JP2018025760A - 定着部材、定着装置及び電子写真画像形成装置 - Google Patents

定着部材、定着装置及び電子写真画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高品位な電子写真画像を形成することのできる定着部材の提供。【解決手段】該定着部材は、基材、基材上の弾性層、弾性層上に接着剤層を介して設けられているフッ素樹脂を含む表層を有し、表層の厚み方向の熱抵抗値が3.0×10−5m2・K/W以上、1.3×10−4m2・K/W以下であり、表層と弾性層とのはく離接着強さが3.0N/cm以上、20.0N/cm以下であり、かつ、弾性層は、該表層の該弾性層からのはく離試験において凝集破壊するものであり、フッ素樹脂がテトラフルオロエチレン/パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体を含み、該共重合体におけるパーフルオロエチルビニルエーテルの重合割合が3.0モル%以上、5.8モル%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真用の定着部材に関する。また、それを用いた定着装置及び電子写真画像形成装置に関する。
一般に、複写機やレーザープリンタ等の電子写真方式に用いられる加熱定着装置では、一対の加熱されたローラとローラ、フィルムとローラ、ベルトとローラ、ベルトとベルト、といった回転体同士が圧接されている。そして、この回転体間に形成された圧接部位(以下、「定着ニップ部」ともいう)に、未定着トナーで形成された画像(以下、「未定着トナー画像」ともいう)を担持した記録媒体を導入し、該未定着トナーを加熱、熔融せしめて記録媒体に定着させる。
記録媒体上に保持された未定着トナー画像が接する回転体は定着部材と称され、また、その形状に応じて定着ローラ、定着フィルムまたは定着ベルトと称されている。
特許文献1には、金属または耐熱性樹脂で形成された基材上に、シリコーンゴムを含む弾性層と、該弾性層上に接着剤を介して接着されてなる離型層とを有する定着部材が開示されている。
また、特許文献2は、基材と弾性層と該弾性層上に形成された離型層とをこの順に有する定着部材を開示している。特許文献2の発明に係る離型層は、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を含む。そして、該離型層における全てのPFAを基準として、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)の割合が、3.0モル%以上、5.8モル%以下である。また、特許文献2には、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)の割合が、3.0モル%以上、5.8モル%以下であるPFAが、結晶性が低く、熱定着の際の温度、例えば、150℃の温度においては柔軟なゴム状態を示すことが記載されている。
特開2016−12128号公報 特開2016−95475号公報
特許文献2に記載されているように、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)の割合が、3.0モル%以上、5.8モル%以下であるPFA(以下、「ソフトPFA」ともいう)は柔軟性に富む。そのため、これを離型層に用いた定着部材は、その表面を、紙の表面の凹凸に良く追従させることができる点で好ましいものといえる。ところで、ソフトPFAを含む離型層を有する定着部材を得る方法としては、ソフトPFAの円筒押出成形物からなるフッ素樹脂チューブを弾性層の表面にシリコーンゴム接着剤を用いて接着する方法が考えられる。円筒押出成形物からなるフッ素樹脂チューブは、厚み方向の熱伝導率が、押出方向に平行な方向の熱伝導率よりも低いという特性を有する。これは、押出成形によってPFAのポリマー鎖が押出し方向に平行な方向に配向しているためであると考えられる。
ここで、定着部材においては、定着部材の裏面に配置された加熱手段からの熱を、未定着トナー像と接する離型層の側に、より効率的に伝える上で、離型層の厚み方向の熱伝導率の低さは、改善すべき点である。そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、ソフトPFAの円筒押出成形物であるチューブをアニール処理することで、当該チューブにおけるポリマー鎖の配向を緩和することができ、これによって、厚み方向の熱伝導率を改善できることを見出した。しかしながら、シリコーンゴムを含む弾性層の表面にシリコーンゴム接着剤で接着してなるソフトPFA製のチューブをアニール処理したところ、この接着剤がアニール処理の熱によって劣化し、接着強度が低下するという新たな課題が生じることを見出した。
本発明の一態様は、高品位な電子写真画像の形成を可能とする定着部材、及びその製造方法の提供に向けたものである。
また、本発明の他の態様は、高品位な電子写真画像の形成に資する定着装置、及び電子写真画像形成装置の提供に向けたものである。
本発明の一態様によれば、基材、該基材上の弾性層、該弾性層上に接着剤層を介して設けられているフッ素樹脂を含む表層を有する定着部材であって、
該表層の厚み方向の熱抵抗値が、3.0×10−5・K/W以上、1.3×10−4・K/W以下であり、
該表層と該弾性層とのはく離接着強さが、3.0N/cm以上、20.0N/cm以下であり、かつ、
該弾性層は、該表層の該弾性層からのはく離試験において、凝集破壊するものであり、
該フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン/パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体を含み、
該テトラフルオロエチレン/パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体におけるパーフルオロエチルビニルエーテルの重合割合が3.0モル%以上、5.8モル%以下である定着部材が提供される。
本発明の他の態様によれば、上記の定着部材と、該定着部材の加熱手段とを具備している定着装置が提供される。
本発明の他の態様によれば、上記の定着装置を具備している電子写真画像形成装置が提供される。
本発明の更に他の態様によれば、
(1)フッ素樹脂の円筒押出成形物からなるフッ素樹脂チューブを用意する工程;
(2)基材上の弾性層の表面に、該フッ素樹脂チューブを、付加硬化型シリコーンゴム接着剤層で接着する工程;および
(3)該弾性層上に接着された該フッ素樹脂チューブを、該フッ素樹脂チューブが含むフッ素樹脂の融点以上に加熱する工程、を有し、
該フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン/パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体を含み、該テトラフルオロエチレン/パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体におけるパーフルオロエチルビニルエーテルの重合割合が3.0モル%以上、5.8モル%以下であり、
該付加硬化型シリコーンゴム接着剤層が、酸化チタンを含む、定着部材の製造方法が提供される。
本発明の一態様によれば、高品位な電子写真画像の形成を可能とする定着部材、及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明の他の態様によれば、高品位な電子写真画像の形成に資する定着装置、及び電子写真画像形成装置を提供することができる。
本発明に係る定着部材の一形態の断面模式図。 フッ素樹脂表層の厚みと厚み方向の熱伝導率の関係の例を示すグラフ。 本発明に係る定着装置の一形態の断面模式図。 本発明に係る電子写真画像形成装置の一形態の断面模式図。 はく離接着強さの測定方法を説明する模式図。
本発明の一態様に係る定着部材とその製造方法、加熱定着装置及び画像形成装置について、以下に具体的な構成に基づき詳細に説明する。しかし、本発明の範囲はこの形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で変更されたものも本発明に含まれる。
本発明の一態様に係る定着部材は、紙の繊維の凹凸への追従性が良く、従って定着ニップ部におけるトナーの溶融ムラが抑制される。また、フッ素樹脂表層の厚み方向の伝熱性が向上し、従って定着性が向上する。これは、電子写真画像形成装置のTEC(Typical Electricity Consumption)削減につながる。そして、これらの利点と同時に、フッ素樹脂表層とシリコーンゴム弾性層との接着性に優れるという利点がもたらされる。
(1)定着ベルトの構成概略;
図1は本発明の一態様に係る、エンドレスベルト形状を有する定着部材(以下、「定着ベルト」ともいう)の一形態を示す断面模式図である。定着ベルト1において、エンドレスベルト形状を有する基材1bの内周面に内面摺動層1aが配される。内面摺動層は、定着ベルトと押圧部材との間の摺動性を向上させるために設けられており、摺動性を特に向上させる必要がない場合には、内面摺動層1aは省略される場合もある。
弾性層が基材の外周面上に設けられる。具体的には、基材1bの外周面が、プライマー層1cを介して配されたシリコーンゴム弾性層1dによって被覆される。シリコーンゴム弾性層1d上に、シリコーンゴム接着剤層1eを介して、フッ素樹脂表層1fが配されている。各部材につき、以下に具体的に説明する。
(2)基材;
定着ベルト1には耐熱性が要求される為、基材1bは、耐熱、耐屈曲性に配慮されたものを用いるのが好ましい。例えば、金属製の基材としては、特開2002−258648号公報、国際公開2005/054960号、特開2005−121825号公報に開示されるようにニッケル電鋳製の基材などを用いることができる。樹脂製の基材としては、特開2005−300915号公報、特開2010−134094号公報に開示されるようにポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂の如き耐熱性に優れた樹脂製の基材を用いることが出来る。定着ベルトとしての基材の厚みは、特に限定されないが、屈曲性や耐久性の観点から、例えば、20μm以上、100μm以下、特には、20μm以上、60μm以下が好ましい。基材1bは、定着ベルト1と同様にエンドレスベルト形状であることが好ましく、図1に示す態様では円筒状基材である。
(3)摺動層、及びその形成方法;
摺動層1aには、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂のような高耐久性、高耐熱性を持つ樹脂が適している。特に、制作の容易さ、耐熱性、弾性率、強度等の面から、ポリイミド樹脂が好ましい。ポリイミド樹脂層は、次のようにして形成することができる。すなわち、芳香族テトラカルボン酸二無水物或いはその誘導体と、芳香族ジアミンとの略等モルを有機極性溶媒中で反応させて得られるポリイミド前駆体溶液を、前記円筒状基材内面に塗工、乾燥、加熱し、脱水閉環反応させることで形成することができる。
塗工方法としてはリングコート法等の方法が可能である。円筒状基材1bの内面にポリイミド前駆体溶液を塗工した後は、内面塗工された円筒状基材を、例えば60℃の熱風循環炉に30min放置して乾燥する。その後これを、200℃〜240℃の熱風循環炉内に10〜60min放置して焼成することにより、脱水閉環反応によりポリイミド内面摺動層を形成することができる。
(4)シリコーンゴム弾性層、およびその形成方法;
シリコーンゴム弾性層1dは、定着時にトナー画像と用紙の凹凸に対して均一な圧力を与えるために定着部材に担持させる弾性層として機能する。かかる機能を発現させる上で、シリコーンゴム弾性層1dは、特に限定しないが、加工性にも鑑み付加硬化型シリコーンゴムを硬化させたものとすることが好ましい。
一般に、付加硬化型シリコーンゴムには、不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサンと、ケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサン、および架橋触媒として白金化合物が含まれている。
ケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサンは白金化合物の触媒作用により、不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサン成分のアルケニル基との反応によって架橋構造を形成する。
シリコーンゴム弾性層1dは、定着部材の熱伝導性の向上、補強、耐熱性の向上等のためにフィラーを含んでいてもよい。
特に、熱伝導性を向上させる目的では、フィラーとしては高熱伝導性であるものが好ましい。具体的には、無機物、特に金属、金属化合物等を挙げることができる。
高熱伝導性フィラーの具体例は、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、シリカ(SiO)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)などが挙げられる。これらは単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
高熱伝導性フィラーの平均粒径は取り扱い上、および分散性の観点から1μm以上、50μm以下が好ましい。ここでいう平均粒径は、レーザ回折・散乱法の相対粒子量50%(体積基準)粒子径である。また、形状は球状、粉砕状、板状、ウィスカー状などが用いられるが、分散性の観点から球状のものが好ましい。
定着部材の表面硬度への寄与、及び定着時の未定着トナーへの熱伝導の効率から、シリコーンゴム弾性層の厚みの好ましい範囲は100μm以上、500μm以下であり、特には200μm以上、400μm以下が好ましい。
シリコーンゴム弾性層については金型成形法や、ブレードコート法、ノズルコート法、リングコート法等の加工法が、特開2001−62380号公報や特開2002−213432号公報に開示されるように、広く知られている。これらの方法により基材の上に担持された原料混和物を加熱・架橋することでシリコーンゴム弾性層を形成することができる。
円筒状基材1bとシリコーンゴム弾性層1dの接着性向上のため、円筒状基材1bが、予めプライマー処理されていることが望ましい。この時に使用されるプライマーには、シリコーンゴム弾性層1dに比べて円筒状基材1bとの濡れ性が良いことが求められる。このようなプライマーとしては、例えば、ヒドロシリル系(SiH系)シリコーンプライマー、ビニル系シリコーンプライマー、アルコキシ系シリコーンプライマーなどが挙げられる。また、プライマー層1cの厚みとしては、ムラを少なくしつつ、接着性能を発揮する程度の量が良く、0.5μm以上、3μm以下程度が望ましい。
(5)表層、およびその形成方法;
フッ素樹脂を含む表層1fは、シリコーンゴム弾性層と共に、画像の均一性を確保する上で重要な機能を有する層である。
表層が含むフッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)の一種であるテトラフルオロエチレン/パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体を含む。表層は、テトラフルオロエチレン/パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体からなることができる。
テトラフルオロエチレン/パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体におけるパーフルオロエチルビニルエーテルの重合割合が3.0モル%以上、5.8モル%以下であることが肝要である。
テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)において、PAVE骨格部はテトラフルオロエチレン(以下、TFEともいう)の中で、共重合体の骨格部がもたらす結晶化を阻害する。したがって、PAVE骨格部は、PFAの非晶部分に主に存在する。PAVEを3.0モル%以上、5.8モル%以下の重合割合とすることにより、非晶部分を多く形成可能となる。PAVEが3.0モル%を下回ると、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)骨格が形成する結晶部分が多く形成されてしまうため柔軟性が低下し、その結果、紙繊維への追従性が低くなる。また、5.8モルを超えると、PFAの弾性率が低くなり、耐摩耗性が低下する。
PFAのガラス転移温度はその組成にもよるが、一般に100℃前後である。定着部材の実使用温度域である150℃前後では、PFAは、ガラス転移温度以上となることから、所謂ゴム状態として存在する。本発明で用いるPFAは、非晶部分が一般的なPFAより多いことに伴い、定着温度近傍においてより柔軟に存在することが可能となる。この離形層(フッ素樹脂表層)の構成が、シリコーンゴム弾性層の構成と相まって特徴を呈することで、トナーの溶融ムラを低減することが可能となる。
また、PAVEとしては、一般的にはパーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、パーフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)、パーフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)、等があるが、本発明ではPEVEであることが肝要である。これは、室温領域の剛性は下げずに使用温度領域における柔軟性を上げられる観点、合成の容易さの観点、ストレスクラックによる割れの観点でPMVE、PPVEよりPEVEが優れるためである。
PFAの合成方法については公知の技術を利用することが可能であり、例えば特開2004−161921号公報に開示された方法で合成することが可能である。
フッ素樹脂表層1fの形成手段としては、例えば、フッ素樹脂のチューブ状成形体で、特には押出成形によりチューブ状に成形したフッ素樹脂チューブで、シリコーンゴム弾性層表面を、接着剤を介して被覆する方法が挙げられる。
具体的には、例えば次のようにしてフッ素樹脂表層を形成することができる。すなわち、前述したシリコーンゴム弾性層1d上の表面に、付加硬化型シリコーンゴム接着剤を塗布する。この外面に、フッ素樹脂の円筒押出成形物からなるフッ素樹脂チューブを被覆し、積層させる。被覆方法は特に限定されないが、付加型シリコーンゴム接着剤を潤滑材として被覆する方法や、フッ素樹脂チューブを外側から拡張させながら、被覆する方法等を用いることが出来る。
ここで、表層厚みは、6〜23μmの範囲が望ましい。表層が6μm以上であれば、フッ素樹脂チューブ自体の成形が容易である。表層が23μm以下であると、優れた伝熱性を得やすい。
適宜の手段を用いて、硬化したシリコーンゴム弾性層1dとフッ素樹脂表層1fとの間に残った、余剰の付加硬化型シリコーンゴム接着剤を、扱き出すことで除去する。扱き出した後の接着剤層の厚みは、伝熱性を損なわないために10μm以下であることが好ましい。付加硬化型シリコーンゴム接着剤は、アクリロキシ基、ヒドロシリル基(SiH基)、エポキシ基、アルコキシシリル基等の官能基を有するシランに代表される自己接着成分が配合された付加硬化型シリコーンゴムを含む。そして、電気炉などの加熱手段にて所定の時間加熱することで、付加硬化型シリコーンゴム接着剤を硬化させ、接着剤層1eとする。このような接着剤層は、付加硬化型シリコーンゴム接着剤の硬化物を含み、特には付加硬化型シリコーンゴム接着剤の硬化物からなる。このようにして、弾性層の表面に、フッ素樹脂チューブを、付加硬化型シリコーンゴム接着剤層で接着することができる。
これらの接着工程に先立って、フッ素樹脂チューブの内面は、予め、ナトリウム処理やエキシマレーザ処理、アンモニア処理等を施すことで、接着性を向上させることが出来る。また、特開2009−244887公報で開示されているように、シリコーンゴム弾性層に紫外線処理を適宜施してもよい。紫外線処理の目的は、シリコーンゴム弾性層に対する付加硬化型シリコーンゴム接着剤の過剰な浸透を抑制し、下層のシリコーンゴム弾性層の弾性を維持させることで、定着部材としての表面硬度を適度に保つことである。
(6)フッ素樹脂チューブの配向緩和処理、およびフッ素樹脂チューブとシリコーンゴム弾性層との接着性維持;
フッ素樹脂チューブ被覆後は、更に、フッ素樹脂を融点以上に加熱してフッ素樹脂チューブの分子配向を緩和させることが望ましい。なぜなら、フッ素樹脂チューブは押出成形によって成形されている性質上、薄肉にするほど、成形時に長手方向(MD)に分子配向をしてしまう。その結果、図2(フッ素樹脂表層の厚みと厚み方向の熱伝導率の関係の例を示すグラフ)の三角(△)のプロットのように厚み方向の熱伝導率が下がってしまうためである。フッ素樹脂チューブをその融点以上に加熱することによって成形時の配向を緩和することにより、図2の四角(□)のプロットのように厚み方向の熱伝導率を上昇させることができる。
ここで、フッ素樹脂チューブが含むソフトPFAの融点は、例えば、300〜315℃程度である。従って、フッ素樹脂チューブの配向緩和のためには、当該フッ素樹脂チューブを、例えば、温度320℃またはそれ以上の温度に所定の時間置くことが好ましい。所定の時間の目安としては、例えば、3分以上、好ましくは、5分以上である。なお、フッ素樹脂チューブの加熱温度は、フッ素樹脂の劣化を抑制するため、350℃以下とすることが好ましい。
ここで、フッ素樹脂チューブの配向を緩和させるために、フッ素樹脂チューブを接着層上において、フッ素樹脂の融点以上の高温に加熱する際には、熱による接着層の劣化を抑制するための対策を施すことが好ましい。接着層の劣化を抑制することにより、表層とシリコーンゴム弾性層との間でのより高い接着強度を維持することができる。
そのような対策として、例えば、酸化チタンなどのラジカルトラップ剤をあらかじめ未硬化の接着剤に配合させることが有効である。酸化チタンは接着剤中に含まれる付加硬化型シリコーンゴムのメチル基のクラッキングを抑制することで、軟化劣化を抑制する効果がある。接着剤中における酸化チタン粒子の含有量は、接着剤中の未硬化シリコーンゴム100質量部に対して酸化チタン粒子の含有量が、0.1質量部以上12.0質量部以下であることが好ましい。また、酸化チタンの粒径は小さいほどよく、レーザ回折・散乱法の相対粒子量50%粒子径(体積基準)で、好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下である。
定着部材の伝熱性向上の観点で、フッ素樹脂表層は「厚み÷熱伝導率」で算出される厚み方向の熱抵抗値が3.0×10−5・K/W以上、1.3×10−4・K/W以下であることが肝要である。3.0×10−5(m・K/W)を下回るとフッ素樹脂表層としての形成が困難となり、1.3×10−4(m・K/W)を上回ると定着部材から記録媒体への伝熱性が低下するためである。厚み方向の熱抵抗値を減少させるためにフッ素樹脂チューブの厚みを減少させると、分子配向に起因して厚み方向の熱伝導率が下がることがある。そのため、厚み方向の熱抵抗値をこの範囲に調整するためには、例えば、前述のように薄肉のフッ素樹脂チューブで被覆後、フッ素樹脂の融点以上に加熱して配向緩和を利用する。
フッ素樹脂チューブで被覆し、融点以上に加熱してフッ素樹脂チューブの配向を緩和させた後は、両端部を所望の長さに切断することで定着ベルト1を得ることができる。
(7)定着装置の構成概略;
図3は、本発明に係る定着装置の一形態の断面模式図である。この定着装置は、前述した定着部材と、定着部材を加熱する加熱手段とを備える。加熱手段としては定着装置の分野で公知の加熱手段、例えば電気ヒータ、を適宜使用することができる。ここでは定着ベルト1が定着部材であり、定着ヒータ2が加熱手段である。
定着装置100は前述の定着ベルト1を有する。定着ベルト1との間で定着ニップ部14を形成する加圧部材としての加圧ローラ6が配される。ニップ部形成部材兼加熱体として定着ヒータ2が配され、耐熱性を有するフィルムガイド兼ヒータホルダ4が配される。定着ヒータ2は、フィルムガイド兼ヒータホルダ4の下面にフィルムガイド兼ヒータホルダ4の長手方向に沿って固定されており、定着ベルト1と定着ヒータ2の加熱面が摺動可能な構成とされている。そして、定着ベルト1はこのフィルムガイド兼ヒータホルダ4に若干の自由度を持って外嵌されている。フィルムガイド兼ヒータホルダ4は、耐熱性の高い液晶ポリマー樹脂で形成されており、定着ヒータ2を保持するとともに定着ベルト1を記録媒体Pと分離させるための形状にする役割を果たしている。加圧ローラ6は、金属製の芯金上に、シリコーンゴム層、さらにPFA樹脂チューブが順に積層された多層構造とされている。この加圧ローラ6の芯金の両端部が、装置フレーム13の不図示の奥側と手前側の側板間に回転可能に軸受保持されている。この加圧ローラ6の上側に、定着ヒータ2、フィルムガイド兼ヒータホルダ4、定着ベルトステイ5、定着ベルト1を備えた定着ユニットが設置される。この定着ユニットは、定着ヒータ2側を下向きにして加圧ローラ6に平行に設置されている。定着ベルトステイ5の両端部は不図示の加圧機構によりその一端側が所定の力(例えば156.8N(16kgf)、総圧313.6N(32kgf)の力)で加圧ローラ6に付勢されている。その結果、定着ヒータ2の下面(加熱面)を、定着ベルト1を介して加圧ローラ6のシリコーンゴム弾性層に抗して所定の押圧力をもって圧接させ、定着に必要な所定幅の定着ニップ部14が形成されている。温度検知手段としてのサーミスタ3(ヒータ温度センサ)は、熱源である定着ヒータ2の裏面(加熱面とは反対側の面)に設置され、定着ヒータ2の温度を検知する機能を担っている。加圧ローラ6は矢印の方向に所定の周速度で回転駆動される。これと圧接された関係にある定着ベルト1は加圧ローラ6によって従動し所定の速度で回転する。このとき、定着ベルト1の内面が定着ヒータ2の下面に密着して摺動しながらフィルムガイド兼ヒータホルダ4の外回りを矢印の方向に従動回転する状態になる。
定着ベルト1内面には、固体成分(コンパウンド)と基油成分(オイル)からなる半固形状潤滑剤(以下、グリス)が塗布され、フィルムガイド兼ヒータホルダ4と定着ベルト1内面との摺動性を確保している。半固形状潤滑剤のコンパウンドとしては、グラファイトや二硫化モリブデンなど固体潤滑剤、酸化亜鉛やシリカなど金属酸化物、PFPE(パーフルオロポリエーテル)やPTFEなどフッ素樹脂などが挙げられる。また、基油成分としては、シリコーンオイルやフルオロシリコーンオイルなど、耐熱性のある高分子樹脂オイルが挙げられる。例えば、コンパウンドとしてPTFE粉体微粒子(粒径3μm)、オイルとしてフルオロシリコーンオイルを用いたグリスが使用される。
サーミスタ3は、定着ヒータ2の裏面に接触するよう配置され、A/Dコンバータ9を介して制御手段としての制御回路部(CPU)10に接続されている。この制御回路部(CPU)10はそれぞれのサーミスタからの出力を所定の周期でサンプリングしており、このように得られた温度情報を温度制御に反映させる構成となっている。つまり、制御回路部(CPU)10は、サーミスタ3の出力をもとに、定着ヒータ2の温調制御内容を決定する。そして、電力供給部であるヒータ駆動回路部11によって、定着ヒータ2の温度が目標温度(設定温度)となるように定着ヒータ2への通電を制御する役割を果たしている。また、制御回路部(CPU)10は、後述する定着ベルト残寿命推定シーケンスの制御をする役割も果たしており、加圧ローラ6の駆動モータとA/Dコンバータ9を介して接続されている。定着ヒータ2は、アルミナの基板と、基板上に設けられた、銀・パラジウム合金を含んだ導電ペーストをスクリーン印刷法によって均一な10μm程度の厚さの膜状に塗布した抵抗発熱体を有している。さらに、その上に、耐圧ガラスによるガラスコートが施され、セラミックヒータとされている。加圧ローラ6の駆動モータは、モータ駆動回路部12によって駆動される。
未定着トナー像tが形成された記録媒体Pは、入口ガイド7によってガイドされ、定着ニップ部14に通され、定着排紙ローラ8によって定着装置100から排出される。
(8)画像形成装置の構成概略;
図4は、本発明に係る電子写真画像形成装置の一形態の断面模式図である。101は像担持体としての感光ドラムであり、矢印の反時計方向に所定のプロセス速度(周速度)で回転駆動される。感光ドラム101はその回転過程で帯電ローラ等の帯電装置102により所定極性に帯電処理される。次いで、その帯電処理面にレーザ光学系110から出力されるレーザ光103により、入力された画像情報に基づき露光処理される。レーザ光学系110は、不図示の画像読み取り装置等の画像信号発生装置からの目的画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調(オン/オフ)したレーザ光103を出力して、感光ドラム101面を走査露光するものである。その結果、この走査露光により感光ドラム101面には画像情報に対応した静電潜像が形成される。レーザ光学系110からの出力レーザ光103を感光ドラム101の露光位置に偏向させるために偏向ミラー109が用いられる。そして、感光ドラム101上に形成された静電潜像は、現像装置104のうちのイエロー現像器104Yによりイエロートナーにて可視像化(現像)される。このイエロートナー像は感光ドラム101と中間転写ドラム105との接触部である一次転写部T1において中間転写ドラム105面に一次転写される。なお、感光ドラム101面上に残留するトナーはクリーナ107によりクリーニング(清掃)される。上記のような帯電・露光・現像・一次転写・清掃のプロセスサイクルが、マゼンタトナー像(現像器104Mが作動)、シアントナー像(現像器104Cが作動)、ブラックトナー像(現像器104Kが作動)を形成すべく、同様に繰り返される。このようにして中間転写ドラム105上に順次重ねて形成された各色のトナー像は、転写ローラ106との接触部である二次転写部T2において、記録媒体P上に一括して二次転写される。中間転写ドラム105上に残留するトナーはトナークリーナ108によりクリーニングされる。なお、このクリーナ108は、中間転写ドラム105に対し接離可能とされており、中間転写ドラム105をクリーニングする時に限り中間転写ドラム105に接触した状態となるように構成されている。また、転写ローラ106も、中間転写ドラム105に対し接離可能とされており、二次転写時に限り中間転写ドラム105に接触した状態となるように構成されている。二次転写部T2を通過した記録媒体Pは、画像加熱装置としての定着装置100に導入され、その上に担持した未定着トナー像の定着処理(画像加熱処理)を受ける。そして、定着処理を受けた記録媒体Pは、機外に排出されて、一連の画像形成動作が終了する。
本発明の一態様によれば、紙の繊維の凹凸への追従性が良く、フッ素樹脂表層の厚み方向の伝熱性が向上し、フッ素樹脂表層とシリコーンゴム弾性層との接着性に優れた定着部材を得ることができる。また、本発明の他の態様によれば、高品位な電子写真画像の形成に資する定着装置、および、電子写真画像形成装置を得ることができる。
[実施例1]
図1に示した構成を有する定着部材、特には定着ベルトを作製した。基材として国際公開2005/054960号で開示されているニッケル−鉄合金からなる内径(直径)30mm、厚み40μm、長さ400mmの無端円筒状基材を用いた。
ポリイミド前駆体溶液として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンからなるポリイミド前駆体をN−メチル−2−ピロリドンで5倍(質量基準)希釈した溶液を用意した。この前駆体溶液を、前記円筒状基材内面にリングコート法にて塗工し、200℃で20分間焼成することで、イミド化させ、厚み15μmの内面摺動層を形成した。
円筒状基材の表面にはヒドロシリル系のシリコーンプライマー「信越化学製;DY39−051 A/B(商品名)」を塗工し、200℃にて5分間焼成し、膜厚1μmのプライマー層を得た。
その外側に、300μm厚の付加硬化型シリコーンゴムを塗工し、200℃にて30分間焼成した。この時、付加硬化型シリコーンゴムの原液は、下記の材料(a)および(b)を、Si−H基に対するビニル基の個数の割合(H/Vi)が、0.45となるように配合し、触媒量の白金化合物を加えることによって得た。
(a)1分子中にビニル基を2個以上有する、ビニル化ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量100000(ポリスチレン換算));
(b)1分子中にSi−H結合を2個以上有する、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン(重量平均分子量1500(ポリスチレン換算))。
シリコーンゴム弾性層まで形成されたエンドレスベルトを周方向に20mm/secの移動速度で回転させながら、表面から10mmの距離に設置した紫外線ランプを用いて、弾性層に対し紫外線照射を行なった。紫外線ランプには、低圧水銀紫外線ランプ(商品名:GLQ500US/11;東芝ライテック株式会社製)を用い、大気雰囲気中100℃で5分間の照射を行なった。
これを室温まで冷却後、更に、付加硬化型シリコーンゴム接着剤(商品名:SE1819CV;東レ・ダウコーニング社製の「A液」及び「B液」を等量混合)を厚さがおよそ10μm程度になるように略均一に塗布した。この接着剤には酸化チタンが配合されており、酸化チタンによるラジカルトラップ効果により、高温加熱における軟化劣化を抑制することができる。
そして、その周囲にフッ素樹脂チューブを被せた。フッ素樹脂チューブは、原料にフッ素樹脂ペレットA(商品名:テフロンPFA959HPPlus;三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)を用いて、押出成形法によって成形したものである。得られたフッ素樹脂チューブは、長さ400mm、内径29mm、厚み20μmであった。このフッ素樹脂ペレットAはテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)からなる。その構成は、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)としてパーフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)を4.2モル%含んだ共重合体からなる。尚、PEVEの重合割合は後述の方法で測定することができる。
その後、フッ素樹脂チューブの上からベルト表面を均一に扱くことにより、接着剤層が十分に薄くなるようにシリコーンゴム弾性層とフッ素樹脂チューブの間から過剰の接着剤を扱き出した。そして、200℃に設定した電気炉にて5分加熱することで接着剤を硬化させて当該フッ素樹脂チューブをシリコーンゴム弾性層上に接着固定した。更にその後、320℃に設定した電気炉にて5分加熱することでフッ素樹脂チューブの配向を緩和し、熱伝導率を向上させた。そして、エンドレスベルトの両端部を切断し、幅が343mmの定着ベルトを得た。
この定着ベルトを電子写真画像形成装置(キヤノン株式会社製、商品名:imageRUNNER−ADVANCE C5051)に搭載し、後述の溶融ムラ評価試験、定着性評価試験を行った。その後、定着ベルトを取りだし、定着ベルト単品評価として後述のはく離評価試験を実施した。結果を表1に示す。なお、この画像形成装置は、図4に示される構成を有し、その定着装置は図3に示される構成を有する。
[実施例2]
フッ素樹脂ペレットAを用いて、押出成形により長さ400mm、内径29mm、厚み6μm、のフッ素樹脂チューブを成形した。このフッ素樹脂チューブを用いたこと以外は実施例1と同様の条件で定着ベルトを作製した。この定着ベルトでの評価結果を表1に併せて示す。
[実施例3]
フッ素樹脂ペレットAを用いて、押出成形により長さ400mm、内径29mm、厚み23μm、のフッ素樹脂チューブを成形した。このフッ素樹脂チューブを用いたこと以外は実施例1と同様の条件で定着ベルトを作製した。この定着ベルトでの評価結果を表1に併せて示す。
[実施例4]
フッ素樹脂ペレットAとフッ素樹脂ペレットB(商品名:テフロンPFA950HP−Plus;三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)を13:87の割合(質量比)で溶融・混練・押出を行い、フッ素樹脂ペレットCを作成した。
フッ素樹脂ペレットCはテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)からなる。その構成としてパーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)としてパーフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)が共重合体中に3.0モル%含まれることを、核磁気共鳴装置による19F核の測定により確認した。
このフッ素樹脂ペレットCを用いて、押出成形により長さ400mm、内径29mm、厚み20μm、のフッ素樹脂チューブを成形した。このフッ素樹脂チューブを用いたこと以外は実施例1と同様の条件で定着ベルトを作製した。この定着ベルトでの評価結果を表1に併せて示す。
[実施例5]
離型層の原料となるフッ素樹脂ペレットDを、特開2004−161921号公報に開示されている、水系ベースのエマルジョン重合法により、主成分であるTFEとコモノマーであるPEVEを連続的にフィードし、重合中に液を撹拌する方法で製造した。それを、押出成形により長さ400mm、内径29mm、厚み20μm、のフッ素樹脂チューブを成形した。フッ素樹脂ペレットDはテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)からなる。その構成として、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)としてパーフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)が共重合体中に5.8モル%含まれることを、核磁気共鳴装置での19F核の測定により確認した。
このフッ素樹脂ペレットDを用いて、押出成形により長さ400mm、内径29mm、厚み20μm、のフッ素樹脂チューブを成形した。このフッ素樹脂チューブを用いたこと以外は実施例1と同様の条件で定着ベルトを作製した。この定着ベルトでの評価結果を表1に併せて示す。
[比較例1]
離型層の原料となるフッ素樹脂ペレットEを、実施例5に係るフッ素樹脂ペレットDと同様の方法で製造した。フッ素樹脂ペレットEはテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)からなる。その構成としてテトラフルオロエチレン(TFE)に対し、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)としてパーフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)が1.4モル%含まれることを、核磁気共鳴装置での19F核の測定により確認した。
フッ素樹脂ペレットEを、押出成形により長さ400mm、内径29mm、厚み20μm、のフッ素樹脂チューブを成形した。
得られたフッ素樹脂チューブを定着ベルトの表層として使用した。また、接着剤としては、酸化チタン未添加の付加硬化型シリコーンゴム接着剤(商品名:SE1740;東レ・ダウコーニング社製の「A液」及び「B液」を等量混合)を使用した。上記のフッ素樹脂チューブ、接着剤を用いたこと、及び、フッ素樹脂チューブ被覆後に融点以上に加熱する工程を除いたこと以外は、実施例1と同様の条件で定着ベルトを作製した。この定着ベルトでの評価結果を表1に併せて示す。
[比較例2]
フッ素樹脂ペレットBを用いて、押出成形により長さ400mm、内径29mm、厚み20μm、で成形したフッ素樹脂チューブを定着ベルトの表層として使用した。また、接着剤としては、酸化チタン未添加の付加硬化型シリコーンゴム接着剤(商品名:SE1740;東レ・ダウコーニング社製の「A液」及び「B液」を等量混合)を使用した。上記のフッ素樹脂チューブ、接着剤を用いたこと、及び、フッ素樹脂チューブ被覆後に融点以上に加熱する工程を除いたこと以外は、実施例1と同様の条件で定着ベルトを作製した。この定着ベルトでの評価結果を表1に併せて示す。
[比較例3]
フッ素樹脂ペレットBを用いて、押出成形により長さ400mm、内径29mm、厚み20μm、で成形したフッ素樹脂チューブを定着ベルトの表層として使用した。また、接着剤としては、酸化チタン未添加の付加硬化型シリコーンゴム接着剤(商品名:SE1740;東レ・ダウコーニング社製の「A液」及び「B液」を等量混合)を使用した。上記のフッ素樹脂チューブを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で定着ベルトを作製した。この定着ベルトでの評価結果を表1に併せて示す。
[比較例4]
フッ素樹脂ペレットAを用いて、押出成形により長さ400mm、内径29mm、厚み20μm、で成形したフッ素樹脂チューブを定着ベルトの表層として使用した。また、接着剤としては、酸化チタン未添加の付加硬化型シリコーンゴム接着剤(商品名:SE1740;東レ・ダウコーニング社製の「A液」及び「B液」を等量混合)を使用した。上記のフッ素樹脂チューブ、接着剤を用いたこと、及び、フッ素樹脂チューブ被覆後に融点以上に加熱する工程を除いたこと以外は、実施例1と同様の条件で定着ベルトを作製した。フッ素樹脂ペレットBはテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)からなる。その構成としてパーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)としてパーフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)が共重合体中に2.8モル%含まれることを、核磁気共鳴装置による19F核の測定により確認した。
この定着ベルトでの評価結果を表1に併せて示す。
[比較例5]
フッ素樹脂ペレットAを用いて、押出成形により長さ400mm、内径29mm、厚み20μm、で成形したフッ素樹脂チューブを定着ベルトの表層として使用した。また、接着剤としては、酸化チタン未添加の付加硬化型シリコーンゴム接着剤(商品名:SE1740;東レ・ダウコーニング社製の「A液」及び「B液」を等量混合)を使用した。上記のフッ素樹脂チューブを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で定着ベルトを作製した。この定着ベルトでの評価結果を表1に併せて示す。
[比較例6]
フッ素樹脂ペレットAを用いて、押出成形により長さ400mm、内径29mm、厚み25μm、で成形したフッ素樹脂チューブを定着ベルトの表層として使用した。また、接着剤としては、酸化チタン未添加の付加硬化型シリコーンゴム接着剤(商品名:SE1740;東レ・ダウコーニング社製の「A液」及び「B液」を等量混合)を使用した。上記のフッ素樹脂チューブを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件で定着ベルトを作製した。この定着ベルトでの評価結果を表1に併せて示す。
≪パーフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)の重合割合測定≫
パーフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)の重合割合は、核磁気共鳴装置を用いて測定できる。各実施例および比較例におけるパーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)の重合割合は、核磁気共鳴装置(製品名:DSX400型;ブルカー・バイオスピン社製)を用いて測定した。具体的には、19F核について、室温環境下で、MAS周波数30kHz、積算256回の条件でNMR測定を行った。得られたNMRチャートからテトラフルオロエチレン(TFE)起因のピークの積算値とパーフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)起因のピークの積算値の割合を求め、その割合からPEVEの重合割合を確認した。表1では、この値をPEVE比と呼ぶ。
≪フッ素樹脂表層のλ測定、厚み方向の熱抵抗値算出≫
フッ素樹脂表層の厚み方向の熱伝導率λは、熱拡散率(厚み方向)α、比熱容量Cp、密度ρの積(λ=α×Cp×ρ)で算出される。ここで、熱拡散率α、比熱容量Cp、密度ρはそれぞれ既知の方法で測定することができる。各実施例および比較例における、熱拡散率αは周期加熱法熱拡散率測定装置(アドバンス理工製、商品名:FTC−1)で測定する。比熱容量Cpは示差走査熱量測定器(Mettler製、商品名:DSC823e)で測定する。密度ρは乾式自動密度計(島津製、商品名:AccuPyc1330)で測定する。それぞれの測定では、30℃の状態での値を採用した。
厚み方向の熱抵抗値に関しては、上記で求めた熱伝導率λを用いて、厚みt/熱伝導率λで算出した。
≪溶融ムラ評価試験≫
紙上に形成されたトナー像を定着させたあとの、トナーの溶融状態を観察することで定着部材の紙凹凸への追従性の指標とすることができる。
定着ベルトを装着したカラーレーザープリンタ(キヤノン株式会社製、商品名:imageRUNNER−ADVANCE C5051))で、温度10℃相対湿度50%の環境下、入力電圧100Vにて、溶融ムラ評価画像を10枚連続して定着する。紙は、A4サイズの再生紙(商品名:リサイクルペーパー GF−R100;キヤノン株式会社製、厚さ92μm、坪量66g/m、古紙配合率70%、ベック平滑度23秒(JIS P8119準拠した方法で計測))を用いる。溶融ムラ評価画像とは、シアントナーとマゼンタトナーを100%濃度で形成した10mm×10mmのパッチ画像を、紙面中央部付近に配置した画像である。
溶融ムラの目安としては、2色が形成された画像部で十分に熱と圧力が加わることでトナーが溶融し混色する。特に紙凹凸の凹部において、熱が加わっていても圧力が加わっていない場合には、トナーの粒界が定着後に残存するため、十分に混色しない状態で溶融ムラを生ずる。定着部材が凹凸に十分追従できない場合には、凸部は圧力が加わり混色するものの、凹部においては混色が不十分となる。そのため凹凸への追従性の判定は画像形成域の溶融状態を観察することで確認した。
溶融ムラ評価画像を10枚連続して印刷した後、10枚目のサンプルを抜き取り、画像形成部を光学顕微鏡で観察し溶融ムラを評価した。評価基準は以下のとおりである(表1の「溶融ムラ」参照)。
評価ランク
ランクA:紙繊維の凹部においてもトナー粒界がほぼ見えず、凹部凸部共に混色している状態。
ランクB:紙繊維の凹部において一部トナー粒界が観察されるものの、凹部凸部共におおむね混色している状態。
ランクC:紙繊維の凸部のみが混色され、凹部ではトナー粒界が多く観察される状態。
≪定着性評価試験≫
擦り試験は、紙に対してトナーがどれだけ強固に定着しているかを評価する方法であり、定着部材からトナーへの熱供給能力の高さの指標であり、厚み方向の熱抵抗値が小さいほど定着性も良化する傾向がある。
前記定着ベルトを装着したカラーレーザープリンタで、温度10℃相対湿度50%の環境下、入力電圧100Vにて、定着性評価画像を50枚連続して定着する。紙は溶融ムラ評価試験に用いたものと同様のものを用いる。定着性評価画像とは、2×2ドットのチェッカーフラッグパターンのハーフトーンをブラックトナー単色で構成した5mm×5mmのパッチ画像を紙面内に9ヶ所配置した画像である。
定着性評価画像を50枚連続して印刷後、この50枚の中から所定枚数(1,10,20,50枚目)のサンプルを抜き取る。そのサンプルの画像形成面上にシルボン紙(商品名:ダスパーK−3;小津産業株式会社製)を介して所定重量(200g)のおもりを載せる。シルボン紙に載せた状態のおもりを画像形成面上で5往復摺擦させ、その摺擦の前後での、画像の反射濃度を測定する。反射濃度の測定には濃度計(商品名:RD918;グレタグマクベス社製)を用いた。
濃度低下率は、
(擦る前の濃度−擦った後の濃度)/擦る前の濃度×100(%)
として算出した。
定着性が最も良い、即ち全く評価画像が欠落しない時の濃度低下率は0%である。その逆に定着性が最も悪い、即ち評価画像がすべて欠落してしまう時は100%となる。濃度低下率の値が大きいほど、定着性が悪いことを示す。
トナー定着性の数値の目安としては、温度10℃相対湿度50%環境下において濃度低下率が30%以上のとき、通常使用環境下においてトナー像が紙から欠落する可能性がある。濃度低下率が20%以上30%未満のときは、通常使用環境下では問題は発生しないが画像面を強く折り曲げるとトナー像が紙から欠落する可能性がある。濃度低下率が10%以上20%未満のときは、通常使用環境下では問題は発生しないが、画像面が強く摺擦された際にトナー像の濃度低下が発生する可能性がある。濃度低下率10%未満である場合、通常使用環境下において濃度低下等の問題が発生しない。
そのため本定着性評価の判定は紙面内9ヶ所の画像の濃度低下率を求め、それらの中での最も悪い値を採用して、下記の基準にて評価した。そして、表1の「定着性」の項目に、各実施例及び各比較例について、評価ランクを記載した。
評価ランク
ランクA:濃度低下率が10%未満。
ランクB:濃度低下率が10%以上20%未満。
ランクC:濃度低下率が20%以上30%未満。
ランクD:濃度低下率が30%以上。
≪シリコーンゴム弾性層とフッ素樹脂表層の間のはく離接着強さ、及びはく離評価試験について≫
定着部材の25℃における、シリコーンゴム弾性層とフッ素樹脂表層との間のはく離接着強さは、3.0N/cm以上、20.0N/cm以下である。そして、このはく離接着強さを測定するはく離試験において、弾性層が凝集破壊する(接着層と弾性層との界面や接着層と基材との界面においてはく離が生じない)。このような定着部材を定着装置に装着し、加圧された状態で実使用に供した際には、十分な接着強度がもたらされる。はく離接着強さが3.0N/cm以上である場合、シリコーンゴム弾性層とフッ素樹脂表層は良好に接着しており、界面はく離せず、シリコーンゴム弾性層が凝集破壊する。そのため、3.0N/cm以上の範囲では、はく離接着強さは、純粋な接着性というより、シリコーンゴム弾性層の破断強度に依存する。20.0N/cmより大きい範囲では接着剤層とシリコーンゴム弾性層の架橋密度が大きくなってしまい、定着部材としての柔軟性が損なわれてしまうため、はく離接着強さとしては20.0N/cm以下とする。
はく離接着強さを上記範囲に制御するために、前記のように接着剤層に酸化チタンを添加することができる。また例えば特開2009−244887号公報に開示されているようなシリコーンゴム弾性層へのUV照射により、接着剤のシリコーンゴム弾性層への浸透を適度にし、弾性層の硬度が上昇することを抑制することで、はく離接着強さを制御することができる。
シリコーンゴム弾性層とフッ素樹脂表層との間の接着強度は、日本工業規格で定められた「接着剤−はく離接着強さ試験方法−第1部:90°はく離」(JIS K6854−1:1999)に基づいて測定する。なお、試験には、日本工業規格で定められた標準雰囲気(空気温度:23℃、相対湿度:50%)に88時間置いた試料を用いた。また、試験は、当該標準雰囲気において行った。
具体的な接着強度の測定方法について、図5を用いて説明する。定着部材1(図ではベルト形態の定着部材、すなわち定着ベルト)の基材の形状が変形しないように、必要に応じて内部に中子21を挿入する。そして、定着部材の周方向に沿って、表層側からシリコーンゴム弾性層表面に到達するように剃刀を用いて幅1cm間隔で周方向に2本の切れ込みを入れる。次に周方向の切れ込みを入れた部分に定着部材の長手方向に一カ所切り込みを入れる。そして、この部分のフッ素樹脂表層とシリコーンゴム弾性層との界面部分から剃刀を用いて強制的に周方向に2cm程度はく離して、はく離部の先端部分をフォースゲージ22のチャック部23に挟みこむ。なお、表層が薄くて塑性変形が起こる場合には、スリット形成に先立って、補強用のポリイミドテープを表層の表面に張り付け、その上からスリットを形成してもよい。これによって表層の塑性変形を抑えることができる。
そして、定着部材が周方向に自由に回転可能なように、中子21(もしくは基材)を固定し、フォースゲージ22を不図示の手段を用いて引き上げる。このとき、フォースゲージを、剥がし端の根元における定着部材本体の接線方向に対して垂直方向に、剥がした表層側の層の長さが50mmとなるまで、50mm/分の速度で引き上げる。この長さを、「はく離長さ」ともいう。
この際、引き剥がす方向Fを、剥がし端の根元における定着部材本体の接線方向に対して90°に維持する。90°を維持するために、まず、剥がし端をフォースゲージに挟み込む際に、剥がしたシリコーンゴム弾性層側の層が、90°となるように挟み込む。次に、中子21の回転軸の真上から垂直方向Fに50mm/分で引っ張ると同時に、中子21の接線における移動速度が、垂直方向Fの移動速度と等しくなるように、中子21を図中Rの方向に回転させる。具体的には、定着ベルトの外径が、30mmである場合、中子の回転速度を、0.53rpmとすることで引き剥がす方向を定着部材本体の接線方向に対して90°に維持することができる。上記の測定によって、50mmのはく離長さにわたる、力−つかみ移動距離曲線が得られる。そして、その力−つかみ移動距離曲線から、はく離接着強さの算術平均値を求める。この値を、一測定箇所における「はく離接着強さ」とする。ここで、はく離接着強さの算術平均値の算出には、つかみ移動距離が0.1mm毎の力を用いた。
なお、各例におけるはく離接着強さは、各例に係る定着部材について、測定結果が干渉し合わない、任意の5箇所において上記はく離試験を行った。そして、上記5箇所における測定結果から求まる「はく離接着強さ」の算術平均値を、各例の「表層と弾性層とのはく離接着強さ」とした。また、一箇所におけるはく離試験で、はく離長さを50mmとすることができない定着部材である場合は、合計のはく離長さが250mmとなるように複数個所ではく離試験を行う。そして、力−つかみ移動距離曲線を作成し、当該力−つかみ移動距離曲線から平均はく離接着強さを求め、この値を、当該定着部材の「表面層と弾性層とのはく離接着強さ」とする。そして、各例について、評価して得られたはく離接着強さを表1の「はく離試験はく離接着強さ」の項目に記載した。
またこのはく離試験によって形成された破断面について、日本工業規格で定められた「接着剤−主要破壊様式の名称」(JIS K6866:1999)に則って、はく離試験において弾性層が凝集破壊したか否かを判断した。具体的には、基材側とフッ素樹脂表層側の両方に破壊したシリコーンゴム弾性層が付着した状態である場合、シリコーンゴム弾性層が凝集破壊を呈していると判断する。また、破断面が凝集破壊と接着破壊の混合破壊を呈した場合には、シリコーンゴム弾性層の凝集破壊部分がはく離面積の50%以上であればシリコーンゴム弾性層の凝集破壊と判定し、50%に満たない場合には接着破壊と判定する。
なお、表1において、λは厚み方向の熱伝導率を表し、また熱抵抗(厚み方向)の値の表示において、例えば「1.05E−04」は、「1.05×10−4」を意味する。
Figure 2018025760
表1からわかるように、実施例1〜5に関しては、いずれも溶融ムラ、定着性で評価ランクA、はく離接着強さは3.0〜20.0N/cm満足する定着ベルトが得られた。比較例1〜6に関しては溶融ムラ、定着性がいずれかが評価ランクB以下、もしくは、はく離強さが3.0〜20.0N/cmの範囲外となっていた。
1 定着部材(定着ベルト)
1a 内面摺動層
1b 基材
1c プライマー層
1d シリコーンゴム弾性層
1e 接着剤層
1f 表層(フッ素樹脂チューブ)

Claims (10)

  1. 基材、該基材上の弾性層、該弾性層上に接着剤層を介して設けられているフッ素樹脂を含む表層を有する定着部材であって、
    該表層の厚み方向の熱抵抗値が、3.0×10−5・K/W以上、1.3×10−4・K/W以下であり、
    該表層と該弾性層とのはく離接着強さが、3.0N/cm以上、20.0N/cm以下であり、かつ、
    該弾性層は、該表層の該弾性層からのはく離試験において、凝集破壊するものであり、
    該フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン/パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体を含み、
    該テトラフルオロエチレン/パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体におけるパーフルオロエチルビニルエーテルの重合割合が3.0モル%以上、5.8モル%以下である、ことを特徴とする定着部材。
  2. 前記接着剤層が、付加硬化型シリコーンゴム接着剤の硬化物を含む請求項1に記載の定着部材。
  3. 前記接着剤層が、酸化チタンを含む請求項1または2に記載の定着部材。
  4. 前記基材が、エンドレスベルト形状を有し、該基材の外周面上に前記弾性層、前記接着剤層および前記表層がこの順に積層されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の定着部材。
  5. 前記表層の厚みが、6μm以上、23μm以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の定着部材。
  6. 前記基材の厚みが、20μm以上、100μm以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の定着部材。
  7. 前記接着層の厚みが10μm以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載の定着部材。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の定着部材と、該定着部材の加熱手段とを具備していることを特徴とする定着装置。
  9. 請求項8に記載の定着装置を具備していることを特徴とする電子写真画像形成装置。
  10. (1)フッ素樹脂の円筒押出成形物からなるフッ素樹脂チューブを用意する工程;
    (2)基材上の弾性層の表面に、該フッ素樹脂チューブを、付加硬化型シリコーンゴム接着剤層で接着する工程;および
    (3)該弾性層上に接着された該フッ素樹脂チューブを、該フッ素樹脂チューブが含むフッ素樹脂の融点以上に加熱する工程、を有し、
    該フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン/パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体を含み、該テトラフルオロエチレン/パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体におけるパーフルオロエチルビニルエーテルの重合割合が3.0モル%以上、5.8モル%以下であり、
    該付加硬化型シリコーンゴム接着剤層が、酸化チタンを含むことを特徴とする、定着部材の製造方法。
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