JP6675609B2 - 菌床栽培袋用フィルム及び菌床栽培袋 - Google Patents

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Description

本発明は、菌床栽培袋用フィルム及び菌床栽培袋に関し、更に詳しくは、縦方向及び横方向の引裂性、耐突き刺し性に優れ、熱処理後も、縦方向及び横方向の引裂性に優れる多層フィルムで構成された菌床栽培袋用フィルム及び菌床栽培袋に関する。
キノコの栽培には、生産性の観点から菌床栽培による方法が用いられている。菌床栽培では、栽培するキノコの種類に合わせた種類の木を用いたおが屑等の木質基材と、米糠やミネラル分等の栄養源とを混ぜた菌床を調製し、適切な容器中で菌床に播種した種菌を培養する。菌床を充填する容器には瓶や平箱の他、特にシイタケやマイタケの栽培ではプラスチックフィルム製の袋が用いられる(特許文献1)。
袋詰めした後の菌床は、キノコの菌糸体や子実体に悪影響を与える害菌を滅菌する必要がある。しかし菌床栽培では薬剤による滅菌は認められていないので、例えば98℃で4時間以上熱を掛けることにより滅菌が行われる。このため、菌床栽培用の袋には、高い耐熱性が求められる。また、種菌の培養工程で菌床中に害菌が混入することを防ぐため、菌床栽培用の袋は、耐突き刺し性等の物理特性を有していることが望ましい。一方で、キノコの発生・育成工程では、種菌を培養した菌床を取り出すために袋を引きはがす必要があるが、作業性・安全性等の観点から、菌床栽培用の袋は、手で容易に引き裂ける易引裂性を有していることが求められる(特許文献2)。
従来の菌床栽培袋に用いられているプラスチックフィルムは、一般のポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が用いられており、その中でも、例えば、内容物を確実に保護し、ヒートシール性を有する容器として必要な特性付与の観点から、透明性、耐引裂性、低温ヒートシール性、ホットタック性、狭雑物シール性、ヒートシール強度、破袋強度、耐熱性等が優れたエチレン・α−オレフィン共重合体(LLDPE)の使用が提案されてきている。
しかしながら、LLDPEにおいては、エチレンと1−ブテンの共重合体であるエチレン・α−オレフィン共重合体(C4−LLDPE)は、易引裂性及びホットタック性の改善は充分でなく、内容物保護の点で十分でなかった。すなわち、菌床栽培用袋のように引裂開封を伴う用途においては、エチレン・α−オレフィン共重合体だけでは引裂強度、伸びが大きく、引裂開封がしにくいという欠点があり、必ずしも好適な材料とは言えなかった。
また、市販のエチレン・α−オレフィン共重合体(LLDPE)には加工性改良のため、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)が配合されていることが多い。この場合、縦方向には、引裂開封がしやすくなるものの、横方向には引裂開封がしにくいという欠点は依然としてあった。
一方、一般の包装袋に用いられている易引裂性包装袋に用いられるポリエチレン製フィルムにおいては、近年、このような欠点を改善するため、環状オレフィン系樹脂を用いることによりカット性を付与しようとする試みがなされている。
例えば、中間層が、環状オレフィン系樹脂層からなり、その表面に、それぞれ少なくとも1層ずつ設けられた線状中密度ポリエチレン及び/又は線状低密度ポリエチレン樹脂層とが積層された易カット性積層フィルム(特許文献3参照)、基材層/中間層/内層からなる積層体を基本構成とする包装用フィルムであって、中間層が直鎖状低密度ポリエチレン50ないし95重量%と環状オレフィンとα−オレフィンの共重合体5ないし50重量%からなる組成物によって構成され、内層が、特定の直鎖状低密度ポリエチレンの層からなることを特徴とする包装用フィルム(特許文献4参照)、特定の線状低密度ポリエチレンからなる外層、線状低密度ポリエチレン60〜90重量%と環状ポリオレフィン10〜40重量%との混合物からなる中間層及び特定の線状低密度ポリエチレンからなるヒートシール層を構成する内層が、順に積層されてなることを特徴とする透明性に優れた積層ポリオレフィンフィルム(特許文献5)、製膜可能なポリオレフィン系樹脂に環状ポリオレフィン系樹脂を3〜50重量%混合した混合樹脂からなるポリオレフィン系樹脂層を少なくとも有する包装フィルム(特許文献6)が知られている。
また、アイオノマー樹脂を組み合わせて使用することによりカット性を改善しようとする試みもなされている。
例えば、インフレーション法による共押出多層フィルム又はシートであって、少なくとも一つの層が、エチレン重合体あるいはこれを主体とする樹脂組成物の層からなり、他の少なくとも一つの層が、ポリオレフィン樹脂60〜20重量部及びアイオノマー樹脂40〜80重量部からなる樹脂組成物の層であることを特徴とする横及び/又は縦方向の引裂性に優れた多層フィルム又はシート(特許文献7参照)が知られている。
また、特定のポリエチレンからなる外層、環状オレフィン系樹脂60〜90重量%と特定の直鎖状低密度ポリエチレン10〜40重量%とからなる中間層及び密度が特定のポリエチレンからなる内層が、順に積層されてなることを特徴とする易引裂性多層フィルム(特許文献8)が提案されている。
特開平6−90622号公報 実用新案登録第3192358号公報 特開平11−129415号公報 特開平10−237234号公報 特開2004−284351号公報 特開2005−298055号公報 特開2005−144979号公報 特開2012−885号公報
しかし、特許文献2記載の菌床栽培袋は、袋の物性により易引裂性を付与するものではなく、開裂誘導部を設けて特定の部位で引き裂く機構を設けているものであり、単純な構造で容易に引裂きを可能にする点からは満足のいくものではなかった。また、特許文献3〜8のフィルム又はこれらのフィルムを用いてなる包装材には、加熱加圧滅菌処理すると、易引裂性が失われるという問題があった。菌床栽培用の袋では加熱による滅菌工程が必須であるので、熱処理後も易引裂性を有するフィルムが求められていた。また、フィルムは一般に膜厚が薄いため、害菌の混入防止の点から耐ピンホール性、特に耐突き刺し性に優れることが求められ、易引裂性との両立が望まれる。
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、縦方向及び横方向の引裂性、耐突き刺し性に優れ、熱処理後も、縦方向及び横方向の引裂性に優れる、菌床栽培用フィルム及び菌床栽培袋を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、袋状体を構成するプラスチックフィルムとして、特定の密度の高密度ポリエチレンを含む第I層、特定のガラス転移点を有する環状オレフィン系樹脂を特定量と他のポリエチレン系樹脂を特定量含む第II層、特定の密度の高密度ポリエチレンを含む第III層を有する多層フィルム、好ましくは更に、第I〜III層にエチレン・α−オレフィン共重合体を含有する多層フィルムにより、上記課題を解決することができることを見出した。それらの知見に、更に検討を重ね、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
[1]菌床収納用の袋状体を構成するための菌床栽培袋用フィルムであって、密度が0.945〜0.966g/cmの高密度ポリエチレン(a1)を含む第I層(A)、ガラス転移点が105℃以上の環状オレフィン系樹脂(b1)を20重量%〜90重量%と、他のポリエチレン樹脂を含む第II層(B)、及び、密度が0.945〜0.966g/cmの高密度ポリエチレン(c1)を含む第III層(C)の少なくとも3層を順に有する多層フィルムであることを特徴とする、菌床栽培袋用フィルム。
[2]前記環状オレフィン系樹脂(b1)が、エチレン・環状オレフィン共重合体であることを特徴とする前記[1]に記載の菌床栽培袋用フィルム。
[3]前記多層フィルムの、120℃60分の熱処理後の、JIS K7128−2に準拠して測定したエルメンドルフ引裂強度が、フィルムのTD方向において、1N/mm以上30N/mm未満であることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の菌床栽培袋用フィルム。
[4]前記第II層(B)の厚さが、前記多層フィルム全体の厚さを基準として、20〜70%であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか1に記載の菌床栽培袋用フィルム。
[5]前記多層フィルムが、密度が0.945〜0.966g/cmの高密度ポリエチレン(a1)を含む第I層(A)、
ガラス転移点が105℃以上の環状オレフィン系樹脂(b1)を20〜90重量%と、密度が0.945〜0.966g/cmの高密度ポリエチレン(b2)を10〜80重量%含む第II層(B)、及び、
密度が0.945〜0.966g/cmの高密度ポリエチレン(c1)を含む第III層(C)の少なくとも3層を順に有することを特徴とする、前記[1]〜[4]のいずれか1記載の菌床栽培袋用フィルム。
[6]前記多層フィルムが、密度が0.945〜0.966g/cmの高密度ポリエチレン(a1)とエチレン・α−オレフィン共重合体(a2)を含む第I層(A)、
ガラス転移点が105℃以上の環状オレフィン系樹脂(b1)を20〜90重量%と、密度が0.945〜0.966g/cmの高密度ポリエチレン(b2)と、エチレン・α−オレフィン共重合体(b3)を含む第II層(B)、及び
密度が0.945〜0.966g/cmの高密度ポリエチレン(c1)とエチレン・α−オレフィン共重合体(c2)を含む第III層(C)の少なくとも3層を順に有することを特徴とする、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の菌床栽培袋用フィルム。
[7]前記エチレン・α−オレフィン共重合体(a2)、(b3)及び(c2)の少なくとも1つがメタロセン触媒系エチレン・α−オレフィン共重合体であることを特徴とする前記[6]に記載の菌床栽培袋用フィルム。
[8]前記[1]〜[7]のいずれかに記載の菌床栽培袋用フィルムで構成された菌床収納用の袋状体を有する菌床栽培袋。
[9]前記[1]〜[7]のいずれかに記載の菌床栽培袋用フィルムで構成された菌床収納用の袋状体と、該袋状体の少なくとも一部に形成された通気孔と、該通気孔を被覆するフィルターとを有する菌床栽培袋。
本発明によれば、縦方向及び横方向の引裂性、耐突き刺し性に優れ、熱処理後も、縦方向及び横方向の引裂性に優れる多層フィルムを用いた菌床栽培袋用フィルム及び菌床栽培袋が提供され、キノコの栽培等の菌床栽培法の用途に有用である。
図1は、本発明に用いる耐熱性を有する易引裂性多層フィルムの一例の断面を示す概略図である。 図2は、本発明の菌床栽培袋用フィルムを用いた菌床栽培袋の一例を示す概略図である。
以下、本発明の耐熱性、耐突き刺し性、易引裂性を有する菌床栽培袋用フィルム及び菌床栽培袋について、項目ごとに詳細に説明する。
本発明の耐熱性、耐突き刺し性、易引裂性を有する菌床栽培袋用フィルムは、菌床栽培袋における菌床収納用の袋状体を構成するための菌床栽培袋用フィルムであって、少なくとも、下記I層、II層、III層の3層を順に有する多層フィルムで構成される。
すなわち、特定の高密度ポリエチレンを含む第I層、特定のガラス転移点を有する環状オレフィン系樹脂を特定量以上、好ましくは更に特定の高密度ポリエチレンを含む第II層、特定の高密度ポリエチレンを含む第III層を有し、場合により第I〜III層にエチレン・α−オレフィン共重合体を含有することを特徴とする。
また、本発明の菌床栽培袋は、前記耐熱性、耐突き刺し性、易引裂性を有する菌床栽培袋用フィルムで構成された袋状体と、該袋状体の少なくとも一部に形成された通気孔と、該通気孔を被覆するフィルターを含むことを特徴とする。
本明細書において「第III層」とは、多層フィルムを袋状体とした際に内側となる層(以下、「内層」ともいう。)であり、「第I層」とは、多層フィルムを袋状体とした場合に外側となる層(以下、「外層」ともいう。)であり、「第II層」とは第I層と第III層との間に設けられた層(以下、「中間層」ともいう。)である。これらの層は、「第III層」、「第II層」、「第I層」の順で内側から外側に配置されるが、相互に直接接触していてもよく、各層の上下に任意選択的な追加の層を設けることもできる。但し、そのような任意選択的な追加の層は、本発明が解決しようとする課題の解決を妨げないように選択されなければならない。
1.耐熱性、耐突き刺し性、易引裂性を有する多層フィルムを構成する層
(1)第II層
本発明のフィルムにおける第II層は、ガラス転移点が105℃以上の環状オレフィン系樹脂(b1)を20〜90重量%と、他のポリエチレン系樹脂を含有することを特徴とし、好ましい態様としては、ガラス転移点が105℃以上の環状オレフィン系樹脂(b1)を20〜90重量%と、密度が0.945〜0.966g/cmの高密度ポリエチレン(b2)を10〜80重量%含有するか、又はガラス転移点が105℃以上の環状オレフィン系樹脂(b1)を20〜90重量%と、密度が0.945〜0.966g/cmの高密度ポリエチレン(b2)とエチレン・α−オレフィン共重合体(b3)とを含む層であり、好ましくは、ガラス転移点が105℃以上の環状オレフィン系樹脂(b1)20〜90重量%と、密度が0.945〜0.966g/cmの高密度ポリエチレン(b2)5〜80重量%と、エチレン・α−オレフィン共重合体(b3)0〜65重量%とを含むことを特徴とする。105℃以上の環状オレフィン系樹脂が20重量%未満であると十分な易引裂性、耐突き刺し性が得られない恐れがあり好ましくない。
(a)環状オレフィン系樹脂(b1)
本発明の耐熱性を有する易引裂性フィルムの第II層で用いる環状オレフィン系樹脂(b1)としては、例えば、ノルボルネン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、環状共役ジエン重合体等が挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系重合体が好ましい。ノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体(以下、「COP」ともいう。)、ノルボルネン系単量体とエチレン等のα−オレフィンを共重合したノルボルネン系共重合体(以下、「COC」ともいう。)等のエチレン・環状オレフィン共重合体が挙げられる。また、COP及びCOCの水素添加物も用いることができる。
第II層に環状オレフィン系樹脂と高密度ポリエチレンを用いる場合には、ポリエチレンに対する分散性が良好との理由により、環状オレフィン系樹脂(b1)はCOCであることが好ましい。また、COCとしては、直鎖状モノマーがエチレンである、エチレン・環状オレフィン共重合体であることが好ましい。更には、環状モノマーは、ノルボルネン等であることが好ましい。
また、エチレンと環状モノマーとから得られるエチレン・環状オレフィン共重合体を用いる場合には、そのエチレン・環状オレフィン共重合体は、エチレン単位/環状オレフィン単位の含有割合が重量比で15〜40/85〜60のものであることが好ましい。より好ましくは30〜40/70〜60のものである。エチレン単位が15重量%未満であると、剛性が高くなりすぎ、インフレーション成形性及び製袋適性を悪化させることがあるため好ましくない。一方、エチレン単位が40重量%以上であると、十分な易引裂性、剛性が得られないことがあるため好ましくない。含有比率がこの範囲にあれば、フィルムの剛性、引き裂き性、耐突き刺し性、加工安定性、衝撃強度が向上するため好ましい。
更にまた、エチレン・環状オレフィン共重合体は、ガラス転移点が105℃以上であることが好ましい。より好ましくは110℃以上のものである。ガラス転移点は例えば、エチレン単位/環状オレフィン単位の含有割合により変動する。環状オレフィン単位の含有量が上記範囲を下回ると、ガラス転移点が前記範囲を下回るようになり、例えば、120℃熱処理後に易引裂性が得られなくなる、芳香成分のバリアー性が低下するようになる、十分な剛性が得られず、高速包装機械適性に劣る等の恐れがある。一方、環状オレフィン単位の含有量が上記範囲を上回ると、ガラス転移点が高くなりすぎ、共重合体の溶融成形性やオレフィン系樹脂との接着性が低下する恐れがあり好ましくない。
また、環状オレフィン系樹脂(b1)の重量平均分子量は、5,000〜500,000が好ましく、より好ましくは7,000〜300,000である。
第II層を形成する樹脂材料中の環状オレフィン系樹脂(b1)の配合割合は、好ましくは20〜90重量%であり、より好ましくは30〜50重量%である。
環状オレフィン系樹脂(b1)は、易引裂性多層フィルム全体を基準として、10〜30重量%含まれることが好ましい。より好ましくは、10〜25重量%であり、更に好ましくは、10〜20重量%である。10重量%より少ないと、十分な易引裂性が得られないことがあるので好ましくない。一方、30重量%より多いと、剛性が高くなりすぎ、インフレーション成形性及び製袋適性を悪化させることがあるため好ましくない。
環状オレフィン系樹脂(b1)として用いることができる市販品として、ノルボルネン系モノマーの開環重合体(COP)としては、例えば、日本ゼオン株式会社製「ゼオノア(ZEONOR)」等が挙げられ、ノルボルネン系共重合体(COC)としては、例えば、三井化学株式会社製「アペル」、チコナ(TICONA)社製「トパス(TOPAS)」等が挙げられる。本発明においては、ノルボルネン系単量体の含有比率が、前述の好ましい範囲にあること、加工性等の理由から、TOPASのグレード7010F−600が好ましい。
尚、ノルボルネン系共重合体中の、ノルボルネン単位の含量は好ましくは、30mol%以上70mol%以下、より好ましくは35mol%以上65mol%以下、更に好ましくは36mol%以上60mol%以下である。ノルボルネン単位の含量が30mol%未満であると、易引裂性が得られない可能性がある。また、70mol%を超えると、加工性が悪くなる可能性がある。
(b)高密度ポリエチレン(b2)
本発明の耐熱性を有する易引裂性フィルムの第II層には、場合により密度が0.945〜0.966g/cmの高密度ポリエチレン(b2、以下、「HDPE(b2)」ともいう。)が含まれる。
高密度ポリエチレン(b2)は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であっても、エチレンのホモ重合体であって、メタロセン触媒、Ziegler触媒、Phillips触媒等により重合されたもののいずれであってもよいが、密度は、0.945〜0.966g/cmであることが必要である。好ましくは0.950〜0.960g/cmである。密度が0.945g/cmを下回る場合は十分な耐熱性が得られず、熱処理後に易引裂性が得られなくなる等、性能に影響が出る恐れがある。一方、密度が0.966g/cmを超える場合は、フィルムの剛性が上がり、取扱い性に劣る恐れがある。
なお、本発明において、重合体の密度は、JIS−K−6922−2に基づいて測定する値である。
また、高密度ポリエチレン(b2)のメルトフローレート(MFR)は、190℃において0.1〜30g/10分であることが好ましい。より好ましくは0.5〜4.0g/10分である。MFRが0.1g/10分未満の場合は、溶融流れ性が悪くなり、フィルム加工が困難になる、モーター負荷が大きくなる、といった問題が生じる恐れがあり好ましくない。一方、30g/10分を超える場合は、溶融粘度が低すぎて、組成物のフィルム加工時の製膜安定性が低下する恐れがあり好ましくない。
なお、本発明において、メルトフローレート(MFR)は、JIS−K−7210により測定したメルトフローレート値である。
本発明において用いる高密度ポリエチレン(b2)は、具体的にはエチレン単独重合体、又は、エチレン−α−オレフィン共重合体である。後者においてエチレンと共重合するα−オレフィン単位の割合は、通常0.05〜2モル%、好ましくは0.05〜1モル%、特に好ましくは0.1〜1モル%である。α−オレフィンの種類としては、通常は炭素数3〜8のα−オレフィンであり、具体的にはプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1を挙げることができる。
第II層を形成する樹脂材料中の高密度ポリエチレン(b2)の配合割合は、後述するエチレン・α−オレフィン共重合体(b3)を含まない場合には、好ましくは10〜80重量%であり、(b3)を含む場合には、好ましくは5〜65重量%であり、より好ましくは10〜50重量%である。
(c)エチレン・α−オレフィン共重合体(b3)
本発明の耐熱性を有する易引裂性フィルムの第II層には、場合によりエチレン・α−オレフィン共重合体(b3)、特に密度が0.94g/cm以下であるエチレン・α−オレフィン共重合体が含まれる。
エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンとα−オレフィンとを共重合させることにより得られる、好ましくは密度0.94g/cm以下の共重合体であって、エチレンと炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体である。炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が用いられる。エチレン・α−オレフィン共重合体中における炭素数3〜20のα−オレフィンに由来する構成単位の含有量は、1〜7モル%、好ましくは2〜5モル%、更に好ましくは2〜3モル%である。炭素数3〜20のα−オレフィンに由来する構成単位の含有量が7モル%を超えると、耐衝撃性、耐クリープ性、ヒートシール強度の低下が見られ、1モル%未満では、透明性の低下が見られる。
エチレン・α−オレフィン共重合体は、上述のものであれば特に限定はされないが、特に以下の(a)〜(c)の要件を満たす特定のエチレン・α−オレフィン共重合体が好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体の(a)密度は、0.86〜0.94g/cm、好ましくは、0.89〜0.94g/cm、更に好ましくは0.90〜0.93g/cmの範囲である。密度が0.86g/cm未満では、剛性(腰の強さ)、耐熱性が低下するおそれがある。また、密度が0.94g/cmを超えると、耐ピンホール性、引裂強度、耐衝撃性等が不十分となるおそれがある。
エチレン・α−オレフィン共重合体の(b)MFRは、0.01〜50g/10分であり、好ましくは0.05〜30g/10分、更に好ましくは0.1〜10g/10分である。MFRが0.01g/10分未満では、流動性(積層体の成形性)の低下が見られ、50g/10分を超えると強度の低下が見られる。
エチレン・α−オレフィン共重合体の(c)分子量分布(Mw/Mn)は、1.5〜4.5、好ましくは2.0〜4.0、更に好ましくは2.5〜3.0の範囲である。Mw/Mnが1.5未満では、成形加工性が劣り、Mw/Mnが4.5を超えると、耐ピンホール性、引裂強度、耐衝撃性等が劣る。ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、それらの比(Mw/Mn)を算出することにより求めることができる。
エチレン・α−オレフィン共重合体としては、公知の方法により得られるエチレン・α−オレフィン共重合体を用いることができ、前記のパラメーターを満足すれば触媒、製造方法等で特に限定されるものではないが、好ましくは少なくとも共役二重結合を持つ有機環状化合物と周期律表第4族の遷移金属化合物を含むメタロセン触媒の存在下にエチレンとα−オレフィンとを(共)重合させて得られる直鎖状のエチレン(共)重合体であることが望ましい。このような直鎖状のエチレン(共)重合体は、分子量分布及び組成分布が狭いため、機械的特性に優れ、ヒートシール性、耐熱ブロッキング性等に優れ、しかも耐熱性の良い重合体である。
第II層を形成する樹脂材料中にエチレン・α−オレフィン共重合体(b3)が含まれる場合、その配合割合は、好ましくは5〜65重量%であり、より好ましくは10〜50重量%である。エチレン・α−オレフィン共重合体の割合を5重量%以上とすることで、積層体の耐熱性、突き刺し強度、低温ヒートシール性、ヒートシール強度、機械的強度を高めることができる。
(2)第I層
本発明の耐熱性を有する易引裂性多層フィルムにおける第I層は、密度が0.945〜0.966g/cmの高密度ポリエチレン(a1、以下、「HDPE(a1)」ともいう。)を含む。HDPE(a1)の密度は好ましくは0.950〜0.960g/cmである。
第I層におけるHDPE(a1)の含有量は、好ましくは70重量%以上100重量%以下、より好ましくは80重量%以上90重量%以下である。
高密度ポリエチレン(a1)は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であっても、エチレンのホモ重合体であって、メタロセン触媒、Ziegler触媒、Phillips触媒等により重合されたもののいずれであってもよいが、密度は、0.945〜0.966g/cmであることが必要である。好ましくは0.950〜0.960g/cmである。密度が0.945g/cmを下回る場合は十分な耐熱性が得られず、120℃熱処理後に易引裂性が得られなくなる等、性能に影響が出る恐れがある。一方、密度が0.966g/cmを超える場合は、耐熱性を有する易引裂性フィルムの剛性が上がり、取扱い性に劣る恐れがある。
また、高密度ポリエチレン(a1)のメルトフローレート(MFR)は、190℃において0.1〜30g/10分であることが好ましい。より好ましくは0.5〜4.0g/10分である。MFRが0.1g/10分未満の場合は、溶融流れ性が悪くなり、フィルム加工が困難になる、モーター負荷が大きくなる、といった問題が生じる恐れがあり好ましくない。一方、30g/10分を超える場合は、溶融粘度が低すぎて、フィルム加工時の製膜安定性が低下する恐れがあり好ましくない。
高密度ポリエチレン(a1)は、具体的にはエチレン単独重合体、又は、エチレン−α−オレフィン共重合体である。後者においてエチレンと共重合するα−オレフィン単位の割合は、通常0.05〜2モル%、好ましくは0.05〜1モル%、特に好ましくは0.1〜1モル%である。α−オレフィンの種類としては、通常は炭素数3〜8のα−オレフィンであり、具体的にはプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1を挙げることができる。
第I層には、他の成分として場合によりエチレン・α−オレフィン共重合体(a2)が含まれる。(a2)としては、先にエチレン・α−オレフィン共重合体(b3)として説明したものを好ましく用いることができる。第I層にエチレン・α−オレフィン共重合体(a2)が含まれる場合、その含有量は1重量%以上30重量%以下、好ましくは10重量%以上20重量%以下である。
(3)第III層
本発明の耐熱性を有する易引裂性多層フィルムにおける第III層は、密度が0.945〜0.966g/cmの高密度ポリエチレン(c1、以下、「HDPE(c1)」ともいう。)を含むことが好ましい。HDPE(c1)の密度は好ましくは0.950〜0.960g/cmである。
層IIIにおけるHDPE(c1)の含有量は、好ましくは70重量%以上100重量%以下、より好ましくは80重量%以上90重量%以下である。
高密度ポリエチレン(c1)は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であっても、エチレンのホモ重合体であって、メタロセン触媒、Ziegler触媒、Phillips触媒等により重合されたもののいずれであってもよいが、密度は、0.945〜0.966g/cmであることが必要である。好ましくは0.950〜0.960g/cmである。密度が0.945g/cmを下回る場合は十分な耐熱性が得られず、120℃熱処理後に易引裂性が得られなくなる等、性能に影響が出る恐れがある。一方、密度が0.966g/cmを超える場合は、耐熱性を有する易引裂性フィルムの剛性が上がり、取扱い性に劣る恐れがある。
また、高密度ポリエチレン(c1)のメルトフローレート(MFR)は、190℃において0.1〜30g/10分であることが好ましい。より好ましくは0.5〜4.0g/10分である。MFRが0.1g/10分未満の場合は、溶融流れ性が悪くなり、フィルム加工が困難になる、モーター負荷が大きくなる、といった問題が生じる恐れがあり好ましくない。一方、30g/10分を超える場合は、溶融粘度が低すぎて、フィルム加工時の製膜安定性が低下する恐れがあり好ましくない。
また、分散性の観点から、高密度ポリエチレン(c1)のメルトフローレート(MFR)は、エチレン・α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR)よりも高いことが好ましい。
本発明において用いる高密度ポリエチレン(c1)は、具体的にはエチレン単独重合体、又は、エチレン−α−オレフィン共重合体である。後者においてエチレンと共重合するα−オレフィン単位の割合は、通常0.05〜2モル%、好ましくは0.05〜1モル%、特に好ましくは0.1〜1モル%である。α−オレフィンの種類としては、通常は炭素数3〜8のα−オレフィンであり、具体的にはプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1を挙げることができる。
なお、高密度ポリエチレン(a1)、高密度ポリエチレン(b2)、高密度ポリエチレン(c1)は相互に異なるものであってもよく、同一でもよい。
第III層には、他の成分として場合によりエチレン・α−オレフィン共重合体(c2)が含まれる。(c2)としては、先にエチレン・α−オレフィン共重合体(b3)として説明したものを好ましく用いることができる。第III層にエチレン・α−オレフィン共重合体(c2)が含まれる場合、その含有量は1重量%以上30重量%以下、好ましくは10重量%以上20重量%以下である。高い耐突き刺し性を実現する観点からは、第I〜第III層の各々にエチレン・α−オレフィン共重合体が含まれていることが好ましい。なお、エチレン・α−オレフィン共重合体(a2)、(b3)及び(c2)は、相互に異なるものであってもよく、同一であってもよい。エチレン・α−オレフィン共重合体(a2)、(b3)及び(c2)は、メタロセン触媒で製造されたものであることが好ましい。
本発明において、第I層、第II層及び第III層には、防曇剤、帯電防止剤、熱安定剤、造核剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、離型剤、紫外線吸収剤、着色剤、LDPE、LLDPE等の成分を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
2.第I層、第II層、第III層の積層
本発明の第I層〜第III層は、前述したように、特定の第I層/特定の第II層/特定の第III層との構成からなる。図1に、本発明の易引裂性多層フィルムの一例の断面の概略図を示す。1は第I層、2は第II層、3は第III層を示す。
第I層〜第III層全体の厚さとしては、30〜150μmのものが好ましい。多層フィルムの厚さが30μm以上であれば、優れた二次成形性が得られやすい。
また、本発明の第I層〜第III層のうちの第II層の厚さは、易引裂性多層フィルム全体を基準として、20〜70%であることが好ましい。より好ましくは20〜50%である。例えば、第I層/第II層/第III層の厚さの比が1:0.5:1〜1:4:1程度の厚さをとることができる。第II層の厚さが易引裂性多層フィルム全体の20%より薄いと、十分な易引裂性が得られないことがあるので好ましくない。一方、70%より厚いと、剛性が高くなりすぎ、インフレーション成形性及び製袋適性を悪化させることがあるため好ましくない。第II層の厚さがこの範囲であれば、易引裂性に優れる上に、コスト的に有利であり、耐熱性を有する易引裂性多層フィルムの透明性、引裂性、耐ピンホール性が向上するため、好ましい。
本発明の第I層〜第III層の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、第I層に用いるHDPE(a1)とエチレン・α−オレフィン共重合体(a2)と、第II層に用いる環状オレフィン系樹脂(b1)と高密度ポリエチレン(b2)とエチレン・α−オレフィン共重合体(b3)と、第III層に用いる高密度ポリエチレン(c1)とエチレン・α−オレフィン共重合体(c2)を、それぞれ別の押出機で加熱溶融させ、共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で第I層/第II層/第III層の順で積層した後、インフレーションやTダイ・チルロール法等によりフィルム状に成形する共押出法が挙げられる。この共押出法は、各層の厚さの比率を比較的自由に調整することが可能で、衛生性に優れ、コストパフォーマンスにも優れた多層フィルムが得られるので好ましい。本発明のフィルムの各層は積層の前後を問わず延伸してもしなくてもよいが、引裂強度の縦横バランスを考慮すると、加工の際の張力による不可避的な伸びを除き、実質的に未延伸であることが好ましい。
3.耐熱性及び耐突き刺し性、易引裂性を有する菌床栽培袋用フィルム
本発明の菌床栽培袋用フィルムは、上記の耐熱性と易引裂性を有する多層フィルムから構成される。特に、熱処理(例えば120℃で60分の加熱加圧滅菌処理)後、JIS K7128−2に準拠して測定したエルメンドルフ引裂強度が、縦方向(MD方向)及び横方向(TD方向)において、それぞれ1N/mm以上30N/mm未満であることが好ましい。より好ましくは、20N/mm以下である。特に、横方向(TD方向)がこの範囲を満たすことが好ましい。また、熱処理後のフィルムのエルメンドルフ引裂強度のMD/TD比が1.0±0.3であることが好ましく、1.0±0.2であることがより好ましい。
4.菌床栽培袋
本発明の菌床栽培袋は、キノコ類の栽培用途に用いられる袋であって、前記の耐熱性と易引裂性を有する多層フィルムで構成される菌床栽培袋用フィルムを、菌床収納用の袋状体を構成するためのフィルムとして用いた菌床栽培袋である。
更に具体的な菌床栽培袋としては、図2に示すように、本発明の菌床栽培袋用フィルムで構成される、菌床収納用の袋状体(4)と、該袋状体の少なくとも一部に形成された通気孔(5)と、該通気孔を被覆するフィルター(6)と有する菌床栽培袋である。
菌床栽培袋には、加熱滅菌処理に堪える耐熱性、加熱処理後もどの方向からも容易に引き裂ける易引裂性、害菌の混入を避けるための耐突刺性などの特性が求められるが、本発明のフィルムは、それら全ての特性をバランスよく備えており、菌床栽培袋に適している。
前記菌床栽培袋の形態は、具体的には、本発明の菌床栽培袋用フィルムの第III層をヒートシール層として、第III層同士を重ねてヒートシールすることにより袋状に形成した袋状包装袋が挙げられる。2枚の当該易引裂性フィルムを所望とする包装袋の大きさに切り出して、それらを重ねて3辺をヒートシールして袋状にした後、袋の少なくとも一面の一部に通気用の通気孔と、該通気孔を被覆し空気を通過するが雑菌の混入を防止するためのフィルターを設けて菌床栽培袋とする。ヒートシールをしていない1辺から内容物を充填した後、ヒートシールして密封することで、菌床栽培袋として用いることができる。また、1枚の当該易引裂性フィルムを用いて、ピロー包装の形態でも用いることができる。更に、第III層とヒートシール可能な別のフィルムを重ねてヒートシールすることにより菌床栽培袋を形成することも可能である。その際、使用する別のフィルムとしては、比較的機械強度の弱いLDPE、EVA等のフィルムを用いることができる。また、LDPE、EVA等のフィルムと、比較的引き裂き性の良い延伸フィルム、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)等とを貼り合わせたラミネートフィルムも用いることができる。
本発明の菌床栽培袋用フィルムを用いた菌床栽培袋には、初期の引き裂き強度を弱め、開封性をさらに向上するため、シール部にVノッチ、Uノッチ、Iノッチ、ミシン目、微多孔等の任意の引き裂き開始部を形成すると、より好ましい。
以下に実施例を用いて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその趣旨を逸脱しない限り、これによって限定されるものではない。
なお、実施例に於ける各種物性の測定は、下記要領に従った。
[測定方法]
(1)エルメンドルフ引裂強度
JIS K7128−2に準拠して測定した。なお、MDは流れ方向(MD:Machine Direction)であり、TDは垂直方向(TD:Transverse Direction)の値である。
(2)手による引裂性評価
JIS K7128−1に記載のトラウザー用の試験片を準備した。ゆっくりと間断的に180°方向に手で引き裂いた。間断的に引き裂いても常に簡単に引き裂けるものを○、引き裂きに力を要し、すぐに引き裂きにくくなり、間断的に引き裂けなくなってしまうものを△、まったく引き裂けないものを×とした。
(3)突き刺し強度
フィルムを固定し、フィルムに直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を毎分50±0.5mmの速度で突刺し、針が貫通するまでの最大荷重(N)を測定した。
[インフレーションフィルムの成形条件及び成形性評価法]
以下のインフレーションフィルム製膜機(成形装置)を用いて、下記の成形条件で、インフレーションフィルムを成形し、評価した。
(3種3層インフレーション成形機)
装置:インフレーション成形装置(プラコー(株)製)
押出機スクリュー径:外層(第I層)/中間層(第II層)/内層(第III層)=50mmφ/55mmφ/50mmφ
ダイ径:200mmφ
押出量:60kg/hr
ダイリップギャップ:3mm
引取速度:17m/分
ブローアップ比:2.0
成形樹脂温度:外層(第I層)・内層(第III層)180℃、中間層(第II層)190℃
フィルム厚み:50μm
冷却リング:2段式風冷リング
[使用原料]
実施例で使用した原料は、下記の通りである。なお、密度の単位はg/cm、MFRの単位はg/10分である。
(1)高密度ポリエチレン
日本ポリエチレン社製ノバテックHD「HY444」
密度 0.956g/cm、MFR 1.1g/10分の高密度ポリエチレン
(2)COC(i)
商品名TOPAS「7010F−600」を使用。
ノルボルネン含有量 42mol%、ガラス転移点 110℃
(3)COC(ii)
商品名TOPAS「8007F−600」を使用。
ノルボルネン含有量 36mol%、ガラス転移点 78℃
(4)エチレン・α−オレフィン共重合体(i)
日本ポリエチレン社製「NF366A」
密度 0.919g/cm、MFR 1.5g/10分のエチレン・α−オレフィン共重合体
(5)エチレン・α−オレフィン共重合体(ii)
日本ポリエチレン社製「NF324A」
密度 0.906g/cm、MFR 1.0g/10分のエチレン・α−オレフィン共重合体
[実施例及び比較例]
(実施例1)
表1の通り、第I層をHY444、第II層をHY444、COC(i)の混合物、第III層をHY444として、層比1:1:1構成のインフレーションフィルムを得た。フィルム厚みは50μmとした。
上記フィルムについて、エルメンドルフ引裂強度、手による引裂性を評価した。評価結果を表1に示す。
また、上記フィルムを、オーブンを用いた120℃の条件に60分間曝露した。その曝露後のフィルムについて、エルメンドルフ引裂強度、手による引裂性を評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例2、3)
第II層の配合割合を変更した以外は、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
(比較例1〜3)
表1の通り、実施例1〜3と同様にインフレーションフィルムを得、評価した。
(実施例4)
表1の通り、第I層をHY444(84重量%)及びNF366A(16重量%)の混合物、第II層をHY444(35.7重量%)、COC(i)(34.3重量%)及びNF342A(30重量%)の混合物、第III層をHY444(84重量%)及びNF366A(16重量%)として、層比1:1:1構成のインフレーションフィルムを得た。フィルム厚みは50μmとした。得られたフィルムについて、実施例1〜3と同様にエルメンドルフ引裂強度、手による引裂性を、前記方法により突き刺し強度を評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例5)
第I層及びIII層の配合割合をHY444(76重量%)及びNF366A(24重量%)に変更した以外は、実施例4と同様にしてフィルムを調製し、評価した。評価結果を表1に示す。
(比較例4)
表1の通り、環状オレフィン樹脂にCOC(ii)(ガラス転移点78℃)を用いた以外は実施例4と同様にインフレーションフィルムを得、評価した。
[評価]
表1から明らかなように、本発明の発明特定事項である特定の層構成である実施例1〜5のフィルムは、熱処理後も引裂強度が低いため十分な易引裂性を有し、かつ高い突き刺し強度が得られている。そのため、高温で熱殺菌を行う菌床栽培袋用のフィルムとして好適である。一方、比較例1のフィルムは未加熱でも横方向のエルメンドルフ引裂強度が高く、比較例2〜4のフィルムは、熱処理前は易引裂性が得られていたが、熱処理後は横方向のエルメンドルフ引裂強度が高くなり、易引裂性が損なわれている。
本発明によれば、縦方向及び横方向の引裂性に優れ、熱処理後も引裂性に優れた菌床栽培袋用フィルム及びこれを用いた菌床栽培袋が提供される。したがって、産業上大いに有用である。
1 第I層
2 第II層
3 第III層
4 袋状体
5 通気孔
6 フィルター

Claims (9)

  1. 菌床収納用の袋状体を構成するための菌床栽培袋用フィルムであって、
    密度が0.945〜0.966g/cmの高密度ポリエチレン(a1)を含む第I層(A)、ガラス転移点が105℃以上の環状オレフィン系樹脂(b1)を20〜90重量%と、他のポリエチレン樹脂を含む第II層(B)、及び、密度が0.945〜0.966g/cmの高密度ポリエチレン(c1)を含む第III層(C)の少なくとも3層を順に有する多層フィルムであることを特徴とする、菌床栽培袋用フィルム。
  2. 前記環状オレフィン系樹脂(b1)が、エチレン・環状オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の菌床栽培袋用フィルム。
  3. 前記多層フィルムの、120℃60分の熱処理後の、JIS K7128−2に準拠して測定したエルメンドルフ引裂強度が、フィルムのTD方向において、1N/mm以上30N/mm未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の菌床栽培袋用フィルム。
  4. 前記第II層(B)の厚さが、前記多層フィルム全体の厚さを基準として、20〜70%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の菌床栽培袋用フィルム。
  5. 前記多層フィルムが、密度が0.945〜0.966g/cmの高密度ポリエチレン(a1)を含む第I層(A)、
    ガラス転移点が105℃以上の環状オレフィン系樹脂(b1)を20〜90重量%と、密度が0.945〜0.966g/cmの高密度ポリエチレン(b2)を10〜80重量%含む第II層(B)、及び、
    密度が0.945〜0.966g/cmの高密度ポリエチレン(c1)を含む第III層(C)の少なくとも3層を順に有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の菌床栽培袋用フィルム。
  6. 前記多層フィルムが、密度が0.945〜0.966g/cmの高密度ポリエチレン(a1)とエチレン・α−オレフィン共重合体(a2)を含む第I層(A)、
    ガラス転移点が105℃以上の環状オレフィン系樹脂(b1)を20〜90重量%と、密度が0.945〜0.966g/cmの高密度ポリエチレン(b2)と、エチレン・α−オレフィン共重合体(b3)を含む第II層(B)、及び
    密度が0.945〜0.966g/cmの高密度ポリエチレン(c1)とエチレン・α−オレフィン共重合体(c2)を含む第III層(C)の少なくとも3層を順に有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の菌床栽培袋用フィルム。
  7. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(a2)、(b3)及び(c2)の少なくとも1つがメタロセン触媒系エチレン・α−オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項6に記載の菌床栽培袋用フィルム。
  8. 前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の菌床栽培袋用フィルムで構成された菌床収納用の袋状体を有する菌床栽培袋。
  9. 前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の菌床栽培袋用フィルムで構成された菌床収納用の袋状体と、該袋状体の少なくとも一部に形成された通気孔と、該通気孔を被覆するフィルターとを有する菌床栽培袋。
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