JP2018030942A - 熱伝導シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚さ方向に優れた熱伝導性を有する熱伝導シートを、高い生産性かつ低コストで製造できる熱伝導シートの製造方法を提供する。【解決手段】窒化ホウ素粒子と、樹脂と、を含む樹脂組成物を調製する工程と、前記樹脂組成物をシート化する工程と、を有し、前記窒化ホウ素粒子の幅方向の最長径(r)と、前記窒化ホウ素粒子の幅方向に対して垂直となる方向の最長径(R)との関係が、下記式(1)で表される、熱伝導シートの製造方法。0.3r<R (1)【選択図】図1

Description

本発明は、熱伝導シートの製造方法に関する。
近年、電気機器あるいは電子機器の回路の高速・高集積化、及び発熱性電子部品のプリント配線板への実装密度の増加に伴って、電子機器内部の発熱密度は年々増加している。そのため、電子部品などにて発生する熱を効率よく放散させる高い熱伝導率と電気絶縁性を有する部材が求められている。
窒化ホウ素粒子は、絶縁性のセラミックであり、合成が比較的容易でかつ熱伝導性、固体潤滑性、化学的安定性、耐熱性に優れるという特徴を有することから、熱伝導性絶縁シート、高柔軟性熱伝導性ゴム、放熱性グリース、放熱性シーラント、半導体封止樹脂等の充填剤の用途、あるいは、溶融金属や溶融ガラス成形型の離型剤、固体潤滑剤、化粧品原料等の多くの用途に利用されている。
近年、高性能な電子機器においては、高集積化、高速化、小型化及び軽量化に伴い、各種電子部品等にて発生する発熱量が増大しており、従来にも増してより一層高い熱伝導性を有する熱伝導シートが要望されている。そのため、熱伝導性及び電気絶縁性に優れる窒化ホウ素を、熱伝導性充填剤として樹脂材料中に分散配合した種々の熱伝導シートの製造方法が提案されている。
窒化ホウ素粒子は、六方晶の結晶形に由来して概して鱗片状を成しており、その熱伝導性に方向異方性があることが知られている。通常の鱗片状の窒化ホウ素粒子は、その面方向(a軸方向)には高い熱伝導性を示すものの(通常、熱伝導率として250W/mK程度)、厚み方向(c軸方向)には十分な熱伝導性が得られない(通常、熱伝導率として2〜3W/mK程度)。これを樹脂に配合して組成物の塗布液として基板表面に塗布して塗膜を形成し、これを乾燥させ半硬化し、更にプレス成形を行って硬化させると、窒化ホウ素粒子が塗膜の膜面方向に配向することとなり、形成された層間充填層は、層面方向には熱伝導率に優れるものの、厚み方向には低い熱伝導率しか示さないという問題がある。
従来、このような窒化ホウ素粒子の熱異方性を改良するため、窒化ホウ素一次粒子をランダムに集合した窒化ホウ素粒子凝集体及びその製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献2では、窒化ホウ素一次粒子を放射状に集合した窒化ホウ素粒子凝集体が提案されている。
さらに、特許文献3ではビニル基を有するシランカップリング剤を付加した窒化ホウ素一次粒子をランダムに配向で集合した化ホウ素粒子凝集体が提案されている。
特許文献4には鱗片状粒子を内側まで十分に配向させる目的で、鱗片状粒子を含有するマトリックス組成物を小さな断面積で棒状に押し出し、成形された棒状体を複数本集結させ、再度成形、硬化させた後にスライスし、シート化させることで熱伝導シートを得る方法が提案されている。
特許文献5には磁場により窒化ホウ素粉末を一定方向に配向させる方法が提案されている。
特開平9−202663号公報 特開2015−6980号公報 特開2012−56818号公報 特開2000−108220号公報 特開2002−69392号公報
特許文献1〜3に記載の方法により得られる窒化ホウ素凝集粒子は、ランダムに凝集しているため、樹脂との混錬やプレス成形によってその構造が崩壊し、シートとした際、面方向に比べて厚み方向の熱伝導性が劣る問題が生じる。
さらに、特許文献4に記載の方法では、半硬化シートを半導体とプレス成形で製造する工程に用いるのは困難である。
さらにまた、特許文献5に記載の方法では、特殊な設備を必要とするため、生産性やコスト面で不利である。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、厚さ方向に優れた熱伝導性を有する熱伝導シートを、高い生産性かつ低コストで製造できる熱伝導シートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、所定の構造を有する窒化ホウ素粒子と樹脂とを含む熱伝導シートを製造する際、プレス成形を行うことにより、上記課題が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下のとおりである。
<1>
窒化ホウ素粒子と、樹脂と、を含む樹脂組成物を調製する工程と、
前記樹脂組成物をシート化する工程と、
を有し、
前記窒化ホウ素粒子の幅方向の最長径(r)と、前記窒化ホウ素粒子の幅方向に対して垂直となる方向の最長径(R)との関係が、下記式(1)で表される、熱伝導シートの製造方法。
0.3r<R (1)
<2>
前記シート化する工程が、溶融押出法、溶液流涎法、圧延法、延伸法、コーティング法、バーコーター法、ドクターブレード法、プレス成形法、カレンダー加工法及び射出成型法からなる群より選択される少なくとも1つにより行われる、<1>に記載の熱伝導シートの製造方法。
<3>
前記シート化工程の後に行われるプレス成形工程をさらに含む、<1>又は<2>に記載の熱伝導シートの製造方法。
<4>
前記窒化ホウ素粒子が、六方晶窒化ホウ素一次粒子の(0001)面同士が重なってなる窒化ホウ素粒子凝集体を含む、<1>〜<3>のいずれか一項に記載の熱伝導シートの製造方法。
<5>
前記窒化ホウ素粒子凝集体が柱状の形状を有する、<4>に記載の熱伝導シートの製造方法。
<6>
熱伝導シートのX線回折の<100>面に対する<002>面のピーク強度比(<002>/<100>)が30以下である、<1>〜<5>のいずれか一項に記載の熱伝導シートの製造方法。
<7>
前記プレス成形工程において、真空プレス成形を行う、<3>〜<6>のいずれか一項に記載の熱伝導シートの製造方法。
<8>
前記真空プレス成形の圧力が、0.1〜1000MPaである、<7>に記載の熱伝導シートの製造方法。
<9>
前記プレス成形工程におけるプレス温度が、50〜400℃である、<3>〜<8>のいずれか一項に記載の熱伝導シートの製造方法。
本発明によれば、厚さ方向の熱伝導性に優れる熱伝導シートを、高い生産性かつ低コストで製造できる。
図1は、本実施形態におけるR及びrを説明するための説明図である。 図2(a)は、実施例1において得られた窒化ホウ素粒子凝集体の倍率120000倍のSEM像である。図2(b)は、当該窒化ホウ素粒子凝集体の倍率50000倍のSEM像である。 図3(a)は、六方晶窒化ホウ素一次粒子が凝集していない、すなわち、従来の六方晶窒化ホウ素一次粒子の倍率25000倍のSEM像である。図3(b)は、六方晶窒化ホウ素一次粒子が凝集していない六方晶窒化ホウ素一次粒子のSEM像において、端面側が観測された部分を示すものである。 図4は、ランダムに凝集している従来の窒化ホウ素粒子凝集体の倍率1000倍のSEM像である。 図5は、図2(a)において観察された窒化ホウ素粒子凝集体のスケールを示すための図である。 図6は、図2(b)において観察された3つの窒化ホウ素粒子凝集体のスケールを示すための図である。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について説明する。なお、本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
本実施形態に係る熱伝導シートの製造方法は、窒化ホウ素粒子と、樹脂と、を含む樹脂組成物を調製する工程と、前記樹脂組成物をシート化する工程と、を有し、前記窒化ホウ素粒子の幅方向の最長径(r)と、前記窒化ホウ素粒子の幅方向に対して垂直となる方向の最長径(R)との関係が、下記式(1)で表される。
0.3r<R (1)
上記のように構成されているため、本実施形態に係る熱伝導シートの製造方法によれば、厚さ方向の熱伝導性に優れる熱伝導シートを、高い生産性かつ低コストで製造できる。
(窒化ホウ素粒子)
本実施形態において、窒化ホウ素粒子の幅方向の最長径(r)と、前記窒化ホウ素粒子の幅方向に対して垂直となる方向の最長径(R)との関係は、上記のとおり式(1)で表される。本実施形態における窒化ホウ素粒子は、式(1)の関係を満たすものであれば特に限定されず、1個の六方晶窒化ホウ素一次粒子から構成されるもの(以下、「窒化ホウ素一次粒子」ともいう。)であってもよいし、2個以上の六方晶窒化ホウ素一次粒子から構成される凝集体(以下、「窒化ホウ素二次粒子」ともいう。)であってもよい。また、窒化ホウ素粒子の形状についても、式(1)を満たすものであれば特に限定されず、柱状、偏平状、顆粒状、塊状、球状、繊維状等の様々な形状をとりうる。
本実施形態において、「窒化ホウ素粒子の幅方向」とは、六方晶窒化ホウ素一次粒子の(0001)面の面方向(a軸方向)に略平行となる方向であり、窒化ホウ素粒子が窒化ホウ素一次粒子である場合、六方晶窒化ホウ素一次粒子の(0001)面の最長径ということもできる。また、「窒化ホウ素粒子の幅方向に対して垂直となる方向」とは、六方晶窒化ホウ素一次粒子のc軸方向に略平行となる方向であり、窒化ホウ素粒子が窒化ホウ素二次粒子である場合、六方晶窒化ホウ素一次粒子の積層方向の最長径ということもできる。
本実施形態における窒化ホウ素粒子が式(1)を満たすことは、走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、容易に確認することができる。具体例としては、以下に限定されないが、撮影されたSEM画像において、窒化ホウ素粒子を長方形に近似し、Rに相当する辺の長さ及びrに相当する辺の長さを計測する等が挙げられる。
本実施形態において、略平行とは、平行方向から±10°以内の状態をいうものとし、略垂直とは、垂直方向から±10°以内の状態をいうものとする。
R及びrについて、図1を参照して具体的に説明する。図1(a)に示された六方晶窒化ホウ素一次粒子は、その典型例として、二次元的に長方形として示したものである。図1(a)の「0.3r<Rを満たす例」として示した六方晶窒化ホウ素一次粒子において、長辺側(r)が(0001)面に対応しており、短辺側(R)が端面に対応している。一方、図1(a)の「r<Rを満たす例」として示した六方晶窒化ホウ素一次粒子において、短辺側(r)が(0001)面に対応しており、長辺側(R)が端面に対応している。
また、図1(b)の「0.3r<Rを満たす例」として示した窒化ホウ素粒子凝集体において、長辺側(r)が(0001)面に対応しており、短辺側(R)が端面に対応している。一方、図1(b)の「r<Rを満たす例」として示した窒化ホウ素粒子凝集体において、短辺側(r)が(0001)面に対応しており、長辺側(R)が端面に対応している。
本実施形態において、熱伝導シートとした際、窒化ホウ素一次粒子のa軸方向が当該熱伝導シートの厚み方向と一致する可能性(以下、単に「配向性」ともいう。)を高める観点から、窒化ホウ素粒子の幅方向の最長径(r)と、前記窒化ホウ素粒子の幅方向に対して垂直となる方向の最長径(R)との関係が、さらに式(2)を満たすものである、すなわち、窒化ホウ素粒子の幅方向に対して垂直となる方向の最長径が窒化ホウ素粒子の幅方向の最長径より大きいことが好ましい。
r<R (2)
本実施形態における六方晶窒化ホウ素一次粒子自体の粒子形状としては、窒化ホウ素粒子として式(1)を満たすものであれば、特に限定されない。例えば、柱状、鱗片状、偏平状、顆粒状、球状、繊維状、ウィスカー状などが挙げられる。本実施形態において、窒化ホウ素二次粒子を構成する窒化ホウ素一次粒子の形状としては、鱗片状が好ましい。また、窒化ホウ素粒子が1個の窒化ホウ素一次粒子から構成される場合、窒化ホウ素一次粒子の形状は球状又は柱状が好ましく、より好ましくは柱状である。窒化ホウ素一次粒子が柱状の形状を有することは、上述したSEM観察により容易に確認することができる。
上記六方晶窒化ホウ素一次粒子の平均粒径としては、特に限定されないが、メディアン径として0.1〜50μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましく、0.1〜1μmが特に好ましい。平均粒径が上記範囲内であることにより、六方晶窒化ホウ素一次粒子の(0001)面同士が重なって凝集しやすく、その結果、配向性が高まる傾向にあるため好ましい。
ここで、六方晶窒化ホウ素一次粒子の平均粒径は、例えば、湿式レーザー回折・散乱法により測定することができる。
六方晶窒化ホウ素一次粒子の凝集形態としては、特に限定されるものではないが、自然凝集、凝集剤による凝集、物理的凝集などが挙げられる。自然凝集としては、以下に限定されないが、例えば、ファンデルワールス力、静電気力、吸着水分等に起因する凝集が挙げられる。凝集剤による凝集としては、以下に限定されないが、例えば、カップリング剤、無機塩、高分子物質等の凝集剤による凝集が挙げられる。例えば、カップリング剤を凝集剤として使用する場合、六方晶窒化ホウ素一次粒子の表面状態を表面エネルギーが高い状態、即ち凝集しやすい状態に変化させて凝集するのが好ましい。物理的凝集としては、混合造粒、押出造粒、噴霧乾燥などの操作により凝集する方法が挙げられる。中でも、凝集力の観点から、カップリング剤による凝集が好ましい。
本実施形態において、配向性の観点から、窒化ホウ素粒子が、六方晶窒化ホウ素一次粒子の(0001)面同士が重なってなる窒化ホウ素粒子凝集体を含むことが好ましい。本明細書において、「窒化ホウ素粒子凝集体」とは、六方晶窒化ホウ素一次粒子を含む無機フィラーが凝集して形成された二次粒子の集合単位であり、種々の形状をとりうる。すなわち、窒化ホウ素粒子凝集体の形状は、六方晶窒化ホウ素一次粒子の(0001)面同士が重なって凝集していれば特に限定されることなく、例えば、柱状、偏平状、顆粒状、塊状、球状、繊維状等のいずれであってもよい。配向性をより高める観点から、窒化ホウ素粒子凝集体が柱状の形状を有することがとりわけ好ましい。
本実施形態において、窒化ホウ素粒子が窒化ホウ素二次粒子を含む場合に、当該粒子形状を確認する方法の典型例としては、以下に限定されないが、窒化ホウ素二次粒子の積層方向の最長径R’と、窒化ホウ素二次粒子の幅方向の最長径r’とをSEM観察により特定し、これらの大小関係を確認する、すなわち、R’>0.3r’であることを確認する方法等が挙げられる。本実施形態において、配向性の観点から、R’>r’を満たすことを確認する方法により特定することが好ましい。なお、ここでいう「積層方向」とは、すなわち、六方晶窒化ホウ素一次粒子のc軸方向に略平行となる方向である。また、ここでいう「幅方向」とは、すなわち、積層方向に対して略垂直となる方向である。換言すると、幅方向は、少なくとも1つの六方晶窒化ホウ素一次粒子における(0001)面の面方向(a軸方向)に略平行となる方向である。本実施形態において、上記幅方向の最長径は、例えば、窒化ホウ素粒子凝集体が鉛直方向に真っ直ぐに伸びた柱状である場合、六方晶窒化ホウ素一次粒子の(0001)面の面方向の最長径とよく一致する傾向にあるが、このような関係に限定されず、幅方向の最長径は六方晶窒化ホウ素一次粒子の(0001)面の面方向の最長径よりも大きい値をとりうる。
本明細書において、「柱状」とは、六方晶窒化ホウ素一次粒子自体の形状又は六方晶窒化ホウ素一次粒子の凝集態様に由来する形状を表すものであり、角柱状、円柱状、棒状等を含む形状を意味し、球状とは相違する。さらに、柱状は、鉛直方向に真っ直ぐに伸びるもの、傾斜状に伸びるもの、湾曲しながら伸びるもの、枝状に分岐して伸びるもの等も含む。窒化ホウ素粒子凝集体が柱状の形状を有することについても、前述と同様のSEM観察等により、容易に確認することができる。
本実施形態における窒化ホウ素粒子凝集体は、上述のとおり、六方晶窒化ホウ素一次粒子が積層した構造を有するものであり、その積層構造については特に限定されないが、配向性の観点から、1層あたりの六方晶窒化ホウ素一次粒子の粒子数が2以下であることが好ましく、より好ましくは1である。このような積層構造は、窒化ホウ素粒子凝集体が柱状の形状を有する場合に観察される典型的な構造ともいえる。
本実施形態において、上記幅方向の最長径は、例えば、窒化ホウ素二次粒子が鉛直方向に真っ直ぐに伸びた柱状である場合、六方晶窒化ホウ素一次粒子の(0001)面の面方向の最長径とよく一致する傾向にあるが、このような関係に限定されず、幅方向の最長径は六方晶窒化ホウ素一次粒子の(0001)面の面方向の最長径よりも大きい値をとりうる。
本実施形態において、R及びrの値は、特に限定されない。本実施形態における窒化ホウ素粒子が窒化ホウ素粒子凝集体を含む場合、六方晶窒化ホウ素一次粒子の平均粒径をA(μm)とするとき、R=0.3×A〜10×A(μm)かつr=0.3×A〜3×A(μm)を満たすことが好ましく、より具体的には、六方晶窒化ホウ素一次粒子の平均粒径が0.5μmの場合を例にすると、R=0.15〜5μm程度の値をとることが典型的であり、r=0.15〜1.5μm程度の値をとることが典型的である。上記最長径の測定方法の具体例としては、以下に限定されないが、撮影されたSEM画像において、窒化ホウ素粒子が柱状であれば、その形状を長方形に近似し、かかる長方形の長辺及び短辺の長さを計測する等が挙げられる。
なお、上記した本実施形態の好ましい態様において、窒化ホウ素二次粒子として柱状形状を形成するように六方晶窒化ホウ素一次粒子が積層されている限り、「六方晶窒化ホウ素一次粒子の(0001)面同士が重なって」いる状態は、完全に重なっている態様に限定されるものではなく、幅方向にずれて重なっている態様も包含される。
また、窒化ホウ素粒子の幅方向の最長径r及び窒化ホウ素二次粒子の幅方向の最長径r’は、特に限定されるものではないが、熱伝導シートの厚さT未満である(r<T、r’<T)ことが好ましく、より好ましくはr<0.9×T、r’<0.9×Tである、さらに好ましくはr<0.5×T、r’<0.5×Tである。上記範囲を満たす場合、熱伝導シート表面の凹凸に起因する平滑性の低下を防止できる傾向にあり、また、窒化ホウ素粒子の潰れに起因する配向性の悪化についても防止できる傾向にある。
本実施形態における窒化ホウ素粒子凝集体は、六方晶窒化ホウ素一次粒子以外の無機フィラーを含んでいてもよく、そのような無機フィラーとしては、以下に限定されないが、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、水酸化アルミニウムなどの金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物などの金属や合金、炭素、グラファイト、ダイヤモンドからなる球状、粉状、繊維状、針状、鱗片状、ウィスカー状などの充填剤が挙げられる。これらは単独で含まれていてもよいし、複数種類を含んでいてもよい。
窒化ホウ素粒子凝集体は、窒化ホウ素粒子凝集体の頑強性を上げる観点から、バインダーを含んでもよい。ここでいう「頑強性」とは、本実施形態における六方晶ホウ素一次粒子同士が結合する際の結合の強さを示す性質である。バインダーは、元来、一次粒子同士間を強固に結びつけ、凝集体の形状を安定化するために作用する。
このようなバインダーとしては金属酸化物が好ましく、具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化カルシウム、酸化珪素、酸化ホウ素、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンなどが好ましく用いられる。これらの中でも、酸化物としての熱伝導性と耐熱性、六方晶窒化ホウ素一次粒子同士を結合する結合力などの観点から、酸化アルミニウム、酸化イットリウムが好適である。なお、バインダーはアルミナゾルのような液状バインダーであってもよく、有機金属化合物のように焼成により金属酸化物に変換されるものを用いてもよい。これらのバインダーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
(窒化ホウ素粒子凝集体の製造方法)
本実施形態において好ましく用いられる窒化ホウ素粒子凝集体は、前述した構成が得られる限り特に製法について限定はないが、好ましくは、次の方法により製造される。すなわち、本実施形態において好ましい窒化ホウ素粒子凝集体の製造方法は、六方晶窒化ホウ素一次粒子にカップリング剤を付加する工程(A)と、工程(A)により得られたカップリング剤が付加した窒化ホウ素一次粒子を、溶媒中で分散する工程(B)と、を含むものである。また、工程(B)より得られた分散液から窒化ホウ素粒子凝集体を分離する工程(C)をさらに含むことがより好ましい。
工程(A)及び工程(B)を含む場合、カップリング剤を付加した六方晶窒化ホウ素一次粒子が、分散液中で表面電荷によって(0001)面同士が凝集し、カップリング剤間で結合相を形成する傾向にあり、本実施形態の所望とする構成を有する窒化ホウ素粒子凝集体が得られやすくなるため好ましい。
工程(A)において、六方晶窒化ホウ素一次粒子にカップリング剤を付加する方法は特に限定されないが、攪拌機によって高速攪拌しているフィラーにカップリング剤原液を均一に分散させて処理する乾式法、カップリング剤希薄溶液にフィラーを浸漬し攪拌する湿式法等が好適である。
工程(A)の段階において、カップリング剤付加した六方晶窒化ホウ素一次粒子間で結合し、窒化ホウ素粒子凝集体が作製される場合もある。撹拌温度は特に限定されないが、加熱や冷却などの特別な温度コントロールは必要ない。通常、撹拌により温度が上昇するが、200℃以下であることが好ましい。撹拌速度も特に限定されないが、通常10〜10000rpmで撹拌することが好ましく、より好ましくは100〜3000rpmで撹拌される。撹拌時間は5分〜180分が好ましく、有効な撹拌時間と生産性から10分〜60分がより好ましい。
上述のカップリング剤は、凝集力及び頑強性の観点から、アリール基、アミノ基、エポキシ基、シアネート基、メルカプト基及びハロゲンからなる群より選ばれるいずれか一種以上を有することが好ましい。このようなカップリング剤としては、以下に限定されないが、例えば、シラン系、チタネート系、ジルコネート系、アルミン酸ジルコニウム系、アルミネート系等のカップリング剤が挙げられる。中でもシラン系カップリング剤(以下、「シランカップリング剤」ともいう。)が凝集力の観点から好ましい。
上述のシランカップリング剤としては、アリール基 、アミノ基、エポキシ基、シアネート基、メルカプト基及びハロゲンからなる群より選ばれるいずれか一種以上を有することが好ましい。中でもπ―π結合を有し、シランカップリング剤間の結合がより強くなることから、アリール基を有することがより好ましい。このようなカップリング剤としては、以下に限定されないが、例えば、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、(トリメトキシシリル)アントラセン、(トリエトキシシリル)アントラセン等が挙げられる。
また、上述のカップリング剤として、架橋構造を有するシランカップリング剤を用いることも好ましい。このようなシランカップリング剤の具体例としては、以下に限定されないが、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。
また、上述の架橋構造を有するシランカップリング剤は、有機官能基間で反応させ、架橋することによっても得られる。この場合の有機官能基の組み合わせとしては、以下に限定されないが、例えば、アミノ基−エポキシ基、エポキシ基−シアネート基、アミノ基−シアネート基、アミノ基−スルホン酸基、アミノ基−ハロゲン、メルカプト基−シアネート基等のカップリング剤の有機官能基の組み合わせが挙げられる。
上述した各種のカップリング剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせても用いてもよい。
工程(A)における上記カップリング剤の添加量としては、無機フィラーの表面積、すなわち、六方晶窒化ホウ素一次粒子の表面積にもよるが、六方晶窒化ホウ素一次粒子に対して、0.01〜10質量%添加することが好ましく、1〜2質量%添加することがより好ましい。
上記製造方法において、前記カップリング剤を付加する際に使用できる攪拌方法としては、特に限定されず、例えば、振動ミル、ビーズミル、ボールミル、ヘンシェルミキサー、ドラムミキサー、振動攪拌機、V字混合機等の一般的な攪拌機を使用して撹拌を行うことができる。
工程(B)において、工程(A)より得られたカップリング剤が付加した六方晶窒化ホウ素一次粒子を溶媒中で分散する。カップリング剤が付加した六方晶窒化ホウ素一次粒子を溶媒中で分散する方法は特に限定されない。芳香族骨格を有するカップリング剤を付加した六方晶窒化ホウ素一次粒子は、(0001)面同士が凝集しやすい傾向があることから、溶媒中で超音波分散するのが好ましい。
工程(B)で用いられる溶媒については特に限定されず、水及び/又は各種の有機溶媒を用いることができる。芳香環骨格を有する、すなわち、アリール基を有するカップリング剤を付加した六方晶窒化ホウ素一次粒子を用いる場合、極性が高い溶媒が好ましい。
溶媒の使用量は、工程(C)における分離時の負荷を低減する観点、及び工程(B)において均一に分散させる観点から、六方晶窒化ホウ素一次粒子に対して0.5〜20質量倍とすることが好ましい。
工程(B)において、窒化ホウ素粒子凝集体の凝集度を調整する観点から、種々の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン性界面活性剤等を用いることができ、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。工程(B)より得られる分散液中の界面活性剤濃度は、特に限定されないが、通常0.1質量%以上10質量%以下とすることができ、0.5質量%以上5質量%以下とすることが好ましい。
工程(C)において、工程(B)より得られた分散液から窒化ホウ素粒子凝集体を分離する。工程(B)より得られた分散液から窒化ホウ素粒子凝集体を分離する方法は特に限定されず、例えば、静置分離、濾過、遠心分離機、加熱処理等が使用可能である。
これらより得られた窒化ホウ素粒子凝集体に対して、更に別の処理を行ってもよい。例えば、酸素下で温度処理する表面酸化、水蒸気処理、室温で又は加温下においてキャリア又は反応ガスを用いた有機金属化合物やポリマーによる表面変性、ベーマイト又はSiO2を用いたゾルゲル法等が利用可能である。これらの処理は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
さらに、以上によって作製された本実施形態における窒化ホウ素粒子凝集体に対し、必要に応じて精査、粉砕、分級、精製、洗浄及び乾燥などの典型的な後工程を実行してもよい。細粒分が含まれている場合は、それを最初に取り除いてもよい。ふるい分けに代わる方法として、窒化ホウ素粒子凝集体の前記粉砕は、ふるい網、分類ミル、構造化ローラークラッシャー又は切削ホイールを用いて行ってもよい。例えば、ボールミル内での乾燥ミリング処理することも可能である。
(調製工程)
本実施形態に係る熱伝導シートの製造方法においては、まず、窒化ホウ素一次粒子や上記で例示したように得られる窒化ホウ素粒子凝集体をフィラーとして用い、樹脂に添加して樹脂組成物を調製する。なお、本実施形態におけるフィラーは、窒化ホウ素粒子凝集体以外に無機フィラーを含んでいてもよく、そのような無機フィラーの例としては、以下に限定されないが、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、水酸化アルミニウムなどの金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物などの金属や合金、炭素、グラファイト、ダイヤモンドからなる球状、粉状、繊維状、針状、鱗片状、ウィスカー状などの充填剤が挙げられる。これらは単独で含まれていてもよいし、複数種類を含んでいてもよい。
上述の樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂(ポリオレフィン、塩化ビニル樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、ナイロン、フッ素樹脂)、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ケイ素樹脂)、合成ゴム、液状ゲルなどが挙げられる。上記した中でも熱硬化性樹脂であることが好ましい。
本実施形態における樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、各成分を順次溶剤に配合し、十分に攪拌する方法が挙げられる。この際、各成分を均一に溶解或いは分散させるため、攪拌、混合、混練処理などの公知の処理を行うことができる。具体的には、適切な攪拌能力を有する攪拌機を付設した攪拌槽を用いて攪拌分散処理を行うことで、組成物に対する窒化ホウ素粒子凝集体等のフィラーの分散性を向上させることができる。上記の攪拌、混合、混練処理は、例えば、ボールミル、ビーズミルなどの混合を目的とした装置、又は、公転又は自転型の混合装置などの公知の装置を用いて適宜行うことができる。
また、本実施形態における樹脂組成物の調製時においては、必要に応じて有機溶剤を使用することができる。有機溶剤の種類は、組成物中の樹脂成分の一部又は全部を溶解可能なものであれば、特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルセルソルブなどのケトン類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;プロピレングリコールモノメチルエーテル及びそのアセテートなどが挙げられる。溶剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記のようにして得られる樹脂組成物は、熱伝導シートの厚み方向の熱伝導性を向上させる観点から、当該樹脂組成物の体積を100%として、10〜90vol%の窒化ホウ素粒子を含むことが好ましく、より好ましくは30〜80vol%であり、さらに好ましくは40〜75vol%である。
(シート化工程)
本実施形態に係る熱伝導シートの製造方法においては、上記のようにして調製された樹脂組成物をシート化する。シート化すると、シートの厚さ方向への流れや厚み方向への加圧により、0.3r<Rの窒化ホウ素粒子の配向性を高めることができる。このようなシート化方法としては、以下に限定されないが、例えば、溶融押出法、溶液流涎法、圧延法、延伸法、コーティング法、バーコーター法、ドクターブレード法、プレス成形法、射出成型法、カレンダー加工法など種々公知のシート化方法が挙げられる。これらのシート化方法は、1種単独を採用することとしてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。なお、上記プレス成型法によりシート化工程を実施する場合、後述するプレス成形工程におけるプレス成形の際の各種条件を好ましく採用することができる。
(プレス成形工程)
本実施形態に係る熱伝導シートの製造方法においては、上記のようにして調製された樹脂組成物シートを、さらにプレス成形工程に供することが好ましい。すなわち、本実施形態におけるプレス成型工程は、上述したシート化工程の後に実施する。プレス成形工程に供することにより、配向性がより高まり、また空気層などの隙間のない熱伝導シートが得られる傾向にある。本実施形態におけるプレス成形工程としては、圧力の印加によりシート状に成形できるものであれば特に限定されないが、例えば、真空プレス、加熱プレス、真空加熱プレス等が挙げられ、より配向性を高め、隙間のないシートを作製する観点から、真空プレス、真空加熱プレスが好ましい。また、プレス成形方式も、連続プレスでもよく、多段プレスでもよい。
プレス成形工程において、プレス成形を行う際の圧力としては、特に限定されないが、より配向性を高める観点から、絶対圧として0.1〜1000MPaであることが好ましく、より好ましくは0.11〜500MPaであり、さらに好ましくは1〜100MPaであり、よりさらに好ましくは5〜30MPaである。
プレス成形工程において、プレス成形を行う際の温度、すなわち、プレス温度としては、樹脂として熱可塑性樹脂を使用する場合は樹脂の溶融粘度より高く、また樹脂の分解温度よりも低くすることが好ましい。また、樹脂として熱硬化性樹脂を使用する場合は、硬化反応が進行する温度以上とし、また樹脂の分解温度より低くすることが好ましい。このため、プレス温度は特に限定されないが、50〜400℃であることが好ましく、より好ましくは60〜350℃であり、さらに好ましくは100〜250℃である。
上記のようにして得られる熱伝導シートは、<002>X線回析の強度と<100>X線回析との強度比(I<002>/I<100>)が30以下であることが好ましい。ここで、<002>X線回析の強度と<100>X線回析との強度比(I<002>/I<100>)とは、X線を樹脂組成物のシートの厚さ方向に、即ち、シートの長さ方向に対して90°の角度で照射して得られた<002>回析線の強度と<100>回析線のピーク強度比(I<002>/I<100>)である。本実施形態において、上記強度比が30以下であることは、配向性が十分に高いことを示唆しており、シート厚み方向の熱伝導率がより高くなる傾向にある。
次に、本実施形態を実施例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
(合成例)
平均粒径0.5μmの窒化ホウ素一次粒子(昭和電工製「UHP−S2」)に対して、カップリング剤としてフェニルトリメトキシラン(東京化成製)を1.5質量%滴下し、ミキサーで攪拌し、カップリング剤を付加した窒化ホウ素一次粒子を得た。続いて、メチルエチルケトンに上記カップリング剤を付加した窒化ホウ素一次粒子を加え、超音波分散機で十分に分散し、分散液を得た。この分散液を6時間静置し、上精を取り除き、(0001)面が積層した窒化ホウ素粒子を得た。この窒化ホウ素粒子をさらにエタノール中で超音波分散し、アルミホイルに撒き、溶媒が蒸発した後、カーボンテープに押し付け、窒化ホウ素粒子凝集体のSEM像を観測した。その結果を図2に示す。
図2(a)及び図2(b)に示すSEM像では、六方晶窒化ホウ素一次粒子の端面の方が、六方晶窒化ホウ素一次粒子の(0001)面よりも多く観測され、殆どの窒化ホウ素一次粒子は、(0001)面が重なって凝集していることがわかった。すなわち、窒化ホウ素一次粒子の(0001)面が重なって凝集した窒化ホウ素粒子(窒化ホウ素粒子凝集体)が多く観測された。図2(a)に示す窒化ホウ素粒子凝集体について、1層あたりの六方晶窒化ホウ素一次粒子の粒子数は1であり、この窒化ホウ素粒子凝集体の積層方向の最長径Rと、窒化ホウ素粒子凝集体の幅方向の最長径rとを測定したところ、R=0.66μm、r=0.49μm、R/r=1.35であった。なお、Rは図5に示すように特定した。また、図2(b)の中から、特に典型的な柱状形状を有していた3つの窒化ホウ素粒子凝集体(窒化ホウ素粒子凝集体1〜3)を選び、後述する方法により粒子サイズを測定した。窒化ホウ素粒子凝集体1〜3は、いずれも、1層あたりの六方晶窒化ホウ素一次粒子の粒子数は1であった。この窒化ホウ素粒子凝集体は帯電しており、SEM像は歪んでいた。窒化ホウ素粒子凝集体1〜3において、r及びRを求めた結果を表1に示す。なお、これらのRは図6に示すように特定した。
(粒子サイズの測定)
窒化ホウ素粒子の形態は、2.5μm×1.8μm四方の複数のSEM観察像を電子顕微鏡(FE−SEM−EDX(SU8220):株式会社日立ハイテクノロジー社製)により解析した。上記観察範囲に存在する、窒化ホウ素一次粒子の(0001)面が重なって凝集した窒化ホウ素粒子(窒化ホウ素粒子凝集体)のRとrとを測定した。その際、SEM画像において観察された窒化ホウ素粒子を図1(b)に示すような長方形に近似し、Rに相当する辺の長さ及びrに相当する辺の長さを計測した。なお、図2(b)に示す観察範囲に存在する窒化ホウ素粒子凝集体のR/rを各々求めたところ、いずれも1.0以上であったため、合成例で得られた窒化ホウ素粒子凝集体のR/rの代表値を1.0以上と特定した。
(実施例1)
樹脂(基剤樹脂)としては、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製「EPPN−501H」)100質量部と硬化剤(フェノーノボラック系硬化剤、明和化成製「DL−92」)63質量部、硬化触媒(2フェニルイミダゾール、四国化成製)0.1質量部との混合物を用いた。エポキシ樹脂と硬化剤の配合比率は全て、エポキシ樹脂/硬化剤の官能基が当量比で1.0とした。
次に、上記の基剤樹脂70体積%と、合成例にて作製した窒化ホウ素粒子30体積%とを混合し、さらに有機溶剤メチルエチルケトンを加えて常温攪拌により各成分を溶解または分散させ樹脂組成物のワニスを作製した。この樹脂組成物ワニスを、表面が離型処理された厚さ50μmの銅箔上に、乾燥後の樹脂厚さが200〜300μmになるように塗布し、120℃で10分乾燥させることにより各成分が均一分散した樹脂組成物(シート化された樹脂組成物)を得た。さらにこの樹脂組成物を1mm厚のプレス金型に充填し、真空プレス機で、10MPa、200℃30分の硬化をすることにより実施例1の熱伝導シート(試験片)を得た。
(実施例2)
基剤樹脂の配合量を40体積%に変更し、合成例にて作製した窒化ホウ素粒子の配合量を60体積%に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の試験片を得た。
(比較例1)
基剤樹脂の配合量を70体積%に変更し、シランカップリング剤処理を行っていないUHP−S2を30体積%配合した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の試験片を得た。なお、配合前のUHP−S2に係る窒化ホウ素粒子の形状をSEMで観察したところ、窒化ホウ素粒子は凝集していなかった。また、図3(a)、図3(b)からわかるように、六方晶窒化ホウ素一次粒子の(0001)同士が重なった構造は観測されなかった。これらのSEM画像において観察された窒化ホウ素粒子を図1(a)に示すような長方形に近似し、Rに相当する辺の長さ及びrに相当する辺の長さを計測した。六方晶窒化ホウ素一次粒子の幅方向の最長径r’は0.3〜1.0μmであり、六方晶窒化ホウ素一次粒子の幅方向に対して垂直となる方向の最長径R’は0.01〜0.05μmであった。すなわち、観察された窒化ホウ素粒子は、いずれもR’<0.3r’であった。なお、図3(b)に示す観察範囲に存在する窒化ホウ素粒子のR/rを各々求めたところ、いずれも合成例(すなわち、実施例1〜2)と比較して十分に小さく、0.2以下であったため、比較例1におけるR/rの代表値を0.2以下と特定した。
(比較例2)
基剤樹脂の配合量を40体積%に変更し、UHP−S2の配合量を60体積%に変更した以外は、比較例1と同様にして、比較例2の試験片を得た。窒化ホウ素粒子は比較例1と同様であり、r’は0.3〜1.0μmであり、R’は0.01〜0.05μmであり、観察された窒化ホウ素粒子は、いずれもR’<0.3r’であった。比較例2におけるR/rの代表値も0.2以下と特定した。
(比較例3)
UHP−S2に代えて、ランダム配向窒化ホウ素粒子凝集体SGPS(平均粒径:12μm、電気化学工業(株)製)60体積%を配合した以外は、実施例2と同様にして、比較例3の試験片を得た。なお、配合前のSGPSをSEMにて観察した結果、図4に示すとおり、六方晶窒化ホウ素一次粒子の(0001)同士が重なった構造は観測されなかった。1層あたりの六方晶窒化ホウ素一次粒子の粒子数は3以上であり、かかるランダム凝集体の形状は球状であった。
実施例1〜2、比較例1〜3の試験片の熱伝導率および、熱伝導シート中の窒化ホウ素一次粒子の配向強度比を表2にまとめた。
なお、熱伝導シートの各特性の評価方法は次のとおりである。
(熱伝導率)
前述したプレス成形した熱伝導シートから、試験片(10mm×10mm×厚さ1mm)を切り出した。この試験片に対し、NETZSCH製キセノンフラッシュアナライザーLFA447型熱伝導率計を用いて、レーザフラッシュ法により、シート厚み方向の熱伝導率を測定した。
(配向強度比)
熱伝導シート中の窒化ホウ素一次粒子の配向性は、X線回折法によるI(002)回析線(2θ=26.5°)の強度とI(100)回析線(2θ=41.5°)の強度との比(I(002)/I(100))により評価した。
なお、六方晶である窒化ホウ素一次粒子の厚み方向は結晶学的なI(002)回析線すなわちc軸方向、面内方向はI(100)回析線すなわちa軸方向にそれぞれ一致している。窒化ホウ素粒子凝集体を構成する窒化ホウ素一次粒子が、完全にランダムな配向(無配向)である場合、(I(002)/I(100))≒6.7になる(「JCPDS[粉末X線回折データベース]」No.34−0421[BN]の結晶密度値[Dx])。(I(002)/I(100))が小さいと、六方晶の窒化ホウ素粒子のa軸方向が熱伝導シートの厚さ方向に配向する、すなわち、配向性が高くなる結果、厚さ方向の熱伝導率が増加する。
上述した測定においては、前述したプレス成形した熱伝導シートから5mm×5mm×厚さ0.2mmの試験片を切り出して測定用サンプルとした。また、「全自動水平型多目的X線回折装置 SmartLab」(リガク社製)を用いて、試験片の5mm×5mmの平面に対して、当該試験片の厚み方向にX線を照射した。測定時は、X線源はCuKα線を用い、管電圧は45kV、管電流は360mAとした。

Claims (9)

  1. 窒化ホウ素粒子と、樹脂と、を含む樹脂組成物を調製する工程と、
    前記樹脂組成物をシート化する工程と、
    を有し、
    前記窒化ホウ素粒子の幅方向の最長径(r)と、前記窒化ホウ素粒子の幅方向に対して垂直となる方向の最長径(R)との関係が、下記式(1)で表される、熱伝導シートの製造方法。
    0.3r<R (1)
  2. 前記シート化する工程が、溶融押出法、溶液流涎法、圧延法、延伸法、コーティング法、バーコーター法、ドクターブレード法、プレス成形法、カレンダー加工法及び射出成型法からなる群より選択される少なくとも1つにより行われる、請求項1に記載の熱伝導シートの製造方法。
  3. 前記シート化工程の後に行われるプレス成形工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の熱伝導シートの製造方法。
  4. 前記窒化ホウ素粒子が、六方晶窒化ホウ素一次粒子の(0001)面同士が重なってなる窒化ホウ素粒子凝集体を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱伝導シートの製造方法。
  5. 前記窒化ホウ素粒子凝集体が柱状の形状を有する、請求項4に記載の熱伝導シートの製造方法。
  6. 熱伝導シートのX線回折の<100>面に対する<002>面のピーク強度比(<002>/<100>)が30以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱伝導シートの製造方法。
  7. 前記プレス成形工程において、真空プレス成形を行う、請求項3〜6のいずれか一項に記載の熱伝導シートの製造方法。
  8. 前記真空プレス成形の圧力が、0.1〜1000MPaである、請求項7に記載の熱伝導シートの製造方法。
  9. 前記プレス成形工程におけるプレス温度が、50〜400℃である、請求項3〜8のいずれか一項に記載の熱伝導シートの製造方法。
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