JP2020203987A - ポリプロピレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系フィルム及び包装材、並びに包装体 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系フィルム及び包装材、並びに包装体 Download PDF

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智子 大木
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大輔 ▲濱▼田
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Abstract

【課題】包装体の大型化によって、要求レベルが高くなったヒートシール性と耐寒衝撃性が両立したレトルト包装体用シーラントフィルムに適用されるポリプロピレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系フィルム、及び包装材、包装体を提供すること。【解決手段】特定の成分比率を有するプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)に、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)を混合してなるポリプロピレン系樹脂組成物。さらにこれを用いたシール層と機能層に、ポリプロピレンの濃度勾配を設けることで、ヒートシール性と耐寒衝撃性が高いレベルで両立したポリプロピレン系フィルムを得る。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリプロピレン系シーラントフィルムに適用される樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、プロピレン・エチレンブロック共重合体にエチレン・α−オレフィン共重合体を溶融混合することにより得られる樹脂組成物、それを用いたフィルム、包装材および包装体に関する。
従来、120℃以上135℃以下の高温で加圧処理を行って殺菌、滅菌を行うレトルト処理が必要なレトルト用包装体に使用されるシーラントフィルムとしては、高温において変形、融着しない耐熱性が求められるため、優れた耐熱性を有するポリプロピレン系樹脂である、プロピレン・エチレンブロック共重合体を主成分とする無延伸ポリプロピレン系フィルムが使用されている。
レトルト用包装体の最内層を構成する無延伸ポリプロピレン系フィルムは、耐寒衝撃性、ヒートシール性、ゆず肌耐性等において、高い物性が要求される。特に近年は業務用等包装体の大型化が進み、耐寒衝撃性、ヒートシール性の要求レベルが高くなってきている。
このレトルト用包装体に使用される無延伸ポリプロピレン系シーラントフィルムに用いられる樹脂や、その層構成に関して、これまで多くの提案がなされてきた。
例えば特許文献1では、ヒートシール性や耐寒衝撃性を改善するために、ポリプロピレン系シーラントフィルムを2層構成にすることを開示している。しかし、2層のうち1層はポリプロピレン系樹脂のみを用いていることから、全体的に耐寒衝撃性に劣るポリプロピレン成分が多くなり、耐寒衝撃性が劣る問題点があった。
また、特許文献2では、各層のポリプロピレンに添加している樹脂種類が異なるため、レトルト処理後のヒートシール強度が大きく低下し、実用が難しいといった課題がある。
特許文献3では、ゆず肌耐性を改善させるため、プロピレン−α−オレフィン共重合体を主成分とするポリプロピレン系シーラントフィルムを2層構成にすることを開示しているが、大型の包装体に求められる高いヒートシール性を満たすことはできないという課題がある。
特開昭60−85948号公報 特開昭61−53042号公報 特許第4358345号公報
以上の問題点を鑑み、本発明の目的は、包装体の大型化に伴って要求レベルが高くなってきている、ヒートシール性と耐寒衝撃性が両立するレトルト包装体用シーラントフィルムに適用されるポリプロピレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系フィルム、及び包装材、包装体を提供することにある。
すなわち、上記目的を達成する本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、
下記(a)に規定する要件を満たす、プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)90重量%以上100重量%以下と、下記(b)〜(c)に規定する要件を満たし、炭素数3以上10以下のα−オレフィンとエチレンを含有する、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)0重量%以上10重量%以下とを含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物である。
(a)温度グラジエント法(TGIC)により、成分分離を行った際、溶出温度−20℃以上80℃以下に現れる非晶性プロピレン・エチレン共重合体成分が5重量%以上8重量%以下であり、溶出温度90℃以上120℃以下に現れる低結晶性プロピレン・エチレン共重合体成分が10重量%以上20重量%以下であり、溶出温度140℃以上150℃以下に現れるポリエチレン成分が3重量%6重量%以下であり、溶出温度110℃以上120℃以下に現れるポリプロピレン成分が65重量%以上80重量%以下の範囲内であること。
(b)メルトフローレート(MFR)(温度190℃、荷重2.16kg)が0.5g/10分以上、2g/10分以下の範囲であること。
(c)密度が0.87g/cm以上0.91g/cm以下の範囲であること。
上記の要件を満たすポリプロピレン系樹脂組成物がシーラントフィルムのシール層と機能層に適用されることで、ヒートシール性と耐寒衝撃性を高いレベルで両立することが可能となる。
また、本発明は、下記(a)に規定する要件を満たすプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)93重量%以上100重量%以下と、下記(b)及び(c)に規定する要件を満たし、炭素数3以上10以下のα−オレフィン及びエチレンを含有するエチレン・α−オレフィン共重合体(B)0重量%以上7重量%以下とを含む樹脂組成物からなるシール層と、
前記プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)90重量%以上92重量%以下と、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)8重量%以上10重量%以下とを含む樹脂組成物からなる機能層とを少なくとも備え、
かつ、前記シール層と前記機能層におけるポリプロピレン濃度勾配が3%以上10%以下であることを特徴とするポリプロピレン系フィルムである。
(a)温度グラジエント法(TGIC)による成分分離において、溶出温度−20℃以上80℃以下に現れる非晶性プロピレン・エチレン共重合体成分が5重量%以上8重量%以下であり、溶出温度90℃以上120℃以下に現れる低結晶性プロピレン・エチレン共重合体成分が10重量%以上20重量%以下であり、溶出温度140℃以上150℃以下に現れるポリエチレン成分が3重量%以上6重量%以下であり、溶出温度110℃以上120℃以下に現れるポリプロピレン成分が65重量%以上80重量%以下の範囲内であること。
(b)メルトフローレート(MFR)(温度190℃、荷重2.16kg)が0.5g/10分以上、2g/10分以下の範囲であること。
(c)密度が0.87g/cm以上0.91g/cm以下の範囲であること。
また、本発明は、前記シール層の厚さが、5μm以上20μm以下であることを特徴とするポリプロピレン系フィルムである。
また、本発明は、上記ポリプロピレン系フィルムに対して、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム、印刷紙、金属箔から選ばれる少なくとも1層の基材を積層してなることを特徴とする包装材である。
また、本発明は、上記包装材を用いたことを特徴とする包装体である。
本発明によれば、ヒートシール性と耐寒衝撃性が両立するポリプロピレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系フィルム、包装材および包装体を提供することが可能である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いたポリプロピレン系フィルムの概略断面図である。
以下に、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物、それを適用したポリプロピレン系フィルムについて詳細を記述する。
図1は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いたフィルムの一実施形態を示す概略断面図である。ポリプロピレン系フィルム1は、シール層2と機能層3とからなる。いずれの層も、以下に説明するプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)4と、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)5を含む樹脂組成物から構成される。
なお、本発明のポリプロピレン系フィルムは必要に応じて、適宜他の機能層などを設けてもよく、ここに述べた実施形態に限定されるものではない。
[プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)]
本発明に使用されるプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)は、下記の要件(a)を満たすものである。
要件(a):
温度グラジエント法(TGIC)により、成分分離を行った際、溶出温度−20℃以上80℃以下に現れる非晶性プロピレン・エチレン共重合体成分が5重量%以上8重量%以下であり、溶出温度90℃以上120℃以下に現れる低結晶性プロピレン・エチレン共重合体成分が10重量%以上20重量%以下であり、溶出温度140℃以上150℃以下に現れるポリエチレン成分が3重量%以上6重量%以下であり、溶出温度110℃以上120℃以下に現れるポリプロピレン成分が65重量%以上80重量%以下の範囲内であること。
上記要件(a)を満たせば、この樹脂組成物を用いたフィルムは高い耐寒衝撃性とヒートシール性が得られ、逆にこの範囲外であると、耐寒衝撃性とヒートシール性が低下する。
[エチレン・α−オレフィン共重合体(B)]
次に、本発明において使用するエチレン・α−オレフィン共重合体(B)に関して説明する。本発明において使用するエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、下記の要件(b)及び要件(c)を満たすものである。
要件(b):
メルトフローレート(MFR、Melt Flow Rate、(ISO 1133)、温度190℃、荷重2.16kg)が0.5g/10分以上、2.0g/10分以下の範囲であること。
要件(c):
密度0.87g/cm以上、0.91g/cm以下の範囲であること。
要件(b)の下限値未満となると、成形加工時の押出機負荷が大きくなり、加工速度の低下に繋がり生産性が低下する。要件(b)の上限値を超えると、エチレン・α−オレフィン共重合体の衝撃性が低下するため、耐寒衝撃性の改善を十分に行なうことができない。
また、要件(c)の下限値未満となると、高温でのレトルト処理後のヒートシール強度の低下が大きくなり、ヒートシール性が低下する。また、要件(c)の上限値を超えると、衝撃性が低下するため、低温衝撃性の改善が十分に行なうことができない。なお、ここでの密度は、JIS K 7112に準じて測定で得られる値である。
図1に示すポリプロピレン系シーラントフィルム1のシール層2は、上記プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)93重量%以上100重量%以下、及び上記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)0重量%以上7重量%以下からなるポリプロピレン系フィルムからなり、レトルト処理後であっても高いレベルのヒートシール強度が得られるフィルムとなっている。
したがって、レトルト包装体として使用する際はこのフィルムを最内層として用いると、ヒートシール性に優れた包装体を得ることができる。
次に、機能層3は、上記プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)90重量%以上92重量%及び、上記のエチレン・α-オレフィン共重合体(B)8重量%以上10重量%以下からなるポリプロピレン系フィルムであり、耐寒衝撃性に優れる。したがって、包装体として使用する際は、上記シール層2とこの機能層3を積層することで、耐寒衝撃性とヒートシール性が両立した包装体を得ることができる。
ここで、シール層2と機能層3のポリプロピレン濃度の差(すなわち、シール層のポリプロピレン濃度−機能層のポリプロピレン濃度)を、ポリプロピレンの濃度勾配とする。本発明のシール層2と機能層3のポリプロピレンの濃度勾配が10%を超えると、シール層2と機能層3の界面で剥離が生じてヒートシール性が劣る。そのため、濃度勾配は3%以上10%以下が適切である。また、機能層3のプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)が92重量%を超えると、耐寒衝撃性が劣るため、90重量%以上92重量%以下が適切である。
次に、ポリプロピレン系フィルム1に関し、その厚さについて記載する。ポリプロプレン系フィルム1としては、包装材料用フィルムとして使用可能な範囲であれば特に制限ざれることはない。しかし、厚さが厚すぎる場合には材料使用が過剰となり、コストとして不利となる。このため、ポリプロプレン系フィルム1の厚さは100μm以下の範囲であることが好ましい。
更に、シール層2の厚さにおいては、厚さが厚すぎると耐寒衝撃性の低下が生じる。そのため、厚さは20μm以下であることが好ましい。一方、厚さが薄すぎると加工時の厚さ変動によってシール層2の厚さ不足が生じ、ヒートシール性が低下することから、シール層の厚さは5μm以上が好ましい。
本発明のポリプロピレン系フィルムを熱成形加工する方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法を使用することが可能である。例えば、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法や、各成分を溶解又は分散混合後、溶剤を加熱除去する方法等を用いることができる。
作業性を考慮した場合、単軸スクリュー押出機、または二軸スクリュー押出機を使用することが特に好ましい。単軸押出機を用いる場合には、フルフライトスクリュー、ミキシ
ングエレメントを持つスクリュー、バリアフライトスクリュー、フルーテッドスクリュー等、特に制限されることなく、使用することが可能である。二軸混練装置についても、同方向回転二軸スクリュー押出機、異方向回転二軸スクリュー押出機を使用することが可能である。また、スクリュー形状もフルフライトスクリュー、ニーディングディスクタイプを使用することが可能であり、その種類は、特に限定されるものではない。
上記加工方法において、ポリプロピレン系フィルムを単軸押出機または、二軸押出機等により溶融したのち、フィードブロックまたはマルチマニホールドを介し、Tダイで製膜する方法を用いることが可能である。
また、本発明におけるポリプロピレン系フィルム1は、必要に応じて適宜、後工程での適性を向上する表面改質処理を実施することが可能である。例えば、単体フィルム使用時の印刷適性向上、積層使用時のラミネート適性向上のために、他基材と接触する面に対して表面改質処理を行うことが可能である。
表面改質処理は、コロナ放電処理、プラズマ処理、フレーム処理等のフィルム表面を酸化させることにより、官能基を発現させる手法や、易接着層のコーティング等のウェットプロセスによる改質を好適に用いることが可能である。
また、本発明によって得られるポリプロピレン系フィルムにおいて、シーラント単体フィルムとして、あるいは他基材と積層して包装材として使用すること、あるいは製袋して包装体として使用することや、その製袋様式に関して、特に制限されるものではない。
具体的には本発明のポリプロピレン系フィルムに、二軸延伸ポリアミドフィルム(ONy)、二軸延伸ポリエステルフィルム(PET)、印刷紙、金属箔(AL箔)から選ばれる少なくとも1層を積層し、積層体を形成することができる。
これらの材料を用いた代表的な層構成は、例えば、PET/AL箔/ポリプロピレン系フィルム、PET/ONy/AL箔/ポリプロピレン系フィルム、PET/AL箔/ONy/ポリプロピレン系フィルム、ONy/ポリプロピレン系フィルムである。
積層体の製造方法は、積層体を構成するフィルムに接着剤を用いて貼り合わせる通常のドライラミネート法が好適に採用できるが、必要に応じて直接ポリプロピレン系フィルムを押出ラミネートする方法も採用することができる。
これらの積層体の積層構造は、包装体の要求特性、例えば包装する食品の品質保持期間を満たすバリア性、内容物の重量に対応できるサイズ・耐衝撃性、内容物の視認性などに応じて適宜選択する必要がある。
これらの積層体は、ポリプロピレン系フィルムをシール材とする包装材として使用することができ、平袋、三方袋、合掌袋、ガゼット袋、スタンディングパウチ、スパウト付きパウチ、ビーク付きパウチ等に用いることが可能である。
以下、本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
ポリプロピレン系樹脂組成物として、プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は次のものを使用した。
(1)プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)
温度グラジエント法で分離される成分が−20℃以上80℃以下に現れる非晶性プロピレン・エチレン共重合体が5.3重量%、90℃以上120℃以下に現れる低結晶性プロピ
レン・エチレン共重合体が13.2重量%、140℃以上150℃以下に現れるポリエチレン成分が4.2重量%、110℃以上120℃以下に現れるポリプロピレン成分が76.1重量%に調整されたプロピレン・エチレンブロック共重合体を使用した。
(2)エチレン・α−オレフィン共重合体(B)
MFR(190℃、荷重2.16kg)1.0g/10分、密度0.900g/cm、融解ピーク温度119.7℃に調整したエチレン・α−オレフィン共重合体を使用した。
シール層2に関しては、前記記載のプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)ペレット単体を使用し、機能層3に関しては、プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)90重量%及びエチレン・α−オレフィン共重合体(B)10重量%をペレット状態で混合し、温度250℃に温調させた押出機に供給し、溶融状態にて混練して、フィルム全体の厚さが70μmとなるようにシール層2を10μm、機能層3を60μmの厚さに調整し、実施例1のポリプロピレン系フィルムを製膜した。
(実施例2)
上記実施例1と同様の作製方法において、シール層2に関して実施例1と同様のプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)を94重量%と、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)を6重量%の混合割合で混合を行った以外は、実施例1と同様に製膜し、実施例2のポリプロピレン系フィルムとした。
(実施例3)
プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)として、温度グラジエント法で分離される成分が−20℃以上80℃以下に現れる非晶性プロピレン・エチレン共重合体が7.6重量%、90℃以上120℃以下に現れる低結晶性プロピレン・エチレン共重合体が16.2重量%、140℃以上150℃以下に現れるポリエチレン成分が5.6重量%、110℃以上120℃以下に現れるポリプロピレン成分が69.2重量%に調整したプロピレン・エチレンブロック共重合体を使用した。
シール層2に関して、前記記載プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)ペレット単体を使用し、機能層3に関して、前記記載プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)と実施例1と同様のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の混合割合をそれぞれ90重量%、10重量%として混合を行った以外は、実施例1と同様に製膜し、実施例3のポリプロピレン系フィルムとした。
(実施例4)
シール層2に関して、上記記載プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)と実施例1と同様のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の混合割合をそれぞれ93.6重量%、6.4重量%として混合を行った以外は、実施例1と同様に製膜し、実施例4のポリプロピレン系フィルムとした。
(比較例1)
上記実施例1と同様の作製方法において、シール層2に関して実施例1と同様のプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)単体を使用し、機能層3に関して実施例1と同様のプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の混合割合をそれぞれ80重量%、20重量%として混合を行った以外は、実施例1と同様に製膜し、比較例1のポリプロピレン系フィルムとした。
(比較例2)
上記実施例1と同様の作製方法において、シール層2に関して実施例1と同様のプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の混
合割合をそれぞれ90重量%、10重量%として混合し、機能層3に関して実施例1と同様のプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)ペレット単体を使用した以外は、実施例1と同様に製膜し、比較例2のポリプロピレン系フィルムとした。
(比較例3)
プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)として、温度グラジエント法で分離される成分が−20℃以上80℃以下に現れる非晶性プロピレン・エチレン共重合体が4.1重量%、90℃以上120℃以下に現れる低結晶性プロピレン・エチレン共重合体が15.7重量%、140℃以上150℃以下に現れるポリエチレン成分が1.5重量%、110℃以上120℃以下に現れるポリプロピレン成分が76.5重量%に調整したプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)を使用した。
シール層2に関して前記記載プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)ペレット単体を使用し、機能層3に関して前記記載プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)と実施例1と同様のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の混合割合をそれぞれ90.5重量%、9.5重量%として混合を行った以外は、実施例1と同様に製膜し、比較例3のポリプロピレン系フィルムとした。
上記実施例1〜実施例4、及び比較例1〜比較例3で作製したポリプロピレン系フィルムに関して、下記に示す評価を実施した。
[耐寒衝撃性評価]
耐寒衝撃性評価では、東洋精機製作所(株)製恒温槽付インパクトテスターを用い、−10℃の雰囲気下で測定した。また、衝撃部には1/2インチの弾頭を使用した。本測定では、低温衝撃性が、13.00J/mm以上であれば業務用大型袋のレトルト包装体にも良好に使用できると評価した。
[ヒートシール性評価]
ヒートシール性評価では、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(PET)と、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミドフィルム(ONy)と、厚さ9μmのAL(アルミニウム)箔と、実施例1〜4と比較例1〜3のポリプロピレン系フィルムにウレタン系接着剤を用いて通常のドライラミネート法で貼り合せ、次の構成の積層体を形成した。
(積層体構成)
[PET / 接着剤 / ONy / 接着剤 / AL箔 / 接着剤 / ポリプロピレン系フィルム]
この積層体のポリプロピレン系フィルム同士を、テスター産業(株)製ヒートシーラー(TP−701−B)でシール圧0.2MPa、シール時間を1秒、シール幅5mmのシール条件とし、シール温度を200℃でヒートシールし、121℃で30分レトルト処理を行った。レトルト処理を行ったフィルムを15mm幅×80mmに切出し、島津製作所(株)製引張試験機(オートグラフAGS−500NX)を用いて、300mm/minの引張速度でヒートシール強度を測定した。本測定では、レトルト処理後のヒートシール強度が65N/15mm以上であれば、業務用大型袋のレトルト包装体にもかなり良好に使用できると評価した。
実施例1〜4と比較例1〜3において上述の評価を実施した結果を表1に記載する。
なお、ポリプロピレン濃度の測定は、用いるプロピレン・エチレンブロック共重合体の樹脂ペレットに対し、ハイスループット組成分布分析装置を用いて、TGIC(Thermal Gradient Interaction Chromatography(温度グラジエント))法、及びCEF(Crystallization Elution
Fractionation(結晶化溶出分別))法からポリプロピレンの濃度を算出
している。各実施例、比較例においては、ポリプロピレン濃度が既知である樹脂ペレットに対して、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)を追加添加することでシール層と機能層におけるポリプロピレン濃度を調整している。
Figure 2020203987
表1から、実施例1〜4においては、上述の評価における判定基準を全て満たしていた。
比較例1に関しては、シール層2と機能層3間のポリプロピレン濃度勾配、つまりシール層2と機能層3間のポリプロピレン濃度差が10%以上となっていることから、得られたフィルムはシール層2と機能層3の界面で剥離が生じ、更に、レトルト処理後ではヒートシール性の低下が確認されたため、実用が難しいと判断した。
比較例2に関しては、機能層3に耐寒衝撃性を付与させるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)を混合していないことから、得られたフィルムは耐寒衝撃性が劣るものであった。さらに、シール層2と機能層3間のポリプロピレン濃度勾配、つまりシール層2と機能層3間のポリプロピレン濃度差が逆転しており、シール層におけるシール性が十分に得られないことから、実用が難しいと判断した。
比較例3に関しては、プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)が性能の両立に必要な成分比率の範囲外であるため、耐寒衝撃性とヒートシール性が不足しており、実用が難しいと判断された。
本発明は、ポリプロピレン系フィルムにおいて、耐寒衝撃性とヒートシール性に優れ、かつレトルト包装用シーラントフィルムに好適に使用できるフィルムを提供することが可能となる。
1・・・ポリプロピレン系フィルム
2・・・シール層
3・・・機能層
4・・・プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)
5・・・エチレン・α−オレフィン共重合体(B)

Claims (5)

  1. 下記(a)に規定する要件を満たすプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)90重量%以上100重量%以下と、下記(b)〜(c)に規定する要件を満たし、炭素数3〜10のα−オレフィンとエチレンを含有するエチレン・α−オレフィン共重合体(B)0重量%以上10重量%以下とを含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
    (a)温度グラジエント法(TGIC)により、成分分離を行った際、溶出温度−20℃以上80℃以下に現れる非晶性プロピレン・エチレン共重合体成分が5重量%以上8重量%以下であり、溶出温度90℃以上120℃以下に現れる低結晶性プロピレン・エチレン共重合体成分が10重量%以上20重量%以下であり、溶出温度140℃以上150℃以下に現れるポリエチレン成分が3重量%以上6重量%以下であり、110℃以上120℃以下に現れるポリプロピレン成分が65重量%以上80重量%以下の範囲内であること。
    (b)メルトフローレート(MFR)(温度190℃、荷重2.16kg)が0.5g/10分以上、2g/10分以下の範囲であること。
    (c)密度が0.87g/cm以上、0.91g/cm以下の範囲であること。
  2. 下記(a)に規定する要件を満たすプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)93重量%以上100重量%以下と、下記(b)及び(c)に規定する要件を満たし、炭素数3以上10以下のα−オレフィン及びエチレンを含有するエチレン・α−オレフィン共重合体(B)0重量%以上7重量%以下とを含む樹脂組成物からなるシール層と、
    前記プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)90重量%以上92重量%以下と、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)8重量%以上10重量%以下とを含む樹脂組成物からなる機能層とを少なくとも備え、
    かつ、前記シール層と前記機能層におけるポリプロピレン濃度勾配が3%以上10%以下であることを特徴とするポリプロピレン系フィルム。
    (a)温度グラジエント法(TGIC)による成分分離において、溶出温度−20℃以上80℃以下に現れる非晶性プロピレン・エチレン共重合体成分が5重量%以上8重量%以下であり、溶出温度90℃以上120℃以下に現れる低結晶性プロピレン・エチレン共重合体成分が10重量%以上20重量%以下であり、溶出温度140℃以上150℃以下に現れるポリエチレン成分が3重量%以上6重量%以下であり、溶出温度110℃以上120℃以下に現れるポリプロピレン成分が65重量%以上80重量%以下の範囲内であること。
    (b)メルトフローレート(MFR)(温度190℃、荷重2.16kg)が0.5g/10分以上、2g/10分以下の範囲であること。
    (c)密度が0.87g/cm以上、0.91g/cm以下の範囲であること。
  3. 前記シール層の厚さが、5μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項2に記載のポリプロピレン系フィルム。
  4. 請求項2または3に記載のポリプロピレン系フィルムに対して、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム、印刷紙、金属箔から選ばれる少なくとも1層の基材を積層してなることを特徴とする包装材。
  5. 請求項4に記載の包装材を用いたことを特徴とする包装体。
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