JP2018035466A - セルロースナノファイバーの製造方法及び組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】水やアルコール等のプロトン性溶媒を用いることなく、セルロースナノファイバーを簡便に製造する方法の提供。【解決手段】セルロース(A)と窒素原子及び/又は硫黄原子を含む非プロトン性有機溶媒(B)とを含む組成物を混練してセルロースナノファイバーを製造する方法。前記有機溶媒(B)の割合はセルロース(A)100重量部に対して50〜250重量部程度であり、前記有機溶媒(B)は窒素原子を有していてもよく、前記方法は、ミキシングローラ、ニーダ、バンバリーミキサー又は押出機を用いて、スクリューの周速が1〜200m/分の速度で混練してもよく、前記組成物は、さらにヒドロキシル基に対する反応性基を有する化合物(C)を含んでいてもよいセルロースナノファイバーの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂に容易に分散するセルロースナノファイバーを簡便に製造する方法及びこの方法により得られるセルロースナノファイバーを含む組成物に関する。
セルロース繊維(細胞壁単位)は、セルロース微細繊維(ミクロフィブリル)の集合体である。セルロース微細繊維は、鋼鉄に匹敵する機械特性を持ち、直径約30nmのナノ構造を持つため、補強剤として社会的に熱く注目されている。しかし、セルロース微細繊維は、繊維間が水素結合により結束されており、その微細繊維を取り出すためには、水素結合を解いてセルロース繊維を分離する必要がある。一般的に、天然のセルロースミクロフィブリルは、結晶ゾーン(結晶域)と非晶ゾーン(非晶域)とから構成されるため、非晶ゾーンが水などの膨潤性溶媒を吸収、膨潤した状態になると、物理的な外力により結晶ゾーンを構成する微細繊維(ナノ繊維)にまで解れ易くなることが知られている。このように、セルロース繊維中の微細繊維を外力により分離することは解繊と称され、セルロース微細繊維(セルロースナノファイバー)の解繊法として、様々な機械解繊法が提案されている。機械解繊法としては、水中でセルロース繊維を機械的に解繊する水中機械解繊法が汎用されており、水中機械解繊法では、セルロース繊維は、大量の水中において、水で膨潤され、柔らかくなった状態で高圧ホモジナイザーなどの強力な機械粉砕によりナノ化される。しかし、高圧ホモジナイザーによる処理においては、高濃度での処理が困難である他、解繊に長い時間を要するといった課題があった。そこで、セルロース繊維を二軸混練押出機などの混練手段で微細化する方法も提案されている。
特許第5638001号公報(特許文献1)には、水の存在下、パルプを一軸又は多軸混練機で解繊してセルロースナノファイバーを製造する方法であって、前記一軸又は多軸混練機のスクリューの周速が45m/分以上であるセルロースナノファイバーの製造方法が開示されている。この文献の実施例では、パルプ濃度25重量%の水分散組成物を二軸混練処理することにより解繊している。
また、特開2005−42283号公報(特許文献2)には、一次壁及び二次外壁を傷つけたパルプ及び/又はセルロース系繊維を、セルロース非晶領域膨潤剤の存在下に混練することにより、繊維成分を解繊するパルプ及び/又はセルロース系繊維のミクロフィブリル化方法が開示されている。この文献には、前記セルロース非晶領域膨潤剤として、水、エチレングリコール、ブチレングリコール、メチルアルコール、エチルアルコールが記載されている。この文献の実施例では、脂肪族ポリエステルを含む樹脂成分、リファイナー処理されたパルプ及び水を二軸押出基で混練してパルプを解繊している。
しかし、これらの方法で得られるセルロースナノファイバー水分散体又は水含有品を乾燥した場合、セルロースナノファイバー間で強固な水素結合を形成した凝集物となり、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂との複合化プロセスでナノレベルまで再分散することは困難である。また、水やアルコールといった活性水素を有する溶媒は、セルロース表面の水酸基をエポキシやイソシアネート、酸無水物で修飾する際、反応を阻害してしまう。そのため、このような再凝集を避けた樹脂との複合化や、セルロースの修飾を行う上で、遠心分離等を利用した煩雑な溶媒置換プロセスを経由させることが必要になる。
これに対して、特開2015−150838号公報(特許文献3)には、セルロース含有原料の解繊処理を行ってミクロフィブリル化セルロースを生成し、生成されたミクロフィブリル化セルロースと樹脂とを混練し、脱水、可塑化を行ってミクロフィブリル化セルロースが分散した複合樹脂材料を連続的に製造するミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料の製造方法であって、樹脂を完全溶融させないで、かつ混練物の巻き上げや噴出が生じないように徐々に脱水を行った後に、樹脂を可塑化して減圧脱水するミクロフィブリル化セルロース複合樹脂材料の製造方法が開示されている。すなわち、この方法では、樹脂との複合化に際して、水分散体をそのまま樹脂中に混練しながら分散し、水を除去することで、セルロースナノファイバーの再凝集を抑制しながら複合化することを可能としている。しかし、この方法では、ポリエステル、ポリアミドなどの加水分解性の樹脂への適用は困難である。また、セルロースナノファイバーの表面は、非常に高い親水性を有する水酸基が多数あるため、加水分解を引き起こさない樹脂においても、セルロースナノファイバー/樹脂間の界面強度が問題となり、強度が十分に発現しないことが推定される。
さらに、特開2016−20446号公報(特許文献4)には、解繊樹脂中でセルロースを解繊及び/又は微細化してセルロースナノファイバーを製造する方法が開示されており、この方法では、水や有機溶媒中で解繊及び/又は微細化したセルロースナノファイバーに比べて、微細化に使用した媒体を除去する必要がないと記載されている。この文献の実施例では、ポリエステル系樹脂600重量部とセルロースパウダー400重量部とをニーダーを用いて、60rpmで600分間加圧混練してセルロースナノファイバーを含むマスターバッチを製造している。
しかし、この方法では、セルロースナノファイバーを得るために長時間の混練が必要であり、生産性が低い。また、樹脂中で解繊するため、得られた複合体からセルロースナノファイバーを単独で取り出すのは困難であり、利用する用途が限定される。
特許第5638001号公報(請求項1、実施例) 特開2005−42283号公報(請求項2、段落[0056]、実施例) 特開2015−150838号公報(請求項8) 特開2016−20446号公報(段落[0037]、実施例)
従って、本発明の目的は、水やアルコールなどのプロトン性溶媒を用いることなく、セルロースナノファイバーを簡便に製造する方法及び得られたセルロースナノファイバーを含む組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、表面が改質された修飾セルロースナノファイバーを簡便に製造する方法及び得られたセルロースナノファイバーを含む組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、結晶化度の高いセルロースナノファイバーを簡便に製造する方法及び得られたセルロースナノファイバーを含む組成物を提供することにある。
本発明の別の目的は、セルロースナノファイバー及び有機溶媒を含み、樹脂に対する親和性が高い組成物を簡便に製造する方法及び得られた組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、セルロース(A)と非晶部を膨潤可能な窒素原子及び/又は硫黄原子を含む非プロトン性有機溶媒(B)とを含む組成物を混練することにより、水やアルコールなどのプロトン性溶媒を用いることなく、セルロースナノファイバーを簡便に製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のセルロースナノファイバーの製造方法は、セルロース(A)と窒素原子及び/又は硫黄原子を含む非プロトン性有機溶媒(B)とを含む組成物を混練してセルロースナノファイバーを製造する方法である。前記有機溶媒(B)の割合はセルロース(A)100重量部に対して50〜250重量部程度である。本発明の方法は、ミキシングローラ、ニーダ、バンバリーミキサー又は押出機を用いて、スクリューの周速が1〜200m/分の速度で混練してもよい。前記組成物は、さらに反応性基を有する化合物(C)を含み、前記セルロースナノファイバーは、前記化合物(C)で修飾された修飾セルロースナノファイバーであってもよい。前記化合物(C)は、下記式(1)で表される化合物であってもよい。
(式中、環Zはアレーン環、R及びRは置換基、Xはヘテロ原子含有官能基、kは0〜4の整数、n1及びpは0以上の整数を示す)。
前記化合物(C)の反応性基はエポキシ基であってもよく、その場合、修飾セルロースナノファイバーは、セルロースナノファイバーのヒドロキシル基に前記化合物(C)が結合したセルロースナノファイバーであってもよい。
前記化合物(C)の反応性基はヒドロキシル基であり、かつ前記組成物がさらに架橋剤(D)を含んでいてもよく、その場合、修飾セルロースナノファイバーは、セルロースナノファイバーのヒドロキシル基に架橋剤(D)を介して前記化合物(C)が結合したセルロースナノファイバーであってもよい。
前記化合物(C)の割合は、セルロース(A)100重量部に対して1〜50重量部程度である。
前記セルロースナノファイバーの平均繊維径は5〜800nm程度である。前記セルロースナノファイバーの結晶化度は50%以上であってもよい。
本発明には、下記式(1)で表される化合物が結合した修飾セルロースナノファイバーと、窒素原子及び/又は硫黄原子を含む非プロトン性有機溶媒とを含む組成物も含まれる。
(式中、環Zはアレーン環、R及びRは置換基、Xはヘテロ原子含有官能基、kは0〜4の整数、n1及びpは0以上の整数を示す)。
本発明では、セルロース(A)と、窒素原子及び/又は硫黄原子を含む非プロトン性有機溶媒(B)とを含む組成物を混練するだけの簡便な方法により、水やアルコールなどのプロトン性溶媒を用いることなく、セルロースナノファイバーが得られる。得られるセルロースナノファイバーは、結晶化度も高い。また、前記組成物に、ヒドロキシル基に対する反応性基を有する化合物(C)をさらに配合することにより、表面が改質された修飾セルロースナノファイバーを簡便に製造できる。さらに、本発明の方法では、セルロースナノファイバーが窒素原子及び/又は硫黄原子を含む非プロトン性有機溶媒を含む組成物の形態で得られるため、樹脂に対する親和性が高い組成物を簡便に製造できる。そのため、塗料や樹脂の複合化など、各種の用途展開が可能になる。
図1は、実施例1で得られたセルロースナノファイバーの走査型電子顕微鏡(SEM)写真(30000倍)である。 図2は、実施例2で得られたセルロースナノファイバーのSEM写真(30000倍)である。 図3は、実施例3で得られたセルロースナノファイバーのSEM写真(30000倍)である。 図4は、実施例4で得られたセルロースナノファイバーのSEM写真(30000倍)である。 図5は、実施例5で得られたセルロースナノファイバーのSEM写真(30000倍)である。 図6は、実施例6で得られたセルロースナノファイバーのSEM写真(30000倍)である。 図7は、実施例7で得られたセルロースナノファイバーのSEM写真(30000倍)である。 図8は、実施例8で得られたセルロースナノファイバーのSEM写真(30000倍)である。 図9は、比較例2で得られたセルロースナノファイバーのSEM写真(30000倍)である。
[組成物]
本発明の方法では、セルロース(A)と窒素原子及び/又は硫黄原子を含む非プロトン性有機溶媒(B)とを含む組成物を混練する。
(A)セルロース
本発明の方法において、原料となるセルロース(A)は、セルロース単独の形態であってもよく、リグニンやヘミセルロースなどの非セルロース成分を含む混合形態であってもよい。
単独形態のセルロース(又は非セルロース成分の含有量が少ないセルロース)としては、例えば、パルプ(例えば、木材パルプ、竹パルプ、ワラパルプ、バガスパルプ、リンターパルプ、亜麻パルプ、麻パルプ、楮パルプ、三椏パルプなど)、ホヤセルロース、バクテリアセルロース、セルロースパウダー、結晶セルロースなどが挙げられる。
混合形態のセルロース(セルロース組成物)としては、例えば、木材[例えば、針葉樹(マツ、モミ、トウヒ、ツガ、スギなど)、広葉樹(ブナ、カバ、ポプラ、カエデなど)など]、草本類[麻類(麻、亜麻、マニラ麻、ラミーなど)、ワラ、バガス、ミツマタなど]、種子毛繊維(コットンリンター、ボンバックス綿、カポックなど)、竹、サトウキビ、紙などが挙げられる。
これらのセルロースは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。混合形態のセルロースにおいて、非セルロース成分の割合は80重量%以下であってもよく、10重量%以上であってもよい。例えば10〜80重量%、好ましくは15〜70重量%、さらに好ましくは30〜60重量%程度であってもよい。他の成分の割合が多すぎると、セルロースナノファイバーの製造が困難となる虞があり、他の成分の割合が少なすぎると、セルロースの断片化が生じ、アスペクト比が低減する虞がある。
セルロースは、結晶部と非晶部とで形成されており、例えば、結晶セルロース(特にI型結晶セルロース)を含むのが好ましく、結晶セルロースと非晶セルロース(不定形セルロースなど)との組み合わせであってもよい。結晶セルロース(特にI型結晶セルロース)の割合は、セルロース全体に対して多いほど好ましく、例えば30〜99.9重量%、好ましくは50〜99.9重量%、さらに好ましくは70〜99.9重量%程度である。結晶セルロースの割合が少なすぎると、セルロースナノファイバーの強度が低下する虞がある。これらのうち、解繊及び修飾し易い点から、木材パルプ(例えば、針葉樹パルプ、広葉樹パルプなど)、種子毛繊維のパルプ(例えば、コットンリンターパルプ)、セルロースパウダーなどが汎用される。なお、パルプは、パルプ材を機械的に処理した機械パルプであってもよいが、非セルロース成分の含有量が少ないことからパルプ材を化学的に処理した化学パルプが好ましい。
原料となるセルロースの平均繊維径は、通常1μm以上であり、例えば5〜500μm、好ましくは10〜300μm、さらに好ましくは20〜100μm(特に30〜50μm)程度であってもよい。なお、本明細書及び特許請求の範囲では、原料セルロースの平均繊維径は、光学顕微鏡写真の画像からランダムに50個の繊維を選択し、加算平均して算出してもよい。
(B)窒素原子及び/又は硫黄原子を含む非プロトン性有機溶媒
本発明では、前記セルロース(A)に対して、窒素原子及び/又は硫黄原子を含む非プロトン性有機溶媒(B)を配合して混練することにより、水やアルコールなどのプロトン性溶媒を用いることなく、セルロースを解繊してセルロースナノファイバーが得られる。
窒素原子及び/又は硫黄原子を含む非プロトン性有機溶媒(B)としては、例えばアミド類[ホルムアミド、アセトアミドなどのアシルアミド類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミドなどのN,N−ジC1−4アルキルホルムアミド;N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジエチルアセトアミドなどのN,N−ジC1−4アルキルアセトアミドなど]、ピロリドン類[2−ピロリドン、3−ピロリドンなどのピロリドン;N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などのN−C1−4アルキルピロリドンなど]、ピリジン類[例えば、ピリジン;メチルピリジン(ピコリン)、エチルピリジンなどのC1−4アルキルピリジン;ジメチルピリジン(ルチジン)などのジC1−4アルキルピリジン;トリメチルピリジン(コリジン)などのトリC1−4アルキルピリジンなど]、スルホキシド類[ジメチルスルホキシド(DMSO)、メチルエチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのジC1−4アルキルスルホキシドなど]、スルホン類(例えば、ジメチルスルホンなどのジC1−4アルキルスルホン;ジフェニルスルホンなどのアリールスルホン;スルホランなどの環状スルホンなど)などが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
有機溶媒(B)の割合は、セルロース(A)100重量部に対して、例えば50〜250重量部、好ましくは90〜230重量部(例えば95〜225重量部)、さらに好ましくは110〜180重量部(特に115〜175重量部)程度である。有機溶媒(B)の割合が少なすぎると、セルロースが断片化することでアスペクト比が低減する虞があり、多すぎると、混練による剪断応力が十分に作用せず、解繊が十分に進行しない虞がある。
(C)反応性基を有する化合物
本発明の方法において、混練に供される組成物に、前記セルロース(A)並びに窒素原子及び/又は硫黄原子を含む非プロトン性有機溶媒(B)に加えて、さらに反応性基を有する化合物(C)を配合してもよい。このような化合物(C)を配合することにより、混練によりセルロースが解繊されて、セルロースナノファイバーが生成すると同時に、セルロースナノファイバーが化合物(C)により修飾されるため、従来の溶媒置換プロセスを経ることなく、修飾セルロースナノファイバーが得られる。
前記化合物(C)の反応性基としては、セルロースのヒドロキシル基に直接結合したり、又は架橋剤を介してセルロースのヒドロキシル基に結合して、セルロースナノファイバーの表面を修飾できればよく、例えば、ヒドロキシル基、エポキシ基、カルボキシル基(又はその反応性誘導体)、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基などが挙げられる。
前記化合物(C)は、セルロースナノファイバーの樹脂に対する親和性を向上でき、塗料や樹脂との複合化など、各種用途への展開が向上する点から、前記式(1)で表される化合物が好ましい。
前記式(1)において、環Zで表されるアレーン環は、単環式アレーン環、縮合多環式アレーン環、環集合アレーン環のいずれであってもよく、例えば、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環(特に、ベンゼン環)などであってもよい。
で表されるヘテロ原子含有官能基としては、例えば、基−[(OR)m1−Y](式中、Yはヒドロキシル基、グリシジルオキシ基、アミノ基、N置換アミノ基又はメルカプト基であり、Rはアルキレン基、m1は0以上の整数である)、基−(CH)m2−COOR(式中、Rは水素原子又はアルキル基であり、m2は0以上の整数である)などが挙げられる。
これらのうち、Xとしては、Yがヒドロキシル基又はグリシジルオキシ基であるヘテロ原子含有官能基が汎用される。アルキレン基Rには、直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基が含まれ、アルキレン基Rとしてはエチレン基やプロピレンなどが汎用される。オキシアルキレン基(OR)の繰り返し数(平均付加モル数)を示すm1は、0又は1以上の整数(例えば0〜15程度)の範囲から選択でき、例えば0〜2(例えば0又は1)であってもよい。
前記式(1)において、環Zに置換した基Xの個数を示すn1は、0以上であり、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1又は2(特に1)であってもよい。
基Xは、環Zの適当な位置に置換でき、例えば、環Zがベンゼン環である場合には、フェニル基の2−,3−,4−位(特に、3−位及び/又は4−位)に置換している場合が多い。
置換基Rとしては、特に限定されず、例えば、ハロゲン原子、炭化水素基(アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基)、アルコキシ基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基などが挙げられる。好ましい置換基Rとしては、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基など)、特に、アルキル基(特に、メチル基などのC1−4アルキル基)が好ましい。置換基Rの係数pは、環Zの種類などに応じて適宜選択でき、例えば、0〜8程度の整数であってもよく、例えば0〜3、好ましくは0〜2の整数、さらに好ましくは0又は1であってもよい。
置換基Rとしては、特に限定されず、例えば、直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル基(特に、メチル基などのC1−3アルキル基)、カルボキシル基又はC1−2アルコキシ−カルボニル基、シアノ基、ハロゲン原子などが挙げられる。置換数kは例えば0〜3、好ましくは0〜2の整数(例えば、0又は1)、特に0である。
好ましい化合物(C)としては、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC6−10アリール)フルオレン;9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシ−C6−10アリール)フルオレン;又はこれらのヒドロキシ基含有フルオレン化合物に対応するエポキシ基含有フルオレン化合物(ヒドロキシル基に代えてグリシジルオキシ基を有する化合物)などが挙げられる。これらのフルオレン化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記化合物(C)の割合は、セルロース(A)100重量部に対して1重量部以上であってもよく、例えば1〜50重量部、好ましくは3〜40重量部、さらに好ましくは5〜30重量部(特に10〜25重量部)程度である。化合物(C)の割合が少なすぎると、修飾率が低下する虞がある。
(D)架橋剤
本発明の方法では、混練に供される組成物に、前記セルロース(A)、窒素原子及び/又は硫黄原子を含む非プロトン性有機溶媒(B)並びに化合物(C)に加えて、さらに架橋剤(D)を加えてもよい。架橋剤(D)は、特に、化合物(C)の反応性基がヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、メルカプト基である場合に有効である。
架橋剤(D)としては、慣用の架橋剤を利用でき、化合物(C)の反応性基がヒドロキシル基である場合は、ヒドロキシル基に対する反応性基を複数有する化合物、例えば、ポリイソシアネート類、ポリ酸無水物類などが挙げられる。これらのうち、反応性に優れるポリイソシアネート類が好ましく、ブロック型ポリイソシアネート(ブロックドポリイソシアネート)が特に好ましい。ブロック型ポリイソシアネートとしては、慣用のブロック型ポリイソシアネートを利用でき、脂肪族ポリイソシアネート又はその誘導体[例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)又はその三量体など]、芳香族ポリイソシアネート[トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)など]などが汎用される。ブロック剤(保護剤)としては、例えば、オキシム類やラクタム類などが汎用される。
架橋剤(D)の割合は、化合物(C)100重量部に対して5重量部以上であってもよく、例えば5〜100重量部、好ましくは10〜80重量部、さらに好ましくは20〜70重量部(特に30〜60重量部)程度である。架橋剤(D)の割合が少なすぎると、セルロースナノファイバーの修飾率が低下する虞がある。
(E)他の成分
本発明の方法では、本発明の効果を損なわない範囲であれば、非プロトン性溶媒(例えば、アセトニトリル、ジオキサン、アセトン、ジメチルエーテル、テトラヒドロフランなど)や慣用の添加剤を配合してもよい。慣用の添加剤としては、例えば、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤など)、帯電防止剤、難燃剤(リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤など)、難燃助剤、耐衝撃改良剤、流動性改良剤、補強剤(他の繊維状充填剤など)、核剤、着色剤、滑剤、可塑剤、離型剤、色相改良剤、分散剤、抗菌剤、防腐剤などが挙げられる。これらの溶媒及び添加剤の割合は、セルロース(A)100重量部に対して、例えば50〜250重量部、好ましくは90〜230重量部(例えば95〜225重量部)、さらに好ましくは110〜180重量部(特に115〜175重量部)程度である。
[混練方法]
本発明の方法において、前記組成物を混練する方法としては、慣用の混練方法を利用できる。慣用の混練方法としては、例えば、ミキシングローラ、ニーダ、バンバリーミキサー(インテンシブミキサー)、コンティニュアスミキサー、押出機(一軸又は二軸押出機など)などの混練機を用いた方法などが挙げられる。これらのうち、ニーダや押出機(特に二軸押出機)を用いた方法が汎用される。
混練におけるニーダや押出機などの混練機におけるスクリューの周速は、例えば1〜200m/分、好ましくは5〜150m/分、さらに好ましくは8〜100m/分(例えば9〜80m/分)、特に10〜70m/分(例えば11〜50m/分)程度である。周速が小さすぎると、セルロースナノファイバーの収率が低下する虞があり、大きすぎると、セルロースが断片化し、アスペクト比が低減する他、セルロースの繊維形態が崩れてしまう虞がある。
混練温度(例えば、シリンダー温度)は、特に限定されず、セルロースの分解が生じない温度範囲、例えば0〜200℃から選択でき、前記化合物(C)を配合しない場合、剪断による昇温から受けるダメージ低減を考慮して、設定上の混練温度は低いほど好ましく、設定温度以上になった際、混練機を冷却するシステムを備えていることが好ましい。例えば20〜100℃、好ましくは20〜80℃、さらに好ましくは20〜60℃(特に20〜30℃)程度である。一方、前記化合物(C)を配合する場合、セルロースナノファイバーと化合物(C)との反応性を向上させるため、前記化合物(C)の種類に応じて加熱してもよく、混練温度(例えば、シリンダー温度)は、例えば50〜250℃、好ましくは80〜200℃、さらに好ましくは100〜180℃(特に120〜150℃)程度である。
混練時間は1分以上であってもよく、例えば1〜120分、好ましくは5〜60分、さらに好ましくは10〜30分程度である。
[セルロースナノファイバー及び組成物]
本発明では、前記方法によりセルロースナノファイバーが得られる。得られたセルロースナノファイバーの平均繊維径(加算平均繊維径)は800nm以下であってもよく、例えば5〜800nm(例えば10〜500nm)、好ましくは15〜400nm(例えば20〜300nm)、さらに好ましくは25〜200nm(特に30〜150nm)程度である。繊維径が大きすぎると、補強材としての効果が低下する虞がある。一方、繊維径が小さすぎると、繊維の取り扱い性や耐熱性も低下する虞がある。
セルロースナノファイバーの平均繊維長は、取扱い性に支障をきたさない範囲で長いほど好ましく、例えば1μm〜3mm程度の範囲から選択でき、例えば10μm〜2mm(例えば20μm〜1.5mm)、好ましくは100μm〜1.3mm、さらに好ましくは200μm〜1mm程度であってもよい。繊維長が短すぎると、補強効果が低下する虞があり、長すぎると、繊維が絡み易くなるため、樹脂や溶媒への分散性が低下する虞がある。
セルロースナノファイバーの平均繊維径に対する平均繊維長の割合(アスペクト比)は用途に応じて対応でき、例えば10以上であってもよく、例えば30〜5000、好ましくは50〜3000、さらに好ましくは100〜1000(特に200〜500)程度であってもよい。
なお、本明細書及び特許請求の範囲では、セルロースナノファイバーの平均繊維径、平均繊維長及びアスペクト比は、走査型電子顕微鏡写真や偏光顕微鏡の画像からランダムに50個の繊維を選択し、加算平均して算出してもよい。
セルロースナノファイバーの結晶化度は50%以上(特に55%以上)であってもよく、例えば55〜95%(例えば55〜80%)、好ましくは60〜95%、さらに好ましくは65〜95%(特に70〜95%)程度であってもよい。結晶化度が小さすぎると、線膨張特性や強度などの特性を低下させる虞がある。なお、本明細書及び特許請求の範囲では、結晶化度は、後述の実施例に記載の方法で測定できる。
得られたセルロースナノファイバーは、窒素原子及び/又は硫黄原子を含む非プロトン性有機溶媒(B)との組成物の状態で得られ、水を含まないため、樹脂に対する親和性に優れている。
組成物中の修飾セルロースナノファイバーは、前記化合物(C)がセルロースのヒドロキシル基に対する反応性基を有する場合、セルロースナノファイバーのヒドロキシル基に前記化合物(C)が直接結合したセルロースナノファイバーであってもよい。また、修飾セルロースナノファイバーは、前記化合物(C)が反応性基としてヒドロキシル基を有する場合、セルロースナノファイバーのヒドロキシル基に架橋剤(D)を介して前記化合物(C)が結合したセルロースナノファイバーであってもよい。
修飾セルロースナノファイバーの修飾率[すなわち、修飾セルロースナノファイバー中における前記化合物(C)の含有割合]は0.1重量%以上であってもよく、例えば0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜15重量%、さらに好ましくは0.3〜10重量%(特に0.5〜8重量%)程度である。
本発明で得られる組成物は、有機溶媒分散体又は含有品であるため、さらなる表面修飾や樹脂との複合化といった観点で、溶媒の置換などの煩雑なプロセスが必要なく、取り扱い性に優れる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、用いた原料の詳細は以下の通りであり、得られたセルロースナノファイバー及び修飾セルロースナノファイバーは、以下の方法で評価した。
(セルロースナノファイバーの形状観察)
セルロースナノファイバー(修飾セルロースナノファイバー)の形状は走査型電子顕微鏡FE−SEM(日本電子(株)製「JSM−6700F」、測定条件:20mA、60秒)を用いて観察した。なお、平均繊維径は、SEM写真の画像からランダムに50個の繊維を選択し、加算平均して算出した。
(セルロースナノファイバーに結合したフルオレン化合物の修飾率)
フルオレン化合物の修飾率(以下「フルオレン修飾率」と称する)は、Raman顕微鏡(HORIBA JOBIN YVON社製「XploRA」)により分析した芳香族環(1604cm−1)とセルロースの環内CH(1375cm−1)との吸収バンドの強度比(I1604/I1375)より算出した。尚、算出にあたっては、ジアセチルセルロース((株)ダイセル製)を用いて、フルオレン化合物を所定量含有するジアセチルセルロースフィルムを溶液キャスト法により作製し、これらの強度比(I1604/I1375)から作成した検量線を用いた。すべてのサンプルは3回測定し、その結果から算出される値の平均値をフルオレン修飾率とした。
(セルロースナノファイバーの結晶化度)
得られたセルロースナノファイバーをテトラヒドロフランに分散し、溶媒キャストによる100μm程度のフィルム状サンプルを調製し、得られたシートの広角X線回折測定(5〜40°)を粉末X線回折装置((株)リガク製「Ultima IV」)にて実施した。セルロースI型結晶に見られるピーク及び非晶由来のピークに関し、それぞれカーブフィッティングすることで結晶および非晶由来のピーク面積を解析し、得られた結果より結晶化度を算出した。
(実施例1)
二軸押出機((株)テクノベル製「KZW15−30MG」、L/D=30、スクリュー径:15mmΦ)に、N−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」と称する)と3mm角程度のチップ状に裁断したフラッフパルプ(GP Cellulose社製「Grade4800」、以下「パルプ」と称する)の合計量が180g/時間となるように供給(NMP/パルプ=60/50(wt/wt))しながら、シリンダー温度0℃(設定値)、押出機回転数は300rpmの条件(スクリュー周速度:14.1m/分)で混練を行うことで、ストランド状の塊を得た。本条件での押出機内の滞留時間は約12分であった。尚、混練時、シリンダー温度の設定値が0℃にも拘わらず、せん断熱により、シリンダー温度が80℃程度まで上昇した。図1に示すように、得られたサンプルのSEM観察結果より、繊維径の加算平均値が76.7nmであることが確認された。また、セルロースナノファイバーの結晶化度は57.6%であった。
(比較例1)
溶媒にジエチレングリコールジエチルエーテルを利用した以外は、実施例1と同様の方法で混練を実施した。しかし、混練機に投入していく中で、溶媒の逆流が生じた他、押出機の先端部で固化、焼き付きを起こしてしてしまい、処理することが不可能であった。
(実施例2)
混練機としてニーダ((株)栗本鐵工所製「KRCニーダS1」、L/D=10.2、スクリュー径:25mm)を用い、パルプとNMPの合計吐出量が180g/時間となるように供給(NMP/パルプ=50/50(wt/wt))しながら、シリンダー温度25℃(設定値)、押出機回転数は384rpm(周速:30.1m/分)の条件で混練を行うことで、プレート状の塊を得た。本条件での押出機内の滞留時間は約10分であった。尚、混練時、シリンダー温度の設定値が25℃にも拘わらず、せん断熱により、シリンダー温度が110℃程度まで上昇した。図2に示すように、得られたサンプルのSEM観察結果より、繊維径の加算平均値が131.9nmであることが確認された。また、得られたセルロースナノファイバーの結晶化度は67.6%であった。
(実施例3)
NMPとパルプの溶媒比率をNMP/パルプ=70/30(wt/wt)に変えた以外は、実施例2と同様の方法にてプレート状の塊を得た。図3に示すように、得られたサンプルのSEM観察結果より、繊維径の加算平均値が84.0nmであることが確認された。また、得られたセルロースナノファイバーの結晶化度は75.1%であった。
(実施例4)
NMPとパルプの溶媒比率をNMP/パルプ=30/70(wt/wt)に変えた以外は、実施例2と同様の方法にてプレート状の塊を得た。図4に示すように、得られたサンプルのSEM観察結果より、繊維形態が球状に崩れた箇所も観察された。
(実施例5)
溶媒にDMFを用いた以外は、実施例3と同様の方法にてプレート状の塊を得た。図5に示すように得られたサンプルのSEM観察結果より、繊維径の加算平均値が132.2nmであることが確認された。また、得られたセルロースナノファイバーの結晶化度は84.6%であった。
(実施例6)
溶媒にDMSOを用いた以外は、実施例3と同様の方法にてプレート状の塊を得た。図6に示すように得られたサンプルのSEM観察結果より、繊維径の加算平均値が104.4nmであることが確認された。また、得られたセルロースナノファイバーの結晶化度は78.8%であった。
(実施例7)
ニーダ(KRCニーダS1)に、NMPを30.0g/時間、パルプを25.0g/時間、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン(BPFG)を5.0g/時間供給しながら、シリンダー温度130℃、押出機回転数は300rpm(周速度:23.6m/分)の条件で混練を行うことで、ストランド状の塊を得た。本条件での押出機内の滞留時間は37分であった。図7に示すように、得られたサンプルのSEM観察結果より、繊維径の加算平均値が65.1nmであることが確認された。また、修飾セルロースナノファイバーの結晶化度は73.3%であり、フルオレン修飾率は2.1重量%であった。
(実施例8)
ニーダ(KRCニーダS1)に、NMPを30.0g/時間、パルプを25.0g/時間、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BPEF)を5.0g/時間、架橋剤であるブロックドイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ(株)製「X2252−2」、3官能基数タイプのブロックドイソシアネート、有効NCO15重量%)を2.3g/時間供給した以外は実施例7と同様の条件で混練を行うことで、サンプルを得た。図8に示すように、得られたサンプルのSEM観察結果より、繊維径の加算平均値が108.4nmであることが確認された。また、修飾セルロースナノファイバーの結晶化度は70.8%であり、フルオレン修飾率は0.7重量%であった。
(比較例2)
溶媒にエチレングリコールモノエチルエーテルを用いた以外は、実施例7と同様にしてサンプルを得た。図9に示すように、得られたサンプルのSEM観察結果より、繊維径の加算平均値が95.3nmであることが確認されたものの、フルオレンは全く修飾されていなかった。
本発明の方法で得られたセルロースナノファイバーは、各種複合材料、コーティング剤に利用でき、シートやフィルムに成形して利用することもできる。

Claims (11)

  1. セルロース(A)と窒素原子及び/又は硫黄原子を含む非プロトン性有機溶媒(B)とを含む組成物を混練してセルロースナノファイバーを製造する方法。
  2. 有機溶媒(B)の割合がセルロース(A)100重量部に対して50〜250重量部である請求項1記載の方法。
  3. ミキシングローラ、ニーダ、バンバリーミキサー又は押出機を用いて、スクリューの周速が1〜200m/分の速度で混練する請求項1又は2記載の方法。
  4. 組成物が、さらに反応性基を有する化合物(C)を含み、セルロースナノファイバーが、前記化合物(C)で修飾された修飾セルロースナノファイバーである請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 化合物(C)が、下記式(1)で表される化合物である請求項4記載の方法。
    (式中、環Zはアレーン環、R及びRは置換基、Xはヘテロ原子含有官能基、kは0〜4の整数、n1及びpは0以上の整数を示す)
  6. 化合物(C)の反応性基がエポキシ基であり、修飾セルロースナノファイバーが、セルロースナノファイバーのヒドロキシル基に前記化合物(C)が結合したセルロースナノファイバーである請求項4又は5記載の方法。
  7. 化合物(C)の反応性基がヒドロキシル基であり、組成物がさらに架橋剤(D)を含み、修飾セルロースナノファイバーが、セルロースナノファイバーのヒドロキシル基に架橋剤(D)を介して前記化合物(C)が結合したセルロースナノファイバーである請求項4又は5記載の方法。
  8. 化合物(C)の割合が、セルロース(A)100重量部に対して1〜50重量部である請求項4〜7のいずれかに記載の方法。
  9. セルロースナノファイバーの平均繊維径が5〜800nmである請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. セルロースナノファイバーの結晶化度が50%以上である請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 下記式(1)で表される化合物が結合した修飾セルロースナノファイバーと、窒素原子及び/又は硫黄原子を含む非プロトン性有機溶媒とを含む組成物。
    (式中、環Zはアレーン環、R及びRは置換基、Xはヘテロ原子含有官能基、kは0〜4の整数、n1及びpは0以上の整数を示す)
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