JP2020180255A - ポリプロピレン系樹脂組成物、包装材および包装体 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物、包装材および包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】レトルト用包装袋等に用いられ、包装袋の大型化に際しても、耐低温衝撃性、ヒートシール性、ゆず肌耐性を高いレベルで両立できるポリプロピレン系樹脂組成物、包装材およびこれを用いた包装体を提供すること。【解決手段】特定の成分比率を有するプロピレン・エチレンブロック共重合体85〜95重量%に、α−オレフィンとエチレンとを含有し、且つ特定の要件を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体5〜15重量%を溶融混合することで、耐低温衝撃性、ヒートシール性、ゆず肌耐性を高いレベルで両立することが可能となる。【選択図】図1

Description

本発明は、シーラントフィルムに用いられるポリプロピレン系樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、プロピレン・エチレンブロック共重合体にエチレン・α−オレフィン共重合体を溶融混合することにより得られる、特に耐低温衝撃性とヒートシール性に優れ、かつ包装袋用シーラントフィルムとして大型のレトルト用包装袋にも好適に使用できるポリプロピレン系樹脂組成物、包装材およびこれを用いた包装体に関するものである。
従来、120℃〜135℃の高温で加圧処理によって殺菌・滅菌を行うレトルト処理で用いられるレトルト用包装袋のシーラントフィルムにおいては、高温において変形、融着しない耐熱性が求められる。そのため、優れた耐熱性を有するポリプロピレン系樹脂であるプロピレン・エチレンブロック共重合体を主成分とする無延伸ポリプロピレン系フィルムが使用されている。
レトルト用包装袋の最内面を構成する無延伸ポリプロピレン系フィルムは、耐低温衝撃性、ヒートシール性、ゆず肌耐性等の物性が要求される。特に、近年は業務用包装袋等の大型化が進み、耐低温衝撃性、ヒートシール性の要求レベルが高くなってきている。また、包装袋の外観において求められる品質レベルも高くなってきており、油性食品を内封して、レトルト処理を行った後、包装袋表面に生じる微細な凹凸状の外観不良、いわゆるゆず肌の発生を防ぐことも望まれている。
このレトルト用包装袋に使用される無延伸ポリプロピレン系シーラントフィルムに用いられる樹脂では、これまで多くの提案がなされてきた。高密度ポリエチレンの配合のみでは、油性食品を内封した際にはゆず肌耐性が不足しているという問題点があり、耐低温衝撃性を改善させるために、プロピレン・エチレンブロック共重合体に高密度ポリエチレンを配合することが開示されている(特許文献1)。
また、プロピレン・エチレンブロック共重合体にエチレン・α−オレフィン共重合体とポリエチレン系重合体を配合することで、耐低温衝撃性、ヒートシール性、ゆず肌耐性を両立させる提案がされているが(特許文献2)、大型の包装袋に求められる高い耐低温衝撃性と高品質の外観を両立することはできていない。
レトルト用包装袋に使用されるシーラントフィルムの要求性能は、包装袋の大型化により、益々高レベルの性能が要求されるようになってきている。しかし、これまでに開示された構成では、耐低温衝撃性、ヒートシール性、ゆず肌耐性等が未だ不十分で、これらの要求性能を高いレベルで両立するものは見出せていない。
特開平10−158463号公報 特許第5672060号公報
上記の問題に鑑みて、本発明の目的は、レトルト用包装袋等に用いられ、包装袋の大型化に際しても、耐低温衝撃性、ヒートシール性、ゆず肌耐性を高いレベルで両立できるポリプロピレン系樹脂組成物、包装材およびこれを用いた包装体を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項1の発明は、
下記(a)に規定する要件を満たすプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)85〜95重量%と、α−オレフィンとエチレンとを含有し、且つ下記(b)〜(d)に規定する要件を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(B)5〜15重量%からなるポリプロピレン系樹脂組成物である。
(a)温度グラジエント法(TGIC)により、成分分離を行った際、溶出温度−20℃〜80℃に現れる非晶性エチレン・プロピレン共重合体成分が5〜8重量%であり、溶出温度90℃〜120℃に現れる低結晶性エチレン・プロピレン共重合体成分が10〜20重量%であり、溶出温度140℃〜150℃に現れるポリエチレン成分が3〜6重量%であり、110℃〜120℃に現れるポリプロピレン成分が65〜80重量%の範囲内であること。
(b)メルトフローレート(MFR)(温度190℃、荷重2.16kg)が0.5g/10分以上、2g/10分以下の範囲であること。
(c)密度が0.87g/cm以上、0.91g/cm以下の範囲であること。
(d)JIS K 7121における示差走査熱量測定による融解ピーク温度が、100℃以上120℃以下の範囲であること。
また、請求項2の発明は、
請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム、印刷紙、金属箔から選ばれる少なくとも1層の基材に積層してなることを特徴とする包装材である。
さらに請求項3の発明は、
請求項2に記載の包装材を用いてなることを特徴とする包装体である。
上記目的を達成する本発明のポリプロピレン系樹脂組成物によれば、レトルト用包装袋等に使用されるシーラントフィルムに要求される、耐低温衝撃性、ヒートシール性、ゆず肌耐性を高いレベルで両立することが可能となる。
本発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物の混合状態を表す概略図。
以下に、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物およびこれを含む包装材について詳細を記述する。
本発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物は、下記に規定する要件を満たすプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)85〜95重量%と、α−オレフィンとエチレンとを含有し、かつ下記(b)〜(d)に規定する要件を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(B)5〜15重量%とからなる樹脂組成物である。
図1に示すように、本発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(B)とが混合した状態となっている。
[プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)]
本発明に使用されるプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)は、温度グラジエント法(TGIC)により、成分分離を行った際、溶出温度−20℃〜80℃に現れる非晶性エチレン・プロピレン共重合体成分が5〜8重量%であり、溶出温度90℃〜120℃に現れる低結晶性エチレン・プロピレン共重合体成分が10〜20重量%であり、溶出温度140℃〜150℃に現れるポリエチレン成分が3〜6重量%であり、110℃〜120℃に現れるポリプロピレン成分が65〜80重量%の範囲内である。
この範囲外であると、耐低温衝撃性とヒートシール性が低下する。
[エチレン・α−オレフィン共重合体(B)]
本発明において使用するエチレン・α−オレフィン共重合体としては、メルトフローレート(Melt Flow Rate(ISO 1133)、温度190℃、荷重2.16kg)が0.5g/10分以上、2.0g/10分以下の範囲である。
ここで、MFRが0.5g/10分未満となると、成形加工時の押出機の負荷が大きくなり、加工速度の低下に繋がり生産性が低下する。また、MFRが2.0g/10分を超えると、エチレン・α−オレフィン共重合体における衝撃性が低下するため、耐低温衝撃性の改善を十分に行えない。
また、本発明において使用するエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、密度0.87g/cm以上、0.91g/cm以下の範囲である。
ここで密度はJIS K 7112に準じて測定されるものであり、密度が0.87g/cm未満となると、高温でのレトルト処理後のヒートシール強度の低下が大きくなり、ヒートシール性を低下させる。また、密度が0.91g/cmを超えるとエチレン・α−オレフィン共重合体の耐衝撃性が低下する。そのため、低温衝撃性の改善が十分に行えない。
さらに、本発明において使用するエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、JIS K 7121における示差走査熱量測定における融解ピーク温度が100℃以上、120℃以下の範囲である。
ここで、融解ピーク温度が100℃未満となると、高温でのレトルト処理を行った後のヒートシール強度の低下が大きくなり、ヒートシール性が不足する。また、融解ピーク温度が120℃を超える場合には、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の耐衝撃性が低下するため、低温衝撃性の改善を十分に行なうことができない。
次に、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を含むシーラントフィルムの厚さについては、包装材料用フィルムとして、使用可能な範囲であれば特に制限ざれることはないが、厚さが厚すぎる場合にはコストデメリットとなる。このため、100μm以下の範囲であることが好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を熱成形加工する方法は特に制限されるものではなく、公知の方法を使用することが可能である。例えば、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解又は分散混合後、溶剤を加熱除去する方法等を用いることができる。
作業性を考慮した場合には、単軸スクリュー押出機または2軸スクリュー押出機を使用することが特に好ましい。単軸押出機を用いる場合には、フルフライトスクリュー、ミキシングエレメントを持つスクリュー、バリアフライトスクリュー、フルーテッドスクリュー等、特に制限されることなく、使用することが可能である。
2軸混練装置については、同方向回転2軸スクリュー押出機、異方向回転2軸スクリュー押出機、またスクリュー形状もフルフライトスクリュー、ニーディングディスクタイプといったものが使用できるが、特に限定されるものではない。
上記熱成形加工の方法において、ポリプロピレン系フィルムを単軸押出機、または2軸押出機等により溶融したのち、フィードブロックまたはマルチマニホールドを介して、Tダイで製膜する方法を用いることが可能である。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を含むフィルムは、必要に応じて後工程適性を向上する表面改質処理を適宜実施することが可能である。例えば、単体フィルム使用時の印刷適性の向上、積層して使用する際のラミネート適性向上のため、他の基材と接触する面に対して表面改質処理を行うことができる。
表面改質処理は、コロナ放電処理、プラズマ処理、フレーム処理等のフィルム表面を酸化させることで官能基を発現させる手法や、易接着層のコーティング等のウェットプロセスによる改質方法を好適に用いることが可能である。
また、本発明によって得られるポリプロピレン系フィルムは、単体フィルム及び他基材と積層して使用される。さらに、製袋様式に関して特に制限されるものではない。
具体的には本発明のポリプロピレン系フィルムに、二軸延伸ポリアミドフィルム(ONy)、二軸延伸ポリエステルフィルム(PET)、印刷紙、金属箔(アルミニウム箔)から選ばれる少なくとも1層を積層し、積層体を形成する。
これらの代表的な構成は、PET/アルミニウム箔/ポリプロピレン系フィルム、あるいはPET/ONy/アルミニウム箔/ポリプロピレン系フィルム、PET/アルミニウム箔/ONy/ポリプロピレン系フィルム、ONy/ポリプロピレン系フィルムなどである。
積層体の製造方法は、積層体を構成するフィルムに接着剤を用いて貼合せる通常のドライラミネート法が好適に採用できるが、必要に応じて直接ポリプロピレン系フィルムを押出ラミネートする方法も採用することができる。
これらの積層体の積層構造は、包装体の要求特性、例えば包装する食品の品質保持期間を満たすバリア性、内容物の重量に対応できるサイズ・耐衝撃性、内容物の視認性などに応じて適宜選択する必要がある。
これらの積層体は、ポリプロピレン系フィルムをシール材として、平袋、三方袋、合掌袋、ガゼット袋、スタンディングパウチ、スパウト付きパウチ、ビーク付きパウチ等に用いることが可能である。
以下、本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
<実施例1>
プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は以下の内容のものを使用した。
(1)プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)
温度グラジエント法で分離される成分が−20℃〜80℃に現れる非晶性エチレン・プロピレン共重合体が5.3重量%、90℃〜120℃に現れる低結晶性エチレン・プロピレン共重合体が13.2重量%、140℃〜150℃に現れるポリエチレン成分が4.2重量%、110℃〜120℃に現れるポリプロピレン成分が76.1重量%に調整したプロピレン・エチレンブロック共重合体を使用した。
(2)エチレン・α−オレフィン共重合体(B)
MFR(190℃、荷重2.16kg)1.0g/10分、密度0.900g/cm、融解ピーク温度119.7℃に調整したエチレン・α−オレフィン共重合体を使用した。
前記プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)90.9重量%、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)9.1重量%をペレット状態で混合し、温度250℃に温度設定した押出機に供給し、溶融状態にて混練して、フィルム厚さが70μmとなるように調整し、実施例1のフィルムを作製した。
<実施例2>
上記実施例1と同様の作製方法において、実施例1と同様の方法で、プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の混合割合をそれぞれ87.1重量%、12.9重量%として混合を行った以外は実施例1と同様に製膜し、実施例2のフィルムを作製した。
<実施例3>
上記実施例1と同様の作製方法において、実施例1と同様の方法で、プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の混合割合をそれぞれ85.0重量%、15.0重量%として混合を行った以外は実施例1と同様に製膜し、実施例3のフィルムを作製した。
<実施例4>
プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)として、温度グラジエント法で分離される成分が−20℃〜80℃に現れる非晶性エチレン・プロピレン共重合体が7.6重量%、90℃〜120℃に現れる低結晶性エチレン・プロピレン共重合体が16.2重量%、140℃〜150℃に現れるポリエチレン成分が5.6重量%、110℃〜120℃に現れるポリプロピレン成分が69.2重量%に調整したプロピレン・エチレンブロック共重合体を使用した。このプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)と、実施例1と同様のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の混合割合をそれぞれ93.6重量%、6.4重量%として混合を行った以外は、実施例1と同様に製膜し、実施例4のフィルムを製膜した。
<実施例5>
上記実施例1と同様の作製方法において、実施例4と同様のプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の混合割合をそれぞれ86.3重量%、13.7重量%として混合を行った以外は、実施例1と同様に製膜し、実施例5のフィルムを作製した。
<比較例1>
上記実施例1と同様の作製方法において、実施例1と同様のプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の混合割合をそれぞれ97.0重量%、3.0重量%として混合を行った以外は、実施例1と同様に製膜し、比較例1のフィルムを作製した。
<比較例2>
上記実施例1と同様の作製方法において、実施例1と同様のプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の混合割合をそれぞれ78.5重量%、21.5重量%として混合を行った以外は実施例1と同様に製膜し、比較例2のフィルムを作製した。
<比較例3>
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)として、MFR(190℃、荷重2.16kg)1.0g/10分、密度0.885g/cm、融解ピーク温度66.0℃に調整した樹脂を使用した。
上記実施例1と同様の作製方法において、実施例1と同様のプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)と前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)とをそれぞれ85.0重量%、15.0重量%で混合を行った以外は実施例1と同様に製膜し、比較例3のフィルムを作製した。
<比較例4>
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)として、MFR(190℃、荷重2.16kg)1.0g/10分、密度0.924g/cm、融解ピーク温度113.0℃に調整した樹脂を使用した。
上記実施例1と同様の作製方法において、実施例1と同様のプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)と前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)とをそれぞれ85.0重量%、15.0重量%で混合を行った以外は実施例1と同様に製膜し、比較例4のフィルムを作製した。
<比較例5>
プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)として、温度グラジエント法で分離される成分が−20℃〜80℃の範囲に現れる非晶性エチレン・プロピレン共重合体が4.1重量%、90℃〜120℃の範囲に現れる低結晶性エチレン・プロピレン共重合体が15.7重量%、140℃〜150℃の範囲で現れるポリエチレン成分が1.5重量%、110℃〜120℃に現れるポリプロピレン成分が76.5重量%に調整したプロピレン・エチレンブロック共重合体を使用した。
このプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)と、実施例1と同様のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の混合割合をそれぞれ90.5重量%、9.5重量%として混合を行った以外は実施例1と同様に製膜し、実施例5のフィルムを製膜した。
上記実施例1〜5、比較例1〜5で作製したポリプロピレン系フィルムに関して、以下に示す項目の評価を実施した。
[耐低温衝撃性評価]
耐低温衝撃性の評価は、振り子式インパクトテスター(株式会社東洋精機製作所製)を用い、−10℃雰囲気下で測定した。また、衝撃部には1/2インチの弾頭を使用した。本測定では、低温衝撃性が、13.00J/cm以上であれば業務用大型袋のレトルト包装袋にも良好に使用できると評価した。
[ヒートシール性評価]
ヒートシール性評価では、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(PET)と、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミドフィルム(ONy)と、厚さ9μmのアルミニウム箔と、実施例1〜5と比較例1〜5のポリプロピレン系フィルムをウレタン系接着剤を用いて通常のドライラミネート法で貼り合せ、次の構成の積層体を形成した。
積層体構成:
PET/接着剤/ONy/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/ポリプロピレン系フィルムこの積層体のポリプロピレン系フィルム同士を、テスター産業株式会社製ヒートシーラーを用いてシール圧0.2MPa、シール時間を1秒、シール幅5mm、シール温度を200℃でヒートシールし、121℃で30分レトルト処理を行った。レトルト処理を行ったフィルムを15mm幅×80mmに切出し、株式会社島津製作所製引張試験機を用いて、300mm/minの引張速度でヒートシール強度を測定した。本測定では、レトルト処理後のヒートシール強度が50N/15mm以上であれば、業務用大型袋のレトルト包装袋にも良好に使用できると評価した。
[ゆず肌耐性評価]
ゆず肌耐性評価では、上記ヒートシール性評価で使用した同様の積層体を使用して評価を行った。この積層体のポリプロピレン系フィルム同士をテスター産業株式会社製ヒートシーラーを用いてシール圧0.2MPa、シール時間を1秒、シール幅5mm、シール温度を200℃の条件でヒートシールし、150mm×210mmの大きさに三方袋を作製した。この袋に市販のレトルトカレー(大塚食品株式会社製「ボンカレー(登録商標)辛口」)を充填した後、121℃で30分レトルト処理をした直後の積層体表面の凹凸状況を目視で判定した。表面の凹凸が全く発生しないものを「1」、僅かに発生するものを「2」、軽度に発生するものを「3」、明確に発生するものを「4」、重度に発生するものを「5」として評価した。本評価では、「1」、「2」の評価であるものが、ゆず肌耐性が良好であるとした。
実施例1〜5と比較例1〜5において上述の評価を実施した結果を表1に記載する。
実施例1〜5においては、上述の判定基準を全て満たしている。
比較例1に関しては、ゆず肌耐性を付与するエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の混合量が少ないため、得られたフィルムは、ゆず肌耐性が劣るものであり、実用が難しいと判断された。
比較例2に関しては、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の混合量が多いため、得られたフィルムはヒートシール阻害が発生し、レトルト処理後のヒートシール性の低下が確認されたため、実用が難しいと判断された。
比較例3に関しては、配合されるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の融解ピーク温度が低いため、レトルト処理によるヒートシール性の低下が確認され、実用が難しいと判断された。
比較例4に関しては、配合されるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度が高く、耐低温衝撃性の付与が十分でなかったため、実用が難しいと判断された。
比較例5に関しては、プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)が性能の両立に必要な成分比率が範囲外であるため、耐低温衝撃性及びヒートシール性が不足しており、実用が難しいと判断された。
Figure 2020180255
本発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物によれば、耐低温衝撃性、ヒートシール性、ゆず肌耐性に優れ、かつレトルト包装用シーラントフィルムに好適に使用できる樹脂組成物、包装材、およびこれを用いた包装体を提供することが可能となる。
1・・・ポリプロピレン系樹脂組成物
2・・・プロピレン・エチレンブロック共重合体(A)
3・・・エチレン・α−オレフィン共重合体(B)

Claims (3)

  1. 下記(a)に規定する要件を満たすプロピレン・エチレンブロック共重合体(A)85〜95重量%と、α−オレフィンとエチレンとを含有し、且つ下記(b)〜(d)に規定する要件を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(B)5〜15重量%からなるポリプロピレン系樹脂組成物。
    (a)温度グラジエント法(TGIC)により、成分分離を行った際、溶出温度−20℃〜80℃に現れる非晶性エチレン・プロピレン共重合体成分が5〜8重量%であり、溶出温度90℃〜120℃に現れる低結晶性エチレン・プロピレン共重合体成分が10〜20重量%であり、溶出温度140℃〜150℃に現れるポリエチレン成分が3〜6重量%であり、110℃〜120℃に現れるポリプロピレン成分が65〜80重量%の範囲内であること。
    (b)メルトフローレート(MFR)(温度190℃、荷重2.16kg)が0.5g/10分以上、2g/10分以下の範囲であること。
    (c)密度が0.87g/cm以上、0.91g/cm以下の範囲であること。
    (d)JIS K 7121における示差走査熱量測定による融解ピーク温度が、100℃以上120℃以下の範囲であること。
  2. 請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム、印刷紙、金属箔から選ばれる少なくとも1層の基材に積層してなることを特徴とする包装材。
  3. 請求項2に記載の包装材を用いてなることを特徴とする包装体。
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