JP2018017967A - 偏光板保護フィルム、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

偏光板保護フィルム、偏光板及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】セルロースエステルを含有する層を有しながらも、高い層間密着性と低い透湿度とを示す偏光板保護フィルム、並びに、偏光板及び画像表示装置を提供する。【解決手段】セルロースエステルを含有する層と、セルロースエステルを含有する層の少なくとも一方の面に隣接して設けられた、ミクロ相分離構造を形成するポリマーを含有する層とを有する偏光板保護フィルムであって、ミクロ相分離構造を形成するポリマーが、ゴムセグメントを含有し、ブロック構造又はグラフト構造を有するポリマーであり、ミクロ相分離構造を形成するポリマーを含有する層がミクロ相分離している、偏光板保護フィルム、この偏光板保護フィルムを有する偏光板、並びに、画像表示装置。【選択図】図1

Description

本発明は、偏光板保護フィルム、この偏光板保護フィルムを用いた偏光板、及び画像表示装置に関する。
エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)に代表される画像表示装置は、通常、偏光子の表面に光学フィルムが積層された偏光板を備えている。このような偏光板としては、例えば、熱可塑性樹脂からなる複数の層を所定厚みで有し、所定の透湿度を示す保護フィルムと、偏光子と、所定のレターデーション比の光学異方体を備えた偏光板が特許文献1に記載されている。
また、特許文献2において、偏光子の保護フィルムとして、基材フィルムと、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物を含有する第1層形成用硬化性組成物を硬化して形成された、所定の弾性率を示す第1層と、環状脂肪族炭化水素基とエチレン性不飽和二重結合を有する化合物等を含有する第2層形成用硬化性組成物を硬化して形成された第2層とを、この順に有する光学フィルムが、提案されている。
特開2007−233215号公報 特開2016−33623号公報
上述の画像表示装置は、その薄型化への要求が益々高まっている。また、屋外用途をはじめとして画像表示装置の使用環境は多様化しており、画像表示装置には従来に比べて過酷な環境下でも良好な画像品質を安定して維持できる性能(高度な耐久性)が求められるようになっている。
画像表示装置における画像品質の低下は、水分が偏光板内部へと進入し、偏光子を劣化させることが一因とされる。上述の要求を満たすため、偏光子に積層される光学フィルムにも薄膜化が求められている。ところが、光学フィルムを薄膜化すると水分が偏光子とより接触しやすくなり、偏光子が劣化しやすくなる。また、画像品質の低下は、屋外用途等の過酷環境下での使用においてより顕在化する。このように、光学フィルムを薄膜化した際、又は、過酷環境下で使用する際には、とりわけ、水分の侵入を効果的に防ぐことができず、改善の余地があることが明らかとなってきた。
ところで、偏光子の劣化は、偏光子を保護する保護フィルムに疎水性の層(水分が透過しにくい層)を設けることにより、抑えることが可能になると考えられる。しかし、セルロースエステルを含有する層は、光学フィルムとして適した特性を示すものの、疎水性の層との積層界面での密着性(層間密着性)に乏しく、疎水性の層と剥離しやすいことが分かった。
本発明は、セルロースエステルを含有する層を有しながらも、高い層間密着性と低い透湿度とを示し、偏光子の保護フィルムとして用いた際に偏光子の劣化を効果的に抑えることができる偏光板保護フィルム、この偏光板保護フィルムを用いた偏光板、並びにこの偏光板を用いた画像表示装置を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、セルロースエステルを含有する層の表面に、ゴムセグメントを含有する特定の一次構造を有するポリマーを用いてポリマー層を形成し、更にこのポリマー層をミクロ相分離させた場合に、高い層間密着性と低い透湿度とを示すこと、また、セルロースエステルを含有する層と上記ポリマー層とを有する偏光板保護フィルムを偏光子の保護フィルムとして用いることにより、偏光子の劣化を効果的に抑えることができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づき、更に検討を重ね、完成されるに至ったものである。
本発明の上記課題は下記の手段により解決された。
<1>セルロースエステルを含有する層と、セルロースエステルを含有する層の少なくとも一方の面に隣接して設けられた、ミクロ相分離構造を形成するポリマーを含有する層とを有する偏光板保護フィルムであって、
ミクロ相分離構造を形成するポリマーが、ゴムセグメントを含有し、ブロック構造又はグラフト構造を有するポリマーであり、
ミクロ相分離構造を形成するポリマーを含有する層が、ミクロ相分離している、
偏光板保護フィルム。
<2>ミクロ相分離構造を形成するポリマーを含有する層が、ラメラ構造又は球状構造にミクロ相分離している<1>に記載の偏光板保護フィルム。
<3>ミクロ相分離構造を形成するポリマーを含有する層が、ラメラ構造にミクロ相分離している<1>又は<2>に記載の偏光板保護フィルム。
<4>ミクロ相分離構造を形成するポリマーが、樹脂セグメントを含有する<1>〜<3>のいずれか1つに記載の偏光板保護フィルム。
<5>樹脂セグメントが、下記一般式(1)又は一般式(2)で表わされる繰り返し単位を少なくとも1種有する<4>に記載の偏光板保護フィルム。
Figure 2018017967
一般式(1)中、R11〜R14は、各々独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を示す。
一般式(2)中、R21〜R25は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R26〜R28は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基を示す。
*は、結合部を示す。
<6>ゴムセグメントが、下記一般式(3)で表わされる繰り返し単位を少なくとも1種有する<1>〜<5>のいずれか1つに記載の偏光板保護フィルム。
Figure 2018017967
一般式(3)中、R31〜R34は各々独立に水素原子又はアルキル基を示す。
*は、結合部を示す。
<7>セルロースエステルが、セルロースアシレートである<1>〜<6>のいずれか1つに記載の偏光板保護フィルム。
<8>ポリマー層の、上記セルロースエステルを含有する層と反対側の表面に設けられた、セルロースエステルを含有する層を有する<1>〜<7>のいずれか1つに記載の偏光板保護フィルム。
<9>偏光子と、偏光子の少なくとも一方の面に設けられた、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の偏光板保護フィルムとを有する偏光板。
<10>上記<9>に記載の偏光板を有する画像表示装置。
本発明の偏光板保護フィルムは、セルロースエステルを含有する層を有しながらも、セルロースエステルを含有する層との層間密着性が強固で、低透湿度(高防湿性)を示す。本発明の偏光板保護フィルムは、偏光子と重ね合わされることにより、偏光子の劣化を効果的に抑えることができる。
また、本発明の偏光板及び画像表示装置は、上記の特性を示す偏光板保護フィルムを利用して、偏光子の劣化を効果的に抑制でき、高い耐久性を示す。
本明細書において、偏光子の劣化を抑制する程度を「偏光子耐久性」又は「偏光板耐久性」ともいう。
図1は、本発明の偏光板保護フィルムの好ましい一実施形態を示す断面図である。 図2は、本発明の偏光板保護フィルムの別の好ましい一実施形態を示す断面図である。 図3は、本発明の偏光板保護フィルムを組み込んだ偏光板を備えた液晶表示装置の一実施形態について、その概略を示す模式図である。
本明細書において「〜」で表される数値範囲は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味である。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基や連結基等(以下、置換基等という)が複数あるとき、あるいは複数の置換基等を同時若しくは択一的に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよいことを意味する。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、複数の置換基等が近接(特に隣接)するときにはそれらが互いに連結したり縮環したりして環を形成していてもよい意味である。
本明細書において化合物の表示については、化合物そのものの他、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、目的の効果を損なわない範囲で、構造の一部を変化させたものを含む意味である。なお、化合物の塩としては、例えば、化合物と無機酸若しくは有機酸とで形成された、化合物の酸付加塩、又は、化合物と無機塩基若しくは有機塩基とで形成された、化合物の塩基付加塩等が挙げられる。また、化合物のイオンとしては、例えば、上述の化合物の塩が水又は溶媒等に溶解して生成するイオンが挙げられる。
本明細書において置換、無置換を明記していない置換基(連結基についても同様)については、所望の効果を損なわない範囲で、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換、無置換を明記していない化合物又は繰り返し単位についても同義である。
また本明細書において、単に「置換基」という場合、特段の断りがない限り、下記置換基群Tから選択される基が挙げられる。また、特定の範囲を有する置換基が記載されているだけの場合(例えば「アルキル基」と記載されているだけの場合)、下記置換基群Tの対応する基(上記の場合はアルキル基)における好ましい範囲及び具体例が適用される。
本明細書において、ある基の炭素原子数を規定する場合、この炭素原子数は、基全体の炭素原子数を意味する。つまり、この基が更に置換基を有する形態である場合、この置換基を含めた全体の炭素原子数を意味する。
本明細書において、ある基が非環状骨格及び環状骨格を形成可能な場合、特段の断りがない限り、ある基は、非環状骨格の基と環状骨格の基を含む。例えば、アルキル基は、特段の断りがない限り、直鎖アルキル基、分岐アルキル基及び環状(シクロ)アルキル基を含む。ある基が環状骨格を形成する場合、環状骨格の基における炭素原子数の下限は、ある基において具体的に記載した炭素原子数の下限にかかわらず、3以上が好ましく、5以上が更に好ましい。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」との用語は、メタクリル酸及びアクリル酸の両方を包含する意味に用いる。このことは「(メタ)アクリルアミド」についても同様である。また、本明細書において、「アクリル酸」との用語は通常よりも広義の意味で用いている。すなわち、「アクリル酸」は、R−C(=CR )COOHの構造を有する化合物すべてを包含する意味に用いる(R及びRは各々独立に水素原子又は置換基を示す。ただし、Rがメチルである場合、メタクリル酸を意味する))。このことは、「アクリルアミド」についても同様である。
置換基群T:
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8のものであり、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基等が挙げられる。シクロアルキル基の場合、炭素原子数は、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜12、特に好ましくは3〜8のものである。例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基等が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基等が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基等が挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等が挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等が挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜16、特に好ましくは0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基等が挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基等が挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルチオ基等が挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメシル基、トシル基等が挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基等が挙げられる。)、ウレタン基、ウレイド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基等が挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミド等が挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子が挙げられ、5員環若しくは6員環又はこれらの縮合環が好ましい。具体的には、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基等が挙げられる。)、及び、シリル基(好ましくは、炭素原子数3〜40、より好ましくは3〜30、特に好ましくは3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる)。
これらの置換基は更に置換基を有してもよい。また、置換基が2つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、隣接する置換基は互いに連結して環を形成してもよい。
本発明の好ましい実施形態について以下に説明する。
[偏光板保護フィルム]
まず、本発明の偏光板保護フィルムの層構造について、説明する。
本発明の偏光板保護フィルムは、セルロースエステルを含有する層(セルロースエステル層ともいう。)と、このセルロースエステル層の表面に隣接して設けられた、ミクロ相分離構造を形成するポリマーを含有する層(ポリマー層ともいう。)とを有する。
ポリマー層は、セルロースエステル層の少なくとも一方の表面に隣接して設けられていればよく、両表面に隣接して設けられていてもよい。
本発明において、隣接して設けるとは、セルロースエステル層とポリマー層との間に両層を密着又は接着させる密着性層(接着剤層)等を介することなく設けること、すなわち、両層を直接積層(重ね合わせた)状態に設けることを意味する。
本発明の偏光板保護フィルムは、上記層構造を有していれば、その他の構成は特に限定されない。
例えば、ポリマー層として組成比が異なる2層以上のポリマー層をセルロースエステル層上に設けてもよい。また、ポリマー層の、上記セルロースエステル層とは反対側の表面に、更にセルロースエステル層を有していてもよい。更に、ポリマー層又はセルロースエステル層の表面に、特定の機能に特化した各種機能層を有していてもよい。このような機能層としては、例えば、ハードコート層、反射防止層、光散乱層、防汚層又は帯電防止層等が挙げられる。
ポリマー層は、後述するように、ミクロ相分離構造を形成するポリマーを含有しており、これにより、高い弾性率を示す。そのため、本発明の偏光板保護フィルムは、ポリマー層を単に補強するための保護層を設けなくてもよい。ポリマー層を単に補強するためではなく、用途等に応じて要求される特性を満たすのにポリマー層を保護する必要がある場合には、当然に、上記のハードコート層等の保護層を設けることができる。
本発明の好ましい実施形態としての偏光板保護フィルム10Aは、図1に示されるように、セルロースエステル層11と、セルロースエステル層11の一方の表面に隣接して設けられたポリマー層12とを有する。
また、図2に示されるように、本発明の別の好ましい実施形態としての偏光板保護フィルム10Bは、セルロースエステル層11と、セルロースエステル層11の一方の表面に隣接して設けられたポリマー層12と、ポリマー層12の、セルロースエステル層11と反対側の表面に、好ましくは隣接して、設けられたセルロースエステル層11とを有する。すなわち、この偏光板保護フィルム10Bは、ポリマー層12の表面それぞれにセルロースエステル層11を有する。偏光板保護フィルム10Bにおいて、2つのセルロースエステル層11は、同一でも異なっていてもよく、用途、機能等に応じて適宜に決定される。
本発明において、後述するポリマー層を有する偏光板保護フィルムが、セルロースエステル層とポリマー層との層間密着性が強固で、低透湿度を示す理由は定かではないが、本発明者は次のように推定している。
ポリマー層は、後述するミクロ相分離構造を形成するポリマーを含有し、ミクロ相分離した状態にある。このポリマー層は、ミクロ相分離した後にも、ミクロ相分離構造を形成するポリマー中のゴムセグメントの疎水性を保持することができる。そのため、偏光板保護フィルムは低透湿度を示すと考えられる。
また、ミクロ相分離したポリマー層は、ポリマー層とセルロースエステル層の界面においてもミクロ相分離構造を形成している。例えば、ゴムセグメントと、このゴムセグメントに対して非相溶のセグメントからなる球状構造形成により、ポリマー層が界面形状として弾性率の凸凹(高低)、極性の分布等を有する面を上記界面に形成することで、セルロースエステル層に対して、いわゆる投錨効果を発現すると考えられる。また、ラメラ構造を形成した場合は、ゴムセグメントに対して非相溶の極性層が上記界面に形成することでセルロースエステル層との相互作用が強化されると考えられる。そのため、このポリマー層は、セルロースエステル層に対する層間密着性が強固になると考えられる。
本発明の偏光板保護フィルムは、上記特性に加えて、靱性にも優れる。ミクロ相分離構造を形成するポリマー中のゴムセグメントの柔軟性(低弾性率)によるものと考えられる。そのため、上述の強固な層間密着性と相まって、偏光板に用いた際に偏光板の裁断性改善に寄与する。
<ミクロ相分離構造を形成するポリマーを含有する層>
本発明の偏光板保護フィルムを構成するポリマー層について説明する。
ポリマー層は、ミクロ相分離構造を形成するポリマーを含有する。このポリマーは、後述するように、自己組織化等によりミクロ相分離してミクロ相分離構造を形成するポリマーであり、ポリマー層中においてはミクロ相分離した状態にある。
自己組織化とは、ミクロ相分離構造を形成するポリマーが(単独で)自律的に秩序を持つ構造(ミクロ相分離構造)を作り出す現象をいう。
本発明において、ミクロ相分離構造を形成するポリマーを、ミクロ相分離構造を形成している否かにかかわらず、便宜上、ミクロ相分離性ポリマーということがある。したがって、ミクロ相分離性ポリマーには、ミクロ相分離構造を形成した状態のポリマー(ポリマー層に含有されているポリマー)を含む。このミクロ相分離性ポリマーは、ポリマー層形成前においては、ミクロ相分離していても、いなくてもよい。
本発明において、「ポリマー層」とは、ミクロ相分離性ポリマーを層中に50質量%以上含有する層を意味する。ポリマー層中のポリマーの含有量は60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、85質量%以上が特に好ましい。ミクロ相分離性ポリマーの含有量が多いほど、セルロースエステル層との層間密着性をより高めることができ好ましい。そのため、ポリマー層中のミクロ相分離性ポリマーの含有量は100質量%でもよく、通常は99質量%以下である。上記ポリマー層中のミクロ相分離性ポリマーの含有量が100質量%でない場合、残部は、後述する各種の添加剤を含むことができる。
ミクロ相分離性ポリマーは2種以上を併用してもよい。すなわち、組成比及び/又は分子量が異なるポリマー同士を併用してもよい。この場合、ミクロ相分離性ポリマーの合計量が上記範囲内となる。
ポリマー層は、ミクロ相分離性ポリマーがミクロ相分離してなるミクロ相分離層であり、すなわち、層としてミクロ相分離した状態にある。
層としてミクロ相分離した状態とは、層全体(添加剤が占める領域を除く)がミクロ相分離した状態に加えて、セルロースエステル層との層間密着性及び低透湿度を損なわない範囲で、ミクロ相分離していない領域(添加剤が占める領域を除く)を有する状態を含む。例えば、ミクロ相分離していない領域は、ポリマー層を厚さ方向に切断した断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したときに、添加剤が占める面積を除いて、断面積全体に対して50%以下とすることができる。
ミクロ相分離とは、後述するミクロ相分離性ポリマーが、これを構成する各セグメントの構造又は性状等の違いにより、例えば、数nm〜数百nm、好ましくは数nm〜数十nmで微視的な相分離を形成する現象をいう。
本発明において、ミクロ相分離構造は、球状構造(スフィア構造)、ラメラ構造、共連続構造及びシリンダー構造等の各構造を含むが、ラメラ構造又は球状構造が好ましく、ラメラ構造がより好ましい。
ラメラ構造とは、ミクロ相分離性ポリマー(後述するゴムセグメント、非相溶のセグメント(以下、非相溶セグメントということがある。)等)が層状に相分離した層状構造をいう。層状構造は、ポリマー層の平面に沿って形成するものが好ましい。
ポリマー層がラメラ構造にミクロ相分離する場合、ゴムセグメントからなる層又は非相溶セグメントからなる層のいずれがセルロースエステル層に接する層状構造でもよいが、非相溶セグメントからなる層がセルロースエステル層に接する層状構造であることが、層間密着性の点で、好ましい。
球状構造とは、ミクロ相分離性ポリマーにおいて、一方のセグメントが、他方のセグメント中で、球状に層分離した海島構造をいう。
ミクロ相分離構造においては、ゴムセグメントは、海島構造のいずれを形成してもよいが、島構造を形成していることが、ポリマー層がゴムセグメントの弾性率を保持できる点で、好ましい。
本発明において、ポリマー層がミクロ相分離したか否か、及び、ミクロ相分離構造は、ポリマー層の断面をTEM等で観察することにより、確認できる。
− ミクロ相分離構造を形成するポリマー −
ポリマー層を形成するミクロ相分離性ポリマーは、ポリマー構造(一次構造)として、ブロック構造又はグラフト構造を有している。
ポリマーのミクロ相分離構造を形成又は制御する方法としては、種々の方法、例えば、任意の2種以上のポリマーを選んでそれらを混合する方法が挙げられる。具体的には、西敏夫・中嶋健著、「高分子ナノ材料(2005年)」共立出版発行所、2005年3月25日発行、第19頁に記載の化学的手法、物理的手法、表面・界面構造の制御等が挙げられる。本発明においては、化学的手法により混合(結合)したポリマーを用いて、ミクロ相分離層を形成する。化学的手法の中でも共重合体化により結合したポリマーを用いる。相溶性に乏しい異種の高分子鎖(セグメント)を共有結合で結合することにより、分子オーダーで相分離することが知られており、その相の大きさは通常数十nm程度になる。したがって、ポリマー層がこのようにミクロ相分離していると、相分離によるヘイズを生じにくく、本発明の偏光板保護フィルムを光学材料として好適に用いることができる。
共重合体の結合様式(一次構造)としては、ブロック構造、グラフト構造、スター構造又はブランチ構造等が挙げられるが、本発明においては、ブロック構造又はグラフト構造とする。これにより、強固な層間密着性と低透湿度とを両立できる。
ミクロ相分離性ポリマーは、その全体がブロック構造又はグラフト構造であってもよく(ブロック共重合体又はグラフト共重合体)、その一部にこれらの一次構造を有していてもよい。この場合、残部は、ランダム構造、スター構造又はブランチ構造等でもよい。
また、ミクロ相分離性ポリマーが有する上記一次構造は、ブロック構造又はグラフト構造のいずれか1種であることが好ましいが、これら2種でもよい。
ミクロ相分離性ポリマーが有する一次構造は、ミクロ層分離を可能とする通常の一次構造であればよいが、以下に簡単に説明する。
以下の説明において、「主鎖方向」とは、ミクロ相分離性ポリマーを形成する各セグメント(部分構造)において、このセグメントを形成する構造単位(繰り返し単位)の結合方向を意味する。
(ブロック構造)
本発明において、ブロック構造とは、少なくとも2種のセグメント同士が、それらの主鎖方向がミクロ相分離性ポリマー鎖内において単一の直線方向のみに、が結合した構造をいう。
ブロック構造は、上記したものであれば特に限定されず、例えば、セグメントAとセグメントBとが、ミクロ相分離性ポリマー鎖内において単一の直線方向に結合したブロック構造(A−B型。ジブロック構造ともいう。)が挙げられる。ブロック構造は、他にも、3種のセグメントが同様に結合した、A−B−A型若しくはA−B−C型のトリブロック構造等が挙げられる。本発明においては、ジブロック構造が好ましい。
ブロック構造を有するミクロ相分離性ポリマーは、ブロック共重合体の通常の重合方法により、得ることができる。例えば、リビングラジカル重合法、リビングカチオン重合、又は、リビングアニオン重合法が挙げられる。リビングラジカル重合法、リビングカチオン重合、又は、リビングアニオン重合法の例として、「精密ラジカル重合ガイドブック(Aldrich)」(URL:http://www.sigmaaldrich.com/japan/materialscience/polymer-science/crp-guide.html)、又は、遠藤剛編、澤本光男他著、「高分子の合成(上)−ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合」、講談社、2010年、p60、p105-108、p249-259及びp381-386を参照できる。
(グラフト構造)
本発明において、グラフト構造とは、下記の条件(G−1)〜(G−3)をともに満たすものを意味する。
(G−1)セグメントPAG1(幹ポリマーともいう)に対し、別のセグメントPBG1(枝ポリマーともいう)が1つ以上結合した構造である。
(G−2)ミクロ相分離性ポリマー鎖内において、上記セグメントPBG1の主鎖方向と、上記セグメントPAG1の主鎖方向とは異なる。
(G−3)上記セグメントPBG1に対し、上記セグメントPBG1の主鎖方向と異なる主鎖方向を有するセグメントPBG2が結合していない。
上記グラフト構造において、セグメントPAG1に結合するセグメントPBG1の数は、1個以上であればよく、ミクロ相分離性ポリマーの特性等に応じて適宜に決定される。例えば、200個以下とすることができる。
グラフト構造を有するミクロ相分離性ポリマーは、グラフト共重合体の通常の重合方法により、得ることができる。例えば、所謂grafting through法、所謂grafting to法又は所謂grafting from法が挙げられる。これらの詳細は、例えば、上記「高分子の合成(上)−ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合」のp60、p108-110及びp387-393を参照できる。
(スター構造)
本発明において、スター構造(星型構造)とは、下記の条件(S−1)〜(S−3)をともに満たすものを意味する。
(S−1)ミクロ相分離性ポリマー中に核を1つ有する。
(S−2)上記核に対し、セグメントPAS1が3つ以上結合している。
(S−3)上記セグメントPAS1に対し、上記セグメントPAS1の主鎖方向と異なる主鎖方向を有する別のセグメントPBS1が結合していない。
上記スター構造において、「核」とは、上記セグメントPAS1が結合可能な多分岐構造(基)を意味し、多数(例えば2〜12本)のセグメントPAS1が生える中心点となる。
スター構造を形成する核としては、通常用いられる化合物を特に限定されることなく、使用できる。例えば、核となる化合物として、有機化合物(例えば、多置換芳香族環、糖、カリックスアレン若しくはデンドリマー)、無機化合物(例えば、環状シロキサン若しくはリンアミド)、又は、中心に金属を有する多座金属錯体等が挙げられる。上述した核としては、上記「高分子の合成(上)−ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合」のp110-113を参照することができる。
(ブランチ構造)
本発明において、ブランチ構造とは、下記の条件(B−1)〜(B−3)をともに満たすものを意味する。
(B−1)ミクロ相分離性ポリマー中に核を1つ以上有する。
(B−2)上記核に対し、セグメントPAB1が2つ以上結合している。
(B−3)上記セグメントPAB1に対し、上記セグメントPAB1の主鎖方向と異なる主鎖方向を有する別のセグメントPBB1が(核を介して)結合している。
本発明において、上述した各一次構造は、それぞれ、次のようにして、同定することができる。すなわち、グラフト構造、スター構造及びブランチ構造は、静的光散乱測定から、平均2乗回転半径<S^2>を測定し、粒子の形状として、確認することができる。また、ブロック構造の有無は、核磁気共鳴(NMR)測定により、確認できる。
上記一次構造の同定については、「若手研究者のための有機・高分子測定ラボガイド」、講談社、2006年が参照できる。
ミクロ相分離性ポリマーは、上記ブロック構造又はグラフト構造を有し、ミクロ相分離することができるものであれば特に限定されないが、上記ブロック構造又はグラフト構造を形成するセグメントを少なくとも2種有する。
セグメントの数は、特に限定されないが、2〜5種が好ましく、2種又は3種がより好ましく、2種が特に好ましい。
ミクロ相分離性ポリマーがミクロ相分離するためには、少なくとも2種のセグメントが互いに非相溶であることが好ましい。ここで、非相溶とは、2つのセグメントの溶解度パラメータの距離Ra(例えば、「SP値 基礎・応用と計算方法」、情報機構、2005年発行、第43頁記載の方法で計算できる。)が、好ましくは5〜95、より好ましくは7〜55、更に好ましくは10〜25であることをいう。
このようなセグメントとして、例えば、後述するゴムセグメントと、非相溶セグメントとして後述する樹脂セグメントとが挙げられる。
本発明において、ゴムセグメントとは、ゴム由来のセグメントをいう。ゴムは、無定形かつ軟質のポリマーであって、一般的にガラス転移温度が室温(25℃)未満であり、室温においてゴム状態であるポリマーをいい、好ましくは、引張伸度が数十%〜数百%の大変形可能なポリマーである。一方、樹脂セグメントとは、ゴムに対して非相溶な樹脂に由来するセグメントをいう。樹脂は、一般的にガラス転移温度が室温以上であり、室温においてガラス状態である樹脂をいい、好ましくは、高い弾性率(1.5GPa以上)を示すポリマーである。
ガラス転移温度の測定方法は、示査走査熱量測定(DSC)又は動的粘弾性測定(DMA)等を用いることができる。
本発明において、ミクロ層分離構造は、ゴムセグメント及び非相溶セグメントの含有量(組成比)、溶解度パラメータの距離Ra(差異)等により、適宜に、決定される。一般的に、ミクロ相分離構造は、ゴムセグメント/非相溶セグメント成分比が小さい場合、ゴムセグメントを島、非相溶セグメントを海とした球状構造を形成し、ゴムセグメント/非相溶セグメント成分比が1に近い場合、ラメラ構造を形成し、ゴムセグメント/非相溶セグメント成分比が大きい場合、ゴムセグメントを海、非相溶セグメントを島とした球状構造を形成する。ただし、溶解度パラメータの差異が大きい場合、両セグメントの凝集力の差異に応じて、ミクロ相分離構造は、球状構造〜シリンダー構造〜ラメラ構造のいずれかを形成する。
ミクロ相分離性ポリマーは、少なくとも1種のゴムセグメントを有し、更に少なくとも1種の樹脂セグメントを非相溶セグメントとして有することが好ましい。ゴムセグメント及び樹脂セグメントの数は、特に限定されないが、それぞれ1種であることが好ましい。
ミクロ相分離性ポリマーがグラフト構造を有する場合、セグメントPBG1は、ゴムセグメント及び樹脂セグメントのいずれか、又は両方を有していてもよい。本発明においては、セグメントPAG1とセグメントPBG1の一方がゴムセグメントであり、他方が非相溶セグメントであることが好ましい。
− ミクロ相分離性ポリマーのゴムセグメント −
ゴムセグメントは、ゴムに由来のセグメントであり、例えば、ゴムから少なくとも1つの水素原子を除去した部分構造が挙げられる。
ゴムセグメントを導くゴムは、上述したポリマーに含まれるものであれば特に限定されない。ゴムの分類としては、主鎖構造によるもの、用途によるもの、日本工業規格(JIS) K6397によるもの等が挙げられる。例えば、主鎖構造による分類としては、主鎖中に二重結合を含むジエン系ゴムと、主鎖に二重結合を含まない非ジエン系ゴムに大別される。
ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)又はアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。中でも、イソプレンゴム又はブタジエンゴムが好ましい。
非ジエン系ゴムとしては、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)、ウレタンゴム(U)、シリコーンゴム(Q)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、アクリルゴム(ACM)、エピクロヒドリンゴム(CO、ECO)又はフッ素ゴム(FKM)等が挙げられる。中でも、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)又はアクリルゴムが好ましい。
ゴムセグメントに使用するゴムは、特に限定されないが、非ジエン系ゴムが偏光板耐久性の観点で好ましく用いられる。
このゴムセグメント(ゴム)のガラス転移温度は、上記範囲内であれば特に限定されず、好ましくは−130℃以上25℃未満、より好ましくは−130〜−10℃である。
また、ゴムセグメントの大きさは、ミクロ相分離により形成される構造に影響を与える。例えば、ゴムセグメント(ゴム)の重量平均分子量は、好ましくは500〜50,000、より好ましくは1,000〜20,000、更に好ましくは2,000〜1,0000である。重量平均分子量の測定方法は後述する。
ゴムセグメントは、上述のように、ゴムに由来するセグメントであり、上記ゴムを構成する構造単位を有する。この構造単位は、1種又は2種以上の繰り返し単位を有していてもよい。例えば、イソプレンゴムは、イソプレン由来の1種の繰り返し単位からなる構造単位を有している。これに対して、エチレンプロピレンゴム(EPM)は、エチレンとプロピレンとの共重合によって得られるゴムであり、エチレン成分及びプロピレン成分の両繰り返し単位からなる構造単位を有している。
ゴムセグメントは、一般式(3)で表わされる繰り返し単位を、少なくとも1種有するものが好ましく、1〜3種有するものがより好ましく、1種又は2種有するものが更に好ましい。
Figure 2018017967
一般式(3)において、*は、他の繰り返し単位、他のセグメント又は末端構造との結合部を示す。
31〜R34は各々独立に水素原子又はアルキル基を示す。
31〜R34としてとりうるアルキル基は、直鎖でも分枝でも環状でもよい。アルキル基が直鎖又は分枝であるとき、アルキル基の炭素原子数(炭素数)は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が更に好ましい。アルキル基が環状であるとき、アルキル基の炭素数は、3〜13が好ましく、3〜10がより好ましく、3〜6が更に好ましい。
アルキル基は、直鎖又は分枝のアルキル基が好ましく、直鎖のアルキル基がより好ましく、メチル又はエチルが更に好ましく、エチルが特に好ましい。
31〜R34は、すべてが、水素原子でもアルキル基でもよいが、少なくとも1個がアルキル基であることが好ましく、1個又は2個がアルキル基であることがより好ましい。
上記一般式(3)で表される繰り返し単位の好ましい例を以下に示すが、本発明はこれらの例に限定されない。下記例において、*は、他の繰り返し単位、他のセグメント又は末端構造との結合部を示す。
下記の繰り返し単位の中でも、繰り返し単位C−3又はC−4が好ましく、繰り返し単位C−4がより好ましい。
Figure 2018017967
ゴムセグメントは、ミクロ相分離性ポリマーにおいて1つのセグメントとなるものであれば、ゴムセグメントを形成する繰り返し単位の結合様式は特に限定されない。例えば、ゴムセグメントが2種以上の繰り返し単位を有する共重合体に由来する場合、共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体又は交互共重合体等のいずれでもよい。
ゴムセグメントは、上記ゴムに由来するセグメント、又は、上記繰り返し単位を有するセグメントであればよく、上記ゴムセグメントの上記特性を損なわない範囲で、上記ゴム又は繰り返し単位以外の繰り返し単位を有していてもよい。このような成分として、上記ゴムを形成する繰り返し単位と共重合可能な化合物由来の成分、例えば、後述する一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位が挙げられる。
− ミクロ相分離性ポリマーの樹脂セグメント −
樹脂セグメントは、樹脂に由来のセグメントであり、例えば、樹脂から少なくとも1つの水素原子を除去した部分構造が挙げられる。
樹脂セグメントを導く樹脂は、上記ゴムに対して非相溶な樹脂であれば特に限定されない。このような樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。具体的には、特に限定されないが、ポリスチレン(PS)、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリアリール(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリンビニルアルコール(PVA)、ポリビニルケトン(PVK)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリアミドイミド(PAI)又はポリアミド(PA)等が挙げられる。
中でも、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリンビニルアルコール又はポリビニルケトンが好ましく、ポリアルキル(メタ)アクリレート又はポリスチレンがより好ましい。
ポリアルキル(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、後述する一般式(1)で表される繰り返し単位のうち、R12が水素原子又はメチルであり、R11がアルキル基である繰り返し単位を有するものが好ましい。ポリアリール(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、後述する一般式(1)で表される繰り返し単位のうち、R12が水素原子又はメチルであり、R11がアリール基である繰り返し単位を有するものが好ましい。
ポリビニルケトンは、アルキルビニルケトン又はアリールビニルケトンの重合体であり、アルキル基は炭素数1〜6が好ましく、アリール基は炭素数6〜10が好ましい。
樹脂セグメント(樹脂)は、上記ガラス転移温度、好ましくは更に上記弾性率を有しており、ガラス転移温度は、好ましくは30〜300℃、より好ましくは80〜250℃である。弾性率(引張弾性率)は、より好ましくは1.5〜12GPa、更に好ましくは2.0〜10GPaである。
樹脂セグメントの大きさは、ミクロ相分離により形成される構造に影響を与える。例えば、樹脂セグメント(樹脂)の重量平均分子量は、好ましくは500〜50,000、より好ましくは1,000〜50,000、更に好ましくは2,000〜30,000である。重量平均分子量の測定方法は後述する。
樹脂セグメントは、一般式(1)又は(2)で表わされる繰り返し単位を、少なくとも1種有するものが好ましく、1〜3種有するものがより好ましく、1種又は2種有するものが更に好ましい。繰り返し単位を2種以上有する場合、一般式(1)又は(2)で表わされる繰り返し単位のみを複数有していても、一般式(1)及び(2)で表わされる繰り返し単位をそれぞれ1種以上有していてもよい。
Figure 2018017967
一般式(1)において、*は、他の繰り返し単位、他のセグメント又は末端構造との結合部を示す。
11〜R14は、各々独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を示す。
11としてとりうるアルキル基は、直鎖でも分枝でも環状でもよい。アルキル基の炭素数は、1(3)〜20であることが好ましく、1(3)〜15がより好ましく、1(3)〜12がより一層好ましく、1(3)〜10が更に好ましく、1(3)〜8が特に好ましく、1(3)〜6が最も好ましい。上記炭素数の下限値において括弧内の数字は環状アルキル基の炭素数を示す。環状のアルキル基は、単環構造でも多環構造(縮環構造、橋掛け環構造又はスピロ環構造等)でもよい。
11としてとりうるアリール基は、その炭素数が6〜20が好ましく、6〜15が更に好ましく、6〜12が特に好ましく、とりわけフェニルが好ましい。
アルキル基及びアリール基は、それぞれ、置換基を有していてもよい。この置換基としては、好ましくは上記置換基群Tから選択されるが、アルキル基又はハロゲン原子がより好ましく、フッ素原子が更に好ましい。置換基が複数存在する場合、互いに結合して環を形成していてもよい。
11は、アルキル基が好ましい。
12〜R14としてとりうるアルキル基は、上記一般式(3)のR31としてとりうるアルキル基と同義であり、好ましい範囲も同じであるが、メチルが特に好ましい。
12〜R14としてとりうるアリール基は、上記R11としてとりうるアリール基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
12〜R14としてとりうるアルキル基及びアリール基は、それぞれ、置換基を有していてもよい。この置換基としては、好ましくは上記置換基群Tから選択されるが、ハロゲン原子がより好ましく、フッ素原子が更に好ましい。例えば、ハロゲン化アルキル基が挙げられ、トリフルオロメチルが好ましく挙げられる。置換基が複数存在する場合、互いに結合して環を形成していてもよい。
12〜R14は、それぞれ、水素原子又はアルキル基が好ましく、R12が水素原子又はアルキル基であり、R13及びR14がいずれも水素原子であることがより好ましく、R12が水素原子又はメチルであり、R13及びR14がいずれも水素原子であることが更に好ましい。
上記一般式(1)で表される繰り返し単位の好ましい例を以下に示すが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
Figure 2018017967
Figure 2018017967
一般式(2)において、*は、他の繰り返し単位、他のセグメント又は末端構造との結合部を示す。
21〜R25は各々独立に水素原子又は置換基を示す。R26〜R28は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基を示す。
21〜R25としてとりうる置換基は、特に限定されず、上記置換基群Tから選択される。置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基又はアルコキシカルボニル基が好ましく、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アシルオキシ基又はアルコキシ基がより好ましく、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基又はアシルオキシ基が更に好ましい。
これらの置換基は、上記置換基群Tから選択されるが、アルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が更に好ましい。同様に、アルケニル基及びアルケニル基の炭素数は、それぞれ、2〜10が好ましく、2〜5がより好ましく、2又は3が更に好ましい。アルコキシ基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が更に好ましい。
21〜R25のうち隣接する2つが互いに結合して環を形成してもよい。例えば、隣接する2つのエテニル基が互いに結合して、これらが結合する炭素原子を含むベンゼン環(全体としてナフタレン環)を形成してもよい。
21〜R25は、それぞれ、上述の置換基群Tから選択される置換基を更に有していてもよい。例えば、置換基を有するアルキル基が挙げられ、具体的にはトリフルオロメチル基が挙げられる。
21〜R25のうち置換基をとる個数は、0〜5個であり、0〜2個が好ましい。
21〜R25のうち置換基をとるものは、特に限定されないが、R23が好ましい。
26〜R28としてとりうるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
26〜R28としてとりうるアルキル基及びアリール基は、それぞれ、一般式(1)のR12としてとりうるアルキル基及びアリール基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
26〜R28としてとりうるアルキル基及びアリール基は、それぞれ、置換基を有していてもよい。この置換基としては、好ましくは上記置換基群Tから選択されるが、ハロゲン原子がより好ましく、フッ素原子が更に好ましい。例えば、ハロゲン化アルキル基が挙げられ、トリフルオロメチルが好ましく挙げられる。置換基が複数存在する場合、互いに結合して環を形成していてもよい。
26〜R28は、それぞれ、水素原子又はアルキル基が好ましく、R26が水素原子又はアルキル基であり、R27及びR28がいずれも水素原子であることがより好ましく、R26が水素原子又はメチルであり、R27及びR28がいずれも水素原子であることが更に好ましい。
上記一般式(2)で表される繰り返し単位の好ましい例を以下に示すが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
Figure 2018017967
樹脂セグメントは、ミクロ相分離性ポリマーにおいて1つのセグメントとなるものであれば、樹脂セグメントを形成する繰り返し単位の結合様式は特に限定されない。例えば、樹脂セグメントが2種以上の繰り返し単位を有する共重合体に由来する場合、共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体又は交互共重合体等のいずれでもよい。
樹脂セグメントは、上記樹脂に由来するセグメント、又は、上記繰り返し単位を有するセグメントであればよく、上記樹脂セグメントの上記特性を損なわない範囲で、上記樹脂又は繰り返し単位以外の繰り返し単位を有していてもよい。このような成分として、上記樹脂を形成する繰り返し単位と共重合可能な化合物由来の成分、例えば、上記一般式(3)で表される繰り返し単位が挙げられる。
− セグメント同士の結合 −
ミクロ相分離性ポリマーにおいて、セグメント同士は、直接化学構造で結合していてもよく、他の連結基等を介して結合していてもよい。他の連結基としては、特に限定されないが、例えば、上述の一次構造を有するポリマーの合成法により、各セグメントの間に介入される基(連鎖移動剤の残基、マクロモノマー等の重合反応性基由来の基)が挙げられる。
− ミクロ相分離性ポリマーの末端構造 −
ミクロ相分離性ポリマーの末端構造は、特に限定されないが、他の繰り返し単位の有無、合成時に使用した基質の種類、又は、合成時のクエンチ剤(反応停止剤)の種類により、一義的に決定されない。末端構造を形成する末端基としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、エチレン性不飽和基、アルキル基、アシル基、芳香族複素環基又は芳香族炭化水素基が挙げられる。
ミクロ相分離性ポリマーにおいて、各セグメントの含有量(繰り返し単位の含有量)については特に制限されない。
例えば、層間密着性及び低透湿度の両立の点からは、上記ミクロ相分離性ポリマーの全質量に対するゴムセグメントの質量割合を、10質量%以上とすることが好ましく、15量%以上とすることがより好ましく、20質量%以上とすることがより一層好ましく、30質量%以上とすることが更に好ましく、40質量%以上とすることが特に好ましい。上記ゴムセグメントの質量割合は、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
上記ミクロ相分離性ポリマーの全質量に対する樹脂セグメントの質量割合は、5質量%以上とすることが好ましく、10質量%以上とすることがより好ましい。上記ゴムセグメントの質量割合は、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下とすることがより一層好ましく、70質量%以下とすることが更に好ましく、60質量%以下とすることが特に好ましい。
また、ゴムセグメントと樹脂セグメントとの質量割合は、特に限定されないが、[ゴムセグメント]/[樹脂セグメント]の比が、90/10〜10/90を満たすことが好ましく、85/15〜30/70を満たすことがより好ましく、85/15〜35/65を満たすことが更に好ましい。
ミクロ相分離性ポリマーは、溶媒に対する溶解性を示す。この溶解性は、ミクロ相分離性ポリマーがゴムセグメントと非相溶セグメントとをミクロ相分離可能な状態で含有するため、ゴムセグメントの共存下においても、非相溶セグメントが溶媒和することにより、示されると考えられる。
溶解性としては、特に限定されないが、ポリマー層を形成する際に用いる溶媒に対して、溶解することが好ましい。使用する溶媒の溶解度パラメータとミクロ相分離性ポリマーの溶解度パラメータとの距離Raが、0〜13であることが好ましく、0〜10であることが更に好ましい。ここで、ミクロ相分離性ポリマーの溶解度パラメータは、ゴムセグメントと非相溶セグメントの組成比と溶解度パラメータとから算出する。溶解性は、実施例に記載の方法により、評価することができる。
溶媒としては、特に限定されないが、例えば、有機溶媒、水及びこれらの混合溶媒が挙げられ、有機溶媒が好ましい。
有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、メシチレン若しくはエチルベンゼン等の炭化水素溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン若しくはシクロヘキサノン等のケトン溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン若しくはクロロトルエン等のハロゲン化炭化水素溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル若しくは酢酸アミル等のエステル溶媒、メタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ若しくはエチレングリコール等のアルコール溶媒、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン若しくはアニソール等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチルー2−ピロリドン若しくは1−メチル−2−イミダゾリジノン等のアミド若しくはイミド溶媒、ジメチルスルフォキサイド等のスルホキシド溶媒、アセトニトリル、又は、ベンゾニトリル等のニトリル溶媒等が挙げられる。
混合溶媒としては、ハロゲン化炭化水素溶媒とアルコール溶媒との混合溶媒が好ましく、塩化メチレンとメタノール、塩化メチレンとエタノール、塩化メチレンとプロパノール、又は、塩化メチレンとブタノールの混合溶媒がより好ましく、塩化メチレンとメタノールの混合溶媒が更に好ましい。混合する溶媒の質量割合は、特に限定されないが、例えば、塩化メチレンとメタノールの混合溶媒においては、[塩化メチレン]/[メタノール]の比が、99/1〜80/20が好ましく、98/2〜82/18がより好ましい。
ミクロ相分離性ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、ミクロ相分離しやすい点で、その下限値は、10,000以上であることが好ましく、30,000以上であることがより好ましく、50,000以上であることが更に好ましい。一方、本発明に用いる上記ポリマーの重量平均分子量の上限値は、製膜性の観点から、1,000,000以下であることが好ましく、800,000以下であることがより好ましく、500,000以下であることが更に好ましく、200,000以下であることが特に好ましく、150,000以下であることが最も好ましい。
分子量の測定は、後述する実施例で記載する方法等で測定することができる。
上記ポリマー層の膜厚に特に制限はなく、1〜25μmが好ましく、1〜20μmがより好ましい。
[セルロースエステル層]
本発明の偏光板保護フィルムを構成するセルロースエステル層は、層中にセルロースエステルを50質量%以上含有する層である。セルロースエステル層中のセルロースエステルの含有量は60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、85質量%以上が特に好ましい。セルロースエステル層中のセルロースエステルの含有量の上限は、通常は96質量%以下であり、95質量%以下が好ましく、92質量%以下が更に好ましい。この場合、セルロースエステルを除く残部には、例えば後述する添加剤等が含まれる。
<セルロースエステル>
本発明のセルロースエステル層の製造において、原料として用いるセルロースエステルについて説明する。
セルロースエステルは、セルロースエステルフィルムの製造に用いられるセルロースエステルであれば特に制限されることなく用いることができる。
セルロースを構成する、β−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離のヒドロキシ基を有している。セルロースエステルは、これらのヒドロキシ基の一部をエステル化剤等によりエステル化した重合体(ポリマー)である。
セルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)等があり、いずれの原料セルロースから得られるセルロースでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。原料セルロースは、例えば、丸澤、宇田著,「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」,日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。
セルロースエステルとしては、セルロースアシレートが好ましい。
(セルロースアシレート)
本発明に用いるセルロースアシレートは、セルロースアシレートフィルムの製造に用いられる公知のセルロースアシレートを何ら制限なく用いることができる。
アシル置換度(以下、単に「置換度」ということがある)は、2位、3位及び6位に位置するセルロースのヒドロキシ基のアシル化の度合いを示すものであり、すべてのグルコース単位の2位、3位及び6位のヒドロキシ基がいずれもアシル化された場合、総アシル置換度は3である。例えば、すべてのグルコース単位で、6位のみがすべてアシル化された場合、総アシル置換度は1である。同様に、全グルコースの全ヒドロキシ基において、各々のグルコース単位で、6位及び2位のいずれか一方のすべてがアシル化された場合も、総アシル置換度は1である。
すなわち置換度は、グルコース単位中の全ヒドロキシ基がすべてアシル化された場合を3として、アシル化の度合いを示すものである。
セルロースアシレートの置換度は、手塚他,Carbohydrate.Res.,273,83−91(1995)に記載の方法、又は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定することができる。
本発明に用いるセルロースアシレートの総アシル置換度は透湿度の観点から1.50以上3.00以下であることが好ましく、2.00〜2.97であることがより好ましく、2.30以上2.97未満であることが更に好ましく、2.30〜2.95であることが特に好ましい。
本発明に用いるセルロースアシレートのアシル基に、特に制限はなく、1種のアシル基を有する形態でもよいし、2種以上のアシル基を有する形態でもよい。本発明に用いうるセルロースアシレートは、炭素原子数2以上のアシル基を置換基として有することが好ましい。炭素原子数2以上のアシル基に特に制限はなく、脂肪族のアシル基でもよいし、芳香族のアシル基でもよい。炭素原子数2以上のアシル基の具体例として、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ヘプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、イソブタノイル、tert−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル等が挙げられる。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、tert−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルが好ましく、更に好ましくはアセチル、プロピオニル、ブタノイルである。
セルロースアシレートのアシル基としてアセチル基のみを用いたセルロースアセテートは、本発明に好適に用いることができ、このセルロースアセテートの総アシル置換度は、透湿度及び光学特性の観点から、2.00以上3.00以下であることが好ましく、2.20〜3.00であることがより好ましく、2.30〜3.00であることが更に好ましく、2.30〜2.97であることが更に好ましく、2.30〜2.95であることが特に好ましい。
2種類以上のアシル基を有する混合脂肪酸エステルも本発明におけるセルロースアシレートとして好ましく用いることができる。中でも混合脂肪酸エステルのアシル基には、アセチル基と炭素数が3〜4のアシル基が含まれることが好ましい。また、混合脂肪酸エステルがアシル基としてアセチル基を含む場合、そのアセチル置換度は2.5未満が好ましく、1.9未満が更に好ましい。一方、炭素数が3〜4のアシル基を含む場合の炭素数が3〜4のアシル基の置換度は0.1〜1.5であることが好ましく、0.2〜1.2であることがより好ましく、0.5〜1.1であることが特に好ましい。
また、特開2008−20896号公報の段落[0023]〜[0038]に記載の、脂肪酸アシル基と置換若しくは無置換の芳香族アシル基とを有する混合酸エステルも好ましく用いることができる。
本発明においては、エステル基及び置換度の一方又は両方が異なる、2種のセルロースエステルないしセルロースアシレートを併用することもできる。この場合、後述する共流延法等により、異なるセルロースエステルからなる積層構造として形成してもよい。
本発明に用いるセルロースエステルないしセルロースアシレートは、その重合度が250〜800が好ましく、300〜600が更に好ましい。また、本発明に用いるセルロースエステルないしセルロースアシレートは、その数平均分子量が40000〜230000が好ましく、60000〜230000が更に好ましく、75000〜200000が最も好ましい。
重合度は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)によりポリスチレン換算で測定される数平均分子量をセルロースエステルないしセルロースアシレートのグルコピラノース単位(グルコース単位)の分子量で除することで求めることができる。
本発明に用いるセルロースエステルは常法により合成することができる。例えばセルロースアシレートであれば、アシル化剤として酸無水物や酸塩化物を用いて合成できる。上記アシル化剤が酸無水物である場合は、反応溶媒として有機酸(例えば、酢酸)や塩化メチレンが使用される。また、触媒として、硫酸のようなプロトン性触媒を用いることができる。アシル化剤が酸塩化物である場合は、触媒として塩基性化合物を用いることができる。セルロースアシレートの一般的な工業的生産では、セルロースを目的のアシル基に対応する有機酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸等)又はそれらの酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等)を用いてそのヒドロキシ基がエステル化される。
例えば、綿花リンタ又は木材パルプ由来のセルロースを原料とし、これを酢酸等の有機酸で活性化処理した後、硫酸触媒の存在下で、所望の構造の有機酸を用いてエステル化することによりセルロースアシレートを得ることができる。また、アシル化剤として有機酸無水物を用いる場合には、一般にセルロース中に存在するヒドロキシ基の量に対して有機酸無水物を過剰量で使用してセルロースをエステル化する。
またセルロースアシレートは、例えば、特開平10−45804号公報に記載された方法により合成することもできる。
また、本発明のセルロースエステル層中には、本発明の効果を損なわない範囲でセルロースエステルに加えて他の樹脂(例えば(メタ)アクリル樹脂等)を併用して用いることもできる。セルロースエステルフィルム中の上記他の樹脂の含有量は、セルロースエステルフィルム中、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましく、15質量%以下が特に好ましく、10質量%以下が最も好ましい。
<セルロースエステル層の形成>
続いて上記セルロースエステル層の形成について説明する。
上記セルロースエステル層の形成は、特に限定されるものではなく、例えば溶融製膜法又は溶液製膜法(ソルベントキャスト法)により形成することが好ましく、添加剤の揮散や分解を考慮すると溶液製膜法により形成することがより好ましい。ソルベントキャスト法を利用したポリマーフィルムの製造例については、米国特許第2,336,310号、同第2,367,603号、同第2,492,078号、同第2,492,977号、同第2,492,978号、同第2,607,704号、同第2,739,069号及び同第2,739,070号の各明細書、英国特許第640731号及び同第736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号及び同62−115035号等の各公報を参考にすることができる。また、上記セルロースエステル層は、延伸処理が施されていてもよい。延伸処理の方法及び条件については、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号等の各公報を参考にすることができる。
(流延)
溶液の流延方法としては、調製されたドープを加圧ダイから金属支持体上に均一に押出す方法、一旦金属等の支持体上に流延されたドープをブレードで膜厚を調節するドクターブレードによる方法、逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があり、加圧ダイによる方法が好ましい。加圧ダイにはコートハンガータイプやTダイタイプ等があるが、いずれも好ましく用いることができる。また、ここで挙げた方法以外にも、従来知られているセルロースエステル溶液を流延製膜する種々の方法で実施することができ、用いる溶媒の沸点等の違いを考慮して各条件を設定することができる。
セルロースエステル層は単層であっても複層であってもよく、複層とする場合には、共流延法、逐次流延法又は塗布法等の積層流延法を用いることが好ましく、特に同時共流延(同時多層共流延ともいう。)法を用いることが、安定製造及び生産コスト低減の観点から特に好ましい。
共流延法及び逐次流延法によりセルロースエステル層を製造する場合には、まず、各層用のセルロースエステル溶液(ドープともいう)を調製し、この溶液を支持体上に流延する。
共流延法(重層同時流延)では、まず、流延用支持体(バンド又はドラム)の上に、各層(3層あるいはそれ以上でもよい)各々の流延用ドープを別々のスリット等から同時に押出すことができる流延用ダイを用いてドープを押出して、各層同時に流延する。流延後、適当な時間をおいて支持体から剥ぎ取って、乾燥しフィルムを成形する流延法である。共流延ダイを用いることにより、例えば、流延用支持体の上に表層用ドープから形成された表層2層と、これら表層に挟まれたコア層用ドープからなるコア層の計3層を、支持体上に同時に押出して流延することができる。
逐次流延法では、流延用支持体の上に、まず、第1層用の流延用ドープを流延用ダイから押出して、流延し、乾燥あるいは乾燥することなく、その上に第2層用の流延用ドープを流延用ダイから押出して流延する要領で、必要なら第3層以上まで逐次ドープを流延・積層して、適当な時間をおいて支持体から剥ぎ取って乾燥し、セルロースエステル層を形成する。
また塗布法では、一般的には、コア層を溶液製膜法によりフィルム状に形成し、その表層に、目的のセルロースエステル溶液である塗布液を塗布し、乾燥して、積層構造のセルロースエステル層を形成する。
(延伸)
上記セルロースエステル層は、上記の流延、乾燥後、延伸処理されていることも好ましい。セルロースエステル層の延伸方向はフィルム搬送方向(MD(Machine Direction)方向)と搬送方向に直交する方向(TD(Transverse Direction)方向)のいずれでもよい。後に続く偏光板加工プロセスを考慮すると、TD方向であることが好ましい。延伸処理は2段階以上に分けて複数回行ってもよい。
TD方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号等の各公報に記載されている。TD方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによって延伸することができる。またポリマーフィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。
MD方向の延伸の場合、例えば、フィルムの搬送ローラの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりも巻き取り速度を速くすることで行うことができる。
本発明の偏光板保護フィルムを偏光子の保護膜(偏光板保護フィルムとも呼ぶ)として使用する場合には、偏光板を斜めから見たときの光漏れを抑制するため、偏光子の透過軸とセルロースエステル層の面内の遅相軸を平行に配置する態様が好ましい。連続的に製造されるロールフィルム状の偏光子の透過軸は、一般的に、ロールフィルムの幅方向に平行であるので、上記ロールフィルム状の偏光子とロールフィルム状のセルロースエステル層からなる保護膜を連続的に貼り合せるためには、ロールフィルム状の保護膜の面内遅相軸は、セルロースエステル層の幅方向に平行であることが必要となる。したがって、TD方向により多く延伸することが好ましい。また延伸処理は、製膜工程の途中で行ってもよいし、製膜して巻き取った原反を延伸処理してもよい。
TD方向の延伸は5〜100%が好ましく、より好ましくは5〜80%、特に好ましくは5〜40%とする。なお、未延伸の場合、延伸は0%となる。延伸処理は製膜工程の途中で行ってもよいし、製膜して巻き取った原反を延伸処理してもよい。前者の場合には残留溶剤量を含んだ状態で延伸を行ってもよく、残留溶剤量=(残存揮発分質量/加熱処理後フィルム質量)×100%が0.05〜50%の状態で延伸することが好ましい。残留溶剤量が0.05〜5%の状態で5〜80%延伸することがより好ましい。
<添加剤>
上記セルロースエステル層は、本発明の効果を損なわない範囲で、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、公知の可塑剤、有機酸、色素、ポリマー、レターデーション調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤又はマット剤等が例示される。これらについては、特開2012−155287号公報の段落番号[0062]〜[0097]の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。また、添加剤としては、剥離促進剤、有機酸、多価カルボン酸誘導体を挙げることもできる。これらについては、国際公報WO2015/005398号段落[0212]〜[0219]の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。更に、添加剤として、後述する、ラジカル捕捉剤、劣化防止剤又はバルビツール酸化合物等も挙げることができる。
添加剤の含有量(上記セルロースエステル層が二種以上の添加剤を含有する場合には、それらの合計含有量)は、セルロースエステル100質量部に対して50質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、5〜30質量部であることが更に好ましい。
(可塑剤)
好ましい添加剤の1つとしては、可塑剤を挙げることができる。可塑剤をセルロースエステル層に添加することにより、セルロースエステル層の疎水性を高めることができる。この点は、セルロースエステル層の含水率を低下させる観点から好ましい。このような可塑剤を使用することは、セルロースエステル層を有する偏光板保護フィルムを、偏光板保護フィルムとして用いた場合、湿度に起因する画像表示装置の表示ムラを発生しにくくすることができるため、好ましい。
可塑剤としては、特に限定されないが、多価アルコールの多価エステル化合物(以下、「多価アルコールエステル可塑剤」とも記載する。)、重縮合エステル化合物(以下、「重縮合エステル可塑剤」とも記載する。)、又は、炭水化物化合物(以下、「炭水化物誘導体可塑剤」とも記載する。)を挙げることができる。多価アルコールエステル可塑剤については、国際公開第2015/005398号の段落[0081]〜[0098]、重縮合エステル可塑剤については、同公報の段落[0099]〜[0122]、炭水化物誘導体可塑剤については、同公報の段落[0123]〜[0140]を参照でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
可塑剤の分子量は、添加することによる上記効果を良好に得る観点からは、3000以下であることが好ましく、1500以下であることがより好ましく、1000以下であることが更に好ましい。また、可塑剤の分子量は、低揮散性の観点からは、例えば300以上であり、好ましくは350以上である。なお、多量体の可塑剤については、分子量とは、数平均分子量をいうものとする。
可塑剤の含有量は、可塑剤の添加効果と可塑剤の析出抑制とを両立する観点から、可塑剤を添加する層の樹脂(セルロースエステル)100質量部に対して、1〜20質量部とすることが好ましく、2〜15質量部とすることがより好ましく、5〜15質量部とすることが更に好ましい。
可塑剤は、2種類以上を併用してもよい。2種類以上を併用する場合も、含有量の具体例及び好ましい範囲は上記と同一である。
(酸化防止剤)
好ましい添加剤の1つとしては、酸化防止剤を挙げることもできる。酸化防止剤については、国際公開第2015/005398号の段落[0143]〜[0165]の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
(ラジカル捕捉剤)
好ましい添加剤の1つとしては、ラジカル補捉剤を挙げることもできる。ラジカル補捉剤については、国際公開第2015/005398号段落[0166]〜[0199]の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
(劣化防止剤)
好ましい添加剤の1つとしては、劣化防止剤を挙げることもできる。劣化防止剤については、国際公開第2015/005398号段落[0205]〜[0206]の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
(バルビツール酸化合物)
上記セルロースエステル層は、バルビツール酸構造を有する化合物(バルビツール酸化合物)を含有することもできる。バルビツール酸化合物は、この化合物を添加することにより、セルロースエステル層に各種機能を発現させることができる化合物である。例えば、バルビツール酸化合物は、セルロースエステル層の硬度向上に有効である。また、バルビツール酸化合物は、この化合物を含むセルロースエステル層を備えた偏光板の、光、熱又は湿度等に対する耐久性の改良にも有効である。上記セルロースエステル層に使用可能なバルビツール酸化合物については、例えば、国際公開第2015/005398号段落[0029]〜[0060]の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
<鹸化処理>
上記セルロースエステル層は、アルカリ鹸化処理することにより、ポリビニルアルコールのような偏光子の材料との密着性を高めることができる。
鹸化の方法については、特開2007−86748号公報の段落番号[0211]及び段落番号[0212]に記載されている方法を用いることができる。
例えば、セルロースエステル層に対するアルカリ鹸化処理は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられる。水酸化イオンの濃度は0.1〜5.0モル/Lの範囲が好ましく、0.5〜4.0モル/Lの範囲が更に好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲が好ましく、40〜70℃の範囲が更に好ましい。
アルカリ鹸化処理の代わりに、特開平6−94915号公報又は特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。
上記セルロースエステル層の膜厚は、1〜80μmが好ましく、1〜60μmがより好ましく、3〜60μmが更に好ましい。
セルロースエステル層が3層以上の積層構造を有する場合、コア層の膜厚は3〜70μmが好ましく、5〜60μmがより好ましい。3層構造である場合のスキン層A及びスキン層Bの膜厚は、ともに、0.5〜20μmが好ましく、0.5〜10μmがより好ましく、0.5〜3μmが更に好ましい。なお、コア層は、積層構造において内部に位置する層、3層構造である場合は中間に位置する層をいい、スキン層A、Bは積層構造ないし3層構造において、外側に位置する層をいう。
[偏光板保護フィルムの製造方法]
本発明の偏光板保護フィルムの製造方法について説明する。
本発明の偏光板保護フィルムは、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。溶融製膜法又は溶液製膜法(ソルベントキャスト法)の他、後述する方法でセルロースエステル層上に各種公知の塗布方法により、ポリマー層を形成する方法が挙げられる。特に溶液製膜法を用いることが好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムは、上述のミクロ相分離性ポリマーを用いていても、ポリマー層形成用組成物(形成液)を用いて、製造することができる。
通常、トリアセチルセルロース等のセルロースエステルは溶融成膜しにくく、その一方で、ゴムは溶媒に対する溶解性が小さく溶液成膜しにくい。したがって、セルロースエステル層とゴム層との積層体を、いずれかの方法により1パスで簡便に、製造することは困難である。
しかし、ミクロ相分離性ポリマーは、上述のように、ゴムセグメントを含有しながらも、溶媒に対する溶解性を示すことから、ポリマー層形成用組成物を調製することができる。このポリマー層形成用組成物を用いることにより、本発明の偏光板保護フィルムを簡便に製造できる。
ポリマー層形成用組成物を用いる方法として、溶液製膜法、又は、予め作製したセルロースエステル層上にポリマー層形成用組成物を塗布する方法が挙げられる。
ポリマー層形成用組成物は、上記のミクロ相分離性ポリマー、溶媒及び必要により各種添加剤を所定の割合で含有する。この形成液に用いる溶媒は、特に限定されず、上述の溶媒が挙げられる。
ポリマー層形成用組成物において、ミクロ相分離性ポリマーの濃度は、特に限定されず、例えば、1〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましく、10〜25質量%であることが更に好ましい。このような質量比とすることで、製造適性に優れた形成液を得ることができる。
溶液製膜法としては、上述のような、共流延法、逐次流延法又は塗布法等の積層流延法が好ましい。溶液成膜法により、1パスで簡便に本発明の偏光板保護フィルムを製造することができる。特に同時共流延(同時多層共流延ともいう。)法を用いることが、安定製造及び生産コスト低減の観点から特に好ましい。
このときの、塗工条件及び成膜条件は、特に限定されない。
溶液製膜法においては、ポリマー層形成用組成物等を流延した後に、乾燥することが好ましい。乾燥条件は、後述する条件と同じである。
予め作製したセルロースエステル層上にポリマー層形成用組成物を塗布する方法において、ポリマー層形成用組成物の塗布法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。塗布方法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法(ダイコート法)、又は、マイクログラビアコート法等の公知の方法が挙げられ、中でも、グラビアコート法又はダイコート法が好ましい。また、塗布時の搬送速度についても、特に限定されず、搬送速度1〜100m/分で塗布することが好ましい。
用いるセルロースエステル層は、その表面を表面処理することもできる。表面処理としては、ミクロ相分離させる際に採用される通常の処理を特に限定されることなく、適用できる。
次いで、塗布したポリマー層形成用組成物を好ましくは乾燥する。乾燥条件は、特に限定されないが、乾燥が速い(溶媒の蒸発が速い)と、十分なミクロ相分離構造が形成されないことがある。したがって、乾燥条件は、ミクロ相分離性ポリマーの層分離性等を考慮して、例えば、乾燥風の温度、乾燥風中の溶媒含率、塗布層の厚み等によって、適宜に設定することが好ましい。例えば、乾燥温度は25〜140℃の範囲、乾燥時間は30〜1000秒の条件から、それぞれ、選択することができる。
上記ポリマー層形成用組成物を用いる方法においては、ポリマー層形成用組成物の流延又は塗布中、更には乾燥中にミクロ相分離性ポリマーがミクロ相分離し、ミクロ相分離層としてのポリマー層が形成される。
<偏光板保護フィルムの物性ないし特性>
本発明の偏光板保護フィルムは、下記の物性ないし特性を有することが好ましい。
(ヘイズ)
本発明の偏光板保護フィルムは、下記方法により測定されるヘイズが1%未満であることが好ましく、0.7%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることが特に好ましい。このようなヘイズを示す偏光板保護フィルムは、透明性に優れ、液晶表示装置のフィルム部材として好適である。ヘイズの下限値は、例えば0.001%以上であるが、特に限定されない。
ヘイズは、偏光板保護フィルムから切り出した40mm×80mmの試験片を用いて、25℃、相対湿度60%の環境下で、ヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)により、JIS K6714に従って測定する。
(透湿度)
上記偏光板保護フィルムの透湿度は、JIS Z 0208の記載を基に、85℃、相対湿度85%の条件において、測定される。
本発明の偏光板保護フィルムの透湿度は、550g/(m・6hours)未満であることが好ましく、500g/(m・6hours)未満であることがより好ましく、400g/(m・6hours)未満であることが更に好ましく、300g/(m・6hours)未満であることが特に好ましい。偏光板保護フィルムの透湿度を上記範囲に制御することで、本発明の偏光板保護フィルムを搭載した液晶表示装置の常温高湿及び高温高湿環境経時後においても、偏光子の劣化、更には液晶セルの反り又は黒表示時の表示ムラを抑制できる。
(層間密着性)
本発明の偏光板保護フィルムは、上記のように、セルロースエステル層とポリマー層との層間密着性に優れる。具体的には、実施例に示した層間密着性試験(碁盤目試験)において、格子の目の剥がれが5%未満となることが好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムは、上記透湿度及び層間密着性を示し、これらにより、偏光板保護フィルムとして用いた場合に、偏光子の劣化を効果的に防止できる。
(裁断性)
本発明の偏光板保護フィルムは、打ち抜き加工等の裁断によっても、裁断後の偏光板保護フィルム、特にその端部に、剥離又は割れ(クラック)が生じにくいという、打ち抜き裁断性に優れる。
(膜厚)
本発明の偏光板保護フィルムの膜厚は、用途に応じ適宜定めることができるが、例えば、5〜100μmとすることができる。5μm以上とすることにより、ウェブ状のフィルムを作製する際のハンドリング性が向上し好ましい。また、100μm以下とすることにより、湿度変化に対応しやすく、光学特性を維持しやすくなる。
上述の画像表示装置の薄型化への要求に応えるためには、偏光板保護フィルムは薄膜化されていることが好ましく、この場合の偏光板保護フィルムの膜厚は、例えば、8〜80μmが好ましく、10〜70μmがより好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムは、その上記特性を利用して、後述するように、偏光板に積層することにより、偏光板の劣化を防止するフィルムとして、用いられる。
したがって、この偏光板保護フィルムの表面は平坦であっても凹凸を有していてもよいが、平坦であることが好ましい。また、上記ポリマー層は、ミクロ相分離性ポリマーを含有し、ミクロ相分離しているため、このミクロ相分離性ポリマーを架橋硬化させることなく、非硬化ポリマー層とすることができる。ここで、非硬化ポリマー層には、本発明の効果を損なわない範囲で、ミクロ相分離性ポリマーを架橋硬化してなる層を含む。
[偏光板]
本発明の偏光板は、偏光子と、この偏光子の保護フィルムとして本発明の偏光板保護フィルムを少なくとも1枚含む。一般的には、偏光子の両面を偏光板保護フィルムで挟み両面を保護した偏光板が広く用いられている。
偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素溶液中に浸漬して延伸したもの等を用いることができる。ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素溶液中に浸漬して延伸した偏光子を用いる場合、例えば、接着剤を用いて偏光子の少なくとも一方の面に、上記偏光板保護フィルムにおけるセルロースエステル層の鹸化処理面を貼り合わせることができる。
本発明の偏光板保護フィルムは、偏光板保護フィルムとして用いることができる。偏光板保護フィルムとして用いる場合、本発明の偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法に準じて作製することができる。例えば、本発明の偏光板保護フィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報又は特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。またその他の表面処理を行うこともできる。その他の表面処理としては、例えば、コロナ放電、グロー放電、紫外線(UV)照射、火炎処理等の方法が挙げられる。
偏光板保護フィルムがセルロースエステル層の片面にポリマー層が設けられた形態である場合、上記偏光板保護フィルムの偏光子との貼合面は、ポリマー層の側でもよいし、セルロースエステル層の側でもよい。本発明の効果をより高める観点から、セルロースエステル層の側を偏光子と直接貼合することが好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムの偏光子への貼り合せは、偏光子の透過軸と本発明の偏光板保護フィルムの遅相軸が平行、直交又は45°となるように貼り合せることが好ましい。遅相軸の測定は、公知の種々の方法で測定することができ、例えば、複屈折計(KOBRADH、王子計測機器(株)製)を用いて行うことができる。
ここで、平行、直交又は45°については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含む。例えば、それぞれ平行、直交及び45°に関する厳密な角度から±10°の範囲内であることを意味し、厳密な角度との誤差は、±5°の範囲内が好ましく、±3°の範囲内がより好ましい。
偏光子の透過軸と本発明の偏光板保護フィルムの遅相軸についての平行とは、本発明の偏光板保護フィルムの主屈折率nxの方向と偏光子の透過軸の方向とが±10°の角度で交わっていることを意味する。この角度は、±5°の範囲内が好ましく、より好ましくは±3°の範囲内、更に好ましくは±1°の範囲内、最も好ましくは±0.5°の範囲内である。
また、偏光子の透過軸と本発明の偏光板保護フィルムの遅相軸についての直交とは、本発明の偏光板保護フィルムの主屈折率nxの方向と偏光子の透過軸の方向とが90°±10°の範囲内の角度で交わっていることを意味する。この角度は、好ましくは90°±5°の範囲内、より好ましくは90°±3°の範囲内、更に好ましくは90°±1°の範囲内、最も好ましくは90°±0.1°の範囲内である。上述のような範囲であれば、偏光板クロスニコル下における偏光度性能の低下が抑制され、光抜けが低減され好ましい。
偏光板保護フィルムと偏光子とを貼り合わせるのに使用される接着剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール又はポリビニルアセタール(例えば、ポリビニルブチラール)の水溶液、ビニル系ポリマー(例えば、ポリブチルアクリレート)のラテックス、紫外線硬化型の接着剤等が挙げられる。特に好ましい接着剤は、完全鹸化ポリビニルアルコールの水溶液又は紫外線硬化型の接着剤である。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、保護フィルムの少なくとも1枚を、本発明の偏光板保護フィルムとすることが好ましい。本発明の偏光板は、偏光板保護フィルムとして本発明の偏光板保護フィルムを備えている。したがって、偏光子の劣化が効果的に防止され、高い偏光子耐久性を示す。更にこの偏光板は表面にセパレートフィルムを貼合して構成されることも好ましい。セパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
<偏光板の光学特性>
(偏光度)
本発明の偏光板は、偏光度が95.0%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましく、最も好ましくは99.5%以上である。
本発明において、偏光板の偏光度は、日本分光社製の自動偏光フィルム測定装置VAP−7070を用いて測定することができる。より詳細には、実施例欄に記載の方法により、測定できる。
(偏光度変化量)
本発明の偏光板は、湿熱経時条件下における耐久性に優れる。このため、後述する偏光子耐久性試験前後での偏光度の変化量は小さい。
本発明の偏光板は、日本分光社製の自動偏光フィルム測定装置VAP−7070を用いて直交透過率及び平行透過率を測定し、上記式により偏光度を算出し、特に、85℃、相対湿度85%の環境下で500時間保存した場合の偏光度変化量が3%未満であるのが好ましい。
(その他の特性)
本発明の偏光板のその他の好ましい光学特性等については、特開2007−086748号公報の段落番号[0238]〜[0255]に記載されており、これらの特性を満たすことが好ましい。
[画像表示装置]
本発明の偏光板は画像表示装置用途として好ましく用いられる。かかる画像表示装置として、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置が挙げられる。有機エレクトロルミネッセンス表示装置に用いる場合、例えば反射防止用途に用いられる。中でも本発明の偏光板は液晶表示装置に好適に用いられる。
<液晶表示装置>
本発明の画像表示装置としての一実施形態である液晶表示装置は、液晶セルと、この液晶セルの少なくとも一方に配置された本発明の偏光板とを含む。
本発明の画像表示装置としての一実施形態である液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セルと、その両側に配置された二枚の偏光板と、必要に応じて上述の液晶セルと偏光板との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムとを、有している。
上記液晶表示装置の好ましい実施形態について説明する。
図3は、上記液晶表示装置の一実施形態を示す概略図である。図3において、液晶表示装置20は、液晶層24とこの両表面側(図3において上下という)に配置された第1(液晶セル上)電極基板23及び第2(液晶セル下)電極基板25とを有する液晶セル、液晶セルの両側に配置された第1(上側)偏光板21及び第2(下側)偏光板26を有する。液晶セルと各偏光板との間にカラーフィルターを配置してもよい。液晶表示装置20を透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置する。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
第1偏光板21及び第2偏光板26は、図示しないが、通常は、それぞれ2枚の偏光板保護フィルムで偏光子を挟むように積層した構成を有している。本発明の液晶表示装置20は、少なくとも一方の偏光板が本発明の偏光板であることが好ましい。また、2枚の偏光板のうち、第1偏光板21(視認側偏光板)の偏光板保護フィルムとして本発明の偏光板保護フィルムを配置した上で、更に第2偏光板26(バックライト側偏光板)の偏光板保護フィルムとして本発明の偏光板保護フィルムを配置することも好ましい。これにより、2枚の偏光板に含まれる偏光子の伸縮を抑止し、パネルの反りを防止するができる。本発明の液晶表示装置20は、装置の外側(液晶セルから遠い側)から、偏光板保護フィルムとしての本発明の偏光板保護フィルム、偏光子、一般の透明保護フィルムの順序で積層することも好ましい。
液晶セルの液晶層24は、通常、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶が封入されて、形成されている。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成される。これにより、基板と透明電極層とを備えた電極基板となる。液晶セルには、更にガスバリアー層、ハードコート層又は(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。
本発明の偏光板保護フィルムは、液晶表示装置の光学補償フィルムとしても好ましく用いることもできる。この場合、液晶表示装置が、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光子、及び上述の液晶セルと偏光子との間に少なくとも一枚の本発明の偏光板保護フィルムを光学補償フィルムとして配置した構成であることが更に好ましい。
(液晶表示装置の種類)
本発明のセルロースエステルフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−PlaneSwitching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、及びHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明のセルロースエステルは、いずれの表示モードの液晶表示装置にも好適に用いることができる。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置にも好適に用いることができる。
本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。
[合成例]
<合成例1:ポリマーP−1の合成>
100mL三角フラスコに、アクリルゴムセグメントのマクロモノマーAB−6(東亞合成社製、ゴムセグメントはブチルアクリレートセグメント、数平均分子量6,000、平均重合度約60)を7.1g、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートを0.6g、及び、メチルエチルケトンを10.0g量りとり、これらを混合溶解させてモノマー組成物P1−1を調製した。
これとは別に、酢酸ビニルを42.9g、及び、メチルエチルケトンを50.0g量りとり、これらを混合溶解させてモノマー組成物P1−2を調製した。
次いで、温度計、攪拌羽根及び還流管を備えた500mLの三つ口フラスコに、メチルエチルケトン90.0gを仕込み、窒素気流下、80℃で攪拌した。このメチルエチルケトン中に、上記モノマー組成物P1−1を0.1mL/minの速度で、また上記モノマー組成物P1−2を0.5mL/minの速度で、個別に同時滴下した。滴下にはケミカルポンプを使用した。滴下終了後の反応溶液を、更に80℃で3時間反応させ、反応終了後、反応溶液を室温(25℃)まで放冷し、メチルエチルケトン200gで希釈し、メタノール2L及び水0.5Lの混合溶液にて再沈殿させて白色沈殿を得た。得られた白色沈殿をろ別した後、50℃で終夜乾燥することで目的のP−1を45.0g得た。
<合成例2:ポリマーP−2の合成>
温度計、撹拌羽根、滴下ロート及び還流管を備えた500mLの三口フラスコに、メチルエチルケトン80.0g、トリエチルアミン2.7g、両末端水酸基変性ポリブタジエン(日本曹達社製、数平均分子量3,000、平均重合度約54)を20.0g量りとり、10℃以下になるよう氷冷下撹拌した。次いで、メタクリル酸クロリド1.5gを滴下ロートを用いて添加し、50℃に昇温して3時間撹拌した。反応終了後、50℃に保持したまま、メタノール5mLを添加し、反応溶液を室温まで放冷した。反応溶液を分液ロートに移し、水、1N塩酸、飽和重層水で逐次洗浄し、硫酸マグネシウムで有機層を乾燥することにより、ブタジエンゴムセグメントのマクロマー溶液P−2Aを得た。
次いで、100mL三角フラスコに、ブタジエンゴムセグメントのマクロマー溶液P−2Aを75.0g、酢酸ビニルを85.0g、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートを0.3g、及びメチルエチルケトンを40.0g量りとり、これらを混合溶解させてモノマー組成物P2−1を調整した。
次いで、温度計、攪拌羽根及び還流管を備えた1Lの三つ口フラスコに、メチルエチルケトン200.0gを仕込み、窒素気流下、80℃で攪拌した。このメチルエチルケトン中に、上記モノマー組成物P2−1を1.1mL/minの速度で滴下した。滴下にはケミカルポンプを使用した。滴下終了後の反応溶液を、更に80℃で3時間反応させ、反応終了後、反応溶液を室温まで放冷し、メチルエチルケトン200gで希釈し、メタノール3L及び水1Lの混合溶液にて再沈殿させて白色沈殿を得た。得られた白色沈殿をろ別した後、50℃で終夜乾燥することで目的のP−2を89g得た。
<合成例3〜23:ポリマーP−3〜23の合成>
上記合成例2において、上記各セグメンを導く上記化合物又は繰り返し単位、及び、組成比を下記表1に示す通りとしたこと以外は、合成例2と同様にして、ポリマーP−3〜P−12をそれぞれ合成した。
上記合成例2において、用いた両末端水酸基変性ポリブタジエンを、
繰り返し単位C−3に対応する原料として両末端反応性ポリイソブチレン(カネカ社製、数平均分子量3,000、平均重合度約50)に、若しくは、繰り返し単位C−4に対応する原料として両末端水酸基化水素化ポリブタジエン(出光興産社製、数平均分子量2,500、平均重合度43)に、更に樹脂セグメントを形成する繰り返し単位を、それぞれ、表1に示すように変更し、更に組成比を下記表1に示す通りとした以外は、合成例2と同様にして、ポリマーP−13〜P−23を合成した。
ポリマーP−4等に用いたポリビニルケトンは、ビニルメチルケトンである。
<比較合成例1:比較ポリマーHP−1の合成>
100mL三角フラスコに、メタクリル酸メチル(湘南和光純薬社製、上記繰り返し単単位A−1を導く化合物)を50.0g、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートを0.6g、及び、メチルエチルケトンを75.0g量りとり、これらを混合溶解させてモノマー組成物HP1−1を調製した。
次いで、温度計、攪拌羽根及び還流管を備えた500mLの三つ口フラスコに、メチルエチルケトン75.0gを仕込み、窒素気流下、80℃で攪拌した。このメチルエチルケトン中に、上記モノマー組成物HP1−1を0.7mL/minの速度で滴下した。滴下にはケミカルポンプを使用した。滴下終了後の反応溶液を、更に80℃で3時間反応させ、反応終了後、反応溶液を室温まで放冷し、メチルエチルケトン150gで希釈し、メタノール2Lにて再沈殿させて白色沈殿を得た。得られた白色沈殿をろ別した後、50℃で終夜乾燥することで比較ポリマーHP−1を49g得た。
<比較合成例2及び3:比較ポリマーHP−2及び3の合成>
上記比較合成例1において、上記各セグメンの上記繰り返し単位を下記表1に示す各セグメントの繰り返し単位に変更したこと以外は、比較合成例1と同様にして、比較ポリマーHP−2及び3をそれぞれ合成した。
<比較合成例4:比較ポリマーHP−4の合成>
100mL三角フラスコに、アクリルゴムモノマー(アクリル酸ブチル、湘南和光純薬社製)を7.1g、酢酸ビニル(湘南和光純薬社製)42.9g、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートを0.6g、及び、メチルエチルケトンを75.0g量りとり、これらを混合溶解させてモノマー組成物HP4−1を調製した。
次いで、温度計、攪拌羽根及び還流管を備えた500mLの三つ口フラスコに、メチルエチルケトン75.0gを仕込み、窒素気流下、80℃で攪拌した。このメチルエチルケトン中に、上記モノマー組成物HP4−1を0.7mL/minの速度で滴下した。滴下にはケミカルポンプを使用した。滴下終了後の反応溶液を、更に80℃で3時間反応させ、反応終了後、反応溶液を室温まで放冷し、メチルエチルケトン150gで希釈し、メタノール2Lにて再沈殿させて白色沈殿を得た。得られた白色沈殿をろ別した後、50℃で終夜乾燥することで比較ポリマーHP−4を48g得た。
<比較合成例5:比較ポリマーHP−5の合成>
10mLバイアル瓶に、臭化銅(I)を0.22mg、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミンを0.17mg、及び、トルエンを1mL加え、均一な触媒溶液を得た。温度計、攪拌羽根及び還流環を備えた200mLの三つ口フラスコに、ビニルピロリドンを17.5g、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートを0.17g、及び、2−ブロモイソ酪酸エチルを6.7mg量りとり、触媒溶液を加えて、窒素気流下、70℃で20時間攪拌した。
次いで、得られた上記反応溶液に、7.5gの酢酸ビニルとトルエン2mLの混合溶液を窒素置換した後に添加し、70℃で攪拌した。反応終了後、反応溶液を室温まで放冷し、メチルエチルケトン70gで希釈し、メタノール1.2L及び水0.5Lの混合溶液にて再沈殿させて白色沈殿を得た。得られた白色沈殿をろ別した後、50℃で終夜乾燥することで比較ポリマーHP−5を21.0g得た。
<比較合成例6〜8:比較ポリマーHP−7〜9の合成>
上記比較合成例5において、組成比を下記表1に示す通りとしたこと以外は、比較合成例5と同様にして、比較ポリマーHP−7〜9をそれぞれ合成した。
<比較合成例9:比較ポリマーHP−10の合成>
100mL三角フラスコにビニルピロリドンを35.0g、アクリルゴムモノマー(アクリル酸ブチル、湘南和光純薬社製)を7.5g、重合開始剤としてジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートを0.3g、核となる化合物としてテトラキス(3−メルカプトプロピオン酸)ペンタエリトリトールを0.92g、及び、メチルエチルケトンを20.0g量りとり、これらを混合溶解させてモノマー組成物HP10−1を調製した。
次いで、温度計、攪拌羽根及び還流環を備えた500mLの三つ口フラスコに、メチルエチルケトン20.0gを仕込み、窒素気流下、80℃で攪拌した。このメチルエチルケトン中に、上記モノマー組成物HP10−1を、0.30mL/minの速度で滴下した。滴下にはケミカルポンプを使用した。滴下終了後の反応溶液を、更に80℃で2時間反応させ、次いで、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.02gを更に添加し、得られた混合物を更に3時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を室温(25℃)まで放冷し、メチルエチルケトン70gで希釈し、メタノール1.4L及び水0.4Lの混合溶液にて再沈殿させて白色沈殿を得た。得られた白色沈殿をろ別した後、50℃で終夜乾燥することで、比較ポリマーHP−10を40.0g得た。
<比較合成例10:比較ポリマーHP−11の合成>
Macromolecules,2006,39(22),4361.を参考に、比較ポリマーHP−11を合成した。
温度計、攪拌羽根及び還流環を備えた500mLの三つ口フラスコを十分に乾燥させ、ベンゼン150mLを加え、−78℃で攪拌してn−BuLi(n−ブチルリチウム、0.16M(mol/L)のヘキサン溶液)を12.5mL添加した。次いで、ビニルピロリドン8.5gを加え、1時間攪拌した。温度計、攪拌羽根及び還流環を備えた500mLの三つ口フラスコで、4−(ジクロロメチルシリル)ジフェニルエチレンを196mgと上記反応液を混合した。ここへ、s−BuLi(s−ブチルリチウム、0.53Mのヘキサン溶液)を1.26mL添加し、更にアクリルゴムモノマー(アクリル酸ブチル、湘南和光純薬社製)を1.5g加え、1時間攪拌した後、トリクロロメチルシラン33.2mgを加え攪拌した。反応終了後、少量のメタノールを加え、反応溶液を室温まで放冷し、メチルエチルケトン30gで希釈し、メタノール500mLで再沈殿させて白色沈殿を得た。得られた白色沈殿をろ別した後、50℃で終夜乾燥することで比較ポリマーHP−11を9.0g得た。
比較ポリマーHP−6は、市販品(第一工業製薬社製、ピッツコールV−7154:商品名)をそのまま用いた。
上記各合成例及び比較合成例で得られたポリマー、並びに比較ポリマーHP−6を構成するセグメントの含有量(組成比(質量%))を、下記表1に示す。この組成比は、BRUKER社製の核磁気共鳴スペクトル測定装置(NMR300MHz)を用いたH−NMR測定によりモル量を同定し、各ポリマーセグメント構造からモル量を質量%に換算した値である。
また、上記各ポリマーの一次構造を下記表1に示す。ポリマーの一次構造は上述の方法で確認した。
更に、各セグメントのガラス転移温度を上述の方法(DSC)で測定した結果について、それぞれ、表1に示す。
更にまた、各ポリマーにおいて、用いたセグメントの溶解度パラメータの距離Raを、上述の方法で算出した結果を、それぞれ、表1に示す。
また、下記表1には上記各合成例及び比較合成例で得られたポリマーの重量平均分子量に示した。なお、ポリマーHP−3及び4は溶解せず、測定不能(表1において、「−」で示す。)であった。
ポリマーの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)によりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量を採用した。具体的な測定条件を以下に示す。
GPC装置:東ソー社製GPC装置(HLC−8320GPC、Ecosec)
カラム:TSK gel SuperHZM−H、TSK gel SuperHZ4000、TSK gel SuperHZ2000併用(東ソー製、4.6mmID(内径)×15.0cm)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0mL/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
<溶解性試験>
ポリマーの溶解性は、10mLバイアル瓶にサンプル0.5g、塩化メチレン/メタノール(85/15質量比)混合溶媒4.5gを量りとり、ミックスローターを用いて、室温、30rpmにて6時間撹拌した後、目視にて溶解状態を評価した。
表1には、本試験の結果と、用いた混合溶媒(溶解度パラメータ:δd=16.5、δp=8.4、δh=10.6)の溶解度パラメータと、各ポリマーの溶解度パラメータの距離Raとを示す。
(溶解性の評価基準)
A:完全に溶解
B:部分的に溶解
C:不溶若しくは膨潤
本試験において、ポリマーの溶解性は、ランクA及びBが合格レベルである。
Figure 2018017967
表1の結果から、本発明に用いるミクロ相分離性ポリマーP−1〜P−23は、いずれも、ゴムセグメントを有しているにもかかわらず、溶媒に対する溶解性を示すことが分かる。
[製造例1:偏光板保護フィルムSS−1〜S−13並びにHSS−1及びHSS−8の作製]
本例では、図1に示す偏光板保護フィルム10Aを製造して、その特性を評価した。
<セルロースエステル層CA−1の作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、固形分濃度22質量%のセルロースアセテート溶液(ドープA)を調製した。

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セルロースアセテート溶液(ドープA)の組成
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アセチル置換度2.87のセルロースアセテート 100質量部
第一工業化学社製モノペット(登録商標)SB(可塑剤) 9.0質量部
イーストマン・ケミカル社製SAIB−100(可塑剤) 3.0質量部
下記に示す紫外線吸収剤(UV−1) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 297.7質量部
メタノール(第2溶媒) 75.4質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 3.8質量部
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Figure 2018017967
バンド流延装置を用い、上記調製したドープAを2000mm幅でステンレス製のエンドレスバンド(流延支持体)に流延ダイから均一に流延した。ドープA中の残留溶媒量が40質量%になった時点で流延支持体から高分子膜として剥離し、テンターにて積極的に延伸をせずに搬送し、乾燥ゾーンにおいて130℃で乾燥を行った。得られたセルロースエステル層(セルロースエステルフィルム)CA−1の厚さは60μmであった。
<セルロースエステル層CA−2の作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、固形分濃度20質量%のセルロースアセテート溶液(ドープB)を調製した。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアセテート溶液(ドープB)の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.50のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
紫外線吸収剤(チヌビン328 チバ・ジャパン製) 0.9質量部
紫外線吸収剤(チヌビン326 チバ・ジャパン製) 0.2質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 336質量部
メタノール(第2溶媒) 29質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
バンド流延装置を用い、上記調製したドープBを2000mm幅でステンレス製のエンドレスバンド(流延支持体)に流延ダイから均一に流延した。ドープB中の残留溶媒量が40質量%になった時点で流延支持体から高分子膜として剥離し、テンターにて積極的に延伸をせずに搬送し、乾燥ゾーンにおいて130℃で乾燥を行った。得られたセルロースエステル層(セルロースエステルフィルム)CA−2の厚さは60μmであった。
<セルロースエステル層CA−3の作成>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、固形分濃度15質量%のセルロースアセテート溶液(ドープC)を調製した。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアセテート溶液(ドープC)の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度1.80のセルロースアセテート 100質量部
第一工業化学社製モノペット(登録商標)SB(可塑剤) 9.0質量部
イーストマン・ケミカル社製SAIB−100(可塑剤) 3.0質量部
上記紫外線吸収剤(UV−1) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 297.7質量部
メタノール(第2溶媒) 75.4質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 3.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
バンド流延装置を用い、上記調製したドープCを2000mm幅でステンレス製のエンドレスバンド(流延支持体)に流延ダイから均一に流延した。ドープC中の残留溶媒量が40質量%になった時点で流延支持体から高分子膜として剥離し、テンターにて積極的に延伸をせずに搬送し、乾燥ゾーンにおいて130℃で乾燥を行った。得られたセルロースエステル層(セルロースエステルフィルム)CA−3の厚さは60μmであった。
<偏光板保護フィルムSS−1の作製>
上記ポリマーP−8を固形分15質量%となるようにテトラヒドロフラン(THF)と混合した後、攪拌機をつけたガラス製セパラブルフラスコに仕込み、室温にて5時間攪拌後、孔径5μmのポリプロピレン製デプスフィルターでろ過し、ポリマー層形成用組成物を調製した。
次いで、上記で作製したセルロースエステル層CA−1上に、上記ポリマー層形成用組成物を、グラビアコーターを用いて塗布した。次いで、塗布したポリマー層形成用組成物を、25℃で1分間乾燥し、更に120℃で約5分間乾燥して、膜厚80μmの偏光板保護フィルムSS−1を作製した。積層したポリマー層の膜厚(μm)を表2に示した。
<偏光板保護フィルムSS−2〜SS−13並びに比較偏光板保護フィルムHSS−1〜HSS−8の作製>
上記偏光板保護フィルムSS−1において、ポリマー層形成用組成物に用いるポリマーP−8、ポリマー層の膜厚、セルロースエステル層を、下記表2に示す通りにしたこと以外は、上記偏光板保護フィルムSS−1と同様にして、偏光板保護フィルムSS−2〜SS−13並びに比較偏光板保護フィルムHSS−1〜HSS−8を、それぞれ、作製した。
積層したポリマー層の膜厚(μm)及び偏光板保護フィルムの膜厚(μm)を、それぞれ、表2に示した。
[偏光板保護フィルムの評価]
作製した各偏光板保護フィルムについて、ポリマー層のミクロ相分離構造を確認し、また下記特性を下記方法により評価した。その結果を表2に示す。
<ポリマー層のミクロ相分離構造の確認>
偏光板保護フィルムについて、ポリマー層の断面を透過型電子顕微鏡で観察して、ミクロ相分離構造(表2において、「ポリマー層分離構造」という。)を確認した。ポリマー層のミクロ相分離構造を確認できなかった場合、表2において「−」で示した。
<試験例1:透湿度の評価>
透湿度は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)を適用し、評価した。具体的な手順を以下に示す。
JIS Z 0208の方法(1976)の「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」に基づき、下記の方法によって算出した。上記で作製した各偏光板保護フィルムを60mm×60mmに裁断し、この裁断したフィルム片を透湿カップに装着して、試験試料とした。吸湿剤として無水塩化カルシウムを用いた。この試験試料を温度85℃、相対湿度85%の条件下で、6時間調湿した。
調湿前後における試験試料の質量をそれぞれ秤量し、調湿前の試験試料の質量をA、調質後の試料の質量をBとして、下記式よりフィルム片を6時間に通過する水分量Δm(g/6hours)を算出し、これを偏光板保護フィルムの面積1mあたりに換算して、透湿度(g/(m・6hours))を求めた。
式:Δm(g/6hours)=|A(g)−B(g)|
本試験において、透湿度は550g/(m・6hours)未満が合格レベルである。
<試験例2:層間密着性試験>
偏光板保護フィルムの層間密着性は、JIS K 5400に準処した碁盤目試験(クロスカット法)を適用した。具体的な手順を以下に示す。
作製した各偏光板保護フィルムにおいて、ポリマー層側の表面に、カッターナイフ及びカッターガイドを用いて、1mm間隔の11本の切り込みを入れ、100個の碁盤目を作製した。この碁盤目上にセロハンテープ(登録商標)を強く圧着させた後、テープの端を表面に対して45°の角度で一気に剥がした。その後、碁盤目の状態(碁盤目を構成する格子の剥がれの状態)を観察し、剥離せずに、セルロースアセテート層に密着していた、格子の目の数(残存数)を計数して、その割合を求めた。
(層間密着性試験の評価基準)
A:どの格子の目も剥がれない
B:格子の目の剥がれが0%を超え5%未満である
C:格子の目の剥がれが5%以上30%未満である
D:格子の目の剥がれが30%以上50%未満である
E:格子の目の剥がれが50%以上である
本試験において、層間密着性はランクA及びBが合格レベルである。
<試験例3:ヘイズ値の評価>
ヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)を使用し、JIS K 6714に従って、偏光板保護フィルムのヘイズ値を測定した。各偏光板保護フィルムを40mm×80mmに切り出し、これを25℃、相対湿度60%での条件で測定した。
(ヘイズの評価基準)
A:ヘイズ値が0.5%未満
B:ヘイズ値が0.5%以上1%未満
C:ヘイズ値が1%以上3%未満
本試験において、ヘイズ値の評価は参考評価であり、ランクA及びBが望ましいレベルである。
<試験例4:裁断試験>
偏光板保護フィルムの裁断性は、押し切りタイプの切断装置(トムソン打ち抜き機)を用いて、偏光板保護フィルムを7cm×7cmの小片に切断して、小片の外観を観察した。観察結果を下記評価基準にあてはめ評価した。
(裁断試験の評価基準)
A:裁断した小片10個中、剥離及び割れは確認されなかった。
B:裁断した小片10個中、1個のサンプルで剥離又は割れが確認された。
C:裁断した小片10個中、2個のサンプルで剥離又は割れが確認された。
D:裁断した小片10個中、3個以上5個未満のサンプルで剥離又は割れが確認された。
本試験において、裁断試験は参考試験であり、ランクA及びBが望ましいレベルである。
Figure 2018017967
表2に示されるように、樹脂セグメントのみからなる比較ポリマーHP−1及びHP−2を用いた比較偏光板保護フィルムHSS−1及びHSS−2は、いずれも、ミクロ相分離構造を形成せず、透湿度が大きく層間密着性に劣るものであった。更には、ヘイズ及び裁断性も十分なものではなかった。また、2種の樹脂セグメントからなる比較ポリマーHP−6、HP−8及びHP−9を用いた比較偏光板保護フィルムHSS−3〜HSS−5は、いずれも、ミクロ相分離構造を形成していたものの、十分な透湿度及び層間密着性を示さなかった。更に、ゴムセグメントと樹脂セグメントを含有していても一次構造がランダム、スター又はブランチのいずれかの構造である比較ポリマーHP−4、10及び11を用いた比較偏光板保護フィルムHSS−6〜HSS−8は、いずれも、透湿度が高く層間密着性も十分ではなかった。
これに対して、ゴムセグメントとこれに対して非相溶な樹脂セグメントを含有するミクロ相分離性ポリマーを用いた偏光板保護フィルムSS−1〜SS−13は、いずれも、ポリマー層がミクロ相分離構造を形成し、透湿度が小さく、層間密着性に優れることが分かった。特に、ゴムセグメントが一般式(3)で表わされる繰り返し単位を有していると、低透湿度化がより高くなって、低透湿度と層間密着性とを更に高い水準で両立できた。
[製造例2:偏光板保護フィルムSD−1〜SD−10及び比較偏光板保護フィルムHSD−1〜HSD−8の作製]
本例では、図2に示す偏光板保護フィルム10Bを製造して、その特性を評価した。
<ドープDの調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、固形分濃度23質量%のセルロースアセテート溶液(ドープD)を調製した。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアセテート溶液(ドープD)の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.87のセルロースアセテート 100質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 257.2質量部
メタノール(第2溶媒) 65.1質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 3.3質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
<ドープEの作成>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、固形分濃度20質量%のポリマー層形成用組成物(ドープE)を調製した。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
ポリマー層形成用組成物(ドープE)の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
ポリマーP−2 100質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 313.7質量部
メタノール(第2溶媒) 79.4質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 4.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
<偏光板保護フィルムSD−1の作製>
ドラム流延装置を用い、上記調製したドープDとドープEを、流延支持体面側からドープD、ドープE及びドープDの順番になるように、流延口から均一に流延した。各層のドープ中の残留溶媒量が約50質量%の状態で流延支持体から剥ぎ取り、テンターにて積極的に延伸をせずに搬送し、乾燥ゾーンにおいて140℃で30分間乾燥を行った。
得られた3層構造の偏光板保護フィルムの膜厚は80μmであった。セルロースエステル層及びポリマー層それぞれの膜厚(μm)を表3に示した。
<偏光板保護フィルムSD−2〜SD−10及び比較偏光板保護フィルムHSD−1〜HSD−8の作製>
上記偏光板保護フィルムSD−1の作製において、ドープEに用いるポリマーP−2、セルロースエステル(セルロースアセテート)、及び、ポリマー層の膜厚を下記表3に示す通りにしたこと以外は、上記偏光板保護フィルムSD−1の作製と同様にして、偏光板保護フィルムSD−2〜SD−10及び比較偏光板保護フィルムHSD−1〜HSD−8を作製した。
積層したポリマー層の膜厚(μm)及び偏光板保護フィルムの膜厚(μm)を、それぞれ、表3に示した。
[偏光板保護フィルムの評価]
作製した各偏光板保護フィルムの特性について、製造例1で製造した偏光板保護フィルムと同様にして、ポリマー層のミクロ相分離構造を確認し、また上記特性について評価した。その結果を表3に示す。
Figure 2018017967
表3に示されるように、偏光板保護フィルムを図2に示す3層構造としても、図1に示す2層構造の偏光板保護フィルム(製造例1)と同様の結果が得られた。すなわち、ゴムセグメントとこれに対して非相溶な樹脂セグメントを含有するミクロ相分離性ポリマーを用いた偏光板保護フィルムSD−1〜SS−10は、いずれも、ポリマー層がミクロ相分離構造を形成し、低透湿度と強固な層間密着性とを示した。特に、ゴムセグメントが一般式(3)で表わされる繰り返し単位を有していると、低透湿度と層間密着性とを更に高い水準で両立できた。
[製造例3:偏光板PL−1〜PL−8及び比較偏光板HPL−1〜HPL−5の作製]
下記のようにして、偏光板PL−1〜PL−8及び比較偏光板HPL−1〜HPL−5を作製した。
<セルロースアシレートフィルム及び偏光板保護フィルムの鹸化>
市販のセルロースアシレートフィルム(フジタック ZRD40、富士フイルム社製)と、表4に記載の、上記で作製した各偏光板保護フィルムを、55℃に保った1.5モル/LのNaOH水溶液(鹸化液)に2分間浸漬した後、ZRD40及び各偏光板保護フィルムを水洗した。次いで、ZRD40及び各偏光板保護フィルムを25℃の0.05モル/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、更に水洗浴を30秒流水下に通して、ZRD40及び各偏光板保護フィルムを中性の状態にした。得られたZRD40及び各偏光板保護フィルムに対し、エアナイフによる水切りを3回繰り返し、水を落とした後に70℃の乾燥ゾーンに15秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理したZRD40及び各偏光板保護フィルムを得た。
<偏光子の作製>
特開2001−141926号公報の実施例1に従い、延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて膜厚27μmの偏光子を作製した。
<貼り合わせ>
上記の鹸化後の各偏光板保護フィルム(セルロースエステル層表面を偏光子と接するように配置)、上記で作製した偏光子、上記の鹸化後のセルロールアシレートフィルムZRD40を、この順番で、ポリビニルアルコール(PVA)系接着剤で貼合し、熱乾燥して、偏光板PL−1〜PL−8及び比較偏光板HPL−1〜HPL−5を、それぞれ、作製した。
この際、作製した偏光子のロールの長手方向と、各偏光板保護フィルムのセルロースエステル層のロールの長手方向とが平行になるように配置した。また、偏光子のロールの長手方向と上記セルロールアシレートフィルムZRD40のロールの長手方向とが、平行になるように配置した。
[偏光板の評価]
作製した各偏光板について、下記特性を下記方法により評価した。その結果を表4に示す。
<試験例5:偏光板の偏光子耐久性試験>
偏光板の耐久性は、偏光板をガラスに粘着剤を介して貼り付けた形態で次のようにして偏光度をそれぞれ測定した。
ガラス板の上に偏光板を、偏光板保護フィルムの側が空気界面側になるように(ガラス板から離れた側になるように)貼り付けたサンプル(約5cm×5cm)を2つ作製した。これらのサンプルについて、ガラス板側を光源に向けてセットして偏光度を測定した。2つのサンプルをそれぞれ測定し、算術平均した値を偏光板の偏光度とした。
なお、偏光度は、以下の式により算出した。
偏光度(%)=[(平行透過率−直交透過率)/(直交透過率+平行透過率)]1/2×100
偏光度は、日本分光社製、自動偏光フィルム測定装置VAP−7070を用いて380〜780nmの範囲で測定し、劣化の度合いが他の波長より顕著に出る波長410nmにおける測定値を採用した。
その後、温度85℃、相対湿度85%の環境下で500時間保存した。次いで、上記と同様にして2つのサンプルについて偏光度を測定し、2つのサンプルの測定値を算術平均して、保存後の偏光板の偏光度とした。
保存前後の偏光度の変化量に基づき、偏光子耐久性を下記評価基準に基づき評価した。
ここで、偏光度変化量は下記式で算出される。
偏光度変化量(%)=[上記保存前の偏光度(%)−上記保存後の偏光度(%)]
(偏光子耐久性試験の評価基準)
A+:偏光度変化量が0.05%未満
A :偏光度変化量が0.05%以上2.0%未満
B :偏光度変化量が2.0%以上3.0%未満
C :偏光度変化量が3.0%以上5.0%未満
D :偏光度変化量が5.0%以上
本試験において、ランクA+〜Bが合格レベルである。
保存前の偏光度(%)は、上述の好ましい範囲内にあった。
Figure 2018017967
表4に示されるように、比較偏光板保護フィルムHSS−1、2、4及び5及びHSD−3を保護フィルムとして用いた比較偏光板HPL−1〜HPL−5は、いずれも、偏光子耐久性試験に合格しなかった。
これに対して、本発明の偏光板保護フィルムを備えた偏光板PL−1〜PL−8は、いずれも、偏光度変化量が小さく、優れた偏光子耐久性を示した。すなわち、本発明の偏光板保護フィルムを偏光子の保護フィルムとして用いた偏光板を画像表示装置に組み込むことにより、上記高温高湿環境下においても画像品質の劣化を効果的に抑制できることが分かる。
10 偏光板保護フィルム
11 セルロースエステル層
12 ポリマー層
20 液晶表示装置
21 第1(上側)偏光板
22 第1偏光板吸収軸の方向
23 第1(液晶セル上)電極基板
24 液晶層
25 第2(液晶セル下)電極基板
26 第2(下側)偏光板
27 第2偏光板吸収軸の方向

Claims (10)

  1. セルロースエステルを含有する層と、前記セルロースエステルを含有する層の少なくとも一方の面に隣接して設けられた、ミクロ相分離構造を形成するポリマーを含有する層とを有する偏光板保護フィルムであって、
    前記ミクロ相分離構造を形成するポリマーが、ゴムセグメントを含有し、ブロック構造又はグラフト構造を有するポリマーであり、
    前記ミクロ相分離構造を形成するポリマーを含有する層が、ミクロ相分離している、
    偏光板保護フィルム。
  2. 前記ミクロ相分離構造を形成するポリマーを含有する層が、ラメラ構造又は球状構造にミクロ相分離している請求項1に記載の偏光板保護フィルム。
  3. 前記ミクロ相分離構造を形成するポリマーを含有する層が、ラメラ構造にミクロ相分離している請求項1又は2に記載の偏光板保護フィルム。
  4. 前記ミクロ相分離構造を形成するポリマーが、樹脂セグメントを含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板保護フィルム。
  5. 前記樹脂セグメントが、下記一般式(1)又は一般式(2)で表わされる繰り返し単位を少なくとも1種有する請求項4に記載の偏光板保護フィルム。
    Figure 2018017967
    一般式(1)中、R11〜R14は、各々独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を示す。
    一般式(2)中、R21〜R25は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R26〜R28は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基を示す。
    *は、結合部を示す。
  6. 前記ゴムセグメントが、下記一般式(3)で表わされる繰り返し単位を少なくとも1種有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の偏光板保護フィルム。
    Figure 2018017967
    一般式(3)中、R31〜R34は各々独立に水素原子又はアルキル基を示す。
    *は、結合部を示す。
  7. 前記セルロースエステルが、セルロースアシレートである請求項1〜6のいずれか1項に記載の偏光板保護フィルム。
  8. 前記ポリマー層の、前記セルロースエステルを含有する層と反対側の表面に設けられた、セルロースエステルを含有する層を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の偏光板保護フィルム。
  9. 偏光子と、前記偏光子の少なくとも一方の面に設けられた、請求項1〜8のいずれか1項に記載の偏光板保護フィルムとを有する偏光板。
  10. 請求項9に記載の偏光板を有する画像表示装置。
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