JP2018140900A - 結晶育成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】チョクラルスキー法による酸化物単結晶、特にタンタル酸リチウム単結晶の育成において、育成する結晶体の長尺化に伴うルツボ底部の原料固化を、効率的かつ容易に防止できる結晶育成装置の提供。【解決手段】原料融液を貯留保持可能な好ましくはイリジウムからなる金属製のルツボ10と、ルツボ10の周囲に設けられ、ルツボ10を誘導加熱する誘導コイル80と、ルツボ10を下方から支持するルツボ台20と、ルツボ台20の一部に設置され、ルツボ10の底面の外周部付近から斜め下方外側に向かって円錐台形状をなして広がる、好ましくはルツボと同じ材料から構成される補助発熱体90と、を有する結晶育成装置。【選択図】図1

Description

本発明は、結晶育成装置に関する。
酸化物単結晶の製造方法としては、酸化物単結晶になる原料を充填したルツボを高温に加熱してこの原料を溶融し、ルツボ内の原料融液の液面に上方から種結晶を接触させた後に回転させながら上昇させることで種結晶と同一方位の酸化物単結晶を育成するチョクラルスキー法による結晶育成方法が広く実施されている。
チョクラルスキー法による単結晶育成では、ルツボの周囲に誘導コイルが配置されており、誘導コイルに高周波電流を供給して、誘導コイルに高周波電流を流すことによってルツボに渦電流が生じ、これによってルツボが発熱してルツボ内の原料が溶融する。
また、引き上げが進むにつれて単結晶の上部は、シード棒(引き上げ軸)を伝わって冷却されるが、発熱体がルツボのみである場合には、成長中の単結晶内の温度分布が大きくなるため、ルツボ上部を保温する工夫がなされている。例えば、結晶内の温度差に伴う熱応力によるクラックを抑制するため、ルツボの上部に、ルツボ以外の発熱体である円筒状のアフター・ヒーターを配置している。また、ルツボ上部を保温するためドーナツ状のリフレクタを配置することもある。
ところで、近年、酸化物単結晶、特にタンタル酸リチウムは表面弾性波デバイス材料として市場が拡大しており、生産量の確保のため単結晶の引き上げ長さが次第に長くなっている。この長尺化に伴い、結晶の曲りや直胴部で発生する多結晶化、あるいは、冷却中の熱歪に起因したクラック、ルツボ底の原料固化などが発生し易くなっており、結晶の良品率を低下させる原因となっている。特に、ルツボ底の原料固化は、長尺化には大きな問題となる。チョクラルスキー法による単結晶育成では、ルツボの原料融解面より種結晶を接触させて回転させ、徐々に引き上げながら結晶を成長させている。結晶を成長させるには炉内の温度勾配を適正に管理しなければならず、結晶が長尺になるに従い、炉内の温度を適切な範囲で低下させなければならない。しかし、結晶を引き上げる上部は結晶育成に適切な温度であっても、これに伴いルツボ底部では温度が低下し、場合によってはルツボ底部中央より結晶が固化することがある。ルツボ底部の中央は誘導コイルから離れており固化し易い。また、このまま、結晶の育成を続けた場合、固化した結晶はルツボ底部から上方に成長し、育成している結晶と融着してしまい、育成を中止しなければならない事態が発生することがある。
このため、特許文献1では、ルツボの下側のルツボ台内の空間に、ルツボの底面の面積より小さく、かつルツボの高さ方向に所定の長さを有する補助熱源体を設置する方法が開示されている。この補助熱源体の形状は、様々な形状を示しており、どの形状を用いても効果が得られるとの記載がある。
また、特許文献2では、円筒状部材からなるルツボの底面をなす円板状部材が円筒状部材の外周面よりも半径方向外方に突出してフランジ状外周部を形成する構成が開示されている。かかるフランジ状外周部は、加熱コイルに最も近い位置となるため、高効率で速く高温となり、ルツボに下部の方が上部よりも高温となる温度勾配を付加することができる。
特開昭54−162686号公報 特開2004−284854号公報
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、ルツボ台内に補助発熱体が設けられているため、補助発熱体からルツボへの熱の伝達効率が良好でないという問題があった。また、ルツボの下側に補助発熱体を置くことでルツボ底部を加熱する効果は一定の範囲であるが、誘導コイルに高周波電流を流すことによって補助発熱体に渦電流を生じさせて加熱しており、この補助発熱体の形状により発熱する位置や発熱量が変わってくる。当然、ルツボ内の融液への影響もあるが、特許文献1にはそのような補助発熱体の形状とルツボ内の融液への影響が考慮されておらず、融液の温度制御が十分になされていないという問題があった。
また、特許文献2に記載の構成では、フランジ状外周部によるルツボの直接的な加熱は可能であるが、加熱コイルに最も近く最も高温となるため、劣化も最も激しくなる。しかしながら、ルツボと一体的に形成されているため、頻繁なフランジ外周部の劣化により、ルツボ全体を頻繁に交換しなければならないという問題があった。
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、チョクラルスキー法による単結晶育成装置において、育成する結晶体の長尺化に伴うルツボ底部の原料固化を、効率的かつ容易に防止できる結晶育成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る結晶育成装置は、原料融液を貯留保持可能な金属製のルツボと、
前記ルツボの周囲に設けられ、前記ルツボを誘導加熱する誘導コイルと、
前記ルツボを下方から支持するルツボ台と、
前記ルツボ台の一部に設置され、前記ルツボの底面の外周部付近から斜め下方外側に向かって円錐台形状をなして広がる補助発熱体と、を有する。
本発明によれば、低コストでクラック等の不具合の発生がなく、結晶育成長さの長尺化に対応できる単結晶育成装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る結晶育成装置の一例を示した概要図である。 本発明の第1の実施形態に係る結晶育成装置の一例の補助発熱体を示した図である。 ルツボ底面にテーパー状の補助発熱体を設置した時のシミュレーションデータである。図3(a)はシミュレーションモデルの概要図である。図3(b)はシミュレーションしたルツボ内融液の温度分布のグラフである。 ルツボ底面全体の温度分布を示した図である。図4(a)は補助発熱体のテーパー角が−30°の場合の温度分布を示した図である。図4(b)は補助発熱体のテーパー角が−0°の場合の温度分布を示した図である。図4(c)は補助発熱体のテーパー角が45°の場合の温度分布を示した図である。 本発明の第2の実施形態に係る結晶育成装置のルツボ台及び補助発熱体の一例を示した図である。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
本発明のチョクラスキー法を用いた結晶育成装置は、大気中または不活性ガス雰囲気中で育成されるニオブ酸リチウムLiNbO(以下LN)、タンタル酸リチウムLiTaO(以下LT)、イットリウムアルミニウムガーネットYAl12(以下YAG)などの酸化物単結晶の製造に用いる結晶育成装置である。チョクラルスキー法は、ある結晶方位に従って切り出された種と呼ばれる、通常は断面の一辺が数mm程度の直方体単結晶の先端を、同一組成の融液に浸潤し、回転しながら徐々に引上げることによって、種結晶の性質を伝播しながら大口径化して単結晶を製造する方法である。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る結晶育成装置の一例を示した概要図である。図1に示されるように、第1の実施形態に係る結晶育成装置は、ルツボ10と、ルツボ台20と、リフレクタ30と、アフター・ヒーター40と、断熱材50、51と、耐火物60と、引き上げ軸70と、誘導コイル80と、補助発熱体90と、電源100と、制御部110とを備える。なお、加熱手段は、ルツボ10とアフター・ヒーター40と補助発熱体90とを加熱する誘導コイル80である。また、電源100は、誘導コイル80に高周波電力を供給するために設けられている。
第1の実施形態に係る結晶育成装置において、ルツボ10はルツボ台20の上に載置される。ルツボ10の上方には、リフレクタ30を介して、アフター・ヒーター40が設置されている。ルツボ10を取り囲むように断熱材50が設置されている。更に、アフター・ヒーター40を取り囲むように断熱材51が設けられている。また、断熱材50、51の外側には耐火物60が設けられ、ルツボ10の周囲全体を覆っている。耐火物60の側面の外側には、誘導コイル80が配置されている。ルツボ台20の一部には、補助発熱体90が設置されている。また、補助発熱体90は、ルツボ10の底面の外周部付近より斜め外側に広がる円錐台形状を有する。
図示されていないが、耐火物60は、支持台の上に載置されている。また、図示されていないが、誘導コイル80の周囲をチャンバーが覆っている。
なお、ルツボ10及びその周囲に設けられた断熱材50は、ホットゾーン部を構成する。また、ルツボ10の上方には、引き上げ軸70が設けられている。引き上げ軸70は、下端に種結晶保持部71を有し、引き上げ軸駆動部72により昇降可能に構成されている。更に、チャンバー10の周辺の外部に、電源100及び制御手段110が設けられる。また、図1において、関連構成要素として、種結晶150と、結晶原料160と、引き上げられた単結晶(結晶体とも呼ぶ)170が示されている。
次に、個々の構成要素について説明する。
ルツボ10は、結晶原料160を保持し、結晶を育成するための容器である。結晶原料160は、結晶化する金属等が溶融した融液の状態で保持される。ルツボの材質は、結晶原料160にもよるが耐熱性のある白金やインジウム等で作製される。
育成される単結晶170は、単結晶170の引き上げが進むにつれてルツボ10から遠ざかって行く為、単結晶170の温度分布が大きくなり単結晶170の割れ等の不具合が発生する場合がある。これを改善するため、ルツボ10の上方にアフター・ヒーター40を設置して適切な温度分布を維持する。アフター・ヒーター40の形状は、内径が得ようとする酸化物単結晶170の直径より大きく、ルツボ10の直径より小さくする。全長は、得ようとする単結晶170の全長の半分より長く、二倍より短い円筒状である。材質は白金やイリジウム等の金属で作製される。
補助発熱体90はルツボ台20の一部に設置される。また、補助発熱体90は、ルツボ10の底部の外周部付近より斜め外側に広がる円錐台形状を有する。なお、補助発熱体90の詳細については、後述する。
誘導コイル80は、ルツボ10、アフター・ヒーター40及び補助加熱体90を加熱するための手段であり、ルツボ10、アフター・ヒーター40及び補助加熱体90を囲むように配置される。誘導コイル80は、ルツボ10やアフター・ヒーター40等を誘導加熱できれば形態は問わないが、例えば、高周波加熱コイルからなる高周波誘導加熱装置として構成される。この場合には、電源100は、誘導コイル80に高周波電力を供給する高周波電源として構成される。
また、電源100は、誘導コイル80のみならず、結晶育成装置全体に電源供給を行う。
なお、図示しないチャンバーは、ルツボ10及び誘導コイル80の高熱を遮断するとともに、これらを収容する機能を有する。
また、図示しない支持台は、耐火物60全体を支持するための支持台であり、チャンバー内に収容される。
引き上げ軸70は、種結晶150を保持し、ルツボ10に保持された結晶原料(融液)160の表面に種結晶150を接触させ、回転しながら単結晶170を引き上げるための手段である。引き上げ軸70は、種結晶150を保持する種結晶保持部71を下端部に有するとともに、回転機構であるモーターを備えた引き上げ軸駆動機構72を有する。なお、モーターは、結晶の引き上げの際、結晶を回転させながら引き上げる動作を行うための回転駆動機構である。
制御手段110は、結晶育成装置全体の制御を行うための手段であり、結晶育成プロセスを含めて結晶育成装置全体の動作を制御する。制御手段は、例えば、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、及びROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリを備え、プログラムにより動作するマイクロコンピュータから構成されてもよいし、特定の用途のために開発されたASIC(Application Specified Integra Circuit)等の電子回路から構成されてもよい。
本実施形態に係る結晶育成装置は、種々の結晶原料に適用することができ、結晶原料の種類は問わないが、例えば、タンタル酸リチウム原料を用いてもよい。その他、種々の酸化物単結晶を育成するための結晶原料を用いることができる。
次に、図2を用いて、本発明の特徴である補助加熱体90について説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係る結晶育成装置の一例の補助発熱体90を示した図である。図2(a)は、補助加熱体90をルツボ台20に載置した状態の正面図であり、図2(b)は、補助加熱体90をルツボ台20に載置した状態の断面図である。
図2(a)に示される通り、本発明の実施形態に係る補助発熱体90はルツボ台20の一部に設置されている。また、補助発熱体90は、ルツボ10の底面の外周部付近より斜め外側にテーパー状に広がる円錐台形状を有する。補助加熱体90は、テーパー状の筒形状を有して構成されており、上面及び下面は塞がれずに開口となっている。開口の形状は円形である。補助加熱体90は、誘導コイル80からの高周波により誘電加熱されるルツボ10の底部を補助的に加熱する。
以下、補助加熱体90の設置目的について説明する。チョクラルスキー法による単結晶育成では、ルツボ10内に融解した結晶原料160に種結晶150を接触させ、上方に引き上げることで結晶体170を冷却して結晶を成長させている。結晶長が長くなるに従い、結晶体170は冷却され炉内上部の温度は低下してゆく。ルツボ10内の原料融液(結晶原料)150も減少し発熱量も低下し、誘導コイル80から一番離れているルツボ10の底部の中央部から原料固化が始まる。これを防止するため、本実施形態に係る結晶育成装置では、ルツボ10の底部の下側にあるルツボ台20の一部に補助発熱体90を配置する。
図2(b)に示すように、補助発熱体90は、ルツボ10の下側にあるルツボ台20の上面21の位置に配置する。補助発熱体90は、上述のように、ルツボ底面より外側下方に広がる円錐台の形状を有する。ルツボ台20の上面21を、補助発熱体90と同じようにテーパー面21aを有する円錐台形状することで、補助発熱体90を容易に配置することができ、かつ補助発熱体90をルツボ台20が支えているので補助発熱体90の厚みを薄くすることが可能である。
なお、補助発熱体90のテーパー部の支えは弱いものの、ルツボ台20の構造は簡単であり容易に作製が可能である。この時の補助発熱体90の厚みは0.5mm以上必要であり、好ましくは1mm〜2mmである。
円錐台下部先端をルツボ径よりも大きくすることにより、高周波磁場が補助発熱体90のテーパー下部に集中し、発熱密度が大きくなる。補助発熱体90の先端部(下端部)に集中して発生した熱は熱伝導によりルツボ10の底面に伝わり、ルツボ底を加熱することができる。これによりルツボ底部での融液の固化を効率よく防ぐことができる。
補助発熱体90の大きさは、上端の開口径がルツボ底面と同じかそれより若干小さい形状とし、外側に向けてテーパーを付けている。例えば、ルツボ径(ルツボ外形)がφ175mmであれば、補助発熱体90の上端の開口径はルツボ径φ175mmからルツボ径より40mm小さい径であるφ135mmとしてもよい。前述したように、ルツボ10の下側にテーパー状の補助発熱体90を配置するとルツボ底面の角部が集中的に高温となるため、補助発熱体90の上端の開口径をルツボ径より若干小さくすることにより、ルツボ底面の角部への極度の熱の集中を抑制することができる。また、補助発熱体90の上端をルツボ10の底面の外形よりも内側にすることで、補助発熱体90がルツボ中央部近くに配置されるため、ルツボ中央部の昇温に効果がある。但し、40mmを超えて径を小さくした場合、誘導コイル80より離れるため出力が弱まり、発熱効果は少なくなる。よって、補助発熱体90の上端の開口径は、ルツボ径と同じかルツボ径より40mm以下小さい値であることが好ましい。換言すると、補助発熱体90の上端の開口径は、ルツボ底よりも0〜40mm小さい値であることが好ましい。
円錐台のテーパー(角度)は、鉛直真下方向を0°として外側に10°〜45°の範囲が好ましい。補助発熱体90のテーパー面の傾斜角度について、以下、図3を用いて説明する。
図3は、ルツボ底面にテーパー状の補助発熱体90を設置した時のシミュレーションデータである。図3(a)はシミュレーションモデルの概要図である。図3(b)はシミュレーションしたルツボ内融液の温度分布のグラフである。
シミュレーションモデルについては、図3(a)に示される通り、補助発熱体90のテーパー角と符号との関係は、鉛直真下方向を0°として、内側方向を−側(マイナス側)とし、外側方向を+側(プラス側)とした。なお、図3(a)において、図1に対応する構成要素に同一の参照符号を付している。図3(a)に示されるように、ルツボ10の底面と補助発熱体90の上端の開口径が同一である場合についてシミュレーションを行った。シミュレーションモデルは、補助発熱体90のテーパー角が0°、−30°、45°の場合について行った。また、補助発熱体90が設けられていない場合についても、比較例としてシミュレーションを行った。
図3(b)において、Ref.は、比較例に係る補助発熱体90なしの状態のシミュレーション結果を示している。結晶体170を、引上げ最終段階とした時を想定している。結晶原料160の融液はタンタル酸リチウムとした。ルツボ径はφ175mmとした。図3(b)は、この時のルツボ中央部の温度分布をルツボ底面から上方方向にシミュレーションしたシミュレーション結果である。図3(b)からわかるように、タンタル酸リチウムの融点は1923Kであり、ルツボ底からの距離が「0」の所では、補助発熱体90が無い場合及びテーパー角度が−側では、1923Kより低い位置であり原料固化が発生する可能性が大きい。1923K以上ではテーパーが10°以上外側である必要がある。
次に、ルツボ底面全体の温度分布をシミュレーションした。その結果を図4に示す。
図4は、ルツボ底面全体の温度分布を示した図である。図4(a)が補助発熱体90のテーパー角が−30°、図4(b)が補助発熱体90のテーパー角が−0°の場合を示している。また、図4(c)は、補助発熱体90のテーパー角が45°の場合を示している。他の条件は、図3と同様である。図4(a)〜(c)において、最も温度が高い箇所をA、次いで温度の高い領域をB、以降、温度の高い順にC、D、E、Fと領域を分けて示している。
図4(a)〜(c)を比較すると、最も温度の高い最高温箇所Aが、補助発熱体90のテーパー角度が外側に広がる、つまりプラス側に増す程増加していることが分かる。また、高温領域である領域Bも、補助発熱体90のテーパー角度が増加するにつれて、ルツボ10の底面の下方において面積が増加している。このことから、テーパーを内側(−側)にした場合に比べ、外側(+側)にした方がルツボ底面を高温に加熱することが判る。特に、補助発熱体90のテーパー部の外側端(下端)が誘導コイル80に近く、かつ誘導電流が角部に集中し易いことより、この部分が最高温になる。なお、補助発熱体90の最高表面温度は、図4(a)の−30°の場合が1960K、図4(b)の0°の場合が2010K、図4(c)の45°の場合が2190Kであった。
補助発熱体90は、高温を繰り返すと徐々に摩耗し、割れ等を生じる場合がある。よって、補助発熱体90の温度は、2200K以下とすることが好ましい。本結果では、テーパー角度+45°のときに2190Kというシミュレーション結果が得られている。よって、補助発熱体90のテーパーは、45°以下にすることが好ましい。
上記シミュレーション結果より、補助発熱体90のテーパー角度は、+10°〜+45°であることが好ましく、20°〜30°であることが更に好ましい。
補助発熱体90のテーパー部の長さは、20mm〜40mmの範囲とすることが好ましい。図3、図4のシミュレーションでは、テーパー部の長さを20mmとして算出している。このため、ルツボ底面の固化を抑制するには少なくともテーパー部の長さは20mm以上必要である。テーパー部の長さが長くなるに従い補助発熱体90のテーパー部の外側端が誘導コイル80に近く、かつ誘導電流が角部に集中し易いことから、より高温になる。よって、テーパー部の外側の端部の最高温度が2200K以下になるようにテーパーと長さを調整して設定すればよい。
補助発熱体90の厚みは、0.5mm〜3mmが良い。本実施形態に係る結晶育成装置の加熱方法は、誘電コイル80を使用し、誘電コイル80に高周波電流を流して加熱体に誘導磁場を発生させることで加熱している。このため、誘導磁場は表皮効果により加熱体の面積に大きく依存するが、加熱体の厚みの効果は小さい。このため、厚みに制限はないが、補助発熱体90の取り扱いの容易性等の観点から、少なくとも厚みは0.5mm以上必要である。また、補助発熱体90の材質は、結晶原料150にもよるが、耐熱性のある白金やイリジウム等で作製されることが好ましい。このため、コストを考慮すると厚みは、薄い方が低コストで製作することができることより3mm以下が良い。好ましくは、1mm〜2mmである。
補助発熱体90のルツボ底面からの位置は、0mm〜10mmが良い。補助発熱体90はルツボ底面と接触する位置に配置することが好ましい。補助発熱体90の発熱が直接ルツボ底面に伝熱するからである。しかしながら、補助発熱体90の設置方法によってはルツボ10の底面と直接接触するように配置出来ない場合もあるため、少なくともルツボ底面より10mm以内に設置する。
このように、本発明の第1の実施形態に係る結晶育成装置によれば、ルツボ10の底面の外周部から外側下方にテーパー状に延びる補助発熱体90をルツボ支持台20上に設置することにより、ルツボ10の底面を効率的に加熱することができ、結晶体170の長尺化に対応することができる。また、補助発熱体90は、ルツボ10とは別体であるので、設置、取り外し等の設置も容易であり、摩耗や劣化が生じた場合には、速やかに交換することができる。
[第2の実施形態]
図5は、本発明の第2の実施形態に係る結晶育成装置のルツボ台20a及び補助発熱体90の一例を示した図である。第2の実施形態に係る結晶育成装置においては、ルツボ台20aの構成のみが第1の実施形態に係る結晶育成装置と異なっている。他の構成要素については、第1の実施形態に係る結晶育成装置と同様であるので、その説明を省略する。
第2の実施形態に係る結晶育成装置においては、補助発熱体90の下端部の外径よりも大きな載置面(上面)22を有するルツボ台20aを設け、そのルツボ台20aの載置面22上に補助発熱体90を設置するとともに、補助発熱体90の上端の開口径よりも小さな外形を有する耐熱材23を設置している。そして、耐熱材23の上にルツボ1を設置している。耐熱材23の高さは、補助発熱体90と略同一又は補助発熱体90よりも若干高く設定されている。これにより、ルツボ10の荷重自体は耐熱材23で受けることができ、載置面22上に載置した補助発熱体90にルツボ10の荷重を加えること無く、ルツボ10の底面の外周付近から下方外側に延びる補助発熱体90を載置面22上に設置することができる。なお、耐熱材23は、外形が補助発熱体90の上端の開口径よりも小さい限り、用途に応じて種々の形状とすることができるが、例えば、ルツボ台20aの載置面22の下方の部分と同径の円柱形状に構成されてもよい。なお、補助発熱体90は、第1の実施形態と同様の構成とすることができる。
このように、第2の実施形態に係る結晶育成装置によれば、ルツボ台20aも簡素な構成としつつ、補助発熱体90をルツボ台20上かつルツボ10の下方に設置することができ、補助発熱体90の発熱効果により、ルツボ10の底面を効率的に加熱することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
10 ルツボ
20、20a ルツボ台
21、22 載置面
23 耐熱材
30 リフレクタ
40 アフター・ヒーター
50、51 断熱材
60 耐火物
70 引き上げ軸
80 誘導コイル
90 補助発熱体
100 電源
110 制御部
ルツボ10は、結晶原料160を保持し、結晶を育成するための容器である。結晶原料160は、結晶化する金属等が溶融した融液の状態で保持される。ルツボの材質は、結晶原料160にもよるが耐熱性のある白金やイジウム等で作製される。

Claims (10)

  1. 原料融液を貯留保持可能な金属製のルツボと、
    前記ルツボの周囲に設けられ、前記ルツボを誘導加熱する誘導コイルと、
    前記ルツボを下方から支持するルツボ台と、
    前記ルツボ台の一部に設置され、前記ルツボの底面の外周部付近から斜め下方外側に向かって円錐台形状をなして広がる補助発熱体と、を有する結晶育成装置。
  2. 前記ルツボ台は、上面が前記補助発熱体と同じ傾斜面を有して形成され、前記補助発熱体は前記ルツボ台の上面上に設置される請求項1に記載の結晶育成装置。
  3. 前記ルツボ台は、前記補助発熱体の下端部より大きな載置面を有し、前記補助発熱体は前記ルツボ台の前記載置面上に設置され、
    前記ルツボ台の前記載置面上には、前記補助発熱体の上端よりも外形が小さく、前記補助発熱体と略同じ高さ又は前記補助発熱体よりも若干高い高さを有する耐熱材が設けられる請求項1に記載の結晶育成装置。
  4. 前記耐熱材は、前記ルツボ台の前記載置面よりも下方の部分と同じ外形を有する請求項3に記載の結晶育成装置。
  5. 前記補助発熱体の上端は、前記ルツボの底面に包含されるか同じ大きさを有し、前記ルツボの底面の外周よりも内側に設けられる請求項1乃至4のいずれか一項に記載の結晶育成装置。
  6. 前記補助発熱体の上端は、前記ルツボの底面の外周よりも0〜40mm内側に設けられている請求項5に記載の結晶育成装置。
  7. 前記補助発熱体は、鉛直線に対し、10〜45°の開き角を有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の結晶育成装置。
  8. 前記補助発熱体は、前記鉛直線に対し、20〜30°の開き角を有する請求項7に記載の結晶育成装置。
  9. 前記補助発熱体は、前記ルツボと同じ材料から構成される請求項1乃至8のいずれか一項に記載の結晶育成装置。
  10. 前記ルツボ及び前記補助発熱体は、イリジウムから構成される請求項9に記載の結晶育成装置。
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