JP2007245453A - 積層体およびそれを用いた加熱殺菌処理用包装容器 - Google Patents

積層体およびそれを用いた加熱殺菌処理用包装容器 Download PDF

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Abstract

【課題】柔軟性、耐熱性に優れ、尚且つ優れたヒートシール強度を発現する積層体およびそれを用いた加熱殺菌処理用包装容器の提供。
【解決手段】メタロセン触媒を用いて重合され、MFRが0.1〜50g/10分、密度が0.860〜0.930g/cmのエチレン系樹脂(A)よりなる層A、メタロセン触媒を用いて重合され、MFRが1〜100g/10分、融解ピーク温度(Tm)が100〜160℃のプロピレン系樹脂(B)よりなる層B、該樹脂(B)よりも融点の高い、MFRが0.1〜100g/10分、融解ピーク温度(Tm)が130〜168℃のプロピレン系樹脂(C)よりなる層C、がこの順序で積層されることを特徴とする積層体およびそれを用いた加熱殺菌処理用包装容器。
【選択図】なし

Description

本発明は、積層体およびそれを用いた加熱殺菌処理用包装容器に関し、詳しくは、柔軟性、耐熱性に優れ、尚且つ優れたヒートシール強度を発現する積層体およびそれを用いた加熱殺菌処理用包装容器に関する。
従来より、柔軟性を有するフィルム、シート等に、軟質ポリ塩化ビニル樹脂(軟質PVC)が好んで用いられている。軟質PVCは、二次加工特性に優れ、また表面光沢が良好である等の特長を有する一方で、焼却した際に、塩化水素やダイオキシン等の有害物質が発生する可能性が指摘されており、環境汚染の懸念がある。
このため軟質PVCを代替する材料が種々検討されており、ポリエチレン系フィルム、シート(例えば、特許文献1参照。)やポリプロピレン系フィルム、シート(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。ところがポリエチレン系フィルム、シートでは耐熱性が劣ったり、ポリプロピレン系フィルム、シートではヒートシールする際、ポリエチレン系フィルム、シートに比べて高い温度を必要としたり、柔軟性が不十分になりがちであるという問題があった。
このようなポリエチレン系フィルム、シートおよびポリエチレン系フィルム、シートの欠点を補うために、特定のエチレン・α−オレフィン共重合体からなる層とポリプロピレン系樹脂からなる層を有する積層体(例えば、特許文献3参照。)が提案されている。
しかし、エチレン・α−オレフィン共重合体からなる層とポリプロピレン系樹脂からなる層とでは十分な層間強度を得られにくいため、該積層体を用いてヒートシールをすると、層間剥離を起こしやすく、高いシール強度が得られないという問題点を有していた。
また、層間強度を向上させるために、特定のエチレン・α−オレフィン共重合体からなる層と融解ピーク温度が121〜150℃のメタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体からなる層を有する積層体(例えば、特許文献4参照。)が提案されている。この方法を用いると、層間強度の高い積層体が得られる。しかし、該積層体に高い耐熱性を持たせようとすると、層間強度が十分に発現しなくなるという問題点を有していた。
この様に、高い耐熱性と高いシール強度(高い層間強度)を共に満足する積層体が得られていないのが現状であった。
特開昭58−165866号公報 特開平6−218892号公報 特開平6−171039号公報 特開2005−53131号公報
本発明の目的は、上記の問題点に鑑み、柔軟性、耐熱性に優れ、尚且つ優れたヒートシール強度を発現する積層体およびそれを用いた加熱殺菌処理用包装容器を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解明すべく種々検討を行った結果、特定のエチレン系樹脂よりなる層と、特定のプロピレン系樹脂よりなる層と、さらに該プロピレン系樹脂より融点の高いプロピレン系樹脂よりなる層とを積層した積層体が、柔軟性、耐熱性に優れ、尚且つ優れたヒートシール強度を発現する積層体となり得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記エチレン系樹脂(A)よりなる層A、下記プロピレン系樹脂(B)よりなる層B、該樹脂(B)よりも融点の高い下記プロピレン系樹脂(C)よりなる層Cがこの順序で積層されることを特徴とする積層体が提供される。
(A)エチレン系樹脂:メタロセン触媒を用いて重合され、かつ下記(A1)〜(A2)の特性を有するエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体
(A1)メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)が0.1〜50g/10分
(A2)密度が0.860〜0.930g/cm
(B)プロピレン系樹脂:メタロセン触媒を用いて重合され、かつ下記(B1)〜(B2)の特性を有する結晶性ポリプロピレン
(B1)メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)が1〜100g/10分
(B2)融解ピーク温度(Tm)が100〜160℃
(C)プロピレン系樹脂:プロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体から選ばれる下記特性(C1)〜(C2)の特徴を有する結晶性ポリプロピレン
(C1)メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)が0.1〜100g/10分
(C2)融解ピーク温度(Tm)が130〜168℃
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、プロピレン系樹脂(B)の融解ピーク温度(Tm)が110〜142℃であり、プロピレン系樹脂(C)の融解ピーク温度(Tm)が140〜168℃であることを特徴とする積層体が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、層A、層Bおよび層Cを接着剤を用いずに積層されることを特徴とする積層体が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、実質的に未延伸であることを特徴とする積層体が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、積層体の全厚みが10〜5000μmであり、各層が全体の5〜90%の範囲の厚みを有することを特徴とする積層体が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明の積層体を用いることを特徴とする加熱殺菌処理用包装容器が提供される。
本発明の積層体は、特定のエチレン系樹脂よりなる層と、特定のプロピレン系樹脂よりなる層と、さらに該プロピレン系樹脂より融点の高いプロピレン系樹脂よりなる層とを積層しているので、柔軟性、耐熱性に優れ、尚且つ優れたヒートシール強度を発現する積層体である。したがって、食品包装用や医療用バックの加熱殺菌処理用の包装容器として用いることができる。
本発明は、エチレン系樹脂(A)よりなる層A、プロピレン系樹脂(B)よりなる層B、該樹脂(B)よりも融点の高いプロピレン系樹脂(C)よりなる層Cがこの順序で積層される積層体である。以下、構成樹脂、積層体について詳細に説明する。
1.構成樹脂
(1)エチレン系樹脂(A)
本発明の積層体に用いるエチレン系樹脂(A)は、メタロセン触媒を用いて重合された下記特性(A1)〜(A2)を有するエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体である。
エチレンと共重合するα−オレフィンとしては、炭素数3〜12のα−オレフィンであり、炭素数3〜8のα−オレフィンが好ましく、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。かかるエチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−ペンテン−1共重合体が挙げられる。また、α−オレフィンは1種または2種以上の組合せでも良い。2種のα−オレフィンを組み合わせてターポリマーとする場合は、エチレン・プロピレン・ヘキセンターポリマー、エチレン・ブテン・ヘキセンターポリマー、エチレン・プロピレン・オクテンターポリマーが挙げられる。
エチレン系樹脂(A)中のエチレン単位の量は、60〜95重量%が好ましく、より好ましくは65〜93重量%、さらに好ましくは70〜91重量%である。エチレン含有量が多すぎる場合は、積層体の衝撃強度、及び柔軟性が得にくく、エチレン含有量が少なすぎる場合は、耐熱性が損なわれやすくなる。
(A1)メルトフローレート(MFR)
エチレン系樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)は、0.1〜50g/10分であり、好ましくは0.5〜20g/10分であり、より好ましくは1.0〜10g/10分である。MFRが0.1g/10分未満では押出し負荷が高くなりやすく、また、積層体において多層との界面におけるいわゆる界面あれが発生し、積層体の外観が悪化しやすくなる。一方、MFRが50g/10分を超えると積層体の厚み精度が悪化しやすくなる。
ここで、MFRは、JIS−K6922−2:1997付属書に準拠し、190℃、21.18N荷重で測定する値である。
(A2)密度
エチレン系樹脂(A)の密度は、0.860〜0.930g/cmであり、好ましくは、0.870〜0.925g/cmであり、より好ましくは0.880〜0.925g/cmである。密度が0.860g/cm未満では、エチレン系樹脂(A)の層が最外層となる場合に積層体がべたつきやすくなるため、取り扱い性が悪化しやすい。一方、密度が0.930g/cmを超えると層間強度が不十分となりやすく、結果として高いシール強度を発現しにくくなる。
ここで、密度は、JIS−K6922−2:1997付属書の低密度ポリエチレンの場合に準拠して測定する値である。
本発明で用いるエチレン系樹脂(A)は、メタロセン触媒を用いる重合により製造する必要がある。
メタロセン触媒とは、(イ)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ロ)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒と、必要により、(ハ)有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。
(イ)メタロセン化合物は、例えば、特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭59−23011号、特開昭60−35006号、特開昭60−35007号、特開昭60−35008号、特開昭60−35009号、特開昭61−130314号、特開平3−163088号公報等、EP公開420,436、米国特許5,055,438、国際公開WO91、国際公開WO92/07123等に開示されている。
更に具体的には、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチルペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾ(インデニル))ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム化合物が例示できる。上記において、ジルコニウムをハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。場合によっては、ジルコニウム化合物とハフニウム化合物の混合物を使用することもできる。
メタロセン化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用してもよい。該担体としては無機または有機化合物の多孔質酸化物が好ましく、具体的には、イオン交換性層状珪酸塩、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO等またはこれらの混合物が挙げられる。
(ロ)本発明において用いられる助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン化合物)、イオン交換性層状珪酸塩、ルイス酸、ホウ素化合物、酸化ランタンなどのランタノイド塩、酸化スズ等が挙げられる。
(ハ)有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムハライド;アルキルアルミニウムセスキハライド;アルキルアルミニウムジハライド;アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
重合様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式の方法を採用することができる。具体的には、これらの触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法や溶液法、あるいは圧力が200kg/cm以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法等が挙げられる。好ましい製造法としては高圧バルク重合が挙げられる。
メタロセン触媒を用いて重合されたものでない場合、例えばチーグラーナッタ型触媒を用いて重合されたものでは、層間強度が不十分となりやすく、結果として高いシール強度を発現しにくくなる。
本発明で用いるエチレン系樹脂(A)は、前記条件を満たしていればよく、1種類でも2種類以上の混合物でも良い。また、市販のものを制限無く用いることができる。市販品の例としては、日本ポリエチレン(株)製カーネル、同社製ハーモレックスおよびデュポンダウ社製「アフィニティー」等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いるエチレン系樹脂(A)には、必要に応じて、本発明の効果を著しく損なわない範囲で他の付加的任意成分を添加してもよい。例えば、通常のポリオレフィン樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光造白剤等を挙げることができるが、これらに限定されることは無い。
また、発明の効果を損なわない範囲で、もしくは意図的にヒートシール特性を制御する目的で高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体等を混合することもできる。
(2)プロピレン系樹脂(B)
本発明の積層体に用いるプロピレン系樹脂(B)は、メタロセン触媒を用いて重合された下記特性(B1)〜(B2)を有する結晶性ポリプロピレンである。結晶性ポリプロピレンとしては、プロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体を挙げることができる。中でも、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体が好ましい。
(B1)メルトフローレート(MFR)
プロピレン系樹脂(B)のメルトフローレート(MFR)は、1〜100g/10分であり、好ましくは1〜20g/10分であり、より好ましくは2〜15g/10分である。MFRが1g/10分未満では押出し負荷が高くなりやすく、また、積層体において多層との界面におけるいわゆる界面あれが発生し、積層体の外観が悪化しやすくなる。一方、MFRが100g/10分を越えると積層体の厚み精度が悪化しやすくなる。
ここで、MFRは、JIS K−7210−1995に準拠し、230℃、荷重21.18N荷重で測定する値である。
(B2)融解ピーク温度(Tm)
プロピレン系樹脂(B)の融解ピーク温度(Tm)は、100〜160℃、好ましくは110〜150℃、より好ましくは110〜142℃、特に好ましくは120〜137℃である。融解ピーク温度が100℃よりも低い温度に存在するものは、製造することが実質的に困難であり、一方で融解ピーク温度が160℃より高い温度に存在するものは、加熱殺菌処理等を行うと層間強度が不十分となりやすく、結果として高いシール強度を発現しにくくなる。
ここで、融解ピーク温度(Tm)は、示差走査型熱量計(セイコー社製DSC)を用いて測定して得たチャートに見られるピーク値であり、本発明で用いるプロピレン系樹脂(B)は、少なくとも一つのピークが100〜160℃に見られるものである。複数のピークが観測される場合は、高いほうのピークが100〜160℃にあればよい。
本発明で用いるプロピレン系樹脂(B)は、メタロセン触媒を用いる重合により製造する必要がある。
メタロセン触媒とは、(イ)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ロ)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒と、必要により、(ハ)有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。メタロセン化合物は、好ましくはプロピレンの立体規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物であり、より好ましくはプロピレンのアイソ規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物である。
(イ)メタロセン化合物としては、例えば、特開昭60−35007号、特開昭61−130314号、特開昭63−295607号、特開平1−275609号、特開平2−41303号、特開平2−131488号、特開平2−76887号、特開平3−163088号、特開平4−300887号、特開平4−211694号、特開平5−43616号、特開平5−209013号、特開平6−239914号、特開平7−504934号、特開平8−85708号等の各公報に開示されている。
さらに、具体的には、メチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−(4−フェニルインデニル)(2−メチル−4−フェニル−4Hアズレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(4−メチルシクロペンタジエニル)(3−t−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(3’−t−ブチル−5’−メチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−(2−メチルー4−フェニルインデニル)〕ジクロニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシレンビス〔4−(1−フェニル−3−メチルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(フルオレニル)t−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス〔1−(2−メチル−4,(1−ナフチル)−インデニル)〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)〕ジスコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−(2−メチル−フェニル−4H−アズレニル)〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−(2−エチル−4−ナフテル−4H−アズレニル)〕ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス〔1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−(2−エチル−4−(3−フルオロビフェニリル)−4H−アズレニル)〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス〔1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス〔1−(2−エチル−4−フェノルインデニル)〕ジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム化合物が例示できる。上記において、ジルコニウムをチタニウム、ハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。場合によっては、ジルコニウム化合物とハフニウム化合物等の混合物を使用することもできる。また、クロリドは他のハロゲン化合物、メチル、イソブチル、ベンジル等の炭化水素基、ジメチルアミド等のアミド基、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシド基、ヒドリド基等に置き換えることができる。これらの内、インデニル基あるいはアズレニル基を珪素あるいはゲルミル基で架橋したメタロセン化合物が好ましい。
また、メタロセン化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用してもよい。該担体としては、無機または有機化合物の多孔質化合物が好ましく、具体的には、イオン交換性層状珪酸塩、ゼオライト、SiO、Al、シリカアルミナ、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO等の無機化合物、多孔質のポリオレフィン、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体、オレフィン・アクリル酸共重合体等からなる有機化合物、またはこれらの混合物が挙げられる。
(ロ)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物(たとえば、アルミノキサン化合物)、イオン交換性層状珪酸塩、ルイス酸、ホウ素含有化合物、イオン性化合物、フッ素含有有機化合物等が挙げられる。
(ハ)有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムハライド;アルキルアルミニウムセスキハライド;アルキルアルミニウムジハライド;アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
メタロセン触媒を用いて重合されたものでない場合、例えば、チーグラーナッタ型触媒を用いて重合されたものでは、層間強度が不十分となりやすく、結果として高いシール強度を発現しにくくなる。
本発明で用いるプロピレン系樹脂(B)は、前記条件を満たしていればよく、1種類でも2種類以上の混合物でも良い。本発明で用いるポリプロピレン系樹脂(B)は、市販のものを制限無く用いることができる。市販品の例としては、日本ポリプロ(株)製ウィンテックが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂(B)には、必要に応じて、本発明の効果を著しく損なわない範囲で他の付加的任意成分を添加してもよい。例えば、通常のオレフィン樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光造白剤等を挙げることができるが、これらに限定されることは無い。
また、発明の効果を損なわない範囲で、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー等を混合することもできる。
前記付加成分の市販されているものの例としては、例えばエチレン・α−オレフィン共重合体としては日本ポリエチレン(株)製カーネルシリーズやノバテックLLシリーズが、オレフィン系エラストマーとしては、三井化学(株)製タフマーPシリーズやタフマーAシリーズ、JSR(株)製EPシリーズやEBMシリーズが例示できる。また、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体としては日本ポリプロ(株)製ノバテックPPシリーズやニューコンシリーズなどが例示できる。
(3)プロピレン系樹脂(C)
本発明の積層体に用いるプロピレン系樹脂(C)は、前記樹脂(B)よりも融点の高い、下記特性(C1)〜(C2)を有するプロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体もしくはプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体から選ばれる結晶性ポリプロピレンである。
(C1)メルトフローレート(MFR)
プロピレン系樹脂(C)のメルトフローレート(MFR)は、0.1〜100g/10分であり、好ましくは0.5〜20g/10分であり、より好ましくは1〜15g/10分である。MFRが0.1g/10分未満では押出し負荷が高くなりやすく、また、積層体において他層との界面におけるいわゆる界面あれが発生し、積層体の外観が悪化しやすくなる。一方、MFRが100g/10分を超えると積層体の厚み精度が悪化しやすくなる。
ここで、MFRは、JIS K−7210−1995に準拠し、230℃、荷重21.18N荷重で測定する値である。
(C2)融解ピーク温度(Tm)
プロピレン系樹脂(C)の融解ピーク温度(Tm)は、130〜168℃であり、好ましくは135〜168℃、より好ましくは140〜168℃、特に好ましくは150℃を超え168℃以下である。融解ピーク温度が130℃未満では加熱殺菌処理を施す場合耐熱性が不足し、形状の保持が困難になりやすい。一方、融解ピーク温度が168℃以上のものは、実質的に製造が困難である。
ここで、融解ピーク温度(Tm)は、示差走査型熱量計(セイコー社製DSC)を用いて測定して得たチャートに見られるピーク値であり、本発明で用いるプロピレン系樹脂(C)は、少なくとも一つのピークが130〜168℃に見られるものである。複数のピークが観測される場合は、高いほうのピークが130〜168℃にあればよい。
本発明で用いるプロピレン系樹脂(C)は、目的の物性を有するものが得られる限りにおいて、その重合方法や触媒について特に制限ない。例えば、重合方法としてはスラリー法、バルク法、気相法およびそれらの組み合わせなどの公知の方法が挙げられ、触媒としてはメタロセン触媒やチーグラーナッタ触媒が挙げられる。
本発明で用いるプロピレン系樹脂(C)は前記条件を満たしていればよく、1種類でも2種類以上の混合物でも良い。また、市販のものを制限無く用いることができる。市販品の例としては、日本ポリプロ(株)製ノバテックPPが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いるプロピレン系樹脂(C)には、必要に応じて、本発明の効果を著しく損なわない範囲で他の付加的任意成分を添加してもよい。例えば、通常のポリオレフィン樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光造白剤等を挙げることができるが、これらに限定されることは無い。
また、発明の効果を損なわない範囲で、もしくは意図的にヒートシール特性を制御する目的で高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー等を混合することもできる。
前記付加成分の市販されているものの例としては、例えば、エチレン・α−オレフィン共重合体としては日本ポリエチレン(株)製カーネルシリーズやノバテックLLシリーズが、オレフィン系エラストマーとしては、三井化学(株)製タフマーPシリーズやタフマーAシリーズ、JSR(株)製EPシリーズやEBMシリーズが例示できる。また、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体としては日本ポリプロ(株)製ノバテックPPシリーズやニューコンシリーズなどが例示できる。
2.積層体
本発明の積層体は、前記ポリエチレン系樹脂(A)からなる層A、前記ポリプロピレン系樹脂(B)からなる層B、および、前記ポリプロピレン系樹脂(C)からなる層Cが、この順序で積層されたものである。望ましくは、積層は接着剤を用いずに行なわれるのが良い。
接着剤を用いる方法としては押出ラミネート法、ドライラミネート法等が挙げられるが、残留溶剤の完全な除去が困難であり、食品、医薬品包装用途に用いた場合、内容物の安全性、臭気等の面で不利であり、尚且つ製造コストが上昇する問題がある。
また、本発明の積層体がこの順序(層A/層B/層C)で積層されていない場合、柔軟性、耐熱性およびヒートシールした場合、高いシール強度を発現するという本発明の目的を達成することができない。
本発明の積層体は、前記順序で積層されていればよく、層Aの外側や層Cの外側に他の樹脂層が積層されても良い。そのような積層体の具体例としては、A/B/C/B、A/B/C/B/A、A/B/C/B、A/B/C/B’、A/B/C/C’、B/A/B/C、A’/A/B/C、C/B/A/B/C、D/A/B/C、A/B/C/D、A/B/C/B/A等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ただし、ここで、A’、B’、C’は本発明に使用する樹脂A、B、Cと同類のものを指しており、Dは本発明に使用する樹脂A、B、C以外の樹脂を指す。
また、本発明の積層体は、プロピレン系樹脂(B)よりプロピレン系樹脂(C)の方が融解ピーク温度が高いものを用いることが必要であり、プロピレン系樹脂(C)の融解ピーク温度が135℃を超えることが望ましい。プロピレン系樹脂(C)の融解ピーク温度が、プロピレン系樹脂(B)より低いと、加熱殺菌処理を施した場合に、充分な耐熱性が得られない。
ここで、加熱殺菌処理とは、ボイル処理、レトルト処理、蒸気滅菌処理等を指すが、特にレトルト処理の場合、処理温度が135℃に達する場合があるため、耐熱性確保のため外層を構成するプロピレン系樹脂(C)は、融解ピーク温度が135℃を超えるものであることが望ましい。
積層方法としては、特に限定しないが、共押出法、接着剤を使用しない押出ラミネート法が好適で、特に共押出法が好ましい。
共押出による積層体の製造方法としては多層空冷インフレーション法、多層水冷インフレーション法、多層Tダイ法等の公知の方法が挙げられる。これらの方法は積層体の使用目的に応じて適宜選択することができる。例えば、製造コストを重視する場合は空冷インフレーション法を選択し、透明性を重視する用途の場合水冷インフレーション法を選択肢、厚み精度を重視したり、全体の厚みが100μm以上となる場合などはTダイ法を選択するなどが挙げられる。
本発明の積層体の厚みは、10〜5000μmが好ましい。また、各層の厚み比率は、所望の柔軟性、耐熱性により適宜選択できるが、各層が全体の5〜90%の範囲の厚みを有していることが好ましい。
さらに、本発明の積層体は、延伸されていても未延伸であってもよいが、実質的に未延伸であることが好ましい。
本発明の積層体は、印刷性、ラミネート適性、金属蒸着特性の付与や帯電防止剤などのフィルム表面への移行性を促進する目的で、通常工業的に採用されている方法によってコロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理等の表面処理も可能である。
さらに、本発明の積層体は、その他のフィルム、例えば、ポリプロピレン2軸延伸フィルム、未延伸および延伸ナイロンフィルム、延伸ポリテレフタル酸エチルフィルムやアルミニウム箔等と、ドライラミネーション法または押し出しラミネーション法等の方法で製造される複合積層体の一部としても好適に使用できる。
本発明の積層体は、柔軟性、耐熱性およびヒートシールした場合高いシール強度を発現するので、様々な包装材料に用いることができ、特に、食品、衣料、医薬、文具、雑貨などの包装用途に好適に用いることができる。
本発明の積層体を用いた包装材料の具体例としては、本発明の積層体もしくは前記複合積層体に加工した上で袋状、筒状に加工し、内容物を入れ、封入する方法が挙げられる。
より具体的には、本発明の積層体もしくは前記複合積層体をヒートシール、インパルスシール、溶断シール、超音波シール、接着剤等の公知の方法を用いてピロー袋、三方シール袋、スタンディングパウチ、スパウトパウチ等に代表される公知の包装体に加工して用いることが出来る。
本発明の積層体もしくは前記複合積層体のいずれかの層に印刷を施すことも意匠性を持たせる目的で一般的に行われることであり、本発明の積層体を用いた場合でも同様である。
包装体に封入されるものに特に制限は無い。様々な用途で固形物、半固形物、液状物をヒートシール、インパルスシール、溶断シール、超音波シール、接着剤等の公知の方法で封入するのが一般的である。封入後必要に応じて加熱殺菌処理等を施しても良い。また、開封後の再封入性を付与する目的でチャック加工などが施されることもある。
本発明の積層体は、優れた柔軟性、耐熱性、ヒートシール強度を併せ持つため、加熱殺菌処理用包装容器として有用であり、特に、食品包装用や医療用バックの加熱殺菌処理用包装容器として有用である。
以下、本発明の実施例によって、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例、比較例で用いた評価方法及び使用材料は、以下の通りである。
1.評価方法
(1)MFR(単位:g/10min):エチレン系樹脂は、JIS−K6922−2:1997付属書に準拠し190℃、21.18N荷重で測定し、プロピレン系樹脂は、JIS K−7210−1995に準拠し、230℃、荷重21.18N荷重で測定した。
(2)密度:エチレン系樹脂は、JIS−K6922−2:1997付属書の低密度ポリエチレンの場合に準拠して測定した。
(3)融解ピーク温度:示差走査型熱量計(セイコー社製DSC)を用い、サンプル量5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときの融解ピーク温度Tmを測定した。
(4)引張弾性率(単位:MPa):下記の条件にて、積層体の流れ方向(MD)および直交方向(TD)各々について測定し、積層体の柔軟性の尺度とした。引張弾性率の計算方法は、JIS K−7127−1989に準拠した。
サンプル長さ:150mm
サンプル幅:15mm
チャック間距離:100mm
クロスヘッド速度:1mm/min
(5)ヒートシール強度(単位:g/15mm):得られた積層体のコロナ処理面に東洋モートン(株)製AD−308と東洋モートン(株)製CAT−8Bと酢酸エチルを重量比で18:18:51の割合で混ぜ合わせた接着剤液を最終固形分量として3g/mとなるようグラビアロールにて塗布し、65℃にて20秒間乾燥させた後に片面にコロナ処理が施された厚み12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート製フィルムのコロナ処理面側と張り合わせ、貼合体を得た。得られた貼合体を40℃にて1日間エージング処理した後23℃にて7日間状態調整を行った後ヒートシール強度の測定に供した。5mm×200mmのヒートシールバーを用い、得られた貼合体のコロナ未処理面同士を200℃において、圧力2kg/cm、時間1秒のヒートシール条件下で溶融押出しした方向(MD)に垂直になるようにシールした試料から15mm幅のサンプルを切り取り、引張試験器を用いて引張速度500mm/分にて引き離し、その強度を求めた。
(6)耐熱性:得られた積層体を160mm×160mmに切出したもの2枚を用意し、積層体のコロナ未処理面同士が内側になるよう重ねあわせ、インパルスシーラーにて各々端から約5mmの位置で三方をシールし、一方の口が開いた袋を作成した。作成した袋に蒸留水500mlを入れ、気泡が入らないようにインパルスシーラーを用いて端から約5mmの位置で開口部をシールした。得られた蒸留水入りの袋を蒸気滅菌装置にて121℃30分間加熱処理を行い、その袋の形状変化を次の基準で評価した。
○:形状の変化が殆ど認められない
×:形状の変化あり(袋の形態は残す。皺の発生等)
××:原型をとどめない
2.使用材料
(1)エチレン系樹脂
(i)LL1(メタロセン触媒により重合されたエチレン−1ヘキセン共重合体):日本ポリエチレン(株)製カーネルKF271(MFR2.4g/10分、密度0.913g/cm
(ii)LL2(チーグラー触媒により重合されたエチレン−1ブテン共重合体):日本ポリエチレン(株)製ノバテックLL UF240(MFR2.1g/10分、密度0.920g/cm
(2)プロピレン系樹脂
(i)PP1(メタロセン触媒で重合したプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体):日本ポリプロ(株)WFX4T(融解ピーク温度Tm:124.3℃、MFR:7.2g/10分)。
(ii)PP2(メタロセン触媒で重合したプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体):日本ポリプロ(株)WFW4(融解ピーク温度Tm:134.7℃、MFR:6.2g/10分)
(iii)PP3(メタロセン触媒で重合したプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体):日本ポリプロ(株)WMB3(融解ピーク温度Tm:141.7℃、MFR:8.3g/10分)99重量部と高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製HJ490)1重量部のブレンド混合物
(iv)PP4(チーグラー触媒で重合したプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体):日本ポリプロ(株)FG4(融解ピーク温度Tm:142.0℃、MFR:6.9g/10分)
(3)その他の成分
(i)MB1:(アンチブロッキング剤、滑剤マスターバッチ)日本ポリエチレン(株)製カーネルKMB243
(実施例1)
プロピレン系樹脂(B)として、PP1をプラコー社製20mmφ、35mmφ、20mmφ三種三層Tダイ成形機の35mmφ押出機(中間層用)に投入し、エチレン系樹脂(A)として、LL1 96重量%とMB1 4重量%からなる樹脂混合物をチルロール面側の20mmφ押出機に投入し、プロピレン系樹脂(C)として、PP4をエアナイフ面側の20mmφ押出機に投入し、押出温度220℃で幅300mmのTダイから溶融押出し、40℃に調整された直径300mmのチルロールに巻き付けながら冷却固化し、毎分4mの速度で厚さ60μmのキャストフィルムを表面層1(層C):中間層(層B):表面層2(層A)の厚み比率が1:1:10となるように製造した。引き続きフィルムのエアナイフ面に成形直後のJIS K6768による濡れ張力が42mN/mとなるようにコロナ処理を施し、このコロナ処理面を表面層1(層C)、反対面を表面層2(層A)とし、積層体フィルムの物性を測定した。表1に積層体の評価結果を示す。
(実施例2)
実施例1のプロピレン系樹脂(B)(中間層用樹脂)において、PP1をPP2に代えた以外は実施例1と同様な操作を行い、積層体を得、その物性を測定した。表1に積層体の評価結果を示す。
(実施例3)
(B)実施例1のプロピレン系樹脂(中間層用樹脂)において、PP1をPP3に代えた以外は実施例1と同様な操作を行い、積層体を得、その物性を測定した。表1に積層体の評価結果を示す。
(比較例1)
実施例1のプロピレン系樹脂(C)(表面層1用樹脂)において、PP4をPP1に代えた以外は実施例1と同様な操作を行い、積層体を得、その物性を測定した。表1に積層体の評価結果を示す。プロピレン系樹脂(C)の融解ピーク温度が130℃未満であったため、耐熱性が不足した。
(比較例2)
実施例1のプロピレン系樹脂(B)(中間層用樹脂)において、PP1をPP4に代えた以外は実施例1と同様な操作を行い、積層体を得、その物性を測定した。表1に積層体の評価結果を示す。プロピレン系樹脂(B)がメタロセン触媒により製造されたものではなかったため、エチレン系樹脂(A)からなる層との層間強度が低下し、結果としてヒートシール強度が低下した。
(比較例3)
実施例3のエチレン系樹脂(A)(表面層2用樹脂)において、LL1をLL2に代えた以外は実施例3と同様な操作を行い、フィルムを得、その物性を測定した。表1にフィルムの評価結果を示す。エチレン系樹脂(A)がメタロセン触媒により製造されたものではなかったため、プロピレン系樹脂(B)からなる層との層間強度が低下し、結果としてヒートシール強度が低下した。
(比較例4)
実施例1のプロピレン系樹脂(B)(中間層用樹脂)およびプロピレン系樹脂(C)(表面層1用樹脂)において、各々をLL1 96重量%とMB1 4重量%からなる樹脂混合物に代えた以外は実施例1と同様な操作を行い、積層体を得、その物性を測定した。表1に積層体の評価結果を示す。プロピレン系樹脂(B)およびプロピレン系樹脂(C)を積層しなかったため、耐熱性が大幅に悪化した。
(比較例5)
比較例2のエチレン系樹脂(A)(表面層2用樹脂)において、LL1 96重量%とMB1 4重量%からなる樹脂混合物をPP4に代えた以外は比較例2と同様な操作を行い、積層体を得、その物性を測定した。表1に積層体の評価結果を示す。エチレン系樹脂(A)を積層しなかったため、柔軟性が大幅に悪化した。
Figure 2007245453
本発明の積層体は、優れた柔軟性、耐熱性、ヒートシール強度を併せ持つため、加熱殺菌処理用包装容器として有用であり、特に、食品包装用や医療用バックの加熱殺菌処理用包装容器として有用である。

Claims (6)

  1. 下記エチレン系樹脂(A)よりなる層A、下記プロピレン系樹脂(B)よりなる層B、該樹脂(B)よりも融点の高い下記プロピレン系樹脂(C)よりなる層Cがこの順序で積層されることを特徴とする積層体。
    (A)エチレン系樹脂:メタロセン触媒を用いて重合され、かつ下記(A1)〜(A2)の特性を有するエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体
    (A1)メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)が0.1〜50g/10分
    (A2)密度が0.860〜0.930g/cm
    (B)プロピレン系樹脂:メタロセン触媒を用いて重合され、かつ下記(B1)〜(B2)の特性を有する結晶性ポリプロピレン
    (B1)メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)が1〜100g/10分
    (B2)融解ピーク温度(Tm)が100〜160℃
    (C)プロピレン系樹脂:プロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体から選ばれる下記特性(C1)〜(C2)の特徴を有する結晶性ポリプロピレン
    (C1)メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)が0.1〜100g/10分
    (C2)融解ピーク温度(Tm)が130〜168℃
  2. プロピレン系樹脂(B)の融解ピーク温度(Tm)が110〜142℃であり、プロピレン系樹脂(C)の融解ピーク温度(Tm)が140〜168℃であることを特徴とする請求項1記載の積層体。
  3. 層A、層Bおよび層Cを接着剤を用いずに積層されることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 実質的に未延伸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 積層体の全厚みが10〜5000μmであり、各層が全体の5〜90%の範囲の厚みを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体を用いることを特徴とする加熱殺菌処理用包装容器。
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JP2017217869A (ja) * 2016-06-09 2017-12-14 日本ポリプロ株式会社 積層体の製造方法

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