JP2017123390A - 電磁波ノイズ抑制部材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便な方法で製造可能な難燃性の電磁波ノイズ抑制部材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】難燃性の基材と、前記基材の少なくとも一方の面上に配置されかつバインダ樹脂及び炭素材料を含む電磁波ノイズ抑制層と、を含む電磁波ノイズ抑制部材及びその製造方法であり、バインダ樹脂が、前記電磁波ノイズ抑制層の形成の際に水との混合物の状態である。また、水との混合物が、水分散液及び水溶液からなる群より選択されるものである。
【選択図】なし
【解決手段】難燃性の基材と、前記基材の少なくとも一方の面上に配置されかつバインダ樹脂及び炭素材料を含む電磁波ノイズ抑制層と、を含む電磁波ノイズ抑制部材及びその製造方法であり、バインダ樹脂が、前記電磁波ノイズ抑制層の形成の際に水との混合物の状態である。また、水との混合物が、水分散液及び水溶液からなる群より選択されるものである。
【選択図】なし
Description
本発明は、電磁波ノイズ抑制部材及びその製造方法に関する。
近年、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末機、液晶テレビ等の電子機器の情報処理量が急激に増大している。それとともに、電子機器の小型化、薄型化、軽量化等も急速に進行している。これに伴い、電子機器の心臓部であるIC(Integrated Circuit、集積回路)及びCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)を初めとする半導体素子の大容量化及び高密度化が必要となり、配線基板又は基板と部品とを接続するケーブル等の高密度実装化も急速に進行している。
上記のような状況の中、電子機器の内部における電磁波ノイズ(近傍界)の発生が増加している。また、電磁波ノイズの発生が多様な周波数帯で見られるようになり、近年はGHz帯にまで及んでいる。電磁波ノイズは、機器内に高密度で配置された半導体素子、配線板等から発生し、通信障害等を誘発するおそれがある。
電磁波ノイズの発生への対応策としては、電磁波ノイズを抑制するシート状の部材を、電子機器の電磁波ノイズが発生する箇所及びその周辺に貼り付けて、不要な電磁波ノイズを吸収し、熱エネルギーに変換する手法が一般にとられている。しかしながら、上述のように昨今の電子機器では、電子部品の高密度化によって増大した発熱量に対応するため、電磁波ノイズ抑制部材の難燃化も強く求められている。
難燃性の電磁波ノイズ抑制部材に関しては、難燃性のフィルム基材に磁性金属を蒸着したもの(例えば、特許文献1参照)、難燃性のエポキシ樹脂(硬化剤及び硬化促進剤を含む)、難燃材(三酸化アンチモン等)及び磁性金属粉の混合物をフィルム基材に塗工したもの(例えば、特許文献2参照)、並びにポリイミドフィルム基材上にカーボンナノチューブを含む混合物を塗工したもの(例えば、特許文献3参照)等が提案されている。
特許文献1〜3に記載されている電磁波ノイズ抑制部材は、材料費が高い、製造工程(混合時間、硬化時間等)が長い、製造に特殊な装置(蒸着装置等)が必要であるなどの理由から、製品価格が高くなり、近年の低コスト化競争の中で販売される電子機器においての使用が限定される場合がある。
本発明は上記課題に鑑み、簡便な方法で製造可能な難燃性の電磁波ノイズ抑制部材及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1>難燃性の基材と、前記基材の少なくとも一方の面上に配置されかつバインダ樹脂及び炭素材料を含む電磁波ノイズ抑制層と、を含む電磁波ノイズ抑制部材。
<2>前記バインダ樹脂が、前記電磁波ノイズ抑制層の形成の際に水との混合物の状態である、<1>に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
<3>前記水との混合物が、水分散液及び水溶液からなる群より選択される少なくとも1つである、<2>に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
<4>前記バインダ樹脂のガラス転移温度(Tg)が80℃以下である、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
<5>前記炭素材料は、平均粒子径が2μm〜20μmである炭素材料を含む、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
<6>前記炭素材料は、形状が鱗片状、球状、針状、紐状及び不定形からなる群より選択される少なくとも1種である炭素材料を含む、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
<7>前記バインダ樹脂と前記炭素材料との質量比(バインダ樹脂/炭素材料)が5/95〜50/50である、<1>〜<6>のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
<8>前記基材が熱可塑性樹脂を含む、<1>〜<7>のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
<9>前記電磁波ノイズ抑制層と前記基材との質量比(電磁波ノイズ抑制層/基材)が10/100〜200/100である、<1>〜<8>のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
<10>前記電磁波ノイズ抑制層及び前記基材の合計の平均厚みが20μm〜300μmである、<1>〜<9>のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
<11>接着層及び絶縁層からなる群より選択される少なくとも1種をさらに含む、<1>〜<10>のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
<12>磁性材料を含む電磁波ノイズ抑制部材をさらに含む、<1>〜<11>のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
<13>難燃性の基材の少なくとも一方の面に、バインダ樹脂及び炭素材料を含有する組成物を付与して電磁波ノイズ抑制層を形成する工程を含む、<1>〜<12>のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材の製造方法。
<14>前記組成物は、25℃での粘度が100Pa・s〜2500Pa・sである、<13>に記載の電磁波ノイズ抑制部材の製造方法。
<1>難燃性の基材と、前記基材の少なくとも一方の面上に配置されかつバインダ樹脂及び炭素材料を含む電磁波ノイズ抑制層と、を含む電磁波ノイズ抑制部材。
<2>前記バインダ樹脂が、前記電磁波ノイズ抑制層の形成の際に水との混合物の状態である、<1>に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
<3>前記水との混合物が、水分散液及び水溶液からなる群より選択される少なくとも1つである、<2>に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
<4>前記バインダ樹脂のガラス転移温度(Tg)が80℃以下である、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
<5>前記炭素材料は、平均粒子径が2μm〜20μmである炭素材料を含む、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
<6>前記炭素材料は、形状が鱗片状、球状、針状、紐状及び不定形からなる群より選択される少なくとも1種である炭素材料を含む、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
<7>前記バインダ樹脂と前記炭素材料との質量比(バインダ樹脂/炭素材料)が5/95〜50/50である、<1>〜<6>のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
<8>前記基材が熱可塑性樹脂を含む、<1>〜<7>のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
<9>前記電磁波ノイズ抑制層と前記基材との質量比(電磁波ノイズ抑制層/基材)が10/100〜200/100である、<1>〜<8>のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
<10>前記電磁波ノイズ抑制層及び前記基材の合計の平均厚みが20μm〜300μmである、<1>〜<9>のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
<11>接着層及び絶縁層からなる群より選択される少なくとも1種をさらに含む、<1>〜<10>のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
<12>磁性材料を含む電磁波ノイズ抑制部材をさらに含む、<1>〜<11>のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
<13>難燃性の基材の少なくとも一方の面に、バインダ樹脂及び炭素材料を含有する組成物を付与して電磁波ノイズ抑制層を形成する工程を含む、<1>〜<12>のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材の製造方法。
<14>前記組成物は、25℃での粘度が100Pa・s〜2500Pa・sである、<13>に記載の電磁波ノイズ抑制部材の製造方法。
本発明によれば、簡便な方法で製造可能な難燃性の電磁波ノイズ抑制部材及びその製造方法が提供される。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書において組成物中の各成分の含有率は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本明細書において組成物中の各成分の粒子径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本明細書において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本明細書において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本明細書において「難燃性」であるとは、難燃性規格UL94に準じて測定される消火時間が10秒以内である場合(V−Oレベル)であることを意味する。すなわち、測定対象物から作製した試験片(幅12.5mm、長さ100mm)を垂直に固定し、試験片の下部にバーナー炎を10秒あてて炎を外した後の消火時間を測定し、消火時間が10秒以内である場合は難燃性であり(V−O)、消火時間が10秒を超える場合は難燃性でない(燃焼)と評価する。
本明細書において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書において組成物中の各成分の含有率は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本明細書において組成物中の各成分の粒子径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本明細書において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本明細書において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本明細書において「難燃性」であるとは、難燃性規格UL94に準じて測定される消火時間が10秒以内である場合(V−Oレベル)であることを意味する。すなわち、測定対象物から作製した試験片(幅12.5mm、長さ100mm)を垂直に固定し、試験片の下部にバーナー炎を10秒あてて炎を外した後の消火時間を測定し、消火時間が10秒以内である場合は難燃性であり(V−O)、消火時間が10秒を超える場合は難燃性でない(燃焼)と評価する。
<電磁波ノイズ抑制部材>
本実施の形態の電磁波ノイズ抑制部材は、難燃性の基材(以下、単に基材とも称する)と、前記基材の少なくとも一方の面上に配置されかつバインダ樹脂及び炭素材料を含む電磁波ノイズ抑制層と、を含む。
本実施の形態の電磁波ノイズ抑制部材は、難燃性の基材(以下、単に基材とも称する)と、前記基材の少なくとも一方の面上に配置されかつバインダ樹脂及び炭素材料を含む電磁波ノイズ抑制層と、を含む。
本実施の形態の電磁波ノイズ抑制部材は、上述のように基材の少なくとも一方の面上に配置された電磁波ノイズ抑制層を有し、この層はバインダ樹脂と炭素材料とを含む。このような構成を有する電磁波ノイズ抑制部材は、難燃性であるとともに、比較的簡便で、安全性が高く、環境への負荷の小さい製造工程で製造することができる。その結果、これまで報告されている難燃性電磁波ノイズ抑制部材に比べて低コスト化を達成しやすく、用途の幅が広い。
さらに、本実施の形態の電磁波ノイズ抑制部材は、炭素材料を含むことで誘電損失を利用して電磁波ノイズを抑制する。このため、例えば、磁性損失を利用して電磁波ノイズを抑制する磁性材料を用いた電磁波ノイズ抑制部材に比べてより薄型化しやすく、昨今の電子機器の軽量化及び薄型化の動向により対応しやすい。
電磁波ノイズ抑制部材の平均厚み(電磁波ノイズ抑制層、基材及び必要に応じて含まれる他の層の合計の平均厚み)は特に制限されない。例えば、電磁波ノイズ抑制部材の強度を確保する観点からは、電磁波ノイズ抑制部材の平均厚みは20μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることが更に好ましい。電磁波ノイズ抑制部材の薄型化の観点からは、電磁波ノイズ抑制層の平均厚みは300μm以下であることが好ましく、250μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることが更に好ましい。
本明細書において電磁波ノイズ抑制部材の平均厚みは、任意の5点で測定して得た測定値の数平均値である。測定方法としては、電磁波ノイズ抑制部材の厚みをマイクロメータ等を用いて測定する方法、電磁波ノイズ抑制部材の断面を走査型電子顕微鏡等で観察して測定する方法などが挙げられる。
電磁波ノイズ抑制部材における電磁波ノイズ抑制層と基材との質量比(電磁波ノイズ抑制層/基材)は、10/100〜200/100であることが好ましい。
電磁波ノイズ抑制部材は、電磁波ノイズ抑制層を基材の片面にのみ有していても、両面に有していてもよい。また、絶縁層、接着層等の他の層をさらに有していてもよい。電磁波ノイズ抑制部材の難燃性の向上の観点から、これらの層は難燃性であってもよい。
例えば、電磁波ノイズ抑制部材の両面に電磁波ノイズ抑制と導電性の機能を付与する必要がある場合は、基材の両面に電磁波ノイズ抑制層を有していることが好適である。一方、電磁波ノイズ抑制部材の両面に絶縁性を付与する必要がある場合は、基材の片面に電磁波ノイズ抑制層を有し、さらにその上に絶縁層を有していることが好適である。
例えば、電磁波ノイズ抑制部材の両面に電磁波ノイズ抑制と導電性の機能を付与する必要がある場合は、基材の両面に電磁波ノイズ抑制層を有していることが好適である。一方、電磁波ノイズ抑制部材の両面に絶縁性を付与する必要がある場合は、基材の片面に電磁波ノイズ抑制層を有し、さらにその上に絶縁層を有していることが好適である。
電磁波ノイズ抑制部材は、例えば、対象となる電子装置等の内部(被着体)に貼り付けて使用することができる。電磁波ノイズ抑制部材の被着体への貼り付けは、例えば、電磁波ノイズ抑制部材の電磁波ノイズ抑制層の上に接着層を設け、これを接着層を介して被着体に貼り付けて行うことができる。接着層の形態及び種類は特に制限されず、一般に使用される接着剤、両面テープ、ガラス繊維加工部材等の基材に接着剤を含有又は塗布したものなどが挙げられる。
電磁波ノイズ抑制部材は、それのみで広範囲の周波数帯における電磁波ノイズを抑制する効果を発揮するが、さらに低周波数の領域(100MHz以下)での電磁波ノイズ抑制効果を高めるために、磁性材料を含む電磁波ノイズ抑制部材を含んでもよい。
磁性材料を含む電磁波ノイズ抑制部材の状態は特に制限されず、フィルム、シート、ペースト、液状物等の状態で使用できる。
磁性材料を含む電磁波ノイズ抑制部材をさらに含む難燃性電磁波ノイズ抑制部材の作製方法としては、例えば、磁性材料を含む電磁波ノイズ抑制部材がフィルム又はシートの状態である場合は、その片面又は両面に本実施の形態の電磁波ノイズ抑制部材を積層する方法が挙げられる。磁性材料を含む電磁波ノイズ抑制部材がペースト又は液状物の状態である場合は、当該ペースト又は液状物を本実施の形態の電磁波ノイズ抑制部材の片面又は両面に付与する方法が挙げられる。
磁性材料を含む電磁波ノイズ抑制部材をさらに含む難燃性電磁波ノイズ抑制部材の作製方法としては、例えば、磁性材料を含む電磁波ノイズ抑制部材がフィルム又はシートの状態である場合は、その片面又は両面に本実施の形態の電磁波ノイズ抑制部材を積層する方法が挙げられる。磁性材料を含む電磁波ノイズ抑制部材がペースト又は液状物の状態である場合は、当該ペースト又は液状物を本実施の形態の電磁波ノイズ抑制部材の片面又は両面に付与する方法が挙げられる。
<基材>
本実施の形態で使用する難燃性の基材は特に制限されない。例えば、樹脂と難燃性材料との混合物を基材の形状に成形したもの、難燃性樹脂を基材の形状に成形したもの、及び難燃性でない基材の表面を難燃性樹脂で被覆したものが挙げられる。
本実施の形態で使用する難燃性の基材は特に制限されない。例えば、樹脂と難燃性材料との混合物を基材の形状に成形したもの、難燃性樹脂を基材の形状に成形したもの、及び難燃性でない基材の表面を難燃性樹脂で被覆したものが挙げられる。
基材が樹脂を含む場合、樹脂の種類は特に制限されず、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂、熱硬化性エラストマー等から選択することができる。樹脂は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、基材は単層であっても2層以上の積層体であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる、
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド等が挙げられる。
熱硬化性エラストマーとしては、天然ゴム及び合成ゴムが挙げられ、合成ゴムとしてはイソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
基材上への電磁波ノイズ抑制層の形成のしやすさ、柔軟性、原料価格等を考慮すると、基材は熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、ポリエステルを含むことがより好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレンナフタレート(PEN)からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが更に好ましい。
基材の平均厚みは特に制限されず、電磁波ノイズ抑制部材の使用箇所、要求される機械特性、取り扱い性等を考慮して選択できる。例えば、電磁波ノイズ抑制部材の強度の観点からは、基材の平均厚みは5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、15μm以上であることが更に好ましい。電磁波ノイズ抑制部材の薄型化の観点からは、基材の平均厚みは200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。
本明細書において基材の平均厚みは、任意の5点で測定して得た測定値の数平均値である。測定方法としては、基材の厚みをマイクロメータ等を用いて測定する方法、電磁波ノイズ抑制部材の厚みをマイクロメータ等を用いて測定し、電磁波ノイズ抑制層の厚みを差し引く方法、基材もしくは電磁波ノイズ抑制部材の断面を走査型電子顕微鏡等で観察して測定する方法などが挙げられる。
基材として使用可能な市販品としては、例えば、ポリエステル樹脂と難燃材料との複合化フィルムである「ルミラー」ZV30シリーズの#25、#40及び#60(商品名、東レ(株))、難燃性ポリエチレンテレフタレートフィルム(テイジンテトロンUF、商品名、帝人デュポンフィルム(株))並びに難燃性ポリエチレンナフタレートフィルム(テオネックスQF、商品名、帝人デュポンフィルム(株))が挙げられる。
基材上に電磁波ノイズ抑制層を形成するにあたり、水等の高極性媒体を用いる場合に生じやすいハジケ(基材面において電磁波ノイズ抑制層が形成されていない部分が局所的に存在する現象)を抑制する観点からは、基材の表面に親水化処理を施してもよい。親水化処理の方法は特に制限されず、コロナ放電処理、親水性基を有する樹脂成分の塗工等が挙げられる。
基材は、種々の特性を向上するため、無機充填材、有機充填材、難燃剤等を含有してもよい。
<電磁波ノイズ抑制層>
電磁波ノイズ抑制層は、バインダ樹脂と炭素材料とを含み、必要に応じてその他の成分(分散剤、難燃剤、レべリング剤等)を含んでもよい。
電磁波ノイズ抑制層は、バインダ樹脂と炭素材料とを含み、必要に応じてその他の成分(分散剤、難燃剤、レべリング剤等)を含んでもよい。
電磁波ノイズ抑制層の平均厚みは特に制限されない。例えば、電磁波ノイズ抑制効果の観点からは、電磁波ノイズ抑制層の平均厚みは3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが更に好ましい。電磁波ノイズ抑制部材の薄型化の観点からは、電磁波ノイズ抑制層の平均厚みは100μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。
本明細書において電磁波ノイズ抑制層の平均厚みは、任意の5点で測定して得た測定値の数平均値である。測定方法としては、電磁波ノイズ抑制部材の厚みをマイクロメータ等を用いて測定し、基材の厚みを差し引く方法、電磁波ノイズ抑制部材の断面を走査型電子顕微鏡等で観察して測定する方法などが挙げられる。
電磁波ノイズ抑制層に含まれるバインダ樹脂と炭素材料との質量比(バインダ樹脂/炭素材料)は、特に制限されない。例えば、5/95〜50/50であることが好ましい。前記質量比の範囲内であると、電磁波ノイズ抑制層からの炭素材料の脱落がバインダ樹脂によって充分に抑制され、かつ充分な電磁波ノイズ抑制効果が得られる傾向にある。
電磁波ノイズ抑制層に含まれるバインダ樹脂と炭素材料との質量比(バインダ樹脂/炭素材料)は、例えば、電磁波ノイズ抑制層をバインダ樹脂の熱分解温度以上の温度で熱処理したときに残存する炭素材料の質量と、熱処理前の電磁波ノイズ抑制層の総質量とを比較することによって得ることができる。
(バインダ樹脂)
バインダ樹脂は、炭素材料とともに電磁波ノイズ抑制層を基材上に形成できるものであれば特に制限されない。電磁波ノイズ抑制層をバインダ樹脂と炭素材料とを用いて形成することで、電磁波ノイズ抑制層からの炭素材料の脱落が抑制され、電磁波ノイズ抑制部材を配置した電子機器類のショート等の脱落した炭素材料による発生が抑制される。バインダ樹脂は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
バインダ樹脂は、炭素材料とともに電磁波ノイズ抑制層を基材上に形成できるものであれば特に制限されない。電磁波ノイズ抑制層をバインダ樹脂と炭素材料とを用いて形成することで、電磁波ノイズ抑制層からの炭素材料の脱落が抑制され、電磁波ノイズ抑制部材を配置した電子機器類のショート等の脱落した炭素材料による発生が抑制される。バインダ樹脂は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
バインダ樹脂のガラス転移温度(Tg)は特に制限されず、電磁波ノイズ抑制部材の用途等に応じて選択できる。一般に、バインダ樹脂のTgが低いほど弾性率が小さく柔軟であるため、基材又は被着体との密着性に優れる傾向にある。一方、Tgが高いほど耐熱性に優れる傾向にある。そこで所望する機械的強度、密着性、耐熱性等を考慮し、Tgの異なるバインダ樹脂をブレンドすることで、Tgを調整してもよい。
バインダ樹脂のTgは80℃以下であることが好ましく、60℃以下であることがより好ましい。バインダ樹脂のTgが80℃以下であると、電磁波ノイズ抑制部材と、被着体との密着性が良好であり、電磁波ノイズ抑制効果が良好に維持される傾向にある。また、バインダ樹脂のTgは−30℃以上であることが好ましく、−10℃以上であることが好ましい。バインダ樹脂のTgが−30℃以上であると、電子機器内部で発生する熱による電磁波ノイズ抑制部材の変形が抑制され、電磁波ノイズ抑制効果が良好に維持される傾向にある。
バインダ樹脂は、電磁波ノイズ抑制層の形成の際に、水との混合物の状態であることが好ましい。バインダ樹脂と水との混合物としては、(1)バインダ樹脂の水分散液(ラテックス)、(2)バインダ樹脂の水溶液等が挙げられる。バインダ樹脂と水との混合物は、バインダ樹脂の水分散液と、バインダ樹脂の水溶液との混合物であってもよい。
(1)水分散液
本明細書において水分散液とは、水中にバインダ樹脂が粒子の状態で分散しているものを意味する。水分散液は、分散剤、難燃剤、レベリング剤、有機溶剤等の添加剤をさらに含有してもよい。
本明細書において水分散液とは、水中にバインダ樹脂が粒子の状態で分散しているものを意味する。水分散液は、分散剤、難燃剤、レベリング剤、有機溶剤等の添加剤をさらに含有してもよい。
水分散液中のバインダ樹脂は天然ゴム又は合成ゴムであることが好ましく、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム及びアクリロニトリル・ブタジエンゴムからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。また、カルボキシ基で変性されたゴムであることも好ましい。カルボキシ基で変性されたゴムをバインダ樹脂として含有する電磁波ノイズ抑制層は、電磁波ノイズ抑制部材の製造中又は製造後の親水性、混合性及び密着性に優れる傾向にある。
水分散液中に分散しているバインダ樹脂の平均粒子径は特に制限されない。例えば、50nm〜700nmの範囲内から選択でき、50nm〜500nmの範囲から選択することが好ましい。水分散液中のバインダ樹脂は1種のみであっても、2種以上の併用であってもよい。
本明細書において水分散液中のバインダ樹脂の平均粒子径は体積平均粒子径(D50)であり、体積基準の粒度分布において小径側から積算して50%となるときの粒子径を意味する。
水分散液として使用可能な商品としては、Nipol LX430(平均粒子径:150nm、Tg:12℃)、Nipol LX433C(平均粒子径:100nm、Tg:50℃)、Nipol 2507H(平均粒子径:250nm、Tg:58℃)、Nipol LX303A(平均粒子径:160nm、Tg:100℃)、Nipol LX416(平均粒子径:110nm、Tg:50℃)、Nipol 1571H(平均粒子径:120nm、Tg:−8℃)(商品名、日本ゼオン(株))等のゴムラテックスが挙げられる。
水分散液は、炭素材料の粒子径、形状、配合量等、基材への塗工性などを考慮し、水で希釈して使用してもよい。水分散液を水で希釈して使用する場合は、炭素材料と混合する前に予め水分散液と希釈用の水とを混合しておくことが好ましい。
(2)水溶液
本明細書においてバインダ樹脂が水溶液の状態であるとは、バインダ樹脂が水中に溶解している状態を意味する。水溶液は、分散剤、難燃剤、レベリング剤、有機溶剤等の添加剤をさらに含有してもよい。
本明細書においてバインダ樹脂が水溶液の状態であるとは、バインダ樹脂が水中に溶解している状態を意味する。水溶液は、分散剤、難燃剤、レベリング剤、有機溶剤等の添加剤をさらに含有してもよい。
水溶液中のバインダ樹脂は特に制限されず、バインダ樹脂の物性、密着性、含浸性、耐熱性等を考慮してバインダ樹脂の種類、重量平均分子量等を選択できる。具体的には、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂が挙げられる。
水溶液は、炭素材料の粒子径、形状、配合量等、基材への塗工性などを考慮し、水で希釈して使用してもよい。水溶液を水で希釈して使用する場合は、炭素材料と混合する前に予め水溶液と希釈用の水とを混合しておくことが好ましい。
(炭素材料)
炭素材料の種類は特に制限されない。例えば、黒鉛、カーボンブラック、カーボンブラックとラテックスゴムとの複合造粒粒子等が挙げられる。これらの炭素材料は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の併用である場合として、材質、形状又は平均粒子径のうちいずれか又は全てが異なる2種以上の炭素材料を併用する場合が挙げられる。
炭素材料の種類は特に制限されない。例えば、黒鉛、カーボンブラック、カーボンブラックとラテックスゴムとの複合造粒粒子等が挙げられる。これらの炭素材料は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の併用である場合として、材質、形状又は平均粒子径のうちいずれか又は全てが異なる2種以上の炭素材料を併用する場合が挙げられる。
黒鉛としては天然黒鉛、人造黒鉛のいずれも使用することができる。原料価格及び電磁波ノイズ抑制層の形成のしやすさの観点からは、天然黒鉛が好ましく、燐片状黒鉛がより好ましい。炭素材料として使用可能な黒鉛の市販品としては、例えば、UF−2(炭素分99%、平均粒子径;5.2μm)、BF−3A(炭素分99%、平均粒子径;3.0μm)、BF−8A(炭素分99%、平均粒子径;8.0μm)、及びBF−20A(炭素分99%、平均粒子径;20μm)(商品名、富士黒鉛工業(株))が挙げられる。
カーボンブラックは特に制限されず、ファーネス法により得られるファーネスブラック、チャンネル法により得られるチャンネルブラック、アセチレン法により得られるアセチレンブラック、サーマル法により得られるサーマルブラック等が挙げられる。
炭素材料の総質量中の炭素分は、90%質量以上であることが好ましい。炭素材料の総質量中の炭素分が90%質量以上であると、電磁波ノイズ抑制部材の導電性が良好に維持される結果、電磁波ノイズ抑制効果が良好に維持される傾向にある。
炭素材料のサイズは特に制限されない、例えば、製造コスト低減の観点からは、炭素材料の平均粒子径は2μm以上であることが好ましい。電磁波ノイズ抑制層の形成のしやすさの観点からは、炭素材料の平均粒子径は20μm以下であることが好ましい。
炭素材料の形状は特に制限されない。例えば、鱗片状、球状、針状、紐状及び不定形が挙げられ、異なる形状の組み合わせであってもよい。炭素材料は、一次粒子の凝集体である二次粒子であってもよい。
<電磁波ノイズ抑制部材の製造方法>
本実施の形態の電磁波ノイズ抑制部材の製造方法は、基材の少なくとも一方の面に、バインダ樹脂及び炭素材料を含有する組成物を付与して電磁波ノイズ抑制層を形成する工程を含む。
本実施の形態の電磁波ノイズ抑制部材の製造方法は、基材の少なくとも一方の面に、バインダ樹脂及び炭素材料を含有する組成物を付与して電磁波ノイズ抑制層を形成する工程を含む。
電磁波ノイズ抑制部材の製造方法で使用される基材、バインダ樹脂、炭素材料及び電磁波ノイズ抑制層の詳細並びに好ましい態様については、電磁波ノイズ抑制部材について上述した事項を参照することができる。
バインダ樹脂及び炭素材料を含有する組成物は、バインダ樹脂及び炭素材料の他に、水、分散剤、難燃剤、レベリング剤、有機溶剤等をさらに含有してもよい。また、バインダ樹脂が水との混合物である場合は、希釈用の水をさらに含んでもよい。
バインダ樹脂及び炭素材料を含有する組成物を調製する方法は、特に制限されない。例えば、バインダ樹脂、炭素材料及び必要に応じて用いられる添加剤を容器に投入し、撹拌羽を取り付けたモータを用いて撹拌混合する方法、ホモジナイザーと超音波を併用して分散混合を行う方法等が挙げられる。混合状態をより均等にする観点からは、超音波とホモジナイザーを併用する分散混合方法が好ましい。
バインダ樹脂及び炭素材料を含有する組成物の粘度は特に制限されず、組成物の基材上への付与のしやすさ、形成される電磁波ノイズ抑制層の厚み等を考慮して選択できる。一般的には、組成物の粘度は25℃(室温)で100Pa・s〜2500Pa・sであることが好ましく、150Pa・s〜400Pa・sが更に好ましい。組成物の粘度が25℃(室温)で100Pa・s以上であると、組成物中の炭素材料の沈降が生じにくく、組成物としての安定性に優れる傾向にある。組成物の粘度が25℃(室温)で2500Pa・s以下であると、組成物の基材上への付与のしやすさに優れる傾向にある。
組成物の基材上への付与の方法は特に制限されない。電磁波ノイズ抑制層の厚みのバラつきを抑制する観点からは、ロール、スキージ等の部材を使用し、当該部材と基材面との間のギャップを利用して組成物を付与する方法が好ましい。
組成物が水等の揮発成分を含有する場合は、基材上に組成物を付与した後に、組成物中に含まれる揮発成分を除去するための乾燥を行うことが好ましい。乾燥の方法は特に制限されない。例えば、所定の温度に設定したオーブン、ホットプレート等を用いて行うことができる。
電磁波ノイズ抑制層は、基材の片面にのみ形成しても、両面に形成してもよい。例えば、電磁波ノイズ抑制部材の両面に電磁波ノイズ抑制性と導電性のいずれもを付与する場合は、基材の両面に電磁波ノイズ抑制層を形成することが好適である。一方、電磁波ノイズ抑制部材の両面に絶縁性を付与する場合は、基材の片面に電磁波ノイズ抑制層を形成し、さらにその上に絶縁層を形成することが好適である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。特に断りのない限り「%」は質量基準である。
<実施例1>
(1)水分散液の調製
ラテックスゴム(Nipol LX430、商品名、スチレン・ブタジエンゴム、Tg12℃、平均粒子径:150nm、固形分濃度49%、日本ゼオン(株))10gに純水150gを加えた。次いで、アニオン系界面活性剤の1%水溶液を、容量1mlの使い捨てスポイトにて数滴添加した。得られた混合物を超音波洗浄にて5分間処理し、バインダ樹脂の濃度が3%である水分散液160gを調製した。
(1)水分散液の調製
ラテックスゴム(Nipol LX430、商品名、スチレン・ブタジエンゴム、Tg12℃、平均粒子径:150nm、固形分濃度49%、日本ゼオン(株))10gに純水150gを加えた。次いで、アニオン系界面活性剤の1%水溶液を、容量1mlの使い捨てスポイトにて数滴添加した。得られた混合物を超音波洗浄にて5分間処理し、バインダ樹脂の濃度が3%である水分散液160gを調製した。
(2)組成物の調製
上記の水分散液160gに、炭素材料として鱗片状黒鉛(UF−2、商品名、平均粒子径5.2μm、炭素分99%、富士黒鉛(株))44gを、超音波処理しながら加えた。その後、高速ホモジナイザー(ポリトロン3100D型、商品名、東京理科器機械(株))を用いて15分間混合し、バインダ樹脂及び炭素材料を含む組成物を作製した。
得られた組成物中の、バインダ樹脂と炭素材料との質量比(バインダ樹脂/炭素材料)は、10/90であった。組成物中の固形分濃度(樹脂と炭素材料の合計)は24%であった。組成物の粘度は、25℃で550mPa・sであった。
上記の水分散液160gに、炭素材料として鱗片状黒鉛(UF−2、商品名、平均粒子径5.2μm、炭素分99%、富士黒鉛(株))44gを、超音波処理しながら加えた。その後、高速ホモジナイザー(ポリトロン3100D型、商品名、東京理科器機械(株))を用いて15分間混合し、バインダ樹脂及び炭素材料を含む組成物を作製した。
得られた組成物中の、バインダ樹脂と炭素材料との質量比(バインダ樹脂/炭素材料)は、10/90であった。組成物中の固形分濃度(樹脂と炭素材料の合計)は24%であった。組成物の粘度は、25℃で550mPa・sであった。
(3)電磁波ノイズ抑制部材の作製
表面を親水性処理した平均厚みが25μmの難燃性ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(テイジンテトロンUF、商品名、帝人デュポンフィルム(株))を130mm×130mmの大きさに切断し、これを基材とした。次いでその片面に粘着テープを貼り付け、粘着テープを介して基材をガラス板に歪みのないように貼り付けた。
ギャップゲージ付きの塗工用スキージ(YOSHIMITSU(株)社、有効塗工幅90mm)の塗工ギャップ幅を50μmとし、調製した組成物をガラス板に貼り付けた基材の上に付与した。5分間放置後、基材をガラス板に貼り付けた状態で、80℃に昇温した熱風乾燥機にて20分間放置することで乾燥し、基材の片面に電磁波ノイズ抑制層が形成された電磁波ノイズ抑制部材を作製した。
電磁波ノイズ抑制部材の外観に問題はなく、全体の厚みの平均値は35μmであり、電磁波ノイズ抑制層の平均厚みは10μmであった。
表面を親水性処理した平均厚みが25μmの難燃性ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(テイジンテトロンUF、商品名、帝人デュポンフィルム(株))を130mm×130mmの大きさに切断し、これを基材とした。次いでその片面に粘着テープを貼り付け、粘着テープを介して基材をガラス板に歪みのないように貼り付けた。
ギャップゲージ付きの塗工用スキージ(YOSHIMITSU(株)社、有効塗工幅90mm)の塗工ギャップ幅を50μmとし、調製した組成物をガラス板に貼り付けた基材の上に付与した。5分間放置後、基材をガラス板に貼り付けた状態で、80℃に昇温した熱風乾燥機にて20分間放置することで乾燥し、基材の片面に電磁波ノイズ抑制層が形成された電磁波ノイズ抑制部材を作製した。
電磁波ノイズ抑制部材の外観に問題はなく、全体の厚みの平均値は35μmであり、電磁波ノイズ抑制層の平均厚みは10μmであった。
<実施例2>
実施例1の(3)において、塗工スキージの塗工ギャップ幅を80μmにした以外は、実施例1と同様にして電磁波ノイズ抑制部材を作製した。
電磁波ノイズ抑制部材の外観に問題はなく、全体の厚みの平均値は43μmであり、電磁波ノイズ抑制層の平均厚みは18μmであった。
実施例1の(3)において、塗工スキージの塗工ギャップ幅を80μmにした以外は、実施例1と同様にして電磁波ノイズ抑制部材を作製した。
電磁波ノイズ抑制部材の外観に問題はなく、全体の厚みの平均値は43μmであり、電磁波ノイズ抑制層の平均厚みは18μmであった。
<比較例1>
実施例1の(3)において、基材として平均厚みが23μmの非難燃性PETフィルム(コスモシャインA4300、商品名、易接着処理、東洋紡(株))を使用した以外は、実施例1と同様にして電磁波ノイズ抑制部材を作製した。
電磁波ノイズ抑制部材の全体の厚みの平均値は34μmであり、電磁波ノイズ抑制層の平均厚みは11μmであった。
実施例1の(3)において、基材として平均厚みが23μmの非難燃性PETフィルム(コスモシャインA4300、商品名、易接着処理、東洋紡(株))を使用した以外は、実施例1と同様にして電磁波ノイズ抑制部材を作製した。
電磁波ノイズ抑制部材の全体の厚みの平均値は34μmであり、電磁波ノイズ抑制層の平均厚みは11μmであった。
(粘度の測定)
バインダ樹脂及び炭素材料を含有する組成物の粘度は、ポリ容器に入れた組成物を25℃に調整した水槽に入れ、組成物の温度を25℃にし、BL型回転粘度計にて30回転/分(rpm)で測定した。
バインダ樹脂及び炭素材料を含有する組成物の粘度は、ポリ容器に入れた組成物を25℃に調整した水槽に入れ、組成物の温度を25℃にし、BL型回転粘度計にて30回転/分(rpm)で測定した。
(電磁波ノイズ抑制部材の厚みの測定)
電磁波ノイズ抑制部材の厚みは、上下式マイクロメータ(ID−C112C、商品名、Mitutoyo社)にて測定した。
電磁波ノイズ抑制部材の厚みは、上下式マイクロメータ(ID−C112C、商品名、Mitutoyo社)にて測定した。
(電磁波ノイズ抑制効果の評価)
電磁波ノイズ抑制部材の電磁波ノイズ抑制効果を評価するため、下記の測定を行った。
伝送減衰率(マイクロストリップライン法:測定周波数:0.04GHz〜6GHz))を指標とし、近傍界電磁波ノイズ抑制効果の確認として、国際規格(IEC62333)に準じ伝送減衰率を測定した。ネットワークアナライザ(MS4624B、商品名、アンリツ(株))とマイクロストリップライン(キーコム(株))を接続し、各周波数での電波反射量及び吸収量を測定し、計算により各周波数での伝送減衰率を求めた。結果を表1に示す。
電磁波ノイズ抑制部材の電磁波ノイズ抑制効果を評価するため、下記の測定を行った。
伝送減衰率(マイクロストリップライン法:測定周波数:0.04GHz〜6GHz))を指標とし、近傍界電磁波ノイズ抑制効果の確認として、国際規格(IEC62333)に準じ伝送減衰率を測定した。ネットワークアナライザ(MS4624B、商品名、アンリツ(株))とマイクロストリップライン(キーコム(株))を接続し、各周波数での電波反射量及び吸収量を測定し、計算により各周波数での伝送減衰率を求めた。結果を表1に示す。
(難燃性の評価)
難燃性規格UL94に準じ、電磁波ノイズ抑制部材から作製した試験片(幅12.5mm、長さ100mm)を垂直に固定し、試験片の下部にバーナー炎を10秒あてた。炎を外した後の消火時間を測定し、消火時間が10秒以内である場合は「V−O」、消化時間が10秒を超える場合は「燃焼」として評価した。結果を表1に示す。
難燃性規格UL94に準じ、電磁波ノイズ抑制部材から作製した試験片(幅12.5mm、長さ100mm)を垂直に固定し、試験片の下部にバーナー炎を10秒あてた。炎を外した後の消火時間を測定し、消火時間が10秒以内である場合は「V−O」、消化時間が10秒を超える場合は「燃焼」として評価した。結果を表1に示す。
(基材単独の難燃性試験)
実施例1及び実施例2で基材として使用した難燃性PETフィルムと比較例1で使用した非難燃性PETフィルムについて、基材単独の難燃性試験を上記と同様にUL規格に合わせた試験片に加工して行った。
実施例1及び実施例2で使用した難燃性PETフィルムの評価は「V−O」レベルであり難燃性を有していた。比較例1で使用した非難燃性PETフィルムの評価は「燃焼」であった。
実施例1及び実施例2で基材として使用した難燃性PETフィルムと比較例1で使用した非難燃性PETフィルムについて、基材単独の難燃性試験を上記と同様にUL規格に合わせた試験片に加工して行った。
実施例1及び実施例2で使用した難燃性PETフィルムの評価は「V−O」レベルであり難燃性を有していた。比較例1で使用した非難燃性PETフィルムの評価は「燃焼」であった。
(電磁波ノイズ抑制層単独の難燃性試験)
実施例1で作製した組成物を用いて、電磁波ノイズ抑制層単独の難燃性を評価した。
具体的には、組成物中の固形分が30%となるように水分を除去して高粘度化し、これを基材(テフロン板)にスキージを用いて塗布し、乾燥した。その後、基材から組成物を剥がして電磁波ノイズ抑制層のサンプルを作製した。サンプルの平均厚みは30μmであった。サンプルを用いて上記と同様に難燃性試験を行った。その結果、電磁波ノイズ抑制層単独の評価は「V−O」レベルであり難燃性を有していた。
実施例1で作製した組成物を用いて、電磁波ノイズ抑制層単独の難燃性を評価した。
具体的には、組成物中の固形分が30%となるように水分を除去して高粘度化し、これを基材(テフロン板)にスキージを用いて塗布し、乾燥した。その後、基材から組成物を剥がして電磁波ノイズ抑制層のサンプルを作製した。サンプルの平均厚みは30μmであった。サンプルを用いて上記と同様に難燃性試験を行った。その結果、電磁波ノイズ抑制層単独の評価は「V−O」レベルであり難燃性を有していた。
以上より、本発明によれば難燃性の電磁波ノイズ抑制部材を簡便な方法で製造できることがわかった。
Claims (14)
- 難燃性の基材と、前記基材の少なくとも一方の面上に配置されかつバインダ樹脂及び炭素材料を含む電磁波ノイズ抑制層と、を含む電磁波ノイズ抑制部材。
- 前記バインダ樹脂が、前記電磁波ノイズ抑制層の形成の際に水との混合物の状態である、請求項1に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
- 前記水との混合物が、水分散液及び水溶液からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項2に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
- 前記バインダ樹脂のガラス転移温度(Tg)が80℃以下である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
- 前記炭素材料は、平均粒子径が2μm〜20μmである炭素材料を含む、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
- 前記炭素材料は、形状が鱗片状、球状、針状、紐状及び不定形からなる群より選択される少なくとも1種である炭素材料を含む、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
- 前記バインダ樹脂と前記炭素材料との質量比(バインダ樹脂/炭素材料)が5/95〜50/50である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
- 前記基材が熱可塑性樹脂を含む、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
- 前記電磁波ノイズ抑制層と前記基材との質量比(電磁波ノイズ抑制層/基材)が10/100〜200/100である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
- 前記電磁波ノイズ抑制層及び前記基材の合計の平均厚みが20μm〜300μmである、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
- 接着層及び絶縁層からなる群より選択される少なくとも1種をさらに含む、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
- 磁性材料を含む電磁波ノイズ抑制部材をさらに含む、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材。
- 難燃性の基材の少なくとも一方の面に、バインダ樹脂及び炭素材料を含有する組成物を付与して電磁波ノイズ抑制層を形成する工程を含む、請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制部材の製造方法。
- 前記組成物は、25℃での粘度が100Pa・s〜2500Pa・sである、請求項13に記載の電磁波ノイズ抑制部材の製造方法。
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Cited By (1)
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JP2020167269A (ja) * | 2019-03-29 | 2020-10-08 | 大阪瓦斯株式会社 | 電磁波吸収材料 |
-
2016
- 2016-01-06 JP JP2016001204A patent/JP2017123390A/ja active Pending
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