JP2010229170A - 三次元造形用材料、三次元造形物の製造方法及び三次元造形物 - Google Patents

三次元造形用材料、三次元造形物の製造方法及び三次元造形物 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化性及び表面平滑性に優れ、透明性の高い三次元造形用材料、及び、前記三次元造形用材料を使用した三次元造形物の製造方法、並びに、前記製造方法により製造された三次元造形物を提供すること。
【解決手段】(A)粉末材料、及び、前記(A)粉末材料を結合する(B)結合剤を含み、前記(A)粉末材料が、1種以上のエチレン性不飽和化合物由来の単量体単位を有し、かつ円形度が0.9〜1.1の有機ポリマー粒子であり、前記(B)結合剤が、前記エチレン性不飽和化合物を50重量%以上含有する光硬化性組成物であることを特徴とする三次元造形用材料、及び、前記三次元造形用材料を使用した三次元造形物の製造方法、並びに、前記製造方法により製造された三次元造形物。
【選択図】なし

Description

本発明は、三次元造形用材料、三次元造形物の製造方法及び三次元造形物に関する。
従来から、立体的な造形対象物を平行な複数の面で切断した断面形状とし、各断面形状に対応させて粉末材料の薄層を結合剤により結合し、この結合された薄層よりなる断面形状を順次積層させることによって、造形対象物の三次元モデルとなる造形物を作製する技術が知られている。
このような技術は、ラピッドプロトタイピングと呼ばれ、部品試作及びデザイン確認用途などに利用することができる。
近年、安価かつ高速、さらにはカラーモデリング作製に適するインクジェットを利用する方式のものが提案されており、例えば、特許文献1〜3に開示されたものがある。この立体造形の具体的な手順を以下に説明する。
まず、ブレード機構により粉末材料を平らな表面上に均一な厚さを有する薄層に拡げ、この粉末材料の薄層表面に、インクジェットノズルヘッドを走査させて、造形対象物を平行な断面により切断した断面形状に対応させて、結合剤を吐出する。結合剤が吐出された領域の粉末材料は、必要な操作を施すことにより、粉末材料を接合状態にするとともに、既に形成済の下層の断面形状とも結合する。そして、造形物全体が完成するまで、粉末材料の薄層を上部に順次積層しながら、結合剤を吐出する工程を繰り返す。最終的に、結合剤が吐出されなかった領域は、粉末材料が個々に独立して互いに接合しない状態であるため、造形物を装置から取り出す際に、粉末材料は容易に除去することができ、目的とする造形物が分離できる。以上の操作により、所望の三次元造形物が製造できる。
特許文献2には、三次元物体を形成する方法であって、粒子材料を含むフィラー層を形成するステップと、化学組成物を前記フィラー層の特定の位置に塗布して、そのフィラーを特定の位置で結合させるステップとを包み、前記化学組成物が非水性有機モノマー化合物を含む、方法が開示されている。
また、特許文献3には、屈折率n1を有する粉末材料を支持体上に所定の厚さを有する層に形成する層形成工程、及び上記の粉末材料の層を屈折率n2を有する結着剤により所定の断面形状に結合させる断面形状形成工程(ただし、−0.1≦n1−n2≦0.1である。)、を順次繰り返すことを特徴とする三次元造形物の製造方法が開示されている。
特許第2729110号公報 特表2003−531220号公報 特開2004−351907号公報
本発明の目的は、硬化性及び表面平滑性に優れ、透明性の高い三次元造形用材料、及び、前記三次元造形用材料を使用した三次元造形物の製造方法、並びに、前記製造方法により製造された三次元造形物を提供することである。
上記課題は、下記に記載の<1>、<8>又は<10>によって達成された。好ましい実施態様である<2>〜<7>及び<9>と共に以下に示す。
<1>(A)粉末材料、及び、前記(A)粉末材料を結合する(B)結合剤を含み、前記(A)粉末材料が、1種以上のエチレン性不飽和化合物由来の単量体単位を有し、かつ円形度が0.9〜1.1の有機ポリマー粒子であり、前記(B)結合剤が、前記エチレン性不飽和化合物を50重量%以上含有する光硬化性組成物であることを特徴とする三次元造形用材料、
<2>前記光硬化性組成物が、前記エチレン性不飽和化合物を80重量%以上含有する上記<1>に記載の三次元造形用材料、
<3>前記エチレン性不飽和化合物が、脂環構造、ラクトン構造、ジオキサン構造、環状アミン構造、環状アミド構造、又は、環状イミド構造を有するエチレン性不飽和化合物を含む上記<1>又は<2>に記載の三次元造形用材料、
<4>前記エチレン性不飽和化合物が、脂環構造を有するエチレン性不飽和化合物を含む上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の三次元造形用材料、
<5>前記光硬化性組成物が、エチレン性不飽和基を有する含フッ素ポリマーをさらに含有する上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の三次元造形用材料、
<6>前記エチレン性不飽和基を有する含フッ素ポリマーが、(メタ)アクリロイル基を有する上記<5>に記載の三次元造形用材料、
<7>前記(B)結合剤が、インクジェット用結合剤である上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の三次元造形用材料、
<8>粉末材料を所定の厚さを有する層に形成する層形成工程、及び、前記層に対して結合剤を断面形状に供給し、光を照射することにより結合剤を硬化させ前記粉末材料の結合体を形成させる結合工程を順次繰り返すことを含み、前記粉末材料及び前記結合剤として上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の三次元造形用材料を用いることを特徴とする三次元造形物の製造方法、
<9>前記結合工程において、前記結合剤をインクジェットにより吐出する上記<8>に記載の三次元造形物の製造方法、
<10>上記<8>又は<9>に記載の三次元造形物の製造方法により製造された三次元造形物。
本発明によれば、硬化性及び表面平滑性に優れ、透明性の高い三次元造形用材料、及び、前記三次元造形用材料を使用した三次元造形物の製造方法、並びに、前記製造方法により製造された三次元造形物を提供することできた。
本発明の三次元造形用材料は、(A)粉末材料、及び、前記(A)粉末材料を結合する(B)結合剤を含み、前記(A)粉末材料が、1種以上のエチレン性不飽和化合物由来の単量体単位を有し、かつ円形度が0.9〜1.1の有機ポリマー粒子であり、前記(B)結合剤が、前記エチレン性不飽和化合物を50重量%以上含有する光硬化性組成物であることを特徴とする。
(A)粉末材料
本発明の三次元造形用材料は、(A)粉末材料を含む。
本発明に用いることができる(A)粉末材料は、1種以上のエチレン性不飽和化合物由来の単量体単位を有し、かつ円形度が0.9〜1.1の有機ポリマー粒子(以下、「特定有機ポリマー粒子」)である。
本発明に用いることができる(A)粉末材料は、円形度が0.9〜1.1の有機ポリマー粒子、すなわち、真球状又は真球状に近い有機ポリマー粒子である。
また、(A)粉末材料は、円形度が0.95〜1.05である有機ポリマー粒子であることが好ましい。
有機ポリマーの平均円形度は、シスメックス(株)製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて粒子画像を取得し、画像解析により容易に求めることができる。
円形度とは、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、高分子粒子の投影像の周囲長で除した値として定義され、次式により求められる値である。
円形度(Ci)=粒子の投影面積に等しい円の周囲長/粒子投影像の周囲長
また、平均円形度(Ca)は、次式により求められる値である。
Figure 2010229170
上記式において、nは円形度Ciを求めた粒子の個数である。
上記式において、Ciは、0.6〜400μmの円相当径の粒子群の各粒子について測定された円周長を元に、算出された各粒子の円形度である。
上記式において、fiは円形度Ciの粒子の頻度である。
平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、高分子粒子表面の凹凸の度合いを示す指標である。平均円形度は、粒子が完全な球形の場合に1を示し、粒子の表面形状が複雑になるほど小さな値となる。
本発明に用いることができる(A)粉末材料は、1種以上のエチレン性不飽和化合物由来の単量体単位を有する有機ポリマー粒子である。
なお、「エチレン性不飽和化合物由来の単量体単位」とは、ポリマー中において、エチレン性不飽和化合物1分子から形成される構成単位をいう。
エチレン性不飽和化合物は、エチレン性不飽和結合を有する化合物であり、ラジカル重合可能な化合物であれば、特に限定されない。エチレン性不飽和化合物は、1種のみ用いてもよく、また、目的とする特性を向上するために、任意の比率で2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル、スチレン、さらに種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタアクリル」のいずれか一方、又は、その両方を含む語であり、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリル」及び「メタアクリル」のいずれか一方、又は、その両方を含む語である。
また、本発明において、例えば、単官能(メタ)アクリレート化合物とは、(メタ)アクリロキシ基を1つのみ有する化合物を表し、(メタ)アクリロキシ基以外のエチレン性不飽和結合をさらに有していてもよい。
前記有機ポリマー粒子の作製に使用するエチレン性不飽和化合物としては、環状構造を有するエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、1種以上の環状構造を有するエチレン性不飽和化合物のみを使用して前記有機ポリマー粒子の作製することがより好ましい。すなわち、前記有機ポリマー粒子は、環状構造を有する単量体単位(モノマー単位)を少なくとも有することが好ましく、前記有機ポリマー粒子における単量体単位の全てが、環状構造を有する単量体単位であることがより好ましい。
前記環状構造を有するエチレン性不飽和化合物の環状構造としては、脂環構造、ラクトン構造、ジオキサン構造、環状アミン構造、環状アミド構造、環状イミド構造、又は、芳香環構造等が挙げられ、脂環構造、ラクトン構造、ジオキサン構造、環状アミン構造、環状アミド構造、又は、環状イミド構造が好ましく挙げられる。
また、前記有機ポリマー粒子の作製に使用するエチレン性不飽和化合物としては、脂環構造、ラクトン構造、又は、環状アミン構造を有するエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、脂環構造を有するエチレン性不飽和化合物を含むことがより好ましい。すなわち、前記有機ポリマー粒子は、脂環構造、ラクトン構造、又は、環状アミン構造を有する単量体単位を少なくとも有することが好ましく、脂環構造を有する単量体単位を少なくとも有することがより好ましい。
前記環状構造を有するエチレン性不飽和化合物におけるエチレン性不飽和結合は、(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、及び、ビニルオキシ基よりなる群から選ばれた基が好ましく例示でき、硬化感度の観点から(メタ)アクリロイル基であることが好ましく、アクリロイル基であることがより好ましい。
また、結合剤のムラ抑制の観点から、前記環状構造を有するエチレン性不飽和化合物の粘度が低いことが好ましく、前記環状構造を有するエチレン性不飽和化合物が有するエチレン性不飽和結合の数は、1分子当たり1〜3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましい。
<脂環構造>
エチレン性不飽和結合を有する化合物の好ましい化合物としては、脂環炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
脂環炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物としては、分子内に、1つ以上のエチレン性不飽和結合、及び、1つ以上の脂環炭化水素基を有する化合物であれば、特に制限はなく、すなわち、単官能でも多官能でもよい。
脂環炭化水素基としては、脂肪族環状炭化水素構造(脂環炭化水素構造、又は、脂環構造)から1以上の水素原子を除いた基であればよい。
また、脂環炭化水素構造は、その中に1以上の不飽和結合を有してもよい。
前記脂環炭化水素構造は、導入可能な炭素に置換基を有していてもよい。
導入しうる置換基としては、アルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アミノ基、カルボキシル基、アシル基、アルコキシ基、ニトロ基等が例示できる。
また、脂環炭化水素基が有する環構造の炭素数は、6〜18であることが好ましく、6〜12であることがより好ましい。
脂環炭化水素基としては、複数の環が縮環した脂肪族縮合多環炭化水素基、又は、橋状の炭素鎖を有する橋かけ環炭化水素基であることが好ましく、橋かけ環炭化水素基であることがより好ましい。
また、前記橋かけ環炭化水素基は、ビシクロ環炭化水素基、又は、トリシクロ環炭化水素基であることが更に好ましく、前記ビシクロ環又はトリシクロ環の環内に二重結合を有するものが特に好ましい。
なお、本発明におけるビシクロ環又はトリシクロ環とは、鎖式構造まで開くのに必要な環原子間結合の切断の数が3回の場合をトリシクロ環、2回の場合をビシクロ環という。
また、脂環炭化水素基において、その環構造を構成する環は、3〜7員環であることが好ましく、4〜7員環であることがより好ましく、5又は6員環であることが最も好ましい。なお、橋かけ環の場合は、橋によって環の内部が区切られていない環を、前記環構造を構成する環とする。
前記の脂環炭化水素構造としては、以下に示す(R−1)〜(R−8)の構造であることが好ましい。なお、本発明において、化合物やその部分構造の炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載することもある。
Figure 2010229170
脂環炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物としては、特願2008−208576号公報に記載のものを例示でき、特に、特願2008−208576号公報に記載の例示化合物(B−1)〜(B−31)、(b−1)〜(b−38)、及び、(C−1)〜(C−16)を好適に例示できる。
<ラクトン構造>
エチレン性不飽和結合を有する化合物の好ましい化合物としては、ラクトン基を有するエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
本発明に用いることができるラクトン基を有するエチレン性不飽和化合物としては、分子内にエチレン性不飽和結合及びラクトン構造を有する化合物であれば、制限なく使用することができる。
ラクトン環を有する重合性化合物の分子内に存在するラクトン環の数は、1〜4が好ましく、1〜2がより好ましく、1が特に好ましい。
また、ラクトン環、エチレン性不飽和結合を分子内にそれぞれ複数含有する場合、同一化合物内のラクトン環、エチレン性不飽和結合の種類は同じでも、異なっていてもよい。
ラクトン環を有するエチレン性不飽和化合物中のラクトン環としては、下記式(2)で表される構造が好ましいものとして挙げられる。
Figure 2010229170
式(2)において、R1は、水素原子、又は、炭素数1〜4個のアルキル基を表す。
1における炭素数1〜4個のアルキル基としては、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状のアルキル基を表す。
これらのアルキル基は、さらに置換基を有していてもよい。
式(2)において、R2〜R7は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、又は、アルケニル基を表す。このアルキル基、シクロアルキル基、及びアルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。
式(2)において、R6とR7が結合して環を形成してもよく、形成される環としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環等の3〜8員環が挙げられる。
また、上記アルキル基、シクロアルキル基、及び、アルケニル基に導入しうる置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アシル基、アシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
式(2)においては、R6、R7のうち少なくとも1つが水素原子以外の基であることが好ましく、R6、R7のうち少なくとも1つは、炭素数1〜10個のアルキル基、炭素数3〜8個のシクロアルキル基、又は、炭素数2〜6個のアルケニル基であることがより好ましく、炭素数1〜6個のアルキル基であることが特に好ましい。
また、R2〜R5としては、炭素数1〜10個アルキル基、炭素数3〜8個のシクロアルキル基、又は、炭素数2〜6個のアルケニル基であることが好ましく、炭素数1〜6個のアルキル基であることが特に好ましい。
式(2)におけるm、nは、各々独立に、0〜6の整数を表す。
一方、ラクトン環含有エチレン性不飽和化合物中のエチレン性不飽和結合としては、ラジカル重合によって重合可能な官能基ならば、特に制限はない。エチレン性不飽和結合としては、ビニル基、アリル基、又は、(メタ)アクリル基などのエチレン性不飽和基であることが好ましく、合成の容易さと反応性の点から、アクリル基、又は、メタクリル基であることがより好ましい。
また、ラクトン環と、エチレン性不飽和結合とは、単結合又は連結基を介して結合されており、そのような連結基の分子量としては1,000以下のものが好ましく、600以下のものがより好ましい。
この連結基として、具体的には、下記の部分構造、又は、これらが組み合わされて構成されるものが挙げられる。中でも、分散性と混和性の観点から、特に、繰り返し単位n=1〜30のアルキレンオキサイド構造を含む連結基が好ましい。
Figure 2010229170
ラクトン基を有するエチレン性不飽和化合物としては、特願2007−247869号公報に記載のものを例示でき、特に、特願2007−247869号公報に記載の例示化合物A−1〜A−48を好適に例示できる。
<ジオキサン構造>
本発明に用いることができるエチレン性不飽和化合物としては、1,3−ジオキソラン環骨格又は1,3−ジオキサン環骨格を有するエチレン性不飽和化合物が用いることができ、1,3−ジオキサン環骨格を有するエチレン性不飽和化合物は下記式(I)で表されるものが、1,3−ジオキソラン環骨格を有するエチレン性不飽和化合物は下記式(II)で表されるものが、それぞれ挙げられる。
Figure 2010229170
式(I)及び式(II)中、R1〜R8は各々独立に、水素原子又は炭化水素基を表し、式(I)においてはR1〜R8の少なくとも1つ、また、式(II)においてはR1〜R6の少なくとも1つが、その末端に置換基としてエチレン性不飽和基を有する。
1〜R8が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、炭素数1〜18の炭化水素基が好ましく、具体的には、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基などが挙げられ、中でも、アルキル基が好ましい。
1〜R8がアルキル基を表す場合の、好ましいアルキル基としては、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、炭素数1〜4の直鎖のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
式(I)においてはR1〜R8の少なくとも1つが、また、式(II)においてはR1〜R6の少なくとも1つが、置換基として末端に有するエチレン性不飽和結合を有する基の構造は、エチレン性不飽和結合であれば、制限なく用いることができる。
式(I)においてはR1〜R8の少なくとも1つが、また、式(II)においてはR1〜R6の少なくとも1つが、置換基として末端に有するエチレン性不飽和基の構造は、(メタ)アクリルオキシ基又は(メタ)アクリルアミド基であることが好ましく、反応性及び重合反応により生成するポリマーの柔軟性の観点から、(メタ)アクリルオキシ基又は(メタ)アクリルアミド基であることがより好ましい。
式(I)におけるR1〜R8、及び、式(II)におけるR1〜R6の末端に置換基として存在する(メタ)アクリル酸誘導体は、一分子中に1〜2個であることが好ましく、化合物自体の粘度や、硬化後の物性の観点から1つであることがより好ましい。
これらのジオキサン構造を有するエチレン性不飽和化合物の中でも、式(I)で表される1,3−ジオキサン環骨格を有する(メタ)アクリル酸のエステル又はアミドが、硬化速度の観点から好ましく、特に式(I)で表され、(メタ)アクリルオキシ基を分子内に1つ有する化合物が好ましい。
ジオキサン構造を有するエチレン性不飽和化合物としては、特願2007−247843号公報に記載のものを例示でき、特に、特願2007−247843号公報に記載の例示化合物(B−1)〜(B−23)を好適に例示できる。
<環状アミン構造>
本発明に用いることができる環状アミン構造を有するエチレン性不飽和化合物としては、分子内にエチレン性不飽和結合及び環状アミン構造を少なくとも1つずつ有する化合物であれば、制限なく用いることができる。
環状アミン構造としては、環構造を形成する原子の少なくとも1つが窒素原子である環状アミンであれば用いることができる。
環構造の環の員数は、3〜9であることが好ましく、4〜8であることがより好ましく、5〜7であることが特に好ましい。
環状アミン構造を形成する環には、導入可能な場合には置換基を有していてもよく、好ましい置換基としては炭素数1〜4程度の比較的短鎖のアルキル基が挙げられ、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
また、環状アミン構造における環を形成する構成成分として、窒素原子のほかに酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子が含まれていてもよい。
環状アミン構造を形成する環のうち、特に好ましいものとしては、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環が挙げられ、置換基を有する下記式(3)で示されるピペリジン環が特に好ましいものとして挙げることができる。
Figure 2010229170
式(3)中、R1はアルキル基又は置換アルキル基を表す。
1は炭素数1以上のアルキル基であり、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることが更に好ましく、メチル基が特に好ましい。また、窒素原子に隣接する炭素原子上に水素原子を有することが好ましく、水素原子の数は2以上であることが好ましい。R1が置換アルキル基の場合、導入可能な置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、アミノ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が好ましく挙げられる。
式(3)中、R2〜R5はそれぞれ独立に、メチル基又はエチル基を表すが、メチル基であることが好ましく、R2〜R5の全てがメチル基であることがより好ましい。
環状アミン構造を有するエチレン性不飽和化合物において、環状アミン構造は連結基を介してエチレン性不飽和結合と連結されるが、連結される部位は、環状アミン構造である前記式(3)におけるR2〜R5が存在する部位を除けば、いずれの部位がエチレン性不飽和結合と連結されていてもよい。
環状アミン構造を有するエチレン性不飽和化合物としては、特願2007−247847号公報に記載のものを例示でき、特に、特願2007−247847号公報に記載の例示化合物(A−1)〜(A−31)を好適に例示できる。
<環状アミド構造>
本発明に用いることができる環状アミド構造(ラクタム構造)を有するエチレン性不飽和化合物としては、分子内にエチレン性不飽和結合及び環状アミド構造を有する化合物であれば、制限なく使用することができる。
また、アミド環、エチレン性不飽和結合を分子内にそれぞれ複数含有する場合、同一化合物内のアミド環、エチレン性不飽和結合の種類は同じでも、異なっていてもよい。
ラクタム構造含有エチレン性化合物中のアミド環としては、下記式(4)で表される構造が好ましいものとして挙げられる。
Figure 2010229170
式(4)において、R1〜R7は各々独立に、水素原子又は有機基を表し、有機基としてはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が挙げられ、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましい。また、これらの置換基はさらに置換基を有していてもよい。さらに、R1〜R7は2つ以上が結合して環形成していてもとい。
また、式(4)におけるnは、1〜6の整数を表し、1〜5の整数であることが好ましく、2〜4であることがより好ましい。環が大きくなることによって、硬化膜のTgが高くなり易くなり好ましく、また、nが5以下の場合には、素材の溶解性が適度であり好ましい。
また、これらの構造中、R1〜R7のいずれかの水素原子又は有機基の炭素原子に結合している水素原子を除して、酸素原子又は窒素原子を介して(メタ)アクリロイル基やビニル基を結合することにより、本発明に好適に用いることができる分子中に環状アミド構造を有するエチレン性不飽和化合物が得られる。
<環状イミド構造>
本発明に用いることができる環状イミド構造を有するエチレン性不飽和化合物しては、分子内にエチレン性不飽和結合及び環状イミド構造を有する化合物であれば、制限なく使用することができる。
また、イミド環、エチレン性不飽和結合を分子内にそれぞれ複数含有する場合、同一化合物内のイミド環、エチレン性不飽和結合の種類は同じでも、異なっていてもよい。
イミド環含有重合性化合物中のイミド環としては、下記式(5)で表される構造が好ましいものとして挙げられる。
Figure 2010229170
上記式(5)におけるR1〜R5は各々独立に、水素原子又は有機基を表し、有機基としてはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が挙げられる。また、nは、1〜6の整数を表す。
式(5)において、R1〜R5は各々独立に、水素原子又は有機基を表し、有機基としてはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が挙げられ、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましい。また、これらの置換基はさらに置換基を有していてもよい。さらに、R1〜R5は2つ以上が結合して環形成していてもよい。
また、式(5)におけるnは、1〜6の整数を表し、特に1〜5の整数であることが好ましく、2〜4であることがより好ましい。環が大きくなることによって、硬化膜のTgが高くなり易くなり好ましく、また、nが6以上の場合には、素材の溶解性が低下する。
また、これらの構造中、R1〜R5のいずれかの水素原子又は有機基の炭素原子に結合している水素原子を除して、酸素原子又は窒素原子を介して(メタ)アクリロイル基やビニル基を結合することにより、本発明に好適に用いることができる分子中環状イミド構造を有するエチレン性不飽和化合物が得られる。
環状アミド構造を有するエチレン性不飽和化合物、又は、環状イミド構造を有するエチレン性不飽和化合物としては、特願2007−247857号公報に記載のものを例示でき、特に、特願2007−247857号公報に記載の例示化合物(A−1)〜(A−48)を好適に例示できる。
<芳香環構造>
エチレン性不飽和化合物の好ましい化合物としては、芳香環構造を有するエチレン性不飽和化合物、すなわち、芳香族基を有するエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
芳香環構造を有するエチレン性不飽和化合物としては、分子内に、1つ以上のエチレン性不飽和結合、及び、1つ以上の芳香環構造を有する化合物であれば、特に制限はなく、すなわち、単官能でも多官能でもよい。
芳香族基としては、芳香環から1以上の水素原子を除いた基であればよい。
前記芳香族基は、導入可能な炭素に置換基を有していてもよい。
芳香族基に導入しうる置換基としては、特に制限はないが、アルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アミノ基、カルボキシル基、アシル基、アルコキシ基、ニトロ基等が好ましく例示できる。
また、芳香族基が有する環構造の炭素数は、6〜20であることが好ましく、6〜10であることがより好ましく、6であることが更に好ましい。
芳香環構造を有するエチレン性不飽和化合物として具体的には、例えば、フェノキシ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。
他のエチレン性不飽和化合物としては、特に制限はなく、公知の単官能又は多官能エチレン性不飽和化合物を使用することができ、アクリレート化合物、メタクリレート化合物、N−ビニル化合物、アリル化合物、ビニル化合物等が例示できる。
さらに具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年、大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー社);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性又は架橋性のモノマー、オリゴマー、及び、ポリマーを用いることができる。
また、エチレン性不飽和化合物としては、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特開平9−134011号等の各公報に記載されている光硬化型の重合性化合物材料が知られており、これらも本発明に適用することができる。
有機ポリマー粒子の合成時における分散安定性の観点から、有機ポリマー粒子において使用する重合性化合物の80重量%以上がエチレン性不飽和化合物であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましく、95重量%以上であることが更に好ましい。
また、有機ポリマー粒子における単量体単位のうち、環状構造(好ましくは、脂環炭化水素基、ラクトン基、ジオキサン基、環状アミン基、環状アミド、環状イミド基)を有するエチレン性不飽和化合物由来の単量体単位、すなわち、環状構造を有する単量体単位の含有量が50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることが更に好ましい。
また、用いられる脂環炭化水素基、ラクトン基、ジオキサン基、環状アミン基、環状アミド、環状イミド基を有するエチレン性不飽和化合物は単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機ポリマー粒子の粒径としては、硬化性と造形物の表面滑らかさの観点から、10μm〜100μmが好ましく、20μm〜90μmがより好ましい。
有機ポリマー粒子におけるポリマーの重量平均分子量は、5,000〜1,000,000であることが好ましく、10,000〜300,000であることがより好ましく、30,000〜200,000であることが更に好ましい。
以下に本発明の有機ポリマー粒子の好ましい具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されない。なお、各単量体単位の括弧の右下の数字は、重量比を表す。
Figure 2010229170
Figure 2010229170
Figure 2010229170
(B)結合剤
本発明の三次元造形用材料は、前記(A)粉末材料を結合する(B)結合剤を含む。
前記(B)結合剤は、前記(A)粉末材料の作製に使用したエチレン性不飽和化合物と同じ構造のエチレン性不飽和化合物を50重量%以上含有する光硬化性組成物である。
B−1.エチレン性不飽和化合物
結合剤に用いられるエチレン性不飽和化合物の例は、上記の有機ポリマー粒子に用いたエチレン性不飽和化合物と同一であり、好ましい範囲も同様である。
高い透明性を得るため、結合剤に用いられるエチレン性不飽和化合物の50重量%以上が有機ポリマー粒子に用いたエチレン性不飽和化合物の少なくとも1種と同一であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることが更に好ましく、95重量%以上であることが最も好ましい。
また、結合剤におけるエチレン性不飽和化合物の含有量は、結合剤の全体の重量に対して、50〜98重量%であることが好ましく、55〜95重量%であることがより好ましく、60〜90重量%であることが更に好ましい。エチレン性不飽和化合物の含有量が50重量%以上であると、硬化後の結合剤の透明性に優れ、95重量%以下である場合には、硬化性が良好である。
B−2.光重合開始剤
本発明に用いることができる結合剤は、光重合開始剤を含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、公知のラジカル光重合開始剤を使用することができる。
本発明に用いることができるラジカル光重合開始剤は、活性放射線を吸収して重合開始種を生成する化合物である。重合を開始するために使用される活性放射線には、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。使用する波長は特に限定されないが、好ましくは200〜500nmの波長領域であり、より好ましくは200〜450nmの波長領域である。
<ラジカル光重合開始剤>
本発明に用いることができる好ましいラジカル光重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルフォスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びに(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。
上述したラジカル光重合開始剤の例としては、例えば、特開2006−085049号公報の明細書の段落番号[0135]〜[0208]に記載されたラジカル光重合開始剤を挙げることができる。
透明性の観点から好ましい光重合開始剤としては、光重合開始剤を3g/cm2の厚みでコーティングした際に、400nmの波長の吸光度が0.3以下の化合物が好ましく、より好ましくは、0.2以下の化合物がより好ましく、0.1以下の化合物が更に好ましい。
ラジカル光重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤としては、芳香族ケトン化合物及び/又はアシルフォスフィンオキシド系化合物を用いることが好ましい。
芳香族ケトン化合物の好適な例としては、α−アミノケトン系化合物が挙げられる。
前記α−アミノケトン系化合物に包含される化合物の例としては、2−メチル−1−フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(ヘキシル)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−エチル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられる。また、チバスペシャルティケミカルズ社製のイルガキュア(IRGACURE)シリーズ、例えば、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379等の如き市販品としても入手可能であり、これらもα−アミノケトン系化合物に包含される化合物であり、本発明に好適に使用しうる。
また、α−アミノケトン系化合物以外の芳香族ケトン化合物の好適な例としては、カンファーキノン、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン、アセトフェノン誘導体、例えば、α−ヒドロキシシクロアルキルフェニルケトン類又は2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパノン、等のジアルコキシアセトフェノン類が挙げられる。
また、アシルフォスフィンオキシド系化合物としては、例えば、特公昭63−40799号公報、特公平5−29234号公報、特開平10−95788号公報、特開平10−29997号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
本発明に用いることができる結合剤は、光重合開始剤として、芳香族ケトン化合物及びアシルフォスフィンオキシド系化合物以外の光重合開始剤を用いてもよいし、併用してもよい。
他の重合開始剤としては、例えば、α−ヒドロキシ−又は4−アロイル−1,3−ジオキソラン類、ベンゾインアルキルエーテル類及びベンジルケタール類、グリオキサル酸フェニル及びその誘導体、ペルエステル類、ハロメチルトリアジン類、ヘキサアリールビスイミダゾール/共同開始剤系、フェロセニウム化合物又はチタノセン類、O−アシルオキシムエステル化合物を使用することもできる。共同開始剤として、ホウ酸化合物を使用することもできる。
結合剤における前記光重合開始剤の含有量は、固形分換算で、0.1〜30重量%の範囲であることが好ましく、0.2〜20重量%の範囲であることがより好ましい。
B−3.エチレン性不飽和基を有する含フッ素ポリマー
また、本発明に用いることができる結合剤は、エチレン性不飽和基を有する含フッ素ポリマー(以下、「特定含フッ素ポリマー」ともいう。)を含有することが好ましい。
「含フッ素ポリマー」とは、ポリマー中にフッ素原子を含むものをいう。また、「エチレン性不飽和基を有する含フッ素ポリマー」とは、含フッ素ポリマー中のいずれかに少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有するものをいう。
特定含フッ素ポリマーとしては、分子中にフッ素原子を含有するものであれば用いることができ限定されるものではないが、フッ素原子を含む基を側鎖に有するポリマーであることが好ましい。
前記フッ素原子を含む基としては、炭素数2〜15個のパーフルオロアルキル基又はフルオロアルキル基であることが好ましく、パーフルオロアルキル基であることがより好ましい。
また、フッ素原子を有する基は、特定含フッ素ポリマーのポリマー鎖に直接結合して側鎖を形成していてもよいが、多価の連結基を介して特定含フッ素ポリマーのポリマー鎖に結合していることが好ましく、アルキレン基及びカルボン酸エステル基を介して特定含フッ素ポリマーのポリマー鎖に結合していることがより好ましい。
前記特定含フッ素ポリマーとしては、エチレン性不飽和基を有する含フッ素ポリマーであれば、制限なく用いることができる。
前記エチレン性不飽和基としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する基であればよく、限定されるものではないが、具体的には(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロイルアミド基、スチリル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、及び、クロトニル基等が挙げられ、中でも(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルアミド基及びアリル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基及びアリル基がより好ましい。
前記エチレン性不飽和基は、特定含フッ素ポリマーのポリマー鎖に直接結合していてもよいが、後述する多価の連結基を介して結合していることが好ましい。
特定含フッ素ポリマーは、フッ素原子を含む基を側鎖に有する単量体単位(「含フッ素単量体単位」ともいう)と、エチレン性不飽和基を側鎖に有する単量体単位とを含むことが好ましい。
特定含フッ素ポリマーに含まれる含フッ素単量体単位は、式(F1)で表される単量体単位であることが好ましい。
Figure 2010229170
式(F1)中、Rfはフッ素原子を5個以上含むフルオロアルキル基又はパーフルオロアルキル基を表し、nは1又は2を表し、R1は水素原子又はメチル基を表す。
式(F1)において、Rfとしてフッ素原子の数が5以上のものを用いることによって、結合剤の表面エネルギーが低下し、表面平滑性の向上に寄与することができる。
Rfは式(F2)に示すフルオロアルキル基又はパーフルオロアルキル基であることがより好ましい。
Rf=Cxyz (F2)
式(F2)において、xは2〜15の整数を表し、yは5〜2x+1の整数を表し、y+zは2x+1である。
xはRfに含まれる炭素数を表し、xは2〜12であることが好ましく、2〜8であることがより好ましい。
フッ素原子の数yは5〜30が好ましく、より好ましくは9〜25であり、更に好ましくは9〜17である。この範囲のフッ素原子を有する特定含フッ素ポリマーを用いることによって優れた表面平滑性が得られる。また、フッ素原子の撥油性に起因する溶解性の低下が生じることがない。
Rfがパーフルオロアルキル基Cx2x+1である場合には、Rfは直鎖状又は分岐を有していてもよく、直鎖状、すなわち(CF2xFであることが好ましい。xの範囲は先に述べた範囲と同様であり、好ましい範囲についても同様である。
Rfがフルオロアルキル基である場合は、Rfは直鎖状又は分岐を有していてもよく、直鎖状(CF2xHであることが好ましい。xの範囲は先に述べた範囲と同様であり、好ましい範囲についても同様である。
Rfは、直鎖状のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、具体的には、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、及び、パーフルオロオクチル基等が挙げられ、中でもパーフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基がより好ましい。
また、特定含フッ素ポリマーに含まれる全単量体単位に対する、前記含フッ素単量体単位の割合は、1〜60モル%が好ましく、3〜50モル%がより好ましく、5〜40モル%が更に好ましく、10〜20モル%が特に好ましい。上記範囲であると、所望の表面平滑性効果が得られ、また、特定含フッ素ポリマーの結合剤への溶解性が優れる。
特定含フッ素ポリマーにおけるエチレン性不飽和基を側鎖に有する単量体単位としては式(F3)で表されるモノマー単位が好ましい。
Figure 2010229170
式(F3)において、R2は水素原子又はメチル基を表し、R3は−O−又は−NH−を表し、R4はエチレン性不飽和基を有する基を表す。
4はエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有する基を表す。エチレン性不飽和基は1つ又は2つであることが好ましく、1つであることがより好ましい。
前記エチレン性不飽和基としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する基であれば特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロイルアミド基、スチリル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、及び、クロトニル基等が挙げられ、中でも、好ましくは(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルアミド基、アリル基であり、より好ましくは(メタ)アクリロイル基、アリル基である。
前記エチレン性不飽和基とR3とは、二価以上の多価の連結基を介して結合されていてもよく、連結基としては下記の部分構造、又は、これらが組合わされて構成される連結基が挙げられる。
Figure 2010229170
中でも、R−5、R−8、及び、R−10のいずれか1つ以上を含む連結基が好ましい。
3及びR4はさらに置換基を有していてもよい。前記置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アシル基、アシルオキシ基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。中でも、ヒドロキシ基が好ましい。
特定含フッ素ポリマーに含まれる全単量体単位に対する、前記エチレン性不飽和基を側鎖に有する単量体単位の割合は40〜99モル%が好ましく、50〜95モル%がより好ましく、60〜90モル%が更に好ましい。上記範囲であると、硬化後の硬化物表面の非タック性に優れる。
また、特定含フッ素ポリマーは、含フッ素モノマー単位及びエチレン性不飽和基を側鎖に有するモノマー単位以外のその他のモノマー単位を含んでいてもよい。
共重合可能なその他のモノマーとしては、エチレン性不飽和結合を1つのみ有する単官能モノマーであれば特に限定されないが、具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、さらに種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
また、エチレン性不飽和結合を有する含フッ素ポリマーにおけるエチレン性不飽和結合の導入量としては、0.1〜100mmol/gの範囲が好ましく、0.2〜80mmol/gの範囲がより好ましい。導入量が0.1mmol/g以上であると、表面ベトツキ抑制の性能(非タック性)に優れ、また、100mmol/g以下であると、保存安定性に優れる。
特定含フッ素ポリマーの重量平均分子量は、5,000〜200,000であることが好ましく、30,000〜150,000であることがより好ましく、50,000〜120,000であることが更に好ましい。特定含フッ素ポリマーの重量平均分子量が5,000以上であると、表面の硬化性に優れ、非タック性に優れる。一方、特定含フッ素ポリマーの重量平均分子量が200,000以下であると、特定含フッ素ポリマーの結合剤への溶解性に優れる。
結合剤における特定含フッ素ポリマーの含有量は、表面ベトツキ抑制(非タック性)、表面平滑性の観点から、結合剤(光硬化性組成物)全体の重量に対して、0.001〜40重量%の範囲であることが好ましく、0.01〜30重量%の範囲がより好ましく、0.1〜20重量%の範囲であることが更に好ましく、0.5〜5重量%の範囲であることが特に好ましい。
B−4.着色剤
本発明に用いることができる結合剤は、所望の三次元造形物の色に応じ、着色剤を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる着色剤は染料と顔料とに大別され、染料を好ましく使用することができる。
染料としては、減色法の3原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の染料を使用することにより広い範囲の色相を異なる彩度で再現することができる。本発明において、カラー写真のカラープリントに利用される染料を使用することが好ましい。以下に詳しく述べる。
イエロー染料としては、米国特許3,933,501号明細書、同4,022,620号明細書、同4,326,024号明細書、同4,401,752号明細書、同4,248,961号明細書、特公昭58−10739号公報、英国特許1,425,020号明細書、同1,476,760号明細書、米国特許3,973,968号明細書、同4,314,023号明細書、同4,511,649号明細書、欧州特許249,473A号明細書、同502,424A号明細書の式(I),(II)で表されるカプラー、同513,496A号明細書の式(1),(2)で表されるカプラー(特に18頁のY−28)、同568,037A号明細書のクレーム1の式(I)で表されるカプラー、米国特許5,066,576号明細書のカラム1の45〜55行の一般式(I)で表されるカプラー、特開平4−274425号公報の段落0008の一般式(I)で表されるカプラー、欧州特許498,381A1号明細書の40頁のクレーム1に記載のカプラー(特に18頁のD−35)、同447,969A1号明細書の4頁の式(Y)で表されるカプラー(特に、Y−1(17頁),Y−54(41頁))、米国特許4,476,219号明細書のカラム7の36〜58行の式(II)〜(IV)で表されるカプラー(特にII−17,19(カラム17),II−24(カラム19))から得られるケトイミン型染料が挙げられる。好ましくは、特開2001−294773号公報、特開2002−121414号公報、特開2002−105370号公報、特開2003−26974号公報、特開2003−73598号公報に記載の染料が挙げられる。
マゼンタ染料としては、特開2001−181549号公報、特開2002−121414号公報、特開2002−105370号公報、特開2003−12981号公報、特開2003−26974号公報に記載の染料が挙げられる。
シアン染料としては、特開2002−121414号公報、特開2002−105370号公報、特開2003−3109号公報、特開2003−26974号公報に記載の染料が挙げられる。
特開2002−121414号公報に記載の式(IV−1a)で表されるピロロトリアゾールアゾメチン化合物並びに式(C−II−1)及び(C−II−2)で表されるフタロシアニン化合物が好ましく用いられる。
必要に応じて、CMY3原色に黒(ブラック)染料を併用してもよい。黒染料はCMY3染料を混合して作ることができる。
上記以外の染料としては、印刷の技術分野(例えば印刷インキ、感熱インクジェット記録、静電写真記録等のコピー用色材又は色校正版など)で一般に用いられるものを使用することができる。
例えば、有機合成化学協会編「染料便覧」(丸善(株)(1970年刊))、安部田貞治、今田邦彦「解説 染料化学」((株)色染社(1988年刊))、大河原信編「色素ハンドブック」(株)講談社(1986年刊)、「インクジェットプリンタ用ケミカルズ−材料の開発動向・展望調査−」((株)シーエムシー出版(1997年刊))、甘利武司「インクジェットプリンタ−技術と材料」等に記載の染料類が挙げられる。
(顔料)
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料のいずれか1以上を、分散媒としての不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。
本発明において造形物の外表面に彩色するためには、断面形状の輪郭に上記の着色剤を含む結合剤による着色画像を形成し、この着色画像の直下に白色反射層を設けることが好ましい。白色反射層は、例えばカラープリントにおける下地に相当する役割を有し、白色顔料を含む結合剤(白色結合剤)を着画像のすぐ内側に使用することが好ましい。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく、化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、さらに、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。したがって、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、粉末材料や結合剤成分の種類に応じて他の白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
本発明においてCMY染料に替えてCMY顔料を使用することもできる。
有機顔料及び無機顔料の具体例としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等),C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等)、C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
マゼンタ色を呈するものとして、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
シアン色を呈する顔料として、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
必要に応じて、CMY3原色に黒(ブラック)顔料を併用してもよい。黒顔料はCMY3染料を混合して作ることができるが、カーボンブラック、チタンブラックなどが好ましく用いられる。
B−5.増感剤
結合剤には、前記光重合開始剤の活性放射線の照射による分解を促進させるために増感剤を添加することができる。
増感剤は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、光重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用を生じ、これにより光重合開始剤の化学変化、すなわち、分解、ラジカル、酸又は塩基の生成を促進させるものである。
増感剤は、使用する光重合開始剤に開始種を発生させる活性放射線の波長に応じた化合物を使用すればよいが、好ましい増感剤の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、ベンゾフェノン類(例えば、ベンゾフェノン)等が挙げられる。
共増感剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、結合剤全体の重量に対し、0〜5重量%であることが好ましい。
B−6.共増感剤
結合剤は、共増感剤を含有することもできる。
本発明において共増感剤は、増感剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、又は、酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
このような共増感剤の例としては、アミン類、例えばM.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられる。
具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が例示できる。
共増感剤の別の例としてはチオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特表昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられる。
具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が例示できる。
また別の例としては、アミノ酸化合物(例えば、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例えば、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例えば、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(例えば、ジエチルホスファイト等)、特開平8−54735号記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
共増感剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、結合剤全体の重量に対し、0〜5重量%であることが好ましい。
B−7.界面活性剤
結合剤は、界面活性剤を含有していてもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。また、前記界面活性剤として有機フルオロ化合物やポリシロキサン化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。これらの中でも、界面活性剤としては、ポリジメチルシロキサンが好ましく例示できる。
これらの界面活性剤は、1種単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
界面活性剤の含有量は、インクジェットヘッドの吐出に適した表面張力に適合させるように適宜調整されるが、0〜6重量%が好ましい。
B−8.その他の成分
結合剤には、必要に応じて、他の成分を添加することができる。その他の成分としては、例えば、重合禁止剤、溶剤等が挙げられる。
重合禁止剤は、保存性を高める観点から添加され得る。重合禁止剤は、結合剤全量に対し、200〜20,000ppm添加することが好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl等が挙げられる。
塗布後に速やかに反応しかつ硬化し得るよう、結合剤は溶剤を含まないことが好ましい。しかし、結合剤の硬化速度等に影響がない限り、所定の溶剤を含めることができる。
本発明において、溶剤としては、有機溶剤が使用でき、硬化速度の観点から水は実質的に添加しないことが好ましい。有機溶剤は、印刷基材(紙などの受像基材)との密着性を改良するために添加され得る。
有機溶剤を使用する場合も、その量は少ないほど好ましく、結合剤全体の重量に対し、0.1〜5重量%であることが好ましく、0.1〜3重量%であることがより好ましい。
この他に、必要に応じて公知の化合物を結合剤に添加することができる。
例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類等を適宜選択して添加することができる。
結合剤はインクジェットで吐出することが好ましい。このような使用態様における好ましい物性について説明する。
結合剤をインクジェットで吐出する場合には、吐出性を考慮し、吐出時の温度(好ましくは20〜80℃、より好ましくは25〜50℃)において、粘度が、好ましくは7〜30mPa・sであり、より好ましくは7〜25mPa・sである。例えば、結合剤の室温(25〜30℃)での粘度は、好ましくは35〜500mPa・s、より好ましくは35〜200mPa・sである。
また、結合剤の表面張力は、20〜30mN/mであることが好ましく、23〜28mN/mであることがより好ましい。
本発明の三次元造形物の製造方法は、粉末材料を所定の厚さを有する層に形成する層形成工程、及び、前記層に対して結合剤を断面形状に供給し、光を照射することにより結合剤を硬化させ前記粉末材料の結合体を形成させる結合工程を順次繰り返すことを含み、前記粉末材料及び前記結合剤として本発明の三次元造形用材料を用いることを特徴とする。
前記結合工程において、前記結合剤をインクジェットにより吐出することが好ましい。
また、本発明の三次元造形物は、本発明の三次元造形用材料を用いて得られた三次元造形物であり、本発明の三次元造形物の製造方法により製造された三次元造形物であることが好ましい。
本発明の三次元造形物の製造方法における好ましい一実施態様について、以下に説明する。以下の4ステップは、層形成工程及び結合工程に先立って、3次元形状色彩データ作成工程及び断面データ作成工程を実施するものである。
第1ステップでは、コンピュータに、表面にカラー模様等が施された三次元造形対象物を表現したモデルデータを作成させる。造形するための基になるモデルデータには、一般の3D−CADモデリングソフトウェアで作成されるカラー三次元モデルデータを使用することができる。また、三次元形状入力装置で計測された三次元形状のデータ及びテクスチャを利用することも可能である。
第2ステップでは、上記のモデルデータから造形対象物を水平方向にスライスした断面ごとの断面データを生成する。モデルデータから積層する粉末の一層分の厚みに相当するピッチでスライスされた断面体を切り出し、断面の存在する領域を示す形状データ及び彩色データを断面データとして作成する。なお、本発明において、「形状データ」及び「彩色データ」を併せて「断面形状データ」ともいう。
続いて、造形対象物を造形する際における粉末の積層厚さ(断面データ作成の際のスライスピッチ)及び積層数(断面データセットの数)に関する情報が、コンピュータから断面形状作成装置の駆動制御部に入力される。
第3ステップでは、造形ステージにおいて三次元造形物を製造する材料となる粉末材料の供給を行う。粉末材料のカウンター回転機構(以下、「カウンターローラー」ともいう。)を用いて、粉末材料を平らな層状に敷き詰め、所定量の粉末を供給完了した後、粉末材料の供給を停止する。
造形ステージとしては、任意の表面形状を有する支持体が使用できるが、滑らかな表面を有する支持体が好ましく、平坦な面を有する支持体が好ましく使用できる。製造する三次元造形物の高さ以上に伸長可能な枠を周囲に有する支持体を使用することが好ましい。
粉末材料層の所定の厚さとしては、1スライスピッチあたり10〜500μmの厚さの層とすることが好ましく、50〜150μmの厚さとすることがより好ましい。層形成工程及び結合工程を1回繰り返すごとに粉末材料層全体の積層厚さを前記のスライスピッチづつ増大させる。
所定の断面形状とは、造形対象物をある一つの面で切断した切断面に対応する彩色を伴う形状を言う。
第4ステップでは、切断面の断面形状データに基づく断面形状を形成する工程である。この工程は非接触の方式を採用することが好ましい。代表例としてインクジェット方式を例に取り説明する。
第2ステップで作成された形状データ及び彩色データに従ってインクジェットヘッドをXY平面内に移動させる。そして、移動中に色データに基づいて各インクジェット吐出ノズルから光硬化性結合剤の吐出を適宜に行わせ、同時に露光装置により吐出した結合剤の表面に露光を行うことにより、粉末材料の結着体が生成される。
露光は、硬化結合剤の吐出後に行ってもよいが、予め照射した結合剤表面に吐出することが好ましい。
光照射の雰囲気を窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気にすると酸素によるラジカル重合遅延効果を低減できる。
ここで使用するインクジェット方式とは、主としてオンデマンドインクジェット方式を指し、ピエゾオンデマンドインクジェット方式、サーマルオンデマンドインクジェット方式、静電オンデマンドインクジェット方式等が挙げられ、好ましくは、UV硬化性結合剤の安定性から、ピエゾオンデマンドインクジェット方式、静電オンデマンドインクジェット方式が挙げられる。
さらに、第3ステップ及び第4ステップを繰り返し行うことで、目的の三次元造形物が得られる。
なお、結合剤が塗布されない粉末材料の領域では粉末が個々に独立した状態を保持している。
第5ステップでは、結着剤が付与されていない領域の粉末材料を分離して、結着剤により結合された粉末の結合体(三次元造形物)を取り出す。なお、結合されなかった粉末材料は回収して、再度材料として利用することが可能である。
第3ステップ〜第4ステップを順次繰り返すことにより、造形対象物を複数の面で切断した切断面に対応する粉末材料の結合体を順次積層形成して三次元造形物を製造することができる。
以下に示す実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例における形態に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を示す。
〔合成例1:有機ポリマー粒子(PA−1)の合成〕
有機ポリマー粒子(PA−1)を懸濁重合法により製造した。
FA−512A(B−30、20部)、ポリビニルピロリドン(1部)、水180部の混合液を、窒素気流下、温度70℃に加熱して1時間攪拌を行った。これに2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.4部を添加し70℃で8時間反応させた。反応終了後、得られた白色分散物は重合率94%であった。次に、得られた白色分散物を遠心分離機にて水を用いて洗浄を2度行い、上澄み液を除去後に乾燥することによって白色粉末(有機ポリマー粒子(PA−1))を得た。得られた白色粉末を超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700((株)堀場製作所)にて測定したところ、平均粒径は55μmであった。
得られた有機ポリマー粒子(PA−1)の円形度は、0.99であった。なお、円形度は、シメックス(株)製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて、10個の粒子の円形度を測定し、円形度の値はその平均値を表した。
また、有機ポリマー粒子(PA−1)のポリマーの重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定したところ、Mwは120,000であった。
〔合成例2及び3:有機ポリマー粒子(PA−12)及び(PA−15)の合成〕
有機ポリマー粒子(PA−12)及び(PA−15)は、FA−512Aを対応するエチレン性不飽和化合物に変更した以外は、合成例1の方法と同様の方法で合成を行い、平均粒径は実施例1と同様の装置を用いて測定を行った。
有機ポリマー粒子(PA−12)の円形度は0.97であり、Mwは90,000であり、平均粒径は75μmであった。
有機ポリマー粒子(PA−15)の円形度は0.98であり、Mwは160,000であり、平均粒径は66μmであった。
(結合剤の製造)
<結合剤(1)>
以下の成分を撹拌機により撹拌して結合剤(1)を得た。
・表1に記載のエチレン性不飽和結合を有する化合物(X) 90部
・IRGACURE 907(チバスペシャルティケミカルズ社製) 8部
・表1に記載のエチレン性不飽和基を有するフッ素ポリマー(Z) 2部
なお、IRGACURE 907は、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンである。
<結合剤(2)>
以下の成分を撹拌機により撹拌して結合剤(2)を得た。
・表1に記載のエチレン性不飽和結合を有する化合物(X) 50部
・Ebecryl605(ダイセル・サイテック(株)製) 20部
・アクリル酸ドデシル 20部
・IRGACURE 907(チバスペシャルティケミカルズ社製) 8部
・表1に記載のエチレン性不飽和基を有するフッ素ポリマー(Z) 2部
Figure 2010229170
<結合剤(3)>
以下の成分を撹拌機により撹拌して結合剤(3)を得た。
・表1に記載のエチレン性不飽和結合を有する化合物(X) 90部
・IRGACURE 907(チバスペシャルティケミカルズ社製) 8部
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2部
<結合剤(4)>
以下の成分を撹拌機により撹拌して結合剤(4)を得た。
・表1に記載のエチレン性不飽和結合を有する化合物(X) 50部
・Ebecryl605 20部
・アクリル酸ドデシル 20部
・IRGACURE 907(チバスペシャルティケミカルズ社製) 8部
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2部
<結合剤(5)>
表1に示す材料に変更した以外は、結合剤(1)と同様の方法で、結合剤(5)を製造した。
<結合剤(6)>
表1に示す材料に変更した以外は、結合剤(2)と同様の方法で、結合剤(6)を製造した。
<結合剤(7)>
表1に示す材料に変更した以外は、結合剤(3)と同様の方法で、結合剤(7)を製造した。
<結合剤(8)>
表1に示す材料に変更した以外は、結合剤(4)と同様の方法で、結合剤(8)を製造した。
<結合剤(9)>
以下の成分を撹拌機により撹拌して結合剤(9)を得た。
・表1に記載のエチレン性不飽和結合を有する化合物(X) 45部
・表1に記載のエチレン性不飽和結合を有する化合物(Y) 45部
・IRGACURE 907(チバスペシャルティケミカルズ社製) 8部
・表1に記載のエチレン性不飽和基を有するフッ素ポリマー(Z) 2部
<結合剤(10)>
以下の成分を撹拌機により撹拌して結合剤(10)を得た。
・表1に記載のエチレン性不飽和結合を有する化合物(X) 25部
・表1に記載のエチレン性不飽和結合を有する化合物(Y) 25部
・Ebecryl605 20部
・アクリル酸ドデシル 20部
・IRGACURE 907(チバスペシャルティケミカルズ社製) 8部
・表1に記載のエチレン性不飽和基を有するフッ素ポリマー(Z) 2部
<結合剤(11)>
以下の成分を撹拌機により撹拌して結合剤(11)を得た。
・表1に記載のエチレン性不飽和結合を有する化合物(X) 45部
・表1に記載のエチレン性不飽和結合を有する化合物(Y) 45部
・IRGACURE 907(チバスペシャルティケミカルズ社製) 8部
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2部
<結合剤(12)>
以下の成分を撹拌機により撹拌して結合剤(12)を得た。
・表1に記載のエチレン性不飽和結合を有する化合物(X) 25部
・表1に記載のエチレン性不飽和結合を有する化合物(Y) 25部
・Ebecryl605 20部
・アクリル酸ドデシル 20部
・IRGACURE 907(チバスペシャルティケミカルズ社製) 8部
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2部
<結合剤(13)>
表1に示す材料に変更した以外は、結合剤(7)と同様の方法で、結合剤(13)を製造した。
<結合剤(14)>
表1に示す材料に変更した以外は、結合剤(8)と同様の方法で、結合剤(14)を製造した。
<結合剤(15)及び結合剤(19)>
表1に示す材料に変更した以外は、結合剤(9)と同様の方法で、結合剤(15)及び結合剤(19)をそれぞれ製造した。
<結合剤(16)及び結合剤(20)>
表1に示す材料に変更した以外は、結合剤(10)と同様の方法で、結合剤(16)及び結合剤(20)をそれぞれ製造した。
<結合剤(17)>
表1に示す材料に変更した以外は、結合剤(11)と同様の方法で、結合剤(17)を製造した。
<結合剤(18)>
表1に示す材料に変更した以外は、結合剤(12)と同様の方法で、結合剤(18)を製造した。
<比較結合剤(1)>
以下の成分を撹拌機により撹拌して比較結合剤(1)を得た。
・表1に記載のエチレン性不飽和結合を有する化合物(X) 10部
・アクリル酸フェニル 80部
・IRGACURE 907(チバスペシャルティケミカルズ社製) 8部
・表1に記載のエチレン性不飽和基を有するフッ素ポリマー(Z) 2部
<比較結合剤(2)>
以下の成分を撹拌機により撹拌して比較結合剤(2)を得た。
・表1に記載のエチレン性不飽和結合を有する化合物(X) 10部
・アクリル酸フェニル 80部
・IRGACURE 907(チバスペシャルティケミカルズ社製) 8部
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2部
<比較結合剤(3)>
以下の成分を撹拌機により撹拌して比較結合剤(3)を得た。
・表1に記載のエチレン性不飽和結合を有する化合物(X) 5部
・表1に記載のエチレン性不飽和結合を有する化合物(Y) 5部
・アクリル酸フェニル 80部
・IRGACURE 907(チバスペシャルティケミカルズ社製) 8部
・表1に記載のエチレン性不飽和基を有するフッ素ポリマー(Z) 2部
<比較結合剤(4)>
以下の成分を撹拌機により撹拌して比較結合剤(4)を得た。
・表1に記載のエチレン性不飽和結合を有する化合物(X) 5部
・表1に記載のエチレン性不飽和結合を有する化合物(Y) 5部
・アクリル酸フェニル 80部
・IRGACURE 907(チバスペシャルティケミカルズ社製) 8部
・ポリジメチルシロキサン(アルドリッチ社製) 2部
<比較有機ポリマー粒子(1)>
FA−512A(B−30、90部)、IRGACURE 907(8部)、ポリジメチルシロキサン(2部)の混合液をロッドコーターでガラス板上に約500μmの厚さで塗布し、高圧水銀灯ランプの300〜350nmの波長光をガラスファイバーで塗布膜上方へ導き、塗布面状で50mJ/cm2の光強度とし10分間照射した。その後、瑪瑙乳鉢(電動式ライカイ機)及び瑪瑙ボールミルにより微粉末化し、平均粒径50μmの比較有機ポリマー粒子(1)を得た。
また、合成例1と同様の方法で円形度及びMwを測定したところ、比較有機ポリマー粒子(1)の円形度は0.75であり、Mwは110,000であった。
<比較結合剤(5)>
以下の成分を撹拌機により撹拌して比較結合剤(5)を得た。
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 48部
・トリロキシエチルアクリレート 48部
・2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 4部
<評価法>
(三次元造形物モデル作製)
粉末材料を約100μmの厚さになるようロッドで1層分の粉末材料層を敷設した後、データにもとづいて吐出ノズルから結合剤を断面形状になるように供給した。
UV硬化性結合剤をインクとしたインクジェット方式により、600dpiの解像度(約42μmのドット間隔)で、各ドットが連続した線になるように液滴を吐出した。浜松ホトニクス(株)製UVランプ(LC8 250nm帯増強タイプ 露光波長240nm〜400nm)を用いて、1.0W/cm2の照度で120mJ/cm2露光を行い、硬化を行った。
次いで、約100μmの厚さになるよう粉末材料層を形成して、結合剤を次の断面形状になるように供給し、露光及び硬化を行うことを繰り返すことにより三次元造形物を作製し、評価した。
結合剤及び粉末材料として、下記の表1に示す結合剤及び粉末材料を用いて、三次元造形物として、直径10cm、厚さ2mmの円柱形のプレートを作製した。
作製した三次元造形物モデルに対して、以下の評価を行った。
<硬化性(強度)評価>
作製した直径10cm、厚さ2mmのプレートを、直径9cm(外径9cm、内径7cm)、厚さ1cmのドーナツ状の台に置き、プレートの上から3kgの重りを載せて、プレートが割れるまでの時間を評価した。評価結果は実施例1の割れるまでの時間を1.0とした相対評価で示す。本評価は数字が大きいほど強度が高く、硬化性に優れている(好ましい)ことを示す。
<表面平滑性評価>
上記の方法で作製した三次元造形物について、三次元造形物の表面の触感評価を行い、下記の基準に従って、表面平滑性を評価した。専門パネラー8人で下記評価基準(評価点)で評価した。
評価基準(評価点):
5(点):8人中8人が、表面がスベスベだと感じた。
4(点):8人中6〜7人が、表面がスベスベだと感じた。
3(点):8人中4〜5人が、表面がスベスベだと感じた。
2(点):8人中1〜3人が、表面がスベスベだと感じた。
1(点):表面がスベスベだと感じられなかった。
<透明性>
5ptのMS−明朝体で文字が印字された紙の上に上記の方法で作製した三次元造形物を置き、文字の鮮明さを官能評価した。
評価基準:
◎:8人中8人が、文字が読めた。
○:8人中6〜7人が、文字が読めた。
△:8人中4〜5人が、文字が読めた。
×:8人中1〜3人が、文字が読めた。
××:1人も文字を読めなかった。
Figure 2010229170
なお、表1に記載の(PA−1)、(PA−12)、及び、(PA−15)はそれぞれ、本明細書で前述したものと同じものを使用した。
また、表1に記載のPMMA粒子(ポリメチルメタクリレート粒子)は、根上工業(株)製アートパールGR−400(粒径:14μm、円形度:0.97、Mw:60,000)を使用した。
また、表1に記載の(B−30)、(B−28)、(A−14)、(P−1)、及び、(P−6)は、以下に記載のものである。なお、(P−1)、及び、(P−6)の各単量体単位の括弧の右下の数字は、重量比を表す。
Figure 2010229170

Claims (10)

  1. (A)粉末材料、及び、前記(A)粉末材料を結合する(B)結合剤を含み、
    前記(A)粉末材料が、1種以上のエチレン性不飽和化合物由来の単量体単位を有し、かつ円形度が0.9〜1.1の有機ポリマー粒子であり、
    前記(B)結合剤が、前記エチレン性不飽和化合物を50重量%以上含有する光硬化性組成物であることを特徴とする
    三次元造形用材料。
  2. 前記光硬化性組成物が、前記エチレン性不飽和化合物を80重量%以上含有する請求項1に記載の三次元造形用材料。
  3. 前記エチレン性不飽和化合物が、脂環構造、ラクトン構造、ジオキサン構造、環状アミン構造、環状アミド構造、又は、環状イミド構造を有するエチレン性不飽和化合物を含む請求項1又は2に記載の三次元造形用材料。
  4. 前記エチレン性不飽和化合物が、脂環構造を有するエチレン性不飽和化合物を含む請求項1〜3のいずれか1つに記載の三次元造形用材料。
  5. 前記光硬化性組成物が、エチレン性不飽和基を有する含フッ素ポリマーをさらに含有する請求項1〜4のいずれか1つに記載の三次元造形用材料。
  6. 前記エチレン性不飽和基を有する含フッ素ポリマーが、(メタ)アクリロイル基を有する請求項5に記載の三次元造形用材料。
  7. 前記(B)結合剤が、インクジェット用結合剤である請求項1〜6のいずれか1つに記載の三次元造形用材料。
  8. 粉末材料を所定の厚さを有する層に形成する層形成工程、及び、
    前記層に対して結合剤を断面形状に供給し、光を照射することにより結合剤を硬化させ前記粉末材料の結合体を形成させる結合工程を順次繰り返すことを含み、
    前記粉末材料及び前記結合剤として請求項1〜7のいずれか1つに記載の三次元造形用材料を用いることを特徴とする
    三次元造形物の製造方法。
  9. 前記結合工程において、前記結合剤をインクジェットにより吐出する請求項8に記載の三次元造形物の製造方法。
  10. 請求項8又は9に記載の三次元造形物の製造方法により製造された三次元造形物。
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