JP2018022767A - 熱伝導シートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
熱伝導シートに用いられる無機粒子の中には、例えば鱗片状六方晶窒化ホウ素のように、粒子形状及び熱伝導率に異方性を有し、長径方向(面方向)の方が短径方向(厚み方向)よりも熱伝導率が高いというものがある。このような異方性無機粒子を用いた熱伝導シートにおいては、無機粒子が、長径方向が熱伝導性の求められる方向(すなわち、シートの厚み方向)に対して平行となるように配向(以下、「縦配向」ということがある。)していることが好ましい。
しかしながら、無機粒子とバインダとなる樹脂を含む組成物をドクターブレード等で単純にシート状に塗工したのでは、各粒子の長径方向はシートの面方向に平行に配向してしまう。
また、特許文献1には、六方晶窒化ホウ素粒子の長径方向が面方向に対して平行に配向した一次シートを積層して積層体を得た後、一次シート面から出る法線に対して0〜30度で積層体をスライスすることによって、六方晶窒化ホウ素粒子が縦配向したシートを作成することが開示されている。
さらに、特許文献2には、六方晶窒化ホウ素粒子に正電荷を与え、静電気力を利用して縦配向させることが開示されている。
しかしながら、いずれの方法もシートの製造方法が複雑で、量産性に課題がある。
[1]無機粒子と樹脂を含むインクを孔版印刷して塗膜を形成する工程を含む、熱伝導シートの製造方法。
[2]前記塗膜を加熱して半硬化シートとする工程をさらに含む、[1]に記載の熱伝導シートの製造方法。
[3]前記無機粒子が異方形状を有する、[1]又は[2]に記載の熱伝導シートの製造方法。
[4]前記無機粒子の平均粒径が0.1μm〜500μmである、[1]〜[3]いずれかに記載の熱伝導シートの製造方法。
[5]前記無機粒子が、鱗片状の六方晶窒化ホウ素粒子である、[1]〜[4]いずれかに記載の熱伝導シートの製造方法。
[6]前記孔版印刷において使用する版の孔径が、前記無機粒子の最大粒径の1.1倍以上である、[1]〜[5]のいずれかに記載の熱伝導シートの製造方法。
[7]前記孔版印刷が、スクリーン印刷である、[1]〜[6]のいずれかに記載の熱伝導シートの製造方法。
[8]前記スクリーン印刷において使用する版の空間率が、0.1〜90%である、[7]に記載の熱伝導シートの製造方法。
[9]前記インクが、蒸発速度が酢酸ブチルの4.5倍以下である溶剤をさらに含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の熱伝導シートの製造方法。
[10]前記塗膜を形成する工程において、複数枚の塗膜を形成し、該複数枚の塗膜を積層する工程をさらに含む、[1]〜[9]のいずれかに記載の熱伝導シートの製造方法。
[11]前記塗膜を形成する工程と前記塗膜を積層する工程との間に、前記塗膜の表面に凹凸パターンを形成する工程をさらに含み、前記塗膜を積層する工程において、前記凹凸パターンが形成された面どうしが向かい合うように複数枚の塗膜を積層する、[10]に記載の熱伝導シートの製造方法。
[12]前記塗膜を形成する工程において、規則的なパターンを有する不連続な塗膜を形成する、[10]に記載の熱伝導シートの製造方法。
前述のとおり、無機粒子が縦配向したシートを塗工により製造するのは困難であり、従来このようなシートは、ポッティング法等、単純な塗工以外の方法で製造されてきた。
ところが、本発明者らは、無機粒子と樹脂を含むインクを孔版印刷すると、形成された塗膜中で粒子が縦配向することを見出した。
孔版印刷することによって粒子が塗膜中で縦配向する理由は明らかではないが、インクが孔を通過する際、版の厚み方向に流れが生じ、各粒子がこの流れに沿ってその長径方向が平行になるよう配列するためであると推測される。ただし、機序はこれによらない。
本実施形態において、無機粒子としては、カーボン、無機酸化物、無機窒化物又は無機炭化物等の無機化合物からなる粒子が挙げられ、具体例としては、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、水酸化アルミニウムなどの金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物;金属や合金;グラファイト、ダイヤモンドなどの炭素材料等からなる、球状、粉状、繊維状、針状、鱗片状、ウィスカー状などの粒子が挙げられる。
中でも、熱伝導性の観点から六方晶窒化ホウ素粒子が好ましい。六方晶窒化ホウ素粒子の粒子形状としては、例えば、偏平状、鱗片状、板状、平板状、顆粒状、球状、繊維状、ウィスカー状などが挙げられ、中でも鱗片状の六方晶窒化ホウ素粒子が好ましい。
本実施形態において使用する無機粒子のアスペクト比(最短径に対する最長径の比)に限定はないが、例えば、2以上であってもよいし、5以上であってもよいし、10以上であってもよい。アスペクト比に上限はないが、通常、1000以下である。
無機粒子の形状及びアスペクト比は、電子顕微鏡により粒子を観察することによって決定できる。アスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)(例えば、FE−SEM−EDX(SU8220):株式会社日立ハイテクノロジー社製)で撮影された画像から、200個以上の粒子を無作為に選択し、それぞれの最長径と最短径の比であるアスペクト比を求め、それらの平均値を算出することにより決定する。
このような形状に異方性を有する無機粒子の好ましい例としては、六方晶窒化ホウ素の偏平状(例えば、鱗片状)、繊維状、ウィスカー状粒子が挙げられる。
平均粒径がシートの厚みの1/2を超えると、シートの表面に無機粒子が突出して、熱伝導シートの表面形状が悪化し、他部材との張り合わせシートを作製する際の密着性が低下し、耐電圧特性が低下することがある。
一方で、無機粒子の平均粒径が小さ過ぎると、熱伝導パスが熱伝導シートの厚み方向に上から下まで繋がる確率が小さくなり、熱伝導シートの厚み方向の熱伝導率が不十分となることがある。
ここで、無機粒子の平均粒径とは、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(例えば、マイクロトラック・ベル製、MT3000IIシリーズ等)で測定したメジアン径(直径)をいう。
ここで、無機粒子の最大粒径とは、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(例えば、マイクロトラック・ベル製、MT3000IIシリーズ)で観測される最大粒径をいう。
無機粒子が30体積%未満であると、無機粒子が少なすぎるため、所望の熱伝導性が得られないこともある。
逆に、無機粒子の含有量が80体積%を超えると、無機粒子が多すぎて熱伝導性シートが脆くなったり、熱伝導性シートの電気絶縁性が低下したりすることがある。加えて、インクの粘度が高くなり、薄く且つ平坦な熱伝導性シートを得にくくなることがある。ここで、無機粒子の体積は、無機粒子を構成する無機化合物の比重とインクに含まれる無機粒子の質量とから求められる値とする。
また、本実施形態において硬化性樹脂は、硬化剤や硬化触媒と混合した樹脂組成物の形でインク中に添加してもよいし、さらに、対応する原料(モノマー、ダイマー、オリゴマー等の前駆体)の形でインク中に添加してもよい。
中でも、高熱伝導性で、有機溶剤への溶解性も良好であることから、エポキシ樹脂やポリエーテル樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、シリコーン樹脂が好ましく、特にエポキシ樹脂が好ましい。
これらの樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せ及び比率で併用してもよい。
印刷中にはインクの粘度を一定に調整し、印刷後にはインクを迅速に乾燥させる観点から、その蒸発速度が、酢酸ブチルの4.5倍以下である溶剤を用いることが好ましい。蒸発速度が速すぎると印刷中に溶剤が多く揮発し、印刷中にインクの粘度が変化してしまう。また、蒸発速度が遅すぎると溶剤の乾燥が困難になり、高温長時間の乾燥では、樹脂として熱硬化性樹脂を使用した場合にその硬化が進んでしまう。このような観点から、酢酸ブチルの蒸発速度の0.05倍〜4.5倍の溶剤を用いることがより好ましい。
溶剤の含有量に限定はなく、例えば、インクの粘度等を考慮して適宜決定することができ、通常、インキの10〜50質量%程度である。溶剤量が不足すると、孔版の孔で目詰まりが発生したり、泡が十分に消えないで残り、塗面にムラが生じることがある。逆に溶剤量が過剰になると、印刷後の塗膜中の無機粒子の配向保持性が劣ったり、印刷時にハジキが発生しやすくなる。
このような添加剤としては、例えば、無機粒子と樹脂との間の接着性を改良するためのカップリング剤や、上述の硬化剤及び硬化触媒、樹脂硬化促進剤、粘度調整剤、分散安定剤、界面活性剤、乳化剤、低弾性化剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤等が挙げられる。これらは、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本実施形態において、インクの粘度に限定はないが、例えば、0.1〜100Pa・sであることが好ましい。印刷後の塗膜中の無機粒子の配向保持性が高く、メッシュ孔の目詰まりを防止する観点から、5〜20Pa・sの粘弾性インクが望ましい。
孔版印刷とは、インクに圧力をかけて孔版(多数の孔を有する版)の孔を通過させることによって、インクを被印刷物に転写させる印刷方法をいう。本実施形態においては、インクとして上述の熱伝導シート形成材料を用い、これにより、孔版印刷で熱伝導シート用塗膜を形成する。
版の厚さにも限定はないが、インクに縦方向の流れを生じさせ無機粒子を縦配向させるという目的からは、ある程度厚みがある方が好ましく、例えば、40〜300μm程度のものを好適に使用することができる。
孔径にも限定はなく、無機粒子の最大粒径に応じて、適宜選択することができる。
ただし、無機粒子の最大粒径よりも小さいと孔版の目詰まりの原因となることから、無機粒子の最大粒径より大きいことが好ましく、最大粒径の1.1倍以上であることが好ましく、2倍以上であることがより好ましく、3倍以上であることがさらに好ましい。
また、インクに縦方向の流れを生じさせるという観点からは、孔径は、1100μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、300μm以下であることがさらに好ましく、100μm以下であることがなお好ましい。
なお、ここで、孔径とは、孔が円形である場合にはその直径を、矩形である場合にはその長径と短径の平均値をいい、それ以外の形状の場合は、孔(開口)に外接する最小の円の直径をいうものとする。
孔版の材料に限定はなく、例えば、パンチングメタル(アルミ、スチール、ステンレス等)が挙げられる。
その際に使用するスクリーンメッシュの目開き及び厚さに限定はなく、好ましい範囲は、上述の孔径及び版の厚さと同程度である。また、スクリーンメッシュの線径及びピッチも、このような目開きを与えることのできる範囲にあればよく、特に限定はない。また、スクリーンメッシュの開口率にあたる空間率は、0.1〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%、特に好ましくは20〜60%である。
ここで、スクリーンメッシュの空間率(X)は、次式によって表される値である。
X=(a/(a+b))2×100(%)
(ただし、a:メッシュの目開き(mm)、b:メッシュの線径(mm))
スクリーンメッシュの材料にも限定はなく、強度や防錆性の点からは、ステンレスを好ましく使用することができる。
本実施形態において、孔版印刷により形成される塗膜の厚み(印刷膜厚)に限定はなく、所望する熱伝導シートの厚さに応じて適宜決定することができ、例えば、10〜1000μmとしてもよいし、10〜500μmとしてもよいし、50〜300μmとしてもよい。
なお、本実施形態においては、塗膜1枚単独で熱伝導シートを形成してもよいし、複数枚の薄い塗膜を積層して熱伝導シートを形成してもよい。
印圧として、例えば、スキージ長さ1cmあたり300グラム以上とすることができる。1cmあたり400グラム以上としてもよいし、500グラム以上としてもよい。一般に、スキージ印圧が低すぎると、印刷膜厚の均一性が損なわれる傾向にあり、特に高粘弾性インク印刷の場合、スクリーン版上のインクの掻き取りの為にも十分な印圧が必要である。
またスキージ速度(摺動速度)及びスキージ角度(スキージと版とがなす角)にも限定はなく、例えば、0.01〜30m/分、及び、10〜70度程度とすることができる。
このような担体としては、孔版印刷によって形成される塗膜を保持できる強度を有し、塗膜硬化後に塗膜(シート)を担体から剥離する場合には離型性のよいものが好ましい。具体例としては、銅やアルミニウム等の金属箔や金属板、プラスチックフィルムやプラスチック板等が挙げられる。
ところで、熱伝導シート中にボイドが存在すると、熱伝導率や絶縁破壊信頼性の低下の原因となる。シート中にボイド(空間)が形成されるのを防ぐため、塗膜が完全に乾燥、硬化する前に、塗膜からボイドとなる空間を除去するために塗膜をプレスするプレス工程を設けることも好ましい。プレス方法に限定はないが、塗膜を均等に加圧することが好ましい。この場合、プレス工程に先立って、加熱や光照射などにより塗膜を半硬化させて半硬化シートを形成する工程を設けておくと、プレスを容易に行うことができる。
さらに、インクに含まれる樹脂として、硬化性樹脂又は樹脂組成物を用いた場合には、塗膜を加熱したり、塗膜に光照射をするなどの硬化工程を設けることが好ましい。
例えば、完全に硬化する前の2枚の塗膜を積層し硬化させることにより、容易に積層シートを得ることができる。積層の際には、プレスを行って、積層面間に隙間(ボイド)が形成されるのを防ぐことが好ましい。前述のとおり、熱伝導シート中にボイドが形成されると絶縁破壊強さが低下する等の問題が生じることがある。なお、積層の際にプレスを行った場合には、積層面間の隙間に加え、塗膜中の空間も同時に除去できるので、前述のプレス工程を別途設けなくてもよい。
塗膜を積層する工程に先立って、加熱や光照射などにより塗膜を半硬化させて半硬化シートを形成する工程を設けておくと、積層を容易に行うことができる。
無機粒子の縦配向の度合いの高いシートが得られる理由は明らかではないが、孔版印刷による塗膜を形成する工程においていったん得られた塗膜中の無機粒子の縦配向は、その後、塗膜が硬化するまでの間に重力等の影響により乱れることがあるところ、表面に凹凸パターンを設けた塗膜の凹凸面を向かい合うように積層すると、その2枚の塗膜の境界面が無機粒子の移動を規制して配向の乱れを抑止するためと推測される。ただし、機序はこれによらない。
塗膜表面に凹凸パターンを形成する方法に限定はないが、例えば、凹凸パターンを有する転写板やローラーを用いて、塗膜表面に凹凸を転写する方法が挙げられる。この場合においては、凹凸パターンを形成する工程に先立って、加熱や光照射などにより塗膜を半硬化させる、半硬化シート形成工程を設けておくと、凹凸パターンの転写を容易行うことができ、また、転写された凹凸パターンも保持されやすくなるため好ましい。
また、凹部と凸部が互いに嵌合できるような形状であることが好ましい。このような観点から、凹凸パターンは、例えば、正方形の凹部と凸部が規則的に配列した格子状やライン状(縞状)とすることが好ましい。
シートの厚さは用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、10〜1000μm程度とすることができる。
<各特性の評価方法>
(1)熱伝導率
実施例及び比較例で得られた積層シートから試験片(10mm×10mm×厚さ1mm)を切り出し、NETZSCH製キセノンフラッシュアナライザーLFA447型熱伝導率計を用いてレーザーフラシュで試験片の熱伝導率(W/m・K)を測定した。
積層シート中の窒化ホウ素一次粒子の配向性は、X線回折法によるI(002)回析線(2θ=26.5°)の強度とI(100)回析線(2θ=41.5°)の強度との比(I(002)/I(100))により評価した。
具体的には、実施例及び比較例で得られた積層シートから試験片(5mm×5mm×厚さ0.2mm)を切り出し、「全自動水平型多目的X線回折装置 SmartLab」(リガク社製、X線源:CuKα線、管電圧:45kV、管電流:360mA)を用いて、X線を試験片の厚み方向に照射して、I(002)回析線とI(100)回析線の強度を測定した。
六方晶である窒化ホウ素一次粒子の厚み方向は、結晶学的なI(002)回析線すなわちc軸方向、面内方向はI(100)回析線すなわちa軸方向にそれぞれ一致している。窒化ホウ素粒子の集合体を構成する窒化ホウ素一次粒子が、完全にランダムに配向している(無配向である)場合、(I(002)/I(100))≒6.7になる(「JCPDS[粉末X線回折データベース]」No.34−0421[BN]の結晶密度値[Dx])。(I(002)/I(100))が小さいほどと、六方晶の窒化ホウ素粒子のa軸方向が厚さ方向に配向していることを意味する。
エポキシ樹脂(DIC製「850−S」)100質量部、硬化剤(フェノーノボラック系硬化剤、明和化成製「DL−92」)56質量部、及び、硬化触媒(2フェニルイミダゾール、四国化成製)0.1質量部を混合し、樹脂組成物を調製した。
次に、平均粒径18μmの窒化ホウ素一次粒子(電気化学工業製「SGP」)100質量部に、カップリング剤として3−グリコキシドプロピルトリメトキシラン(東京化成製)1.5質量部を滴下し、ミキサーで攪拌した。
続いて、シクロペンタノン30質量部中で、前記樹脂組成物40体積%と、上記カップリング剤を付加した窒化ホウ素一次粒子60体積%の合計70質量部とを混合し、インクを調製した。
このインクを、スクリーン印刷版(中沼アートスクリーン株式会社製、3D80メッシュ−80−225μtNU−30+10μt、メッシュ孔径:238μm、空間率:54%)を用いた印刷により銅箔上に塗工(塗布厚:100μm)した。次いで、該塗膜を130℃で15分乾燥させ、銅箔から剥して半硬化シートを作製した。この銅箔を剥がした半硬化シートを14枚用意し、14枚の半硬化シートの塗工面(銅箔と反対面)どうしを張り合わせ積層し、これを180℃、10MPa、60分の条件で真空プレスしながらて硬化させ1mm厚の積層シートを作製した。
塗膜表面にバーコーター(テスター産業(株)製 SA−203 ROD No.130)を転がして縞状の凹凸パターン(深さ:100μm、ピッチ:約50−200μmを転写した以外は実施例1と同様にして積層シートを得た。
スクリーン印刷版による印刷の代わりに、ドクターブレード((株)井元製作所製)を用いてインクを銅箔上に平滑に塗工(塗布厚:100μm)した以外は実施例1と同様にして1mm厚の積層シートを得た。
孔径1mmのピペットを用いてポッティングでインクを銅箔上に塗工(塗布厚:500μm)して得た2枚のシートを積層した以外は実施例1と同様にして1mm積層シートを得た。
なお、塗工効率については、インクを銅箔上に100mm×100mmの正方形の形に塗工するのにかかった時間や手間を考慮して総合的に評価した。実施例1、2、および比較例1においては、塗工機でインクを数秒で100mm×100mmの正方形の形に塗工でき、容易に一括生産できた。これに対して、ポッティング法を用いた比較例2においては、インクを1点1点スポットするため、100mm×100mmの正方形の形に塗工するのに30秒以上時間を要した。また、ピペットからインクを吐出する際、窒化ホウ素粒子がピペットの先端につまり、樹脂及び溶剤から分離するという問題もあった。
Claims (12)
- 無機粒子と樹脂を含むインクを孔版印刷して塗膜を形成する工程を含む、熱伝導シートの製造方法。
- 前記塗膜を加熱して半硬化シートとする工程をさらに含む、請求項1に記載の熱伝導シートの製造方法。
- 前記無機粒子が異方形状を有する、請求項1又は2に記載の熱伝導シートの製造方法。
- 前記無機粒子の平均粒径が0.1μm〜500μmである、請求項1〜3の何れか一項に記載の熱伝導シートの製造方法。
- 前記無機粒子が、鱗片状の六方晶窒化ホウ素粒子である、請求項1〜4の何れか一項に記載の熱伝導シートの製造方法。
- 前記孔版印刷において使用する版の孔径が、前記無機粒子の最大粒径の1.1倍以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱伝導シートの製造方法。
- 前記孔版印刷が、スクリーン印刷である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱伝導シートの製造方法。
- 前記スクリーン印刷において使用する版の空間率が、0.1〜90%である、請求項7に記載の熱伝導シートの製造方法。
- 前記インクが、蒸発速度が酢酸ブチルの4.5倍以下である溶剤をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の熱伝導シートの製造方法。
- 前記塗膜を形成する工程において、複数枚の塗膜を形成し、
該複数枚の塗膜を積層する工程をさらに含む、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の熱伝導シートの製造方法。 - 前記塗膜を形成する工程と前記塗膜を積層する工程との間に、前記塗膜の表面に凹凸パターンを形成する工程をさらに含み、
前記塗膜を積層する工程において、前記凹凸パターンが形成された面どうしが向かい合うように複数枚の塗膜を積層する、
請求項10に記載の熱伝導シートの製造方法。 - 前記塗膜を形成する工程において、規則的なパターンを有する不連続な塗膜を形成する、
請求項10に記載の熱伝導シートの製造方法。
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