JP7032889B2 - カチオン性殺菌剤、未修飾シリカ、及びベタイン系界面活性剤を含む口腔用組成物 - Google Patents
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(1)カチオン性殺菌剤、未修飾シリカ、及びベタイン系界面活性剤を含む口腔用組成物(但し、アニオン系界面活性剤を含む口腔用組成物を除く)。
(2)カチオン性殺菌剤が、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、または塩化ベンザルコニウムである、(1)に記載の組成物。
(3)未修飾シリカが、含水ケイ酸、無水ケイ酸、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、及びケイ酸ナトリウムからなる群より選ばれる1種以上である、(1)または(2)に記載の組成物。
(4)ベタイン系界面活性剤が、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(コカミドプロピルベタイン)、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン(ココアンホ酢酸ナトリウム)、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム(ラウロアンホ酢酸ナトリウム)、及びラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインからなる群より選ばれる1種以上である、(1)乃至(3)のいずれか1に記載の組成物。
(5)剤形が、練歯磨き、液状歯磨き、洗口液、または、含嗽剤である、(1)乃至(4)のいずれか1に記載の組成物。
溶液に溶かしたCPCと多孔質の未修飾シリカ(三好化成株式会社製 SB-300)をスパチラを用いて手で撹拌しながら混合、乾燥、塊砕を行なってCPC含浸シリカを得た。
実施例Aで作成したCPC含浸シリカ1250mg(CPC 1w/w%)を37℃の蒸留水50mLに分散させ、5分後に水溶液中のCPC濃度をHPLCにて測定した。結果、CPCの水溶液中への溶出率は17.3%であったため、水溶液中でも大部分のCPCはシリカに保持されていることを確認した。
表1に記載の成分を混合し、スピードミキサーで攪拌(3500rpm)して実施例1-4、比較例1-5の製剤を得た。CPC含浸シリカは実施例Aで調製したものを用いた。また、粘度調整剤は炭酸水素ナトリウム、濃グリセリン、多孔質シリカを混合して調製したものを用いた。 作製した製剤約2gを遠沈管に秤量した。水10 mlを添加した後に10分間分散させ、3500rpmで5分間遠心した後、上澄み液を除去し、これを2回繰り返した。遠心後の沈殿物を0.2mol/L塩酸/メタノール混液(1:1)10mLで10分間分散した後、50mlメスフラスコに移した。これにテトラヒドロフラン10ml及び0.2mol/L塩酸/メタノール混液(1:1)を加えて正確に50mlとした。この液をろ過(ポアサイズ0.45mlのメンブランフィルター)し、ろ液を試料溶液とした。これをシリカに付着したCPCとしてHPLCで測定した。結果を表1に示す。ベタイン系界面活性剤を用いた実施例1-4はアニオン系界面活性剤が配合された比較例1―5と比較して明らかにCPCがシリカに付着した状態を保っているという驚くべき結果を見出した。
カラム:CAPCELL PAK C18 UG120 3μm 4.6mmI.D.×100mm
移動相: アセトニトリル/水混液(7:3)に、ラウリル硫酸ナトリウム0.2w/v%を溶解し、リン酸0.2v/v%を加えたもの。
検出波長:260nm
流量:1.5ml/min付近の一定流量
カラム温度:50℃付近の一定温度
注入量: 50μl
保持時間:塩化セチルピリジニウムの保持時間が約5分となるように調整する
プラスチックカップに必要量秤量した濃グリセリン(花王株式会社製)にCPCを添加し、攪拌棒で混合することで溶解させた。炭酸水素ナトリウム、多孔質の未修飾シリカ(三好化成株式会社製 SB-300)を順に添加し、スピードミキサーで攪拌した(3500 rpmで1分間)。界面活性剤、カルメロースナトリウムを添加し、製剤を得た。製剤について実施例Cと同様にHPLCでシリカに付着しているCPCを測定した。結果を表2の実施例5に示す。実施例5は表1の実施例1と同様にCPCがシリカに付着している状態を保ったことから、シリカに含浸させていないCPCを用いた場合においても、製剤中においてCPCがシリカへ付着し、付着状態を保てることを見出した。
塩化ベンゼトニウムについてもCPCと同様の結果が得られるかどうかを調べるために、実施例Dと同様の方法で塩化ベンゼトニウムを配合した製剤を得た。実施例Cと同様にHPLCでシリカに付着している塩化ベンゼトニウムを測定した。結果を表2の実施例6に示す。実施例6においても製剤中において塩化ベンゼトニウムがシリカに付着していることを見出した。
実施例Dと同様の方法でCPCを配合した製剤を得た。実施例Cと同様にHPLCで無孔質シリカに付着しているCPCを測定した。結果を表2の実施例7,8に示す。実施例7と8の結果から無孔質シリカについても、多孔質シリカと同様に製剤中においてCPCがシリカに付着していることを見出した。即ち、この結果は多孔質のシリカを用いなくても本発明の技術思想は成り立つという証左である。
(1)使用菌株
使用する菌株として、American Type Culture Collection(ATCC)から購入したStreptococcus mutans Clarke(ATCC25175)を用いた。
粉末培地であるトリプティックソイブロス(日本ベクトン・ディッキンソン社製)30gに、超純水1000mLを加えて溶解して調製された溶液(以下、TSB溶液という)に菌株を接種する。37℃一晩、嫌気的に静置培養後、菌懸濁液0.75 mLに対して20 %に調製したグリセリンを0.25 mLの割合で加え、この菌液を1 mLずつ分注して-80°C設定の超低温フリーザー内に凍結保管した(以下、凍結菌液という)。
TSB溶液に蔗糖5%、酵母エキスが0.5%となるように添加したものを10mL試験管に入れ、凍結菌液を融解して0.1mLを接種した後、37℃、24時間嫌気的に静置培養した。培養後の菌液を試験管に0.1mLとってTSB溶液を10mL加えて37℃、12時間嫌気的に静置培養した(以下、前培養菌液という)。
TSB溶液に、蔗糖(和光純薬工業株式会社製)を5%濃度、および、酵母エキス(日本ベクトン・ディッキンソン社製)を0.5%濃度となるように加えた後、高圧蒸気滅菌した。その後、試験管に10mLずつ分注した(以下、添加TSB試験管という)。
添加TSB試験管に、前培養菌液0.15mLを接種した後、37℃で8時間、嫌気培養した。これを菌懸濁液とした。
CPC含浸多孔質シリカ、またはCPCを溶液中のCPC濃度が0.25%となるよう注射用水に懸濁した(図1には「薬剤含浸シリカ」または「CPC」と表記)。また、CPC非含浸多孔質シリカをCPC含浸多孔質シリカと同じ重量計測し、注射用水に懸濁した(図1には「シリカ」と表記)。これらの懸濁液に5分間アパタイトペレットを浸漬させた。浸漬後、1分間注射用水に浸漬し、洗浄した。
洗浄後、アパタイトペレットを菌懸濁液に浸漬し、37℃、24時間嫌気条件で培養した。
以降、96時間までCPC含浸多孔質シリカ、CPC非含浸多孔質シリカ、またはCPC含有注射用水への浸漬、及びそれぞれについてプラーク形成を同様の操作で4回繰り返した。また、CPC含浸多孔質シリカ、CPC非含浸多孔質シリカ、またはCPC含有注射用水の代わりに、CPC及び多孔質シリカを含まない注射用水を用いた群を設定した(図1には「水」として表記した)。
アパタイトペレットを注射用水で洗浄したあと、0.5N NaOH溶液に浸漬し、人工プラークを分散懸濁させた。人工プラークを回収後、乾燥させ重量を測定した。
本試験によって得られた、アパタイトペレットに付着した人工プラークの平均重量を図1に示す(n=4)。図1より、CPC含浸多孔質シリカで処理したアパタイトペレットにはプラーク形成が認められなかった。本結果は、本発明のCPC含浸多孔質シリカが歯垢に付着して残留することで、歯垢部分にCPCが作用し、結果として歯垢の付着を阻止したものであると考えられる。
表3の成分及び分量をとり、常法に従って練歯磨を製造する。
表4の成分及び分量をとり、常法に従って練歯磨を製造する。
表5の成分及び分量をとり、常法にしたがって練歯磨を製造する。
表6の成分及び分量をとり、常法に従って洗口液を製造する。
Claims (9)
- カチオン性殺菌剤が吸着した未修飾シリカ、及びベタイン系界面活性剤を含む口腔用組成物(但し、アニオン系界面活性剤を含む口腔用組成物を除く)。
- カチオン性殺菌剤が吸着した未修飾シリカが、カチオン性殺菌剤を含浸した多孔質未修飾シリカである請求項1に記載の組成物。
- カチオン性殺菌剤が、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、または塩化ベンザルコニウムである、請求項1または2に記載の組成物。
- 未修飾シリカが、含水ケイ酸、無水ケイ酸、軽質無水ケイ酸、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、及びケイ酸ナトリウムからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の組成物。
- ベタイン系界面活性剤が、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(コカミドプロピルベタイン)、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン(ココアンホ酢酸ナトリウム)、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム(ラウロアンホ酢酸ナトリウム)、及びラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の組成物。
- 塩化セチルピリジニウムを含浸した多孔質未修飾シリカ、並びにヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(コカミドプロピルベタイン)、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン(ココアンホ酢酸ナトリウム)、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム(ラウロアンホ酢酸ナトリウム)、及びラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインからなる群より選ばれる1種以上のベタイン系界面活性剤を含有する口腔用組成物。
- 剤形が、練歯磨き、液状歯磨き、洗口液、または含嗽剤である、請求項1乃至6のいず
れか1項に記載の組成物。 - 歯垢の付着抑制のための請求項1乃至7のいずれか1項に記載の組成物。
- 予めカチオン性殺菌剤を未修飾シリカに吸着させる工程、及びベタイン系界面活性剤を混合する工程を含む、口腔用組成物の製造方法。
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