JP2018118128A - バルーンコーティング方法およびバルーンコーティング装置 - Google Patents

バルーンコーティング方法およびバルーンコーティング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】コーティング層の厚さや薬剤の形態型などを自在に調節しつつコーティング可能なバルーンコーティング方法および装置を提供する。【解決手段】バルーン30の表面にコーティング層32を形成するバルーンコーティング方法およびバルーンコーティング装置50であって、水不溶性薬剤を溶解させた揮発性溶媒を含むコーティング液Rをバルーン30の少なくとも一部に滴下させる滴下工程と、バルーン30の少なくとも一部にコーティング液Rを滴下させた状態で当該バルーン30を軸心Xを中心に回転運動させつつ、当該バルーン30に対するコーティング液Rを滴下させる位置をバルーン30の軸心方向へ移動させる回転移動工程と、バルーン30の外表面に滴下されたコーティング液Rの一部を、バルーン30から間隙Bを有して位置する回収部材81の回収面87に接触させて回収する回収工程と、を有する。【選択図】図4

Description

本発明は、バルーンの表面にコーティング層を形成するバルーンコーティング方法およびバルーンコーティング装置に関する。
近年、生体管腔内に生じた病変部(狭窄部)の改善のために、バルーンカテーテルが用いられている。バルーンカテーテルは、通常、長尺なシャフト部と、シャフト部の先端側に設けられて径方向に拡張可能なバルーンとを備えており、収縮されているバルーンを、細い生体管腔を経由して体内の目的場所まで到達させた後に拡張させることで、病変部を押し広げることができる。
しかしながら、病変部を強制的に押し広げると、内皮細胞が過剰に増殖して病変部に新たな狭窄(再狭窄)が発症する場合がある。このため、最近では、バルーンの外表面に狭窄を抑制するための薬剤をコーティングした薬剤溶出バルーンが用いられている。薬剤溶出バルーンは、拡張することで、外表面にコーティングされている薬剤を病変部へ瞬時に放出し、薬剤を生体組織へ移行させることができ、これにより、再狭窄を抑制することができる。
バルーンに薬剤をコーティングする方法として、種々の方法が提案されている。例えば特許文献1には、バルーンを回転させつつ軸方向へ移動させながら、薬剤および溶媒を含むコーティング液をバルーンの表面に塗布量を制御しつつ供給し、コーティング液を乾燥させて薬剤を含むコーティング層を形成する方法が記載されている。
また、特許文献2には、バルーンの表面を全周囲的に囲んでバルーン上にコーティング液を供給可能な環状の装置をバルーンの軸方向へ移動させつつ、バルーンの表面に薬剤および溶媒を含むコーティング液を塗布した後、コーティング液を乾燥させて薬剤を含むコーティング層を形成する方法が記載されている。
米国特許出願公開第2010/005294号明細書 特表2012−529945号公報
ところで、バルーンの外表面にコーティングされる薬剤は、溶媒を揮発させる際の時間の長短や温度条件等によって、結晶型、非結晶質(アモルファス)型、およびそれらの混合型などの異なる形態型となり得る。結晶および非晶質は、必ずしもどちらが望ましいというものではなく、目的に応じて選択できることが望まれる。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、コーティング層の厚さや薬剤の形態型などを自在に調節しつつコーティング可能なバルーンコーティング方法および装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係るバルーンコーティング方法は、バルーンカテーテルのバルーンの外表面にコーティング層を形成するバルーンコーティング方法であって、水不溶性薬剤を溶解させた揮発性溶媒を含むコーティング液を前記バルーンの少なくとも一部に滴下させる滴下工程と、前記バルーンの少なくとも一部に前記コーティング液を滴下させた状態で当該バルーンを、軸心を中心に回転運動させつつ、当該バルーンに対して前記コーティング液を滴下させる位置を前記バルーンの軸心方向へ移動させる回転移動工程と、前記バルーンの外表面に滴下されたコーティング液の一部を、前記バルーンから間隙を有して位置する回収部の回収面に接触させて回収する回収工程と、を有し、前記回収面は、前記バルーンの外表面に最も近接する位置よりも前記バルーンの回転方向側の位置から逆回転方向側の位置まで連続して滑らかに形成されている。
上記のように構成したバルーンコーティング方法は、コーティング液を滴下させつつ、バルーンを回転させてバルーンの外表面にコーティング液を塗布し、回収部によってコーティング液を回収するため、余剰なコーティング液を回収して、コーティング液を所望の量でバルーン上に維持することができ、コーティング層の厚さ、薬剤の形態型や大きさなどを自在に調節することができる。
前記回収工程において、前記コーティング液を回収する位置を前記バルーンの軸心方向へ当該バルーンに対して相対的に移動させるようにすれば、コーティング液を滴下させる位置の移動に合わせて回収位置を移動できるため、最適な位置でコーティング液を回収でき、コーティング液を所望の量でバルーン上に維持しやすくなり、コーティング層の厚さ、薬剤の形態型や大きさなどをより調節しやすくなる。
前記回転移動工程において、前記バルーンの軸心を水平方向に対して傾斜させて当該バルーンを回転運動させるようにすれば、バルーンの外表面においてコーティング液の液滴が到達する位置が傾斜することになるため、液滴がバルーンの外表面の広い範囲に広がりつつ塗布され、より均一なコーティング層を形成することができる。また、バルーン上でコーティング液が流れる方向が予想しやすくなるため、コーティング液の回収が容易となる。
前記滴下工程において、前記コーティング液を、前記バルーンの軸心を通る鉛直面から離れた位置に滴下するようにすれば、バルーンの外表面において液滴が到達する位置が傾斜することになり、バルーンの外表面の広い範囲に広がりつつ塗布され、より均一なコーティング層を形成することができる。
前記回収工程において、前記バルーンに滴下されたコーティング液を回収する位置が、前記バルーンの前記コーティング液が滴下される位置に対して、前記バルーンの軸心方向へ離れているようにすれば、コーティング液を滴下させる位置の移動や、バルーンの傾斜等によって生じるバルーン上でのコーティング液の移動を考慮して回収位置を設定でき、コーティング液を所望の量でバルーン上に維持しやすくなり、コーティング層の厚さ、薬剤の形態型や大きさなどをより調節しやすくなる。
前記回転移動工程において、前記バルーンの軸心を水平方向に対して傾斜させて当該バルーンを回転運動させ、前記回収工程において前記コーティング液を回収する位置を、前記バルーンの前記コーティング液が滴下される位置に対して当該バルーンの傾斜が下がる側に位置させるようにすれば、バルーンの傾斜によって生じるバルーン上でのコーティング液の重力方向への移動を考慮してコーティング液を回収でき、コーティング液を所望の量でバルーン上に維持しやすくなり、コーティング層の厚さ、薬剤の形態型や大きさなどをより調節しやすくなる。
前記回収工程において回収されたコーティング液を、再び前記バルーンへ滴下させるようにすれば、コーティング液を無駄なく利用でき、バルーンカテーテルのコストを削減できる。
また、バルーンカテーテルのバルーンの外表面にコーティング層を形成するバルーンコーティング装置であって、前記バルーンを当該バルーンの軸心を中心として回転させる回転移動機構と、前記バルーンに対する前記コーティング液を滴下させる位置を、前記バルーンの軸心方向へ当該バルーンに対して相対的に移動させる滴下位置移動機構と、水不溶性薬剤を溶解させた揮発性溶媒を含むコーティング液を前記バルーンの少なくとも一部に滴下させる滴下部と、前記バルーンの外表面と間隙を有して隣接し、前記バルーンの外表面に滴下されたコーティング液と接触して当該コーティング液の一部を回収する回収部の回収面と、を有し、前記回収面は、前記バルーンの外表面に最も近接する位置よりも前記バルーンの回転方向側の位置から逆回転方向側の位置まで連続して滑らかに形成されているバルーンコーティング装置であれば、コーティング液を滴下部により滴下させつつ、回転移動機構によりバルーンを回転させてバルーンの外表面にコーティング液を塗布し、回収部によってコーティング液を回収するため、余剰なコーティング液を回収して、所望の量のコーティング液をバルーン上に維持することができ、コーティング層の厚さ、薬剤の形態型や大きさなどを自在に調節することができる。
前記回収部を、前記バルーンの軸心方向へ当該バルーンに対して相対的に移動させる回収位置移動機構を有するようにすれば、コーティング液を滴下させる位置の移動に合わせて、回収位置移動機構により回収部を移動できるため、最適な位置でコーティング液を回収でき、コーティング液を所望の量でバルーン上に維持しやすくなり、コーティング層の厚さ、薬剤の形態型や大きさなどをより調節しやすくなる。
前記回転移動機構は、前記バルーンの軸心を水平方向に対して傾斜させて当該バルーンを回転運動させるようにすれば、バルーンの外表面においてコーティング液の液滴が到達する位置が傾斜することになるため、液滴がバルーンの外表面の広い範囲に広がりつつ塗布され、より均一なコーティング層を形成することができる。また、バルーン上でコーティング液が流れる方向が予想しやすくなるため、コーティング液の回収が容易となる。
前記滴下部は、前記コーティング液を、前記バルーンの軸心を通る鉛直面から離れた位置に滴下するようにすれば、バルーンの外表面において液滴が到達する位置が傾斜することになり、バルーンの外表面の広い範囲に広がりつつ塗布され、より均一なコーティング層を形成することができる。
前記滴下部により前記コーティング液が滴下される位置と、前記回収部によって前記コーティング液を回収する位置が、前記バルーンの軸心方向へ離れているようにすれば、コーティング液を滴下させる位置の移動や、バルーンの傾斜等によって生じるバルーン上でのコーティング液の移動を考慮して回収位置を設定でき、コーティング液を所望の量でバルーン上に維持しやすくなり、コーティング層の厚さ、薬剤の形態型や大きさなどをより調節しやすくなる。
前記回転移動機構は、前記バルーンの軸心を水平方向から傾斜させて当該バルーンを回転運動させ、前記回収部によって前記コーティング液を回収する位置は、前記滴下部により前記コーティング液が滴下される位置に対して前記バルーンの傾斜が下がる側に位置するようにすれば、バルーンの傾斜によって生じるバルーン上でのコーティング液の重力方向への移動を考慮してコーティング液を回収でき、コーティング液を所望の量でバルーン上に維持しやすくなり、コーティング層の厚さ、薬剤の形態型や大きさなどをより調節しやすくなる。
前記回収部により回収された前記コーティング液を、再び前記滴下部へ供給可能であるようにすれば、コーティング液を無駄なく利用でき、バルーンカテーテルのコストを削減できる。
本発明の実施形態に係るバルーンコーティング方法を行うための装置を示す概略図である。 バルーンカテーテルを示す断面図である。 バルーンにコーティング液を滴下した状態を示す側面図である。 図3のA−A線に沿う断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
本実施形態に係るバルーンコーティング方法は、バルーンの表面に薬剤を含むコーティング層を形成するものであり、図1に示すコーティング装置50により実施される。なお、本明細書では、バルーンカテーテル10の管腔に挿入する側を「先端」若しくは「先端側」、操作する手元側を「基端」若しくは「基端側」と称することとする。
まず、バルーンカテーテル10の構造を説明する。バルーンカテーテル10は、図2に示すように、長尺なカテーテル本体部20と、カテーテル本体部20の先端部に設けられるバルーン30と、カテーテル本体部20の基端に固着されたハブ40とを有している。
カテーテル本体部20は、先端および基端が開口した管状体である外管21と、外管21の内部に配置される内管22とを備えている。外管21および内管22の間には、バルーン30を拡張するための拡張用流体が流通する拡張ルーメン23が形成されており、内管22の内側には、ガイドワイヤーが挿通されるガイドワイヤールーメン24が形成されている。
バルーン30は、先端側が内管22に接着され、基端側が外管21に接着されており、バルーン30の内部が、拡張ルーメン23に連通している。
ハブ40は、外管21の拡張ルーメン23と連通して拡張用流体を流入出させるポートとして機能する第1開口部41と、ガイドワイヤールーメン24を挿通させる第2開口部42とを備えている。第2開口部42には、血液の流出を抑制する止血弁43が設けられている。
バルーン30は、ある程度の可撓性を有する材料により形成されることが好ましく、そのような材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、あるいはこれら二種以上の混合物等のポリオレフィンや、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用できる。
次に、コーティング装置50について説明する。コーティング装置50は、図1に示すように、バルーンカテーテル10を保持して回転させる回転移動機構60と、バルーン30の表面にコーティング液Rを滴下させる滴下機構70と、コーティング液Rを回収する回収機構80と、コーティング装置50を制御する制御機構90とを備えている。
回転移動機構60は、バルーン30を回転可能に保持しつつ、内蔵されるモーター等の駆動源によって、バルーン30の軸心Xを中心としてバルーンカテーテル10を回転させる。回転移動機構60は、バルーンカテーテル10のガイドワイヤールーメン24内に挿通される芯材61を備えており、芯材61によってバルーンカテーテル10の先端部を回転可能に保持するとともに、芯材61によってコーティング液Rのガイドワイヤールーメン24内への流入を防止している。軸心61は、後述する支持台62から延びる支柱64に回転可能に保持されている。バルーンカテーテル10は、拡張ルーメン23を覆うようにハブ40の第1開口部41にキャップ63が被せられ、バルーン30を拡張させた状態で拡張用流体を密封し、拡張状態を維持して回転移動機構60に載置される。回転移動機構60は、水平方向に対して所定の傾斜角度αで傾斜する支持台62の上に設置される。これにより、支持台62上の回転移動機構60に保持されるバルーン30の軸心Xは、水平方向に対し傾斜角度αで傾斜する。
滴下機構70は、コーティング液Rを収容する容器71と、コーティング液Rを滴下させる滴下ノズル72(滴下部)と、容器71から滴下ノズル72へコーティング液Rを供給する送液チューブ73と、送液量を調節するための送液量調節部74と、滴下ノズル72を移動可能に支持する滴下位置移動機構75とを備えている。
滴下ノズル72は、図4に示すように、バルーン30の鉛直上方において、バルーン30の軸心Xを通る鉛直面S1から離れた位置に設けられる。したがって、滴下ノズル72から重力に従って滴下されるコーティング液Rは、鉛直面S1からずれて位置する滴下線Dに沿って落下し、バルーン30の外表面の、鉛直面S1から離れた位置に滴下される。本実施形態では、バルーン30の軸心Xの鉛直方向の真上部Uよりも、バルーン30の回転方向(図4の反時計回り方向)の上流側に、コーティング液Rが滴下される。なお、滴下線Dは、バルーン30の真上部Uよりも、回転方向の下流側に滴下されてもよい。また、滴下線Dは、鉛直面S1からずれて位置しなくてもよく、鉛直面S1上に位置してもよい。
滴下ノズル72は、バルーン30から比較的離れて配置され、コーティング液Rを、液滴の状態でバルーン30へ供給する。したがって、滴下ノズル72とバルーン30の間が、コーティング液Rによって繋がるように供給する場合と異なり、液滴に重力が強く作用し、コーティング液Rをバルーン30の外表面の広い範囲に均一に広がるように塗布することができる。滴下ノズル72は、コーティング液Rを滴下できるのであれば構造は限定されず、例えば、コーティング液Rを吐出させる吐出口を有する構造でもよく、または、下方へ延びる突起の外表面にコーティング液Rを伝わせつつ滴下させる構造であってもよい。
送液量調節部74は、制御機構90によって流量を制御可能な制御弁等を備えており、任意の送液量でコーティング液Rを滴下ノズル72へ供給する。なお、送液量調節部74は、流量を任意に調節できなくてもよい。
滴下位置移動機構75は、支持台62から延びる支柱64に固定されており、内蔵されるモーターやシリンダー等の駆動源が制御機構90によって制御されて、バルーン30の軸心Xと平行な方向へ滴下ノズル72を直線的に移動させる。したがって、滴下線Dと鉛直面S1との間の距離L1、および滴下ノズル72とバルーン30の外表面との間の鉛直方向への距離L2は、滴下位置移動機構75によって滴下ノズル72が移動しても一定に保たれる。なお、滴下位置移動機構75の移動方向は、必ずしも軸心Xと平行でなくてもよく、距離L1および距離L2が、滴下ノズル72の移動に伴って変化してもよい。
回収機構80は、図1,3および4に示すように、バルーン30の外表面から余剰のコーティング液Rを回収する回収部材81と、回収部材81を移動させるための回収位置移動機構82と、回収されたコーティング液Rを収容する回収用容器83と、回収部材81から回収用容器83へコーティング液Rを導く回収チューブ84と、回収用容器83内のコーティング液Rを容器71へ移送するためのポンプ85と、ポンプ85から容器71へコーティング液Rを搬送する再送チューブ86とを備えている。
回収部材81は、バルーン30の外表面と所定の間隔Bを開けて位置する回収面87を備えており、バルーン30の外表面に塗布されたコーティング液Rが接することが可能となっている。回収部材81の回収面87の下方には、回収面87を伝って下方へ移動するコーティング液Rを受けて回収チューブ84へ導くことができる漏斗状の受け部88が設けられる。回収面87は、水平方向に対して傾斜する回収面傾角度βを有して配置されることが好ましく、これにより、回収面87の下方に位置する回収チューブ84へ、コーティング液Rを重力によって効率よく導くことができる。回収面87のバルーン30と近接する近位部87Aは、鉛直面S1と平行であって滴下線Dが通る滴下面S2から距離L3の長さで離れて位置している。また、近位部87Aは、軸心Xを通る水平面よりも下方に位置している。近位部87Aが、軸心Xを通る水平面よりも下方に位置することで、バルーン30上に表面張力によって保持しきれない余剰なコーティング液Rを、重力によって回収面87へ導きやすくなり、しかも、一旦回収面87に回収されたコーティング液Rが、バルーン30上へ戻ることを抑制できる。また、回収面87は、鉛直面S1と直交するとともに滴下線Dを通る滴下直交面S3から、バルーン30の傾斜が下がる側(図3の紙面左側)に、距離L4の長さで離れて位置するように、回収位置移動機構82によって移動する。
なお、本実施形態では、距離L4が常に一定に保たれるように、滴下位置移動機構75および回収位置移動機構82を制御するが、距離L4が変化するように制御してもよい。また、回収面87は、水平方向に対して傾斜して配置されなくてもよく、例えば、水平方向と平行であってもよく、または鉛直方向と平行であってもよい。また、回収面87は、滴下線Dが通る滴下面S2上に位置してもよい。また、回収面87は、滴下直交面S3上に位置してもよい。また、本実施形態では、コーティング液Rが接する回収面87が平面で形成されるが、コーティング液Rを回収できるのであれば、平面でなくてもよい。
回収チューブ84は、受け部88から導かれるコーティング液Rを、回収用容器83まで送達する。回収用容器83は、回収されたコーティング液Rを一時的に保管することができる。
ポンプ85は、回収用容器83に保管されたコーティング液Rを加圧して、再利用するために再送チューブ86を介して容器71へ搬送する。なお、回収用容器83を設けずに、回収されたコーティング液Rを、容器71へ直接搬送する構成とすることもできる。
回収位置移動機構82は、支持台62から延びる支柱64に固定されており、内蔵されるモーターやシリンダー等の駆動源が制御機構90によって制御されて、バルーン30の軸心Xと平行な方向へ回収部材81を直線的に移動させる。したがって、滴下位置移動機構75が作動して滴下ノズル72が移動しても、回収位置移動機構82により回収部材81を移動させて、回収面87とバルーン30の間の間隙B、および回収面87と滴下直交面S3の間の距離L4を一定に保つことができる。なお、回収位置移動機構82の移動方向は、必ずしも軸心Xと平行でなくてもよい。また、上述の間隙Bおよび距離L4は、一定に保たれずに変化してもよい。
制御機構90は、例えばコンピュータにより構成され、回転移動機構60、送液量調節部74、滴下位置移動機構75、回収位置移動機構82およびポンプ85を、統括的に制御する。
コーティング液Rは、薬剤、添加剤、および揮発性溶媒を含んでいる。薬剤は、生体へ作用する物質であり、水溶性薬剤および不水溶性薬剤のいずれであってもよいが、薬剤の血中への溶出を抑制するという観点から、不水溶性薬剤が好ましい。
不水溶性薬剤は、水に不溶または難溶性である薬剤を意味し、具体的には、水に対する溶解度が、pH5〜8で5mg/mL未満である。その溶解度は、1mg/mL未満、さらに、0.1mg/mL未満でもよい。水不溶性薬剤は、脂溶性薬剤を含む。
いくつかの好ましい水不溶性薬剤の例は、免疫抑制剤、例えば、シクロスポリンを含むシクロスポリン類、ラパマイシン等の免疫活性剤、パクリタキセル等の抗がん剤、抗ウイルス剤または抗菌剤、抗新生組織剤、鎮痛剤および抗炎症剤、抗生物質、抗てんかん剤、不安緩解剤、抗麻酔剤、拮抗剤、ニューロンブロック剤、抗コリン作用剤、抗不整脈剤、抗高血圧剤、ホルモン剤ならびに栄養剤を含む。
水不溶性薬剤としては、ラパマイシン、パクリタキセル、ドセタキセルおよびエベロリムスからなる群から選択される少なくとも1つが好ましい。ラパマイシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エベロリムスは、それぞれ、同様の薬効を有する限り、それらの類似体および/またはそれらの誘導体を含む。例えば、パクリタキセルとドセタキセルとは類似体の関係にあり、ラパマイシンとエベロリムスとは誘導体の関係にある。これらのうちでは、パクリタキセルがさらに好ましい。
本実施形態におけるコーティング液Rは、上記水不溶性薬剤を、好ましくは5〜60mg/mLの濃度で、より好ましくは20〜50mg/mLの濃度で、さらに好ましくは30〜40mg/mLの濃度で、含有する。
添加剤は、特に制限されないが、薬剤と固体分散体を形成するポリマー(重合体)及び/又は高分子または低分子の化合物を適用でき、例えば、ポリオレフィン、ポリイソブチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、アクリルポリマーおよび共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニル・メチル・エーテル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−メチル・メタクリル酸塩共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ナイロン12およびそのブロック共重合体、ポリカプロラクトン、ポリオキシメチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリウレタン、レーヨン・トリアセテート、セルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、セロハン、硝酸セルロース、プロピオニルセルロース、セルロース・エーテル、カルボキシメチルセルロース、キチン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリエチレンオキシド、ポリ乳酸−ポリエチレンオキシド共重合体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン・グリコール、グリセロール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、有機酸、有機酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。なお、添加剤は、必ずしも設けられなくてもよい。
添加剤は、薬剤に対して少量であることが好ましく、マトリクスを形成しないことが好ましい。また、添加剤は、ミセル、リポソーム、造影剤、乳化剤、界面活性剤を含まないことが好ましいが、含まれてもよい。また、添加剤は、ポリマーを含まず低分子の化合物のみを含むことが好ましい。
揮発性溶媒は、特に限定されないが、メタノール、エタノール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、アセトン等の揮発性有機溶媒を少なくとも1種類を含むことが好ましい。また、揮発性有機溶媒に水等が混合されてもよい。
次に、上述したコーティング装置50を用いて、バルーン30の表面に薬剤を含むコーティング層32を形成するバルーンコーティング方法を説明する。
初めに、バルーンカテーテル10の第1開口部41から拡張用の流体をバルーン30内に供給し、バルーン30を拡張させた状態で第1開口部41にキャップ63を被せて密封し、バルーン30を拡張させた状態で維持する。次に、バルーンカテーテル10を回転移動機構60に設置する。このとき、滴下ノズル72が位置する滴下直交面S3が、バルーン30よりも先端側(図1の紙面右側)に位置している。この後、回転移動機構60によりバルーンカテーテル10を回転させるとともに、図3,4に示すように、滴下位置移動機構75および回収位置移動機構82を作動させて、回収面87とバルーン30の間の間隙B、および回収面87と滴下直交面S3の間の距離L4を一定に保ちつつ、滴下ノズル72および回収部材81を基端方向へ徐々に移動させる(回転移動工程)。そして、滴下機構70の送液量調節部74により送液量を調節しつつコーティング液Rを滴下ノズル72へ供給し、コーティング液Rをバルーン30へ向かって滴下させる(滴下工程)。
滴下ノズル72から滴下されたコーティング液Rは、液滴となって落下し、バルーン30の外表面に到達する。このとき、滴下線Dが鉛直面S1から離れており、かつバルーン30が傾斜角αで傾いているため、液滴となったコーティング液Rが接するバルーン30の外表面が、水平面に対して傾斜することになる。このため、バルーン30の外表面に到達した液滴は、バルーン30の外表面の広い範囲に広がりつつ塗布される。そして、バルーン30の真上部Uよりも、バルーン30の回転方向の上流側にコーティング液Rが滴下されるため、バルーン30に塗布されたコーティング液Rは、バルーン30の回転によって上昇するように真上部Uを通過した後、下降するように回収部材81へ向かうことになる。このため、コーティング液Rがバルーン30の上方に位置する時間が長くなり、重力によりコーティング液Rがバルーン30の外表面の広い範囲に均一に広がりやすい。
この後、さらにバルーン30が回転すると、バルーン30に塗布されたコーティング液Rは、回収部材81の回収面87に接触する。これにより、バルーン30の外表面上の、表面張力では保持しきれない余剰なコーティング液Rが、回収面87側に移動して回収される。このとき、回収面87は、水平方向に対して傾斜して配置されているため、回収面87へ移動したコーティング液Rが回収面87を伝って下方へ移動し、受け部88によって回収チューブ84へ誘導される。また、回収面87の近位部87Aが、軸心Xを通る水平面よりも下方に位置しているため、バルーン30上のコーティング液Rが、重力によって回収面87へ効率よく導かれ、一旦回収面87に回収されたコーティング液Rが、バルーン30上へ戻ることが抑制される。回収チューブ84へ誘導されたコーティング液Rは、回収用容器83へ導かれて保管される。回収用容器83内のコーティング液Rは、ポンプ85によって容器71へ移送された後、滴下ノズル72へ搬送されてバルーン30上へ再び滴下される。
そして、回収面87が、滴下直交面S3から、バルーン30の傾斜が下がる側に距離L4の長さで離れて位置しているため、バルーン30のコーティング液Rが滴下された位置から、バルーン30の傾斜角度αによってバルーン30上をコーティング液Rが流れる方向に、回収面87が位置することになる。このため、回収面87によって、コーティング液Rを効率よく回収できる。
この後、回収部材81によって回収されずにバルーン30の外表面に維持されて残ったコーティング液Rに含まれる揮発性溶媒が揮発して、バルーン30の外表面に薬剤および添加物を含むコーティング層32が徐々に形成される(揮発工程)。揮発させる時間は、溶媒により適宜設定されるが、例えば、数秒〜十数秒程度が好ましい。
バルーン30の外表面にコーティングされる薬剤は、結晶型、非結晶質(アモルファス)型、およびそれらの混合型などの異なる形態型となり得る。薬剤が結晶型となる場合でも、結晶構造が異なる種々の形態型が存在する。さらに、結晶や非晶質は、コーティング層32において規則性を有するように配置されてもよいが、不規則に配置されてもよい。そして、このような薬剤の形態型は、揮発性溶媒を揮発させる時間の長短や雰囲気温度により設定できる。このため、バルーン30に塗布されるコーティング液Rの量を高精度に調節可能となれば、揮発時間を制御でき、コーティング層32に含まれる薬剤の形態型や大きさなどを、自在に調節可能となる。本実施形態では、回収部材81が、所定の条件(間隙Bおよび回収面傾角度β)で配置されることで、余剰なコーティング液Rを回収し、コーティング液Rを所望の量でバルーン30上に維持できるため、揮発時間を制御でき、コーティング層32の厚さ、薬剤の形態型や大きさなどを自在に調節することができる。
ところで、コーティング液Rの粘度が高いと、バルーン30に付着するコーティング液Rの膜厚が不均一となりやすいが、粘度を低くすると、コーティング液Rが、バルーン30上で流れやすくなる。本実施形態では、バルーン30上へ粘度の低いコーティング液Rを塗布した後、余剰のコーティング液Rを回収して望ましい量のコーティング液Rのみをバルーン30上に残すことができ、粘度が低くてもバルーン30上で流れない程度の膜厚としてコーティング液Rを被覆させて、揮発性溶媒を揮発させることができる。そして、一回転毎に繰り返しコーティング液Rを滴下させて塗布して、被覆させる厚さを徐々に増加させることで、コーティング層32の厚さを高精度に制御できる。
そして、バルーン30を回転させつつ、滴下ノズル72および回収部材81を基端方向へ徐々に移動させることで、バルーン30の外表面に、コーティング層32を徐々に形成する。バルーン30のコーティングする範囲の全体にコーティング層32が形成された後、回転移動機構60、送液量調節部74、滴下位置移動機構75、回収位置移動機構82、およびポンプ85を停止させる。
送液量調節部74によるコーティング液Rの供給速度は、例えば0.05〜5μL/秒であるが、これに限定されない。回転移動機構60による回転速度は、例えば20〜200prmであるが、これに限定されない。滴下位置移動機構75による滴下ノズル72の移動速度、および回収位置移動機構82による回収部材81の移動速度は、例えば0.1〜50mm/秒であるが、これに限定されない。送液量調節部74による供給速度、回転移動機構60による回転速度、滴下位置移動機構75による移動速度、および回収位置移動機構82による移動速度は、バルーン30の寸法やコーティング厚さ、コーティング液Rの物性等に応じて適宜設定可能である。バルーン30の外表面に形成されるコーティング層32の厚さは、例えば1〜50μmであるが、これに限定されない。
この後、バルーンカテーテル10をコーティング装置50から取り外して、バルーン30のコーティングが完了する。
以上のように、本実施形態に係るバルーンコーティング方法は、コーティング液Rを滴下させつつ、バルーン30を回転させてバルーン30の外表面にコーティング液Rを塗布し、回収部材81によってコーティング液Rを回収するため、余剰なコーティング液Rを回収して、コーティング液Rを所望の量でバルーン上に維持することができ、コーティング層32の厚さ、薬剤の形態型や大きさなどを自在に調節することができる。
また、回収部材81によってコーティング液Rを回収するため、仮に滴下ノズル72から滴下されるコーティング液Rの量が不規則となった場合であっても、それに合わせて余剰のコーティング液Rが回収され、バルーン30上に維持されるコーティング液Rを望ましい量とすることができる。
また、コーティング液Rをバルーン30の外表面に滴下により供給し、バルーン30と間隙Bを有する回収部材81によりコーティング液Rを回収するため、バルーン30の外表面に部材を接触させることなしにコーティング層32を形成でき、バルーン30の損傷を抑制して、バルーンカテーテル10の使用時における安全性を向上できる。
また、回収工程において、コーティング液Rを回収する位置を、バルーン30の軸心方向へ当該バルーン30に対して相対的に移動させるため、コーティング液Rを滴下させる位置の移動に合わせて回収位置を移動させて、最適な位置でコーティング液Rを回収することが可能となる。このため、コーティング液Rを所望の量でバルーン30上に維持しやすくなり、コーティング層32の厚さ、薬剤の形態型や大きさなどをより調節しやすくなる。
また、回転移動工程において、バルーン30の軸心Xを水平方向に対して傾斜させて当該バルーン30を回転運動させるため、バルーン30の外表面においてコーティング液Rの液滴が到達する位置が傾斜することになり、液滴がバルーン30の外表面の広い範囲に広がりつつ塗布され、より均一なコーティング層32を形成することができる。また、バルーン30上でコーティング液Rが流れる方向が予想しやすくなるため、コーティング液Rの回収が容易となる。
また、滴下工程において、コーティング液Rを、バルーン30の軸心Xを通る鉛直面S1から離れた位置に滴下するため、バルーン30の外表面において液滴が到達する位置が傾斜することになり、バルーン30の外表面の広い範囲に広がりつつ塗布され、より均一なコーティング層32を形成することができる。
また、回収工程において、バルーン30に滴下されたコーティング液Rを回収する位置が、バルーン30のコーティング液Rが滴下される位置に対して、バルーン30の軸心方向へ離れているため、コーティング液Rを滴下させる位置の移動や、バルーン30の傾斜角度α等によって生じるバルーン30上でのコーティング液Rの移動を考慮して回収位置を設定できる。このため、コーティング液Rを所望の量でバルーン30上に維持しやすくなり、コーティング層32の厚さ、薬剤の形態型や大きさなどをより調節しやすくなる。
また、回転移動工程において、バルーン30の軸心Xを水平方向に対して傾斜させて当該バルーン30を回転運動させ、回収工程において、コーティング液Rを回収する位置が、バルーン30のコーティング液Rが滴下される位置に対して当該バルーン30の傾斜が下がる側に位置するため、バルーン30の傾斜によって生じるバルーン30上でのコーティング液Rの重力方向への移動を考慮してコーティング液Rを回収できる。このため、コーティング液Rを所望の量でバルーン30上に維持しやすくなり、コーティング層32の厚さ、薬剤の形態型や大きさなどをより調節しやすくなる。
また、回収工程において回収されたコーティング液Rを、再びバルーン30へ滴下させるため、コーティング液Rを無駄なく利用でき、バルーンカテーテル10のコストを削減できる。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、滴下ノズル72および回収部材81をバルーン30に対して相対的に軸心方向へ移動させるために、滴下ノズル72および回収部材81を移動させるのではなしに、バルーン30を移動させてもよい。
また、本実施形態では、バルーン30の先端側から基端側へ向かってコーティング層32を形成しているが、基端側から先端側へ向かってコーティング層32を形成してもよい。
また、本実施形態では、バルーンカテーテル10の先端側が高くなるように傾斜角度αが設定されているが、バルーンカテーテル10の基端側が高くなるように傾斜角度αが設定されてもよい。または、バルーンカテーテル10は、傾斜しなくてもよい。
また、本実施形態では、回収部材81が、バルーン30の軸心方向へバルーン30に対して相対的に移動可能となっているが、移動可能でなくてもよい。この場合、回収部材81を、傾斜角度αで傾斜するバルーン30の傾斜が下がる側の端部に位置させることで、バルーン30の傾斜に沿ってバルーン30の外表面を伝って流れるコーティング液Rを、回収部材81によって回収することができる。または、バルーン30の軸心方向の長さ全体にわたって、軸心方向へ長い回収部材を設けてもよい。また、バルーン30上の余剰なコーティング液Rは、必ずしも回収部材のみによって回収されなくてもよく、例えばコーティング液Rの一部が、バルーン30の外表面から垂れるように取り除かれてもよい。
10 バルーンカテーテル、
30 バルーン、
32 コーティング層、
50 コーティング装置、
60 回転移動機構、
72 滴下ノズル(滴下部)、
74 送液量調節部、
75 滴下位置移動機構、
81 回収部材(回収部)、
S1 鉛直面、
S2 滴下面、
S3 滴下直交面、
α 傾斜角度。

Claims (14)

  1. バルーンカテーテルのバルーンの外表面にコーティング層を形成するバルーンコーティング方法であって、
    水不溶性薬剤を溶解させた揮発性溶媒を含むコーティング液を前記バルーンの少なくとも一部に滴下させる滴下工程と、
    前記バルーンの少なくとも一部に前記コーティング液を滴下させた状態で当該バルーンを、軸心を中心に回転運動させつつ、当該バルーンに対して前記コーティング液を滴下させる位置を前記バルーンの軸心方向へ移動させる回転移動工程と、
    前記バルーンの外表面に滴下されたコーティング液の一部を、前記バルーンから間隙を有して位置する回収部の回収面に接触させて回収する回収工程と、を有し、
    前記回収面は、前記バルーンの外表面に最も近接する位置よりも前記バルーンの回転方向側の位置から逆回転方向側の位置まで連続して滑らかに形成されているバルーンコーティング方法。
  2. 前記回収工程において、前記コーティング液を回収する位置を、前記バルーンの軸心方向へ当該バルーンに対して相対的に移動させる請求項1に記載のバルーンコーティング方法。
  3. 前記回転移動工程において、前記バルーンの軸心を水平方向に対して傾斜させて当該バルーンを回転運動させる請求項1または2に記載のバルーンコーティング方法。
  4. 前記滴下工程において、前記コーティング液を、前記バルーンの軸心を通る鉛直面から離れた位置に滴下する請求項1〜3のいずれか1項に記載のバルーンコーティング方法。
  5. 前記回収工程において、前記バルーンに滴下されたコーティング液を回収する位置が、前記バルーンの前記コーティング液が滴下される位置に対して、前記バルーンの軸心方向へ離れている請求項1〜4のいずれか1項に記載のバルーンコーティング方法。
  6. 前記回転移動工程において、前記バルーンの軸心を水平方向に対して傾斜させて当該バルーンを回転運動させ、
    前記回収工程において前記コーティング液を回収する位置を、前記バルーンの前記コーティング液が滴下される位置に対して当該バルーンの傾斜が下がる側に位置させる請求項5に記載のバルーンコーティング方法。
  7. 前記回収工程において回収されたコーティング液を、再び前記バルーンへ滴下させる請求項1〜6のいずれか1項に記載のバルーンコーティング方法。
  8. バルーンカテーテルのバルーンの外表面にコーティング層を形成するバルーンコーティング装置であって、
    前記バルーンを当該バルーンの軸心を中心として回転させる回転移動機構と、
    前記バルーンに対する前記コーティング液を滴下させる位置を、前記バルーンの軸心方向へ当該バルーンに対して相対的に移動させる滴下位置移動機構と、
    水不溶性薬剤を溶解させた揮発性溶媒を含むコーティング液を前記バルーンの少なくとも一部に滴下させる滴下部と、
    前記バルーンの外表面と間隙を有して隣接し、前記バルーンの外表面に滴下されたコーティング液と接触して当該コーティング液の一部を回収する回収部の回収面と、を有し、
    前記回収面は、前記バルーンの外表面に最も近接する位置よりも前記バルーンの回転方向側の位置から逆回転方向側の位置まで連続して滑らかに形成されているバルーンコーティング装置。
  9. 前記回収部を、前記バルーンの軸心方向へ当該バルーンに対して相対的に移動させる回収位置移動機構を有する請求項8に記載のバルーンコーティング装置。
  10. 前記回転移動機構は、前記バルーンの軸心を水平方向に対して傾斜させて当該バルーンを回転運動させる請求項8または9に記載のバルーンコーティング装置。
  11. 前記滴下部は、前記コーティング液を、前記バルーンの軸心を通る鉛直面から離れた位置に滴下する請求項8〜10のいずれか1項に記載のバルーンコーティング装置。
  12. 前記滴下部により前記コーティング液が滴下される位置と、前記回収部によって前記コーティング液を回収する位置が、前記バルーンの軸心方向へ離れている請求項8〜11のいずれか1項に記載のバルーンコーティング装置。
  13. 前記回転移動機構は、前記バルーンの軸心を水平方向に対して傾斜させて当該バルーンを回転運動させ、
    前記回収部によって前記コーティング液を回収する位置は、前記滴下部により前記コーティング液が滴下される位置に対して前記バルーンの傾斜が下がる側に位置する請求項12に記載のバルーンコーティング装置。
  14. 前記回収部により回収された前記コーティング液を、再び前記滴下部へ供給可能である請求項8〜13のいずれか1項に記載のバルーンコーティング装置。
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