JP2018053180A - ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルム及びこれを用いた多層フィルム - Google Patents

ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルム及びこれを用いた多層フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】ポリプロピレン系のレトルト用フィルムにおける耐衝撃性向上と白化抑制を兼備するポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムと多層フィルムを提供する。【解決手段】プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)78〜96重量%、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)2〜10重量%、直鎖状低密度ポリエチレン(C)2〜12重量%を含有し、同(A)は、プロピレン系重合体成分とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分とからなり、プロピレン系重合体成分のエチレン含有量は0〜2重量%、メルトフローレート0.5〜10.0g/10minであり、同(B)は、密度0.860〜0.895g/cm3、メルトフローレート0.5〜10.0g/10minであり、同(C)は、密度0.895〜0.920g/cm3、メルトフローレート0.5〜20.0g/10minであり、メタロセン触媒の重合物とする。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルム及びこれを用いた多層フィルムに関し、特に、高温レトルト殺菌に対応するシーラントフィルムと多層フィルムに関する。
現在、レトルト用フィルムから製袋された包装材が広く食品の包装に使用されている。これらの包装材は、食品の加熱殺菌とともにその後の保管、物流にも使用される。使用後にはフィルム状の包装材のみとなるため、缶や瓶の包装材と比べても廃棄や処分は容易である。
このようなレトルト用包装材については物流の便宜から流通時の破損防止への要望が高まっている。加えて、対象商品の拡大に伴う包装容量の大型化の要望から、耐衝撃性の向上がいっそう求められている。ただし、レトルト用包装材の耐衝撃性を高めるため、同包装材の構成樹脂として使用されているプロピレン−エチレンブロック共重合体を最適化した場合、レトルト殺菌処理後に白化しやすくなることが指摘されている。そこで、耐衝撃性の向上に対処するべく、各種のレトルト用包装材が提案されている(特許文献1ないし5等参照)。
特許文献1は、シングルサイト触媒(メタロセン触媒)により重合されたエチレンまたはエチレン−αオレフィン共重合体フィルムを最内層とするレトルト用包装材である。特許文献1のレトルト用包装材において、主原料がポリエチレン系樹脂の場合、耐熱性が不足するため、120ないし135℃の高温殺菌に供することはできない。特許文献2及び3は、ともにプロピレン−エチレンブロック共重合体からなるフィルムを提案している。当該文献の樹脂フィルムについては、さらなる耐衝撃性が求められている。特許文献4及び5は、プロピレン−エチレンブロック共重合体に高密度ポリエチレンを添加してなるフィルムを提案している。当該文献の樹脂フィルムについては、耐衝撃性と折り曲げ時の白化抑制を満足させるには至らなかった。
一連の経緯から、レトルト用包装材を構成する樹脂フィルムの改良に際し、耐衝撃性の向上とともに白化抑制の特徴を備えるべく、新たな樹脂成分の選択及び配合を鋭意検討した結果、望ましい特性を備えたレトルト用包装材のフィルムを得るに至った。
特開平7−266520号公報 特開昭59−115312号公報 特開2009−173881号公報 特開2012−172124号公報 特開2005−178216号公報
本発明は、上記状況に鑑み提案されたものであり、ポリプロピレン系のレトルト用包装材のフィルムにおける耐衝撃性の向上と白化抑制の両方の特性を兼備する新たなポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルム、及びこれを用いた多層フィルムを提供する。
すなわち、請求項1の発明は、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)を78〜96重量%と、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)を2〜10重量%と、直鎖状低密度ポリエチレン(C)を2〜12重量%と、を含有してなるポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムであり、各樹脂(A)、(B)、及び(C)について次の関係を充足することを特徴とするポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムに係る。
前記プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)は、プロピレン系重合体成分(Ax)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)とからなる組成物であり、(a1):前記プロピレン系重合体成分(Ax)はエチレン含有量が0〜2重量%のプロピレン単独重合体またはプロピレン−エチレンランダム共重合体であり、(a2):前記プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)のメルトフローレート(MFR(A))(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜10.0g/10minであり、(a3):前記プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)におけるエチレン含有量が40〜60重量%であり、(a4):前記プロピレン系重合体成分(Ax)のメルトフローレート(MFR(Ax))と、前記プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)のメルトフローレート(MFR(A))(230℃、2.16kg荷重)との比が、「MFR(Ax)/MFR(A)=2.0〜4.5である。」とする、前記(a1)ないし(a4)の関係を満たす。
前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)は、(b1):前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)の密度が0.860〜0.895g/cm3であり、(b2):前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)のメルトフローレート(MFR(B))(190℃、2.16kg荷重)が0.5〜10.0g/10minであり、(b3):前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)が、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとのランダム共重合体であるとする、前記(b1)ないし(b3)の関係を満たす。
前記直鎖状低密度ポリエチレン(C)は、(c1):前記直鎖状低密度ポリエチレン(C)の密度が0.895〜0.920g/cm3であり、(c2):前記直鎖状低密度ポリエチレン(C)のメルトフローレート(MFR(C))(190℃、2.16kg荷重)が0.5〜20.0g/10minであり、(c3):前記直鎖状低密度ポリエチレン(C)がエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体であり、(c4):前記直鎖状低密度ポリエチレン(C)がメタロセン触媒の重合物であるとする、前記(c1)ないし(c4)の関係を満たす。
請求項2の発明は、請求項1に記載のポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルム(F1)と、プロピレン単独重合体またはプロピレン−エチレン共重合体のフィルム(F2)とを備えてなることを特徴とする多層フィルムに係る。
請求項1の発明に係るポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムによると、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)を78〜96重量%と、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)を2〜10重量%と、直鎖状低密度ポリエチレン(C)を2〜12重量%と、を含有してなり、各樹脂(A)、(B)、及び(C)について前述の関係を充足するため、ポリプロピレン系のレトルト用包装材のフィルムにおける耐衝撃性の向上と白化抑制の両方の特性を兼備する新たなポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムを得ることができる。
請求項2の発明に係る多層フィルムによると、請求項1に記載のポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムと、プロピレン単独重合体またはプロピレン−エチレン共重合体のフィルムとを備えてなるため、出来上がるフィルムの目的に応じた機能の付与が可能となる。
本発明のポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムの概略断面模式図である。 本発明の多層フィルムの概略断面模式図である。 ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムに含まれる樹脂配合割合の三角図である。
本発明のポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムは、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)と、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)と、直鎖状低密度ポリエチレン(C)の3種類の樹脂を組成樹脂として含有してなる。当該3種類の樹脂(A)、(B)、及び(C)は、溶融混練後、Tダイ等から吐出され製膜される。製膜の条件は、主に無延伸であり、必要により延伸してもよい。こうして、図1のポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムF1が製造される。なお、後に詳述するが、他の樹脂とともに共押出しによる多層フィルム20または25としても製膜される(図2参照)。これよりポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムに使用される各樹脂(A)、(B)、及び(C)について順に説明する。
[1.プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)]
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)は、プロピレン系重合体成分(Ax)と、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)とからなる組成物である。本発明に用いるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とそれを構成するプロピレン系重合体成分(Ax)及びプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)について、その製造方法は限定されない。以下の原料、重合方法によって好ましく製造することが出来る。また、プロピレン系重合体成分(Ax)及びプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)の混合についても、どのような方法で混合してもよい。本発明に用いるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の好ましい実施態様は、多段重合法の製造方法により得られる多段重合体であるプロピレン−エチレンブロック共重合体である。
〔使用原料〕
本発明に用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)を製造するに際し使用される触媒として、マグネシウム、ハロゲン、チタン、電子供与体を触媒成分とするマグネシウム担持型触媒、三塩化チタンを触媒とする固体触媒成分と有機アルミニウムからなる触媒、またはメタロセン触媒が使用される。具体的な触媒の製造法は特に限定されず、一例として特開2007−254671号公報に開示のチーグラー触媒が例示される。また、重合される原料オレフィンは、プロピレン、エチレンであり、必要により、本発明の目的を損なわない程度の他のオレフィン、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−ペンテン−1等が使用される。
〔重合工程〕
前記の触媒の存在下にて行われる重合工程は2段階からなる。はじめに、プロピレン系重合体成分(Ax)、つまりポリプロピレンを製造する重合工程(i)である。次に重合工程(i)より得られたプロピレン系重合体成分(Ax)の存在下、プロピレンとエチレンを共重合させる重合工程(ii)である。重合工程(ii)では、エチレンはプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)におけるエチレン含有量が40〜60重量%の割合となるようにプロピレンと共重合される。
{重合工程(i)}
重合工程(i)では、プロピレン単独、もしくはプロピレン及びエチレンの混合物は、前記の触媒を加えた重合系に供給され、エチレン含有量が2重量%以下(0ないし2重量%の範囲)であるプロピレン系単独重合体またはプロピレン−エチレンランダム共重合体が製造される。重合工程(i)では、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の全重合体量の好ましくは60ないし95重量%に相当する量となるプロピレン系重合体(Ax)が形成される。
プロピレン系重合体成分(Ax)のメルトフローレート「MFR(Ax)」は水素を連鎖移動剤として用いることにより調整される。具体的には、連鎖移動剤である水素の濃度を高くするとプロピレン系重合体成分(Ax)のMFR(Ax)は高くなる。逆に水素の濃度を低くすると、同MFR(Ax)は低くなる。重合槽における水素の濃度を高くするには、重合槽への水素の供給量を高くすればよく調整は容易である。また、プロピレン系重合体(Ax)がプロピレン−エチレンランダム共重合体である場合、エチレン含有量を制御する手段として、重合槽に供給するエチレンの量を制御する方法が簡便である。メルトフローレート(MFR)の測定は、JIS K 7210−1(2014)またはISO 1133−1(2011)の規格に準拠する(後記実施例同様)。
具体的には、重合槽に供給するエチレンのプロピレンに対する量比(エチレン供給量÷プロピレン供給量)を高くすれば、得られるプロピレン系重合体成分(Ax)のエチレン含有量は高くなる。逆に供給するエチレンのプロピレンに対する量比を低くするとプロピレン系重合体成分(Ax)のエチレン含有量は低くなる。重合槽に供給するプロピレンとエチレンの量比と、得られるプロピレン系重合体成分(Ax)のエチレン含有量との関係は、使用する触媒の種類によって異なる。しかしながら、適宜供給量比を調整することによって目的のエチレン含有量を有するプロピレン系重合体成分(Ax)は容易に得ることができる。
{重合工程(ii)}
重合工程(ii)では、重合工程(i)に引き続きプロピレンとエチレンの混合物がさらに導入され、エチレン含有量を40〜60重量%とするプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)が得られる工程である。重合工程(ii)では、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の全重合体量の好ましくは5ないし40重量%に相当する量のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)が形成される。
プロピレン−エチレンランダム共重合体(Ay)のメルトフローレート「MFR(Ay)」は水素を連鎖移動剤として用い調整される。具体的な制御方法は、前述のプロピレン系重合体(Ax)のメルトフローレートの制御方法と同様である。プロピレン−エチレンランダム共重合体(Ay)のエチレン含有量を制御する手段として、重合槽に供給するエチレンの量を制御する方法が簡便である。具体的な制御方法は、プロピレン系重合体(Ax)がプロピレン−エチレンランダム共重合体である場合と同様である。
次に、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)におけるインデックス(指標)の制御方法について説明する。本発明に用いるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)はプロピレン系重合体成分(Ax)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)とからなる。従って、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)のインデックスを制御する上で考慮すべき項目は、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)のエチレン含有量「E(A)」、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)のメルトフローレート「MFR(A)」、プロピレン系重合体成分(Ax)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)の「重量比」の3つである。
まず、プロピレン系重合体成分(Ax)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)の重量比の制御方法から説明する。プロピレン系重合体成分(Ax)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)の重量比は、プロピレン系重合体成分(Ax)を製造する重合工程(i)における製造量とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)を製造する重合工程(ii)における製造量によって制御される。
例えば、プロピレン系重合体成分(Ax)の量を増やしてプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)の量を減らすためには、重合工程(i)の製造量を維持したまま重合工程(ii)の製造量を減らせばよい。それには、重合工程(ii)の滞留時間を短くしたり、重合温度を下げたりすればよい。また、エタノールや酸素などの重合抑制剤を添加したり、元々添加している場合にはその添加量を増やしたりして制御することができる。むろん、その逆もまた同様である。
通常、プロピレン系重合体成分(Ax)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)の重量比は、プロピレン系重合体成分(Ax)を製造する重合工程(i)における製造量とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)を製造する重合工程(ii)における製造量により定義される。式を以下に示す。
成分(Ax)の重量:成分(Ay)の重量=W(Ax):W(Ay)
W(Ax)=重合工程(i)の製造量÷{重合工程(i)の製造量+重合工程(ii)の製造量}
W(Ay)=重合工程(ii)の製造量÷{重合工程(i)の製造量+重合工程(ii)の製造量}
W(Ax)+W(Ay)=1
ここで、W(Ax)、W(Ay)は、それぞれプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)におけるプロピレン系重合体成分(Ax)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)の重量比率である。
工業的な製造設備では、通常、各重合槽のヒートバランスやマテリアルバランスから製造量は求められる。また、プロピレン系重合体成分(Ax)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)の結晶性が充分異なる場合には、TREF(温度昇温溶離分別法)等の分析手法を用いて両者を分離同定し量比を求めてもよい。
ポリプロピレンの結晶性分布をTREF測定により評価する手法については、G.Glokner,J.Appl.Polym.Sci:Appl.Poly.Symp.;45,1−24(1990)、L.Wild,Adv.Polym.Sci.;98,1−47(1990)、J.B.P.Soares,A.E.Hamielec,Polymer;36,8,1639−1654(1995)等の文献にて詳細な測定法が示されている。
次に、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)のエチレン含有量「E(A)」の制御方法について説明する。プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)は、プロピレン系重合体成分(Ax)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)の混合物である。そこで、それぞれのエチレン含有量の間には以下の関係式が成立する。
E(A)={E(Ax)×W(Ax)}+{E(Ay)×W(Ay)}
ここで、E(A)、E(Ax)、E(Ay)は、順にプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)、プロピレン系重合体成分(Ax)、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)のエチレン含有量である。この式はエチレン含有量に関するマテリアルバランスを示す。
従って、プロピレン系重合体成分(Ax)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)の重量比、すなわち、W(Ax)とW(Ay)が決まれば、E(A)はE(Ax)とE(Ay)によって定められる。つまり、プロピレン系重合体成分(Ax)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)の重量比、E(Ax)、E(Ay)の3つの因子を制御することによりE(A)は制御される。例えば、E(A)を高くするためにはE(Ax)を高くしてもよく、E(Ay)を高くしてもよい。また、E(Ay)がE(Ax)よりも高いことに留意すれば、W(Ax)を小さくしてW(Ay)を大きくしてもよい。逆の制御方法も同様である。
なお、実際に測定値を直接得られるのはE(A)とE(Ax)であり、両者の測定値を使ってE(Ay)は計算される。従って、仮にE(A)を高くする操作を行う際に、E(Ax)を高くする操作、すなわち、重合工程(ii)に供給するエチレンの量を増やす操作を手段として選ぶ場合、測定値として直接確認できるのはE(A)であってE(Ay)ではない。しかし、E(A)が高くなる原因はE(Ay)が高くなることは自明である。
最後に、MFR(A)の制御方法について説明する。本願においては、MFR(Ay)を以下の式で定義することにする。
MFR(Ay)=exp〔loge[MFR(A)]−{W(Ax)×loge[MFR(Ax)]÷W(Ay)}〕
ここで、logeはeを底とする対数である(lnとも記される。)。MFR(A)、MFR(Ax)、MFR(Ay)はそれぞれ、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)、プロピレン系重合体成分(Ax)、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)のMFR(メルトフローレート)である。
この式は一般に粘度の対数加成則と呼ばれる次の経験式
loge[MFR(A)]=W(Ax)×loge[MFR(Ax)]+W(Ay)×loge[MFR(Ay)]
を変形したものであり、当業界で日常的に使われる式である。
この式で定義するため、プロピレン系重合体成分(Ax)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)の重量比、MFR(A)、MFR(Ax)、MFR(Ay)は独立ではない。ゆえに、MFR(A)を制御するには、プロピレン系重合体成分(Ax)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)の重量比、MFR(Ax)、MFR(Ay)の3つの因子を制御すればよい。例えば、MFR(A)を高くするためにはMFR(Ax)を高くしてもよく、MFR(Ay)を高くしてもよい。また、MFR(Ay)がMFR(Ax)より低い場合には、W(Ax)を大きくしてW(Ay)を小さくしてもMFR(A)を高くすることができる。逆の制御方法も同様である。
なお、実際に測定値を直接得られるのはMFR(A)とMFR(Ax)であり、両者の測定値を使ってMFR(Ay)は計算から求められる。従って、仮にMFR(A)を高くする操作を行うに際し、MFR(Ay)を高くする操作、すなわち、重合工程(ii)に供給する水素の量を増やす操作を手段として選ぶ場合、測定値として直接確認できるのはMFR(A)であってMFR(Ay)ではない。しかしながら、MFR(A)が高くなる原因はMFR(Ay)が高くなるためである。
プロピレン−エチレンブロック共重合体の重合プロセスは、回分式、連続式のいずれの方法によっても実施可能である。この際に、ヘキサン、ヘプタンなどの不活性炭化水素溶媒中で重合を行う方法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として使用する方法、実質的に液体溶媒を用いずにガス状の単量体中で重合を行う方法、さらに、これらを組み合わせた方法を採用することができる。また、重合工程(i)と重合工程(ii)は同一の重合槽を用いても、別個の重合槽を用いてもよい。
{共重合体中のエチレン含有量の測定}
プロピレン−エチレン系樹脂組成物として多段重合法により得られるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)を用い、この共重合体中の各エチレン含有量を測定した。すなわち、第1重合工程終了時に得られたプロピレン系重合体(Ax)及び第2重合工程を経て得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体(Ay)における各々のエチレン含有量は、プロトン完全デカップリング法により以下の条件に従って測定した13C−NMRスペクトルを解析することにより求めた。
機種:日本電子(株)製,GSX−400または同等の装置(炭素核共鳴周波数100MHz以上)
溶媒:o−ジクロロベンゼン+重ベンゼン(4:1(体積比))
濃度:100mg/mL
温度:130℃
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
積算回数:5000回以上
スペクトルの帰属は、例えば、Macromolecules 17,1950(1984)等を参考に行えばよい。上記条件により測定されたスペクトルの帰属は下表の通りである。表1中Sαα等の記号はCarmanら(Macromolecules 10,536(1977))の表記法に従い、Pはメチル炭素、Sはメチレン炭素、Tはメチン炭素をそれぞれ表わす。
Figure 2018053180
以下、「P」を共重合体連鎖中のプロピレン単位、「E」をエチレン単位とすると、連鎖中にはPPP、PPE、EPE、PEP、PEE、及びEEEの6種類のトリアッドが存在し得る。Macromolecules 15,1150(1982)等に記されているように、これらトリアッドの濃度と、スペクトルのピーク強度とは、以下の(1)ないし(6)の関係式で結び付けられる。
[PPP]=k×I(Tββ)…(1)
[PPE]=k×I(Tβδ)…(2)
[EPE]=k×I(Tδδ)…(3)
[PEP]=k×I(Sββ)…(4)
[PEE]=k×I(Sβδ)…(5)
[EEE]=k×{I(Sδδ)/2+I(Sγδ)/4}…(6)
ここで[□□□](かぎ付きかっこ)はトリアッドの分率を示し、例えば[PPP]は全トリアッド中のPPPトリアッドの分率である。
従って、
[PPP]+[PPE]+[EPE]+[PEP]+[PEE]+[EEE]
=1…(7)
である。また、kは定数であり、Iはスペクトル強度を示し、例えば、I(Tββ)は、Tββに帰属される28.7ppmのピークの強度を意味する。上記(1)ないし(7)の関係式を用いることにより、各トリアッドの分率が求まり、さらに下式によりエチレン含有量が求まる。
エチレン含有量(モル%)=([PEP]+[PEE]+[EEE])×100
なお、エチレン含有量のモル%から重量%への換算は以下の式を用いて行う。
エチレン含有量(重量%)=(28×X/100)/{28×X/100
+42×(1−X/100)}×100
ここで、Xはモル%表示でのエチレン含有量である。
これまで詳述したプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)は、(a1)ないし(a4)の4つに規定される関係を満たす樹脂成分である。
(a1)として、プロピレン系重合体成分(Ax)は、エチレン含有量を0〜2重量%とするプロピレン単独重合体またはプロピレン−エチレンランダム共重合体である。エチレン含有量(エチレンコンテント)については、後記の実施例にて示すとおり、13C−NMRの測定から算出される。エチレン含有量が0重量%とは、全量がポリプロピレンを意味する。エチレン含有量が2重量%を上回る場合、ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルム10の耐熱性は低下しやすくなる。その結果、レトルト殺菌時の融着を生じさせるおそれがある。そこで、(a1)のとおり、プロピレン系重合体成分(Ax)のエチレン含有量は規定される。
(a2)として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)のメルトフローレート「MFR(A)」(230℃、2.16kg荷重)は、0.5ないし10.0g/10minに規定される。当該メルトフローレート(MFR(A))が0.5g/10minを下回る場合、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)中の高分子量成分が多くなる。逆に、当該メルトフローレート(MFR(A))が10.0g/10minを上回る場合、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)中の高分子量成分が少なくなる。そこで、フィルムの成形性の良否とフィルムの強度(耐破袋性能)の良否の双方が加味され、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)中の高分子量成分の均衡から、(a2)のメルトフローレートの範囲が好ましいといえる。
(a3)として、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)におけるエチレン含有量は40ないし60重量%である。プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)のエチレン含有量が40%を下回る場合、プロピレン系重合体成分(Ax)との相溶性は向上する。また、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)のエチレン含有量が60%を上回る場合、プロピレン系重合体成分(Ax)との相溶性は低下する。そこで、フィルムの強度(耐破袋性能)が勘案されて、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)における好ましいエチレン含有量は(a3)の範囲となる。
(a4)として、プロピレン系重合体成分(Ax)のメルトフローレート(MFR(Ax))と、前記プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)のメルトフローレート(MFR(A))(230℃、2.16kg荷重)との比「MFR(Ax)/MFR(A)」(すなわち、「RMFR」)は、2.0ないし4.5の範囲である。つまり、「2.0≦{MFR(Ax)/MFR(A)}≦4.5」である。両メルトフローレートの比(RMFR)が2.0を下回る場合、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)の分子量は相対的に低下する。また、両メルトフローレートの比(RMFR)が4.5を上回る場合、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)の分子量は相対的に上昇する。そこで、フィルムの強度(耐破袋性能)が勘案されて、両メルトフローレートの好ましい比は(a4)の範囲となる。
[2.エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)]
本発明のポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルム10の組成樹脂であるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)は、低結晶性ないし非晶性の共重合体エラストマーであり、エチレンと共重合モノマーのαオレフィンとの共重合体である。エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)は、主に当該シーラントフィルム10の耐衝撃性を向上させる成分となる。そこで、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)は、次の(b1)ないし(b3)の3つに規定される関係を満たす樹脂成分である。
(b1)として、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)の密度は、0.860ないし0.895g/cm3である。当該樹脂(B)の密度が0.860g/cm3を下回る場合、樹脂の融点は低下しやすくなる。つまり、レトルト加熱時の熱融着のおそれがある。また、同密度が0.895g/cm3を上回る場合、フィルムの耐衝撃性が低下しがちとなる。そこで、双方の均衡を図る点が重視され、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)の密度は(b1)の範囲に規定される。
(b2)として、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)のメルトフローレート「MFR(B)」(190℃、2.16kg荷重)は、0.5ないし10.0g/10minである。当該樹脂(B)のメルトフローレート(MFR(B))が0.5g/minを下回る場合、高分子量成分が多くなる。逆に、当該メルトフローレート(MFR(B))が10.0g/10minを上回る場合、高分子量成分が少なくなる。そこで、フィルムの成形性の良否とレトルト加熱時の熱融着への耐性が加味され、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)の好ましいメルトフローレート(MFR(B))は(b2)の範囲となる。
(b3)として、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)は、エチレンと炭素数3ないし8のα−オレフィンとのランダム共重合体である。具体的なα−オレフィンとして、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等が例示される。炭素数3未満ではコモノマーとして存在せず、当該樹脂(B)は成り立たない。また、炭素数8を超過する場合、コモノマー部分の影響から、他のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)、直鎖状低密度ポリエチレン(C)との相溶性が低下する。そこで、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)は(b3)の条件となる。
[3.直鎖状低密度ポリエチレン(C)]
本発明のポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルム10の組成樹脂である直鎖状低密度ポリエチレン(C)は、一般にLLDPEと称される。直鎖状低密度ポリエチレン(C)は、主に当該シーラントフィルム10の白化を抑制する成分となる。そこで、直鎖状低密度ポリエチレン(C)は、次の(c1)ないし(c4)の4つに規定される関係を満たす樹脂成分である。
(c1)として、直鎖状低密度ポリエチレン(C)の密度は、0.895ないし0.920g/cm3である。当該樹脂(C)の密度が0.895g/cm3を下回る場合、低融点成分の増加に伴い樹脂の融点は低下しやすくなる。つまり、レトルト加熱時の熱融着のおそれがある。また、同密度が0.920g/cm3を上回る場合、他のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)との相溶性が低下する。そこで、双方の均衡を図る点から、直鎖状低密度ポリエチレン(C)の密度は(c1)の範囲に規定される。
(c2)として、直鎖状低密度ポリエチレン(C)のメルトフローレート「MFR(C)」(190℃、2.16kg荷重)は、0.5ないし20.0g/10min、好ましくは3ないし7g/10minである。同樹脂(C)のメルトフローレートが0.5g/10minを下回る場合、他のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)と混合しにくくなりフィルムとしての成形性が悪化する。また、同メルトフローレートが20.0g/10minを上回る場合、低分子量成分が増加することにより、レトルト加熱時の熱融着のおそれが高まる。そこで、フィルムの製造と性能確保から直鎖状低密度ポリエチレン(C)のメルトフローレートは(c2)の範囲に規定される。
(c3)として、直鎖状低密度ポリエチレン(C)はエチレンと炭素数3ないし8のα−オレフィンとのランダム共重合体である。具体的なα−オレフィンとして、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等が例示される。炭素数3未満ではコモノマーとして存在せず、当該樹脂(C)は成り立たない。また、炭素数8を超過する場合、コモノマー部分の影響から、他のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)との相溶性が低下する。そこで、直鎖状低密度ポリエチレン(C)は(c3)の条件となる。なお、直鎖状低密度ポリエチレン(C)に含まれるコモノマーの炭素数が複数種類の場合もある。その場合は、各炭素数のいずれもが採用される。
(c4)として、直鎖状低密度ポリエチレン(C)はメタロセン触媒(カミンスキー触媒)の存在下にて重合される重合物である。一般に、メタロセン触媒による重合の場合、チーグラー触媒と比較して重合により生じる樹脂の分子量分布が狭い範囲にある。そのため、融点等の物性は相対的に均質化しやすい。この点と後記の実施例による評価を加味して、直鎖状低密度ポリエチレン(C)はメタロセン触媒による重合物を採用することとした(c4)。
[重量比の関係]
これまで説明してきたプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)、及び直鎖状低密度ポリエチレン(C)の3種類の樹脂から、ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルム10を形成するに際し、各樹脂を配合するための好適な重量比が存在する。具体的には、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)は78ないし96重量%であり、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)は2ないし10重量%であり、直鎖状低密度ポリエチレン(C)は2ないし12重量%の範囲である。
ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルム10の大半を占めるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)が78重量%を下回る場合、相対的に他成分(B)及び(C)の量が増すため、レトルト加熱時の熱融着が生じやすくなる。同樹脂(A)が96重量%を上回る場合、他成分(B)及び(C)の量が減少して弾力性が低下しがちとなる。すなわち、衝撃吸収性能の低下となり破袋が生じやすくなる。そのため、樹脂(A)については、78ないし96重量%の範囲が好適である。
次に、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)が2重量%を下回る場合、フィルムの弾性低下から耐衝撃吸収成分が減少することになり、破袋が生じやすくなる。同樹脂(B)が10重量%を上回る場合、他の低融点成分が増大することになり、レトルト加熱時の熱融着が生じやすくなる。そこで、樹脂(B)については、2ないし10重量%の範囲が好適である。
直鎖状低密度ポリエチレン(C)が2重量%を下回る場合、レトルト殺菌処理後に白化が目立ち、外観不良となりやすい。同樹脂(C)が12重量%を上回る場合、同樹脂を含めて低融点成分が増加するため、レトルト加熱時の熱融着が生じやすくなる。そこで、樹脂(C)については、2ないし12重量%の範囲が好適である。
[多層フィルム]
一連の説明の樹脂成分から形成されるポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムは、そのフィルム単独としても成立する。その上でレトルト包装用の機能を勘案すると当該ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルム(プロピレン−エチレンブロック共重合体組成部)に、他のフィルム(樹脂組成部)が備えられる。他のフィルム(樹脂組成部)としては、プロピレン単独重合体またはプロピレン−エチレン共重合体のフィルムである。それらの樹脂は単独使用、または複数種を混合してもよい。さらに、エラストマーの成分を配合してもよい。他のフィルムの樹脂種は、前述のポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムの組成樹脂ほど厳密に限定されず、一般に入手可能な樹脂種から選択可能である。
そこで、図2の断面模式図に示す多層フィルム20,25のように、ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムF1(主材部)に他のフィルムF2(異樹脂部)が備えられる。図2上段の多層フィルム20では、ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムF1の片面側に他のフィルムF2が備えられる。図2下段の多層フィルム25では、ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムF1の両面側に他のフィルムF2が備えられる。フィルムF2の配置は目的等に応じて片面または両面で選択される。両フィルムF1及びF2を有する多層フィルムは、予め別々に形成されたフィルム同士の事後的な接合ではない。各樹脂原料の溶融後、Tダイ等からの吐出、流延時に溶融樹脂は合わさり樹脂間の相溶性を通じて一体化する。ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムF1に他のフィルムF2が備わることにより、当該フィルムF1の表面の強化や印刷性能の向上等の目的に応じた機能の付与が可能となる。
さらに、ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムF1(単独の場合)、多層フィルム20,25のいずれか一面もしくは両面に、必要により他のフィルム部材が積層される。そして、全体として一つの積層フィルム体(ラミネート体)が形成される(図示せず)。積層されるフィルム部材には、延伸ポリエステルフィルム(PETフィルム、PENフィルム等)、延伸ポリアミドフィルム、アルミニウムの薄膜等がある。積層数は1層ないし5層等の適宜である。後記の実施例においては、ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルム、多層フィルムのそれぞれに、延伸ポリアミドフィルム、延伸ポリエステルフィルム(PETフィルム)の2種類を積層(ラミネート)した。フィルム部材の積層に際し、ラミネート用の接着剤等が使用される。フィルム部材が積層されることにより、レトルト用フィルムの耐衝撃性、耐熱性、遮光性等の性能向上が見込まれる。
本発明のポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルム(プロピレン−エチレンブロック共重合体組成部)、他のフィルム(樹脂組成部)には、それぞれ通常のポリオレフィン系フィルム材料に使用される酸化防止剤、中和剤等、添加剤が必要により配合される。
酸化防止剤としては、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、またはトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジフォスフォナイト等のリン系酸化防止剤が例示される。
また、中和剤としては、ステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸の金属塩類やハイドロタルサイト類等が例示される。
これらの添加剤の配合量は、各層を形成する樹脂中に0.01ないし3重量%程度の配合が好ましい。また、これらの添加剤を配合する方法は特に限定されず、例えばヘンシェルミキサー(商品名)等の高速撹拌機つき混合機等を使用され、公知の方法により配合される。さらに、各層を構成する各種配合物を混合した後、単軸押出機または二軸押出機を用いてペレット化しても差し支えない。なお、これらの添加剤は、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の形成には必須の成分ではないため、各成分の重量比(重量%)の計算からは除外される。
以下の原料を使用するとともに表3ないし表8に記載の重量配合割合(重量%(wt%))に従い、実施例及び比較例のポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルム(実施例1ないし15、比較例1ないし10)、並びに多層フィルムを作製した(実施例16ないし18)。
[試験・測定方法]
(1.MFR[単位:g/10min])
MFRの測定は、JIS K 7210−1(2014)のA法に準拠した(各MFRの測定条件は後記の原料にて示す)。
(2.厚さ[単位:μm])
厚さの測定は、JIS K 7130(1999)に準拠した。
(3.ヘーズ[単位:%])
ヘーズの測定は、JIS K 7136(2000)に準拠した。
(4.引張特性)
引張降伏応力[単位:MPa]、引張破壊力[単位:MPa]、引張ひずみ[単位:%]、及び引張弾性率[単位:GPa]の測定は、JIS K 7161−1(2014)に準拠した。前記の4項目は、実施例及び比較例の各フィルムのMD(製膜方向,機械方向)とTD(幅方向)の両方の測定とした。各フィルムとも試験片(10mm×200mm)に切り出し、株式会社オリエンテック製,引張試験機(RTF−1310)を使用し、同試験機のチャック間距離を50mmとし、200mm/minの引張り速度にて測定した。
(5.ヒートシール開始温度[単位:℃])
ヒートシール開始温度の測定は、JIS Z 1713(2009)に準拠し、0.35MPa,1.0secの条件下にて実施した。各フィルム測定片(幅50mm、長さ250mm)の長手方向をフィルムの製膜方向(MD)とした。そして、2枚の試験片のヒートシール層同士を重ね、株式会社東洋精機製作所製,熱傾斜試験機(ヒートシール試験機)を使用し、ヒートシールした。ヒートシールにより融着した試験片を180°に開き、株式会社島津製作所製,引張試験機(EZ−SX)により未シール部分を引張した。そして、ヒートシール強度が3Nに到達した時点の温度を求めた。
(6.ダート衝撃強さ(0℃)[単位:J])
ダート衝撃強さの測定には、低温槽付ダートインパクトテスター(東洋精機製作所製)を使用し、貫通破壊に要した仕事量を測定した。すなわち、実施例及び比較例の測定対象のフィルムを固定装置により水平に固定して、質量を調節したダート(半球型の金属貫通部:直径25.4mm)を落下させてフィルムを破壊・貫通させた時のフィルム通過後におけるダートの通過速度(V1)と、フィルムが存在しない状態でダートを落下させた時のV1測定地点と、同地点におけるダートの通過速度(V0)とを測定し、下記の式(f)により測定対象のフィルムの破壊エネルギー(J)を求めた。なお、Mはダートの重さである。
Figure 2018053180
(7.全光線透過率[単位:%])
全光線透過率の測定は、JIS K 7361−1(1997)に準拠した。135℃、30分間のレトルト処理を行った測定対象のフィルムから、室温にて製膜方向(MD)45mmと直行方向(TD)100mmの試験片をチャック間30mm、引張速度200mm/minで150%のひずみを与え、1分間ホールドした。そして、ひずみ部分の全光線透過率を測定した。ひずみ付与には、引張試験機(株式会社島津製作所製,EZ−SX)を使用し、全光線透過率の測定には、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社,NDH5000)を使用した。
(8.ヒートシール強度[単位:N/15mm])
測定対象のフィルムから、サイズ200mm×140mmの3方袋を作成し、この中に蒸留水200mLを注入し、残りの開口部をインパルスシーラー(富士インパルス株式会社製,VG−400)により封止(1.0sec)して、サンプル袋とした。このサンプル袋を135℃、30分間レトルト殺菌(レトルト加熱)した(オートクレーブ:株式会社トミー精工製,SR−240使用)。JIS Z 0238(1998)に準拠の方法により、サンプル袋のヒートシール強度を測定した。
(9.融着[単位:N])
測定対象のフィルムから、サイズ200mm×140mmの3方袋を作成し、何も入れず残りの開口部を脱気シーラー(富士インパルス株式会社製,VG−400)でシールして、サンプル袋とした。このサンプル袋を135℃、30分間レトルト殺菌(レトルト加熱)した(オートクレーブ:株式会社トミー精工製,SR−240使用)。引張試験機(株式会社島津製作所製,EZ−SX)を用い、サンプル袋の面同士が融着した部分をT字剥離した。このときの強度を融着強度とした。
[プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の製造]
ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムの製造に際し、はじめにプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)から製造した。プロピレン−エチレン系樹脂組成物としては、多段重合法により得られるプロピレン−エチレンブロック共重合体、すなわち下記の製造例A−1、A−2、A−3、及びA−4で得られた4種類のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)(それぞれ、A−1、A−2、A−3、及びA−4と略称する。)を用いた。
[製造例A−1]
{触媒組成の分析}
Ti(チタン)含有量:試料を正確に秤量し、加水分解した上で比色法を用いて測定した。予備重合後の試料については、予備重合ポリマーを除いた重量を用いて含有量を計算した。
ケイ素化合物含有量:試料を正確に秤量し、メタノールで分解した。ガスクロマトグラフィーを用いて標準サンプルと比較する事により、得られたメタノール溶液中のケイ素化合物濃度を求めた。メタノール中のケイ素化合物濃度と試料の重量から、試料に含まれるケイ素化合物の含有量を計算した。予備重合後の試料については、予備重合ポリマーを除いた重量を用いて含有量を計算した。
〔予備重合触媒の調製〕
{(1)固体触媒の調製}
撹拌装置を備えた容量10Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、精製したトルエン2Lを導入した。ここに、室温で、Mg(OEt)2を200g投入し、TiCl4を1Lゆっくりと添加した。温度を90℃に上げて、フタル酸ジ−n−ブチルを50mL導入した。その後、温度を110℃に上げて3時間反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。室温でTiCl4を1L添加し、温度を110℃に上げて2時間反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。室温でTiCl4を1L添加し、温度を110℃に上げて2時間反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。さらに、精製したn−ヘプタンを用いて、トルエンをn−ヘプタンで置換し、固体成分のスラリーを得た。このスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。分析したところ、固体成分のTi含有量は2.7wt%であった。
次に、撹拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブ内を充分に窒素で置換し、上記の固体成分のスラリーを100g導入した。精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分の濃度が25g/Lとなるように調整した。SiCl4を50ml加え、90℃で1時間反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。その後、精製したn−ヘプタンを導入して液容量を4Lに調整した。ここに、ジメチルジビニルシランを30mL、i−Pr2Si(OMe)2を30ml、Et3Alのn−ヘプタン希釈液をEt3Alとして80g添加し、40℃で2時間反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、固体触媒を得た。得られた固体触媒のスラリーの一部をサンプリングして乾燥し、分析を行った。固体触媒のTiは1.2wt%、i−Pr2Si(OMe)2は8.9wt%を含有していた。
{(2)予備重合}
上記の調製により得た固体触媒を用い、以下の手順により予備重合を行った。上記のスラリーに精製したn−ヘプタンを導入して、固体触媒の濃度が20g/Lとなるように調整した。スラリーを10℃に冷却した後、Et3Alのn−ヘプタン希釈液をEt3Alとして10g添加し、280gのプロピレンを4時間かけて供給した。プロピレンの供給が終わった後、さらに30分間反応を継続した。次いで、気相部を窒素で充分に置換し、反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、真空乾燥を行って予備重合触媒を得た。この予備重合触媒は、固体触媒1gあたり2.5gのポリプロピレンを含んでいた。分析したところ、この予備重合触媒のポリプロピレンを除いた部分は、Tiを1.0wt%、i−Pr2Si(OMe)2を8.3wt%含有していた。この予備重合触媒を用いて、以下の手順に従ってプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の製造を行った。
〔プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の製造〕
内容積2m3の流動床型重合槽が2個直列につながった2槽連続重合設備を用いてプロピレン−エチレンブロック共重合体を製造した。使用するプロピレン、エチレン、水素、窒素は一般的な精製触媒を用いて精製したものを使用した。第1重合槽におけるプロピレン系重合体成分(Ax)の製造量、及び第2重合槽におけるプロピレン−エチレンランダム重合体成分(Ay)の製造量は重合槽の温度制御に使用する熱交換器の冷却水温度の値から求めた。
{重合工程(i):プロピレン系重合体成分(Ax)の製造}
第1重合槽を用いてプロピレンの単独重合を行った。重合温度は65℃、全圧は3.0MPaG(ゲージ圧、以下同様)、パウダーホールド量は40kgとした。重合槽に連続的にプロピレン、水素、及び窒素を供給し、プロピレン及び水素の濃度がそれぞれ70.83mol%、0.64mol%となるように調整した。助触媒として、Et3Alを5.0g/hの速度で連続的に供給した。第1重合槽におけるプロピレン系重合体成分(A1)の製造量が20.0kg/hとなるように、上記で得られた予備重合触媒を重合槽に連続的に供給した。生成したプロピレン系重合体成分(Ax)は連続的に抜き出しを行い、パウダーホールド量が40kgで一定となるように調整した。第1重合槽から抜き出したプロピレン系重合体成分(Ax)は第2重合槽に連続的に供給し、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)の製造を引き続いて行った。第1重合槽で生成したプロピレン系重合体成分(Ax)の一部を抜き出して分析したMFR(Ax)(230℃、2.16kg荷重)は、6.0g/10minであった。
{重合工程(ii):プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)の製造}
第2重合槽を用いてプロピレンとエチレンのランダム共重合を行った。重合温度は65℃、全圧は2.0MPaG、パウダーホールド量は40kgとした。重合槽に連続的にプロピレン、エチレン、水素、及び窒素を供給し、プロピレン、エチレン、及び水素の濃度がそれぞれ45.72mol%、25.71mol%、0.43mol%となるように調整した。重合抑制剤であるエタノールを連続的に供給し、第2重合槽におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)の製造量が5.0kg/hとなるように調整した。こうして生成したプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)を連続的に抜き出し、パウダーホールド量が40kgで一定となるように調整した。第2重合槽から抜き出したプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)は、さらに乾燥機に移送し、充分に乾燥を行った。生成したプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の一部を分析したMFR(A)(230℃、2.16kg荷重)は2.5g/10min、エチレン含有量E(A)は10.4wt%であった。
重合工程(i)の製造量と重合工程(ii)の製造量からプロピレン系重合体成分(Ax)の重量比率「W(Ax)」とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)の重量比率「W(Ay)」を求めた。結果、W(Ax)は0.80であり、W(Ay)は0.20であった。
こうして得られたW(Ax)、W(Ay)、E(A)から、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)のエチレン含有量E(Ay)を計算した。エチレン含有量については、前述のとおり、13C−NMRスペクトルの解析より求めた。
また、計算には以下の式を使用した。
E(Ay)={E(A)−E(Ax)×W(Ax)}÷W(Ay)
ここで、プロピレン系重合体成分(Ax)はプロピレン単独重合体であるので、E(Ax)は0wt%である。また上記の式は前述のE(A)について記載したものをE(Ay)についてそれぞれ整理し直したものである。
結果、エチレン含有量E(Ay)は52.0重量%であった。
[製造例A−2,A−3,A−4]
製造例A−2,A−3,及びA−4については、次の表2に記載の条件に基づき、前述の製造例A−1と同様の方法により、各例のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)を調製した。表2中、上から順に、重合工程(i){プロピレン濃度(mol%),エチレン濃度(mol%),水素濃度(mol%)}、重合工程(ii){プロピレン濃度(mol%),エチレン濃度(mol%),水素濃度(mol%)}、重合結果{重合工程(i)製造量(kg/h),重合工程(ii)製造量(kg/h),総製造量(kg/h),W(Ax)(kg/h),W(Ay)(kg/h)}、ポリマー分析{E(Ax)(wt%),W(Ay)(wt%),E(A)(wt%),MFR(Ax)(g/10min),MFR(A)(g/10min),MFR(Ax)/MFR(A)}である。
Figure 2018053180
〔プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)のペレット化〕
製造例A−1ないしA−4により得た各プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)100重量部に対し、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.05重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.10重量部、ステアリン酸カルシウム0.05重量部を添加してタンブラーにて混合し均一化した。得られた混合物を35mm径の二軸押出機により230℃で溶融混練し、製造例A−1ないしA−4に対応する樹脂のペレットを調製した。
[エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)]
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)として、次の2種類を使用した。便宜上、「EL1及びEL2」と表記する。メルトフローレート(MFR(B))の条件は190℃、2.16kg荷重である。また、コモノマーとは、α−オレフィンの炭素数である。
EL1 三井化学株式会社製,商品名「タフマー(登録商標)A−1085S」,密度:0.885g/cm3,MFR:1.2g/10min,コモノマー炭素数:4
EL2 三井化学株式会社製,商品名「タフマー(登録商標)A−4085S」,密度:0.885g/cm3,MFR:3.6g/10min,コモノマー炭素数:4
[直鎖状低密度ポリエチレン(C)]
直鎖状低密度ポリエチレン(C)として、次の6種類を使用した。便宜上、「LL1、LL2、LL3、LL4、LL5、及びLL6」と表記する。メルトフローレート(MFR(C))の条件は190℃、2.16kg荷重である。また、コモノマーとは、α−オレフィンの炭素数である。
LL1 日本ポリエチレン株式会社製,商品名「カーネルKF360T」,密度:0.898g/cm3,MFR:3.5g/10min,コモノマー炭素数:3及び6,メタロセン触媒使用
LL2 宇部丸善ポリエチレン株式会社製,商品名「ユメリット1540F」,密度:0.913g/cm3,MFR:4g/10min,コモノマー炭素数:6,メタロセン触媒使用
LL3 宇部丸善ポリエチレン株式会社製,商品名「ユメリット2040FC」,密度:0.919g/cm3,MFR:5g/10min,コモノマー炭素数:6,メタロセン触媒使用
LL4 宇部丸善ポリエチレン株式会社製,商品名「ユメリット0540F」,密度:0.904g/cm3,MFR:4g/10min,コモノマー炭素数:6,メタロセン触媒使用
LL5 日本ポリエチレン株式会社製,商品名「ノバテックUF240」,密度:0.920g/cm3,MFR:2.1g/10min,コモノマー炭素数:4,チーグラー触媒使用
LL6 京葉ポリエチレン株式会社製,商品名「M6901」,密度:0.962g/cm3,MFR:13g/10min,チーグラー触媒使用
[その他の原料]
多層フィルムの作製に際し、ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムの表面側に付加する他の重合体フィルムを形成する樹脂として次の種類を使用した。前出のA−3のプロピレン−エチレンブロック共重合体、EL2のエチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー、そして、プロピレン単独重合体として、A−5 日本ポリプロ株式会社製,商品名「ノバテックFB3B」,密度:0.90g/cm3,MFR:7.5g/10minである。
ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルム及び多層フィルムに積層するフィルムとして、次の2種類を使用した。
LF1 ポリアミド樹脂フィルム,ユニチカ株式会社製,商品名「エンブレムNX」,膜厚15μm
LF2 ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム,フタムラ化学株式会社製,商品名「FE2001」,膜厚12μm
積層のためのドライラミネート接着剤は、主剤(東洋モートン株式会社製,TM−250HV)47.4重量%、硬化剤(東洋モートン株式会社製,CAT−RT86L−60)6.5重量%、及び酢酸エチル46重量%を混合して調製した。
[ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムの作製]
ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムの作製は、原料となる樹脂を溶融、混練してTダイフィルム成形機を用いた。各実施例及び各比較例とも、表中の厚さ(μm)とする条件で製膜した。なお、「8.ヒートシール強度」ないし「9.融着」の項目については、出来上がった実施例またはポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムと、LF1(ポリアミド樹脂フィルム)、LF2(ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム)を積層した積層フィルムの状態で測定した。
[多層フィルムの作製]
多層フィルムの作製は、ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムの原料樹脂を溶融、混練するとともに、その両面に配する他のフィルムの原料樹脂も溶融、混練し、これらを共押出Tダイフィルム成形機を用いた。各実施例とも、表中の厚さ(μm)とする条件で製膜した。フィルムにおける厚さの比率(相対比)は、「1:6:1」に設定した。なお、「8.ヒートシール強度」ないし「9.融着」の項目については、出来上がった実施例またはポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムまたは多層フィルムと、LF1(ポリアミド樹脂フィルム)、LF2(ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム)を積層した積層フィルムの状態で測定した。
[積層フィルムの作製]
はじめに、LF1(ポリアミド樹脂フィルム)に前記のドライラミネート接着剤を塗布し(塗布量5g/m2)、ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムまたは多層フィルムの一方の面に積層した。次に、積層後のLF1に前記のドライラミネート接着剤を塗布し(塗布量5g/m2)、ここにLF2(ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム)を積層した。続いて、80℃、30秒間乾燥した後、40℃、4日間エージングして各実施例及び比較例に対応する積層フィルム(ラミネートフィルム)を作製した。
[表について]
表3ないし7において、上から順にプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とその該当樹脂「A−1ないしA−4」、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)の該当樹脂「EL1,EL2」、直鎖状低密度ポリエチレン(C)の該当樹脂「LL1ないしLL6」とし、厚さ(μm)、ヘーズ(%)、引張降伏応力(MD,TD)(MPa)、引張破壊力(MD,TD)(MPa)、引張ひずみ(MD,TD)(%)、引張弾性率(MD,TD)(GPa)、ヒートシール開始温度(℃)、ダート衝撃強さ(0℃)(J)、全光線透過率(%)、レトルト後ヒートシール強度(N/15mm)、融着(N)である。
表8では、使用原料の欄をプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の「A−1」、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)の「EL2」、直鎖状低密度ポリエチレン(C)の「LL1」とし、さらに、多層フィルムを形成する原料に「A−3、A−5、EL2」を使用した。
Figure 2018053180
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[結果・考察]
〔3成分の重量組成割合〕
ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムを構成するプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)、及び直鎖状低密度ポリエチレン(C)の3成分の重量組成割合(重量%)を相互間で変化した例は、実施例1ないし11、比較例1ないし6である。各例をプロットして樹脂配合割合の関係を図3の三角図により表した。
実施例と比較例の具体的な良否判断の区分は、概ねダート衝撃強さ:2.5J未満、全光線透過率:25%未満、ヒートシール強度:30N/15mm未満、融着:0.7N以上を境界とした。そこで、比較例と実施例の間に成立する3成分の重量組成割合に境界(外縁)を見出し、図3の太線枠のとおり実施例を包含する3成分の有効な範囲を規定した。すなわち、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)は78ないし96重量%であり、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)は2ないし10重量%であり、直鎖状低密度ポリエチレン(C)は2ないし12重量%である。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の配合割合の高い比較例1によると、ダート衝撃強さと全光線透過率の指標が実施例よりも低下した。直鎖状低密度ポリエチレン(C)の配合割合の低い比較例5では融着が悪化し、同(B)の配合割合の高い比較例6ではヒートシール強度が低下した。直鎖状低密度ポリエチレン(C)の配合割合の低い比較例1,2,4では各指標の悪化が顕著である。同(C)の配合割合の高い比較例3では融着が悪化した。これらの指標の良否をもって、前記の3成分の範囲は導き出される。
〔使用原料について〕
表2に開示のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)のA−1ないしA−4の分析値と当該樹脂(A)の性能を規定する指標(a1)ないし(a4)との対応関係は、次のとおりである。項目E(Ax)は指標(a1)に、項目MFR(A)は指標(a2)に、項目E(Ay)は指標(a3)に、項目MFR(Ax)/MFR(A)は指標(a4)に対応する。
〔プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の指標〕
比較例9はプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)のA−3を使用し、比較例10は同(A)のA−4を使用した。比較例9,10はともにダート衝撃強さやヒートシール強度等の性能低下が顕著となった。この結果も併せてプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の4つの指標(a1)ないし(a4)の範囲は、次のとおり表すことができる。
指標(a1)
各製造例のプロピレン系重合体成分(Ax)のエチレン含有量は、いずれも0重量%であった。また、その製造工程からも明らかであるように、プロピレン系重合体成分(Ax)はプロピレン単独重合体であった。なお、製造は連続的であるため、直接プロピレン−エチレンランダム共重合体が製造される場合もある。そこで、プロピレン系重合体成分(Ax)がプロピレン−エチレンランダム共重合体となる場合やプロピレン−エチレンランダム共重合体を含有する場合も想定され得る。従って、プロピレン系重合体成分(Ax)のエチレン含有量は、0ないし2重量%として導き出すことができる。
指標(a2)
各製造例のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)のメルトフローレート「MFR(A)」(230℃、2.16kg荷重)は、2.1ないし7.0g/10minであった。当該範囲から、好ましいMFR(A)は0.5ないし10.0g/10minと導き出すことができる。
指標(a3)
各製造例のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)のエチレン含有量E(Ay)は、38.0ないし52.0重量%であった。当該範囲から、好ましいエチレン含有量E(Ay)は、40ないし60と導き出すことができる。
指標(a4)
各製造例におけるプロピレン系重合体成分(Ax)のMFR(Ax)とプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)のMFR(A)の比、すなわち「MFR(Ax)/MFR(A)」の値は、1.14ないし2.4であった。当該範囲から、好ましい比は、2.0ないし4.5と導き出すことができる。
〔エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)の指標〕
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)はEL1及びEL2の2種類であった。開示の実施例の結果から明らかように、いずれも、前掲の同(B)の2ないし10重量%の重量配合割合を満たす限り好適な性能を示すに至った。このことから、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)に関する(b1)ないし(b3)の3項目の物性は次のとおり勘案することができる。
指標(b1)
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)の密度に関し、EL1及びEL2はともに0.885g/cm3である。そこで、0.860ないし0.895g/cm3の密度の範囲が導き出される。
指標(b2)
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)のメルトフローレート「MFR(B)」(190℃、2.16kg荷重)に関し、EL1は1.2g/10minであり、EL2は3.6g/10minであった。そこで、0.5ないし10.0g/10minのMFRの範囲が導き出される。
指標(b3)
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)の構造に関し、実施例にて使用したEL1及びEL2に含有されるα−オレフィンは両方とも3ないし8の範囲の炭素数(コモノマー)である。そのため、EL1及びEL2は、ともにエチレンと炭素数3ないし8(C3ないしC8)のα−オレフィンとのランダム共重合体であるといえる。
〔直鎖状低密度ポリエチレン(C)の指標〕
比較例7は直鎖状低密度ポリエチレン(C)のLL5を使用し、比較例8は同(C)のLL6を使用した。比較例7,8はともに透明性の悪化(白化)が顕著となった。この結果も併せて直鎖状低密度ポリエチレン(C)の4つの指標(c1)ないし(c4)の範囲は、次のとおり表すことができる。
指標(c1)
実施例及び比較例にて使用した直鎖状低密度ポリエチレン(C)の密度は、0.898ないし0.962g/cm3であった。比較例8(LL6使用)及び比較例7(LL5使用)の0.920g/cm3を超過すると、性能低下を招くことから、およそ当該値のLL5の密度が上限と考えられる。従って、好ましい密度は0.895〜0.920g/cm3と導き出すことができる。
指標(c2)
実施例及び比較例にて使用した直鎖状低密度ポリエチレン(C)のメルトフローレート「MFR(C)」(190℃、2.16kg荷重)に関し、2.1ないし13g/10minの範囲であった。このことから0.5〜20.0g/10minの範囲とすることができる。その上で、比較例7の最小値と比較例8の最大値の例の性能低下を勘案して、好ましくは3ないし7g/10minの範囲を規定することができる。
指標(c3)
実施例及び比較例にて使用した直鎖状低密度ポリエチレン(C)に含有されるα−オレフィンは、いずれも3ないし6の範囲の炭素数(コモノマー)であった。そこで、存在可能なコモノマーの炭素数を加味して、直鎖状低密度ポリエチレン(C)はエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体とすることが好ましい。
指標(c4)
実施例及び比較例にて使用した直鎖状低密度ポリエチレン(C)に関し、比較例7(LL5)及び比較例8(LL6)はチーグラー触媒による重合であり、これ以外はメタロセン触媒による重合であった。比較例7,8の性能低下の結果から、直鎖状低密度ポリエチレン(C)はメタロセン触媒による重合物であることが好ましい。
[多層フィルムの結果・考察について]
実施例16ないし18はポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムの片面または両面に他の樹脂組成のフィルム部位を形成した例である。実施例16及び18は両面形成であり、実施例17は片面形成である。表8から把握されるように、両例とも良好な結果を得た。従って、ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムのみならず、同フィルムを含む多層フィルムにおいても本発明の所望とする性能を確認することができた。また、ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムの表面に追加される他のフィルムの樹脂組成に着目すると、実施例16のA−3はプロピレン−エチレン共重合体を含有し、実施例17のA−3はプロピレン−エチレン共重合体を含有し、実施例18はA−5のプロピレン単独重合体を含有する例である。ゆえに、多層フィルムの形成に際し、プロピレン−エチレン共重合体もプロピレン単独重合体も使用可能である。
本発明のポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルム及び多層フィルムは、レトルト用包装材のフィルムとして必要な性能を備えるとともに、従前のポリプロピレン系では充足できなかった耐衝撃性の向上と白化抑制の両方の特性も兼備できた。それゆえ、既存のポリプロピレン系レトルト用資材の代替として有望である。
20,25 多層フィルム
F1 ポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルム
F2 他のフィルム

Claims (2)

  1. プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)を78〜96重量%と、
    エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)を2〜10重量%と、
    直鎖状低密度ポリエチレン(C)を2〜12重量%と、を含有してなるポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルムであって、
    前記プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)は、
    プロピレン系重合体成分(Ax)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)とからなる組成物であり、
    (a1):前記プロピレン系重合体成分(Ax)はエチレン含有量が0〜2重量%のプロピレン単独重合体またはプロピレン−エチレンランダム共重合体であり、
    (a2):前記プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)のメルトフローレート(MFR(A))(230℃、2.16kg荷重)が0.5〜10.0g/10minであり、
    (a3):前記プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(Ay)におけるエチレン含有量が40〜60重量%であり、
    (a4):前記プロピレン系重合体成分(Ax)のメルトフローレート(MFR(Ax))と、前記プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)のメルトフローレート(MFR(A))(230℃、2.16kg荷重)との比が、
    MFR(Ax)/MFR(A)=2.0〜4.5である
    前記(a1)ないし(a4)の関係を満たし、
    前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)は、
    (b1):前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)の密度が0.860〜0.895g/cm3であり、
    (b2):前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)のメルトフローレート(MFR(B))(190℃、2.16kg荷重)が0.5〜10.0g/10minであり、
    (b3):前記エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(B)が、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとのランダム共重合体である
    前記(b1)ないし(b3)の関係を満たし、
    前記直鎖状低密度ポリエチレン(C)は、
    (c1):前記直鎖状低密度ポリエチレン(C)の密度が0.895〜0.920g/cm3であり、
    (c2):前記直鎖状低密度ポリエチレン(C)のメルトフローレート(MFR(C))(190℃、2.16kg荷重)が0.5〜20.0g/10minであり、
    (c3):前記直鎖状低密度ポリエチレン(C)がエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体であり、
    (c4):前記直鎖状低密度ポリエチレン(C)がメタロセン触媒の重合物である
    前記(c1)ないし(c4)の関係を満たしている
    ことを特徴とするポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルム。
  2. 請求項1に記載のポリプロピレン系レトルト用シーラントフィルム(F1)と、プロピレン単独重合体またはプロピレン−エチレン共重合体のフィルム(F2)とを備えてなることを特徴とする多層フィルム。
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