JP6035815B2 - 積層体及びそれを用いた食品用包装袋 - Google Patents
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なかでも、とりわけ米袋の分野では、透明性、光沢、柔軟性に優れたものが求められてきた。
例えば、特許文献1には、特定のプロピレン系樹脂の両面に特定のエチレン・α−オレフィン共重合体を用いた空冷インフレーション成形多層フィルムが提供されている。しかし、該フィルムを米袋に加工すると、シール面同士のブロッキングが発生し、米充填の際に、トラブルとなるおそれがあった。
エチレン系樹脂層Iは、下記成分(A)を含有するエチレン系樹脂材料(a)から形成され、
プロピレン系樹脂層IIは、下記成分(B)と下記成分(A)とを含有するプロピレン系樹脂材料(b)から形成され、
エチレン系樹脂層IIIは、下記成分(C)を含有するエチレン系樹脂材料(c)から形成されることを特徴とする積層体が提供される。
成分(A):下記(A1)〜(A4)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体。
(A1)メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)が0.1〜20g/10分である。
(A2)密度が0.880〜0.930g/cm3である。
(A3)α−オレフィンの含有量が5〜40重量%である。
(A4)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めたZ平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)との比(Mz/Mn)が8.0以下である。
成分(B):下記(B1)〜(B3)の特性を有し、かつ、メタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体。
(B1)メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)が0.1〜50g/10分である。
(B2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5〜3.5である。
(B3)示差熱走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(Tm)が121〜150℃である。
成分(C):下記(C1)及び(C2)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体。
(C1)メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)が0.1〜20g/10分である。
(C2)密度が0.910〜0.940g/cm3である。
成分(D):下記(D1)及び(D2)の特性を有する高圧法低密度ポリエチレン。
(D1)メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)が0.1〜10g/10分である。
(D2)密度が0.910〜0.940g/cm3である。
したがって、食品包装の分野において、特に、米、麦等の穀類を収納する包装袋として、とりわけ米袋として好適であるという効果がある。
以下、本発明の積層体及び食品用包装袋の層構成、原料樹脂などについて、詳細に説明する。
本発明におけるエチレン系樹脂層Iは、下記の成分(A)を含有するエチレン系樹脂材料(a)から形成されることが必要である。
成分(A):下記(A1)〜(A4)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体。
(A1)メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)が0.1〜20g/10分である。
(A2)密度が0.880〜0.930g/cm3である。
(A3)α−オレフィンの含有量が5〜40重量%である。
(A4)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めたZ平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)との比(Mz/Mn)が8.0以下である。
成分(D):下記(D1)及び(D2)の特性を有する高圧法低密度ポリエチレン。
(D1)メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)が0.1〜10g/10分である。
(D2)密度が0.910〜0.940g/cm3である。
本発明に用いる成分(A)は、以下に説明する(A1)〜(A4)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体である。
成分(A)に使用されるエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンから誘導される構成単位を主成分としたエチレンとα−オレフィンのランダム共重合体である。
コモノマーとして用いられるα−オレフィンは、好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィンである。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。
かかるエチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−ペンテン−1共重合体等が挙げられる。なかでも、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体が好ましい。また、α−オレフィンは1種または2種以上の組み合わせでもよい。2種のα−オレフィンを組み合わせて三元共重合体とする場合は、エチレン・プロピレン・1−ヘキセン三元共重合体、エチレン・1−ブテン・1−ヘキセン三元共重合体、エチレン・プロピレン・1−オクテン三元共重合体、エチレン・1−ブテン・1−オクテン三元共重合体等が挙げられる。
成分(A)に使用されるエチレン・α−オレフィン共重合体は、チーグラー触媒、バナジウム触媒又はメタロセン触媒等、好ましくはバナジウム触媒又はメタロセン触媒、より好ましくはメタロセン触媒を使用して製造することができる。製造法としては、高圧イオン重合法、気相法、溶液法、スラリー法等が挙げられる
メタロセン触媒としては、特に限定されるわけではないが、シクロペンタジエニル骨格を有する基等が配位したジルコニウム化合物などのメタロセン化合物と助触媒とを触媒成分とする触媒が挙げられる。
上記エチレン・α−オレフィン共重合体の市販品としては、日本ポリエチレン社製のハーモレックス(登録商標)シリーズ、カーネル(登録商標)シリーズ、プライムポリマー社製のエボリュー(登録商標)シリーズ、住友化学社製のエクセレン(登録商標)GMHシリーズ、エクセレン(登録商標)FXシリーズが挙げられる。
バナジウム触媒としては、可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウムハライドとを触媒成分とする触媒が挙げられる。
(A1)メルトフローレート
成分(A)に使用されるエチレン・α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)は、0.1〜20g/10分であり、好ましくは0.5〜10g/10分であり、より好ましくは1.0〜5.0g/10分である。エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRが0.1g/10分未満では樹脂圧力が高く成形性が不良となり、20g/10分を超えるとインフレーション成形時、バブルが不安定になり成形性が不良になるおそれがある。ポリマーのMFRを調節するには、例えば、重合温度、触媒量、分子量調節剤としての水素の供給量などを適宜調節する方法がとられる。
なお、本明細書において、成分(A)のエチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定する。
成分(A)に使用されるエチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、0.880〜0.930g/cm3、好ましくは0.890〜0.925g/cm3、さらに好ましくは0.900〜0.923g/cm3である。上記エチレン・α−オレフィン共重合体の密度が0.880g/cm3未満では、成形時べたつきが発生し、成形不良となるおそれがある。0.930g/cm3を超えると透明性不良、柔軟性低下のおそれがあるため好ましくない。ポリマーの密度を調節するには、例えばα−オレフィン含有量、重合温度、触媒量など適宜調節する方法をとることができる。
なお、本明細書において、成分(A)のエチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(低密度ポリエチレンの場合)に準拠して23℃にて測定する。
成分(A)に使用されるエチレン・α−オレフィン共重合体中のα−オレフィンの含有量は、5〜40重量%であり、好ましくは7〜35重量%、さらに好ましくは9〜30重量%である。α−オレフィンの含有量が少ない場合、フィルムの衝撃強度、及び柔軟性が得られず、多すぎる場合は耐熱性が損なわれるおそれがある。
ここで、α−オレフィンの含有量は、下記の条件の13C−NMR法によって計測される値である。
装置:日本電子製 JEOL−GSX270
濃度:300mg/2mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
成分(A)に使用されるエチレン・α−オレフィン共重合体のゲルパーミエーションクロマグラフィー(GPC)により求めたZ平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)との比(Mz/Mn)は、8.0以下であり、好ましくは5.0以下である。(Mz/Mn)が8を超えると透明性が悪化するおそれがある。(Mz/Mn)を所定の範囲に調整する方法としては、適当なメタロセン触媒を選択する方法等が挙げられる。
なお、(Mz/Mn)の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で行い、測定条件は次のとおりである。
装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
検出器:MIRAN社製 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工製AD806M/S 3本(カラムの較正は東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量はポリスチレンとポリエチレンの粘度式を用いてポリエチレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数はα=0.723、logK=−3.967であり、ポリエチレンはα=0.733、logK=−3.407である。)
測定温度:140℃
濃度:20mg/10mL
注入量:0.2ml
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/分
なお、Mzは、高分子量成分の平均分子量への寄与が大きいので、(Mz/Mn)は、(Mw/Mn)に比べて高分子量成分の存在を確認しやすい。高分子量成分は、透明性に影響を与える要因であり、高分子量成分が多いと透明性は悪化する。よって、Mz/Mnは小さい方が好ましい。
本発明のエチレン系樹脂層Iを形成するエチレン系樹脂材料(a)には、上記成分(A)を60重量%以上含有することが好ましく、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上用いることが好ましい。
そして、エチレン系樹脂材料(a)には、発明の効果を損なわない範囲で、成分(A)以外の樹脂成分として、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体(但し、成分(A)を除く)、高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等を混合することもできる。
特に好ましくは、下記成分(D)の高圧法低密度ポリエチレンを混合することが挙げられる。
エチレン系樹脂材料(a)に任意に使用される成分(D)は、下記(D1)及び(D2)の特性を有する高圧法低密度ポリエチレンである。
(D1)メルトフローレート
成分(D)に使用される高圧法低密度ポリエチレンのメルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)は、0.1〜10g/10分であり、好ましくは0.5〜10g/10分であり、より好ましくは1.0〜5.0g/10分である。高圧法低密度ポリエチレンのMFRが0.1g/10分未満では樹脂圧力が高く成形性が不良となり、10g/10分を超えるとインフレーション成形時、バブルが不安定になり成形性が不良になるおそれがある。ポリマーのMFRを調節するには、例えば、重合温度、触媒量、分子量調節剤としての水素の供給量など適宜調節する方法をとることができる。
なお、本明細書において、成分(D)の高圧法低密度ポリエチレンのMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定する。
成分(D)に使用される高圧法低密度ポリエチレンの密度は、0.910〜0.940g/cm3、好ましくは0.915〜0.935/cm3、さらに好ましくは0.920〜0.930g/cm3である。高圧法低密度ポリエチレンの密度が0.910g/cm3未満の重合は困難であり、0.940g/cm3を超えると柔軟性が低下するおそれがあるため好ましくない。ポリマーの密度を調節するには、例えば、重合温度、触媒量など適宜調節する方法をとることができる。
なお、本明細書において、成分(D)のエチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(低密度ポリエチレンの場合)に準拠して23℃にて測定する。
また、かかる高圧法低密度ポリエチレンは、市販されているものの中から適宜選択し使用することもできる。市販品としては、日本ポリエチレン社製ノバテックシリーズ等が挙げられる。
本発明において、エチレン系樹脂材料(a)は、成分(A)と成分(D)との合計を基準として、成分(A)60〜100重量%(ただし、100重量%は除く。)と、成分(D)0〜40重量%(ただし、0重量%は除く。)とを含有することが好ましい。より好ましくは、成分(A)が70〜95重量%に対し、成分(D)が5〜30重量%、さらに好ましくは、成分(A)が80〜95重量%に対し、成分(D)が5〜20重量%である。成分(D)の配合割合が40重量%を超えると、落袋強度が低下し、破袋する可能性があるため、好ましくない。
本発明のエチレン系樹脂層Iには、エチレン系樹脂材料(a)の他、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、他の付加的任意成分を配合することができる。このような任意成分としては、通常のポリオレフィン系樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光増白剤等を挙げることができる。
特に、本発明のエチレン系樹脂層Iは、アンチブロッキング剤および/または帯電防止剤を含むものであると、積層体からなるフィルム成形時、フィルムを紙管巻きまたはかせ巻きした際のブロッキング防止、米や麦等の食品を充填時、開口性付与、積層体への付着防止の点で、好ましい。
本発明におけるプロピレン系樹脂層IIは、下記成分(B)と前記成分(A)とを含有するプロピレン系樹脂材料(b)から形成されることが必要である。なお、成分(A)については、前記1.(1)項にて述べたものと同じである。
成分(B):下記(B1)〜(B3)の特性を有し、かつ、メタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体。
(B1)メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)が0.1〜50g/10分である。
(B2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5〜3.5である。
(B3)示差熱走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(Tm)が121〜150℃である。
このように3成分系とすることで、層間接着性向上、成形安定性が得られる。
(i)成分(B)のモノマー構成
成分(B)に使用されるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、プロピレンから誘導される構成単位を主成分としたプロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体である。
コモノマーとして用いられるα−オレフィンは、好ましくはエチレン又は炭素数4〜18のα−オレフィンである。具体的にはエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。また、α−オレフィンとしては、1種または2種以上の組み合わせでもよい。かかるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の具体例としては、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−オクテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体等が挙げられる。
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のプロピレン単位の量は、85〜99.5重量%、好ましくは87〜99.5重量%、より好ましくは88〜99.5重量%、さらに好ましくは92〜99.5重量%であり、α−オレフィン単位の量(Ec)は、0.5〜15重量%、好ましくは0.5〜13重量%、より好ましくは0.5〜12重量%、さらに好ましくは0.5〜8重量%である。プロピレン単位の量が少ない場合、積層体の耐熱性の低下が見られ、多すぎる場合、積層体の柔軟性が損なわれるおそれがある。
ここでプロピレン単位及びα−オレフィン単位は、下記の条件の13C−NMRによって計測される値である。
日本電子社製 JEOL−GSX270
濃度:300mg/2mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
成分(B)に使用されるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、メタロセン触媒を用いる重合により容易に製造することができる。
該メタロセン触媒は、以下のイ成分とロ成分とから、または、これらと必要によりハ成分とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。
イ成分:シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)
ロ成分:メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒
ハ成分:有機アルミニウム化合物
イ成分のメタロセン化合物としては、例えば、特開昭60−35007号、特開昭61−130314号、特開昭63−295607号、特開平1−275609号、特開平2−41303号、特開平2−131488号、特開平2−76887号、特開平3−163088号、特開平4−300887号、特開平4−211694号、特開平5−43616号、特開平5−209013号、特開平6−239914号、特開平7−504934号、特開平8−85708号等の各公報に開示されている。
また、かかるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、メタロセン系ポリプロピレンとして市販されているものの中から適宜選択し使用することもできる。市販品としては、日本ポリプロ社製ウィンテックシリーズ等が挙げられる。
(B1)メルトフローレート
成分(B)に使用されるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のMFRは、0.1〜50g/10分、好ましくは1〜30g/10分、より好ましくは2〜20g/10分、さらに好ましくは4〜15g/10分である。MFRが上記範囲未満の場合には、押出性が低下し好適な生産性が得られず、更に透明性が得られないおそれがあるので好ましくない。上記範囲を超える場合には、積層体の強度が低下するおそれがあるので、好ましくない。ポリマーのMFRを調節するには、例えば、重合温度、触媒量、分子量調節剤としての水素の供給量など適宜調節する方法をとることができる。
なお、本明細書において、成分(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは、JIS−K6921−2:1997附属書(230℃、21.18N荷重)に準拠して測定する。
成分(B)に使用されるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、1.5〜3.5、好ましくは1.8〜3.3、より好ましくは2.0〜3.0である。Mw/Mnが上記範囲を超える場合には、透明性が低下するおそれがあるので好ましくなく、上記範囲未満の場合には、押出負荷が上昇する、シャークスキンが発生しやすくなるなど、加工適性が悪化するおそれがある。
Mw/Mnを所定の範囲にする方法としては、適当なメタロセン触媒を選択する方法等が挙げられる。
なお、上記Mw/Mnの測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で行い、測定条件は次の通りである。
装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
検出器:MIRAN社製 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S 3本(カラムの較正は東ソー社製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量はポリスチレンとポリプロピレンの粘度式を用いてポリプロピレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数はα=0.723、logK=−3.967であり、ポリプロピレンはα=0.707、logK=−3.616である。)
測定温度:140℃
濃度:20mg/10ml
注入量:0.2ml
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/分
成分(B)に使用されるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、示差走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(Tm)が121〜150℃、好ましくは125〜150℃、より好ましくは128〜145℃、さらに好ましくは130〜145℃である。Tmが上記範囲未満の場合には、121℃滅菌時の耐熱性や透明性が得られず、上記範囲を超える場合には、柔軟性に欠けるおそれがあり、好ましくない。
Tmは、α−オレフィン含量やその種類およびプロピレン構成単位のレジオ規則性などの影響を受けうる。α−オレフィンがエチレンの場合には、その含有量は0.5〜6重量%程度であり、α−オレフィンが1−ブテンの場合には、その含有量が0.5〜15重量%程度である。
Tmは、共重合させるα−オレフィンの種類と量を制御することにより適宜調整することができる。
なお、Tmの測定は、セイコー社製DSCを用い、サンプル量は5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させた後に1分間保持し、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときのピーク温度で評価する。また、融解ピーク温度(Tm)は融点ということもあり、同義である。
本発明において、プロピレン系樹脂材料(b)における、成分(B)と成分(A)の配合割合は、成分(B)が60〜99重量%に対し、成分(A)が1〜40重量%である。好ましくは、成分(B)が70〜95重量%に対し、成分(A)が5〜30重量%、より好ましくは、成分(B)が80〜95重量%に対し、成分(A)が5〜20重量%である。成分(A)の配合割合が1重量%未満であると、層間が剥離してしまい、落袋強度が低下するおそれがあり、40重量%を超えると、透明性が低下する可能性があるため、好ましくない。
本発明において、プロピレン系樹脂材料(b)における、成分(B)と成分(A)と成分(D)の配合割合は、成分(B)が60〜99重量%に対し、成分(A)が1〜40重量%、成分(D)が0〜10重量%である。好ましくは、成分(B)が70〜90重量%に対し、成分(A)が5〜30重量%、成分(D)が1〜5重量%である。
成分(B)の配合割合が60重量%未満であると、光沢性が悪くなるおそれがあり、99重量%を超えると、積層体が硬くもろくなるおそれがあり好ましくない。また、成分(A)の配合割合が1重量%未満であると、層間接着性が悪くなるおそれがあり、40重量%を超えると、光沢性が悪くなるおそれがあり好ましくない。さらに、成分(D)の配合割合が10重量%を超えると積層体の衝撃強度が悪くなるおそれがあり、好ましくない。
本発明のエチレン系樹脂層IIには、プロピレン系樹脂材料(b)の他、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、他の付加的任意成分を配合することができる。
このような任意成分としては、通常のポリオレフィン系樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光増白剤等を挙げることができる。
特に、本発明のエチレン系樹脂層IIは、帯電防止剤を含むものであると、米や麦等の食品を充填時、積層体への付着防止の点で、好ましい。
また、発明の効果を損なわない範囲で、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体(但し、成分(A)を除く)、アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等を混合することもできる。
本発明のエチレン系樹脂層IIIは、下記成分(C)を含有するエチレン系樹脂材料(c)から形成されることが必要である。
成分(C):下記(C1)及び(C2)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体。
(C1)メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)が0.1〜20g/10分である。
(C2)密度が0.910〜0.940g/cm3である。
本発明に用いる成分(C)は、以下に説明する(C1)及び(C2)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体である。
成分(C)に使用されるエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンから誘導される構成単位を主成分としたエチレンとα−オレフィンのランダム共重合体である。
コモノマーとして用いられるα−オレフィンは、好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィンである。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。
かかるエチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−ペンテン−1共重合体等が挙げられる。なかでも、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体が好ましい。また、α−オレフィンは1種または2種以上の組み合わせでもよい。2種のα−オレフィンを組み合わせて三元共重合体とする場合は、エチレン・プロピレン・1−ヘキセン三元共重合体、エチレン・1−ブテン・1−ヘキセン三元共重合体、エチレン・プロピレン・1−オクテン三元共重合体、エチレン・1−ブテン・1−オクテン三元共重合体等が挙げられる。
成分(C)に使用されるエチレン・α−オレフィン共重合体は、チーグラー触媒、バナジウム触媒又はメタロセン触媒等、好ましくはバナジウム触媒又はメタロセン触媒、より好ましくはメタロセン触媒を使用して製造することができる。製造法としては、高圧イオン重合法、気相法、溶液法、スラリー法等が挙げられる
エチレン・α−オレフィン共重合体の市販品としては、日本ポリエチレン社製のノバテック(登録商標)シリーズ、LLハーモレックス(登録商標)シリーズ、カーネル(登録商標)シリーズ、プライムポリマー社製のエボリュー(登録商標)シリーズ、住友化学社製のエクセレン(登録商標)GMHシリーズ、エクセレン(登録商標)FXシリーズが挙げられる。
バナジウム触媒としては、可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウムハライドとを触媒成分とする触媒が挙げられる。
(C1)メルトフローレート
成分(C)に使用されるエチレン・α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)は、0.1〜20g/10分であり、好ましくは0.5〜10g/10分であり、より好ましくは1.0〜5.0g/10分である。エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRが0.1g/10分未満では樹脂圧力が高く成形性が不良となり、20g/10分を超えるとインフレーション成形時、バブルが不安定になり成形性が不良になるおそれがある。ポリマーのMFRを調節するには、例えば、重合温度、触媒量、分子量調節剤としての水素の供給量など適宜調節する方法をとることができる。
なお、本明細書において、成分(C)のエチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定する。
成分(C)に使用されるエチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、0.910〜0.940g/cm3、好ましくは0.915〜0.935g/cm3、さらに好ましくは0.920〜0.930g/cm3である。エチレン・α−オレフィン共重合体の密度が0.910g/cm3未満では、米を充填時、袋の口開きが悪くなるおそれがあり好ましくない。0.940g/cm3を超えると透明性不良、柔軟性低下のため好ましくない。ポリマーの密度を調節するには、例えば、α−オレフィン含有量、重合温度、触媒量など適宜調節する方法をとることができる。
なお、本明細書において、成分(C)のエチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(低密度ポリエチレンの場合)に準拠して23℃にて測定する。
本発明のエチレン系樹脂層IIIを形成するエチレン系樹脂材料(c)には、上記成分(C)を60重量%以上含有することが好ましく、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上用いることが挙げられる。
そして、エチレン系樹脂材料(c)には、発明の効果を損なわない範囲で、成分(C)以外の樹脂成分として、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体(但し、成分(C)を除く)、高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等を混合することもできる。
本発明のエチレン系樹脂層IIIには、エチレン系樹脂材料(c)の他、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、他の付加的任意成分を配合することができる。このような任意成分としては、通常のポリオレフィン系樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光増白剤等を挙げることができる。
特に、本発明のエチレン系樹脂層IIIは、アンチブロッキング剤および/または帯電防止剤を含むものであると、積層体からなるフィルム成形時、フィルムを紙管巻き、またはかせ巻きした際のブロッキング防止、米や麦等の食品を充填時、開口性付与、積層体への付着防止の点で、好ましい。
本発明の積層体は、少なくとも、上記したとおりの、特定の成分(A)を含有するエチレン系樹脂材料(a)から形成されるエチレン系樹脂層I、特定の成分(B)と成分(A)とを含有するプロピレン系樹脂材料(b)から形成されるプロピレン系樹脂層II、特定の成分(C)を含有するエチレン系樹脂材料(c)から形成されるエチレン系樹脂層IIIを、この順で含む積層体であることが必要である。
すなわち、本発明の積層体は、エチレン系樹脂層I/プロピレン系樹脂層II/エチレン系樹脂層IIIとの層構成を持つ積層体である。
その他、必要に応じて、含まれていても良い層としては、ナイロン層、ポリエチレンテレフタレート層等のバリア性を有する層が挙げられる。
ナイロン層またはポリエチレンテレフタレート層を含む場合の層構成は、ナイロンフィルム、またはポリエチレンテレフタレートフィルムと積層体からなるフィルムを、接着剤を用いてドライラミしたものとすることができる。または、ナイロン、またはポリエチレンテレフタレートを、接着性を有する樹脂と共に共押したものとすることもできる。その場合、ナイロン層/接着性樹脂層/本発明の積層体となる。
また、本発明の積層体の全体の厚みは特に限定されないが、例えば、米や麦等の食品包装の場合、50〜100μmとすることができる。
また、積層体の積層構成比率は特に限定されないが、例えば、米や麦等の食品包装の場合、1/1/1〜1/4/1とすることができる。
本発明の積層体は、上記したとおりの、それぞれ特定の成分を含む材料から形成される層I〜IIIが、特定の順番で積層されたものであることにより、積層体全体として、透明性、光沢、柔軟性に優れながらも、層間剥離が無く、強度に優れる積層体である。
本発明の積層体は、上記したとおりの特徴をもつものであることから、種々の包装材、例えば食品包装材として用いることができる。中でも、米袋に特に好適に使用することができる。
本発明の食品包装用袋は、ヒートシール性が良好となることから、エチレン系樹脂層III同士を対向させ、該層をヒートシールして製造されるものであることが好ましい。
なお、本明細書において、落袋強度に優れるとは、実際に、積層体をヒートシールにより袋状に成形したものに、内容物を詰めたものを作成し、これを特定の高さから落下させた場合に、破袋しづらいことをいう。
本発明の食品用包装袋は、上記のとおり、特定の各層を組合せたものであることにより、層間剥離が無く、落袋強度に優れる。すなわち、本発明の食品用包装袋は、透明性、光沢、柔軟性に優れながらも、ブロッキングがなく、開口性に優れるうえに、層間剥離が無く、落袋強度に優れるものであるため、特に、米袋に好適である。
(1)メルトフローレート(MFR):前述の通り、成分(A)及び成分(C)のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のMFRは、JIS−K6921−2:1997附属書(230℃、21.18N荷重)に準拠して測定し、成分(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体及び成分(D)の高圧法低密度ポリエチレンのMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定した。
(2)Tm:前述の通り、DSCにより測定した。
(3)Mw/Mn:前述の通り、GPCにより測定した。
(4)Mz/Mn:前述の通り、GPCにより測定した。
(5)密度:前述の通り、成分(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体及び成分(D)の高圧法低密度ポリエチレンの密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(23℃、低密度ポリエチレンの場合)に準拠して測定し、高密度ポリエチレンの密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(23℃)に準拠して測定した。
プラコー社製、3種3層空冷インフレーション成形機(ダイ径;100mmφ、ダイリップ;3mm)を用い、エチレン系樹脂層Iとエチレン系樹脂層IIIの厚みをそれぞれ18μm、プロピレン系樹脂層IIの厚みを54μm、折り径;350mmのチューブ状積層体を成形した。プロピレン系樹脂層IIの片側にエチレン系樹脂層Iを積層し、もう一方の側にエチレン系樹脂層IIIを積層した。
(1)ヘーズ
JIS−K−7136−2000に準拠して測定した。
(2)光沢度
JISK7105−1981に準拠し、積層体の60度鏡面光沢度を測定した。該光沢度はエチレン系樹脂層I側から測定した。この値が大きいほど、光沢に優れていることを示す。
(3)DDI(Dart Drop Impact Strength、落槍衝撃強度又は打抜き強度)
フィルム上に特定の重りを落として測定する衝撃強度であって、JIS K7124−1に準拠して測定した。
(4)エルメンドルフ引裂強度
JIS K7128−2に準拠して、縦方向及び横方向において、それぞれ測定した。
縦方向及び横方向におけるエルメンドルフ引裂強度の差が小さいとバランスがとれるためか、衝撃強度が強いことを示す。
(5)層間剥離
試験片を15mm幅に裁断し、手で引き剥がしたときの様子で確認した。シール部と未シール部の際で切れる(エッジ切れ)の場合を○、シール部が剥がれる場合を×として評価した。この項目が×であると、米を充填した後、落とした際、袋が破れる可能性がある。
(6)口開き性
上記にて成形した積層体のエチレン系樹脂層IIIが向かいあっている部分を、容易に開くことが可能かどうかを評価した。容易に開くことができる場合を○、できない場合を×として評価した。
(7)引張弾性率
ISO1184−1983に準拠してフィルムのMD方向について測定した。尚、引張速度1mm/min、試験片幅10mm、つかみ具間を100mmとし、伸び率1%のときの引張弾性率を求めた。この値が小さい程、柔軟性に優れていることを示す。
(1)成分(A):エチレン・α−オレフィン共重合体
<製造例1>
(i)触媒の調製
エチレンとヘキセン−1の共重合体を製造した。触媒の調製は、特表平7−508545号公報に記載された方法で実施した。即ち、錯体ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチル2.0mモルに、トリペンタフルオロフェニルホウ素を上記錯体に対して等モル加え、トルエンで10リットルに希釈して触媒溶液を調製した。
(ii)重合
内容積1.5リットルの撹拌式オートクレーブ型連続反応器を反応器内の圧力を130MPaに保ち、エチレンと1−ヘキセンとの混合物を1−ヘキセンの組成が55重量%となるように40kg/時の割合で原料ガスを連続的に供給した。また、上記触媒溶液を連続的に供給し、重合温度が148℃を維持するようにその供給量を調整した。1時間あたりのポリマー生産量は約2.1kgであった。反応終了後、1−ヘキセン含有量=12重量%、MFR=2.2g/10分、密度=0.905g/cm3、Mz/Mn=3.5であるエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−1)を得た。これを、表1に示す。
重合時の1−ヘキセンの組成を50重量%にし、重合温度を156℃に代えた以外は製造例1と同様の製法で触媒調整及び重合を行った。1時間あたりのポリマー生産量は約2.6kgであった。反応終了後、1−ヘキセン含有量=11重量%、MFR=2.2g/10分、密度=0.910g/cm3、Mz/Mn=3.5であるエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE−2)を得た。これを、表1に示す。
日本ポリプロ社製、ウィンテック WFX4T(PP−1)を用いた。これを、表2に示す。
(3)成分(C):エチレン・α−オレフィン共重合体
日本ポリエチレン社製、ノバテックLL UF524(PE−5)を用いた。これを、表1に示す。
(4)成分(D):高圧法低密度ポリエチレン
日本ポリエチレン社製、ノバテックLD LF240(PE−3)を用いた。これを、表1に示す。
(5)成分(E):高密度ポリエチレン
日本ポリエチレン社製、ノバテックHD HJ562(PE−4)を用いた。これを、表1に示す。
その他として、日本ポリエチレン社製の帯電防止剤マスターバッチであるノバテックLL LXAS(帯電防止剤5.0重量%のマスターバッチ)、日本ポリエチレン社製アンチブロッキング剤マスターバッチであるLXABI(アンチブロッキング剤8.0重量%のマスターバッチ)、日本ポリプロ社製の帯電防止剤マスターバッチであるノバテックPP MBT0502E(帯電防止剤7重量%のマスターバッチ)を用いた。
(実施例1)
表3に示す通り、エチレン系樹脂層Iには、成分(A)である(PE−1)90重量%と、成分(D)である(PE−3)10重量%とからなるエチレン系樹脂材料(a)90.8重量%に対し、帯電防止剤マスターバッチ LXAS 3.0重量%、アンチブロッキング剤マスターバッチ LXABI 6.2重量%を配合して、エチレン系樹脂層Iを形成した。
また、プロピレン系樹脂層IIには、成分(B)である(PP−1)90重量%、成分(A)である(PE−1)9.0重量%及び成分(D)である(PE−3)1.0重量からなるプロピレン系樹脂材料(b)98重量%に対し、帯電防止剤マスターバッチ MBT0502E 2.0重量%を配合したプロピレン系樹脂IIを用いた。
さらに、第3層には、(PE−5)を100重量%用いた。
これら各層の樹脂材料を、上記プラコー社製、3種3層水冷インフレーション成形機に各々セットし、上記条件で水冷インフレーション成形を行って厚さ90μmの積層体を得、評価を行った。結果を表4に示す。
表3に示す通りの処方にて、実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果を表3に示す。
表3に示す通りの処方にて、実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果を表3に示す。
以上のとおり、表3に示す結果から、実施例1〜3と比較例1または2とを対比すると、本発明の積層体の特定事項である「エチレン系樹脂層Iは、成分(A)を含有するエチレン系樹脂材料(a)から形成され、プロピレン系樹脂層IIは、成分(B)と成分(A)とを含有するプロピレン系樹脂材料(b)から形成され、エチレン系樹脂層IIIは、成分(C)を含有するエチレン系樹脂材料(c)から形成される」との要件を満たさないものによる比較例1または2に示す積層体は、衝撃強度、層間剥離及び口開き性が実施例1〜3の積層体に対して見劣りしている。
すなわち、プロピレン系樹脂層IIに成分(A)を含まない比較例1は層間剥離がおこっている。比較例2はエチレン系樹脂層IIIの成分(c)に密度の低い(PE−1)及び(PE−3)を用いているため、ブロッキングし、口開き性が劣り、米充填時にトラブルが発生する可能性があるものである。
これらの比較例に比べて、本発明による積層体は、実施例1〜3に示すとおり、何れも衝撃強度、層間剥離及び口開き性が優れるうえに、透明性、光沢、柔軟性が良好であることが確認された。
そのため、本発明の積層体およびそれを用いた食品包装袋は、透明性、光沢、柔軟性に優れながらも、ブロッキングがなく、開口性に優れるうえに、層間剥離が無く、落袋強度にも優れる積層体及びそれを用いた食品用包装袋であることが確認され、こういった特性が求められるもの、特に、米袋に好適に使用することができるものであった。
Claims (9)
- 少なくとも、エチレン系樹脂層I、プロピレン系樹脂層II及びエチレン系樹脂層IIIをこの順で含む積層体であって、
エチレン系樹脂層Iは、下記成分(A)を含有するエチレン系樹脂材料(a)から形成され、
プロピレン系樹脂層IIは、下記成分(B)と下記成分(A)と下記成分(D)とを含有するプロピレン系樹脂材料(b)から形成され、ここで、プロピレン系樹脂材料(b)における成分(B)と成分(A)と成分(D)の配合割合は、成分(B)が70〜90重量%に対し、成分(A)が5〜30重量%、成分(D)が1〜5重量%であり(ただし、成分(B)と成分(A)と成分(D)の合計を100重量%とする)、
エチレン系樹脂層IIIは、下記成分(C)を含有するエチレン系樹脂材料(c)から形成されることを特徴とする積層体。
成分(A):下記(A1)〜(A4)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体。
(A1)メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)が0.1〜20g/10分である。
(A2)密度が0.900〜0.923g/cm3である。
(A3)α−オレフィンの含有量が5〜40重量%である。
(A4)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めたZ平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)との比(Mz/Mn)が8.0以下である。
成分(B):下記(B1)〜(B3)の特性を有し、かつ、メタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体。
(B1)メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)が0.1〜50g/10分である。
(B2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5〜3.5である。
(B3)示差熱走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(Tm)が121〜150℃である。
成分(C):下記(C1)及び(C2)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体。
(C1)メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)が0.1〜20g/10分である。
(C2)密度が0.920〜0.930g/cm3である。
成分(D):下記(D1)及び(D2)の特性を有する高圧法低密度ポリエチレン。
(D1)メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)が0.1〜10g/10分である。
(D2)密度が0.910〜0.940g/cm3である。 - エチレン系樹脂材料(a)は、成分(A)と成分(D)とを含有することを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- エチレン系樹脂材料(a)は、成分(A)と成分(D)との合計を基準として、成分(A)60〜100重量%(ただし、100重量%は除く。)と、成分(D)0〜40重量%(ただし、0重量%は除く。)とを含有することを特徴とする請求項2に記載の積層体。
- 成分(A)のエチレン・α−オレフィン共重合体及び成分(C)のエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとのランダム共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
- プロピレン系樹脂層IIは、帯電防止剤を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
- エチレン系樹脂層Iは、アンチブロッキング剤および/または帯電防止剤を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
- エチレン系樹脂層IIIは、アンチブロッキング剤および/または帯電防止剤を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずか1項に記載の積層体。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体からなることを特徴とする食品用包装袋。
- エチレン系樹脂層III同士を対向させ、該層をヒートシールしてなることを特徴とする請求項8に記載の食品用包装袋。
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