JP2006205422A - インクジェット記録材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フォトライクな高い光沢と高いインク吸収性を有し、かつひび割れや光干渉による着色現象の発生のないインクジェット記録材料を提供することにある。
【解決手段】支持体上に、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子とケト基を有する樹脂バインダーを含有する多孔質のインク受容層と、無機微粒子としてコロイダルシリカ及び屈折率が1.6以上の無機微粒子の中から選ばれる少なくとも一種を含有する表面層とを少なくとも有するインクジェット記録材料であって、前記インク受容層のケト基を有する樹脂バインダーは架橋剤によって架橋されており、かつ前記表面層の無機微粒子の塗布量が0.3g/m2以下であることを特徴とするインクジェット記録材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録材料及びその製造方法に関し、更に詳しくは、インク受容層のひび割れや光干渉による着色現象の発生がなく、フォトライクな高い光沢を有しかつインク吸収性に優れたインクジェット記録材料及びその製造方法に関する。
インクジェット記録方式に使用される記録材料として、紙やプラスチック樹脂フィルム等の支持体上にインク受容層を設けてなる記録材料が知られている。インク受容層は、2つのタイプに大別される。1つのタイプは、水溶性ポリマーを主成分とするインク受容層であり、もう一つのタイプは無機顔料と樹脂バインダーを主成分とする多孔質のインク受容層である。
前者のタイプのインク受容層は、水溶性ポリマーが膨潤することによってインクを吸収する。後者のタイプのインク受容層は、無機顔料によって形成された空隙にインクを吸収する。このようなインク吸収のメカニズムの違いから前者のタイプは膨潤タイプ(あるいはポリマータイプ)、後者のタイプは空隙タイプと呼ばれている。
前者のポリマータイプのインク受容層は、連続的な均一な被膜となるので光沢に優れるが、インク吸収性(インク吸収速度;印字後の乾燥速度)が劣る。一方、後者の空隙タイプは、インク吸収性は優れるが光沢が劣る。
近年、インク吸収性と光沢の両方に優れる記録材料が要望されており、顔料として極微細な無機微粒子を使用した空隙タイプの記録材料が提案されている。例えば、平均二次粒子径が500nm以下まで粉砕・分散した気相法シリカや湿式法シリカ等をインク受容層の顔料として用いることが提案されている。例えば、特公平3−56552号、特開平10−119423号、同2000−211235号、同2000−309157号公報に気相法シリカの使用例が、特開平9−286165号、同平10−181190号公報には粉砕した沈降法シリカの使用例が、特開2001−277712号公報には粉砕したゲル法シリカの使用例が開示されている。また、特開昭62−174183号、同平2−276670号、同平5−32037号、同平6−199034号公報等にアルミナやアルミナ水和物を用いた記録材料が開示されている。
しかし、上記したような極微細な無機微粒子を使用すると高い光沢が得られる反面、塗布乾燥時に風紋(乾燥ムラ)やひび割れ等の表面欠陥が発生しやすくなる。特に、高い光沢や良好な質感を得るためにポリオレフィン樹脂被覆紙(紙の両面にポリエチレン等のポリオレフィン樹脂をラミネートしたもの)やポリエステルフィルム等の非吸水性支持体を使用した場合、支持体がインクを吸収できないため、支持体上に設けられたインク受容層のインク吸収性が重要である。従って、インク受容層の空隙率及び空隙容量を高めるために、インク受容層は多量の顔料と低比率のバインダーで構成する必要があり、その結果、インク受容層の塗布・乾燥時に風紋及びひび割れが益々発生しやすくなった。
このような表面欠陥を防止するため、架橋剤を含むインク受容層の塗布液を支持体に塗布した後、乾燥を比較的穏やかな条件で行う方法が知られている。例えば、特開平10−119423号、同2000−27093号、同2001−96900号公報等では、ポリビニルアルコールの架橋剤としてほう酸、ほう酸塩、ほう砂等のほう素化合物を用い、塗布液を塗布し一度冷却して塗布液の粘度を上昇させた後、比較的低温で乾燥する方法が開示されている。しかし、このような従来技術は、塗布・乾燥条件が制約を受け、その結果生産性の低下を招いていた。また、少しの乾燥温度変化でひび割れ等の表面欠陥の発生が顕著になる場合があった。
一方、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールとその架橋剤を含有するインクジェット記録材料が知られている。例えば特開昭63−176173号(特許文献1)、特開平10−157283号(特許文献2)、特開2000−52646号(特許文献3)、特開2000−280600号(特許文献4)、特開2003−335043号(特許文献5)等に記載されている。
また一方、更に光沢を高める手段としては、多孔質のインク受容層の上にコロイダルシリカ層を設けることが知られている。例えば、特開平6−183134号(特許文献6)、特開2000−37944号(特許文献7)、特開2000−62314号(特許文献8)、特開2003−94800号(特許文献9)等に記載されている。
しかしながら、上述したような従来から知られている記録材料は、本発明が目的とする極めて高い光沢、高いインク吸収性、ひび割れが生じないという品質面に加えて、生産性の向上と言う面で充分に満足するまでには至っていなかった。また、単にコロイダルシリカ層を設けて光沢を向上させた場合、インク吸収性が低下したり、光干渉による着色現象(光学干渉によって反射光が色づいて見える現象)が現れるなどの不都合が生じる場合があった。
特開昭63−176173号公報 特開平10−157283号公報 特開2000−52646号公報 特開2000−280600号公報 特開2003−335043号公報 特開平6−183134号公報 特開2000−37944号公報 特開2000−62314号公報 特開2003−94800号公報
本発明の目的は、フォトライクな高い光沢と高いインク吸収性を有し、かつひび割れや光渉縞による着色現象のないインクジェット記録材料を提供することにある。更に本発明は生産効率よく安定的に製造することができるインクジェット記録材料の製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
1)支持体上に、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子とケト基を有する樹脂バインダーを含有する多孔質のインク受容層と、無機微粒子としてコロイダルシリカ及び屈折率が1.6以上の無機微粒子の中から選ばれる少なくとも一種を含有する表面層とを少なくとも有するインクジェット記録材料であって、前記インク受容層のケト基を有する樹脂バインダーは架橋剤によって架橋されており、かつ前記表面層の無機微粒子の塗布量が0.3g/m2以下であることを特徴とするインクジェット記録材料。
2)前記ケト基を有する樹脂バインダーが、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールである上記1)に記載のインクジェット記録材料。
3)前記支持体と前記インク受容層との間に下塗り層を有し、該下塗り層が前記ケト基を有する樹脂バインダーの架橋剤を含有する上記1)に記載のインクジェット記録材料。
4)前記架橋剤が、ジヒドラジド化合物及び多価金属塩の中から選ばれる少なくとも一種である上記1)に記載のインクジェット記録材料。
5)上記1)に記載のインクジェット記録材料の製造方法であって、前記インク受容層の塗布液と、ケト基を有する樹脂バインダーの架橋剤を含有する塗布液とを、支持体上に同時重層塗布し、その乾燥過程もしくは乾燥終了後に、前記表面層の塗布液を塗布し、乾燥することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
6)上記1)に記載のインクジェット記録材料の製造方法であって、前記支持体上に前記インク受容層の塗布液を塗布した後、その乾燥が終了するまでにケト基を有する樹脂バインダーの架橋剤を含有する塗布液を塗布し、更に、その乾燥過程もしくは乾燥終了後に、前記表面層の塗布液を塗布し、乾燥することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
7)上記3)に記載のインクジェット記録材料の製造方法であって、前記支持体上に前記下塗り層を塗布した後に、前記インク受容層の塗布液を塗布し、その乾燥過程もしくは乾燥終了後に、前記表面層の塗布液を塗布し、乾燥することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
本発明によれば、フォトライクな高い光沢と高いインク吸収性を有し、かつひび割れや光干渉による着色現象が生じないインクジェット記録材料を生産効率よく安定的に製造することが可能となる。
本発明のインク受容層に用いられる平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子としては、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン等公知の各種微粒子が挙げられるが、インク吸収性と生産性の点で非晶質合成シリカ、アルミナ又はアルミナ水和物が好ましい。
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ、及びその他に大別することができる。湿式法シリカは、更に製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の行程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソーシリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシールとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子どうしを結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソーシリカ(株)からニップゲルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして市販さている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、ケイ酸ソーダの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
本発明には、特に気相法シリカが好ましく使用できる。本発明に用いられる気相法シリカの平均一次粒子径は30nm以下が好ましく、より高い光沢を得るためには、15nm以下が好ましい。更に好ましくは平均一次粒子径が3〜15nm(特に3〜10nm)でかつBET法による比表面積が200m2/g以上(好ましくは250〜500m2/g)のものを用いることである。なお、本発明でいう平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として平均粒子径を求めたものであり、本発明でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて表面積が得られる。
気相法シリカは、カチオン性化合物の存在下で分散するのが好ましい。分散された気相法シリカの平均二次粒子径は500nm以下、好ましくは10〜300nm、更に好ましくは20〜200nmである。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。なお、本発明でいう平均二次粒子径とは、得られた記録材料のインク受容層を電子顕微鏡で観察することにより、観察される分散された凝集粒子の粒子径の平均値を求めたものである。
本発明では、平均二次粒子径500nm以下に粉砕した湿式法シリカも好ましく使用できる。ここで用いられる湿式法シリカとしては沈降法シリカあるいはゲル法シリカが好ましく、特に沈降法シリカが好ましい。本発明に用いられる湿式法シリカ粒子としては、平均一次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、かつ平均凝集粒子径が5〜50μmである湿式法シリカ粒子が好ましく、これをカチオン性化合物の存在下で平均二次粒子径500nm以下、好ましくは10〜300nm程度まで、更に好ましくは20〜200nm程度まで微粉砕した湿式法シリカ微粒子を使用することが好ましい。
通常の方法で製造された湿式法シリカは、1μm以上の平均凝集粒子径を有するため、これを微粉砕して使用する。粉砕方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。この際、分散液の初期粘度上昇が抑制され、高濃度分散が可能となり、粉砕・分散効率が上昇してより微粒子に粉砕することができることから、平均凝集粒子径5μm以上の沈降法シリカを使用することが好ましい。高濃度分散液を使用することによって、記録用紙の生産性も向上する。
本発明における平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカ微粒子を得る具体的な方法について説明する。まず、水を主体とする分散媒中にシリカ粒子とカチオン性化合物を混合し、のこぎり歯状ブレード型分散機、プロペラ羽根型分散機、またはローターステーター型分散機等の分散装置の少なくとも1つを用いて予備分散液を得る。必要であれば水分散媒中に適度の低沸点溶剤等を添加してもよい。シリカ予備分散液の固形分濃度は高い方が好ましいが、あまり高濃度になると分散不可能となるため、好ましい範囲としては15〜40質量%、より好ましくは20〜35質量%である。次に、シリカ予備分散液をより強い剪断力を持つ機械的手段にかけてシリカ粒子を粉砕し、平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカ微粒子分散液が得られる。機械的手段としては公知の方法が採用でき、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機及び薄膜旋回型分散機等を使用することができる。
上記気相法シリカ及び湿式法シリカの分散に使用するカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーを好ましく使用できる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号、同昭59−33176号、同昭59−33177号、同昭59−155088号、同昭60−11389号、同昭60−49990号、同昭60−83882号、同昭60−109894号、同昭62−198493号、同昭63−49478号、同昭63−115780号、同昭63−280681号、同平1−40371号、同平6−234268号、同平7−125411号、同平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性および分散液粘度の面で、これらのカチオン性ポリマーの質量平均分子量は2,000〜10万程度が好ましく、特に2,000〜3万程度が好ましい。
本発明に使用するアルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で平均二次粒子径を500nm以下、好ましくは20〜300nm程度まで粉砕したものが使用できる。
本発明のアルミナ水和物はAl23・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。nが1の場合がベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1より大きく3未満の場合が擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表す。アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均二次粒子径は500nm以下、好ましくは20〜300nmである。
本発明に用いられる上記のアルミナ、及びアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ぎ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。
上記した無機微粒子の中でも、シリカ微粒子が好ましく、特に気相法シリカが好ましい。また、2種以上の無機微粒子を併用することもできる。例えば、微粉砕した湿式法シリカと気相法シリカとの併用、微粉砕した湿式法シリカとアルミナあるいはアルミナ水和物との併用、気相法シリカとアルミナあるいはアルミナ水和物との併用が挙げられる。この併用の場合の比率は、いずれの態様も、7:3〜3:7の範囲が好ましい。
本発明のインク受容層において、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子の含有量は、インク受容層の全固形分に対して50質量%以上であるのが好ましく、60質量%以上がより好ましく、特に65〜90質量%の範囲が好ましい。このように無機微粒子の含有比率が高いインク受容層は、空隙率の高い多孔質なインク受容層となる。
本発明のインク受容層において、無機微粒子のバインダーとしてケト基を有する樹脂が用いられる。ケト基を有する樹脂バインダーは、ケト基を有するモノマーと他のモノマーを共重合する方法等によって合成することができる。ケト基を有するモノマーの具体例としては、アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリレート、アセトアセトキシエチルメタクレート、4−ビニルアセトアセトアニリド、アセトアセチルアリルアミド等が挙げられる。また、ポリマー反応でケト基を導入してもよく、例えばヒドロキシ基やアミノ基とジケテンとの反応等によってアセトアセチル基を導入することができる。ケト基を有する樹脂バインダーの具体例としては、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性セルロース誘導体、アセトアセチル変性澱粉、ジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコール、特開平10−157283号公報に記載の樹脂バインダー等が挙げられる。本発明では、特にケト基を有する変性ポリビニルアルコールが好ましい。ケト基を有する変性ポリビニルアルコールとしては、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
アセトアセチル変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールとジケテンの反応等の公知の方法によって製造することができる。アセトアセチル化度は0.1〜20モル%が好ましく、更に1〜15モル%が好ましい。ケン化度は80モル%以上が好ましく、更に85モル%以上が好ましい。重合度としては、500〜5000のものが好ましく、特に2000〜4500のものが更に好ましい。
ジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコールは、ジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体をケン化する等公知の方法によって製造することができる。ジアセトンアクリルアミド単位の含有量としては、0.1〜15モル%の範囲が好ましく、更に0.5〜10モル%の範囲が好ましい。ケン化度としては85モル%以上、重合度としては500〜5000のものが好ましい。
本発明ではケト基を有する樹脂バインダーに加えて、更に他の公知の樹脂バインダーを併用してもよい。例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、澱粉や各種変性澱粉、ゼラチンや各種変性ゼラチン、キトサン、カラギーナン、カゼイン、大豆蛋白、ポリビニルアルコールや各種変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等を必要に応じて併用することができる。更に、バインダー樹脂として各種ラテックスを併用してもよい。
この際光沢性の点で、ケト基を有する樹脂バインダーと相溶性の高い樹脂バインダーを併用することが好ましい。ケト基を有する変性ポリビニルアルコールを使用する場合、完全または部分ケン化ポリビニルアルコール、またはカチオン変性ポリビニルアルコールが好ましく併用できる。特に、ケン化度が80%以上で、平均重合度200〜5000のものが好ましく使用できる。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
ケト基を有する樹脂バインダーと他の樹脂バインダーを併用する場合、他の樹脂バインダー(B)のケト基を有する樹脂バインダー(A)に対する比率(B/A)は、1/1以下が好ましく、1/2以下がより好ましい。
インク受容層におけるケト基を有する樹脂バインダーの含有量は、前述した平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子に対して5〜40質量%の範囲が好ましく、特に10〜30質量%が好ましい。
インク受容層の乾燥塗布量は、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子に換算して10〜50g/m2の範囲が好ましく、12〜40g/m2の範囲がより好ましく、特に15〜30g/m2の範囲が好ましい。インク受容層には更に、カチオン性ポリマー、防腐剤、界面活性剤、着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などを添加することもできる。
本発明において、インク受容層に含有するケト基を有する樹脂バインダーは、その架橋剤で架橋されたものである。かかる架橋剤としては以下の化合物が挙げられる。
(1)ポリアミン類
脂肪族ポリアミン類;
・アルキレンジアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)、
・ポリアルキレンポリアミン(例えば、ジエチレントリアミン、イミノビス(プロピルアミン)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなど)、
・これらのアルキルまたはヒドロキシアルキル置換体(例えば、アミノエチルエタノールアミン、メチルイミノビス(プロピルアミン)など)
・脂環または複素環含有脂肪族ポリアミン(例えば、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど)
・芳香環含有脂肪族アミン類(例えば、キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミンなど)
C4〜C15の脂環式ポリアミン;
例えば、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、4,4´−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等。
C4〜C15の複素環式ポリアミン;
例えば、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノピペラジン等。
C6〜C20の芳香族ポリアミン類;
・非置換芳香族ポリアミン(たとえば1,2−,1,3−および1,4−フェニレンジアミン、2,4´−および4,4´−ジフェニルメタンジアミン、ポリフェニルポリメチレンポリアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン,チオジアニリン,ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4´,4”−トリアミン、ナフチレンジアミンなど)
・核置換アルキル基(たとえばC1〜C4のアルキル基)を有する芳香族ポリアミン(例えば、2,4−および2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン,4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、4,4´−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3´,5,5´−テトラメチルベンジジン、3,3´,5,5´−テトライソプロピルベンジジン、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラブチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3´−メチル−2´,4−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジイソプロピル−3´−メチル−2´,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジエチル−2,2´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノジフェニルスルホンなど)
ポリアミドポリアミン;
例えば、ジカルボン酸(ダイマー酸など)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類:(上記アルキレンジアミン,ポリアルキレンポリアミンなど)との縮合により得られる低分子量(例えば分子量200〜5000)ポリアミドポリアミンなど)
ポリエーテルポリアミン;
例えば、分子量100〜5000のポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコールなど)のシアノエチル化物の水素化物など)
(2)ジシアンジアミド誘導体;
ジシアンジアミド、ジシアンジアミド・ホルマリン重縮合物、ジシアンジアミド・ジエチレントリアミン重縮合物など。
(3)ヒドラジン化合物;
ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ヒドラジンの無機塩類(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、チオシアン酸、炭酸などの無機塩類)、ヒドラジンの有機塩類(例えば、ギ酸、シュウ酸などの有機塩類)。
(4)ポリヒドラジド化合物(ジヒドラジド、トリヒドラジド);
カルボヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド等。
(5)アルデヒド類;
ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド等のモノアルデヒド、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、1,8−オクタンジアール、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、両末端アルデヒド化PVA等のジアルデヒド類、アリリデン酢酸ビニルジアセテート共重合体をケン化して得られる側鎖アルデヒド含有共重合体、ジアルデヒド澱粉、ポリアクロレイン等。
(6)メチロール化合物;
メチロールホスフィン、ジメチロール尿素、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、尿素樹脂初期重合物、メラミン樹脂初期重合物等。
(7)活性化ビニル化合物;
ジビニルスルホン系化合物、β−ヒドロキシエチルスルホン系化合物等。
(8)エポキシ化合物;
エピクロルヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジ又はトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン、ポリエポキシ化合物等。
(9)イソシアネート系化合物;
トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパン−トリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス−4−フェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びこれらのケトオキシムブロック物又はフェノールブロック物、ポリイソシアネート等が挙げられる。
(10)フェノール系化合物;
フェノール系樹脂初期縮合物、レゾルシノール系樹脂等。
(11)多価金属塩;
・ジルコニウム塩(硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、フッ化ジルコニウム化合物等)
・チタン塩(4塩化チタン、乳酸チタン、テトライソプロピルチタネート等)
・アルミニウム塩(塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、乳酸アルミニウム等)
・カルシウム塩(塩化カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム等)
・マグネシウム塩(塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等)
・亜鉛塩(塩化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛等)
上記した架橋剤の中でも、ポリヒドラジド化合物、及び多価金属塩が好ましい。ポリヒドラジド化合物の中でも特にジヒドラジド化合物が好ましく、更にアジピン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジドが好ましい。多価金属塩としては、特にジルコニウム塩が好ましく、更に、オキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウムが好ましい。架橋剤の添加量は、ケト基を有する樹脂バインダーに対して1〜40質量%の範囲が適当であり、2〜30質量%の範囲が好ましく、特に3〜20質量%の範囲が好ましい。
本発明において、上記架橋剤の適用方法としては、インク受容層の塗布液中には架橋剤を含有せずに、他の層からインク受容層に拡散させるのが好ましく、例えば以下の塗布方法が好ましく用いられる。
1)支持体とインク受容層との間に下塗り層を設け、該下塗り層に含有させる方法。
2)インク受容層の塗布液と架橋剤を含有する塗布液を同時重層塗布する方法。
3)インク受容層の塗布液を塗布した後、その乾燥が終了する前に架橋剤を含有する塗布液を塗布する方法。
ここで、架橋剤を含有する塗布液は、架橋剤を含有する水溶液である。該塗布液中には若干の有機溶剤を含んでもく、また界面活性剤を微量含んでもよい。該塗布液中の架橋剤の濃度は、1〜10質量%程度が適当である。
上記1)の場合、下塗り層はインク受容層を塗布する前に予め塗布されたものである。インク受容層の塗布時期は、支持体上に塗布された下塗り層が未乾燥の状態であっても乾燥が終了した状態であってもよい。下塗り層はインク受容層と隣接するように配置することが好ましい。
下塗り層には、親水性バインダーを含有するのが好ましい。かかる親水性バインダーとしては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレンと無水マレイン酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、多糖類等が挙げられる。下塗り層中における親水性バインダーの含有量は、0.01〜2g/m2の範囲が好ましく、0.02〜1.5g/m2の範囲がより好ましく、特に0.03〜1.0g/m2の範囲が好ましい。この下塗り層は、プラスチック樹脂フィルム支持体やポリオレフィン樹脂被覆紙支持体に予め設けられるサブコート層(インク受容層との接着強化のための下引き層)を兼ねるものであってもよい。下塗り層には更に、界面活性剤、親水性バインダーの硬膜剤、pH調整剤、防腐剤等を含有することができる。
上記2)の場合、インク受容層塗布液と架橋剤含有塗布液の積層における上下位置関係は特に限定されないが、架橋剤含有塗布液を上に配置するのが好ましい。同時重層塗布に用いられる塗布方式としては、スライドビード塗布方式、スライドカーテン塗布方式がある。
上記3)の場合、支持体に塗布されたインク受容層塗布液が、減率乾燥域に入る前に架橋剤含有塗布液を塗布するのが好ましい。
上記1)においてインク受容層塗布液を塗布した後、上記2)において同時重層塗布した後、及び上記3)において架橋剤含有塗布液を塗布した後は、直ぐに高温で加熱するのが好ましい。例えば、50℃以上、好ましくは60℃以上に加熱した空気を、1秒以上、好ましくは5秒以上吹き付けてインク受容層を一旦ゲル化させ、その後は50℃以上の熱風を吹き付けて乾燥することによって、乾燥効率が向上する。
架橋剤が拡散してインク受容層中のケト基を有する樹脂バインダーと反応しゲル化する速度は、温度が高い方が速くなるので、上記したように塗布後直ぐに高温で加熱するのが好ましい。
本発明において、インク受容層の塗布液には前記した架橋剤は含有しないのが好ましい。特に、架橋剤としてジヒドラジド化合物はインク受容層には含有しないのが好ましい。ジヒドラジド化合物は、ケト基を有する樹脂バインダー、特にアセトアセチル変成ポリビニルアルコールとの反応速度が速いので塗布液中に凝集物が発生しやすく、従ってインク受容層にジヒドラジド化合物は含有しない方が、生産安定性の面で好ましい。
本発明のインクジェット記録材料は、多孔質のインク受容層の上に、無機微粒子としてコロイダルシリカ及び屈折率が1.6以上の無機微粒子の中から選ばれる少なくとも一種を含有する表面層を有する。該表面層の無機微粒子の塗布量は、0.3g/m2以下である。このような層構成とすることによって、高いインク吸収性を維持しながら極めて高い光沢が実現できる。表面層の無機微粒子の塗布量が0.3g/m2を超えるとインク吸収性が低下し、光干渉による着色現象が現れるという不都合が生じる。表面層の無機微粒子の塗布量の下限は、0.01g/m2が好ましい。表面層の無機微粒子の塗布量の好ましい範囲は、0.01〜0.25g/m2であり、より好ましくは0.02〜0.2g/m2であり、更に好ましくは0.03〜0.15g/m2の範囲である。
本発明において、表面層に用いられるコロイダルシリカ及び屈折率1.6以上の無機微粒子の粒子径としては、平均一次粒子径で80nm以下が好ましく、60nm以下がより好ましく、更に5〜50nmの範囲が好ましい。また、一次粒子が複数個結合した二次粒子を形成する場合には、その平均二次粒径は200nm以下であることが好ましく、150nm以下がより好ましく、更に100nm以下であることがより好ましい。
コロイダルシリカを用いる場合は、その平均一次粒子径は80nm以下が好ましく、60nm以下がより好ましい。最も好ましい範囲は10nmから50nmの範囲である。
コロイダルシリカの中でも、特に平均一次粒径80nm以下かつ変動係数が0.15以下の極めて単分散のコロイダルシリカが好ましい。ここでいう変動係数とはコロイダルシリカ粒子の粒子径の標準偏差を平均径で割ったものである。この変動係数は、コロイダルシリカ粒子の電子顕微鏡写真の中からランダムに500個以上のコロイダルシリカ粒子の直径を測定し、平均径および標準偏差を求めて算出した値である。変動係数が0.15以下のコロイダルシリカを用いることにより、印字面を斜光で観察したときにうっすらと白濁した様に見える、いわゆる印字部ヘイズが更に改善される。
コロイダルシリカは、市販品により入手可能である。例えば、日産化学工業(株)のスノーテックスがある。コロイダルシリカには、シリカゾルから弱アルカリ性下で粒子成長させたそのままのタイプ、イオン交換によりアルカリを減量したタイプ、格子の珪素原子の一部をアルミニウム原子に置換してアニオン性を強化したタイプ、アルミナ表面処理によりカチオン性にしたタイプ等各種有るが何れも使用可能である。シリカはアルカリに若干溶解するのでアルカリが残っている方が結着力の面で有利と考えられるが、イオン交換したタイプでも実用上問題なく使用出来る。
変動係数が0.15以下の単分散コロイダルシリカは、例えばアルコキシシランを水性溶媒中で、アンモニアなどを用いて加水分解、縮合して得られる、所謂ゾル−ゲル法により製造される。例えば扶桑化学工業株式会社製クォートロンシリーズとして各種粒径のものを入手可能である。
表面層に用いられる屈折率1.6以上の無機微粒子としては、焼成クレー、硫酸バリウム、酸化マグネシウム類、ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白、焼成カオリン、酸化アンチモン類、アンチモン酸亜鉛、チタン酸鉛、チタン酸カリウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ハフニウム、五酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化クロム、酸化スズ、ATO、ITO等があり、これらは単独あるいは混合して用いることが可能であり、これらの複合酸化物あるいは複合硫化物等についても広く用いることが出来る。また、酸化チタン、酸化亜鉛等光触媒活性をもつ無機微粒子の場合には、無機微粒子表面に極めて薄く、シリカ、アルミナ、ホウ素などによる被覆が行われていることが好ましい。この場合、屈折率は被覆している物質の体積%を用い、計算して求めることが出来る。上記の無機微粒子の中でも、ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、酸化アンチモン類、酸化セリウム、酸化ジルコニウムが好ましい。
本発明において、表面層は実質的に上記した無機微粒のみで構成されていてもよい。表面層における上記無機微粒子の含有比率は80質量%以上であることが好ましく、特に90質量%以上が好ましい。この比率の範囲内において、樹脂バインダーや界面活性剤等の添加剤を加えることができる。
従って、表面層の塗布液は、上記のような無機微粒子をコロイド状に分散したスラリーを水で希釈して濃度調整しただけの単純な水溶液で充分である。上記したようにバインダーや界面活性剤等を適宜加えることは可能であるが、樹脂バインダーを加える場合は、無機微粒子に対して5質量%未満が好ましく、更に3質量%未満が好ましい。インク吸収性の点からは、バインダーは含まないのが好ましい。また、界面活性剤については、塗布助剤としての役割であるなら加える必要は無く、そのまま塗布可能である。マット剤等表面形状を大きく変更する添加剤は、本発明の目的である光沢の改良という観点から、添加しないのが好ましい。
表面層の塗布液中の無機微粒子の濃度は、0.05〜5質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量%の範囲であり、特に0.25〜2質量%の範囲が好ましい。
本発明において、インク受容層の上に表面層を適用する方法としては、インク受容層の塗布液を塗布した後で該インク受容層中に充分な空隙を形成した後に、表面層の塗布液を塗布するのが好ましい。即ち、支持体上に塗布されたインク受容層が完全に乾燥した後、あるいは乾燥過程でインク受容層中に充分な空隙が形成された後に表面層塗布液を塗布するのが好ましい。支持体上にインク受容層と表面層を設ける具体的な方法を以下に挙げる。
1)インク受容層塗布液と架橋剤含有塗布液とを支持体上に同時重層塗布し、その乾燥過程もしくは乾燥終了後に、表面層塗布液を塗布し乾燥する。
2)支持体上にインク受容層塗布液を塗布した後、その乾燥が終了するまでに架橋剤含有塗布液を塗布し、更に、その乾燥過程もしくは乾燥終了後に、表面層塗布液を塗布し乾燥する。
3)支持体上に架橋剤含有下塗り層を塗布した後に、インク受容層塗布液を塗布し、その乾燥過程もしくは乾燥終了後に、表面層の塗布液を塗布し乾燥する。
本発明において、前述した各層の塗布に用いられる塗布方式としては、公知の塗布方式を用いることができる。例えば、スライドビード方式、スライドカーテン方式、エクストルージョン方式、スロットダイ方式、グラビアロール方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。
上記の塗布方式は、前計量タイプと後計量タイプに大別できる。前計量タイプは、予め所定の塗布量になるように計量しておいた塗布液を塗布する方式である。後計量タイプは、所定の塗布量より過剰に塗布しておいてから、後で所定の塗布量になるように掻き取る塗布方式である。前計量タイプの塗布方式としては、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、スロットダイ方式、グラビアロール方式等があり、後計量タイプの塗布方式としては、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。
本発明において、表面層塗布液の塗布には、前計量タイプの塗布方式が好ましい。前計量タイプの塗布方式を用いることによって、多孔質なインク受容層の上に極薄層の無機微粒子含有層を安定的に塗布することができる。
前述した前計量タイプの塗布方式に用いられる塗布装置としては、スライドホッパー、スロットダイのような塗布液を塗布巾方向に均一に流出するためのスリットを持つ塗布装置、及びグラビアロールを使用する塗布装置等がある。グラビアロールの中でも、ロールの直径が100mm以下の斜線グラビアロール(斜線の溝を有するグラビアロール)を使用することが好ましい。ロール直径の好ましい範囲は20〜80mm程度である。
斜線グラビアロール使用する場合は、リバース且つキスタッチで使用することが好ましい。ここで、リバースとは、ウェブ(多孔質層が塗布された支持体)の搬送方向とは逆方向にグラビアロールを回転させることであり、キスタッチとはウェブを挟んでグラビアロールとは反対側にバックアップロールを有さず、ウェブが自由状態にあることを意味する。
表面層塗布液の35℃における粘度は、10mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以下がより好ましく、特に1〜3mPa・sの範囲が好ましい。このように塗布液の粘度を低くすることによって、多孔質なインク受容層の空隙に塗布液中の溶媒(主に水)が瞬時に吸収されるので、光沢が高く均一な塗布面が得られやすい。
表面層塗布液の湿分塗布量は、25g/m2以下が好ましく、22g/m2以下がより好ましい。下限の湿分塗布量は、8g/m2程度である。このように湿分塗布量を少なくすることによって、多孔質なインク受容層の空隙に表面層塗布液の溶媒が瞬時に吸収されるので、乾燥風による塗布面の乱れが起こらず、光沢が高い均一な塗布面が得られやすい。
本発明に用いられる支持体としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、セロファン、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のプラスチック樹脂フィルム、ポリオレフィン樹脂被覆紙等の耐水性支持体、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙等の吸水性支持体等が挙げられる。これらの支持体の中でも、特にプラスチック樹脂フィルムやポリオレフィン樹脂被覆紙のような耐水性性支持体が好ましく用いられる。更に耐水性支持体の中でもポリオレフィン樹脂被覆紙が好ましい。これらの支持体の厚みは、約50〜250μm程度のものが好ましく使用される。
本発明における支持体には筆記性、帯電防止性、搬送性、耐カール性などのために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、顔料、硬化剤、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
耐水性支持体に本発明の塗布液を塗布する場合には、塗布に先立ってコロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、下引き処理等を施すことが好ましい。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。なお、部及び%は、質量部及び質量%を示す。
《記録シート1の作製》
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙とした。抄造した原紙に、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100部の樹脂に対して、10部のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、厚さ35μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し、表面(インク受容層塗設面)とした。もう一方の面には密度0.962g/cm3の高密度ポリエチレン樹脂70部と密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン樹脂30部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し、裏面とした。
上記ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成の下塗り層1をゼラチンの付着量が60mg/m2となるように塗布乾燥した。
<下塗り層1>
ゼラチン 100部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 8部
上記下塗り層の上に、下記組成のインク受容層塗布液と架橋剤含有塗布液をスライドビード塗布装置を用いて同時重層塗布し、80℃及び60℃の熱風を順次吹き付けて乾燥した。乾燥終了後に、更に下記組成の表面層塗布液を斜線グラビアロールで塗布し、50℃の熱風を吹き付けて乾燥した。ここで用いた斜線グラビアロールは、直径60mm、斜線角度45度、線数90線/インチ、溝深さ110ミクロンのグラビアロールである。インク受容層塗布液の塗布量は、シリカ固形分換算で21g/m2、架橋剤含有塗布液の塗布量はアジピン酸ジヒドラジド換算で0.45g/m2、表面層塗布液の塗布量は、コロイダルシリカの固形分換算で0.1g/m2である。尚、表面層塗布液の湿分塗布量は、20g/m2であり、インク受容層の上に塗布したところインク受容層の空隙に塗布液中の溶媒が瞬時に吸収され、均一な塗布面が得られた。
<シリカ分散液1の作製>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)4部と気相法シリカ(平均一次粒子径7nm、比表面積300m2/g)100部を添加し予備分散液を作製した後、高圧ホモジナイザーで処理して、固形分濃度20%のシリカ分散液を製造した。
<インク受容層塗布液1>
シリカ分散液1 (シリカ固形分として)100部
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール 20部
(アセトアセチル化度3%、ケン化度98%、平均重合度2350)
ノニオン性界面活性剤 0.3部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
固形分濃度が9%になるように水で調整した。
<架橋剤含有塗布液>
アジピン酸ジヒドラジド 100部
塩化ナトリウム 0.6部
ノニオン性界面活性剤 2部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
水にて全量を2000部とした。
<表面層塗布液>
コロイダルシリカの20%スラリー 2.5部
(日産化学工業(株)製スノーテックスO;平均一次粒径15nm 変動係数0.20)
水にて全量を100部とした。(シリカ濃度0.5%)
《記録シート2の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液のシリカ濃度を1.0%に変更し、かつ塗布量をコロイダルシリカの固形分換算で0.2g/m2にした以外は、記録シート1と同様にして作製した。尚、表面層塗布液の湿分塗布量は、20g/m2であり、インク受容層の上に塗布したところインク受容層の空隙に塗布液中の溶媒が瞬時に吸収され、均一な塗布面が得られた。
《記録シート3の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液を下記の塗布液に変更した以外は、記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液>
コロイダルシリカ20%スラリー 2.5部
(扶桑化学工業製クォートロンPL−3L、平均一次粒径35nm 変動係数0.11)
水にて全量を100部とした。(シリカ濃度0.5%)
《記録シート4の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液を下記の塗布液に変更した以外は、記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液>
コロイダルシリカ12%スラリー 4.2部
(扶桑化学工業製クォートロンPL−1、平均一次粒径15nm 変動係数0.14)
水にて全量を100部とした。(シリカ濃度0.5%)
《記録シート5の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液を下記の塗布液に変更し、かつ塗工量を0.05g/m2変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液>
アナターゼ型酸化チタンの6%スラリー 4.2部
(タイノックA6、多木化学(株)製、平均一次粒子径10nm)
水にて全量を100部とした。(酸化亜鉛濃度0.25%)
《記録シート6の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液を下記の塗布液に変更した以外は、記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液>
超微粒子五酸化アンチモン48%スラリー 1.0部
(A−2550、日産化学工業(株)製、平均一次粒子径40nm)
水にて全量を100部とした。(五酸化アンチモン濃度0.5%)
《記録シート7の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液を下記の塗布液に変更した以外は、記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液>
アンチモン酸亜鉛32%スラリー 1.6部
(Z330H 日産化学工業(株)製平均一次粒子径20nm)
水にて全量を100部とした。(アンチモン酸亜鉛濃度0.5%)
《記録シート8の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液を下記の塗布液に変更し、かつ塗工量を0.05g/m2変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液>
酸化セリウム10%スラリー 2.5部
(ニードラールP10、多木化学(株)製、平均一次粒径8nm)
水にて全量を100部とした。(酸化セリウム濃度0.25%)
《記録シート9の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液を下記の塗布液に変更した以外は、記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液>
酸化ジルコニウムの20%スラリー 2.5部
(ZR50/20、Nycol Technolosies,Inc.製、平均一次粒子径50nm )
水にて全量を100部とした。(酸化ジルコニウム濃度0.5%)
《記録シート10の作製》
上記記録シート1において、架橋剤含有塗布液を塗布しない以外は記録シート1と同様にして作製した。
《記録シート11の作製》
上記記録シート1において、表面層塗布液を塗布しない以外は記録シート1と同様にして作製した。
《記録シート12の作製》
上記記録シート1において、インク受容層塗布液を下記の塗布液に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<インク受容層塗布液2>
シリカ分散液1 (シリカ固形分として)100部
未変性ポリビニルアルコール 20部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ホウ酸 3部
ノニオン性界面活性剤 0.3部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
固形分濃度が9%になるように水で調整した。
《記録シート13の作製》
上記記録シート1において、表面層塗布液の塗布量を、コロイダルシリカの固形分換算で0.4g/m2に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。但し、表面層塗布液のシリカ濃度を0.8%にし、かつ湿分塗布量を50g/m2に変更した。ここで用いた斜線グラビアロールは、直径60mm、斜線角度45度、線数45線/インチ、溝深さ290μmのグラビアロールである。尚、表面層塗布液の湿分塗布量が50g/m2と多くなることによって、インク受容層の空隙に塗布液中の溶媒が瞬時に吸収されず、均一な塗布面が得られなかった。
《記録シート14の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液のシリカ濃度を2.0%に変更し、かつ塗布量をコロイダルシリカの固形分換算で0.4g/m2にした以外は、記録シート1と同様にして作製した。尚、表面層塗布液の湿分塗布量は、20g/m2であり、インク受容層の上に塗布したところインク受容層の空隙に塗布液中の溶媒が瞬時に吸収され、均一な塗布面が得られた。
上記のようにして作製した記録シートのインク受容層における気相法シリカ微粒子の平均二次粒子径(電子顕微鏡観察)は、いずれも80nm〜120nmの範囲内であった。各々の記録シートについて、下記の評価方法に準じて評価した結果を表1に示す。
<塗布面のひび割れの評価>
記録シートの塗布面を観察し、以下の基準で評価した。
○:ひび割れが全くない。
△:僅かであるがひび割れの発生が認められる。
×:ひび割れがの発生が明確に認められる。
<光沢値(%)>
JIS−Z8741に基づいて20度光沢値を変角光沢計VGS−300A(日本電色(株)製)で測定した。
<インク吸収性>
記録シートを23℃、湿度55%RHに一昼夜調湿後、同条件下でセイコーエプソン社製インクジェットプリンターMJ−800Cで黒ベタ印字後、時間間隔を変化して印字面にPPC用紙を重ねて軽く圧着し、剥がしてPPC用紙へのインク裏写りを評価した。
◎;20秒後でも全く裏写り無し。
○;20秒後ではやや裏写り有るが、25秒後では全く裏写り無し。
×;25秒後で裏写りが有る。
<光干渉による着色現象>
記録シートを観察角度を変えながら光干渉による着色現象の現れる程度を下記の基準で評価した。
◎;いずれの観察角度でも、光干渉による着色現象は全く現れない。
○;十分に傾けて観察すると光干渉による着色が見える場合がある。
△;通常の観察角度の範囲でも、光干渉による着色が少しではあるが確認できる。
×;通常の観察角度の範囲でも、光干渉による着色が顕著に見える。
Figure 2006205422
上記結果から明らかなように、本発明の記録シート1〜9は、光干渉による着色現象及びインク受容層のひび割れの発生がなく、インク吸収性と光沢に優れていることが分かる。一方、架橋剤を適用しない記録シート10、及び樹脂バインダーとして一般的な未変性のポリビニルアルコールを用いた記録シート12は、インク受容層の表面にひび割れが発生し実用に供することができないものであった。また、表面層を設けない記録シート11は、光沢が満足できるものではなかった。また、表面層のコロイダルシリカの塗布量を0.3g/m2より多くした記録シート13、14は、インク吸収性が低下し、光干渉による着色現象が発生した。尚、ひび割れが発生した記録シート10と12は、光沢値と光干渉による着色現象は評価しなかった。また、コロイダルシリカの粒度分布の違いによる画像部のヘーズ現象(霞がかかったように見え、色の鮮やかさが低下する現象)について、記録シート1〜4を比較評価したところ、単分散度の高いコロイダルシリカを用いた記録シート3、4の方が、ヘーズ現象は改善されていた。また、記録シート5〜9も同様にヘーズ現象は改善されていた。
実施例1のインク受容層塗布液を下記の塗布液に変更する以外は、実施例1と同様にして記録シート1〜9に対応するそれぞれの記録シート21〜29を作製した。
<シリカ分散液2>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)4部と沈降法シリカ(吸油量200ml/100g、平均一次粒子径16nm、平均凝集粒子径9μm)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を作製した。次に得られた予備分散液をビーズミルで処理して、固形分濃度30%のシリカ分散液2を得た。
<インク受容層塗布液3>
シリカ分散液1 (シリカ固形分として) 50部
シリカ分散液2 (シリカ固形分として) 50部
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール 18部
(アセトアセチル化度3%、ケン化度98%、平均重合度2350)
ノニオン性界面活性剤 0.3部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
固形分濃度が12%になるように水で調整した。
上記のようにして作製した記録シートのインク受容層におけるシリカ微粒子の平均二次粒子径(電子顕微鏡観察)は、いずれも100nm〜150nmの範囲内であった。各々の記録シートについて、実施例1と同様にして評価した結果を表2に示す。
Figure 2006205422
上記結果から、実施例1と同様に本発明の記録シート21〜29は、光干渉による着色現象及びインク受容層のひび割れの発生がなく、インク吸収性と光沢に優れていることが分かる。
実施例1のポリオレフィン樹脂被覆紙支持体上に、下記組成の下塗り層をポリビニルアルコールの塗布量が0.3g/m2となるように塗布乾燥した。
<下塗り層2>
未変性ポリビニルアルコール 100部
(ケン化度88%、平均重合度500)
アジピン酸ジヒドラジド 150部
上記下塗り層の上に、実施例1の記録シート1〜9と同様にしてインク受容層塗布液と表面層塗布液を塗布し乾燥して記録シート1〜9に対応するそれぞれの記録シート31〜39を作製した。但し、架橋剤含有塗布液は塗布しなかった。
一方、比較例として、上記記録シート31の作製において、下塗り層2からアジピン酸ジヒドラジドを除いた以外は同様にして記録シート40を作製した。
上記のようにして作製した記録シートのインク受容層におけるシリカ微粒子の平均二次粒子径(電子顕微鏡観察)は、いずれも80nm〜120nmの範囲内であった。各々の記録シートについて、実施例1と同様にして評価した結果を表3に示す。
Figure 2006205422
上記結果から、本発明の記録シート31〜39は実施例1と同様に、光干渉による着色現象及びインク受容層のひび割れの発生がなく、インク吸収性と光沢に優れていることが分かる。一方、下塗り層に架橋剤を含有しない比較例の記録シート40は、ひび割れが発生し実用に供することができるものではなかった。尚、ひび割れが発生した記録シート40は、光沢値と光干渉による着色現象は評価しなかった。
実施例1の下塗り層を設けたポリオレフィン樹脂被覆紙支持体上に、下記組成のインク受容層塗布液をスライドビード塗布装置で、シリカの塗布量が21g/m2になるように塗布した。塗布後直ぐに5℃の空気で10秒間冷却し、次いで30℃の空気で塗布層中の固形分濃度が25%程度に上昇するまで乾燥し、該塗布層の上に実施例1の架橋剤含有塗布液を、スロットダイコーターで塗布し、80℃及び60℃の熱風を順次吹き付けて乾燥した(アジピン酸ジヒドラジドの塗布量は実施例1と同じ)。乾燥終了後に、実施例1の記録シート1〜9の表面層塗布液を同様に塗布し乾燥して、記録シート1〜9に対応するそれぞれの記録シート41〜49を作製した。
<インク受容層塗布液4>
シリカ分散液1 (シリカ固形分として)100部
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール 20部
(アセトアセチル化度3%、ケン化度98%、平均重合度2350)
ホウ酸 3部
ノニオン性界面活性剤 0.3部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
固形分濃度が9%になるように水で調整した。
上記のようにして作製した記録シートのインク受容層におけるシリカ微粒子の平均二次粒子径(電子顕微鏡観察)は、いずれも80nm〜120nmの範囲内であった。各々の記録シートについて、実施例1と同様にして評価した結果を表4に示す。
Figure 2006205422
上記結果から、本発明の記録シート41〜49は実施例1と同様に、光干渉による着色現象及びインク受容層のひび割れの発生がなく、インク吸収性と光沢に優れていることが分かる。

Claims (7)

  1. 支持体上に、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子とケト基を有する樹脂バインダーを含有する多孔質のインク受容層と、無機微粒子としてコロイダルシリカ及び屈折率が1.6以上の無機微粒子の中から選ばれる少なくとも一種を含有する表面層とを少なくとも有するインクジェット記録材料であって、前記インク受容層のケト基を有する樹脂バインダーは架橋剤によって架橋されており、かつ前記表面層の無機微粒子の塗布量が0.3g/m2以下であることを特徴とするインクジェット記録材料。
  2. 前記ケト基を有する樹脂バインダーが、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールである請求項1に記載のインクジェット記録材料。
  3. 前記支持体と前記インク受容層との間に下塗り層を有し、該下塗り層が前記ケト基を有する樹脂バインダーの架橋剤を含有する請求項1に記載のインクジェット記録材料。
  4. 前記架橋剤が、ジヒドラジド化合物及び多価金属塩の中から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載のインクジェット記録材料。
  5. 請求項1に記載のインクジェット記録材料の製造方法であって、前記インク受容層の塗布液と、ケト基を有する樹脂バインダーの架橋剤を含有する塗布液とを、支持体上に同時重層塗布し、その乾燥過程もしくは乾燥終了後に、前記表面層の塗布液を塗布し、乾燥することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
  6. 請求項1に記載のインクジェット記録材料の製造方法であって、前記支持体上に前記インク受容層の塗布液を塗布した後、その乾燥が終了するまでにケト基を有する樹脂バインダーの架橋剤を含有する塗布液を塗布し、更に、その乾燥過程もしくは乾燥終了後に、前記表面層の塗布液を塗布し、乾燥することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
  7. 請求項3に記載のインクジェット記録材料の製造方法であって、前記支持体上に前記下塗り層を塗布した後に、前記インク受容層の塗布液を塗布し、その乾燥過程もしくは乾燥終了後に、前記表面層の塗布液を塗布し、乾燥することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP2138320A1 (en) * 2008-06-25 2009-12-30 Canon Kabushiki Kaisha Ink jet recording medium
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