JP2018043982A - カチオン性殺菌剤、未修飾シリカ、及びベタイン系界面活性剤を含む口腔用組成物 - Google Patents

カチオン性殺菌剤、未修飾シリカ、及びベタイン系界面活性剤を含む口腔用組成物 Download PDF

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【課題】カチオン性殺菌剤が吸着したシリカが、歯磨きの磨き残しや除去できなかった歯垢に接着して殺菌剤が歯垢に作用することにより歯垢の生成を阻止すると同時に、製剤中及び口腔内において、カチオン性殺菌剤がシリカから遊離するのを抑制し、殺菌効果を長時間持続できる口腔用組成物を見出すことである。【解決手段】カチオン性殺菌剤、未修飾シリカ、及びベタイン系界面活性剤を含む口腔用組成物(但し、アニオン系界面活性剤を含む口腔用組成物を除く)。【選択図】なし

Description

本発明は、製剤中において、カチオン性殺菌剤が吸着したシリカが、歯磨きの磨き残しや除去できなかった歯垢に接着して、長時間にわたり殺菌剤が歯垢に作用することにより歯垢の生成を阻止すると同時に、殺菌剤が製剤中の他成分によってシリカから遊離して殺菌作用が低下するのを防ぐことができる口腔用組成物に関する。
オーラルケアでは歯垢除去が基本であり、そのための技術は以前から数多く開示され、中には実用に供されてきたものも数多くある。しかし、歯周疾患においては罹患状況の改善といった目に見える成果はほとんど表れておらず、現在においても画期的に有効な技術は見出されていないのが実情である。かかる理由としては、歯垢が、粘着性多糖(グルカン)から成り、菌塊を取り巻くように覆って存在して歯面や辺縁部に付着することで、菌が生体の感染防御機構や薬物にさらされた場合でも、粘液層が接着力を増し、菌体を頑強に覆うことによって攻撃を防いでいることによる。
そのため、これまでの口腔用組成物では、歯垢の内部には薬物が浸透しにくく、通常、2〜5分と言われる歯磨き時間に、歯垢形成抑制剤、歯垢分解剤、殺菌剤等を作用させても、それらの効果は限られていた。
そこで、歯垢の内部に薬物を浸透させる方法として、薬物を粒子表面に吸着、または粒子にて被覆させた薬物を口腔内に滞留させることにより、薬物を口腔内で持続的に作用させる試みがなされてきており、以下のものが開示されている。
シソ抽出液、プロポリス抽出液、またはアロエ抽出液等をハイドロキシアパタイト粒子の表面に吸着させた粒子を含有する歯磨組成物が開示されている(特許文献1)。炭酸カルシウム粒子の表面に、アニオン性官能基を有する水溶性薬物がアニオン性官能基を介して吸着されている複合粒子を水に分散させた溶液が開示されている(特許文献2)。水難溶性薬物を炭酸カルシウム粒子で被覆した粒子と糖アルコール水溶液を含んだ口腔用組成物が開示されている(特許文献3)。
しかしながら、従来知られている技術は、粒子への薬物の保持能力、粒子の歯垢への付着性・滞留性、被覆できる薬物がその性質で制限されてしまうといった問題があった。
菌垢に対して効果的に作用し、口腔内の病原性細菌数を低下させるには、難水溶性殺菌剤やカチオン性殺菌剤、アニオン性殺菌剤を用いることが有効である。特に、カチオン性殺菌剤は殺菌効果が高く、その作用により口腔内の総菌数を減少させ、疾患の原因となる歯垢の形成を抑制することが知られている。
ところが、カチオン性殺菌剤は歯磨剤に用いられる発泡剤のラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤とコンプレックスを形成し、殺菌効果が著しく低下する場合がある。また同様に非イオン系界面活性剤と共存すると、ミセル中に取り込まれ、殺菌効果が低下してしまうことが知られている。
これらの課題を解決する手段として、非イオン系界面活性剤を減量することで殺菌力を向上させる技術(特許文献1)や、カチオン性殺菌剤とカチオン性ポリマーを組み合わせることでカチオン性殺菌剤の口腔内滞留性を高め、殺菌効果を発揮させる技術(特許文献2、特許文献3、特許文献4)やカチオン化セルロース(特許文献5)を利用する事が提案されている。
塩化セチルピリジニウム(CPC)は、歯磨き等に使用される抗菌剤である。CPCは正に帯電した化合物であるため、負に帯電したタンパク質等に結合しやすく、タンパク質等に結合したCPCは有意義な抗菌活性を示さなくなる。同様に、負に帯電したシリカもCPCを吸着し、抗菌活性が損なわれるとされており、CPCの吸着を抑制するためにシリカ表面をコーティングしたシリカの発明が報告されている(特許文献6)。
特開2000―053550号公報 特開2001−64137号公報 特開平6−239725号公報 特開2001−139443号公報 特開2013−67568号公報 特表2010−514660号公報
本発明の課題は、カチオン性殺菌剤が吸着したシリカが、歯磨きの磨き残しや除去できなかった歯垢に接着して殺菌剤が歯垢に作用することにより歯垢の生成を阻止すると同時に、製剤中及び口腔内において、カチオン性殺菌剤がシリカから遊離するのを抑制し、殺菌効果を長時間持続できる口腔用組成物を見出すことである。
本発明者らは研究の結果、シリカにカチオン性殺菌剤が吸着することでカチオン性殺菌剤の抗菌活性が損なわれるとされていた従来の認識を覆す驚くべき知見を得た。
すなわち、未修飾シリカにカチオン性殺菌剤を積極的に吸着させることによりカチオン性殺菌剤の殺菌効果を損なわず、かつ、カチオン性殺菌剤が吸着したシリカが、歯磨きの磨き残しや除去できなかった歯垢に接着して殺菌剤を歯垢に作用させることができることを見出した。さらに、ベタイン系界面活性剤を共存させることで、製剤中及び口腔内において、カチオン性殺菌剤がシリカから遊離するのを抑制し、殺菌効果が長時間持続できる口腔用組成物を見出し、本発明を完成するにいたった。
すなわち本発明は、下記(1)〜(5)に関する。
(1)カチオン性殺菌剤、未修飾シリカ、及びベタイン系界面活性剤を含む口腔用組成物(但し、アニオン系界面活性剤を含む口腔用組成物を除く)。
(2)カチオン性殺菌剤が、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、または塩化ベンザルコニウムである、(1)に記載の組成物。
(3)未修飾シリカが、含水ケイ酸、無水ケイ酸、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、及びケイ酸ナトリウムからなる群より選ばれる1種以上である、(1)または(2)に記載の組成物。
(4)ベタイン系界面活性剤が、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(コカミドプロピルベタイン)、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン(ココアンホ酢酸ナトリウム)、N−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム(ラウロアンホ酢酸ナトリウム)、及びラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインからなる群より選ばれる1種以上である、(1)乃至(3)のいずれか1に記載の組成物。
(5)剤形が、練歯磨き、液状歯磨き、洗口液、または、含嗽剤である、(1)乃至(4)のいずれか1に記載の組成物。
本発明の、カチオン性殺菌剤、未修飾シリカ、及びベタイン系界面活性剤を製剤中に共存させた組成物は、殺菌剤の効果が損なわれず、かつ、シリカに吸着した殺菌剤が長時間にわたって歯垢に作用するため持続的な殺菌作用により歯垢を分解・除去するため有用である。
実歯モデルのアパタイトペレットに付着した人工プラークの平均重量を示す(n=4)。
本発明に用いることができるカチオン性殺菌剤は、陽イオン性の親水基を持つ界面活性剤であればよく、例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、または塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。好ましくは塩化セチルピリジニウムである。
本発明において、未修飾シリカとは、シリカの表面にコーティング処理がされていない、または有機化合物等が結合していないシリカを意味する。本発明に用いることができる未修飾シリカは、シリカ表面が多孔質または無孔質のいずれでもよく、シリカの平均粒径は、1〜100μmであればよい。例えば、含水ケイ酸、無水ケイ酸、軽質無水ケイ酸、またはメタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。好ましくは、含水ケイ酸または無水ケイ酸である。
本発明のベタイン系界面活性剤は、ベタイン構造を有している界面活性剤を意味する。例えば、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(コカミドプロピルベタイン)、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン(ココアンホ酢酸ナトリウム)、N−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム(ラウロアンホ酢酸ナトリウム)、またはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。好ましくは、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインである。
本発明において、アニオン系界面活性剤とは、陰イオン性の親水基を持つ界面活性剤を意味し、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムのようなアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムのようなポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなアルキルベンゼンスルホン酸塩、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ココイルグリシンナトリウム、及びラウロイルサルコシンナトリウムのようなアミノ酸系界面活性剤(N−アシルアミノ酸系界面活性剤ともよばれる)、その他スルホン酸塩、または脂肪酸塩等が挙げられる。
本発明におけるカチオン性殺菌剤の組成物中の配合量は、好ましくは、0.001〜10重量%であり、より好ましくは、0.01〜1.0重量%である。
本発明における未修飾シリカの組成物中の配合量は、好ましくは、0.05〜50重量%であり、より好ましくは、0.5〜30重量%である。
本発明におけるベタイン系界面活性剤の配合量は、好ましくは、0.01〜20重量%であり、より好ましくは、0.1〜5.0重量%である。
本発明の組成物は、カチオン性殺菌剤、未修飾シリカ及びベタイン系界面活性剤を混合することにより製造することができる。また、予めカチオン性殺菌剤を未修飾シリカ表面に吸着させ、そこにベタイン系界面活性剤を混合することによっても製造してもよい。
本発明の組成物は、1種類以上の未修飾シリカを含んでもよく、また、複数のカチオン性殺菌剤を含んでもよい。
本発明の口腔用組成物の具体的な剤形としては、例えば、練歯磨き、水歯磨き、洗口液、含嗽剤等をあげることができる。
本発明には、湿潤剤、pH調節剤、矯味剤、防腐剤、香料、可溶化剤等を適宜添加することができる。
湿潤剤としては、医薬品・食品・化粧品原料として市販されているものであればよく、例えば、多価アルコール、さらに具体的にソルビット、グリセリン、濃グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、プロパンジオール(1,3−プロパンジオール)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチット、トレハロース、ヒアルロン酸ナトリウム、加水分解コラーゲン等が挙げられ、これらの1種または2種以上の組み合わせを適宜選択して、必要に応じて配合することができる。
本発明の歯周病または口臭用組成物のpHは、4.5〜8.0の範囲であるのが好ましい。本発明に使用しうるpH調整剤としては、例えばリン酸、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム、クエン酸、リンゴ酸、ピロリン酸、酒石酸、酢酸またはこれらの塩、水酸化ナトリウム等が挙げられる。これらの1種または2種以上の組み合わせを適宜選択して、必要に応じて配合することができる。
矯味剤としては、例えば、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、ショ糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、ハチミツ、アスパルテーム、ステビア、スクラロース、キシリトール、イノシトール、D−ソルビトール、D−マンニトール、ラフィノース、ラクチュロース、ラクチトール、エリスリトール、還元パラチノース、パラチノース、パラチニット、アセスルファムK、マルトース、マルトシルトレハロースまたはマルチトールが挙げられる。これらの1種または2種以上の組み合わせを適宜選択して配合することができる。
防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、イソプロピルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、ベンジルパラベン等のパラベン(パラオキシ安息香酸エステル)類、フェノキシエタノール、エタノール等のアルコール類、あるいはソルビン酸、安息香酸、デヒドロ酢酸、プロピオン酸またはこれらの塩等が挙げられる。これらの1種または2種以上の組み合わせを適宜選択して配合することができる。
香料としては、例えば、L−メントール、ペパーミント、スペアミントまたはフルーツ香料、ハッカ油等が挙げられる。香料は、唾液分泌を刺激するという利点も有する。これらの1種または2種以上の組み合わせを適宜選択して配合することができる。
可溶化剤は、本発明の主基剤である水への上記添加剤や薬効成分の溶解を促進させるために添加してもよい。そのような可溶化剤の例として、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類等を挙げることができる。これらの1種または2種以上の組み合わせを適宜選択して配合することができる。
以下に、実施例、比較例、製剤例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
(実施例A)多孔質の未修飾シリカへの塩化セチルピリジニウム(CPC)の吸着
溶液に溶かしたCPCと多孔質の未修飾シリカ(三好化成株式会社製 SB-300)をスパチラを用いて手で撹拌しながら混合、乾燥、塊砕を行なってCPC含浸シリカを得た。
(実施例B)CPC含浸シリカの溶出試験
実施例Aで作成したCPC含浸シリカ1250mg(CPC 1w/w%)を37℃の蒸留水50mLに分散させ、5分後に水溶液中のCPC濃度をHPLCにて測定した。結果、CPCの水溶液中への溶出率は17.3%であったため、水溶液中でも大部分のCPCはシリカに保持されていることを確認した。
(実施例C)製剤におけるCPCのシリカへの吸着確認
表1に記載の成分を混合し、スピードミキサーで攪拌(3500rpm)して実施例1−4、比較例1−5の製剤を得た。CPC含浸シリカは実施例Aで調製したものを用いた。また、粘度調整剤は炭酸水素ナトリウム、濃グリセリン、多孔質シリカを混合して調製したものを用いた。 作製した製剤約2gを遠沈管に秤量した。水10 mlを添加した後に10分間分散させ、3500rpmで5分間遠心した後、上澄み液を除去し、これを2回繰り返した。遠心後の沈殿物を0.2mol/L塩酸/メタノール混液(1:1)10mLで10分間分散した後、50mlメスフラスコに移した。これにテトラヒドロフラン10ml及び0.2mol/L塩酸/メタノール混液(1:1)を加えて正確に50mlとした。この液をろ過(ポアサイズ0.45mlのメンブランフィルター)し、ろ液を試料溶液とした。これをシリカに付着したCPCとしてHPLCで測定した。結果を表1に示す。ベタイン系界面活性剤を用いた実施例1−4はアニオン系界面活性剤が配合された比較例1―5と比較して明らかにCPCがシリカに付着した状態を保っているという驚くべき結果を見出した。
HPLCの条件
カラム:CAPCELL PAK C18 UG120 3μm 4.6mmI.D.×100mm
移動相: アセトニトリル/水混液(7:3)に、ラウリル硫酸ナトリウム0.2w/v%を溶解し、リン酸0.2v/v%を加えたもの。
検出波長:260nm
流量:1.5ml/min付近の一定流量
カラム温度:50℃付近の一定温度
注入量: 50μl
保持時間:塩化セチルピリジニウムの保持時間が約5分となるように調整する
(実施例D)シリカに含浸させていないCPCの製剤中でのシリカへの吸着
プラスチックカップに必要量秤量した濃グリセリン(花王株式会社製)にCPCを添加し、攪拌棒で混合することで溶解させた。炭酸水素ナトリウム、多孔質の未修飾シリカ(三好化成株式会社製 SB-300)を順に添加し、スピードミキサーで攪拌した(3500 rpmで1分間)。界面活性剤、カルメロースナトリウムを添加し、製剤を得た。製剤について実施例Cと同様にHPLCでシリカに付着しているCPCを測定した。結果を表2の実施例5に示す。実施例5は表1の実施例1と同様にCPCがシリカに付着している状態を保ったことから、シリカに含浸させていないCPCを用いた場合においても、製剤中においてCPCがシリカへ付着し、付着状態を保てることを見出した。
(実施例E)製剤における塩化ベンゼトニウムのシリカへの吸着
塩化ベンゼトニウムについてもCPCと同様の結果が得られるかどうかを調べるために、実施例Dと同様の方法で塩化ベンゼトニウムを配合した製剤を得た。実施例Cと同様にHPLCでシリカに付着している塩化ベンゼトニウムを測定した。結果を表2の実施例6に示す。実施例6においても製剤中において塩化ベンゼトニウムがシリカに付着していることを見出した。
(実施例F)無孔質シリカを用いた製剤中におけるCPCのシリカへの吸着
実施例Dと同様の方法でCPCを配合した製剤を得た。実施例Cと同様にHPLCで無孔質シリカに付着しているCPCを測定した。結果を表2の実施例7,8に示す。実施例7と8の結果から無孔質シリカについても、多孔質シリカと同様に製剤中においてCPCがシリカに付着していることを見出した。即ち、この結果は多孔質のシリカを用いなくても本発明の技術思想は成り立つという証左である。
(実施例G)歯垢の付着抑制試験
(1)使用菌株
使用する菌株として、American Type Culture Collection(ATCC)から購入したStreptococcus mutans Clarke(ATCC25175)を用いた。
(2)凍結菌液の作成
粉末培地であるトリプティックソイブロス(日本ベクトン・ディッキンソン社製)30gに、超純水1000mLを加えて溶解して調製された溶液(以下、TSB溶液という)に菌株を接種する。37℃一晩、嫌気的に静置培養後、菌懸濁液0.75 mLに対して20 %に調製したグリセリンを0.25 mLの割合で加え、この菌液を1 mLずつ分注して-80°C設定の超低温フリーザー内に凍結保管した(以下、凍結菌液という)。
(3)前培養菌液の作成
TSB溶液に蔗糖5%、酵母エキスが0.5%となるように添加したものを10mL試験管に入れ、凍結菌液を融解して0.1mLを接種した後、37℃、24時間嫌気的に静置培養した。培養後の菌液を試験管に0.1mLとってTSB溶液を10mL加えて37℃、12時間嫌気的に静置培養した(以下、前培養菌液という)。
(4)添加TSB試験管の作製
TSB溶液に、蔗糖(和光純薬工業株式会社製)を5%濃度、および、酵母エキス(日本ベクトン・ディッキンソン社製)を0.5%濃度となるように加えた後、高圧蒸気滅菌した。その後、試験管に10mLずつ分注した(以下、添加TSB試験管という)。
(5)菌懸濁液の調製
添加TSB試験管に、前培養菌液0.15mLを接種した後、37℃で8時間、嫌気培養した。これを菌懸濁液とした。
(6)粒子への浸漬およびプラーク形成
CPC含浸多孔質シリカ、またはCPCを溶液中のCPC濃度が0.25%となるよう注射用水に懸濁した(図1には「薬剤含浸シリカ」または「CPC」と表記)。また、CPC非含浸多孔質シリカをCPC含浸多孔質シリカと同じ重量計測し、注射用水に懸濁した(図1には「シリカ」と表記)。これらの懸濁液に5分間アパタイトペレットを浸漬させた。浸漬後、1分間注射用水に浸漬し、洗浄した。
洗浄後、アパタイトペレットを菌懸濁液に浸漬し、37℃、24時間嫌気条件で培養した。
以降、96時間までCPC含浸多孔質シリカ、CPC非含浸多孔質シリカ、またはCPC含有注射用水への浸漬、及びそれぞれについてプラーク形成を同様の操作で4回繰り返した。また、CPC含浸多孔質シリカ、CPC非含浸多孔質シリカ、またはCPC含有注射用水の代わりに、CPC及び多孔質シリカを含まない注射用水を用いた群を設定した(図1には「水」として表記した)。
(7)乾燥重量測定
アパタイトペレットを注射用水で洗浄したあと、0.5N NaOH溶液に浸漬し、人工プラークを分散懸濁させた。人工プラークを回収後、乾燥させ重量を測定した。
(8)試験結果
本試験によって得られた、アパタイトペレットに付着した人工プラークの平均重量を図1に示す(n=4)。図1より、CPC含浸多孔質シリカで処理したアパタイトペレットにはプラーク形成が認められなかった。本結果は、本発明のCPC含浸多孔質シリカが歯垢に付着して残留することで、歯垢部分にCPCが作用し、結果として歯垢の付着を阻止したものであると考えられる。
(製剤例1)練歯磨
表3の成分及び分量をとり、常法に従って練歯磨を製造する。
(製剤例2)練歯磨
表4の成分及び分量をとり、常法に従って練歯磨を製造する。
(製剤例3)練歯磨
表5の成分及び分量をとり、常法にしたがって練歯磨を製造する。
(製剤例4)洗口液
表6の成分及び分量をとり、常法に従って洗口液を製造する。

Claims (5)

  1. カチオン性殺菌剤、未修飾シリカ、及びベタイン系界面活性剤を含む口腔用組成物(但し、アニオン系界面活性剤を含む口腔用組成物を除く)。
  2. カチオン性殺菌剤が、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、または塩化ベンザルコニウムである、請求項1に記載の組成物。
  3. 未修飾シリカが、含水ケイ酸、無水ケイ酸、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、及びケイ酸ナトリウムからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1または2に記載の組成物。
  4. ベタイン系界面活性剤が、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(コカミドプロピルベタイン)、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン(ココアンホ酢酸ナトリウム)、N−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム(ラウロアンホ酢酸ナトリウム)、及びラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 剤形が、練歯磨き、液状歯磨き、洗口液、または含嗽剤である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の組成物。
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