JP2017189927A - インクジェット記録媒体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
近年の環境問題への関心の高まりから、バインダー樹脂として、有機溶剤を使用することがなく、水溶液で塗工可能なポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂と称することがある。)が広く用いられている。
しかしながら、熱風を当てることにより、インク受容層にひび割れが生じやすくなることが問題であった。
また、その架橋剤として、反応性の高いヒドラジン化合物が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
本発明は、活性水素含有変性基を有するPVA系樹脂(A)とグリオキシル酸のアルカリ金属塩(B1)と脂肪族カルボン酸(ただし、グリオキシル酸は除く。)の2価金属塩(B2)から形成される架橋構造体(I)及び無機フィラー(C)を含有してなるインク受容層を少なくとも一層有することインクジェット記録媒体である。
まずは、本発明の架橋構造体(I)について説明する。
本発明の架橋構造体(I)は、活性水素含有PVA系樹脂(A)とグリオキシル酸のアルカリ金属塩(B1)と脂肪族カルボン酸(ただし、グリオキシル酸を除く。)の2価金属塩(B2)から形成されるものである。以下に各成分について詳細に説明する。
本発明で用いられる活性水素含有PVA系樹脂(A)について説明する。
本発明の活性水素とは、例えば、カルボニル基に隣接するメチレン基の水素のように、酸性度が高められたメチレン基上のプロトンを示すものである。かかるプロトンにより、共鳴安定化された部分に架橋反応が起こるものである。
なお、平均重合度はJIS K 6726に準拠して測定することができる。
なお、本明細書において、活性水素含有PVA系樹脂(A)の4重量%水溶液粘度は、活性水素含有PVA系樹脂(A)の4重量%水溶液を調製し、JIS K6726に準拠して測定した20℃における粘度である。
なお、ケン化度はJIS K 6726に準拠して測定することができるもので、PVA系樹脂中のビニルエステル構造単位以外の構造単位の含有率である。
なお、変性PVA系樹脂の場合は、共重合変性PVA系樹脂であれば、変性構造単位を除いた部分のビニルエステル構造単位以外の構造単位の含有率である。後変性PVA系樹脂は、変性前の原料のPVA系樹脂のケン化度を用いるものとする。
なお、粒子径はレーザー回折装置を用いて測定した、50%粒子径である。
本発明に用いられるAA化PVA系樹脂(a)は、PVA系樹脂の主鎖に直接、あるいは酸素原子や連結基を介してアセトアセチル基が結合したもので、例えば、下記一般式(1)で表されるアセトアセチル基を有する構造単位を含むPVA系樹脂が挙げられる。なお、かかるAA化PVA系樹脂は、アセトアセチル基を有する構造単位以外にビニルアルコール構造単位を有し、必要に応じて更に未ケン化部分のビニルエステル構造単位を有するものである。
なお、平均重合度はJIS K 6726に準拠して測定することができる。
なお、本明細書において、AA化PVA系樹脂(a)の4重量%水溶液粘度は、AA化PVA系樹脂(a)の4重量%水溶液を調製し、JIS K6726に準拠して測定した20℃における粘度である。
なお、AA化度は、AA化PVA系樹脂の総エステル基量と酢酸エステル基量との差から求めることができる。
なお、AA化PVA系樹脂(a)におけるケン化度はJIS K 6726に準拠して測定することができるもので、AA化前の原末PVAのビニルエステル構造単位以外の構造単位の含有率である。
なお、粒子径はレーザー回折装置を用いて測定した、50%粒子径である。
以下、かかる方法について説明する。
グリオキシル酸のアルカリ金属塩(B1)としては、例えば、グリオキシル酸ナトリウム、グリオキシル酸カリウム、グリオキシル酸リチウムなどが挙げられ、水溶解性の点から、グリオキシル酸ナトリウム(b1)が好ましい。
平均粒子径は、慣用の方法、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置「MASTERSIZER2000」(シスメックス社製)により測定することができる。
本発明で用いられる脂肪族カルボン酸(ただし、グリオキシル酸を除く。)の2価金属塩(B2)の脂肪族カルボン酸は、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ソルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸等が挙げられ、中でも水への溶解性の点からギ酸、酢酸、プロピオン酸、カプリル酸が好ましく、特には酢酸が好ましい。
また、2価の金属としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムが挙げられ、中でも耐黄変性の点からマグネシウム、カルシウムが好ましく、特にはマグネシウムが好ましい。
具体的には、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウムが好ましい。
具体的には、架橋構造体(I)の製造方法としては、
(i)活性水素含有PVA系樹脂(A)水溶液とグリオキシル酸のアルカリ金属塩(B1)の水溶液と脂肪族カルボン酸の2価金属塩(B2)の水溶液を混合して乾燥する方法、
(ii)活性水素含有PVA系樹脂(A)水溶液とグリオキシル酸のアルカリ金属塩(B1)の水溶液と固体状の脂肪族カルボン酸の2価金属塩(B2)を混合して乾燥する方法、
(iii)活性水素含有PVA系樹脂(A)の水溶液とグリオキシル酸のアルカリ金属塩(B1)を混合した水溶液を基材に塗工して、ゲル化させたのち、脂肪族カルボン酸の2価金属塩(B2)の水溶液を先に塗工した基材上(塗工面上)に塗工し、乾燥する方法、
(iv)活性水素含有PVA系樹脂(A)の水溶液を塗工し、乾燥して、先に塗工した基材上(塗工面上)にグリオキシル酸のアルカリ金属塩(B1)の水溶液と脂肪族カルボン酸の2価金属塩(B2)を含有する水溶液を塗工し、乾燥する方法
が挙げられるが、ゲル化速度及びインクにじみの点から(i)又は(ii)の方法が好ましい。
かかる含有量が多すぎても少なすぎても耐水性が低下する傾向がある。
また、脂肪族カルボン酸の2価金属塩(B2)の含有量は、活性水素含有PVA系樹脂(A)100重量部に対して、通常、0.1〜40重量部、好ましくは0.5〜20重量部、特に好ましくは1〜10重量部である。
かかる含有量が少なすぎると十分なゲル化速度が得られない傾向があり、多すぎるとインクのにじみが大きくなる傾向がある。
かかるグリオキシル酸のアルカリ金属塩(B1)が多すぎても少なすぎても耐水性が低下する傾向がある。
かかる濃度が低すぎると乾燥に時間がかかると傾向があり、高すぎると粘度が上昇して塗工性が低下する傾向がある。
本発明で用いられる無機フィラー(C)としては、例えば、気相法シリカ、湿式法シリカ、コロイダルシリカなどの非晶質シリカ、アルミナ、アルミナゾル、アルミナ水和物、水酸化アルミニウムなどのアルミニウム化合物、ゼオライト、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、などが挙げられ、これらを単独で、あるいは複合して使用される。中でもインク吸収性と生産性、経済性などの点から非晶質シリカやアルミナが好ましく用いられる。
(イ)そのまま配合する方法や、
(ロ)水に分散させて配合する方法が挙げられる。
無機フィラー(C)は、水に分散させて配合する場合は、無機フィラー(C)の水分散液の固形分濃度は、通常、0.1〜50重量%、好ましくは1〜40重量%、特に好ましくは5〜30重量%である。
かかる分散液の濃度が高すぎると無機フィラーの分散性が低下する傾向があり、低すぎると乾燥に時間がかかると傾向がある。
本発明のインクジェット用記録媒体は、基材上に、上述した活性水素含有PVA系樹脂(A)とグリオキシル酸のアルカリ金属塩(B1)と脂肪族カルボン酸(ただし、グリオキシル酸は除く。)の2価金属塩(B2)、更に無機フィラー(C)を含有するインク受容層用塗工液を基材に塗工し、乾燥して得られるインク受容層を少なくとも一層有するものである。
かかる塗工液の濃度が高すぎると粘度が上がり塗工しにくくなる傾向があり、低すぎると十分なインク吸収性を得られない傾向がある。
また、塗工液の塗工量は、得られた光沢層のインク吸収性、層の強度などから、適宜選択することが可能であるが、通常、乾燥後の厚みが3〜100μmであり、さらには5〜80μm、特には10〜50μmの範囲が好ましく用いられる。
尚、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。また、ケン化度、平均重合度はJIS K6726に準拠して測定したものである。
〔AA化PVA系樹脂の製造〕
PVA(ケン化度98モル%、平均重合度2400)を、ニーダーに3600部仕込み、これに酢酸540部を入れ、膨潤させ、回転数20rpmで攪拌しながら、60℃に昇温後、ジケテン420部を3時間かけて滴下し、更に1時間反応させた。反応終了後、メタノールで洗浄した後、70℃で6時間乾燥してAA化PVA系樹脂を得た。かかるAA化PVA系樹脂のAA化度4モル%であり、ケン化度は98モル%、平均重合度は2400であった。
上記で得られたAA化PVA系樹脂の4%水溶液100部、グリオキシル酸ナトリウムの10%水溶液1.44部、酢酸マグネシウム0.156部、シリカ13部を混合し、インク受容層用塗工液とした。
上記で得られたインク受容層用塗工液をジャケット温度40℃の恒温水槽中で撹拌し、粘度が1000mPa・sになるまで時間を測定した。結果を表1に示す。
コピー用紙上に、上記で得られたインク受容層用塗工液を塗工し、105℃で10分間乾燥し、膜厚7.5μmのインク受容層を形成させ、インクジェット記録媒体を得て、以下のようにインクにじみを評価した。
インクジェットプリンタ(CANON社製 PIXUS iP4600)にて黄インクで印刷し、恒温室(23℃、50%RH)で1日乾燥させた。その後、インクドットをデジタルマイクロスコープにて観察し、印刷面積(μm2)を測定した。
結果を表1に示す。
実施例1において、酢酸マグネシウムを酢酸カルシウム0.128部に変えた以外は、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、酢酸マグネシウムを配合しなかった以外は、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
一方、脂肪族カルボン酸の2価金属塩(B2)を配合しなかったインクジェット記録媒体(比較例1)は、ゲル化速度が遅く、生産性に劣り、更にはインクにじみが大きく、印刷特性にも劣るものであった。
Claims (7)
- 活性水素含有変性基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)とグリオキシル酸のアルカリ金属塩(B1)と脂肪族カルボン酸(ただし、グリオキシル酸は除く。)の2価金属塩(B2)から形成される架橋構造体(I)及び無機フィラー(C)を含有してなるインク受容層を少なくとも一層有することを特徴とするインクジェット記録媒体。
- 活性水素含有変性基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して、グリオキシル酸のアルカリ金属塩(B1)を0.1〜20重量部含有することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録媒体。
- 活性水素含有変性基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して、脂肪族カルボン酸(ただし、グリオキシル酸は除く。)の2価金属塩(B2)を0.1〜40重量部含有することを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録媒体。
- グリオキシル酸のアルカリ金属塩(B1)100重量部に対して、脂肪族カルボン酸(ただし、グリオキシル酸は除く。)の2価金属塩(B2)を10〜10000重量部含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のインクジェット記録媒体。
- 活性水素含有変性基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)が、アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(a)であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のインクジェット記録媒体。
- 活性水素含有変性基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)とグリオキシル酸のアルカリ金属塩(B1)と脂肪族カルボン酸(ただし、グリオキシル酸は除く。)の2価金属塩(B2)と無機フィラー(C)を含有する塗工液を基材に塗工することを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
- 活性水素含有変性基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)とグリオキシル酸のアルカリ金属塩(B1)と無機フィラー(C)を含有する塗工液を基材に塗工する工程[I]と、
脂肪族カルボン酸(ただし、グリオキシル酸は除く。)の2価金属塩(B2)を含有する塗工液を基材に塗工する工程[II]
を含むことを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
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WO2019098220A1 (ja) * | 2017-11-17 | 2019-05-23 | 星光Pmc株式会社 | インクジェット印刷用前処理剤、インクセット、画像形成方法及び画像形成物 |
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