JP2016088003A - 三次元造形物の製造方法および三次元造形物 - Google Patents

三次元造形物の製造方法および三次元造形物 Download PDF

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智明 ▲高▼橋
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Abstract

【課題】色調、意匠性の選択の幅が広く、可動部を有する三次元造形物を生産性よく製造することができる三次元造形物の製造方法、及び、意匠性に優れ、可動部を有する三次元造形物の提供。【解決手段】層1を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、前記三次元造形物の可動部の少なくとも一部を含む領域である第1の部位2Aを、溶融した熱可塑性樹脂を含む熱可塑性組成物2’’をノズルM81から射出しその後固化させることにより形成し、前記三次元造形物のうち前記第1の部位以外の部位の少なくとも一部の領域である第2の部位を、インクジェット法により液体2’’を吐出しその後固化させることにより形成する三次元造形物の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、三次元造形物の製造方法および三次元造形物に関する。
従来より、例えば、三次元CADソフト等で生成した三次元物体のモデルを基にして、三次元造形物を形成する方法が知られている。
三次元造形物を形成する方法として、積層法(三次元造形法)が知られている。積層法では、一般的に、三次元物体のモデルを多数の二次元断面層に分割した後、各二次元断面層に対応する断面部材を順次造形しつつ、断面部材を順次積層することによって三次元造形物を形成する。
積層法は、造形しようとする三次元造形物のモデルさえあれば、直ちに形成することが可能であり、造形に先立って金型を作成するなどの必要がないので、迅速にしかも安価に三次元造形物を形成することが可能である。また、薄い板状の断面部材を一層ずつ積層して形成するので、例えば内部構造を有する複雑な物体であっても、複数の部品に分けることなく一体の造形物として形成することが可能である。
このような積層法として、石膏の粉末に水を付与することにより石膏粒子を結合させ、三次元造形物を製造する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このような技術では、所望の色調の三次元造形物を得ることが困難であり、結果として、三次元造形物の意匠性を十分に優れたものとすることが困難であった。また、このような方法を用いて製造される三次元造形物は、硬質なものであり、脆くて破損しやすいという問題があった。
特表2003−531220号公報
本発明の目的は、色調、意匠性の選択の幅が広く、可動部を有する三次元造形物を生産性よく製造することができる三次元造形物の製造方法を提供すること、また、意匠性に優れ、可動部を有する三次元造形物を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の三次元造形物の製造方法は、層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、
前記三次元造形物の可動部の少なくとも一部を含む領域である第1の部位を、溶融した熱可塑性樹脂を含む熱可塑性組成物をノズルから射出しその後固化させることにより形成し、
前記三次元造形物のうち前記第1の部位以外の部位の少なくとも一部の領域である第2の部位を、インクジェット法により液体を吐出しその後固化させることにより形成することを特徴とする。
これにより、色調、意匠性の選択の幅が広く、可動部を有する三次元造形物を生産性よく製造することができる三次元造形物の製造方法を提供することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、粒子を含む粒子含有組成物を用いて形成された層に、前記液体をインクジェット法により付与し、前記粒子間の隙間に前記液体を浸透させることにより前記第2の部位を形成することが好ましい。
これにより、層の内部に固化部を形成することができ、その結果、当該固化部により粒子が結合した結合部を形成することができる。このようにして形成される結合部は、粒子と固化部とを含むものであるため、硬度や機械的強度に特に優れたものとなる。したがって、最終的に得られる三次元造形物は、機械的強度に特に優れ、不本意な変形がより確実に防止されたより信頼性の高いものとなる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記粒子含有組成物は、溶剤を含むものであり、
前記層に前記液体を付与する際には、当該層から前記溶剤が除去された状態とすることが好ましい。
これにより、粒子含有組成物の取り扱い性(取り扱いのしやすさ)を特に優れたものとすることができ、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、最終的に得られる三次元造形物の寸法精度、機械的強度、信頼性は特に優れたものとなる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記粒子含有組成物は、前記溶剤として水系溶剤を含むものであることが好ましい。
これにより、粒子含有組成物の流動性、粒子含有組成物を用いて形成される層の組成の均一性を特に優れたものとすることができる。また、水は層の形成後の除去が容易であるとともに、三次元造形物中に残存した場合においても悪影響を与えにくい。また、人体に対する安全性、環境問題の観点等からも有利である。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記粒子含有組成物は、さらにバインダーを含むものであることが好ましい。
これにより、三次元造形物の製造時における作業者の安全や、製造される三次元造形物の寸法精度のさらなる向上を図ることができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記液体は、光硬化性樹脂を含むものであることが好ましい。
これにより、得られる三次元造形物の機械的強度や三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、三次元造形物の製造時における不本意な変形をより効果的に防止することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法では、前記熱可塑性樹脂は、ポリカーボネートを含むものであり、
前記液体は、アクリル系重合性化合物を含むものであることが好ましい。
これにより、前記熱可塑性組成物を用いて形成された固化部と前記液体を用いて形成された固化部との密着性を特に優れたものとすることができ、例えば、可動部の変形、変位を繰り返し行った場合や、可動部の変形量、変位量を大きくした場合であっても、これらの固化部の接合部における剥離等をより効果的に防止することができ、三次元造形物の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
本発明の三次元造形物は、本発明の三次元造形物の製造方法を用いて製造されたものであることを特徴とする。
これにより、意匠性に優れ、可動部を有する三次元造形物を提供することができる。
本発明の三次元造形物は、三次元造形法を用いて製造された三次元造形物であって、
可動部の少なくとも一部を含む領域である第1の部位が、熱可塑性樹脂を含む材料で構成されたものであり、前記第1の部位以外の部位の少なくとも一部の領域である第2の部位が硬化性樹脂の硬化物を含む材料で構成されたものであることを特徴とする。
これにより、意匠性に優れ、可動部を有する三次元造形物を提供することができる。
本発明の三次元造形物の製造方法の第1実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の三次元造形物の製造方法の第1実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の三次元造形物の製造方法の第1実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の三次元造形物の製造方法の第1実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の三次元造形物の製造方法の第2実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の三次元造形物の製造方法の第2実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の三次元造形物の製造方法の第2実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明の三次元造形物の製造方法の第2実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。 本発明に係る三次元造形物製造装置の好適な実施形態を模式的に示す断面図である。
以下、添付する図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細な説明をする。
《三次元造形物の製造方法》
まず、本発明の三次元造形物の製造方法について説明する。
[第1実施形態]
図1、図2、図3、図4は、本発明の三次元造形物の製造方法の第1実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。
図1、図2、図3、図4に示すように、本実施形態の三次元造形物10の製造方法は、可動部21を有する三次元造形物10を製造する方法であって、溶融した熱可塑性樹脂を含む熱可塑性組成物2’’をノズルM81から射出し、固化部2(第1の固化部2A)を形成する第1の固化部形成工程(1a、1g、1m)と、粒子11および溶剤12を含む粒子含有組成物(層形成用組成物)1’を用いて層1を形成する層形成工程(1b、1c、1d、1h、1i、1j、1n、1o)と、層1中に液体2’を浸透させ、層1中に固化部2(第2の固化部2B)を形成する第2の固化部形成工程(1e、1f、1k、1l)とを有し、これらの工程を順次繰り返し行い(1p)、さらに、その後に、各層1を構成する粒子11のうち、固化部2で結合していないものを除去する未結合粒子除去工程(1q)を有している。
そして、三次元造形物10の可動部21の少なくとも一部を含む領域である第1の部位を、第1の固化部2A(溶融した熱可塑性組成物2’’をノズルM81から射出しその後固化させることにより形成される固化部2)として形成し、三次元造形物10のうち前記第1の部位以外の部位の少なくとも一部の領域である第2の部位を、第2の固化部2B(インクジェット法により液体2’を吐出しその後固化させることにより形成される固化部2)として形成する(1q参照)。
このように、本実施形態では、三次元造形物10の各部位を同一の方法で形成するのではなく、三次元造形物10の各部位の機能(可動部であるか否か)に応じて、異なる方法で、固化部2を形成する。
これにより、各方法に応じた特長が相乗的に作用し、色調、意匠性の選択の幅が広く、可動部を有する三次元造形物10を生産性よく製造することができる。
より具体的には、可動部21の少なくとも一部を含む領域(第1の部位)を、溶融した熱可塑性組成物2’’をノズルM81から射出しその後固化させて形成することにより、最終的に得られる三次元造形物10において可動部21を好適に変形、変位させることができ、例えば、可動部21の変形、変位を繰り返し行った場合や、可動部21の変形量、変位量を大きくした場合であっても、三次元造形物10の破損を生じにくいものとすることができる。また、第1の部位以外の部位の少なくとも一部の領域(第2の部位)を、インクジェット法により液体を吐出しその後固化させて形成することにより、三次元造形物10の生産性を優れたものとすることができる。また、インクジェット法では、吐出する液体2’として、例えば、種々の着色剤を含むものを好適に用いることができるため、三次元造形物10の色調、意匠性の選択の幅を広げることができる。また、インクジェット法では、微細なパターンであっても再現性よく液体2’を付与することができるため、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度を高いものとすることができる。
また、一般に、第2の固化部2Bの形成に用いる液体2’は、層1の内部(層1を構成する複数の粒子11の間の空間4)に浸透しやすいものであるのに対し、第1の固化部2Aの形成に用いる熱可塑性組成物は、層1の内部に浸透しにくいものである。このため、複数の粒子11を含む材料で構成された層1のうち、固化部2の形成に用いる材料を浸透させたい部位には液体2’を付与し、固化部2の形成に用いる材料を浸透させたくない部位には熱可塑性組成物2’’を付与することにより、優れた生産性で、寸法精度の高い三次元造形物10を製造することができる。これに対し、例えば、単に、層に固化部の形成に用いる液体(第2の固化部形成用液体)を付与する工程を繰り返し行う方法では、液体が層の目的とするしない部位に不本意に浸透してしまうことによって最終的に得られる三次元造形物の寸法精度が低いものとなる。また、単に、溶融した熱可塑性組成物をノズルから射出して固化部を形成する方法では、その下部に溶融した熱可塑性組成物を支持する部位がないと、付与した熱可塑性組成物に不本意な変形(いわゆる、だれ等)を生じてしまい、最終的に得られる三次元造形物の寸法精度が低いものとなる。
なお、本発明において、「可動部」とは、可撓性を有することにより実際に変形して用いられることが想定された部位である。また、変形可能な部位の他、動く仕掛けになっている部位も含む。例えば、自身は変形しないが、回転可能に構成された部位(ギヤの組み合わせ部)、摺動可能に構成された部位(軸、軸受け部、摺動面)、嵌合部位等である。要するに、摺動面を含んだ部位である。
以下、各工程について説明する。
≪第1の固化部形成工程≫
第1の固化部形成工程では、溶融した熱可塑性組成物2’’をノズルM81から射出し、固化部2(第1の固化部2A)を形成する(1a、1g、1m参照)。
特に、1回目の第1の固化部形成工程では、ステージ(支持体)M41の表面に、溶融した熱可塑性組成物2’’をノズルM81から射出し、所定のパターンの固化部2(第1の固化部2A)を形成し(1a参照)、2回目以降の第1の固化部形成工程では、固化部2(第1の固化部2A、第2の固化部2B)が設けられた層1上に、溶融した熱可塑性組成物2’’をノズルM81から射出し、所定のパターンの固化部2(第1の固化部2A)を形成する(1g、1m参照)。
溶融状態の熱可塑性組成物2’’は、所定の部位に付与された後、温度が低下することにより固化し、固化部2(第1の固化部2A)となる。
本工程では、第1の固化部2Aとして、三次元造形物10の可動部21の少なくとも一部を含む領域である第1の部位を形成する。
熱可塑性樹脂は、一般に、可撓性に優れ、外力が加わった場合において適度に撓むことができる材料である。このため、三次元造形物10において、変形のための外力が加わりやすい可動部21を第1の固化部2Aで構成されたものとすることにより、最終的に得られる三次元造形物10を割れや欠け等の欠陥を生じにくいものとすることができる。
また、本実施形態においては、2回目以降の第1の固化部形成工程(層1上に第1の固化部2Aを形成する工程)は、層1(第1の固化部2Aと接触すべき層1)から溶剤12が除去された状態で行う。
これにより、本工程における層1の不本意な変形をより効果的に防止することができ、第1の固化部2Aの不本意な変形もより効果的に防止される。その結果、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度、信頼性は特に優れたものとなる。
本工程では、フィラメント状(糸状)の熱可塑性組成物2’’を加熱、溶融し、ノズルM81にから射出する。
なお、熱可塑性組成物2’’については、後に詳述する。
また、本実施形態では、2回目以降の第1の固化部形成工程として、埋没した固化部2(第1の固化部2A、第2の固化部2B)を含む層1の表面のうち、当該層1を平面視した際に当該固化部2(第1の固化部2A、第2の固化部2B)と重ならない部位を含む領域に対して、溶融した熱可塑性組成物2’’を付与する工程を有している(1g、1m参照)。
従来の三次元造形法において、すでに形成されている層(下層)の表面に新たな層(上層)を形成し当該層(上層)に結合部(固化部)を形成する場合において、当該層(上層)に形成すべき結合部(固化部)が、下層に形成されている結合部(固化部)と重ならない領域を有するものである場合に、目的とする形状の結合部(固化部)を形成することができず、最終的に得られる三次元造形物の寸法精度が低下するという問題が顕著に発生していたが、本発明では、上記のような構成とすることにより、このような構成の三次元造形物を製造する場合であっても、最終的に得られる三次元造形物の寸法精度を優れたものとすることができる。したがって、三次元造形物の形状の自由度を高めつつ、種々の形状の三次元造形物を高い寸法精度で提供することができる。
また、本工程では、ステージM41の目的とする三次元造形物10を製造する領域である第1の領域M411とは異なる領域である第2の領域M412にも、溶融状態の熱可塑性組成物2’’を付与し、これを固化させて、同一工程で形成する前記第1の固化部2Aと同じ高さの固化物6を形成する(1a、1g、1m参照)。当該固化物6は、後に詳述するように、層形成工程で形成すべき層1の厚さを決定するのに利用する。
特に、本実施形態では、固化物6は、複数の層1に対応するように、複数回の工程(1a、1g、1m、1p参照)にわたって積み重ねるように形成されるものである。
これにより、複数の層1についてそれぞれ好適な厚さを決定することができ、三次元造形物10全体としての寸法精度、機械的強度を特に優れたものとすることができる。
また、本実施形態では、数回の工程にわたって積み重ねるようにして形成された複数の固化物6は、いずれも同一形状、同一面積を有するものである。言い換えると、複数回の工程にわたって積み重ねるようにして形成された複数の固化物6のうち、任意の工程で形成されたものを第1の固化物とし、当該第1の固化物よりも後の工程で形成されたものを第2の固化物としたとき、平面視した際に、第2の固化物は、第1の固化物と重ならない領域を有さないものである。
このような構成であることにより、固化物6の不本意な変形(いわゆる、だれ等)をより効果的に防止することができ、固化部2の厚さと固化物6の厚さとの差をより小さいものとすることができ、三次元造形物10全体としての寸法精度、機械的強度をさらに優れたものとすることができる。
≪層形成工程≫
層形成工程では、粒子11および溶剤12を含む層形成用組成物1’を用いて、所定の厚さを有する層1を形成する(1b、1c、1d、1h、1i、1j、1n、1o参照)。
特に、1回目の層形成工程では、固化部2(第1の固化部2A)が設けられたステージ(支持体)M41上に、粒子11および溶剤12を含む層形成用組成物1’を用いて、所定の厚さを有する層1を形成し(1b、1c、1d参照)、2回目以降の層形成工程では、層1(図示の構成では、結合部3が形成された層1)上に、粒子11および溶剤12を含む層形成用組成物1’を用いて、所定の厚さを有する新たな層1を形成する(1h、1i、1j、1n、1o参照)。
なお、粒子含有組成物(層形成用組成物)1’については、後に詳述する。
本工程では、平坦化手段M42としてのスキージーを用いて、層1を表面が平坦化されたものとして形成する。
なお、本工程においては、スキージー以外の平坦化手段(例えば、ローラー等)を用いてもよい。
また、本実施形態では、本工程で形成される層1中に、先に形成されている固化部2(第1の固化部2A)の少なくとも一部を埋没させるように行う(1c、1i、1o参照)。
これにより、例えば、当該固化部2(本工程で層1に埋没する固化部2)の上面側に、後の工程で形成する固化部2の形状の安定性が向上する。その結果、三次元造形物10の寸法精度は特に優れたものとなる。
また、例えば、当該固化部2(本工程で層1に埋没する固化部2)を埋没させる層1の当該固化部2(第1の固化部2A)に接触する部位に、後の工程で、第2の固化部2Bを形成する場合に(1e、1f、1k、1l参照)、本工程で層1に埋没する固化部2と、第1の固化部2Aとの間で、不本意な高低差が生じることをより効果的に防止することができる。その結果、三次元造形物10の寸法精度は特に優れたものとなる。
また、本工程では、本工程で埋没される固化部2(第1の固化部2A)の上面に層形成用組成物1’(特に、粒子11)が残存しないように行うのが好ましい。
これにより、当該固化部2と、後の第2の固化部形成工程で形成される固化部2(第2の固化部2B)との密着性の低下を防止することができる。また、美的外観が損なわれることを防止することができる。
本工程で埋没される固化部2(第1の固化部2A)の上面に層形成用組成物1’(特に、粒子11)が残存しないようにするために、前述した固化物6を利用することができる。
すなわち、溶融した熱可塑性組成物2’’を用いて形成された固化物6の上面の高さに基づいて、本工程で形成する層1の厚さを決定することができる。
これにより、層形成用組成物1’の構成成分(例えば、粒子11)が、本工程の終了時において本工程で埋没される固化部2(第1の固化部2A)の上面に不本意に残存することを防止することができる。その結果、その後の工程において、当該固化部2と、当該固化部2の上に新たに形成される固化部2との密着性を確実に優れたものとすることができる。その結果、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができる。また、任意の固化部2と当該固化部2上に形成される固化部2との間に、層形成用組成物1’を構成する粒子11等が不本意に存在してしまうことによる三次元造形物10の寸法精度の低下をより効果的に防止することができる。
特に、本実施形態では、層形成工程に際して、固化物6の上面に、平坦化手段M42を当接させ、平坦化手段M42が固化物6に当接した高さ(当接面)を基準に、所定の厚さの層1を形成している(1b、1h、1n参照)。
これにより、簡易な構成で、上記のような問題の発生をより効果的に防止することができ、機械的強度、寸法精度の優れた三次元造形物10を優れた生産性で製造することができる。
図示の構成では、本工程で形成される層1の厚さが、埋没する固化部2(第1の固化部2A)の厚さと同一であるが、本工程で形成される層1の厚さは、埋没する固化部2(第1の固化部2A)の厚さよりも小さいものであってもよい。例えば、平坦化手段M42の高さ調整を、所定の押圧力で固化物6を押圧するように調整することにより、平坦化手段M42に加わる応力を、固化部2や固化物6が存在しない部位では、固化部2や固化物6が存在する部位に比べて低いものとなり、平坦化手段M42が形成する層1の高さを、本工程で埋没する固化部2よりも低いものとすることができる。これにより、本工程で埋没される固化部2の上面に加わる、平坦化手段M42による押圧力を比較的大きいものとすることができ、本工程で埋没される固化部2の上面に層形成用組成物1’(特に、粒子11)が残存することをより効果的に防止することができる。
なお、固化物6は、ステージM41上の目的とする三次元造形物10の実体部を構成する部位が形成される領域(第1の領域M411)に形成されたものであってもよいが、本実施形態では、第1の領域M411とは異なる第2の領域M412に形成されている。
これにより、平坦化手段M42を当接させる際(新たに形成する層1の厚さを決定する際)等に、固化部2や目的とする三次元造形物10の造形に係る層1に不本意な変形等が生じることをより確実に防止することができる。その結果、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度、信頼性を特に優れたものとすることができる。
また、図示の構成では、第2の領域M412は、第1の領域M411の外周側に設けられている。
これにより、前述したような効果をより顕著に発揮させることができ、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度、信頼性をさらに優れたものとすることができるとともに、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
特に、図示の構成では、平坦化手段M42のステージM41に対する相対的な移動方向について、第1の領域M411よりも上流側に第2の領域M412が設けられている。
これにより、平坦化手段M42の相対的な高さ調整に引き続いて、平坦化手段M42による層1の形成を効率よく行うことができ、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
また、本実施形態では、第1の領域M411に層形成用組成物1’を所定の厚みで付与した後、層形成用組成物1’中に含まれる溶剤12を除去している(1d、1j参照)。
これにより、層1を構成する粒子11の間に、溶剤12等が存在しない空間4が形成される。この空間4は、後の第2の固化部形成工程で、液体2’を吸収する吸収部として機能する。
溶剤12の除去は、いかなる条件で行うものであってもよいが、例えば、加熱処理、減圧処理、送風等により行うことができる。
溶剤12の除去を加熱により行う場合、層1の構成材料等(粒子11、溶剤12等の種類等)により異なるが、加熱温度は、例えば、30℃以上100℃以下であるのが好ましく、60℃以上95℃以下であるのがより好ましい。温度範囲の上限としては、急激な気化による形状変化防止のため溶剤12の沸点以下とすることが好ましい。
これにより、層1の構成材料等の不本意な変性や、層1等の不本意な変形等を防止ししつつ、効率よく溶剤12を除去することができ、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
本工程で形成される層1の厚さは、特に限定されないが、例えば、20μm以上500μm以下であるのが好ましく、30μm以上150μm以下であるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の生産性を十分に優れたものとしつつ、製造される三次元造形物10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。
層形成工程における層形成用組成物1’の粘度は、500mPa・s以上1000000mPa・s以下であるのが好ましい。
これにより、本工程をより効率よく行うことができ、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。なお、本明細書中において、粘度とは、E型粘度計(東京計器社製 VISCONIC ELD)を用いて25℃において測定される値をいう。
≪第2の固化部形成工程≫
第2の固化部形成工程では、液体2’をインクジェット法により付与し(1e、1k参照)、その後、液体2’を硬化させる(1f、1l参照)ことにより、第2の固化部2Bを形成する。
インクジェット法により液体2’を付与することにより、液体2’の付与パターンが微細な形状のものであっても再現性よく液体2’を付与することができる。その結果、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度を高いものとすることができる。また、一般に、インクジェット法を用いて吐出する液体2’中には、各種着色剤等を好適に含ませることができる。このため、液体2’を用いて形成される固化部2(第2の固化部2B)の色調を容易かつ確実に制御することができる。また、例えば、固化部2(第2の固化部2B)の形成に、異なる複数種の液体2’を用いることにより、例えば、各部位での色調を異なるものとしたり、液体2’の着弾位置における複数種の液体2’の混合比率を調整することにより、限られた種類の液体2’を用いて表現することのできる色再現領域を広いものとすること(例えば、フルカラー表現)ができる。
また、本実施形態では、最終的に得られる三次元造形物10の可動部21に対応する部位の一部(図示の構成では、第1の固化部2Aで覆われた可動部21の内部の領域)に第2の固化部2Bを形成している。
これにより、例えば、可動部21により好適な弾発性を付与することができる。また、第2の固化部2Bの形成に用いる液体2’が着色剤を含むものである場合に、可動部21全体としての色調、審美性をより好適に調整することができる。
特に、本実施形態では、溶剤12が除去され、複数の粒子11の間に空間4を有する状態の層1に固化部2(第2の固化部2B)の形成に用いる液体2’をインクジェット法により付与し、当該層1中に液体2’を浸透させ(1e、1k参照)、その後、層1中に浸透した液体2’を硬化させる(1f、1l参照)。
これにより、層1の内部(粒子11間の空間4であった部位)に固化部2(第2の固化部2B)を形成することができ、その結果、当該固化部2(第2の固化部2B)により粒子11が結合した結合部3を形成することができる。このようにして形成される結合部3は、粒子11と固化部2(第2の固化部2B)とを含むものであるため、硬度や機械的強度に特に優れたものとなる。したがって、最終的に得られる三次元造形物10は、機械的強度に特に優れ、不本意な変形がより確実に防止されたより信頼性の高いものとなる。
≪未結合粒子除去工程≫
そして、前記のような一連の工程を繰り返し行った後に(1p参照)、後処理工程として、各層1を構成する粒子11のうち、固化部2により結合していないもの(未結合粒子)を除去する未結合粒子除去工程(1q参照)を行う。これにより、三次元造形物10が取り出される。
本工程の具体的な方法としては、例えば、刷毛等で未結合粒子を払い除ける方法、未結合粒子を吸引により除去する方法、空気等の気体を吹き付ける方法、水等の液体を付与する方法(例えば、液体中に前記のようにして得られた積層体を浸漬する方法、液体を吹き付ける方法等)、超音波振動等の振動を付与する方法等が挙げられる。また、これらから選択される2種以上の方法を組み合わせて行うことができる。より具体的には、空気等の気体を吹き付けた後に、水等の液体に浸漬する方法や、水等の液体に浸漬した状態で、超音波振動を付与する方法等が挙げられる。中でも、前記のようにして得られた積層体に対し、水を含む液体を付与する方法(特に、水を含む液体中に浸漬する方法)を採用するのが好ましい。
前述したような本発明の製造方法によれば、色調、意匠性の選択の幅が広く、可動部を有する三次元造形物を生産性よく製造することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の三次元造形物の製造方法の第2実施形態について説明する。
図5、図6、図7、図8は、本発明の三次元造形物の製造方法の第2実施形態について、各工程を模式的に示す断面図である。以下の説明では、前述した実施形態との相違点について中心的に説明し、同様の事項についての説明は省略する。
図5、図6、図7、図8に示すように、本実施形態の三次元造形物10の製造方法は、前述した実施形態と同様の工程を有しているが、層形成工程において形成する層1の厚さの決定方法が、前述した実施形態とは異なる。
すなわち、本実施形態では、高さ計測手段M9により、溶融した熱可塑性組成物2’’を用いて形成された固化物6の高さ(厚さ)を計測し、その計測結果に基づいて、当該固化物6の形成後に新たに形成する層1の厚さを決定する。
このような構成により、例えば、平坦化手段M42を固化物6と接触させる必要がないため、平坦化手段M42の不本意な摩耗や変形を防止することができ、平坦化手段M42の長寿命化を図ったり、三次元造形物10の製造装置のメンテナンスが容易になる等の効果が得られる。また、固化物6の面積が比較的小さい場合であっても、固化物6の高さ(厚さ)を正確に計測することができ、新たに形成する層1の厚さを適正に決定することができる。このため、固化物6の形成に用いる熱可塑性組成物2’’の使用量を削減することができ、三次元造形物10の生産コストの低減、省資源の観点から好ましい。
<熱可塑性組成物>
次に、本発明の三次元造形物の製造に用いる熱可塑性組成物(第1の固化部形成用材料)について詳細に説明する。
第1の固化部2Aの形成に用いられる熱可塑性組成物(第1の固化部形成用材料)2’’は、加熱に溶融し、ノズルM81から射出されるものである。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性組成物2’’は、少なくとも熱可塑性樹脂を含むものである。
熱可塑性組成物2’’を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリアクリレート、ポリオレフィン、環状オレフィンポリマー、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、液晶ポリマー樹脂(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、セルロースプラスチック、ロジン−変性マレイン酸樹脂、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリラクチド、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ナイロン12、PPSF(ポリフェニルサルフォン)、PLA(ポリ乳酸)樹脂や、これらの共重合体等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネートが好ましい。ポリカーボネートを用いることにより、第1の固化部2Aの耐衝撃性、耐熱性、難燃性等を特に優れたものとすることができる。また、第1の固化部2Aの透明性を特に優れたものとすることができるため、例えば、最終的に得られる三次元造形物10において、第1の固化部2Aが外表面を含む領域を構成するものであり、第1の固化部2Aよりも中心側(観察者の視点側とは反対側)に第2の固化部2Bが設けられている場合に、第2の固化部2Bの色調を三次元造形物10の外観に好適に反映させることができ、三次元造形物10全体の審美性(美的外観)を特に優れたものとすることができる。また、ポリカーボネートは適度な可撓性を有する材料であるため、可動部21の構成材料として用いたときに、可動部21をより好適に変形するものとすることができる。また、ポリカーボネートは上記のような優れた特性を有する一方で、比較的安価で、三次元造形物10の原料としてのコストパフォーマンスに優れている。
また、ポリカーボネートは、アクリル系重合性化合物の重合体との親和性に優れているため、第2の固化部2Bがアクリル系重合性化合物の重合体で構成されたものである場合(液体2’がアクリル系重合性化合物を含むものである場合)に、第1の固化部2Aと第2の固化部2Bとの密着性を特に優れたものとすることができ、例えば、可動部21の変形、変位を繰り返し行った場合や、可動部21の変形量、変位量を大きくした場合であっても、第1の固化部2Aと第2の固化部2Bとの接合部における剥離等をより効果的に防止することができ、三次元造形物10の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
(その他の成分)
熱可塑性組成物2’’は、熱可塑性樹脂以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。例えば、顔料、染料等の各種着色剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤;増粘剤;フィラー等の添加材を含むものであってもよい。
上記のようにノズルM81から射出される熱可塑性組成物2’’は、着色剤を含むものであってもよいが、図示のように第1の固化部2Aよりも中心側に第2の固化部2Bが設けられている場合には、熱可塑性組成物2’’は着色剤を含まないものであるのが好ましい。
これにより、第1の固化部2Aの色調を三次元造形物10の外観により好適に反映させることができ、三次元造形物10の審美性を特に優れたものとすることができる。
第1の固化部形成工程において、熱可塑性組成物2’’を所望の部位に付与する際の熱可塑性組成物2’’の粘度は、10Pa・s以上2000Pa・s以下であるのが好ましく、50Pa・s以上1000Pa・s以下であるのがより好ましい。
これにより、より確実に、所望の形状、パターンで熱可塑性組成物2’’を所望の部位に付与することができ、三次元造形物10の寸法精度をより確実に優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
また、第1の固化部形成工程においてノズルM81から熱可塑性組成物2’’を射出する際の熱可塑性組成物2’’の加熱温度は、熱可塑性組成物2’’の組成にもよるが、100℃以上400℃以下であるのが好ましく、150℃以上300℃以下であるのがより好ましい。
これにより、ノズルM81から熱可塑性組成物2’’を射出する際の熱可塑性組成物2’’の粘度を好適なものとすることができ、より確実に、所望の形状、パターンで熱可塑性組成物2’’を所望の部位に付与することができ、また、溶融した熱可塑性組成物2’’が目的とする部位に付与された後に冷却固化するまでの時間を短いものとし、溶融状態の熱可塑性組成物2’’が他の部位(例えば、すでに形成されている固化部2等)に悪影響を与えることをより確実に防止することができる。その結果、三次元造形物10の寸法精度、信頼性をより確実に優れたものとすることができるとともに、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
熱可塑性組成物2’’は、加熱溶融した状態で、ノズルM81から射出されるものであるが、加熱溶融前においては、フィラメント状(糸状)をなすものであるのが好ましい。
これにより、必要時に加熱溶融する熱可塑性組成物2’’の量の制御が容易である。また、フィラメントの外周方向から熱可塑性組成物2’’を加熱すること等により、効率よく熱可塑性組成物2’’を溶融させることができる。このようなことから、省エネルギーの観点から好ましい。また、例えば、ロール状の部材の外周にフィラメント状(糸状)の熱可塑性組成物2’’を巻き付けておくことにより、必要時に、所望量の熱可塑性組成物2’’を送り出す操作を容易に行うことができる。また、熱可塑性組成物2’’の保管が容易となる。
フィラメント状の熱可塑性組成物2’’の太さ(断面形状が円形である場合には、直径)は、0.1mm以上5mm以下であるのが好ましく、0.5mm以上3mm以下であるのがより好ましい。
また、三次元造形物10の製造には、複数種の熱可塑性組成物2’’を用いてもよい。
<液体(第2の固化部形成用液体)>
次に、本発明の三次元造形物の製造に用いる液体(第2の固化部形成用液体)について詳細に説明する。
(結合剤)
液体2’は、結合剤を含むものである。これにより、結合部3において、粒子11同士を結合することができる。また、隣り合う層1間での固化部2同士の結合力を十分に大きいものとすることができる。
特に、本実施形態では、結合剤として、硬化反応し得る樹脂材料(重合性化合物)を含むものである。
これにより、形成される第2の固化部2Bの強度等を特に優れたものとすることができ、三次元造形物10の機械的強度、形状の安定性を優れたものとすることができる。
硬化性樹脂材料(重合性化合物)としては、例えば、熱硬化性樹脂;可視光領域の光により硬化する可視光硬化性樹脂(狭義の光硬化性樹脂)、紫外線硬化性樹脂、赤外線硬化性樹脂等の各種光硬化性樹脂;X線硬化性樹脂等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、液体2’が、硬化性樹脂材料(重合性化合物)として、光硬化性樹脂を含むものである場合、得られる三次元造形物10の機械的強度や三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、三次元造形物10の製造時における不本意な変形をより効果的に防止することができる。
中でも、得られる三次元造形物10の機械的強度や三次元造形物10の生産性、液体2’の保存安定性等の観点から、特に、紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)が好ましい。
紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)としては、紫外線照射により、光重合開始剤から生じるラジカル種またはカチオン種等により、付加重合または開環重合が開始され、重合体を生じるものが好ましく使用される。付加重合の重合様式として、ラジカル、カチオン、アニオン、メタセシス、配位重合が挙げられる。また、開環重合の重合様式として、カチオン、アニオン、ラジカル、メタセシス、配位重合が挙げられる。
付加重合性化合物としては、例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物等が挙げられる。付加重合性化合物として、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく使用できる。
エチレン性不飽和重合性化合物は、単官能の重合性化合物および多官能の重合性化合物、またはそれらの混合物の化学的形態をもつ。単官能の重合性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)や、そのエステル類、アミド類等が挙げられる。多官能の重合性化合物としては、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
特に、液体2’は、重合性化合物として、アクリル酸、メタクリル酸またはこれらの誘導体(例えば、エステル化合物等)等のアクリル系重合性化合物を含むものであるのが好ましい。
これにより、最終的に得られる三次元造形物10の強度を特に優れたものとすることができる。また、熱可塑性組成物2’’がポリカーボネートを含むものである場合に、前述したような効果が得られる。
また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類とイソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、カルボン酸との脱水縮合反応物等も使用できる。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、アルコール類、アミン類またはチオール類との置換反応物も使用できる。
不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルであるラジカル重合性化合物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルが代表的であり、単官能のもの、多官能のもののいずれも用いることができる。
単官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
二官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
三官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
四官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
五官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
六官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリレート以外の重合性化合物としては、例えば、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステル等が挙げられる。
イタコン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられる。
クロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等が挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げられる。
マレイン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
その他のエステルの例としては、例えば、特公昭46−27926号公報、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報に記載のアミノ基を含有するもの等も用いることができる。
また、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドのモノマーの具体例としては、例えば、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
その他の好ましいアミド系モノマーとしては、例えば、特公昭54−21726号公報に記載のシクロへキシレン構造を有するもの等が挙げられる。
また、イソシアネートと水酸基との付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(1)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(R)COOCHCH(R)OH (1)
(ただし、式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に、HまたはCHを示す。)
本発明において、エポキシ基、オキセタン基等の環状エーテル基を分子内に1つ以上有するカチオン開環重合性の化合物を紫外線硬化性樹脂(重合性化合物)として好適に用いることができる。
カチオン重合性化合物としては、例えば、開環重合性基を含む硬化性化合物等が挙げられ、中でも、ヘテロ環状基含有硬化性化合物が特に好ましい。このような硬化性化合物としては、例えば、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、環状ラクトン誘導体、環状カーボネート誘導体、オキサゾリン誘導体等の環状イミノエーテル類、ビニルエーテル類等が挙げられ、中でも、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、ビニルエーテル類が好ましい。
好ましいエポキシ誘導体の例としては、例えば、単官能グリシジルエーテル類、多官能グリシジルエーテル類、単官能脂環式エポキシ類、多官能脂環式エポキシ類等が挙げられる。
グリシジルエーテル類の具体的な化合物を例示すると、例えば、ジグリシジルエーテル類(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等)、三官能以上のグリシジルエーテル類(例えば、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等)、四官能以上のグリシジルエーテル類(例えば、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル等)、脂環式エポキシ類(例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401、EHPE(以上、ダイセル化学工業(株)製))、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテル等)、オキセタン類(例えば、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)等)等が挙げられる。
重合性化合物としては、脂環式エポキシ誘導体を好ましく用いることができる。「脂環式エポキシ基」とは、シクロペンテン基、シクロヘキセン基等のシクロアルケン環の二重結合を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化した部分構造を言う。
脂環式エポキシ化合物としては、シクロヘキセンオキシド基またはシクロペンテンオキシド基を1分子内に2個以上有する多官能脂環式エポキシ類が好ましい。脂環式エポキシ化合物の具体例としては、例えば、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、ジ(2,3−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオキサイド等が挙げられる。
分子内に脂環式構造を有しない通常のエポキシ基を有するグリシジル化合物を、単独で使用したり、前記の脂環式エポキシ化合物と併用することもできる。
このような通常のグリシジル化合物としては、例えば、グリシジルエーテル化合物やグリシジルエステル化合物等を挙げることができるが、グリシジルエーテル化合物を併用することが好ましい。
グリシジルエーテル化合物の具体例を挙げると、例えば、1,3−ビス(2,3−エポキシプロピロキシ)ベンゼン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポシキ樹脂、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂等の芳香族グリシジルエーテル化合物、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリトリグリシジルエーテル等の脂肪族グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。グリシジルエステルとしては、例えば、リノレン酸ダイマーのグリシジルエステル等を挙げることができる。
重合性化合物としては、4員環の環状エーテルであるオキセタニル基を有する化合物(以下、単に「オキセタン化合物」ともいう。)を使用することができる。オキセタニル基含有化合物は、1分子中にオキセタニル基を1個以上有する化合物である。
また、液体2’は、重合性化合物として、シリコーン系重合性化合物(重合することによりシリコーン系樹脂となるもの)を含むものであってもよい。
これにより、例えば、ゴム状の弾性を有する材料で構成された三次元造形物10を好適に製造することができる。
液体2’中における結合剤(硬化性樹脂材料)の含有率は、80質量%以上であるのが好ましく、85質量%以上であるのがより好ましい。これにより、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度等を特に優れたものとすることができる。
(その他の成分)
また、液体2’は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、顔料、染料等の各種着色剤;分散剤;界面活性剤;重合開始剤;重合促進剤;溶剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤;増粘剤;フィラー;凝集防止剤;消泡剤等が挙げられる。
特に、液体2’が着色剤を含むことにより、着色剤の色に対応する色に着色された三次元造形物10を得ることができ、三次元造形物10の意匠性の向上を図ることができる。
特に、着色剤として、顔料を含むことにより、液体2’、三次元造形物10の耐光性を良好なものとすることができる。顔料は、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記無機顔料の中でも、好ましい白色を呈するためには、酸化チタンが好ましい。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに詳しくは、黒色(ブラック)の顔料として使用されるカーボンブラックとしては、例えば、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(以上、キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ(Degussa)社製)等が挙げられる。
白色(ホワイト)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21等が挙げられる。
黄色(イエロー)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180等が挙げられる。
紅紫色(マゼンタ)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、またはC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50等が挙げられる。
藍紫色(シアン)の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バット ブルー 4、60等が挙げられる。
また、前記以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン 7,10、C.I.ピグメントブラウン 3,5,25,26、C.I.ピグメントオレンジ 1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63等が挙げられる。
液体2’が顔料を含むものである場合、当該顔料の平均粒径は、300nm以下であるのが好ましく、50nm以上250nm以下であるのがより好ましい。これにより、液体2’の吐出安定性や液体2’中における顔料の分散安定性を特に優れたものとすることができるとともに、より優れた画質の画像を形成することができる。
なお、本明細書において、平均粒径とは、体積基準の平均粒径を言い、例えば、サンプルをメタノールに添加し、超音波分散器で3分間分散した分散液をコールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INS製TA−II型)にて、50μmのアパチャーを用いて測定することにより求めることができる。
また、染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、および塩基性染料等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
染料の具体例としては、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35等が挙げられる。
液体2’が着色剤を含むものである場合、当該液体2’中における着色剤の含有率は、1質量%以上20質量%以下であるのが好ましい。これにより、特に優れた隠蔽性および色再現性が得られる。
特に、液体2’が着色剤として酸化チタンを含むものである場合、当該液体2’中における酸化チタンの含有率は、12質量%以上18質量%以下であるのが好ましく、14質量%以上16質量%以下であるのがより好ましい。これにより、特に優れた隠蔽性が得られる。
液体2’が顔料を含む場合に、分散剤をさらに含むものであると、顔料の分散性をより良好なものとすることができる。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤等の顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。高分子分散剤の具体例としては、例えば、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、およびエポキシ樹脂のうち1種以上を主成分とするもの等が挙げられる。高分子分散剤の市販品としては、例えば、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、ノベオン(Noveon)社から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 36000等)、BYK社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズ等が挙げられる。
液体2’が界面活性剤を含むものであると、三次元造形物10の耐擦性をより良好なものとすることができる。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤としての、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等を用いることができ、中でも、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いるのが好ましい。界面活性剤の具体例としては、例えば、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(以上、BYK社製商品名)等を挙げられる。
また、液体2’は、溶剤を含むものであってもよい。これにより、液体2’の粘度調整を好適に行うことでき、液体2’が高粘度の成分を含むものであっても、液体2’のインクジェット方式による吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、液体2’の粘度(第2の固化部形成工程において、所望の部位に付与する際の粘度)は、2mPa・s以上30mPa・s以下であるのが好ましく、5mPa・s以上20mPa・s以下であるのがより好ましい。
これにより、インクジェット法による液体2’の吐出安定性を特に優れたものとすることができる。
また、三次元造形物10の製造には、複数種の液体2’を用いてもよい。
例えば、着色剤を含む液体2’(カラーインク)と、着色剤を含まない液体2’(クリアインク)とを用いてもよい。これにより、例えば、三次元造形物10の外観上、色調に影響を与える領域に付与する液体2’として着色剤を含む液体2’を用い、三次元造形物10の外観上、色調に影響を与えない領域に付与する液体2’として着色剤を含まない液体2’を用いてもよい。また、最終的に得られる三次元造形物10において、着色剤を含む液体2’を用いて形成された領域の外表面に、着色剤を含まない液体2’を用いて形成された領域(コート層)を設けるように、複数種の液体2’を併用してもよい。
また、例えば、異なる組成の着色剤を含む複数種の液体2’を用いてもよい。これにより、これらの液体2’の組み合わせにより、表現できる色再現領域を広いものとすることができる。
複数種の液体2’を用いる場合、少なくとも、藍紫色(シアン)の液体2’、紅紫色(マゼンタ)の液体2’および黄色(イエロー)の液体2’を用いるのが好ましい。これにより、これらの液体2’の組み合わせにより、表現できる色再現領域をより広いものとすることができる。
また、白色(ホワイト)の液体2’を、他の有色の液体2’と併用することにより、例えば、以下のような効果が得られる。すなわち、最終的に得られる三次元造形物10を、白色(ホワイト)の液体2’が付与された第1の領域と、第1の領域と重なり合い、かつ、第1の領域よりも外表面側に設けられた白色以外の有色の液体2’が付与された領域(第2の領域)とを有するものとすることができる。これにより、白色(ホワイト)の液体2’が付与された第1の領域が隠蔽性を発揮することができ、三次元造形物10の彩度をより高めることができる。
<粒子含有組成物(層形成用組成物)>
次に、本発明の三次元造形物の製造に用いる粒子含有組成物(層形成用組成物)について詳細に説明する。
粒子含有組成物(層形成用組成物)1’は、充填剤としての粒子11と、粒子11を分散する分散媒としての溶剤12とを含むものである。
このような層形成用組成物1’を用いることにより、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度等を特に優れたものとすることができるとともに、層形成用組成物1’の流動性を優れたものとし、粒子11の凝集等も効果的に防止することができ、製造時における層形成用組成物1’の取扱いのし易さ(取扱い性)を特に優れたものとすることができる。
(粒子)
層形成用組成物1’は、粒子11を複数個含むものである。
粒子11は、硬度の高いものであるのが好ましい。
これにより、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度等を特に優れたものとすることができる。
粒子11の硬さは、例えば、MCT−210(島津製作所社製)を用いた粒子圧縮強度評価により求めることができる。
粒子11は、外部に開放する空孔を有する多孔質で、かつ、疎水化処理が施されたものであるのが好ましい。
このような構成であることにより、三次元造形物10を製造する際に(第2の固化部形成工程において)、液体2’を構成する結合剤を空孔内に好適に侵入させることができ、アンカー効果が発揮され、その結果、粒子11の結合力を特に優れたものとすることができ、結果として、三次元造形物10全体としての機械的強度を特に優れたものとすることができる。また、液体2’を構成する結合剤が、粒子11の空孔内に入り込むことにより、液体2’の不本意な濡れ広がりを効果的に防止することができる。その結果、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度をより高いものとすることができる。
粒子11の構成材料としては、例えば、無機材料や有機材料、これらの複合体等が挙げられる。
粒子11を構成する無機材料としては、例えば、各種金属や金属化合物等が挙げられる。金属化合物としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコン、酸化錫、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム等の各種金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の各種金属水酸化物;窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミ等の各種金属窒化物;炭化珪素、炭化チタン等の各種金属炭化物;硫化亜鉛等の各種金属硫化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の各種金属の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の各種金属の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等の各種金属のケイ酸塩;リン酸カルシウム等の各種金属のリン酸塩;ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム等の各種金属のホウ酸塩や、これらの複合化物等が挙げられる。
粒子11を構成する有機材料としては、例えば、合成樹脂、天然高分子等が挙げられ、より具体的には、ポリエチレン樹脂;ポリプロピレン;ポリエチレンオキサイド;ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン;ポリスチレン;ポリウレタン;ポリウレア;ポリエステル;シリコーン樹脂;アクリルシリコーン樹脂;ポリメタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとする重合体;メタクリル酸メチルクロスポリマー等の(メタ)アクリル酸エステルを構成モノマーとするクロスポリマー(エチレンアクリル酸共重合樹脂等);ナイロン12、ナイロン6、共重合ナイロン等のポリアミド樹脂;ポリイミド;カルボキシメチルセルロールス;ゼラチン;デンプン;キチン;キトサン等が挙げられる。
中でも、粒子11は、金属酸化物で構成されたものであるのが好ましく、シリカで構成されたものであるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物の機械的強度、耐光性等の特性を特に優れたものとすることができる。
また、特に、粒子11がシリカで構成されたものであると、前述した効果がより顕著に発揮される。また、シリカは、流動性にも優れているため、厚さの均一性がより高い層の形成に有利であるとともに、三次元造形物の生産性、寸法精度を特に優れたものとする上でも有利である。
粒子11は、疎水化処理等の表面処理が施されたものであってもよい。
粒子11に施された疎水化処理としては、粒子(母粒子)の疎水性を高める処理であればいかなるものであってもよいが、炭化水素基を導入するものであるのが好ましい。
これにより、粒子11の疎水性をより高いものとすることができる。また、容易かつ確実に、各粒子11や粒子11表面の各部位(外部に開放する空孔を有するものである場合には、空孔内部の表面を含む)での疎水化処理の程度の均一性をより高いものとすることができる。
疎水化処理に用いる化合物としては、シリル基を含むシラン化合物が好ましい。疎水化処理に用いることのできる化合物の具体例としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、1−プロペニルメチルジクロロシラン、プロピルジメチルクロロシラン、プロピルメチルジクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、テトラデシルトリクロロシラン、3−チオシアネートプロピルトリエトキシシラン、p−トリルジメチルクロロシラン、p−トリルメチルジクロロシラン、p−トリルトリクロロシラン、p−トリルトリメトキシシラン、p−トリルトリエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブチロキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブチロキシシラン、ジ−t−ブチルジ−t−ブチロキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクタデシルメチルジエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチルクロロシラン、オクタデシルメチルジクロロシラン、オクタデシルメトキシジクロロシラン、7−オクテニルジメチルクロロシラン、7−オクテニルトリクロロシラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、オクチルメチルジクロロシラン、オクチルジメチルクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、10−ウンデセニルジメチルクロロシラン、ウンデシルトリクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、メチルオクタデシルジメトキシシラン、メチルドデシルジエトキシシラン、メチルオクタデシルジエトキシシラン、n−オクチルメチルジメトキシシラン、n−オクチルメチルジエトキシシラン、トリアコンチルジメチルクロロシラン、トリアコンチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルイソプロポキシシラン、メチル−n−ブチロキシシラン、メチルトリ−sec−ブチロキシシラン、メチルトリ−t−ブチロキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルイソプロポキシシラン、エチル−n−ブチロキシシラン、エチルトリ−sec−ブチロキシシラン、エチルトリ−t−ブチロキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、2−〔2−(トリクロロシリル)エチル〕ピリジン、4−〔2−(トリクロロシリル)エチル〕ピリジン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1,3−(トリクロロシリルメチル)ヘプタコサン、ジベンジルジメトキシシラン、ジベンジルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、フェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルメチルジメトキシシラン、ベンジルジメチルメトキシシラン、ベンジルジメトキシシラン、ベンジルジエトキシシラン、ベンジルメチルジエトキシシラン、ベンジルジメチルエトキシシラン、3−アセトキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、6−(アミノヘキシルアミノプロピル)トリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシシラン、ω−アミノウンデシルトリメトキシシラン、アミルトリエトキシシラン、ベンゾオキサシレピンジメチルエステル、5−(ビシクロヘプテニル)トリエトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、8−ブロモオクチルトリメトキシシラン、ブロモフェニルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、2−クロロメチルトリエトキシシラン、クロロメチルメチルジエトキシシラン、クロロメチルメチルジイソプロポキシラン、p−(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、クロロフェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、
3−クロロプロピルトリメトキシシラン、2−(4−クロロスルフォニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、2−シアノエチルトリメトキシシラン、シアノメチルフェネチルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリメトキシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリエトキシシラン、3−シクロヘキセニルトリクロロシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリクロロシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルジメチルクロロシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルメチルジクロロシシラン、シクロヘキシルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジクロロシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、(シクロヘキシルメチル)トリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロオクチルトリクロロシラン、(4−シクロオクテニル)トリクロロシラン、シクロペンチルトリクロロシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、1,1−ジエトキシ−1−シラシクロペンタ−3−エン、3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、(ジメチルクロロシリル)メチル−7,7−ジメチルノルピナン、(シクロヘキシルアミノメチル)メチルジエトキシシラン、(3−シクロペンタジエニルプロピル)トリエトキシシラン、N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(フルフリルオキシメチル)トリエトキシシラン、2−ヒドロキシ−4−(3−トリエトキシプロポキシ)ジフェニルケトン、3−(p−メトキシフェニル)プロピルメチルジクロロシラン、3−(p−メトキシフェニル)プロピルトリクロロシラン、p−(メチルフェネチル)メチルジクロロシラン,p−(メチルフェネチル)トリクロロシラン、p−(メチルフェネチル)ジメチルクロロシラン、3−モルフォリノプロピルトリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、1,2,3,4,7,7,−ヘキサクロロ−6−メチルジエトキシシリル−2−ノルボルネン、1,2,3,4,7,7,−ヘキサクロロ−6−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、3−ヨードプロピルトリメトキシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチル{2−(3−トリメトキシシリルプロピルアミノ)エチルアミノ}−3−プロピオネート、R−N−α−フェネチル−N’−トリエトキシシリルプロピルウレア、S−N−α−フェネチル−N’−トリエトキシシリルプロピルウレア、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルメチルジメトキシシラン、フェネチルジメチルメトキシシラン、フェネチルジメトキシシラン、フェネチルジエトキシシラン、フェネチルメチルジエトキシシラン、フェネチルジメチルエトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、(3−フェニルプロピル)ジメチルクロロシラン、(3−フェニルプロピル)メチルジクロロシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(トリエトキシシリルプロピル)ダンシルアミド、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、2−(トリエトキシシリルエチル)−5−(クロロアセトキシ)ビシクロヘプタン、(S)−N−トリエトキシシリルプロピル−O−メントカルバメート、3−(トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンズアミド、3−(トリエトキシシリル)プロピルサクシニック無水物、N−〔5−(トリメトキシシリル)−2−アザ−1−オキソ−ペンチル〕カプロラクタム、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、N−(トリメトキシシリルエチル)ベンジル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、フェニルビニルジエトキシシラン、3−チオシアナートプロピルトリエトキシシラン、(トリデカフロオロ−1,1,2,2,−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、N−{3−(トリエトキシシリル)プロピル}フタルアミド酸、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジメトキシシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシシラン、1−トリメトキシシリル−2−(クロロメチル)フェニルエタン、2−(トリメトキシシリル)エチルフェニルスルホニルアジド、β−トリメトキシシリルエチル−2−ピリジン、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリブチルアンモニウムブロマイド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリブチルアンモニウムクロライド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、ビニルメチルジエトキシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルフェニルジクロロシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、ビニルフェニルジメチルシラン、ビニルフェニルメチルクロロシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリス−t−ブトキシシラン、アダマンチルエチルトリクロロシラン、アリルフェニルトリクロロシラン、3−アミノフェノキシジメチルビニルシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルジメチルクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、ベンジルトリクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ベンジルメチルジクロロシラン、フェネチルジイソプロピルクロロシラン、フェネチルトリクロロシラン、フェネチルジメチルクロロシラン、フェネチルメチルジクロロシラン、5−(ビシクロヘプテニル)トリクロロシラン、5−(ビシクロヘプテニル)トリエトキシシラン、2−(ビシクロヘプチル)ジメチルクロロシラン、2−(ビシクロヘプチル)トリクロロシラン、1,4−ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、ブロモフェニルトリクロロシラン、3−フェノキシプロピルジメチルクロロシラン、3−フェノキシプロピルトリクロロシラン、t−ブチルフェニルクロロシラン、t−ブチルフェニルメトキシシラン、t−ブチルフェニルジクロロシラン、p−(t−ブチル)フェネチルジメチルクロロシラン、p−(t−ブチル)フェネチルトリクロロシラン、1,3−(クロロジメチルシリルメチル)ヘプタコサン、((クロロメチル)フェニルエチル)ジメチルクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)メチルジクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)トリクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)トリメトキシシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリクロロシラン、2−シアノエチルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルメチルジエトキシシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルジメチルエトキシシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルトリクロロシラン、フッ化アルキルシラン等を挙げることができ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、ヘキサメチルジシラザンを疎水化処理に用いるのが好ましい。
これにより、粒子11の疎水性をより高いものとすることができる。また、容易かつ確実に、各粒子11や粒子11表面の各部位(外部に開放する空孔を有するものである場合には、空孔内部の表面を含む)での疎水化処理の程度の均一性をより高いものとすることができる。
シラン化合物を用いた疎水化処理を液相で行う場合には、シラン化合物を含む液中に、疎水化処理を施すべき粒子(母粒子)を浸漬することで、好適に所望の反応を進行させることができ、シラン化合物の化学吸着膜を形成することができる。
また、シラン化合物を用いた疎水化処理を気相で行う場合には、シラン化合物の蒸気に疎水化処理を施すべき粒子(母粒子)を曝すことで、好適に所望の反応を進行させることができ、シラン化合物の化学吸着膜を形成することができる。
粒子11の平均粒径は、特に限定されないが、1μm以上25μm以下であるのが好ましく、1μm以上15μm以下であるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、層形成用組成物1’の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
粒子11のDmaxは、3μm以上40μm以下であるのが好ましく、5μm以上30μm以下であるのがより好ましい。
これにより、三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、層形成用組成物1’の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
粒子11の空孔率は、50%以上であるのが好ましく、55%以上90%以下であるのがより好ましい。
これにより、結合剤が入り込む空間(空孔)を十分に有するとともに、粒子11自体の機械的強度を優れたものとすることができ、結果として、空孔内に結合剤が侵入してなる結合部3を有する三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができる。
なお、本発明において、粒子11の空孔率とは、粒子11の見かけ体積中に対する、粒子11の内部に存在する空孔の割合(体積率)のことを言い、粒子11の密度をρ[g/cm]、粒子11の構成材料の真密度ρ[g/cm]としたときに、{(ρ−ρ)/ρ}×100で表される値である。
粒子11の平均空孔径(細孔直径)が10nm以上であるのが好ましく、50nm以上300nm以下であるのがより好ましい。
これにより、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができる。また、三次元造形物10の製造に、顔料を含む液体2’(着色インク)を用いる場合において、顔料を粒子11の空孔内に好適に保持することができる。このため、不本意な顔料の拡散を防止することができ、高精細な画像をより確実に形成することができる。
粒子11は、いかなる形状を有するものであってもよいが、球形状をなすものであるのが好ましい。これにより、層形成用組成物1’の流動性を特に優れたものとし、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、製造される三次元造形物10における不本意な凹凸の発生等をより効果的に防止し、三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。
層形成用組成物1’は、複数種の粒子11を含むものであってもよい。
層形成用組成物1’中における粒子11の含有率は、8質量%以上91質量%以下であるのが好ましく、10質量%以上53質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、層形成用組成物1’の流動性を十分に優れたものとしつつ、最終的に得られる三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができる。
(溶剤)
層形成用組成物1’は、溶剤12を含むものである。
これにより、層形成用組成物1’の取り扱い性(取り扱いのしやすさ)を特に優れたものとすることができ、厚さの均一性がより高い層1を容易に形成することができるとともに、層1の不本意な変形をより効果的に防止することができる。
層形成用組成物1’を構成する溶剤としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール性溶剤;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート、プロピレングリコール1−モノエチルエーテル2−アセタート等のグリコールエーテルアセテート系溶剤;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、層形成用組成物1’は、水系溶剤を含むものであるのが好ましく、水を含むものであるのがより好ましい。
これにより、層形成用組成物1’の流動性、層形成用組成物1’を用いて形成される層1の組成の均一性を特に優れたものとすることができる。また、水は層1の形成後の除去が容易であるとともに、三次元造形物10中に残存した場合においても悪影響を与えにくい。また、人体に対する安全性、環境問題の観点等からも有利である。また、層形成用組成物1’が後に詳述するバインダーとして水溶性樹脂を含む場合に、層形成用組成物1’中において、当該水溶性樹脂をより好適な溶解状態することができ、後に詳述するようなバインダー(水溶性樹脂)を含むことによる効果がより効果的に発揮される。
水系溶剤は、水に対する溶解性の高い溶剤であればよいが、具体的には、例えば、25℃における水に対する溶解度(水100gに溶解可能な質量)が30[g/100g水]以上のものであるのが好ましく、50[g/100g水]以上のものであるのがより好ましい。
層形成用組成物1’中における溶剤12の含有率は、9質量%以上92質量%以下であるのが好ましく、29質量%以上89質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したような溶剤12を含むことによる効果がより顕著に発揮されるとともに、三次元造形物10の製造過程において溶剤12を短時間で容易に除去することができるため、三次元造形物10の生産性向上の観点から有利である。
特に、層形成用組成物1’中における水の含有率は、18質量%以上92質量%以下であるのが好ましく、47質量%以上90質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したような効果がより顕著に発揮される。
(バインダー)
層形成用組成物1’は、複数個の粒子11、溶剤12とともに、バインダーを含むものであってもよい。
これにより、層形成用組成物1’を用いて形成された層1(特に、溶剤12が除去された状態の層1)において、複数個の粒子11を好適に結合(仮固定)することができ、粒子11の不本意な飛散等を効果的に防止することができる。これにより、作業者の安全や、製造される三次元造形物10の寸法精度のさらなる向上を図ることができる。
層形成用組成物1’がバインダーを含むものである場合、層形成用組成物1’において、バインダーは溶剤12に溶解しているものであるのが好ましい。
これにより、層形成用組成物1’の流動性を特に良好なものとすることができ、層形成用組成物1’を用いて形成される層1の厚さの不本意なばらつきをより効果的に防止することができる。また、溶剤12が除去された状態の層1を形成した際に、層1全体にわたって、より高い均一性で、バインダーを粒子11に付着させることができ、不本意な組成のむらが発生するのをより効果的に防止することができる。このため、最終的に得られる三次元造形物10の各部位での機械的強度の不本意なばらつきの発生をより効果的に防止することができ、三次元造形物10の信頼性をより高いものとすることができる。
バインダーとしては、層形成用組成物1’を用いて形成された層1(特に、溶剤12が除去された状態の層1)において複数個の粒子11を仮固定する機能を有するものであればよいが、水溶性樹脂を好適に用いることができる。
水溶性樹脂を含むことにより、層形成用組成物1’が溶剤12として水系溶剤(特に、水)を含む場合に、層形成用組成物1’中にバインダー(水溶性樹脂)を溶解状態で含ませることができ、層形成用組成物1’の流動性、取り扱い性(取り扱いの容易性)を特に優れたものとすることができる。その結果、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
また、三次元造形物10の製造過程において層1の液体2’が付与されなかった部位を、水系溶剤(特に、水)を付与することにより、容易かつ効率よく除去することができる。その結果、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。また、層の除去されるべき部位が、最終的に得られた三次元造形物10に付着、残存することを容易かつ確実に防止することができるため、三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。
以下、バインダーとしての水溶性樹脂について中心に説明する。
水溶性樹脂は、少なくともその一部が水系溶剤に可溶なものであればよいが、例えば、25℃における水に対する溶解度(水100gに溶解可能な質量)が5[g/100g水]以上のものであるのが好ましく、10[g/100g水]以上のものであるのがより好ましい。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリカプロラクトンジオール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、変性ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのランダム共重合ポリマー等の合成ポリマー、コーンスターチ、マンナン、ペクチン、寒天、アルギン酸、デキストラン、にかわ、ゼラチン等の天然ポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酸化でんぷん、変性でんぷん等の半合成ポリマー等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
水溶性樹脂製品の具体例としては、例えば、メチルセルロース(信越化学社製、メトローズSM−15)、ヒドロキシエチルセルローズ(フジケミカル社製、AL−15)、ヒドロキシプロピルセルローズ(日本ソーダ社製、HPC−M)、カルボキシメチルセルローズ(ニチリン化学社製、CMC−30)、澱粉リン酸エステルナトリュウム(I)(松谷化学社製、ホスター5100)、ポリビニールピロリドン(東京化学社製、PVP K−90)、メチルビニールエーテル/無水マレイン酸コポリマー(GAFガントレット社製、AN−139)、ポリアクリルアミド(和光純薬社製)、変性ポリアミド(変性ナイロン)(東レ社製、AQナイロン)、ポリエチレンオキサイド(製鉄化学社製、PEO−1、明成化学工業社製、アルコックス)、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのランダム共重合ポリマー(明成化学工業社製、アルコックスEP)、ポリアクリル酸ナトリウム(和光純薬社製)、カルボキシビニルポリマー/架橋型アクリル系水溶性樹脂(住友精化社製、アクペック)等が挙げられる。
中でも、バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルアルコールである場合、三次元造形物10の機械的強度を特に優れたものとすることができる。また、ケン化度や重合度の調整により、バインダーの特性(例えば、水溶性、耐水性等)や層形成用組成物1’の特性(例えば、粘度、粒子11の固定力、濡れ性等)をより好適に制御することができる。このため、多様な三次元造形物10の製造により好適に対応することができる。また、ポリビニルアルコールは、各種水溶性樹脂の中でも、安価で、かつ、供給が安定したものである。このため、生産コストを抑制しつつ、安定的な三次元造形物10の製造を行うことができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルアルコールを含むものである場合、当該ポリビニルアルコールのケン化度は、85以上90以下であるのが好ましい。これにより、水系溶剤(特に、水)に対するポリビニルアルコールの溶解度の低下を抑制することができる。そのため、層形成用組成物1’が水系溶剤(特に、水)を含むものである場合に、隣接する層1間の接着性の低下をより効果的に抑制することができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルアルコールを含むものである場合、当該ポリビニルアルコールの重合度は、300以上1000以下であるのが好ましい。これにより、層形成用組成物1’が水系溶剤(特に、水)を含むものである場合に、各層1の機械的強度や隣接する層1間の接着性を特に優れたものとすることができる。
また、バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルピロリドン(PVP)である場合、以下のような効果が得られる。すなわち、ポリビニルピロリドンは、ガラス、金属、プラスチック等の各種材料に対する接着性に優れているため、層1のうち液体2’が付与されない部分の強度・形状の安定性を特に優れたものとし、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、ポリビニルピロリドンは、各種有機溶媒に対して、高い溶解性を示すため、層形成用組成物1’が有機溶剤を含む場合において、層形成用組成物1’の流動性を特に優れたものとすることができ、不本意な厚さのばらつきがより効果的に防止された層1’を好適に形成することができ、最終的に得られる三次元造形物10の寸法精度を特に優れたものとすることができる。また、ポリビニルピロリドンは、水系溶剤(特に、水)に対しても高い溶解性を示すため、未結合粒子除去工程(造形終了後)において、各層1を構成する粒子11のうち、結合剤により結合していないものを容易かつ確実に除去することができる。また、ポリビニルピロリドンは、各種着色剤との親和性に優れているため、第2の固化部形成工程において着色剤を含む液体2’を用いた場合に、着色剤が不本意に拡散してしまうのを効果的に防止することができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリビニルピロリドンを含むものである場合、当該ポリビニルピロリドンの重量平均分子量は、10000以上1700000以下であるのが好ましく、30000以上1500000以下であるのがより好ましい。
これにより、前述した機能をより効果的に発揮することができる。
バインダーとしての水溶性樹脂がポリカプロラクトンジオールを含むものである場合、当該ポリカプロラクトンジオールの重量平均分子量は、10000以上1700000以下であるのが好ましく、30000以上1500000以下であるのがより好ましい。
これにより、前述した機能をより効果的に発揮することができる。
層形成用組成物1’中において、バインダーは、層形成工程において、液状の状態(例えば、溶解状態、溶融状態等)をなすものであるのが好ましい。これにより、容易かつ確実に、層形成用組成物1’を用いて形成される層1の厚さの均一性を、より高いものとすることができる。
層形成用組成物1’がバインダーを含むものである場合、層形成用組成物1’中におけるバインダーの含有率は、0.5質量%以上25質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以上10質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したようなバインダーを含むことによる効果がより顕著に発揮されるとともに、層形成用組成物1’中における粒子11等の含有率を十分に高いものとすることができ、製造される三次元造形物10の機械的強度等を特に優れたものとすることができる。
(その他の成分)
また、層形成用組成物は、前述した以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、重合開始剤;重合促進剤;浸透促進剤;湿潤剤(保湿剤);定着剤;防黴剤;防腐剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;キレート剤;pH調整剤等が挙げられる。
《三次元造形物製造装置》
次に、本発明に係る三次元造形物製造装置について説明する。
図9は、本発明に係る三次元造形物製造装置の好適な実施形態を模式的に示す断面図である。
三次元造形物製造装置M100は、液体2’、熱可塑性組成物2’’および層形成用組成物1’を用いて、層1を繰り返し成形し積層することにより、三次元造形物10を製造するものである。特に、三次元造形物製造装置M100は、前述したような本発明の三次元造形物の製造方法を行うことにより、三次元造形物10を製造するものである。
図9に示すように、三次元造形物製造装置M100は、制御部M2と、層形成用組成物(粒子含有組成物)1’を収容する粒子含有組成物供給部M3と、粒子含有組成物供給部M3から供給された層形成用組成物(粒子含有組成物)1’を用いて層1を形成する層形成部M4と、層1に液体(第2の固化部形成用液体)2’を吐出する液体吐出部(液体付与手段)M5と、液体2’を硬化させるためのエネルギー線を照射するエネルギー線照射手段(硬化手段)M6と、第1の固化部2Aを形成するための熱可塑性組成物2’’を溶融した状態で付与する熱可塑性組成物付与手段M8と、熱可塑性組成物2’’を用いて形成された固化物6の高さを計測する高さ計測手段M9とを有している。
制御部M2は、コンピューターM21と、駆動制御部M22とを有している。
コンピューターM21は、内部にCPUやメモリ等を備えて構成される一般的な卓上型コンピューター等である。コンピューターM21は、三次元造形物10の形状をモデルデータとしてデータ化し、それを平行な幾層もの薄い断面体にスライスして得られる断面データ(スライスデータ)を駆動制御部M22に対して出力する。また、後に詳述する高さ計測手段M9により固化物6の上面の高さを計測し、当該高さに基づいて層1の厚さを調整する場合には、層1の厚さに基づいて、断面データ(スライスデータ)の書き換え(補正・修正)が行われる。
駆動制御部M22は、層形成部M4、液体吐出部M5、エネルギー線照射手段M6、熱可塑性組成物付与手段M8、高さ計測手段M9等をそれぞれに駆動する制御手段として機能する。具体的には、例えば、液体吐出部M5による液体2’の吐出パターンや吐出量、熱可塑性組成物付与手段M8による熱可塑性組成物2’’の加熱温度や射出パターン、射出量、粒子含有組成物供給部M3からの層形成用組成物1’の供給量、ステージ(昇降ステージ)M41の下降量等を制御する。
粒子含有組成物供給部M3は、駆動制御部M22からの指令により移動し、内部に収容された層形成用組成物1’が、ステージM41に供給されるように構成されている。
層形成部M4は、層形成用組成物1’が供給され、層形成用組成物1’により形成された層1を支持するステージ(昇降ステージ)M41と、ステージM41に保持された層形成用組成物1’を平坦化しつつ層1を形成する平坦化手段(スキージー)M42と、平坦化手段M42の動作を規制するガイドレールM43と、昇降ステージM41を取り囲み、昇降ステージM41に密着するように設けられた枠体M45とを有している。
昇降ステージM41は、先に形成された層1の上に、新たな層1を形成するのに際して、駆動制御部M22からの指令により所定量だけ順次下降する。この昇降ステージM41の下降量と後に詳述する平坦化手段M42の高さとにより、新たに形成される層1の厚さが規定される。
ステージM41は、表面(層形成用組成物1’、液体2’、熱可塑性組成物2’’が付与される部位。第1の領域M411および第2の領域M412を含む部位)が平坦なものである。これにより、厚さの均一性の高い層1を容易かつ確実に形成することができる。また、固化物6の上面の高さに基づいて、新たに形成される層1の厚さを好適に調整することができる。
ステージM41は、高強度の材料で構成されたものであるのが好ましい。ステージM41の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼等の各種金属材料等が挙げられる。
また、ステージM41の表面(層形成用組成物1’、液体2’、熱可塑性組成物2’’が付与される部位。第1の領域M411および第2の領域M412を含む部位)には、表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、層形成用組成物1’の構成材料や液体2’の構成材料がステージM41に強固に付着してしまうことをより効果的に防止したり、ステージM41の耐久性を特に優れたものとし、三次元造形物10のより長期間にわたる安定的な生産を図ったりすることができる。ステージM41の表面の表面処理に用いられる材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等が挙げられる。
平坦化手段M42としてのスキージーは、Y方向に延在する長手形状を有するものであり、下部先端が尖った刃状の形状を有するブレードを備えている。
平坦化手段M42により、層形成用組成物1’が平坦化されることにより形成される層1は、高さ計測手段M9による固化物6の上面の高さ等の情報に基づいて、必要に応じて好適に調整されたものであるため、層形成用組成物1’の構成成分(例えば、粒子11)が、層形成工程の終了時において固化部2の上面に不本意に残存することを防止することができる。
なお、ブレードは、平坦化手段(スキージー)M42による層形成用組成物1’の拡散が円滑に行えるように、ブレードに微小振動を与えるバイブレーション機構(図示せず)を備えていてもよい。
また、三次元造形物製造装置M100は、例えば、ステージM41の第2の領域M412に形成された固化物6の上面に平坦化手段M42を当接した際に平坦化手段M42に加わる応力を検出する応力検出手段(図示せず)を備えるものであってもよい。
これにより、例えば、平坦化手段M42を固化物6の上面に当接させた場合において、平坦化手段M42に所定の応力が所定値になる状態を、層1の形成時における平坦化手段M42の高さとして決定することができる。
なお、平坦化手段M42の固化物6への当接は、ステージM41と平坦化手段M42とをZ方向に相対的に移動させることにより好適に行うことができ、例えば、平坦化手段M42を下方向に移動させることにより行ってもよいし、ステージM41を上方向に移動させることにより行ってもよい。
液体吐出部(液体付与手段)M5は、インクジェット法により、層1に液体2’を吐出するものである。このような液体吐出部(液体付与手段)M5を備えることにより、微細なパターンで液体2’を付与することができ、微細な構造を有する三次元造形物10であっても特に生産性良く製造することができる。
液滴吐出方式(インクジェット法の方式)としては、ピエゾ方式や、液体2’を加熱して発生した泡(バブル)により液体2’を吐出させる方式等を用いることができるが、液体2’の構成成分の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
液体吐出部(液体付与手段)M5は、駆動制御部M22からの指令により、各層1において形成すべきパターン、層1の各部において付与する液体2’の量が制御されている。液体吐出部(液体付与手段)M5による液体2’の吐出パターン、吐出量等は、スライスデータに基づいて決定される。これにより、必要十分な量の液体2’を付与することができ、所望のパターンの第2の固化部2Bを確実に形成することができ、三次元造形物10の寸法精度、機械的強度をより確実に優れたものとすることができる。また、液体2’が着色剤を含むものである場合、所望の色調を確実に得ることができ、層1の厚みの変更に伴い、不本意な色調の変化が生じること、色バランスが不本意に崩れてしまうこと等を確実に防止することができる。
エネルギー線照射手段(硬化手段)M6は、層1に付与された液体2’を硬化させるためのエネルギー線を照射するものである。
エネルギー線照射手段M6が照射するエネルギー線の種類は、液体2’の構成材料により異なるが、例えば、紫外線、可視光線、赤外線、X線、γ線、電子線、イオンビーム等が挙げられる。中でも、コスト面、三次元造形物10の生産性の観点から、紫外線を用いるのが好ましい。
熱可塑性組成物付与手段M8は、溶融した熱可塑性組成物2’’を射出するものである。このような熱可塑性組成物付与手段M8を備えることにより、所望の形状の固化部2(第1の固化部2A)を形成することができる。特に、層1上に固化部2を形成する場合において、固化部2の形成用材料(熱可塑性組成物2’’)の層1中への不本意な浸透を防止し、所望の形状の固化部2(第1の固化部2A)を形成することができる。また、第1の固化部2Aおよび固化物6を同一条件(例えば、同一厚さ、同一密度)のものとして好適に形成することができる。
熱可塑性組成物付与手段M8は、図示しないロール状部材の外周に巻き付けられ、当該ロール状部材から送り出されたフィラメント状の熱可塑性組成物2’’が、図示しない加熱手段により加熱溶融され、この溶融した熱可塑性組成物2’’がノズルM81から、射出されるように構成されている。
熱可塑性組成物付与手段M8は、駆動制御部M22からの指令により、形成すべきパターン、付与する熱可塑性組成物2’’の量が制御されている。熱可塑性組成物付与手段M8による熱可塑性組成物2’’の射出パターン、射出量等は、スライスデータに基づいて決定される。これにより、必要十分な量の熱可塑性組成物2’’を付与することができ、所望のパターンの第1の固化部2Aを確実に形成することができ、三次元造形物10の寸法精度、機械的強度をより確実に優れたものとすることができる。
高さ計測手段M9は、固化物6の上面の高さを計測するものである。
固化物6の上面の高さの情報は、高さ計測手段M9から制御部M2に送信され、形成される層1の厚さ、平坦化手段M42の相対的な高さの調整に利用される。
また、図9に示す構成では、高さ計測手段M9は、固化物6の上方からの焦点距離を求めることにより、固化物6の高さを求めるものである。このような構成であることにより、高さ計測手段M9を移動させることなく、固化物6の高さを計測することができるため、固化物6の高さの計測に要する時間を短いものとすることができ、三次元造形物10の生産性を特に優れたものとすることができる。
前述したような本発明に係る三次元造形物製造装置によれば、色調、意匠性の選択の幅が広く、可動部を有する三次元造形物を生産性よく製造することができる。
特に、本実施形態の三次元造形物製造装置によれば、寸法精度、機械的強度に優れた三次元造形物を効率よく製造することができる。
《三次元造形物》
本発明の三次元造形物は、前述したような三次元造形法(特に、本発明の製造方法)を用いて製造されたものであり、可動部を有し、可動部の少なくとも一部を含む領域である第1の部位が、熱可塑性樹脂を含む材料で構成され、前記第1の部位以外の部位の少なくとも一部の領域である第2の部位が硬化性樹脂の硬化物を含む材料で構成されたものである。
これにより、意匠性に優れ、可動部を有する三次元造形物を提供することができる。
このような三次元造形物は、前述したような本発明に係る三次元造形物製造装置を用いて好適に製造することができる。
本発明の三次元造形物の用途は、特に限定されないが、例えば、人形、フィギュア等の鑑賞物・展示物;インプラント等の医療機器等が挙げられる。
また、本発明の三次元造形物は、プロトタイプ、量産品、オーダーメード品のいずれに適用されるものであってもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明に係る三次元造形物製造装置、三次元造形物では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。例えば、本発明に係る三次元造形物製造装置は、図示しない加熱手段や減圧手段を備えていてもよい。これにより、例えば、層形成用組成物から溶剤を効率よく除去することができ、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができる。また、本発明に係る三次元造形物製造装置は、図示しない冷却手段を備えていてもよい。これにより、例えば、熱可塑性組成物付与手段から付与された溶融状態の熱可塑性組成物を速やかに十分な形状の安定性を有する固化部とすることができ、三次元造形物の生産性を特に優れたものとすることができる。
また、前述した実施形態では、全ての層に対して、固化部を形成するものとして説明したが、固化部が形成されない層を有していてもよい。例えば、ステージの直上に形成された層に対して、固化部を形成しないものとし、犠牲層として機能させてもよい。
また、前述した実施形態では、層形成工程、第2の固化部形成工程および第1の固化部形成工程を、一連の工程として繰り返し行う場合について、中心的に説明したが、繰り返し行う一連の工程は、各サイクルで異なるものであってもよい、例えば、上記の工程のうち、第2の固化部形成工程を省略したサイクルを有するものであってもよいし、第1の固化部形成工程を省略したサイクルを有するものであってもよい。
また、本発明の三次元造形物の製造方法においては、工程・処理の順番は、前述した物に限定されず、その少なくとも一部を入れ替えて行ってもよい。例えば、前述した実施形態では、2回目以降の第1の固化部形成工程(nを1以上の整数とした場合に、下からn+1番目の層1に埋没する第1の固化部2Aを形成する第1の固化部形成工程)は、その下層(下からn番目の層1)に第2の固化部2Bを形成した後に行うものとして説明したが、2回目以降の第1の固化部形成工程(下からn+1番目の層1に埋没する第1の固化部2Aを形成する第1の固化部形成工程)は、その下層(下からn番目の層1)に第2の固化部2Bを形成する前に行うものであってもよい。
また、例えば、第2の固化部の形成に用いる液体が重合性化合物を含むものである場合、各第2の固化部(硬化部)の形成のために行う硬化処理は、各第2の固化部(硬化部)に対応するパターンを形成するごとに繰り返し行うものでなくてもよく、硬化されていないパターンが複数の層に設けられた積層体を形成した後に一括して行うもの等であってもよい。
また、前述した実施形態では、層形成用組成物が溶剤を含むものである場合について代表的に説明したが、層形成用組成物は、溶剤を含まないものであってもよい。
また、前述した実施形態では、第2の固化部形成用液体が結合剤として硬化性樹脂(重合性化合物)を含むものである場合について代表的に説明したが、第2の固化部形成用液体は、硬化性樹脂(重合性化合物)以外の結合剤を含むものであってもよい。例えば、第2の固化部形成用液体は、溶剤に溶解した状態の熱可塑性樹脂を含むものであってもよい。
また、前述した実施形態では、三次元造形物が第1の固化部と第2の固化部とからなるものである場合について代表的に説明したが、例えば、第1の固化部、第2の固化部以外の固化部を形成してもよい。例えば、溶剤を含む状態の層(複数個の粒子を含む層)上に、液体(固化部形成用液体)を付与することにより固化部(第3の固化部)を形成してもよい。このように、溶剤を含む状態の層上に液体(固化部形成用液体)を付与することにより、当該液体は、層中での浸透が防止され、前記層上に所望の形状を有する固化部(第3の固化部)を容易かつ確実に形成することができる。
また、前述した実施形態では、第2の部位を、複数の粒子で構成された層中に、インクジェット法で液体を付与することにより形成する場合について代表的に説明したが、本発明において、第2の部位は、インクジェット法により液体を吐出してその後固化させることにより形成されたものであればよく、例えば、粒子を含まない部位に付与して形成されたものであってもよい。
また、前述した実施形態では、溶融した熱可塑性組成物、インクジェット法により吐出される液体に加え、複数個の粒子を含む粒子含有組成物(層形成用組成物)を用いて三次元造形物を製造する場合について説明したが、本発明では、複数個の粒子を含む粒子含有組成物(層形成用組成物)を用いなくてもよい。このような場合、三次元造形物は、溶融した熱可塑性組成物を用いて形成された固化部、インクジェット法により吐出された液体により形成された固化部を含む層が、積層されることにより形成されたものとして得られる。
また、前述した実施形態では、可動部が、第1の固化部(第1の部位)と第2の固化部とを有するものである場合について説明したが、可動部は、第1の固化部(第1の部位)のみで構成されたものであってもよい。
また、本発明の製造方法においては、必要に応じて、前処理工程、中間処理工程、後処理工程を行ってもよい。
前処理工程としては、例えば、ステージの清掃工程等が挙げられる。
後処理工程としては、例えば、洗浄工程、バリ取り等を行う形状調整工程、着色工程、被覆層形成工程、未硬化の結合剤を確実に硬化させるための光照射処理や加熱処理を行う結合剤硬化完了工程等が挙げられる。
また、前述した実施形態では、層の厚さの決定に用いられる固化物が、造形ステージ上の、目的とする三次元造形物の実体部を構成する部位が形成される第1の領域とは異なる第2の領域に形成されるものである場合について説明したが、層の厚さの決定に用いられる固化物は、第1の領域に形成されたもの、特に、三次元造形物の実体部の一部であってもよい。
また、前述した実施形態では、層の厚さの決定に用いられる固化物の上面の高さを、固化物の上面からの観察により求める場合について代表的に説明したが、固化物の上面の高さは、固化物の側面からの観察により求めてもよい。
前述した実施形態では、高さ計測手段として固定されたものを用いる場合について代表的に説明したが、高さ計測手段は移動可能なもの(例えば、ステージのXY方向に移動可能なもの)であってもよい。これにより、例えば、固化物の上面の高さを複数の点について計測することができる。
また、前述した実施形態では、数回の工程にわたって積み重ねるようにして形成された複数の固化物が、いずれも同一形状、同一面積を有するものである場合について代表的に説明したが、例えば、積み重ねられる複数の固化物は、上側に向かって面積が順次減少するものであり、複数の固化物が積み重ねられてなる積層体は、例えば、ピラミッド状等の形状をなすものであってもよい。このような場合であっても、前記と同様の効果が得られる。
また、本発明において、層の厚さの決定に用いられる固化物は形成しなくてもよい。
また、本発明に係る三次元造形物製造装置は、粒子含有組成物供給部から供給された粒子含有組成物(層形成用組成物)のうち層の形成に用いられなかったものを回収するための、図示しない回収機構を備えるものであってもよい。これにより、層形成部に余剰の層形成用組成物が蓄積されることを防止しつつ、十分な量の層形成用組成物を供給することができるため、層における欠陥の発生をより効果的に防止しつつ、より安定的に三次元造形物を製造することができる。また、回収した層形成用組成物を、再度、三次元造形物の製造に用いることができるため、三次元造形物の製造コストの低減に寄与することができ、また、省資源の観点からも好ましい。
また、本発明に係る三次元造形物製造装置は、未結合粒子除去工程で除去された層形成用組成物を回収するための回収機構を備えていてもよい。
10…三次元造形物
1…層
1’…粒子含有組成物(層形成用組成物)
11…粒子
12…溶剤
2…固化部
2A…第1の固化部
2B…第2の固化部
2’…液体(第2の固化部形成用液体)
2’’…熱可塑性組成物(第1の固化部形成用材料)
21…可動部
3…結合部
4…空間
6…固化物
M100…三次元造形物製造装置
M2…制御部
M21…コンピューター
M22…駆動制御部
M3…粒子含有組成物供給部
M4…層形成部
M41…ステージ(昇降ステージ、支持体)
M411…第1の領域
M412…第2の領域
M42…平坦化手段(スキージー)
M43…ガイドレール
M45…枠体
M5…液体吐出部(液体付与手段)
M6…エネルギー線照射手段(硬化手段)
M8…熱可塑性組成物付与手段
M81…ノズル
M9…高さ計測手段

Claims (9)

  1. 層を積層することにより、三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、
    前記三次元造形物の可動部の少なくとも一部を含む領域である第1の部位を、溶融した熱可塑性樹脂を含む熱可塑性組成物をノズルから射出しその後固化させることにより形成し、
    前記三次元造形物のうち前記第1の部位以外の部位の少なくとも一部の領域である第2の部位を、インクジェット法により液体を吐出しその後固化させることにより形成することを特徴とする三次元造形物の製造方法。
  2. 粒子を含む粒子含有組成物を用いて形成された層に、前記液体をインクジェット法により付与し、前記粒子間の隙間に前記液体を浸透させることにより前記第2の部位を形成する請求項1に記載の三次元造形物の製造方法。
  3. 前記粒子含有組成物は、溶剤を含むものであり、
    前記層に前記液体を付与する際には、当該層から前記溶剤が除去された状態とする請求項2に記載の三次元造形物の製造方法。
  4. 前記粒子含有組成物は、前記溶剤として水系溶剤を含むものである請求項3に記載の三次元造形物の製造方法。
  5. 前記粒子含有組成物は、さらにバインダーを含むものである請求項3または4に記載の三次元造形物の製造方法。
  6. 前記液体は、光硬化性樹脂を含むものである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  7. 前記熱可塑性樹脂は、ポリカーボネートを含むものであり、
    前記液体は、アクリル系重合性化合物を含むものである請求項1ないし6のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の三次元造形物の製造方法を用いて製造されたものであることを特徴とする三次元造形物。
  9. 三次元造形法を用いて製造された三次元造形物であって、
    可動部の少なくとも一部を含む領域である第1の部位が、熱可塑性樹脂を含む材料で構成されたものであり、前記第1の部位以外の部位の少なくとも一部の領域である第2の部位が硬化性樹脂の硬化物を含む材料で構成されたものであることを特徴とする三次元造形物。
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