明したが、繰り返し行う一連の工程は、各サイクルで異なるものであってもよい、例えば、上記の工程のうち、第1の液体付与工程を省略したサイクルを有するものであってもよいし、第2の液体付与工程を省略したサイクルを有するものであってもよい。
また、例えば、固化部の形成に用いる液体が重合性化合物を含むものである場合、各固化部(硬化部)の形成のために行う硬化処理は、各固化部(硬化部)に対応するパターンを形成するごとに繰り返し行うものでなくてもよく、硬化されていないパターンが複数の層に設けられた積層体を形成した後に一括して行うもの等であってもよい。
また、前述した実施形態では、第1の固化部(第1の液体付与工程で付与される液体により形成される固化部)に加えて、第2の固化部(第2の液体付与工程で付与される液体により形成される固化部)、および、第3の固化部(第3の液体付与工程で付与される液体により形成される固化部)を形成する場合について代表的に説明したが、本発明では、第2の固化部、第3の固化部は形成しなくてもよい。
また、本発明において、三次元造形物は、樹脂材料によって結合されていない粒子を含むものであってもよい。
また、前述した実施形態では、固化部の形成に用いる液体を、インクジェット法により付与する場合について中心的に説明したが、固化部の形成に用いる液体は他の方法(例えば、他の印刷方法)を用いて付与するものであってもよい。
また、本発明の製造方法においては、必要に応じて、前処理工程、中間処理工程、後処理工程を行ってもよい。
前処理工程としては、例えば、ステージの清掃工程等が挙げられる。
後処理工程としては、例えば、洗浄工程、バリ取り等を行う形状調整工程、着色工程、被覆層形成工程、未硬化の樹脂材料を確実に硬化させるための光照射処理や加熱処理を行う樹脂材料硬化完了工程等が挙げられる。
また、前述した実施形態では、第1の液体付与工程で形成される固化部(第1の固化部)が目的とする三次元造形物の一部を構成するものである場合について説明したが、本発明においては、例えば、第1の固化部は、三次元造形物の一部を構成するものではなく、最終的に除去されるものであってもよい。言い換えると、第1の固化部は、三次元造形物の製造時におけるサポート材として機能するものであってもよい。このような場合であっても、第1の固化部の厚さ等が確実に制御されることにより、結果として、目的とする三次元造形物を構成する第2の固化部を確実に好適な形状を有するものとして形成することができるため、三次元造形物の寸法精度を優れたものとすることができる。
このような場合、第1の固化部は、例えば、造形終了後に直ちに除去されるものであってもよいが、陳列時、販売時等には、三次元造形物を被覆する保護膜として、機能するものであり、使用時(購入後)等に、ユーザーが除去するものであってもよい。
第1の固化部が最終的に除去されるものである場合、第1の固化部を容易に除去することができるようにするために、第1の固化部の構成材料と第2の固化部の構成材料との組み合わせとしては、例えば、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂との組み合わせ、所定の溶剤に対して溶解性の高い樹脂材料と溶解性の低い樹脂材料(より好ましくは、不溶性の樹脂材料)との組み合わせ、等が挙げられる。
10…三次元造形物
1…層
1’…組成物(層形成用組成物)
11…粒子
12…溶剤
2…固化部
2A…第1の固化部
2B…第2の固化部
2C…第3の固化部
2’…液体(固化部形成用液体)
3…結合部
4…空間
9…支持体(ステージ)

Claims (11)

  1. 層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、
    粒子および溶剤を含む層形成用組成物を用いて前記層を形成する層形成工程と、
    前記溶剤を含む状態の前記層上に、固化部の形成に用いる液体を付与する第1の液体付与工程と、
    前記層から前記溶剤を除去する溶剤除去工程とを有することを特徴とする三次元造形物の製造方法。
  2. 下からn番目の前記層の表面に形成された前記固化部の少なくとも一部を、当該固化部の形成に係る前記第1の液体付与工程の後に行う前記層形成工程において、下から(n+1)番目の前記層中に埋没させる請求項1に記載の三次元造形物の製造方法(ただし、nは1以上の整数)。
  3. 前記固化部を含む前記層の表面のうち、当該層を平面視した際に当該固化部と重ならない部位を含む領域に対して、前記液体を付与する前記第1の液体付与工程を有している請求項1または2に記載の三次元造形物の製造方法。
  4. 前記溶剤除去工程の後に、前記溶剤が除去された状態の前記層に固化部の形成に用いる液体を付与し、当該層中に当該液体を浸透させる第2の液体付与工程をさらに有している請求項1ないし3のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  5. 前記層が形成されていないステージ上に固化部の形成に用いる液体を付与する第3の液体付与工程をさらに有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  6. 前記層形成用組成物は、前記溶剤として水系溶剤を含むものである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  7. 前記層形成用組成物は、前記粒子および前記溶剤に加えて、バインダーを含むものである請求項1ないし6のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  8. 前記液体は、硬化性樹脂を含むものである請求項1ないし7のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  9. 前記液体は、アクリル系重合性化合物を含むものである請求項1ないし8のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  10. 前記液体は、シリコーン系重合性化合物を含むものである請求項1ないし9のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法を用いて製造されたものであることを特徴とする三次元造形物。
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