JP2018029497A - 菓子組成物及び菓子組成物の改良方法 - Google Patents

菓子組成物及び菓子組成物の改良方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フスマを利用して菓子類の品質を改良する技術を提供する。【解決手段】小麦粉の含有量が10質量%以下、水分含量が60質量%以上である菓子組成物において、平均粒径100μm未満のフスマの加熱処理物を0.1〜7質量%含有する菓子組成物である。また、小麦粉の含有量が10質量%以下、水分含量が60質量%以上である菓子組成物の改良方法において、平均粒径100μm未満のフスマの加熱処理物を0.1〜7質量%添加する菓子組成物の改良方法である。フスマは、軟質系小麦に由来するフスマであることが好ましい。また、プリン、ゼリー、フィリング、アイスクリーム、又は和菓子に適用されることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、フスマを用いた菓子組成物、及びフスマを利用した菓子組成物の改良方法に関する。
小麦の製粉工程で得られるフスマは、食物繊維、ビタミン、ミネラル等の栄養成分に富むものであるが、フスマ特有の穀物臭(以下「フスマ臭」とする)やざらつき感があり、保存性に劣るため、これまでは、飼料等として利用されることが多かった。
小麦フスマの応用に関し、例えば、下記特許文献1には、平均粒径5〜50マイクロメートルの小麦ふすま粉砕物を0.5重量%〜20重量%含有してなる化粧料が開示されている。
また、最近では、小麦フスマが含有する豊富な栄養成分に着眼して、菓子、パンなどの原料として利用できるようにした小麦フスマが製造、販売されている。
このような小麦フスマとして、例えば、下記特許文献2には、(1)原料小麦を粗粉砕する工程と、(2)工程(1)で得られた粗粉砕物から小麦ふすまを採取する工程と、(3)工程(2)で得られた小麦ふすまを加熱処理する工程と、(4)工程(3)で加熱処理した小麦ふすまを微粉砕する工程と、(5)工程(4)で得られた微粉砕物から平均粒径が150μm 未満〜200μm 未満の微ふすま画分を分取する工程とを含む、小麦ふすまの製造方法が開示されている。
特開2000−355530号公報 特開2013−243984号公報
上記特許文献1には、小麦フスマの粉砕物を化粧料に添加することにより、メークアップ化粧品の感触を改良したり、パック化粧料並びに洗顔化粧料の洗い上がり時に、しっとりすべすべ感を肌に付与したりすることができることが記載されている。また、下記特許文献2には、加熱処理した小麦フスマの微粉砕画分は、二次加工性に優れ、パン類、菓子類、麺類などの原料として非常に有用であり、これを用いて製造した二次加工品は食味・食感が良好であることが記載されている。
しかしながら、上記特許文献1では、食品の風味や食感の改良効果について着眼されていなかった。また、上記特許文献2では、フスマ臭が軽減される効果が記載されているにすぎなかった。
上記従来技術にかんがみ、本発明は、フスマを利用して菓子類の品質を改良する技術を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明者らが鋭意研究したところ、フスマに菓子類の品質を改良する作用効果があることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1は、小麦粉の含有量が10質量%以下、水分含量が60質量%以上である菓子組成物において、平均粒径100μm未満のフスマの加熱処理物を0.1〜7質量%含有することを特徴とする菓子組成物を提供するものである。
本発明による菓子組成物によれば、従来はフスマ臭やざらつき感等の問題があり、フスマを配合することが敬遠されがちであった、プリン、ゼリー、フィリング、アイスクリーム、和菓子など菓子組成物において、平均粒径100μm未満のフスマの加熱処理物を用いることで、その菓子組成物の風味や食感等の品質を改良することができる。
本発明による菓子組成物においては、前記フスマは、軟質系小麦に由来するフスマであることが好ましい。これによれば、フスマ臭が少なく、ざらつき感の少ない、より良好な食感の菓子組成物となる。
また、前記フスマの加熱処理物は、100〜120℃で30〜60分間の加熱処理を経たものであることが好ましい。これによれば、フスマに付着している微生物を死滅させて、より保存性の良好な菓子組成物となる。
また、前記菓子組成物は、プリン、ゼリー、フィリング、アイスクリーム、又は和菓子であることが好ましい。
一方、本発明の第2は、小麦粉の含有量が10質量%以下、水分含量が60質量%以上である菓子組成物の改良方法において、平均粒径100μm未満のフスマの加熱処理物を0.1〜7質量%添加することを特徴とする菓子組成物の改良方法を提供するものである。
本発明による菓子組成物の改良方法によれば、従来はフスマ臭やざらつき感等の問題があり、フスマを配合することが敬遠されがちであった、プリン、ゼリー、フィリング、アイスクリーム、和菓子など菓子組成物において、平均粒径100μm未満のフスマの加熱処理物を用いることで、その菓子組成物の風味や食感等の品質を改良することができる。
本発明による菓子組成物の改良方法においては、前記フスマは、軟質系小麦に由来するフスマであることが好ましい。これによれば、フスマ臭が少なく、ざらつき感の少ない、より良好な食感の菓子組成物となる。
また、前記フスマの加熱処理物は、100〜120℃で30〜60分間の加熱処理を経たものであることが好ましい。これによれば、フスマに付着している微生物を死滅させて、より保存性の良好な菓子組成物となる。
また、前記菓子組成物は、プリン、ゼリー、フィリング、アイスクリーム、又は和菓子であることが好ましい。
本発明によれば、従来はフスマ臭やざらつき感等の問題があり、フスマを配合することが敬遠されがちであった、プリン、ゼリー、フィリング、アイスクリーム、和菓子など菓子組成物において、平均粒径100μm未満のフスマの加熱処理物を用いることで、その菓子組成物の風味や食感等の品質を改良することができる。
本発明に使用するフスマとは、穀類の外皮部分をいう。例えば、小麦のフスマ、大麦のフスマ、ライ麦のフスマ、米糠などが挙げられる。また、穀類の外皮としては、大豆やトウモロコシの外皮なども挙げられる。
本発明においては、小麦フスマを用いることが好ましい。小麦フスマは小麦粉の製粉工程で副産物として生じ、通常は廃棄されるので、そのような小麦フスマを比較的安価に入手することが可能である。また、小麦フスマの有効利用にもつながる。特には、軟質系小麦に由来するフスマであることが好ましい。軟質系小麦としては、ウエスタン・ホワイト、オーストラリアン・スタンダード・ホワイト、きたほなみ、さとのそら等の麦種が挙げられる。麦種は1種類に限られるものではなく、2種以上の麦種に由来するフスマを組み合わせて用いてもよい。また、軟質系小麦と硬質系小麦に由来するフスマを組み合わせて用いてもよい。この場合、軟質系小麦に由来するフスマと硬質系小麦に由来するフスマとの合計量に対し、軟質系小麦に由来するフスマを50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましい。特には、ウエスタン・ホワイトに由来するフスマを用いることが好ましく、フスマとの合計量に対し、ウエスタン・ホワイトに由来するフスマを50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましい。
ここで、小麦フスマが副産物として生じる小麦粉の製粉工程について説明すると、例えば、ロール式粉砕機を用いて粉砕し、粉砕物をシフター及びピュリファイヤーで仕分けて、小麦の外皮や胚芽が除かれる。すなわち、このような製粉工程においては、主として胚乳部分からなる小麦粉と、外皮や胚芽の粉砕物とが、粒度等が異なる多数の画分に分かれて分離されてくる。
本発明では、上記のような製粉工程で分離される小麦フスマの画分のうち、いずれの画分のものを用いてもよく、また、任意の2種以上の画分を組み合わせて用いてもよい。なお、一般に、製粉工程で分離される小麦フスマの画分のうち、粒度の細かい部分は、胚乳部分である小麦粉が多く混入しており、粒度の細かい部分を除くことによって、食物繊維含量を高めることができる。また、製粉工程で分離される小麦フスマの画分のうち、粒度の粗い部分は、食物繊維含量が高くなる傾向があるが、フスマ臭も強くなるという問題がある。よって、製粉工程で分離される小麦フスマの画分のうち、粒度が所定値より小さい画分と、粒度が所定値より大きい画分を除いた中間粒度画分のフスマを採取することにより、食物繊維含量を高く維持しつつ、フスマ臭の少ない画分を得ることができる。また、中間粒度画分のフスマは、微粉砕しやすいという利点もある。
上記中間粒度画分のフスマとしては、目開き700〜900μmの間で選択された篩をパスし、目開き300〜500μmの間で選択された篩をオンする画分から採取されたものが好ましく、目開き750〜850μmの間で選択された篩をパスし、目開き350〜450μmの間で選択された篩をオンする画分から採取されたものがより好ましい。
こうして得られる中間粒度画分のフスマの灰分は、3〜6質量%であることが好ましく、4〜5質量%であることがより好ましい。フスマの灰分は、食物繊維含量が高くなるほど高くなる傾向があり、灰分が3質量%未満では食物繊維含量が不足し、6質量%を超えるとフスマ臭が強くなる傾向がある。
上記中間粒度画分のフスマは、フスマ臭が比較的少なく、胚乳や異物等の混入も少ないという利点がある。このため、食物繊維含量が高く、栄養成分に富み、フスマ臭が少ない原料を得ることができる。
本発明に使用するフスマは、加熱処理される必要がある。加熱処理によりフスマに付着している微生物を死滅させることができ、菓子組成物の保存性を損ねないようにすることができる。また、フスマ臭を低減させることができる。加熱処理の方法としては、公知の方法を採用することができる。具体的には乾熱加熱、湿熱加熱が挙げられる。例えば、乾熱乾熱では、原料に加水を行わずに加熱を行う。乾熱加熱に用いられる装置としては、回転釜、焙煎釜、パドルドライヤー、熱風乾燥機、棚式乾燥機などを用いることができる。また、湿熱加熱では、原料の水分含量が13〜16%程度となるように適宜加水し水分を調整した後、熱した密閉容器内で加熱を行う。あるいは加熱蒸気が含まれる容器中で加熱を行う。湿熱加熱に用いられる装置としては、密閉式加熱装置、ボックス式蒸し器などを用いることができる。その加熱条件に特に制限はないが、例えば、典型的には、回転釜等の加熱容器に入れて、撹拌しながら、最終品温が100〜120℃になるように、加熱時間がトータルで好ましくは30〜60分間になるように加熱する等によってなされる。また、回転釜等の加熱容器を用いる態様に限らず、例えば、回転ドラムにフスマを入れて、熱風を吹込みながら加熱する方法など、各種の態様を採用することができる。
上記加熱処理によって、一般生菌数が10,000個/g以下となるようにすることが好ましい。一般生菌数は、標準寒天培地を用いた段階希釈法によって測定することができる。一般生菌数を上記のように減らすことにより、最終製品の保存性を向上させることができると共に、焙煎による好ましい香りを効果的に付与することができる。
また、加熱処理後のフスマの水分量は、5質量%以下となるようにすることが好ましく、2〜3質量%となるようにすることがより好ましい。水分量を5質量%以下とすることにより、製品の保存性を高めることができるだけでなく、後述する粉砕工程において、より微細に粉砕されやすくすることができる。
本発明に使用するフスマは、上記のような加熱処理が施されていると共に、所定粒度である必要がある。すなわち、平均粒径100μm未満であることが好ましく、平均粒径60μm未満であることがより好ましい。なお、本明細書において「平均粒径」とは、粒度分布における50%中位径を意味するものとする。粒度分布における中位径とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径(体積中位径)を意味する。この中位径は、例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布計(例えば商品名「マイクロトラック」、日機装社製)で測定したメジアン径として測定し得る。
平均粒径が上記範囲となるように粉砕することにより、菓子組成物に添加したときのざらつき感を少なくして、滑らかで良好な食感を付与することができる。また、明るく、且つ均一な色調の外観とすることができる。
粒度は、粉砕、分級・篩い分けの手段により調整することができる。すなわち、粉砕手段により粉砕することでフスマを微細化し、それを分級・篩い分けの手段により分取することにより、上記の粒度範囲を満たすフスマを得ることができる。分級・篩い分けの手段の処理の後には、分取されなかった画分を集めて再び粉砕、分級・篩い分けの処理を施して、上記の粒度範囲を満たすフスマを得てもよく、あるいは上記の粒度範囲を満たさないフスマの画分を、上記の粒度範囲を満たすフスマの画分と混合したり、上記の粒度範囲を満たさないフスマの画分どうしを混合したりしてもよく、その態様は任意であるが、最終的にフスマの粒度が上記範囲を満たすようにすればよい。また、粉砕後に上記の粒度範囲を満たしていれば、分級・篩い分けは、必須ではないことは勿論である。粉砕手段は、特に限定されないが、例えば、気流式粉砕機や、衝撃式粉砕機などを使用することができる。
本発明に使用するフスマは、上述したように所定粒度に調整されたフスマの加熱処理物であり、その原料フスマ同様に、一般生菌数が10,000個/g以下となるようにすることが好ましい。また、その水分量は、5質量%以下となるようにすることが好ましく、2〜3質量%となるようにすることがより好ましい。また、その粒度が、目開き200μmの篩をパスするものの割合が90質量%以上となるよう調整されていることが好ましく、95質量%以上となるように調整されていることがより好ましい。また、その灰分は、3〜6質量%であることが好ましく、4〜5質量%であることがより好ましい。また、その食物繊維含量は、30〜60質量%であることが好ましく、35〜50質量%であることがより好ましい。ここで、食物繊維含量は、酵素−重量法で測定した値を意味する。
本発明においては、上記に説明した所定粒度に調整されたフスマの加熱処理物を菓子組成物に含有せしめる。その態様に特に制限はなく、例えば、該フスマの加熱処理物を原料の一部として用いて菓子組成物を製造したり、完成した菓子組成物に該フスマの加熱処理物を添加したり、更にその組織中に均一に混和するようにしたり、該フスマの加熱処理物を用いて菓子組成物の半完成品を製造したたうえ、他の菓子組成物素材と組み合わせて菓子組成物の完成品を得るようにしたりしてもよい。
ここで、本発明における菓子組成物とは、小麦粉の含有量が10質量%以下で、水分含量が60質量%以上であるものをいう。小麦粉の含有量は、8質量%以下であることが好ましく、6質量%以下であることが更により好ましく、実質的に含まれないことが最も好ましい。
菓子組成物としては、上記範囲のものであればよく、特に制限はないが、例えば、プリン、ゼリー、フィリング、アイスクリーム、又は和菓子などが挙げられる。なお、フィリングには、カスタードクリーム、チョコレートクリーム、ミルククリーム等が含まれる。また、和菓子には、水ようかん、わらびもち、ぎゅうひもち等が含まれる。なお、本発明が適用される菓子類が、複数の菓子組成物素材どうしを組み合わせてなる菓子組成物の場合であって、各菓子組成物素材が独立して食感や風味を呈する部分を構成する場合には、本発明における菓子組成物とは、その独立して食感や風味を呈する部分をいうものとする。
上記フスマの加熱処理物の菓子組成物中での好ましい含有量は、適用する菓子組成物の種類によっても異なるので一概ではないが、典型的には、0.1〜7質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。より具体的には、例えば、プリンでは、1〜5質量%であることが好ましく、1〜2質量%であることがより好ましい。ゼリーでは、0.1〜1質量%であることが好ましく、0.1〜0.5質量%であることがより好ましい。フィリングでは、1〜2質量%であることが好ましい。アイスクリームでは、1〜5質量%であることが好ましく、1〜2質量%であることがより好ましい。水ようかん等の和菓子では、0.9〜2.3質量%であることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<調製例1>
麦種として軟質系小麦のウエスタン・ホワイト(以下、「WW」という場合がある。)を選択し、その製粉工程で得られるフスマ画分を採取した。このフスマの灰分は、約5.8質量%であった。
上記フスマを、回転釜に入れて、撹拌しながら、最終品温120℃となるように加熱し、合計60分間焙煎した。こうして得られた焙煎フスマは、一般生菌数が260個/gであり、水分量は2.1質量%であった。
上記加熱処理フスマを、気流式粉砕機によって粉砕した。
上記粉砕物を目開き200μmのふるいにかけ、パスした部分を採取し、オンした部分を除去した。
こうして得られた加熱処理フスマの粉砕物を、レーザー回折/散乱式粒度分布計(例えば商品名「マイクロトラック」、日機装社製)を用いて測定したところ、平均粒径(粒度分布における50%中位径)が26μmであった。
<調製例2>
調製例1において、気流式粉砕機による粉砕の程度を弱めて、なお且つ、得られた粉砕物を目開き300μmのふるいにかけ、パスした部分を採取し、オンした部分を除去した以外は、他は調製例1と同様にして、加熱処理フスマの粉砕物を得た。この加熱処理フスマの粉砕物を、レーザー回折/散乱式粒度分布計(例えば商品名「マイクロトラック」、日機装社製)を用いて測定したところ、平均粒径(粒度分布における50%中位径)が101μmであった。
<調製例3>
調製例1において、衝撃式粉砕機による粉砕以外は、他は調製例1と同様にして、加熱処理フスマの粉砕物を得た。この加熱処理フスマの粉砕物を、レーザー回折/散乱式粒度分布計(例えば商品名「マイクロトラック」、日機装社製)を用いて測定したところ、平均粒径(粒度分布における50%中位径)が368μmであった。
<調製例4>
麦種として硬質系小麦のダーク・ノーザン・スプリングを主体とする小麦を選択して、その製粉工程で得られるフスマ画分を採取した。このフスマの灰分は、約5.4質量%であった。
上記フスマを、回転釜に入れて、撹拌しながら、最終品温120℃となるように加熱し、合計60分間焙煎した。こうして得られた焙煎フスマは、一般生菌数が2800個/gであり、水分量は2.8質量%であった。
上記加熱処理フスマを、気流式粉砕機によって粉砕した。
上記粉砕物を目開き200μmのふるいにかけ、パスした部分を採取し、オンした部分を除去した。
こうして得られた加熱処理フスマの粉砕物を、レーザー回折/散乱式粒度分布計(例えば商品名「マイクロトラック」、日機装社製)を用いて測定したところ、平均粒径(粒度分布における50%中位径)が82μmであった。
<調製例5>
調製例1に使用したフスマを、加熱処理せずに、気流式粉砕機によって粉砕した。
上記粉砕物を目開き200μmのふるいにかけ、パスした部分を採取し、オンした部分を除去した。
こうして得られた加熱処理フスマの粉砕物を、レーザー回折/散乱式粒度分布計(例えば商品名「マイクロトラック」、日機装社製)を用いて測定したところ、平均粒径(粒度分布における50%中位径)が30μmであった。
<試験例1(ミルクプリンの製造 その1)>
調製例1乃至5の粉砕フスマを使用して、その粉砕フスマを1質量%含有するミルクプリンを製造した。表1にはその配合を示す。具体的には、以下のようにしてミルクプリンを製造した。
(ミルクプリンの製造方法)
ボールに、卵黄とグラニュー糖を合わせてすりまぜる。粉砕フスマを加えて混ぜる。牛乳と生クリームを加える。かき混ぜながら、湯せんにかける。70℃を超えたら、湯に溶かした粉ゼラチンを加えて混ぜ、次いでバニラエッセンスを加えて混ぜる。茶漉しでこしながらプリンカップに60g〜70gずつ分注する。冷蔵庫で冷やし固める。
Figure 2018029497
得られたミルクプリンにつき、その外観、食感、味について、5名のパネラーによる官能評価を行った。評価では、下記基準にて5段階の相対評価でパネラーに点数を付けてもらい、その平均点を求めた。
・外観:色が暗く不均一/1〜5点/色が明るく均一
・食感:ざらつきが強い/1〜5点/ざらつきが弱い
・味:フスマ臭が強い/1〜5点/フスマ臭が弱い
結果を表2に示す。
Figure 2018029497
その結果、表2に示されるように、麦種としてWWを使用し、加熱処理し、平均粒径26μmとされた粉砕フスマ(調製例1)を配合したミルクプリンは、平均粒径101μmとされた粉砕フスマ(調製例2)や、平均粒径368μmとされた粉砕フスマ(調製例3)や、硬質系小麦を主体とした小麦を使用して調製された粉砕フスマ(調製例4)に比べ、外観、食感、味のいずれにおいても、優れていた。また、加熱処理しないで調製された粉砕フスマ(調製例5)を配合したミルクプリンは、若干のフスマ臭さを呈した。
<試験例2(ミルクプリンの製造 その2)>
調製例1の粉砕フスマを使用して、その粉砕フスマを0、1、2、5、又は8質量%含有するミルクプリンを製造した。表3にはその配合を示す。具体的には、以下のようにしてミルクプリンを製造した。
(ミルクプリンの製造方法)
ボールに、卵黄とグラニュー糖を合わせてすりまぜる。必要に応じて所定量の粉砕フスマを加えて混ぜる。牛乳と生クリームを加える。かき混ぜながら、湯せんにかける。70℃を超えたら、湯に溶かした粉ゼラチンを加えて混ぜ、次いでバニラエッセンスを加えて混ぜる。茶漉しでこしながらプリンカップに60g〜70gずつ分注する。冷蔵庫で冷やし固める。
Figure 2018029497
得られたミルクプリンにつき、その食感、味について、5名のパネラーによる官能評価を行った。評価では、下記基準にて5段階の相対評価でパネラーに点数を付けてもらい、その平均点を求めた。
・食感:ざらつきが強い/1〜5点/ざらつきが弱い
・味:味が薄い/1〜5点/味が濃い
結果を表4に示す。
Figure 2018029497
その結果、表4に示されるように、粉砕フスマ(調製例1)を配合したミルクプリンでは、その粉砕フスマの配合率が増えると食感のざらつきが増したが、所定範囲の配合率であれば、非添加に比べて味の濃さが増す効果が奏されることが明らかとなった。
<試験例3(水ようかんの製造)>
調製例1の粉砕フスマを使用して、その粉砕フスマを0、2、5、8、又は10質量%含有する水ようかんを製造した。表5にはその配合を示す。具体的には、以下のようにして水ようかんを製造した。
(水ようかんの製造方法)
水、粉寒天をなべに入れ、かき混ぜながら加熱する。粉寒天が溶けたらグラニュー糖を入れ溶かす。こしあんと、必要に応じて所定量の粉砕フスマを合わせたものをなべに加えて、滑らかに混ぜる。食塩を加え、型に入れて冷やし固める。
Figure 2018029497
得られた水ようかんにつき、その食感、味、作業性について、5名のパネラーによる官能評価を行った。評価では、下記基準にて5段階の相対評価でパネラーに点数を付けてもらい、その平均点を求めた。
・食感:角々しいまたは食べにくく重い/1〜5点/まろやかで食べやすい
・味:フスマ臭が強い/1〜5点/フスマ臭が弱い
・作業性:フスマがダマになりやすい/1〜5点/ダマにならない
結果を表6に示す。
Figure 2018029497
その結果、表6に示されるように、粉砕フスマ(調製例1)を配合した水ようかんでは、その粉砕フスマの配合率が増えるとフスマ臭が増したり、ダマが形成され易くなったりしたが、所定範囲の配合率であれば、非添加に比べて食感のまろやかさが増す効果が奏されることが明らかとなった。
<試験例4(コーヒーゼリーの製造)>
調製例1の粉砕フスマを使用して、その粉砕フスマを0、0.1、0.5、1、又は3質量%含有するコーヒーゼリーを製造した。表7にはその配合を示す。具体的には、以下のようにしてコーヒーゼリーを製造した。
(コーヒーゼリーの製造方法)
水、粉寒天をなべに入れ、かき混ぜながら加熱する。グラニュー糖とインスタントコーヒーと、必要に応じて所定量の粉砕フスマを合わせておき、なべに加えてなめらかになるまで混ぜる。型に入れて冷やし固める。
Figure 2018029497
得られたコーヒーゼリーにつき、その食感、味、作業性について、5名のパネラーによる官能評価を行った。評価では、下記基準にて5段階の相対評価でパネラーに点数を付けてもらい、その平均点を求めた。
・食感:ざらつき強い/1〜5点/ざらつき弱い
・味:味が薄い/1〜5点/味が濃い
・作業性:フスマがダマになりやすい/1〜5点/ダマにならない
結果を表8に示す。
Figure 2018029497
その結果、表8に示されるように、粉砕フスマ(調製例1)を配合したコーヒーゼリーでは、その粉砕フスマの配合率が増えると食感のざらつきが増したり、ダマが形成され易くなったりしたが、所定範囲の配合率であれば、非添加に比べて味の濃さが増す効果が奏されることが明らかとなった。
<試験例5(カスタードクリームの製造)>
調製例1の粉砕フスマを使用して、その粉砕フスマを0、1、2、3、又は5質量%含有するカスタードクリームを製造した。表9にはその配合を示す。具体的には、以下のようにしてカスタードクリームを製造した。
(カスタードクリームの製造方法)
なべに、牛乳及びグラニュー糖の材料の一部を加え、沸騰直前まであたためる。ボールに卵黄を入れて割りほぐし、砂糖を加えて混ぜ合わせる。ボールに小麦粉を加え、なめらかになるまで混ぜ合わせる。あたためた牛乳を加えて混ぜ、ふるいを通して濾す。火にかけて、ゴムベラで絶えずよく混ぜながら加熱し、沸騰させる。火からおろし、バターを加えて余熱で溶かしてよく混ぜる。その混合の際、少量のバニラエッセンスと、必要に応じて所定量の粉砕フスマを添加し、まぜる。別のボールに移し、氷に当てて冷やす。表面にラップを貼り付けるようにして冷蔵庫で冷やす。
Figure 2018029497
得られたカスタードクリームにつき、その食感と味について、5名のパネラーによる官能評価を行った。評価では、下記基準にて5段階の相対評価でパネラーに点数を付けてもらい、その平均点を求めた。
・食感:ざらつき強い/1〜5点/ざらつき弱い
・味:甘味が弱い/1〜5点/甘味が強い
結果を表10に示す。
Figure 2018029497
その結果、表10に示されるように、粉砕フスマ(調製例1)を配合したカスタードクリームでは、その粉砕フスマの配合率が増えると食感のざらつきが増したが、所定範囲の配合率であれば、非添加に比べて甘味の強さが増す効果が奏されることが明らかとなった。
<試験例6(アイスクリームの製造)>
市販のバニラアイスクリームに調製例1の粉砕フスマを添加、混合して、その粉砕フスマを0、1、2、5、又は8質量%含有するアイスクリームを製造した。表11にはその配合を示す
Figure 2018029497
得られたアイスクリームにつき、その食感と味について、5名のパネラーによる官能評価を行った。評価では、下記基準にて5段階の相対評価でパネラーに点数を付けてもらい、その平均点を求めた。
・食感:ざらつき強い/1〜5点/ざらつき弱い
・味:甘味が弱い/1〜5点/甘味が強い
結果を表12に示す。
Figure 2018029497
その結果、表10に示されるように、粉砕フスマ(調製例1)を配合したアイスクリームでは、その粉砕フスマの配合率が増えると食感のざらつきが増したが、所定範囲の配合率であれば、非添加に比べて甘味の強さが増す効果が奏されることが明らかとなった。

Claims (8)

  1. 小麦粉の含有量が10質量%以下、水分含量が60質量%以上である菓子組成物において、平均粒径100μm未満のフスマの加熱処理物を0.1〜7質量%含有することを特徴とする菓子組成物。
  2. 前記フスマは、軟質系小麦に由来するフスマである、請求項1記載の菓子組成物。
  3. 前記フスマの加熱処理物は、100〜120℃で30〜60分間の加熱処理を経たものである、請求項1又は2記載の菓子組成物。
  4. 前記菓子組成物は、プリン、ゼリー、フィリング、アイスクリーム、又は和菓子である請求項1〜3のいずれか1つに記載の菓子組成物。
  5. 小麦粉の含有量が10質量%以下、水分含量が60質量%以上である菓子組成物の改良方法において、平均粒径100μm未満のフスマの加熱処理物を0.1〜7質量%添加することを特徴とする菓子組成物の改良方法。
  6. 前記フスマは、軟質系小麦に由来するフスマである、請求項5記載の菓子組成物の改良方法。
  7. 前記フスマの加熱処理物は、100〜120℃で30〜60分間の加熱処理を経たものである、請求項5又は6記載の菓子組成物の改良方法。
  8. 前記菓子組成物は、プリン、ゼリー、フィリング、アイスクリーム、又は和菓子である、請求項5〜7のいずれか1つに記載の菓子組成物の改良方法。
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