JP2014117486A - 滅菌包装袋用積層体および滅菌包装袋 - Google Patents

滅菌包装袋用積層体および滅菌包装袋 Download PDF

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Abstract

【課題】 滅菌包装袋として適当な強度、及び透湿性を有し、衛生性に優れる滅菌包装袋用積層体および滅菌包装袋を提供する。
【解決手段】 ポリプロピレンを主成分とする多孔質基材層1と、前記多孔質基材の一方の面に積層された熱可塑性ポリマーを主成分とする多孔質ヒートシール層2とを備えた滅菌包装袋用積層体10であって、かつ、前記滅菌包装袋用積層体10の空隙率が、35%以上60%以下であることにより、上記課題を解決することができた。
【選択図】 図1

Description

本発明は滅菌包装袋用積層体および滅菌包装袋に関し、より詳しくは医療器具、医薬品等を入れてこれらを滅菌するための滅菌包装袋用積層体および滅菌包装袋に関する。
従来、医療分野において、鋏、ピンセット、注射器等の医療器具は滅菌処理を施された後、患者の診療や手術に供せられている。代表的な滅菌方法としては、医療器具を滅菌包装袋に収納し、開口部をヒートシールして密封して、オートクレーブ内で、水蒸気滅菌処理等を行うことができる。
滅菌包装袋は、例えば、合成樹脂製フィルムと、菌は透過させないが、水蒸気およびガスを透過させる紙または合成紙を重ね合わせ、上部に開口部を残して周辺をヒートシールしてなる滅菌包装袋がある。
上記の合成紙は、紙に代わる素材として、紙に似た不透明な外観および機能を有する合成樹脂を主原料としたものである。
例えば、特許文献1には、ポリエチレン樹脂を溶解し、合成繊維と同じように紡糸したエンドレスの繊維をランダムに並べ、部分的に熱接着させて繊維間結合を持たせた合成紙が開示されており、米国デュポン社の「タイべック」の商品名で販売され使用されている。
例えば、特許文献2には、基材層と紙状層とからなる合成紙が開示されており、この紙状層は、熱可塑性ポリマーに無機系充填剤を配合して延伸するので、紙状層には微細な空隙を含有している。
また、特許文献3では、ポリプロピレン系合成紙が開示されており、無機系充填剤が配合されたポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムを延伸するので、微細な空隙を含有する単層延伸フィルムまたは積層延伸フィルムが得られる。
特公昭48−32986号公報 特公昭46−40794号公報 特開2001−287321号公報
しかしながら、特許文献1で提案される合成紙では、ガス、水蒸気を透過させるものの、医療器具を取り出すために滅菌包装袋を開封する際、繊維の脱落により内容物が汚染される可能性があり、衛生上好ましくない。
また、その材質が高密度ポリエチレン製であるため128℃滅菌までは保証されているものの、耐熱性の安全性を鑑みて、オートクレーブ滅菌では通常、使用されていない。
また、特許文献2、3で提案される合成紙は、繊維の脱落を発生しないものの、オートクレーブ内で水蒸気を効率良く滅菌包装袋の内部に透過させて医療器具等の内容物を良好に滅菌させる要求を満足させることができていないのが現状である。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、滅菌包装袋として適当な強度を有し、かつガス透過性、水蒸気透過性を有し、衛生性に優れる滅菌包装袋用積層体および滅菌包装袋を提供することを主たる課題とする。
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、ポリプロピレンを主成分とする多孔質基材層と、前記多孔質基材層の一方の面に積層された、熱可塑性ポリマーを主成分とする多孔質ヒートシール層と、を備えた滅菌包装袋用積層体であり、前記滅菌包装袋用積層体の空隙率が、35%以上60%以下であることを特徴とする。
また、本発明は、前記滅菌包装袋用積層体が、少なくとも一軸方向に延伸されていることを含む。
また、本発明は、前記熱可塑性ポリマーが、エチレン−αオレフィン共重合体であることを含む。
また、本発明は、上記の積層体を備えていることを特徴とする滅菌包装袋を含む。
本発明によれば、滅菌包装袋として適当な強度、ガス透過性および水蒸気透過性を有し、衛生性に優れる滅菌包装袋用積層体および滅菌包装袋を得ることができる。
本発明の滅菌包装袋用積層体である一つの実施形態を示す断面図である。 滅菌包装袋である一つの実施形態を示す概略正面図である。 滅菌包装袋である他の実施形態を示す概略正面図である。 滅菌包装袋である更に他の実施形態を示す概略正面図である。
次に、発明の実施の形態について、詳述する。
図1(A)に本実施形態の滅菌包装袋用積層体である一つの実施形態を示す。本実施形態の滅菌包装袋用積層体10は、ポリプロピレンを主成分とする多孔質基材層1の一方の面に、熱可塑性ポリマーを主成分とする多孔質ヒートシール層2を積層して構成される。本実施形態の滅菌包装袋用積層体10は、微細な空隙を含有し、その空隙率が、35%以上60%以下であり、菌を通さないが、水蒸気やガスを透過する材料よりなる。
また、図1(B)に本実施形態の滅菌包装袋用積層体10である他の実施形態を示す。図1(B)に示すように、多孔質基材層1は、表面層側の多孔質基材層11および多孔質ヒートシール層側の多孔質基材層12の2層の積層構成からなる。本実施形態の滅菌包装袋用積層体10は、表面層側の多孔質基材層11の上に印刷層を形成するために、多孔質ヒートシール層2側の多孔質基材層12と同じ樹脂から構成されてもよい。
なお、本発明に係る積層体10は、上記の層構成に限定されず、図示しないが、表面層側の多孔質基材層11と、多孔質ヒートシール層側の多孔質基材層12と、多孔質ヒートシール層2との層間に接着層を必要に応じて形成することができる。
図2に滅菌包装袋である一つの実施形態を示す。本実施形態の滅菌用包装袋20は、菌を透過させないが、水蒸気およびガスを透過させる滅菌包装袋用積層体10と、菌、水蒸気およびガスを透過させない積層フィルム3とから構成される。
滅菌包装袋を構成する積層フィルム3は、外側から合成樹脂フィルムからなる基材層と、シーラント層を順次に積層する積層フィルムを基本構成とするものである。積層フィルム3は、必要に応じて、基材層とシーラント層との層間に、中間層として金属蒸着層等のガスや水蒸気のバリヤー性層や耐ピンホール性フィルム等を設けることができる。また、シーラント層の面同士のヒートシールが弱シールとなる、イージピール性シーラントフィルムを用いることができる。
滅菌包装袋20は、積層フィルム3を構成するシーラント層を内面にして折り曲げ、左右両端部の間に短冊状の菌を透過させないが水蒸気およびガスを透過させる滅菌包装袋用積層体10を内側に当てがい、滅菌包装袋用積層体10の左右両端を縁シール部4でヒートシールし、更に、底シール部をヒートシールして袋状にして、上方に開口部8を設けたものである。
なお、必要に応じて、底シール部に切断用のノッチ7を形成することができる。
図3に滅菌包装袋である他の実施形態を示す。
滅菌包装袋20は、菌、水蒸気およびガスを透過させない積層フィルム3の両側のサイドシール部6及び略V字状の底シール部5をヒートシールしてなり、上面に開口部を有する。
滅菌包装袋20を構成する一方のフィルムは、菌を透過させないが水蒸気およびガスを透過させる滅菌包装袋用積層体10の左右両端部を縁シール部4で、積層フィルム3の縁をそれぞれ重ね合わせてヒートシールされることにより構成されている。
図4に滅菌包装袋である更に他の実施形態を示す。
滅菌包装袋20は、表フィルム13または裏フィルム14のいずれか一方が、菌を透過させないが水蒸気およびガスを透過させる滅菌包装袋用積層体10からなり、他方が、菌、水蒸気およびガスを透過させない積層フィルム3からなり、表フィルム13または裏フィルム14の両側のサイドシール部6及び略V字状の底シール部5をヒートシールしてなり、上面に開口部を有する構成からなる。
以下、本実施形態の積層体10を構成する各層について、詳細に説明する。
<多孔質基材層>
本実施形態の滅菌包装袋用積層体を構成する多孔質基材層1は、ポリプロピレンを主成分とする多孔質基材層である。ポリプロピレンは、耐熱性、耐水性、耐薬品性、コスト面の面から好ましく用いることができる。ここで主成分とは多孔質基材層中に占めるポリプロピレンの質量比率が50%以上、好ましくは60%以上であるのが多孔質ヒートシール層との密着性、均質な多孔質基材層の形成において望ましい。
なお、多孔質基材層には、例えば、文字、図形、記号、絵柄、模様等の所望の印刷絵柄を通常のインキ組成物を使用してオフセット印刷あるいはグラビア印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、シルクスクリーン印刷、その他等の通常の印刷法で必要に応じて印刷が施されていてもよい。印刷層を多孔質基材層の表面に形成する場合、多孔質基材層は、単層に限定されず、必要に応じて2層から構成されてもよい。
(ポリプロピレン)
多孔質基材層1の主成分となるポリプロピレンとしては、プロピレン単独重合体でありアイソタクティックないしはシンジオタクティック及び種々の程度の立体規則性を示すポリプロピレン、プロピレンを主成分とし、これと、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1,4−メチルペンテン−1等のαオレフィンとの共重合体が好ましく使用される。これらの共重合体は、2元系でも3元系でも4元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。
多孔質基材層の厚みは100μm〜200μmの範囲であると、合成紙として扱う剛性があり、かつ強度を保つことができるので好ましい。100μmより薄いと、合成紙としての剛性がなく、強度に欠けるので好ましくない。また200μmを超えると滅菌用包装袋としてのシール性の熱伝導が悪いために不安定となり、コスト的に高価となってしまうため好ましくない。
<多孔質ヒートシール層>
本実施形態の滅菌包装袋用積層体を構成する多孔質ヒートシール層は、熱可塑性ポリマーを主成分とし、多孔質基材層に積層する層である。ここで主成分とは多孔質ヒートシール層中に占める熱可塑性ポリマーの質量比率が50%以上、好ましくは60%以上更に好ましくは70%以上であるのが多孔質基材層との密着性、均質な多孔質ヒートシール層の形成において望ましい。なお、多孔質ヒートシール層は、多孔質にする目的で使用するために、上記の多孔質基材層に用いる充填剤と同様の種類の充填剤を使用できる。
(熱可塑性ポリマー)
熱可塑性ポリマーは、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、あるいはポリプロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12等のポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ABS樹脂、アイオノマー樹脂等の熱可塑性ポリマーが挙げられる。
中でも、ポリエチレン系樹脂は、十分なヒートシール性を有するため、滅菌用包装材の相手方基材(包装袋の対面層)として用いることができるので好ましい。
かかるポリエチレン系樹脂の中でも、特にメタロセン触媒を用いて重合したエチレン−αオレフィン共重合体(直鎖状低密度ポリエチレン)が、プロピレン系樹脂を主成分とする多孔質基材層との層間接着性に優れるので好ましい。メタロセン触媒は、現行の触媒が、活性点が不均一でマルチサイト触媒と呼ばれているのに対し、活性点が均一であることからシングルサイト触媒とも呼ばれているものである。このメタロセン触媒は、メタロセン系遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物又はほう素化合物であり、無機物に担持されて使用されることもある。
メタロセン系遷移金属化合物は、元素の周期律表のIVA族から選ばれる遷移金属すなわちチタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)に、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基、テトラヒドロインデニル基、置換テトラヒドロインデニル基、フルオニル基、又は置換フルオニル基が1〜2個結合しているか、あるいは、これらのうち二つの基が共有結合で架橋したものが結合しており、他に水素原子、酸素原子、窒素原子、珪素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アセチルアセトナール基、カルボニル基、ルイス塩基を含む置換基、不飽和炭化水素などの配位子をもつものである。
有機アルミニウム化合物は、アルキルアルミニウム、又は鎖状あるいは環状アモキサンなどがある。アルキルアルミニウムとしては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムフルオリド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、エチルアルミニウムセスキクロリドなどがある。
鎖状あるいは環状アルミノキサンは、アルキルアルミニウムと水とを接触させて生成される。例えば、重合時にアルキルアルミニウムを加えておいた後に水を添加するか、あるいは錯塩の結晶水又は有機・無機化合物の吸着水とアルキルアルミニウムとを反応して得ることができる。
メタロセン触媒を担持させる無機物には、シリカゲル、ゼオライト、珪藻土がある。重合方法は、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、気相重合などがある。また、これらの重合は、バッチ式、連続式のいずれでもよい。重合の温度、圧力及び時間の条件は、−100℃〜25℃、1kg/cm2〜50kg/cm2、0.08時間〜10時間である。
エチレンと共重合するαオレフィンは、プロピレン、1−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン,デセンなどがある。これらのαオレフィンは、単独で用いてもよいし又は2種以上を組み合わせてもよい。
αオレフィンの混合比率は、通常0.5モル%〜70モル%、好ましくは10モル%〜50モル%である。この混合比率が10モル%未満であると、ポリプロピレン系樹脂との接着強度が得られないことがあり、またこの混合比率が50モル%を超えると粘性が高く、溶融押し出し製膜を行うとき粘性が高く、加工機にかかる負荷が大きいため加工が困難となる。
本実施形態のメタロセン触媒を用いて製造されるエチレン−αオレフィン共重合体は、メルトフローレートが1.0g/10min〜9.0g/10min、密度が0.930g/cm3を超えないものが好ましく、メルトフローレートが上記の範囲より大きいと、単独での製膜が困難であり、大量ロット生産に利用される共押出し製膜が必要となる。また、1.0g/10minより小さいと、流れ難く製膜ができないという問題がある。また、密度が0.930g/cm3以下のものは低温ヒートシールに優れるので好ましい。
多孔質ヒートシール層の厚みは10μm〜50μmの範囲が好ましい。10μmより薄いと、製膜作業が困難であり、また、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする多孔質基材層の層への接着性に欠けるので好ましくない。また50μmを超えると合成紙としての強度の不足を招くので好ましくない。
本実施形態の滅菌包装袋用積層体10を構成する多孔質基材層および多孔質ヒートシール層には、必要に応じて結露を防ぐために、例えばグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンブロックポリマー等の非イオン性界面活性剤、例えば、スルホン酸塩<Na、K、アンモニウム>、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の陰イオン性界面活性剤あるいは両イオン性界面活性剤などから1種あるいは複数種を混合して添加することができる。
また、多孔質基材層および多孔質ヒートシール層には、滑剤として、流動パラフィン、合成パラフィン、マイクロクリスタリンワックスなどの脂肪族炭化水素、直鎖アルコールのステアリン酸エステル、高級脂肪酸アマイドなどの滑剤を適宜に選択して添加することができる。
<滅菌包装用積層体10>
本実施形態の滅菌包装袋用積層体10は、上記したポリプロピレンを主成分とする多孔質基材層1と、上記した多孔質基材層1の一方の面に積層された、熱可塑性ポリマーを主成分とする多孔質ヒートシール層2とを備え、微細な空隙を含有するものである。本実施形態の滅菌包装袋用積層体10によれば、滅菌包装袋として適当な強度、ガス透過性および水蒸気透過性を有し、衛生性に優れる。
(空隙率)
本実施形態の滅菌包装袋用積層体10は、空隙率が35%以上60%以下であることを要する。ここで空隙率とは、積層体中に占める空隙の割合を示しており、下記式1により算出できる。
Figure 2014117486
(上式中、ρoは、積層体の真密度を示し、ρは積層体の密度<JIS P 8118に準拠>を示すが、延伸前の材料が多量の空気を含有するものでない限り、真密度は延伸前の密度にほぼ等しい。)
本実施形態の滅菌包装袋用積層体10は、上式で算出された空隙率が35%以上であることが、菌を通さないが、水蒸気やガスを透過する滅菌用包装材料としての機能を発現する上で好ましく、60%以下であることが、包装材としての強度を保持する上で好ましい。空隙率が35%未満であると、水蒸気の透過度が低くなるため滅菌用包装材料として使用できず、60%を超えると、包装材としての強度が不足する傾向にあるため好ましくない。
空隙率は、より好ましくは、40%〜58%である。
本実施形態の滅菌包装袋用積層体10は、その不透明度が70%〜100%(JIS Z 8722に準拠)であることが好ましい。70%未満では紙状の外観を視認出来ないため好ましくない。積層体10の密度は0.50g/cm3〜0.90g/cm3であることが好ましい。
(帯電防止剤)
本実施形態の滅菌包装袋用積層体10の各層を形成する樹脂には、必要に応じて、帯電防止剤を練り混むかあるいは塗布することができる。これら帯電防止剤としては、例えば、アミン、イミダゾリン、アミン酸化エチレン付加体、4級アンモニウム塩等のカチオン性帯電防止剤、ホスフェート、アルキルアリルホスホン酸、アジピン酸、グルタミン酸等のアニオン性帯電防止剤、多価アルコール、多価アルコールエステル、高級アルコールエチレンオキサイド付加体、ポリエーテル、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加体、脂肪酸のグリセリンエステル、脂肪酸アミドおよびそのエチレンオキサイド付加物等の非イオン性帯電防止剤、またカチオン基とアニオン基の両方を有する例えばアルキルアミンに無水マレイン酸を作用させたグアニジン塩、ポリエチレンイミンから誘導されるスルホン酸などの両性帯電防止剤等いずれも使用できるが、好ましくはアルキルジエタノールアミン、ヒドロキシアルキルモノエタノールアミン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルスルホン酸ソーダ、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、過塩素酸テトラアルキルアンモニウム塩等である。これらは熱可塑性樹脂のガラス転移点や、押し出し延伸等の加工条件により、1種を選択してこれを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また練り混みと塗布を同時に行っても良い。
(ピグメントコート)
本実施形態の滅菌包装袋用積層体10の各種の印刷適性をより一層向上させるために、少なくとも印刷がなされる側の面にピグメントコートを行なうことができる。
このようなピグメントコート剤としては、通常のコート紙に使用されるクレイ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、プラスチックピグメント、二酸化チタン、白土粉等のピグメント10質量%〜80質量%と、接着剤90質量%〜20質量%を含有するものを挙げることができる。またこの際に使用される接着剤としては、SBR(スチレン・ブタジエンラバー)、MBR(メタクリル・ブタジエンラバー)等のラテックス、アクリル系エマルジョン(アクリル酸エステル樹脂含有水溶液など)、澱粉、PVA(ポリビニルアルコール)、CMC(カルボキシメチルセルロース)、メチルセルロース等を使用することができる。更に、これら配合剤に、特殊ポリカルボン酸ナトリウム等の分散剤や、ポリアミド尿素系樹脂等の架橋剤、発泡防止剤、耐水化剤、潤滑剤、蛍光塗料等を配合することができる。これらピグメントコート剤は、一般に5質量%〜90質量%、好ましくは35質量%〜65質量%の固形分濃度の水溶性塗布剤として使用される。
上記のピグメントコートを多孔性基材層にコーティングする手段としては、具体的には、グラビアコート法、メイヤーバーコート法、ロールコート法、ブレードコート法、サイズプレスコート法、ホットメルトコート法等の形成方法を使用できる。塗布量としては、0.1g/m2〜50g/m2、好ましくは1g/m2〜15g/m2である。その際のコート層の厚みは、0.05μm〜50μm、好ましくは0.5μm〜20μm、特に好ましくは5μm〜15μmの肉厚で多孔性基材層の片面または両面に形成される。
ピグメントコートの表面は必要によりカレンダー処理等によりプレススムージング処理を行っても良い。また塗布は必要により2回以上行っても良い。
<滅菌包装用袋>
本実施形態の滅菌用包装袋20は、特に制限しないが、以下にその一例について説明する。
本実施形態の滅菌用包装袋20は、上記した菌を透過させないが、水蒸気およびガスを透過させる滅菌包装袋用積層体10と、以下に説明する菌、水蒸気およびガスを透過させない積層フィルム3とから構成される。
(積層フィルム)
本実施形態の滅菌包装袋を構成する積層フィルム3は、菌、水蒸気、ガス等を透過しない性質等を有する材料を用い、オートクレーブ滅菌等の耐え得るものであることが必要であり、積層フィルムの基材層は、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のフィルムを単体の支持基材でもよく、あるいは二種以上の基材を組み合わせてなる複合基材等であってもよい。更には一軸延伸フィルムとの複合フィルムとして、引き裂き性のあるフィルムとしてもよい。また、耐熱性、強度等の面から二軸延伸フィルムでもよい。
そのフィルムの厚さとしては、5μm〜100μm位、好ましくは、7μm〜50μm位が望ましい。
積層フィルム3には、菌、水蒸気、ガスを透過しない性質を有すると共に、必要に応じて更に光を透過しない材料を使用することができ、例えば、アルミニウム等の金属蒸着、または、酸化アルミニウム、アルミニウムの酸化物、珪素酸化物等の透明な無機物を一種または二種以上の複合材料として蒸着して使用してもよく、ポリビニルアルコ−ル、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等の樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂をコーティングして使用してもよい。更に、上記の無機物からなる蒸着層と上記樹脂のコート層を組み合わせて使用してもよい。
無機酸化物の蒸着層は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などのPVD法、或いはプラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法などのCVD法により基材層上に形成することができ、その厚みは100Å〜1000Åの範囲が適当である。
本実施形態の積層フィルムの基材層には、例えば、文字、図形、記号、絵柄、模様等の所望の印刷絵柄を通常のインキ組成物を使用してオフセット印刷あるいはグラビア印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、シルクスクリーン印刷、その他等の通常の印刷法で必要に応じて印刷が施されていてもよい。
積層フィルムを構成するシーラント層としては、滅菌用包装袋の開口部を確実に密封すると共に、積層フィルムと積層体10とを熱接着するものであればよい。
中でも、イージピール性を有するものが、滅菌用包装袋内から内容物を取り出す際、開封しやすいので好ましい。例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプリピレン樹脂等の樹脂層を積層するか、または、変性ポリオレフィン系ヒートシール性接着剤、アクリル系ヒートシール性接着剤、ポリエステル系ヒートシール性接着剤、変性ポリエステル系ヒートシール性接着剤、エチルビニールアルコール系ヒートシール性接着剤、ポリビニルアルコール系ヒートシール性接着剤、酢酸ビニル系ヒートシール性接着剤、塩酸・酢酸ビニル共重合体系ヒートシール性接着剤、塩化ビニル系ヒートシール性接着剤、または、ポリエーテル系ヒートシール性接着剤等のコート剤を形成することができる。
上記の樹脂層の厚さとしては、10μm〜30μm位が好ましく、上記のコーティング材の膜厚は、1μm〜10μm程度形成することが好ましい。
上記のコーティング材の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、グラビアコート法、リバースコート法、キスコート法、ダイコート法、メタリングバーコート法等の形成方法を使用できる。
積層フィルムの各層を形成する樹脂には、本発明の目的の達成を阻害しない範囲で、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤等の添加剤を随時添加することができる。
次に、本実施形態のヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の方法で行
うことができる。
<滅菌包装用積層体の製造方法>
本実施形態の滅菌包装袋用積層体10の積層方法に関しては特に限定されず、公知の積層方法で積層することができる。
例えば、複数の押出機により溶融した樹脂をフィードブロックまたはマルチマニホールドにより一台のダイ内で積層してもよいし(共押し出し)、アンカーコート層を介して溶融押し出しラミネートにより積層してもよいし、エチレン酢酸ビニル系接着剤を介して積層してもよいし、ウレタン系接着剤を用いたドライラミネートにより積層してもよい。
延伸する場合には、公知の種々の方法が使用できる。例えば、縦方向一軸延伸、縦方向一軸多段延伸、横方向一軸延伸、縦横逐次二軸延伸、縦横同時二軸延伸、またはこれらの組合せ等により、一軸あるいは二軸方向に延伸される。これらは通常、多孔質基材層の主成分であるポリプロピレンおよび多孔質ヒートシール層の主成分である熱可塑性ポリマーの融点以下の温度にて延伸され、充填剤と熱可塑性ポリマーの界面で剥離が起こり、これが延伸により伝播し拡大することで微細な空隙が形成される。これら延伸と積層はいずれの組合せで行ってもよい。中でも、多孔質基材層を縦延伸した後、多孔質基材層や多孔質ヒートシール層を積層させてから横延伸加工をして積層体を製造させることにより、積層体に紙状の風合を出すことができるので好ましい。
(充填剤)
本実施形態の滅菌包装袋用積層体に用いる充填剤は、延伸によりフィルムに空隙を発生させて多孔質にする目的で使用するもので、充填剤の種類は特に限定されない。
無機系充填剤としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレイ、タルク、酸化珪素、珪藻土、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、などが挙げられ、これらは脂肪酸等で表面処理されていてもよい。中でも、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレイ、タルクが、安価で成形性が良く好ましい。なお、無機系充填剤の粒径が、通常0.01μm〜15μm、好ましくは0.01μm〜8μmのものが使用できる。
有機系充填剤としては、主成分であるポリプロピレンとは異なる種類の樹脂を選択することが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、メラミン、ポリエチレンサルファイト、ポリイミド、ポリエチルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイト、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリメチルメタクリレート、環状オレフィンの単独重合体や環状オレフィンとエチレンとの共重合体等で、融点が120℃〜300℃、ないしはガラス転移温度が120℃〜280℃を有するものを挙げることができる。
有機、無機ハイブリッド充填剤としては、例えば、基材粒子を有機シラン層と無機シラン層の多層構造のシリカ系充填剤等を挙げることができる。
上記の充填剤の中から1種を選択してこれを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。またその含有量は1質量%〜65質量%であることが好ましく、2質量%〜55質量%であることがより好ましい。
含有量が65質量%を越えると、縦延伸後に行う横延伸時に延伸フィルムが破断し易くなるため好ましくない。
<滅菌用包装の製造方法>
滅菌用包装袋の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、図2に示すように、積層フィルムを構成するシーラント層を内面にして折り曲げ、積層フィルムの左右の両端部の間に短冊状の積層体10を内側からあてがい、積層体10の左右両端を積層フィルムに重ね合わせた状態で、積層フィルムのシール部でシールして筒状にし、更に、底シール部をヒートシールして袋状にして滅菌用包装袋を製造することができる。
なお、滅菌用包装袋の底部は、スタンディングパウチ形状やガゼット形状にすることで、包装袋に自立性を持たせることができる。
本発明において、上記のようにして製造した滅菌用包装袋は、内容物を上端の開口部から収納し、上端部をヒートシールして密封後、滅菌処理を行うことができるものである。
内容物としては、例えば、医療器具、医薬品、注射器、カテーテル、ガーゼ、シート状コラーゲン等の医療分野において、滅菌処理が必要なものを収納することができる。
滅菌方法としては、オートクレーブを使用する水蒸気滅菌をする方法、エチレンオキサイドガス滅菌をする方法、放射線を照射する方法、プラズマ滅菌等その手段を問うものではない。
本発明における積層体10は、空隙率が35%以上60%以下であるため、滅菌用包装袋に備えると、水蒸気およびガスは透過するが、菌が内部に侵入しないように遮断するため、滅菌用包装袋内に、被滅菌処理物としての注射器等の内容物を収納し、しかる後、滅菌用包装袋の開口部をシールして、この状態で水蒸気滅菌等の滅菌処理をすると、短冊状の積層体10を介してガスや水蒸気等が滅菌用包装袋内に侵入して滅菌用包装袋内の注射器等の内容物を滅菌処理することができる。
次に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。
以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
なお、実施例及び比較例における「密度」はJIS K 7112に準拠して測定した値である。
(実施例1)
積層体を構成する多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層用樹脂組成物として、プロピレン単独重合体(日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックPP、MA−8、融点164℃)を69質量%、高密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックHD、HJ580、融点134℃、密度0.960g/cm3)11質量%、および、無機充填剤として平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末20質量%よりなる樹脂組成物を、押出機を用いて溶融混練した後、ダイより250℃でシート状に押出し、約50℃になるまでシートを冷却して、無延伸シートを得た。
次いで、この無延伸シートを約153℃に加熱したのち、ロール群の周速度を利用して縦方向に4倍延伸して、一軸延伸させた多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層を得た。
一方、積層体を構成する表面層側の多孔性基材層用樹脂組成物として、プロピレン単独重合体(日本ポリケム(株)製、商品名ノバテックPP、MA−3、融点165℃)52質量%、高密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名HJ580;密度0.950g/cm3)4質量%、無機系充填剤として平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末41質量%、平均粒径0.8μmの酸化チタン粉末3質量%よりなる組成物を別の押出機を用いて240℃で溶融混練した。この表面層側の多孔性基材層用樹脂組成物を上記で得られた一軸延伸させた多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層の表面にダイより押し出し、積層して、層構成、表面層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層からなる積層構成からなる多孔性基材層を得た。
更に、積層体を構成する多孔性ヒートシール層用樹脂組成物として、ヒートシール性樹脂層用ペレットメタロセン触媒を用いて製造したエチレン−αオレフィンとの共重合体(密度0.910g/cm3)75質量%、および、無機系充填剤として平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末25質量%よりなる樹脂組成物を、別の押出機を用い230℃で溶融混練させた後、これをダイによりシート状に押し出し、上記で得られた積層シートの多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層側の面に積層し、層構成、表面層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層からなる積層体を得た。
次いで、この表面層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層/ヒートシール層からなる積層シートをテンターオーブンに導き、155℃まで再加熱した後、横方向に7倍延伸し、引き続き164℃で熱セットした後、55℃まで冷却し耳部をスリットして、厚みを150μmの表面層側の多孔性基材層(30μm)/多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層(90μm)/多孔性ヒートシール層(30μm)の微細な空隙を含有する実施例1の積層体10を得た。この条件では、積層体10全体の空隙率は35%、不透明度92%であった。
(実施例2)
積層体を構成する多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層用樹脂組成物として、実施例1と同様の材料にて、プロピレン単独重合体を67質量%、高密度ポリエチレン10質量%、および、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末23質量%よりなる樹脂組成物を、押出機を用いて無延伸シートを得た。次いで、この無延伸シートを縦方向に4倍延伸して一軸延伸させた多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層を得た。
一方、積層体を構成する表面層側の多孔性基材層用樹脂組成物として、実施例1と同様の材料にて、プロピレン単独重合体52質量%、高密度ポリエチレン4質量%、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末41質量%、平均粒径0.8μmの酸化チタン粉末3質量%よりなる組成物を別の押出機を用いて溶融混練し、上記で得られた一軸延伸させた多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層の表面にダイより押し出し、積層して、層構成、表面層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層からなる積層構成からなる多孔性基材層を得た。
更に、積層体を構成する多孔性ヒートシール層用樹脂組成物として、実施例1と同様の材料にて、ヒートシール性樹脂層用ペレットメタロセン触媒を用いて製造したエチレンとαオレフィンとの共重合体75質量%、および、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末25質量%よりなる樹脂組成物を、別の押出機を用い230℃で溶融混練させた後、これをダイによりシート状に押し出し、上記で得られた積層シートのA層基材層側の面に積層し、層構成、表面層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層からなる積層シートを得た。
次いで、この表面層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層からなる積層シートを横方向に7倍延伸し、耳部をスリットして、厚みを150μmの表面層側の多孔性基材層(30μm)/多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層(90μm)/多孔性ヒートシール層(30μm)の微細な空隙を含有する実施例2の積層体10を得た。この条件では、積層体10全体の空隙率は40%、不透明度92%であった。
(実施例3)
積層体を構成する多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層用樹脂組成物として、実施例1と同様の材料にて、プロピレン単独重合体を65.5質量%、高密度ポリエチレン6.5質量%、および、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末28質量%よりなる樹脂組成物を、押出機を用いて無延伸シートを得た。次いで、この無延伸シートを縦方向に4倍延伸して、一軸延伸させた多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層を得た。
一方、積層体を構成する表面層側の多孔性基材層用樹脂組成物として、実施例1と同様の材料にて、プロピレン単独重合体51.5質量%、高密度ポリエチレン3.5質量%、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末42質量%、平均粒径0.8μmの酸化チタン粉末3質量%よりなる組成物を別の押出機を用いて溶融混練し、上記で得られた一軸延伸させた多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層の表面にダイより押し出し、積層して、層構成、表面層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層からなる積層構成からなる多孔性基材層を得た。
更に、積層体を構成する多孔性ヒートシール層用樹脂組成物として、実施例1と同様の材料にて、多孔性ヒートシール層用ペレットメタロセン触媒を用いて製造したエチレンとαオレフィンとの共重合体60質量%、および、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末40質量%よりなる樹脂組成物を、別の押出機を用い230℃で溶融混練させた後、これをダイによりシート状に押し出し、上記で得られた積層構成からなる多孔性基材層の多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層の面に積層し、層構成、表面層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層からなる積層シートを得た。
次いで、この表面層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層からなる積層体を横方向に7倍延伸し耳部をスリットして、厚みを150μmの表面層側の多孔性基材層(30μm)/多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層(90μm)/多孔性ヒートシール層(30μm)の微細な空隙を含有する実施例3の積層体10を得た。この条件では、積層体10全体の空隙率は55%、不透明度93%であった。
(実施例4)
積層体を構成する多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層用樹脂組成物として、実施例1と同様の材料にて、プロピレン単独重合体を63.5質量%、高密度ポリエチレン6.5質量%、および、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末30質量%よりなる樹脂組成物を、押出機を用いて無延伸シートを得た。次いで、この無延伸シートを縦方向に4倍延伸して、一軸延伸された多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層を得た。
一方、積層体を構成する表面層側の多孔性基材層用樹脂組成物として、実施例1と同様の材料にて、プロピレン単独重合体52.5質量%、高密度ポリエチレン3.5質量%、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末41質量%、平均粒径0.8μmの酸化チタン粉末3質量%よりなる組成物を別の押出機を用いて溶融混練し、上記で得られた一軸延伸された多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層の表面にダイより押し出し、積層して、層構成、表面層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層からなる積層構成からなる多孔性基材層を得た。
更に、積層体を構成する表面層側の多孔性基材層用樹脂組成物として、実施例1と同様の材料にて、多孔性ヒートシール層用ペレットメタロセン触媒を用いて製造したエチレンとαオレフィンとの共重合体75質量%、および、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末25質量%よりなる樹脂組成物を、別の押出機を用い230℃で溶融混練させた後、これをダイによりシート状に押し出し、層構成、表面層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層からなる積層シートを得た。
次いで、この表面層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層からなる積層シートを横方向に7倍延伸し耳部をスリットして、厚みを150μmの表面層側の多孔性基材層(30μm)/多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層(90μm)/多孔性ヒートシール層(30μm)の微細な空隙を含有する実施例4の積層体10を得た。この条件では、積層体10全体の空隙率は58%、不透明度93%であった。
(比較例1)
実施例1と同様の材料および条件にて、層構成、表面層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層からなる積層シートを得て、更に、横方向に延伸倍率を6倍とした条件で厚みを150μmの表面層側の多孔性基材層(30μm)/多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層(90μm)/多孔性ヒートシール層(30μm)の微細な空隙を含有する比較例1の積層体10を得た。この条件では、積層体全体の空隙率は30%、不透明度90%であった。
(比較例2)
積層体10を構成する多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層用樹脂組成物として、実施例1と同様の材料にて、プロピレン単独重合体を59質量%、高密度ポリエチレン6質量%、および、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末35質量%よりなる樹脂組成物を押出機を用いて無延伸シートを得た。次いで、この無延伸シートを縦方向に4倍延伸して、一軸延伸された多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層を得た。
一方、積層体10を構成する表面層側の多孔性基材層用樹脂組成物として、実施例1と同様の材料にて、プロピレン単独重合体53質量%、高密度ポリエチレン4質量%、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末40質量%、平均粒径0.8μmの酸化チタン粉末3質量%よりなる組成物を別の押出機を用いて240℃で溶融混練し、上記で得られた一軸延伸された多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層の表面にダイより押し出し、積層して、層構成、表面層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層からなる積層構成からなる多孔性基材層を得た。
更に、積層体10を構成する多孔性ヒートシール層用樹脂組成物として、実施例1と同様の材料にて、ヒートシール性樹脂層用ペレットメタロセン触媒を用いて製造したエチレンとαオレフィンとの共重合体75質量%、および、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末25質量%よりなる樹脂組成物を、別の押出機を用い230℃で溶融混練させた後、これをダイによりシート状に押し出し、上記で得られた積層シートの多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層側の面に積層し、層構成、表面層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層からなる積層体を得た。
次いで、この表面層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層/多孔性ヒートシール層からなる積層体を横方向に7.5倍延伸し、耳部をスリットして、厚みを150μmの表面層側の多孔性基材層(30μm)/多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層(90μm)/多孔性ヒートシール層(30μm)の微細な空隙を含有する比較例2の積層体10を得た。この条件では、積層体10全体の空隙率は65%、不透明度93%であった。
上記の各実施例と比較例の積層体10について、酸素透過度、水蒸気透過度および引張強度の測定を行なった。それらの測定条件及について、以下に説明する。
<酸素透過度の測定条件>
実施例1〜4、および、比較例1〜2で製造した積層体について、温度35℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXTRAN)〕にて、JIS K 7126Bに準じて測定した。
なお、表1中、酸素透過度の単位は、cc/m2・day・atmである。
<水蒸気透過度の測定条件>
実施例1〜4、および、比較例1〜2で製造した積層体について、温度40℃、湿度90%RHの条件で、JIS L 1099 A−1法(塩化カルシウム法)に準じて測定した。
なお、表1中、水蒸気透過度の単位は、g/m2・dayである。
<引張強度の測定条件>
実施例1〜4、および、比較例1〜2で製造した積層体10について、幅方向(TD)を引張強度JIS P 8113に準じて測定した。
なお、表1中、引張強度の単位は、kN/mである。
上記の酸素透過度、水蒸気透過度および引張強度の測定結果を表1に示す。
Figure 2014117486
上記の表1に示す結果より明らかなように、実施例1〜4の積層体は、いずれも酸素透過度および水蒸気透過度は良好であり、包装材として耐えうる引張強度があり、滅菌用包装材としての機能を奏することが判明した。これに対し、比較例1の積層体は、空隙率が35%未満のため、実施例1〜4の積層体の水蒸気透過度と比べて大きく落ち、一方、比較例2の積層体は、空隙率が60%を越えるため、実施例1〜4の積層体の引張強度と比べて不安定な状態であり、引張強度が1kN/mの部位もあった。
(実施例5)
<滅菌用包装袋の作製>
積層フィルムとして、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと、厚さ50μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを準備し、その両者を接着剤として、ウレタン樹脂系の2液混合型ラミネート接着剤(塗布量は3g/m2)を介して積層し、層構成、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/2液混合型ラミネート接着剤層/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(50μm)の積層フィルムを製造した。なお、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムには、予めコロナ処理層の上に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式により印刷を行った。
そして、実施例1の積層体の表層側に通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式により印刷を行った。
しかる後、実施例1の積層体を用い、上記で得られた積層フィルムを構成する直鎖状低密度ポリエチレンフィルム側が対向するようにして、実施例1の積層体の表面層側の多孔性基材層側と積層フィルムを構成する直鎖状低密度ポリエチレンフィルム側とを重ね合わせ、インパルスシーラーを用い、シール幅5mmで縁シール部をヒートシールして筒状にして、更に、底シール部をヒートシールして上部に開口部を有する図2に示すような本発明に係る滅菌包装袋20を製造した。
そして、得られた滅菌包装袋の開口部より、内容物としてハサミを収納し、開口部をヒートシールして密封し、包装体を製造した。
上記で得られた滅菌包装体をオートクレーブ滅菌機(東邦製作所製)に入れてから、121℃、40分の条件で包装袋内の水蒸気が積層体10を透過して放散されることにより滅菌処理を行った。
このようにして得られた滅菌処理済みの滅菌包装体は、オートクレーブによる殺菌が可能であり、内容物を包装した状態で3mの高さから落下させても包装材の破損が発生せず、印刷適性にも優れ、内容物を取り出す際、紙粉も発生せず、衛生性に優れるものであった。
1 多孔性基材層
11 表面層側の多孔性基材層
12 多孔性ヒートシール層側の多孔性基材層
2 多孔性ヒートシール層
3 積層フィルム
4 縁シール部
5 底シール部
6 サイドシール部
7 ノッチ
8 開口部
10 積層体
13 表フィルム
14 裏フィルム
20 滅菌包装袋

Claims (4)

  1. ポリプロピレンを主成分とする多孔質基材層と、
    前記多孔質基材層の一方の面に積層された、熱可塑性ポリマーを主成分とする多孔質ヒートシール層と、
    を備えた滅菌包装袋用積層体であり、
    前記滅菌包装袋用積層体の空隙率が、35%以上60%以下であることを特徴とする滅菌包装袋用積層体。
  2. 前記滅菌包装袋用積層体が、少なくとも一軸方向に延伸されていることを特徴とする請求項1に記載の滅菌包装袋用積層体。
  3. 前記熱可塑性ポリマーが、エチレン−αオレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の滅菌包装袋用積層体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の滅菌包装袋用積層体を備えていることを特徴とする滅菌包装袋。
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