JP5324868B2 - 光硬化性コーティング組成物、オーバープリント及びその製造方法 - Google Patents
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Description
特に、電子写真法のようなトナーベースの画像は、画像表面にフェザーオイル層が存在する場合には、所望の性能を得ることが一層難しい。
電子写真法のような、トナーベースの画像を発生させる通常の方法においては、潜像保持体表面、例えば感光体(photoreceptor)に均一に帯電させることによって、静電荷を潜像保持体表面に形成させる。次いで、その均一帯電させた領域を、原稿の画像に対応する活性化照射のパターンにより選択的に電荷を逃がす。その表面に残る潜像電荷パターンは、照射に暴露されなかった領域に対応する。次いで、その感光体を、トナーを含む1つ又は複数の現像ハウジングに通すことにより、トナーが、静電引力によって電荷パターンで付着するので、その潜像電荷パターンが可視化される。次いでその現像された画像を、画像形成表面に定着させるか、又は、印刷基材、例えば紙に転写させ、適切な定着技術によりそれに定着させて、電子写真印刷物、すなわちトナーベースの印刷物が得られる。
また、特許文献3には、紫外線などによって硬化させることが可能な液膜コーティングを施し、光によってコーティング成分を重合(架橋)させることにより、オーバープリントコーティングを施す方法が提案されている。
さらに、特許文献4には、三官能不飽和アクリル樹脂からなる群より選択される放射線硬化性オリゴマーと、1種又は複数のジ−アクリレート又はトリ−アクリレートを含む、多官能アルコキシル化アクリルモノマー又はポリアルコキシル化アクリルモノマー、からなる群より選択される放射線硬化性モノマーと、少なくとも1種の光重合開始剤と、少なくとも1種の界面活性剤と、を含むオーバープリント組成物が開示されている。
<1>(I)〜(III)を含有することを特徴とする光硬化性コーティング組成物、(I)エチレン性不飽和基を有する含フッ素ポリマー、(II)エチレン性不飽和化合物、(III)光重合開始剤、
<2>前記エチレン性不飽和基を有する含フッ素ポリマーが、式(1)で表されるモノマー単位を含む前記<1>に記載の光硬化性コーティング組成物、
<3>前記エチレン性不飽和化合物が、単官能エチレン性不飽和化合物及び多官能エチレン性不飽和化合物を含む前記<1>又は<2>に記載の光硬化性コーティング組成物、
<4>可視域に実質的に吸収を有しない前記<1>〜<3>いずれか1つに記載の光硬化性コーティング組成物、
<5>オーバープリント用である前記<1>〜<4>いずれか1つに記載の光硬化性コーティング組成物、
<6>電子写真印刷物のオーバープリント用である前記<1>〜<5>いずれか1つに記載の光硬化性コーティング組成物、
<7>電子写真印刷物上に前記<1>〜<6>いずれか1つに記載の光硬化性コーティング組成物を光硬化したオーバープリント層を有することを特徴とするオーバープリント、
<8>印刷基材上に電子写真印刷して電子写真印刷物を得る工程、前記電子写真印刷物上に前記<1>〜<6>いずれか1つに記載の光硬化性コーティング組成物を塗布する工程、及び、前記光硬化性コーティング組成物を光硬化する工程を含むことを特徴とするオーバープリントの製造方法、
<9>前記光硬化した光硬化性コーティング組成物の厚さが1〜10μmである前記<8>に記載のオーバープリントの製造方法。
(I)エチレン性不飽和基を有する含フッ素ポリマー
(II)エチレン性不飽和化合物
(III)光重合開始剤
本発明のオーバープリントは電子写真印刷物上に本発明の光硬化性コーティング組成物を光硬化したオーバープリント層を有することを特徴とする。本発明のオーバープリントの製造方法は、印刷基材上に電子写真印刷して電子写真印刷物を得る工程、前記電子写真印刷物上に本発明の光硬化性コーティング組成物を塗布する工程、及び、前記コーティング組成物を光硬化する工程を含むことを特徴とする。
本発明の作用機構は明確ではないが、特定の構造を有する含フッ素モノマー単位を有する含フッ素ポリマーを用いることによって、光硬化性コーティング組成物の表面エネルギーが大幅に低下したため、表面平滑性が向上したと考えられる。
一方、特定の構造を有する含フッ素モノマー単位のほか、含フッ素ポリマーはエチレン性不飽和結合を含む基を有しており、本発明の光硬化性コーティング組成物中に含まれるエチレン性不飽和化合物との架橋反応により、コーティング表面の皮膜性が向上することによって、硬化後の膜の表面ベトツキが抑制されたものと考えられる。以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光硬化性コーティング組成物は、可視域に実質的に吸収を有しないことが好ましい。「可視域に実質的に吸収を有しない」とは、400〜700nmの可視域に吸収を有しないか、又は、光硬化性コーティング組成物として支障のない程度の吸収しか可視域に吸収を有しないことを意味する。具体的には、コーティング組成物の5μm光路長の透過率が、400〜700nmの波長範囲において、70%以上、好ましくは80%以上であることを意味する。
本発明の光硬化性コーティング組成物は、オーバープリント用として好適に使用することができ、電子写真印刷物のオーバープリント用として特に好適に使用することができる。
本発明の光硬化性コーティング組成物は、画像部がトナー分の厚みを有する電子写真印刷物に対してオーバープリント層を形成する場合においても、非タック性及び表面平滑性に優れ、艶や光沢のあるオーバープリントを与え、視覚的に従来からの銀塩写真プリントに近い印象を与えることができる。
また、本発明の光硬化性コーティング組成物は、画像表面にフェザーオイル層が存在するトナー画像であっても、非タック性と表面平滑性に優れ、艶や光沢があり、反りの少ない柔軟性に富む画像印刷物を与え、視覚的に銀塩写真プリントに近いオーバープリントを与えることができる。
「含フッ素ポリマー」とは、ポリマー中にフッ素原子を含むものをいう。また、「エチレン性不飽和基を有する含フッ素ポリマー」とは、含フッ素ポリマー中のいずれかに少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有するものをいう。以下、本発明の光硬化性コーティング組成物に含まれる成分の一つであるエチレン性不飽和基を有する含フッ素ポリマー(以下、適宜「特定含フッ素ポリマー」とも称する)について詳細に説明する。
また、フッ素原子を有する基は、特定含フッ素ポリマーのポリマー鎖に直接結合して側鎖を形成していてもよいが、多価の連結基を介して特定含フッ素ポリマーのポリマー鎖に結合していることが好ましく、アルキレン基及びカルボン酸エステル基を介して特定含フッ素ポリマーのポリマー鎖に結合していることがより好ましい。
前記エチレン性不飽和基としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する基であればよく、限定されるものではないが、具体的には(メタ)アクリロイル基(「(メタ)アクリロイル基」等の標記は、「メタクリロイル基」又は「アクリロイル基」を表し、以下同様とする)、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロイルアミド基、スチリル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、及び、クロトニル基等が挙げられ、中でも(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルアミド基及びアリル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基及びアリル基がより好ましい。
前記エチレン性不飽和基は、特定含フッ素ポリマーのポリマー鎖に直接結合していてもよいが、後述する多価の連結基を介して結合していることが好ましい。
本発明において、特定含フッ素ポリマーに含まれる含フッ素モノマー単位は、式(1)で表されるモノマー単位であることが好ましい。
Rfは式(2)に示すフルオロアルキル基又はパーフルオロアルキル基であることがより好ましい。
Rf=CxFyHz (2)
式(2)において、xは2〜15の整数を表し、yは5〜2x+1の整数を表し、y+zは2x+1である。
xはRfに含まれる炭素数を表し、xは2〜15であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましい。
この範囲のフッ素原子を有する特定含フッ素ポリマーを用いることによって優れた表面平滑性が得られる。また、フッ素原子の撥油性に起因する溶解性の低下が生じることがないため好ましい。
Rfがフルオロアルキル基である場合は、Rfは直鎖状又は分岐を有していてもよく、直鎖状(CF2)xHであることが好ましい。xの範囲は先に述べた範囲と同様であり、好ましい範囲についても同様である。
本発明において、エチレン性不飽和基を側鎖に有するモノマー単位としては式(3)で表されるモノマー単位が好ましい。
前記エチレン性不飽和基としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する基であれば特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロイルアミド基、スチリル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、及び、クロトニル基等が挙げられ、中でも、好ましくは(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルアミド基、アリル基であり、より好ましくは(メタ)アクリロイル基、アリル基である。
また、本発明において、特定含フッ素ポリマーは含フッ素モノマー単位及びエチレン性不飽和基を側鎖に有するモノマー単位以外のその他のモノマー単位を含んでいてもかまわない。
共重合可能なその他のモノマーとしては、エチレン性不飽和結合を1つのみ有する単官能モノマーであれば特に限定されないが、具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、さらに種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
式(4)におけるRCaは、エチレン性不飽和結合を有する基を表し、−COORD、又は、−CONHRDであることが好ましい。前記RDはエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有する基を表し、エチレン性不飽和基を1つ又は2つ有する基であることが好ましく、エチレン性不飽和基を1つ有する基であることがより好ましい。
式(4)におけるRNは、フッ素原子及びエチレン性不飽和結合を含まない有機基を表し、−COORE、又は、−CONHREであることが好ましい。前記REは一価の有機基を表し、炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
式(4)におけるおけるx、y及びzは、各モノマー単位のモル比を表し、x+y+z=100とする。
式(4)におけるxは、1〜60を表し、3〜50が好ましく、5〜40がより好ましく、10〜20が特に好ましい。
式(4)におけるyは、40〜99を表し、50〜95が好ましく、60〜90がさらに好ましい。
式(4)におけるzは、0〜59を表し、0〜20であることが好ましく、0であることがより好ましい。
式(4)における各モノマー単位はそれぞれ、1種単独で有していても、2種以上を有していてもよい。
また、式(4)で表されるポリマーの末端は、水素原子であることが好ましい。
特定含フッ素ポリマーの重量平均分子量が5,000以上であると、表面の硬化性に優れ、非タック性に優れる。一方、特定含フッ素ポリマーの重量平均分子量が200,000以下であると、コーティング組成物への溶解性に優れる。
本発明の光硬化性コーティング組成物は(II)エチレン性不飽和化合物を含む。
本発明に用いることができるエチレン性不飽和化合物は、エチレン性不飽和結合を有する化合物であり、ラジカル重合又はカチオン重合可能な化合物であれば、特に限定されない。また、本発明に用いることができるエチレン性不飽和結合を有する化合物は、前記エチレン性不飽和結合を有する含フッ素ポリマーと共重合可能な化合物であることが好ましい。また、前記エチレン性不飽和化合物には、多官能エチレン性不飽和化合物が含まれていることが好ましく、単官能エチレン性不飽和化合物及び多官能エチレン性不飽和化合物が含まれていることがより好ましい。
エチレン性不飽和化合物は、1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。反応性、物性などの性能を制御する点から、2種以上のエチレン性不飽和化合物を併用することが好ましい。
なお、前記(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを表し、(メタ)アクリルアミドとは、アクリルアミド又はメタアクリルアミドを表す。また、本発明において、例えば、単官能(メタ)アクリレート化合物とは、(メタ)アクリロキシ基を1つのみ有する化合物を表し、(メタ)アクリロキシ基以外のエチレン性不飽和結合をさらに有していてもよい。
これらの中でも、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ラウリルアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート等を用いることが好ましい。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度の観点から、ジビニルエーテル化合物、トリビニルエーテル化合物が好ましく、特に、ジビニルエーテル化合物が好ましい。ビニルエーテル化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
多官能エチレン性不飽和化合物を使用する場合、多官能エチレン性不飽和化合物の含有量としては、光硬化性コーティング組成物の全重量に対し、5〜60重量%であることが好ましい。多官能エチレン性不飽和化合物の含有量が5重量%以上であると非タック性に優れ、60重量%以下であると、光硬化性コーティング組成物の粘度が適切である為、表面平滑性に優れる。
使用するカチオン重合性化合物が、エチレン性不飽和結合を有しない場合は、エチレン性不飽和結合を有する化合物とエチレン性不飽和結合を有しないカチオン重合性化合物とを併用する。
カチオン重合性化合物としては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、同2001−40068号、同2001−55507号、同2001−310938号、同2001−310937号、同2001−220526号などの各公報に記載されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
本発明の光硬化性コーティング組成物は、光重合開始剤を含有する。
光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤を使用することができる。本発明において、ラジカル光重合開始剤を使用することが好ましい。
本発明の光硬化性コーティング組成物に使用する光重合開始剤は、活性放射線による外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物である。活性放射線には、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。使用する波長は特に限定されないが、好ましくは200〜500nmの波長領域であり、より好ましくは200〜450nmの波長領域である。
光重合開始剤としては、透明性の観点から、光重合開始剤を3g/cm2の厚みで製膜した際に、400nmの波長の吸光度が0.3以下の化合物であることが好ましく、0.2以下の化合物であることがより好ましく、0.1以下の化合物であることがさらに好ましい。
上記の中でも、好ましい光重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物が挙げられる。
本発明における光重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、光重合開始剤は、後述する増感剤を用いる場合、増感剤に対して、光重合開始剤:増感剤の重量比で、200:1〜1:200であることが好ましく、50:1〜1:50であることがより好ましく、20:1〜1:5であることがさらに好ましい。
すなわち、第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C6F5)4 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、CF3SO3 -塩を挙げることができる。第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができる。第3に、ハロゲン化水素を光により発生するハロゲン化物も用いることができる。第4に、鉄アレーン錯体を挙げることができる。
上記如きカチオン光重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のコーティング組成物には、前記光重合開始剤の活性放射線の照射による分解を促進させるために増感剤を添加することができる。
増感剤は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、光重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用を生じ、これにより光重合開始剤の化学変化、すなわち、分解、ラジカル、酸又は塩基の生成を促進させるものである。
また、本発明に用いることのできる増感剤は、本発明の光硬化性コーティング組成物をオーバープリントに使用した際に、着色等の影響が小さい化合物又は量を使用することが好ましい。
本発明における増感剤の含有量は、光硬化性コーティング組成物の全重量に対して、0.001〜5重量%であることが好ましく、0.01〜3重量%であることがさらに好ましい。この添加量であると、硬化性が向上し、着色の影響が少ない。
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、ベンゾフェノン類(例えば、ベンゾフェノン)等が挙げられる。
本発明のコーティング組成物は、共増感剤を含有することもできる。
本発明において共増感剤は、増感剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、又は、酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
このような共増感剤の例としては、アミン類、例えばM.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられる。
具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が例示できる。
具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が例示できる。
本発明のコーティング組成物は、界面活性剤を含有していてもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。また、前記界面活性剤として有機フルオロ化合物やポリシロキサン化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。これらの中でも、界面活性剤としては、ポリジメチルシロキサンが好ましく例示できる。
これらの界面活性剤は、1種単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
本発明のコーティング組成物には、必要に応じて、他の成分を添加することができる。その他の成分としては、例えば、重合禁止剤、溶剤、無機粒子、有機粒子等が挙げられる。
重合禁止剤は、保存性を高める観点から添加され得る。重合禁止剤は、本発明のコーティング組成物全量に対し、200〜20,000ppm添加することが好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl等が挙げられる。
アエロジル(デグサ社製二酸化ケイ素粒子)のような無機粒子や、架橋したポリメチルメタクリレート(PMMA)のような有機粒子を本発明のコーティング組成物に添加して、意図的に表面光沢を下げたオーバープリント層又はオーバープリントを形成することができる。
本発明において、溶剤としては、有機溶剤が使用でき、硬化速度の観点から水は実質的に添加しないことが好ましい。有機溶剤は、印刷基材(紙などの受像基材)との密着性を改良するために添加され得る。
有機溶剤を使用する場合も、その量は少ないほど好ましく、本発明のコーティング組成物全体の重量に対し、0.1〜5重量%であることが好ましく、0.1〜3重量%であることがより好ましい。
例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類等を適宜選択して添加することができる。
本発明の光硬化性コーティング組成物における好ましい物性について説明する。
光硬化性コーティング組成物として使用する場合には、塗布性を考慮し、25〜30℃における粘度が、5〜100mPa・sであることが好ましく、7〜75mPa・sであることがより好ましい。
本発明の光硬化性コーティング組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。
25〜30℃における粘度を上記の値に設定することにより、非タック性に優れ(表面ベトツキがなく)、表面平滑性に優れたオーバープリント層を有するオーバープリントが得られる。
本発明の光硬化性コーティング組成物の表面張力は、16〜40mN/mであることが好ましく、18〜35mN/mであることがより好ましい。
本発明のオーバープリントは、印刷物上に本発明のコーティング組成物を光硬化したオーバープリント層を有する。
前記オーバープリントとは、電子写真印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、平版印刷、凹版印刷又は凸版印刷等の印刷方法により得られた印刷物の表面上に、少なくとも1層のオーバープリント層を形成したものである。
本発明のオーバープリントにおけるオーバープリント層は、印刷物の一部に形成しても、印刷物の表面全体に形成してもよく、また、両面印刷物の場合には印刷基材の両方側全面に形成することが好ましい。また、前記オーバープリント層は、印刷物における印刷されていない部分に形成してもよいことは言うまでもない。
本発明のオーバープリントに使用する印刷物は、電子写真印刷物であることが好ましい。電子写真印刷物上に本発明のコーティング組成物の硬化層であるオーバープリント層を形成することにより、非タック性、表面平滑性、光沢性に優れ、視覚的に銀塩写真プリントに類似したオーバープリントを得ることができる。
また、本発明のオーバープリントは、非タック性に優れるため、複数作製した本発明のオーバープリントを重ねて長期間保存しても、オーバープリント同士が張り付いたりせず、保管性に優れる。
本発明のオーバープリントにおけるオーバープリント層の厚みは、1〜10μmであることが好ましく、3〜6μmであることがより好ましい。
オーバープリント層の厚みの測定方法としては、特に制限はないが、オーバープリントの断面を光学顕微鏡などにて観察し測定する方法が好ましく例示できる。
また、本発明のオーバープリントの製造方法は、潜像担持体の上に静電潜像を発生させる工程と、前記静電潜像をトナーにより現像する工程と、現像された静電画像を印刷基材へ転写させ電子写真印刷物を得る工程と、前記電子写真印刷物上に本発明の光硬化性コーティング組成物を塗布する工程、及び、前記光硬化性コーティング組成物を光硬化する工程とを含むことがより好ましい。
前記印刷基材としては、特に制限はなく、公知のものを使用することができるが、受像用紙であることが好ましく、普通紙又はコート紙であることがより好ましく、コート紙であることがさらに好ましい。コート紙としては、両面コート紙が、フルカラー画像を美しく両面印刷できるので好ましい。印刷基材が紙又は両面コート紙である場合、好ましい坪量は20〜200g/m2であり、より好ましい坪量は40〜160g/m2である。
また、現像された画像を印刷基材に転写させるための方法としては、コロトロン又はバイアスロールを使用する方法が例示できる。
電子写真法における画像を定着させるための定着工程(fixing step)は、各種適切な方法により実施することができる。例えば、フラッシュ定着、加熱定着、加圧定着、蒸気定着(vapor fusing)などが挙げられる。
電子写真法による画像形成方法、装置及びシステムとしては、特に制限はないが、公知のものを使用することができる。具体的には、以下の米国特許に記載されているようなものである。
米国特許第4,585,884号明細書、米国特許第4,584,253号明細書、米国特許第4,563,408号明細書、米国特許第4,265,990号明細書、米国特許第6,180,308号明細書、米国特許第6,212,347号明細書、米国特許第6,187,499号明細書、米国特許第5,966,570号明細書、米国特許第5,627,002号明細書、米国特許第5,366,840号明細書;米国特許第5,346,795号明細書、米国特許第5,223,368号明細書、及び、米国特許第5,826,147号明細書。
また、本発明のコーティング組成物の塗設時や硬化時においては、必要に応じ、加熱を行ってもよい。
本発明のコーティング組成物の塗布量は、単位面積当たりの重量で表して、1〜10g/m2の範囲であることが好ましく、3〜6g/m2であることがより好ましい。
また、本発明のオーバープリントにおけるオーバープリント層の形成量は、単位面積当たり、1〜10g/m2の範囲であることが好ましく、3〜6g/m2であることがより好ましい。
好適な活性放射線照射源としては、例えば、水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、タングステンフィラメントランプ、レーザー、太陽光などが挙げられる。
R−1620(ダイキン工業(株)製)(0.2モル)、以下の構造の化合物(q−1)(0.8モル)及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(和光純薬工業(株)製)(0.01モル)の、1−メトキシ−2−プロパノール(300g)溶液を、窒素気流下、80℃の1−メトキシ−2−プロパノール(300g)中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに85℃で3時間撹拌し、ポリマー(P−1)の前駆体(Q−1)の1−メトキシ−2−プロパノール溶液を得た。
M−1420(ダイキン工業(株)製)(0.2モル)、メタクリル酸アリル(0.8モル)及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(和光純薬工業(株)製)(0.01モル)の、1−メトキシ−2−プロパノール(300g)溶液を、窒素気流下、80℃の1−メトキシ−2−プロパノール(300g)中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに85℃で3時間撹拌し、特定含フッ素ポリマー(P−2)を得た。この特定含フッ素ポリマー(P−2)の重量平均分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定したところ、重量平均分子量は7.3万であった。さらに得られた特定含フッ素ポリマー(P−2)はNMRにより構造を同定した。
以下の成分を撹拌機により撹拌し、光硬化性コーティング組成物を得た。
・トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業(株)製) 40重量%
・トリプロピレングリコールジアクリレート(アルドリッチ社製) 20重量%
・アクリル酸ドデシル(東京化成工業(株)製) 20重量%
・IRGACURE 907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 15重量%
・ベンゾフェノン(東京化成工業(株)製) 3重量%
・表1に示す特定含フッ素ポリマー(P−1) 2重量%
富士ゼロックス(株)製デジタルプリンター(DC8000)で両面コート紙に出力した電子写真印刷物に対して、シナノケンシ(株)製UVニスコーター(SG610V)を用いて5g/m2の膜厚で片面にコーティングを行い、次いで、1.0W/cm2の照度で120mJ/cm2露光を行い、オーバープリントのサンプルを作製し、コーティングされた印刷物表面のタテスジ発生状態を目視にて評価した。評価基準を以下に示す。
◎:タテスジなし
○:少しタテスジが残る
×:著しくタテスジが見られる
富士ゼロックス(株)製デジタルプリンター(DC8000)で両面コート紙に出力した電子写真印刷物に対して、コーティング組成物が膜厚5g/m2となるように片面にバーコートで塗布を行い、得られた塗布膜に対して、浜松ホトニクス(株)製UVランプ(LC8)を用いて、1.0W/cm2の照度で120mJ/cm2露光を行い、オーバープリントのサンプルを作製した。露光後の非タック性を触感で評価した。評価基準を以下に示す。
◎:ベトツキなし
○:ほぼベトツキなし
×:ベトツキあり
ポリマーを表1に記載のポリマーに変更した以外は、実施例1と同様の方法で光硬化性コーティング組成物を作製し、次いでこれを使用してオーバープリントを作製して、これらの性能評価を行なった。評価結果を表1にまとめて示した。
実施例1の本発明のポリマー(2重量%)とアクリル酸ドデシル(20重量%)の代わりに、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学)を22重量%(全体で62重量%)用いた以外は、実施例1と同様の方法で光硬化性コーティング組成物を作製し、次いでこれを使用してオーバープリントを作製して、これらの性能評価を行った。評価結果を表1にまとめて示した。
Z−1:ポリシロキサン系ポリマーBYK−3510(BYK Chemie社製)
A4サイズの両面コート紙(坪量100g/m2)の両面に各数コマずつのフルカラー画像を電子写真印刷した20枚の印刷物を作製し、その印刷物の両面に、前記の実施例1〜8にて作製した光硬化性コーティング組成物をそれぞれ、実施例1と同様の方法で、片面5g/m2の塗布量になるように塗布した後、紫外線を照射して両面オーバープリントを作製した。これらを製本して表紙と共に写真アルバムとしたところ、銀塩写真プリントと同様の視認性が得られる写真アルバムが得られた。
ほぼB4サイズの両面コート紙(坪量100g/m2)の両面に献立写真を含むフルカラー画像とテキストを電子写真印刷した10枚の印刷物を作製し、その印刷物の両面に、前記の実施例1〜8にて作製した光硬化性コーティング組成物をそれぞれ、実施例1と同様の方法で、片面5g/m2の塗布量になるように塗布した後、紫外線を照射して両面オーバープリントを作製した。これらを綴じてレストランメニューとしたところ、銀塩写真プリントと同様の視認性が得られるレストランメニューが得られた。
また、前記形成したオーバープリント層の厚みは、それぞれ約5μmであった。なお、前記形成したオーバープリント層の厚みは、オーバープリントの断面を光学顕微鏡により観察し測定した。
Claims (9)
- (I)エチレン性不飽和基を有する含フッ素ポリマーを、光硬化性コーティング組成物全体の重量に対し、0.1〜20重量%、
(II)前記(I)以外のエチレン性不飽和化合物を、光硬化性コーティング組成物全体の重量に対し、60〜85重量%、及び、
(III)ラジカル光重合開始剤を、前記(I)及び(II)の総量に対して、0.01〜35重量%含有し、
前記エチレン性不飽和基を有する含フッ素ポリマーが、式(1)で表されるモノマー単位を、前記エチレン性不飽和基を有する含フッ素ポリマーに含まれる全モノマー単位に対し、10〜20モル%含み、かつ式(3)で表されるモノマー単位を、前記エチレン性不飽和基を有する含フッ素ポリマーに含まれる全モノマー単位に対し、60〜90モル%含むことを特徴とする
電子写真印刷物上へのオーバープリント用光硬化性コーティング組成物。
- 前記エチレン性不飽和化合物が、単官能エチレン性不飽和化合物及び多官能エチレン性不飽和化合物を含む請求項1に記載の光硬化性コーティング組成物。
- 前記エチレン性不飽和化合物が、単官能エチレン性不飽和化合物、2官能エチレン性不飽和化合物及び3官能エチレン性不飽和化合物を含む請求項2に記載の光硬化性コーティング組成物。
- 可視域に実質的に吸収を有しない請求項1〜3いずれか1つに記載の光硬化性コーティング組成物。
- 前記エチレン性不飽和基を有する含フッ素ポリマーの重量平均分子量が、50,000〜120,000である請求項1〜4いずれか1つに記載の光硬化性コーティング組成物。
- 前記エチレン性不飽和化合物が、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート及びアクリル酸ドデシルである請求項3に記載の光硬化性コーティング組成物。
- 電子写真印刷物上に請求項1〜6いずれか1つに記載の光硬化性コーティング組成物を光硬化したオーバープリント層を有することを特徴とするオーバープリント。
- 印刷基材上に電子写真印刷して電子写真印刷物を得る工程、
前記電子写真印刷物上に請求項1〜6いずれか1つに記載の光硬化性コーティング組成物を塗布する工程、及び、
前記光硬化性コーティング組成物を光硬化する工程を含むことを特徴とする
オーバープリントの製造方法。 - 前記光硬化した光硬化性コーティング組成物の厚さが1〜10μmである請求項8に記載のオーバープリントの製造方法。
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