JP2018021179A - 水性塗工液、インク受容層用塗工液及び多層構造体 - Google Patents

水性塗工液、インク受容層用塗工液及び多層構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】保存環境によって経時で着色がなく、ゲル化速度が速く、塗工層にひび割れの少ないポリビニルアルコール系樹脂を含有する水性塗工液を提供。【解決手段】活性メチレン基を有する変性基含有ポリビニルアルコール系樹脂(A)、架橋剤(ただし、ホウ素化合物(C)を除く。)(B)及びホウ素化合物(C)を含有する水性塗工液。架橋剤(B)とホウ素化合物(C)の含有比率(C/B)(重量比)が0.1〜4.8であり、(B)の含有量が、活性メチレン基を有する変性基含有ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して0.5〜30重量部又は0.5〜40重量部である水性塗工液。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水性塗工液に関し、更に詳しくはゲル化速度が速く、ひび割れの少ない塗工層を形成することができる水性塗工液、及びインク受容層用塗工液、更には多層構造体に関するものである。
ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂と称することがある。)は、代表的な水溶性樹脂であり、水溶液として各種用途に用いられている。
また、近年の環境問題への関心の高まりから、塗工液として、有機溶剤を使用することがなく、水溶液で塗工可能なPVA系樹脂に注目が集まっている。
水性塗工液は、有機溶剤を使用しないため、乾燥に時間を要する場合があり、そのため生産効率を上げる目的で、熱風を当てることも行われている。
しかしながら、熱風を当てることにより、塗工層が波打つなどして、塗工層の光沢性が低下したり、乾燥後の塗工層の厚さの均一性が低下し、塗工層にひび割れが生じやすくなるといった問題があった。
そこで、塗工層の波打ちを防ぐために、乾燥初期に水性塗工液を増粘又はゲル化させることが行われている。PVA系樹脂を増粘又はゲル化させるためには、架橋剤により架橋させることが有効であり、特に架橋反応性に優れるPVA系樹脂として、活性メチレン基を有する変性基含有PVA系樹脂(以下、活性メチレン基含有PVA系樹脂と称することがある。)が知られている。中でもアセトアセチル基含有PVA系樹脂(以下、AA化PVA系樹脂と称することがある。)が広く用いられている。
また、その架橋剤として、反応性の高いヒドラジン化合物が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、かかるAA化PVA系樹脂とヒドラジン化合物による架橋物は、使用環境、保存環境によって経時で着色する場合がある。その対策として、例えば、架橋剤としてグリオキシル酸塩を用いることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2003−335043号公報 特開2010−149305号公報
上記特許文献2の開示技術により得られたインク受容層は、着色が低減されたものの、ゲル化速度の点で更なる改良が求められるものであり、また、乾燥条件によっては、塗工層にひび割れが生じることがあり、かかる点からも更なる改良が望まれている。
そこで、本発明ではこのような背景下において、ゲル化する速度が速く、更には、ひび割れが少ない塗工層を得ることができる水性塗工液及びインク受容層用塗工液を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者等は、上記事情に鑑み鋭意検討した結果、活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)及び架橋剤(ただし、ホウ素化合物(C)を除く。)(B)に加え、更にホウ素化合物(C)を含有させることにより、塗工液のゲル化速度が速く、更に塗工層のひび割れが少ない水性塗工液を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)、架橋剤(ただし、ホウ素化合物を除く。)(B)及びホウ素化合物(C)を含有する水性塗工液に関するものである。
また、本発明は、前記水性塗工液からなるインク受容層用塗工液、更に、多層構造体も提供するものである。
本発明において、上記のような効果が得られるメカニズムは詳細には判明していないが、活性メチレン基含有PVA系樹脂と架橋剤がグラフト反応した後、架橋剤とホウ素化合物との相互作用によってゲル化速度が速くなり、更にひび割れが少ない塗工層が得られるものであると推測される。
本発明の水性塗工液は、ゲル化速度が速く、生産性に優れるものであり、更には得られた塗工層はひび割れが少なく、外観に優れ、更にインクジェット記録媒体のインク受容層に用いた場合には、ひび割れがないため、印刷性に優れと効果を有するものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の水性塗工液は、活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)、架橋剤(ただし、ホウ素化合物(C)を除く。)(B)及びホウ素化合物(C)を含有してなるものである。
〔活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)〕
本発明で用いられる活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)について説明する。
本発明において、活性メチレン基とは、例えば、カルボニル基に隣接するメチレン基のように、酸性度が高められたメチレン基を示すものである。かかるメチレン基のプロトンにより、共鳴安定化された部分に架橋反応が起こるのである。
上記のような活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)としては、活性メチレン基を有するケトン、カルボン酸またはカルボン酸エステル等の変性基を有するPVA系樹脂が挙げられ、具体的には、例えば、アセトアセチル基やジアセトン基を有するPVA系樹脂が挙げられる。なかでも、反応性に優れる点で、AA化PVA系樹脂(a)や、ジアセトンアクリルアミド構造単位含有PVA系樹脂が好ましく、更にはより反応性に優れる点でAA化PVA系樹脂(a)が好ましい。
活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)の平均重合度は、通常、300〜4000であり、好ましくは1000〜3500、更に好ましくは1500〜3000である。平均重合度が低すぎると耐水性が低下する傾向があり、高すぎると粘度が上昇し、取り扱いや製造が困難となる傾向がある。
なお、平均重合度はJIS K 6726に準拠して測定することができる。
活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)の4重量%水溶液粘度は、通常2〜80mPa・sであり、好ましくは4〜70mPa・s、更に好ましくは10〜60mPa・sである。かかる粘度が低すぎると耐水性が低下する傾向があり、高すぎると粘度が上昇し、取り扱いや製造が困難となる傾向がある。
なお、本明細書において、活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)の4重量%水溶液粘度は、活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)の4重量%水溶液を調製し、JIS K6726に準拠して測定した20℃における粘度である。
活性メチレン基を有する構造単位の含有量(変性度)は、通常、構造単位全体の0.1〜20モル%であり、好ましくは1〜10モル%、特に好ましくは2〜8モル%である。変性度が小さすぎると、耐水性が低下したり、十分なゲル化速度が得られなくなる傾向があり、大きすぎると水溶液の粘度安定性が低下する傾向がある。変性度はNMRで測定することができる。
活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)のケン化度は、通常、75〜100モル%であり、好ましくは80〜99.8モル%、更に好ましくは85〜99.5モル%である。ケン化度が低すぎると、水溶性が低下する傾向がある。
なお、ケン化度はJIS K 6726に準拠して測定することができるもので、PVA系樹脂中のビニルエステル構造単位以外の構造単位の含有率である。
なお、変性PVA系樹脂の場合は、共重合変性PVA系樹脂であれば、変性構造単位を除いた部分のビニルエステル構造単位以外の構造単位の含有率である。後変性PVA系樹脂の場合は、変性前の原末PVAのケン化度を用いるものとする。
活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)の形状は、特に限定されないが、通常、粉末である。
粉末の粒子径は、通常、10〜2000μmであり、好ましくは50〜1000μm、さらに好ましくは100〜500μmである。粒子径が大きすぎると、溶解しにくくなる傾向があり、小さすぎると、飛散しやすく、取り扱いにくくなる傾向がある。
なお、粒子径はレーザー回折装置を用いて、体積中位径(D50)として測定する。
活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)は、一種類を単独で用いてもよく、また、粘度や平均重合度、ケン化度、変性度が異なる二種類以上を組み合わせて用いてもよい。二種類以上を組み合わせて用いる場合には、粘度、平均重合度、ケン化度、変性度の平均値が上述の範囲内であることが好ましい。
以下、活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)の好ましい態様のAA化PVA系樹脂(a)について更に詳述する。
本発明に用いられるAA化PVA系樹脂(a)は、PVA系樹脂の主鎖に直接、あるいは酸素原子や連結基を介してアセトアセチル基が結合したもので、例えば、下記一般式(1)で表されるアセトアセチル基を有する構造単位を含むPVA系樹脂が挙げられる。なお、かかるAA化PVA系樹脂は、アセトアセチル基を有する構造単位以外にビニルアルコール構造単位を有し、必要に応じて更に未ケン化部分のビニルエステル構造単位を有するものである。
Figure 2018021179
AA化PVA系樹脂(a)の平均重合度は、通常、300〜4000であり、好ましくは1000〜3500、更に好ましくは1500〜3000である。平均重合度が低すぎると耐水性が低下する傾向があり、高すぎると粘度が上昇し、取り扱いや製造が困難となる傾向がある。
なお、平均重合度はJIS K 6726に準拠して測定することができる。
AA化PVA系樹脂(a)の4重量%水溶液粘度は、通常2〜80mPa・sであり、好ましくは4〜70mPa・s、更に好ましくは10〜60mPa・sである。かかる粘度が低すぎると耐水性が低下する傾向があり、高すぎると粘度が上昇し、取り扱いや製造が困難となる傾向がある。
なお、本明細書において、AA化PVA系樹脂(a)の4重量%水溶液粘度は、AA化PVA系樹脂(a)の4重量%水溶液を調製し、JIS K6726に準拠して測定した20℃における粘度である。
アセトアセチル基を有する構造単位の含有量(AA化度)は、通常、構造単位全体の0.1〜20モル%であり、好ましくは1〜10モル%、特に好ましくは2〜8モル%である。AA化度が小さすぎると、耐水性が低下したり、十分なゲル化速度が得られなくなる傾向があり、大きすぎると水溶液の粘度安定性が低下する傾向がある。
なお、AA化度は、AA化PVA系樹脂の総エステル基量と酢酸エステル基量との差から求めることができる。
AA化PVA系樹脂(a)のケン化度は、通常、75〜100モル%であり、好ましくは80〜99.8モル%、更に好ましくは85〜99.5モル%である。ケン化度が低すぎると、水溶性が低下する傾向がある。
なお、AA化PVA系樹脂(a)におけるケン化度はJIS K 6726に準拠して測定することができるもので、AA化前の原末PVAのビニルエステル構造単位以外の構造単位の含有率である。
AA化PVA系樹脂(a)の形状は、特に限定されないが、通常、粉末である。粉末の粒子径は、通常、10〜2000μmであり、好ましくは50〜1000μm、さらに好ましくは100〜500μmである。粒子径が大きすぎると、溶解しにくくなる傾向があり、小さすぎると、飛散しやすく、取り扱いにくくなる傾向がある。
なお、粒子径はレーザー回折装置を用いて測定した、50%粒子径である。
AA化PVA系樹脂(a)は、一種類を単独で用いてもよく、また、粘度や平均重合度、ケン化度、AA化度が異なる二種類以上を組み合わせて用いてもよい。二種類以上を組み合わせて用いる場合には、粘度、平均重合度、ケン化度、AA化度の平均値が上述の範囲内であることが好ましい。
かかるAA化PVA系樹脂(a)の製造法としては、特に限定されるものではないが、例えば、PVA系樹脂とジケテンを反応させる方法、PVA系樹脂とアセト酢酸エステルを反応させてエステル交換する方法、酢酸ビニルとアセト酢酸ビニルの共重合体をケン化する方法等を挙げることができる。特に、製造工程が簡略で、品質の良いAA化PVAが得られることから、PVA系樹脂とジケテンを反応させる方法で製造するのが好ましい。
以下、かかる方法について説明する。
原料となるPVA系樹脂としては、一般的にはビニルエステル系モノマーの重合体のケン化物またはその誘導体が用いられる。かかるビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、経済性の点から酢酸ビニルが好ましく用いられる。
また、ビニルエステル系モノマーと該ビニルエステル系モノマーと共重合性を有するモノマーとの共重合体のケン化物等を用いることもでき、かかる共重合モノマーとしては、例えば、エチレンやプロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、3,4−ジヒドロキシ−1−ブテン等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類およびそのアシル化物などの誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ウンデシレン酸等の不飽和酸類、その塩、モノエステル、あるいはジアルキルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸類あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、ビニルエチレンカーボネート、2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン、グリセリンモノアリルエーテル、等のビニル化合物、酢酸イソプロペニル、1−メトキシビニルアセテート等の置換酢酸ビニル類、塩化ビニリデン、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、ビニレンカーボネート等が挙げられる。
更に、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等のポリオキシアルキレン基含有モノマー、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、3−ブテントリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライド等のカチオン基含有モノマー等も挙げられる。
なお、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
かかる共重合モノマーの導入量は、モノマーの種類によって異なるため一概にはいえないが、通常は全構造単位の10モル%以下、特には5モル%以下である。共重合モノマーの導入量が多すぎると、水溶性が損なわれたり、架橋剤との相溶性が低下したりする傾向がある。
また、ビニルエステル系モノマーおよびその他のモノマーを重合する際の重合温度を高温にすることにより、主として生成する1,3−結合に対する異種結合の生成量を増やし、PVA主鎖中の1,2−ジオール結合を1.6〜3.5モル%程度としたものを使用することが可能である。
上記ビニルエステル系モノマーの重合体および共重合体をケン化して得られるPVA系樹脂とジケテンとの反応によるAA基の導入には、PVA系樹脂とガス状或いは液状のジケテンを直接反応させても良いし、有機酸をPVA系樹脂に予め吸着吸蔵させた後、不活性ガス雰囲気下でガス状または液状のジケテンを噴霧、反応するか、またはPVA系樹脂に有機酸と液状ジケテンの混合物を噴霧、反応する等の方法が用いられる。
上記の反応を実施する際の反応装置としては、例えば、加温可能で撹拌機の付いた装置が挙げられる。具体的には、例えば、ニーダー、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、その他各種ブレンダー、撹拌乾燥装置を用いることができる。
かかるAA化PVA系樹脂(a)は粉砕されていてもよい。粉砕方法としては、例えば、ローラーミル、ビーズミル、ボールミル、ジェットミル、ハンマーミル、ピンミル、グラインド粉砕、衝突粉砕、凍結粉砕などの方法が用いられる。
〔架橋剤(ただし、ホウ素化合物(C)を除く。)(B)〕
活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)には、耐水性向上のために架橋剤(B)を配合することが必要で、PVA系樹脂に一般的に用いられているグリオキザールなどのアルデヒド化合物、ヒドラジンの有機塩類、アジピン酸ジヒドラジドなどのヒドラジン化合物、グリオキシル酸の金属塩、メチロール化メラミンなどのメチロール化合物、塩基性塩化ジルコニウムなどの金属化合物が挙げられ、好ましくはグリオキシル酸の金属塩であり、特に好ましくはグリオキシル酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属である。
かかる架橋剤(B)の含有量は、架橋剤の種類にもよるが、活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)100重量部に対して、通常、0.5〜30重量部、好ましく1〜20重量部、更に好ましくは2〜15重量部である。また、グリオキシル酸の金属塩を用いた場合の含有量は活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)100重量部に対して通常、0.5〜30重量部、好ましく1〜20重量部、更に好ましくは2〜15重量部である。かかる架橋剤(B)の含有量が多すぎても少なすぎても耐水性が低下する傾向がある。
以下に架橋剤(B)の好ましい態様であるグリオキシル酸の金属塩について詳細に説明する。
〔グリオキシル酸の金属塩〕
グリオキシル酸の金属塩としては、グリオキシル酸のアルカリ金属塩、グリオキシル酸のアルカリ土類金属塩などが挙げられ、例えば、グリオキシル酸ナトリウム、グリオキシル酸カリウム、グリオキシル酸カルシウム、グリオキシル酸マグネシウムなどが挙げられる。中でも、水溶解性の点から、グリオキシル酸ナトリウム(b)が好ましい。
また、グリオキシル酸の金属塩の23℃における水への溶解度が0.01〜100%、特に0.1〜50%、さらに0.5〜20%のものが好ましく用いられる。例えば、グリオキシル酸ナトリウム(b)の溶解度は約17%である。かかる溶解度が小さすぎると水に溶けにくく、架橋反応が進みにくい傾向がある。
通常、グリオキシル酸ナトリウム(b)は粉体であり、かかる紛体の平均粒子径は、通常5〜1000μmであり、好ましくは10〜500μm、特に好ましくは30〜300μmであり、平均粒子径が小さすぎると飛散しやすく、取り扱いにくくなる傾向があり、大きすぎると溶解しにくくなる傾向がある。
平均粒子径は、慣用の方法、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置「MASTERSIZER2000」(シスメックス社製)により測定することができる。
グリオキシル酸の金属塩の製造法は、公知の方法を用いることができるが、例えば、(1)グリオキシル酸と金属の水酸化物との中和反応による方法、(2)グリオキシル酸と酸解離定数がグリオキシル酸より大きい酸の金属塩との塩交換反応による方法、(3)グリオキシル酸エステルを金属の水酸化物を用いて加水分解する方法(例えば、特開2003−300926号公報参照。)などを挙げることができる。特に、グリオキシル酸との中和反応に用いるアルカリ性化合物の水溶性が高い場合は(1)の方法が好ましく用いられ、また、得られるグリオキシル酸の金属塩の水溶性が低く、酸解離定数がグリオキシル酸より大きい酸の塩の水溶性が高い場合は(2)の方法が好ましく用いられる。
〔ホウ素化合物(C)〕
本発明で用いられるホウ素化合物(C)は、例えば、ホウ酸、四ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、三酸化二ホウ素、三フッ化ホウ素が挙げられ、中でも入手しやすい点からホウ酸(c)が好ましい。
かかるホウ素化合物(C)の含有量は、活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)100重量部に対して通常、0.5〜40重量部、好ましく1〜30重量部、更に好ましくは1〜10重量部である。かかる含有量が多すぎると、水性塗工液の不溶解分が増大する傾向があり、少なすぎるとPVA系樹脂水溶液がゲル化しにくく、塗工層のひび割れが生じる傾向がある。
また、ホウ酸(c)の場合は、活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)100重量部に対して通常、0.5〜40重量部、好ましく1〜30重量部、更に好ましくは1〜10重量部である。かかる含有量が多すぎると、水性塗工液の不溶解分が増大する傾向があり、少なすぎるとPVA系樹脂水溶液がゲル化しにくく、塗工層のひび割れが生じる傾向がある。
また、架橋剤(B)とホウ素化合物(C)の含有比率(C/B)(重量比)が0.1〜4.8であることが必要で、好ましくは0.5〜4、特に好ましくは1〜2である。かかる値が小さすぎると塗工面にひび割れが発生する傾向があり、大きすぎると耐水性が低下する傾向がある。
また、本発明においては、水性塗工液をインク受容層用塗工液に用いる場合には、インク吸収性の点で無機フィラー(D)を含有することが好ましい。以下、無機フィラー(D)について説明する。
〔無機フィラー(D)〕
本発明で用いられる無機フィラー(D)としては、例えば、気相法シリカ、湿式法シリカ、コロイダルシリカなどの非晶質シリカ、アルミナ、アルミナゾル、アルミナ水和物、水酸化アルミニウムなどのアルミニウム化合物、ゼオライト、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、などが挙げられ、これらを単独で、あるいは複合して使用される。中でも生産性、経済性などの点から非晶質シリカやアルミナが好ましく用いられる。
かかる無機フィラー(D)としては、光沢性の点から、通常、平均二次粒子径が3〜500nmのものが用いられ、特には5〜200nm、さらには10〜50nmのものが好ましく用いられる。かかる平均粒子径が小さすぎると、表面積が大きくなり、樹脂によるバインダー力が低下する場合があり、逆に大きすぎると塗工層の光沢性が損なわれる傾向がある。
かかる無機フィラー(D)の含有量は、活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)100重量部に対して、通常、200〜2000重量部であり、特に300〜1000重量部の範囲が好ましく用いられる。塗工液中の固形分中では、通常50〜98重量%、好ましくは55〜95重量%、より好ましくは60〜90重量%である。かかる無機フィラー(D)の含有量が多すぎると、光沢性が低下したり、樹脂によるバインダー力が低下して、保存時、および使用時に無機フィラーの粉末が遊離する場合があり、逆に少なすぎると、塗工層の強度が低下する傾向がある。
無機フィラー(D)の配合方法としては、成分(A)、(B)、(C)のいずれか1つ以上の成分の水溶液に
(イ)そのまま配合する方法や、
(ロ)水に分散させて配合する方法が挙げられる。
無機フィラー(D)は、水に分散させて配合する場合は、無機フィラー(D)の水分散液の固形分濃度は、通常、0.1〜50重量%、好ましくは1〜45重量%、特に好ましくは5〜40重量%である。
かかる分散液の濃度が高すぎると無機フィラーの分散性が低下する傾向があり、低すぎると乾燥に時間がかかると傾向がある。
また、本発明においては、水性塗工液のゲル化速度の点でカルボン酸の金属塩(E)を含有することが好ましい。以下、カルボン酸の金属塩(E)について説明する。
〔カルボン酸の金属塩(E)〕
本発明に用いられるカルボン酸の金属塩(E)のカルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸などが挙げられ、中でも、水への溶解性の点から酢酸が好ましい。
また、金属塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、2族金属塩が挙げられ、中でも、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムなど好ましく、更には、着色が少ない点で、マグネシウムが好ましい。
本発明に用いられるカルボン酸の金属塩(E)としては、水への溶解性の点で、酢酸マグネシウムが最も好ましい。
カルボン酸の金属塩(E)の含有量は、活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜40重量部、好ましくは0.5〜20重量部、特に好ましくは1〜10重量部である。かかる含有量が少なすぎると十分なゲル化速度が得られない傾向があり、多すぎると塗工層のひび割れが発生しやすくなる傾向がある。
〔水性塗工液〕
本発明の水性塗工液は、活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)、架橋剤(ただし、ホウ素化合物を除く。)(B)及びホウ素化合物(C)、好ましくは更に無機フィラー(D)、カルボン酸の金属塩(E)を含有するものである。
本発明の水性塗工液の製造方法としては、
(i)活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)の水溶液と架橋剤(B)の水溶液とホウ素化合物(C)の水溶液を混合する方法、
(ii)活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)の水溶液と架橋剤(B)を混合した水溶液を基材に塗工して、ゲル化させたのち、ホウ素化合物(C)の水溶液を先に塗工した基材上(塗工層上)に塗工し、乾燥する方法、
(iii)活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)の水溶液を塗工し、乾燥して、先に塗工した基材上(塗工層上)に架橋剤(B)の水溶液とホウ素化合物(C)を含有する水溶液を塗工し、乾燥する方法
が挙げられるが、ゲル化速度及びひび割れ抑制の点から(i)の方法が好ましい。
無機フィラー(D)は、成分(A)、(B)、(C)、(E)のいずれか1つ以上の成分の水溶液に、そのまま配合するか、水に分散させて配合することができる。中でも成分(A)と配合することが分散性の点が好ましい。
また、カルボン酸の金属塩(E)の配合方法としては成分(A)、(B)、(C)、(D)のいずれか1つ以上の成分の水溶液に配合する方法が挙げられるが、反応の進行のしやすさの点で成分(B)又は成分(C)の水溶液に配合することが好ましい。
各成分は通常、水溶液又は水分散液として用いるが、これらから得られる水性塗工液の濃度は、通常、0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは5〜20重量%である。
かかる濃度が低すぎると乾燥に時間がかかると傾向があり、高すぎると粘度が上昇して塗工性が低下する傾向がある。
本発明の水性塗工液は、紙やプラスチックなどの各種基材に塗工、乾燥させることで塗工層を得ることができる。
かかる基材としては、例えば、その素材としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などの合成樹脂、ガラス、アルミ箔などの金属材料、紙、木などの天然材料、その形状としては、フィルム、シート、不織布、各種成形品などを挙げることができる。
中でも、本発明の効果が最大限に得られる材料としては、疎水性のプラスチック基材が挙げられ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂;ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート等の脂肪族ポリエステル系樹脂;ナイロン−6、ナイロン6,6、メタキシリレンジアミン−アジピン酸縮重合物等のポリアミド系樹脂;ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル等のスチレン系樹脂;トリ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロースなどのセルロース系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン等のハロゲン含有樹脂;ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、液晶ポリマー等のエンジニアリングプラスチック;等を挙げることができる。
また、かかるプラスチック基材に対し、プラズマ処理、コロナ処理、電子線処理などによって表面を活性化した後、本発明の水性塗工液を塗工することが好ましい。
上述の基材に本発明の水性塗工液を塗工する方法としては、例えば、ダイレクトグラビア法、リバースグラビア法などのグラビア法;2本ロールビートコート法、ボトムフィード3本ロール法等のロールコーティング法、ドクターナイフ法、ダイコート法、ディップコート法、バーコート法;など、公知の塗工法を用いることができる。
本発明の水性塗工液の乾燥温度は、濃度や温度によって変化するが、通常、1秒〜5分、好ましくは5秒〜5分である。また乾燥温度は、通常50〜120℃、好ましくは70〜120℃である。
かくして、活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)、架橋剤(B)及びホウ素化合物(C)から架橋構造体が形成されることとなる。
得られた本発明の水性塗工液による塗工層の厚さは、通常0.1〜100μmであり、特に0.5〜50μm、殊に1〜30μmの範囲が好ましく用いられる。かかる膜厚が薄すぎると、最終製品の物性が低下する場合があり、一方、塗工層が厚すぎると、ひび割れが増大する傾向がある。
本発明の水性塗工液には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、例えば、補強剤、充填剤、可塑剤、顔料、染料、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、帯電防止剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤等が含有されていてもよい。
〔インク受容層用塗工液〕
本発明の水性塗工液は、インク受容層用塗工液として有用であり、かかる水性塗工液からなるインク受容層用塗工液は、上述した活性メチレン基含有PVA系樹脂(A)、架橋剤(B)及びホウ素化合物(C)、更に無機フィラー(D)を含有するものであり、かかるインク受容層用塗工液を基材に塗工し、乾燥することより、インクジェット記録媒体が得られる。
本発明のインク受容層用塗工液の固形分濃度は、通常、0.1〜50重量%、好ましくは1〜40重量%、特に好ましくは5〜30重量%である。
かかる塗工液の濃度が高すぎると粘度が上がり塗工しにくくなる傾向があり、低すぎると十分なインク吸収性を得られない傾向がある。
本発明のインクジェット記録媒体に使用できる基材としては、特に制限されるものではないが、例えば、紙(マニラボール、白ボール、ライナー等の板紙、一般上質紙、中質紙、グラビア用紙等の印刷用紙、上・中・下級紙、新聞用紙、剥離紙、カーボン紙、ノンカーボン紙、グラシン紙など)、樹脂コート紙、合成紙、不織布、布、金属箔、ポリオレフィン樹脂(例えばポリエチレン、PET、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体)等の熱可塑性樹脂からなるフィルムやシート、ポリカーボネート系樹脂やポリエステル系樹脂を主成分とするプラスチック板やディスクなどが使用できる。
本発明のインク受容層塗工液を塗工する方法としては、例えば、バーコーター法、エアナイフコーター法、ブレードコーター法、カーテンコーター法などの公知の塗工方法が用いられる。
また、塗工液の塗工量は、得られた光沢層のインク吸収性、層の強度などから、適宜選択することが可能であるが、通常、乾燥後の厚みが3〜100μmであり、さらには5〜80μm、特には10〜50μmの範囲が好ましく用いられる。
塗工後は塗工液を乾燥すればよいが、特に光沢性に優れた塗工層を得るためには、塗工後、湿潤状態で加熱することによって塗工液をゲル化させ、流動性がない状態にした後、乾燥によって水分を除去する方法が好ましく用いられる。かかるゲル化に際しての加熱条件としては、通常、30〜100℃、特に40〜90℃の温度範囲で、乾燥時間は、通常、1秒〜5分、特に5秒〜5分の範囲が好ましく用いられる。また、その後の乾燥条件としては、通常50〜120℃で1〜30分程度乾燥させればよい。また、乾燥前の湿潤状態で、キャストドラムに圧接し、さらにその状態で乾燥させることで、高度な表面光沢性・平滑性を付与する方法も好ましく用いられる。
また、かかるインクジェット記録媒体には、インク受容層上に公知の光沢層が塗工されていても良い。インク受容層にかかる光沢層を塗工する場合、その乾燥後の膜厚は、特に制限されないが、通常2〜10μm、好ましくは3〜5μmである。
かくして本発明で得られた水性塗工液は、ゲル化速度が速く生産性に優れ、更に塗工層のひび割れも少ないことからインクジェット記録媒体のインク受容層用塗工液に有効であり、更に、感熱記録媒体の保護層用塗工液、コーティング紙などにも好適に用いられる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。また、ケン化度、平均重合度はJIS K6726に準拠して測定したものである。
実施例1
〔AA化PVA系樹脂(a)の製造〕
PVA(ケン化度98モル%、平均重合度2400)を、ニーダーに3600部仕込み、これに酢酸540部を入れ、膨潤させ、回転数20rpmで攪拌しながら、60℃に昇温後、ジケテン420部を3時間かけて滴下し、更に1時間反応させた。反応終了後、メタノールで洗浄した後、70℃で6時間乾燥してAA化PVA系樹脂(a)を得た。かかるAA化PVA系樹脂のAA化度は4モル%であり、ケン化度は98モル%、平均重合度は2400であった。
〔水性塗工液の作製〕
上記で得られたAA化PVA系樹脂(a)の10%水溶液1000部、無機フィラー(D)としてヒュームドシリカの35%水分散液1143部を混合し、ホモジナイザーで10分間撹拌した。得られた混合液の固形分濃度を20%に調整し、42℃の恒温水槽にて30分温調した。
その後、かかる混合液にグリオキシル酸ナトリウム(b)の10%水溶液50部を配合し、撹拌した後、ホウ酸(c)5部(キシダ化学社製)を加えて、本発明の水性塗工液とした。
〔ゲル化速度評価〕
上記で得られた水性塗工液をジャケット温度42℃の恒温水槽中で撹拌し、粘度が1000mPa・sになるまでの時間を測定した。結果を表1に示す。
〔ひび割れ評価〕
コピー用紙上に、75μmのアプリケーターで、上記で得られた水性塗工液を塗工し、80℃で3分間乾燥し、膜厚18μmの塗工層を形成させ、デジタルマイクロスコープにて塗工表面を観察し、以下のようにひび割れを評価した。
A:ひび割れの発生が全く見られず、良好
B:ひび割れの発生が少し観察される
C:ひび割れの発生が評価Bの場合よりも多く観察される
D:多数のひび割れの発生が観察される
結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、ホウ酸(c)の含有量を20部にした以外は、実施例1と同様にして水性塗工液を得、同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、グリオキシル酸ナトリウム(b)の含有量を10部にした以外は、実施例1と同様にして水性塗工液を得、同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例4
実施例1において、更に酢酸マグネシウム(e)5部を配合した以外は、実施例1と同様にして水性塗工液を得、同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、グリオキシル酸ナトリウム(b)の含有量を1部にした以外は同様にして水性塗工液を得、同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1において、ホウ酸(c)を配合しなかった以外は同様にして、同様に評価した。結果を表1に示す。
Figure 2018021179
本発明の水性塗工液(実施例1〜4)は、ゲル化速度が速く、生産性に優れ、更にはひび割れも多く発生することがなく外観に優れるものであった。
一方、比較例1の水性塗工液は、ゲル化速度が遅く、生産性に劣るものであった。
本発明の水性塗工液は、ゲル化速度が速いため、生産性に優れ、更には塗工し、乾燥後にはひび割れが少なく、外観にも優れるものであり、インクジェット記録媒体のインク受容層や感熱記録媒体の保護層用塗工液、コーティング紙用塗工液などに有用である。

Claims (10)

  1. 活性メチレン基を有する変性基含有ポリビニルアルコール系樹脂(A)、架橋剤(ただし、ホウ素化合物(C)を除く。)(B)及びホウ素化合物(C)を含有することを特徴とする水性塗工液。
  2. 架橋剤(ただし、ホウ素化合物(C)を除く。)(B)とホウ素化合物(C)の含有比率(C/B)(重量比)が0.1〜4.8であることを特徴とする請求項1記載の水性塗工液。
  3. 架橋剤(ただし、ホウ素化合物(C)を除く。)(B)の含有量が、活性メチレン基を有する変性基含有ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して0.5〜30重量部であることを特徴とする請求項1又は2記載の水性塗工液。
  4. ホウ素化合物(C)の含有量が、活性メチレン基を有する変性基含有ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して0.5〜40重量部であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の水性塗工液。
  5. 更に、無機フィラー(D)を含有することを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の水性塗工液。
  6. 更に、カルボン酸の金属塩(E)を含有することを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の水性塗工液。
  7. 活性メチレン基を有する変性基含有ポリビニルアルコール系樹脂(A)がアセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(a)であることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の水性塗工液。
  8. インク受容層用塗工液として用いられることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の水性塗工液。
  9. 請求項1〜8いずれか記載の水性塗工液からなることを特徴とするインク受容層用塗工液。
  10. 請求項1〜8いずれか記載の水性塗工液が基材に積層されてなることを特徴とする多層構造体。
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