JP6654203B2 - 偏光板保護フィルム及びその製造方法並びに偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、偏光板保護フィルム及びその製造方法、並びに、偏光板及び液晶表示装置に関する。
エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、液晶表示装置(LCD)に代表される画像表示装置は、近年、屋外用途をはじめとして用途が多様化しており、従来に比べて、高温高湿環境等の過酷な環境下で使用する機会が増えている。そのため、このような過酷な環境下でも画像品質を維持する性能が求められている。更に、画像表示装置には、薄型化も求められている。この要求に応えるため、画像表示装置を構成する部材の厚みを薄くすると、上記の画像品質の低下が顕著になる。
画像表示装置における画像品質の低下は、水分が画像表示装置内部に侵入し、偏光子を劣化させることに起因すると、考えられている。そのため、水分の画像表示装置内部への侵入を抑制して偏光子の劣化を防止するフィルムとして、水分の透過を低減する層、すなわち低透湿層を基材上に設けた偏光板保護フィルムが提案されている。
しかし、低透湿層は、セルロースエステルフィルムのように透湿度が高い基材上に対する密着性が不十分なため、積層界面で剥離しやすい。そこで、このような密着性不良の問題を解消するフィルムとして、特許文献1には、溶解度パラメータについて特定の関係を満足する、親水性の樹脂基材と中間層と疎水性の被覆層とをこの順に有し、更に中間層と被覆層との混合領域を有する機能性フィルムが記載されている。
また、特許文献2には、トリアセチルセルロース樹脂基材からなる透明樹脂基材上に、不飽和カルボン酸等により変性されたポリオレフィン系樹脂及びテルペン系樹脂を含有する樹脂組成物の硬化物からなるプライマー層と、シクロオレフィン系樹脂及びテルペン系樹脂を含有する樹脂組成物からなるバリア層とをこの順に有する光学フィルム用バリア性積層体が記載されている。
更に、特許文献3には、セルロースエステル樹脂からなる基材層と、不飽和カルボン酸成分の含有量が0.1〜10質量%である酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体から得られる塗膜からなるプライマー層と、環状ポリオレフィン樹脂コート層が少なくともこの順に積層体が記載されている。
特開2014−226844号公報 特開2015−066748号公報 特開2014−240174号公報
ところで、偏光板保護フィルムは、通常、画像表示装置のパネルサイズに合わせて、打ち抜き加工等によって、裁断される。しかし、上述したような低透湿層又は疎水性の被覆層等を有するフィルムは加工の際に不具合が生じることがある。例えば、裁断によってフィルムの端部(端縁)において発生する、各層の積層界面での剥離又はクラックが挙げられる。このような不具合が生じた場合、研磨等の処理によって不具合が発生した箇所を除去して使用しているのが現状であり、歩留まりの低下と製造コストの増大、すなわち偏光板の加工特性の観点から、改善の余地があった。
本発明は、透湿度が小さく、密着性にも優れ、更に、偏光子の劣化及び偏光板の加工特性を改善しうる偏光板保護フィルム及びその製造方法を提供することを、課題とする。
また、本発明は、この偏光板保護フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置を提供することを、課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、セルロースエステルを含有する層と、極性基で変性されたポリオレフィンを含有する層と、環状ポリオレフィンを含有する層とをこの順に有する積層体を製造するに当たり、セルロースエステルを含有する層上に、下記関係式[1]の関係を満たす溶媒を用いて上述の極性基で変性されたポリオレフィンを含有する層を形成すると、極性基で変性されたポリオレフィンを含有する層とセルロースエステルを含有する層との間に、極性基で変性されたポリオレフィンとセルロースエステルとを含有する混合層が所定の膜厚で形成されることを見出した。更に、この混合層が形成された積層体が、小さな透湿度と強い層間密着性を示すこと、そのため、この積層体を偏光板保護フィルムとして用いると、高温高湿条件下においても偏光子の劣化抑制(改善)に対する優れた性能を示し、しかも偏光板の加工特性を改善しうることも見出した。本発明はこれらの知見に基づき、更に検討を重ね、完成されるに至ったものである。
本発明の上記課題は下記の手段により解決された。
<1>セルロースエステルを含有する層と、環状ポリオレフィンを含有する層と、セルロースエステルを含有する層及び環状ポリオレフィンを含有する層の間に、カルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体を含有する層とを有する偏光板保護フィルムであって、
セルロースエステルを含有する層とカルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体を含有する層との間に、セルロースエステルとカルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体とを含有し、かつX線電子分光法により測定した酸素原子含有率をもとに算出される膜厚が下記式(T1)の関係を満たす混合層を有する偏光板保護フィルム。
式(T1):0.20μm≦膜厚≦2.0μm
2>カルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体が、スチレン化合物に由来する繰り返し単位をオレフィン化合物に由来する繰り返し単位に対して1モル%以上20モル%以下含有し、かつ以下に定義される酸価が1以上100以下である<1>に記載の偏光板保護フィルム。
酸価:カルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体1g当たりを中和するのに必要とされる水酸化カリウムの質量(mg)
カルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体が、セルロースエステル及び環状ポリオレフィンよりも低いガラス転移温度を持つ<1>又は<2>に記載の偏光板保護フィルム。
>セルロースエステルを含有する層と、環状ポリオレフィンを含有する層と、セルロースエステルを含有する層及び環状ポリオレフィンを含有する層の間に、カルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体を含有する層とを有する偏光板保護フィルムを製造する方法であって、
セルロースエステルを含有する層上に、カルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体と下記関係式[1]を満たす溶媒とを含有する形成液を適用して、カルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体を含有する層を形成する偏光板保護フィルムの製造方法。
関係式[1]: |fdsolvent−fdcellulose|≦0.10
関係式[1]中、fdsolventは溶媒のfd値を表し、fdcelluloseはセルロースエステルのfd値を表す。
ここで、fd値は下記式Iで規定される。
式I: fd=δd/(δd+δp+δh)
式Iにおいて、δd、δp及びδhは、それぞれ、Hoy法により算出される溶解度パラメータδtに対する、London分散力に対応する項、双極子間力に対応する項、及び、水素結合力に対応する項を示す。
>上記<1>〜<>のいずれか1つに記載の偏光板保護フィルムを製造する方法であって、
セルロースエステルを含有する層上に、カルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体と下記関係式[1]を満たす溶媒とを含有する形成液を適用して、カルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体を含有する層を形成する偏光板保護フィルムの製造方法。
関係式[1]: |fdsolvent−fdcellulose|≦0.10
関係式[1]中、fdsolventは溶媒のfd値を表し、fdcelluloseはセルロースエステルのfd値を表す。
ここで、fd値は下記式Iで規定される。
式I: fd=δd/(δd+δp+δh)
式Iにおいて、δd、δp及びδhは、それぞれ、Hoy法により算出される溶解度パラメータδtに対する、London分散力に対応する項、双極子間力に対応する項、及び、水素結合力に対応する項を示す。
>上記<1>〜<>のいずれか1つに記載の偏光板保護フィルムと偏光子とを有する偏光板。
>偏光板保護フィルムの、環状ポリオレフィンを含有する層を、偏光子側に配置した<>に記載の偏光板。
>上記<>又は<>に記載の偏光板を有する画像表示装置。
本発明は、透湿度が小さく、密着性にも優れ、更に、偏光子の劣化及び偏光板の加工特性を改善しうる偏光板保護フィルムを提供することができる。また、本発明は、上記の優れた効果を奏する偏光板保護フィルムを好適に製造できる方法を提供することができる。更に、本発明は、上記の優れた効果を奏する偏光板保護フィルムを利用して、優れた加工特性と、高温高湿条件下においても高い耐久性を示す偏光板を提供することができる。更にまた、本発明は、上記の優れた効果を奏する偏光板保護フィルムを利用して、高温高湿条件下においても高い耐久性を示す画像表示装置を提供することができる。
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、適宜添付の図面を参照して、下記の記載からより明らかになるであろう。
図1は、本発明の偏光板保護フィルムの好ましい一例を、層中の円部分Aの概略拡大図も含めて、示す断面図である。 図2Aは、本発明の偏光板の好ましい例を示す断面図である。 図2Bは、本発明の偏光板の別の好ましい例を示す断面図である。 図3は、本発明の偏光板保護フィルムを組み込んだ偏光板を備えた液晶表示装置の概略を示す模式図である。 図4は、実施例101の偏光板保護フィルムをX線光電子分光分析(XPS)したときの酸素原子比率についての深さ方向プロファイルを示すチャートである。 図5は、実施例109の偏光板保護フィルムをX線光電子分光分析したときの酸素原子比率についての深さ方向プロファイルを示すチャートである。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」と記載するときは、アクリレート、メタアクレート、又は、両者を意味する。
本明細書において、化合物の表示については、化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む。また、目的とする効果を損なわない範囲で、構造の一部を変化させたものを含む。また、置換又は無置換を明記していない化合物については、目的とする効果を損なわない範囲で、任意の置換基を有するものを含む。このことは、置換基又は連結基等(以下、置換基等という)についても同様である。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基等が複数あるとき、又は複数の置換基等を同時に規定するときには、特段の断りがない限り、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、複数の置換基等が近接(特に隣接)するとき、特段の断りがない限り、それらが互いに連結して環を形成してもよい。
また、基の炭素原子数が限定されている場合、この基の炭素原子数は、置換基を含めた全炭素原子数を意味する。
本明細書において、単に置換基としてしか記載されていない場合、下記置換基群Zから選ばれる置換基が挙げられる。また、特定の基(例えばアルキル基)としか記載されていない場合、下記置換基群Zの対応する基(アルキル基)における好ましい範囲、具体例が適用される。
本発明において、ある基が非環状骨格及び環状骨格を採りうる場合、特段の断りがない限り、ある基は、非環状骨格の基と環状骨格の基を含む。例えば、アルキル基は、直鎖アルキル基、分岐アルキル基及び環状(シクロ)アルキル基を含む。ある基が環状骨格を採る場合、環状骨格の基における環状骨格形成原子数の下限は、ある基において具体的に記載した炭素原子数の下限にかかわらず、3以上であり、5以上が好ましい。
<置換基群Z>
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8のものであり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニル、ビフェニル、ナフチル等が挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等が挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル等が挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等が挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等が挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜16、特に好ましくは0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等が挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等が挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルチオ等が挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメシル、トシル等が挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル等が挙げられる。)、ウレタン基、ウレイド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等が挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミド等が挙げられる。)、ヒドロキシル基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子が挙げられ、5員環若しくは6員環又はこれらの縮合環が好ましい。具体的には、例えば、イミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル等が挙げられる。)、及びシリル基(好ましくは、炭素原子数3〜40、より好ましくは3〜30、特に好ましくは3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリル等が挙げられる)。
これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が2つ以上ある場合は、同じでも異なってもよく、互いに連結して環を形成してもよい。
本発明の好ましい実施形態について以下に説明する。
[偏光板保護フィルム]
図1に示されるように、本発明の好ましい一例としての偏光板保護フィルム10は、セルロースエステルを含有する層(セルロースエステル層ともいう)11と、セルロースエステル層11の一方の表面上の、環状ポリオレフィンを含有する層(環状ポリオレフィン層ともいう)12と、セルロースエステル層11と環状ポリオレフィン層12との間の、極性基変性ポリオレフィンを含有する層(極性基変性ポリオレフィン層ともいう)13と、セルロースエステル層11と極性基変性ポリオレフィン層13との間の混合層14とを有している。この混合層は、後述するように、セルロースエステルと極性基変性ポリオレフィンとを含有している。
また、偏光板保護フィルム10は、極性基変性ポリオレフィンと環状ポリオレフィンとが混合してなる混合層(混合領域)を、極性基変性ポリオレフィン層13と環状ポリオレフィン層12との間に有していてもよい。
本発明において、各層は、隣接して積層されていてもよく、他の層を介して積層されていてもよい。偏光板保護フィルム10において、セルロースエステル層11、混合層14及び極性基変性ポリオレフィン層13は互いに隣接して積層される。本発明において、隣接して積層されるとは、隣接する2つの層の間に、他の層を介することなく、直接積層される(重ね合わされる)ことを意味する。
本発明の偏光板保護フィルムは、上記積層構造を有していれば、その他の構成は特に限定されない。
例えば、セルロースエステル層11の両表面上に、混合層14、極性基変性ポリオレフィン層13及び環状ポリオレフィン層12がこの順で積層された層構造を有していてもよい。また、環状ポリオレフィン層12の表面に特定の機能に特化した各種機能層を有していてもよい。このような機能層としては、例えば、ハードコート層、反射防止層、光散乱層、防汚層、帯電防止層、又は、後述する、環状ポリオレフィン若しくは極性基変性ポリオレフィンを層中に50質量%未満含有する層が挙げられる。
通常、セルロースエステル層は親水性を示し、環状ポリオレフィン層は疎水性を示す。したがって、両層は、親和性が低く、密着性を十分に確保できない。しかし、本発明の偏光板保護フィルムは、セルロースエステル層と環状ポリオレフィン層との間に混合層と極性基変性ポリオレフィン層とをこの順で有する。これにより、セルロースエステル層と環状ポリオレフィン層とを有する偏光板保護フィルムであっても、透湿度を維持しつつ、高い密着性を示す。
<セルロースエステルを含有する層>
セルロースエステル層11は、層11中に、セルロースエステルを50質量%以上含有する層である。セルロースエステル層中のセルロースエステルの含有量は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、85質量%以上が特に好ましい。
セルロースエステルは、層中にセルロースエステルが多く含有されている程、後述する、極性基変性ポリオレフィン層13に対して高い密着性を示す。したがって、セルロースエステルの含有量の上限値は、特に限定されず、100質量%とすることもできるが、例えば、99質量%以下が好ましい。
− セルロースエステル −
セルロースエステル層に含有されるセルロースエステルは、セルロースエステルフィルムの製造に用いられるセルロースエステルであれば特に制限されることなく用いることができる。セルロースエステルは、好ましくは、極性基変性ポリオレフィン層13を形成する際に用いる溶媒との関係において、後述する関係式[1]を満たすfdを有するものを選択して用いる。fdについては後述する。
セルロースを構成する、β−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離のヒドロキシ基を有している。セルロースエステルは、これらのヒドロキシ基の一部をエステル化剤等によりエステル化した重合体(ポリマー)である。
セルロースとしては、綿花リンターや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)等があり、いずれの原料セルロースから得られるセルロースでも使用でき、場合によりこれらを混合して使用してもよい。原料セルロースは、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」,日刊工業新聞社(1970年発行)又は発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。
セルロースエステルとしては、上記セルロース由来のヒドロキシ基のエステル化物であれば特に限定されないが、中でも、グルコース単位中のヒドロキシ基の一部をアシル化したセルロースアシレートが好ましい。
アシル置換度(以下、単に「置換度」ということがある)は、セルロース中のグルコース単位の2位、3位及び6位に結合するヒドロキシ基のアシル化の度合いを示すものであり、全てのグルコース単位の2位、3位及び6位のヒドロキシ基がいずれもアシル化された場合、アシル置換度は3である。また、全てのグルコース単位で、6位のヒドロキシ基のみが全てアシル化された場合、アシル置換度は1である。同様に、全グルコースの全ヒドロキシ基において、各々のグルコース単位で、2位及び3位のいずれか一方のヒドロキシ基が全てアシル化された場合も、アシル置換度は1である。
すなわち、置換度は、グルコース分子中の全ヒドロキシ基が全てアシル化された場合を3として、アシル化の度合いを示すものである。
セルロースアシレートの置換度は、手塚他,Carbohydrate.Res.,273,83−91(1995)に記載の方法、又は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定することができる。
本発明に用いるセルロースアシレートのアシル置換度は、環境湿度による寸法変化を小さくし、かつドープ溶媒に対して良好な溶解性を有する点で、1.50〜3.00であることが好ましく、2.00〜2.97であることがより好ましく、2.30以上2.97未満であることが更に好ましく、2.30〜2.95であることが特に好ましい。
本発明に用いうるセルロースアシレートのアシル基に、特に制限はなく、1種のアシル基を有する形態でもよいし、2種以上のアシル基を有する形態でもよい。本発明に用いうるセルロースアシレートは、炭素原子数2以上のアシル基を置換基として有することが好ましい。炭素原子数2以上のアシル基に特に制限はなく、脂肪族のアシル基でもよいし、芳香族のアシル基でもよい。炭素原子数2以上のアシル基の具体例として、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ヘプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、イソブタノイル、tert−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル等が挙げられる。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、tert−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルが好ましく、更に好ましくはアセチル、プロピオニル、ブタノイルである。
セルロースアシレートのアシル基としてアセチル基のみを用いたセルロースアセテートは、本発明に好適に用いることができ、このセルロースアセテートのアシル置換度は、環境湿度による寸法変化を小さくし、かつドープ溶媒に対して良好な溶解性を有する点で、2.00〜3.00であることが好ましく、2.20〜3.00であることがより好ましく、2.30〜3.00であることが更に好ましく、2.30〜2.97であることが特に好ましく、2.30〜2.95であることが最も好ましい。
2種類以上のアシル基を有する混合脂肪酸エステルも本発明におけるセルロースアシレートとして好ましく用いることができる。中でも、混合脂肪酸エステルのアシル基には、アセチル基と炭素原子数が3〜4のアシル基が含まれることが好ましい。混合脂肪酸エステルがアシル基としてアセチル基と炭素原子数が3〜4のアシル基を含む場合、アセチル基の置換度は2.5未満が好ましく、1.9未満が更に好ましい。一方、炭素原子数が3〜4のアシル基の置換度は、0.1〜1.5であることが好ましく、0.2〜1.2であることがより好ましく、0.5〜1.1であることが特に好ましい。
また、特開2008−20896号公報の段落0023〜0038に記載の、脂肪酸アシル基と置換若しくは無置換の芳香族アシル基とを有する混合酸エステルも好ましく用いることができる。
本発明においては、エステル基及び置換度の一方又は両方が異なる、2種のセルロースエステルないしセルロースアシレートを併用することもできる。この場合、後述する共流延法等により、異なるセルロースエステルからなる積層構造として形成してもよい。
セルロースエステルないしセルロースアシレートは、250〜800の重合度を有することが好ましく、300〜600の重合度を有することがより好ましい。また、本発明で用いるセルロースエステルないしセルロースアシレートは、40000〜230000の質量平均分子量を有することが好ましく、60000〜230000の質量平均分子量を有することがより好ましく、75000〜200000の質量平均分子量を有することが特に好ましい。
重合度は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)によりポリスチレン換算で測定される数平均分子量をセルロースエステルないしセルロースアシレートのグルコピラノース単位(グルコース単位)の分子量で除することで求めることができる。
本発明における質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)法により下記の条件で測定された値である。
[溶媒]N−メチル−2−ピロリドン
[装置名]TOSOH EcoSEC HLC−8320GPC
[カラム]TOSOH SKgel Super AWM−H (6.0mmID×15cm)を3本接続して使用。
[カラム温度]40℃
[試料濃度]0.1質量%
[流速]0.5ml/min
[校正曲線]TOSOH製TSK標準ポリスチレン Mw=2800000〜1050までの7サンプルによる校正曲線を使用。
本発明に用いるセルロースエステルは常法により合成することができる。例えばセルロースアシレートであれば、アシル化剤として酸無水物又は酸塩化物を用いて合成できる。上記アシル化剤が酸無水物である場合は、反応溶媒として有機酸(例えば、酢酸)又は塩化メチレンが使用される。また、触媒として、硫酸のようなプロトン性触媒を用いることができる。アシル化剤が酸塩化物である場合は、触媒として塩基性化合物を用いることができる。セルロースアシレートの一般的な工業的製造では、セルロースを目的のアシル基に対応する有機酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸等)又はそれらの酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等)を用いて、そのヒドロキシ基をエステル化(アシル化)する。
例えば、綿花リンター又は木材パルプ由来のセルロースを原料とし、これを酢酸等の有機酸で活性化処理した後、硫酸触媒の存在下で、所望の構造の有機酸を用いてエステル化することにより、セルロースアシレートを得ることができる。また、アシル化剤として有機酸無水物を用いる場合には、一般にセルロース中に存在するヒドロキシ基の量に対して有機酸無水物を過剰量で使用してセルロースをアシル化する。
また、セルロースアシレートは、例えば、特開平10−45804号公報に記載された方法により、合成することもできる。
セルロースエステル層において、セルロースエステルに加えて他の樹脂(例えば(メタ)アクリル樹脂等)を併用することもできる。他の樹脂の含有量は、セルロースエステル層中、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましく、15質量%以下が特に好ましく、10質量%以下が最も好ましい。
セルロースエステル層は、セルロースエステル、他の樹脂以外に、各種添加剤を含有していてもよい。含有していてもよい添加剤としては、光学フィルムに通常用いられる、可塑剤、有機酸、色素、上記ポリマー以外のポリマー、レターデーション調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、マット剤等が挙げられる。これらの添加剤については、特開2012−155287号公報の段落0062〜0097の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
これら以外の添加剤として、剥離促進剤、多価カルボン酸誘導体が挙げられる。これらの添加剤については、国際公開第2015/005398号の段落0212〜0219の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
添加剤の含有量(二種以上の添加剤を含有する場合には、合計含有量)は、特に限定されないが、例えば、セルロースエステル層中、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
<環状ポリオレフィンを含有する層>
環状ポリオレフィン層12は、層12中に、後述する環状ポリオレフィンを50質量%以上含有する層である。後述する、極性基変性ポリオレフィン層13に対する密着性の点で、環状ポリオレフィン層中の環状ポリオレフィンの含有量は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、85質量%以上が特に好ましい。
環状ポリオレフィンは、層中に環状ポリオレフィンが多く含有されている程、極性基変性ポリオレフィン層13に対して高い密着性を示し、偏光板保護フィルムに低透湿性をも付与できる。したがって、環状ポリオレフィンの含有量の上限値は、特に限定されず、100質量%とすることもできるが、例えば、99質量%以下が好ましい。
− 環状ポリオレフィン −
環状ポリオレフィンを形成する環状オレフィン化合物としては、炭素−炭素二重結合を含む環構造を持つ化合物であれば特に限定されず、例えば、ノルボルネン化合物、ノルボルネン化合物以外の、単環の環状オレフィン化合物、環状共役ジエン化合物又はビニル脂環式炭化水素化合物等が挙げられる。
環状ポリオレフィンとしては、例えば、(1)ノルボルネン化合物に由来する構造単位を含む重合体、(2)ノルボルネン化合物以外の、単環の環状オレフィン化合物に由来する構造単位を含む重合体、(3)環状共役ジエン化合物に由来する構造単位を含む重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素化合物に由来する構造単位を含む重合体、及び、(1)〜(4)の各化合物に由来する構造単位を含む重合体の水素化物等が挙げられる。本発明において、ノルボルネン化合物に由来する構造単位を含む重合体、及び、単環の環状オレフィン化合物に由来する構造単位を含む重合体には、各化合物の開環重合体を含む。
環状ポリオレフィンとしては、特に限定されないが、下記一般式(A−II)又は(A−III)で表される、ノルボルネン化合物に由来する構造単位を有する重合体が好ましい。下記一般式(A−II)で表される構造単位を有する重合体はノルボルネン化合物の付加重合体であり、下記一般式(A−III)で表される構造単位を有する重合体はノルボルネン化合物の開環重合体である。
Figure 0006654203
一般式中、mは0〜4の整数であり、0又は1が好ましい。
〜Rは、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基を表す。
本発明において、炭化水素基は、炭素原子と水素原子からなる基であれば特に限定されず、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基(芳香族炭化水素基)等が挙げられる。中でも、アルキル基又はアリール基が好ましい。
及びX、Y及びYは、各々独立に、水素原子、炭素原子数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜10の炭化水素基、−(CH)nCOOR11、−(CH)nOCOR12、−(CH)nNCO、−(CH)nNO、−(CH)nCN、−(CH)nCONR1314、−(CH)nNR1314、−(CH)nOZ、−(CH)nW、又は、XとY若しくはXとYが互いに結合して形成する、(−CO)O若しくは(−CO)NR15を表す。
ここで、R11〜R15は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、Zは炭化水素基又はハロゲンで置換された炭化水素基を表し、WはSi(R16(3−p)(R16は炭素原子数1〜10の炭化水素基を表し、Dはハロゲン原子、−OCOR17又は−OR17(R17は炭素原子数1〜10の炭化水素基)を表す。pは0〜3の整数である)を表す。nは、0〜10の整数であり、0〜8が好ましく、0〜6がより好ましい。
一般式(A−II)又は(A−III)において、R〜Rは、それぞれ、水素原子又は−CHが好ましく、透湿度の点で、水素原子であることが更に好ましい。
及びYは、それぞれ、水素原子、−CH、−Cが好ましく、透湿度の点で、水素原子が更に好ましい。
及びYは、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子(特に塩素原子)又は−(CH)nCOOR11(特に−COOCH)が好ましく、透湿度の点で、水素原子が更に好ましい。
その他の基は、適宜に選択される。
一般式(A−II)又は(A−III)において、mが0又は1であり、R〜R、X〜X及びY〜Yがいずれも水素原子であることが、特に好ましい。
一般式(A−II)又は(A−III)で表される構造単位を有する重合体は、更に下記一般式(A−I)で表される構造単位を少なくとも1種以上含んでもよい。
Figure 0006654203
一般式中、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基を表し、X及びYは、各々独立に、水素原子、炭素原子数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜10の炭化水素基、−(CH)nCOOR11、−(CH)nOCOR12、−(CH)nNCO、−(CH)nNO、−(CH)nCN、−(CH)nCONR1314、−(CH)nNR1314、−(CH)nOZ、−(CH)nW、又は、XとYが互いに結合して形成する、(−CO)O若しくは(−CO)NR15を表す。
ここで、R11〜R15は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、Zは炭化水素基又はハロゲンで置換された炭化水素基を表し、WはSi(R16(3−p)(R16は炭素原子数1〜10の炭化水素基を表し、Dはハロゲン原子、−OCOR17又は−OR17(R17は炭素原子数1〜10の炭化水素基)を表す。pは0〜3の整数である)を表す。nは0〜10の整数を示す。
透湿度、及び、極性基変性ポリオレフィン層13に対する密着性の観点から、一般式(A−II)又は(A−III)で表される構造単位を有する環状ポリオレフィンは、上述のノルボルネン化合物に由来する構造単位を、環状ポリオレフィンの全質量に対して90質量%以下含有することが好ましく、30〜85質量%含有することがより好ましく、50〜79質量%含有することが更に好ましく、60〜75質量%含有することが最も好ましい。ここで、ノルボルネン化合物に由来する構造単位の割合は環状ポリオレフィン中の平均値を表す。
ノルボルネン化合物の付加(共)重合体は、特開平10−7732号公報、特表2002−504184号公報、米国公開特許公開第2004229157A1、又は、国際公開第2004/070463号等に記載されている。
ノルボルネン化合物の重合体としては、ノルボルネン化合物(例えば、ノルボルネンの多環状不飽和化合物)同士を付加重合することによって得られる。
また、ノルボルネン化合物の重合体として、必要に応じ、ノルボルネン化合物と、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン、ブタジエン、イソプレンのような共役ジエン、エチリデンノルボルネンのような非共役ジエン、アクリロニトリル、アクリル酸、メタアクリル酸、無水マレイン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミド、酢酸ビニル又は塩化ビニル等のエチレン性不飽和化合物とを付加共重合して得られる共重合体が具体的に挙げられる。中でも、エチレンとの共重合体が好ましい。
このようなノルボルネン化合物の付加(共)重合体としては、三井化学社よりアペルの商品名で発売されており、ガラス転移温度(Tg)が互いに異なる、例えば、APL8008T(Tg70℃)、APL6011T(Tg105℃)、APL6013T(Tg125℃)、又は、APL6015T(Tg145℃)等が挙げられる。また、ポリプラスチック社より、TOPAS8007、同6013、同6015等のペレットが市販されている。更に、Ferrania社よりAppear3000が市販されている。
上述の、ノルボルネン化合物の重合体は、市販品を使用することができる。例えば、JSR社からアートン(Arton)G又はアートンFという商品名で市販されており、また日本ゼオン社からゼオノア(Zeonor)ZF14、ZF16、ゼオネックス(Zeonex)250又はゼオネックス280という商品名で市販されている。
ノルボルネン化合物の重合体の水素化物は、ノルボルネン化合物等を付加重合又はメタセシス開環重合した後、水素添加することにより、合成できる。合成方法は、例えば、特開平1−240517号、特開平7−196736号、特開昭60−26024号、特開昭62−19801号、特開2003−159767号又は特開2004−309979号等の各公報に記載されている。
本発明において、環状ポリオレフィンは、上述の(共)重合体を架橋してなる架橋環状ポリオレフィンを包含する。したがって、本発明において、単に環状ポリオレフィンという場合、架橋していない環状ポリオレフィン(非架橋環状ポリオレフィンということがある。)と、架橋している環状ポリオレフィン(架橋環状ポリオレフィンということがある。)との両者を含む意味である。
架橋環状ポリオレフィンの架橋形態等は特に限定されないが、架橋環状ポリオレフィンは、非架橋環状ポリオレフィン成分と、所望により架橋成分とを構成成分として有する。架橋成分としては、非架橋環状ポリオレフィンの架橋に用いる架橋化合物により一義的に決定されないが、例えば下記の架橋化合物が非架橋環状ポリオレフィンと架橋反応してなる成分が挙げられる。
− 架橋化合物 −
非架橋環状ポリオレフィンを架橋して架橋環状ポリオレフィンを形成する架橋化合物としては、特に限定されないが、脂肪族環状炭化水素基を有し、かつエチレン性不飽和二重結合を有する化合物が好ましい。
(脂肪族環状炭化水素基を有し、かつエチレン性不飽和二重結合を有する化合物)
脂肪族環状炭化水素基を有し、かつエチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、脂肪族環状炭化水素基と、エチレン性不飽和二重結合を有する基とが、直接又は後述する連結基を介して、結合した化合物である。この化合物を用いることによって、極性基変性ポリオレフィン層と環状ポリオレフィン層との密着性を高めることができる。
脂肪族環状炭化水素基としては、脂肪族環状化合物から水素原子が取り除かれて誘導される基であれば特に限定されず、好ましくは炭素原子数7以上の脂環式化合物から誘導される基であり、より好ましくは炭素原子数10以上の脂環式化合物から誘導される基であり、更に好ましくは炭素原子数12以上の脂環式化合物から誘導される基である。脂環式化合物の炭素数の上限は40個以下が好ましく、30個以下がより好ましい。脂肪族環状炭化水素基としては、特に好ましくは、二環式、三環式等の多環式化合物から誘導される基である。より好ましくは、特開2006−215096号公報の特許請求の範囲記載の化合物、特開2001−10999号公報記載の化合物、又は、アダマンタン誘導体等の各化合物から誘導される基が挙げられる。
上記脂肪族環状炭化水素基を形成する環数は、特に限定されないが、通常、2〜10個が好ましく、2〜8個がより好ましく、3〜8個が更に好ましい。
脂肪族環状炭化水素基としては、具体的には、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、ペンタシクロペンタデカン、アダマンタン又はジアマンタン等から誘導される基が挙げられる。
脂肪族環状炭化水素基(連結基含む)としては、下記一般式(I)〜(V)のいずれかで表される基が好ましく、下記一般式(I)、(II)又は(IV)で表される基がより好ましく、下記一般式(I)で表される基が更に好ましい。
Figure 0006654203
一般式中、L及びLは、各々独立に、単結合又は2価以上の連結基を表し、2価以上の連結基が好ましい。L及びLは同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
n1は、1〜3の整数であり、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
*はそれぞれエチレン性不飽和二重結合を有する基との結合部を示す。m1は、L及びLがそれぞれ単結合である場合、1であり、L及びLがそれぞれ連結基である場合、(上記連結基の価数−1)の数である。
Figure 0006654203
一般式中、L及びLは、各々独立に、単結合又は2価以上の連結基を表し、2価以上の連結基が好ましい。L及びLは同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
n2は、1又は2であり、1が好ましい。
*はそれぞれエチレン性不飽和二重結合を有する基との結合部を示す。m2は、L及びLがそれぞれ単結合である場合、1であり、L及びLがそれぞれ連結基である場合、(上記連結基の価数−1)の数である。
Figure 0006654203
一般式中、L及びLは、各々独立に、単結合又は2価以上の連結基を表し、連結基、とりわけアルキレン基が好ましい。L及びLは同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
n3は1又は2であり、1が好ましい。
*はそれぞれエチレン性不飽和二重結合を有する基との結合部を示す。m3は、L及びLがそれぞれ単結合である場合、1であり、L及びLがそれぞれ連結基である場合、(上記連結基の価数−1)の数である。
Figure 0006654203
一般式中、L及びLは、各々独立に、単結合又は2価以上の連結基を表す。Lは、水素原子、単結合又は2価以上の連結基を表す。L及びLは単結合が好ましく、Lは水素原子又は単結合が好ましい。L及びLは同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。LはL又はLと同一でも異なっていてもよい。
*はそれぞれエチレン性不飽和二重結合を有する基との結合部を示す。m4は、L〜Lがそれぞれ単結合である場合、1であり、L〜Lがそれぞれ連結基である場合、(上記連結基の価数−1)の数である。Lが水素原子である場合、0である。
Figure 0006654203
一般式中、L10及びL11は、各々独立に、単結合又は2価以上の連結基を表し、単結合が好ましい。L10及びL11は同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
*はそれぞれエチレン性不飽和二重結合を有する基との結合部を示す。m5は、L10及びL11がそれぞれ単結合である場合、1であり、L10及びL11がそれぞれ連結基である場合、(上記連結基の価数−1)の数である。
〜L11として採りうる2価以上の連結基は、それぞれ、特に限定されないが、2〜5価の連結基が好ましく、2〜3価の連結基がより好ましく、2価の連結基が更に好ましい。
このような連結基としては、例えば、上記置換基群Zから選択される基から、(連結基の価数−1個)の水素原子を取り除いた基、N原子が置換されていてもよいアミド結合、N原子が置換されていてもよいウレタン結合、エステル結合、オキシカルボニル結合、エーテル結合等、又は、これらの2種以上が連結してなる基が挙げられる。連結する基の数は、特に限定されないが、2〜5個が好ましく、2〜3個がより好ましい。
2価の連結基としては、好ましくは、炭素数1〜6の置換されていてもよいアルキレン基、又は、ポリオキシアルキレン基(炭素数1〜6の置換されていてもよいアルキレン基とエーテル結合とが交互に連結してなる基)が好ましく、炭素数1〜6の置換されていてもよいアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜3の置換されていてもよいアルキレン基が更に好ましく、炭素数1〜3の置換されていないアルキレン基が特に好ましい。上記アルキレン基を置換してもよい置換基としては、上記置換基群Zから選択される基が挙げられる。
エチレン性不飽和二重結合を有する基としては、特に限定されないが、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、ビニルオキシカルボニル基(−C(O)OCH=CH)、スチリル基又はアリル基等の重合性官能基が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイルオキシ基及び−C(O)OCH=CHが好ましい。
脂肪族環状炭化水素基とエチレン性不飽和二重結合を有する基とを有する化合物が分子内に有するエチレン性不飽和二重結合の数は、架橋点密度の向上の点で、2個以上であることが好ましく、2〜8個であることが好ましく、2〜6個であることが好ましい。
脂肪族環状炭化水素基とエチレン性不飽和二重結合を有する基とを有する化合物としては、下記に示す、1分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を含有する化合物が好ましく、下記に示す、1分子内に3つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を含有する化合物がより好ましい。
脂肪族環状炭化水素基と、エチレン性不飽和二重結合を有する基とを連結する連結基としては、特に限定されないが、例えば、上述のL〜L11として採りうる連結基と同義であり、好ましいものも同じである。
上記化合物は、例えば、上記脂肪族環状炭化水素基を有するジオール又はトリオール等のポリオールと、上記重合性官能基等を有する化合物のカルボン酸、カルボン酸誘導体、エポキシ誘導体又はイソシアナート誘導体等との一段又は二段階の反応により合成することができる。
好ましくは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルクロリド、(メタ)アクリル酸無水物又は(メタ)アクリル酸グリシジルなどの化合物、国際公開第2012/00316A号に記載された化合物(例、1、1―ビス(アクリロキシメチル)エチルイソシアナート)を用いて、上記脂肪族環状炭化水素基を有するポリオールと反応させることにより合成することができる。
以下に、脂肪族環状炭化水素基を有し、かつエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006654203
Figure 0006654203
Figure 0006654203
架橋化合物は、少なくとも1種を用いることができる。
環状ポリオレフィン層中の、架橋成分の含有量は、架橋度等に応じて、適宜に決定される。
上記環状ポリオレフィンの質量平均分子量は、特に限定されないが、10000〜1000000であることが好ましく、20000〜800000であることがより好ましく、30000〜500000であることが更に好ましく、50000〜300000であることが特に好ましく、50000〜200000であることが最も好ましい。環状ポリオレフィンの分子量が大きくなると、耐熱性又は力学強度が向上する。環状ポリオレフィンの分子量は、下記条件により、測定することができる。
質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)によりポリスチレン換算で測定される質量平均分子量を採用した。具体的な測定条件を以下に示す。
−測定条件−
GPC装置:東ソー社製GPC装置(HLC−8320GPC、Ecosec)
カラム:TSK gel SuperHZM−H、TSK gel SuperHZ4000、TSK gel SuperHZ2000併用、(東ソー製、4.6mmID(内径)×15.0cm)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
測定温度:25℃
キャリア流量:0.35mL/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
本発明において、環状ポリオレフィンのガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、後述する極性基変性ポリオレフィンのTgよりも高いことが好ましく、150〜250℃の高いTgを持つ環状ポリオレフィンを用いることもできる。環状ポリオレフィンのガラス転移温度としては、例えば、50〜200℃の範囲であることがより好ましい。
架橋環状ポリオレフィンは、架橋前後において、上記範囲のTgを有することが好ましい。
Tgは、JIS K 7163に従って求めることができ、詳細な条件は実施例の記載による。
環状ポリオレフィン層は、環状ポリオレフィン以外に、各種添加剤を含有していてもよい。含有していてもよい添加剤としては、上述のセルロースエステル層に含有していてもよい各種添加剤が挙げられる。添加剤の含有量(二種以上の添加剤を含有する場合には、合計含有量)は、特に限定されないが、例えば、環状ポリオレフィン層中、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
環状ポリオレフィン層は、架橋環状ポリオレフィンを含有する場合、後述する架橋剤の分解物を含んでいてもよい。
<極性基変性ポリオレフィンを含有する層>
極性基変性ポリオレフィン層13は、層13中に、後述する極性基変性ポリオレフィンを50質量%以上含有する層である。上述の、セルロースエステル層11及び環状ポリオレフィン層12に対する密着性の点で、極性基変性ポリオレフィン層中の極性基変性ポリオレフィンの含有量は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、85質量%以上が特に好ましい。
極性基変性ポリオレフィンは、層中に極性基変性ポリオレフィンが多く含有されている程、上記両層11及び12に対して高い密着性を示す。したがって、極性基変性ポリオレフィンの含有量の上限値は、特に限定されず、100質量%とすることもできるが、例えば、99質量%以下が好ましい。
極性基変性ポリオレフィン層13は、上述の各種添加剤を上述の含有量で含有していてもよい。また、極性基変性ポリオレフィン層は、極性基変性架橋ポリオレフィンを含有する場合、後述する架橋剤の分解物を含んでいてもよい。
− 極性基変性ポリオレフィン −
極性基変性ポリオレフィンとしては、後述する極性基で変性されたポリオレフィンであれば特に限定されず、後述するガラス転移温度の関係を満たすポリオレフィンが好ましい。
この極性基変性ポリオレフィンは、ポリオレフィンに極性基が導入されることによって変性された変性体、すなわち、ポリオレフィンの官能基の一部が極性基によって置換されることによって変性された変性体である。
このように、極性基変性ポリオレフィンは、分子中に極性基を有している。この極性基変性ポリオレフィンにおいては、極性基を、側鎖の一部として有していることが好ましく、側鎖(ペンダント)として有していることがより好ましい。
極性基で変性されるポリオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンの単独重合体、これらの共重合体、又は、これらと共重合可能な他の不飽和単量体との共重合体等が挙げられる。
また、上記共重合体として、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のエチレン共重合体、エチレン−スチレン共重合体、プロピレン−スチレン共重合体等のスチレン−オレフィン共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体若しくはランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ジエン化合物の共重合体等のプロピレン共重合体、ポリブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1等が挙げられる。
中でも、α−オレフィンの単独重合体若しくは共重合体、スチレン−オレフィン共重合体、又はプロピレン−エチレンブロック共重合体若しくはランダム共重合体が好ましく、プロピレン単独重合体、エチレン−スチレン共重合体、プロピレン−スチレン共重合体又はプロピレン−エチレン−スチレンランダム共重合体がより好ましい。
本発明において、極性基とは、酸素、硫黄、窒素又はハロゲンなど、水素原子又は炭素原子よりも電気陰性度の高い原子によって分極が生じている有機基のことをいう。
具体的には、アミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)、アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(例えば、ピリジニルオキシ基、ピリミジニルオキシ基)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ基)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ)、アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ基)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N−メチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基)、ウレイド基(例えば、ウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基、酸無水物基又は水酸基等が挙げられる。
中でも、カルボキシ基、酸無水物基、水酸基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基が好ましく、カルボキシ基及び水酸基の少なくとも一方がより好ましい。
極性基変性ポリオレフィンは、上記極性基を、1種又は2種以上を有していてもよい。
極性基変性ポリオレフィンにおける上記極性基の変性量は、特に限定されないが、樹脂の全質量に対して、0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
極性基変性ポリオレフィンとしては、上述のポリオレフィンがカルボン酸で変性されてなるカルボン酸変性ポリオレフィンが好ましい。このカルボン酸変性ポリオレフィンにおいて、ポリオレフィンを変性するカルボン酸は、無水カルボン酸を含み、後述する(メタ)アクリル系化合物を含まない。上述のポリオレフィンをカルボン酸変性又は無水カルボン酸変性してカルボキシ基又は酸無水物基を導入可能な化合物としては後述する不飽和多価カルボン酸又はその誘導体等が挙げられる。カルボン酸変性ポリオレフィンとしては、カルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体が好ましく、例えば、三井化学社製のユニストールP902、ユニストールP802又はユニストールH200(いずれも商品名)等が挙げられる。
極性基変性ポリオレフィンとしては、不飽和多価カルボン酸系化合物及び(メタ)アクリル系化合物の両者でグラフト変性された変性ポリオレフィン樹脂も、挙げられる。この変性ポリオレフィン樹脂は、極性基としてカルボキシ基を含むものである。
この変性ポリオレフィン樹脂の原料となるポリオレフィン樹脂は、プロピレンを主体として、これに他のα−オレフィンを共重合したプロピレン−α−オレフィン共重合体であるのが好ましく、ブロック共重合体及びランダム共重合体のいずれでもよい。プロピレンに共重合されるα−オレフィン成分としては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等を挙げることができ、その炭素原子数は、例えば10程度までである。プロピレン成分の含有量は50〜90モル%の範囲が好適である。プロピレン成分が50モル%を下回ると、密着性が十分でなくなり、また90モル%を越えると、柔軟性が不足する傾向にある。
上記変性ポリオレフィン樹脂において、出発原料となるポリオレフィン樹脂の分子量は特に限定されないが、変性後の変性ポリオレフィン樹脂の質量平均分子量は、15000〜150000が好ましく、30000〜120000がより好ましく、30000〜100000が更に好ましい。その質量平均分子量が15000より小さいと、密着性又は凝集力が弱くなり、一方、150000より大きくなると、粘度増加により作業性又は溶媒への溶解性が低下する傾向にある。
この変性ポリオレフィン樹脂における、不飽和多価カルボン酸系化合物及び(メタ)アクリル系化合物のグラフト変性量は、樹脂の全質量に対して、不飽和多価カルボン酸系化合物が0.1〜20質量%、(メタ)アクリル系化合物が0.1〜30質量%であることが好ましい。この範囲よりもグラフト変性量が少ないと、変性ポリオレフィン樹脂の溶媒に対する溶解性又は密着性が低下する傾向にある。逆にそのグラフト変性量が多すぎると、反応性の高い(メタ)アクリル系化合物が超高分子量体を形成し、溶媒に対する溶解性を悪化させたり、ポリオレフィン骨格にグラフトしないホモポリマー又はコポリマーの生成量が増加したりする傾向にある。
変性に用いる不飽和多価カルボン酸系化合物は、不飽和多価カルボン酸、すなわち分子内に不飽和結合と少なくとも2個のカルボキシ基を有する化合物、又はその誘導体である。不飽和多価カルボン酸の具体例としては、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸、フタル酸、トリメリット酸、ノルボルネンジカルボン酸等が挙げられる。また、不飽和多価カルボン酸の誘導体とは、例えば、上に例示した如き不飽和多価カルボン酸の酸無水物、酸ハライド、アミド、イミド、エステル等を包含する概念である。これらの中では、無水イタコン酸又は無水マレイン酸が好ましく、それらの0.1〜20質量%で変性されるとともに、後述する(メタ)アクリル系化合物で変性されたポリオレフィン樹脂が密着性等の観点から好ましい。これら変性モノマーである不飽和多価カルボン酸系化合物は、それぞれ単独で用いることもできるし、複数を組み合わせて用いることもできる。
(メタ)アクリル系化合物は、(メタ)アクリル酸、すなわちアクリル酸若しくはメタクリル酸、又はその誘導体である。(メタ)アクリル酸の誘導体とは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートのようなエステル化合物、アクリルアミドのようなアミド類化合物を包含する概念である。これら変性モノマーである(メタ)アクリル系化合物は、それぞれ単独で用いることもできるし、複数を組み合わせて用いることもできる。
中でも、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートのような、比較的大きい炭素原子数(例えば、炭素原子数8〜18程度)を有するアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好適であり、これらから選ばれる少なくとも1種が0.1〜30質量%含有されるものは、得られる変性ポリオレフィン樹脂の諸被膜物性の点から好ましい。
上述の変性ポリオレフィン樹脂には、用途や目的に応じて、本発明の特性を損なわない範囲で、上記した不飽和多価カルボン酸系化合物及び(メタ)アクリル系化合物以外のモノマーが併用されていてもよい。使用可能なモノマーとしては、スチレン、シクロヘキシルビニルエーテル、ジシクロペンタジエン等の共重合可能な不飽和モノマーを挙げることができる。これらのモノマーの使用量は、不飽和多価カルボン酸系化合物及び(メタ)アクリル系化合物の合計グラフト変性量を越えないことが好ましい。
上述の変性ポリオレフィン樹脂の合成方法は、通常の方法に準じて行うことができる。例えば、ポリオレフィン樹脂をトルエン等の溶媒に加熱溶解し、極性基を有する変性モノマーを添加する溶液法、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機等を使用して溶融したポリオレフィン樹脂とともに変性モノマーを添加する溶融法等が挙げられる。変性モノマーの添加方法は、逐次添加でも一括添加でも構わない。
上記の変性反応には、通常、ラジカル発生剤が用いられる。その例としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドのような有機過酸化物、又は、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)のようなアゾニトリル類等を挙げることができる。
不飽和多価カルボン酸系化合物及び(メタ)アクリル系化合物で変性された変性ポリオレフィン樹脂は、特開2002−173514号公報及び特開2004−277617号公報に記載されたものを用いることができる。また、市販品を用いることができる。例えば、市販品として、アウローレン350S、アウローレン350T及びアウローレンS−5106MX(いずれも商品名、日本製紙ケミカル社製)、ユニストールP401及びユニストールP801(いずれも商品名、三井化学社製)等が挙げられる。これらはいずれも、有機溶媒溶液の形で販売されており、そのまま、又は、必要に応じて粘度調整をした上で、用いることができる。
本発明において、極性基変性ポリオレフィンとしては、ユニストールP801、同P802若しくは同H200、又は、アウローレン350Sが好ましい。
本発明において、極性基変性ポリオレフィンは、上述の極性基変性ポリオレフィンを架橋してなる極性基変性架橋ポリオレフィンを包含する。したがって、本発明において、単に極性基変性架橋ポリオレフィンという場合、架橋していない極性基変性ポリオレフィン(極性基変性非架橋ポリオレフィンということがある。)と、架橋している極性基変性ポリオレフィン(極性基変性架橋ポリオレフィンということがある。)との両者を含む意味である。
極性基変性架橋ポリオレフィンの架橋形態等は特に限定されないが、極性基変性架橋ポリオレフィンは、極性基変性非架橋ポリオレフィン成分と、所望により架橋成分とを構成成分として有する。架橋成分としては、極性基変性非架橋ポリオレフィンの架橋に用いる架橋化合物により一義的に決定されないが、例えば下記の架橋化合物が極性基変性非架橋ポリオレフィンと架橋反応してなる成分が挙げられる。
− 架橋化合物 −
極性基変性非架橋ポリオレフィンを架橋して極性基変性架橋ポリオレフィンを形成する架橋化合物としては、特に限定されないが、上述の、非架橋環状ポリオレフィンを架橋して架橋環状ポリオレフィンを形成する架橋化合物、又は、以下に説明する、脂肪族環状炭化水素基を含まず、かつエチレン性不飽和二重結合を有する化合物が好ましい。
(脂肪族環状炭化水素基を含まず、かつエチレン性不飽和二重結合を有する化合物)
この化合物は、分子内に脂肪族環状炭化水素基を含まず、かつエチレン性不飽和二重結合を有する化合物であれば、特に限定されず、好ましくは鎖状脂肪族基又は芳香族基を含む化合物である。脂肪族環状炭化水素基としては例えば上記のものが挙げられる。
エチレン性不飽和二重結合を有する基及びその数としては、上述のものと同義であり、好ましいものも同じである。
脂肪族環状炭化水素基を含まず、かつエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、脂肪族環状炭化水素基を有さない(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、アルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル化合物、ポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル化合物、多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル化合物、エチレンオキシド(EO)若しくはプロピレンオキシド(PO)付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物、ウレタン(メタ)アクリレート化合物又はポリエステル(メタ)アクリレート化合物等を挙げることができる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物が好ましい。例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、ポリウレタンポリアクリレート等が挙げられる。ポリエステル(メタ)アクリレート化合物としては、ポリエステルポリアクリレート、又は、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能アクリレート化合物は、市販されているものを用いることもでき、例えば、NKエステル A−TMMT(商品名、新中村化学工業社製)、KAYARAD DPHA(商品名、日本化薬社製)等を挙げることができる。
また、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物については、特開2009−98658号公報の段落[0114]〜[0122]に「非含フッ素多官能モノマー」として記載されているものを、本発明においても用いることができる。
架橋化合物は、少なくとも1種を用いることができる。
極性基変性ポリオレフィン層中の、架橋成分の含有量は、架橋度等に応じて、適宜に決定される。
極性基変性ポリオレフィンの質量平均分子量は、特に限定されないが、3000〜1000000であることが好ましく、5000〜800000であることがより好ましく、10000〜500000であることが更に好ましい。
本発明において、極性基変性ポリオレフィンは、上述のセルロースエステル及び環状ポリオレフィンのいずれよりも低いガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。これにより、低透湿度及び密着性を保持しつつ、偏光子とともに形成する偏光板の加工特性を改善できる。
極性基変性ポリオレフィンのTgは、ガラス転移温度がセルロースエステル及び環状ポリオレフィンの両Tgに対して低いものであればよいが、上記点で、セルロースエステル及び環状ポリオレフィンの低い方のTgに対して、20〜300℃更に低いことが好ましく、50〜250℃更に低いことがより好ましい。
この点について詳細な理由は定かではないが、本発明者らは以下のように考えている。本発明に用いる極性基変性ポリオレフィンは、極性基がセルロースエステル中のヒドロキシ基又はカルボニル基との相互作用を示す一方で、オレフィンユニットが環状ポリオレフィンポリマーの環構造との相互作用を示す。このため、セルロースエステルを含有する層及び環情ポリオレフィンを含有する層との密着性を向上することができる。更に、極性基変性ポリオレフィンのTgが上記範囲にあることで、セルロースエステルを含有する層及びポリオレフィンを含有する層との間で、各層に含まれるポリマーと、極性基変性ポリオレフィンのポリマーとの間の相互作用が効率的に生じ、さらなる各層間の密着性の向上へ寄与していると考えられる。
上述した相互作用は、フィルムを製膜する際の乾燥工程において特に進行しやすいため、各層を形成するために用いる溶媒を適宜選択することで、本発明の効果をより高めることができる。溶媒については、後述する。
本発明において、極性基変性ポリオレフィンのTgは、特に限定されないが、上記関係を満たすことが好ましい。Tgは、例えば、−150〜100℃であることが好ましく、−130〜50℃であることがより好ましい。極性基変性ポリオレフィンのTgが上記範囲内にあると、本発明の偏光板保護フィルムを組み込んだ偏光板において剥離及びクラックの発生が低減される効果が得られる。
極性基変性ポリオレフィンが上述の架橋型である場合、架橋後においても、上記範囲のTgを有することが好ましい。すなわち、極性基変性架橋ポリオレフィンは、架橋前後において、上記範囲のTgを有することが好ましい。
Tgは、JIS K 7163に従って求めることができ、詳細な条件は実施例の記載による。
本発明において、極性基変性ポリオレフィンは、カルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体であることが好ましい。この共重合体は、スチレン化合物に由来する繰り返し単位をオレフィン化合物に由来する繰り返し単位に対して1〜20モル%含有することが好ましく、2〜10モル%含有することがより好ましい。オレフィン化合物に由来する繰り返し単位に対するスチレン化合物に由来する繰り返し単位の含有量(スチレン成分含有量という。)が1〜20モル%の範囲内にあると、極性基変性ポリオレフィン層の物理強度が向上する。
スチレン成分含有量は、スチレン化合物に由来する繰り返し単位及びオレフィン化合物に由来する繰り返し単位をH−NMR(プロトン核磁気共鳴)によって、測定した各含有量から算出できる。
また、上記共重合体は、以下に定義される酸価が1〜100(mg)であることが好ましく、5〜60(mg)であることがより好ましい。酸価が1〜100(mg)であると、セルロースエステルに対する親和性が向上し、良好な密着性が得られる。
酸価は、カルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体1g当たりを中和するのに必要とされる水酸化カリウムの質量(mg)であり、日本工業規格(JIS) K 0070(中和滴定法)に準じた方法で測定できる。
<混合層>
偏光板保護フィルム10は、セルロースエステル層11と極性基変性ポリオレフィン層13の間に混合層14を有している。この混合層は、上述のように、セルロースエステルと極性基変性ポリオレフィンとを(混合状態で)含有しており、セルロースエステル層と極性基変性ポリオレフィン層とを強固に密着させる作用機能を奏する。混合層は、後述する方法により決定される2つの境界に挟まれた層である。
混合層が含有するセルロースエステル及び極性基変性ポリオレフィンは上述した通りである。混合層はセルロースエステルと極性基変性ポリオレフィンとを含有していればよく、それらの混合状態及び含有割合は、上述の関係式[1]の値等に応じて一義的に決定されるものではなく、本発明の目的を損なわない範囲で混合状態及び含有割合を適宜に選択することができる。
混合状態としては、例えば、混合層の全体にわたってセルロースエステルと極性基変性ポリオレフィンとの含有割合が略一定の割合で混合している状態、深さ方向(極性基変性ポリオレフィン層からセルロースエステル層に向かう方向)に沿ってセルロースエステルと極性基変性ポリオレフィンとの含有割合が変化している状態、又は、これらを含む状態が挙げられる。上記含有割合が変化している状態としては、例えば、セルロースエステルと極性基変性ポリオレフィンとの含有割合が不定(ランダム)で混合している状態、又は、極性基変性ポリオレフィンの含有割合が徐々に減少し、セルロースエステルの含有割合が徐々に増大する(極性基変性ポリオレフィンとセルロースエステルの含有割合が逆転する場合を含む。)態様が挙げられる。
混合状態は、上記の中でも、混合層の全体にわたって含有割合が略一定の割合で混合している混合状態、又は、混合層の少なくともセルロースエステル層側に向かって、極性基変性ポリオレフィンの含有割合が徐々に減少し、セルロースエステルの含有割合が徐々に増大する態様を含む混合状態であることが好ましい。より好ましくは、深さ方向に沿って、極性基変性ポリオレフィンの含有割合が徐々に減少し、セルロースエステルの含有割合が徐々に増大する(極性基変性ポリオレフィンとセルロースエステルの含有割合が逆転する)態様である。
セルロースエステル及び極性基変性ポリオレフィンの含有割合は、それぞれ、セルロースエステルと極性基変性ポリオレフィンとの合計100質量部に対して、0質量部を超え、100質量部未満の範囲内から、上記混合状態等によって、適宜に設定される。例えば、上述のより好ましい態様においては、極性基変性ポリオレフィンの含有割合は、深さ方向に沿って、100質量部未満から0質量部超えまで減少する。一方、セルロースエステルの含有割合は、深さ方向に沿って、0質量部超えから100質量部未満まで増加する。
後述するように、セルロースエステルの含有量は、極性基変性ポリオレフィン層との界面において0質量部とし、セルロースエステル層との界面において100質量部とする。極性基変性ポリオレフィンの含有割合は、極性基変性ポリオレフィン層との界面において100質量部とし、セルロースエステル層との界面において0質量部とする。
混合層は、上述の各種添加剤を上述の含有量で含有していてもよい。
本発明の偏光板保護フィルムは、上述のように、セルロースエステル層、混合層、極性基変性ポリオレフィン及び環状ポリオレフィン層を備えている。これらの層のうち、少なくとも極性基変性ポリオレフィン層及び環状ポリオレフィン層はテルペン樹脂を無含有であることが好ましい。
テルペン樹脂とは、テルペン化合物の重合体、テルペン化合物と他の重合性化合物との共重合体、及び、これらの(共)重合体の水素添加物をいう。テルペン樹脂を無含有とは、テルペン樹脂を含有しない態様に加えて、本発明の効果が損なわれない範囲でテルペン樹脂を含有する態様も包含する。本発明の効果が損なわれない範囲としては、例えば、層の固形分中の含有率が5質量%未満である範囲が挙げられる。
[偏光板保護フィルムの物性]
本発明の偏光板保護フィルムは、下記の物性ないし特性を有することが好ましい。
(膜厚)
本発明の偏光板保護フィルムの膜厚は、用途に応じ適宜に決定することができるが、例えば、5〜100μmが好ましく、8〜80μmがより好ましく、10〜70μmが更に好ましい。膜厚を5μm以上とすることにより、ウェブ状のフィルムを作製する際のハンドリング性が向上する。一方、100μm以下とすることにより、湿度変化に対応しやすく、光学特性を維持しやすくなる。
偏光板保護フィルム中のセルロースエステル層の膜厚Tsは、用途に応じて適宜に決定することができるが、5〜100μmが好ましく、10〜80μmがより好ましく、15〜60μmが特に好ましい。セルロースエステル層が3層以上の積層構造を有する場合、コア層(基層)の膜厚は3〜70μmが好ましく、5〜60μmがより好ましい。3層構造である場合のスキン層A及びスキン層Bの膜厚は、ともに、0.5〜20μmが好ましく、0.5〜10μmがより好ましく、0.5〜3μmが更に好ましい。なお、コア層は、積層構造において内部に位置する層、3層構造である場合は中間に位置する層をいい、スキン層A、Bは積層構造ないし3層構造において、外側に位置する層をいう。
偏光板保護フィルム中の環状ポリオレフィン層の膜厚Tcは、用途に応じて適宜に決定することができるが、十分に低い透湿度を満たしながらも薄膜化の要求を満足するという点で、20μm以下が好ましく、1〜15μmがより好ましく、1.5〜10μmが更に好ましい。
偏光板保護フィルム中の極性基変性ポリオレフィン層の膜厚Tpは、特に限定されない。例えば、後述する混合層との合計膜厚Ttとしては、0.2μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、0.6μm以上が更に好ましい。一方、合計膜厚Ttとしては、40μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。極性基変性ポリオレフィン層が混合層との合計膜厚Ttとして上記範囲の膜厚を有すると、低透湿度及び密着性を保持しつつ、偏光子とともに形成する偏光板の加工特性を改善できる。
混合層は、X線電子分光法(XPS)により測定した酸素原子含有率をもとに算出される膜厚Tmが、下記式(T1)の関係を満たしている。混合層の膜厚Tmが薄すぎると十分な密着性が得られないことがあり、一方、厚すぎると偏光板保護フィルムの透明性が低下することがある。
式(T1):0.20μm≦膜厚Tm≦2.0μm
− 酸素原子比率の測定 −
混合層の膜厚を測定するには、まず、偏光板保護フィルムについて、酸素原子比率の深さ方向プロファイル(スタッパリング時間プロファイル)を得る。酸素原子比率についての深さ方向プロファイルは、偏光板保護フィルムにおける環状ポリオレフィン層の表面側から深さ方向に、元素組成の測定とスパッタとを交互に繰り返して得られたスペクトル情報から得ることができる。
具体的には、Versa Probell(商品名:Uivac−PHI社製)を用いて、XPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)法により、下記測定条件で、偏光板保護フィルムの深さ方向の酸素原子比率を測定する。
XPS測定条件
X線源:単色化AlKα線
分析領域:300×300μm
Pass Energy:46.950eV
光取り出し角:45°
測定元素:C1s、O1s
スパッタリング条件:Arガスクラスターイオンビーム銃(Ar2500 、20kV)
− 境界の決定 −
次に、混合層を規定する2つの界面を、得られた酸素原子比率の深さ方向プロファイルから、以下のようにして、決定する。
(a)混合層とセルロースエステル層との境界:セルロースエステル層側から極性基変性ポリオレフィン層側に向けて酸素原子比率が5atomic%以上減少する変化において、減少が始まるスパッタリング深さ
(b)混合層と極性基変性ポリオレフィン層との境界:酸素原子比率の減少が止まる(極小となる)スパッタリング深さ
− 測定点での膜厚(測定点膜厚)の算出 −
混合層の膜厚は、上述のようにして得られた2つの界面の距離(深さ)に相当し、以下の式により算出される測定点膜厚の平均値とする。
(測定点膜厚)=[(極性基変性ポリオレフィン層の膜厚)/(極性基変性オレフィン層のスパッタリング時間)]×(混合層のスッパタリング時間)
ここで、極性基変性ポリオレフィン層の膜厚は、極性基変性ポリオレフィン層の表面と上記界面(b)との距離とする。
− 混合層の膜厚算出 −
上記のようにして、偏光板保護フィルムの3点(長さ方向の中央及び両端近傍)について得られた測定点膜厚の平均値を、混合層の膜厚Tmとする。
混合層の膜厚Tmは、強固な密着性と透明性との点で、0.25〜1.5μmであることが好ましく、0.50〜1.0μmであることがより好ましい。
極性基変性ポリオレフィン層と混合層とは、それぞれ上述の膜厚(合計膜厚Tt)を有していることが好ましく、より好ましくは、密着性の点で、混合層の膜厚Tmと極性基変性ポリオレフィンの膜厚Tpとの合計膜厚Ttに対する混合層の膜厚Tmの膜厚比Tm/Ttが、0.25〜0.65であり、更に好ましくは0.30〜0.60である。
(幅)
偏光板保護フィルムの幅は、特に限定されないが、例えば、700〜3000mmであることが好ましく、1000〜2800mmであることがより好ましく、1470〜2500mmであることが特に好ましい。
(透湿度)
本発明の偏光板保護フィルムの透湿度は、1600g/(m・6hours)以下であることが好ましく、1000g/(m・6hours)以下であることがより好ましく、600g/(m・6hours)以下であることが更に好ましく、200g/(m・6hours)以下であることが特に好ましい。偏光板保護フィルムの透湿度を上記範囲に制御することで、本発明の偏光板保護フィルムを搭載した画像表示装置の常温、高湿及び高温高湿環境経時後の、液晶セルの反り、黒表示時の表示ムラを抑制できる。
透湿度は、JIS Z 0208(1976)の「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」に基づき、実施例に記載の方法によって算出された値である。
(ガラス転移温度)
本発明の偏光板保護フィルムは、極性基変性ポリオレフィンのガラス転移温度が上記範囲内にあり、優れた耐熱性を有する。
(ヘイズ)
本発明の偏光板保護フィルムは、下記方法により測定されるヘイズが1%以下であることが好ましく、0.7%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることが特に好ましい。本発明の偏光板保護フィルムは、上記範囲のヘイズを示すことができる。このようなヘイズを示す本発明の偏光板保護フィルムは、透明性に優れるため、液晶表示装置のフィルム部材として好適である。ヘイズの下限値は、例えば0.001%以上であるが、特に限定されない。
ヘイズは、本発明の偏光板保護フィルム40mm×80mmの試験片について、25℃、相対湿度60%の環境下で、ヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)を用いて、JIS K7136(2000)に従って、測定する。
(含水率)
上記偏光板保護フィルムの含水率(平衡含水率)は、偏光板の保護フィルムとして用いる際、ポリビニルアルコール等の親水性熱可塑性樹脂との接着性を損なわないために、膜厚に関わらず、25℃、相対湿度80%における含水率が、0〜4質量%であることが好ましい。0〜2.5質量%であることがより好ましく、0〜1.5質量%であることが更に好ましい。平衡含水率が4質量%以下であれば、レターデーションの湿度変化による依存性が大きくなり過ぎず、画像表示装置の黒表示時の表示ムラを抑止の点からも好ましい。
含水率の測定法は、本発明の偏光板保護フィルム7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置“CA−03”及び“VA−05”(ともに三菱化学製)にてカールフィッシャー法で測定する。水分量(g)を試料質量(g)で除して算出できる。
[偏光板保護フィルムの製造方法]
本発明の偏光板保護フィルムの製造方法について説明する。
本発明の偏光板保護フィルムの製造方法は、極性基変性ポリオレフィン層の形成において、極性基変性ポリオレフィンと下記関係式[1]を満たす溶媒とを含有する形成液(組成物)をセルロースエステル層上に適用して、極性基変性ポリオレフィン層を形成する方法である。これにより、セルロースエステル層と極性基変性ポリオレフィン層との密着性をより強大なものとすることができる。特に、上記製造方法により、セルロースエステル層及び極性基変性ポリオレフィン層の間に、セルロースエステルと極性基変性ポリオレフィンとが混合してなる混合層を、上述の膜厚で形成することができ、上記密着性の向上効果が著しくなる。
上記混合層の膜厚は、塗布溶媒によるセルロースエステルの溶解又は膨潤しやすさ(以下、溶解性又は膨潤性ともいう)、溶媒の乾燥速度等により、適宜に設定できる。
本発明の偏光板保護フィルムの製造方法を、特にセルロースエステル層に極性基変性ポリオレフィンを形成するための形成液を適用する方法に用いるセルロースエステル層(セルロースエステルフィルム)の製造方法を含めて、説明する。
セルロースエステルフィルムの製造方法は、特に限定されるものではないが、量産適性(工業的製造)の観点から、溶融製膜法又は溶液製膜法(ソルベントキャスト法)が好ましく、添加剤の揮散又は分解を抑える点で、溶液製膜法がより好ましい。
溶融製膜法としては、T−ダイ法等の製造法を用いることが好ましく、特に同時共押し出し法を用いることが好ましい。溶液製膜法としては、後述する共流延法、逐次流延法、塗布法等の積層流延法を用いることが好ましく、特に同時共流延(同時多層共流延ともいう。)法を用いることが、安定製造及び生産コスト低減の観点から特に好ましい。
溶液製膜法を利用したフィルムの製造例については、米国特許第2,336,310号、同第2,367,603号、同第2,492,078号、同第2,492,977号、同第2,492,978号、同第2,607,704号、同第2,739,069号及び同第2,739,070号の各明細書、英国特許第640731号及び同第736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号及び同62−115035号等の各公報を参考にすることができる。
(流延)
溶液の流延方法としては、調製した各層用のセルロースエステル溶液(ドープともいう)を加圧ダイから金属支持体上に均一に押出す方法、一旦金属等の支持体上に流延されたドープをブレードで膜厚を調節するドクターブレードによる方法、逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があり、加圧ダイによる方法が好ましい。加圧ダイにはコートハンガータイプ又はTダイタイプ等があるが、いずれも好ましく用いることができる。また、ここで挙げた方法以外にも、従来知られているセルロースエステル溶液を流延製膜する種々の方法で実施することができ、用いる溶媒の沸点等の違いを考慮して各条件を設定することができる。
金属支持体としては、エンドレスに走行するものが好ましく、表面がクロムメッキによって鏡面仕上げされたドラム又は表面研磨によって鏡面仕上げされたステンレスベルト(バンドといってもよい)が用いられる。上記金属支持体の材質については特に制限はないが、SUS製(例えば、SUS 316)であることがより好ましい。
使用される加圧ダイは、金属支持体の上方に、1基又は2基以上設置してもよい。好ましくは1基又は2基設置する。2基以上設置する場合には、流延するドープ量をそれぞれのダイに種々な割合に分けてもよく、複数の精密定量ギアポンプからそれぞれの割合でダイにドープを送液してもよい。流延に用いられるドープ(樹脂溶液)の温度は−10〜55℃が好ましく、より好ましくは25〜50℃である。その場合、工程の全ての溶液温度が同一でもよく、又は工程の各所で異なっていてもよい。異なる場合は、流延直前で所望の温度であればよい。
セルロースエステルフィルムの形成においては、共流延法、逐次流延法、塗布法等の積層流延法を用いることが好ましい。
共流延法及び逐次流延法によりフィルムを製造する場合には、まず、各層用のドープを調製する。
共流延法(重層同時流延)では、次いで、流延用支持体(バンド又はドラム)の上に、各層(3層あるいはそれ以上でもよい)各々の流延用ドープを別々のスリット等から同時に押出すことができる流延用ギーサを用いてドープを押出して、各層同時に流延する。流延後適当な時間をおいて支持体から剥ぎ取って乾燥し、フィルムを成形する。共流延ギーサを用いることにより、例えば、流延用支持体の上に表層用ドープから形成された表層2層と、これら表層に挟まれたコア層用ドープからなるコア層の計3層を、支持体上に同時に押出して流延することができる。
逐次流延法では、流延用支持体の上にまず第1層用の流延用ドープを流延用ギーサから押出して、流延し、乾燥又は乾燥することなく、その上に第2層用の流延用ドープを流延用ギーサから押出して流延する。同様にして、必要なら第3層以上まで逐次ドープを流延、積層して、適当な時間をおいて支持体から剥ぎ取って乾燥し、セルロースエステルフィルムを形成する。
また、塗布法では、一般的には、コア層を溶液製膜法によりフィルム状に形成し、その表層に、目的のセルロースエステル溶液である塗布液を塗布し、乾燥して、積層構造のセルロースエステルフィルムを形成する。
(延伸)
本発明のセルロースエステルフィルムは、上記の流延、乾燥によりフィルムを得た後、延伸処理されていることが好ましい。セルロースエステルフィルムの延伸方向はフィルム搬送方向(MD(Machine Direction)方向)と搬送方向に直交する方向(TD(Transverse Direction)方向)のいずれでもよい。後に続く偏光板加工プロセスを考慮すると、TD方向であることが好ましい。延伸処理は2段階以上に分けて複数回行ってもよい。
TD方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号等の各公報に記載されている方法を参考にすることができる。TD方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによって延伸することができる。またポリマーフィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。
MD方向の延伸の場合、例えば、フィルムの搬送ローラの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりも巻き取り速度を速くすることで行うことができる。
本発明においては、偏光板を斜めから見たときの光漏れを抑制するため、偏光子の透過軸とセルロースアシレートフィルムの面内の遅相軸を平行に配置する態様が好ましい。連続的に製造されるロールフィルム状の偏光子の透過軸は、一般的に、ロールフィルムの幅方向に平行であるので、上記ロールフィルム状の偏光子と、ロールフィルム状の本発明の偏光板保護フィルムからなる偏光板保護フィルムを連続的に貼り合せるためには、ロールフィルム状の偏光板保護フィルムの面内遅相軸は、セルロースエステルフィルムの幅方向に平行であることが必要となる。したがって、TD方向により多く延伸することが好ましい。また延伸処理は、製膜工程の途中で行ってもよいし、製膜して巻き取った原反を延伸処理してもよい。
上記セルロースエステルフィルムの延伸倍率(延伸前の寸法に対する延伸量の割合を意味する。したがって、延伸倍率1%とは、延伸後のフィルムの寸法は延伸前のフィルムの寸法に対して1.01倍となる。)は、1〜100%が好ましく、5〜60%が更に好ましく、10〜40%が特に好ましい。
特に、幅方向の延伸では、延伸倍率は5〜30%が好ましく、8〜30%が好ましい。
また、搬送方向と幅方向の両方向に延伸してもよく、その場合には、搬送方向の延伸倍率が1〜20%で、幅方向の延伸倍率が5〜30%であることが好ましく、搬送方向の延伸倍率が1〜8%で、幅方向の延伸倍率が10〜20%であることが好ましい。
延伸処理は製膜工程の途中で行ってもよいし、製膜して巻き取った原反を延伸処理してもよい。前者の場合には残留溶媒量を含んだ状態で延伸を行ってもよいが、残留溶媒量=(残存揮発分質量/加熱処理後フィルム質量)×100%が0.05〜50%の状態で延伸することが好ましい。残留溶媒量が0.05〜5%の状態で5〜80%延伸することがより好ましい。
(乾燥)
上記セルロースエステルフィルムの製造方法では、上記セルロースエステルフィルム(流涎又は延伸されたドープ)を乾燥する工程を含むことが好ましい。
セルロースエステルフィルムの乾燥は金属支持体上で行うことができる。金属支持体上におけるドープの乾燥は、一般的には、金属支持体(ドラム又はベルト)の表面側、つまり金属支持体上にあるウェブの表面から熱風を当てる方法、ドラム又はベルトの裏面から熱風を当てる方法、温度コントロールした液体をベルト又はドラムのドープ流延面の反対側である裏面から接触させて、伝熱によりドラム又はベルトを加熱し表面温度をコントロールする裏面液体伝熱方法等が挙げられる。中でも、裏面液体伝熱方式が好ましい。流延される前の金属支持体の表面温度は、ドープに用いられている溶媒の沸点以下であれば特に限定されない。しかし、乾燥を促進するためには、また金属支持体上での流動性を失わせるためには、使用される溶媒の内の最も沸点の低い溶媒の沸点より1〜10℃低い温度に設定することが好ましい。なお、流延ドープを冷却して乾燥することなく剥ぎ取る場合はこの限りではない。
(剥離)
上記セルロースエステルフィルムの製造方法は、上記ドープ膜(セルロースアシレートフィルム)を上記金属支持体から剥ぎ取る工程を含むことが好ましい。剥離方法については、特に制限はなく、通常の方法を用いることができる。支持体からの剥離する際の残留溶媒量は、10〜100質量%であることが好ましく、15〜60質量%であることがより好ましい。
ここで、残留溶媒量とは、以下の式により算出することができる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
[式中、Mは、乾燥前のセルロースアシレートフィルムの質量、Nは乾燥前のセルロースアシレートフィルムを110℃で3時間乾燥させたときの質量を表す。]
フィルム厚さは、所望の厚さになるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等により、適宜に決定できる。
以上のようにして得られた、上記セルロースアシレートフィルムの長さは、1ロール当たり100〜10000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500〜7000mであり、更に好ましくは1000〜6000mである。巻き取る際、少なくとも片端にナーリングを付与するのが好ましく、ナーリングの幅は3〜50mmが好ましく、より好ましくは5〜30mm、高さは0.5〜500μmが好ましく、より好ましくは1〜200μmである。これは片押しであっても両押しであってもよい。
このようにして、上記製造方法において基材層となる、セルロースエステルフィルムを作製できる。
次いで、極性基変性ポリオレフィン層をセルロースエステル層上に形成する方法について、説明する。
極性基変性ポリオレフィン層は、上述のように、形成液を適用、好ましくは塗布、乾燥して、形成することができる。これにより、セルロースエステル層と環状ポリオレフィン層とを高い密着性で積層させることができる。
形成液は、極性基変性ポリオレフィン、溶媒及び必要により各種添加剤を所定の割合で含有する組成物を用いる。
(極性基変性ポリオレフィン層を形成するための形成液)
本発明においては、下記の形成液を用いて、極性基変性ポリオレフィン層を形成する。この形成液は、極性基変性ポリオレフィンと、下記関係式[1]を満たす溶媒と、必要により、上記架橋化合物、開始剤、更には上記各種添加剤とを含有する。
形成液に用いる溶媒は、セルロースエステルに対する溶解性又は膨潤性が低すぎると、セルロースエステルと極性基変性ポリオレフィンとの絡み合いが十分ではなく(混合層の形成が不十分)、密着性のさらなる向上が望めなくなることがある。一方、溶解性又は膨潤性が高すぎると、乾燥により溶媒が除去された後に、セルロースエステルと極性基変性ポリオレフィンが相分離して混合層が脆くなることがあり、やはり密着性のさらなる向上が望めなくなることがある。
以上の観点から、極性基変性ポリオレフィン層を形成するための形成液に使用される溶媒は、下記式Iにより算出されるfdが下記関係式[1]を満たすものとする。
式I:fd=δd/(δd+δp+δh)
関係式[1]:|fdsolvent−fdcellulose|≦0.10
式Iにおいて、δd、δp及びδhは、それぞれ、Hoy法により算出される溶解度パラメータδtに対する、London分散力に対応する項、双極子間力に対応する項、及び、水素結合力に対応する項を示す。すなわち、fdはδdとδpとδhの和に対するδdの比率を示す。
関係式[1]において、fdsolventは溶媒のfd値を表し、fdcelluloseはセルロースエステルのfd値を表す。
関係式[1]により算出される、|fdsolvent−fdcellulose|(少数第3位を四捨五入)が0.10を超えると、溶媒によるセルロースエステルの膨潤又は溶解が不十分となり、強固な密着性を発現しないことがある。
この形成液に含まれる溶媒は、上記関係式[1]を満たすものであれば特に限定されない。この溶媒は、密着性の点で、関係式[1−A]を満たすものが好ましく、関係式[1−B]を満たすものが更に好ましい。
関係式[1−A]: |fdsolvent−fdcellulose|≦0.08
関係式[1−B]: |fdsolvent−fdcellulose|≦0.05
関係式[1−A]及び関係式[1−B]において、dsolvent及びfdcelluloseは、それぞれ、上記関係式[1]と同義である。
上記関係式[1]、[1−A]及び[1−B]の下限は、いずれも、0であるが、好ましくは0.001である。
本発明において、溶媒を2種以上併用する場合(混合溶媒)のfdsolventは、以下の式により算出するものとする。
fdsolvent=Σ(wi・fdi)
ここで、wiはi番目の溶媒の質量分率、fdiはi番目の溶媒のfd値を表す。
また、セルロースエステル層がセルロースエステルを2種以上含む場合、セルロースエステルのfdcelluloseは、下記のようにして算出する。
fdcellulose=Σ(wi・fdi)
ここで、wiはi番目のセルロースエステルの質量分率、fdiはi番目のセルロースエステルのfd値を表す。
用いる溶媒を選定するに際して、上記式Iで表されるfdを、セルロースエステル及び用いようとする溶媒それぞれについて、算出する。
− London分散力に対応する項δd −
London分散力に対応する項δdは、文献“Properties of Polymers 3rd, ELSEVIER, (1990)”の214〜220頁の「2) Method of Hoy (1985,1989)」欄に記載のAmorphous Polymersについて求められるδdをいうものとし、上記文献の上記の欄の記載に従って算出される。
− 双極子間力に対応する項δp −
双極子間力に対応する項δdの算出方法は、文献“Properties of Polymers 3rd, ELSEVIER, (1990)”の214〜220頁の「2) Method of Hoy (1985,1989)」欄に記載のAmorphous Polymersについて求められるδpをいうものとし、上記文献の上記の欄の記載に従って算出される。
− 水素結合力に対応する項δh −
水素結合力に対応する項δhの算出方法は、文献“Properties of Polymers 3rd, ELSEVIER, (1990)”の214〜220頁の「2) Method of Hoy (1985,1989)」欄に記載のAmorphous Polymersについて求められるδhをいうものとし、上記文献の上記の欄の記載に従って算出される。
上記のようにしてそれぞれ算出したδd、δp及びδhを用いて、式Iにより、溶媒及びセルロースエステルのfdをそれぞれ算出する。算出したfdsolvent及びfdcelluloseの差分を求めることにより、用いる溶媒が上記関係式[1]を満たすか否かを判断できる。
溶解度パラメータδtは、London分散力に対応する項δd、双極子間力に対応する項δp、及び、水素結合力に対応する項δhに対して以下の関係を有する物性指数である。
δt=δd+δp+δh
溶解度パラメータδtは、上記のように、London分散力に対応するδd、双極子間力に対応するδp、水素結合力に対応するδhの3つのパラメータで定まる物性指数である。
類似の溶解度パラメータδtを有する化合物は、互いに近い物性を示すことが知られている。しかし、その溶解度パラメータδtは化合物の構造と必ずしも相関があるわけではなく、構造が大きく異なりながらも類似する値を有する化合物が多く存在する。
本発明に用いるセルロースエステルは、極性が小さいグルコピラノース環部分と、極性が高くかつ水素結合を形成可能なエステル部分を有する。したがって、本発明者らは、溶媒に対するセルロースエステルの膨潤又は溶解性は、London分散力に対応する項δdがグルコピラノース環部分に対する親和性に、双極子間力に対応する項δpと水素結合力に対応する項δhの和がエステル部分に対する親和性に対応し、両者のバランスをとることが重要なのではないかと考えた。
上記仮説に基づき本発明者らが、London分散力に対応する項δd、双極子間力に対応する項δp及び水素結合力に対応する項δhの和に対するLondon分散力の寄与率fdに着目したところ、本発明の偏光板保護フィルムの密着性又は偏光板耐久性の改善効果との間に相関性が見出された。
これについて、本発明者らは、次のように考えている。
すなわち、上述したように、溶解度パラメータが異なる化合物同士は物性(親疎水性)が異なるため、これらを単に積層した場合では積層界面での相互作用が不十分となり、強固な密着性が得られないことがある。しかし、極性基変性ポリオレフィン層を形成するための形成液をセルロースエステル層上に適用する際に、セルロースエステルとfd値が類似した溶媒を用いることにより、極性基変性ポリオレフィンと、積層界面表面及びその近傍に存在するセルロースエステルとが上記溶媒中にそれぞれ溶解する。その結果、積層界面において極性基変性ポリオレフィンとセルロースエステルとの相互作用が溶媒を介して更に高まり、これに加えて、両層の界面近傍に極性基変性ポリオレフィンとセルロースエステルとを含有する混合層が形成されるためと、考えられる。
上記関係式[1]を満たしうる溶媒としては、特に限定されないが、有機溶媒が挙げられ、1種単独で、又は複数種を併用することができる。中でも、ケトン溶媒、酢酸エステル溶媒及び炭化水素溶媒のうち上記関係式[1]を満たすものを選択して用いることが好ましい。
ケトン溶媒としては、特に限定されないが、例えば、アセトン、MEK(メチルエチルケトン)又はMiBK(メチルイソブチルケトン)等が挙げられる。酢酸エステル溶媒としては、特に限定されないが、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル又は酢酸ブチルが挙げられる。炭化水素溶媒としては、特に限定されないが、例えば、トルエン又はシクロヘキサンが挙げられる。
この形成液において、極性基変性ポリオレフィンと上記溶媒との質量比は、特に限定されないが、溶媒の全量に対して、極性基変性ポリオレフィンが1〜50質量%の割合であることが好ましい。このような質量比とすることで、製造適性に優れた形成液を得ることができる。
極性基変性ポリオレフィン層を形成するための形成液に含まれる極性基変性ポリオレフィンは、上述の通りであり、その中から、セルロースエステル及び環状ポリオレフィンのいずれよりも低いガラス転移温度を持つものを選択して用いることが好ましい。
極性基変性ポリオレフィン層を形成するための形成液に含まれる架橋化合物は、上述の通りである。
極性基変性ポリオレフィン層を形成するための形成液中における架橋化合物の含有率は、特に限定されないが、極性基変性非架橋ポリオレフィンと架橋化合物との合計質量に対して、0〜50質量%が好ましく、0〜35質量%がより好ましく、0〜20質量%の範囲が更に好ましい。
極性基変性ポリオレフィン層を形成するための形成液には、極性基変性非架橋ポリオレフィンを架橋化合物により架橋する場合、重合開始剤を含有することができる。
重合開始剤としては、光開始剤又は熱開始剤等が挙げられる。
重合開始剤としては、熱ラジカル重合開始剤を用いることもできるが、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン開始剤、ベンゾイン開始剤、ベンゾフェノン開始剤、ホスフィンオキシド開始剤、オキシム開始剤、ケタール開始剤、アントラキノン開始剤、チオキサントン開始剤、アゾ化合物開始剤、過酸化物開始剤、ジスルフィド化合物開始剤、ロフィンダイマー開始剤、オニウム塩開始剤、ボレート塩開始剤、活性エステル開始剤、活性ハロゲン開始剤、無機錯体開始剤又はクマリン開始剤等が挙げられる。光重合開始剤の具体例、及び好ましい態様、市販品等は、特開2009−098658号公報の段落[0133]〜[0151]に記載されており、これらを本発明においても同様に好適に用いることができる。
光ラジカル重合開始剤としては、「最新UV硬化技術」、(株)技術情報協会、1991年、p.159、及び、「紫外線硬化システム」、加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており、これらを本発明においても好適に用いることができる。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、BASF社製(旧チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)の、「イルガキュア651」、「イルガキュア184」、「イルガキュア819」、「イルガキュア907」、「イルガキュア1870」(CGI−403/イルガキュア184=7/3混合開始剤)、「イルガキュア500」、「イルガキュア369」、「イルガキュア1173」、「イルガキュア2959」、「イルガキュア4265」、「イルガキュア4263」、「イルガキュア127」若しくは「OXE01」等、また、日本化薬社製の、「カヤキュアーDETX−S」、「カヤキュアーBP−100」、「カヤキュアーBDMK」、「カヤキュアーCTX」、「カヤキュアーBMS」、「カヤキュアー2−EAQ」、「カヤキュアーABQ」、「カヤキュアーCPTX」、「カヤキュアーEPD」、「カヤキュアーITX」、「カヤキュアーQTX」、「カヤキュアーBTC」若しくは「カヤキュアーMCA」等、更には、サートマー社製の「Esacure(KIP100F、KB1、EB3、BP、X33、KTO46、KT37、KIP150若しくはTZT)」等が挙げられる。また、これらの組み合わせも好ましい例として挙げられる。
極性基変性ポリオレフィン層を形成するための形成液中の光重合開始剤の含有量は、上記形成液に含まれる上述の重合可能な化合物を重合させ、かつ開始点が増えすぎないように設定するという理由から、形成液中の全固形分に対して、0.5〜8質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
極性基変性ポリオレフィンを形成するための形成液は、本発明の効果を損なわない限り、上述した、各種の添加剤を含有していてもよい。
(形成液の適用)
極性基変性ポリオレフィンを形成するための形成液をセルロースエステル層上に適用する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。
例えば、溶融製膜法、溶液製膜法(ソルベントキャスト法)の他、上述した方法で作製したセルロースエステル層(セルロースエステルフィルム)上に対する各種公知の塗布法が挙げられる。生産性の観点から塗布法が好ましい。このような塗布法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法又はエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許第2681294号公報参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましい。また、塗布時の搬送速度についても、特に限定されないが、搬送速度1〜100m/分で塗布することが好ましい。
(乾燥)
塗布後の、形成液の乾燥条件は、特に限定されないが、乾燥が速い(溶媒の蒸発が速い)と、セルロースエステルと極性基変性ポリオレフィンとが混合できる時間が短くなり、混合層の膜厚が薄くなることがある。したがって、乾燥条件は、形成される混合層の膜厚等を考慮して、例えば、乾燥風の温度、乾燥風中の溶媒含率、塗布層の膜厚、溶媒の分子量、溶媒の沸点等によって、適宜に設定することが好ましい。例えば、乾燥温度は25〜140℃の範囲、乾燥時間は30〜1000秒の条件から、それぞれ、選択することができる。中でも、乾燥温度は、40〜130℃の範囲が好ましく、50〜120℃の範囲がより好ましい。乾燥時間は50〜500秒の範囲が好ましく、60〜300秒の範囲がより好ましい。
(架橋処理)
極性基変性非架橋ポリオレフィンを架橋する場合、上述の、形成液の乾燥の前又は後、好ましくは乾燥後に、架橋処理を行う。
架橋条件としては、架橋反応が進行する条件であれば特に限定されず、通常の条件を適宜に選択できる。
例えば、光重合させる場合、溶剤の乾燥ゾーンの後に、ウェブで電離放射線照射により架橋ポリオレフィン層を形成するための形成液を硬化させるゾーンを通過させ、形成液を硬化する。例えば形成液が紫外線硬化性であれば、紫外線ランプにより10〜1000mJ/cmの照射量の紫外線を照射して形成液を硬化するのが好ましい。その際、ウェブの幅方向の照射量分布は中央の最大照射量に対して両端まで含めて50〜100%の分布が好ましく、80〜100%の分布がより好ましい。更に表面硬化を促進するために窒素ガス等をパージして酸素濃度を低下する必要がある際には、酸素濃度は0.01%〜5%が好ましく、幅方向の分布は2%以下が好ましい。紫外線照射の場合、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク又はメタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。また、硬化反応を促進するために、硬化時に温度を高めることもでき、例えば、25〜100℃が好ましく、更に好ましくは30〜80℃、最も好ましくは40〜70℃である。
このようにして、セルロースエステル層上に混合層及び極性基変性ポリオレフィン層をこの順に形成する。
次いで、極性基変性ポリオレフィン層上に環状ポリオレフィン層を形成する。
環状ポリオレフィン層は、上述のように、通常の方法で、形成液を適用、好ましくは塗布、乾燥して、形成することができる。これにより、セルロースエステル層と環状ポリオレフィン層とを高い密着性で積層させることができる。
(環状ポリオレフィン層を形成するための形成液)
環状ポリオレフィン層を形成するための形成液は、環状ポリオレフィンと、溶媒と、必要により、上記架橋化合物、開始剤、更には上記各種添加剤とを含有する。
本発明においては、上述の、極性基変性ポリオレフィンの溶解性が高い溶媒を用いて環状ポリオレフィン層を形成することが、極性基変性ポリオレフィン層と環状ポリオレフィン層とを更に高い密着性で積層することができる点においても、好ましい。上述の、極性基変性ポリオレフィン層の溶解性が高い溶媒を用いると、極性基変性ポリオレフィンと環状ポリオレフィンとの混合層が形成されるため、高い密着性を発現する。
この混合層の膜厚は、塗布溶媒による極性基変性ポリオレフィンの溶解性又は膨潤性、溶媒の乾燥速度等により、適宜に設定できる。
環状ポリオレフィン層を形成するための形成液に含まれる溶媒は、特に限定されず、各種の有機溶媒を用いることができ、上記のように極性基変性ポリオレフィンの溶解性が高い溶媒が好ましい。このような溶媒としては、例えば、上記ケトン溶媒、酢酸エステル溶媒、炭化水素溶媒が好ましく挙げられ、極性基変性ポリオレフィン層を形成するための形成液に含まれる溶媒と同種のものが挙げられる。また、これ以外にも、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、ミネラルスピリット等の鎖状脂肪族炭化水素系溶媒、シクロペンタン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素系溶媒等も用いることができる。
この形成液において、環状ポリオレフィンと上記溶媒との質量比は、特に限定されないが、溶媒の全量に対して、環状ポリオレフィンが1〜50質量%の割合であることが好ましい。このような質量比とすることで、製造適性に優れた形成液を得ることができる。
環状ポリオレフィン層を形成するための形成液に含まれる環状ポリオレフィンは、上述の通りであり、その中から、極性基変性ポリオレフィンよりも高いガラス転移温度を持つものを選択して用いることが好ましい。
環状ポリオレフィン層を形成するための形成液に含まれる架橋化合物は、上述の通りである。
環状ポリオレフィン層を形成するための形成液中における架橋化合物の含有率は、特に限定されないが、非架橋環状ポリオレフィンと架橋化合物との合計質量に対して、0〜50質量%が好ましく、0〜40質量%がより好ましく、0〜30質量%の範囲が更に好ましい。
環状ポリオレフィン層を形成するための形成液には、非架橋環状ポリオレフィンを架橋化合物により架橋する場合に、重合開始剤を含有することができる。
重合開始剤としては、光開始剤又は熱開始剤等が挙げられる。
非架橋環状ポリオレフィンの架橋に用いられる重合開始剤としては、好ましくは、極性基変性非架橋ポリオレフィンの架橋に用いられる上述の重合開始剤と同じである。
環状ポリオレフィン層を形成するための形成液中の光重合開始剤の含有量は、上記形成液に含まれる上述の重合可能な化合物を重合させ、かつ開始点が増えすぎないように設定するという理由から、形成液中の全固形分に対して、0.5〜8質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
環状ポリオレフィンを含有する形成液の粘度は、極性基変性ポリオレフィン層13に対する密着性の観点から、環状ポリオレフィンのメルトフローレート(MFR(216℃、21.2N))が、1〜500g/10minであることが好ましく、5〜200g/10minであることがより好ましく、40〜200g/10minであることが更に好ましく、100〜200g/10minであることが特に好ましい。
MFR(216℃、21.2N)は、ASTMD1238に基づき、216℃、21.2Nの条件で計測した値とする。
(形成液の適用及び乾燥)
環状ポリオレフィン層を形成するための形成液の適用方法若しくは適用条件及び乾燥方法若しくは乾燥条件は、極性基変性ポリオレフィンを形成するための形成液の適用方法若しくは適用条件及び乾燥方法若しくは乾燥条件と、それぞれ、同じである。
(架橋処理)
非架橋環状ポリオレフィンを架橋する場合、上述の、形成液の乾燥の前又は後、好ましくは乾燥後に、架橋処理を行う。
架橋条件としては、架橋反応が進行する条件であれば特に限定されず、通常の条件を適宜に選択できる。非架橋環状ポリオレフィンを架橋する架橋方法及び架橋条件としては、極性基変性非架橋ポリオレフィンを架橋する場合の架橋方法及び架橋条件が好ましく挙げられる。
このようにして、極性基変性ポリオレフィン層上に環状ポリオレフィン層を形成することができ、本発明の偏光板保護フィルムが製造される。
一般的に、大画面表示装置において、斜め方向のコントラストの低下及び色味付きが顕著となるので、上記偏光板保護フィルムは、特に大画面液晶表示装置に用いるのに適している。本発明の偏光板保護フィルムを大画面用液晶表示装置用の光学補償フィルムとして用いる場合は、例えば、フィルム幅を1470mm以上として成形するのが好ましい。また、本発明の偏光板保護フィルムには、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様のみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様も含まれる。後者の態様の偏光板保護フィルムは、その状態で保管又は搬送等され、実際に液晶表示装置に組み込む際又は偏光子等と貼り合わされる際に、所望の大きさに切断(裁断)されて用いられる。また、同様に長尺状に作製されたポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光子等と、長尺状のまま貼り合わされた後に、実際に液晶表示装置に組み込む際に、所望の大きさに切断されて用いられる。
[偏光板]
本発明の偏光板は、偏光子と、この偏光子の保護フィルムとして本発明の偏光板保護フィルムを少なくとも1枚含む。一般的には、偏光子の両面を偏光板保護フィルムで挟み両面を保護した偏光板が広く用いられている。
本発明の偏光板の好ましい例として図2A及び図2Bにそれぞれ示される偏光板15A及び15Bは、いずれも、偏光子16と、偏光子16の一方の表面に設けられた偏光板保護フィルム10とを有している。
(偏光子)
偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素溶液中に浸漬して延伸したもの等を用いることができる。ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素溶液中に浸漬して延伸した偏光子を用いる場合、例えば、接着剤を用いて、偏光子の少なくとも一方の面に、上記セルロースエステル層のケン化処理面又は環状ポリオレフィン層を直接貼り合わせることができる。
延伸前のポリビニルアルコールフィルムの膜厚は、特に限定されないが、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、20〜200μmが特に好ましい。また、延伸後のポリビニルアルコールフィルムの膜厚は、2〜100μmが好ましく、光モレ改良のためには7〜30μmが好ましい。この厚さによって、偏光子のフィルムの厚さが定められる。
(貼り合わせ)
本発明において、偏光子に対する偏光板保護フィルムの積層態様は、特に限定されず、環状ポリオレフィン層12を偏光子16側に配置(好ましくは隣接)する態様(環状ポリオレフィン層12が貼合面となる。図2A参照。)、及び、セルロースエステル層11を偏光子16側に配置(好ましくは隣接)する態様(セルロースエステル層11が貼合面となる。図2B参照。)が挙げられる。中でも、環状ポリオレフィン層12と偏光子16とが隣接する態様で偏光子16と偏光板保護フィルム10とが積層されていることが、偏光子の耐久性の点で、好ましい。
図2A及び図2Bに示す偏光板は、セルロースエステル層11と極性基変性ポリオレフィン層13との間に混合層を有しているが、この混合層は、図1に示す偏光板保護フィルムの混合層14と同じであるので、各図において混合層の図示を省略する。
本発明の偏光板の作製方法(貼り合わせ方法)は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。例えば、セルロースエステル層11を貼合面とする場合、本発明の偏光板保護フィルムのセルロースエステル層をアルカリ処理(ケン化処理)し、ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に、完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液等を用いて、貼り合わせる方法が挙げられる。一方、環状ポリオレフィン層12を貼合面とする場合、本発明の偏光板保護フィルムの環状ポリオレフィン層12を、ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に、完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液等を用いて、貼り合わせる方法が挙げられる。
アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。また、偏光板保護フィルムのセルロースエステル層11又は環状ポリオレフィン層12の表面を、コロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、鹸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、又は、オゾン若しくは紫外線照射処理等の表面処理を行ってもよい。
本発明の偏光板保護フィルムの偏光子への貼り合せは、偏光子の透過軸と本発明の偏光板保護フィルムの遅相軸が実質的に平行、直交又は45°となるように貼り合せることが好ましい。遅相軸の測定は、公知の種々の方法で測定することができ、例えば、複屈折計(KOBRADH、王子計測機器社製)を用いて行うことができる。
ここで、平行、直交及び45°については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含む。例えば、それぞれ平行、直交及び45°に関する厳密な角度から±10°の範囲内であることを意味し、厳密な角度との誤差は、±5°の範囲内が好ましく、±3°の範囲内がより好ましい。
偏光子の透過軸と偏光板保護フィルムの遅相軸についての平行とは、偏光板保護フィルムの主屈折率nxの方向と偏光子の透過軸の方向とが±10°の角度で交わっていることを意味する。この角度は、±5°の範囲内が好ましく、より好ましくは±3°の範囲内、更に好ましくは±1°の範囲内、最も好ましくは±0.5°の範囲内である。
また、偏光子の透過軸と偏光板保護フィルムの遅相軸についての直交とは、偏光板保護フィルムの主屈折率nxの方向と偏光子の透過軸の方向とが90°±10°の範囲内の角度で交わっていることを意味する。この角度は、好ましくは90°±5°の範囲内、より好ましくは90°±3°の範囲内、更に好ましくは90°±1°の範囲内、最も好ましくは90°±0.1°の範囲内である。上述のような範囲であれば、偏光板クロスニコル下における偏光度性能の低下が抑制され、光抜けが低減され好ましい。
偏光板保護フィルムと偏光子とを貼り合わせるのに使用される接着剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール又はポリビニルアセタール(例えば、ポリビニルブチラール)の水溶液、ビニル系ポリマー(例えば、ポリブチルアクリレート)のラテックス、紫外線硬化型の接着剤等が挙げられる。特に好ましい接着剤は、完全ケン化ポリビニルアルコールの水溶液である。
偏光板は、偏光子及びその片面又は両面を保護する偏光板保護フィルムで構成されており、偏光子の片面又は両面に積層される上記偏光板保護フィルムの少なくとも1枚を、本発明の偏光板保護フィルムとすることが好ましい。したがって、偏光子の劣化が効果的に防止され、高い偏光子耐久性を示す。更にこの偏光板は一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成されることも好ましい。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
[偏光板の物性]
本発明の偏光板は、下記の物性ないし特性を有することが好ましい。
(直交透過率CT)
本発明の偏光板は、波長410nmの直交透過率CTの値が、CT≦2.0(単位はいずれも%)であることが好ましく、CT≦1.3であることがより好ましく、CT≦0.6であることが更に好ましく、CT≦0.05であることが特に好ましい。波長410nmの直交透過率が低いほど、波長410nm付近での光漏れが少なくなる。これに対し、波長410nmの直交透過率が高いほど波長410nm付近での光漏れが多くなって、ディスプレイの黒表示が青みを呈するようになる。したがって、直交透過率が低いことは、偏光性能が良好であることを意味する。色再現性等の偏光性能の点で、波長410nmの直交透過率が低いことが好ましい。直交透過率は、例えば、自動偏光フィルム測定装置:VAP−7070(日本分光社製)を用いて、測定することができる。
(直交透過率変化量)
本発明の偏光板は、耐久性、より詳しくは、高温高湿条件下での偏光板性能の劣化抑制に優れる。耐久性の評価の指標としては、偏光板が高温高湿下に所定期間置かれた前後の上記直交透過率の変化量を用いることができる。例えば、85℃、相対湿度85%の環境下に500時間放置したときの波長410nmの直交透過率の変化量[変化量=(放置後の直交透過率(%))−(放置前の直交透過率(%))]が0.05%以下であることが好ましく、変化量が0.03%以下であることがより好ましく、変化量がゼロ以下であることが更に好ましく、変化量が負の値、即ち放置後の直交透過率が放置前の直交透過率よりも小さくなることが特に好ましい。これは、高温高湿下での静置中に、偏光性能が向上したことを意味する。本発明では、高温高湿下での偏光性能低下を防ぐことに加えて、偏光性能を向上させることも可能である。
本発明において、直交透過率は、10回測定したときの平均値を用いる。また、直交透過率の変化量は、上記の放置前及び放置後に、それぞれ10回測定を行い得られた平均値の差分として、求められる。
(偏光度)
本発明の偏光板は、偏光度95.0%以上が好ましく、98%以上がより好ましく、最も好ましくは99.5%以上である。
本発明において、偏光板の偏光度は、自動偏光フィルム測定装置:VAP−7070(日本分光社製)を用いて、波長380〜700nmで測定した直交透過率及び平行透過率から以下の式(I)により偏光度スペクトルを算出し、更に光源(補助イルミナントC)とCIE視感度(Y)の重み付け平均を以下の式(II)に従って計算することにより、求めることができる。
式(I):
偏光度スペクトル(%)
={(平行透過率−直交透過率)/(平行透過率+直交透過率)}1/2×100
Figure 0006654203
ここで、Tγ(λ)は偏光度スペクトルを示し、L(λ)は光源の発光スペクトルを示し、y(λ)は視感度を示す。
(偏光度変化量)
本発明の偏光板は、過酷条件下における耐久性に優れる。このため、後述する偏光板耐久性試験前後での偏光度の変化量は小さい。
本発明の偏光板は、自動偏光フィルム測定装置:VAP−7070(日本分光社製)を用いて、直交透過率及び平行透過率を測定し、上記式により偏光度を算出し、特に、85℃、相対湿度85%の環境下で500時間保存した場合の偏光度変化量が1%未満であるのが好ましい。
(加工特性)
本発明の偏光板は、打ち抜き加工等の裁断によっても、裁断後の偏光板には、その端部に剥離又はクラックが生じにくいという、加工特性としての打ち抜き特性に優れる。
偏光板は、通常、画像表示装置のパネルサイズに合わせて、打ち抜き加工等によって、裁断される。このとき、偏光板保護フィルムの打ち抜き特性が悪いと、歩留まりの低下と製造コストの増大を招く。しかし、本発明の偏光板は、上述の偏光板保護フィルムを備えており、更には打ち抜き加工性にも優れ、上述の問題を回避できる。
(その他の特性)
本発明の偏光板の、その他の好ましい光学特性等については、特開2007−086748号公報の段落0238〜0255に記載されており、これらの特性を満たすことが好ましい。
[画像表示装置]
本発明の偏光子は、画像表示装置用途に好ましく用いられる。かかる画像表示装置として、液晶表示装置又は有機エレクトロルミネッセンス表示装置が挙げられる。中でも液晶表示装置に好適に用いられる。
<液晶表示装置>
本発明の画像表示装置としての一実施形態である液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セルと、その両側に配置された二枚の偏光板と、必要に応じて上述の液晶セルと偏光板との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムとを、有している。
上記液晶表示装置の好ましい実施形態について説明する。
図3は、上記液晶表示装置の一実施形態を示す概略図である。図3において、液晶表示装置20は、液晶層24とこの両表面側(図3において上下という)に配置された第1(液晶セル上)電極基板23及び第2(液晶セル下)電極基板25とを有する液晶セル、液晶セルの両側に配置された第1(上側)偏光板21及び第2(下側)偏光板26を有する。液晶セルと各偏光板との間にカラーフィルターを配置してもよい。液晶表示装置20を透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置する。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
第1偏光板21及び第2偏光板26は、図示しないが、通常は、それぞれ2枚の偏光板保護フィルムで偏光子を挟むように積層した構成を有している。本発明の液晶表示装置20は、少なくとも一方の偏光板が本発明の偏光板であることが好ましい。また、2枚の偏光板のうち、第1偏光板21(視認側偏光板)の偏光板保護フィルムとして本発明の偏光板保護フィルムを配置した上で、更に第2偏光板26(バックライト側偏光板)の偏光板保護フィルムとして本発明の偏光板保護フィルムを配置することも好ましい。これにより、2枚の偏光板に含まれる偏光子の伸縮を抑止し、パネルの反りを防止するができる。本発明の液晶表示装置20は、装置の外側(液晶セルから遠い側)から、偏光板保護フィルムとしての本発明の偏光板保護フィルム、偏光子、一般の透明保護フィルムの順序で積層することも好ましい。
液晶セルの液晶層24は、通常、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶が封入されて、形成されている。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成される。これにより、基板と透明電極層とを備えた電極基板となる。液晶セルには、更にガスバリアー層、ハードコート層又は(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。
本発明の偏光板保護フィルムは、液晶表示装置の光学補償フィルムとしても好ましく用いることもできる。この場合、液晶表示装置が、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光子、及び上述の液晶セルと偏光子との間に少なくとも一枚の本発明の偏光板保護フィルムを光学補償フィルムとして配置した構成であることが更に好ましい。
<液晶表示装置の種類>
本発明の偏光板保護フィルムは、様々な表示モードの液晶セル(液晶表示装置)に用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、又は、HAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明の偏光板保護フィルムないし偏光板は、いずれの表示モードの液晶表示装置においても好適に用いることができる。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても好適に用いることができる。
本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。
[参考例]
<セルロースアセテートの合成>
アセチル置換度2.87のセルロースアセテートを合成した。
セルロースに、触媒として硫酸(セルロース100質量部に対し7.8質量部)を添加し、アシル置換基の原料となる酢酸を添加して、40℃でアシル化反応を行った。また、アシル化後に40℃で熟成を行った。更にこのセルロースアセテートの低分子量成分をアセトンで洗浄し、除去した。このようにして、アセチル置換度2.87、重合度370のセルロースアセテートを合成した。fd値は、0.392であった。
<エア側表層用ドープ101の調製>
(セルロースアシレート溶液101の調製)
各成分を下記に示す組成でミキシングタンクに投入し、攪拌して溶解し、セルロースアシレート溶液101を調製した。

――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液101の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.87、重合度370のセルロースアセテート
100.0質量部
スクロースベンゾエート(ベンゾイル置換度5.5) 6.0質量部
シグマ−アルドリッチ社製スクロースアセテートイソブチレート
4.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 353.9質量部
メタノール(第2溶媒) 89.6質量部
n−ブタノール(第3溶媒) 4.5質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
(マット剤溶液の調製)
各成分を下記に示す組成で分散機に投入し、攪拌して溶解し、マット剤溶液を調製した。

――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液の組成
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平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、日本
アエロジル社製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 69.3質量部
メタノール(第2溶媒) 17.5質量部
n−ブタノール(第3溶媒) 0.9質量部
上記セルロースアシレート溶液101 0.9質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記マット剤溶液の1.3質量部と、セルロースアシレート溶液101の98.7質量部とを加えて、インラインミキサーを用いて混合し、エア側表層用ドープ101を調製した。
<基層用ドープ102の調製>
(セルロースアシレート溶液102の調製)
各成分を下記に示す組成でミキシングタンクに投入し、攪拌して溶解し、基層用ドープ102を調製した。

――――――――――――――――――――――――――――――――――
基層用ドープ(セルロースアシレート溶液)102の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.87、重合度370のセルロースアセテート
100.0質量部
スクロースベンゾエート(ベンゾイル置換度5.5) 6.0質量部
シグマ−アルドリッチ社製スクロースアセテートイソブチレート
4.0質量部
下記紫外線吸収剤C 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 297.7質量部
メタノール(第2溶媒) 75.4質量部
n−ブタノール(第3溶媒) 3.8質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 0006654203
<支持体側表層用ドープ103の調製>
エア層側表層用ドープ101において調製した、マット剤溶液の1.3質量部と、セルロースアシレート溶液101の99.3質量部とを、インラインミキサーを用いて混合し、支持体側表層用ドープ103を調製した。
<フィルムの製膜>
(流延)
ドラム流延装置を用い、上記調製したドープ(基層用ドープ)102と、その両側に表層用ドープ101及び103とを3層同時にステンレス製の流延支持体(支持体温度−9℃)に流延口から均一に流延した。各層のドープ中の残留溶媒量が略70質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をピンテンターで固定し、残留溶媒量が3〜5質量%の状態で、横方向に1.28倍延伸しつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、更に乾燥し、セルロースアシレートフィルムNo.101を得た。得られたセルロースアシレートフィルムNo.101の膜厚Tsは57μm(エア側表層3μm、基層51μm、支持体側表層3μm)、幅は1480mmであった。
[実施例101]
実施例101において、図1に示される偏光板保護フィルム10、図2Aに示される偏光板15A、及び画像表示装置をそれぞれ作製して、それらについて、密着性及び透湿度、偏光板耐久性及び打ち抜き加工性、並びに、表示ムラを、それぞれ、評価した。
1.偏光板保護フィルムの作製
(1)極性基変性ポリオレフィン層の製膜
<極性基変性ポリオレフィン層を形成するための形成液M−1の調製>
各成分を下記に示す組成で混合し、孔径10μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、形成液(組成物)M−1を調製した。
形成液M−1及び後述する形成液Ba−1の調製において、極性基変性ポリオレフィンのガラス転移温度が、上記セルロースアシレート(上記の中で最も低温のもの)と、後述する環状ポリオレフィンとのガラス転移温度(ともに表1又は表2に示す。)よりも低くなるように、極性基変性ポリオレフィン及び環状ポリオレフィンを選択して、用いた。なお、ガラス転移温度は後述する方法により測定した。
また、形成液M−1の調製において、上記セルロースアセテートのfdcellulose値と、上記ガラス転移温度の関係を満たすように選択した極性基変性ポリオレフィンに含まれる溶媒(表1において溶媒1及び溶媒2と表記する。)を考慮して求めた溶媒のfdsolvent値とが上記関係式[1]を満たす希釈溶媒(表1において希釈溶媒1及び希釈溶媒2と表記する。)、及び、その使用量(希釈量)を決定した。このときの各溶媒の質量割合、fdsolvent、及び、|fdsolvent−fdcellulose|の計算値を表1に示した。

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極性基変性ポリオレフィン層を形成するための形成液M−1の組成
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極性基変性ポリオレフィン:三井化学社製ユニストールP802(固形分
22質量%のトルエン溶液) 50.0質量部
酢酸メチル(希釈溶媒) 50.0質量部
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<極性基変性ポリオレフィン層の形成>
参考例において上述したセルロースアシレートフィルムNo.101の製膜時に、ステンレス製の流延支持体に接していたセルロースアシレートフィルムの面上に、調製した上記形成液M−1を、マイクログラビア塗布方式で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、100℃で60秒乾燥し、混合層14及び極性基変性ポリオレフィン層13を形成した。混合層14及び極性基変性ポリオレフィン層13の合計膜厚Ttは1.0μmであった。
<環状ポリオレフィン層を形成するための形成液Ba−1の調製>
各成分を下記に示す組成で混合し、孔径10μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、環状ポリオレフィン層を形成するための形成液(組成物)Ba−1を調製した。

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環状ポリオレフィン層を形成するための形成液Ba−1の組成
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ノルボルネン系付加共重合ポリマー:三井化学社製APL6011T
6.0質量部
下記構造のフッ素系ポリマー 0.05質量部
メチルシクロヘキサン(溶媒) 94.0質量部
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Figure 0006654203
<環状ポリオレフィン層の形成>
極性基変性ポリオレフィン層13を形成したセルロースアシレートフィルムの極性基変性ポリオレフィン層13上に、調製した上記形成液Ba−1を、マイクログラビア塗布方式で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、100℃で60秒乾燥し、膜厚Tc2.0μmの環状ポリオレフィン層12を形成した。
このようにして、実施例101の偏光板保護フィルムNo.101を作製した。
2.偏光板の作製
(1)活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の調製
各成分を下記に示す組成で混合し、50℃で1時間撹拌して、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を得た。

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活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の組成
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ラジカル重合成化合物:東亜合成社製アロニックスM−220
20.0質量部
N−ヒドロキシルアクリルアミド:興人社製 40.0質量部
アクロイルモルホリン:興人社製 40.0質量部
ラジカル重合開始剤:日本化薬社製KAYACURE DETX−S
0.5質量部
ラジカル重合開始剤:BASF社製IRGACURE907
1.5質量部
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(2)偏光子の作製
平均重合度2400、ケン化度99.9モル%、厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の温水中に60秒間浸漬して膨潤させた。次いで、0.3質量%(質量比:ヨウ素/ヨウ化カリウム=0.5/8)の30℃のヨウ素溶液中で1分間染色しながら、3.5倍まで延伸した。その後、65℃の4質量%のホウ酸水溶液中に0.5分間浸漬しながら総合延伸倍率が6倍となるまで延伸した。延伸後、70℃のオーブンで3分間乾燥を行い、厚さ26μmの偏光子を得た。偏光子の水分率は13.5質量%であった。
(3)貼り合わせ
上記「1.偏光板保護フィルムの作製」で作製した偏光板保護フィルムNo.101の環状ポリオレフィン層12側の表面をコロナ処理した。コロナ処理を施した表面に、上記で調製した活性エネルギー線硬化型接着剤組成物をMCDコーター(富士機械社製、セル形状:ハニカム、グラビアロール線数:1000本/INCH、回転速度140%/対ライン速)を用いて、膜厚0.5μmになるように塗布した。
また、別途、膜厚40μmのシクロオレフィン系フィルム(JSR社製アートンG7810)についても、コロナ処理を施した後、その表面にも同様にして、上記の活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を、膜厚0.5μmとなるように塗布した。
このようにして、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物をそれぞれ塗布した偏光板保護フィルムNo.101及びシクロオレフィン系フィルムを作製した。
次いで、各フィルムの活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を塗布した面を、偏光子16の片側表面に、それぞれ、貼り合わせた。このとき、偏光子16の透過軸と偏光板保護フィルムNo.101の遅相軸が垂直となるように、配置した。その後、貼り合わせたフィルムの両表面(偏光板護フィルムNo.101又はシクロオレフィン系フィルム)側から、IRヒーターを用いて、50℃に加温した。
更に、貼り合わせたフィルムの両表面(偏光板保護フィルムNo.101又はシクロオレフィン系フィルム)側から、下記に示す活性エネルギー線を照射して、上記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物をそれぞれ硬化させた。
その後、70℃で3分間熱風乾燥して、実施例101の偏光板No.101を得た。
(活性エネルギー線)
活性エネルギー線として、紫外線(ガリウム封入メタルハライドランプ)、照射装置:Fusion UV Systems,Inc社製Light HAMMER10、バルブ:Vバルブ、ピーク照度:1600mW/cm、積算照射量1000/mJ/cm(波長380〜440nm)を使用した。なお、紫外線の照度は、Solatell社製Sola−Checkシステムを使用して測定した。
3.画像表示装置の製造
VAモードの液晶TV(UN40JU6800F、Samsung社製)の表裏の偏光板及び位相差板を剥がして、VA液晶セルとして用いた。上記「2.偏光板の作製」で作製した偏光板No.101を、偏光板No.101のシクロオレフィン系フィルム(JSR社製アートンG7810)側を貼合面として、VA液晶セルに粘着剤を用いて貼り合せて、実施例101の画像表示装置(液晶表示装置)No.101を製造した。
この際、VA液晶セルの各表面に、2枚の偏光板No.101の吸収軸が直交するように、貼り合わせた。
[実施例102〜105及び比較例203]
上記実施例101の偏光板保護フィルムの作製において、極性基変性ポリオレフィン層13と混合層との合計膜厚Tt、又は、上記関係式[1]を満たすように決定した、上記形成液M−1の希釈溶媒を、表1に記載の通りに変更したこと以外は、実施例101の偏光板保護フィルムの作製と同様にして、実施例102〜105、及び、比較例203の偏光板保護フィルムNo.c203を、それぞれ、作製した。
得られた各偏光板保護フィルムを用いて、実施例101の偏光板の作製と同様にして、実施例102〜105の偏光板No.102〜105、及び、比較例203の偏光板No.c203を、それぞれ、作製した。
また、得られた各偏光板を用いて、実施例101の画像表示装置の製造と同様にして、実施例102〜105の画像表示装置No.102〜105、及び、比較例203の画像表示装置No.c203を、それぞれ、製造した。
[実施例106]
実施例101の偏光板の作製において、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を、上記偏光板保護フィルムNo.101のセルロースアシレートフィルム面(環状ポリオレフィン層12と反対側)に塗布し、環状ポリオレフィン層12がセルロースアシレート層11に対して偏光子16と反対側となるように、貼り合わせたこと以外は、実施例101の偏光板の作製と同様にして、図2Bに示される、実施例106の偏光板No.106を作製した。
また、得られた偏光板を用いて、偏光板No.106のシクロオレフィン系フィルム側を貼合面としたこと以外は実施例101の画像表示装置の製造と同様にして、実施例106の画像表示装置No.106を製造した。
[実施例107]
1.偏光板保護フィルムの作製
(1)極性基変性ポリオレフィン層の製膜
<極性基変性ポリオレフィン層を形成するための形成液M−2の調製>
各成分を下記に示す組成で混合し、孔径10μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、形成液(組成物)M−2を調製した。
形成液M−2及び後述する形成液Ba−2の調製において、極性基変性ポリオレフィンのガラス転移温度が、上記セルロースアシレート(上記の中で最も低温のもの)と、後述する環状ポリオレフィンとのガラス転移温度(ともに表1又は表2に示す。)よりも低くなるように、極性基変性ポリオレフィン及び環状ポリオレフィンを選択して、用いた。なお、ガラス転移温度は後述する方法により測定した。
また、形成液M−2の調製において、上記セルロースアセテートのfdcellulose値と、上記ガラス転移温度の関係を満たすように選択した極性基変性ポリオレフィンに含まれる溶媒(表1において溶媒1及び溶媒2と表記する。)を考慮して求めた溶媒のfdsolvent値とが上記関係式[1]を満たす希釈溶媒(表1において希釈溶媒1及び希釈溶媒2と表記する。)、及び、その使用量(希釈量)を決定した。このときの各溶媒の質量割合、fdsolvent、及び、|fdsolvent−fdcellulose|の計算値を表1に示した。

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極性基変性ポリオレフィン層を形成するための形成液M−2の組成
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極性基変性ポリオレフィン:三井化学社製ユニストールH200
100.0質量部
新中村化学社製ポリエチレンジアクリレートA−600 8.6質量部
(株)BASF社製イルガキュア127(光重合開始剤) 1.8質量部
酢酸メチル(希釈溶媒) 49.2質量部
メチルエチルケトン(希釈溶媒) 46.7質量部
メチルシクロヘキサン(希釈溶媒) 70.0質量部
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<極性基変性ポリオレフィン層の形成>
参考例において上述したセルロースアシレートフィルムNo.101の製膜時に、ステンレス製の流延支持体に接していたセルロースアシレートフィルムの面上に、調製した上記形成液M−2を、マイクログラビア塗布方式で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、100℃で60秒乾燥した。その後、窒素ガスをパージ(酸素濃度0.5%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、乾燥後の形成液M−2に、照度400mW/cm、照射量60mJ/cmの紫外線を照射して、極性基変性ポリオレフィンを架橋化合物A−600により架橋した。こうして、混合層14及び極性基変性ポリオレフィン層13を形成した。混合層14及び極性基変性ポリオレフィン層13の合計膜厚Ttは1.0μmであった。
(2)環状ポリオレフィン層の製膜
<環状ポリオレフィン層を形成するための形成液Ba−2の調製>
各成分を下記に示す組成で混合し、孔径10μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、環状ポリオレフィン層を形成するための形成液(組成物)Ba−2を調製した。

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環状ポリオレフィン層を形成するための形成液Ba−2の組成
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ノルボルネン系付加共重合ポリマー:三井化学社製APL6011T
6.0質量部
新中村化学社製ADCP
(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート) 1.5質量部
上記構造のフッ素系ポリマー 0.05質量部
メチルシクロヘキサン(溶媒) 94.0質量部
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<環状ポリオレフィン層の形成>
極性基変性ポリオレフィン層13を形成したセルロースアシレートフィルムの極性基変性ポリオレフィン層13上に、調製した上記形成液Ba−2を、マイクログラビア塗布方式で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、100℃で60秒乾燥した。その後、窒素ガスをパージ(酸素濃度0.5%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、乾燥した形成液Ba−2に、照度400mW/cm、照射量360mJ/cmの紫外線を照射して、環状ポリオレフィンを架橋化合物ADCPにより架橋した。こうして、膜厚Tc2.0μmの環状ポリオレフィン層12を形成した。
このようにして、実施例107の偏光板保護フィルムNo.107を作製した。
2.偏光板の作製及び画像表示装置の製造
得られた偏光板保護フィルムNo.107を用いて、実施例101の偏光板の作製と同様にして、実施例107の偏光板No.107を作製した。
また、得られた各偏光板No.107を用いて、実施例101の画像表示装置の製造と同様にして、実施例107の画像表示装置No.107を製造した。
[実施例108〜114及び参考例110、111
上記実施例107の偏光板保護フィルムの作製において、上記形成液M−2及び上記形成液Ba−2の組成を表1又は表2の通りに変更したこと以外は、実施例107の偏光板保護フィルムの作製と同様にして、実施例108、109及び参考例110、111の偏光板保護フィルムNo.108〜111を、それぞれ、作製した。
また、上記実施例101の偏光板保護フィルムの作製において、上記形成液Ba−2の組成を表2の通りに変更したこと以外は、実施例101の偏光板保護フィルムの作製と同様にして、実施例112〜114の偏光板保護フィルムNo.112〜114を、それぞれ、作製した。
得られた各偏光板保護フィルムを用いて、実施例101の偏光板の作製と同様にして、実施例108〜114及び参考例110、111の偏光板No.108〜114を、それぞれ、作製した。
また、得られた各偏光板を用いて、実施例101の画像表示装置の製造と同様にして、実施例108〜114及び参考例110、111の画像表示装置を、それぞれ、製造した。
[比較例201]
実施例1におけるセルロースアシレートフィルムの製膜時にステンレス製の流延支持体に接していたセルロースアシレートフィルムの面上に、上記形成液Ba−1を、マイクログラビア塗布方式で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、100℃で60秒乾燥して、膜厚2.0μmの環状ポリオレフィン層を形成した。このようにして、比較例201の偏光板保護フィルムNo.c201を作製した。
得られた偏光板保護フィルムNo.c201を用いて、実施例101の偏光板の作製と同様にして、比較例201の偏光板No.c201を作製した。
また、得られた偏光板No.c201を用いて、実施例101の画像表示装置の製造と同様にして、比較例201の画像表示装置No.c201を製造した。
[比較例202]
実施例1において作製したセルロースアシレートフィルムを偏光板保護フィルムとして用いて、実施例101の偏光板の作製と同様にして、比較例202の偏光板No.c202を作製した。ただし、セルロースアシレートフィルムの表面を偏光子16との貼合面とした。
また、この偏光板No.c202を用いて、実施例101の画像表示装置の製造と同様にして、比較例201の画像表示装置No.c202を製造した。
[比較例204]
1.偏光板保護フィルムの作製
<AN42115Cの水性分散体の調製>
エチレン−メタクリル酸共重合体(三井・デュポンポリケミカル社製、ニュクレルAN42115C)を100質量部、n−プロパノールを233質量部、2−ジメチルアミノエタノールを27質量部、蒸留水307質量部を混合し、回転数300rpmで10分間撹拌した。更に150℃まで昇温したのち、150℃で120分間撹拌した。次に、系内の温度を40℃まで冷却した後、イソプロパノール330質量部を添加し、固形分濃度10質量%の水性分散体を得た。
<極性基変性ポリオレフィン層の形成及び偏光板保護フィルムの作製>
実施例101において極性基変性ポリオレフィン層を形成するための形成液として、上記エチレン−メタクリル酸共重合体の水性分散体を用いたこと以外は実施例101と同様にして極性基変性ポリオレフィン層を形成し、比較例204の偏光板保護フィルムNo.c204を作製した。
2.偏光板の作製及び画像表示装置の製造
得られた偏光板保護フィルムNo.c204を用いて、実施例101の偏光板の作製と同様にして、比較例204の偏光板No.c204を作製した。
また、得られた偏光板No.c204を用いて、実施例101の画像表示装置の製造と同様にして、比較例204の画像表示装置No.c204を製造した。
実施例、参考例及び比較例において用いた、セルロースアシレート、環状ポリオレフィン及び極性基変性ポリオレフィンについて、その物性ないしは特性等を測定又は同定した結果を表2に示す。
1.ガラス転移温度の測定
実施例、参考例及び比較例において用いた、セルロースアシレート、環状ポリオレフィン及び極性基変性ポリオレフィンについて、ガラス転移温度を下記方法及び条件で、測定した。
示差走査熱量測定装置(X−DSC7000、アイティー計測制御社製)にて、試料20mgを測定パンに入れ、これを窒素気流中で、以下の温度履歴で測定し、ガラス転移温度を測定した。
(セルロースアシレートフィルムの温度履歴)
速度20℃/分で25℃から180℃まで昇温した後、25℃まで−20℃/分で冷却した。この後、速度20℃/分で再度25℃から200℃まで昇温して、ベースラインが低温側から偏奇し始める温度と、再びベースラインに戻る温度との平均値をガラス転移温度Tgとした。
(環状ポリオレフィンの温度履歴)
速度20℃/分で25℃から180℃まで昇温した後、25℃まで−20℃/分で冷却した。この後、速度20℃/分で再度25℃から180℃まで昇温して、ベースラインが低温側から偏奇し始める温度と、再びベースラインに戻る温度との平均値をガラス転移温度Tgとした。
(極性基変性ポリオレフィンの温度履歴)
速度−20℃/分で25℃から−150℃まで冷却し、−150℃で2分間保持した後、速度20℃/分で200℃まで昇温した。更に、−150℃まで−20℃/分で冷却した。この後、再度−150℃から200℃まで昇温して、ベースラインが低温側から偏奇し始める温度と、再びベースラインに戻る温度との平均値をガラス転移温度Tgとした。
なお、極性基変性ポリオレフィンが溶媒を含有する場合、140℃で3時間保持し、溶媒を蒸発させた後、上記測定に供した。
2.極性基変性ポリオレフィンの同定、並びに、スチレン成分含有量及び酸価の測定
実施例101等で用いたユニストールP802は、下記方法により、極性基及びその変性量を同定及び測定したところ、無水マレイン酸変性量が0.1〜1.0モル%の無水マレイン酸変性スチレン−オレフィン共重合体であった。
− 測定方法 −
600℃での熱分解GC/MS(ガスクロマトグラフ質量分析)にて、無水マレイン酸に由来するピーク強度を定量した。

また、ユニストールP802に含有される無水マレイン酸変性スチレン−オレフィン共重合体について、上述の方法に基づき、スチレン成分含有量及び酸価を測定した。
実施例107等で用いたユニストールH200は、固形分20質量%の、メチルシクロヘキサン/メチルエチルケトン=60/40(質量比)溶液である。含有する重合体は、下記方法により、極性基及びその変性量を同定及び測定したところ、無水マレイン酸変性量が0.1〜1.0モル%の無水マレイン酸変性スチレン−エチレン共重合体であった。
ユニストールH200に含有される無水マレイン酸変性スチレン−エチレン共重合体について、上述の方法に基づき、スチレン成分含有量及び酸価を測定した。
参考例110及び111で用いたアウローレン350Sは、酸価38のカルボン酸変性エチレン−プロピレン共重合体であった。
3.環状ポリオレフィンの同定
環状ポリオレフィンとして実施例で用いたAPL6011T、APL6013T及びAPL3015Tは、いずれも、エチレンとノルボルネン化合物との共重合体を含んでいた。
また、実施例114で用いたTOPAS6013は、ノルボルネン化合物とエチレンをメタロセン触媒にて共重合したシクロオレフィンコポリマー(Topas Advanced Polymers GmbH社製)である。
[混合層の膜厚測定]
実施例、参考例及び比較例で作製した偏光板保護フィルムについて、上述の方法により、混合層の膜厚Tmを測定した。また、膜厚の比Tm/Ttを算出した結果を表2に示した。
実施例101及び109で作製した偏光板保護フィルムのXPSにより得られた酸素原子比率について深さ方向プロファイルをそれぞれ図4及び図5に示した。
[混合層の混合状態及び混合割合]
混合層の混合状態及び混合割合を、上記[混合層の膜厚測定]にて得た酸素原子比率の深さ方向プロファイルにより、確認した。
例えば図4及び図5に示されるように、実施例101〜114及び参考例110、111の偏光板保護フィルムの混合層は、いずれも、深さ方向に沿って、極性基変性ポリオレフィンの含有割合が減少し、セルロースエステルの含有割合が増大する(極性基変性ポリオレフィンとセルロースエステルの含有割合が逆転する)混合状態であることが確認された。また、セルロースアシレート及び極性基変性ポリオレフィンの含有割合は、それぞれ、セルロースアシレート及び極性基変性ポリオレフィンの合計100質量部に対して、深さ方向に沿って、0質量部を超えから100質量部未満まで増加し、又は、100質量部未満から0質量部を超えまで減少していた。
上記のようにして作製又は製造した、偏光板保護フィルム、偏光板及び画像表示装置について、それぞれ、下記の評価をした。その結果を表2に示す。
まず、作製した偏光板保護フィルムについて、透湿度及び密着性を評価した。
<透湿度>
作製した偏光板保護フィルムにおける透湿度は、JIS Z 0208(1976)の「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」に基づき、下記の方法によって算出した。
具体的には、偏光板保護フィルムを60mm×60mmに裁断し、温度85℃で相対湿度85%の雰囲気中で、偏光板保護フィルムを6時間に通過する水蒸気の質量(g/6hours)を測定し、偏光板保護フィルムの面積1mあたりに換算(g/(m・6hours))した。
本試験において、水蒸気の質量は、無水塩化カルシウムを吸湿剤とし、その質量変化から算出した。
<密着性>
作製した偏光板保護フィルムを温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した。環状ポリオレフィン層を有する側の表面に、カッターナイフで、碁盤目状に縦11本及び横11本の切り込みを1mm間隔で入れて、合計100個の正方形の升目を刻んだ。その升目に日東電工社製のポリエステル粘着テープ(No.31B)を貼りつけた。30分経過した後に、垂直方向にテープを素早く引き剥がし、剥がれた升目の数を数えて、下記4段階の基準で評価した。同じ密着試験を3回行って、それらの平均をとった。
本試験において、評価A又はBが合格レベルである。
A:100升において剥がれが全く認められなかった。
B:100升において1〜10升の剥がれが認められた。
C:100升において11〜30升の剥がれが認められた。
D:100升において31升以上の剥がれが認められた。
E:カッターナイフで切り込みを入れた時点で剥がれが認められた。
次いで、作製した偏光板について、打ち抜き特性及び偏光板耐久性を評価した。
<加工特性:偏光板の打ち抜き特性(適性)>
作製した偏光板を80℃の雰囲気中で24時間放置後、温度25℃、相対湿度10%の条件下で、24時間調湿した。調湿後の偏光板を、トムソン刃を備えた打ち抜き器により、偏光子の吸収軸に対して45度の角度で、4×4cmの大きさの試料を4枚打ち抜いた。打ち抜いた4×4cmの偏光板試料(4枚)について、その各辺の剥がれ幅(奥行き:各辺の端縁から試料内側に向かう方向における剥離した部分の先端までの最短距離)を、スケールルーペによって測定し、以下のように評価した。
本試験において、評価A又はBが合格レベルである。
測定した剥がれ幅において、剥がれ幅の最大値が
A:0.4mm未満
B:0.4mm以上0.8mm未満
C:0.8mm以上1.2mm未満
D:1.2mm以上
<偏光板耐久性>
各偏光板について、偏光度を上述した方法で測定した。その後、85℃、相対湿度85%の環境下で500時間保存した後に、同様にして、保存後の偏光度を測定した。
保存前後の偏光度変化量を下記式により求め、偏光度変化量について、以下の基準により、評価した。本試験において、評価A、B又はCが合格レベルである。

偏光度変化量(%)=[保存前の偏光度(%)−保存後の偏光度(%)]

A:偏光度変化量が0.05%未満
B:偏光度変化量が0.05%以上0.1%未満
C:偏光度変化量が0.1以上1%未満
D:偏光度変化量が1%以上
最後に、製造した画像表示装置について、表示ムラ(水接触ムラ)を評価した。
<表示ムラ>
製造した各画像表示装置を横に寝かした状態で、視認側偏光板表面中央部に2cm×2cmのベンコット(旭化成社製)をのせた。マイクロピペットを用いて150μLの純水をベンコット上に滴下し、速やかにサランラップ(登録商標、旭化成ホームプロダクツ社製)で偏光板を覆い、周囲をカプトンテープ(日東電工社製)で貼り付け密閉した。この状態で48時間静置した。その後、サランラップ(登録商標)とベンコットを取り外し、偏光板表面についた水をふき取り、画像表示装置を30分点灯した後に、パネルを暗室内で黒表示時に正面方向から目視でムラの有無を観察した。
更に、暗室内で黒表示時にデジタルカメラ(FinePix S200EXR)で正面から撮影(シャッタースピード3秒)し、撮影画像を画像解析ソフトImageJを用いて解析し、以下のように評価した。
本試験において、評価A、B又はCが合格レベルである。
A:目視でムラが視認されず、かつ、水接触部とその周辺の輝度(gray Value)の差が3未満
B:目視でムラがわずかに視認され、かつ、水接触部とその周辺の輝度(gray Value)の差が3以上8未満
C:目視でムラが視認され、かつ、水接触部とその周辺の輝度(gray Value)の差が8以上15未満
D:目視でムラが視認され、かつ、水接触部とその周辺の輝度(gray Value)の差が15以上
(輝度(gray Value)=0.299red+0.587green+0.114blue)
表1において、「−」は、形成液の成分については無含有であることを示し、密着性試験については実施していないことを示す。
Figure 0006654203
Figure 0006654203
表1及び表2の結果から次のことが分かった。
極性基変性ポリオレフィン層を有しない偏光板保護フィルムNo.c201は密着性が十分ではなく、偏光板の打ち抜き特性も劣るものであった。また、セルロースアシレート層のみからなる偏光板保護フィルムNo.c202は透湿度が劣り、そのため、偏光板耐久性及び表示ムラにも劣るものであった。更に、上記関係式[1]を満たさない溶媒を用いて調製した形成液を用いて極性基変性ポリオレフィン層を形成した偏光板保護フィルムNo.c203及びc204は、混合層を有していてもその膜厚が薄すぎて、十分な密着性を示さなかった。
これに対して、本発明の偏光板保護フィルムNo.101〜114は、いずれも、透湿度が小さく、密着性にも優れていた。このように、極性基変性ポリオレフィン層を上記の特定の関係式[1]を満たす溶媒を含有する形成液を用いて製膜した偏光板保護フィルムNo.101〜114は、いずれも、セルロースエステル層と極性基変性ポリオレフィン層との間にセルロースエステルと極性基変性ポリオレフィンとを含有する、所定膜厚の混合層をしており、セルロースアシレート層と極性基変性ポリオレフィン層との密着性が強固になることが示された。
また、本発明の偏光板保護フィルムを用いた偏光板No.101〜114は、いずれも、高温高湿環境下に保存しても偏光度の低下が抑制され、打ち抜き加工時の剥がれも発生しにくいものであった。特に、環状ポリオレフィン層をセルロースアシレート層に対して偏光子に近い側に配置した(環状ポリオレフィン層が接着剤層を介して偏光子と隣接して配置した)偏光板No.101は、環状ポリオレフィン層をセルロースアシレート層に対して偏光子から遠い側(視認者側)に配置した偏光板No.106に対して、高温高湿環境下に保存した際の偏光板の劣化防止性が優れ、より高い偏光子耐久性を示した。
更に、本発明の偏光板保護フィルムを備えた偏光板を用いた画像表示装置No.101〜114は、いずれも、高温高湿環境下で保存しても表示ムラが発生しにくく、優れた耐久性を示した。
本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
本願は、2015年12月28日に日本国で特許出願された特願2015−256469、及び、2016年12月21日に日本国で特許出願された特願2016−247551に基づく優先権を主張するものであり、これらはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。
10 偏光板保護フィルム
11 セルロースエステルを含有する層
12 環状ポリオレフィンを含有する層
13 極性基変性ポリオレフィン層
14 混合層
15A、15B 偏光板
16 偏光子
20 液晶表示装置
21 第1(上側)偏光板
22 第1偏光板吸収軸の方向
23 第1(液晶セル上)電極基板
24 液晶層
25 第2(液晶セル下)電極基板
26 第2(下側)偏光板
27 第2偏光板吸収軸の方向

Claims (8)

  1. セルロースエステルを含有する層と、環状ポリオレフィンを含有する層と、前記セルロースエステルを含有する層及び前記環状ポリオレフィンを含有する層の間に、カルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体を含有する層とを有する偏光板保護フィルムであって、
    前記セルロースエステルを含有する層と前記カルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体を含有する層との間に、セルロースエステルとカルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体とを含有し、かつX線電子分光法により測定した酸素原子含有率をもとに算出される膜厚が下記式(T1)の関係を満たす混合層を有する偏光板保護フィルム。
    式(T1):0.20μm≦膜厚≦2.0μm
  2. 前記カルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体が、スチレン化合物に由来する繰り返し単位をオレフィン化合物に由来する繰り返し単位に対して1モル%以上20モル%以下含有し、かつ以下に定義される酸価が1以上100以下である請求項1に記載の偏光板保護フィルム。
    酸価:カルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体1g当たりを中和するのに必要とされる水酸化カリウムの質量(mg)
  3. 前記カルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体が、前記セルロースエステル及び前記環状ポリオレフィンよりも低いガラス転移温度を持つ請求項1又は2に記載の偏光板保護フィルム。
  4. セルロースエステルを含有する層と、環状ポリオレフィンを含有する層と、前記セルロースエステルを含有する層及び前記環状ポリオレフィンを含有する層の間に、カルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体を含有する層とを有する偏光板保護フィルムを製造する方法であって、
    前記セルロースエステルを含有する層上に、カルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体と下記関係式[1]を満たす溶媒とを含有する形成液を適用して、前記カルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体を含有する層を形成する偏光板保護フィルムの製造方法。
    関係式[1]: |fd solvent −fd cellulose |≦0.10
    関係式[1]中、fd solvent は溶媒のfd値を表し、fd cellulose はセルロースエステルのfd値を表す。
    ここで、fd値は下記式Iで規定される。
    式I: fd=δd/(δd+δp+δh)
    式Iにおいて、δd、δp及びδhは、それぞれ、Hoy法により算出される溶解度パラメータδtに対する、London分散力に対応する項、双極子間力に対応する項、及び、水素結合力に対応する項を示す。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板保護フィルムを製造する方法であって、
    前記セルロースエステルを含有する層上に、カルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体と下記関係式[1]を満たす溶媒とを含有する形成液を適用して、前記カルボン酸変性スチレン−オレフィン共重合体を含有する層を形成する偏光板保護フィルムの製造方法。
    関係式[1]: |fd solvent −fd cellulose |≦0.10
    関係式[1]中、fd solvent は溶媒のfd値を表し、fd cellulose はセルロースエステルのfd値を表す。
    ここで、fd値は下記式Iで規定される。
    式I: fd=δd/(δd+δp+δh)
    式Iにおいて、δd、δp及びδhは、それぞれ、Hoy法により算出される溶解度パラメータδtに対する、London分散力に対応する項、双極子間力に対応する項、及び、水素結合力に対応する項を示す。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板保護フィルムと偏光子とを有する偏光板。
  7. 前記偏光板保護フィルムの、前記環状ポリオレフィンを含有する層を、前記偏光子側に配置した請求項6に記載の偏光板。
  8. 請求項6又は7に記載の偏光板を有する画像表示装置。
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