JP2021091784A - 硬化物、多層シート、放熱部品、並びに電子部品 - Google Patents

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一也 木口
浩史 土谷
Hiroshi Tsuchiya
浩史 土谷
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Akira Shimada
彰 嶋田
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Abstract

【課題】 高熱伝導性と低弾性を有する組成物、硬化物、放熱部材、電子部品を提供することを課題とする。【解決手段】 組成物からなる硬化物であって、前記組成物は、樹脂又は樹脂前駆体、並びに、熱伝導率が1W/mK以上のフィラーを含み、前記組成物中の前記フィラーは、アスペクト比(最大長さの平均値/最小長さの平均値)が1.0〜1.9のフィラー(以下、アスペクト比が1.0〜1.9のフィラーを、(A)と記す)、及び、アスペクト比が2以上、最大長さの平均値が10.5〜200.0μmのフィラー(以下、アスペクト比が2以上、最大長さの平均値が10.5〜200.0μmのフィラーを、(B)と記す)を含み、前記組成物中の(A)と(B)の体積比率が、(A):(B)=95:5〜55:45であり、(A)と(B)の体積比率の合計である総体積率が、15体積%〜80体積%であり、前記硬化物の25℃での熱伝導率が0.3〜10W/mKであり、前記硬化物の−70℃での弾性率が0.01〜100MPaである、硬化物。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化物、多層シート、放熱部品、並びに電子部品に関し、特に本発明の硬化物は、半導体チップなどの電子部品と、配線基板、ヒートスプレッダー、ヒートシンクなどの放熱体との接着または電子部品同士の接着に使用できる硬化物に関する。
近年、電子機器は高密度化が急速に進んでいる。電子機器に用いられる接着剤組成物は、最終的に接着剤として機器内に残留することが多いため、接着性、放熱性、耐熱性、絶縁性等の諸特性を満たすことが要求されている。
最近では、半導体素子として従来用いられていたシリコン(Si)ウエハに代わり、より電気特性の優れたGaN(窒化ガリウム)やSiC(炭化珪素)が注目されており、パワーデバイスなどの分野で使用が進んでいる。特にSiCは電気特性に優れているので、単位面積にかけられる電圧はSiよりも高くなり、それに伴い、単位面積にかかる温度も高くなる。従って、接着剤にも150℃、場合によっては200℃を超える高い耐熱性や熱を効率よく外部に放熱することが求められ、さらにその温度で長期間接着性を維持することのできる長期高温耐性が要求されている。
これまでに、アクリル系共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含有する半導体装置用接着シートやダイシングダイボンディングシートが高い耐湿信頼性や、高い温度サイクル性を示すことが開示されている。(例えば、特許文献1〜2参照)。また、電子機器製造装置内で150℃等一定温度に保持することを目的として、例えば、300mm角以上の大型形状で、かつガラス板と金属板など異なる材質を貼りあわせる要求がある。このような要求に対し、これまでに、−20℃から150℃における高い温度サイクル性を有する電子機器用接着剤組成物が提案されている(特許文献3参照)。
特開平11−265960号公報(請求項1) 特開2004−217793号公報(請求項1) 特開2014−208782号公報
しかし、これら特許文献1〜3に記載の接着剤組成物の熱伝導率は0.1〜0.2W/mK程度と低く、放熱性の課題があった。放熱性向上の手法として、熱伝導フィラーを超高充填することにより高熱伝導化は可能であるが、樹脂よりも高弾性であるフィラーを超高充填することで、接着剤組成物が高弾性化し、温度サイクル性が低下する。
本発明は、上記諸欠点を解消して、高熱伝導性と低弾性を有する硬化物、放熱部材、電子部品を提供するものである。
上記課題を解決するため、本発明は次の構成を有する。
<1>
組成物からなる硬化物であって、
前記組成物は、樹脂又は樹脂前駆体、並びに、熱伝導率が1W/mK以上のフィラーを含み、
前記組成物中の前記フィラーは、アスペクト比(最大長さの平均値/最小長さの平均値)が1.0〜1.9のフィラー(以下、アスペクト比が1.0〜1.9のフィラーを、(A)と記す)、及び、アスペクト比が2以上、最大長さの平均値が10.5〜200.0μmのフィラー(以下、アスペクト比が2以上、最大長さの平均値が10.5〜200.0μmのフィラーを、(B)と記す)を含み、
前記組成物中の(A)と(B)の体積比率が、(A):(B)=95:5〜55:45であり、(A)と(B)の体積比率の合計である総体積率が、15体積%〜80体積%であり、
前記硬化物の25℃での熱伝導率が0.3〜10W/mKであり、前記硬化物の−70℃での弾性率が0.01〜100MPaである、硬化物。
<2>
絶縁耐圧が5kV/mm以上である、<1>に記載の硬化物。
<3>
前記組成物がシランカップリング剤を含む、<1>又は<2>に記載の硬化物。
<4>
前記フィラーは、アルミナ、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベーマイト、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、セルロースナノファイバー、及びカーボンファイバーからなる群より選択される少なくとも1種である、<1>〜<3>のいずれかに記載の硬化物。
<5>
前記(A)は、アルミナ、シリカ、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、及びベーマイトからなる群より選拓される少なくとも1種であり、
前記(B)は、窒化アルミニウムである、<1>〜<4>のいずれかに記載の硬化物。
<6>
前記(A)の平均粒径D50は、1.0μm〜100.0μmである、<1>〜<5>のいずれかに記載の硬化物。
<7>
前記樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリアミドイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、<1>〜<6>のいずれかに記載の硬化物。
<8>
前記樹脂は、下記一般式(1)で表される構造を有するジアミン残基を、全ジアミン残基100モル%中60モル%以上含有するポリイミド樹脂を少なくとも含む<1>〜<7>のいずれかに記載の硬化物。
Figure 2021091784
(一般式(1)中、mは10以上の整数を示す。RおよびRは同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜30のアルキレン基またはアリーレン基を示す。アリーレン基は置換基を有していてもよく、置換基は炭素数1〜30のアルキル基を示す。R〜Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜30のアルキル基、フェニル基またはフェノキシ基を示す。)
<9>
形状がシート状である、<1>〜<8>のいずれかに記載の硬化物。
<10>
<1>〜<9>のいずれかに記載の硬化物、並びに、接着層を有する多層シート。
<11>
<1>〜<9>のいずれかに記載の硬化物、又は<10>に記載の多層シートを含む、放熱部品。
<12>
<1>〜<9>のいずれかに記載の硬化物、又は<10>に記載の多層シートを含む、電子部品。
本発明により、低弾性、高熱伝導性を有する硬化物、多層シート、放熱部品、及び電子部品を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本明細書において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本明細書において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。

<組成物>
本発明の硬化物は、組成物からなる硬化物であって、前記組成物は、樹脂又は樹脂前駆体、並びに、熱伝導率が1W/mK以上のフィラーを含み、前記組成物中の前記フィラーは、アスペクト比(最大長さの平均値/最小長さの平均値)が1.0〜1.9のフィラー(以下、アスペクト比が1.0〜1.9のフィラーを、(A)と記す)、及び、アスペクト比が2以上、最大長さの平均値が10.5〜200.0μmのフィラー(以下、アスペクト比が2以上、最大長さの平均値が10.5〜200.0μmのフィラーを、(B)と記す)を含み、前記組成物中の(A)と(B)の体積比率が、(A):(B)=95:5〜55:45であり、(A)と(B)の体積比率の合計である総体積率が、15体積%〜80体積%であり、前記硬化物の25℃での熱伝導率が0.3〜10W/mKであり、前記硬化物の−70℃での弾性率が0.01〜100MPaである、硬化物である。
本発明の硬化物を得るために用いる組成物は、熱伝導率が1W/mK以上のフィラーとして、(A)及び(B)を組み合わせて含む。このようにすることで、組成物からなる硬化物の熱伝導性を向上させることができる。組成物の熱伝導率の観点から、フィラーの熱伝導率は10W/mK以上が好ましく、20W/mK以上がさらに好ましい。組成物中が熱伝導率1W/mK未満のフィラーしか含まない場合には、熱伝導の大幅な向上が困難となる。熱伝導率が1W/mK以上のフィラーの熱伝導率は、1W/mK以上でありさえすればその上限は特に限定されないが、現実的な上限は、5000W/mK程度である。なお、本発明の硬化物を得るために用いる組成物は、熱伝導率が1W/mK以上のフィラーとして(A)及び(B)をみさえすれば、熱伝導率が1W/mK未満のフィラーを含むことも可能である。

前述のとおり、熱伝導率が1W/mK以上のフィラーにおいて、アスペクト比が1.0〜1.9のフィラーを(A)という。本発明の硬化物を得るために用いる組成物中の(A)のアスペクト比は、1.0〜1.9であると樹脂又は樹脂前駆体の流動性の観点から好ましく、1.0〜1.5であると、熱伝導異方性低減の観点からより好ましく、1.0〜1.2であると、充填性の観点からさらに好ましい。
前述のとおり、熱伝導率が1W/mK以上のフィラーにおいて、アスペクト比が2以上、最大長さの平均値が10.5〜200.0μmのフィラーを、(B)という。本発明の硬化物を得るために用いる組成物中の(B)は、アスペクト比は2以上が好ましく、3以上が更に好ましい。熱伝導の観点から5以上がより好ましい。最大長さの平均値は10.5〜200.0μmであると熱伝導の観点から好ましく、10.5〜150.0μmであるとフィラーの高充填性の観点からより好ましく、10.5〜100.0μmであるとフィラーの沈降の観点から更に好ましい。(B)のアスペクト比が2未満であるか、又は最大長さの平均値が10.5μm未満であると、熱伝導の向上効果が小さい。また(B)の最大長さの平均値が200μmよりも大きくなると、組成物の厚みを厚くする必要があり、低熱抵抗化が困難である。

本発明の硬化物を得るために用いる組成物は、(A)と(B)の体積比率が、(A):(B)=95:5〜55:45であることが、高熱伝導と低弾性の観点から好ましい。本発明の硬化物を得るために用いる組成物の(A)と(B)の体積比率は、(A):(B)=90:10〜70:30であることがより好ましい。
本発明の硬化物を得るために用いる組成物は、(A)と(B)の体積比率の合計である総体積率が、15体積%〜80体積%が好ましく、熱伝導率と流動性の観点から、20体積%〜70体積%がより好ましく、25体積%〜65体積%が更に好ましい。総体積率が15体積%未満であると、高熱伝導化が困難であり、80体積%より大きくなると、樹脂又は樹脂前駆体の流動性が低下し、組成物作製が困難となる。

<フィラー>
本発明の硬化物を得るために用いる組成物は、熱伝導率が1W/mK以上のフィラーを含み、さらにこれらのフィラーとして、アスペクト比が1.0〜1.9の(A)、並びに、アスペクト比が2以上、最大長さの平均値が10.5〜200.0μmの(B)を含む。
本発明においてアスペクト比とは、最大長さの平均値/最小長さの平均値、を意味するが、アスペクト比は、走査型電子顕微鏡(例えば、株式会社日立製作所製、商品名:FE−SEM S4700)を用いて、50個の粒子を観察して、最大長さの平均値及び最小長さの平均値を求め、得られた値より、(最大長さの平均値)÷(最小長さの平均値)によりアスペクト比を算出する。
さらに本発明の硬化物を得るために用いる組成物は、(A)及び(B)以外のその他のフィラーを含んでも良い。その他のフィラーは、(A)及び(B)のいずれにも該当しないフィラーを意味し、これに該当すれば無機フィラー、有機フィラー、導電フィラー、非導電フィラー等、特に限定されないが、銅、アルミニウム、銀、ダイヤモンド、アルミナ、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベーマイト、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、セルロースナノファイバー、及びカーボンファイバーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
熱伝導率が1W/mK以上のフィラーとしては、例えば、熱伝導率が1W/mK以上の無機成分などが挙げられ、その種類は特に限定されないが、熱伝導率はその成分に固有の値であるため、熱伝導率が1W/mK以上のフィラーとしてはアルミナ、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベーマイト、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、セルロースナノファイバー、及びカーボンファイバーからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。

<フィラー (A)>
(A)の組成は、特に限定されないが、アルミナ、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベーマイト、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、セルロースナノファイバー、及びカーボンファイバーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、アルミナ、シリカ、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、及びベーマイトからなる群より選択される少なくとも1種であることが絶縁性の観点からより好ましく、絶縁性及び熱伝導率の観点からアルミナ、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種であることがさらに好ましく、絶縁性、熱伝導率及び安定性の観点から、アルミナ及び/又は窒化アルミニウムであることが最も好ましい。
(A)はフィラーとして1つの原料フィラーを単独で用いても、2つ以上の原料フィラーを併用してもよい。(A)として2つ以上の原料フィラーを併用するとは、フィラーを購入して用いる場合には、熱伝導率が1W/mK以上で、アスペクト比が1.0〜1.9である、異なる品番のフィラーを2つ以上用いることを言い、フィラーを製造して用いる場合には、熱伝導率が1W/mK以上で、アスペクト比が1.0〜1.9である、2つ以上の異なる出発物質に対して同じ又は異なる製造条件で加工して得られた2つ以上のフィラーを用いる場合や、同じ出発物質に対して異なる製造条件で加工して得られた2つ以上のフィラーを用いる場合を言う。(A)として2つ以上の原料フィラーを併用することにより、例えば、粒子径D50が異なる原料フィラーを(A)として用いることができたり、結晶形が異なる原料フィラーを(A)として用いることができたり、アスペクト比が異なる原料フィラーを(A)として用いることができる。

(A)の平均粒径D50は、特に制限されないが、1.0〜100.0μmが好ましい。樹脂の流動性の観点から、(A)の平均粒径D50は20〜80μmがさらに好ましい。(A)の平均粒径D50が0.1μm未満であると、樹脂の流動性の低下し、100μmを超えると、フィラーの沈降が発生することがあるため、(A)の平均粒径D50は1.0〜100.0μmが好ましい。

<フィラー (B)>
(B)の組成は、特に限定されないが、アルミナ、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベーマイト、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、セルロースナノファイバー、及びカーボンファイバーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、及びカーボンファイバーからなる群より選択される少なくとも1種であることが熱伝導率の観点からより好ましく、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ及びカーボンファイバーからなる群より選択される少なくとも1種であることがさらに好ましく、絶縁性、熱伝導率及び安定性の観点から、窒化アルミニウムであることが特に好ましい。
(B)の形状は特に制限されず、ウィスカーのような針状、ファイバー状、板状、鱗片状などが挙げられる。
具体的には、針状としては、例えば、窒化アルミニウムウィスカー等、鱗片状としては、例えば窒化ホウ素やグラファイト等が挙げられる。ファイバー状としては、例えば、カーボンファイバー、板状としては、例えばアルミナからなる板状粒子等が挙げられる。
(B)はフィラーとして1つの原料フィラーを単独で用いても、2つ以上の原料フィラーを併用してもよい。(B)として2つ以上の原料フィラーを併用するとは、フィラーを購入して用いる場合には、熱伝導率が1W/mK以上、アスペクト比が2以上、最大長さの平均値が10.5〜200.0μmである、異なる品番のフィラーを2つ以上用いることを言い、フィラーを製造して用いる場合には、熱伝導率が1W/mK以上、アスペクト比が2以上、最大長さの平均値が10.5〜200.0μmである、2つ以上の異なる出発物質に対して同じ又は異なる製造条件で加工して得られた2つ以上のフィラーを用いる場合や、同じ出発物質に対して異なる製造条件で加工して得られた2つ以上のフィラーを用いる場合を言う。(B)として2つ以上の原料フィラーを併用することにより、例えば、粒子径D50が異なる原料フィラーを(B)として用いることができたり、結晶形が異なる原料フィラーを(B)として用いることができたり、アスペクト比が異なる原料フィラーを(B)として用いることができる。

<樹脂又は樹脂前駆体>
本発明の硬化物を得るために用いる組成物には、樹脂又は樹脂前駆体が含まれる。
樹脂としては特に限定されないが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリアミドイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、樹脂前駆体としては特に限定されず、モノマー、オリゴマー、ポリマーであっても良く、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリアミドイミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの樹脂前駆体が好ましい。
本発明の硬化物を得るために用いる組成物は、樹脂前駆体よりも樹脂を含むことがより好ましく、低温低弾性の観点からは、樹脂は、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、及びアクリル樹脂からなる群より選択されることがより好ましい。また高接着の観点から、樹脂は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリアミドイミド樹脂からなる群より選ばれることがより好ましい。低温低弾性、高接着の観点から、樹脂は、これらを組み合わせた樹脂系がさらに好ましく、ポリイミド樹脂、及び/又は、エポキシ樹脂を含有する樹脂であることがより好ましい。さらに樹脂は、下記一般式(1)で表される構造を有するジアミン残基を、全ジアミン残基100モル%中60モル%以上含有するポリイミド樹脂を含むことが特に好ましい。
Figure 2021091784
(一般式(1)中、mは10以上の整数を示す。RおよびRは同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜30のアルキレン基またはアリーレン基を示す。アリーレン基は置換基を有していてもよく、置換基は炭素数1〜30のアルキル基を示す。R〜Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜30のアルキル基、フェニル基またはフェノキシ基を示す。)
<ポリイミド樹脂>
ポリイミド樹脂は、重量平均分子量が5000以上であることが好ましい。重量平均分子量を5000以上にすることにより、本発明の組成物の靭性と柔軟性を向上させることができる。また重量平均分子量は1000000以下であるのが好ましい。重量平均分子量を1000000以下にすることにより、本発明の組成物中のフィラーの分散性を向上することができ、熱伝導性を向上することができる。
重量平均分子量の測定方法としては、ポリイミド樹脂を溶解した溶液を用い、GPC装置によりポリスチレン換算で算出することができる。
<エポキシ樹脂>
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、特に制限はないが、硬化後の組成物の弾性率を低くして、柔軟性を向上し、接触界面での接触熱抵抗を低減する観点から、シロキサン骨格を含有するエポキシ樹脂が好ましい。このようなエポキシ樹脂として、信越化学(株)製のX−40−2695B、X−22−2046などが挙げられる。シロキサン骨格を含有しない柔軟なエポキシ樹脂として、三菱化学(株)製のYX7400、YX7110、YX7180、YX7105などが挙げられる。
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、200℃以上の高温での耐熱性を高めて、200℃で長時間使用した後の組成物の脆弱化を防止して、剥離性を高める観点から、トリアジン骨格を含有するエポキシ樹脂が好ましい。このようなエポキシ樹脂として、日産化学(株)製のTEPIC−PAS B26L、TEPIC−PAS B22、TEPIC−S、TEPIC−VL、TEPIC−FL、TEPIC−UCなどが挙げられる。
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、熱伝導率を向上する観点から、結晶性のエポキシ樹脂が好ましい。結晶性のエポキシ樹脂とは、ビフェニル基、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、フェニルベンゾエート基、ベンズアニリド基などのメソゲン骨格を有するエポキシ樹脂である。このようなエポキシ樹脂に対応する製品としては、三菱化学(株)製のJERYX4000、JERYX4000H、JERYX8800、JERYL6121H、JERYL6640、JERYL6677、JERYX7399や日本化薬(株)製のNC3000、NC3000H、NC3000L、CER−3000Lや新日鐵化学(株)製のYSLV−80XY、YDC1312やDIC(株)製のHP4032、HP4032D、HP4700などが挙げられる。
また、本発明に用いられるエポキシ樹脂は、フィラーの分散性を向上して、熱伝導率を向上させる観点からフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂が好ましい。このようなエポキシ樹脂として大阪ガスケミカル(株)製のPG100、CG500、CG300−M2、EG200,EG250などが挙げられる。
また、本発明に用いられるエポキシ樹脂は、ポリイミドとの親和性が高く、ポリイミドとの架橋密度を向上し耐熱性を向上できる観点からグリシジルアミン型エポキシ樹脂が好ましい。このようなエポキシ樹脂として、三菱化学(株)製のJER630、JER630LSD、JER604などが挙げられる。
また、本発明に用いられるエポキシ樹脂は、フィラーを分散させる時の粘度を低くする観点から、液状のエポキシ樹脂が好ましい。ここで液状のエポキシ樹脂とは、25℃、1.013×10N/mで150Pa・s以下の粘度を示すものであり、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、アルキレンオキサイド変性エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などが挙げられる。このようなエポキシ樹脂に対応する製品としては、三菱化学(株)製のJER827、JER828、JER806、JER807、JER801N、JER802、YX7400、JER604、JER630、JER630LSDやDIC(株)製のエピクロン840S、エピクロン850S、エピクロン830S、エピクロン705、エピクロン707や新日鐵化学(株)製のYD127、YD128、PG207N、PG202や日産化学(株)製のTEPIC−PASB26L、TEPIC−PASB22、TEPIC−VL、TEPIC−FL、TEPIC−UCなどが挙げられる。
また、本発明に用いられるエポキシ樹脂は、1種類でもよく、2種類以上組み合わせてもよい。エポキシ樹脂の含有量は、組成物の靭性と高温での耐熱性を向上する観点からポリイミド100重量部に対して0.1重量部以上が好ましく、組成物の柔軟性を向上する観点から15重量部以下が好ましい。
さらに本発明の硬化物を得るために用いる組成物は、必要により硬化剤を含有しても良い。エポキシ樹脂と硬化剤を組み合わせることにより、エポキシ樹脂の硬化を促進して短時間で硬化させることができる。硬化剤としては、イミダゾール類、多価フェノール類、酸無水物類、アミン類、ヒドラジド類、ポリメルカプタン類、ルイス酸−アミン錯体類、潜在性硬化剤などを用いることができる。
イミダゾール類としてはキュアゾール2MZ、キュアゾール2PZ、キュアゾール2MZ−A、キュアゾール2MZ−OK(以上商品名、四国化成工業(株)製)などがあげられる。多価フェノール類としては、スミライトレジンPR−HF3、スミライトレジンPR−HF6(以上商品名、住友ベークライト(株)製)カヤハードKTG−105、カヤハードNHN(以上商品名、日本化薬(株)製)、フェノライトTD2131、フェノライトTD2090、フェノライトVH−4150、フェノライトKH−6021、フェノライトKA−1160、フェノライトKA−1165(以上商品名、DIC(株)製)などがあげられる。また、潜在性硬化剤としては、ジシアンジアミド型潜在性硬化剤、アミンアダクト型潜在性硬化剤、有機酸ヒドラジド型潜在性硬化剤、芳香族スルホニウム塩型潜在性硬化剤、マイクロカプセル型潜在性硬化剤、光硬化型潜在性硬化剤が挙げられる。
ジシアンジアミド型潜在性硬化剤としては、DICY7、DICY15、DICY50(以上商品名、ジャパンエポキシレジン(株)製)、アミキュアAH−154、アミキュアAH−162(以上商品名、味の素ファインテクノ(株)製)などが挙げられる。アミンアダクト型潜在性硬化剤としては、アミキュアPN−23、アミキュアPN−40、アミキュアMY−24、アミキュアMY−H(以上商品名、味の素ファインテクノ(株)製)、フジキュアFXR−1030(商品名、富士化成(株)製)などが挙げられる。有機酸ヒドラジド型潜在性硬化剤としては、アミキュアVDH、アミキュアUDH(以上商品名、味の素ファインテクノ(株)製)などが挙げられる。芳香族スルホニウム塩型潜在性硬化剤としては、サンエイドSI100、サンエイドSI150、サンエイドSI180(以上商品名、三新化学工業(株)製)などが挙げられる。マイクロカプセル型潜在性硬化剤としては、上記の各硬化剤をビニル化合物、ウレア化合物、熱可塑性樹脂でカプセル化したものが挙げられる。中でも、アミンアダクト型潜在性硬化剤をイソシアネートで処理したマイクロカプセル型潜在性硬化剤としてはノバキュアHX−3941HP、ノバキュアHXA3922HP、ノバキュアHXA3932HP、ノバキュアHXA3042HP(以上商品名、旭化成ケミカルズ(株)製)などが挙げられる。また、光硬化型潜在性硬化剤としては、オプトマーSP、オプトマーCP((株)ADEKA製)などが挙げられる。
組成物に硬化剤が含まれる場合、その含有量は、エポキシ樹脂100重量部に対し、0.1重量部以上35重量部以下であることが好ましい。

<カップリング剤>
本発明の硬化物を得るために用いる組成物は、シランカップリング剤を更に含んでもよい。シランカップリング剤は、フィラーの表面とそれを取り囲む樹脂との間で共有結合を形成する役割(バインダ剤に相当)、熱を効率良く伝達する役割、水分の浸入を妨げることによって絶縁信頼性を向上させる役割等を果たすことができる。
シランカップリング剤の種類は特に限定されず、市販品を用いてもよい。樹脂との相溶性、樹脂とフィラー界面での熱伝導欠損を低減することを考慮すると、末端にエポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ウレイド基、又は水酸基などの反応基を有するシランカップリング剤を用いることが好ましい。
シランカップリング剤の具体例としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。また、商品名:SC−6000KS2に代表されるシランカップリング剤オリゴマー(日立化成テクノサービス株式会社製)を更に挙げることもできる。これらのシランカップリング剤は、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
シランカップリング剤は、フィラーの表面を被覆した状態で存在していても、フィラーから離れた状態で存在していてもよい。
<有機溶剤>
本発明の硬化物を得るために用いる組成物は、少なくとも1種類の有機溶剤を更に含んでいてもよい。有機溶剤を含むことで、組成物を種々の成形プロセスに適合させることができる。有機溶剤としては、組成物に通常用いられるものを用いることができる。具体的には、アルコール溶剤、エーテル溶剤、ケトン溶剤、アミド溶剤、芳香族炭化水素溶剤、エステル溶剤、ニトリル溶剤等を挙げることができる。例えば、メチルイソブチルケトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトンを用いることができる。これらの有機溶剤は1種類単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
<その他の成分>
本発明の硬化物を得るために用いる組成物は、上記成分に加え、必要に応じてその他の成分を含むことができる。その他の成分の例としては、分散剤、可塑剤等が挙げられる。分散剤としては例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名:DISPERBYKシリーズ(「DISPERBYK」は、登録商標。)、味の素ファインテクノ株式会社製、商品名:アジスパーシリーズ(「アジスパー」は、登録商標。)、楠本化成株式会社製、商品名:HIPLAADシリーズ(「HIPLAAD」は、登録商標。)、及び花王株式会社製、商品名:ホモゲノールシリーズ(「ホモゲノール」は、登録商標。)が挙げられる。これらの分散剤は1種類単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。

<シート状組成物>
本発明の硬化物の形状は特に限定されないが、本発明の硬化物の形状はシート状であることが好ましい。本発明においてシート状組成物とは、本発明の硬化物を得るために用いる組成物をシート状の形態としたものである。シート状組成物は、例えば、本発明の硬化物を得るために用いる組成物を支持体上に塗布し、必要に応じて含まれる溶剤の少なくとも一部を除去することで製造することができる。シート状組成物は、本発明の硬化物を得るために用いる組成物から形成されることで、このシート状組成物を硬化物とした場合に、熱伝導性及び電気絶縁性に優れた、形状がシート状の硬化物とすることができる。
シート状組成物の厚さは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、厚さを50μm〜500μmとすることができ、熱伝導率、電気絶縁性、及び柔軟性の観点から、80μm〜300μmであることが好ましい。
シート状組成物は、例えば、本発明の硬化物を得るために用いる組成物に、トリエチレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン等の有機溶剤を添加して調製した組成物の塗料(以下、「組成物塗料」ともいう)を支持体上に塗布して塗布層(組成物層)を形成した後、塗布層から有機溶剤の少なくとも一部を除去して乾燥して製造することができる。支持体の例としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等の離型フィルムが挙げられる。
組成物塗料の塗布は、公知の方法により実施することができる。具体的には、コンマコート、ダイコート、リップコート、グラビアコート等の方法により行うことができる。所定の厚さの組成物層を形成する方法としては、ギャップ間に被塗工物を通過させるコンマコート法、ノズルから流量を調節した組成物塗料を塗布するダイコート法等が挙げられる。例えば、乾燥前の塗布層(組成物層)の厚さが50μm〜500μmである場合は、コンマコート法を用いることが好ましい。
乾燥方法は、組成物塗料に含まれる有機溶剤の少なくとも一部を除去できれば特に制限されず、通常用いられる乾燥方法から、組成物塗料に含まれる有機溶剤に応じて適宜選択することができる。一般的には、80℃〜150℃程度で加熱処理する方法を挙げることができる。
シート状組成物(組成物層)が硬化性樹脂を含む場合、シート状組成物(組成物層)は、硬化反応が全く進んでいない状態から、硬化反応が一部進行した状態を意味する。このため、特に効果反応が全く進んでいない状態のシート状組成物は、柔軟性を有するものの、シートとしての強度が乏しい。従って、PETフィルム等の支持体を除去した状態ではシート自立性に乏しく、取り扱いが難しい場合がある。
そこで、取り扱い性を高める観点からは、シート状組成物は、これを構成する組成物層を半硬化処理したものであることが好ましい。すなわち、シート状組成物は、組成物層が半硬化状態(Bステージ状態)になるまで、更に加熱処理されてなるBステージシートである半硬化組成物であることが好ましい。組成物層を半硬化処理することで、熱伝導性及び電気絶縁性に優れ、Bステージシートとしての自立性及び可使時間に優れる樹脂シートを得ることができる。
シート状組成物を加熱処理する条件は、組成物層をBステージ状態にすることができれば特に制限されない。前記条件は、組成物の構成に応じて適宜選択することができる。加熱処理は、組成物塗料を塗工する際に生じた組成物層中の空隙(ボイド)を減らすため、熱真空プレス、熱ロールラミネート等から選択される方法により行うことが好ましい。これにより、表面が平坦なBステージシートを効率良く製造することができる。
具体的には、例えば、減圧下(例えば、1kPa)、温度100℃〜200℃で1分間〜3分間、1MPa〜20MPaのプレス圧力で加熱及び加圧処理することで、組成物層をBステージ状態にまで半硬化させることができる。
なお、組成物を支持体上に塗布し、乾燥した状態のシート状組成物を2枚貼り合わせた後で、上記加熱及び加圧処理を行ってBステージ状態にまで半硬化させることが好ましい。このとき、組成物層の塗布面(組成物層が支持体と接していない面)同士を貼り合わせることが望ましい。組成物層同士が接するように貼り合わせると、得られるBステージ状態のシート状組成物の両面(すなわち、支持体を剥離したときに現れる表面)がより平坦となり、被着材との接着性が良好となる。このようなシート状組成物を用いて作製した後述の放熱部品、電子部品は、高い熱伝導率性を発揮する。
Bステージシートの厚さは、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、50μm〜500μmとすることができ、熱伝導性、電気絶縁性、及び柔軟性の観点から、80μm〜300μmであることが好ましい。また、2層以上の樹脂シートを積層しながら、熱プレスすることにより作製することもできる。
Bステージシートにおける揮発成分の残存率は、組成物層を硬化させる際のアウトガス発生による気泡形成を抑える観点から、2.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましく、0.8質量%以下であることが更に好ましい。溶剤残存率は、Bステージシートを40mm×40mmに切って得た試料を190℃に予熱した恒温槽中で2時間乾燥させ、乾燥前後の質量変化から求める。

<硬化物>
本発明の硬化物は、本発明の組成物からなる硬化物である。そのため本発明の硬化物は、前述のシート状組成物からなる硬化物であってもよい。
そして本発明の硬化物は、25℃での熱伝導率が0.3〜10W/mKであり、−70℃での弾性率が0.01〜100MPaである。硬化物の25℃での熱伝導率は、より好ましくは0.3〜8W/mKであり、さらに好ましくは0.3〜5W/mKである。本発明の硬化物の−70℃での弾性率は、より好ましくは0.1〜90MPaであり、さらに好ましくは1〜85MPaである。
本発明の硬化物の25℃での熱伝導率を0.3〜10W/mKとするためには、組成物中の樹脂を適宜選択すること、特に樹脂としてポリイミド樹脂を選択し、その重量平均分子量を制御する方法、組成物中のフィラーを適宜選択すること、特に熱伝導率が1W/mK以上のフィラーとして(A)及び(B)を組み合わせて含むようにしたり、(A)や(B)のアスペクト比や最大長さの平均値を制御したり、(A)と(B)の体積比率を制御したり、(A)の組成を適切に選択する方法、などがあげられる。
本発明の硬化物の−70℃での弾性率を0.01〜100MPaとするためには、組成物中の樹脂を適宜選択すること、特に樹脂としてウレタン樹脂、シリコーン樹脂、及びアクリル樹脂からなる群より選択する方法、組成物中のフィラーを適宜選択すること、特に(A)と(B)の体積比率を制御する方法、などがあげられる。
また本発明の硬化物は、絶縁耐圧が5kV/mm以上であることが好ましい。硬化物の絶縁耐圧は、10kV/mm以上であること好ましく、20kV/mm以上であるがであることがより好ましい。また絶縁耐圧の上限に特に制限はないが、現実的な上限は200kV/mm程度である。
本発明の硬化物の絶縁耐圧を5kV/mm以上とするためには、前述のとおり組成物中のフィラーを適宜選択すること、特に(A)と(B)の体積比率を制御したり、(A)や(B)の組成を適切に選択する方法、などがあげられる。

硬化物は、未硬化状態の組成物、又はシート状組成物、又はBステージの組成物、又はBステージのシート状組成物を硬化処理することで製造することができる。硬化処理の方法は、組成物の構成、組成物の目的等に応じて適宜選択することができるが、加熱及び加圧処理であることが好ましい。

例えば、未硬化状態のシート状組成物又はBステージシートを80℃〜250℃で1時間〜10時間、好ましくは100℃〜200℃で1時間〜8時間加熱することで硬化性樹脂を含む組成物から形成されるシート状組成物の硬化物が得られる。加熱処理は、1KPa〜1MPaの圧力をかけながら行うことが好ましい。
上記方法により得られる硬化性樹脂を含む組成物層を有するシート状組成物は、高熱伝導性と自立性を有する。硬化性樹脂を含む組成物層を有するシート状組成物を製造する方法の一例としては、以下の方法が挙げられる。まず、両面にPETフィルムが付いたBステージシートを温度80℃〜200℃で1時間〜8時間加熱する。その後、シート状組成物のPETフィルムを除去し、硬化組成物層を有するシート状組成物を得る。

<多層シート>
本発明の多層シートは、本発明の硬化物、並びに、接着層を有するシートである。そのため本発明の多層シートは、接着層、並びに、硬化物を含む、2層以上のシートである。そして本発明の多層シートは、硬化物の片面、または両面の少なくとも一部に接着層を有することが好ましい。ここで多層シート中の接着層は、直接、本発明の硬化物に接していても良く、硬化物と接着層の間に金属層などの層があっても良い。
接着層の種類、素材は特に限定されないが、接着層は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリアミドイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、接着力の観点から、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
多層シートの作製方法は特に制限されず、例えば、熱真空プレス、熱ロールラミネート等から選択される方法により行うことができる。

<放熱部品>
本発明の放熱部品は、硬化物、又は本発明の多層シートを含む、放熱用途に用いられる部品である。本発明の放熱部品は、使用する部材により制限はうけない。本発明の放熱部品は、例えば、発熱体と、本発明の硬化物、並びに、冷却体が、この順に積層されてなる。この順であれば、間に熱拡散層(例えばヒートスプレッダ―)などを含んでも良い。
放熱部品中の発熱体としては、表面温度が200℃を超えないものであってもよい。発熱体の表面温度が200℃以下であると、本実施形態の複合熱伝導シートの柔軟性が急激に低下することが抑えられ、放熱特性の低下が抑制される傾向にある。本実施形態の複合熱伝導シートは、例えば、−20℃〜150℃の範囲で使用することができる。このため、好適な発熱体の例としては、半導体パッケージ、ディスプレイ、LED(発光ダイオード)、電灯等が挙げられる。
放熱部品中の冷却体としては、特に限定されず、放熱システムに適用される代表的なものであってよい。放熱体としては、アルミニウム製又は銅製のフィン、板等を利用したヒートシンク、ヒートパイプに接続されているアルミニウム製又は銅製のブロック、内部に冷却液体をポンプで循環させているアルミニウム製又は銅製のブロックなどが挙げられる。

<電子部品>
本発明の電子部品は、本発明の硬化物、又は本発明の多層シートを含む、電子用途に用いられる部品である。そのため、前記本発明の硬化物は、例えば半導体集積回路接続用基板に適用することができる。
半導体集積回路接続用基板は、シリコン等の半導体基板上に素子が形成された後、切り分けられた半導体集積回路(ベアチップ)を接続するものであり、(A)絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層、(B)導体パターンが形成されていない層および(C)接着剤層をそれぞれ1層以上有するものであれば、形状、材料および製造方法は特に限定されない。したがって、最も基本的なものは、A/C/Bの構成であるが、A/C/B/C/B等の多層構造もこれに含まれる。
(A)絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層は、半導体素子の電極パッドとパッケージの外部(プリント基板等)を接続するための導体パターンを有する層であり、絶縁体層の片面または両面に導体パターンが形成されているものである。
ここでいう絶縁体層は、ポリイミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、アラミド、ポリカーボネート、ポリアリレート等のプラスチックあるいはエポキシ樹脂含浸ガラスクロス等の複合材料からなる、厚さ10〜125μmの可撓性を有する絶縁性フィルム、あるいはアルミナ、ジルコニア、ソーダガラス、石英ガラス等のセラミック基板が好適であり、これらから選ばれる複数の層を積層して用いてもよい。また、必要に応じて、絶縁体層に加水分解、コロナ放電、低温プラズマ、物理的粗面化、易接着コーティング処理等の表面処理を施すことができる。
導体パターンの形成は、一般にサブトラクティブ法あるいはアディティブ法のいずれかで行われるが、いずれを用いてもよい。
サブトラクティブ法では、絶縁体層に銅箔等の金属板を絶縁性接着剤で接着するか、あるいは金属板に絶縁体層の前駆体を積層し、加熱処理等により絶縁体層を形成する方法で作製した材料を、薬剤処理でエッチングすることによりパターン形成する。材料の具体例としては、リジッドあるいはフレキシブルプリント基板用銅張り材料やTABテープ等が挙げられる。中でも、少なくとも1層以上のポリイミドフィルムを絶縁体層とし、銅箔を導体パターンとするフレキシブルプリント基板用銅張り材料やTABテープが好ましく用いられる。
アディティブ法では、絶縁体層に無電解メッキ、電解メッキ、スパッタリング等により直接導体パターンを形成する。いずれの場合も、形成された導体に腐食防止のため耐食性の高い金属がメッキされていてもよい。また、配線基板層には必要に応じてビアホールが形成され、両面に形成された導体パターンがメッキにより接続されていてもよい。
(B)導体パターンが形成されていない層は、実質的に(A)絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層または(C)接着剤層とは独立した均一な層であり、半導体集積回路接続用基板の補強および寸法安定化(補強板あるいはスティフナーと称される)、外部とICの電磁的なシールド、ICの放熱(ヒートスプレッター、ヒートシンクと称される)、半導体集積回路接続基板への難燃性の付与、半導体集積回路接続用基板の形状的による識別性の付与等の機能を担持するものである。したがって、形状は層状だけでなく、たとえば放熱用としてはフィン構造を有するものでもよい。上記の機能を有するものであれば絶縁体、導電体のいずれであってもよく、材料も特に限定されない。金属としては、銅、鉄、アルミニウム、金、銀、ニッケル、チタン、ステンレス等、無機材料としてはアルミナ、ジルコニア、ソーダガラス、石英ガラス、カーボン等、有機材料としてはポリイミド系、ポリアミド系、ポリエステル系、ビニル系、フェノール系、エポキシ系等のポリマー材料が挙げられる。また、これらの組み合わせによる複合材料も使用できる。例えば、ポリイミドフィルム上に薄い金属メッキをした形状のもの、ポリマーにカーボンを練り込んで導電性をもたせたもの、金属板に有機絶縁性ポリマーをコーティングしたもの等が挙げられる。また、上記(A)配線基板層に含まれる絶縁体層と同様に種々の表面処理を行うことは制限されない。
(C)接着剤層は、シート状組成物の保護フィルム層を剥離したものであり、一方の接着剤層面は(B)導体パターンが形成されていない層と、他面の接着剤層面は(A)絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層と加熱ラミネートを行った後に(C)接着剤層の加熱硬化を行い、半導体接続用基板が得られる。また必要に応じて加熱プレス機等で加圧しながら(C)接着剤層の加熱硬化することもできる。
半導体集積回路接続用基板とICの接続方法は、TAB方式のギャングボンディングおよびシングルポイントボンディング、リードフレームに用いられるワイヤーボンディング、フリップチップ実装での樹脂封止、異方性導電フィルム接続等のいずれでもよい。また、CSPと称されるパッケージも本発明の電子部品に含まれる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。まず、実施例1〜8および比較例1〜5で行った評価方法について述べる。
<評価用サンプルの作成>
後述する実施例及び比較例で作成したシート状組成物について、50mm角に切り出し、さらに50μm厚の接着剤層を有する接着剤シートの一方の保護フィルムを剥がし、120℃、0.4MPaの条件で接着剤層同士をラミネートし、積層した。これを繰り返し、厚さが200μmの接着剤層を形成後、180℃、3時間の加熱硬化を行い、評価用硬化物サンプル得た。

(1)熱伝導率:
上記評価用硬化物サンプルを10mm角に切り出したものを熱伝導率評価用硬化物サンプルとした。
熱伝導率評価用硬化物サンプルをグラファイトスプレーにて黒化処理した後、キセノンフラッシュ法(NETZSCH社製の商品名:LFA447 nanoflash)にて熱拡散率を評価した。この値と、アルキメデス法で測定した評価用硬化物サンプルの密度と、DSC(示差走査熱量測定装置;Perkin Elmer社製の商品名:DSC Pyris1)にて求めた評価用硬化物サンプルの比熱の積から、硬化物の厚さ方向の熱伝導率を求めた。結果を表1に示す。
比熱は、評価用硬化物サンプル10.0mgをアルミパンに入れ、室温から10℃/分の昇温温度で200℃まで昇温し、200℃に達してから5分間保持した後に、10℃/分で降温した。同様に、基準物質としてサファイア26.8mgをアルミパンに入れ、同条件で測定した。さらに、ブランクとしてサンプルを入れていない空のアルミパンを同条件で測定した。それぞれのDSC曲線の25℃におけるHeat Flowの値を読み取り、下記式1により比熱容量を算出した。
Cpは評価用硬化物サンプルの比熱、C’pは25℃における基準物質(サファイア)比熱、hは空容器と評価用硬化物サンプルのDSC曲線の差、Hは空容器と基準物質(サファイア)のDSC曲線の差、mは評価用硬化物サンプル質量(g)、m’は基準物質(サファイア)質量(g)を表す。 Cp=(h/H)×(m’/m)×C’p・・・式1
測定した、熱拡散率、密度、比熱の積から、熱伝導率評価用硬化物サンプルの厚さ方向の熱伝導率を求めた。結果を表に示す。

(2)−70℃弾性率:
上記評価用硬化物サンプルを5mm×20mm角に切り出したものを−70℃弾性率評価用硬化物サンプルとした。
アイティー計測制御(株)製の動的粘弾性測定装置DVA−200で−70℃弾性率評価用サンプルの弾性率を測定した。測定条件は、昇温速度を5℃/分、測定周波数を1Hzで測定し、−130℃〜150℃までの範囲で各温度での貯蔵弾性率を測定し、−70℃の貯蔵弾性率の値を−70℃弾性率とした。

(3)絶縁性:
上記評価用硬化物サンプルを30mm×30mm角に切り出したものを絶縁性評価用硬化物サンプルとした。
絶縁性評価用硬化物サンプルの一方の面にアルミ箔を、他面にφ25mmの電極を置き、AC昇圧速度0.5kV/秒にて室温にて交流耐電圧測定装置を用いて、絶縁耐圧を測定した。
得られた絶縁耐圧を、絶縁性評価用硬化物サンプルの厚さにて除して得られた値を、以下の基準で評価した。
5kV/mm以上:〇
5kV/mm未満:×

(4)アスペクト比、最大長さの平均値
アスペクト比は、配合前のフィラー(つまり、原料状態のフィラー)を走査型電子顕微鏡(例えば、株式会社日立製作所製、商品名:FE−SEM S4700)を用いて、50個の粒子を観察し、最大長さの平均値及び最小長さの平均値を求め、得られた値より、(最大長さの平均値)÷(最小長さの平均値)により算出した。
なお、原料として複数のフィラーを使用する場合は、各原料であるフィラーについて測定する。
(5)平均粒径(D50)
フィラーの平均粒径(D50)は、配合前のフィラー(つまり、原料状態のフィラー)について、レーザー回折法を用いて測定され、重量累積粒度分布曲線を小粒径側から描いた場合に、重量累積が50%となる粒子径に対応する値とする。レーザー回折法を用いた粒度分布測定は、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(例えば、ベックマン・コールター株式会社製、LS230)を用いて、重量累積が50%となる粒子径を算出して、それを平均粒径(D50)とした。
なお、原料として複数のフィラーを使用する場合は、各原料であるフィラーについて測定する。

(6)合成したポリイミド樹脂のイミド化率
まず、ポリマーの赤外吸収スペクトルを測定し、ポリイミド樹脂に起因するイミド構造の吸収ピーク(1780cm−1付近、1377cm−1付近)の存在を確認した。次に、そのポリマーについて、350℃で1時間熱処理した後、再度、赤外吸収スペクトルを測定し、熱処理前と熱処理後の1377cm−1付近のピーク強度を比較した。熱処理後のポリマー樹脂のイミド化率を100%として、熱処理前のポリマーのイミド化率を求めた。

実施例に使用した各原材料は次の通りである。
<樹脂>
・ポリイミド(1)
<ポリイミド(1)合成>
500mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、窒素導入管および滴下ロートを設置して、窒素雰囲気下、トリエチレングリコールジメチルエーテル132.70g、X-22-168A(信越化学(株)製)121.00gを仕込み、60℃で撹拌溶解させた。その後、120℃で撹拌しながらBAHF:2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(東京化成工業(株)製) 2.01g、X−22−161A(信越化学(株)製)76.23gを添加して1時間撹拌した。その後200℃まで昇温させて3時間撹拌した後、室温まで冷却してポリイミド(1)(固形分濃度60.0重量%)を得た。固形分の重量平均分子量を測定した結果、32,850であり、イミド化率を測定した結果、99%であった。
・YX7400:2官能直鎖エポキシ樹脂 (三菱ケミカル(株)製)
<硬化剤>
・X−22−161A:ジアミノポリシロキサン(信越化学(株)製)
<フィラー (A)>
・AA3:アルミナ粒子(平均粒径D50:3μm、熱伝導率:30W/mK)(住友化学(株)製)
・FAN−f05:窒化アルミニウム粒子(平均粒径D50:5μm、熱伝導率:170W/mK)(古河電子(株)製)
<フィラー (B)>
・AlNウィスカー(最大長さの平均値:15μm、熱伝導率:170W/mK)((株)U-MAP製)
・ACP:グラファイト(最大長さの平均値:20μm、熱伝導率:1500W/mK)(日本黒鉛(株)製)
・UHP-2:窒化ホウ素(最大長さの平均値:11μm、熱伝導率:170W/mK)(昭和電工(株)製)
<その他のフィラー>
・セラシュールBMF:板状アルミナ(最大長さの平均値:5μm、熱伝導率:20W/mK)(河合石灰工業(株)製)

<実施例1〜8、比較例1〜5>
実施例1〜8及び比較例1〜5は、表に示した組成となるように配合し、固形分濃度74重量%となるようにトリエチレングリコールジメチルエーテルを添加し、自公転ミキサー(シンキ―(株)製)にて1800rpmにて10分攪拌し、組成物溶液を作製した。
組成物溶液をバーコータで、シリコーン離型剤付きの厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(藤森工業(株)製“フィルムバイナ”GT)に80μmの乾燥厚さとなるように塗布した(以下、組成物塗膜という)。120℃で30分間乾燥し、保護フィルムを120℃、0.4MPaで貼り合わせて、シート状組成物を作製した。次いで各種評価を実施した結果を表に示す。

表より、実施例1〜4と比較例1〜3は、フィラー体積率が一定で、フィラー(B)の体積比率を変化させている。フィラー(B)が0である比較例1と実施例1〜4と比較例1〜2を比較すると、熱伝導率の向上が確認できた。一方で、フィラー(B)の割合が50%以上となる比較例2及び比較例3は弾性率の顕著な増加が見られるが、実施例1〜4では弾性率の上昇は見られなかった。
比較例1及び比較例4と実施例3より、最大長さの平均値が5であるフィラー(B)を用いた比較例4と比較例1は同等の熱伝導率であり、最大長さの平均値が15であるフィラー(B)を用いた実施例3の熱伝導率よりも低くなった。
比較例5と実施例7より、フィラー体積率に関わらず、実施例1〜4と比較例1〜3で見られたように、弾性率の増大を抑えつつ高熱伝導化できる。
実施例5より、フィラー(A)の材質、実施例6及び実施例8より、フィラー(B)の材質に関わらず、弾性率の増大を抑えつつ高熱伝導化できる。
Figure 2021091784
Figure 2021091784
但し、比較例4において、「フィラー(B)のアスペクト比」欄の数値は、その他のフィラーのアスペクト比を意味し、「フィラー(B)の最大長さの平均値」欄の数値は、その他のフィラーの最大長さの平均値を意味し、「(A)と(B)の体積比率((A):(B))」欄の数値は、(A)とその他のフィラーの体積比率を意味する。

Claims (12)

  1. 組成物からなる硬化物であって、
    前記組成物は、樹脂又は樹脂前駆体、並びに、熱伝導率が1W/mK以上のフィラーを含み、
    前記組成物中の前記フィラーは、アスペクト比(最大長さの平均値/最小長さの平均値)が1.0〜1.9のフィラー(以下、アスペクト比が1.0〜1.9のフィラーを、(A)と記す)、及び、アスペクト比が2以上、最大長さの平均値が10.5〜200.0μmのフィラー(以下、アスペクト比が2以上、最大長さの平均値が10.5〜200.0μmのフィラーを、(B)と記す)を含み、
    前記組成物中の(A)と(B)の体積比率が、(A):(B)=95:5〜55:45であり、(A)と(B)の体積比率の合計である総体積率が、15体積%〜80体積%であり、
    前記硬化物の25℃での熱伝導率が0.3〜10W/mKであり、前記硬化物の−70℃での弾性率が0.01〜100MPaである、硬化物。
  2. 絶縁耐圧が5kV/mm以上である、請求項1に記載の硬化物。
  3. 前記組成物がシランカップリング剤を含む、請求項1又は2に記載の硬化物。
  4. 前記フィラーは、アルミナ、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベーマイト、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、セルロースナノファイバー、及びカーボンファイバーからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の硬化物。
  5. 前記(A)は、アルミナ、シリカ、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、及びベーマイトからなる群より選拓される少なくとも1種であり、
    前記(B)は、窒化アルミニウムである、請求項1〜4のいずれかに記載の硬化物。
  6. 前記(A)の平均粒径D50は、1.0μm〜100.0μmである、請求項1〜5のいずれかに記載の硬化物。
  7. 前記樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、及びポリアミドイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれかに記載の硬化物。
  8. 前記樹脂は、下記一般式(1)で表される構造を有するジアミン残基を、全ジアミン残基100モル%中60モル%以上含有するポリイミド樹脂を少なくとも含む、請求項1〜7のいずれかに記載の硬化物。
    Figure 2021091784
    (一般式(1)中、mは10以上の整数を示す。RおよびRは同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜30のアルキレン基またはアリーレン基を示す。アリーレン基は置換基を有していてもよく、置換基は炭素数1〜30のアルキル基を示す。R〜Rはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜30のアルキル基、フェニル基またはフェノキシ基を示す。)
  9. 形状がシート状である、請求項1〜8のいずれかに記載の硬化物。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の硬化物、並びに、接着層を有する多層シート。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載の硬化物、又は請求項10に記載の多層シートを含む、放熱部品。
  12. 請求項1〜9のいずれかに記載の硬化物、又は請求項10に記載の多層シートを含む、電子部品。
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