JP4504316B2 - インクジェット用記録材料 - Google Patents

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Description

本発明は光沢面印画紙に匹敵する極めて高い光沢と高いインク吸収性を持ち、染料インクの印字適性に優れ、かつ顔料インクを印字した際に印字部と白紙部の光沢度差による違和感が軽減され、顔料インクの耐擦過性に優れ、ギザローラー跡の付きにくいインクジェット用記録材料と、その製造方法に関する。
近年のインクジェット記録の飛躍的な技術革新に伴い、その精細な印字による画像は銀塩写真で得ることの出来るプリントに匹敵あるいは凌駕しつつある。特に顔料インクを用いたプリンタに関する技術革新が著しく、染料インクを用いたフォトプリンタの画質に匹敵するところまで印字品質が向上しつつある。
これらのプリンタに用いられる記録材料として、支持体上にシリカ等の顔料と、ポリビニルアルコール等の水溶性バインダーからなる、多孔質のインク受容層を設けてなるインクジェット用記録材料が知られており、例えば、平均二次粒子径が500nm以下まで粉砕・分散した気相法シリカや湿式法シリカ等をインク受容層の顔料として用いることが提案されている。例えば、特公平3−56552号、特開平10−119423号、特開2000−211235号、特開2000−309157号公報に気相法シリカの使用例が、特開平9−286165号、特開平10−181190号公報には粉砕した沈降法シリカの使用例が、特開2001−277712号公報には粉砕したゲル法シリカの使用例が開示されている。また、特開昭62−174183号、特開平2−276670号、特開平5−32037号、特開平6−199034号公報等にアルミナやアルミナ水和物を用いた記録材料が開示されている。
このような、多孔質のインク受容層を持つインクジェット用記録材料と染料インクを用いたインクジェット記録物では、外気に暴露された状態で経時した際に画像の濃度が低下するなど、画像の保存性に劣ることが知られている。
この画像の保存性を向上させるために、色剤として堅牢な顔料インクを用いることが知られている。しかしながら、染料インクは色素が単分子で存在しているため、多孔質のインク受容層の内部へ浸透し画像を形成するが、顔料インクは顔料インク粒子が、多孔質のインク受容層の表面に被膜となり画像を形成するために、表面が擦過された際に画像を形成している顔料インク粒子が削り取られ、画像が傷つく、画像濃度が低下する等の問題を有している。この問題をインク受容層表面の状態を変化させることで改善した顔料インク用インクジェット用記録材料が提案されており、例えば特開2001−96907号には、JIS−B−0601によるインク受理層表面の十点平均粗さが8μm以上とする発明が開示されている。
また、同様の問題点をインク受容層の表面に顔料インクの接着性を向上させるための表面層を設ける事で改善したインクジェット用記録材料が提案されており、例えば特開2001−270231号には、エマルジョンタイプの樹脂とポリビニルアルコールなどの接着剤からなる表面層を0.3g/m2〜3g/m2の塗布量で最表層に設ける発明が開示されている。
更に、プリンターではプリンター内部に、インクジェット用記録材料の保持を目的に、巾の非常に狭い歯車状のロール(以下ギザロールとする)が多数取り付けられている。これは、インクが打ち込まれた直後に接するロールであるため、通常の円柱状のロールを用いると、表面が湿潤状態にある画像を乱してしまうので、歯車の歯の部分が接するようにすることで、見かけ上接触面積を極小化して、画像に与える影響を少なくしたロールである。しかしながら、染料インクを用いた画像形成ではインク受容層内部に画像を形成するため、ギザロールの歯があたった部分に形成される窪みは目立たないが、顔料インクでは、顔料インクが形成した皮膜に孔を開けてしまうため、有る程度以上のサイズになると、識別出来るようになり、画像の品位を下げてしまう問題があった。これは、多数の印字を行い、ギザロール表面が汚れてくると発生しやすく、解決が望まれていた。
顔料インクにより形成された画像には、画像様の光沢ムラが発生することが知られている。これは、100nm程度の顔料インク粒子が多孔質のインク受容層表面に皮膜を形成すると、本来多孔質であるために低かった表面反射率が、被膜形成により均一な面となり反射率が増加し光沢が高くなる現象であり、そのため、画像濃度に相関を持つ光沢ムラが発生し、画像の品位が下がってしまう。このグロスディファレンシャルと呼ばれる現象を改善するべく、例えば特開2001−341409号(特許文献1)に記載されているが如く、インク受容層を微粒面に塗布する事や、特開2003−200649号(特許文献2)等に記載されている如く、インク受容層上に有機粒子を含有する多孔質層を設ける事が開示されている。
しかしながら、近年の顔料インクプリンタにおいては、シアン・イエロー・マゼンタ・ブラックの4色のみならず、ライトシアン・ライトマゼンタなどの淡色インクを低印字濃度領域に用い、画像の粒状感を低減せしめることが行われており、このライトシアン・ライトマゼンタなどの淡色インクは、顔料インク粒子のサイズを小さくしたり、バインダーとして混ぜられる樹脂量を多くする事により実現されているため、従来の顔料インク以上に印字部の光沢が高くなりやすい。そのため、上述したような従来から知られている記録材料では、やはり画像状に光沢度が変化するグロスディファレンシャルが発生する事となり、満足のいく印字品質を得る事は出来なかった。
特開2001−341409号公報 特開2003−200649号公報
本発明の目的は、光沢面印画紙に匹敵する極めて高い光沢と高いインク吸収性を持ち、染料インクの印字適性に優れ、かつ顔料インクを印字した際に印字部と白紙部の光沢度差による違和感が軽減され、顔料インクの耐擦過性に優れ、ギザローラー跡の付きにくいインクジェット用記録材料と、その製造方法を提供する。
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
持体上に、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子と樹脂バインダーを含有する多孔質のインク受容層と、粒子径15nm以上400nm以下の有機微粒子もしくは粒子径15nm以上400nm以下の有機微粒子と粒子径80nm以下の無機微粒子から実質的に構成される表面層を有するインクジェット用記録材料であって、前記支持体上に前記インク受容層の塗布液を塗布し、乾燥過程中の減率乾燥領域以後、もしくは乾燥終了後に、前記表面層の塗布液をインク受容層の空隙容量以下で、塗布液を塗布巾方向に均一に流出するためのスリットを持つ塗布装置あるいはグラビアロールを使用する塗布装置を用いて前計量にて塗布し、乾燥して得たものであり、前記表面層中に前記微粒子を98質量%以上含有し、前記表面層を構成する有機微粒子の比率が少なくとも50体積%以上であり、前記表面層の厚みは200nm以下であり、インクジェット用記録材料表面がJIS−B−0601に規定される基準長2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの算術平均粗さ(Ra)が0.2μm以下であり、JIS−Z−8741による20度鏡面光沢度が60%以上120%以下である事を特徴とするインクジェット用記録材料。
本発明によれば、光沢面印画紙に匹敵する極めて高い光沢と高いインク吸収性を持ち、染料インクの印字適性に優れ、かつ顔料インクを印字した際に印字部と白紙部の光沢度差による違和感が軽減され、顔料インクの耐擦過性に優れ、ギザローラー跡の付きにくいインクジェット用記録材料を製造することが可能となる。
本発明のインク受容層に用いられる平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子としては、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン等公知の各種微粒子が挙げられるが、インク吸収性と生産性の点で非晶質合成シリカ、アルミナ又はアルミナ水和物が好ましい。
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ、及びその他に大別することができる。湿式法シリカは、更に製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の行程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソーシリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシールとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子どうしを結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソーシリカ(株)からニップゲルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして市販さている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、ケイ酸ソーダの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
本発明には、気相法シリカが好ましく使用できる。本発明に用いられる気相法シリカの平均一次粒子径は30nm以下が好ましく、より高い光沢を得るためには、15nm以下が好ましい。更に好ましくは平均一次粒子径が3〜15nm(特に3〜10nm)でかつBET法による比表面積が200m2/g以上(好ましくは250〜500m2/g)のものを用いることである。なお、本発明でいう平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として平均粒子径を求めたものであり、本発明でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて表面積が得られる。
気相法シリカは、カチオン性化合物の存在下で分散するのが好ましい。分散された気相法シリカの平均二次粒子径は500nm以下、好ましくは10〜300nm、更に好ましくは20〜200nmである。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。なお、本発明でいう平均二次粒子径とは、透過型電子顕微鏡による写真撮影で求めることが出来るが、簡易的にはレーザー散乱式の粒度分布計(例えば、堀場製作所製、LA910)を用いて、個数メジアン径として測定することが出来る。
本発明では、平均二次粒子径500nm以下に粉砕した湿式法シリカも好ましく使用できる。ここで用いられる湿式法シリカとしては沈降法シリカあるいはゲル法シリカが好ましく、特に沈降法シリカが好ましい。本発明に用いられる湿式法シリカ粒子としては、平均一次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、かつ平均凝集粒子径が5〜50μmである湿式法シリカ粒子が好ましく、これをカチオン性化合物の存在下で平均二次粒子径500nm以下、好ましくは10〜300nm程度まで、更に好ましくは20〜200nm程度まで微粉砕した湿式法シリカ微粒子を使用することが好ましい。
通常の方法で製造された湿式法シリカは、1μm以上の平均凝集粒子径を有するため、これを微粉砕して使用する。粉砕方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。この際、分散液の初期粘度上昇が抑制され、高濃度分散が可能となり、粉砕・分散効率が上昇してより微粒子に粉砕することができることから、平均凝集粒子径5μm以上の沈降法シリカを使用することが好ましい。高濃度分散液を使用することによって、記録用紙の生産性も向上する。
本発明における平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカ微粒子を得る具体的な方法について説明する。まず、水を主体とする分散媒中にシリカ粒子とカチオン性化合物を混合し、のこぎり歯状ブレード型分散機、プロペラ羽根型分散機、またはローターステーター型分散機等の分散装置の少なくとも1つを用いて予備分散液を得る。必要であれば水分散媒中に適度の低沸点溶剤等を添加してもよい。シリカ予備分散液の固形分濃度は高い方が好ましいが、あまり高濃度になると分散不可能となるため、好ましい範囲としては15〜40質量%、より好ましくは20〜35質量%である。次に、シリカ予備分散液をより強い剪断力を持つ機械的手段にかけてシリカ粒子を粉砕し、平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカ微粒子分散液が得られる。機械的手段としては公知の方法が採用でき、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機及び薄膜旋回型分散機等を使用することができる。
上記気相法シリカ及び湿式法シリカの分散に使用するカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーを好ましく使用できる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号、特開昭59−33176号、特開昭59−33177号、特開昭59−155088号、特開昭60−11389号、特開昭60−49990号、特開昭60−83882号、特開昭60−109894号、特開昭62−198493号、特開昭63−49478号、特開昭63−115780号、特開昭63−280681号、特開平1−40371号、特開平6−234268号、特開平7−125411号、特開平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性および分散液粘度の面で、これらのカチオン性ポリマーの質量平均分子量は2,000〜10万程度が好ましく、特に2,000〜3万程度が好ましい。
本発明に使用するアルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で平均二次粒子径を500nm以下、好ましくは20〜300nm程度まで粉砕したものが使用できる。
本発明のアルミナ水和物はAl23・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。nが1の場合がベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1より大きく3未満の場合が擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表す。アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均二次粒子径は500nm以下、好ましくは20〜300nmである。
本発明に用いられる上記のアルミナ、及びアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ぎ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。
上記した無機微粒子の中から2種以上の無機微粒子を併用することもできる。例えば、微粉砕した湿式法シリカと気相法シリカとの併用、微粉砕した湿式法シリカとアルミナあるいはアルミナ水和物との併用、気相法シリカとアルミナあるいはアルミナ水和物との併用が挙げられる。この併用の場合の比率は、いずれの態様も、7:3〜3:7の範囲が好ましい。
本発明のインク受容層において、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子の含有量は、インク受容層の全固形分に対して50質量%以上であるのが好ましく、60質量%以上がより好ましく、特に65〜90質量%の範囲が好ましい。このように無機微粒子の含有比率が高いインク受容層は、空隙率の高い多孔質なインク受容層となる。
本発明において、インク受容層を構成する無機微粒子とともに用いられるインク受容層を構成するバインダーとしては、公知の各種バインダーを用いることができるが、透明性が高くインクのより高い浸透性が得られる親水性バインダーが好ましく用いられる。親水性バインダーの使用に当たっては、親水性バインダーがインクの初期の浸透時に膨潤して空隙を塞いでしまわないことが重要であり、この観点から比較的室温付近で膨潤性の低い親水性バインダーが好ましく用いられる。好ましい親水性バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールや、カチオン変成ポリビニルアルコールである。
ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したものである。平均重合度200〜5000のものが好ましい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
本発明は、インク受容層を構成する上記親水性バインダーと共に必要に応じ硬膜剤を用いることもできる。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類の如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
親水性バインダーとしてケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したポリビニルアルコールを用いる場合には、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類が好ましく、ホウ酸が特に好ましい。
また、インク受容層を構成する親水性のバインダーとしてケト基を有する樹脂バインダーを用いる事も出来る。ケト基を有する樹脂バインダーは、ケト基を有するモノマーと他のモノマーを共重合する方法等によって合成することができる。ケト基を有するモノマーの具体例としては、アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリレート、アセトアセトキシエチルメタクレート、4−ビニルアセトアセトアニリド、アセトアセチルアリルアミド等が挙げられる。また、ポリマー反応でケト基を導入してもよく、例えばヒドロキシ基やアミノ基とジケテンとの反応等によってアセトアセチル基を導入することができる。ケト基を有する樹脂バインダーの具体例としては、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性セルロース誘導体、アセトアセチル変性澱粉、ジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコール、特開平10−157283号公報に記載の樹脂バインダー等が挙げられる。本発明では、特にケト基を有する変性ポリビニルアルコールが好ましい。ケト基を有する変性ポリビニルアルコールとしては、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
アセトアセチル変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールとジケテンの反応等の公知の方法によって製造することができる。アセトアセチル化度は0.1〜20モル%が好ましく、更に1〜15モル%が好ましい。ケン化度は80モル%以上が好ましく、更に85モル%以上が好ましい。重合度としては、500〜5000のものが好ましく、特に2000〜4500のものが更に好ましい。
ジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコールは、ジアセトンアクリルアミド−酢酸ビニル共重合体をケン化する等公知の方法によって製造することができる。ジアセトンアクリルアミド単位の含有量としては、0.1〜15モル%の範囲が好ましく、更に0.5〜10モル%の範囲が好ましい。ケン化度としては85モル%以上、重合度としては500〜5000のものが好ましい。
本発明において、インク受容層に含有するケト基を有する樹脂バインダーは、その架橋剤で架橋される事が好ましい。かかる架橋剤としては以下の化合物が挙げられる。
(1)ポリアミン類
脂肪族ポリアミン類;
・アルキレンジアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)、
・ポリアルキレンポリアミン(例えば、ジエチレントリアミン、イミノビス(プロピルアミン)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなど)、
・これらのアルキルまたはヒドロキシアルキル置換体(例えば、アミノエチルエタノールアミン、メチルイミノビス(プロピルアミン)など)
・脂環または複素環含有脂肪族ポリアミン(例えば、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど)
・芳香環含有脂肪族アミン類(例えば、キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミンなど)
C4〜C15の脂環式ポリアミン;
例えば、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、4,4´−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等。
C4〜C15の複素環式ポリアミン;
例えば、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノピペラジン等。
C6〜C20の芳香族ポリアミン類;
・非置換芳香族ポリアミン(たとえば1,2−,1,3−および1,4−フェニレンジアミン、2,4´−および4,4´−ジフェニルメタンジアミン、ポリフェニルポリメチレンポリアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン,チオジアニリン,ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4´,4”−トリアミン、ナフチレンジアミンなど)
・核置換アルキル基(たとえばC1〜C4のアルキル基)を有する芳香族ポリアミン(例えば、2,4−および2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン,4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、4,4´−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3´,5,5´−テトラメチルベンジジン、3,3´,5,5´−テトライソプロピルベンジジン、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラブチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3´−メチル−2´,4−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジイソプロピル−3´−メチル−2´,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジエチル−2,2´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、3,3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジアミノジフェニルスルホンなど)
ポリアミドポリアミン;
例えば、ジカルボン酸(ダイマー酸など)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類:(上記アルキレンジアミン,ポリアルキレンポリアミンなど)との縮合により得られる低分子量(例えば分子量200〜5000)ポリアミドポリアミンなど)
ポリエーテルポリアミン;
例えば、分子量100〜5000のポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコールなど)のシアノエチル化物の水素化物など)
(2)ジシアンジアミド誘導体;
ジシアンジアミド、ジシアンジアミド・ホルマリン重縮合物、ジシアンジアミド・ジエチレントリアミン重縮合物など。
(3)ヒドラジン化合物;
ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ヒドラジンの無機塩類(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、チオシアン酸、炭酸などの無機塩類)、ヒドラジンの有機塩類(例えば、ギ酸、シュウ酸などの有機塩類)。
(4)ポリヒドラジド化合物(ジヒドラジド、トリヒドラジド);
カルボヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド等。
(5)アルデヒド類;
ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド等のモノアルデヒド、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、1,8−オクタンジアール、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、両末端アルデヒド化PVA等のジアルデヒド類、アリリデン酢酸ビニルジアセテート共重合体をケン化して得られる側鎖アルデヒド含有共重合体、ジアルデヒド澱粉、ポリアクロレイン等。
(6)メチロール化合物;
メチロールホスフィン、ジメチロール尿素、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、尿素樹脂初期重合物、メラミン樹脂初期重合物等。
(7)活性化ビニル化合物;
ジビニルスルホン系化合物、β−ヒドロキシエチルスルホン系化合物等。
(8)エポキシ化合物;
エピクロルヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジ又はトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン、ポリエポキシ化合物等。
(9)イソシアネート系化合物;
トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパン−トリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス−4−フェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びこれらのケトオキシムブロック物又はフェノールブロック物、ポリイソシアネート等が挙げられる。
(10)フェノール系化合物;
フェノール系樹脂初期縮合物、レゾルシノール系樹脂等。
(11)多価金属塩;
・ジルコニウム塩(硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、フッ化ジルコニウム化合物等)
・チタン塩(4塩化チタン、乳酸チタン、テトライソプロピルチタネート等)
・アルミニウム塩(塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、乳酸アルミニウム等)
・カルシウム塩(塩化カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム等)
・マグネシウム塩(塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等)
・亜鉛塩(塩化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛等)
上記した架橋剤の中でも、ポリヒドラジド化合物、及び多価金属塩が好ましい。ポリヒドラジド化合物の中でも特にジヒドラジド化合物が好ましく、更にアジピン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジドが好ましい。多価金属塩としては、特にジルコニウム塩が好ましく、更に、オキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウムが好ましい。架橋剤の添加量は、ケト基を有する樹脂バインダーに対して1〜40質量%の範囲が適当であり、2〜30質量%の範囲が好ましく、特に3〜20質量%の範囲が好ましい。また、アセトアセチル変性、ジアセトンアクリルアミド変性された部位以外は、通常のポリビニルアルコールと同様の構造を持つため、硬膜剤を併用することが出来る。特にホウ砂あるいはホウ酸、ホウ酸塩を併用することが好ましい。
本発明では完全または部分ケン化のポリビニルアルコールや、カチオン変成ポリビニルアルコールと、ケト基を有する樹脂バインダーを併用することも可能であり、その場合には、硬膜剤あるいは架橋剤を併用することもできる。
本発明では、更に他の公知の樹脂バインダーを併用してもよい。例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、澱粉や各種変性澱粉、ゼラチンや各種変性ゼラチン、キトサン、カラギーナン、カゼイン、大豆蛋白、ポリビニルアルコールや各種変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等を必要に応じて併用することができる。更に、バインダー樹脂として各種ラテックスを併用してもよい。
インク受容層における樹脂バインダーの含有量は、前述した平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子に対して5〜40質量%の範囲が好ましく、特に10〜30質量%が好ましい。
インク受容層の乾燥塗布量は、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子に換算して10〜50g/m2の範囲が好ましく、12〜40g/m2の範囲がより好ましく、特に15〜35g/m2の範囲が好ましい。インク受容層には更に、カチオン性ポリマー、防腐剤、界面活性剤、着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などを添加することもできる。
インク受容層は、2層以上から構成されていてもよく、この場合、それらのインク受容層の構成はお互いに同じであっても異なっていても良い。
本発明で用いることのできる支持体としては、インク受容層および表面層の塗布、乾燥を行いインクジェット用記録材料として作製した後、JIS−B−0601に規定される基準長2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの算術平均粗さ(Ra)が0.2μm以下であれば、従来インクジェット用記録材料に用いられる公知のものを適宜使用することができる。本条件が満たされていれば、吸水性支持体、非吸水性支持体は問わない。
本発明で用いることのできる吸水性支持体としては、例えば、一般の上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙等の紙支持体や、合成紙等を挙げることができるが、紙支持体を用いることは、基材自身の吸水性によりインク溶媒を吸収出来ること、かつコスト的にも非吸水性支持体に対し優れている点から好ましい。紙支持体としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプを主原料としたものが使用可能である。又、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の各種繊維状物質も原料として適宜使用することができる。
上記紙支持体中には必要に応じて、サイズ剤、顔料、紙力増強剤、定着剤等、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することができる。
紙支持体は、前記の木材パルプなどの繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。又、必要に応じて抄紙段階又は抄紙後にスターチ、ポリビニルアルコール等を用い、サイズプレス処理を行う事も出来る。その他、各種コート処理、カレンダー処理、キャスト処理等を行っても良い。
非吸水性支持体としては、透明支持体及び不透明支持体がある。透明支持体としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアテセート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料を有するフィルム等を挙げることが出来、特にポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、50〜300μmが好ましい。非吸水性支持体をインクジェット用記録材料の基材として用いることは、印字された部分の寸法安定性に優れ、コックリングなどの印字障害を生じないため、好ましい。
また、不透明支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方にポリオレフィン樹脂被覆層を有するポリオレフィン樹脂被覆紙、ポリエチレンテレフタレートに酸化チタン、硫酸バリウム等の白色顔料の添加、あるいは微細な気泡を内部に形成した、いわゆるホワイトペット等を好ましく用いることが出来る。
ポリオレフィン樹脂被覆紙について以下に説明する。ポリオレフィン樹脂に被覆される原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ或いはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPの何れも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSP又はLDPの比率は10〜70質量%が好ましい。
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、エピクロルヒドリン等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
原紙の坪量は30〜450gが好ましく、特に50〜300gが好ましい。原紙の厚さは40〜350μmが好ましい。
原紙は抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS−P−8118)が一般的である。また、原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良い。
原紙の片面あるいは両面を被覆するポリオレフィンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
インク受容層側のポリオレフィン層には、ルチル又はアナターゼ型の酸化チタンを添加し、不透明度及び白色度を改良したものを用いることが好ましい。酸化チタン含有量はポリオレフィンに対して通常3〜20質量%、好ましくは4〜13質量%である。また、目的に応じ蛍光増白顔料等をポリオレフィン樹脂中に添加することも出来る。
支持体、特に耐水性支持体であるフィルムやポリオレフィン樹脂被覆紙を使用する場合には、インク受容層を設ける面上に天然高分子化合物や合成樹脂を主体とするプライマー層を設ける事が好ましい。天然高分子化合物としては、ゼラチン、カゼイン等を、合成樹脂としては、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニリデン、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。プライマー層は、支持体上に0.01〜5μmの膜厚(乾燥膜厚)で設けられる。好ましくは0.01〜2μmの範囲である。
本発明における支持体には筆記性、帯電防止性、搬送性、カール調整などのために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、各種親水性バインダー、各種ラテックス、各種顔料、硬化剤、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
本発明のインク受容層塗布液を塗布する場合には、塗布に先立ってコロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、プラズマ処理等を施すことが好ましい。
本発明において、インク受容層上に表面層が設けられたインクジェット用記録材料の表面は、JIS−B−0601に規定される基準長4.0mm(5λ)、カットオフ値0.8mmで測定したときの算術平均粗さ(Ra)は0.2μm以下であり、0.15μm以下が好ましい。0.2μmを超えると、可視光の反射に対して散乱の影響を与えはじめるため、フォトライクな光沢とは言い難くなる。
本発明において、JIS−Z−8741に規定される20°光沢度数値(%)は60%以上120%以下である。これは顔料インク印字部分の光沢度と近い光沢度を白紙に持たせることにより、印字部分と非印字部分、あるいは印字濃度の低い顔料インクがまばらに印字されている部分の光沢度の差異を少なくする、つまりグロスディファレンシャルを少なくするためである。この20°光沢は60%以上であり、65%以上が好ましい。120%を超えると、逆に顔料インクが印字された部分の光沢が相対的に低くなりすぎるため、画像中の白紙が見える部分、例えば青空中の雲の部分などの光沢度が高くなり、不自然な印象を与え好ましくない。この20°光沢は120%以下であり、好ましくは100%以下である。印字物を観賞する際には、正面から見ることが多いため、20°の光沢度で、印字部分と非印字部分の光沢度差を少なくすることが好ましく、厳密には、印字される顔料インクの色、濃度など、種々のパラメータにより印字部の光沢度は変化するため、カラーチャートを作成し、各色印字部光沢度が均一となるように、使用する顔料プリンタに合わせて、表面層を設計することが好ましい。
本発明のインクジェット用記録材料は、支持体上に形成された多孔質のインク受容層の上に、光沢度の増加や顔料インク粒子の定着性等を向上せしめることを目的とする表面層を設けるが、光沢度の増加に関しては、表面層を高反射率光学薄膜として機能させることにより20°光沢において60%以上の高い光沢度を実現している。
光学薄膜とは、一般的に厚みが200nm程度以下の可視光において透明な薄膜の事を示し、光学薄膜の下側に存在する層の屈折率が光学薄膜の屈折率より高ければ反射率が低下、つまり光沢が低下し、逆に低ければ反射率が増加、つまり光沢が向上する。これは、光学薄膜とその下側に存在する層との界面において、入射光の位相変化を伴った反射が発生するためであり、光学薄膜の屈折率がその下側に存在する層の屈折率よりも高い場合、表面の反射光と界面の反射光の位相が揃う反射となり、反射率つまり光沢度が著しく増大する。
表面層を光学薄膜として機能せしめるには、この下側に存在する層、つまり本発明におけるインク受容層と表面層との間に界面が明確に形成されている事が好ましい。例えば、インク受容層と表面層の同時重層塗布を行い同様の構成をもつインクジェット用記録材料を製造しようとしても、インク受容層と表面層の塗液が接する部分では塗液同士の局所的な混合が必ず生じるため、混合された部分の屈折率はインク受容層と表面層の中間値を持ち、インク受容層の屈折率から表面層の屈折率へとなだらかに変化する屈折率の傾斜を持つことになる。すると界面での反射率は著しく低下する、あるいは反射そのものが発生しなくなり、本発明が必要とする光沢度を得ることは出来なくなる。
本発明においては、表面層である光学薄膜は高い光沢を得るために形成するため、表面層の屈折率は、下側に存在する層であるインク受容層よりも高くする事が必要である。また、この表面層はインク成分(染料インクであればインクそのもの、顔料インクであれば顔料を分散している水や高沸点有機溶媒)の透過性が必要である。そのため多孔質構造を取る事が好ましいが、表面層の厚みは200nm以下という薄膜であるため、可視光の波長より小さい100nm程度の少数の孔が空いている程度でも充分な吸収性を維持することが出来る。例えば、樹脂粒子が変形融着成膜しており、所々孔が空いている状態であってもインク吸収性に与える影響は非常に少ない。これは、インク成分が通過する孔の深さが200nm程度と非常に短いため、表面層下に存在するインク受容層へインク成分が毛細管浸透する吸引力に対して、表面層の孔が与える圧力損失が問題となるレベルにはならないためである。しかしながら、表面層の厚みが増える、例えば表面層の厚みが200nmを超えると、光学干渉による着色が発生するだけではなく、この圧力損失が無視できないレベルとなり、インク吸収性が著しく劣化する。
表面層は、粒子径15nm以上の有機微粒子もしくは粒子径15nm以上の有機微粒子と粒子径80nm以下の無機微粒子から実質的に構成され、バインダー(接着剤)としての水溶性樹脂、例えばゼラチン、カゼイン、ポリビニルピロリドン、プルラン、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコールおよびこれらポリビニルアルコール類と他樹脂の共重合体、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等を含む事は、含有量が増えるに従いインク吸収性を劣化させるためあまり好ましくない。これは本発明において、一旦インク受容層を形成した後、表面層を形成することにより光学薄膜を得ているため、この表面層を形成する段階で上記水溶性樹脂がインク受容層表面で孔の無い極薄層の皮膜を形成してしまうためである。バインダーを添加する場合には、インク吸収性の劣化を少なくするために、表面層を構成する微粒子の固形分に対し、5質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは2質量%以下であり、一切添加しないことが特に好ましい。
表面層を形成する塗液に含まれる成分としては、上記微粒子と必要で有れば極少量のバインダー、微粒子の分散媒としての水あるいは有機溶剤以外に、各種界面活性剤、各種無機塩類(例えば酢酸ジルコニウム等)、各種画像保存剤、水溶性蛍光増白剤等、インク受容層表面に被膜を作るなどして局所的に残留せず、インク受容層側へ水あるいは有機溶剤と共に吸収される成分を含むことが出来、従って本発明において表面層が、粒子径15nm以上の有機微粒子もしくは粒子径15nm以上の有機微粒子と粒子径80nm以下の無機微粒子から実質的に構成されるとは、表面層中の微粒子が95質量%以上である事を示し、より好ましくは98質量%以上である事を示す。
表面層が粒子径15nm以上の有機微粒子と粒子径80nm以下の無機微粒子から実質的に構成される場合、有機微粒子は、顔料インクの擦過性の向上やギザロール跡を出にくくするため、少なくとも40体積%であり、好ましくは50体積%以上である。この体積%は、含有される有機微粒子および無機微粒子の質量を比重で割った値にて計算し、界面活性剤や無機塩類などインク受容層側に吸収され移動する成分や、表面層に形成されている孔の部分は計算しない。例えば有機微粒子にアクリル樹脂(比重1.19)を選択し、無機微粒子にコロイダルシリカ(比重2.1)を選択した場合、アクリル樹脂が40mg、コロイダルシリカが60mgを混合した場合、有機微粒子であるアクリル樹脂の体積%は(40/1.19)/(40/1.19+60/2.1)で計算し、結果は54体積%となる。表面層が、粒子径15nm以上の有機微粒子から構成される場合には、有機微粒子以外の表面層成分としては、必要で有れば添加する極少量のバインダーのみとなるので、少なくとも95質量%以上であり、バインダーとなる水溶性樹脂の比重を最小で1と見積もっても、95体積%以上となる。
顔料インクの定着性の向上やギザロール跡をより向上させるため、顔料インクにより画像が形成された後、インクジェット用記録材料を40℃以上に数秒間〜数分程度加熱する工程を有することも好ましく、プリンタ本体への組み込みあるいはオフライン処理により実施することが出来る。これは表面層中の有機微粒子の部分が加熱により軟化し、顔料インク粒子の接着力を高くするためだと考えている。
表面層の厚みは断面のSEM観察や超薄切片をTEM観察することで求めることが出来る。表面層の厚みに偏差が存在する場合には、平均厚みとして求めることが出来る。
表面層の厚みは、前述した如く、光学干渉を発生させず、インク吸収性を劣化させないために、200nm以下が好ましく、より好ましくは150nm以下であり、特に好ましくは120nm以下である。20°光沢値が60%以上確保できれば表面層の厚みの下限は特になく、例えば、超微粒子酸化チタンを含む場合には、その高い屈折率により、数十nm程度の薄膜でも本発明の光沢度を与えることが出来る。
本発明において、表面層を構成する無機微粒子の粒子径は80nm以下であることが好ましく、より好ましくは65nm以下であり、特に好ましくは50nm以下である。粒子径が80nmを超えると、光沢値が低下し、無機微粒子の定着性も低下するため好ましくない。粒子径の下限は特に無いが、3nm以上であることが好ましく、特に好ましくは6nm以上である。また、一次粒子が複数個結合した二次粒子を形成する場合には、その平均二次粒径は200nm以下であることが好ましく、150nm以下がより好ましく、更に100nm以下であることがより好ましい。
本発明に用いる無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白、酸化アンチモン類、アンチモン酸亜鉛、チタン酸鉛、チタン酸カリウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ハフニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化イットリウム、酸化クロム、酸化スズ、酸化モリブデン、ATO、ITO等があり、これらは単独あるいは混合して用いることが可能であり、これらの複合酸化物あるいは複合硫化物等についても広く用いることが出来る。また、酸化チタン、酸化亜鉛等光触媒活性をもつ無機微粒子の場合には、無機微粒子表面に極めて薄く、シリカ、アルミナ、ホウ素などによる被覆が行われていることが好ましい。また、無機微粒子と少量の有機高分子による複合粒子を用いた場合などでも、実質的には無機微粒子と見なす。この場合の無機微粒子と少量の有機高分子による複合粒子において、有機高分子/無機微粒子の質量比は概ね1/100〜1/4である。上記の無機微粒子の中でも、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化チタン(ルチル型およびアナターゼ型)が好ましい。また、表面層に用いるシリカに関し、コロイダルシリカあるいは気相法シリカを用いることが好ましく特に50nm以下のコロイダルシリカが好ましい。また、表面層に用いるアルミナに関し、γ型、θ型、ベーマイトや疑ベーマイト型が好ましい。
気相法シリカや、ベーマイトあるいは疑ベーマイト型のアルミナは、ポーラスな構造を取りやすいことが知られており、そのため表面層に微細な孔を形成し、インク吸収性を向上させる事が出来る。本発明に於いては、併用する有機微粒子を構成するポリマーの重合度が低く柔らかい場合に、インク受容層の細孔を封鎖しインク吸収性を低下させる場合があるが、体積%で20%以下の量を混合することにより、吸収性を向上させる事が出来る。しかし、ポーラスな構造が故に、表面層の空隙が不必要なレベルまで増加し、屈折率の低下を招き、本発明を満足する光沢度が得られない場合もあるので、最低限の添加量に抑えることが好ましい。
使用する無機微粒子は1種類であってもよいし、2種以上混合して用いても良い。2種以上の無機微粒子を混合して用いる場合には、表面電荷の符合が同じ無機微粒子を混合することが、表面層を形成する塗液の経時安定性の面から好ましい。
本発明において、表面層を構成する有機微粒子の粒子径は400nm以下で有ることが好ましく、より好ましくは300nm以下であり、特に好ましくは250nm以下である。400nmを超えると光沢値が低下し、本発明が必要とする20°光沢度60%以上を確保し難く好ましくない。
表面層の厚みは200nm以下が好ましいとしているのにも関わらず、400nmの有機微粒子を使用することは矛盾があるように見えるが、本発明に用いられるエマルジョン系の有機微粒子は無機微粒子と比較して柔らかく、本発明の如くインク受容層の空隙容量以下の塗布量とした表面層塗液を、剪断のかかる塗布方法を用い表面層の形成を行い、乾燥を行うと、塗液中では球形で存在していた有機微粒子は扁平な形状に変形し(若干の凸凹は残るが)、本発明の光沢値を満たす厚み200nm以下の光学薄膜を形成することができる。400nmを超えると光沢が低下するのは、粒子が変形し形成される光学薄膜が持つ、元の粒子径に起因する凸凹が可視光の波長に対し無視できない大きさとなり、散乱成分が増えるためと推測している。
ただし、1種類の有機微粒子のみあるいは無機微粒子との混合による表面層を形成する場合において、有機微粒子のガラス転移点あるいは最低造膜温度が50℃を超える場合には、無機微粒子の混合の有無によらず、粒径は80nm以下が好ましく、より好ましくは60nm以下であり、特に好ましくは40nm以下である。これは、表面層の塗布および乾燥工程中における有機微粒子の変形と、それに伴うインク受像層への結着が発生しにくいために、粒径が有る程度小さくないと、インク受像層や微粒子同士の接触点を十分に確保できないためである。
有機微粒子の粒径の下限は15nmであり、これより小さいとインク吸収性が劣化する。無機微粒子の場合には変形しないため、無機微粒子間の空隙が残りやすくインク吸収性の劣化が少ないが、有機微粒子の場合には柔らかいため変形して細孔を封鎖しやすく、15nm以上の粒径を持つことが好ましい。より好ましくは20nm以上である。
まとめると、ガラス転移点あるいは最低造膜温度が50℃を超える場合には、粒径15nmから80nmが好ましく、50℃未満の場合には15nmから400nmが好ましい。
本発明に用いる有機微粒子としては、媒質中に分散状態にあるポリマー微粒子のことであり、その材質として、例えば、アクリル重合体、スチレン−アクリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリオレフィン重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル等の多元共重合体、SBR、NBR、MBR、カルボキシル化SBR、カルボキシル化NBR、カルボキシル化MBR、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール系樹脂、ロジンエステル系樹脂、エピスルフィド系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アクリル樹脂等、従来公知のものから広く選ぶ事が出来る。また、これらのポリマーのモノマー中に屈折率を高める目的で硫黄原子を導入したものや、耐候性を向上させる、あるいは屈折率を下げるためにフッ素置換基を導入したものも好ましく用いることが出来る。例えば屈折率が高いポリマー微粒子を用いた場合には、同じ光沢値が必要とされる場合に表面層の塗布量をより少なくすることが出来る。なお、本発明に用いる有機微粒子は、水系エマルジョンとして調製し用いることが好ましく、成膜助剤として有機溶剤を若干含んでいても良い。
使用する有機微粒子は1種類であってもよいし、2種以上混合して用いても良く、ガラス転移点あるいは最低造膜温度が異なる種類の有機微粒子を混合して用いる事も、塗布時の剪断による変形を不均一とする効果により表面層中に孔を形成しやすくなるため好ましい。ガラス転移点あるいは最低造膜温度が50℃を超える粒子を用いる場合には、ガラス転移点あるいは最低造膜温度が50℃以下であり、粒子径が20nm以上400nm以下の有機微粒子を混合して用いることも好ましい。2種以上の有機微粒子を混合して用いる場合には、表面電荷の符合が同じ有機微粒子を混合することが、表面層を形成する塗液の経時安定性の面から好ましい。
また、これら微粒子のモノマー組成、粒子径、重合度の異なる複数の重合体が混合されて単一粒子内に存在する異相構造粒子を使用することもできる。
異相構造微粒子としては、特にその構造は限定しない。異相構造粒子の構造例及び調整方法は「合成ラテックスの応用(杉村孝明・片岡靖男・鈴木聡一・笠原啓司編集(株)高分子刊行会発行(1993))」に記載されている。例として、コア−シェル構造、複合構造、局在構造、だるま状構造、ラズベリー状構造、多粒子複合構造、みずかき構造、IPN(相互貫入網目構造)などがあるが、本発明においてそれらの構造は特に限定はしない。
異相構造微粒子を用いる場合、ガラス転移点が異なる部位を持つことも好ましい。これは表面層塗布後の乾燥工程中あるいは巻き取り後の保管時に適当な温度を与えることで、ガラス転移点がより低い部位の軟化を促し、粒子間の結着力を増加させる事が出来るからである。異相構造粒子中にガラス転移点30℃以下の部位を持つことが好ましく、より好ましくは10℃以下である。例えばコア−シェル構造を持つ場合、シェル部分のガラス転移点をコア部分よりも低く設計する事が好ましい。粒子全体に対するガラス転移点が低い部位の比率は、体積で20%から90%である事が好ましい。
従来、最表層に有機微粒子を含む場合、該有機微粒子のガラス転移点あるいは最低造膜温度が、製造時の乾燥工程中、あるいは保存時の上限環境温度(例えば50℃)以下の粒子は、乾燥工程あるいは保存過程において、相互に融着しインク吸収性を劣化させる事が知られていたが(例えば特開2003−200649号公報)、本発明の如く、200nm以下の薄層かつ水溶性樹脂を一切含まない表面層においては、加圧して高温環境下に保存したとしても、表面層に形成された孔が封鎖されることはなく、インク吸収性は低下しない。また、例えばインクジェット用記録材料が枚葉状に重ねられ加圧された状態や、ロール状に堅く巻き取られた状態で高温環境下に保存された場合においても、ブロッキングなどの現象は生じない。これは表面層の厚みが200nm以下と極めて薄いため、裏面との接触が例え加圧されていても点接触となり、ブロッキングには至らないものと考えている。
有機微粒子と無機微粒子を併用する場合には、混合するのみならず、有機微粒子層と無機微粒子層に分離していても良く、層を分離する場合には顔料インクの耐擦過性を高める観点から有機微粒子を上の層とすることが好ましい。しかしながら、無機微粒子層と有機微粒子層の屈折率をコントロールすることが必要であり、表層中の下層側となる無機微粒子層に、屈折率の高い酸化チタン等を用いると、光沢を高めるための光学薄膜ではなく、光沢を低下させる光学薄膜となる場合もあるため、無機微粒子層には屈折率が比較的低いシリカなどの素材を選択することが好ましい。なお、表面層塗布液中に有機微粒子と有機微粒子を混合して塗布する場合には、表面電荷の符合が同じ有機微粒子と無機微粒子を混合することが、表面層塗布液の経時安定性の面から好ましい。
表面層塗布液中の有機微粒子あるいは無機微粒子の濃度は、0.05〜5質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量%の範囲であり、特に0.15〜2質量%の範囲が好ましい。
表面層塗布液中には、表面層のみに残留しない各種添加剤を加えることが出来る。例えば、各種画像保存性改良剤、各種界面活性剤、各種蛍光増白剤など、各種公知の物質を目的に応じ自由に添加することが出来る。
本発明において、インク受容層の上への表面層塗布液の塗布は、インク受容層の塗布液を塗布し、乾燥過程中の減率乾燥領域以後、もしくは乾燥終了後に行う。詳しくは、支持体上に塗布されたインク受容層が完全に乾燥した後、あるいは乾燥過程でインク受容層中に空隙が形成される減率乾燥領域に到達した後に、表面層塗布液を塗布する時点におけるインク受容層の空隙容量以下の塗布量に調整し塗布を行う。空隙が形成された後に空隙容量以下の表面層塗布液を塗布することにより、表面層塗布液がインク受容層中に急激に吸収され、この吸収時の圧力により表面層塗布液中に分散している無機微粒子や有機微粒子がインク受容層表面上に強く押しつけられ、インク受容層との間に結着力が生じる、所謂圧着と同様の事象が発現し表面層がインク受像層上に明確な界面を保持して固定される。
インク受容層の空隙容量を超えた量の塗布を行うと、吸収されなかった塗液が表面に残留するため、吸収が進んでいる段階でインク受容層表面に堆積していた有機微粒子や無機微粒子の間に水が存在する形でゆっくりと乾燥するため、インク受容層に対する表面層の結着力が十分に得られなかったり、表面層を構成する有機微粒子や無機微粒子の間隔が粗になるため、表面層の屈折率の低下とそれによる光沢度低下が発生してしまうため、好ましくない。
表面層塗布液の塗布は、減率乾燥領域以降であれば良いが、減率乾燥領域においても、乾燥過程の進行により、インク受容層がその乾燥過程時点で持つ空隙容量は増大する。表面層塗布液を塗布する時点でのインク受容層の空隙容量が大きければ多いほど、前述した吸収時の圧力による有機微粒子や無機微粒子の圧着や配列が良好になるため、減率乾燥領域でも後半に塗布することが好ましく、乾燥終了後に表面層塗布液の塗布を行うことがより好ましい。生産性は低下するが、インク受容層を塗布した後に一旦巻き取り、その後再び塗布しても良いし、巻き取り後に加温、調湿などのアニール処理を行った後、塗布しても良い。
本発明でいうインク受容層の空隙容量とは、水銀ポロシメーター(測定器名称 Autopore II 9220 製造者 micromeritics instrument corporation)を用い測定・処理された、インク受容層部分における細孔半径3nmから400nmまでの累積細孔容積(mL/g)に、インク受容層の塗布固形分(g/平方メートル)を乗ずる事で、単位面積(平方メートル)当たりの数値として求める事が出来る。
また、表面層塗布液の塗布は、剪断速度1000(1/S)以上を与えて塗布することが好ましい。これは、剪断を与えることで表面層の有機微粒子や無機微粒子が均一に配列するため、厚みが均一な表面層を形成できることと、有機微粒子が剪断を受ける事により、剪断方向に扁平に変形した状態になりながらインク受容層表面に吸着されるため、表面層の厚みよりも大きい有機微粒子を用いることが出来るためである。
この様に、正確な塗布量を与え、表面層のインク受容層への圧着を阻害せず、せん断力を与える為に、前計量タイプの塗布装置を使用する事が必要であり、スライドビード、スロットダイのような塗布液を塗布巾方向に均一に流出するためのスリットを持つ塗布装置、あるいはグラビアロールを使用する塗布装置を用いることが好ましい。
前計量タイプの塗布装置について説明する。各種塗布方式は、前計量タイプと後計量タイプに大別できる。前計量タイプは、予め所定の塗布量になるように計量しておいた塗布液を塗布する方式である。後計量タイプは、所定の塗布量より過剰に塗布しておいてから、後で所定の塗布量になるように掻き取る塗布方式である。前計量タイプの塗布方式としては、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、スロットダイ方式、グラビアロール方式、スプレー方式等があり、後計量タイプの塗布方式としては、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。グラビアロール方式は、グラビアロール上に過剰に塗液を供給し、ブレードによりかき落とした後、基材に塗布を行う。塗布後に掻き取る工程を持たないため、前計量方式といえる。
本発明において、後計量タイプの塗布装置を用いると、表面層塗布液を過剰に塗布してから、表面層塗布液を所定の塗布量となるように掻き取る工程に到達するまでに、表面層塗液はインク受容層への吸収が進んでいるため、インク受容層の表面には、既に無機微粒子や有機微粒子が吸着を開始しており、この吸着されている状態が掻き取り工程により乱されるため、均一な表面層を形成することが出来ないため、好ましくない。
前計量タイプの塗布方式として、例えば特開2003−326836には、スロットノズルスプレーによる塗布方式が開示されているが、液滴の飛翔により塗布を行うスプレー塗布装置では、本発明に必要な剪断速度を得ることが困難である事と、液滴として塗液がインク受容層へ供給された場合、微視的には液滴の中心部では塗布量が多く、周辺部では少なくなる現象が発生するため、巨視的には均一に塗布が出来ても、本発明で必要な光の波長レベルでの均一性を得ることが困難であり、本発明に必要な光沢度を得ることが出来ない。
グラビアロールを使用する塗布装置として、基材(本発明の場合にはインク受容層が塗布された支持体)の進行方向に対して、接触するグラビアロールの面の進行方向が同一であるグラビア塗布装置と、反対方向に向いているリバースグラビア塗布装置がある。本発明において、グラビア塗布装置を用いる場合には、基材速度よりグラビアロールの周速を低下させ、剪断速度を与えるように塗布することが必要である。リバースグラビア塗布装置は、大きな剪断速度を与える事が出来るため好ましい。しかしながら、これらグラビア塗布装置を用いる場合において、グラビアロールの直径が大きい場合や、抱き角が大きい場合には、グラビアロールとインク受容層との接触時間が長くなるため、グラビアロールに接触している間に、表面層塗布液が吸収されてしまい、インク受容層表面に形成された表面層とグラビアロールとの物理的な接触が発生し、表面層が乱れ、充分な光沢度が得られなくなる場合がある。そのため、塗布速度やグラビアロールの直径、線数、基材の接触角度などを最適化する必要がある。
より好ましくは、使用するロールの直径を細くし、接触時間を出来る限り短くすることである。グラビアロールの中でも、ロールの直径が100mm以下の斜線グラビアロール(斜線の溝を有するグラビアロール)をリバース回転で使用することが特に好ましい。ロール直径のより好ましい範囲は20〜80mm程度である。
本発明において、インク受容層の塗布に用いられる塗布方式としては、公知の各種塗布方式を用いることができる。例えば、スライドビード方式、スライドカーテン方式、エクストルージョン方式、スロットダイ方式、グラビアロール方式、エアナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。
表面層塗布液の25℃における粘度は、10mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以下がより好ましく、特に1〜3mPa・sの範囲が好ましい。このように塗布液の粘度を低くすることによって、多孔質なインク受容層の空隙に塗布液中の溶媒(主に水)が急激に吸収される条件を作ることが出来る。
表面層塗布液の湿分塗布量は、25g/m2以下が好ましく、22g/m2以下がより好ましい。下限の湿分塗布量は、5g/m2程度である。このように湿分塗布量を少なくすることによって、多孔質なインク受容層の空隙に表面層塗布液の溶媒が瞬時に吸収される。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。なお、部及び%は、質量部及び質量%を示す。
《記録シート1の作製》
<ポリオレフィン樹脂被覆紙用原紙の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙とした。抄造した原紙に、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100部の樹脂に対して、10部のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、厚さ35μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し、表面(インク受容層塗設面)とした。もう一方の面には密度0.962g/cm3の高密度ポリエチレン樹脂70部と密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン樹脂30部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し、裏面とした。
上記ポリオレフィン樹脂被覆紙の表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成の下塗り層1をゼラチンの付着量が60mg/m2となるように塗布乾燥した。
<下塗り層1>
ゼラチン 100部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 8部
得られたポリオレフィン樹脂被覆紙のインク受容層塗設面を基準長4.0mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの算術平均粗さ(Ra)値は0.13μmであった。測定には(株)東京精密Surfcom1400A型を用いた。
上記下塗り層1の上に、下記組成のインク受容層塗布液1をスライドビード塗布装置を用いて塗布し、35℃及び50℃の熱風を順次吹き付けて乾燥した。乾燥終了後、更に下記組成の表面層塗布液1を斜線グラビアロールを用いた塗布装置にて塗布を行い、50℃の熱風を吹き付けて乾燥し、記録シート1を得た。ここで用いた斜線グラビアロールは、直径60mm、斜線角度45度、線数90線/インチ、溝深さ110ミクロンのグラビアロールでありリバース回転で用いた。インク受容層塗布液の塗布量は、シリカ固形分換算で21g/m2、表面層塗布液の塗布量は、有機微粒子固形分換算で0.1g/m2とした。尚、表面層塗布液の湿分塗布量は、斜線グラビアロールの回転数を調整し20g/m2に設定した。湿分塗布量は塗布中における単位時間当たりの塗液減少量から求めた。表面層塗液をインク受容層の上に塗布したところインク受容層の空隙に塗布液中の溶媒が瞬時に吸収され、均一な塗布面が得られた。
<シリカ分散液1の作製>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)4部と気相法シリカ(平均一次粒子径7nm、比表面積300m2/g)100部を添加し予備分散液を作製した後、高圧ホモジナイザーで処理して、固形分濃度20%のシリカ分散液を製造した。平均二次粒子径は130nmであった。
<インク受容層塗布液1>
シリカ分散液1 (シリカ固形分として)100部
ポリビニルアルコール 23部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ホウ酸 4部
ノニオン性界面活性剤 0.3部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
固形分濃度が12.85%になるように水で調整した。
<表面層塗布液1>
スチレンアクリル樹脂有機微粒子水分散体(濃度30%) 1.67部
(XMM−2030、三井化学株式会社、平均粒子径34nm、Tg60℃)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.5%)
得られた記録シート1の表面層側表面粗さを基準長4.0mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。測定には(株)東京精密Surfcom1400A型を用いた。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均140nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート2の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液2に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液2>
ウレタン樹脂有機微粒子水分散体(濃度34.4%) 0.73部
(スーパーフレックス130、第一工業製薬株式会社、平均粒子径20nm、
Tg101℃、MFT55℃)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.25%)
得られた記録シート2の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均70nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート3の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液3に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液3>
ウレタン樹脂有機微粒子水分散体(濃度30.3%) 0.83部
(スーパーフレックス820、第一工業製薬株式会社、平均粒子径30nm、
Tg46℃、MFT40℃)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.25%)
得られた記録シート3の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均60nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート4の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液4に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液4>
スチレンアクリル樹脂有機微粒子水分散体(濃度30%) 1.67部
(XMM−2024、三井化学株式会社、平均粒子径55nm、Tg100℃)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.5%)
得られた記録シート4の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均140nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート5の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液5に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液5>
スチレンアクリル樹脂有機微粒子水分散体(濃度29.9%) 1.67部
(XMM−2027、三井化学株式会社、平均粒子径97nm、
コアシェル型、コアTg60℃、シェルTg−20℃)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.5%)
得られた記録シート5の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均120nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート6の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液6に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液6>
スチレンアクリル樹脂有機微粒子水分散体(濃度29.9%) 1.00部
(XMM−2027、三井化学株式会社、平均粒子径97nm、
コアシェル型、コアTg60℃、シェルTg−20℃)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.3%)
得られた記録シート6の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均80nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート7の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液7に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液7>
エチレン酢酸ビニル樹脂有機微粒子水分散体(濃度55%) 0.91部
(スミカフレックス500、住友化学工業株式会社、平均粒子径300nm、
Tg0℃、MFT0℃)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.5%)
得られた記録シート7の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均130nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート8の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液8に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液8>
エチレン塩化ビニル樹脂有機微粒子水分散体(濃度50%) 0.5部
(スミエリート1010、住友化学工業株式会社、平均粒子径200nm、
Tg0℃、MFT2℃)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.25%)
得られた記録シート8の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均70nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート9の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液9に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液9>
エチレン塩化ビニル樹脂有機微粒子水分散体(濃度50%) 1.0部
(スミエリート1010、住友化学工業株式会社、平均粒子径200nm、
Tg0℃、MFT2℃)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.5%)
得られた記録シート9の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均130nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート10の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液10に変更し、塗布装置を斜線グラビアロールを用いた塗布装置からスライドビード塗布装置へ変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液10>
エチレン塩化ビニル樹脂有機微粒子水分散体(濃度50%) 1.0部
(スミエリート1010、住友化学工業株式会社、平均粒子径200nm、
Tg0℃、MFT2℃)
変成エタノール 10部
アルキレングリコール系ノニオン性界面活性剤 0.1部
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.5%)
得られた記録シート10の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.09μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均130nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート11の作製》
上記記録シート10の塗布装置をスライドビード塗布装置からスロットダイによるスロットコーター変更した以外は記録シート10と同様にして作成した。
得られた記録シート11の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均130nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート12の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液11に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液11>
エチレン塩化ビニル樹脂有機微粒子水分散体(濃度50%) 1.5部
(スミエリート1010、住友化学工業株式会社、平均粒子径200nm、
Tg0℃、MFT2℃)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.75%)
得られた記録シート12の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均180nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート13の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液12に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液12>
エチレン塩化ビニルアクリル酸エステル樹脂有機微粒子水分散体(濃度50%) 1.0部
(スミエリート1320、住友化学工業株式会社、平均粒子径200nm、
Tg30℃、MFT40℃)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.5%)
得られた記録シート13の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.12μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均120nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート14の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液13に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液13>
ウレタン樹脂有機微粒子水分散体(濃度40%) 1.25部
(スーパーフレックス860、第一工業製薬株式会社、平均粒子径200nm、
Tg36℃、MFT28℃)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.5%)
得られた記録シート14の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.08μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均150nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート15の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液14に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液14>
アクリロニトリルブタジエン系樹脂有機微粒子水分散体(濃度38%) 1.32部
(Nipol1577、日本ゼオン株式会社、平均粒子径40nm、Tg26℃)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.5%)
得られた記録シート15の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.12μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均140nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート16の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液15に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液15>
フルオロオレフィンビニルエステル系樹脂有機微粒子水分散体(濃度45%)
1.11部
(フルオネートFEM610、大日本インキ化学工業株式会社、平均粒子径200nm、 MFT30℃)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.5%)
得られた記録シート16の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均100nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート17の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液16に変更し、塗布装置を斜線グラビアロールを用いた塗布装置からスライドビード塗布装置へ変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液16>
フルオロオレフィンビニルエステル系樹脂有機微粒子水分散体(濃度45%)
1.11部
(フルオネートFEM610、大日本インキ化学工業株式会社、平均粒子径200nm、 MFT30℃)
変成エタノール 10部
アルキレングリコール系ノニオン性界面活性剤 0.1部
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.5%)
得られた記録シート17の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.07μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均100nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート18の作製》
上記記録シート17の塗布装置をスライドビード塗布装置からスロットダイによるスロットコーター変更した以外は記録シート17と同様にして作製した。
得られた記録シート18の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均100nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート19の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液17に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液17>
スチレンアクリル樹脂有機微粒子水分散体(濃度29.9%) 1.67部
(XMM−2027、三井化学株式会社、平均粒子径97nm、
コアシェル型、コアTg60℃、シェルTg−20℃)
酸化セリウム水分散体(濃度15%) 1.33部
(ニードラールU−15、多木化学株式会社、粒子径8nm)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.5%、無機微粒子濃度0.2%)
スチレンアクリル樹脂の比重を1.08、酸化セリウムの比重を7.3として、体積%を算出すると、有機微粒子94.4体積%、無機微粒子5.6体積%となった。
得られた記録シート19の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均120nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート20の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液18に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液18>
エチレン塩化ビニル樹脂有機微粒子水分散体(濃度50%) 0.4部
(スミエリート1010、住友化学工業株式会社、平均粒子径200nm、
Tg0℃、MFT2℃)
五酸化アンチモン水分散体(濃度48.5%) 1.24部
(A−2550、日産化学工業株式会社、粒子径40nm)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.2%、無機微粒子濃度0.6%)
エチレン塩化ビニル樹脂の比重を1.11、五酸化アンチモンの比重を3.78として、体積%を算出すると、有機微粒子53.2体積%、無機微粒子46.8体積%となった。
得られた記録シート20の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均100nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート21の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液19に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液19>
スチレンアクリル樹脂有機微粒子水分散体(濃度29.9%) 0.67部
(XMM−2027、三井化学株式会社、平均粒子径97nm、
コアシェル型、コアTg60℃、シェルTg−20℃)
酸化ジルコニウム水分散体(濃度20%) 1.5部
(ZR50/20、Nyacol Nano Technologies,Inc.製、粒子径50nm)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.2%、無機微粒子濃度0.3%)
スチレンアクリル樹脂の比重を1.08、酸化ジルコニウムの比重を5.56として、体積%を算出すると、有機微粒子77体積%、無機微粒子23体積%となった。
得られた記録シート21の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均110nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート22の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液20に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液20>
エチレン塩化ビニル樹脂有機微粒子水分散体(濃度50%) 0.4部
(スミエリート1010、住友化学工業株式会社、平均粒子径200nm、
Tg0℃、MFT2℃)
コロイダルシリカ水分散体(濃度20%) 1.5部
(クォートロンPL−3L、扶桑化学工業株式会社、粒子径35nm)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.2%、無機微粒子濃度0.3%)
エチレン塩化ビニル樹脂の比重を1.11、コロイダルシリカ比重を2.1として、体積%を算出すると、有機微粒子55.8体積%、無機微粒子44.2体積%となった。
得られた記録シート22の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.11μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均120nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート23の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液21に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液21>
エチレン塩化ビニル樹脂有機微粒子水分散体(濃度50%) 1.5部
(スミエリート1010、住友化学工業株式会社、平均粒子径200nm、
Tg0℃、MFT2℃)
シリカ分散液1(平均一次粒子径7nm、 濃度20%) 0.5部
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.75%、無機微粒子濃度0.1%)
エチレン塩化ビニル樹脂の比重を1.11、気相法シリカ真比重を2.1として、体積%を算出すると、有機微粒子93体積%、無機微粒子7体積%となった。
得られた記録シート23の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.1μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均200nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート24の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液22に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液22>
エチレン塩化ビニル樹脂有機微粒子水分散体(濃度50%) 1.5部
(スミエリート1010、住友化学工業株式会社、平均粒子径200nm、
Tg0℃、MFT2℃)
アルミナ水和物分散液1(平均一次粒子径15nm、濃度30%) 0.33部
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.75%、無機微粒子濃度0.1%)
エチレン塩化ビニル樹脂の比重を1.11、アルミナ水和物真比重を2.9として、体積%を算出すると、有機微粒子95体積%、無機微粒子5体積%となった。
得られた記録シート24の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.1μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均190nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート25の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液23に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液23>
エチレン塩化ビニル樹脂有機微粒子水分散体(濃度50%) 0.5部
(スミエリート1010、住友化学工業株式会社、平均粒子径200nm、
Tg0℃、MFT2℃)
アナターゼ型酸化チタン水分散体(濃度6%) 1.67部
(タイノックA−6、多木化学株式会社、粒子径10nm)
(平均一次粒子径15nm、濃度30%) 1.57部
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.25%、無機微粒子濃度0.1%)
エチレン塩化ビニル樹脂の比重を1.11、アナターゼ型酸化チタン比重を3.9として、体積%を算出すると、有機微粒子90体積%、無機微粒子10体積%となった。
得られた記録シート25の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.1μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均70nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート26の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液24に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液24>
エチレン塩化ビニル樹脂有機微粒子水分散体(濃度50%) 0.5部
(スミエリート1010、住友化学工業株式会社、平均粒子径200nm、
Tg0℃、MFT2℃)
超微粒子酸化亜鉛粉体 0.1部
(NANOFINE−50 堺化学工業株式会社 粒子径20nm)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.25%、無機微粒子濃度0.1%)
エチレン塩化ビニル樹脂の比重を1.11、酸化亜鉛比重を5.4として、体積%を算出すると、有機微粒子92体積%、無機微粒子8体積%となった。
得られた記録シート26の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.1μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均70nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート27の作製》
上記記録シート6のインク受容層塗布液1を、下記組成のインク受容層塗布液2に変更し、インク受容層塗布液2を下層、架橋剤含有塗布液を上層にしてスライドビード塗布装置にて同時重層塗布を行い、乾燥後表面層塗布液の塗布を行った。インク受容層塗布液2の塗布量はシリカ固形分換算で21g/m2、架橋剤含有塗布液の塗布量はアジピン酸ジヒドラジド換算で0.45g/m2とした以外は記録シート6と同様にして作製した。
<インク受容層塗布液2>
シリカ分散液1 (シリカ固形分として)100部
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール 23部
(アセトアセチル化度3%、ケン化度98%、平均重合度2350)
ノニオン性界面活性剤 0.3部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
固形分濃度が12.51%になるように水で調整した。
<架橋剤含有塗布液>
アジピン酸ジヒドラジド 100部
塩化ナトリウム 0.6部
ノニオン性界面活性剤 2部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
水にて全量を2000部とした。
得られた記録シート27の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均80nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート28の作製》
上記記録シート6のインク受容層塗布液1を、下記組成のインク受容層塗布液3に変更し、インク受容層塗布液3の塗布量はシリカ固形分換算で22g/m2とした以外は記録シート6と同様にして作製した。
<シリカ分散液2>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)4部と沈降法シリカ(吸油量200ml/100g、平均一次粒子径16nm、平均凝集粒子径9μm)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して予備分散液を作製した。次に得られた予備分散液をビーズミルで処理して、固形分濃度30%のシリカ分散液2を得た。平均二次粒子径は200nmであった。
<インク受容層塗布液3>
シリカ分散液1 (シリカ固形分として)50部
シリカ分散液2 (シリカ固形分として)50部
ポリビニルアルコール 18部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ホウ酸 3部
ノニオン性界面活性剤 0.3部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
固形分濃度が12.91%になるように水で調整した。
得られた記録シート28の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均80nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート29の作製》
上記記録シート6のインク受容層塗布液1を、下記組成のインク受容層塗布液4に変更し、インク受容層塗布液4の塗布量はアルミナ固形分換算で30g/m2とした以外は記録シート6と同様にして作製した。
<アルミナ水和物分散液1>
水に硝酸(2.5部)とアルミナ水和物(平均一次粒子径15nm)を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を用いて、固形分濃度30%のアルミナ水和物分散液を作製した。平均二次粒子径は160nmであった。
<インク受容層塗布液4>
アルミナ水和物分散液1 (アルミナ水和物固形分として)100部
ポリビニルアルコール 12部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ホウ酸 0.5部
ノニオン性界面活性剤 0.3部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
固形分濃度が16.12%になるように水で調整した。
得られた記録シート29の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均80nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート30の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液25に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液25>
ウレタン樹脂有機微粒子水分散体(濃度25%) 1.0部
(スーパーフレックス600、第一工業製薬株式会社、平均粒子径10nm、
Tg70℃、MFT84℃)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.25%)
得られた記録シート30の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均70nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート31の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液26に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液26>
エチレン塩化ビニル樹脂有機微粒子水分散体(濃度50%) 2.0部
(スミエリート1010、住友化学工業株式会社、平均粒子径200nm、
Tg0℃、MFT2℃)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度1.0%)
得られた記録シート31の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均260nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート32の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液27に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液27>
スチレンアクリル樹脂有機微粒子水分散体(濃度30%) 1.67部
(XMM−2029、三井化学株式会社、平均粒子径69nm、
コアシェル型、コアTg60℃、シェルTg−20℃)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.5%)
得られた記録シート32の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平120nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート33の作製》
上記記録シート9の表面層塗布液9の塗布装置を、斜線グラビアロールを用いた塗布装置からスプレー塗布装置へ変更した以外は、記録シート9と同様にして作成した。
得られた記録シート33の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.15μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均170nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート34の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液28に変更し、スライドビード塗布装置を用い、インク受容層塗布液1と同時重層塗布を行い、35℃及び50℃の熱風を順次吹き付けて乾燥した。インク受容層塗布液1の塗布量は、シリカ固形分換算で21g/m2、表面層塗布液の塗布量は、有機微粒子固形分換算で0.1g/m2とした。
<表面層塗布液28>
スチレンアクリル樹脂有機微粒子水分散体(濃度29.9%) 1.67部
(XMM−2027、三井化学株式会社、平均粒子径97nm、
コアシェル型、コアTg60℃、シェルTg−20℃)
変成エタノール 10部
アルキレングリコール系ノニオン性界面活性剤 0.1部
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.5%)
得られた記録シート34の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、表面層を構成する有機微粒子は、インク受容層の気相法シリカやポリビニルアルコールと混ざっており、表面まで混合層となっていた。混合層の厚みは400nm程度であり、表面に近くなるほど、有機微粒子の比率が増える混合率の傾斜を示していた。
《記録シート35の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液29に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液29>
エチレン酢酸ビニル樹脂有機微粒子水分散体(濃度50%) 1.0部
(スミカフレックス752、住友化学工業株式会社、平均粒子径500nm、
Tg15℃、MFT9℃)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.5%)
得られた記録シート35の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.13μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均150nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート36の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液30に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液30>
エチレン酢酸ビニル樹脂有機微粒子水分散体(濃度50%) 1.0部
(スミカフレックス755、住友化学工業株式会社、平均粒子径500nm、
Tg−15℃、MFT0℃)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.5%)
得られた記録シート36の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.13μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均170nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート37の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液31に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液31>
コロイダルシリカ水分散体(濃度20%) 2.5部
(クォートロンPL−3L、扶桑化学工業株式会社、粒子径35nm)
水にて全量を100部とした。(無機微粒子濃度0.5%)
得られた記録シート37の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.1μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均90nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート38の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液32に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液32>
五酸化アンチモン水分散体(濃度48.5%) 1.24部
(A−2550、日産化学工業株式会社、粒子径40nm)
水にて全量を100部とした。(無機微粒子濃度0.6%)
得られた記録シート38の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.1μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均50nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート39の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液33に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液33>
スチレンアクリル樹脂有機微粒子水分散体(濃度29.9%) 0.67部
(XMM−2027、三井化学株式会社、平均粒子径97nm、
コアシェル型、コアTg60℃、シェルTg−20℃)
酸化ジルコニウム水分散体(濃度20%) 1.5部
(ZR100/20、Nyacol Nano Technologies,Inc.製、粒子径100nm)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.2%、無機微粒子濃度0.3%)
スチレンアクリル樹脂の比重を1.08、酸化ジルコニウムの比重を5.56として、体積%を算出すると、有機微粒子77体積%、無機微粒子23体積%となった。
得られた記録シート39の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.11μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均120nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート40の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液34に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液34>
スチレンアクリル樹脂有機微粒子水分散体(濃度30%) 1.67部
(XMM−2027、三井化学株式会社、平均粒子径55nm、Tg100℃)
水溶性ポリビニルアルコール樹脂水溶液(濃度8%) 1.25部
(PVA235 株式会社クラレ 重合度3500)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.5%)
得られた記録シート40の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均150nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート41の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液35に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液35>
エチレン塩化ビニル樹脂有機微粒子水分散体(濃度50%) 0.8部
(スミエリート1010、住友化学工業株式会社、平均粒子径200nm、
Tg0℃、MFT2℃)
水溶性ポリビニルアルコール樹脂水溶液(濃度8%) 1.25部
(PVA124 株式会社クラレ 重合度2400)
水にて全量を100部とした。
(有機微粒子濃度0.4%、ポリビニルアルコール濃度0.1%)
得られた記録シート41の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.10μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均120nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート42の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を、下記組成の表面層塗布液37に変更した以外は記録シート1と同様にして作製した。
<表面層塗布液36>
エチレン塩化ビニル樹脂有機微粒子水分散体(濃度50%) 0.2部
(スミエリート1010、住友化学工業株式会社、平均粒子径200nm、
Tg0℃、MFT2℃)
コロイダルシリカ水分散体(濃度20%) 2.0部
(クォートロンPL−3L、扶桑化学工業株式会社、粒子径35nm)
水にて全量を100部とした。(有機微粒子濃度0.1%、無機微粒子濃度0.4%)
エチレン塩化ビニル樹脂の比重を1.11、コロイダルシリカ比重を2.1として、体積%を算出すると、有機微粒子32体積%、無機微粒子68体積%となった。
得られた記録シート42の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.09μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均140nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート43の作製》
上記記録シート3の作成において、使用するポリオレフィン樹脂被覆紙の表面作製時に使用するクーリングロールを微粗面加工から微粒面加工に変更する以外は記録シート3と同様にして作製した。
得られたポリオレフィン樹脂被覆紙のインク受容層塗設面を基準長4.0mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの算術平均粗さ(Ra)値は0.37μmであった。
得られた記録シート43の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.28μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均60nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート44の作製》
上記記録シート43の表面層塗布液3を、表面層塗布液5に変更した以外は記録シート43と同様にして作製した。
得られた記録シート44の表面層側表面粗さを同様に測定すると、算術平均粗さ(Ra)値は0.27μmであった。また、断面を走査型電子顕微鏡にて観察すると、平均120nmの厚みを持つ表面層が観察された。
《記録シート45の作製》
上記記録シート1の表面層塗布液1を塗布しない事以外は記録シート1と同様にして作製した。
《記録シート46の作製》
上記記録シート27の表面層塗布液1を塗布しない事以外は記録シート27と同様にして作製した。
《記録シート47の作製》
上記記録シート28の表面層塗布液1を塗布しない事以外は記録シート28と同様にして作製した。
《記録シート48の作製》
上記記録シート29の表面層塗布液1を塗布しない事以外は記録シート29と同様にして作製した。
上記記録シート1〜48について、下記の評価方法に準じて評価した結果を表1に示す。
<顔料インク吸収性>
市販の顔料インクを用いたインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PX−G920)にてレッド、ブルー、グリーン、ブラックのベタ印字を行い、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察した。下記の基準で評価した。なお、印字メディアにはセイコーエプソン写真用紙を選択し、ドライバーによる色補正は行わない設定とした。
○:転写しない。
△:印字部にごくわずかに転写が観察されるが、実用上問題ない。
×:印字部に転写が観察される。
<染料インク吸収性>
市販の染料インクを用いたインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PX−G820)にてレッド、ブルー、グリーン、ブラックのベタ印字を行い、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察した。下記の基準で評価した。また、PPC用紙を重ねていないブルーのベタ印字部分を遮光にて観察し、ブロンジング発生の有無を評価に加えた。なお、印字メディアにはエプソン写真用紙を選択し、ドライバーによる色補正は行わない設定とした。
○:転写せず、ブロンジングの発生も見られない。
△:転写せず、ブロンジングの発生は若干見られるが問題とはならないレベル。
×:印字部全体に濃い転写が観察され、強いブロンジングの発生が見られる。
<20度光沢>
白紙部の20度光沢度数値を、ISO準拠光沢計GM−26 PRO(株式会社村上色彩技術研究所製)で測定した。
<表面層定着性>
白紙部を指の腹で強く擦り、光沢の変化から表面層の定着性を評価した。
○:問題なし。
△:実用限界。
×:不可。
−:表面層が無いため評価対象外。
<顔料インク擦過性>
市販の顔料インクを用いたインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PX−G920)にてブラックのベタ印字を行い、印字後24時間経時後、爪及び指で擦ってインクの剥離を評価した。印字メディアにはセイコーエプソン写真用紙を選択し、ドライバーによる色補正は行わない設定とした。
○:問題なし。
△:実用限界。
×:不可。
−:インク吸収性不良により評価できず。
<ギザローラー耐久>
市販の顔料インクを用いたインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PX−G920)にてブラックのベタ印字をA4用紙に連続して行い、ギザローラー跡が白く抜ける現象が視認された枚数を記載した。最大印字枚数は500枚とした。ギザローラーは各評価毎に洗浄を行った。印字メディアにはセイコーエプソン写真用紙を選択し、ドライバーによる色補正は行わない設定とした。なお、「−」表記はインク吸収性不良により評価できなかった事を示す。
<光沢面印画紙同等性>
光沢面印画紙として三菱製紙株式会社製Grace印画紙(高級光沢印画紙)を未露光のまま処理を行ったサンプル(白紙)と、上記1〜45の各白紙サンプルとの光沢の同等感について目視評価した。
○:光沢面印画紙よりも光沢が高い。
△:光沢面印画紙と光沢が同等である。
×:光沢面印画紙より光沢が低い。
<白紙部の干渉着色>
表面層の光学干渉による、インクジェット用記録材料表面の着色を観察した。
○:着色は全く観察されない。
△:着色は観察されるが、非常に淡いため問題とはならない。
×:着色として認識される。
<印字部光沢差違>
画像作成ソフトを用い、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、ブルー、グリーン、ブラック各色を10%、20%、40%、60%、80%、100%の各濃度となるような矩形パターンを作製し、市販の顔料インクを用いたインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PX−G920)を用い、印字した。印字メディアにはセイコーエプソン写真用紙を選択し、ドライバーによる色補正は行わない設定とした。各濃度の矩形パターンの間には白地部分を残し、全体面積の40%は未印字とし白紙部分を残した。この印字物を用い、光沢の違和感の有無を評価した。
◎白紙部、印字部の光沢差違が非常に少なく、均一である。
○白紙部、印字部の光沢差違が少なく、比較的均一である。
△白紙部、印字部の光沢差違がある。
×白紙部、印字部の光沢差違が大きく、目立つ。
Figure 0004504316

表1から明らかなように、本発明による記録シート1〜26は、白紙光沢が極めて高く、高級光沢面印画紙と同等光沢を持ち、染料インクと顔料インクに対するインク吸収性が良く印字適性が有り、顔料インクの耐擦過性が良く、ギザロール耐久性の問題もなく、顔料インクで印字した際の印字部と白紙部の光沢差違も少ないことが判る。
上記記録シートの内、記録シート6と記録シート45について、以下の評価を行い、その結果を表2に示す。
<各印字部光沢値>
上記、印字部光沢差違試料の各印字部および白紙部の20度光沢値を、ISO準拠光沢計GM−26 PRO(株式会社村上色彩技術研究所製)で測定した。記録シート1種類あたり、印字部の合計43種の光沢データを示す。濃度0%位置に記載されている数値が、白紙光沢を示す。
Figure 0004504316
表2から明らかなように、本発明による表面層を設けた記録シート6は、各印字部の光沢度差が極めて低い事が判る。

Claims (1)

  1. 支持体上に、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子と樹脂バインダーを含有する多孔質のインク受容層と、粒子径15nm以上400nm以下の有機微粒子もしくは粒子径15nm以上400nm以下の有機微粒子と粒子径80nm以下の無機微粒子から実質的に構成される表面層を有するインクジェット用記録材料であって、前記支持体上に前記インク受容層の塗布液を塗布し、乾燥過程中の減率乾燥領域以後、もしくは乾燥終了後に、前記表面層の塗布液をインク受容層の空隙容量以下で、塗布液を塗布巾方向に均一に流出するためのスリットを持つ塗布装置あるいはグラビアロールを使用する塗布装置を用いて前計量にて塗布し、乾燥して得たものであり、前記表面層中に前記微粒子を98質量%以上含有し、前記表面層を構成する有機微粒子の比率が少なくとも50体積%以上であり、前記表面層の厚みは200nm以下であり、インクジェット用記録材料表面がJIS−B−0601に規定される基準長2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの算術平均粗さ(Ra)が0.2μm以下であり、JIS−Z−8741による20度鏡面光沢度が60%以上120%以下である事を特徴とするインクジェット用記録材料。
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