JP2018161840A - 積層フィルムおよびその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】プロピレン系重合体製の容器の蓋材として使用できる積層フィルムであって、易開封性、透明性、低温シール性および耐熱性にバランス良く優れる積層フィルムを提供すること。【解決手段】ヒートシール層と基材層とを有する積層フィルムであって、前記ヒートシール層は、プロピレン系重合体(A)を90〜70質量部、およびメルトフローレートが3.6〜30g/10分であり、密度が870kg/m3以上910kg/m3未満であるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)を10〜30質量部含有する樹脂組成物(ただし、樹脂組成物の量を100質量部とする。)からなり、前記樹脂組成物は、高圧法低密度ポリエチレンを含有しないか、10質量部以下の量で含有し、かつ中密度または高密度ポリエチレンを含有しないか、5質量部以下の量で含有し、前記ヒートシール層の厚さが、前記積層フィルムの厚さの5〜20%の範囲にある積層フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は積層フィルムに関し、より詳細には包装袋または易開封性容器の蓋材として好ましく使用することのできる積層フィルムに関する。
従来、食品、飲料、化粧品、医薬品等の包装容器として、容器に樹脂製の蓋材をヒートシールしてなる易開封性の密封容器が一般的に用いられている。容器としてはプロピレン系重合体製の容器が広く使用されており、容器がプロピレン系重合体製である場合、ヒートシール剤としては同種材料であるプロピレン系重合体が一般的に使用される。しかしながら、この場合シール強度が高いため、内容物の密封性には優れるものの、開封が困難であり、易開封性が求められる密封容器には適用できない。
このような問題に鑑み、プロピレン系重合体に加えて高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が配合されてなるヒートシール層を有する易開封性の容器ないし蓋材が開発されている。(たとえば特許文献1〜5)。
一方、エチレン・α−オレフィン共重合体を結晶性ポリプロピレンに配合することで、その耐衝撃性等が向上することも知られている(たとえば特許文献6)。
特開昭57−125047号公報 特開昭58−209550号公報 特開2000−355358号公報 特開2010−5935号公報 特開2014−34424号公報 特開平9−309983号公報
従来の易開封性容器用の積層フィルムには、容器がプロピレン系重合体製である場合に、易開封性、透明性、低温シール性および耐熱性の点で、さらなる改善の余地があった。
したがって本発明は、容器、とりわけプロピレン系重合体製の容器の蓋材として使用できる積層フィルムであって、易開封性、透明性、低温シール性および耐熱性にバランス良く優れる積層フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究した結果、プロピレン系重合体を含むヒートシール層に特定のエチレン系重合体を配合することにより上記課題を解決できることを見い出し、本発明を完成させた。
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]
ヒートシール層と基材層とを有する積層フィルムであって、
前記ヒートシール層は、
プロピレン系重合体(A)を90〜70質量部、および
メルトフローレート(ASTM D1238、190℃、2.16kg荷重)が3.6〜30g/10分であり、密度が870kg/m3以上910kg/m3未満であるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)を10〜30質量部
含有する樹脂組成物(ただし、樹脂組成物の量を100質量部とする。)からなり、
前記樹脂組成物は、
密度が910kg/m3以上930kg/m3未満の高圧法低密度ポリエチレンを含有しないか、10質量部以下の量で含有し、かつ
密度が930〜965kg/m3の中密度または高密度ポリエチレンを含有しないか、5質量部以下の量で含有し、
前記ヒートシール層の厚さが、前記積層フィルムの厚さの5〜20%の範囲にある
積層フィルム。
[2]
前記樹脂組成物が、前記プロピレン系重合体(A)を89〜65質量部、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)を10〜30質量部、および前記中密度または高密度ポリエチレンを1〜5質量部含有する、前記[1]の積層フィルム。
[3]
前記樹脂組成物が、前記プロピレン系重合体(A)を89〜60質量部、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)を10〜30質量部、および前記高圧法低密度ポリエチレンを1〜10質量部含有する、前記[1]の積層フィルム。
[4]
前記ヒートシール層と前記基材層とが共押し出しされてなる前記[1]〜[3]のいずれかの積層フィルム。
[5]
下記式(1)および(2)を満たす前記[1]〜[4]のいずれかの積層フィルム。
SIT(PP)−SIT≧5℃ …(1)
ヒートシール温度が200℃の場合のヒートシール強度
≦25N/15mm …(2)
〔式(1)中のSITおよびSIT(PP)、式(2)中のヒートシールおよびヒートシール強度の意味は後述する。〕
[6]
下記式(1´)を満たす前記[5]の積層フィルム。
SIT(PP)−SIT≧10℃ …(1´)
〔式(1)中のSITおよびSIT(PP)の意味は後述する。〕
[7]
前記[1]〜[6]のいずれかの積層フィルム、または前記積層フィルムと他のフィルムとからなる包装袋。
[8]
前記[1]〜[6]のいずれかの積層フィルムからなる蓋材。
本発明の積層フィルムは、容器、とりわけプロピレン系重合体製の容器の蓋材として使用した場合に、易開封性、透明性、低温シール性および耐熱性にバランス良く優れている。
本発明に係る積層フィルムは、ヒートシール層と基材層とを有している。
〔ヒートシール層〕
前記ヒートシール層は樹脂組成物からなり、前記樹脂組成物は、必須成分としてプロピレン系重合体(A)を90〜70質量部、好ましくは90〜80質量部、およびエチレン・α−オレフィン共重合体(B)を10〜30質量部、好ましくは10〜20質量部含有する(ただし、樹脂組成物の量を100質量部とする。)。
プロピレン系重合体(A);
前記プロピレン系重合体(A)のメルトフローレート(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重)は、好ましくは0.1〜500g/10分、より好ましくは0.1〜100g/10分である。
前記プロピレン系重合体(A)は、好ましくは120〜170℃、さらに好ましくは130〜165℃の範囲に融点を有する。この融点は、示差走査熱量計(DSC)により再昇温法で測定される融点、すなわち、プロピレン系重合体(A)をDSC測定装置内で10分間200℃で保持した後、降温速度10℃/分で−20℃まで冷却し、−20℃で1分間保持した後、再度昇温速度10℃/分の条件下で測定したときに得られるDSC曲線における融解ピーク温度である。
前記プロピレン系重合体(A)は、ホモポリプロピレンであっても、プロピレン・炭素原子数2〜20のα−オレフィン(ただし、プロピレンを除く。)ランダム共重合体であっても、プロピレンブロック共重合体であってもよく、好ましくはプロピレンと炭素数2〜20(ただし、プロピレンを除く。)のα−オレフィンとのランダム共重合体である。
前記炭素原子数が2〜20のα−オレフィン(ただし、プロピレンを除く。)としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンおよび1−デセンなどが挙げられる。
前記ランダム共重合体がプロピレン・エチレンランダム共重合体の場合、共重合体中のエチレン由来の構成単位の量は、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%、さらに好ましくは0.5〜2.5質量%である。
前記ランダム共重合体がプロピレン・エチレン・炭素原子数4〜20のα−オレフィンランダム共重合体の場合、共重合体中のエチレン由来の構成単位の量は、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%、さらに好ましくは0.5〜2.5質量%であり、炭素原子数4〜20のα−オレフィン由来の構成単位の量は、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、さらに好ましくは2〜5質量%である。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B);
前記樹脂組成物は、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、メルトフローレート(ASTM D1238、190℃、2.16kg荷重)が3.6〜30g/10分であり、密度が870kg/m3以上910kg/m3未満であるエチレン系重合体である。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレート(ASTM D1238、190℃、2.16kg荷重)は、3.6〜30g/10分、好ましくは5〜28g/10分、さらに好ましくは7〜26g/10分である。メルトフローレートが上記範囲にあると、易剥離性および耐熱性に優れた積層フィルムを得ることができる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度は、870kg/m3以上910kg/m3未満、好ましくは875〜905kg/m3、さらに好ましくは880〜902kg/m3である。密度が上記範囲にあると、透明性、低温シール性および耐熱性に優れた積層フィルムを得ることができる。
前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)としては、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体が挙げられる。また、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、好ましくは線状の重合体である。前記α−オレフィンは、炭素原子数が3〜20、好ましくは3〜10のα−オレフィンであり、その例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンおよび1−デセンが挙げられ、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンが挙げられる。前記α−オレフィンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のα−オレフィン含量は、好ましくは2〜30モル%、より好ましくは、2〜20モル%、さらに好ましくは5〜10モル%である。ただし、エチレン含量およびα−オレフィン含量の合計を100モル%とする。
高圧法低密度ポリエチレン;
前記樹脂組成物は、密度が910kg/m3以上930kg/m3未満の高圧法低密度ポリエチレンを含有しても含有しなくてもよいが、含有する場合、その量は10質量部以下であり、下限値は1質量部であってもよい(樹脂組成物の量を100質量部とする。)。高圧法低密度ポリエチレンの量が上記範囲よりも大きいと、ヒートシール層は耐熱性に劣る傾向にある。
前記高圧法低密度ポリエチレンのメルトフローレート(ASTM D1238、190℃、2.16kg荷重)は、好ましくは0.5〜50g/10分、さらに好ましくは1.0〜20g/10分である。
前記高圧法低密度ポリエチレンには、エチレン以外の単量体が少量共重合されていてもよく、このような単量体の例としては、炭素原子数3〜10のα−オレフィン、酢酸ビニル、およびアクリル酸エステルが挙げられる。
中密度または高密度ポリエチレン;
前記樹脂組成物は、密度が930〜965kg/m3の中密度または高密度ポリエチレンを含有しても含有しなくてもよいが、含有する場合、その量は5質量部以下であり、下限値は1質量部であってもよい(樹脂組成物の量を100質量部とする。)。中密度または高密度ポリエチレンの量が上記範囲よりも大きいと、積層フィルムは低温シールに劣る傾向にある。
前記中密度または高密度ポリエチレンのメルトフローレート(ASTM D1238、190℃、2.16kg荷重)は、好ましくは0.5〜50g/10分、さらに好ましくは0.5〜20g/10分である。
前記中密度または高密度ポリエチレンには、エチレン以外のα−オレフィン、たとえばプロピレンが少量共重合されていてもよい。
各種添加剤;
前記ヒートシール層および後述する基材層には、任意の添加剤、たとえば酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、滑剤、結晶核剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、充填剤等が、本発明の効果を阻害しない範囲において含まれていてもよい。
樹脂組成物の調製;
前記樹脂組成物は、前記プロピレン系重合体(A)および前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)、ならびに任意に前記高圧法低密度ポリエチレン、前記中密度または高密度ポリエチレン、または各種添加剤を従来公知の方法で混合することにより、調製することができる。
〔基材層〕
前記基材層の例としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィンのフィルム、スチレン系樹脂のフィルム、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレート等のポリエステルのフィルム、ナイロン6またはナイロン6,6のようなポリアミドのフィルム、あるいはこれらの延伸フィルム、ポリオレフィンフィルムとポリアミドフィルムまたはエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムのようなガスバリヤー性のある樹脂フィルムとの積層フィルム、アルミニウム等の金属箔、あるいはアルミニウムまたはシリカ等を蒸着させた蒸着フィルムまたは紙等が挙げられる。
また、前記基材層は上述したプロピレン系重合体(A)から構成されていてもよい。
基材層が樹脂フィルムである場合、基材層には上述した添加剤が含まれていてもよい。
前記基材層は、1層のみから構成されてもよく、2層以上を積層したものから構成されていてもよい。
[積層フィルム]
本発明に係る積層フィルムは、前記ヒートシール層と前記基材層とを積層してなる。
前記積層フィルムの厚さは、通常300〜20μm程度、好ましくは100〜30μmであり、前記ヒートシール層の厚さは、積層フィルムの厚さのうち5〜20%を占める。前記ヒートシール層の厚さがこの範囲にあるとシーラント物性の安定性に優れる。
前記積層フィルムは、好ましくは以下の式(1)および(2)を満たし、さらに好ましくは以下の式(1´)および(2)を満たす。
SIT(PP)−SIT≧5℃ …(1)
SIT(PP)−SIT≧10℃ …(1´)
ヒートシール温度が200℃の場合のヒートシール強度
≦25N/15mm …(2)
〔式(1)および(1´)において、SITは、下記の方法でヒートシール強度を測定した場合に、8N/15mm以上のヒートシール強度を与えるヒートシール温度の最低値(℃)を表す。
SIT(PP)は、ヒートシール層が前記プロピレン系重合体(A)のみからなる場合の前記SIT(℃)を表す。
式(2)において、ヒートシール強度は、下記の方法で測定されるヒートシール強度(N/15mm)を表し、ヒートシール温度は下記の方法でヒートシール強度を測定する際のヒートシール温度(℃)を表す。
ヒートシール強度の測定方法:
前記積層フィルムのヒートシール層側に厚さ200μmのポリプロピレンシート(密度が910kg/m3、230℃下でのMFRが3.0g/10分のプロピレン単独重合体からなる。)を重ねて積層体とし、積層体の両面を厚さ50μmのテフロン(登録商標)シートで挟み試験体を作製する。
シールバー下側の温度を70℃に、シールバー上側の温度を所定のヒートシール温度に設定し、前記試験体を、積層フィルムが上側に、ポリプロピレンシートが下側になるようにシールバーで挟み、0.2MPaの圧力で1.0秒間ヒートシールを行う。
ヒートシールされた積層体を、23℃で1日間放置後、125℃で45分間加熱し、さらに23℃で1日間放置する。
積層フィルムに、ヒートシールされた部分を含むように15mm幅のスリットを入れ、ヒートシールされた部分を300mm/分の速度で180°の方向に剥離させる際の最大荷重を測定する。
この操作を5回行い、最大荷重の平均値をヒートシール強度とする。〕
SIT(PP)−SITの上限値は、たとえば100℃程度である。SIT(PP)−SITの値が大きいということは、低温シール性に優れるということを表す。SIT(PP)−SITは、たとえばエチレン・α−オレフィン共重合体(B)、あるいは高圧法低密度ポリエチレンの配合量を増やすことによって大きくすることができる。
ヒートシール温度が200℃の場合のヒートシール強度の下限値は、たとえば5N/15mmである。このヒートシール強度は、たとえばエチレン・α−オレフィン共重合体(B)、中密度または高密度ポリエチレン、あるいは高圧法低密度ポリエチレンの配合量を増やすことによって小さくすることができる。
本発明に係る積層フィルムの製造方法の例としては、
ヒートシール層用の原料樹脂類および基材層用の原料樹脂類を、それぞれ別の押出機に供給し、それぞれ溶融後に合流させて積層し、Tダイからシート状に押し出す方法(共押出法);
ヒートシール層用の原料樹脂類を押出機に投入し、予め製造した基材層上に溶融押出しして積層する方法(溶融ラミネート法);および
ヒートシール層および基材層を、それぞれ対応する原料樹脂類から作製し、これらを過熱されたロール群などにより熱圧着する方法(熱ラミネート法)
などが挙げられる。これらのうち、製造に要する時間が短く、かつ層間の接着性が良好であるという点で共押出法が好ましい。
[積層フィルムの用途]
本発明に係る積層フィルムを折り曲げてヒートシール層同士を向かい合わせ、あるいは本発明に係る積層フィルムのヒートシール層と他のフィルム(本発明に係る積層フィルムであってもよい。)とを向かい合わせ、これらの周囲の一部または全部をヒートシールすることによって、包装袋を製造することができる。この包装袋は食品等の包装に用いることができる。
また、容器に内容物(例:食品)を充填し、本発明に係る積層フィルムを蓋材として用いて容器を覆い、ヒートシールすることにより、内容物を包装した容器が得られる。本発明に係る積層フィルムは、とりわけプロピレン系重合体製の容器の蓋材として使用した場合に、易開封性、透明性、低温シール性および耐熱性にバランス良く優れており、125℃でのレトルト処理も可能である。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[評価方法]
(ヒートシール強度およびブロッキング)
各実施例または比較例で製造された積層フィルムのヒートシール層側に厚さ200μmのポリプロピレンシート(製品名、プライムポリプロTMF113G(プライムポリマー製のプロピレン単独重合体、密度:910kg/m3、230℃下でのMFR:3.0g/10分)))を重ねて積層体とし、積層体の両面を厚さ50μmのテフロン(登録商標)シートで挟み試験体を作製した。
次いで、ヒートシールテスター(テスター産業(株)製、TB−701B型)のヒートシールバーを幅5mm×長さ300mmとなるように設置し、シールバー下側の温度を70℃、シールバー上側の温度(以下「ヒートシール温度」ともいう。)を140、150、160、170、180または200℃の各温度に設定し、前記試験体を、積層フィルムが上側に、ポリプロピレンシートが下側になるようにシールバーで挟み、0.2MPaの圧力で1.0秒間ヒートシールを行った。テフロンシートを外し、ヒートシールされた積層体を、約23℃の室温下で1日間放置後、高圧蒸気滅菌器(アルプ(株)製、MCS−30S型)により125℃で45分間滅菌処理し、さらに約23℃の室温下で1日間放置した。
積層フィルムに、ヒートシールされた部分を含むように15mm幅のスリットを入れ、ヒートシールされていない部分を引張試験機(INTESCO社製、IM−20ST)にチャックした。ヒートシールされた部分を300mm/分の速度で180°の方向に剥離させる際の最大荷重を測定した。この操作を5回行い、最大荷重の平均値をヒートシール強度とした。
また、剥離された積層フィルムのヒートシール層の外観に糸引き、膜引き状の不良が見られた場合、これを外観不良と判断した。さらに、積層フィルムとポリプロピレンシートとがヒートシールを行っていない領域で融着していた場合、ブロッキング有りと判定した。
(低温シール性)
下記式(1)で表される値が大きいほど、低温シール性に優れるものと判断した。
SIT(PP)−SIT …(1)
式(1)中、SITは、上記のヒートシール強度の測定において、8N/15mm以上のヒートシール強度を与えるシールバー上側の温度(ヒートシール温度)の最低値(℃)を表す。たとえば、シールバー上側の温度が160℃以上の時にヒートシール強度が8N/15mm以上となれば、SITは160℃である。
この温度が、ヒートシール温度としての各設定温度の間に存在する場合には、2つの設定温度および対応する剥離強度に基づく回帰直線からSITを求める。たとえば後述する実施例1では、ヒートシール温度が160℃および170℃の場合に、剥離強度はそれぞれ7.4N/15mmおよび13.2N/mmであるから、SITは160℃と170℃の間に存在する。このような場合には、これら2つのデータに基づく回帰直線からSIT(161℃)を求める。
また、式(1)中、SIT(PP)は、後述する比較例1のSIT、すなわちヒートシール層がプロピレン系重合体(A)のみからなる場合のSIT(℃)である。
(透明性)
各実施例または比較例で製造された積層フィルムを、滅菌釜により125℃で45分間滅菌処理し、約23℃の室温下で1日間放置後、(株)村上色彩技術研究所製ヘーズメータ HM−150を使用し、JIS K7136に準拠した方法により全ヘイズの測定を行った。
[積層フィルムの製造]
実施例等で使用した樹脂は以下のとおりである。
・プロピレン・エチレンランダム共重合体1
(エチレン含量:2モル%、密度:900kg/m3、MFR(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重):7.0g/10分)
・高圧法低密度ポリエチレン1
(密度:922kg/m3、MFR(ASTM D1238、190℃、2.16kg荷重):2.4g/10分)
・エチレン・ブテンランダム共重合体1
(1−ブテン含量:10モル%、密度:885kg/m3、MFR(ASTM D1238、190℃、2.16kg荷重):1.2g/10分)
・エチレン・ブテンランダム共重合体2
(1−ブテン含量:15モル%、密度:870kg/m3、MFR(ASTM D1238、190℃、2.16kg荷重):35g/10分)
・高密度ポリエチレン1
(密度:959kg/m3、MFR(ASTM D1238、190℃、2.16kg荷重):17g/10分)
・エチレン・ブテンランダム共重合体3
(1−ブテン含量:10モル%、密度:885kg/m3、MFR(ASTM D1238、190℃、2.16kg荷重):18g/10分)
[実施例1]
以下の手順でヒートシール層/第1の基材層(以下「中間層」という。)/第2の基材層(以下、単に「基材層」という。)の層構成からなる積層フィルムを作製した。
プロピレン系重合体(プロピレン・エチレンランダム共重合体1)を基材層用および中間層用の樹脂として使用し、85質量%のプロピレン系重合体(プロピレン・エチレンランダム共重合体1)および15質量%のエチレン・1−ブテン共重合体(エチレン・ブテンランダム共重合体3)を常法により混合して得られた組成物をヒートシール層用の樹脂組成物として使用し、リップ幅1mmのTダイを設置した共押出機(3種3層キャスト成形機、住友重機械モダン(株)製)のホッパーにそれぞれ投入した。シリンダー温度を240℃、ダイス温度を250℃、冷却ロール温度を20℃に設定し、Tダイから溶融混練物を共押出して、キャスト成形することにより、厚さ10μmのヒートシール層、厚さ30μmの中間層、および厚さ20μmの基材層がこの順序で積層されてなる積層フィルム(3層フィルム)を得た。
この積層フィルムを上記の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例2〜4、比較例1〜8]
ヒートシール層用の樹脂組成物に使用する原料の配合を表2に記載のとおり変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、厚さ10μmのヒートシール層、厚さ30μmの中間層、および厚さ20μmの基材層がこの順序で積層されてなる積層フィルム(3層フィルム)を得た。
各積層フィルムを上記の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2018161840

Claims (8)

  1. ヒートシール層と基材層とを有する積層フィルムであって、
    前記ヒートシール層は、
    プロピレン系重合体(A)を90〜70質量部、および
    メルトフローレート(ASTM D1238、190℃、2.16kg荷重)が3.6〜30g/10分であり、密度が870kg/m3以上910kg/m3未満であるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)を10〜30質量部
    含有する樹脂組成物(ただし、樹脂組成物の量を100質量部とする。)からなり、
    前記樹脂組成物は、
    密度が910kg/m3以上930kg/m3未満の高圧法低密度ポリエチレンを含有しないか、10質量部以下の量で含有し、かつ
    密度が930〜965kg/m3の中密度または高密度ポリエチレンを含有しないか、5質量部以下の量で含有し、
    前記ヒートシール層の厚さが、前記積層フィルムの厚さの5〜20%の範囲にある
    積層フィルム。
  2. 前記樹脂組成物が、前記プロピレン系重合体(A)を89〜65質量部、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)を10〜30質量部、および前記中密度または高密度ポリエチレンを1〜5質量部含有する、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記樹脂組成物が、前記プロピレン系重合体(A)を89〜60質量部、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)を10〜30質量部、および前記高圧法低密度ポリエチレンを1〜10質量部含有する、請求項1に記載の積層フィルム。
  4. 前記ヒートシール層と前記基材層とが共押し出しされてなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  5. 下記式(1)および(2)を満たす請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層フィルム。
    SIT(PP)−SIT≧5℃ …(1)
    ヒートシール温度が200℃の場合のヒートシール強度
    ≦25N/15mm …(2)
    〔式(1)において、SITは、下記の方法でヒートシール強度を測定した場合に、8N/15mm以上のヒートシール強度を与えるヒートシール温度の最低値(℃)を表す。
    SIT(PP)は、ヒートシール層が前記プロピレン系重合体(A)のみからなる場合の前記SIT(℃)を表す。
    式(2)において、ヒートシール強度は、下記の方法で測定されるヒートシール強度(N/15mm)を表し、ヒートシール温度は下記の方法でヒートシール強度を測定する際のヒートシール温度(℃)を表す。
    ヒートシール強度の測定方法:
    前記積層フィルムのヒートシール層側に厚さ200μmのポリプロピレンシート(密度が910kg/m3、230℃下でのMFRが3.0g/10分であるプロピレン単独重合体からなる。)を重ねて積層体とし、積層体の両面を厚さ50μmのテフロン(登録商標)シート2枚で挟み試験体を作製する。
    シールバー下側の温度を70℃に、シールバー上側の温度を所定のヒートシール温度に設定し、前記試験体を、積層フィルムが上側に、ポリプロピレンシートが下側になるようにシールバーで挟み、0.2MPaの圧力で1.0秒間ヒートシールを行う。
    ヒートシールされた積層体を、23℃で1日間放置後、125℃で45分間加熱し、さらに23℃で1日間放置する。
    積層フィルムに、ヒートシールされた部分を含むように15mm幅のスリットを入れ、ヒートシールされた部分を300mm/分の速度で180°の方向に剥離させる際の最大荷重を測定する。
    この操作を5回行い、最大荷重の平均値をヒートシール強度とする。〕
  6. 下記式(1´)を満たす請求項5に記載の積層フィルム。
    SIT(PP)−SIT≧10℃ …(1´)
    〔式(1´)において、SITおよびSIT(PP)は、それぞれ前記式(1)中のSITおよびSIT(PP)と同義である。〕
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層フィルム、または前記積層フィルムと他のフィルムとからなる包装袋。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層フィルムからなる蓋材。
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