JP7069967B2 - 放熱基板 - Google Patents
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Description
従来のガラス-エポキシ樹脂によるプリント基板の放熱性を改良する技術として、金属基板の一面もしくは両面に絶縁層を介して回路パターンを形成する金属ベース基板、及びアルミナや窒化アルミなどのセラミック基板に銅板をダイレクトに接合した基板が提案されている。上記の金属ベース基板およびセラミック基板は、性能およびコストの面で両立させることが難しい。
特許文献1においては窒化ホウ素の粗大粒と微粉および無機粒子を添加して充填性が高く熱伝導性に方向性がない基板を製造する技術が開示されている。
特許文献2において粒径範囲、最大径を制御した凝集BNと無機粒子を用いることで高熱伝導率かつ低線膨張率の組成物が開示されている。
特許文献3において3種類の異なる粒度の粒子を用い、その中で大きい粒子だけ円形度が高い球状粒子を使い高い熱伝導率とシートの柔らかさの両立を図っている組成物が開示されている。
また特許文献4においては窒化ホウ素の分散性を向上させ、高熱伝導率、柔軟性を向上させるために、アルミニウム系のカップリング剤を使用して分散を上げる技術が開示されている。
特許文献2に記載の基板用材料は、基板の表面平滑性や薄膜化への意識から粒子径が5μm以下の粒子を使用しているが、充填性や熱伝導の観点からは最適な粒径ではない場合が多い。さらに分散の難しい一番小さな5μm以下の粒子について特別な分散をしていため分散不良で中粒子が必要である可能性は否めない。
特許文献4に記載の様な基板材料において、粒子の組み合わせのなかでの窒化ホウ素の分散性向上の寄与についての記載は見当たらない。
[1] 無機粒子と、熱硬化性樹脂の硬化物と、繊維基材と、を含む放熱基板であって、
前記放熱基板に分散されている前記無機粒子の平均粒径(D50)が20μmから35μmであり、
前記放熱基板に分散されている前記無機粒子の粒度分布が第一の頻度のピーク(P1)と第二の頻度のピーク(P2)を有し、
前記第一の頻度のピークと第二の頻度のピークの差(粒度差)が10μmから25μmであり、
前記第一の頻度のピークと第二の頻度のピークの比(P1/P2)が0.7から1.0であることを特徴とする放熱基板。
[2] 前記無機粒子が第一の無機粒子を含み、
前記第一の無機粒子のアスペクト比が5以上であり、
前記第一の頻度のピーク(P1)を構成する無機粒子が前記第一の無機粒子を含み、
前記第一の無機粒子の存在比率が、前記無機粒子に対して、10体積%~20体積%であることを特徴とする[1]に記載の放熱基板。
[3] 前記第一の無機粒子が窒化ホウ素であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の放熱基板。
[4] 前記無機粒子が更に第二の無機粒子を含み、
前記第二の無機粒子の円形度が0.8以下であり、
前記第二の頻度のピーク(P2)を構成する無機粒子が前記第二の無機粒子を含むことを特徴とする[1]~[3]の何れかに記載の放熱基板。
[5] 前記第二の無機粒子が酸化マグネシウムである
ことを特徴とする[1]~[4]の何れかに記載の放熱基板。
[6] 前記放熱基板は、前記無機粒子を含む熱硬化性樹脂組成物を繊維基材に保持して半硬化状態としたプリプレグを1枚以上、又は2枚以上加熱加圧して成形した基板であることを特徴とする[1]~[5]のいずれかに記載の放熱基板。
形成される塗膜の厚みが200μm以下の観点から、前記無機粒子の平均粒径(D50)は35μm以下が好ましく、25μm以下はより好ましい。充填性の観点から、前記2つの頻度のピークの差(粒度差)は10μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましい。隙間をしっかり埋めかつ充填性を低下させない観点から、前記2つの頻度のピークの比(P1/P2)は1以下が好ましく、0.8以下がより好ましい。
本実施形態の放熱基板に用いるプリプレグは、樹脂組成物と繊維基材からなる。この樹脂組成物は、無機粒子と熱硬化性樹脂を含む。本実施形態の放熱基板に用いるプリプレグは同じ種類の熱硬化性樹脂組成物を使用しても、あるいは異なる種類の熱硬化性樹脂組成物を使用してもよく、製造の容易さの観点から、同じ種類の熱硬化性樹脂組成物を使用することが好ましい。
基板に分散されている無機粒子の平均粒径(D50)としては、20μmから35μmである。
無機粒子の含有率は、熱伝導性及び流動性を高める観点から、40体積%~70体積%であることがより好ましく、50体積%~65体積%であることがさらに好ましい。
ここで、樹脂組成物の全固形分とは、樹脂組成物から揮発性の成分を除去した残分を意味する。
W1:無機粒子の質量組成比(質量%)
W2:熱硬化性樹脂の質量組成比(質量%)
Wi:熱硬化性樹脂以外のその他の各任意固形成分の質量組成比(質量%)
D1:無機粒子の比重
D2:熱硬化性樹脂の比重
Di:熱硬化性樹脂以外のその他の各任意固形成分の比重
アスペクト比の高い第一の無機粒子が、第二の無機粒子間にあると、不定形状の第二の無機粒子が滑りやすく詰まりやすくなる。
全無機粒子において、第一の無機粒子の存在比率の評価方法は、後述の電子顕微鏡を用いて評価されている。
第一の無機粒子が窒化ホウ素(BN)であることが好ましい。第一の無機粒子としての窒化ホウ素は、アスペクト比が高く、かつ、熱伝導率も高い。窒化ホウ素を用いると粒子が詰まったときに熱伝導率が高くなる。
本発明の放熱基板の一実施形態において、用いる第二の無機粒子は、円形度0.8以下であることが好ましい。形状が丸から離れた粒子を使用すると粒子間の接触点が増加して無機粒子の充電率が高いときにより熱伝導率が高くなりやすい。
無機粒子が円形度は、相当円の周囲長と粒子投影像の周囲長との比(相当円の周囲長/粒子投影像の周囲長)から得られる。一般的な画像解析式粒度分布測定用ソフトを用いれば円形度も同時に得ることができ、その値を使用できる。
前記第二の無機粒子としては、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al2O3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)などが挙げられる。
酸化マグネシウムが安価で熱伝導率が高く(42~60W/(m・K))、かつ体積抵抗率も高い(>1014Ω・cm)ため、好ましい。
前記第二の無機粒子は、平均粒径D50が異なる無機粒子を2種類以上含でもよい。例えば、平均粒径D50が40μmであるの酸化マグネシウム粒子と、平均粒径D50が10μmの酸化マグネシウムの混合などが挙げられる。
本発明の放熱基板は、第一の無機粒子と第二の無機粒子の以外に、第三の無機粒子を更に含んでもよい。例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、シリカ(SiO2)などである。
「熱硬化性樹脂」
本実施形態に係る熱硬化性樹脂は、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂及びシアネート樹脂を挙げることができる。
エポキシ樹脂は、1つの分子の中に1つ以上のエポキシ基(-C3H5O)を含む化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上である。中でも、エポキシ樹脂は、1つの分子の中に2つ以上のエポキシ基を含んでいることが好ましい。エポキシ樹脂は、モノマーであっても、モノマーを硬化剤等により部分的に反応させたプレポリマーの状態であってもよい。
なお、前記樹脂組成物が後述の硬化剤や硬化促進剤を含む場合、ここでいう熱硬化性樹脂の含有率には、これら硬化剤や硬化促進剤の含有率を含めるものとする。
本実施形態の樹脂組成物が、さらに硬化剤を少なくとも1種類含むことが好ましい。硬化剤としては熱硬化性樹脂を熱硬化可能であれば特に制限されない。前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合の硬化剤としては、例えば、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びメルカプタン系硬化剤等の重付加型硬化剤や、イミダゾール等の触媒型硬化剤等を挙げることができる。
中でも、耐熱性の観点から、アミン系硬化剤及びフェノール系硬化剤から選ばれる少なくとも1種類を用いることが好ましく、さらに、保存安定性の観点から、フェノール系硬化剤の少なくとも1種類を用いることがより好ましい。
本実施形態の樹脂組成物においてフェノール系硬化剤を用いる場合、必要に応じて硬化促進剤を併用しても構わない。硬化促進剤を併用することで、さらに十分に硬化させることができる。硬化促進剤の種類や配合量は特に限定されないが、反応速度や反応温度、保管性などの観点から、適切なものを選択することができる。硬化促進剤の具体例としては、イミダゾール系化合物、有機リン系化合物、第3級アミン、及び第4級アンモニウム塩などが挙げられる。これらは1種単独でも、2種類以上を併用してもよい。
前記樹脂組成物は、シランカップリング剤の少なくとも1種をさらに含むことが好ましい。シランカップリング剤を添加する効果としては、無機粒子や第二の無機粒子の表面とその周りを取り囲む熱硬化性樹脂の間で共有結合を形成する役割(バインダ剤に相当)を果たし、熱を効率良く伝達する働きや、さらには水分の浸入を妨げることによって絶縁信頼性の向上にも寄与する。
本発明における樹脂組成物は、上記成分に加え、必要に応じてその他の成分を含むことができる。例えば、エラストマー、分散剤等が挙げられる。エラストマーとしては、アクリル樹脂が挙げられ、より具体的には(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルから誘導されるホモポリマーまたはコポリマーを挙げることができる。分散剤としては、味の素ファインテック株式会社製アジスパーシリーズ、楠本化成株式会社製HIPLAADシリーズ、株式会社花王製ホモゲノールシリーズ等が挙げられる。これら分散剤は二種類以上を併用することができる。
前記樹脂組成物は、例えば、固体状の熱硬化性樹脂を用いる場合、有機溶剤の少なくとも1種を添加して樹脂組成物の塗料を調整してもよい。有機溶剤を含むことで、種々の成形プロセスに適合させることができる。有機溶剤としては、通常用いられる有機溶剤を用いることができる。具体的には、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、アミド系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ニトリル系溶剤等を挙げることができる。例えば、メチルイソブチルケトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、スルホラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等を用いることができる。これらは1種単独でも、2種類以上を併用した混合溶剤として用いてもよい。
本発明の半硬化樹脂組成物(単に「樹脂組成物」という場合がある)は前記樹脂組成物に由来するものであり、前記樹脂組成物を半硬化処理してなる。前記半硬化樹脂組成物は、例えば、これをシート状に成形した場合に、半硬化処理していない樹脂組成物からなる樹脂組成物シートに比べて取り扱い性が向上する。その観点から、本実施形態のプリプレグに構成される樹脂組成物が半硬化樹脂組成物であることが好ましい。
樹脂組成物の硬化物は前記樹脂組成物に由来するものであり、前記樹脂組成物を硬化処理してなる。前記樹脂組成物の硬化物は熱伝導性と絶縁性に優れる。本発明の一実施形態の基板と積層基板は、例えば、本実施形態のプリプレグを硬化してなるものであり、本実施形態のプリプレグに用いる樹脂組成物を硬化処理してなる樹脂組成物の硬化物を含む。
例えば、未硬化状態の樹脂組成物又は前記半硬化樹脂組成物を100℃~250℃で1時間~10時間、好ましくは130℃~230℃で1時間~8時間加熱することで樹脂組成物の硬化物が得られる。
本発明に一実施形態の放熱基板に用いるプリプレグを作成するための熱硬化性樹脂組成物は、第一の無機粒子と第二の無機粒子と熱硬化性樹脂とを含む。
熱硬化性樹脂組成物は、第一の無機粒子と第二の無機粒子と熱硬化性樹脂を混合して得られる。先に、第一の無機粒子のみを分散し、次に熱硬化性樹脂を混合し、そして、第二の無機粒子を添加し、さらに混合・分散するが好ましい。分散が一番困難である第一の粒子のみを分散することで効率的に分散が可能であることと、第一の粒子のみの粒度を測定し粒度を調整できるため好ましい。
第一の無機粒子と熱硬化性樹脂を混合する前に、第一の無機粒子を高圧ホモジナイザーなどで分散する場合、熱硬化性樹脂が存在する場合と比べて、高い効率でよりよく分散された第一の無機粒子ペーストが得られる。
本発明の一実施形態の放熱基板に用いる放熱基板用プリプレグは、無機粒子を含む繊維基材と樹脂組成物からなる。
このときの固化とは、流動性を有する液状物が自立可能な状態の固体状態に変化することを指す。塗料に含まれる有機溶剤が一部残留する状態も、半硬化状態も固化状態に含むことができる。例えば、60~150℃で1~120分程度、好ましくは70~120℃で3~90分程度の条件下で固化させることができる。
本実施形態の放熱基板に用いるプリプレグは樹脂組成物と繊維基材からなる。本実施形態の放熱基板に用いる繊維基材としては、金属箔張り積層基板や多層プリント配線板を製造する際に通常用いられるものであれば特に制限されず、通常織布や不織布等の繊維基材が用いられる。
本実施形態の放熱基板は、前述のプリプレグを硬化したものであり、プリプレグの硬化物を含む。また、その硬化物が本発明の熱硬化性樹脂の硬化物と無機粒子を含む。本実施形態の基板に用いるプリプレグを硬化した基板なので、熱伝導率の高い基板が得られる。
本実施形態の基板は、本実施形態の基板に用いるプリプレグを硬化したものである。図4(a)~(c)に示すように、例えば、プリプレグ1の両面に金属箔35を設け、加熱プレス・成形工程により、基板5を形成することができる。基板5の金属箔35をさらにパターンニングなどの回路形成工程で加工することができる。以下、図4を参照しながら基板5を詳細に説明する。
金属箔とプリプレグの硬化物とは容易に剥離しないよう、密着強度が高くなければならない。密着強度は、後述する金属箔ピール強度(引き剥がし強度)で測定を行うことができる。
本発明の放熱基板の一実施形態である積層基板は、プリプレグを2枚以上使用して積層して硬化したものであり、プリプレグ積層体の硬化物を含む。その硬化物が熱硬化性樹脂の硬化物と無機粒子を含む。すなわち、本発明の積層基板は、無機粒子と、樹脂の硬化物と繊維基材とを含む。本発明の積層基板は更に金属箔を有してもよい。本発明のプリプレグを硬化した基板なので、熱伝導率の高い基板が得られる。
本発明の一実施形態の積層基板は、プリプレグを硬化したものである。図5(a)~(c)に示すように、例えば、プリプレグ1を2枚用いて両面に金属箔35を設けて、加熱プレス・成形工程により、積層基板7を形成することができる。基板7の金属箔35をさらにパターンニングなどの回路形成工程で加工することができる。
<無機粒子を含む樹脂組成物の調整>
樹脂組成物として、以下の材料を準備した。
第一の無機粒子として窒化ホウ素(BN)粉末(メーカ昭和電工株式会社UHP-1K、平均粒径D50=8μm) … 1000質量部
分散剤(カップリング剤)としてシランカップリング剤(信越化学工業 KBM573)10重量部
第二の無機粒子1として酸化マグネシウム(MgO)粉末(宇部マテリアルズ株式会社 平均粒径30μm、円形度0.73、熱伝導率45W/(m・K)) … 3200質量部
第二の無機粒子2として酸化マグネシウム(MgO)粉末、(宇部マテリアルズ平均粒径10μm、円形度0.75、熱伝導率45W/(m・K)) … □□800質量部
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂(テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂50%、4,4’-ビフェノール型エポキシ50%混合物、エポキシ当量175g/eq、三菱化学株式会社製 YL-6121H) … 900質量部
硬化剤(1,3,5-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、) … 350質量部
硬化促進剤(2-エチル-4-メチルイミダゾール、四国化成社製 2E4MZ) … 1質量部
有機溶剤としてジオキソラン … 1000質量部
その他の無機材料
第二の無機粒子として酸化マグネシウム(MgO)(宇部マテリアル株式会社製 平均粒径50μm、円形度0.79、熱伝導率45W/(m・K))
第二の無機粒子として酸化アルミニウム(Al2O3)(昭和電工製 平均粒径7.0μm 円形度0.77熱伝導率30W/(m・K)) )
(先分散1 高圧ホモジナイザー)
BN粉末とカップリング剤とジオキソランを高圧ホモジナイザー(吉田機械興業株式会社製、型番:YSNM-1500AR、使用条件:処理部ストレートタイプ、処理圧:40MPa)に投入し、処理してBN分散液を作製した。この時高圧ホモジナイザーの処理部を何回通過させたかをパス回数で表に記した。(例えば、実施例1は5パスである。)
BN粉末とカップリング剤とジオキソランをPP製ポリポットにφ2mmジルコニア(ニッカトー、YTZ)、とともに投入し、60rpmで回転させてBN分散液を作製した。
そのとき分散した時間を7時間(実施例3)、5時間(実施例4)、3.5時間(実施例5)として表に記した。
上記BN分散液をメディアレス分散機(浅田鉄工社製 デスパミル MD-10)に投入する。次に撹拌しながら上記熱硬化性樹脂、硬化剤、硬化促進剤を投入し分散BNを含む樹脂混合液を作製した。
得られたBN含む樹脂組成物分散液に、第二の無機粒子として酸化マグネシウムを投入し、よく撹拌分散させ、樹脂組成物の塗料を作製した。
<<BNとMgO含む樹脂組成物の作製工程>>
上記熱硬化性樹脂、硬化剤、硬化促進剤、有機溶剤をメディアレス分散機(浅田鉄工社製 デスパミル MD-10)に投入し、撹拌して樹脂混合液を作製した。得られた樹脂組成物分散液に、第二の無機粒子として酸化マグネシウムを投入し、よく撹拌分散させ、樹脂組成物の塗料を作製した。次にそこに第一の無機粒子としてBNを粉体のまま投入し、撹拌・分散を行い、後分散法によるBN含有樹脂組成物の塗料を得た。
窒化ホウ素粉末と酸化マグネシウム粉末の添加量は、樹脂組成物の塗料からジオキソランを除いた固形分体積を100体積%としたときに55体積%(以下、充填率)となるように調整した。
窒化ホウ素粉末と酸化マグネシウム粉末を含む全無機粒子の添加量に対して、窒化ホウ素粉末の添加量は、16.3体積%となるように調整した。
各組成及びBNの分散方法を表1に示す。
繊維基材としてガラスクロス(IPC規格1080(株)有沢製作所製の非開繊ガラスクロス、厚さ0.055mm、質量47g/m2、密度66×46本/25mm、平織タイプ)を用いた。このガラスクロスを、得られた樹脂組成物の塗料に含浸し、その後のプリプレグにおいて硬化物の厚さが0.025mmになるように調整した。100℃にて加熱乾燥してメチルエチルケトンを除去し、放熱基板用プリプレグを得た。
図5(a)~(c)に示すように、本実施例で得られたプリプレグ1を2枚重ね、2枚の銅箔35を用いてプリプレグ1を挟むように、加熱加圧(温度170℃、1MPaにて20分間)を行い、加えてさらに2回目の加熱加圧(温度200℃、4MPaにて1時間)を行い、厚さ0.3mmの無機粒子含有エポキシ樹脂硬化物を備える(積層)基板7を得た。エッチング法により配線パターンを備える(積層)基板7を形成した。
図4(d)~(f)に示すように、得られた配線パターンを備える(積層)基板7の両面にそれぞれ、2枚のプリプレグを配置し、さらに、2枚の銅箔を用いて(積層)基板7を挟むように配置した後、加熱加圧(温度170℃、1MPaにて20分間)を行い、加えてさらに2回目の加熱加圧(温度200℃、4MPaにて1時間)を行い、厚さ0.9mmの無機粒子含有エポキシ樹脂硬化物を備える積層基板9を得た。エッチング法により、両表面に配線パターン形成し、配線パターンを備える積層基板9を形成した。
表1に記した条件で実施例2~8、比較例1~8の基板を作製した。
表1に示す組成及び分散方法で、実施例1と同様に、無機粒子を含む樹脂組成物の塗料を作製した。
<放熱基板用プリプレグの作製>
得られた樹脂組成物の塗料を用いた以外は、実施例1と同様な方法で、放熱基板用プリプレグを得た。
得られたプリプレグを用いた以外は、実施例1と同様な方法で、放熱基板を得た。
得られたプリプレグを用いた以外は、実施例1と同様な方法で、積層基板を得た。
この放熱基板のそれぞれの特性を調べたところ、表2に示した結果が得られた。ここでは、各放熱基板の厚さ切断面において無機粒子疎部の面積比(%)、放熱基板の熱伝導率、成形性を調べた。
熱伝導性を調べるため、放熱基板の熱伝導率(W/(m・K))を測定した。具体的には、最初に、放熱基板を切断して、円形状の測定用試料(直径=10mm,厚さ=0.3~1.0mm)を作製した。続いて、熱伝導率測定装置(アドバンス理工株式会社(旧アルバック理工株式会社)製のTCシリーズ)を用いて測定用試料を分析して、熱拡散係数α(m2 /s)を測定した。また、サファイアを標準試料として、示差走査熱量分析(DSC)を用いて測定用試料の比熱Cpを測定した。さらに、アルキメデス法を用いて測定用試料の密度rを測定した。最後に、下記の数式(2)に基づいて、熱伝導率λ(W/(m・K))を算出した。
(λは熱伝導率(W/(m・K))、αは熱拡散率(m2/s)、Cpは比熱(J/kg・K)、rは密度(kg/m3 )である。)
<放熱基板の成形性>
まず、図6と7に示した成形性評価用基板100を製造した。基板の表面に厚さ105μmの銅箔層104と105を配置し、銅箔層104を部分的にエッチングして、メッシュ状の溝106(幅=0.5mm,深さ=105μm)を形成した。この場合には、金属層104の外縁(4つの辺)に最も近い溝106とその銅箔層104の外縁との間の距離を9.5mm、溝106同士の間隔を9.5mmとした。
成形性を評価する場合には、成形性評価基板100の上に、実施例1~8、比較例1~8に得られたプリプレグを2枚使用し、銅箔/プリプレグ(AB/BA)成形性評価基板100の順に重ねて、積層体とした。この銅箔としては、70μmの銅箔を用いた。続いて、平板プレス機を用いて、積層方向において積層体を加熱(温度=180℃)および加圧(圧力=4MPa)した。これにより、プリプレグの1部が評価用基板100の溝106に入り込んだため、多層基板が得られた。金属顕微鏡を用いて多層基板の断面を観察した。
本発明の無機粒子の粒径分布(粒径分布のピーク位置、平均粒径(D50)、アスペクト比5以上の比率)の評価は、放熱基板の表面のSEM写真を用いて、画像解析方法によって評価した。詳細な評価方法以下で説明する。
測定装置:SEM(キーエンスVK-8700)を使用した。
測定条件:3倍率500倍で3視野、COMPO像モードで撮影した。
画像解析:画像解析式粒度分布解析ソフト Mac-View(株式会社 マウンテック)を用いて、上記SEM写真の粒子解析を行った。SEM写真を読み込み、マニアルモードでタッチペンを使ってSEM写真の粒子の輪郭をなぞり粒子を認識させ、500倍のSEM写真3枚分(1000ヶ以上となる)について行った。その際、例えば、針状粒子が糸まり状に固まったような、周辺の樹脂とは明らかに平滑性が異なる部分は凝集粒子として、その周辺をなぞり1粒子とした。ただし微粒子で輪郭なぞれないものは除外した。得られたデータを周長相当径で粒度分布とした。
また同時にこのソフトではアスペクト比も求められるので得られているアスペクト比から5以上の比率を求めた。
また第一の粒子(BN粒子)の存在比率は以下のように求められる。SEM写真をコントラストを強く撮影したときに(二次電子像もしくはCOMPO像)同じ軽元素の樹脂(C)、さらには不定形無機酸化物とは明らかにコントラストが違う粒子があり、それがBNと限定される。そのためSEM写真を画像処理して3値化(2値化ではなく3値化もしくは4値化)することでBNの比率が求められる。またさらに精度が必要な場合は前処理をしてICP分析を行うことで明確にB(N)を同定でき、量も定量できる。
作製した熱硬化性樹脂ペーストをペーストストッカーにて10rpmで回転させ保管する。24時間後E型粘度計で3rpmの粘度を測定し、初期粘度で割った値をペースト経時粘度比率とした。
5…基板(積層基板)
7、9…積層基板
10…BN粒子
12,13…MgO粒子
15、25…繊維基材、
35…金属箔。
Claims (6)
- 無機粒子と、熱硬化性樹脂の硬化物と、繊維基材と、を含む放熱基板であって、
前記放熱基板に分散されている前記無機粒子の平均粒径(D50)が20μmから35μmであり、
前記放熱基板に分散されている前記無機粒子の粒度分布が第一の頻度のピーク(P1)と第二の頻度のピーク(P2)を有し、
前記第一の頻度のピーク(P1)と第二の頻度のピーク(P2)の差(粒度差)が10μmから25μmであり、
前記第一の頻度のピークと第二の頻度のピークの比(P1/P2)が0.7から1.0であることを特徴とする放熱基板。 - 前記無機粒子が第一の無機粒子を含み、
前記第一の無機粒子のアスペクト比が5以上であり、
前記第一の頻度のピーク(P1)を構成する無機粒子が前記第一の無機粒子を含み、 前記第一の無機粒子の存在比率が、前記無機粒子に対して、10体積%~20体積%であることを特徴とする請求項1に記載の放熱基板。 - 前記第一の無機粒子が窒化ホウ素であることを特徴とする請求項2に記載の放熱基板。
- 前記無機粒子が更に第二の無機粒子を含み、
前記第二の無機粒子の円形度が0.8以下であり、
前記第二の頻度のピーク(P2)を構成する無機粒子が前記第二の無機粒子を含むことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の放熱基板。 - 前記第二の無機粒子が酸化マグネシウムである
ことを特徴とする請求項4に記載の放熱基板。 - 前記放熱基板は、前記無機粒子を含む熱硬化性樹脂組成物を繊維基材に保持して半硬化状態としたプリプレグを1枚以上、又は2枚以上加熱加圧して成形した基板であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の放熱基板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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