JP5300240B2 - 積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、工業用離型フィルム;食品、医薬品、化学品などの包装フィルムなどに有用な積層フィルム及びその製造方法に関する。
環状ポリオレフィン系樹脂は、撥水性、防湿性、耐候性、透明性などに優れる特性を有しており、種々の分野において広く検討されている。しかし、環状ポリオレフィン系樹脂は、基材との密着性が低い。
特開2000−255642号公報(特許文献1)には、医療用デバイス容器であって、該容器が多層材料を備えており、該多層材料の第1層はポリオレフィン、ポリオレフィンコポリマー、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、エチレンビニルアルコール、セルロースエステルおよびセロファンなどから選択される材料を含んで成り、そして該多層材料の第2層は、接着剤、二酸化ケイ素、ウレタン、ポリエステル、脂肪族ポリエステルおよびアクリル誘導体から選択される材料を含んで成る上記医療用デバイス容器が開示されている。また、この文献では、好適な容器は、リッドストックを含み、多層化リッドストックは、接着剤貼合わせにより、または溶融して一緒に結合する材料の加熱した層の押出し貼合わせにより作成することができることが記載されている。
また、特開2000−37816号公報(特許文献2)には、熱成形可能な複合フィルムであって、シクロオレフィンコポリマーを含む少なくとも一種のフィルムと、このフィルムの少なくとも一つの面に積層される熱可塑性フィルムとを含む前記成形可能な複合フィルムが開示されている。また、この文献では、前記複合フィルムが、シクロオレフィンコポリマーを含むフィルムと、このフィルムの少なくとも一つの面に積層されるPVDC含有熱可塑性フィルムとを含むことが記載されている。さらに、この文献では、前記複合フィルムの製造方法として、無溶剤接着剤を用いて、シクロオレフィンコポリマーを含むフィルムに、熱可塑性フィルムを積層する方法が記載されている。
しかし、これらの方法では、成形したフィルムを貼合わせているため、薄膜に形成することが困難である。特に、基材フィルムに対して環状オレフィン系樹脂層を高い強度で密着できない。
特開2000−255642号公報(請求項1、段落番号[0040]) 特開2000−37816号公報(請求項1、4、8)
従って、本発明の目的は、薄膜に形成しても、プラスチック基材と、環状ポリオレフィン系樹脂で構成された層との密着性が向上した積層フィルム及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、プラスチック基材との密着性、及び離型性を兼ね備えた積層フィルム及びその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、防湿性が高い積層フィルム及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、塩素含有樹脂で構成された第一層と、環状ポリオレフィン系樹脂で構成された第二層とを、プラスチック基材にコーティングにより形成すると、第一層を介して、プラスチック基材と第二層との密着性を向上できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の積層フィルムは、プラスチック基材に積層され、塩素含有樹脂で構成された第一層と、この第一層に積層され、環状ポリオレフィン系樹脂で構成された第二層とで構成されている。前記第一層及び前記第二層は、それぞれコーティングにより形成されている。前記第一層は、少なくとも塩素含有モノマーを重合した重合体で構成されていてもよい。また、第一層は、少なくとも塩化ビニリデン系重合体で構成されていてもよい。前記第二層の厚みは、0.1〜20μm程度であってもよい。塩化ビニリデン系重合体を用いると、積層フィルムの防湿性も向上できる。前記第一層と前記第二層との厚みの比率は、第一層/第二層=1/0.5〜1/10程度であってもよい。前記プラスチック基材は、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びセルロース系樹脂から選択された少なくとも一種であってもよい。
また、本発明には、塩素含有樹脂を含む塗布液をプラスチック基材にコーティングして第一層を形成した後、環状ポリオレフィン系樹脂を含む塗布液を前記第一層にコーティングして第二層を形成する前記積層フィルムの製造方法も含まれる。
本発明では、塩素含有樹脂で構成された第一層と、環状ポリオレフィン系樹脂で構成された第二層とを、コーティングにより形成するため、薄膜に形成できるとともに、前記第一層を介してプラスチック基材と第二層とが積層されているため、プラスチック基材と環状ポリオレフィン系樹脂で構成された層との密着性を向上できる。さらに、前記積層フィルムは、プラスチック基材との密着性、及び離型性を兼ね備えている。さらにまた、前記積層フィルムは、塩素含有樹脂として塩素含有モノマーを重合した重合体(特に、塩化ビニリデン系重合体)を用いると、防湿性を向上できる。
本発明の積層フィルムは、プラスチック基材に積層され、塩素含有樹脂で構成された第一層と、この第一層に積層され、環状ポリオレフィン系樹脂で構成された第二層とで構成されている。
(プラスチック基材)
プラスチック基材を構成する樹脂としては、特に制限されず、熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ポリウレタン、ポリイミドなど)、熱可塑性樹脂(ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂など)などの合成樹脂などが挙げられる。これらの樹脂のうち、ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース系樹脂などの熱可塑性樹脂などを用いる場合が多い。
ポリオレフィン系樹脂には、オレフィンの単独又は共重合体が含まれる。オレフィンとしては、例えば、鎖状オレフィン[α−オレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどのC2−20α―オレフィン類)、アルカジエン(例えば、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役C5−20アルカジエン)など]、後述する環状オレフィンなどが例示できる。
ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンと共重合可能なモノマーとの共重合体であってもよい。共重合可能なモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、メサコン酸、アンゲリカ酸などのエチレン系不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸などのエチレン系不飽和多価カルボン酸とその酸無水物;グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどの(メタ)アクリル酸エステル;カルボン酸のビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)などのエチレン性不飽和カルボン酸エステル;ブタジエン、イソプレンなどのジエンなどが例示される。これらの共重合可能なモノマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
好ましいポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンなど)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体;エチレン及び/又はプロピレンと他のモノマーとの共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、プロピレン−(メタ)アクリル酸共重合体などの二元共重合体;エチレン−プロピレン−ブテン−1などの三元共重合体);エポキシ変性ポリオレフィン(例えば、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体)、カルボキシ変性ポリオレフィン(例えば、エチレン−無水マレイン酸共重合体)、エポキシ及びカルボキシ変性ポリオレフィン(例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸−無水マレイン酸共重合体)などの変性ポリオレフィン;オレフィン系エラストマー(エチレンプロピレンゴムなど)などが含まれる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
ビニル系樹脂としては、ビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコール、エチレンービニルアルコール共重合体など)、ポリビニルホルマールなどのポリビニルアセタール樹脂などが挙げられる。
これらのビニル系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。これらのビニル系樹脂(特に、ポリビニルアルコールなどのビニルアルコール系樹脂)は、偏光板などの偏光層の材料として有用である。そのため、環状ポリオレフィン系樹脂で構成され、かつコーティングにより形成された層を前記偏光層の保護膜として使用することができる。
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートなどのポリC2−4アルキレンテレフタレート、ポリC2−4アルキレンナフタレート、これらのコポリエステルなどの芳香族ポリエステル、ポリアリレート、液晶性ポリエステルなどが挙げられる。これらのポリエステル系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
ポリアミド系樹脂としては、ポリアミド5、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド6/66、ポリアミド6/11などの脂肪族ポリアミド系樹脂;ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミドMXDなどの芳香族ポリアミド系樹脂;脂環族ポリアミド系樹脂などが挙げられる。これらのポリアミド系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
セルロース系樹脂としては、セルロース誘導体[セルロースエステル(トリアセチルセルロースなどの酢酸セルロースなど)、セルロースエーテル(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)など]などが挙げられる。これらのセルロース系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。これらのセルロース系樹脂[特に、セルロースエステル(トリアセチルセルロースなどの酢酸セルロースなど)など]は、光学的特性に優れるものの防湿性に劣る。そのため、環状ポリオレフィン系樹脂層と積層することにより、光学的特性を維持しつつ、防湿性を向上できる。
前記プラスチック基材の形状は、特に制限されず、三次元の形状(トレー状などの容器状など)などであってもよく、通常、フィルム状(又は、シート状)などの二次元の形状である場合が多い。
前記プラスチック基材がフィルム状である場合、延伸(一軸延伸、二軸延伸など)されていてもよい。なお、延伸方向は、特に制限されず、縦方向であってもよく、横方向であってもよく、双方の方向であってもよい。また、延伸倍率も特に制限されず、例えば、1.2〜5倍程度の範囲から選択できる。
前記プラスチック基材の厚みは、0.5μm〜1.5mm(例えば、1μm〜1mm)、好ましくは3〜800μm、さらに好ましくは5〜600μm(特に、6〜500μm)程度であってもよく、通常、10〜100μm(例えば、15〜50μm、特に、20〜30μm)程度であってもよい。
(第一層)
前記プラスチック基材に積層される第一層は、塩素含有樹脂で構成されている。
前記塩素含有樹脂は、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどの塩素化された樹脂であってもよいが、通常、塩素含有モノマーを重合した重合体で構成されている。
塩素含有モノマーを重合した重合体としては、塩化ビニルモノマー、塩化ビニリデンモノマーなどの塩素含有モノマーの単独又は共重合体(塩素含有樹脂)が含まれる。また、塩素含有樹脂は、塩素含有モノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体であってもよい。共重合可能なモノマーとしては、カルボン酸のビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、エチレン系不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、メサコン酸、アンゲリカ酸など]、(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなど(メタ)アクリル酸アルキルエステルなど)、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、グリシジル(メタ)アクリレートなど]、シアン化ビニル系モノマー((メタ)アクリロニトリルなど)などが挙げられる。これらのうち、通常、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルなどが使用される。これらの共重合可能なモノマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記共重合可能なモノマーの使用量は、塩素含有樹脂の特性を損なわない程度であればよく、塩素含有樹脂全体に対して、通常、0.1〜50重量%(例えば、0.3〜25重量%)、好ましくは0.5〜20重量%、さらに好ましくは1〜15重量%(例えば、3〜10重量%)程度であってもよい。
具体的な塩素含有樹脂としては、塩化ビニル系重合体[塩化ビニルモノマーの単独重合体(ポリ塩化ビニル)、塩化ビニルモノマーと他のモノマーとの共重合体(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)など]、塩化ビニリデン系重合体[塩化ビニリデン系共重合体、例えば、塩化ビニリデンモノマーと他のモノマーとの共重合体(塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体など)など]などが挙げられる。これらの塩素含有樹脂のうち、塩化ビニリデン系重合体(塩化ビニリデン系共重合体など)などが好ましい。
なお、前記塩化ビニリデン系重合体は、通常、水性エマルジョンに含有される乳化剤、界面活性剤などを含んでいなくてもよい。
このような塩素含有樹脂を用いると、プラスチック基材と、後述する第二層との密着性を向上できる。また、第一層と第二層との間に接着層を介在させることなく、第一層と第二層とを高い密着力で積層できる。
前記塩素含有樹脂の数平均分子量は、例えば、10,000〜500,000、好ましくは20,000〜250,000、さらに好ましくは25,000〜100,000程度であってもよい。
前記第一層は、コーティングにより形成されている。コーティング方法としては、慣用のコーティング方法が使用でき、例えば、スピンコーティング法、メイヤーバーコーティング法、ロールコーティング法、カーテンコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、キャスト法、バーコーティング法、グラビアコーティング法などが挙げられる。
このようにコーティングにより第一層を形成するため、厚みを薄くすることができる。前記第一層の厚みは、例えば、0.01〜80μm、好ましくは0.05〜50μm、さらに好ましくは0.1〜20μm(例えば、0.2〜10μm)、特に0.3〜5μm程度であってもよい。
前記プラスチック基材と第一層とは、高い密着性を有しているが、さらに密着性を高めるために、必要により、前記第一層は、接着成分を含んでいてもよい。前記接着成分としては、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン系グラフトコポリマーなどの変性ポリエチレンなど)、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂(熱可塑性共重合ポリエステルなど)、反応性接着成分[イソシアネート系化合物、イミノ基含有ポリマー(ポリエチレンイミンなど)など]などが挙げられる。
前記イソシアネート系化合物は、末端イソシアネート基を有するプレポリマー又はオリゴマーなどであってもよいが、通常、ポリイソシアネート、例えば、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香族イソシアネート、これらの誘導体などであってもよい。
前記脂肪族イソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などが挙げられる。前記脂環族イソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添トリレンジイソシアネート(水添TDI)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、水添ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート(水添MDI)などが挙げられる。前記芳香族イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート(MDI)などが挙げられる。
また、イソシアネートの誘導体としては、例えば、上記イソシアネートの多量体[2量体(ウレットジオン基含有イソシアネート)、3量体(イソシアヌレート環含有イソシアネート)、5量体、7量体など]、上記イソシアネートの変性体(アロハネート変性イソシアネート、ビュレット変性イソシアネート、ウレア変性イソシアネート、カルボジイミド変性イソシアネートなど)、多価アルコールと上記イソシアネートとの付加体などが挙げられる。
これらの接着成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
接着成分は、前記塩素含有樹脂と混合して用いてもよく、接着成分で構成された層(プライマー層)を、プラスチック基材と塩素含有樹脂層との間に形成してもよい。これらの接着成分のうち、接着成分と塩素含有樹脂とを混合して用いる場合は、反応性接着成分[イソシアネート系化合物(TDI、MDI、XDI、TMXDIなどの芳香族イソシアネート及びこれらの誘導体など)など]が好適に使用でき、プライマー層を形成する場合は、ポリエステル系樹脂(熱可塑性共重合ポリエステルなど)、反応性接着成分[イソシアネート系化合物(TDI、MDI、XDI、TMXDIなどの芳香族イソシアネート及びこれらの誘導体など)、イミノ基含有ポリマー(ポリエチレンイミンなど)など]などが好適に使用できる。
接着成分の割合は、前記塩素含有樹脂100重量部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜20重量部、さらに好ましくは1〜10重量部程度であってもよい。
(第二層)
前記第一層に積層される第二層は、環状ポリオレフィン系樹脂で構成されている。前記環状ポリオレフィン系樹脂は、環内にエチレン性二重結合を有する重合性の環状オレフィンを少なくとも重合成分とする樹脂であればよい。環状オレフィンは、単環式オレフィンであってもよく、多環式オレフィンであってもよい。
代表的な環状オレフィンとしては、例えば、ノルボルネン類、シクロペンタジエン類又はジシクロペンタジエン類、ノルボルネン類とシクロペンタジエンとの縮合により得られる1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン類、ヘキサシクロ[6.6.1.1.1.0.0]ヘプタデセン−4類、1−ブテンとシクロペンタジエンとから合成される6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどの多環式オレフィンが例示できる。
また、環状オレフィンは、置換基{例えば、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、メチル基などのC1−10アルキル基、好ましくはC1−5アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基などのC5−10シクロアルキル基)、アリール基(例えば、フェニル基などのC6−10アリール基)、アルケニル基(例えば、プロペニル基などのC2−10アルケニル基など)、シクロアルケニル基(例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などのC5−10シクロアルケニル基など)、アルキリデン基(例えば、エチリデン基などのC2−10アルキリデン基、好ましくはC2−5アルキリデン基など)など]、アルコキシ基(例えば、メトキシ基などのC1−10アルコキシ基、好ましくはC1−6アルコキシ基)、アシル基(例えば、アセチル基などのC2−5アシル基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基などのC1−10アルコキシ−カルボニル基)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基(=O)、複素環基(ピリジル基などの窒素原子含有複素環基など)など}を有していてもよい。環状オレフィンは、単独で又は二種以上組み合わせて置換基を有していてもよい。
具体的な環状オレフィンとしては、単環式オレフィン類[例えば、シクロアルケン(例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのシクロC3−10アルケンなど)など、シクロアルカジエン(例えば、シクロペンタジエンなどのシクロC3−10アルカジエン)など];二環式オレフィン類{例えば、ビシクロアルケン[例えば、ノルボルネン類(例えば、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5又は5,6−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5,6−ジメトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5,6−ジ(トリフルオロメチル)−2−ノルボルネン、7−オキソ−2−ノルボルネンなど)などのC4−20ビシクロアルケンなど]、ビシクロアルカジエン[例えば、ノルボルナジエン類(例えば、2,5−ノルボルナジエン、5−メチル−2,5−ノルボルナジエン、5−シアノ−2,5−ノルボルナジエン、5−メトキシカルボニル−2,5−ノルボルナジエン、5−フェニル−2,5−ノルボルナジエン、5,6−ジメチル−2,5−ノルボルナジエン、5,6−ジ(トリフルオロメチル)−2,5−ノルボルナジエン、7−オキソ−2−ノルボルナジエンなど)など]など}、三環式オレフィン{例えば、トリシクロアルケン[例えば、ジヒドロジシクロペンタジエン類(ジヒドロジシクロペンタジエンなど)などのC6−25トリシクロアルケンなど]、トリシクロアルカジエン[例えば、ジシクロペンタジエン類(ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエンなど)、トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン、トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエンなどのC6−25トリシクロアルカジエンなど]など}、四環以上の多環式オレフィン{例えば、四環式オレフィン[例えば、テトラシクロアルケン(例えば、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンなどのC8−30テトラシクロアルケンなど)など]、五環式オレフィン[例えば、ペンタシクロアルカジエン(例えば、トリシクロペンタジエンなどのC10−35ペンタシクロアルカジエン)など]、六環式オレフィン[例えば、ヘキサシクロアルケン(例えば、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘプタデセンなどのC12−40ヘキサシクロアルケン)など]など}などが挙げられる。
これらの環状オレフィンは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの環状オレフィンのうち、ノルボルネン類などの多環式オレフィンが好ましい。
環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンの単独又は共重合体(例えば、単環式オレフィンと多環式オレフィンとの共重合体など)であってもよく、環状オレフィンと共重合性単量体との共重合体であってもよい。
共重合性単量体としては、共重合可能な限り特に限定されず、前記プラスチック基材の項で例示された鎖状オレフィンなどが例示できる。
さらに、本発明の目的を損なわない範囲内で、共重合性単量体として、重合性ニトリル化合物(例えば、(メタ)アクリロニトリルなど)、(メタ)アクリル系単量体(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸など)、不飽和ジカルボン酸又はその誘導体(無水マレイン酸など)、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、共役ジエン類(ブタジエン、イソプレンなど)などを用いてもよい。これらの共重合性単量体も単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
環状ポリオレフィン系共重合体において共重合性単量体(例えば、エチレンなどのα−オレフィン類)の割合は、全単量体中0〜99モル%程度の範囲から選択でき、例えば、1〜95モル%、好ましくは10〜90モル%、さらに好ましくは20〜90モル%(特に30〜85モル%)程度であってもよい。
好ましい環状ポリオレフィン系樹脂としては、環状オレフィンと鎖状オレフィンとの共重合体[多環式オレフィン(例えば、二乃至六環式オレフィンなど)を重合成分とする樹脂、特に、多環式オレフィン(前記ノルボルネン類や前記ジシクロペンタジエン類などのノルボルネン骨格を有する単量体)とα−オレフィンとの共重合体など]などが挙げられる。
環状ポリオレフィン系樹脂の数平均分子量は、例えば、5,000〜300,000、好ましくは10,000〜200,000、さらに好ましくは20,000〜150,000(特に、30,000〜120,000)程度であってもよい。
環状ポリオレフィン系樹脂は、付加重合により得られた樹脂であってもよく、開環重合(開環メタセシス重合など)により得られた樹脂であってもよい。また、環状ポリオレフィン系樹脂(例えば、開環メタセシス重合により得られた樹脂など)は、水素添加された水添樹脂であってもよい。また、環状ポリオレフィン系樹脂は、結晶性又は非晶性樹脂であってもよく、通常、非晶性樹脂であってもよい。なお、環状ポリオレフィン系樹脂は、慣用の重合方法(例えば、チーグラー型触媒を用いた付加重合、メタロセン系触媒を用いた付加重合、メタセシス重合触媒を用いた開環メタセシス重合など)により調製してもよい。
このような環状ポリオレフィン系樹脂を用いると、環状ポリオレフィン系樹脂の特性、例えば、撥水性、防湿性、耐光性、透明性、光学的特性の他、離型性を付与できる。また、環状ポリオレフィン系樹脂で構成された第二層を、前記第一層を介して積層すると、プラスチック基材との密着性を向上できる。詳細については不明であるが、前記第一層を構成する塩素含有樹脂と第二層を構成する環状ポリオレフィン系樹脂との相溶性が高く、塩素含有樹脂及び/又は環状ポリオレフィン系樹脂が溶解するためと考えられる。
前記第二層は、コーティングにより形成されている。コーティング方法としては、前記第一層の項で記載されたコーティング方法が使用できる。
このようにコーティングにより第二層を形成するため、厚みを薄くすることができる。前記第二層の厚みは、0.05〜80μm、好ましくは0.07〜50μm、さらに好ましくは0.08〜30μm(例えば、0.1〜20μm)、特に0.1〜10μm(例えば、0.5〜8μm)程度であってもよい。
前記第一層と前記第二層との厚みの比率は、第一層/第二層=1/0.5〜1/30、好ましくは1/0.8〜1/20、さらに好ましくは1/1〜1/10程度であってもよい。また、前記プラスチック基材と前記第二層との厚みの比率は、1/0.01〜1/1、好ましくは1/0.03〜1/0.5、さらに好ましくは1/0.05〜1/0.3程度であってもよい。
プラスチック基材が、ビニル系樹脂(ポリビニルアルコールなどのビニルアルコール系樹脂など)である場合は、偏光層[例えば、偏光板(液晶用偏光板など)など]に使用でき、環状ポリオレフィン系樹脂で構成された第二層を前記偏光層の保護膜として使用してもよい。この場合の前記プラスチック基材と前記第二層との厚みの比率は、1/0.1〜1/100、好ましくは1/0.5〜1/50、さらに好ましくは1/1〜1/10程度であってもよい。
また、プラスチック基材が、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートなどのポリC2−4アルキレンテレフタレートなど)である場合は、離型性を有する前記第二層と組み合わせて使用し、耐熱性が向上した離型フィルムを形成できる。この場合の前記プラスチック基材と前記第二層との厚みの比率は、1/0.001〜1/1、好ましくは1/0.005〜1/0.5、さらに好ましくは1/0.01〜1/0.2程度であってもよい。
プラスチック基材が、セルロース系樹脂[セルロースエステル(トリアセチルセルロースなどの酢酸セルロースなど)など]である場合は、塩素含有樹脂(特に、塩化ビニリデン系重合体など)で構成された第一層、及び環状ポリオレフィン系樹脂で構成された第二層を用いて防湿性が向上した積層フィルムを形成できる。また、前記第一層及び/又は第二層の厚みにより、防湿性を任意に調整できる。この場合の前記プラスチック基材と前記第二層との厚みの比率は、1/0.01〜1/1.5、好ましくは1/0.03〜1/1、さらに好ましくは1/0.05〜1/0.5程度であってもよい。さらには、セルロース系樹脂と第一層と第二層とで偏光板の保護膜を形成してもよい。
なお、前記プラスチック基材、第一層、及び第二層から選択された少なくとも一種は、必要に応じて、種々の添加剤、例えば、可塑剤又は軟化剤、アンチブロッキング剤(ブロッキング防止剤)、滑剤、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、着色剤、分散剤、難燃剤、結晶核成長剤、炭化水素系重合体(スチレン系樹脂、クマロンインデン樹脂などのクマロン樹脂、フェノール樹脂、ロジンとその誘導体やそれらの水添樹脂など)、充填剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(積層フィルムの製造方法)
本発明の積層フィルムは、前記塩素含有樹脂を含む塗布液(以下、「第一の塗布液」と記載する場合がある)をプラスチック基材にコーティングして第一層を形成した後、前記環状ポリオレフィン系樹脂を含む塗布液(以下、「第二の塗布液」と記載する場合がある)を前記第一層にコーティングして第二層を形成して得ることができる。
なお、プラスチック基材と第一層との密着性を強化するために、プラスチック基材の表面に、表面処理(例えば、コロナ放電処理やグロー放電処理などの放電処理、紫外線処理などの活性エネルギー線処理など)を行ってもよい。
第一の塗布液は、溶媒を含んでいてもよい。前記溶媒としては、塩素含有樹脂を溶解できる限り特に制限されず、例えば、有機溶媒[ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのジアルキルケトン;シクロヘキサノンなどのシクロアルキルケトンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのジアルキルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテルなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、ジクロロエタンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)など]、水性溶媒[水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セロソルブアセテート類など]などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて混合溶媒として使用してもよい。これらのうち、ケトン類(メチルエチルケトンなど)、エーテル類(テトラヒドロフランなどの環状エーテルなど)、芳香族炭化水素類(トルエンなど)などの有機溶媒を用いる場合が多い。
第一の塗布液中の前記塩素含有樹脂の固形分濃度は、0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜40重量%、さらに好ましくは1〜30重量%程度であってもよい。
第一の塗布液は、前記第一層の項で記載されたコーティング方法により、前記プラスチック基材にコーティングできる。
さらに、第一の塗布液は、前記第一層の項で記載された接着成分を含んでいてもよい。
第一の塗布液のコーティング量(塗布量)は、乾燥塗膜を基準にして、0.1〜10g/m、好ましくは0.3〜8g/m、さらに好ましくは0.4〜6g/m(特に、0.5〜5g/m)程度であってもよい。
第一の塗布液のコーティング速度は、特に制限されず、1〜100m/分、好ましくは20〜90m/分、さらに好ましくは30〜90m/分程度であってもよい。
第一の塗布液をコーティングした後、必要により、慣用の乾燥処理を行ってもよい。乾燥温度は、例えば、50〜200℃、好ましくは80〜180℃、さらに好ましくは、100〜150℃程度であってもよい。乾燥時間は、5秒〜5時間、好ましくは10秒〜1時間、さらに好ましくは30秒〜30分程度であってもよい。
環状ポリオレフィン系樹脂を含む塗布液(第二の塗布液)も、前記第一の塗布液の項で記載されたのと同様の溶媒を含んでいてもよい。これらの溶媒のうち、有機溶媒、例えば、エーテル類(テトラヒドロフランなどの環状エーテルなど)、脂肪族炭化水素(ヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタンなど)などの炭化水素類を用いる場合が多い。
第二の塗布液中の前記環状ポリオレフィン系樹脂の固形分濃度は、0.1〜60重量%、好ましくは0.5〜50重量%、さらに好ましくは1〜40重量%程度であってもよい。
第二の塗布液も、前記第一層の項で記載されたコーティング方法と同様の方法で、前記第一層にコーティングできる。
第二の塗布液のコーティング量(塗布量)は、乾燥塗膜を基準として、0.5〜20g/m、好ましくは0.6〜15g/m、さらに好ましくは0.8〜10g/m(特に、1〜8g/m)程度であってもよい。
第二の塗布液のコーティング速度は、0.1〜30m/分、好ましくは1〜25m/分、さらに好ましくは5〜20m/分程度であってもよい。このような速度でコーティングすると、第二層の白化が生じることなく、外観特性に優れた積層フィルムが得られる。
第二の塗布液をコーティングした後、必要により、慣用の乾燥処理を行ってもよい。乾燥温度及び乾燥時間は、前記第一の塗布液の項で例示された乾燥温度及び乾燥時間と同様の範囲からそれぞれ選択できる。
なお、第一の塗布液及び/又は第二の塗布液は、必要により、前記第二層の項で記載された添加剤を含んでいてもよい。
本発明の積層フィルムは、プラスチック基材との密着性が高く、さらい高い離型性を有するため、工業材料(工業用離型フィルムなど)などに利用できる。また、本発明の積層フィルムは、食品[例えば、饅頭類(蒸し饅頭、中華饅頭など)、糖菓などの菓子パン類、おにぎり、カステラ、スライスチーズ、餡類などの表面に粘着性又は粘性を有する粘稠物など]、医薬品又は化学品(例えば、薬品又は薬剤など)などの包装フィルムに好適に使用できる。さらに、本発明の積層フィルムは、光学部材(液晶用偏光板など)などにも利用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。積層フィルムの特性は以下の方法により測定又は評価した。
[塗布量の測定]
プラスチック基材上に形成した第一層を10cm×25cmに切り出しサンプルとし、重量を測定した後、第一層をテトラヒドロフランにて、プラスチック基材から溶出させた後、十分に拭き取った。再度サンプルの重量を測定し、重量の減少から第一層の塗布量を算出した。また、プラスチック基材に積層された第一層上に形成した第二層を10cm×25cmに切り出しサンプルとし、重量を測定した後、第一層及び第二層をテトラヒドロフランにて、プラスチック基材から十分に剥がした。再度サンプルの重量を測定し、重量の減少から第一層及び第二層の合計の塗布量を算出し、第二層の塗布量も算出した。
[密着性(セロテープ(登録商標)テスト)]
温度23±5℃、相対湿度50±10%の条件下で、第一層(又は第二層)の表面に、50mmを超える長さのテープ(ニチバン(株)製、セロテープ(登録商標)CT405AP−24)を表面に重ね、第一層(又は第二層)に接触させるために、指先でしっかりとテープをこすって押しつけた。テープ全体が均一に第一層(又は第二層)に付着しているか確認後、5分以内に、第一層(又は第二層)の表面に対して、できるだけ60度に近い角度でテープの端をつかみ、0.5〜1秒間で引き離した。第一層(又は第二層)のテープを付着した部分を観察し、密着性を以下の基準で評価した。
○…全く剥がれない
△…部分的に剥がれる
×…全面が剥がれる
実施例1
(第一の塗布液の調製)
トルエン、メチルエチルケトン、及びテトラヒドロフラン(トルエン:メチルエチルケトン:テトラヒドロフラン(重量比)=1.5:1.5:7)を混合し、撹拌して均一な溶媒(溶剤)を調製した。この溶媒に、塩化ビニリデン系重合体(旭化成ケミカルズ(株)製、PVDCレジン R204)100重量部、及びトリレンジイソシアネート(TDI)3重量部を溶解し、固形分濃度12重量%の塗布液Pを得た。
(第二の塗布液の調製)
環状オレフィン系樹脂(ポリプラスチックス(株)製、TOPAS 6013S)をトルエンに撹拌溶解し、固形分濃度15重量%の塗布液Cを得た。
(積層フィルムの製造)
プラスチック基材として、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ(株)製、ポリエステルフィルムエンブレット S50、厚み50μm)を用い、このフィルムの片面にコロナ放電処理を施した。コロナ放電処理を施した面に、塗布液Pをメイヤーバーコーティング法によりコーティングし、130℃の温度で1分間乾燥して第一層を形成した。さらに第一層に塗布液Cをメイヤーバーコーティング法によりコーティングし、100℃の温度で1分間乾燥して第二層を形成し積層フィルムを得た。第一層の厚みは1μm、第二層の厚みは3μmであった。また、第一層及び第二層それぞれについて、塗布量を測定し、密着性を評価した。
実施例2
二軸延伸ポリエステルフィルムの代わりに、トリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム(株)製、厚み80μm)を用いる以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。第一層の厚みは2μm、第二層の厚みは5μmであった。また、第一層及び第二層それぞれについて、塗布量を測定し、密着性を評価した。
比較例1
塗布液Pの代わりに、共重合ポリエステル(日本合成化学工業(株)製、ニチゴーポリエスターTP220)をトルエン及びメチルエチルケトンの混合溶媒(トルエン:メチルエチルケトン(重量比)=1:2)に溶解した固形分濃度12重量%の塗布液Aを用いる以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。第一層の厚みは1μm、第二層の厚みは2μmであった。また、第一層及び第二層それぞれについて、塗布量を測定し、密着性を評価した。
比較例2
塗布液Pの代わりに、ポリエチレンイミン(日本触媒(株)製、エポミンP−1000)を水に溶解した固形分濃度1重量%の塗布液Bを用い、二軸延伸ポリエステルフィルムの代わりに、二軸延伸ポリオレフィンフィルム(ダイセルバリューコーティング(株)製、二軸延伸ポリオレフィンフィルムD1、厚み20μm)を用いる以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。第一層の厚みは0.5μm以下、第二層の厚みは1μmであった。また、第一層及び第二層それぞれについて、塗布量を測定し、密着性を評価した。
比較例3
塗布液Pの代わりに、アクリル系樹脂(BASFジャパン(株)製、JONCRYL840)を水に溶解した固形分濃度10重量%の塗布液Dを用いる以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。第一層の厚みは0.5μm以下、第二層の厚みは1μmであった。また、第一層及び第二層それぞれについて、塗布量を測定し、密着性を評価した。
実施例及び比較例の結果を表1に示す。
Figure 0005300240
表1から明らかなように、比較例に比べ、実施例では、塩素含有樹脂を含む塗布液をプラスチック基材にコーティングして第一層を形成した後、環状ポリオレフィン系樹脂を含む塗布液を前記第一層にコーティングするため、第一層及び第二層それぞれにおいて密着性が高い。

Claims (6)

  1. プラスチック基材に積層され、塩素含有樹脂で構成された第一層と、この第一層に積層され、環状ポリオレフィン系樹脂で構成された第二層とで構成された積層フィルムであって、
    前記塩素含有樹脂が、塩化ビニリデン系重合体であり、
    前記環状ポリオレフィン系樹脂が、環状オレフィンの単独重合体、環状オレフィンの共重合体、及び環状オレフィンと鎖状オレフィンとの共重合体からなる群より選択された少なくとも1種であり、かつ
    前記第一層及び前記第二層がそれぞれコーティングにより形成された積層フィルム。
  2. 第一層が、さらに反応性接着成分を含む請求項1記載の積層フィルム。
  3. 第二層の厚みが0.1〜20μmである請求項1又は2記載の積層フィルム。
  4. 第一層と第二層との厚みの比率が、第一層/第二層=1/0.5〜1/10である請求項1〜のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. プラスチック基材が、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びセルロース系樹脂から選択された少なくとも一種である請求項1〜のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 塩素含有樹脂を含む塗布液をプラスチック基材にコーティングして第一層を形成した後、環状ポリオレフィン系樹脂を含む塗布液を前記第一層にコーティングして第二層を形成する請求項1〜のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法。
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