JP2021035771A - 積層フィルム及び食品包装袋 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の積層フィルムに使用する表面層(A)は、包装用フィルムの印刷が設けられる層等の表層を構成する層である。当該表面層はプロピレン系樹脂を主たる樹脂成分として含有し、当該プロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体(プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体)等を使用できる。
本発明の積層フィルムの中間層(B)は、プロピレン系樹脂を含有し、さらに、メルトフローレートが1.5g/10min以上の植物由来のバイオマスポリエチレン(b1)を含有する層である。当該中間層を使用することで、良好なヒートシール性や広範な温度域での好適な溶断シール性と共に、好適な耐衝撃性や耐破袋性を有する積層フィルムを得ることができる。
本発明に使用するシール層(C)は、積層フィルムのシール層同士の接着や、積層フィルムと他の容器やフィルム等との接着に使用する層である。当該シール層は、使用態様や被シール対象に応じて、好適なシール強度が得られる樹脂種を適宜選択すればよい。例えば、シール層同士をシールして包装袋として使用する場合には、適度なシール強度が得られる点から、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体等のプロピレン−α−オレフィン共重合体、1−ブテン−プロピレン共重合体等のα−オレフィン−プロピレン共重合体を含有するシール層を好適に使用できる。なかでも、低温での易開封シール時のヒートシール温度や強度の調整が容易で、ヒートシール温度幅が広く、易開封シールとして適度なヒートシール強度を得やすいことから、プロピレン−1−ブテン共重合体又は1−ブテン−プロピレン共重合体等のブテン系樹脂が好ましい。
本発明の積層フィルムは、少なくとも上記の表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)を有する積層フィルムであり、積層フィルムの一方の表層が表面層であり、他方の表層がシール層からなる積層フィルムである。当該構成の積層フィルムは、広範な温度域でも好適な溶断シール強度を有し、かつ、耐衝撃性や耐破袋性に優れることから、各種包装用のフィルムとして好適に使用できる。
表面層、中間層及びシール層の各層を形成する樹脂成分として、各々下記の樹脂を使用して、各層を形成する樹脂混合物を調整した。これら混合物を3台の押出機に各々供給し、表面層/中間層/シール層にて形成される積層フィルムの各層の平均厚さが7/18/5μmとなるように共押出して、厚さ30μmの積層フィルムを成形した。次いで、得られた積層フィルムの表面層に、表面エネルギーが33mN/mになるようにコロナ放電処理を施して、積層フィルムを得た。
中間層:プロピレン単独重合体(密度:0.90g/cm3、MFR:7.5g/10分)(以下、HOPP(1)と称する。)65質量部と、プロピレン−エチレン共重合体(エチレン含量:5.2%、密度:0.90g/cm3、MFR:5.4g/10分間)(以下、COPP(2)と称する。)10質量部と直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.905g/cm3、MFRI:4.0g/10分間)(以下、LLDPE(1)と称する。)15質量部、そして、バイオポリエチレンであるサトウキビ由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂のBraskem社SLL318(密度:0.918g/cm3、MFR=2.7g/10分)(以下、バイオPE(1)と称する。)10質量部の樹脂混合物
シール層:COPP(2)70質量部、1−ブテン−プロピレン共重合体(密度:0.90g/cm3、MFR(測定温度230℃):4g/10分間)30質量部
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:HOPP(1)65質量部、COPP(2)10質量部、LLDPE(1)15質量部、バイオポリエチレンであるサトウキビ由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂のBraskem社SLH218(密度:0.916g/cm3、MFR=2.3g/10分)(以下、バイオPE(2)と称する。)10質量部
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:HOPP(1)60質量部、COPP(2)15質量部、LLDPE(1)10質量部、バイオPE(1)15質量部
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:HOPP(1)55質量部、COPP(2)20質量部、LLDPE(1)10質量部、バイオPE(2)15質量部
表面層及び中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とし、表面層/中間層/シール層にて形成される積層フィルムの各層の平均厚さが7/18/5μmとなるように共押出しした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを成形した。
表面層:プロピレン−エチレンブロック共重合体(密度:0.90g/cm3、MI:8g/10分間、融点160℃)(以下、プロピレン系ブロック共重合体(1)と称する)100質量部
中間層:COPP(2)35質量部、プロピレン−エチレンブロック共重合体(密度:0.90g/cm3、MI:6g/10分間、融点160℃)(以下、プロピレン系ブロック共重合体(2)と称する)40質量部、LLDPE(1)10質量部、バイオPE(1)15質量部
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:COPP(2)35質量部、プロピレン系ブロック共重合体(2)40質量部、LLDPE(1)10質量部、バイオPE(2)15質量部
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:COPP(2)35質量部、プロピレン系ブロック共重合体(2)35質量部、LLDPE(1)10質量部、バイオPE(1)20質量部
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:COPP(2)35質量部、プロピレン系ブロック共重合体(2)40質量部、LLDPE(1)5質量部、バイオPE(2)20質量部
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:HOPP(1)65質量部、COPP(2)10質量部、LLDPE(1)15質量部、バイオポリエチレンであるサトウキビ由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂のBraskem社SLL118(密度:0.918g/cm3、MFR=1.0g/10分)(以下、バイオPE(3)と称する。)10質量部
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:HOPP(1)60質量部、COPP(2)15質量部、LLDPE(1)10質量部、バイオPE(3)15質量部
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:COPP(2)35質量部、プロピレン系ブロック共重合体(2)40質量部、LLDPE(1)10質量部、バイオPE(3)15質量部
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:COPP(2)35質量部、プロピレン系ブロック共重合体(2)35質量部、LLDPE(1)10質量部、バイオPE(3)20質量部
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:HOPP(1)75質量部、COPP(2)15質量部、LLDPE(1)10質量部
実施例及び比較例にて得られたフィルムの23℃における1%接線モジュラス(単位:MPa)を、ASTM D−882に基づき、テンシロン引張試験機〔株式会社エー・アンド・デー製〕を用いて測定した。測定はフィルム製造時の押出方向(以下、「MD」という)及びフィルム幅方向(以下、「CD」という)にて実施した。
◎:剛性が600MPa以上
○:剛性が550MPa以上600MPa未満
△:剛性が450以上550MPa未満
×:剛性が450Mpa未満
実施例及び比較例にて得られたフィルムのシール層を内側にしてフィルムを半折後、底部にガセットを入れて、シール温度(製袋温度)300℃で溶断シールして製袋(製袋機:トタニ技研工場(株)製HK−40、製袋速度:120枚/分)して底ガゼット袋(縦:345mm(サイド部:245mm、ガゼット部:60mm)、横235mm)を作製し、製袋適性を評価した。また、300枚を1組として、付き揃えて束にしてまとめ、付き揃え性を評価した。
○:120ショットの製袋速度でもフィルムが追随し、付き揃え性も問題ない
△:120ショットの製袋速度でもフィルムは追随するが、一部付き揃え性が問題となる
×:120ショットの製袋速度に追随出来ないものがあり、付き揃え性が悪い
実施例及び比較例にて得られたフィルムを用いて上記製袋適性評価と同様にして底ガゼット袋を作製した。得られた底ガゼット袋5枚の両側のガゼット部中央と、ガゼット以外のサイド部の中央から、それぞれ長さ70mm、幅15mmの試験片を、溶断シール部が長さ方向の中央部となるよう10枚ずつ切り出して、23℃、引張速度300mm/分でテンシロン引張試験機((株)エー・アンド・デー製)で引っ張った際の最大荷重を溶断強度として測定した。溶断シールのシール温度(製袋温度)を260℃〜360℃の範囲で20℃毎に変更して同様の測定を行った。
◎:ガゼット部及びサイド部の溶断強度がいずれも16N/15mm以上
○:ガゼット部及びサイド部の溶断強度がいずれも15N/15mm以上16N/15mm未満
○△:ガゼット部及びサイド部の溶断強度がいずれも14.5N/15mm以上15N/15mm未満
△:ガゼット部及びサイド部の溶断強度がいずれも13N/15mm以上14.5N/15mm未満
×:ガゼット部及びサイド部の少なくとも一方の溶断強度が13N/15mm未満
実施例及び比較例にて得られたフィルムを用いて上記製袋適性評価と同様にして底ガゼット袋を作製した。得られた底ガゼット袋の開口部上端から下に50mmの部分と開口部と平行にヒートシーラー(テスター産業(株)製:圧力0.2MPa、時間1秒間、シール温度:上部シールバー95℃,下部シールバー50℃、シールバー形状:300m×10mmの平面)でヒートシールした。得られた底ガゼット袋5枚のヒートシール部から、それぞれ長さ70mm、幅15mmの試験片を、ヒートシール部が幅方向の中央部となるよう2枚ずつそれぞれ10枚ずつ切り出して、23℃、引張速度300mm/分でテンシロン引張試験機((株)エー・アンド・デー製)で引き剥がすときの最大荷重をヒートシール強度として測定した。
○:ヒートシール強度が5N/15mm未満であり、引き剥がした際のフィルム破れ無し
×:ヒートシール強度が5N/15mm以上、又は、引き剥がした際のフィルム破れあり
実施例及び比較例にて得られたフィルムを、0℃下に調整した恒温室内で6時間保持した後、直径1.5インチの球状の金属性の衝撃頭を用いてフィルムインパクト法による衝撃強度を測定した。
◎:衝撃強度が0.20以上
○:衝撃強度が0.15(J)以上0.20未満
△:衝撃強度が0.1(J)以上0.15未満
×:衝撃強度が0.1(J)未満
Claims (17)
- 表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)が積層された無延伸の積層フィルムであって、
前記表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)がプロピレン系樹脂を含有し、
前記表面層(A)が、プロピレン系ブロック共重合体樹脂を、表面層(A)に含まれる樹脂成分中の50質量%以上含有し、
前記中間層(B)が植物由来のバイオマスポリエチレン(b1)を含有し、
前記バイオマスポリエチレン(b1)のメルトフローレートが1.5g/10min以上、密度が0.916g/cm3以上0.925g/cm3以下であり、
前記中間層(B)に含まれる樹脂成分中のバイオマスポリエチレン(b1)の含有量が5質量%以上60質量%以下であることを特徴とする積層フィルム。 - 前記中間層(B)が、化石燃料由来のポリエチレン(b2)を含有し、前記化石燃料由来のポリエチレン(b2)の密度が0.915g/cm3以下であり、
前記中間層(B)に含まれる樹脂成分中の化石燃料由来のポリエチレン(b2)が3質量%以上30質量%以下である請求項1に記載の積層フィルム。 - 前記中間層(B)が、プロピレン系ブロック共重合体樹脂を中間層(B)に含まれる樹脂成分中の30質量%以上含有する請求項2に記載の積層フィルム。
- 前記中間層(B)が、プロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂を中間層(B)に含まれる樹脂成分中の25質量%以上40質量%以下含有する請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記中間層(B)に含まれる樹脂成分中のバイオマスポリエチレン(b1)と化石燃料由来のポリエチレン(b2)の総含有量が25質量%以上45質量%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記バイオマスポリエチレン(b1)のメルトフローレートが2.3g/10min以上2.7g/10min以下である請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記バイオマスポリエチレン(b1)の密度が0.916g/cm3以上0.918g/cm3以下である請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記バイオマスポリエチレン(b1)が直鎖低密度ポリエチレンである請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記中間層(B)に含まれる樹脂成分中のバイオマスポリエチレン(b1)の含有量が15質量%以上60質量%以下である請求項1〜8のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記表面層(A)が、プロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂を、表面層(A)に含まれる樹脂成分中の50質量%以上含有する請求項1〜9のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記中間層(B)が、プロピレン単独重合体を中間層(B)に含まれる樹脂成分中の30質量%以上含有する請求項10に記載の積層フィルム。
- 前記中間層(B)が、プロピレン系ブロック共重合体樹脂を、中間層(B)に含まれる樹脂成分中の15質量%以上含有する請求項7に記載の積層フィルム。
- 前記シール層(C)が、プロピレン−エチレン共重合体樹脂及びブテン系樹脂を含有する請求項1〜12のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記化石燃料由来のポリエチレン(b2)のメルトフローレートが3g/10min以上10g/10min以下である請求項2〜13のいずれかに記載の積層フィルム。
- 請求項1〜14の何れかに記載の積層フィルムを使用した食品包装袋。
- ガゼット部を有する請求項15に記載の食品包装袋。
- パン包装に使用する請求項15又は16に記載の食品包装袋。
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