JP2015096624A - セルロースの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】セルロース含有成分からセルロースファイバーを効率よく得る方法を提供する。【解決手段】セルロース含有成分と、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物とを混合し、この工程を経て得られた混合物から、少なくとも9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物を分離し、さらに必要に応じて分離したセルロースファイバーを解繊することによりセルロースファイバーが得られる。このような方法では、セルロース含有成分として、リグノセルロースのような非結晶成分を含むセルロース含有成分を用いても、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物により非結晶成分を抽出して、効率よくセルロースファイバーを得ることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、セルロース含有成分(セルロース、リグノセルロースなどの非結晶性成分を含むセルロース含有成分)からセルロース(特に、ファイバー状のセルロース)を製造する方法、この方法により得られる結晶性セルロース(セルロースファイバー)およびこのセルロースを含む樹脂組成物に関する。また、本発明は、非結晶成分を含むセルロース含有成分(リグノセルロースなど)から非結晶性成分(リグニン成分など)を分離して結晶性セルロースを製造するための抽出剤に関する。
セルロースは、地球上に年間約4000億トンの割合で合成されており、最も豊富なバイオマスである。このようなセルロースは、一部、微生物により生産されているが、セルロースの大部分は、樹木などの高等植物によって生産される。
植物由来のセルロースは、生合成の過程でセルロース分子鎖が配向、集束し、まず、ミクロフィブリルと呼ばれる非常に細い高結晶の繊維を形成する。そして、さらに、このミクロフィブリルが束になり、フィブリル、ラメラ、繊維細胞と段階的に高次構造を形成している。ミクロフィブリルは、その生成方法にもよるが、通常、数ナノメートルから数十ナノメートルの直径を有し、その長さは数百ナノメートルから数十ミクロンである。このミクロフィブリルを構成するセルロース分子鎖は、伸びきり鎖結晶となっていることにより、弾性率、強度、熱膨張係数などの特性はマグネシウム合金に匹敵すると共に、低い比重、高アスペクト、大きい表面積などの特徴を持つため樹脂の補強材として近年注目されている。また、このようなセルロースは、環境に優しい特性と再生資源の利用などの利点を生かしたこれまで以上の応用展開が大きく期待されている。
しかし、植物において、ミクロフィブリルから、フィブリル、ラメラなどに植物の繊維細胞を段階的に構成するセルロースファイバー間には、リグニン、ヘミセルロース、および無定形セルロースが存在しており、これらの成分は、バインダとしてセルロースファイバーを強く結合している。そのため、植物からセルロースファイバーを分離、抽出することは非常に困難である。
このようなセルロースファイバーの製造方法については、多くの提案がなされており、従来の方法としては、セルロース繊維原料を叩解処理やホモジナイズ処理などにより、繊維をフィブリル化させる方法が知られている。
しかし、繊維径の小さいセルロースファイバーを得るためには、叩解処理を十分に行う必要があり、その結果、繊維に大きなダメージを与え、得られたセルロースファイバーの強度及びアスペクト比が低下してしまう虞がある。一方、叩解処理を低減して繊維のダメージを抑えると、得られた繊維の繊維径が大きく、アスペクト比も小さいので良好な補強特性を有するセルロースファイバーが得られなくなる。なお、塩酸などの酸により加水分解処理した後、叩解処理する方法も知られているが、このような方法では、酸処理によりセルロースファイバーが分離しやすくなるのでより微細な繊維を得ることができるものの、セルロースナノファイバーにダメージを与え、セルロースファイバーの物性が低下する虞がある。
また、従来の叩解処理やホモジナイズ処理は、複数回の処理を行う必要がある場合が多く、生産効率が低いという問題点があった。
一方、近年になって、セルロースをイオン液体(イミダゾール塩など)に溶解させる技術が開発されつつある。例えば、特開2009−203467号公報(特許文献1)には、イオン液体および窒素系有機溶媒又はジメチルスルホキシドからなる溶媒が、セルロースを溶解すること、このような溶媒に溶解したセルロース溶液を、抽出剤(又は凝固剤、例えば、水、アセトン、メタノールなど)中に通過させることにより、セルロース繊維が得られることが開示されている。
また、特開2009−189277号公報(特許文献2)には、木質系バイオマスをイオン液体に混合することで、主として木質系バイオマス由来のセルロース及び/又はヘミセルロースをイオン液体に溶解させる工程と、イオン液体から残査成分(リグニンなど)を分離する工程を含む木質系バイオマスの処理方法が開示されている。
しかし、このようなイオン液体を用いる方法では、セルロースを部分的に溶解させることによりファイバーを得るためには、安全性などの点において未知であるイオン液体を使用する必要がある。さらにセルロースの良溶媒であるイオン液体を完全に洗浄や除去するため煩雑な工程が必要となる。
特開2009−203467号公報(特許請求の範囲) 特開2009−189277号公報(特許請求の範囲)
従って、本発明の目的は、セルロース含有成分(例えば、非結晶成分を含むセルロース含有成分)から簡便にかつ効率よくセルロース(特に、セルロースナノファイバーなどのファイバー状のセルロース)を製造する方法、およびこの方法により得られるセルロース(特に、セルロースファイバー)を提供することにある。
本発明の他の目的は、叩解処理などの特別な処理を必要とせず、繊維に与えるダメージが少ない高品質のセルロース(又はセルロースファイバー)の製造方法、およびこの方法により得られるセルロース(又はセルロースファイバー)を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、上記方法により得られる高品質のセルロース(又はセルロースファイバー)又はその誘導体(例えば、セルロースアセテート繊維などのセルロースエステル繊維)を含む樹脂組成物およびその硬化物を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、リグノセルロースなどのセルロース含有成分から、リグニンなどの非結晶成分を効率よく抽出できる抽出剤を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、フルオレン骨格(詳細には9,9−ビスアリールフルオレン骨格)を有する化合物と、セルロース含有成分(例えば、非結晶成分を含むセルロース含有成分)とを混合すると、フルオレン骨格を有する化合物がセルロース組織(セルロース構造、セルロースの繊維集合体)に浸透して弛緩するためか、セルロース(結晶性セルロース、セルロースファイバー)が分解されることなく、容易にセルロース含有成分中の非結晶成分が抽出され(又はセルロースの繊維集合体を弛緩し)、セルロース(ファイバー状のセルロース)が得られること、特に、セルロース含有成分として、リグノセルロースなどの非結晶成分(リグニン、ヘミセルロースなど)を含むセルロース含有成分を用いても、フルオレン骨格を有する化合物により、セルロース含有成分から非結晶成分を選択的に可溶化又は反応により抽出でき、効率よく高い結晶性を有する高品質のセルロースファイバーが得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の製造方法は、セルロース含有成分[又はセルロース原料、例えば、セルロースおよび非結晶成分(又は不純物)を含むセルロース含有成分(リグノセルロースなど)や、セルロース(セルロースの繊維集合体)の含量が大きい(例えば、80重量%以上、好ましくは90重量%以上の)セルロース含有成分など]からセルロース(特に、セルロース繊維又はファイバー状のセルロース)を製造する方法(又はセルロース含有成分から非結晶成分を分離除去してセルロースを製造する方法又はセルロース含有成分中のセルロース繊維集合体を弛緩してセルロース繊維を製造する方法)であって、セルロース含有成分と9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物とを混合する混合工程と、この工程を経て得られた混合物から、少なくとも9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物を分離する分離工程とを含む。通常、セルロース含有成分(例えば、非結晶成分を含むセルロース含有成分)は、ファイバー状の形態でセルロース(又はセルロースの繊維集合体又はファイバー状セルロースの集合体)を含んでいる。そのため、本発明の方法では、通常、セルロース含有成分中のセルロースの形態を反映して、すなわち、少なくともファイバー状のセルロースを得てもよい。なお、このように通常、少なくともファイバー状のセルロースが得られるが、ファイバー状のセルロースをさらに処理(例えば、粉砕処理など)して、所望の形状又は形態のセルロース(例えば、粉粒状のセルロースなど)を得ることもできる。
また、本発明の方法において、前記9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物は、例えば、下記式(1)で表される化合物であってもよい。
(式中、環Zは芳香族炭化水素環を示し、Rは置換基を示し、Xはヘテロ原子含有官能基(ヒドロキシル基など)を示し、Rはアルキレン基を示し、Rは置換基を示し、kは0〜4の整数、mは0以上の整数、nは1以上の整数、pは0以上の整数である。)
前記混合工程において、前記セルロース含有成分と前記9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物とは、例えば、前者/後者(重量比)=85/15〜5/95の割合で混合してもよい。また、前記混合工程において、加熱下(例えば、160〜300℃の加熱下)で混合してもよい。
前記方法では、代表的には、前記セルロース含有成分がリグノセルロースであり、前記混合工程においてリグノセルロースから前記9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物によりリグニンを含む非結晶成分を可溶化又は抽出し、前記分離工程において9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物とともに、前記非結晶成分(又は抽出された非結晶成分)を分離してもよい。
また、本発明の方法では、リグノセルロースのような比較的多量の非結晶成分(又は不純物)を含むセルロース含有成分だけでなく、セルロース含量(又はセルロースの繊維集合体)の割合が比較的高く、主にセルロースで構成されたセルロース含有成分を用いることもできる。すなわち、このようなセルロース含有成分は、前記のように、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物で処理されることにより、セルロース含有成分を構成するセルロースの繊維集合体が弛緩され(又は繊維集合体における繊維間の不純物が抽出され)、セルロース繊維が得られる。そのため、前記方法では、セルロース(又はセルロースの繊維集合体)を高割合(例えば、80重量%以上の割合)で含むセルロース含有成分を用いて、セルロースファイバー(特に、セルロースナノファイバー)を製造してもよい。
本発明の方法は、前記分離工程を経て得られたセルロース(ファイバー状のセルロース)を解繊する解繊工程をさらに含んでいてもよい。
本発明には、前記製造方法により得られるファイバー状のセルロース(セルロースファイバー)も含まれる。このようなセルロースファイバーは、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物を含んでいてもよい。また、セルロースファイバーは、非結晶成分及び/又はその分解物を含んでいてもよい。前記のように、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物や非結晶成分は、分離工程において分離されるが、その一部が結晶性セルロース中に含まれることにより、結晶性セルロースの疎水性や耐熱性、さらには樹脂に対する分散性などを向上させることができる。
また、本発明には、樹脂と、前記ファイバー状のセルロース(又はセルロースファイバー)又はその誘導体(例えば、セルロースアセテートなどのセルロースエステルなど)とを含む樹脂組成物も含まれる。特に前記セルロースファイバー又はその誘導体は、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物に対する分散性に優れているため、前記樹脂は、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する樹脂であってもよい。さらに、本発明には、熱硬化性樹脂(例えば、9,9−ビルアリールフルオレン骨格を有する熱硬化性樹脂)と、前記ファイバー状のセルロース又はその誘導体(セルロースファイバー又はセルロース誘導体繊維)とを含む樹脂組成物が硬化した硬化物も含まれる。
前記9,9−ビスフルオレン骨格を有する化合物は、セルロース含有成分に非結晶成分が含まれていても、このような非結晶成分を効率よく抽出できる。そのため、本発明には、結晶性セルロースおよび非結晶成分(リグニン、ヘミセルロース、非結晶性セルロースなど)を含むセルロース含有成分から非結晶成分を抽出してセルロース(例えば、ファイバー状のセルロース)を得るための抽出剤であって、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物で構成された抽出剤も含まれる。
本発明の方法では、セルロース含有成分(例えば、非結晶成分を含むセルロース含有成分)とフルオレン骨格を有する化合物とを混合するだけで、簡便にかつ効率よくセルロース(特に、セルロースナノファイバーなどのファイバー状のセルロース)を製造できる。すなわち、セルロース含有成分を構成するセルロースの繊維集合体間に9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物が浸透し、繊維集合体間の強固な結合(水素結合)を弱めたり、繊維集合体間の不純物が抽出されるためか、セルロース繊維(特に、セルロースナノファイバー)が効率よく得られる。特に、本発明の方法では、リグニン、ヘミセルロースなどの非結晶成分を含むセルロース含有成分をセルロース源としても、セルロース含有成分から非結晶成分を選択的に可溶化又は抽出でき、セルロース(セルロースファイバー)を効率よく製造できる。しかも、このような方法では、叩解処理などの特別な処理を必要とせず、繊維に与えるダメージが少ない高品質の結晶性セルロース(又はセルロースファイバー)を得ることができる。さらに、本発明では、上記方法により得られる高品質のセルロース(又はセルロースファイバー)又はその誘導体(例えば、セルロースエステル繊維など)を含む樹脂組成物およびその硬化物を提供できる。このような樹脂組成物又は硬化物は、結晶性セルロース(セルロースファイバー)又はその誘導体が高い分散性で分散されており、耐熱性、強度などにおいて優れている。さらにまた、本発明の抽出剤では、リグノセルロースなどのセルロース含有成分から、リグニンなどの非結晶成分を効率よく抽出できる。
図1は、実施例1で得られた膜のSEM写真である。 図2は、実施例2で得られた膜のSEM写真である。 図3は、比較例1で得られた膜のSEM写真である。 図4は、実施例6で得られた膜のSEM写真である。 図5は、実施例7で得られたフィルムの写真である。
[セルロースファイバーの製造方法]
本発明の方法では、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物(単に、フルオレン骨格を有する化合物という場合がある)を用いて、セルロース含有成分(例えば、セルロース(又はセルロースの繊維集合体)および非結晶成分を含むセルロース含有成分)からセルロース(又は非結晶成分が除去されたセルロース又はセルロース繊維)を製造する。このような方法は、通常、セルロース含有成分と9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物とを混合(通常加熱混合)する混合工程と、この工程を経て得られた混合物から、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物を分離する分離工程とを含んでいる。なお、このような方法では、通常、ファイバー状のセルロース(又は繊維の形態のセルロース)が得られる。
(セルロース含有成分)
セルロース含有成分は、セルロース(又はセルロースの繊維集合体又は結晶性セルロース)を含んでいればよく、セルロース(又は結晶性セルロース)と非結晶性成分を含んでいてもよい。セルロース含有成分は、セルロース(結晶性セルロース)を、セルロース繊維(セルロースミクロフィブリル)の集合体(又は凝集体)の形態で含んでいてもよい。このような集合体又は凝集体の繊維径(二次繊維径)は、例えば、マイクロメータオーダー(例えば、1〜100μm、好ましくは3〜50μm、さらに好ましくは5〜30μm程度)であってもよい。本発明では、このような繊維集合体を弛緩する(又はほぐす)ことにより、後述するように、ナノメートルオーダーのセルロース繊維(すなわち、セルロースナノファイバー)を得ることもできる。
非結晶成分としては、例えば、リグニン、ヘミセルロース、非結晶セルロース(又は不定形セルロース)などが挙げられる。特に、セルロース含有成分(非結晶性成分を含むセルロース含有成分)は、リグノセルロース(リグニン含有セルロース)であってもよい。本発明では、選択的に非結晶性成分を可溶化又は抽出しつつ、セルロース骨格を弛緩できるため、このような非結晶成分を含むセルロース含有成分であっても、効率よくセルロース(セルロースファイバー)を得ることができる。このような非結晶成分を含むセルロース含有成分を使用すると、セルロース(微結晶セルロースなど)を使用しなくても、木材などからそのまま結晶性セルロースを得ることができるため、工業的、プロセス的、さらにはコスト的に極めて有利である。
リグノセルロースは、セルロースとリグニンとで構成されている。なお、リグニンは、植物の維管束細胞壁成分として存在する無定形高分子であり、フェニルプロパン系の構成単位を含む縮合体である。このようなリグノセルロース(リグニンを含有する物質)としては、木材、草本類などが挙げられる。木材は、針葉樹と広葉樹とに大別され、針葉樹としては、マツ、スギ、ヒノキ、イチイ、イヌガヤなどが挙げられる。広葉樹としては、シイ、サクラ、柿などが挙げられる。草本類としては、ケナフ、ワラ、バガス、亜麻、マニラ麻、黄麻、楮などが挙げられる。針葉樹に含まれるリグニン(針葉樹リグニン)は、グアイアシルプロパン構造を有していてもよく、広葉樹に含まれるリグニン(広葉樹リグニン)は、グアイアシルプロパン構造及びシリンギルプロパン構造を有していてもよく、草本類に含まれるリグニン(草本類リグニン)は、グアイアシルプロパン構造、シリンギルプロパン構造、及びp−ヒドロキシフェニルプロパン構造を有していてもよい。なお、メトキシ基の含量は、針葉樹リグニンで14〜17重量%程度、広葉樹リグニンで20〜23重量%程度、草本類リグニンで14〜15重量%程度であってもよい。
木材は、間伐材などであってもよく、木材の破砕物、例えば、木粉、木材チップ、単板くずなどの形態で利用でき、廃材(建築廃材など)などを利用してもよい。
セルロース含有成分としては、パルプ(例えば、木材パルプ、竹パルプ、ワラパルプ、バガスパルプ、木綿パルプ、亜麻パルプ、麻パルプ、楮パルプ、三椏パルプ、コットンパルプなど)も利用できる。さらに、リグノセルロースとして、パルプから調製される紙(抄紙やボードなど)、古紙などのパルプ含有成形体も利用できる。なお、パルプでは、製法によっては、ほとんどのリグニンやヘミセルロースが除去されている場合があるが、このようなパルプにおいても、通常、非結晶セルロースが残存しており、この非結晶セルロース(又は不定形セルロース)が、セルロース(結晶性セルロース)間に存在して強固に結合している。
代表的なセルロース含有成分(リグノセルロース)としては、例えば、木材(例えば、針葉樹および広葉樹から選択された少なくとも1種)、草本類、パルプ、パルプ含有成形体などが利用できる。リグノセルロースは単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、木粉などの廃材(建築廃材など)を再利用すると、リグノセルロースを有効に利用できる。リグノセルロースの破砕物(木粉など)のサイズは特に制限されないが、効率よく製造するため、平均径が0.01〜1mm、好ましくは0.02〜0.5mm、さらに好ましくは0.03〜0.1mm程度であってもよい。
また、本発明では、セルロース含有成分として、セルロースを主成分とするセルロース含有成分[又は非結晶成分(リグニンやヘミセルロース)のほとんどが除去されたセルロース]を用いてもよい。このようなセルロース含有成分としては、特に限定されず、パルプ(特に、化学パルプなど)、微結晶セルロースなどが挙げられる。
セルロース含有成分(非結晶成分を含むセルロース含有成分)において、非結晶成分(例えば、リグニン、ヘミセルロース、非結晶セルロースなど)の割合は、その種類にもよるが、例えば、1〜90重量%、好ましくは3〜80重量%、さらに好ましくは5〜70重量%程度であってもよい。特に、パルプにおいて、非結晶成分(非結晶セルロースなど)の割合は、1〜40重量%、好ましくは1.5〜30重量%、さらに好ましくは2〜25重量%程度であってもよい。
なお、セルロースを主成分とするセルロース含有成分において、非結晶成分(又は不純物)の割合は、例えば、セルロース含有成分全体の20重量%以下(例えば、0.01〜15重量%)、好ましくは10重量%以下(例えば、0.05〜7重量%)、さらに好ましくは5重量%以下(例えば、0.1〜3重量%)であってもよい。
特に、リグノセルロースにおいて、セルロースとリグニンとの割合は、特に限定されないが、例えば、前者/後者(重量比)=99/1〜20/80、好ましくは95/5〜30/70、さらに好ましくは90/10〜40/60程度であってもよい。なお、リグノセルロースにおいて、リグニンの割合は、例えば、1〜50重量%、好ましくは5〜45重量%、さらに好ましくは5〜40重量%程度であってもよい。
なお、リグノセルロースは、非結晶成分としてリグニンを含んでいるが、通常、リグニンに加えて、ヘミセルロース、不定形セルロースを含んでいてもよい。本発明では、リグニンだけでなく、ヘミセルロースなどもまたフルオレン骨格を有する化合物により可溶化又は溶解され、セルロース含有成分から効率よく分離可能である。
リグノセルロースにおいて、セルロースとヘミセルロースとの割合は、前者/後者(重量比)=99/1〜20/80、好ましくは95/5〜30/70、さらに好ましくは90/10〜40/60程度であってもよい。なお、リグノセルロースにおいて、ヘミセルロースの割合は、例えば、1〜50重量%、好ましくは5〜45重量%、さらに好ましくは10〜40重量%程度であってもよい。
なお、リグノセルロースにおいて、非結晶成分(例えば、リグニンおよびヘミセルロース)の割合は、5〜90重量%、好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは20〜70重量%、特に30〜60重量%程度であってもよい。
なお、セルロース含有成分において、セルロース含量は、例えば、30重量%以上(例えば、30〜99.9重量%)、好ましくは35重量%以上(例えば、38〜99.95重量%)程度であってもよい。
また、前記のように、セルロースを主成分とするセルロース含有成分において、セルロースの割合は、例えば、セルロース含有成分全体の80重量%以上(例えば、85〜99.9重量%)、好ましくは90重量%以上(例えば、93〜99.95重量%)、さらに好ましくは95重量%以上(例えば、97〜99.9重量%)であってもよい。
セルロース含有成分(リグノセルロースなど)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(フルオレン骨格を有する化合物)
フルオレン骨格を有する化合物は、9,9−ビスアリールフルオレン骨格(例えば、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格、9,9−ビスナフチルフルオレン骨格)を有する限り特に限定されないが、通常、9,9−ビス(アミノアリール)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(カルボキシアリール)フルオレン[例えば、9,9−ビス(カルボキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレンなどの官能基(例えば、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基など)を有するフルオレン骨格を有する化合物を好適に使用できる。
代表的なフルオレン骨格を有する化合物には、下記式(1)で表される化合物が含まれる。
(式中、環Zは芳香族炭化水素環を示し、Rは置換基を示し、Xはヘテロ原子含有官能基を示し、Rはアルキレン基を示し、Rは置換基を示し、kは0〜4の整数、mは0以上の整数、nは1以上の整数、pは0以上の整数である。)
上記式(1)において、環Zで表される芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、縮合多環式炭化水素環[例えば、縮合二環式炭化水素環(例えば、インデン、ナフタレンなどのC8−20縮合二環式炭化水素環、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素環)、縮合三環式炭化水素環(例えば、アントラセン、フェナントレンなど)などの縮合2乃至4環式炭化水素環]などが挙げられ、ベンゼン環又はナフタレン環であるのが好ましい。なお、フルオレンの9位に置換する環Zの置換位置は、特に限定されない。例えば、環Zがナフタレン環の場合、フルオレンの9位に置換する環Zに対応する基は、1−ナフチル基、2−ナフチル基などであってもよい。
前記式(1)において、基Rで表される置換基としては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)など]などが挙げられ、特に、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基(特にアルキル基)である場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)などが例示できる。なお、kが複数(2以上)である場合、基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレン(又はフルオレン骨格)を構成する2つのベンゼン環に置換する基Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対する基Rの結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数kは、0〜1、特に0である。なお、フルオレンを構成する2つのベンゼン環において、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよい。
前記式(1)において、ヘテロ原子含有官能基としては、例えば、酸素、イオウ及び窒素原子から選択された少なくとも一種を有する官能基などが例示できる。このような官能基に含まれるヘテロ原子の数は、特に制限されないが、通常、1〜3個、好ましくは1又は2個であってもよい。前記官能基としては、例えば、ヒドロキシル基、エポキシ含有基(グリシジルオキシ基など)、カルボキシル基などの酸素原子含有官能基;メルカプト基などのイオウ原子含有官能基;アミノ基又はN−一置換アミノ基[例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基などのN−モノアルキルアミノ基(N−モノC1−4アルキルアミノ基など)、ヒドロキシエチルアミノ基などのN−モノヒドロキシアルキルアミノ基(N−モノヒドロキシC1−4アルキルアミノ基など)など]などの窒素原子含有官能基などが例示できる。好ましいXには、ヒドロキシル基、メルカプト基、エポキシ含有基(グリシジルオキシ基など)、アミノ基又はN−一置換アミノ基などが挙げられ、特に、ヒドロキシル基が好ましい。なお、Xは異なるZにおいて同一又は異なる基であってもよく、また、同一の環Zにおいて同一又は異なる基であってもよい。
また、前記式(1)において、基Rで表されるアルキレン基としては、特に限定されないが、例えば、C2−10アルキレン基(例えば、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブタン−1,2−ジイル基、ヘキシレン基などのC2−6アルキレン基)などが例示でき、C2−4アルキレン基(特に、エチレン基、プロピレン基などのC2−3アルキレン基)が好ましく、特にエチレン基であってもよい。なお、Rは、同一の又は異なるアルキレン基であってもよい(すなわち、mが複数である場合、Rは同一又は異なっていてもよい)。すなわち、mが2以上の場合、ポリアルコキシ(ポリオキシアルキレン)基[−(OR−]は、同一のオキシアルキレン基で構成されていてもよく、複数のオキシアルキレン基(例えば、オキシエチレン基とオキシプロピレン基など)で構成されていてもよい。通常、Rは同一のベンゼン環において、同一のアルキレン基であってもよい。
オキシアルキレン基(OR)の数(付加モル数)mは、例えば、0〜15(例えば、1〜10)程度の範囲から選択でき、例えば、0〜8(例えば、0〜7)、好ましくは0〜6、さらに好ましくは0〜5(例えば、0〜3)、特に1であってもよい。また、mは2つの環Zにおいて異なっていてもよく、同一の環Zにおいて異なっていてもよい。例えば、同一の環Zにおいて、mが0である基−Xと、mが1以上である基−[(OR−X]とを有していてもよい。なお、前記式(1)において、基−[(OR−X]の置換数nは、環Zの種類にもよるが、例えば、1〜6、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3、特に1〜2であってもよい。
また、前記式(1)において、基Rで表される置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのC1−12アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基、さらに好ましくはC1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基、好ましくはC5−8シクロアルキル基、さらに好ましくはC5−6シクロアルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのC6−14アリール基、好ましくはC6−10アリール基、さらに好ましくはC6−8アリール基など)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのC1−12アルコキシ基、好ましくはC1−8アルコキシ基、さらに好ましくはC1−6アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(シクロへキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基)などの基−OR[式中、Rは炭化水素基(前記例示の炭化水素基など)を示す。];アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基などのC1−20アルキルチオ基、好ましくはC1−8アルキルチオ基、さらに好ましくはC1−6アルキルチオ基など)、シクロアルキルチオ基(シクロへキシルチオ基などのC5−10シクロアルキルチオ基など)、アリールチオ基(チオフェノキシ基などのC6−10アリールチオ基)、アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルチオ基)などの基−SR(式中、Rは前記と同じ。);アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など);ニトロ基;シアノ基;メルカプト基;カルボキシル基;アミノ基;カルバモイル基;置換アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのジアルキルアミノ基など);スルホニル基;これらの置換基同士が結合した置換基[例えば、アルコキシアリール基(例えば、メトキシフェニル基などのC1−4アルコキシC6−10アリール基)、アルコキシカルボニルアリール基(例えば、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニルC6−10アリール基など)]などが挙げられる。
これらのうち、代表的には、基Rは、炭化水素基、−OR(式中、Rは炭化水素基を示す。)、−SR(式中、Rは前記と同じ。)、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基などであってもよい。
好ましい基Rとしては、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C5−8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、C6−10アリール基)、アラルキル基(例えば、C6−8アリール−C1−2アルキル基)など]、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基など)などが挙げられる。特に、Rは、アルキル基[C1−4アルキル基(特にメチル基)など]、アリール基[例えば、C6−10アリール基(特にフェニル基)など]などであるのが好ましい。
また、好ましい置換数pは、0〜8、好ましくは0〜4(例えば、0〜3)、さらに好ましくは0〜2であってもよい。異なる環Zにおいて、置換数pは、互いに同一又は異なっていてもよく、通常同一であってもよい。また、同一の環Zにおいて、pが複数(2以上)である場合、基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。さらに、2つの環Zにおいて、基Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。
なお、前記式(1)において、n+pの値は、環Zの種類にもよるが、例えば、1〜6、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3程度であってもよい。
代表的な前記式(1)で表される化合物には、環Zがベンゼン環又はナフタレン環、Xがヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、グリシジルオキシ基又はアミノ基(特に、ヒドロキシル基)、RがC2−6アルキレン基(特にC2−4アルキレン基)、mが0〜10(例えば、0〜6)、nが1〜3である化合物などが挙げられる。
代表的な前記式(1)で表される化合物としては、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシ−アルキルフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシ−アリールフェニル)フルオレン;9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[(ヒドロキシアルコキシ)フェニル]フルオレン;9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[(ヒドロキシアルコキシ)−アルキルフェニル]フルオレン;9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[(ヒドロキシアルコキシ)−アリールフェニル]フルオレン;これらの化合物に対応し、環Zがナフタレン環に置換した化合物、例えば、9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス[(ヒドロキシアルコキシ)ナフチル]フルオレンなどの前記式(1)においてXがヒドロキシル基である化合物;これらの化合物に対応し、Xがメルカプト基、カルボキシル基、グリシジル基又はアミノ基に置換した化合物などが含まれる。
フルオレン骨格を有する化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
なお、前記式(1)で表される化合物は、市販品を利用してもよく、慣用の方法[例えば、酸触媒(硫酸、塩酸など)及びチオール類(メルカプトカルボン酸など)の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させる方法]により合成してもよい。
(混合工程)
混合工程では、セルロース含有成分(リグノセルロースなど)と、フルオレン骨格を有する化合物とを混合する。このような混合により、フルオレン骨格を有する化合物が、セルロース含有成分中に浸透してセルロースを分解することなくセルロースファイバーの集結体を弛緩するためか、ファイバー状のセルロース(セルロースファイバー、特にセルロースナノファイバー)が形成される。特に、セルロース含有成分として、リグノセルロースのような非結晶成分を含むセルロース含有成分を使用すると、フルオレン骨格を有する化合物により、非結晶成分(例えば、リグニン及びヘミセルロース)が選択的に可溶化(又は溶解)又は抽出されるとともに、セルロースファイバーの集結体が弛緩される。なお、非結晶成分は、その一部又は全部が、非結晶成分の分解物の形態でフルオレン骨格を有する化合物に抽出される場合が多い。リグニンなどの非結晶成分が可溶化又は抽出される理由は定かではないが、フルオレン骨格を有する化合物が、セルロースの不定形構造に浸透して非結晶成分と反応しつつ非結晶成分を分解するものと考えられる。
混合において、セルロース含有成分とフルオレン骨格を有する化合物との割合(混合割合)は、セルロース含有成分中の非結晶成分の割合などにもよるが、例えば、前者/後者(重量比)=99/1〜1/99(例えば、95/5〜5/95)、好ましくは93/7〜7/93(例えば、90/10〜10/90)、さらに好ましくは85/15〜5/95(例えば、80/20〜6/94)、特に75/25〜5/95(例えば、70/30〜7/93)程度であってもよく、通常70/30〜10/90程度であってもよい。
なお、混合工程では、本発明の効果を害しない範囲であれば、フルオレン骨格を有する化合物に加えて、セルロース含有成分の可溶化を促進させるための可溶化助剤を併用してもよい。可溶化助剤成分としては、ヒドロキシ化合物、窒素含有環式ケトン、アミド類、スルホキシド類などが使用でき、これらの成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ヒドロキシ化合物は、多価アルコール及びフェノール類から選択された少なくとも一種で構成されていてもよい。多価アルコールとしては、2価アルコール[例えば、アルカンジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールなど)、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリC2−5アルキレングリコールなど)など];3価以上のポリオール[例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなど]が例示できる。フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ビスフェノール(ビスフェノールA,Sなど)などが例示できる。ヒドロキシ化合物は、反応系又は加熱処理系において、反応性であってもよく非反応性であってもよい。
窒素含有環式ケトンとしては、N−メチル−2−ピロリドンなどが例示でき、アミド類としては、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどが例示できる。スルホキシド類としては、ジメチルスルホキシドなどが例示できる。これらの成分は反応系又は加熱処理系において、非反応性であってもよく反応性であってもよい。
これらの可溶化助剤成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましい可溶化助剤成分としては、フェノール類、多価アルコール(例えば、二価又は三価アルコール)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどが挙げられ、特にグリセリンなどの多価アルコールが好ましい。
なお、可溶化助剤成分の沸点は、例えば、150℃以上(例えば、150〜300℃)、好ましくは160〜298℃、さらに好ましくは170〜296℃(例えば、180〜295℃)程度であってもよい。
可溶化助剤を使用する場合、フルオレン骨格を有する化合物と、可溶化助剤成分との割合は、例えば、前者/後者(重量比)=99/1〜20/80、好ましくは98/2〜50/50(例えば、97/3〜55/45)、さらに好ましくは96/4〜60/40(例えば、95/5〜65/35)程度であってもよい。
また、混合は、本発明の効果を害しない範囲であれば、酸触媒の存在下で行ってもよい。酸触媒を使用すると、可溶化を効率よく進行させることができる場合がある。酸触媒(又は酸成分)としては、例えば、無機酸(例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸など)、有機酸[例えば、カルボン酸(ギ酸、酢酸などの脂肪族カルボン酸)、ヒドロキシカルボン酸(例えば、シュウ酸、酒石酸、クエン酸など)、スルホン酸(メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸など)など]、ルイス酸(例えば、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、塩化亜鉛など)などが例示できる。これらの酸触媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの酸触媒のうち、硫酸などの無機酸が好ましい。
酸触媒を使用する場合、酸触媒の使用割合は、フルオレン骨格を有する化合物100重量部に対して、例えば、0.005〜10重量部、好ましくは0.01〜8重量部、さらに好ましくは0.05〜5重量部程度であってもよい。
なお、反応条件によっては、セルロースそのものを分解させる場合があるので、酸触媒の種類や混合条件に応じて、酸触媒の使用には注意を要する。そのため、本発明では、酸触媒を使用することなく反応させてもよい。
また、混合は、必要に応じて、溶媒(後述の溶媒など)の存在下で行ってもよい。
混合は、フルオレン骨格を有する化合物の性状(例えば、液状であるか固体状であるか)や、混合時の圧力などに応じて選択できるが、通常、加温下(又は加熱下)で行ってもよい。加熱温度としては、例えば、100〜300℃(例えば、120〜250℃)、好ましくは150〜300℃(例えば、160〜300℃)、さらに好ましくは165〜270℃(例えば、165〜250℃)、特に170〜250℃程度であってもよい。加熱混合は、不活性ガス雰囲気中、又は空気中で、減圧下、常圧又は加圧下(例えば、0.05〜15MPa程度の圧力下)で行うことができる。
なお、混合は、通常、フルオレン骨格を有する化合物が液状となる状態で行う場合が多い。
混合時間又は加熱時間(加熱混合時間)は、混合温度(又は反応温度)などに応じて選択でき、例えば、10分以上(例えば、20分〜24時間)、好ましくは30分以上(例えば、40分〜12時間)程度であってもよい。
混合(又は加熱混合)を行うための装置の種類は、特に制限されず、反応釜などのバッチ式反応装置であってもよく、連続反応装置であってもよい。特に、押出機を利用すると、セルロース含有成分を解繊しつつ、非結晶成分を効率よく可溶化できる。なお、装置は、開放型の装置ではなく、通常、密閉可能な装置が利用される。
(分離工程)
上記混合工程を経て、セルロース含有成分中のセルロースファイバー集結体が弛緩され、セルロースファイバーが形成されるが、分離工程では、このような混合工程後の混合物から、少なくともフルオレン骨格を有する化合物を分離し、セルロース(セルロースファイバー)を得る。なお、セルロース含有成分が非結晶成分を含む場合、フルオレン骨格を有する化合物とともに非結晶成分が分離される。非結晶成分は、リグニンなどとしてそのまま、又はさらに分解された分解物として分離されてもよい。
すなわち、前記のように、セルロース含有成分として、リグニン、不定形セルロース、ヘミセルロースなどの非結晶成分を含むセルロース含有成分(リグノセルロースなど)を用いた場合、このような非結晶成分は、フルオレン骨格を有する化合物に可溶化又は抽出され、前記混合物中に含まれている。なお、このような非結晶成分は、混合工程を経て、その一部又は全部が、分解された分解物の形態で混合物中に含まれている場合が多い。すなわち、混合物中には、セルロース(セルロースファイバー)と、フルオレン骨格を有する化合物と、フルオレン骨格を有する化合物に抽出された非結晶成分[通常、少なくとも非結晶成分の分解物(例えば、リグニン分解物、ヘミセルロース分解物など)]とが含まれている。そして、このような非結晶成分は、フルオレン骨格を有する化合物に溶解した(又は抽出された)状態で混合物に含まれている場合が多い。そのため、このような混合物の分離工程では、フルオレン骨格を有する化合物とともに、前記混合工程において可溶化又は抽出された非結晶成分(例えば、リグニンを含む非結晶成分)を分離してもよい。
分離方法としては、特に限定されず、慣用の方法を利用できる。例えば、前記混合物を、適当な溶媒(例えば、フルオレン骨格を有する化合物を溶解可能な溶媒)で洗浄(又は抽出)することにより、混合物からフルオレン骨格を有する化合物を分離してもよい。
また、抽出された非結晶成分を含む混合物では、濾過などにより、フルオレン骨格を有する化合物と、このフルオレン骨格を有する化合物に抽出された(又は溶解した)非結晶成分とをそのまま液状成分などとして分離してもよく、前記と同様に、適当な溶媒(例えば、フルオレン骨格を有する化合物、非結晶成分のいずれも溶解可能な溶媒)で洗浄して、フルオレン骨格を有する化合物と、非結晶成分とを混合物から分離してもよい。
代表的には、混合物を、溶媒で洗浄することにより、フルオレン骨格を有する化合物(および非結晶成分)を溶出又は抽出し、混合物から分離してもよい。
溶媒の種類は、フルオレン骨格を有する化合物を溶解可能であれば特に限定されず、炭化水素類(例えば、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素)、ハロゲン系溶媒(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素など)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、エーテル類(例えば、エチルエーテル、イソプロピルエーテルなどの鎖状エーテル類;ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトンなどのジアルキルケトン)、セロソルブ類(例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、カルビトール類(メチルカルビトールなど)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類など)、アミド類(ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、ニトリル類(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は混合溶媒として使用できる。
これらの溶媒のうち、アルコール類(特に、メタノール)、環状エーテル類(特に、1,4−ジオキサン)、ニトリル類などが好ましい。また、溶媒は、水との混合溶媒であってもよい。
なお、分離工程では、さらに、慣用の方法(例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段)を利用してもよい。
なお、前記分離工程において、フルオレン骨格を有する化合物や非結晶成分は分離されるが、後述するように、フルオレン骨格を有する化合物や非結晶成分の一部を分離することなくセルロースファイバーに残存させてもよい。
また、分離工程において分離されたフルオレン骨格を有する化合物は回収することができ、回収されたフルオレン骨格を有する化合物は、再度混合工程で使用してもよい。例えば、フルオレン骨格を有する化合物と、抽出された非結晶成分とを含む混合物から、慣用の精製方法を利用して、フルオレン骨格を有する化合物を回収してもよい。
上記のようにして、混合物から、フルオレン骨格を有する化合物、さらには、非結晶成分及び/又はその分解物が分離され、セルロースが得られる。なお、セルロースは、通常、原料としてのセルロース含有成分中のセルロースの形態を反映して、ファイバー状のセルロース(セルロースファイバー)として得られる。なお、セルロースは、少なくともファイバー状のセルロースを含んでいる場合が多いが、その一部が、粉粒状などの形態で含まれていてもよい。
このようなセルロースファイバーは、さらに、慣用の方法(例えば、濾過、濃縮などの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段)を利用して精製してもよい。
(解繊工程)
上記分離工程によりセルロースファイバーが形成される。本発明の方法では、必ずしも必要ではないが、より一層セルロースファイバーを弛緩させるため、分離工程後、さらに、分離工程を経て得られたセルロースファイバー(粗セルロースファイバー)を解繊する解繊工程を含んでいてもよい。
解繊工程において、解繊は、通常、セルロースファイバー(又はセルロース)を溶媒中で解繊処理することにより行うことができる。溶媒としては、前記例示の溶媒と同様の溶媒の他、水などが挙げられる。解繊は、通常、セルロースを溶解しない(又はほとんど溶解しない)溶媒(又はセルロースに対する貧溶媒)にセルロースファイバーを分散させて行ってもよい。代表的な溶媒(分散媒)は、水である。
解繊方法(解繊処理)としては、セルロースをさらに弛緩させることができる方法であれば特に限定されないが、例えば、機械的処理[例えば、ホモジナイザー、ミル(ビーズミル、ボールミルなど)、ミキサー、グラインダー、ペイントシェーカなどの分散メディアを用いた解繊処理]、超音波処理などが挙げられる。解繊処理は、単独で又は2種以上組み合わせて行ってもよい。
[セルロースファイバー]
上記のようにしてセルロースが得られる。そして、このようなセルロースは、前記のように、通常、ファイバー[又はファイバー(繊維)状のセルロース)]の形態である。
本発明では、フルオレン骨格を有する化合物によりセルロース構造を弛緩させて(さらには非結晶成分を抽出する)ので、比較的低次構造を反映したセルロースファイバー(又は繊維状のセルロース)が得られる。例えば、セルロースファイバーの平均繊維径は、0.5nm〜1μm、好ましくは1〜500nm、さらに好ましくは2〜100nm(例えば、3〜50nm)程度であってもよい。また、セルロースファイバーの平均繊維長は、10nm〜100μm、好ましくは50nm〜80μm、さらに好ましくは100nm〜50μm程度であってもよい。
通常、本発明の方法では、繊維径がナノメータサイズ(又はナノメータオーダ)のセルロースファイバー、すなわち、セルロースナノファイバーが得られる場合が多い。
本発明では、前記のように分離工程においてフルオレン骨格を有する化合物が除去されており、高品質で高結晶性のセルロースファイバーが得られるが、このような成分の一部が残存する形態でセルロースファイバーに含まれていてもよい。このような残存するフルオレン骨格を有する化合物は、セルロースに含まれるヒドロキシル基を修飾するなどによりセルロースファイバーに含まれており、セルロースファイバーの疎水性や耐熱性などを向上させる成分として作用する。そのため、セルロースファイバーは、フルオレン骨格を有する化合物を含んでいるのが好ましい。なお、セルロースファイバーにおけるフルオレン骨格を有する化合物の割合は、例えば、0.001〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.05〜5重量%(例えば、0.1〜3重量%)程度であってもよい。
また、セルロースファイバーには、同様に、非結晶成分(例えば、リグニン、ヘミセルロース、これらの分解物)の一部が、セルロースファイバーに残存していてもよい。例えば、リグニンやその分解物は、セルロースファイバーの耐熱性を向上させたり、セルロースファイバーの有機ポリマーに対する分散性(セルロースファイバーと有機ポリマーとの親和性)を向上できる場合がある。なお、セルロースファイバーにおける非結晶成分及び/又はその分解物(例えば、リグニン分解物など)の割合は、例えば、0.001〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.05〜5重量%(例えば、0.1〜3重量%)程度であってもよい。
なお、セルロースファイバーは、用途に応じて慣用の方法で処理することにより、所望の形状又は形態(例えば、粉粒状などの非繊維状の形態)とすることもできる。
また、セルロースファイバー(又はセルロース)は、誘導体化してもよい。誘導体化により、誘導体化されたセルロースの繊維が得られる。このようなセルロースの誘導体としては、後述の複合材料の用途などに応じて適宜選択でき、例えば、エステル化されたセルロース[又はセルロースエステル、例えば、アシル化されたセルロース(例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースC2−4アシレート、ラウロイル化されたセルロース、ステアロイル化されたセルロース、ベンゾイル化されたセルロースなど)など]、エーテル化されたセルロース[又はセルロースエーテル、例えば、アルキルセルロース(例えば、メチルセルロース、エチルセルロースなどのC1−4アルキルセルロース)、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシC2−4アルキルセルロース)、カルボキシアルキルセルロース(カルボキシメチルセルロースなど)など]、シアノエチル化されたセルロースなどの他、カップリング剤(例えば、シランカップリング剤など)で処理されたセルロースなどが挙げられる。
なお、誘導体化されたセルロースは、慣用の方法で得ることができる。例えば、アシル化されたセルロース(セルロースファイバー)は、セルロース(セルロースファイバー)とアシル化剤(例えば、無水酢酸など)とを反応させることにより得ることができる。
[樹脂組成物又は複合材料]
本発明のセルロース(特に、セルロースナノファイバーなどのセルロースファイバー)又はその誘導体(例えば、セルロースエステルファイバーなど)は、種々の用途、例えば、補強剤、コーティング剤、繊維原料(例えば、不織布などの原料)などに好適である。例えば、本発明のセルロース(セルロースファイバーなど)又は誘導体は、補強剤(又は充填剤)成分として、樹脂と混合することにより、高強度、高耐熱性などの優れた特性を有する樹脂組成物(複合材料)を形成できる。なお、セルロース(セルロースファイバー)を誘導体化することにより、樹脂などに対する分散性が向上する場合がある。
すなわち、樹脂組成物は、樹脂と、セルロース(セルロースファイバーなど)又はその誘導体とで構成されている。樹脂としては、特に限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂(又は光硬化性樹脂)のいずれであってもよい。これらの樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、非晶質ポリオレフィンなど)、ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル−スチレン樹脂などのスチレン系樹脂など)、ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、ポリエステル樹脂[ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリアルキレンアリレート、ポリアリレート、液晶ポリエステル、脂肪族ポリエステル(ポリ乳酸、ポリカプロラクトンなど)など]、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン6T、ナイロンMXDなど)、ポリフェニレンエーテル樹脂(変性ポリフェニレンエーテルなど)、ポリスルホン樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミノビスマレイミド、ビスマレイミドトリアジン樹脂、熱可塑性エラストマー、フッ化樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、フラン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド系樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂などが挙げられる。
熱可塑性樹脂として、脂肪族ポリエステル樹脂を好適に用いてもよい。脂肪族ポリエスエルとしては、ポリ乳酸の他、ポリアルキレンアルカノエート[例えば、ポリアルキレンサクシネート(例えば、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート)、ポリアルキレンアジペート(例えば、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート)、アルカンジオールと複数のC2−10アルカンジカルボン酸とのエステル(例えば、ポリブチレンサクシネートアジペート)]、ポリ(アルキレンアルカノエート/アリレート)[例えば、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレンアジペート/テレフタレート]、ポリ(アルキレンアルカノエート/カーボネート)(例えば、ポリブチレンサクシネート/カーボネートなど)、ポリアルキレンアルカノエート/ポリ脂肪族オキシカルボン酸(例えば、ポリブチレンサクシネート/ポリ乳酸など)、ポリアルキレンアルカノエート/ポリラクトン(例えば、ポリブチレンサクシネート/ポリカプロラクトンなど)、ポリ脂肪族オキシカルボン酸(例えば、ポリグリコール酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレート/ポリヒドロキシヘキサノエートなどのポリ乳酸以外のポリヒドロキシC2−6アルカン酸)、ポリラクトン(例えば、ポリカプロラクトンなど)などが挙げられる。脂肪族ポリエステル樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。特に、熱可塑性樹脂は、少なくともポリ乳酸で構成してもよい。ポリ乳酸は、耐熱性が十分でなく、現実的にその用途が大きく制限されるが、ポリ乳酸と同様にバイオマス由来の本発明のセルロース又はその誘導体と組み合わせることにより、耐熱性を著しく向上させることができる。
また、本発明のセルロース(セルロースファイバーなど)又はその誘導体は、フルオレン骨格(例えば、9,9−ビスアリールフルオレン骨格)を有する樹脂に対する親和性に優れており、このような樹脂との複合材料を好適に形成してもよい。
フルオレン骨格を有する樹脂としては、例えば、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物(例えば、前記式(1)で表される化合物)を重合成分とする樹脂などが挙げられる。このような樹脂としては、前記式(1)における官能基Xの種類に応じて選択でき、例えば、前記式(1)において、Xがヒドロキシル基である化合物は、樹脂のポリオール成分として使用でき、Xがカルボキシル基である化合物は樹脂のジカルボン酸成分として使用できる。また、前記式(1)において、Xがエポキシ含有基である化合物などは、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂など)としてそのまま使用することもできる。
代表的なフルオレン骨格を有する樹脂としては、前記式(1)で表される化合物(Xがヒドロキシル基である化合物)をポリオール成分(例えば、ジオール成分)とする樹脂{例えば、熱可塑性樹脂[ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂など]、熱硬化性樹脂{例えば、不飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂(ポリグリシジルエーテルなど)、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂[例えば、ポリオールポリ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなど]など}、前記式(1)で表される化合物(Xがメルカプト基である化合物)をポリチオール成分(例えば、ジチオール成分)とする樹脂{例えば、熱可塑性樹脂[ポリチオエステル樹脂、ポリチオカーボネート樹脂、ポリチオウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリチオエーテル樹脂など]、熱硬化性樹脂(例えば、熱硬化性ポリチオウレタン樹脂、チオエポキシ樹脂、ポリチオールポリ(メタ)アクリレートなど]、前記式(1)で表される化合物(Xがカルボキシル基である化合物)をポリカルボン酸成分(例えば、ジカルボン酸成分)とする樹脂{例えば、熱可塑性樹脂(ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂など)、熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル樹脂など)など]、前記式(1)で表される化合物(Xがアミノ基である化合物)をポリアミン成分(例えば、ジアミン成分)とする樹脂{例えば、熱可塑性樹脂(ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂など)、熱硬化性樹脂(ポリイミド樹脂、アニリン樹脂など)など]などが挙げられる。
なお、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂には、前記式(1)においてXがエポキシ基含有基である化合物、例えば、9,9−ビス(グリシジルオキシアリール)フルオレン類{例えば、9,9−ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アルキル−グリシジルオキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル−グリシジルオキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(アリール−グリシジルオキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC6−10アリール−グリシジルオキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(ジ乃至テトラグリシジルオキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(3,4−ジグリシジルオキシフェニル)フルオレンなど]などの9,9−ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン類;9,9−ビス(グリシジルオキシナフチル)フルオレン(例えば、9,9−ビス(6−グリシジルオキシ−2−ナフチル)フルオレン)などの9,9−ビス(グリシジルオキシナフチル)フルオレン類など}、9,9−ビス(グリシジルオキシ(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン類{9,9−ビス(グリシジルオキシアリール)フルオレン類に対応しmが1以上である化合物、例えば、例えば、9,9−ビス(グリシジルオキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンなど]、9,9−ビス(C1−4アルキル−グリシジルオキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−(2−グリシジルオキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−グリシジルオキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(グリシジルオキシジ乃至テトラC2−4アルコキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−グリシジルオキシエトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレンなど]などの9,9−ビス(グリシジルオキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類;9,9−ビス(グリシジルオキシC2−4アルコキシナフチル)フルオレン(例えば、9,9−ビス[6−(2−グリシジルオキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン)などの9,9−ビス(グリシジルオキシ(ポリ)アルコキシナフチル)フルオレン類など}などが含まれる。
また、フルオレン骨格を有するポリ(メタ)アクリレートには、前記式(1)においてXが(メタ)アクリロイルオキシ基に置換した化合物、例えば、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシアリール)フルオレン類{例えば、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アルキル−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(アリール−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC6−10アリール−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(ジ乃至テトラ(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(3,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレンなど]などの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン類;9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシナフチル)フルオレン(例えば、9,9−ビス(6−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ナフチル)フルオレン)などの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシナフチル)フルオレン類など}、9,9−ビス((メタ)アクリロイル(ポリ)アルコキシアリール)フルオレン類{9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシアリール)フルオレン類に対応しmが1以上である化合物、例えば、例えば、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンなど]、9,9−ビス(C1−4アルキル−(メタ)アクリロイルオキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシジ乃至テトラC2−4アルコキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレンなど]などの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)アルコキシフェニル)フルオレン類;9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシC2−4アルコキシナフチル)フルオレン(例えば、9,9−ビス[6−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン)などの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)アルコキシナフチル)フルオレン類など}などが含まれる。
樹脂組成物において、セルロース(セルロースファイバーなど)又はその誘導体の割合は、樹脂100重量部に対して、例えば、0.5〜1000重量部、好ましくは1〜500重量部、さらに好ましくは5〜300重量部程度であってもよく、通常1〜150重量部(例えば、2〜100重量部、好ましくは2〜80重量部、さらに好ましくは3〜50重量部、特に5〜30重量部)程度であってもよい。
樹脂組成物は、樹脂の種類に応じて複合材料(補強剤含有樹脂組成物)としてそのまま使用してもよく、必要に応じて硬化させてもよい。例えば、樹脂組成物は、樹脂が熱硬化性樹脂である場合、硬化した硬化物を形成してもよい。すなわち、硬化物は、前記樹脂組成物[すなわち、熱硬化性樹脂(例えば、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する熱硬化性樹脂など)と、セルロースファイバー又はその誘導体とを含む樹脂組成物]が硬化した硬化物である。なお、硬化物を形成する場合には、必要に応じて、前記樹脂組成物は、硬化剤、硬化触媒などを含んでいてもよい。
[抽出剤]
本発明では、上記のように、フルオレン骨格を有する化合物が、セルロース含有成分中の非結晶成分を選択的に可溶化又は抽出し、このような可溶化又は抽出されたセルロース含有成分から非結晶成分を分離することにより、セルロース[特に、セルロースファイバー(又はファイバー状のセルロース)]を得ることができる。
すなわち、前記製造方法において、前記フルオレン骨格を有する化合物は、リグノセルロースなどの非結晶性成分を含むセルロース含有成分から、非結晶成分を抽出により分離するための抽出剤として作用する。詳細には、このような抽出剤を用いて、セルロース含有成分から非結晶成分及び/又はその分解物(例えば、黒液など)を抽出することができる。そのため、本発明には、非結晶成分を含むセルロース含有成分(例えば、リグノセルロース)から非結晶成分(例えば、リグニンを含む非結晶成分)を抽出するための[詳細には、抽出してセルロース(例えば、繊維状のセルロース)を得るための]抽出剤(非結晶成分抽出剤)であって、前記フルオレン骨格を有する化合物で構成された抽出剤も含まれる。
なお、抽出剤は、フルオレン骨格を有する化合物のみで構成してもよく、他の抽出剤成分(又は可溶化助剤)を含んでいてもよい。このような成分としては、前記混合工程の項で例示の可溶化助剤などが含まれる。他の抽出剤成分は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、他の抽出剤成分(可溶化助剤)を使用する場合、フルオレン骨格を有する化合物と、可溶化助剤成分との割合は、例えば、例えば、前者/後者(重量比)=99/1〜20/80、好ましくは98/2〜50/50(例えば、97/3〜55/45)、さらに好ましくは96/4〜60/40(例えば、95/5〜65/35)程度であってもよい。
また、抽出剤は、必要に応じて、溶媒成分や酸触媒を含んでいてもよい。溶媒成分や酸触媒としては、前記例示の成分や酸触媒を使用でき、フルオレン骨格を有する化合物に対する割合もまた前記と同様の範囲から選択できる。
抽出剤の性状は、常温(例えば、15〜25℃程度)で液状であってもよく、セルロース含有成分との混合において液状とすることができれば、常温で固体状であってもよい。
なお、抽出剤により非結晶成分の抽出方法は、前記ファイバーの製造方法の混合工程と同様であり、混合条件なども同様である。すなわち、セルロース含有成分と抽出剤とを混合することにより、セルロース含有成分中の非結晶成分を抽出することができる。なお、抽出後の混合物(抽出物)には、抽出剤と非結晶成分(及び/又はその分解物)とが含まれているが、このような混合物から抽出剤を慣用の方法で簡便に回収することができる。
また、抽出物は、抽出剤と、非結晶成分及び/又はその分解物[例えば、リグニン、ヘミセルロース、不定形セルロース、およびこれらの分解物(リグニン分解物、オリゴ糖など)など]とを含む有用成分(例えば、黒液)であるため、抽出物そのものを各種原料(例えば、樹脂のモノマーなど)として使用することもできる。なお、抽出物は、必要に応じて、成分の一部を除去して使用してもよい。
抽出物において、非結晶成分の分解物の割合は、例えば、1〜100重量%、好ましくは2〜90重量%、さらに好ましくは5〜85重量%、特に10〜80重量%(例えば、20〜70重量%)程度であってもよい。また、抽出物が、抽出剤を含む場合、抽出剤(又はフルオレン骨格を有する化合物)の割合は、例えば、0.1〜90重量%、好ましくは0.3〜80重量%、さらに好ましくは0.5〜70重量%程度であってもよい。
なお、前記抽出物の形態は、通常、室温(15〜25℃)で液状又は半固形状であってもよい。特に、抽出物(液状組成物)の粘度は、25℃において、例えば、1〜3000mPa・s、好ましくは2〜2000mPa・s、さらに好ましくは3〜1000mPa・s(例えば、5〜800mPa・s)程度であってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
100メッシュに破砕した米松((株)ジュオン製)5gおよび9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BPEF、大阪ガスケミカル(株)製)50gを100mlのオートクレーブに入れ、220℃の油浴中で60分加熱した。そして、加熱後の混合物に、1,4−ジオキサンと水の混合溶媒(前者/後者(重量比)=90/10)100mlを加え、均一に分散するまで攪拌し、濾過、洗浄により残留BPEFを除去した。
洗浄後の濾物を蒸留水に再分散し、ペイントシェーカで30分間処理し、繊維分散液を得た。なお、繊維分散液を遠心分離した後、乾燥(60℃の真空乾燥機で3時間乾燥)した繊維の収量は1.9g(収率38%)であった。
そして、得られた繊維分散液を用いてガラス基板上にキャストし、室温で乾燥させたところ、透明かつ均一な膜が得られた。膜のSEM写真を図1に示す。SEM写真から明らかなように、ナノオーダーに解繊されたセルロース繊維(平均径100nm、平均繊維長1.5μm)が得られたことがわかった。
さらに、得られた繊維のIRスペクトルなどから、繊維からリグニンおよびヘミセルロースが除去(抽出)されていることを確認するとともに、微量のリグニンおよびBPEFが繊維に残存していることを確認した。
一方、洗浄後の濾液から、洗浄後の濾液を濃縮してからメタノールを加えてから10℃で再結晶することにより、BPEFを回収したところ、BPEF48g(使用したBPEFの96%)を回収できた。
(実施例2)
加熱温度を220℃に代えて、180℃としたこと以外は、実施例1と同様に繊維分散液を得た(繊維の収量2.1g、収率42%)。得られたセルロースナノファイバーのSEM写真を図2に示す。SEM写真から明らかなように、実施例1と同様に、ナノオーダーに解繊されたセルロース繊維(平均径150nm、平均繊維長1.8μm)が得られたことがわかった。
(比較例1)
100メッシュに破砕した米松((株)ジュオン製)5g、蒸留水50mL、硫酸1.5gを100mlの三口フラスコに入れてから、90℃の油浴で180分加熱した。そして、加熱後の混合物を濾過し、濾物を蒸留水100mlで二回洗浄したのち、濾物を水に再分散し、ペイントシェーカで30分処理した後、分散液を得た。なお、分散液を遠心分離した後、乾燥(60℃の真空乾燥機で3時間乾燥)した固形分の収量は1g(収率20%)であった。なお、実施例1および2よりも、収量が低い理由は、定かではないが、セルロースが加水分解したものと推測される。
そして、得られた繊維分散液を用いてガラス基板上にキャストし、室温で乾燥させたところ、不透明かつ不均一な膜が得られた。膜のSEM写真を図3に示す。SEM写真から明らかなように、ナノオーダーに解繊されたセルロース繊維は確認できなかった。
(実施例3)
実施例1で得られたセルロースファイバー8.8重量部、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製)70.0重量部、硬化剤としての酸無水物(日立化成(株)製、HN−5500)20.2重量部およびトリフェニルホスフィン1.0重量部をアセトンに溶解させ、均一な混合液を調製した。得られた混合液を、減圧下でアセトンを除去して離型剤で処理したガラス基板上にキャストし、送風乾燥機を用いて110℃で5時間加熱し、硬化させた。得られた硬化膜の線膨張係数をTMA(熱機械的分析)で測定したところ、110〜190℃において9.1×10−5/℃であった。
(比較例2)
実施例3において、セルロースファイバーを使用しなかったこと以外は、実施例3と同様にして、硬化膜を得、線膨張係数を測定したところ、110〜190℃において14.1×10−5/℃であった。
(実施例4)
実施例3において、セルロースファイバーの量を4.6重量部、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンの量を73.4重量部、酸無水物の量を21.0重量部にそれぞれ変えたこと以外は、実施例3と同様にして加熱したところ、硬化膜が得られた。
(実施例5)
実施例1で得られたセルロースファイバー10重量部、ポリ乳酸(三井化学(株)製、商品名「レイシアH−100J」)90重量部を1,4−ジオキサンに溶解させ、均一な混合液を調製した。得られた混合液を、減圧下で1,4−ジオキサンを除去してガラス基板にキャストし、室温で乾燥させた。得られた膜の線膨張係数をTMAで測定したところ、30〜110℃において9.7×10−5/℃であった。また、得られた膜の熱変形温度は110℃以上にまで向上していた。
(比較例3)
実施例5において、セルロースファイバーを使用しなかったこと以外は、実施例5と同様にして、膜を得、線膨張係数を測定したところ、30〜70℃において24.3×10−5/℃であった。
実施例3(および実施例4)と比較例2との比較、および実施例5と比較例3との比較により、実施例1で得られたセルロースファイバーの添加により、線膨張係数が大きく低下し、実施例で得られたセルロースファイバーは、補強剤として有用であることがわかった。
(実施例6)
実施例1において、米松の代わりに、ろ紙5g(アドバンテック製、5B)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、セルロースファイバーの分散液を得た。セルロース繊維の乾燥収量は、3.8g、収率は76%であった。
そして、得られた繊維分散液を用いてガラス基板上にキャストし、室温で乾燥させたところ、白い半透明かつ均一な膜が得られた。膜のSEM写真を図4に示す。SEM写真から明らかなように、ナノメータオーダーに解繊されたセルロースファイバー(平均径約30nm、平均繊維長1.0μm)が得られたことがわかった。
(実施例7)
実施例6で得られたセルロースファイバー10重量部をピリジン100重量部と無水酢酸15重量部の混合液に分散させてから80℃で60分アセチル化修飾させた後、アセトンとメタノールで洗浄、乾燥してアセチル化されたセルロースファイバー(セルロースアセテート繊維)を得た。
そして、実施例5と同様の方法により、得られたセルロースアセテートファイバー10重量部と、ポリ乳酸(三井化学(株)製、商品名「レイシアH−100J」)90重量部とを複合化した。すなわち、セルロースアセテートファイバー(ナノファイバー)およびポリ乳酸を1,4−ジオキサンに分散又は溶解させ、均一な混合液を調製した。得られた混合液を、ガラス基板にキャストし、室温で乾燥させてから、ホットプレス成形機でフィルムに成形した。得られたフィルムの写真(フィルムは写真中央部の四角片)を図5に示す。得られたフィルムの線膨張係数をTMAで測定したところ、30〜110℃において9.9×10−5/℃であった。また、得られたフィルムの熱変形温度は166℃以上にまで向上していた。
(実施例8)
各成分の割合を、セルロースアセテートファイバー30重量部、ポリ乳酸70重量部に替えたこと以外は、実施例7と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの線膨張係数をTMAで測定したところ、30〜110℃において5.6.×10−5/℃であった。また、得られたフィルムの熱変形温度は166℃以上にまで向上していた。
(実施例9)
各成分の割合を、セルロースアセテートファイバー5重量部、ポリ乳酸95重量部に替えたこと以外は、実施例7と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの線膨張係数をTMAで測定したところ、30〜110℃において19.8×10−5/℃であった。また、得られたフィルムの熱変形温度は165℃以上にまで向上していた。
本発明では、セルロース含有成分(特に、リグノセルロースなどの非結晶成分を含むセルロース、セルロースを主成分とするセルロース含有成分など)からセルロースを繊維状の形態(特に、セルロースナノファイバーの形態)で効率よく得ることができる。そして、このようなセルロースファイバーは、優れた特性を有しており、例えば、織布(不織布など)、フィルム、衣料などの材料の他、樹脂の補強剤などとして利用できる。

Claims (8)

  1. セルロース含有成分と9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物とを混合する混合工程と、この工程を経て得られた混合物から、少なくとも9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物を分離する分離工程とを含む方法により得られるファイバー状のセルロースであって、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物を含み、平均繊維径0.5nm〜1μm及び平均繊維長10nm〜100μmを有するファイバー状のセルロース。
  2. 9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物を0.01〜10重量%の割合で含む請求項1記載のファイバー状のセルロース。
  3. 9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物が下記式(1)で表される化合物である請求項1又は2記載のファイバー状のセルロース。
    (式中、環Zは芳香族炭化水素環を示し、Rは置換基を示し、Xはヘテロ原子含有官能基を示し、Rはアルキレン基を示し、Rは置換基を示し、kは0〜4の整数、mは0以上の整数、nは1以上の整数、pは0以上の整数である。)
  4. セルロース含有成分がリグノセルロースであり、リグニンを含む非結晶成分及び/又はその分解物を含む請求項1〜3のいずれかに記載のファイバー状のセルロース。
  5. 繊維径がナノメータサイズのセルロースナノファイバーである請求項1〜4のいずれかに記載のファイバー状のセルロース。
  6. 樹脂と、請求項1〜5のいずれかに記載のファイバー状のセルロース又はその誘導体とを含む樹脂組成物。
  7. 樹脂が、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する樹脂である請求項6記載の樹脂組成物。
  8. 熱硬化性樹脂と、請求項1〜5のいずれかに記載のファイバー状のセルロース又はその誘導体とを含む樹脂組成物が硬化した硬化物。
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