JP2005010607A - 定着用回転体及び定着装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、基体と、該基体上に設けられる離型層と、を有してなり、該離型層側の表面から深さ50μmまでの表層領域における熱抵抗Aが、10cm2・sec・℃/cal(2.4cm2・℃/W)以下であることを特徴とする定着用回転体、及び、該定着用回転体を備える定着装置。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真式の画像形成装置に用いられる定着装置、ならびに、該定着装置に用いられる定着用回転体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子写真方式の複写機やプリンター等の画像形成装置では、用紙等の記録材上に形成されたトナー像を記録材上に定着し、永久画像にするための定着手段を有する。かかる定着手段としては、一般に、定着装置を用いトナー像を記録材上に溶融圧着する方法が広く採用されている。
この定着装置は、一般的に、定着ロールと、該定着ロールに圧接された加圧ロールと、から構成されている。そして、定着ロールと加圧ロールとの圧接部(Nip部)に、未定着トナー像が担持した記録材を挟み込んで加熱押圧し、トナー像を記録材に融着させて定着画像を形成する。
【0003】
上記定着装置における定着ロールは、一般に、芯金の内部にハロゲンランプ等の発熱体が配置されており、該芯金の表面に弾性層及び離型層が設けられている。そして、この発熱体の熱が芯金及び表面の各層に伝達し、定着ロールの表面がトナー像を加熱溶融するのに適切な温度となる。
このような定着装置の場合、定着ロールと加圧ロールとからなるNip部を確保するために、圧力による弾性層の変形を利用している。このため、高い圧力に耐え得る比較的厚い芯金と、充分に変形できる比較的厚い弾性層が必要になり、定着ロールの熱容量が大きくなる。その結果、発熱体の熱が定着ロールの表面に伝達して、その表面が所定の温度に達するまでに多くの時間を要する。従って、装置の起動時や待機状態から復帰するまでの時間(ウォームアップタイム)が長くなり、消費電力が大きくなってしまう問題を有していた。
【0004】
このような問題を解決するために、低熱容量の定着部材を用いて、ウォームアップタイムを短くした定着装置が提案されている。低熱容量の定着部材としては、該定着部材を構成する芯金や各層を薄肉化した、薄肉定着ロールや薄肉定着ベルトが知られている。
薄肉定着ロールを用いた定着装置においては、弾性層が薄いために、弾性層の大きな変形が得られず、また、芯金が薄いために、高い圧力を設定できない。このため、加圧部材をテンションフリーの状態で支持するか、複数のロールによって張架されている無端ベルトにすることによりNip部を確保している。
また、薄肉定着ベルトを用いた定着装置は、テンションフリーの状態で支持されるか、複数のロールによって張架された定着ベルトと該定着ベルトに圧接された加圧部材とで構成されている。そして、この定着ベルトは、ハロゲンランプ等を内蔵する加熱源によって加熱される。
【0005】
更に、定着部材を加熱する手段として、定着部材に導電性層を設け、電磁誘導加熱装置によって導電性層を発熱させるものが提案されている。電磁誘導加熱は、導電性層に変動磁界を発生する励磁コイルを対向配置し、導電性層を貫通する磁束を発生させることにより、導電性層に渦電流が生じ発熱するものである。
上記定着部材は、回転又は周回移動によって電磁誘導加熱装置の加熱領域を通過する際、該定着部材が有する導電性層が加熱される。電磁誘導加熱によれば、極めて短い時間で導電性層を発熱させることができ、定着部材を直接加熱することができるため、更に、ウォームアップタイムの短縮が可能である。
【0006】
これらの定着装置を用いた場合、トナー画像の充分な発色、光沢、定着度を得るためには、充分にトナーを溶融し、かつ、溶融した状態である程度の時間、加圧することが必要である。このためには、Nip内を通過する時間を長くすればよいが、この場合、装置の大型化や、定着速度の低速化等の問題が生じる。
また、Nip通過時間を長くすることにより、用紙などの記録材に熱量を奪われてしまい、効率的に未定着トナーへの熱の供給が行われない。特に、上述のように、低熱容量の定着部材を用いることにより、ウォームアップタイムを短縮した定着装置においては、記録材に熱を奪われてしまうことにより、トナーへの熱量の供給が不十分になってしまうという問題が生じる。
【0007】
また、電磁誘導加熱型の定着装置において、加熱部材の記録材への熱伝達方向における1cm2当たりの熱抵抗値が0.025(℃/W)以上5(℃/W)以下であることを特徴とする定着装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。ここでの熱抵抗値は、加熱部材を構成するすべての層の熱抵抗値の和である。
前述のように高速で充分な定着を行うためには、記録材に奪われる熱量を少なくし、効率的に未定着トナーへの熱の供給を行うことが必要である。このためには、加熱表層領域の熱抵抗値を小さくし、表層領域が有する熱量を短時間で未定着トナーへ供給することが必要である。従って、部材全体の熱抵抗を小さくするだけでは不十分であり、上記の定着装置では、高速で充分な定着を行うことは困難であった。
【0008】
【特許文献1】
2002−214946公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、装置の大型化を招くことなく、高速で、かつ、充分な定着ができる定着装置、及び該定着装置に好適な定着用回転体を提供することである。
また、本発明の他の課題としては、特に、低熱容量の定着部材を用いることにより、ウォームアップタイムを短縮した定着装置であっても、装置の大型化を招くことなく、高速で、かつ、充分な定着ができる定着装置、及び該定着装置に好適な定着用回転体を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、下記の本発明により達成された。即ち、本発明は、
【0011】
<1> 少なくとも、基体と、該基体上に設けられる離型層と、を有してなり、該離型層側の表面から深さ50μmまでの表層領域における熱抵抗Aが、10cm2・sec・℃/cal(2.4cm2・℃/W)以下であることを特徴とする定着用回転体。
【0012】
<2> 熱抵抗Aが、7cm2・sec・℃/cal(1.68cm2・℃/W)以下であることを特徴とする<1>に記載の定着用回転体。
【0013】
<3> 熱抵抗Aが、5cm2・sec・℃/cal(1.2cm2・℃/W)以下であることを特徴とする<1>又は<2>に記載の定着用回転体。
【0014】
<4> 少なくとも、基体上に弾性層と離型層とを順次有してなり、該離型層の厚みをt1(cm)、該弾性層の厚みをt2(cm)、当該離型層の熱伝導率をλ1(cal/cm・sec・℃)(=4.2W/cm・℃)、当該弾性層の熱伝導率をλ2(cal/cm・sec・℃)(=4.2W/cm・℃)とするとき、下記関係式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする定着用回転体。
関係式(1) 0.001≦t1
関係式(2) 0.004≦t2≦0.060
関係式(3) t1/λ1+(0.005−t1)/λ2≦10
【0015】
<5> 前記関係式(3)が、t1/λ1+(0.005−t1)/λ2≦7であることを特徴とする<4>に記載の定着用回転体。
【0016】
<6> 前記関係式(3)が、t1/λ1+(0.005−t1)/λ2≦5であることを特徴とする<4>又は<5>に記載の定着用回転体。
【0017】
<7> 前記離型層が弾性体であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれかに記載の定着用回転体。
【0018】
<8> 前記離型層が、フッ素ゴム、又は、シリコーンゴムを主成分とする組成物からなることを特徴とする<7>に記載の定着用回転体。
【0019】
<9> 前記離型層がフルオロカーボンシロキサンゴムを主成分とする組成物からなることを特徴とする<7>に記載の定着用回転体。
【0020】
<10> 前記離型層がフッ素樹脂を主成分する組成物からなり、厚さ40μm以下であることを特徴とする<4>〜<6>のいずれかに記載の定着用回転体。
【0021】
<11> 前記基体が、金属製のロールであることを特徴とする<1>〜<10>のいずれかに記載の定着用回転体。
【0022】
<12> 前記ロールが、厚さ2mm以下の薄肉中空金属ロールであることを特徴とする<11>に記載の定着用回転体。
【0023】
<13> 前記基体が、ベルトであることを特徴とする<1>〜<10>のいずれかに記載の定着用回転体。
【0024】
<14> 前記ベルトが、耐熱性樹脂を主成分とする組成物からなることを特徴とする<13>に記載の定着用回転体。
【0025】
<15> 前記耐熱性樹脂がポリイミド樹脂であることを特徴とする<14>に記載の定着用回転体。
【0026】
<16> 加熱源により加熱された加熱回転体と、該加熱回転体に圧接して配置される加圧部材の間に、未定着トナー像が形成された記録材を通過させて該未定着トナー像の加熱定着を行う定着装置であって、
前記加熱回転体が<1>〜<15>のいずれかに記載の定着用回転体であることを特徴とする定着装置。
【0027】
<17> 前記加熱源が、前記加熱回転体の内側及び/又は外側に配置されていることを特徴とする<16>に記載の定着装置。
【0028】
<18> 前記加熱源が誘導加熱源であり、かつ、前記定着用回転体が電磁誘導により発熱する層を有することを特徴とする<16>又は<17>に記載の定着装置。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の第1の定着用回転体は、少なくとも、基体と、該基体上に設けられる離型層と、を有してなり、該離型層側の表面から深さ50μmまでの表層領域における熱抵抗Aが、10cm2・sec・℃/cal(2.4cm2・℃/W)以下であることを特徴とする。また、熱抵抗Aは、7cm2・sec・℃/cal(1.68cm2・℃/W)以下であることがより好ましく、5cm2・sec・℃/cal(1.2cm2・℃/W)以下であることが更に好ましい。
【0030】
本発明の第1の定着用回転体においては、深さ50μmまでの表層領域についての熱抵抗Aを上記の範囲にすることが必須である。ここで、「表層領域」とは、離型層側の表面から深さ50μmまでの層領域を指し、かかる表層領域は、離型層及び基体、更に、必要に応じて設けられる任意の層(弾性層、電磁誘導により発熱する層等)から構成されるものである。
【0031】
本発明の第1の定着用回転体において、熱抵抗Aは、以下の式(I)により算出される。
式(I)熱抵抗A=Σ(層の厚さ/層の熱伝導率)
つまり、熱抵抗Aは、「表層領域」を構成する各層における熱抵抗値の和となる。
【0032】
本発明の第1の定着用回転体において熱抵抗Aが10cm2・sec・℃/cal(2.4cm2・℃/W)以下であることで、表層領域の熱が短い時間で速やかに未定着トナーへ供給できる。そのため、未定着トナーへの熱の供給が効率よく行なわれ、高速で、かつ、充分な定着を可能とする。また、未定着トナーへの熱の供給が効率よく行なわれるため、Nip内を通過する時間を長くする必要性がなくなることから、装置の大型化を招くことがない。
対して、熱抵抗Aが10cm2・sec・℃/cal(2.4cm2・℃/W)より大きいと、未定着トナーへの熱の供給が遅くなるために、短時間で、充分な定着を達成することができなくなる。
【0033】
なお、本発明の第1の定着用回転体の総厚は、基体、離型層及び任意の層を合わせた厚さであり、強度の観点から、「表層領域」を構成する50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましい。このような総厚にすることにより、破断等の問題が防止できる。
【0034】
本発明において、熱抵抗Aを小さくするには、表層領域を構成する物質の熱伝導率を高くする方法がある。具体的には、例えば、表層領域を構成する物質として熱伝導率が高いものを選択するか、ベース材料に熱伝導性のフィラーを含有させて表層領域の熱伝導率を上昇させる手法がある。
また、熱抵抗Aを小さくする別の方法としては、表層領域において、熱伝導率が低い材料からなる層の厚さを小さく設定する方法がある。
【0035】
一方、定着用回転体としては、その表面はトナーとの離型性が必要である。一般に、熱伝導性を高くするために、多量の熱伝導性フィラーを含有させると、離型性が悪化してしまうために、あまりに多量の熱伝導性フィラーを含有させて、熱伝導率をあまり高くすることはできない。
また、基体上に離型層があり、離型層の熱伝導が低い場合には、離型層を薄く設定し、その下の基体の熱伝導率を高くすることにより、熱抵抗Aの低下が達成できる。
【0036】
また、本発明の第2の定着用回転体は、少なくとも、基体上に弾性層と離型層とを順次有してなり、該離型層の厚みをt1(cm)、該弾性層の厚みをt2(cm)、当該離型層の熱伝導率をλ1(cal/cm・sec・℃)(=4.2W/cm・℃)、当該弾性層の熱伝導率をλ2(cal/cm・sec・℃)(=4.2W/cm・℃)とするとき、下記関係式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする。
関係式(1) 0.001≦t1
関係式(2) 0.004≦t2≦0.060
関係式(3) t1/λ1+(0.005−t1)/λ2≦10
【0037】
なお、関係式(1)は、0.001≦t1≦0.004であることがより好ましく、0.0015≦t1≦0.003であることが更に好ましい。
関係式(1)において、0.001>t1であると、磨耗等のよる耐久性が不充分である問題や、離型層としての膜強度が低下し、破断や変形といった問題が発生する。
【0038】
また、関係式(2)において、0.004>t2であると、記録材の凹凸に追従できず、定着性に問題が発生する。また、t2<0.060であると、熱容量が増大してしまい、未定着トナーへの熱の供給が遅くなるという問題がある。なお、関係式(2)は、0.004≦t2≦0.030であることがより好ましく、0.004≦t1≦0.020であることが更に好ましい。
【0039】
また、関係式(3)は、t1/λ1+(0.005−t1)/λ2≦7であることがより好ましく、t1/λ1+(0.005−t1)/λ2≦5であることが更に好ましい。
本発明の第2の定着用回転体においては、関係式(3)を満たすことで、離型層及び弾性層からなる厚さ0.005cmの領域の熱が短い時間で速やかに未定着トナーへ供給できる。そのため、未定着トナーへの熱の供給が効率よく行なわれ、高速で、かつ、充分な定着を可能とする。また、本発明の第2の定着用回転体は弾性層を有しているため、記録材上の凹凸に対する追従性が優れるため、画像を乱すことなく定着を行うことができる。更に、未定着トナーへの熱の供給が効率よく行なわれるため、Nip内を通過する時間を長くする必要性がなくなることから、装置の大型化を招くことがない。
対して、関係式(3)において、t1/λ1+(0.005−t1)/λ2>10であると、未定着トナーへの熱の供給が遅くなるために、短時間で、充分な定着を達成することができなくなる。
【0040】
以下、本発明の第1及び第2の定着用回転体を構成する各部材について説明する。
【0041】
[基体]
本発明における基体は、円筒状ロール、ベルト状等電子写真用定着用回転体として用いられるあらゆる形状のものが挙げられる。
【0042】
本発明に用いられる基体が、円筒状ロールの場合、該基体としては、金属としてアルミニウム、鉄、銅、等の円筒状ロール、ガラス製円筒状ロールが用いられる。また、円筒状ロールが、金属性のロールである場合、定着回転体の熱容量を小さくし、ウォームアップタイムを短縮するために、厚さ2mm以下の薄肉中空金属ロールであることが好ましく、厚さ1mm以下の薄肉中空金属ロールを用いることが更に好ましい。
【0043】
本発明に用いられる基体がベルト状の場合、定着用回転体の低熱容量化が達成できるために、ウォームアップタイムを更に短縮することができる。かかるベルト状基体としては、金属(アルミニウム、鉄、銅等)、或いは耐熱性樹脂(ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂等)からなるベルトが用いられる。
中でも、用紙詰り等の異常があった場合にベルトが破断してしまったときの安全性の観点から、かかるベルトは、耐熱性樹脂を主成分とする組成物からなることが好ましい。また、かかる耐熱性樹脂は、強度、コスト等の観点から、ポリイミド樹脂であることがより好ましい。
また、熱伝導率の向上や強度の向上のために、ベルト状基体には、熱伝導性フィラーや補強性フィラーを含有させてもよい。
【0044】
その他、これら基体の大きさ(外径、幅、ベルト長さ等)、厚み(肉厚、シート厚)等は、定着部材として必要な寸法を適宜選択すればよい。
【0045】
[離型層]
本発明の第1及び第2の定着用回転体において、離型層は最表面を形成する層であり、耐熱性と離型性とを備えることが好ましく、具体的には、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが用いられる。
ここで、離型層がフッ素樹脂のように硬い物質からなる場合、40μmよりも厚いフッ素樹脂層を設けると、記録材の凹凸への追従性が悪化し、結果的に、トナーへの熱の供給効率が悪くなったり、画像が乱れたりしてしまう。従って、フッ素樹脂からなる離型層の厚みは40μm以下にすることが好ましい。更に好ましくは30μm以下である。
離型層に用いられるフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」という)、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、「PFA」という)、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体(以下、「FEP」という)等が挙げられる。
【0046】
また、離型層は弾性体からなることが好ましい。これは、紙のように表面に微細な凹凸がある場合や、フルカラーなどの未定着トナーの厚さが比較的厚く凹凸があるものを定着する場合、回転体表面はその凹凸に追従して、変形することが望ましいためである。このように、離型層を弾性体からなる層とすることにより、本発明の第1及び第2の定着用回転体の表面は、未定着トナー像を形成した記録材上の凹凸に追従できるようになる。
【0047】
離型層に用いられる弾性体としては、耐熱性、離型性の観点から、フッ素ゴム、又は、シリコーンゴムのいずれかを主成分とする組成物からなることが好ましく、離型性や摩耗性に優れ、更に、比較的熱伝導率が高いことから、特に、フッ素樹脂を主成分とする組成物からなることがより好ましい。
【0048】
より具体的には、フッ素ゴムとしては、弗化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、弗化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン及びテトラフルオロエチレンの三元重合体等を使用できるが、中でも、離型性の観点より弗化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン及びテトラフルオロエチレンの三元重合体が最適である。
また、シリコーンゴムとしては、ビニルメチルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、フェニルメチルシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等が使用できる。
【0049】
また、離型層に用いられる他の弾性体としては、フルオロカーボンシロキサンゴムを主成分とする組成物からなることが好ましい。
より具体的には、フルオロカーボンシロキサンゴムとしては、例えば、信越化学工業社制のSIFEL等が使用できる。
【0050】
また、これらの離型層の形成方法としては、従来公知の如何なる方法も採用することができ、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、バーコート法、スピンコート法等を挙げることができる。また、予めチューブ状に成型したものを被覆してもい。
【0051】
[弾性層]
本発明の第2の定着用回転体において、上記基体と、前記離型層と、の間に弾性層が設けられている。また、本発明の第1の定着用回転体においても、離型性、及び、記録材上の凹凸がより追従し易くなるという観点から、基体と、離型層と、の間に弾性層が設けられていることが好ましい。
【0052】
弾性層としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が用いられる。
弾性層に用いられるシリコーンゴム、フッ素ゴムは、汎用のものが使用できる。例えば、シリコーンゴムとしては、ビニルメチルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、フェニルメチルシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等が利用できる。また、フッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン/プロピレン系ゴム、四フッ化エチレン/パーフロロメチルビニルエーテルゴム、フォスファゼン系ゴム、フロロポリエーテル、及びその他のフッ素ゴムが利用できる。これらは、それぞれ単独でも又は2種以上組み合せてもよい。
【0053】
そしてこれら弾性層に用いられるシリコーンゴム、フッ素ゴムには、無機或いは有機の各種充填剤が利用できる。無機充填剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、シリカ、炭化ケイ素、タルク、マイカ、カオリン、酸化鉄、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、黒鉛、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化鉄、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。また有機充填剤としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンスルフィド等が利用できる。
【0054】
弾性層に用いるこれら弾性体としては、反発弾性として比較的高いものがよく、40%以上、好ましくは50%以上のものが有効であり、かかる反発弾性の観点よりシリコーンゴムが最も好ましい。
【0055】
本発明の第1の定着用回転体では、弾性層が表層領域を構成している場合、かかる弾性層の熱伝導率を高く設定することにより、熱抵抗Aを低下させることができる。また、弾性層を複数層構造にし、表層領域を構成する、表面側の層を熱伝導率の高い弾性体から構成させることにより、熱抵抗Aを低下させることができる。
本発明の第2の定着用回転体では、関係式(1)において0.001≦t1<0.005の場合、弾性層の熱伝導率を高く設定することにより、又は、弾性層を複数層構造にし、表面側の層を熱伝導率の高い弾性体から構成させることにより、関係式(3)の左辺で算出される熱抵抗を低下させることができる。
【0056】
〔本発明の定着用回転体の用途〕
本発明の定着用回転体は、保持している熱量を、短時間で効率よく未定着トナー像へ供給することができるため、電子写真方式の画像形成装置において、加熱源により予め加熱された加熱回転体と、加熱回転体に圧接して配置される加圧部材の間に、未定着トナー像が形成された記録材を通過させることにより前記未定着トナー像の加熱定着を行う定着装置の加熱回転体として用いられることが好ましい。
また、かかる定着装置において、加熱源は、定着用回転体(加熱回転体)の内側及び/又は外側に配置することができるが、本発明の定着用回転体は、表面近傍の熱抵抗が小さいので、定着用回転体の少なくとも外側に加熱源を配置することがより好ましい。
【0057】
また、本発明の定着用回転体が電磁誘導により発熱する層を有していれば、加熱源が誘導加熱源であり、該誘導加熱源で、定着用回転体内に有する発熱層を加熱することにより加熱定着を行う、電磁誘導発熱定着装置においても、好適に適用することができる。
【0058】
<定着装置>
以上の如き本発明の定着用回転体を適用し得る具体的な定着装置(本発明の)について、以下に説明する。
本発明の定着装置は、加熱源により加熱された加熱回転体と、該加熱回転体に圧接して配置される加圧部材の間に、未定着トナー像が形成された記録材を通過させて該未定着トナー像の加熱定着を行う定着装置であって、
前記加熱回転体が前述の如き本発明の定着用回転体であることを特徴とする。
【0059】
なお、本発明の定着用回転体を適用し得る定着装置は、以下のものに限定されるものではない。例えば、以下に示す定着装置では、加熱源が本発明の定着用回転体からなる加熱回転体の内側に配置されているが、加熱源が加熱回転体の外側に配置されていてもよい。
【0060】
1.2ロール方式の定着装置
少なくとも表面が耐熱性及び離型性を有する加熱ロールと、前記加熱ロールと圧接しニップ部を形成する加圧ロールとを有し、前記ニップ部に未定着トナー像を有する記録材を通過させ、熱及び圧力を作用させて前記記録材上にトナー像を定着する加熱ロール型の定着装置において、前述の本発明の定着用回転体は、加熱ロール及び/又は加圧ロールとして用いることができる。
【0061】
本方式の定着装置の一般的な構成例を図1に示す。図1は、本方式の定着装置(本発明の定着装置)の一例を示す概略断面図である。
図1に示す定着装置は、円筒状基体10aの外周面に、弾性層10bが形成され、更にその上層に離型層10cが形成された加熱ロール10と、該加熱ロール10に対し圧接配置され、円筒状基体11aの外周面に弾性層11bが形成され、更にその上層に離型層11cが形成された加圧ロール11とで構成され、両ロール10及び11の内部には、それぞれヒータランプ12及び13が内蔵されている。また、加熱ロール10には、離型剤塗布装置16により、所定の離型剤が塗布されている。加熱ロール10と加圧ロール11との間には、1〜15Kg/cm2程度の圧力が加えられたニップ部が形成される。未定着トナー像14の形成された記録材15は、前記ニップ部に挿通されて定着される。
【0062】
かかる図1に示す定着装置において、加熱ロール10及び加圧ロール11に、本発明の定着用回転体を適用することができる。即ち、加熱ロール10は基体10a上にシリコーンゴム等による弾性層10bを形成し、更にその上層にフッ素樹脂等からなる離型層10cを形成したものであり、同様に、加圧ロール11は基体11a上にシリコーンゴム等による弾性層11bを形成し、更にその上層にフッ素樹脂等からなる離型層11cを形成したものである。
【0063】
なお、本例においては、加熱ロール10と加圧ロール11との双方が本発明の定着用回転体である場合について説明したが、加熱ロール10と加圧ロール11のうちの一方のみが本発明の定着用回転体である場合でも、未定着トナーへの熱の供給が効率よく行なわれ、装置の大型化を招くことなく、高速で、かつ、充分な定着を可能とするという本発明の効果は発揮される。本例のように、加熱源が両ロールに設けられていることから、双方が本発明の定着用回転体であることが好ましい。
【0064】
2.ベルトニップロール定着方式の定着装置
少なくとも表面が耐熱性及び離型性を有する加熱ロールと、前記加熱ロールと圧接しニップ部を形成する加圧ベルトと、前記加圧ベルトを介して加熱ロールに対向し加圧する加圧ロールとを有し、前記ニップ部に未定着トナー像を有する記録材を挿通させ、熱及び圧力を作用させて前記記録材上にトナー像を定着する加熱加圧型の定着装置において、本発明の定着用回転体は、加熱ロール及び/又は加圧ベルトとして用いることができる。
【0065】
図2に本方式の定着装置(本発明の定着装置)の一例である概略断面図を示す。図2において、20は、基体20a上にシリコーンゴム等による弾性層20bを形成し、更にその上層にフッ素樹脂等からなる離型層20cを形成した、本発明の定着用回転体としての加熱ロールである。加熱ロール20の内部には、ヒータランプ22が内蔵されている。
【0066】
加熱ロール20には張架ロール27a、ステアリングロール27b及び圧力ロール27cにより張架された、ポリイミド樹脂シート等よりなる耐熱性の加圧ベルト29が所定角度巻き付き、加圧ベルト29の内側には、加圧ベルト29を加熱ロール20に押しつける加圧パッド28が配され、圧力ロール27cとともにニップ部を形成している。加圧パッド28は、例えば、シリコーンゴムベース上にシリコーンスポンジを載せ、更にその上にフッ素樹脂製のシートを被せたもの等が用いられる。
【0067】
加熱ロール20は矢印B方向に回転し、それにつれて加圧ベルト29も矢印C方向に従動回転する。未定着トナー像24が形成された記録材25は矢印A方向に、上記定着装置のニップ部に挿通され、加熱溶融及び加圧されトナー像が定着される。
【0068】
図5に本方式の定着装置(本発明の定着装置)の他の一例である概略断面図を示す。図5において、本発明の定着用回転体としての加熱ロール50、ヒータランプ52等の構成は、図2の加熱ロール20、ヒータランプ22と同様である。加圧ベルト59自体の構成も、図2の加圧ベルト29と同様であるが、図5においては該加圧ベルト59の保持、引回しの方法が異なっている。即ち、加圧ベルト59は、その内側に配された加圧パッド28により加熱ロール50に押しつけられニップ部を形成しているが、張架ロール等による張架はされず、テンションフリーの状態になっている。
【0069】
加熱ロール50は矢印B方向に回転し、それにつれて加圧ベルト59も矢印C方向に従動回転し、ガイド56により加圧ベルト59の回転の軌道が一定に保持される。未定着トナー像24が形成された記録材25は矢印A方向に、上記定着装置のニップ部に挿通され、加熱溶融及び加圧されトナー像が定着される。
【0070】
図5の定着装置は、加圧ベルト59の駆動系が省略されているため、安価に製造でき、また装置の小型化を図ることができる。
【0071】
なお、本例においては、加熱ロール10、50のみが本発明の定着用回転体である場合について説明したが、加圧ベルト29、59のみが本発明の定着用回転体である場合であっても、未定着トナーへの熱の供給が効率よく行なわれ、装置の大型化を招くことなく、高速で、かつ、充分な定着を可能とするという本発明の効果は発揮される。もちろん、加熱ロール10、50と加圧ベルト29、59の双方が本発明の定着用回転体であることが好ましい。加圧ベルト29、59が本発明の定着用回転体である場合の、該加圧ベルト29、59の構成は、後述の図3における加熱ベルト30と同様である。
【0072】
3.ベルト定着方式の定着装置
少なくとも表面が耐熱性及び離型性を有する加熱ベルトと、前記加熱ベルトの内側より圧接する加圧部材と、前記加熱ベルトを介して前記加圧部材に対向し加圧する加圧ロールとを有し、加熱ベルトと加圧ロールとの間にニップ部が形成され、該ニップ部に未定着トナー像を有する記録材を挿通させ、熱及び圧力を作用させて前記記録材上にトナー像を定着する加熱加圧型の定着装置において、本発明の定着用回転体は、加熱ベルト及び/又は加圧ロールとして用いることができる。
【0073】
図3は本方式の定着装置(本発明の定着装置)の一例を示す概略断面図である。図3において、30は、耐熱性ベースフィルム(例えばポリイミドフィルム等)の基体上に離型層を形成した、本発明の定着用回転体としての加熱ベルト(定着ベルト)である。該加熱ベルト30に接するように加圧ロール31が配され、加熱ベルト30と加圧ロール31との間にニップ部を形成している。加圧ロール31は、基体31a上にシリコーンゴム等による弾性層31bを形成し、更にその上層にフッ素樹脂等からなる離型層31cを形成した、本発明の定着用回転体である。
【0074】
加熱ベルト30内側には、加圧ロール31と対向する位置に、例えば鉄製の圧力ロール33aと、逆T字型をした圧力印加部材33bと、潤滑剤を含浸させた金属パッド33cとからなる加圧部材33が配され、圧力印加部材33bが圧力ロール33aを介して加熱ベルト30を加圧ロール31に押しつけ、前記ニップ部にニップ圧が加わるようになっている。このとき圧力印加部材33bは、金属パッド33cが圧力ロール33aの内面を滑りながらニップ圧を印加している。なお、圧力ロール33aの内面には潤滑性のある耐熱オイルがコーティングされていることが好ましい。
更に、加熱ベルト30の内側には、加熱ベルト30のニップ部を加熱するためのヒータランプ32が配されている。
【0075】
圧力ロール33aに従動して加熱ベルト30は矢印B方向に回転し、それにつれて加圧ロール31も矢印C方向に従動回転する。未定着トナー像34が形成された記録材35は矢印A方向に、上記定着装置のニップ部に挿通され、加熱溶融及び加圧されトナー像が定着される。
【0076】
なお、本例においては、加熱ベルト30と加圧ロール31との双方が本発明の定着用回転体である場合について説明したが、加熱ベルト30と加圧ロール31のうちの一方のみが本発明の定着用回転体である場合でも、未定着トナーへの熱の供給が効率よく行なわれ、装置の大型化を招くことなく、高速で、かつ、充分な定着を可能とするという本発明の効果は発揮される。もちろん、双方が本発明の定着用回転体であることが好ましい。
【0077】
4.ベルト対方式の定着装置
少なくとも表面が耐熱性及び離型性を有する加熱ベルトと、前記加熱ベルトの内側より圧接する加圧部材と、前記加熱ベルトと圧接しニップ部を形成する加圧ベルトと、前記加熱ベルト及び加圧ベルトのニップ部を介して前記加圧部材に対向し加圧する加圧ロールとを有し、前記ニップ部に未定着トナー像を有する記録材を挿通させ、熱及び圧力を作用させて前記記録材上にトナー像を定着する加熱加圧型の定着装置において、本発明の定着用回転体は、加熱ベルト及び/又は加圧ベルトとして用いることができる。
【0078】
図4は本方式の定着装置(本発明の定着装置)の一例を示す概略断面図である。図4において、加熱ベルト(定着ベルト)40、ヒータランプ42及び加圧部材43の構成は、前記図3における定着装置の加熱ベルト(定着ベルト)30、ヒータランプ32及び加圧部材33の構成と同一である。従って、加熱ベルト40は、本発明の定着用回転体としての加熱ベルト(定着ベルト)である。
【0079】
加熱ベルト40に面で接するように加圧ベルト49が配され、加熱ベルト40と加圧ベルト49との間にニップ部を形成している。加圧ベルト49は、加熱ベルト40と同様の構成、即ち、本発明の定着用回転体である。加圧ベルト49の内側には、加圧部材43と対向する位置にシリコーンゴム等からなる加圧ロール48が配され、前記ニップ部にニップ圧が加わるようになっている。
【0080】
圧力ロール43aに従動して加熱ベルト40は矢印B方向に回転し、それにつれて加圧ベルト49も矢印C方向に従動回転する。未定着トナー像44が形成された記録材45は矢印A方向に、上記定着装置のニップ部に挿通され、加熱溶融及び加圧されトナー像が定着される。
【0081】
なお、本例においては、加熱ベルト40と加圧ベルト49との双方が本発明の定着用回転体である場合について説明したが、加熱ベルト40と加圧ベルト49のうちの一方のみが本発明の定着用回転体である場合でも、未定着トナーへの熱の供給が効率よく行なわれ、装置の大型化を招くことなく、高速で、かつ、充分な定着を可能とするという本発明の効果は発揮される。もちろん、双方が本発明の定着用回転体であることが好ましい。
【0082】
5.低熱容量の定着ロールを用いた定着装置
低熱容量の定着ロールを用いた定着装置について、図6を用いて、説明する。本方式の定着装置78は、定着ローラ70と、エンドレスベルト71と、このエンドレスベルト71を介して定着ローラ70に押圧される加圧パッド(加圧部材)73とで主要部が構成されている。
【0083】
上記定着ローラ70は、円筒状基体70aの周囲に弾性層70b、及び離型層70cを形成したものであり、円筒状基体70aの内部には、加熱源としてのハロゲンランプ72が配置されている。従って、定着ローラ70は、本発明の定着用回転体としての定着ベルトである。定着ローラ70の表面の温度は温度センサ74によって計測され、その計測信号により、図示しない温度コントローラによってハロゲンランプ72がフィードバック制御されて、定着ローラ70の表面がほぼ一定温度になるように調整される。エンドレスベルト71は、定着ローラ70に対し所定の角度巻き付けられるように接触し、ニップ部を形成している。
【0084】
エンドレスベルト71の内側には、加圧パッド73がエンドレスベルト71を介して定着ローラ70に押圧される状態で配置されている。加圧パッド73は、幅の広いニップ部を確保するための弾性部材73aと、該弾性部材73aの、エンドレスベルト71の内周面と接触する面に設けられた低摩擦層73bとを有し、金属製のホルダー73cに保持されている。低摩擦層73bを表面に有する弾性部材73aは、ほぼ定着ローラ70の外周面に倣う凹形になっており、定着ローラ70に対して押圧されてニップ部を形成し、定着ローラ70に一定の歪み量を生じさせている。更にホルダー73cには、エンドレスベルト71がスムーズに摺動回転するようにベルト走行ガイド75が取り付けられている。ベルト走行ガイド75はエンドレスベルト71内面と摺擦するため摩擦係数が低い部材が望ましく、かつ、エンドレスベルト71から熱を奪いにくいように熱伝導の低い部材がよい。
上記定着ローラ70は、図示しないモータにより図中に示す矢印の方向に回転駆動され、この回転によりエンドレスベルト71も従動回転するようになっている。
【0085】
このような定着装置78には、未定着トナー像77が転写された記録材76は、定着ローラ70と加圧パッド73との間のニップ部に向けて搬送される。ニップ部に挿通させられた記録材76上の未定着トナー像77は、ニップ部に作用する圧力と、ハロゲンランプ72より定着ローラ70を通じて与えられる熱と、により加熱及び溶融され、記録材76に圧着される。このとき、ニップ部は、加圧パッド73によって広く設定されているので、安定した定着性能が確保される。そして、定着後の記録材76は、離型層70c及びニップ部における歪みの効果等により、定着ローラ70に巻き付くことなく良好に剥離される。
【0086】
本方式の定着装置78においては、ニップ部が広く十分な定着性能が得られ、かつ、少ない歪み量で効果的に離型性を得ることができるため、加圧パッド73による総荷重が小さくて済む。したがって、円筒状基体70aの外径を小さく、肉厚を薄くできるとともに、円筒状基体70aの表面に形成される弾性層70bの厚さも薄くでき、極めて低熱容量の定着ローラ70を用いることができる。これにより、従来のロール対方式の定着装置に比べて、ウォームアップタイムの短縮が可能となる。
【0087】
なお、本例においては、低熱容量の定着ロール10が本発明の定着用回転体である場合について説明したが、この場合も、未定着トナーへの熱の供給が効率よく行なわれ、記録材に熱を奪われることなく定着を行うことができることから、装置の大型化を招くことなく、高速で、かつ、充分な定着を可能とするという本発明の効果は発揮される。即ち、低熱容量の定着ロールを用い、ウォームアップタイムを短縮した定着装置であっても、装置の大型化を招くことなく、高速で、かつ、充分な定着を可能とする効果を有することになる。
【0088】
6.電磁誘導加熱定着装置
図7は本発明の定着用回転体を加熱定着用ベルトとして用いた電磁誘導加熱定着装置の一例を示す概略断面図である。図7において、80は本発明の定着用回転体を用いた加熱定着用ベルトであり、該加熱定着用ベルトは電磁誘導により発熱する層を備える。該加熱定着用ベルト80に接するように加圧ロール81が配され、加熱定着用ベルト80と加圧ロール81との間にニップを形成している。加圧ロール81は、基体81a上にシリコーンゴム等による弾性層81bが形成され、更にその上層に離型層81cが形成されて構成される。
【0089】
加熱定着用ベルト80の内側には、加圧ロール81と対向する位置に、シリコーンゴム等からなるニップパッド82cと、局所的にニップ圧を高めるニップヘッド82bと、支持体82aとから構成されている押圧部材82が設置されている。
更に、加熱定着用ベルト80を中心として加圧ロール11と対向する位置に、電磁誘導コイルを内蔵した電磁誘導加熱装置84が設けられている。電磁誘導加熱装置84は、電磁誘導コイルに交流電流を印加することにより、発生する磁場を励磁回路で変化させ、金属薄膜層に渦電流を発生させるものである。この渦電流が金属薄膜層の電気抵抗によって熱(ジュール熱)に変換され、結果的に加熱定着用ベルト80の表面が発熱する。
尚、電磁誘導加熱装置84は、加熱定着用ベルト80内のニップ領域に対して回転方向Bの上流に設置されていてもよい。
【0090】
電磁誘導加熱定着装置は、不図示の駆動装置により加熱定着用ベルト80が矢印B方向に回転し、それにつれて加圧ロール81も矢印C方向に従動回転する。未定着トナー像86が形成された記録材85は矢印A方向に、上記定着装置のニップ部に挿通され、未定着トナー像86を溶融状態として圧力で記録材85に固着させる装置である。
尚、駆動方法は、ベルト駆動(ロールが従動)、ロール駆動(ベルトが従動)のどちらでもよい。
【0091】
なお、本例においては、加熱定着用ベルト80のみが本発明の定着用回転体である場合について説明したが、加熱定着用ベルト80のみが本発明の定着用回転体である場合であっても、未定着トナーへの熱の供給が効率よく行なわれ、装置の大型化を招くことなく、高速で、かつ、充分な定着を可能とするという本発明の効果は発揮される。もちろん、加熱定着用ベルト80と加圧ロール81の双方が本発明の定着用回転体であることが好ましい。
【0092】
本方式の電磁誘導加熱定着装置における、本発明の定着用回転体を用いた加熱定着用ベルト80の各要素について説明する。
【0093】
[基体]
加熱定着用ベルト80における基体は、上述した電磁誘導加熱定着装置12内における繰り返し周動搬送が可能であって、定着温度における物性低下がなく、高強度であれば、特に限定されず、上述の本発明の定着用回転体に用いられる基体と同様のものが用いられるが、中でも、耐熱性樹脂であることが好ましい。
加熱定着用ベルト80の基体が金属(金属フイルム)から構成される場合は、その表面に形成する金属薄膜層との密着強度を容易に得ることができるというメリットがあるが、電磁誘導加熱定着装置における押圧部材82と、加熱定着用ベルト80の内面(基体)との摺動性を確保することが困難であるため、前記押圧部材82を損傷する場合がある。
一方、加熱定着用ベルト80の基体が、より摺動性の高い耐熱性樹脂から構成されることで、押圧部材82との摺動抵抗がなく、寿命を延長させることができる。
【0094】
前記耐熱性樹脂としては、ポリイミド、芳香族ポリアミド、サーモトロピック液晶ポリマー等の液晶材料など、高耐熱・高強度樹脂等が挙げられるが、この中でもポリイミドが好ましい。
また、加熱定着用ベルト80の基体の好ましい厚さは、繰り返しの周動搬送を可能とする剛性と柔軟性とを両立できる範囲であることが好ましく、10〜200μmの範囲が好ましく、30μm〜100μmの範囲がより好ましい。10μm未満では剛性が弱く、周動搬送中に皺になったり、両端のエッジ部分に亀裂が生じてしまう場合がある。逆に200μmを超えると、柔軟性を確保できない場合がある。
【0095】
[電磁誘導により発熱する層(金属発熱層)]
本方式の電磁誘導加熱定着装置において、加熱定着用ベルト80は電磁誘導により発熱する層(以下、金属発熱層と称する。)を有することが必須である。かかる金属発熱層は、通常金属薄膜層で形成されており、上述した電磁誘導加熱定着装置において、コイルから発生する磁界により渦電流を発生させることで発熱する層であり、電磁誘導作用を生ずる金属が用いられる。
かかる金属としては、例えばニッケル、鉄、銅、金、銀、アルミニウム、スチール、クロムなどが選択可能である。これらのうちコスト、発熱性能、及び加工性を考慮すれば、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄、クロムが適しており、特に銅が好ましい。
【0096】
前記金属発熱層の厚さは、その金属材質により最適な厚さは異なるが、例えば銅を前記金属発熱層に用いる場合には、その厚さが3〜50μmの範囲であることが好ましく、3〜30μmの範囲であることがより好ましく、5〜20μmの範囲であることが更に好ましい。
前記金属発熱層の厚さが3μm未満になると、金属発熱層の抵抗値が高くなることにより、十分な渦電流が発生し難くなり発熱が不足し、ウォームアップ時間が長くなるか、或いは定着可能温度まで加熱することができなくなる場合がある。また、前記金属発熱層の厚さが50μmを超えると、十分な発熱は得られるものの、膜自体の熱容量が大きくなってしまうことからウォームアップ時間が長くなってしまう場合がある。
【0097】
[離型層及び弾性層]
加熱定着用ベルト80において、離型層及び弾性層としては、特に限定されず、上述の本発明の定着用回転体に用いられる離型層及び弾性層と同様のものが用いられるが、中でも、離型層がフッ素系化合物からなることが好ましい。
【0098】
なお、このような構成の加熱定着用ベルト80は、(1)離型層側の表面から深さ50μmまでの表層領域における熱抵抗Aが、10cm2・sec・℃/cal(2.4cm2・℃/W)以下である、若しくは、(2)離型層の厚みをt1(cm)、弾性層の厚みをt2(cm)、当該離型層の熱伝導率をλ1(cal/cm・sec・℃)、当該弾性層の熱伝導率をλ2とするとき、上記関係式(1)〜(3)を満たす、ものであれば、その構成は特に限定されない。
【0099】
【実施例】
まず、各々の実施例及び比較例において用いられる定着装置について説明する。定着装置としては、図3に示すベルト定着方式の定着装置(定着装置▲1▼)、図7に示す電磁誘導定着装置(定着装置▲2▼)、及び、図6に示す低熱容量の定着ベルトを有する定着装置(定着装置▲3▼)をそれぞれ用いた。
なお、定着装置▲1▼における、加熱ベルト30と加圧ロール31との間に形成されるニップ部の幅は10mmであり、加熱ベルト30の周速度は200mm/secであった。
定着装置▲2▼における、加熱定着用ベルト80と加圧ロール81との間に形成されるニップ部の幅10mmであり、加熱定着用ベルト80の周速度は200mm/secであった。
定着装置▲3▼における、定着ローラ70とエンドレスベルト71との間に形成されたニップ部の幅10mmであり、定着ローラ70の周速度は200mm/secであった。
また、これらの定着装置における定着用回転体としては、該定着用回転体を構成する層の材料や厚み等を下記に示すようにそれぞれ変化させた。
【0100】
そして、富士ゼロックス社製DocuCenterColor500(DCC500)を改造し、DCC500用の4色の現像剤を使用してフルカラー画像の未定着トナー像を形成した。
尚、記録材としては、富士ゼロックス社製JD紙を用いた。
そして、ここで得られた未定着トナー像を、上記のいずれかの定着装置を用いて定着を行い、定着度、及び、定着後の画像の状態(発色及び光沢)を目視にて評価した。
【0101】
[実施例1]
ポリイミドを主成分とする組成物からなる厚さ50μmの無端ベルト(基体)上に、熱伝導率13.0(×10−4cal/cm・sec・℃)のシリコ−ンゴムからなる厚さ40μmの弾性層を設け、更に、その上に熱伝導率2.65(×10−4cal/cm・sec・℃)のフルオロカーボンシロキサンゴム(SIFEL610:信越化学(株)製)からなる厚さ20μmの離型層を設けた、定着ベルト1を作製した。
【0102】
作製された定着ベルト1の熱抵抗Aを式(I)により算出すると、「表層領域」が離型層(20μm)と、弾性層(30μm)からなることから、
熱抵抗A=0.002/0.000265+0.003/0.00130=9.85
であり熱抵抗A≦10cm2・sec・℃/calを満たす。
このため、定着ベルト1は、本発明の第1の定着用回転体であった。
【0103】
作製された定着ベルト1の離型層の厚さt1(cm)は、
t1=0.002
であり、関係式(1)0.001≦t1を満たす。
また、この定着ベルト1の弾性層の厚さt2(cm)は
t2=0.004
であり、関係式(2)0.004≦t2≦0.060を満たす。
更に、
0.002/0.000265+(0.005−0.002)/0.00130=9.85
となり、関係式(3)t1/λ1+(0.005−t1)/λ2≦10を満たす。
このため、定着ベルト1は、本発明の第2の定着用回転体であった。
【0104】
この定着ベルト1を加熱ベルト(定着ベルト)30として定着装置▲1▼にセットし、定着度、及び、定着後の画像の状態(発色及び光沢)について定着評価を行ったところ、定着度は問題なく、また、発色及び光沢ともに、問題ない画像が得られた。
【0105】
[比較例1]
実施例1において、離型層の厚みを40μmにした以外は、実施例1と同様の定着ベルトR1を作製した。
【0106】
作製された定着ベルトR1の熱抵抗Aを式(I)により算出すると、「表層領域」が離型層(40μm)と、弾性層(10μm)からなることから、
熱抵抗A=0.004/0.000265+0.001/0.00130=15.9
であり熱抵抗A≦10cm2・sec・℃/calを満たさない。
【0107】
作製された定着ベルトR1の離型層の厚さt1(cm)は、
t1=0.004
であり、関係式(1)0.001≦t1を満たす。
また、この定着ベルトR1の弾性層の厚さt2(cm)は
t2=0.004
であり、関係式(2)0.004≦t2≦0.060を満たす。
更に、
0.004/0.000265+(0.005−0.004)/0.00130=15.9
となり、関係式(3)t1/λ1+(0.005−t1)/λ2≦10を満たさない。
【0108】
この定着ベルトR1を加熱ベルト(定着ベルト)30として定着装置▲1▼にセットし、定着度、及び、定着後の画像の状態(発色及び光沢)について定着評価を行ったところ、定着度が不十分で、また、発色及び光沢ともに悪く、不合格なレベルであった。
【0109】
[実施例2]
ポリイミドを主成分とする組成物からなる厚さ50μmの無端ベルト(基体)上に、熱伝導率13.0(×10−4cal/cm・sec・℃)のシリコーンゴムからなる厚さ200μmの弾性層を設け、更にその上に熱伝導率6.0(×10−4cal/cm・sec・℃)のフッ素樹脂(PFA)からなる厚さ30μmの離型層を設けた、定着ベルト2を作製した。
【0110】
作製された定着ベルト2の熱抵抗Aを式(I)により算出すると、「表層領域」が離型層(30μm)と、弾性層(20μm)からなることから、
熱抵抗A=0.003/0.0006+0.002/0.00130=6.5であり熱抵抗A≦10cm2・sec・℃/calを満たす。
このため、定着ベルト2は、本発明の第1の定着用回転体であった。
【0111】
作製された定着ベルト2の離型層の厚さt1(cm)は、
t1=0.003
であり、関係式(1)0.001≦t1を満たす。
また、この定着ベルト2の弾性層の厚さt2(cm)は
t2=0.020
であり、関係式(2)0.004≦t2≦0.060を満たす。
更に、
0.003/0.0006+(0.005−0.003)/0.00130=6.5
となり、関係式(3)t1/λ1+(0.005−t1)/λ2≦10を満たす。
このため、定着ベルト2は、本発明の第2の定着用回転体であった。
【0112】
この定着ベルト2を加熱ベルト(定着ベルト)30として定着装置▲1▼にセットし、定着度、及び、定着後の画像の状態(発色及び光沢)について定着評価を行ったところ、定着度は問題なく、また、発色及び光沢ともに、問題ない画像が得られた。
【0113】
[比較例2]
実施例2において、弾性層を構成するシリコーンゴムとして熱伝導率を3.1(×10−4cal/cm・sec・℃)のものを使用した以外は、実施例2と同様の定着ベルトR2を作製した。
【0114】
作製された定着ベルトR2の熱抵抗Aを式(I)により算出すると、「表層領域」が離型層(30μm)と、熱伝導率を3.1の弾性層(20μm)からなることから、
熱抵抗A=0.003/0.0006+0.002/0.00031=11.5
であり熱抵抗A≦10cm2・sec・℃/calを満たさない。
【0115】
作製された定着ベルトR2の離型層の厚さt1(cm)は、
t1=0.003
であり、関係式(1)0.001≦t1を満たす。
また、この定着ベルトR2の弾性層の厚さt2(cm)は
t2=0.020
であり、関係式(2)0.004≦t2≦0.060を満たす。
更に、
0.003/0.0006+(0.005−0.003)/0.00031=11.5
となり、関係式(3)t1/λ1+(0.005−t1)/λ2≦10を満たさない。
【0116】
この定着ベルトR2を加熱ベルト(定着ベルト)30として定着装置▲1▼にセットし、定着度、及び、定着後の画像の状態(発色及び光沢)について定着評価を行ったところ、定着度は充分であったが、発色及び光沢ともに悪く、不合格なレベルであった。
【0117】
[実施例3]
実施例2において、基体と弾性層との間に、10μmの銅からなる金属発熱層を挿入した以外は、実施例2と同様の定着ベルト3を作製した。
なお、作製された定着ベルト3は、実施例2における定着ベルト2と同様に、本発明の第1及び第2の定着用回転体であった。
【0118】
作製された定着ベルト3を加熱定着用ベルト80として定着装置▲2▼にセットし、定着度、及び、定着後の画像の状態(発色及び光沢)について定着評価を行ったところ、定着度は問題なく、また、発色及び光沢ともに、問題ない画像が得られた。
【0119】
[実施例4]
鉄製の厚さ2mm、40mmφのロール状基体に、熱伝導率13.0(×10−4ca1/cm・sec・℃)のシリコーンゴムからなる厚さ200μmの弾性層を設け、更にその上に熱伝導率2.65(×10−4ca1/cm・sec・℃)のフルオロカーボンシロキサンゴム(SIFEL610:信越化学(株)製)からなる厚さ20μmの離型層を設けた、定着ロール4を作製した。
【0120】
作製された定着ロール4の熱抵抗Aを式(I)により算出すると、「表層領域」が離型層(20μm)と、弾性層(30μm)からなることから、
熱抵抗A=0.002/0.000265+0.003/0.00130=9.85
であり熱抵抗A≦10cm2・sec・℃/calを満たす。
このため、定着ロール4は、本発明の第1の定着用回転体であった。
【0121】
作製された定着ベルト4の離型層の厚さt1(cm)は、
t1=0.002
であり、関係式(1)0.001≦t1を満たす。
また、この定着ベルト4の弾性層の厚さt2(cm)は
t2=0.020
であり、関係式(2)0.004≦t2≦0.060を満たす。
更に、
0.002/0.000265+(0.005−0.002)/0.00130=9.85
となり、関係式(3)t1/λ1+(0.005−t1)/λ2≦10を満たす。
このため、定着ロール4は、本発明の第2の定着用回転体であった。
【0122】
この定着ロール4を定着ローラ70として定着装置▲3▼にセットし、定着度、及び、定着後の画像の状態(発色及び光沢)について定着評価を行ったところ、定着度は問題なく、また、発色及び光沢ともに、問題ない画像が得られた。
【0123】
[比較例3]
実施例4において、離型層の厚みを40μmにした以外は、実施例4と同様の定着ロールR3を作製した。
【0124】
作製された定着ロールR3の熱抵抗Aを式(I)により算出すると、「表層領域」が離型層(40μm)と、弾性層(10μm)からなることから、
熱抵抗A=0.004/0.000265+0.001/0.00130=15.9
であり熱抵抗A≦10cm2・sec・℃/calを満たさない。
【0125】
作製された定着ロールR3の離型層の厚さt1(cm)は、
t1=0.004
であり、関係式(1)0.001≦t1を満たす。
また、この定着ロールR3の弾性層の厚さt2(cm)は
t2=0.020
であり、関係式(2)0.004≦t2≦0.060を満たす。
更に、
0.004/0.000265+(0.005−0.004)/0.00130=15.9
となり、関係式(3)t1/λ1+(0.005−t1)/λ2≦10を満たさない。
【0126】
この定着ロールR3を定着ローラ70として定着装置▲3▼にセットし、定着度、及び、定着後の画像の状態(発色及び光沢)について定着評価を行ったところ、定着度が不十分で、また、発色及び光沢ともに悪く、不合格なレベルであった。
【0127】
[比較例4]
実施例4において、離型層の厚みを8μmにした以外は、実施例4と同様の定着ロールR4を作製した。
【0128】
作製された定着ロールR4の熱抵抗Aを式(I)により算出すると、「表層領域」が離型層(8μm)と、弾性層(42μm)からなることから、
熱抵抗A=0.0008/0.000265+0.0042/0.00130=13.9
であり熱抵抗A≦10cm2・sec・℃/calを満たさない。
【0129】
作製された定着ロールR4の離型層の厚さt1(cm)は、
t1=0.0008
であり、関係式(1)0.001≦t1を満たさない。
また、この定着ロールR4の弾性層の厚さt2(cm)は
t2=0.020
であり、関係式(2)0.004≦t2≦0.060を満たす。
更に、
0.0008/0.000265+(0.005−0.0008)/0.00130=13.9
となり、関係式(3)t1/λ1+(0.005−t1)/λ2≦10を満たさない。
【0130】
この定着ロールR4を定着ローラ70として定着装置▲3▼にセットし、定着度、及び、定着後の画像の状態(発色及び光沢)について定着評価を行ったところ、定着度が不十分で、また、発色及び光沢ともに悪く、不合格なレベルであった。更に、離型層が8μmと薄すぎるため、離型層の破断による傷が発生した。
【0131】
[比較例5]
実施例4において、弾性層を構成するシリコーンゴムとして熱伝導率を3.1(×10−4cal/cm・sec・℃)のものを使用し、かつ、該弾性層の厚さを70μmにした以外は、実施例4と同様の定着ロールR5を作製した。
【0132】
作製された定着ロールR5の熱抵抗Aを式(I)により算出すると、「表層領域」が離型層(20μm)と、弾性層(30μm)からなることから、
熱抵抗A=0.002/0.000265+0.003/0.00031=17.2
であり熱抵抗A≦10cm2・sec・℃/calを満たさない。
【0133】
作製された定着ロールR5の離型層の厚さt1(cm)は、
t1=0.002
であり、関係式(1)0.001≦t1を満たす。
また、この定着ロールR5の弾性層の厚さt2(cm)は
t2=0.070
であり、関係式(2)0.004≦t2≦0.060を満たさない。
更に、
0.002/0.000265+(0.005−0.002)/0.00130=17.2
となり、関係式(3)t1/λ1+(0.005−t1)/λ2≦10を満たさない。
【0134】
この定着ロールR5を定着ローラ70として定着装置▲3▼にセットし、定着度、及び、定着後の画像の状態(発色及び光沢)について定着評価を行ったところ、定着度が不十分で、また、発色及び光沢ともに悪く、不合格なレベルであった。
また、弾性層が700μmと厚すぎるため、ウォームアップタイムが長かった。
更に、熱源から表面への熱量の供給が遅くなるため、連続通紙による定着ロールR5の表面温度の低下度が増大し、加えて、基体と弾性層との界面温度が上昇することによる界面接着力の低下度が増加した。
【0135】
【発明の効果】
本発明によれば、装置の大型化を招くことなく、高速で、かつ、充分な定着ができる定着装置、及び該定着装置に好適な定着用回転体を提供することができる。
また、本発明によれば、特に、低熱容量の定着部材を用いることにより、ウォームアップタイムを短縮した定着装置であっても、装置の大型化を招くことなく、高速で、かつ、充分な定着ができる定着装置、及び該定着装置に好適な定着用回転体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な定着装置の構成例、および本発明の定着用回転体が適用される定着装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の定着用回転体が適用される定着装置の他の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の定着用回転体が適用される定着装置の他の一例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の定着用回転体が適用される定着装置の他の一例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の定着用回転体が適用される定着装置の他の一例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の定着用回転体が適用される定着装置の他の一例を示す概略断面図である。
【図7】本発明の定着用回転体が適用される定着装置の他の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
10、20、50:加熱ロール(加熱回転体)
11、31、81:加圧ロール(加圧部材)
12、13、22、32、42、52:ヒータランプ(加熱源)
14、24、34、44、54、77、86:未定着トナー(像)
15、25、35、45、55、76、85:記録材
16、26、56:離型剤塗布装置
27:ロール
28、58、73:加圧パッド
29、49、59:加圧ベルト(加圧部材)
30、40:加熱ベルト(加熱回転体)
33、43:加圧部材
70:定着ローラ(加熱回転体)
71:エンドレスベルト(加圧部材)
72:ハロゲンランプ(加熱源)
74:温度センサ
75:ベルト走行ガイド
78:定熱容量の定着ロールを用いた定着装置
80:加熱定着用ベルト(加熱回転体)
81:加圧ロール(加圧部材)
82:押圧部材
84:電磁誘導加熱装置
Claims (18)
- 少なくとも、基体と、該基体上に設けられる離型層と、を有してなり、該離型層側の表面から深さ50μmまでの表層領域における熱抵抗Aが、10cm2・sec・℃/cal(2.4cm2・℃/W)以下であることを特徴とする定着用回転体。
- 熱抵抗Aが、7cm2・sec・℃/cal(1.68cm2・℃/W)以下であることを特徴とする請求項1に記載の定着用回転体。
- 熱抵抗Aが、5cm2・sec・℃/cal(1.2cm2・℃/W)以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着用回転体。
- 少なくとも、基体上に弾性層と離型層とを順次有してなり、該離型層の厚みをt1(cm)、該弾性層の厚みをt2(cm)、当該離型層の熱伝導率をλ1(cal/cm・sec・℃)(=4.2W/cm・℃)、当該弾性層の熱伝導率をλ2(cal/cm・sec・℃)(=4.2W/cm・℃)とするとき、下記関係式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする定着用回転体。
関係式(1) 0.001≦t1
関係式(2) 0.004≦t2≦0.060
関係式(3) t1/λ1+(0.005−t1)/λ2≦10 - 前記関係式(3)が、t1/λ1+(0.005−t1)/λ2≦7であることを特徴とする請求項4に記載の定着用回転体。
- 前記関係式(3)が、t1/λ1+(0.005−t1)/λ2≦5であることを特徴とする請求項4又は5に記載の定着用回転体。
- 前記離型層が弾性体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の定着用回転体。
- 前記離型層が、フッ素ゴム、又は、シリコーンゴムを主成分とする組成物からなることを特徴とする請求項7に記載の定着用回転体。
- 前記離型層がフルオロカーボンシロキサンゴムを主成分とする組成物からなることを特徴とする請求項7に記載の定着用回転体。
- 前記離型層がフッ素樹脂を主成分する組成物からなり、厚さ40μm以下であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の定着用回転体。
- 前記基体が、金属製のロールであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の定着用回転体。
- 前記ロールが、厚さ2mm以下の薄肉中空金属ロールであることを特徴とする請求項11に記載の定着用回転体。
- 前記基体が、ベルトであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の定着用回転体。
- 前記ベルトが、耐熱性樹脂を主成分とする組成物からなることを特徴とする請求項13に記載の定着用回転体。
- 前記耐熱性樹脂がポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項14に記載の定着用回転体。
- 加熱源により加熱された加熱回転体と、該加熱回転体に圧接して配置される加圧部材の間に、未定着トナー像が形成された記録材を通過させて該未定着トナー像の加熱定着を行う定着装置であって、
前記加熱回転体が請求項1〜15のいずれかに記載の定着用回転体であることを特徴とする定着装置。 - 前記加熱源が、前記加熱回転体の内側及び/又は外側に配置されていることを特徴とする請求項16に記載の定着装置。
- 前記加熱源が誘導加熱源であり、かつ、前記定着用回転体が電磁誘導により発熱する層を有することを特徴とする請求項16又は17に記載の定着装置。
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JP2003176303A JP2005010607A (ja) | 2003-06-20 | 2003-06-20 | 定着用回転体及び定着装置 |
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JP2003176303A Pending JP2005010607A (ja) | 2003-06-20 | 2003-06-20 | 定着用回転体及び定着装置 |
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JP2009217159A (ja) * | 2008-03-12 | 2009-09-24 | Fuji Xerox Co Ltd | 定着装置及び画像形成装置 |
US9891565B1 (en) | 2016-07-28 | 2018-02-13 | Canon Kabushiki Kaisha | Fixing member, fixing apparatus and electrophotographic image forming apparatus |
-
2003
- 2003-06-20 JP JP2003176303A patent/JP2005010607A/ja active Pending
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US8086159B2 (en) | 2006-11-28 | 2011-12-27 | Ricoh Company Limited | Fixing device and image forming apparatus including the fixing device |
JP2009217159A (ja) * | 2008-03-12 | 2009-09-24 | Fuji Xerox Co Ltd | 定着装置及び画像形成装置 |
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