JP4781583B2 - ポリエチレン用易剥離性接着剤及びその構造物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエチレンを被着面とする容器、シート等の構成物に対し易剥離性を有する接着剤及びその構造物に関する。更に詳しくは、ポリエチレン系樹脂(A)60〜70wt%、結晶性のポリブテン樹脂(B)10〜25wt%、低分子量ワックス(C)5〜20wt%からなることを特徴とする加工性に優れたポリエチレン用易剥離性接着剤及びその構造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、産業廃棄物の問題から食品用容器は、ポリスチレンや塩化ビニル製から燃焼時に有害ガスを発生しないポリエチレンやポリプロピレン製に替わりつつある。特にポリエチレンを使用した容器またはポリエチレンを紙に積層した容器が使用されてきている。例えば、紙にポリエチレンを押出しラミネートし、カップ状にしたヨーグルト用容器やマヨネーズ、ケチャップ等用のポリエチレンを主成分とする多層容器、点滴ボトルなどのポリエチレン製容器等が挙げられる。
【0003】
前述の容器には、輸送時には破袋する事無く安全に取扱いが可能で、しかも開封時には女性や子供でも開けられるような易剥離性を有した接着剤が必要である。そのための接着剤として、例えば、1)ポリエチレンに対し基本的に接着しにくい樹脂(例えば、ポリプロピレン)にポリエチレンと接着可能な樹脂(例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等)を混合したもの、2)エチレン−酢酸ビニル共重合体に粘着付与剤及び低分子量ワックス等を混合したいわゆるホットメルト、3)上記ホットメルトタイプを押出し可能にした高分子量タイプ、4)特開平1−315443号公報に提案されている低密度ポリエチレンに高分子量ポリブテンをブレンドした組成物等が挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記配合物では種々問題点が有り、ポリエチレン製容器に対する易剥離性接着剤としては満足できるものではなかった。すなわち、1)の組成物は互いに相溶し難い樹脂を混合させるため加工性が劣り、また紙カップ容器をシールする場合に必要な段差を埋めるのに十分な柔軟性が無く、液漏れを防止するのには適していない。また、接着強度が高くなると接着剤が筋状に破壊するいわゆる糸引き現象が起こり、剥離後の外観が悪くなる。2)の組成物は紙カップ容器の段差を埋めるのに十分な流動性とシール強度を持っているが、加工時には特別なコーターが必要であり、また耐熱性が劣るためヒートシール時に容器内部に接着剤が混入する危険性がある。3)の組成物は耐熱性に優れているものの、ポリエチレンとの接着強度が高く、易剥離性とならない。低温度でのヒートシールでは低接着となる事から、使用温度を制限してシールする方法が考えられるが、温度依存性が高いためシール強度のバラツキが大きく、製品として信用性に問題が有る。4)の組成物において、低密度ポリエチレンのJIS K6922−1に記載されているメルトマスフローレイト(以下MFR1)が20g/10分以下では、本発明の目的の一つであるポリエチレンがラミネートされた紙容器またはシートに対して剥離強度が高すぎて紙が破壊するいわゆる紙剥けが発生してしまう。剥離性を維持しようとして低密度ポリエチレンのMFR1を20〜70g/10分にすると溶融張力が低く、押出ラミネート加工性に劣るものとなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、ポリエチレン製容器、シート、ポリエチレンをラミネートした紙容器、またはポリエチレンを被着面とした多層容器、多層シート等の構成物に対して、押出しラミネート加工が可能で、内容物を保護するのに十分なヒートシール強度を持ちながら易剥離性をも持つ接着剤及びその構造物を提供する事を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行なった結果、ポリエチレン系樹脂(A)60〜70wt%、結晶性のポリブテン樹脂(B)10〜25wt%、低分子量ワックス(C)5〜20wt%からなることを特徴とするポリエチレン用易剥離性接着剤が、加工性に優れかつ少なくとも一面がポリエチレンである被着面に対して易剥離性接着剤として優れている事を見出し、本発明に至った。
【0007】
本発明において用いられるポリエチレン系樹脂(A)は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂であれば制限は無い。ポリエチレン系樹脂(A)の配合量は60〜70wt%である。配合量が60wt%未満であると被着体であるポリエチレンとの接着性が劣り、70wt%を超える場合は接着強度が高すぎて易剥離とならない。ポリエチレン系樹脂の中でも、押出ラミネーションの加工性に優れている点から高圧法により製造されるエチレンのホモポリマーである低密度ポリエチレンを使用することが好ましい。また、低密度ポリエチレンと他のポリエチレン系樹脂との2種以上の混合物も使用できる。低密度ポリエチレンを使用した場合、MFR1は押出しラミネーション加工性を考慮すると3〜20g/10分のものが好ましい。
【0008】
本発明において用いられる結晶性のポリブテン(B)は、1−ブテンの単独重合体または1−ブテンを50wt%以上含有する共重合体で、配合量は10〜25wt%であることが必要である。配合量が10wt%未満ではポリエチレン成分が多くなり、被着体であるポリエチレンとの接着強度が高くなってしまう。また、配合量が25wt%を超えると接着強度は低下するものの剥離時にいわゆる糸引き現象が発生し、剥離後の外観が低下する。低密度ポリエチレンとの非相溶性を維持することが必要であり、結晶性のポリブテンのASTM D1238Eに記載のメルトフローレイト(以下MFR2)は、0.3〜5g/10分であるものが好ましい。
【0009】
本発明に用いられる低分子量ワックス(C)は、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体のいずれか1種類以上のものが使用できる。その中でも、低結晶性の低密度ポリエチレンが適正接着強度の維持及び糸引き現象の低減の面から特に好ましい。配合量は5〜20wt%であることが必要である。配合量が5wt%未満では剥離時に糸引き現象が発生し、20wt%を超えると加工性が低下してしまう。低分子量ワックス(C)の分子量は、相溶性とその効果から粘度法による分子量が2000〜10000のものが好ましい。
【0010】
本発明の接着剤には、包装資材に一般的に用いられる酸化防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤等を必要に応じて添加しても構わない。
【0011】
本発明の接着剤の調製は、ポリエチレン系樹脂(A)、結晶性のポリブテン樹脂(B)、低分子量ワックス(C)及び必要に応じて、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤等を所定量ドライブレンドし、単軸または二軸押出機で溶融混練し、直径2〜3mm程度のストランド状に押出し、冷却固化した後、回転刃でカットし、ペレット状の接着剤を得ることができる。
【0012】
本接着剤を用いる場合、被着体としてポリエステルフィルムやポリアミドフィルムなどのポリエチレンより耐熱性のある他のフィルムとの積層物が好適に使用できる。接着剤フィルム及び積層物の製造は、例えば、前記のようにペレット化された接着剤を用い、通常ポリエチレン系樹脂の成形に用いられる方法、すなわちキャスト成形またはインフレーション成形によって単層フィルム化、または低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを接着性樹脂を介してポリエステルやポリアミド等との多層フィルム化することができる。押出しラミネートする場合には、基材に予めアンカーコート剤(AC剤)を塗布したり、加工時にオゾン処理をする事により、各種プラスチックフィルム、アルミ箔等と積層できる。また、ポリエチレン系樹脂を予めラミネートしてある基材に対しては、ダイレクトに押出しラミネートすることも可能である。また、ポリエチレンやポリプロピレン等との共押出しで多層フィルム化しておき、ドライラミネーションまたはサンドラミネーションにより、基材となるポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム等の延伸または未延伸フィルムと積層する事により、積層物を得る事ができる。例えば、二軸延伸された12μm厚みのポリエステルフィルムに、イソシアネート系アンカーコート剤(日本曹達株式会社製 チタボンドT120)を使用して予め低密度ポリエチレン(東ソー株式会社製 ペトロセン213)をラミネート加工し、その上に本接着剤を10μm押出しラミネートしたもの、二軸延伸された15μm厚みのポリアミドフィルムと予め30μm厚みにキャスト成形された本接着剤フィルムをポリエステル系接着剤(大日精化製 セイカボンドE263)でドライラミネートしたもの、あるいは12μm厚みのポリエステルフィルムとアルミ蒸着された12μmのポリエステルフィルムを貼り合わせたフィルムに、イソシアネート系アンカーコート剤(日本曹達株式会社製 チタボンドT120)を塗布した面と、30μmの本接着剤フィルムを、低密度ポリエチレン(東ソー株式会社製 ペトロセン213)を押出す事によりサンドイッチラミネーションしたもの等が挙げられる。
【0013】
前記積層フィルムと被着体が熱接着された構造物において、少なくとも一面がポリエチレンである被着体としては、ポリエチレンのラミネート容器であるヨーグルトやアイスクリーム用の紙カップ等、ポリエチレンの単層ブロー容器である洗剤容器、輸液バッグ等、多層ブロー容器であるケチャップやマヨネーズ用容器等が挙げられるが、少なくとも被着面がポリエチレンであればよく、構成中に塩化ビニリデンやエチレン−ビニルアルコール共重合体あるいはアルミ等のバリアー性のある包装資材が使用されている容器またはシートでも構わない。
【0014】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0015】
実施例1
MFR1が8g/10分の低密度ポリエチレン(東ソー株式会社製 ペトロセン213)70wt%、MFR2が1g/10分のポリブテン(三井化学株式会社製 タフマーBL3110)19.9wt%、粘度法分子量6400の低分子量ワックス(三井化学株式会社製 ハイワックスNL800)10wt%、滑剤としてステアリン酸アミド0.1wt%を添加し、40ミリの単軸押出機で溶融混練し、直径3mmのストランド状に押出し、冷却固化した後、回転刃でカットし、ペレット状の接着剤を得た。この配合物を、予め二軸延伸されたポリエステルフィルム(12μm)にイソシアネート系アンカーコート剤(日本曹達株式会社製 チタボンドT120)を使用し、低密度ポリエチレン(東ソー株式会社製ペトロセン213)を25μm積層したフィルムの低密度ポリエチレン面に10μm厚みとなるように押出ラミネート加工し、積層物を得た。この積層物を、厚紙に低密度ポリエチレン(東ソー株式会社製 ペトロセン214)が40μmラミネート加工されたシートの低密度ポリエチレン側に接触するように重ね、ヒートシール機で130℃、0.2MPa、1秒の条件で加熱接着した。この構造物を15mm幅に切断し、その剥離強度を測定した。その結果を表1に示す。
【0016】
実施例2
実施例1で用いた低分子量ワックスを粘度法分子量2400のワックス(三井化学株式会社製 NL100)にした他は同様にして剥離試験用サンプルを得た。
【0017】
実施例3
実施例1で用いた低密度ポリエチレン、ポリブテン、低分子量ワックスをそれぞれ79.9wt%、10wt%、10wt%とした他は同様にして剥離試験用サンプルを得た。
【0018】
実施例4
実施例1で用いた低密度ポリエチレン、ポリブテン、低分子量ワックスをそれぞれ60wt%、19.9wt%、20wt%とした他は同様にして剥離試験用サンプルを得た。
【0019】
実施例5
実施例1で用いたポリブテンをMFR2が2g/10分のポリブテン(三井化学株式会社製 タフマーBL027)にした他は同様にして剥離試験用サンプルを得た。
【0020】
比較例1
実施例1で低密度ポリエチレンを80wt%、ポリブテンを19.9wt%とし、低分子量ワックスを使用しない配合にした他は同様に剥離試験用サンプルを得た。押出しラミネート加工性は良好であったものの、剥離時に材質破壊(紙剥け)が発生した。
【0021】
比較例2
実施例1で低密度ポリエチレンを60wt%、ポリブテンを29.9wt%、低分子量ワックスを10wt%の配合にした他は同様に剥離試験用サンプルを得た。押出しラミネート加工性は良好であったものの、剥離時に糸引き現象が発生した。
【0022】
比較例3
MFR1が45の低密度ポリエチレン(東ソー株式会社製 ペトロセン208)80wt%、実施例1で使用したポリブテン19.9wt%、滑剤0.1wt%とし、実施例1と同様に剥離試験用サンプルを得た。この配合物は、ラミネート加工時に溶融膜が不安定で、厚み変動の大きなサンプルとなった。
【0023】
【表1】
【発明の効果】
以上述べたとおり、本発明の接着剤は押出し成形が可能で、ポリオレフィン系樹脂でありながらポリエチレンとの易剥離性接着剤として使用可能であり、少なくとも一面がポリエチレンである容器、シート等に対する接着剤として有用である。
【0024】
本発明の接着剤を接着層とする多層構造物は、被接着面となるポリエチレンと凝集剥離をし、シール温度に影響されない安定した接着性能を有する事ができる。
Claims (5)
- ポリエチレン系樹脂(A)60〜70wt%、結晶性のポリブテン樹脂(B)10〜25wt%、粘度法による分子量が2000〜10000である低分子量ワックス(C)5〜20wt%からなることを特徴とするポリエチレン用易剥離性接着剤。
- 前記ポリエチレン系樹脂(A)が高圧法で製造される低密度ポリエチレンであり、JIS K6922−1に記載されているメルトマスフローレイトが3〜20g/10分であることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレン用易剥離性接着剤。
- 結晶性のポリブテン樹脂(B)のASTM D1238Eに記載のメルトフローレイトが0.3〜5g/10分であることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレン用易剥離性接着剤。
- 低分子量ワックス(C)が低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体のいずれか1種類以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレン用易剥離性接着剤。
- 熱接着面に請求項1〜4のいずれかに記載のポリエチレン用易剥離性接着剤を用い、被着体の少なくとも一面がポリエチレンであることを特徴とする構造物。
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