JP2023044963A - 積層フィルム及び包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】イージーピール性を有する包装体を製造可能な、再利用適性が高い積層フィルムの提供。【解決手段】第1樹脂層11と第2樹脂層12を備え、第1樹脂層11と第2樹脂層12は、同種のポリオレフィン系樹脂を含み、第1樹脂層11が、融点が70~125℃の樹脂(A)と、融点が130~200℃の樹脂(B)と、を含み、第1樹脂層11において、第1樹脂層11の総質量に対する、前記樹脂(A)の含有量の割合が51~99質量%であり、前記樹脂(B)の含有量の割合が1~49質量%である、積層フィルム1。【選択図】図1

Description

本発明は、積層フィルム及び包装体に関する。
複数層の樹脂層が積層されて構成された積層フィルムは、包装体の材料として幅広く利用されている。典型的な積層フィルムとしては、シール対象物と加熱シールするために設けられたシーラント層と、シーラント層側とは反対側に設けられた外層と、を少なくとも備えたものが挙げられる。
一方、このような包装体用途の積層フィルムは、その利便性の高さから、世界中で毎日大量に生産及び消費されており、使用後には大量の廃棄物が発生する。廃棄物の発生は、地球環境の改善の観点では、解決すべき重要な課題となっており、近年は、廃棄物の発生量の低減とともに、廃棄物の再利用(リサイクル)の方法について、盛んに検討されている。
例えば、積層フィルム中の複数層の樹脂層の主要構成材料を同種とすれば、各樹脂層を分離して別々に再利用する必要性がなくなり、積層フィルム全体を容易に再利用することができることから、有用性が高くなる。
このような積層フィルムとしては、例えば、延伸ポリエチレンフィルムと、接着層と、ヒートシール性ポリエチレン層とを少なくとも備え、前記接着層が無溶剤型接着剤を含む、包装材料用ポリエチレン積層体が開示されている(特許文献1参照)。
特開2019―189333号公報
一方で、包装体には、その用途に応じて易開封性(本明細書においては、「イージーピール性」と称することがある)を有することが要求されることがある。例えば、食品、医療用品等を包装するための包装体には、イージーピール性が必要とされることが多い。
そこで、再利用適性が高い積層フィルムを用いてイージーピール性を有する包装体を製造できれば、有用性が極めて高い。しかし、特許文献1に記載の積層フィルムでは、イージーピール性を有する包装体を製造できない。
本発明は、イージーピール性を有する包装体を製造可能な、再利用適性が高い積層フィルムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1].第1樹脂層と第2樹脂層を備え、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層は、同種のポリオレフィン系樹脂を含み、前記第1樹脂層が、融点が70~125℃の樹脂(A)と、融点が130~200℃の樹脂(B)と、を含み、前記第1樹脂層において、前記第1樹脂層の総質量に対する、前記樹脂(A)の含有量の割合が51~99質量%であり、前記樹脂(B)の含有量の割合が1~49質量%である、積層フィルム。
[2].前記積層フィルムの総質量に対する、前記第1樹脂層中の前記樹脂(B)の含有量の割合が、10質量%以下である、[1]に記載の積層フィルム。
[3].前記樹脂(A)がポリエチレン系樹脂である、[1]又は[2]に記載の積層フィルム。
[4].前記第2樹脂層について、動的粘弾性測定を行い、振動周波数が1Hzである場合の、100℃での弾性率E’(100)と、110℃での弾性率E’(110)を測定したとき、E’(110)/E’(100)値が0.2以上となる、[1]~[3]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[5].前記ポリエチレン系樹脂が、ポリエチレン及びエチレン系共重合体からなる群より選択される1種又は2種以上である、[3]に記載の積層フィルム。
[6].前記樹脂(B)がポリプロピレン及びプロピレン系共重合体からなる群より選択される1種又は2種以上である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[7].前記積層フィルム中の前記第1樹脂層の露出面と、ポリエチレン製不織布の一方の面と、を重ね合わせ、前記積層フィルムと前記ポリエチレン製不織布を、シール温度130℃、シール時間3.5秒、シール圧力1.1MPaの条件で加熱シールすることにより、加熱シール体を作製し、幅が15mmの前記加熱シール体を試験片として用い、前記試験片において、前記積層フィルム中の前記第1樹脂層と、前記ポリエチレン製不織布と、のシール面同士が180°の角度を為すように、剥離速度200mm/minで、前記積層フィルムを前記ポリエチレン製不織布から剥離したとき、剥離強度が4N/15mm以下である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[8].前記エチレン系共重合体が、エチレン-酢酸ビニル共重合体である、[5]に記載の積層フィルム。
[9].前記樹脂(B)がポリプロピレンである、[6]~[8]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[10].前記積層フィルムが、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との間に、さらに、第3樹脂層を備え、前記第1樹脂層と、前記第2樹脂層と、前記第3樹脂層が、同種のポリオレフィン系樹脂を含む、[1]~[9]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[11].前記第3樹脂層が、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンのいずれか一方又は両方を含む、[10]に記載の積層フィルム。
[12].前記積層フィルムが、105~135℃の温度範囲で、ポリエチレン製不織布と加熱シール可能である、[1]~[11]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[13].前記積層フィルムにおいて、前記積層フィルムの総質量に対する、前記同種のポリオレフィン系樹脂の含有量の割合が、90質量%以上である、[1]~[12]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[14].[1]~[13]のいずれか一項に記載の積層フィルムを備えた、包装体。
[15].前記積層フィルム中の前記第1樹脂層のうち、前記第2樹脂層側とは反対側の面の少なくとも一部が、ポリエチレン製不織布の表面と加熱シールされた、[14]に記載の包装体。
本発明によれば、イージーピール性を有する包装体を製造可能な、再利用適性が高い積層フィルムが提供される。
本発明の一実施形態に係る積層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る積層フィルム中の第1樹脂層の一例を模式的に示す平面図である。 図1に示す積層フィルムとは異なる積層フィルム中の、第1樹脂層の一例を模式的に示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る積層フィルムを備えた包装体の一例を模式的に示す断面図である。
<<積層フィルム>>
本発明の一実施形態に積層フィルムは、第1樹脂層と第2樹脂層を備え、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層は、同種のポリオレフィン系樹脂を含み、前記第1樹脂層が、融点が70~125℃の樹脂(A)と、融点が130~200℃の樹脂(B)と、を含み、前記第1樹脂層において、前記第1樹脂層の総質量に対する、前記樹脂(A)の含有量の割合が51~99質量%であり、前記樹脂(B)の含有量の割合が1~49質量%である。
本実施形態の積層フィルムは、第1樹脂層と第2樹脂層が、同種のポリオレフィン系樹脂を含んでいるため、再利用適性が高い。
また、本実施形態の積層フィルムにおいて、第1樹脂層が樹脂(A)と樹脂(B)を含み、前記樹脂(A)の前記含有量の割合が51~99質量%であり、前記樹脂(B)の前記含有量の割合が1~49質量%であることにより、第1樹脂層をシール面として積層フィルムを対象物と加熱シールして得られた包装体は、イージーピール性を有する。
以下、図面を参照しながら、本発明について詳細に説明する。なお、以降の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図1は、本実施形態の積層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す積層フィルム1は、第1樹脂層11と、第1樹脂層11の一方の面(本明細書においては「第1面」と称することがある)11a上に設けられた第2樹脂層12と、を備えて、構成されている。
積層フィルム1は、さらに、第1樹脂層11と第2樹脂層12との間に、第3樹脂層13を備えている。
すなわち、積層フィルム1は、第1樹脂層11、第3樹脂層13及び第2樹脂層12がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
第3樹脂層13は、任意の構成であり、積層フィルム1は、第3樹脂層13を備えていなくてもよい。
第1樹脂層11の他方の面(第2樹脂層12側とは反対側の面、本明細書においては「第2面」と称することがある)11bは、露出面である。
第2樹脂層12の一方の面(第1樹脂層11側とは反対側の面、本明細書においては「第1面」と称することがある)12aは、露出面である。
第1樹脂層11、第2樹脂層12及び第3樹脂層13は、同種のポリオレフィン系樹脂を含む。
第1樹脂層11は、融点が70~125℃の樹脂(A)と、融点が130~200℃の樹脂(B)と、を含む。
第1樹脂層11において、第1樹脂層11の総質量に対する、樹脂(A)の含有量の割合は51~99質量%である。
第1樹脂層11において、第1樹脂層11の総質量に対する、樹脂(B)の含有量の割合は1~49質量%である。
以下、本実施形態の積層フィルムについて、より詳細に説明する。
<第1樹脂層>
前記第1樹脂層は、ポリオレフィン系樹脂を含み、樹脂(A)及び樹脂(B)を含む。
第1樹脂層は、前記ポリオレフィン系樹脂として樹脂(A)を含んでいてもよいし、前記ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂として樹脂(A)を含んでいてもよく、前記ポリオレフィン系樹脂として樹脂(A)を含むことが好ましい。
第1樹脂層は、前記ポリオレフィン系樹脂として樹脂(B)を含んでいてもよいし、前記ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂として樹脂(B)を含んでいてもよい。
第1樹脂層が含む前記ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンから誘導された構成単位を有していれば、特に限定されず、1種のオレフィンの単独重合体であってもよいし、2種以上のオレフィンの共重合体であってもよい。
前記オレフィンの単独重合体としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン(ホモポリプロピレン)等が挙げられる。
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)は、いずれも、低密度ポリエチレン(LDPE)の1種である。
ポリエチレンの、その密度ごとの分類は、例えば、旧JIS K 6748:1995において定義されていた。本明細書においては、この定義によって、ポリエチレンを、その密度ごとに分類する。
すなわち、本明細書において、低密度ポリエチレン(LDPE)とは、密度が0.91g/cm以上、0.93g/cm未満であるポリエチレンを意味する。
また、中密度ポリエチレン(MDPE)とは、密度が0.93g/cm以上、0.942g/cm未満であるポリエチレンを意味する。
また、高密度ポリエチレン(HDPE)とは、密度が0.942g/cm以上であるポリエチレンを意味する。
前記オレフィンの共重合体としては、例えば、エチレンから誘導された構成単位を少なくとも有するエチレン系共重合体と、プロピレンから誘導された構成単位を少なくとも有するプロピレン系共重合体と、が挙げられる。
前記エチレン系共重合体は、エチレンから誘導された構成単位と、エチレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有する。ただし、エチレンから誘導された構成単位と、プロピレンから誘導された構成単位と、を有するオレフィンの共重合体のうち、プロピレンから誘導された構成単位の数が、エチレンから誘導された構成単位の数よりも多い共重合体は、便宜上、プロピレン系共重合体に分類する。
エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体(別名:エチレン-酢酸ビニル共重合体部分ケン化物、本明細書においては「EVA部分ケン化物」と称することがある)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH)、アイオノマー(ION)等が挙げられる。
前記アイオノマーとしては、例えば、エチレンと少量のアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体が、その中の酸部分と、金属イオンと、の塩形成によって、イオン橋かけ構造を有している樹脂が挙げられる。
前記プロピレン系共重合体は、プロピレンから誘導された構成単位と、プロピレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有する。
プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体(別名:ポリプロピレンランダムコポリマー(rPP))、プロピレン-エチレンブロック共重合体(別名:ポリプロピレンブロックコポリマー(bPP))等が挙げられる。
第1樹脂層が含む前記ポリオレフィン系樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
第1樹脂層が含む前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂であることが好ましく、エチレン-酢酸ビニル共重合体であることがより好ましい。
樹脂(A)の融点は、70~125℃であり、70~110℃であることが好ましく、75~110℃であることがより好ましく、80~110℃であることがさらに好ましく、85~105℃であることが特に好ましく、85~100℃であることが最も好ましい。樹脂(A)の融点が前記下限値以上であることで、高温環境下においても樹脂(A)のべとつきが抑制され、かつ、対象物(例えば、後述するポリエチレン製不織布)との間で、後述する温度(例えば、対象物がポリエチレン製不織布である場合には、105~135℃)で、適切な剥離強度を示す加熱シールが可能となる。樹脂(A)の融点が前記上限値以下であることで、積層フィルムと対象物との加熱シール時に、対象物の溶融を抑制する効果が高くなる。
本明細書において、「融点」とは、特に断りのない限り、JIS K 7121に準拠して測定した値を意味する。
樹脂(A)のメルトフローレート(本明細書においては、「MFR」と称することがある)は、1.8g/10min以上であることが好ましく、例えば、3.0g/10min以上、及び8.0g/10min以上のいずれかであってもよい。樹脂(A)のMFRが前記下限値以上であることで、前記積層フィルムの製造時に、第1樹脂層の広がりが良好で、第1樹脂層の厚さのばらつきが抑制され、前記積層フィルムの幅方向における両端部近傍の領域では、第1樹脂層の前記層切れの発生が抑制される。
樹脂(A)のMFRは、例えば、20g/10min以下、18g/10min以下、及び15g/10min以下のいずれかであってもよい。樹脂(A)のMFRが前記上限値以下であることで、前記積層フィルムの成形時に、成形用の熱板上での異物の付着が抑制され、成形設備の汚染を抑制できる。
樹脂(A)のMFRは、例えば、1.8~20g/10min、3.0~20g/10min、及び8.0~20g/10minのいずれかであってもよいし、1.8~18g/10min、3.0~18g/10min、及び8.0~18g/10minのいずれかであってもよいし、1.8~15g/10min、3.0~15g/10min、及び8.0~15g/10minのいずれかであってもよい。
本明細書において、MFRとは、JIS K 6922-1に準拠して測定した値を意味する。
樹脂(A)としては、例えば、第1樹脂層が含むものとして先に挙げた前記ポリオレフィン系樹脂のうち、融点が70~125℃であるものが挙げられ、そのうち好ましいものとしては、例えば、さらにMFRが1.8g/10min以上であるものが挙げられる。
第1樹脂層が含む樹脂(A)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
樹脂(A)は、ポリエチレン系樹脂であることが好ましく、ポリエチレン及びエチレン系共重合体からなる群より選択される1種又は2種以上であることがより好ましい。
そして、前記エチレン系共重合体は、エチレン-酢酸ビニル共重合体であることが好ましい。すなわち、樹脂(A)は、ポリエチレン及びエチレン-酢酸ビニル共重合体からなる群より選択される1種又は2種以上であることがさらに好ましい。
樹脂(B)の融点は、130~200℃であり、140~170℃であることが好ましく、150~165℃であることがより好ましい。樹脂(B)の融点が前記下限値以上であることで、積層フィルムと対象物との加熱シール時に、樹脂(B)の軟化が抑制され、積層フィルムと対象物との間の剥離強度が安定化する。樹脂(B)の融点が前記上限値以下であることで、積層フィルムと対象物(例えば、ポリエチレン製不織布)との加熱シール体において、積層フィルムを対象物から剥離するときに、対象物の破損(例えば、対象物がポリエチレン製不織布の場合には、その繊維の裂け)を抑制できる。
樹脂(B)としては、例えば、第1樹脂層が含むものとして先に挙げた前記ポリオレフィン系樹脂のうち、融点が130~200℃であるものが挙げられる。
第1樹脂層が含む樹脂(B)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
樹脂(B)は、ポリプロピレン及びプロピレン系共重合体からなる群より選択される1種又は2種以上であることが好ましく、ポリプロピレンであることがより好ましい。
第1樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記ポリオレフィン系樹脂、樹脂(A)及び樹脂(B)以外に、これら(前記ポリオレフィン系樹脂、樹脂(A)、樹脂(B))のいずれにも該当しない他の成分を含んでいてもよい。
前記他の成分は、樹脂成分(本明細書においては、「他の樹脂成分」と称することがある)及び非樹脂成分(本明細書においては、「他の非樹脂成分」と称することがある)のいずれであってもよい。
前記他の樹脂成分は、前記ポリオレフィン系樹脂、樹脂(A)及び樹脂(B)以外の樹脂であれば、特に限定されない。
好ましい他の樹脂成分としては、テルペン系樹脂(テルペン骨格を有する樹脂)等が挙げられる。前記テルペン系樹脂は、第1樹脂層の低温での加熱シール特性を向上させるものとして好適であり、その市販品としては、例えば、ヤスハラケミカル社製「ヒロダイン」シリーズ等が挙げられる。
前記他の非樹脂成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、防曇剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
第1樹脂層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
第1樹脂層において、第1樹脂層の総質量に対する、前記ポリオレフィン系樹脂の含有量(第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂と、第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、の合計含有量)の割合は、90~100質量%であることが好ましく、95~100質量%であることがより好ましく、例えば、97~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、第1樹脂層がポリオレフィン系樹脂を含んでいることによる効果が、より顕著に得られる。
前記割合は、通常、後述する第1樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、ポリオレフィン系樹脂の含有量(第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂と、第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、の合計含有量)(質量部)の割合、と同じである。
本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15~25℃の温度等が挙げられる。
第1樹脂層において、第1樹脂層の総質量に対する、樹脂(A)及び樹脂(B)の合計含有量の割合は、90~100質量%であることが好ましく、95~100質量%であることがより好ましく、例えば、97~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記合計含有量の割合が前記下限値以上であることで、前記積層フィルムを用いて得られた包装体のイージーピール性がより良好となる。
前記合計含有量の割合は、通常、後述する第1樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、樹脂(A)及び樹脂(B)の合計含有量(質量部)の割合、と同じである。
第1樹脂層において、樹脂(A)及び樹脂(B)の合計含有量に対する、樹脂(A)の含有量の割合は、51~99質量%であることが好ましく、65~95質量%であることがより好ましく、75~95質量%であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、第1樹脂層において、樹脂(A)が海相に存在するようになり、前記積層フィルムを用いて得られた包装体のイージーピール性がより良好となる。
前記割合は、通常、後述する第1樹脂組成物における、樹脂(A)及び樹脂(B)の合計含有量に対する、樹脂(A)の含有量の割合、と同じである。
第1樹脂層において、樹脂(A)及び樹脂(B)の合計含有量に対する、樹脂(B)の含有量の割合は、1~49質量%であることが好ましく、5~35質量%であることがより好ましく、5~25質量%であることがさらに好ましい。前記割合が前記上限値以下であることで、第1樹脂層において、樹脂(B)が島相に存在するようになり、前記積層フィルムを用いて得られた包装体のイージーピール性がより良好となる。
前記割合は、通常、後述する第1樹脂組成物における、樹脂(A)及び樹脂(B)の合計含有量に対する、樹脂(B)の含有量の割合、と同じである。
第1樹脂層においては、樹脂(A)及び樹脂(B)の合計含有量に対する、樹脂(A)の含有量の割合と、樹脂(B)の含有量の割合は、ともに上述の数値範囲を満たすことが好ましい。例えば、第1樹脂層において、樹脂(A)及び樹脂(B)の合計含有量(質量部)に対する、樹脂(A)の含有量の割合が、51~99質量%であり、樹脂(B)の含有量の割合が、1~49質量%であることが好ましい。
第1樹脂層において、第1樹脂層の総質量に対する、樹脂(A)の含有量の割合は、51~99質量%であり、65~95質量%であることが好ましく、75~95質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、第1樹脂層において、樹脂(A)が海相に存在するようになり、前記積層フィルムを用いて得られた包装体のイージーピール性がより良好となる。
前記割合は、通常、後述する第1樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、樹脂(A)の含有量(質量部)の割合、と同じである。
第1樹脂層において、第1樹脂層の総質量に対する、樹脂(B)の含有量の割合は、1~49質量%であり、5~35質量%であることが好ましく、5~25質量%であることがより好ましい。前記割合が前記上限値以下であることで、第1樹脂層において、樹脂(B)が島相に存在するようになり、前記積層フィルムを用いて得られた包装体のイージーピール性がより良好となる。
前記割合は、通常、後述する第1樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、樹脂(B)の含有量(質量部)の割合、と同じである。
第1樹脂層においては、第1樹脂層の総質量に対する、樹脂(A)の含有量の割合が、65~95質量%であり、樹脂(B)の含有量の割合が、5~35質量%であることが好ましく、樹脂(A)の含有量の割合が、75~95質量%であり、樹脂(B)の含有量の割合が、5~25質量%であることがより好ましい。
第1樹脂層は、樹脂(A)及び樹脂(B)を適切な含有量で含むことにより、海島構造(sea-island structure)を有することが可能である。この場合、第1樹脂層において、樹脂(A)が海相に存在し、樹脂(B)が島相に存在する。
このような第1樹脂層においては、第1樹脂層の幅方向における中心を結ぶ中心線(前記中心線は第1樹脂層の長さ方向と略同一方向となる)から、前記中心線に対して直交するように第1樹脂層の幅方向の両端に向かって、第1樹脂層の幅に対して10%の距離までの領域を中央部とし、第1樹脂層の幅方向における両端から、前記中心線に対して直交するように前記中心線に向かって、第1樹脂層の幅に対して10%の距離までの領域を端部とし、第1樹脂層を、その表面の上方から見下ろして平面視し、前記中央部に存在する1個の島相の表面の2点間を結ぶ線分の最大値を求めて、前記中央部に存在する複数個の島相について前記最大値を求めて、これら最大値の平均値L1を算出し、前記端部に存在する1個の島相の表面の2点間を結ぶ線分の最大値を求めて、前記端部に存在する複数個の島相について前記最大値を求めて、これら最大値の平均値L2を算出したとき、L2/L1は、0.7~1であることが好ましく、0.74~1であることがより好ましく、0.76~1であることがさらに好ましい。L2/L1がこのような範囲であることにより、第1樹脂層を、その表面の上方から見下ろして平面視したとき、第1樹脂層の前記端部における島相の形状が、前記中央部における島相の形状に近くなっており、第1樹脂層の剥離強度のばらつきの抑制効果が高くなる。図2は、このような第1樹脂層の一例を模式的に示す平面図である。ここに示すように、第1樹脂層11の前記端部における島相111の形状は、前記中央部における島相111の形状に近い。図2中、符号112は海相を示している。
図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
これに対して、L2/L1が0.7未満である場合には、第1樹脂層を、その表面の上方から見下ろして平面視したとき、第1樹脂層の前記端部における島相の形状が、前記中央部における島相の形状とは明確に異なり、第1樹脂層の剥離強度のばらつきの抑制効果が低くなる。図3は、このような第1樹脂層の一例を模式的に示す平面図である。ここに示すように、第1樹脂層91の前記端部における島相911の形状は、前記中央部における島相911の形状とは明確に異なる。図3中、符号912は海相を示している。
図3においては、さらに、積層フィルムの幅方向における両端部近傍の領域で、第1樹脂層の層切れが発生している。
前記L1を算出するときの前記線分の最大値を求める、前記中央部に存在する島相の数は、10~50個であることが好ましく、例えば、20個、30個及び40個のいずれかであってもよい。前記中央部に存在するすべての島相について、前記線分の最大値を求めて、前記L1を算出してもよい。
前記L2を算出するときの前記線分の最大値を求める、前記端部に存在する島相の数は、10~50個であることが好ましく、例えば、20個、30個及び40個のいずれかであってもよい。前記端部に存在するすべての島相について、前記線分の最大値を求めて、前記L2を算出してもよい。
第1樹脂層と第2樹脂層は、同種のポリオレフィン系樹脂を含む。
本実施形態においては、ポリオレフィン系樹脂の場合に限らず、「同種の樹脂」とは、共通の構成単位を有する樹脂同士を比較したとき、どちらの樹脂においても、構成単位の全量(モル)に対する、共通の構成単位の量(モル)の割合が、20モル%以上であるものを意味する。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA樹脂)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA樹脂)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体(EVA部分ケン化物)等は、すべて、構成単位の全量(モル)に対する、エチレンから誘導された構成単位の量(モル)の割合が、20モル%以上であるため、同種であるとする。一方、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体及びプロピレン-エチレンブロック共重合体等のうち、構成単位の全量(モル)に対する、エチレンから誘導された構成単位の量(モル)の割合が、20モル%未満であるものは、上述の低密度ポリエチレン等とは、同種ではないとする。
本実施形態において、同種の樹脂は、どちらの樹脂においても、構成単位の全量(モル)に対する、共通の構成単位の量(モル)の割合が、好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上であり、例えば、60モル%以上、70モル%以上、及び80モル%以上のいずれかであってもよい。
第1樹脂層において、第1樹脂層の総質量に対する、第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂の含有量の割合は、80~100質量%であることが好ましく、90~100質量%であることがより好ましく、例えば、95~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記積層フィルムの再利用適性がより高くなる。
前記割合は、通常、後述する第1樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂の含有量(質量部)の割合、と同じである。
第1樹脂層が、ポリエチレン系樹脂と、ポリプロピレン及びプロピレン系共重合体からなる群より選択される1種又は2種以上と、を含む場合、第1樹脂層において、第1樹脂層の総質量に対する、ポリエチレン系樹脂と、ポリプロピレン及びプロピレン系共重合体からなる群より選択される1種又は2種以上と、の合計含有量の割合は、70~100質量%であることが好ましく、80~100質量%であることがより好ましく、90~100質量%であることがさらに好ましく、例えば、95~100質量%、97~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、第1樹脂層が、ポリエチレン系樹脂と、ポリプロピレン及びプロピレン系共重合体からなる群より選択される1種又は2種以上と、を含んでいることにより得られる効果が、より高くなる。
前記合計含有量の割合は、通常、後述する第1樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、ポリエチレン系樹脂と、ポリプロピレン及びプロピレン系共重合体からなる群より選択される1種又は2種以上と、の合計含有量の割合、と同じである。
このような第1樹脂層においては、前記ポリエチレン系樹脂が樹脂(A)であり、前記ポリプロピレン及びプロピレン系共重合体からなる群より選択される1種又は2種以上が樹脂(B)であることが好ましい。
第1樹脂層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。第1樹脂層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
本明細書においては、第1樹脂層の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよいし、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
第1樹脂層の厚さは、前記積層フィルムの用途に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
第1樹脂層の厚さは、1~30μmであることが好ましく、3~17μmであることがより好ましく、5~15μmであることがさらに好ましい。第1樹脂層の厚さが前記下限値以上であることで、第1樹脂層の強度がより向上するとともに、積層フィルムが第1樹脂層を備えていることによる効果が、より顕著に得られる。第1樹脂層の厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが抑制される。
第1樹脂層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の数値範囲内であることが好ましい。
前記積層フィルムの総質量に対する、第1樹脂層中の、第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではない樹脂の含有量の割合([第1樹脂層中の、第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではない樹脂の含有量(質量部)]/[積層フィルムの総質量(質量部)])は、10質量%以下であることが好ましく、例えば、5質量%以下、3質量%以下、及び2質量%以下のいずれかであってもよい。前記割合が前記上限値以下であることで、前記積層フィルムの再利用適性がより高くなる。
一方、前記割合は0質量%以上である。
前記積層フィルムの総質量に対する、第1樹脂層中の樹脂(B)の含有量の割合([第1樹脂層中の樹脂(B)の含有量(質量部)]/[積層フィルムの総質量(質量部)])は、10質量%以下であることが好ましく、例えば、5質量%以下、3質量%以下、及び2質量%以下のいずれかであってもよい。前記割合が前記上限値以下であることで、前記積層フィルムの再利用適性がより高くなる。
一方、前記割合は0質量%以上である。
第1樹脂層は、無延伸の層(フィルム)であることが好ましい。第1樹脂層が無延伸の層であることで、前記積層フィルムの成形性が向上する。
第1樹脂層は、例えば、イージーピール性を有するシーラント層(イージーピール層)として好適である。
<第2樹脂層>
前記第2樹脂層は、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂を含む。
第2樹脂層が含む、前記同種のポリオレフィン系樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
第2樹脂層が含む、前記同種のポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂であることが好ましく、高密度ポリエチレンであることがより好ましく、高密度ポリエチレンとそれ以外のポリエチレン系樹脂であってもよい。ポリエチレン系樹脂、特に高密度ポリエチレンを含む第2樹脂層は、その耐熱性が高い点で優れている。
すなわち、第1樹脂層と第2樹脂層は、ともにポリエチレン系樹脂を含むことが好ましく、第2樹脂層が高密度ポリエチレンを含むことがより好ましく、第2樹脂層が高密度ポリエチレンと、それ以外のポリエチレン系樹脂と、を含んでいてもよい。
第2樹脂層が高密度ポリエチレンとともに含む、高密度ポリエチレン以外のポリエチレン系樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンのいずれか一方又は両方であることが好ましい。
第2樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲で、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂以外に、他の成分を含んでいてもよい。
第2樹脂層における前記他の成分は、樹脂成分(本明細書においては、「他の樹脂成分」と称することがある)及び非樹脂成分(本明細書においては、「他の非樹脂成分」と称することがある)のいずれであってもよい。
第2樹脂層における前記他の樹脂成分は、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂以外の樹脂であれば、特に限定されない。
第2樹脂層における前記他の樹脂成分としては、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂と、が挙げられる。
第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂としては、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂として先に挙げたものと同様のものが挙げられる。
第2樹脂層における前記非樹脂成分としては、第1樹脂層における前記非樹脂成分と同様のものが挙げられる。
第2樹脂層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
第2樹脂層において、第2樹脂層の総質量に対する、ポリオレフィン系樹脂の含有量(第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂と、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、の合計含有量)の割合は、90~100質量%であることが好ましく、95~100質量%であることがより好ましく、例えば、97~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、第2樹脂層がポリオレフィン系樹脂を含んでいることによる効果が、より顕著に得られる。
前記割合は、通常、後述する第2樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、ポリオレフィン系樹脂の含有量(第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂と、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、の合計含有量)(質量部)の割合、と同じである。
第2樹脂層において、第2樹脂層の総質量に対する、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂の含有量の割合は、80~100質量%であることが好ましく、90~100質量%であることがより好ましく、例えば、95~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記積層フィルムの再利用適性がより高くなる。
前記割合は、通常、後述する第2樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂の含有量(質量部)の割合、と同じである。
第2樹脂層が高密度ポリエチレンを含む場合、第2樹脂層において、第2樹脂層の総質量に対する、高密度ポリエチレンの含有量の割合は、25~100質量%であることが好ましく、30~100質量%であることがより好ましく、50~100質量%であることがさらに好ましく、例えば、75~100質量%であってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、第2樹脂層の耐熱性が顕著に向上する。
前記割合は、通常、後述する第2樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、高密度ポリエチレンの含有量(質量部)の割合、と同じである。
第2樹脂層は、電子線照射されていてもよい。すなわち、前記積層フィルムは、電子線照射されていてもよく、その第2樹脂層側から電子線照射されていることが好ましい。例えば、第2樹脂層が高密度ポリエチレンを含んでいなくても、第2樹脂層は、電子線照射することにより、高密度ポリエチレンを含んでいる場合と同様の特性とすることが可能である。その理由は、電子線照射によって、第2樹脂層中の樹脂の架橋密度が増大するためであると推測される。
電子線照射された第2樹脂層で好ましいものとしては、例えば、低密度ポリエチレンを含む、電子線未照射の第2樹脂層(本明細書においては、この場合の第2樹脂層を、電子線照射後のものと区別するために、「未照射第2樹脂層」と称することがある)が、電子線照射されたものが挙げられる。
すなわち、電子線照射された前記積層フィルムで好ましいものとしては、例えば、前記未照射第2樹脂層として、低密度ポリエチレンを含むものを備えた前記積層フィルム(本明細書においては、この場合の積層フィルムを、電子線照射後のものと区別するために、「未照射積層フィルム」と称することがある)が、電子線照射されたものが挙げられる。
前記未照射第2樹脂層において、未照射第2樹脂層の総質量に対する、低密度ポリエチレンの含有量の割合は、70~100質量%であることが好ましく、80~100質量%であることがより好ましく、90~100質量%であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、電子線照射の効果がより顕著に得られる。
前記割合は、通常、後述する第2樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、低密度ポリエチレンの含有量(質量部)の割合、と同じである。
未照射第2樹脂層又は未照射積層フィルムに対する電子線照射は、吸収線量20~300kGyの条件で行うことが好ましい。吸収線量が前記下限値以上であることで、電子線照射の効果がより顕著に得られる。吸収線量が前記上限値以下であることで、第2樹脂層中の樹脂が、過剰に架橋することが抑制される。
すなわち、電子線照射された積層フィルムで好ましいものとしては、吸収線量20~300kGyの条件で電子線照射されたものが挙げられる。
未照射第2樹脂層又は未照射積層フィルムに対する電子線照射時の加速電圧は、100~300kVであることが好ましく、120~280kVであることがより好ましく、140~260kVであることがさらに好ましい。前記加速電圧が前記下限値以上であることで、電子線照射の効果がより顕著に得られる。前記加速電圧が前記上限値以下であることで、第2樹脂層中の樹脂が、過剰に架橋することが抑制される。
前記積層フィルムは、電子線照射によって、例えば、ゲル分率が増大する。すなわち、積層フィルムのゲル分率は、未照射積層フィルムのゲル分率よりも大きい。
前記積層フィルムのゲル分率は、30%以上であることが好ましく、例えば、30~90%、32~78%、及び34~76%のいずれかであってもよい。このような積層フィルムは、より好ましい耐熱性を有する。
前記積層フィルムのゲル分率は、JIS K 6769に準拠して測定できる。すなわち、積層フィルムをキシレン等の有機溶媒中に浸漬し、溶解せずに残った不溶物を乾燥後、その質量を求めて、溶解前の積層フィルムの質量と、乾燥後の積層フィルム由来の不溶物の質量と、からゲル分率を算出できる。より具体的には、例えば、Xgの積層フィルムを、Ygのステンレス製金網で包み込み、加熱された有機溶媒中で浸漬し、積層フィルム由来の不溶物を、ステンレス製金網ごと、有機溶媒中から取り出す。次いで、前記不溶物を包み込んでいるステンレス製金網を真空乾燥させ、乾燥後の前記不溶物とステンレス製金網の合計質量(Zg)を測定する。下記式(1)から、積層フィルムのゲル分率を算出する。
積層フィルムのゲル分率(質量%)=(Z-Y)/X×100 (1)
前記積層フィルムは、電子線照射によって、例えば、熱機械分析時の特性が変化する。
例えば、積層フィルムについて熱機械分析を行ったとき、2000μmの変位を示す温度(本明細書においては、「2000μm変位温度」と略記することがある)は、120℃以上であることが好ましく、例えば、125~200℃、及び130~195℃のいずれかであってもよい。このような積層フィルムは、より好ましい耐熱性を有する。
例えば、積層フィルムについて熱機械分析を行ったとき、温度が100℃での変位が500μm以下であることが好ましく、例えば、50~490μm、及び100~480μm以下のいずれかであってもよい。このような積層フィルムは、より好ましい耐熱性を有する。
積層フィルムの熱機械分析は、例えば、JIS K 7196に準拠して、標準試料と、目的とする試料とを、一定速度で昇温したときの熱膨張量の差から、試料の熱膨張量を測定する方法によって、行うことができる。
第2樹脂層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。第2樹脂層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
第2樹脂層の厚さは、前記積層フィルムの用途に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
第2樹脂層の厚さは、通常、3~60μmであることが好ましく、4~45μmであることがより好ましく、5~30μmであることがさらに好ましい。第2樹脂層の厚さが前記下限値以上であることで、第2樹脂層の強度がより向上するとともに、積層フィルムが第2樹脂層を備えていることによる効果が、より顕著に得られる。第2樹脂層の厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが抑制される。
第2樹脂層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の数値範囲内であることが好ましい。
第2樹脂層について、動的粘弾性測定(DMA:Dynamic Mechanical. Analysis)を行い、振動周波数が1Hzである場合の、100℃での弾性率E’(100)と、振動周波数が1Hzである場合の、110℃での弾性率E’(110)と、を測定したとき、E’(110)/E’(100)値は、0.2以上となることが好ましい。本実施形態の積層フィルムは、第2樹脂層のE’(110)/E’(100)値が、0.2以上であることで、第2樹脂層の耐熱性がより高いことにより、通常のポリオレフィン系樹脂を含む積層フィルムよりも、耐熱性が高い。このような、耐熱性が高い積層フィルムを加熱シールする場合には、加熱シール装置中の加熱板への積層フィルム(特に第2樹脂層)の付着が抑制される。
上述の動的粘弾性測定を行う第2樹脂層、すなわち、第2樹脂層の試験片としては、幅が4mmであり、長さが5cm以上であるものが挙げられる。このような試験片を用い、その動的粘弾性測定を行う測定対象部位の長さを2cmとなるように、試験片を設置して、試験片を、昇温速度3℃/minで昇温させて、動的粘弾性測定を行うことが好ましい。このような条件とすることで、弾性率E’(100)及び弾性率E’(110)をより高精度に測定できる。
第2樹脂層及び積層フィルムの耐熱性がより高くなる点では、第2樹脂層のE’(110)/E’(100)値は、0.24以上であることが好ましく、例えば、0.3以上、0.4以上、0.5以上及び0.55以上のいずれかであってもよい。
第2樹脂層のE’(110)/E’(100)値の上限値は、特に限定されない。例えば、E’(110)/E’(100)値が0.9以下である第2樹脂層は、より容易に実現できる。
第2樹脂層のE’(110)/E’(100)値は、上述のいずれかの下限値と、上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、第2樹脂層のE’(110)/E’(100)値は、0.2~0.9であることが好ましく、0.24~0.9であることがより好ましく、例えば、0.3~0.9、0.4~0.9、0.5~0.9、及び0.55~0.9のいずれかであってもよい。ただし、これらはE’(110)/E’(100)値の一例である。
高密度ポリエチレンを含む第2樹脂層のE’(110)/E’(100)値は、より大きくなる傾向にある。
例えば、E’(110)/E’(100)の値が0.5以上となる第2樹脂層は、高密度ポリエチレンを含む第2樹脂層によって、より容易に実現できる。
第2樹脂層のE’(100)は、上述のE’(110)/E’(100)値の条件を満たす限り、特に限定されない。例えば、第2樹脂層のE’(100)は、1.6×10~2×10Paであってもよい。
第2樹脂層のE’(110)は、上述のE’(110)/E’(100)値の条件を満たす限り、特に限定されない。例えば、第2樹脂層のE’(110)は、1.5×10~2.2×10Paであってもよい。
第2樹脂層は、無延伸の層(フィルム)であることが好ましい。第2樹脂層が無延伸の層であることで、前記積層フィルムの成形性が向上する。
第2樹脂層は、耐熱性を有するため、例えば、外層(シーラント層側とは反対側の最表層)として好適である。
<第3樹脂層>
前記積層フィルムは、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との間に、さらに、これら以外の第3樹脂層を備えていてもよい。
前記第3樹脂層は、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と、同種のポリオレフィン系樹脂を含む。すなわち、第3樹脂層を備えた積層フィルムにおいて、第1樹脂層と、第2樹脂層と、第3樹脂層は、同種のポリオレフィン系樹脂を含む。
本実施形態においては、ポリオレフィン系樹脂の場合に限らず、「同種の樹脂」とは、共通の構成単位を有する樹脂同士を比較したとき、どちらの樹脂においても、構成単位の全量(モル)に対する、共通の構成単位の量(モル)の割合が、20モル%以上であるものを意味する。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA樹脂)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA樹脂)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体(EVA部分ケン化物)等は、すべて、構成単位の全量(モル)に対する、エチレンから誘導された構成単位の量(モル)の割合が、20モル%以上であるため、同種であるとする。一方、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体及びプロピレン-エチレンブロック共重合体等のうち、構成単位の全量(モル)に対する、エチレンから誘導された構成単位の量(モル)の割合が、20モル%未満であるものは、上述の低密度ポリエチレン等とは、同種ではないとする。
本実施形態において、同種の樹脂は、どちらの樹脂においても、構成単位の全量(モル)に対する、共通の構成単位の量(モル)の割合が、好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上であり、例えば、60モル%以上、70モル%以上、及び80モル%以上のいずれかであってもよい。
第3樹脂層を備えた積層フィルムは、第3樹脂層を備えていることによる効果を有するとともに、再利用適性が高い。
第3樹脂層が含む、前記同種のポリオレフィン系樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
第3樹脂層が含む、前記同種のポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂であることが好ましい。
すなわち、第1樹脂層と、第2樹脂層と、第3樹脂層は、いずれもポリエチレン系樹脂を含むことが好ましい。
なかでも、第3樹脂層が含む、前記同種のポリオレフィン系樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレン又はメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンであることがより好ましい。
すなわち、第3樹脂層は、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンのいずれか一方又は両方を含むことがより好ましい。直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンのいずれか一方又は両方を含む第3樹脂層は、耐ピンホール性が高く、積層フィルムに耐ピンホール性を付与する。
第3樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲で、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂以外に、他の成分を含んでいてもよい。
第3樹脂層における前記他の成分は、樹脂成分(本明細書においては、「他の樹脂成分」と称することがある)及び非樹脂成分(本明細書においては、「他の非樹脂成分」と称することがある)のいずれであってもよい。
第3樹脂層における前記他の樹脂成分は、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂以外の樹脂であれば、特に限定されない。
第3樹脂層における前記他の樹脂成分としては、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂と、が挙げられる。
第3樹脂層に使用する(第3樹脂層が含む)ポリオレフィン系樹脂としては、αオレフィンコポリマー等のエラストマー成分;エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH);エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体(EVA部分ケン化物)も挙げられる。エラストマーを含む第3樹脂層を備えた積層フィルムは、ナイロン等のポリアミドを含んでいなくても、耐ピンホール性が高く、高強度となる。EVOHを含む第3樹脂層を備えた積層フィルムは、酸素バリア性を有する。
第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂としては、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂として先に挙げたものと同様のもの;αオレフィンコポリマー等のエラストマー等が挙げられる。
前記エラストマーを含む第3樹脂層を備えた積層フィルムは、ナイロン等のポリアミドを含んでいなくても、耐ピンホール性が高く、高強度となる。
第3樹脂層における、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂としては、例えば、スチレン-エチレン・ブチレン-エチレンブロック共重合体等のエラストマーが挙げられる。
前記エラストマーを含む第3樹脂層を備えた積層フィルムは、ナイロン等のポリアミドを含んでいなくても、耐ピンホール性が高く、高強度となる。
第3樹脂層における前記非樹脂成分としては、第1樹脂層における前記非樹脂成分と同様のものが挙げられる。
第3樹脂層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
第3樹脂層において、第3樹脂層の総質量に対する、ポリオレフィン系樹脂の含有量(第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂と、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、の合計含有量)の割合は、90~100質量%であることが好ましく、95~100質量%であることがより好ましく、例えば、97~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、第3樹脂層がポリオレフィン系樹脂を含んでいることによる効果が、より顕著に得られる。
前記割合は、通常、後述する第3樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、ポリオレフィン系樹脂の含有量(第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂と、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、の合計含有量)(質量部)の割合、と同じである。
第3樹脂層において、第3樹脂層の総質量に対する、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂の含有量の割合は、80~100質量%であることが好ましく、90~100質量%であることがより好ましく、例えば、95~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記積層フィルムの再利用適性がより高くなる。
前記割合は、通常、後述する第3樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂の含有量(質量部)の割合、と同じである。
第3樹脂層が、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンのいずれか一方又は両方を含む場合、第3樹脂層において、第3樹脂層の総質量に対する、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンの合計含有量の割合は、70~100質量%であることが好ましく、80~100質量%であることがより好ましく、90~100質量%であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、第3樹脂層(換言すると積層フィルム)の耐ピンホール性が顕著に向上する。
前記割合は、通常、後述する第3樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンの合計含有量(質量部)の割合、と同じである。
第3樹脂層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。第3樹脂層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
複数層からなる第3樹脂層においては、すべての層が、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と、同種のポリオレフィン系樹脂を含む。
第3樹脂層の厚さは、前記積層フィルムの用途に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
第3樹脂層の厚さは、通常、30~230μmであることが好ましく、40~130μmであることがより好ましく、50~90μmであることがさらに好ましい。第3樹脂層の厚さが前記下限値以上であることで、第3樹脂層の強度がより向上するとともに、積層フィルムが第3樹脂層を備えていることによる効果が、より顕著に得られる。第3樹脂層の厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが抑制される。
第3樹脂層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の数値範囲内であることが好ましい。
前記積層フィルムが第3樹脂層を備えている場合、前記積層フィルムの厚さに対する、第3樹脂層の厚さの割合は、特に限定されないが、50~90%であることが好ましい。
前記割合が前記下限値以上であることで、積層フィルムが第3樹脂層を備えていることにより得られる効果が、より高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、積層フィルムが第1樹脂層及び第2樹脂層を備えていることにより得られる効果が、より高くなる。
前記積層フィルムが第3樹脂層を備えている場合、前記積層フィルムの厚さに対する、第1樹脂層及び第2樹脂層の合計の厚さの割合は、特に限定されないが、10~50%であることが好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、積層フィルムが第1樹脂層及び第2樹脂層を備えていることにより得られる効果が、より高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、積層フィルムが第3樹脂層を備えていることにより得られる効果が、より高くなる。
第3樹脂層は、無延伸の層(フィルム)であることが好ましい。第3樹脂層が無延伸の層であることで、前記積層フィルムの成形性が向上する。
第3樹脂層は、例えば、耐ピンホール層、酸素バリア層等の中間層として好適である。
上述のとおり、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン及びエラストマーからなる群より選択される1種又は2種以上を含む第3樹脂層は、耐ピンホール性が高く、耐ピンホール層として好適である。エチレン-ビニルアルコール共重合体を含む第3樹脂層は、酸素バリア性が高く、酸素バリア層として好適である。
前記積層フィルムは、ナイロン等のポリアミドを含んでいなくても、耐ピンホール性が高く、高強度のものとすることが可能である。
例えば、先端部の曲率半径が0.5mmである針の前記先端部を、500mm/分の速度で、前記積層フィルムに対して垂直に押し込んだとき、前記針が前記積層フィルムを貫通した瞬間に、前記針に加えられていた荷重を突き刺し強度(N)としたとき、この突き刺し強度が高いほど、積層フィルムの耐ピンホール性が高いといえる。
前記針としては、例えば、ステンレス鋼製のものが挙げられる。
前記積層フィルムの前記突き刺し強度は、3N以上であることが好ましく、例えば、3.5N以上、及び4N以上のいずれかであってもよい。
前記突き刺し強度の上限値は、特に限定されないが、例えば、前記突き刺し強度が12N以下である積層フィルムは、より容易に実現できる。
上記のような突き刺し強度が高い積層フィルムは、例えば、耐ピンホール性を有する第3樹脂層を備えているもので、より容易に実現できる。第3樹脂層、並びに、場合によっては、第1樹脂層又は第2樹脂層が含有する樹脂の種類と含有量を調節することによって、積層フィルムの突き刺し強度を調節できる。
一方、エチレン-ビニルアルコール共重合体は、通常、エチレン-酢酸ビニル共重合体と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と(換言すると、エチレン-酢酸ビニル共重合体とその部分ケン化物)、のいずれにも該当しないポリオレフィン系樹脂との相溶性が低い。エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体(エチレン-酢酸ビニル共重合体部分ケン化物)は、通常、エチレン-ビニルアルコール共重合体との相溶性を有し、さらに、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、エチレン-酢酸ビニル共重合体と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、のいずれにも該当しないポリオレフィン系樹脂(本明細書においては、「非ビニル系ポリオレフィン系樹脂」と称することがある)との相溶性を有する。したがって、第3樹脂層が、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂と、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、を含む場合には、この第3樹脂層は、これら樹脂以外にさらに、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層(本明細書においては、「樹脂層(I)」と称することがある)であることが好ましい。前記樹脂層(I)である第3樹脂層は、高い酸素バリア性を有する。
前記樹脂層(I)において、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂は、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と、同種のポリオレフィン系樹脂であり、ポリエチレン系樹脂であることが好ましい。
前記樹脂層(I)において、エチレン-ビニルアルコール共重合体及びエチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体は、いずれも、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と、同種のポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。
樹脂層(I)(エチレン-ビニルアルコール共重合体と、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、を含む第3樹脂層)中の、エチレン-ビニルアルコール共重合体において、構成単位の全量(モル)に対する、エチレンから誘導された構成単位の量(モル)の割合は、20モル%以上であることが好ましく、20~80モル%であることがより好ましく、例えば、20~70モル%、20~60モル%、及び20~50モル%のいずれかであってもよいし、30~80モル%、40~80モル%、及び50~80モル%のいずれかであってもよいし、30~70モル%、及び40~60モル%のいずれかであってもよい。
樹脂層(I)において、樹脂層(I)の総質量に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体の含有量の割合は、例えば、25~70質量%であってもよい。ただし、樹脂層(I)の均一性と酸素バリア性がより高くなる点では、前記割合は、40~70質量%であることが好ましく、50~70質量%であることがより好ましく、例えば、55~65質量%であってもよい。
前記割合は、通常、樹脂層(I)を形成するための樹脂組成物(後述する第3樹脂組成物)における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体の含有量(質量部)の割合、と同じである。
樹脂層(I)において、樹脂層(I)の総質量に対する、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂の含有量の割合は、例えば、5~50質量%であってもよい。ただし、樹脂層(I)の均一性と酸素バリア性がより高くなる点では、前記割合は、5~35質量%であることが好ましく、5~20質量%であることがより好ましく、例えば、5~15質量%であってもよい。
前記割合は、通常、樹脂層(I)を形成するための樹脂組成物(後述する第3樹脂組成物)における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂の含有量(質量部)の割合、と同じである。
樹脂層(I)において、樹脂層(I)の総質量に対する、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体の含有量の割合は、20~40質量%であることが好ましく、例えば、25~35質量%であってもよい。前記割合がこのような範囲であることで、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。
前記割合は、通常、樹脂層(I)を形成するための樹脂組成物(後述する第3樹脂組成物)における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体の含有量(質量部)の割合、と同じである。
樹脂層(I)において、樹脂層(I)の総質量に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、の合計含有量の割合は、90~100質量%であることが好ましく、95~100質量%であることがより好ましく、例えば、97~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、樹脂層(I)の酸素バリア性がより高くなる。
前記割合は、通常、樹脂層(I)を形成するための樹脂組成物(後述する第3樹脂組成物)における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、の合計含有量(質量部)の割合、と同じである。
前記積層フィルムは、第3樹脂層として樹脂層(I)を備えている場合、樹脂層(I)を1層のみ備えていてもよいし、2層以上備えていてもよい。前記積層フィルムが樹脂層(I)を2層以上備えている場合、これら2層以上の樹脂層(I)は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら樹脂層(I)の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
第3樹脂層として樹脂層(I)を備えた前記積層フィルムとしては、例えば、1層の樹脂層(I)と、前記樹脂層(I)の第1樹脂層側及び第2樹脂層側のいずれか一方又は両方に、1層又は2層の樹脂層(I)以外の第3樹脂層と、を備えたものが挙げられる。
このような前記積層フィルムとして、より具体的には、例えば、第1樹脂層と、1層の樹脂層(I)(第3樹脂層)と、1層又は2層の樹脂層(I)以外の第3樹脂層と、第2樹脂層と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、第3樹脂層が合計で2層又は3層の積層フィルム;第1樹脂層と、1層又は2層の樹脂層(I)以外の第3樹脂層と、1層の樹脂層(I)(第3樹脂層)と、第2樹脂層と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、第3樹脂層が合計で2層又は3層の積層フィルム;第1樹脂層と、1層又は2層の樹脂層(I)以外の第3樹脂層と、1層の樹脂層(I)(第3樹脂層)と、1層又は2層の樹脂層(I)以外の第3樹脂層と、第2樹脂層と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、第3樹脂層が合計で3~5層の積層フィルムが挙げられる。
ここで例示した積層フィルムにおいて、第1樹脂層と、樹脂層(I)と、樹脂層(I)以外の第3樹脂層と、第2樹脂層とは、すべて同種のポリオレフィン系樹脂を含む。
ここで例示した積層フィルムにおいて、第1樹脂層及び第2樹脂層は、いずれも1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
前記積層フィルムで好ましいものとしては、例えば、酸素バリア性を有するという点では、前記第3樹脂層が3層以上の複数層からなり、そのうちの少なくとも1層が、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂と、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、を含む(すなわち、前記樹脂層(I)である)ものが挙げられる。
このような前記樹脂層(I)である第3樹脂層においては、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂と、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、からなる群より選択される1種又は2種以上が、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と、同種のポリオレフィン系樹脂であればよい。
例えば、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂が前記同種のポリオレフィン系樹脂である場合には、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、のいずれか一方又は両方が、前記同種のポリオレフィン系樹脂であってもよいし、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、の両方が、前記同種のポリオレフィン系樹脂でなくてもよい。
第3樹脂層として樹脂層(I)を備えた前記積層フィルムにおいて、積層フィルムの厚さに対する、樹脂層(I)の厚さの割合は、特に限定されないが、4~15%であることが好ましい。前記割合が前記下限値以上である樹脂層(I)は、厚さの均一性がより高い。前記割合が前記上限値以下であることで、積層フィルムの再利用適性がより高くなる。
前記積層フィルムが第3樹脂層として樹脂層(I)を備えている場合、JIS K 7126-2:2006に準拠して測定された、温度23℃、相対湿度(RH)50%の条件下での、前記積層フィルムの酸素透過量は、500ml/(m・24h・atm)以下であってもよいが、100ml/(m・24h・atm)以下であることが好ましく、50ml/(m・24h・atm)以下であることよりが好ましく、25ml/(m・24h・atm)以下であることがさらに好ましく、例えば、10ml/(m・24h・atm)以下であってもよい。一方、前記積層フィルムの酸素透過量は、0ml/(m・24h・atm)以上である。
前記積層フィルムが第3樹脂層として樹脂層(I)を備えている場合、前記積層フィルムの、その第2樹脂層側の外部から測定したヘーズは、35%以下、及び30%以下のいずれかであってもよいが、20%以下であることが好ましい。前記ヘーズが前記上限値以下である積層フィルムの酸素バリア性は、より高い。これは、樹脂層(I)の均一性が高く、樹脂層(I)の酸素バリア性が高いことによる。また、前記ヘーズが前記上限値以下であることで、前記積層フィルムを用いて得られた包装体においては、内容物の視認性がより良好となる。
本明細書において、「ヘーズ」とは、JIS K 7136:2000に準拠して測定されたものを意味する。
前記積層フィルムは、これを構成する各層(第1樹脂層及び第2樹脂層、並びに、場合によっては第3樹脂層)が、同種のポリオレフィン系樹脂を含んでいるため、再利用適性が高いだけでなく、各層を、接着層を介さずに、密着させることができる。すなわち、前記積層フィルムは、接着層を備えていなくても、各層の密着性が高い。また、このように接着層を備えていない積層フィルムは、低コストで製造できる。
前記積層フィルムにおいて、前記積層フィルムの総質量に対する、前記同種のポリオレフィン系樹脂の含有量の割合は、90質量%以上であることが好ましく、例えば、95質量%以上、97質量%以上、及び98質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記積層フィルムのモノマテリアル化(積層フィルムを単一の素材で構成すること)が実現でき、前記積層フィルム全体を容易に再利用することができる。
前記積層フィルムは、後述するように、対象物と加熱シールすることによって、イージーピール性を有する包装体を構成できる。前記対象物は、目的に応じて任意に選択でき、好ましいものの一例としては、ポリエチレン製不織布が挙げられる。
前記積層フィルムのイージーピール性の程度は、例えば、積層フィルムを対象物と加熱シールすることによって作製した加熱シール体において、積層フィルムと前記対象物との間の剥離強度を測定したときの、この測定値を指標として判断できる。
例えば、前記積層フィルム中の前記第1樹脂層の露出面(換言すると、第2樹脂層側とは反対側の面)と、シート状又はフィルム状の対象物の一方の面と、を重ね合わせ、前記積層フィルムと前記対象物を、シール温度130℃、シール時間3.5秒、シール圧力1.1MPaの条件で加熱シールすることにより、前記加熱シール体を作製できる。
積層フィルムと前記対象物との間の剥離強度を測定するときには、例えば、試験片として、幅が15mmの前記加熱シール体を用いることができる。前記試験片としては、例えば、十分な大きさの前記加熱シール体を作製し、この加熱シール体から切り出した、幅が15mmの切片を用いることができる。
積層フィルムと前記対象物との間の剥離強度(本明細書においては、「剥離強度(130℃)」と称することがある)としては、前記試験片において、積層フィルム中の第1樹脂層と、前記対象物と、のシール面同士が180°の角度を為すように、剥離速度200mm/minで、積層フィルムを前記対象物から剥離したときの剥離力を採用できる。
ここまでに述べた剥離強度の測定は、ASTM F88に準拠して行うことができる。
例えば、前記対象物がポリエチレン製不織布である場合には、前記積層フィルム中の第1樹脂層の露出面と、ポリエチレン製不織布の一方の面と、を重ね合わせ、前記積層フィルムと前記ポリエチレン製不織布を、シール温度130℃、シール時間3.5秒、シール圧力1.1MPaの条件で加熱シールすることにより、加熱シール体を作製し、幅が15mmの前記加熱シール体を試験片として用い、前記試験片において、前記積層フィルム中の前記第1樹脂層と、前記ポリエチレン製不織布と、のシール面同士が180°の角度を為すように、剥離速度200mm/minで、前記積層フィルムを前記ポリエチレン製不織布から剥離したときの剥離強度(剥離強度(130℃))を、積層フィルムのイージーピール性の程度の指標とすることができる。
この場合(前記対象物がポリエチレン製不織布である場合)、前記剥離強度(130℃)は、4N/15mm以下であることが好ましく、例えば、3.8N/15mm以下であってもよい。剥離強度(130℃)が前記上限値以下となる前記積層フィルムは、より良好なイージーピール性を有する。
前記対象物がポリエチレン製不織布である場合、前記積層フィルムを用いて得られた包装体において、積層フィルムと前記対象物(ポリエチレン製不織布)との間での、目的外の剥離が高度に抑制される点では、剥離強度(130℃)は、0.5N/15mm以上であることが好ましい。
前記対象物がポリエチレン製不織布である場合の剥離強度(130℃)は、例えば、0.5~4N/15mm、及び0.5~3.8N/15mmのいずれかであってもよい。ただし、これらは剥離強度(130℃)の一例である。
シール温度を130℃に代えて、110℃又は120℃とした点以外は、上記と同じ方法で測定したときの剥離強度も、積層フィルムのイージーピール性の程度の指標とすることができる。
例えば、前記対象物がポリエチレン製不織布である場合、前記シール温度を120℃としたときの、前記積層フィルムと前記ポリエチレン製不織布との間の剥離強度(本明細書においては、「剥離強度(120℃)」と称することがある)は、3.2N/15mm以下であることが好ましく、例えば、2.8N/15mm以下であってもよい。剥離強度(120℃)が前記上限値以下となる前記積層フィルムは、より良好なイージーピール性を有する。
前記積層フィルムを用いて得られた包装体において、積層フィルムと前記対象物(ポリエチレン製不織布)との間での、目的外の剥離が高度に抑制される点では、剥離強度(120℃)は、0.5N/15mm以上であることが好ましい。
剥離強度(120℃)は、例えば、0.5~3.2N/15mm、及び0.5~2.8N/15mmのいずれかであってもよい。ただし、これらは剥離強度(120℃)の一例である。
例えば、前記対象物がポリエチレン製不織布である場合、前記シール温度を110℃としたときの、前記積層フィルムと前記ポリエチレン製不織布との間の剥離強度(本明細書においては、「剥離強度(110℃)」と称することがある)は、2N/15mm以下であることが好ましく、例えば、1.8N/15mm以下であってもよい。剥離強度(110℃)が前記上限値以下となる前記積層フィルムは、より良好なイージーピール性を有する。
前記積層フィルムを用いて得られた包装体において、積層フィルムと前記対象物(ポリエチレン製不織布)との間での、目的外の剥離が高度に抑制される点では、剥離強度(110℃)は、0.5N/15mm以上であることが好ましい。
剥離強度(110℃)は、例えば、0.5~2N/15mm、及び0.5~1.8N/15mmのいずれかであってもよい。ただし、これらは剥離強度(110℃)の一例である。
例えば、前記対象物がポリエチレン製不織布である場合、前記積層フィルムにおいては、上述の剥離強度(130℃)、剥離強度(120℃)及び剥離強度(110℃)がすべて、上記のいずれかの数値範囲であることが好ましい。このような積層フィルムは、特に優れたイージーピール性を有する。
例えば、好ましい積層フィルムの一例としては、剥離強度(130℃)が4N/15mm以下であり、剥離強度(120℃)が3.2N/15mm以下であり、剥離強度(110℃)が2N/15mm以下である積層フィルムが挙げられる。
好ましい前記積層フィルムの一例としては、105~135℃の温度範囲で、ポリエチレン製不織布と加熱シール可能である積層フィルムが挙げられる。
前記積層フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、第1樹脂層と、第2樹脂層と、第3樹脂層と、のいずれにも該当しない、他の層を備えていてもよいが、前記他の層を備えていないことが好ましい。
前記他の層は、ポリオレフィン系樹脂を含まない層であり、このような他の層を備えていないことにより、前記積層フィルムの再利用適性が、より高くなる。
前記積層フィルムの全体の厚さは、特に限定されないが、例えば、60~250μmであることが好ましい。
前記積層フィルムにおいては、これを構成するすべての層(例えば、第1樹脂層~第3樹脂層)が、無延伸の層(フィルム)であることが好ましい。このような、無延伸の積層フィルムは、成形性に特に優れ、例えば、深絞り包装体を構成するのに適している。
<<積層フィルムの製造方法>>
前記積層フィルムは、例えば、数台の押出機を用いて、各層の形成材料となる樹脂又は樹脂組成物等を溶融押出するフィードブロック法や、マルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法等により、製造できる。
また、前記積層フィルムは、そのうちのいずれか2層以上を構成するための2枚以上のフィルムをあらかじめ別々に作製しておき、接着剤を用いずに、サーマル(熱)ラミネート法等によって貼り合わせて積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
前記積層フィルム中のいずれかの層の形成材料となる前記樹脂組成物は、形成する層が目的とする成分を、目的とする含有量で含むように、含有成分の種類と含有量を調節して、製造すればよい。例えば、前記樹脂組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、この樹脂組成物から形成された層中の、前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
第1樹脂層(図1に示す積層フィルム1においては、第1樹脂層11)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「第1樹脂組成物」と称することがある)としては、例えば、前記ポリオレフィン系樹脂と、必要に応じて前記ポリオレフィン系樹脂に該当しない樹脂(A)及び樹脂(B)のいずれか一方又は両方と、必要に応じてこれら(前記ポリオレフィン系樹脂、樹脂(A)、樹脂(B))のいずれにも該当しないの他の成分と、を含有するものが挙げられる。前記他の成分は、先に説明した成分である。
第2樹脂層(図1に示す積層フィルム1においては、第2樹脂層12)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「第2樹脂組成物」と称することがある)としては、例えば、前記ポリオレフィン系樹脂と、必要に応じてそれ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。前記他の成分は、先に説明した成分である。
第3樹脂層(図1に示す積層フィルム1においては、第3樹脂層13)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「第3樹脂組成物」と称することがある)としては、例えば、前記ポリオレフィン系樹脂と、必要に応じてそれ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。前記他の成分は、先に説明した成分である。第3樹脂層のうち、前記樹脂層(I)であるものを形成するための第3樹脂組成物としては、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、必要に応じてこれら以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。
<<包装体>>
前記積層フィルムは、包装体の材料として好適である。
すなわち、好ましい包装体としては、前記積層フィルムを備えた包装体が挙げられる。
本実施形態の包装体は、前記積層フィルムを備えていれば、特に限定されない。
本実施形態の包装体は、前記積層フィルムを備えていることで、前記積層フィルムを加熱シールした対象物(シール対象物)から容易に安定して剥離でき、安定したイージーピール性を有する。これは、包装体中の第1樹脂層の厚さのばらつきが抑制され、安定した剥離強度を有することによる。
前記積層フィルムは、例えば、深絞り包装体の蓋材と底材のどちらを構成するのにも好適である。
本実施形態の包装体は、前記積層フィルムを用いて、包装対象物を包装することで、製造できる。包装体の製造時には、前記積層フィルム中の第1樹脂層を包装対象物側に配置し、第2樹脂層を包装対象物側とは反対側に配置して、包装対象物を包装することが好ましい。
より好ましい包装体としては、前記積層フィルムと、ポリエチレン製不織布と、を備え、前記積層フィルム中の前記第1樹脂層のうち、前記第2樹脂層側とは反対側の面の少なくとも一部が、前記ポリエチレン製不織布の表面と加熱シールされて構成された包装体が挙げられる。
このような包装体は、安定したイージーピール性を有しており、例えば、ポリエチレン製不織布中の繊維が、剥離後の前記積層フィルムに付着することが抑制される。
前記ポリエチレン製不織布は、加熱シールが可能であれば特に限定されない。
ポリエチレン製不織布は、包装体の形成後に、通気性を有し、包装体の外部から内部への菌類の侵入を防止する特性(防菌性)を有するポリエチレン製不織布であることが好ましい。このようなポリエチレン製不織布は、医療用品等を包装するための包装材として好適である。
ポリエチレン製不織布が含むポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられる。
これらの中でも、ポリエチレン製不織布が含むポリエチレンは、その強度がより高く、より良好な加熱シール特性を有する点では、高密度ポリエチレンであることが好ましい。
前記包装体が医療用品用(医療用包装体)である場合、ポリエチレン製不織布は、通気性及び防菌性を実現する小孔を有することが好ましい。
ポリエチレン製不織布においては、繊維の太さは、0.0001~20dtexであることが好ましく、目付(単位面積当たりの質量)は、10~300g/mであることが好ましい。このようなポリエチレン製不織布は、上述の小孔を有するポリエチレン製不織布として好適である。
本実施形態の好ましい包装体として、より具体的には、例えば、樹脂フィルムを深絞り成形することによって作製された底材と、蓋材と、が加熱シールされて構成された包装体が挙げられる。
前記底材は、目的物を収納するための凹部を有する。
前記底材としては、例えば、前記積層フィルムの深絞り成形体を用いることができる。
前記蓋材としては、例えば、前記ポリエチレン製不織布を用いることができる。
図4は、本実施形態の積層フィルムを備えた包装体の一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す包装体101は、蓋材8と、底材10と、を備えており、樹脂フィルムを深絞り成形して得られた深絞り包装体である。
蓋材8及び底材10のいずれか一方又は両方は、図1に示す積層フィルム1を用いて、構成されている。
図4中の蓋材8又は底材10においては、これを構成している積層フィルム1中の各層の区別を省略している。
底材10には、凹部100が形成されている。
底材10の一方の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)10bと、蓋材8の一方の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)8bとは、いずれもシール面であり、互いに対向している。
包装体101は、蓋材8及び底材10のシールによって構成されている。より具体的には、底材10の凹部100を除く領域の第2面10bと、蓋材8の第2面8bは、重ね合わされ、互いにこれらの周縁部近傍の領域においてシールされている。その結果、底材10の凹部100の領域において、底材10の第2面10bと、蓋材8の第2面8bと、の間に、収納部101aが形成されている。この収納部101a内に、収納物9が収納されている。
底材10が積層フィルム1を用いて構成されている場合、底材10の一方の面(第2面)10bは、積層フィルム1中の第1樹脂層11の第2面11bと同じであることが好ましい。底材10の他方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)10aは、積層フィルム1中の第2樹脂層12の第1面12aと同じであることが好ましい。
蓋材8が積層フィルム1を用いて構成されている場合、蓋材8の一方の面(第2面)8bは、積層フィルム1中の第1樹脂層11の第2面11bと同じであることが好ましい。蓋材8の他方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)8aは、積層フィルム1中の第2樹脂層12の第1面12aと同じであることが好ましい。
包装体101において、底材10は、積層フィルム1の深絞り成形体であることが好ましく、蓋材8は、前記ポリエチレン製不織布であることが好ましい。
図4においては、包装体101の収納部101a内において、収納物9と底材10との間、並びに、収納物9と蓋材8との間には、一部隙間が見られるが、これら隙間の存在は、収納物9を収納した状態の包装体101において、必須ではない。
底材10のその平坦部における厚さと、蓋材8の厚さは、いずれも、先に説明した積層フィルム1の厚さと同様であってもよい。
ここまでは、前記積層フィルムを備えた包装体として、深絞り包装体を例に挙げて説明したが、前記積層フィルムを備えた包装体は、深絞り包装体に限定されず、他の包装体であってもよい。
<<包装体の製造方法>>
前記包装体は、例えば、前記積層フィルム同士、又は、前記積層フィルムと、前記積層フィルム以外の他のシートと、によって、包装対象物(換言すると収納物)を収納するための収納部を形成しながら、包装対象物を収納していき、前記積層フィルム同士、又は、前記積層フィルム及び他のシート、の前記収納部以外の領域を加熱シールすることにより、製造できる。前記他のシートとしては、樹脂シートを用いることができ、前記ポリエチレン製不織布を用いてもよい。
包装体の製造時における、加熱シールの条件は、加熱シールの対象物の種類に応じて、適宜調節できる。
例えば、前記積層フィルム(例えば、前記積層フィルムを用いて得られた底材)と、前記ポリエチレン製不織布と、を加熱シールする場合には、シール温度は105~135℃であることが好ましく、シール時間は0.3~6秒であることが好ましく、シール圧力は0.1~3MPaであることが好ましい。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されない。
[実施例1]
<<積層フィルムの製造>>
以下に示す手順により、図1に示す構成の積層フィルムを製造した。
すなわち、第1樹脂層を構成する樹脂として、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(三井・ダウポリケミカル社製「エバフレックス(登録商標)P1007」、融点94℃、MFR9.0g/10min)(本明細書においては、「EVA(1)」と称することがある)と、ホモポリプロピレン(hPP)(プライムポリマー社製「プライムポリプロ(登録商標)Y-400GP」、融点160℃)を用意した。
第2樹脂層を構成する樹脂として、高密度ポリエチレン(HDPE)(東ソー社製「ニポロンハード(登録商標)4010」、密度0.964g/cm、MFR5.4g/10min)を用意した。
第3樹脂層を構成する樹脂として、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)(宇部丸善ポリエチレン社製「ユメリット(登録商標)1520F」、密度0.913g/cm)を用意した。
前記樹脂の融点は、JIS K 7121に準拠して、高感度示差走査熱量計(SII社製「DSC6220」)を用いて測定した。このとき、窒素雰囲気下において、昇温速度2℃/minで、樹脂を25℃から180℃まで昇温し、次いで、降温速度50℃/minで、樹脂を-40℃まで冷却し、次いで再度、昇温速度2℃/minで、樹脂を180℃まで昇温し、2回目の昇温時の樹脂の融点を測定した。2つ以上の融点ピークが検出された場合には、高温側のピークを融点として採用することにした。
前記EVA(1)(85質量部)と、前記hPP(15質量部)と、を混合することにより、第1樹脂組成物(1)を調製した。
前記第1樹脂組成物(1)と、前記LLDPEと、前記HDPEとを、この順で共押出しすることにより、第1樹脂層(厚さ10μm)と、第3樹脂層(厚さ70μm)と、第2樹脂層(厚さ20μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ100μm)を得た。
第1樹脂層、第3樹脂層及び第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
<<積層フィルムの評価>>
<積層フィルムとポリエチレン製不織布との間の剥離強度の測定>
上記で得られた積層フィルム中の第1樹脂層の露出面と、医療用包装材(デュポン社製「タイベック(登録商標)2FS(ノンコートタイプ)」、ポリエチレン製不織布)の一方の面と、を重ね合わせて積層物とした。前記医療用包装材は、高密度ポリエチレンを含んで構成され、前記医療用包装材において、目付は59.5g/mであった。この積層物の前記医療用包装材側を、加熱シール装置中の熱板側へ向けて、ポリテトラフルオロエチレン性シートを介して、オートカップシーラーを用いて、シール温度130℃、シール時間3.5秒、シール圧力1.1MPa(11.2kgf/cm)の条件で、前記積層フィルムと前記医療用包装材を加熱シールした。
次いで、得られた加熱シール体から、幅が15mmの試験片(前記積層フィルムと前記医療用包装材の加熱シール体)を切り出した。
次いで、引張試験機(エー・アンド・デイ社製「TENSILON RTG-1310」)を用いて、前記試験片において、前記積層フィルム中の第1樹脂層と、前記医療用包装材と、のシール面同士が180°の角度を為すように、剥離速度200mm/minで、前記積層フィルムを前記医療用包装材から剥離した。そして、このときの剥離強度を測定した。
さらに、シール温度を130℃に代えて110℃及び120℃とした点以外は、上記と同じ方法で、試験片を作製し、剥離強度を測定した。
以上により、シール温度が110℃、120℃及び130℃である場合の、3種の試験片について、前記積層フィルムと前記医療用包装材との間の剥離強度を測定した。結果を表1中の「剥離強度」の欄に示す。
<積層フィルムの剥離性の評価>
上記の剥離強度の測定時に、剥離後の積層フィルムと医療用包装材のそれぞれの剥離面を目視観察し、下記基準に従って、積層フィルムの剥離性を評価した。結果を表1中の「剥離性」の欄に示す。
[評価基準]
A:積層フィルムを医療用包装材から良好に剥離でき、積層フィルムに破れが認められず、積層フィルムの剥離面に医療用包装材中の繊維の付着が認められない。
B:積層フィルムに破れが認められるか、又は、積層フィルムの剥離面に医療用包装材中の繊維の付着が認められる。
<E’(110)/E’(100)値の算出>
前記HDPEを押出成形することにより、試験用樹脂フィルム(厚さ100μm)を得た。
この試験用樹脂フィルムから、長さ15cm、幅4mmの第2試験片(厚さ100μm)を切り出し、測定対象部位の長さが2cmとなるように、この第2試験片をサンプルホルダー内に設置した。
次いで、動的粘弾性測定装置(日立ハイテクサイエンス社製「DMA 7100」)を用いて、引っ張りモードで、25℃から135℃の温度範囲において、変位10μm、振動周波数1Hz、昇温速度3℃/minの条件で、第2試験片の動的粘弾性測定を行い、E’(110)及びE’(100)を測定し、E’(110)/E’(100)値を算出した。結果を表1に示す。
<<積層フィルムの製造及び評価>>
[実施例2]
樹脂の共押出し時の条件を変更した点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、積層フィルムを製造し、評価した。得られた積層フィルムは、第1樹脂層(厚さ10μm)と、第3樹脂層(厚さ80μm)と、第2樹脂層(厚さ10μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ100μm)である。第1樹脂層、第3樹脂層及び第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。結果を表1に示す。
[実施例3]
前記EVA(1)(90質量部)と、前記hPP(10質量部)と、を混合することにより、第1樹脂組成物(2)を調製した。
前記第1樹脂組成物(1)に代えて、この第1樹脂組成物(2)を用いた点と、樹脂の共押出し時の条件を変更した点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、積層フィルムを製造し、評価した。得られた積層フィルムは、第1樹脂層(厚さ10μm)と、第3樹脂層(厚さ80μm)と、第2樹脂層(厚さ10μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ100μm)である。第1樹脂層、第3樹脂層及び第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。結果を表1に示す。
[実施例4]
前記EVA(1)(80質量部)と、前記hPP(20質量部)と、を混合することにより、第1樹脂組成物(3)を調製した。
前記第1樹脂組成物(1)に代えて、この第1樹脂組成物(3)を用いた点と、樹脂の共押出し時の条件を変更した点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、積層フィルムを製造し、評価した。得られた積層フィルムは、第1樹脂層(厚さ10μm)と、第3樹脂層(厚さ80μm)と、第2樹脂層(厚さ10μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ100μm)である。第1樹脂層、第3樹脂層及び第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。結果を表1に示す。
[実施例5]
前記EVA(1)(70質量部)と、前記hPP(30質量部)と、を混合することにより、第1樹脂組成物(4)を調製した。
前記第1樹脂組成物(1)に代えて、この第1樹脂組成物(4)を用いた点と、樹脂の共押出し時の条件を変更した点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、積層フィルムを製造し、評価した。得られた積層フィルムは、第1樹脂層(厚さ10μm)と、第3樹脂層(厚さ80μm)と、第2樹脂層(厚さ10μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ100μm)である。第1樹脂層、第3樹脂層及び第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。結果を表1に示す。
[実施例6]
第2樹脂層を構成する樹脂として、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)(宇部丸善ポリエチレン社製「ユメリット(登録商標)1520F」、密度0.913g/cm)を用意した。
前記HDPE(50質量部)と、前記mLLDPE(50質量部)と、を混合することにより、第2樹脂組成物(1)を調製した。
前記HDPEに代えて、この第2樹脂組成物(1)を用いた点と、樹脂の共押出し時の条件を変更した点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、積層フィルムを製造し、評価した。得られた積層フィルムは、第1樹脂層(厚さ10μm)と、第3樹脂層(厚さ80μm)と、第2樹脂層(厚さ10μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ100μm)である。第1樹脂層、第3樹脂層及び第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。積層フィルムの評価時において、E’(110)/E’(100)値の算出時に、前記HDPEに代えて前記第2樹脂組成物(1)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、試験用樹脂フィルム(厚さ100μm)を得た。結果を表2に示す。
[実施例7]
第1樹脂層を構成する樹脂として、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(三井・ダウポリケミカル社製「エバフレックス(登録商標)EV560」、融点90℃、MFR3.5g/10min)(本明細書においては、「EVA(2)」と称することがある)を用意した。
前記EVA(2)(85質量部)と、前記hPP(15質量部)と、を混合することにより、第1樹脂組成物(5)を調製した。
前記第1樹脂組成物(1)に代えて、この第1樹脂組成物(5)を用いた点と、樹脂の共押出し時の条件を変更した点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、積層フィルムを製造し、評価した。得られた積層フィルムは、第1樹脂層(厚さ10μm)と、第3樹脂層(厚さ80μm)と、第2樹脂層(厚さ10μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ100μm)である。第1樹脂層、第3樹脂層及び第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。結果を表2に示す。
[比較例1]
前記第1樹脂組成物(1)に代えて前記EVAを用いた点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、積層フィルムを製造し、評価した。得られた積層フィルムは、第1樹脂層(厚さ10μm)と、第3樹脂層(厚さ70μm)と、第2樹脂層(厚さ20μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ100μm)である。第1樹脂層、第3樹脂層及び第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。結果を表2に示す。
[比較例2]
樹脂の共押出し時の条件を変更した点、以外は、比較例1の場合と同じ方法で、積層フィルムを製造し、評価した。得られた積層フィルムは、第1樹脂層(厚さ10μm)と、第3樹脂層(厚さ80μm)と、第2樹脂層(厚さ10μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ100μm)である。第1樹脂層、第3樹脂層及び第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。結果を表2に示す。
Figure 2023044963000002
Figure 2023044963000003
上記結果から明らかなように、実施例1~7においては、シール温度が110℃、120℃及び130℃のいずれの場合も、積層フィルムと医療用包装材との間の剥離強度が適切であり、これを反映して、積層フィルムの医療用包装材からの剥離性が良好であり、積層フィルムはイージーピール性を有する包装体を製造可能であった。これら積層フィルムでは、第1樹脂層の層切れが抑制されていた。
実施例1~7においては、積層フィルム中の第1樹脂層が、樹脂(A)(すなわち前記EVA(1)又はEVA(2))及び樹脂(B)(すなわち前記hPP)を含んでいた。また、第1樹脂層において、第1樹脂層の総質量に対する、樹脂(A)の含有量の割合は70~90質量%であり、樹脂(B)の含有量の割合は10~30質量%であった。
実施例1~7の積層フィルムは、第1樹脂層~第3樹脂層のすべてが、PE系樹脂を含んでおり、主たる含有成分が同種のポリオレフィン系樹脂であって、再利用適性が高かった。
これに対して、比較例1~2においては、シール温度が130℃の場合に、積層フィルムと医療用包装材との間の剥離強度が大き過ぎ、これを反映して、積層フィルムの医療用包装材からの剥離性が不良であり、積層フィルムはイージーピール性を有する包装体の製造に適していなかった。
比較例1~2においては、積層フィルム中の第1樹脂層が、樹脂(A)(すなわち前記EVA(1))からなり、樹脂(B)を含んでいなかった。
本発明は、使用後の再利用が可能な各種包装体の製造に、利用可能である。
1・・・積層フィルム
11・・・第1樹脂層
11b・・・第1樹脂層の第2面
12・・・第2樹脂層
13・・・第3樹脂層
101・・・包装体
8・・・蓋材
10・・・底材

Claims (15)

  1. 第1樹脂層と第2樹脂層を備え、
    前記第1樹脂層と前記第2樹脂層は、同種のポリオレフィン系樹脂を含み、
    前記第1樹脂層が、融点が70~125℃の樹脂(A)と、融点が130~200℃の樹脂(B)と、を含み、
    前記第1樹脂層において、前記第1樹脂層の総質量に対する、前記樹脂(A)の含有量の割合が51~99質量%であり、前記樹脂(B)の含有量の割合が1~49質量%である、積層フィルム。
  2. 前記積層フィルムの総質量に対する、前記第1樹脂層中の前記樹脂(B)の含有量の割合が、10質量%以下である、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記樹脂(A)がポリエチレン系樹脂である、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. 前記第2樹脂層について、動的粘弾性測定を行い、振動周波数が1Hzである場合の、100℃での弾性率E’(100)と、110℃での弾性率E’(110)を測定したとき、E’(110)/E’(100)値が0.2以上となる、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  5. 前記ポリエチレン系樹脂が、ポリエチレン及びエチレン系共重合体からなる群より選択される1種又は2種以上である、請求項3に記載の積層フィルム。
  6. 前記樹脂(B)がポリプロピレン及びプロピレン系共重合体からなる群より選択される1種又は2種以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  7. 前記積層フィルム中の前記第1樹脂層の露出面と、ポリエチレン製不織布の一方の面と、を重ね合わせ、前記積層フィルムと前記ポリエチレン製不織布を、シール温度130℃、シール時間3.5秒、シール圧力1.1MPaの条件で加熱シールすることにより、加熱シール体を作製し、幅が15mmの前記加熱シール体を試験片として用い、前記試験片において、前記積層フィルム中の前記第1樹脂層と、前記ポリエチレン製不織布と、のシール面同士が180°の角度を為すように、剥離速度200mm/minで、前記積層フィルムを前記ポリエチレン製不織布から剥離したとき、剥離強度が4N/15mm以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  8. 前記エチレン系共重合体が、エチレン-酢酸ビニル共重合体である、請求項5に記載の積層フィルム。
  9. 前記樹脂(B)がポリプロピレンである、請求項6~8のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  10. 前記積層フィルムが、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との間に、さらに、第3樹脂層を備え、
    前記第1樹脂層と、前記第2樹脂層と、前記第3樹脂層が、同種のポリオレフィン系樹脂を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  11. 前記第3樹脂層が、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンのいずれか一方又は両方を含む、請求項10に記載の積層フィルム。
  12. 前記積層フィルムが、105~135℃の温度範囲で、ポリエチレン製不織布と加熱シール可能である、請求項1~11のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  13. 前記積層フィルムにおいて、前記積層フィルムの総質量に対する、前記同種のポリオレフィン系樹脂の含有量の割合が、90質量%以上である、請求項1~12のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  14. 請求項1~13のいずれか一項に記載の積層フィルムを備えた、包装体。
  15. 前記積層フィルム中の前記第1樹脂層のうち、前記第2樹脂層側とは反対側の面の少なくとも一部が、ポリエチレン製不織布の表面と加熱シールされた、請求項14に記載の包装体。
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