JP2019178290A - 複合体及びその製造方法 - Google Patents

複合体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019178290A
JP2019178290A JP2018069760A JP2018069760A JP2019178290A JP 2019178290 A JP2019178290 A JP 2019178290A JP 2018069760 A JP2018069760 A JP 2018069760A JP 2018069760 A JP2018069760 A JP 2018069760A JP 2019178290 A JP2019178290 A JP 2019178290A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cellulose
aromatic epoxy
composite
resin
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018069760A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7086678B2 (ja
Inventor
阪本 浩規
Hiroki Sakamoto
浩規 阪本
雅行 杉本
Masayuki Sugimoto
雅行 杉本
山口 直樹
Naoki Yamaguchi
直樹 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka Gas Co Ltd filed Critical Osaka Gas Co Ltd
Priority to JP2018069760A priority Critical patent/JP7086678B2/ja
Publication of JP2019178290A publication Critical patent/JP2019178290A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7086678B2 publication Critical patent/JP7086678B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】セルロースの水酸基を疎水性置換基に置換する以外の方法により、セルロースの疎水化を行うことにより、樹脂組成物の強度を向上させることが可能な複合体を提供すること。【解決手段】セルロース、及び該セルロース表面の一部又は全体を被覆する芳香族エポキシ系樹脂層を有する、複合体。【選択図】なし

Description

本発明は、複合体及びその製造方法に関する。
セルロースは、植物細胞の細胞壁および植物繊維の主成分であり、多数のβ-グルコース分子がグリコシド結合により直鎖状に重合した天然高分子であるため、環境負荷が小さい。このセルロース繊維は、基本となる単位である幅3〜4nmのシングルセルロースナノファイバーが束となって細胞壁中での基本単位である幅10〜20nmのセルロースナノファイバーを構成し、それがさらに太さ数10μm束となった構造となっている。
近年、これらのセルロースナノファイバーは、高弾性率、高強度、低線膨張係数、ガスバリア性など優れた特性を有することがわかり、かつ、ガラス繊維や炭素繊維、無機フィラーなどと比較して軽量であるため、樹脂強化材や塗料添加剤、フィルム、増粘剤等様々な用途を想定して、研究開発がなされている。
セルロースナノファイバーの製造方法としては、高圧分散装置やグラインダーを用いた機械的に解繊する方法、パルプをカチオン化剤で化学的に親水化したのち混練機などを用いて機械的に簡易に解繊する方法、TEMPO触媒等を用いて部分的に酸化させて化学的に解繊し易くする方法などが挙げられる。
ところで、セルロースナノファイバーは単独で使用することは少なく、有機成分や有機溶媒と組み合わせて使用されることが一般的である。セルロースナノファイバーを構成するセルロースは、グルコース分子の水酸基を多数有しているため、水酸基同士の水素結合が起こりやすく、その結果、セルロースナノファイバー同士の凝集が起きやすいという問題点がある。また、上記の通り、セルロースはその表面に水酸基を多数有しているために親水性が極めて高く、疎水性である有機溶媒との親和性に欠けるという問題点もある。
つまり、セルロースナノファイバーは水中では安定に存在するが、水を多く含んだ状態では疎水性の高分子や加水分解性の高分子との複合(特に溶融混練)が行いにくい。一方で、乾燥すると凝集して高分子中で遺物となり特性を低下させるため、高分子中でナノファイバーの保有する特性を発揮させることが難しいという問題点がある。
かかる問題点を解消すべく、セルロースナノファイバーを疎水化する方法も検討されているが、化学的な手法により、セルロースナノファイバーの水酸基を疎水性置換基に置換させる方法が殆どである。かかる手法は、コストがかかることに加え、水酸基の一部が置換されるにとどまるため、水素結合による凝集を抑えきれないなどといった問題点を抱えている。
通常のセルロース繊維でも同様の課題があるが、特に重量に対して多くの水酸基が表面に露出しているセルロースナノファイバーで顕著に現れる課題であるといえる。
上記のような事情に鑑み、本発明の目的とするところは、セルロースの水酸基を疎水性置換基に置換する以外の方法により、セルロースの疎水化を行うことにより、樹脂組成物の強度を向上させることが可能な複合体を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、セルロース表面上に、所定の化学構造を有するエポキシ系樹脂層を設けることにより、セルロースの化学的修飾を行わずとも、従来の樹脂強化用の複合体と同等以上の性能を有する複合体を得ることができることを見出した。本発明者らは、かかる知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の複合体を提供する。
項1.
セルロース、及び該セルロース表面の一部又は全体を被覆する芳香族エポキシ系樹脂層を有する、複合体。
項2.
前記芳香族エポキシ系樹脂層に含まれる芳香族エポキシ化合物は、2つ以上の芳香環を有する、項1に記載の複合体。
項3.
前記芳香族エポキシ化合物は、2つ以上のエポキシ基を有する、項1又は2に記載の複合体。
項4.
前記芳香族エポキシ化合物は、多環芳香族構造を有する、項1〜3の何れかに記載の複合体。
項5.
前記多環芳香族構造がフルオレン構造である、項4に記載の複合体。
項6.
前記フルオレン構造は、下記式(1)により表わされる、項5に記載の複合体。
Figure 2019178290
(式中、環Zはアレーン環、Xは下記式(2)で表わされる基を表わし、R及びRは、それぞれ、任意の置換基を表わし、nは1〜3の整数、pは0以上の任意の整数、kは0〜4の整数を表わす。)
Figure 2019178290
(式中、Rはアルキレン基、mは0以上の任意の整数を表わす。)
項7.
前記セルロースは、直径が3〜1000nmのセルロースナノファイバーである、項1〜6の何れかに記載の複合体。
項8.
前記セルロース100質量部に対して、前記芳香族エポキシ化合物を2〜100質量部含む、項1〜7の何れかに記載の複合体。
項9.
有機溶媒中に、項1〜8の何れかに記載の複合体を含む、組成物。
項10.
前記有機溶媒の沸点が110℃以上である、項9に記載の組成物。
項11.
前記有機溶媒は水酸基を有していない、項9又は10に記載の組成物。
項12.
さらに水を含み、組成物中における前記水の含有量は、組成物100質量%中10質量%以下である、項9〜11の何れかに記載の組成物。
項13.
項1〜8の何れかに記載の複合体及び樹脂を含有する、樹脂組成物。
項14.
前記樹脂は、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びポリカーボネート系樹脂からなる群より選択される1種以上である、項13に記載の樹脂組成物。
項15.
前記樹脂は、バイオマスプラスチック及び微生物産生プラスチックからなる群より選択される1種以上である、項13に記載の樹脂組成物。
項16.
前記樹脂は、ポリ乳酸、ポリアミド4、ポリアミド11、ポリブチレンサクシネート、ポリヒドロキシブチレート、及びこれらの構造を含有する共重合体からなる群より選択される1種以上である、項13に記載の樹脂組成物。
項17.
セルロース、及び該セルロース表面の一部又は全体を被覆する芳香族エポキシ系樹脂層を有する複合体の製造方法であって、
前記セルロースに、芳香族エポキシ化合物及び有機溶媒を含有する芳香族エポキシ系樹脂層形成用溶液を加える工程1を有することを特徴とする、製造方法。
項18.
前記芳香族エポキシ系樹脂層形成用溶液は、さらに、水を含有し、
前記工程1の後に、加熱及び/又は減圧により、前記芳香族エポキシ系樹脂層形成用溶液中の水を除去する工程2を有する、項17に記載の製造方法。
本発明に係る複合体によれば、セルロース表面の化学的修飾を行わずとも、樹脂組成物の強度を向上させることが可能な複合体を提供することができる。
(1.複合体)
本発明の複合体は、セルロース、及び該セルロース表面の一部又は全体を被覆する芳香族エポキシ系樹脂層を有することを特徴とする。
(1.2.セルロース)
セルロースは、公知のものを広く採用することが可能であり、特に限定はない。また、植物由来のセルロース、動物由来のセルロース、及びバクテリア由来のセルロースの何れでも、好適に使用することができる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併せて使用してもよい。
植物由来セルロースとしては、例えば、広葉樹由来セルロース(ユーカリ、ポプラなど)、針葉樹由来セルロース(マツ、モミ、スギ、ヒノキなど)、草本類由来セルロース(ワラ、バガス、ヨシ、ケナフ、アバカ、サイザルなど)、及び種子毛繊維(コットンなど)の中から選択できる。原料となるパルプは、木材チップを機械的に処理した機械パルプであってもよく、木材チップから非セルロース成分を化学的に除去した化学パルプでもよく、さらに非セルロース成分を除去して精製した溶解パルプでもよい。
その他、ホヤなど動物由来のセルロース、ナタデココなどバクテリア由来のセルロース等を、使用することができる。また、かかるセルロースは、必ずしも純粋なセルロース成分のみから構成される必要はなく、主成分たるセルロースに、非セルロース成分が付随していてもよい。もちろん、純粋なセルロース成分のみにより構成されていてもよい。
セルロースナノファイバーに付随する主な非セルロース成分については、特に限定はなく、複合体の用途に応じて、適宜選択することができる。例えば、ヘミセルロース及びリグニンを挙げることができる。ヘミセルロースは多いほどセルロースナノファイバー製造時に解繊されやすいが、得られる樹脂組成物の弾性率が下がる傾向がある。リグニンは多いほどセルロースナノファイバー製造時に解繊されにくくなるが、フェノール性水酸基を持っているため、複合体の製造時に、後述する芳香族エポキシと反応して望ましい架橋反応を起こしやすい。
また、セルロース中の純粋なセルロース成分比率に関しても、複合体の用途に応じて、適宜設定すればよい。例えば、複合体を樹脂強化の目的で使用する場合には、純粋なセルロース成分比率は、セルロース成分の有する強度特性を効果的に利用するためには、セルロース100質量%中に、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。純粋なセルロース成分比率の上限としては、100質量%とすることができる。尚、本明細書においてセルロース比率とは、セルロース全体の質量100質量%に対して、βグルコース分子がグリコシド結合により直鎖状に重合した純粋なセルロース成分の比率であると、定義する。
セルロースに含まれる純粋なセルロース成分の重合度に関しても、複合体の用途に応じ、適宜設定すればよい。セルロースに含まれるセルロース成分の重合度が低い方が、セルロースが解繊されやすい傾向にある。一方で、セルロースに含まれるセルロース成分の重合度が高いほど、弾性率の高い複合体、及び組成物を得ることができる。高強度な樹脂組成物を得るためには、重合度500以上のセルロース成分を使用することが好ましく、重合度600以上のセルロース成分を使用することがより好ましい。セルロース成分の重合度の上限値としては特に限定はないが、例えば、10万とすることが好ましい。
セルロースに含まれる純粋なセルロース成分の結晶化度に関しても、低い方が、セルロースが解繊されやすい傾向にあるが、高い方が弾性率の高い複合体、及び組成物を得ることができる。高強度の組成物を得るためには、セルロースに含まれる純粋なセルロース成分の結晶化度を60%以上とすることが好ましく、70%以上とすることが、より好ましい。セルロース成分の結晶化度の上限としては、特に限定はないが、例えば、99%とすることが好ましく、98%とすることがより好ましい。セルロース成分の結晶構造は、I型、II型、III型、及びIV型を挙げることができるが、中でも、樹脂の補強という観点からは、弾性率などの高いI型結晶構造のセルロース成分であることが好ましい。
パルプに含まれるセルロース繊維は通常直径10〜100μmであることが多いが、本発明で使用するセルロースは、周方向断面の直径1〜10μmの繊維状に微細化されていることが好ましく、セルロースナノファイバーであることがより好ましい。より具体的には、直径3〜1000nmのセルロースナノファイバーであることがより好ましく、直径3〜100nmのセルロースナノファイバーであることがさらに好ましい。ただし、全てが微細化されている必要はなく、一部であってもよい。尚、本明細書において、セルロース又はセルロースナノファイバーの直径は、ランダムに抽出した50本以上のセルロースナノファイバーをSEM観察して得られるメジアン径であると定義する。
一般的に、セルロースに関しては、長さ、結晶性、及び重合度を損なわず理想的に微細化され、理想的に分散した場合に、得られる樹脂組成物の強度が発現すると考えられる。ただし、実際は細く長いナノファイバーほど凝集し、樹脂組成物の強度が得られないことも想定される。また、ナノサイズまで微細化させることにより、ナノファイバーの長さ、結晶性、重合度の低下が発生するケースがあるため、適切な微細化の度合いは目的と微細化する手段によって異なる。
セルロースを微細化する方法については、公知の方法を広く採用することが可能であり、特に限定はない。具体的には、高圧ホモジナイザー法、水中対抗衝突法、グラインダー法、ボールミル法、二軸混練法等の物理的方法でもよく、TEMPO触媒、リン酸、二塩基酸、硫酸、塩酸などを用いた化学的な方法でもよい。通常、物理的方法ではナノファイバーの直径は10〜1000nmとなるが、化学的方法ではさらに細い3〜10nmの直径のセルロースナノファイバーを得ることができる。一方で、直径が細く、アスペクト比が大きいほど、得られる樹脂組成物の高い強度等の物性を期待できるが、高粘度化して生産効率が低下したり、凝集したりして、高強度が発揮できない可能性もある。
(1.3.芳香族エポキシ系樹脂層)
芳香族エポキシ系樹脂層は、セルロースに疎水性を付与するという目的で、セルロース表面の一部又は全体を被覆して設けられる。
芳香族エポキシ系樹脂層には、任意の芳香族エポキシ系樹脂により構成されることが好ましく、より具体的には、芳香族エポキシ化合物を含有することが好ましい。芳香族エポキシ化合物は、その構造式中に、1つ以上のベンゼン環及び1つ以上のエポキシ基を含有することが好ましい。但し、後述する樹脂組成物を混練等して得る際に、セルロース及び樹脂双方と反応して架橋構造を形成し、強度の高い樹脂組成物を得るためには、芳香族エポキシ化合物は、2つ以上のエポキシ基を有していることが好ましい。
また、芳香族エポキシ化合物は、複合体及び樹脂組成物に耐熱性を付与するために、2つ以上の芳香環を含む構造を有していることが好ましく、かかる基本骨格として、ビスフェノール構造、ビフェノール構造、及びナフタレン構造等の多環芳香族構造が例示される。その中でも多環芳香族構造が好ましく、フルオレン構造、およびフルオレン構造に少なくとも2つの芳香環が結合したビスアリールフルオレン類がさらに好ましい。フルオレン構造は耐熱性、各種樹脂、溶媒との親和性、疎水性を有しているからである。
フルオレン構造を有する芳香族エポキシ化合物は、下記式(1)及び(2)で表わされる構造を有していることが好ましい。
Figure 2019178290
(式中、環Zはアレーン環、Xは下記式(2)で表わされる基を表わし、R及びRは、それぞれ、任意の置換基を表わし、nは1〜3の整数、pは0以上の任意の整数、kは0〜4の整数を表わす。)
Figure 2019178290
(式中、Rはアルキレン基、mは0以上の任意の整数を表わす。)
より具体的には、9,9−ビス(グリジシルオキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3−グリジシルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリジシルオキシフェニ)フルオレン、9,9−ビス(5−グリジシルオキシナフチル)フルオレン、9,9−ビス(6−グリジシルオキシナフチル)フルオレンなどの9,9−ビス(グリジシルオキシC6−10アリール)フルオレン;n=1、p=k=0、m2=1〜5である9,9−ビス(グリジシルオキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(4−(2−グリジシルオキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−グリジシルオキシプロポキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(5−(2−グリジシルオキシエトキシ)ナフチル)フルオレン、9,9−ビス(6−(2−グリジシルオキシエトキシ)ナフチル)フルオレンなどの9,9−ビス(グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン;n=1、p=1、k=0、m2=0である9,9−ビス(アルキル−グリジシルオキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3−メチル−4−グリジシルオキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキル−グリジシルオキシC6−10アリール)フルオレン;n=1、p=1、k=0、m2=1〜5である9,9−ビス(アルキル−グリジシルオキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3−メチル−4−(2−グリジシルオキシエトキシ)フェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキル−グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン;n=1、p=0、k=0、m2=0である9,9−ビス(アリール−グリジシルオキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(4−フェニル−3−グリジシルオキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C6−10アリール−グリジシルオキシC6−10アリール)フルオレン;n=1、p=0、k=0、m2=1〜5である9,9−ビス(アリール−グリジシルオキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(4−フェニル−3−(2−グリジシルオキシエトキシ)フェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C6−10アリール−グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシC6−10アリール)フルオレン;n=2、p=0、k=0、m2=0である9,9−ビス(ジ(グリジシルオキシ)アリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3,4−ジ(グリジシルオキシ)フェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジ(グリジシルオキシ)C6−10アリール)フルオレン;n=2、p=0、k=0、m2=1〜5である9,9−ビス(ジ(グリジシルオキシ(ポリ)アルコキシ)アリール)フルオレン、例えば、9,9−ビス(3,4−ジ(2−グリジシルオキシエトキシ))フェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジ(グリジシルオキシ(ポリ)C2−4アルコキシ)C6−10アリール)フルオレンなどが例示できる。これらのフルオレン化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、前記式(2)で表される基を有するフルオレンエポキシ化合物は、単量体であってもよく、多量体(例えば、二量体、三量体など)であってもよい。グリシジル基を有するフルオレン化合物は、通常、少なくとも単量体を含む場合が多く、例えば、単量体、二量体及び三量体の混合物などであってもよい。
また、複合体中における芳香族エポキシ化合物の含有量は、セルロース(固形成分換算)100質量部に対して、2〜100質量部であることが好ましく、5〜75質量部であることが、より好ましい。かかる構成を採用することにより、セルロース同士の水素結合の阻害することによりセルロースの凝集を防止しつつ、エポキシによるセルロース同士の架橋反応を効率化することができる。
芳香族エポキシ系樹脂層の厚みは、特に限定はないが、例えば、1〜1000nmであることが好ましい。
芳香族エポキシ系樹脂層は、複合体及び樹脂組成物の使用目的に応じて、上記芳香族エポキシ化合物以外に脂肪族エポキシ、エポキシ樹脂の硬化剤、効果促進剤、無機金属酸化物、及び炭素材料からなる群より選択される1種以上の添加物を、さらに含んでもよい。
以上にしてなる本発明の複合体は、例えば、芳香族エポキシ化合物を、有機溶媒に溶解させ、これにセルロースを添加し、混練する等の方法により、得ることができる。
(2.組成物)
本発明の組成物は、有機溶媒中に、本発明の複合体を含んで構成されることが好ましい。
(2.1.有機溶媒)
有機溶媒としては、公知の有機溶媒を広く採用することが可能であるが、後述する樹脂組成物を得る際に、セルロースの凝集を防ぎつつ水を除くことを可能とするために、沸点が110℃以上の有機溶媒を採用することが好ましい。一方、かかる有機溶媒を容易に除くことを可能とするという観点から、沸点が250℃以下の有機溶媒を使用することが好ましい。
また、有機溶媒を含んだ状態で加水分解性の樹脂と混練を行う場合に、アルコリシスを避けるという理由から、加水分解性樹脂との混練が想定される場合には、水酸基を有していない有機溶媒を採用することが好ましい。
有機溶媒としては、より具体的には、水及び芳香族エポキシの双方に対して親和性を有する両アルコール系、ケトン系、グリコール系、ラクトン系、ラクタム系、アミド系、スルホキシド系、エーテル系などの両親媒性の有機溶媒を用いることが好ましい。また、溶媒が残留した状態で組成物を混練することを考慮すると、ケトン系、両末端がエーテル化されて水酸基を有しないグリコール系、ラクトン系、ラクタム系、アミド系、及びスルホキシド系からなる群より選択される1種以上の有機溶媒を使用することが好ましい。
(2.2.水)
組成物は、セルロースの凝集を防止するために、有機溶媒に加えて、さらに水を含んでもよい。水の含有量は、組成物100質量%中に0.1〜10質量%であることが好ましい。
(3.樹脂組成物)
本発明の複合体及び樹脂を含んだ樹脂組成物とすることも、好ましい。かかる樹脂組成物は、複合体を含まない樹脂組成物に比べて、硬化後の強度及び弾性率に優れる。
(3.1.樹脂)
使用する樹脂としては、エポキシ樹脂との反応性を有するという理由から、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びポリカーボネート系樹脂からなる群より選択される1種以上を使用することが好ましい。また、環境性の観点でバイオマス比率を上げる方が好ましいという理由から、バイオマスプラスチック及び微生物産生プラスチックからなる群より選択される1種以上を使用することが好ましい。
セルロースの高い弾性率を活用するという理由で、ゴムもしくは熱可塑性エラストマーを用いてもよい。ゴムとしては、ジエン系ゴム、オレフィン系ゴム、アクリル系ゴム、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、シリコーン系ゴム、多硫化ゴム、フッ素ゴムなどが挙げられ、相溶性の観点でジエン系ゴム、オレフィン系ゴムが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系、オレフィン系、エステル系、ウレタン系、アミド系、ポリ塩化ビニル系、フッ素系が挙げられ、相溶性の観点でオレフィン系、エステル系、アミド系が好ましい。
より具体的には、ポリ乳酸、ポリアミド4、ポリアミド11、ポリブチレンサクシネート、ポリヒドロキシブチレート、及びこれらの構造を含有する共重合体からなる群より選択される1種以上を使用することが好ましい。
ジエン系ゴムとしては、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムが好ましく、オレフィン系ゴムとしては、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムが好ましい。
熱可塑性エラストマーとしては、ポリエチレン構造、ポリプロピレン構造、ブタジエン構造、ポリエチレンテレフタレート構造、ポリアミド6構造、ポリアミド66構造、ポリアミド11構造、ポリアミド12構造を有するものが好ましく、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−ブチレン−ブタジエン−スチレン共重合体のようにオレフィン構造もしくはジエン構造を有しながら、別の系統であるスチレン構造を含んでもよい。
本発明の樹脂組成物は、有機溶媒及び複合体を含んで構成される、上記した複合体に、樹脂を混合し、加熱等することにより有機溶媒や水を揮発(蒸発)させることにより、得ることができる。
(4.複合体の製造方法)
本発明の、複合体の製造方法は、セルロース、及び該セルロース表面の一部又は全体を被覆する芳香族エポキシ系樹脂層を有する複合体の製造方法であって、前記セルロースに、芳香族エポキシ化合物及び有機溶媒を含有する芳香族エポキシ系樹脂層形成用溶液を加える工程1を有することを特徴とする。
セルロース、芳香族エポキシ化合物、及び有機溶媒については、上述したものを、使用することができる。
セルロースに、芳香族エポキシ化合物及び有機溶媒を含有する芳香族エポキシ系樹脂層形成用溶液を加える方法としては、これら全てを混合することが好ましい。かかる混合操作のより具体的な態様としては、溶融混練であってもよいし、有機溶媒を介した混合であってもよい。中でも、溶融混練を採用することにより、生産性を向上させることが可能となるだけでなく、複合体の分散性も良好となる。
また、前記芳香族エポキシ系樹脂層形成用溶液が、さらに、水を含有し、前記工程1の後に、加熱及び/又は減圧により、芳香族エポキシ系樹脂層形成用溶液中の水を除去する工程2を有していてもよい。
加熱操作は、公知の方法を広く採用することが可能であり、特に限定はない。具体的には、静置型の熱風乾燥機、真空乾燥機、回転式のエバポレーター、混合式の乾燥機(コニカルドライヤー、ナウタードライヤーなど)を使用して加熱する方法を採用することが可能である。加熱の温度条件としては、40〜200℃に設定することが好ましく、60〜150℃に設定することがより好ましい。
減圧操作についても、公知の方法を広く採用することが可能であり、特に限定はない。具体的には、オイルポンプ、オイルレスポンプ、アスピレータ等の装置を利用して減圧すればよい。減圧操作における圧力条件としては、0.00001〜0.05MPaに設定することが好ましく、0.00001〜0.03MPaに設定することがより好ましい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
以下、実施例に基づき、本発明の実施形態をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
微細化された直径50nmの以下の繊維を50%以上含むセルロースナノファイバー30g(ダイセルファインケム製セリッシュKY-110N,固形分15重量%の水湿潤体200g)に、ジエチレングリコールジメチルエーテル1800gとビスフェノールAエポキシ15g(セルロースナノファイバー100質量部に対し、芳香族エポキシ化合物50質量部)を加え、撹拌した後、80℃で減圧乾燥して45gの複合体を得た。その後、複合体45gとポリ乳酸(ユニチカ製 TE-2000)255gを、二軸押出機(テクノベル製15mmφ, L/D=30)を用いて190℃で溶融混練し、250gの樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物は80℃で24時間乾燥を行った後,射出成形機(新興セルビック,C,MOBILE-0813)を用いて、長さ75 mm×平行部幅5 mm×平行部長さ35 mm×厚さ2 mmのダンベル試験片に成形した。
(実施例2)
微細化された直径50nmの以下の繊維を50%以上含むセルロースナノファイバー30g(ダイセルファインケム製セリッシュKY-110N,固形分15重量%の水湿潤体200g)に、ジエチレングリコールジメチルエーテル1800gと9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン(BPFG)15g(セルロースナノファイバー100質量部に対し、芳香族エポキシ化合物50質量部)を加え、撹拌した後、80℃で減圧乾燥して45gの複合体を得た。その後、複合体45gとポリ乳酸(ユニチカ製 TE-2000)255gを、二軸押出機(テクノベル製15mmφ, L/D=30)を用いて190℃で溶融混練し、250gの樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物は80℃で24時間乾燥を行った後,射出成形機(新興セルビック,C,MOBILE-0813)を用いて、長さ75 mm×平行部幅5 mm×平行部長さ35 mm×厚さ2 mmのダンベル試験片に成形した。
(実施例3)
グラインダー法で解繊された直径100nmの以下の繊維を50%以上含むセルロースナノファイバー30g(固形分20質量%の水湿潤体150g)に、ジエチレングリコールジメチルエーテル1800gと9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン(BPFG)15g(セルロースナノファイバー100質量部に対し、芳香族エポキシ化合物50質量部)を加え、撹拌した後、80℃で減圧乾燥して45gの複合体を得た。その後、複合体45gとポリ乳酸(ユニチカ製 TE-2000)255gを、二軸押出機(テクノベル製15mmφ, L/D=30)を用いて190℃で溶融混練し、250gの樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物は80℃で24時間乾燥を行った後,射出成形機(新興セルビック,C,MOBILE-0813)を用いて、長さ75 mm×平行部幅5 mm×平行部長さ35 mm×厚さ2 mmのダンベル試験片に成形した。
(実施例4)
グラインダー法で解繊された直径100nmの以下の繊維を50%以上含むセルロースナノファイバー30g(固形分20質量%の水湿潤体150g)に、ジエチレングリコールジメチルエーテル1800gと9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン(BPFG)15g(セルロースナノファイバー100質量部に対し、芳香族エポキシ化合物50質量部)を加え、撹拌した後、80℃で減圧して溶媒で湿潤した複合体150gを得た。その後、複合体150gとポリ乳酸(ユニチカ製 TE-2000)255gを、二軸押出機(テクノベル製15mmφ, L/D=30)を用いて190℃で溶融混練し、250gの樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物は80℃で24時間乾燥を行った後,射出成形機(新興セルビック,C,MOBILE-0813)を用いて、長さ75 mm×平行部幅5 mm×平行部長さ35 mm×厚さ2 mmのダンベル試験片に成形した。
(実施例5)
グラインダー法で解繊された直径100nmの以下の繊維を50%以上含むセルロースナノファイバー30g(固形分20質量%の水湿潤体150g)に、ジエチレングリコールジメチルエーテル1800gと9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン(BPFG)7.5g(セルロースナノファイバー100質量部に対し、芳香族エポキシ化合物25質量部)を加え、撹拌した後、80℃で減圧乾燥して37.5gの複合体を得た。その後、複合体37.5gとポリ乳酸(ユニチカ製 TE-2000)262.5gを、二軸押出機(テクノベル製15mmφ, L/D=30)を用いて190℃で溶融混練し、250gの樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物は80℃で24時間乾燥を行った後,射出成形機(新興セルビック,C,MOBILE-0813)を用いて、長さ75 mm×平行部幅5 mm×平行部長さ35 mm×厚さ2 mmのダンベル試験片に成形した。
(実施例6)
グラインダー法で解繊された直径100nmの以下の繊維を50%以上含むセルロースナノファイバー30g(固形分20質量%の水湿潤体150g)に、ジエチレングリコールジメチルエーテル1800gと9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン(BPFG)7.5g(セルロースナノファイバー100質量部に対し、芳香族エポキシ化合物25質量部)を加え、撹拌した後、80℃で減圧して溶媒で湿潤した複合体150gを得た。その後、複合体150gとポリ乳酸(ユニチカ製 TE-2000)262.5gを、二軸押出機(テクノベル製15mmφ, L/D=30)を用いて190℃で溶融混練し、250gの樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物は80℃で24時間乾燥を行った後,射出成形機(新興セルビック,C,MOBILE-0813)を用いて、長さ75 mm×平行部幅5 mm×平行部長さ35 mm×厚さ2 mmのダンベル試験片に成形した。
(実施例7)
グラインダー法で解繊された直径100nmの以下の繊維を50%以上含むセルロースナノファイバー30g(固形分20質量%の水湿潤体150g)に、ジエチレングリコールジメチルエーテル1800gと9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン(BPFG)3g(セルロースナノファイバー100質量部に対し、芳香族エポキシ化合物10質量部)を加え、撹拌した後、80℃で減圧して溶媒で湿潤した複合体120gを得た。その後、複合体120gとポリ乳酸(ユニチカ製 TE-2000)267gを、二軸押出機(テクノベル製15mmφ, L/D=30)を用いて190℃で溶融混練し、250gの樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物は80℃で24時間乾燥を行った後,射出成形機(新興セルビック,C,MOBILE-0813)を用いて、長さ75 mm×平行部幅5 mm×平行部長さ35 mm×厚さ2 mmのダンベル試験片に成形した。
(比較例1)
ポリ乳酸(ユニチカ製TE-2000)を二軸押出機を用いて溶融混練したものを80℃で24時間乾燥を行った後、射出成形機(新興セルビック,C,MOBILE-0813)を用いて、長さ75 mm×平行部幅5 mm×平行部長さ35 mm×厚さ2 mmのダンベル試験片に成形した。
(比較例2)
微細化された直径50nmの以下の繊維を50%以上含むセルロース30g(ダイセルファインケム製セリッシュKY-110N,固形分15重量%の水湿潤体200g)に、ジエチレングリコールジメチルエーテル1800gを加え,撹拌した後,80℃で減圧乾燥して30gのセルロースを得た。そのセルロース30gとポリ乳酸(ユニチカ製TE-2000)270gを190℃で混練し、250gの樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物は80℃で24時間乾燥を行った後,射出成形機(新興セルビック,C,MOBILE-0813)を用いて、長さ75 mm×平行部幅5 mm×平行部長さ35 mm×厚さ2 mmのダンベル試験片に成形した。
(比較例3)
微細化された直径50nmの以下の繊維を50%以上含むセルロース30g(ダイセルファインケム製セリッシュKY-110N,固形分15重量%の水湿潤体200g)に、ジエチレングリコールジメチルエーテル1800gを加え、撹拌した後、80℃で減圧して150gの溶媒に湿潤したセルロースを得た。そのセルロース30gを含む湿潤体とポリ乳酸(ユニチカ製TE-2000)270gを190℃で混練し、250gの樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物は80℃で24時間乾燥を行った後,射出成形機(新興セルビック,C,MOBILE-0813)を用いて、長さ75 mm×平行部幅5 mm×平行部長さ35 mm×厚さ2 mmのダンベル試験片に成形した。
(比較例4)
微細化された直径50nmの以下の繊維を50%以上含むセルロース30g(ダイセルファインケム製セリッシュKY-110N,固形分15重量%の水湿潤体200g)に,ジエチレングリコールジメチルエーテル1800gと非エポキシ系フルオレン化合物である9,9−ビスフェノキシエタノールフルオレン(BPEF)15gを加え、撹拌した後、80℃で減圧乾燥して45gの複合体を得た。その複合体45gとポリ乳酸(ユニチカ製TE-2000)255gを190℃で混練し、250gの樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物は80℃で24時間乾燥を行った後、射出成形機(新興セルビック,C,MOBILE-0813)を用いて、長さ75 mm×平行部幅5 mm×平行部長さ35 mm×厚さ2 mmのダンベル試験片に成形した。
(比較例5)
微細化された直径50nmの以下の繊維を50%以上含むセルロース30g(ダイセルファインケム製セリッシュKY-110N,固形分15重量%の水湿潤体200g)に、ジエチレングリコールジメチルエーテル1800gと非エポキシ系フルオレン化合物である9,9−ビスフェノキシエタノールフルオレン(BPEF)15gを加え、撹拌した後、80℃で減圧して溶媒で湿潤した150gの複合体を得た。その複合体180gとポリ乳酸(ユニチカ製TE-2000)255gを190℃で溶媒を除去しながら混練し、250gの樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物は80℃で24時間乾燥を行った後、射出成形機(新興セルビック,C,MOBILE-0813)を用いて、長さ75 mm×平行部幅5 mm×平行部長さ35 mm×厚さ2 mmのダンベル試験片に成形した。
(比較例6)
微細化された直径50nmの以下の繊維を50%以上含むセルロース30g(ダイセルファインケム製セリッシュKY-110N,固形分15重量%の水湿潤体200g)に非エポキシ系フルオレン化合物である9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン(BPFG)が10質量%(セルロース質量に対し、BPFG成分由来の質量が10質量%)化学結合し、かつジエチレングリコールジメチルエーテルで湿潤した材料を150gと、ポリ乳酸(ユニチカ製TE-2000)267gを190℃で混練し、250gの樹脂組成物を得た。
(引張強度、引張弾性試験)
得られた各実施例及び比較例の試験片に対し、万能材料試験機(Instron 5567)を用いて雰囲気温度23℃、引張速度10 mm/min n=5で引張試験を行い、引張強度及び引張弾性率を算出した。得られた結果を、下記表1に示す。
Figure 2019178290
表1に示す通り、各実施例の試験片は、各比較例の試験片と比較して、強度に優れていることが確認された。

Claims (18)

  1. セルロース、及び該セルロース表面の一部又は全体を被覆する芳香族エポキシ系樹脂層を有する、複合体。
  2. 前記芳香族エポキシ系樹脂層に含まれる芳香族エポキシ化合物は、2つ以上の芳香環を有する、請求項1に記載の複合体。
  3. 前記芳香族エポキシ化合物は、2つ以上のエポキシ基を有する、請求項1又は2に記載の複合体。
  4. 前記芳香族エポキシ化合物は、多環芳香族構造を有する、請求項1〜3の何れか1項に記載の複合体。
  5. 前記多環芳香族構造がフルオレン構造である、請求項4に記載の複合体。
  6. 前記フルオレン構造は、下記式(1)により表わされる、請求項5に記載の複合体。
    Figure 2019178290
    (式中、環Zはアレーン環、Xは下記式(2)で表わされる基を表わし、R及びRは、それぞれ、任意の置換基を表わし、nは1〜3の整数、pは0以上の任意の整数、kは0〜4の整数を表わす。)
    Figure 2019178290
    (式中、Rはアルキレン基、mは0以上の任意の整数を表わす。)
  7. 前記セルロースは、直径が3〜1000nmのセルロースナノファイバーである、請求項1〜6の何れか1項に記載の複合体。
  8. 前記セルロース100質量部に対して、前記芳香族エポキシ化合物を2〜100質量部含む、請求項1〜7の何れか1項に記載の複合体。
  9. 有機溶媒中に、請求項1〜8の何れか1項に記載の複合体を含む、組成物。
  10. 前記有機溶媒の沸点が110℃以上である、請求項9に記載の組成物。
  11. 前記有機溶媒は水酸基を有していない、請求項9又は10に記載の組成物。
  12. さらに水を含み、組成物中における前記水の含有量は、組成物100質量%中10質量%以下である、請求項9〜11の何れか1項に記載の組成物。
  13. 請求項1〜8の何れか1項に記載の複合体及び樹脂を含有する、樹脂組成物。
  14. 前記樹脂は、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びポリカーボネート系樹脂からなる群より選択される1種以上である、請求項13に記載の樹脂組成物。
  15. 前記樹脂は、バイオマスプラスチック及び微生物産生プラスチックからなる群より選択される1種以上である、請求項13に記載の樹脂組成物。
  16. 前記樹脂は、ポリ乳酸、ポリアミド4、ポリアミド11、ポリブチレンサクシネート、ポリヒドロキシブチレート、及びこれらの構造を含有する共重合体からなる群より選択される1種以上である、請求項13に記載の樹脂組成物。
  17. セルロース、及び該セルロース表面の一部又は全体を被覆する芳香族エポキシ系樹脂層を有する複合体の製造方法であって、
    前記セルロースに、芳香族エポキシ化合物及び有機溶媒を含有する芳香族エポキシ系樹脂層形成用溶液を加える工程1を有することを特徴とする、製造方法。
  18. 前記芳香族エポキシ系樹脂層形成用溶液は、さらに、水を含有し、
    前記工程1の後に、加熱及び/又は減圧により、前記芳香族エポキシ系樹脂層形成用溶液中の水を除去する工程2を有する、請求項17に記載の製造方法。
JP2018069760A 2018-03-30 2018-03-30 複合体及びその製造方法 Active JP7086678B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018069760A JP7086678B2 (ja) 2018-03-30 2018-03-30 複合体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018069760A JP7086678B2 (ja) 2018-03-30 2018-03-30 複合体及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019178290A true JP2019178290A (ja) 2019-10-17
JP7086678B2 JP7086678B2 (ja) 2022-06-20

Family

ID=68277772

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018069760A Active JP7086678B2 (ja) 2018-03-30 2018-03-30 複合体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7086678B2 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008222771A (ja) * 2007-03-09 2008-09-25 Dic Corp 水性樹脂組成物
WO2011125801A1 (ja) * 2010-04-01 2011-10-13 三菱化学株式会社 微細セルロース繊維分散液の製造方法
JP2015030829A (ja) * 2013-08-06 2015-02-16 Dic株式会社 セルロースナノファイバー含有エポキシ樹脂組成物の製造方法、強化マトリクス樹脂及び繊維強化樹脂複合体
JP2016079370A (ja) * 2014-10-22 2016-05-16 大阪瓦斯株式会社 修飾セルロース及びその製造方法
JP2017095628A (ja) * 2015-11-26 2017-06-01 大阪瓦斯株式会社 ポリ乳酸組成物及びその製造方法並びに複合体
JP2018035466A (ja) * 2016-08-31 2018-03-08 大阪瓦斯株式会社 セルロースナノファイバーの製造方法及び組成物

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008222771A (ja) * 2007-03-09 2008-09-25 Dic Corp 水性樹脂組成物
WO2011125801A1 (ja) * 2010-04-01 2011-10-13 三菱化学株式会社 微細セルロース繊維分散液の製造方法
JP2015030829A (ja) * 2013-08-06 2015-02-16 Dic株式会社 セルロースナノファイバー含有エポキシ樹脂組成物の製造方法、強化マトリクス樹脂及び繊維強化樹脂複合体
JP2016079370A (ja) * 2014-10-22 2016-05-16 大阪瓦斯株式会社 修飾セルロース及びその製造方法
JP2017095628A (ja) * 2015-11-26 2017-06-01 大阪瓦斯株式会社 ポリ乳酸組成物及びその製造方法並びに複合体
JP2018035466A (ja) * 2016-08-31 2018-03-08 大阪瓦斯株式会社 セルロースナノファイバーの製造方法及び組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP7086678B2 (ja) 2022-06-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Collins et al. Valorization of lignin in polymer and composite systems for advanced engineering applications–a review
Peng et al. Effects of lignin content on mechanical and thermal properties of polypropylene composites reinforced with micro particles of spray dried cellulose nanofibrils
Singh et al. Green processing route for polylactic acid–cellulose fiber biocomposites
JP5712422B2 (ja) 微細セルロース繊維分散液の製造方法
JP6580471B2 (ja) ポリ乳酸組成物及びその製造方法並びに複合体
Ye et al. Lignosulfonate as reinforcement in polyvinyl alcohol film: Mechanical properties and interaction analysis
Wang et al. Thermal, mechanical, and degradation properties of nanocomposites prepared using lignin-cellulose nanofibers and poly (lactic acid)
Olonisakin et al. Key improvements in interfacial adhesion and dispersion of fibers/fillers in polymer matrix composites; focus on pla matrix composites
JP6532561B2 (ja) 改質セルロース繊維の製造方法
Liu et al. Transparent and strong polymer nanocomposites generated from Pickering emulsion gels stabilized by cellulose nanofibrils
JP2021193192A (ja) セルロース系樹脂、成形用材料、成形体及びセルロース系樹脂の製造方法
Xiong et al. Preparation of biobased monofunctional compatibilizer from cardanol to fabricate polylactide/starch blends with superior tensile properties
Zhang et al. Starch-based rehealable and degradable bioplastic enabled by dynamic imine chemistry
Wei et al. Structure and properties of all-cellulose composites prepared by controlling the dissolution temperature of a NaOH/Urea solvent
JP2020125473A (ja) ポリカーボネート−ナノセルロース複合素材およびその製造方法
JP2014101466A (ja) 熱硬化性樹脂改質剤及び熱硬化性樹脂成形物の製造方法
Sakakibara et al. Preparation of high-performance polyethylene composite materials reinforced with cellulose nanofiber: simultaneous nanofibrillation of wood pulp fibers during melt-compounding using urea and diblock copolymer dispersant
Shahdan et al. Strategies for strengthening toughened poly (lactic acid) blend via natural reinforcement with enhanced biodegradability: A review
Ilyas et al. Mechanical and Dynamic Mechanical Analysis of Bio‐based Composites
JP2019178290A (ja) 複合体及びその製造方法
JP7068891B2 (ja) 複合体及びその製造方法
JP7086679B2 (ja) 複合体及びその製造方法
JP6791376B2 (ja) セルロース系樹脂、成形用材料、成形体及びセルロース系樹脂の製造方法
JP2019178291A (ja) 複合体及びその製造方法
WO2021172407A1 (ja) 解繊性が改良された繊維強化樹脂組成物及びその製造方法、並びに成形体及び解繊剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201112

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210811

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210824

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211025

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211116

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220215

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220413

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220510

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220608

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7086678

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150