JP2016210129A - 積層フィルム、積層体及びその製造方法並びに燃料電池の製造方法 - Google Patents

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浩 尾道
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克彦 隅田
善道 岡野
Yoshimichi Okano
善道 岡野
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Abstract

【課題】コーティングにより離型層の表面に均一な厚みを有するイオン交換層を形成でき、かつ前記イオン交換層と離型層との離型性も向上できる積層フィルムを提供する。
【解決手段】側鎖に炭素数2〜10のアルキル基を有するオレフィン単位を含む環状オレフィン系樹脂(A)及びポリメチルペンテン系樹脂(B)を含む樹脂組成物で形成された離型層と基材層とを組み合わせて積層フィルムを作製する。前記環状オレフィン系樹脂は、繰り返し単位として、炭素数2〜10のアルキル基を有する鎖状オレフィン単位及び/又は炭素数2〜10のアルキル基を有する環状オレフィン単位を含んでいてもよい。前記離型層はコーティングで形成された層であってもよい。前記環状オレフィン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)との重量比は、前者/後者=99.9/0.1〜80/20程度である。
【選択図】なし

Description

本発明は、固体高分子型燃料電池の構成部材である膜電極接合体を製造(製膜)する際に使用される離型フィルムなどに適した積層フィルム、この積層フィルムを含む積層体及びその製造方法並びに前記積層フィルムを用いて前記膜電極接合体を製造する方法に関する。
固体高分子型燃料電池や水素供給装置では、白金触媒や白金担持カーボンが触媒として使用されるが、平滑な触媒層を得るために、離型フィルム上に触媒インクを塗工、乾燥し、転写する方法が知られている。
詳しくは、固体高分子型燃料電池は、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)と称される基本構成を有している。MEAは、イオン交換膜である固体高分子電解質膜の両面に、白金族金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とする電極膜(触媒層又は電極触媒膜)を積層し、得られた積層体を導電性の多孔膜である燃料ガス供給層と空気供給層とでさらに挟み込んで得られる。このMEAにおいて、電解質膜及び電極膜のいずれにもイオン交換樹脂が含まれているが、電解質膜及び電極膜はキャスト法及び/又はコーティング法などにより形成される。電解質膜と電極膜との積層方法としては、通常、支持体にそれぞれ形成された両層を接触させて、温度130〜150℃程度(使用材料によっては150〜200℃程度)、圧力1〜10MPa程度で加熱圧着することにより密着した後、支持体を剥離する方法が用いられる。
そのため、支持体としては離型フィルムが用いられるが、電解質膜及び電極膜を離型フィルムの上にキャスト(コーティング)して形成する場合、離型フィルムの上に均一な厚みで塗工するための塗工性(塗工適性)と、使用後に電解質膜及び電極膜から容易に剥離するための離型性(剥離性)とを両立させるのは困難であった。すなわち、一般的に、離型フィルムに対する濡れ性が高く、塗工性の高いコーティング液は、密着性が高くなって離型性が低くなる傾向があった。特に、電極膜は、多量の触媒粒子を含むため、電極膜を形成するバインダーとの比率によっては離型時に電極膜が凝集破壊し、離型フィルム上に残存し易い。さらに、電解質膜及び電極膜は、通常、水系の溶媒に分散されているが、離型フィルムは、離型性が高く、水系溶媒をはじき易いため(濡れ性が低いため)、離型フィルムの表面に、キャスト(コーティング)により、均一な厚みを有する電解質膜及び電極膜を形成するのも困難であった。
さらに、離型フィルムには、電解質膜及び電極膜に対する適度な密着性、詳しくは、電解質膜及び電極膜作成後の後工程(搬送工程など)で剥がれない程度の密着性も要求される。
また、離型フィルムは、取り扱い性や生産性を向上させるために、機械的特性の高い基材フィルムと積層して使用されることも多いが、電解質膜及び電極膜に対する離型性に優れる離型フィルムでは、反応性基などを有さない汎用の基材フィルムに対する密着性を向上させるのは比較的困難である。さらに、燃料電池製造用離型フィルムには、製造工程上、耐熱性が要求される上に、生産性の点から、ロール・ツー・ロール方式で製造されるため、柔軟性も要求される。
離型フィルムとしては、一般的には、フッ素系フィルムが汎用されているが、耐熱性、離型性、非汚染性には優れているものの、高価である上に、使用後の廃棄焼却処理において燃焼し難く、有毒ガスを発生し易い。さらに、弾性率が低く、乾燥や転写時の加熱によって離型フィルムが波打ったりするため、使用前に前処理が必要であったり、ロール・ツー・ロール方式での製造が困難である。
このように、固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造に利用される離型フィルムは、各種の条件を充足する必要があるため、利用できる離型フィルムの選択は困難であった。特に、離型性と塗工性という相反する特性を充足する必要があるため、汎用の離型フィルムの利用が困難であったが、フッ素系フィルムに代わる離型フィルムとして、環状オレフィン系樹脂で形成された離型フィルムが提案されている。
特開2010−234570号公報(特許文献1)には、シクロオレフィン系コポリマーからなる離型フィルムに、イオン交換樹脂を含む層を積層してなる積層体が開示されており、前記離型フィルムとして、シクロオレフィン系コポリマーをフィルム状に溶融押出成形した離型フィルムや、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの基材のフィルムの上にシクロオレフィン系コポリマー溶液をコーティングして形成された離型フィルムも記載されている。また、実施例では、PETフィルムの上に、流延装置を用いて、エチレンとノルボルネンとの共重合体を含む溶液をキャストし、厚さ0.5μmの離型フィルムを形成している。
しかし、この離型フィルムでも、電解質膜及び電極膜に対する離型性は充分ではなかった。
一方、特開2009−279838号公報(特許文献2)には、ガラス転移点が150℃以上である環状オレフィン系樹脂(A)と、環状オレフィン系樹脂以外の樹脂(B)とを、質量比((A)/(B))15/85〜95/5で含む環状オレフィン系樹脂組成物を主成分とする剥離層と、基材層とを備えた積層物である合成皮革製造用離型紙とが開示されている。この文献には、前記樹脂(B)として、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリプロピレンが例示されている。実施例では、環状オレフィン樹脂とLDPE、ポリメチルペンテン又はポリプロピレンとを溶融混練して、上質紙の上に押出ラミネートした後、エンボス加工により表面粗度平均5μmでエンボス高さ30μmの皮紋模様を有する合成皮革製造用離型シートを製造している。ポリメチルペンテンを用いた実施例では、環状オレフィン樹脂20重量部とポリメチルペンテン80重量部とを溶融混練している。
しかし、この文献には、イオン交換樹脂を含む電解質膜や電極膜、燃料電池のいずれについても記載されていない。なお、この離型紙を固体高分子型燃料電池の膜電極接合体を製造するための離型フィルムとして用いても、両樹脂の相溶化が充分でなく、ヘイズの大きいフィルムとなるためか、イオン交換樹脂に対する濡れ性が低下する。そのため、離型層の上にコーティングにより均一な厚みを有する電解質膜及び電極膜を形成するのが困難である。さらに、離型層と電解質膜及び電極膜とを適度に密着させるのも困難である。
特開2010−234570号公報(特許請求の範囲、実施例1〜2) 特開2009−279838号公報(特許請求の範囲、実施例)
従って、本発明の目的は、コーティングにより離型層の表面に均一な厚みを有するイオン交換層を形成でき、かつ前記イオン交換層と離型層との離型性も向上できる積層フィルム、この積層フィルムを含む積層体及びその製造方法並びに前記積層フィルムを用いて前記膜電極接合体を製造する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、耐熱性や取り扱い性に優れ、ロール・ツー・ロール(roll to roll)方式で、高い生産性で固体高分子型燃料電池の膜電極接合体(電解質膜及び/又は電極膜)を製造できる積層フィルム、この積層フィルムを含む積層体及びその製造方法並びに前記積層フィルムを用いて前記膜電極接合体を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため、側鎖に炭素数2〜10のアルキル基を有するオレフィン単位を含む環状オレフィン系樹脂(A)及びポリメチルペンテン系樹脂(B)を含む樹脂組成物で形成された離型層と基材層とを組み合わせることにより、コーティングにより離型層の表面に均一な厚みを有するイオン交換層を形成でき、かつ前記イオン交換層と離型層との離型性も向上できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の積層フィルムは、環状オレフィン系樹脂(A)及びポリメチルペンテン系樹脂(B)を含む樹脂組成物で形成された離型層と、基材層とを含む積層フィルムであって、前記環状オレフィン系樹脂(A)が、側鎖に炭素数2〜10のアルキル基を有するオレフィン単位を含む環状オレフィン系樹脂である。前記環状オレフィン系樹脂(A)は、繰り返し単位として、炭素数2〜10のアルキル基を有する鎖状オレフィン単位及び/又は炭素数2〜10のアルキル基を有する環状オレフィン単位を含んでいてもよく、特に、炭素数2〜10のアルキル基を有さない環状オレフィン単位(A1)と、炭素数2〜10のアルキル基を有する鎖状又は環状オレフィン単位(A2)とを含む共重合体であってもよい。前記鎖状又は環状オレフィン単位(A2)は、炭素数4〜8の直鎖状アルキル基を有するエチレン又はノルボルネン単位であってもよい。前記環状オレフィン単位(A1)と鎖状又は環状オレフィン単位(A2)との割合(モル比)は、前者/後者=50/50〜99/1程度であってもよい。前記環状オレフィン系樹脂(A)のガラス転移温度は210〜350℃程度であってもよい。前記離型層はコーティングで形成された層であってもよい。前記環状オレフィン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)との重量比は、前者/後者=99.9/0.1〜80/20程度である。前記離型層の平均厚みは0.1〜2μm程度である。前記基材層は、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール系重合体、ポリエステル及びセルロース誘導体からなる群より選択された少なくとも1種を含んでいてもよい。本発明の積層フィルムは、固体高分子型燃料電池の膜電極接合体を製造するための離型フィルムであってもよい。本発明の積層フィルムは、塩素含有樹脂を含むアンカーコート層をさらに含み、離型層と基材層との間に前記アンカーコート層が介在していてもよい。
本発明には、前記積層フィルムと、この積層フィルムの離型層の上に積層され、かつイオン交換樹脂を含むイオン交換層とを含む積層体も含まれる。前記イオン交換樹脂が側鎖にスルホン酸基を有するフッ素樹脂であってもよい。前記イオン交換層が電解質膜及び/又は電極膜であってもよい。本発明の積層体は、ロール・ツー・ロール方式で製造してもよい。
本発明には、積層フィルムの離型層の上にイオン交換層を積層する積層工程を含む前記積層体の製造方法も含まれる。
本発明には、前記積層体から積層フィルムを剥離する剥離工程を含む固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造方法も含まれる。
本発明では、側鎖に炭素数2〜10のアルキル基を有するオレフィン単位を含む環状オレフィン系樹脂(A)及びポリメチルペンテン系樹脂(B)を含む樹脂組成物で形成された離型層と基材層とを組み合わせているため、コーティングにより離型層の表面に均一な厚みを有するイオン交換層を形成でき、かつ前記イオン交換層と離型層との離型性も向上できる。また、特定の環状オレフィン系樹脂を含むため、耐熱性及び取り扱い性にも優れている。そのため、ロール・ツー・ロール(roll to roll)方式で、高い生産性で固体高分子型燃料電池の膜電極接合体(電解質膜及び/又は電極膜)を製造できる。
[積層フィルム]
(離型層)
本発明の積層フィルムは、環状オレフィン系樹脂(A)及びポリメチルペンテン系樹脂(B)を含む樹脂組成物で形成された離型層を含む。
(A)環状オレフィン系樹脂
環状オレフィン系樹脂(A)は、側鎖に炭素数2〜10のアルキル基(例えばC3−10アルキル基)を有するオレフィン単位を含む。C2−10アルキル基は、環状オレフィン系樹脂の主鎖に対して、自由度の高い側鎖として存在することにより、変形により生じるエネルギーを熱エネルギーに変換できるためか、環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度を上昇させて耐熱性を向上させても、弾性及び靱性を保持できる。特に、α−オレフィンにおいて、末端アルキル基の炭素数が3以上になると、室温で液体となるが、本発明でも、側鎖のアルキル基の炭素数が3以上になると、前述の効果が発現する。一方、炭素数が10を超えると、ガラス転移温度が低下しすぎる。
2−10アルキル基としては、例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デカニル基などの直鎖状又は分岐鎖状アルキル基などが挙げられる。これらのC2−10アルキル基は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、耐熱性と弾性と靱性とのバランスに優れる点から、好ましくは直鎖状C3−10アルキル基(例えばn−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基などの直鎖状C4−9アルキル基)であり、さらに好ましくは直鎖状C4−8アルキル基(特にn−ヘキシル基などの直鎖状C5−7アルキル基)である。
このような環状オレフィン系樹脂としては、繰り返し単位として、前記環状オレフィン系樹脂は、繰り返し単位として、C2−10アルキル基を有する鎖状オレフィン単位及び/又はC2−10アルキル基を有する環状オレフィン単位(特に炭素数4〜8の直鎖状アルキル基を有するエチレン又はノルボルネン単位)を含んでいてもよく、単独重合体であってもよいが、所望の特性を調整し易い点から、前記鎖状オレフィン単位及び/又は前記環状オレフィン単位と、他の共重合性単位との共重合体が好ましく、C2−10アルキル基を有さない環状オレフィン単位(A1)と、C2−10アルキル基を有する鎖状又は環状オレフィン単位(A2)とを含む共重合体が特に好ましい。共重合体には、ランダム共重合体、ブロック共重合体、又はグラフト共重合体が含まれる。
環状オレフィン単位(A1)を形成するための重合成分(単量体)は、環内にエチレン性二重結合を有する重合性の環状オレフィンであり、単環式オレフィン、二環式オレフィン、三環以上の多環式オレフィンなどに分類できる。
単環式オレフィンとしては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの環状C4−12シクロオレフィン類などが挙げられる。
二環式オレフィンとしては、例えば、2−ノルボルネン;5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネンなどのメチル基を有するノルボルネン類;5−エチリデン−2−ノルボルネンなどのアルケニル基を有するノルボルネン類;5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネンなどのアルコキシカルボニル基を有するノルボルネン類;5−シアノ−2−ノルボルネンなどのシアノ基を有するノルボルネン類;5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネンなどのアリール基を有するノルボルネン類;オクタリン;6−メチル−オクタヒドロナフタレンなどのメチル基を有するオクタリンなどが例示できる。
多環式オレフィンとしては、例えば、ジシクロペンタジエン;2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン、メタノオクタヒドロフルオレン、ジメタノオクタヒドロナフタレン、ジメタノシクロペンタジエノナフタレン、メタノオクタヒドロシクロペンタジエノナフタレンなどの誘導体;シクロペンタジエンとテトラヒドロインデンなどとの付加物;シクロペンタジエンの3〜4量体などが挙げられる。
これらの環状オレフィンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの環状オレフィンのうち、積層フィルムの離型性と柔軟性とのバランスに優れる点から、二環式オレフィンが好ましい。C2−10アルキル基を有さない環状オレフィン(環状オレフィン単位(A1)を形成するための環状オレフィン)全体に対して二環式オレフィン(特にノルボルネン類)の割合は10モル%以上であってもよく、例えば、30モル%以上、好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上(特に90モル%以上)であり、二環式オレフィン単独(100モル%)であってもよい。特に、三環以上の多環式オレフィンの割合が大きくなると、ロール・ツー・ロール方式での製造に用いることが困難となる。
代表的な二環式オレフィンとしては、例えば、C2−10アルキル基以外の置換基を有していてもよいノルボルネン(2−ノルボルネン)、C2−10アルキル基以外の置換基を有していてもよいオクタリン(オクタヒドロナフタレン)などが例示できる。前記置換基としては、メチル基、アルケニル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、シアノ基、アミド基、ハロゲン原子などが例示できる。これらの置換基は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。これらの置換基のうち、積層フィルムの離型性を損なわない点から、メチル基などの非極性基が好ましい。これらの二環式オレフィンのうち、ノルボルネン、メチルノルボルネンなどのノルボルネン類(特にノルボルネン)が特に好ましい。
鎖状又は環状オレフィン単位(A2)を形成するための重合成分(単量体)は、環状オレフィン系樹脂の主鎖に対して側鎖としてC2−10アルキル基を形成可能であり、かつエチレン性二重結合を有する重合性のオレフィンであり、C2−10アルキル基を有する鎖状オレフィン単位を形成するための鎖状オレフィン、C2−10アルキル基を有する環状オレフィン単位を形成するための環状オレフィンに分類できる。なお、鎖状オレフィン単位は、環状オレフィンの開環により生じた鎖状オレフィン単位であってもよいが、両単位の割合を制御し易い点から、鎖状オレフィンを重合成分とする単位が好ましい。
前記鎖状オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンなどの直鎖状又は分岐鎖状α−C4−12オレフィンなどが挙げられる。これらの鎖状オレフィンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの鎖状オレフィンのうち、好ましくは鎖状(特に直鎖状)α−C5−12オレフィン[例えば、鎖状(特に直鎖状)α−C6−11オレフィン]であり、ポリマーの生産性など、諸特性のバランスに優れる点から、さらに好ましくは鎖状(特に直鎖状)α−C6−10オレフィン[特に1−オクテンなどの鎖状(直鎖状)α−C7−9オレフィン]である。
前記環状オレフィンは、前記環状オレフィン単位(A1)の項で例示された環状オレフィン骨格にC2−10アルキル基が置換した環状オレフィンであってもよい。環状オレフィン骨格としては、二環式オレフィン(特にノルボルネン)が好ましい。好ましいC2−10アルキル基を有する環状オレフィンとしては、例えば、5−エチル−2−ノルボルネン、5−プロピル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ペンチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−オクチル−2−ノルボルネン、5−デシル−2−ノルボルネンなどの直鎖状又は分岐鎖状C2−10アルキルノルボルネンなどが挙げられる。これらの環状オレフィンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの環状オレフィンのうち、好ましくは直鎖状C3−10アルキルノルボルネンであり、さらに好ましくは直鎖状C4−9アルキルノルボルネン(特に5−ヘキシル−2−ノルボルネンなどの直鎖状C4−8アルキルノルボルネン)である。
環状オレフィン単位(A1)と鎖状又は環状オレフィン単位(A2)との割合(モル比)は、例えば、前者/後者=50/50〜99/1、好ましくは60/40〜95/5、さらに好ましくは70/30〜90/10(特に75/25〜90/10)程度である。環状オレフィン単位(A1)の割合が少なすぎると、積層フィルムの耐熱性が低下し、多すぎると積層フィルムの機械的特性が低下する虞がある。
環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィン単位(A1)及び鎖状又は環状オレフィン単位(A2)以外に他の共重合性単位を含んでいてもよい。他の共重合性単位を形成するための共重合成分(単量体)としては、例えば、α−鎖状C2−3オレフィン(エチレン、プロピレンなど)、ビニルエステル系単量体(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、ジエン系単量体(例えば、ブタジエン、イソプレンなど)、(メタ)アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸、又はこれらの誘導体((メタ)アクリル酸エステルなど)など]などが挙げられる。これらの共重合成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、エチレンやプロピレンなどのα−鎖状C2−3オレフィンなどが汎用される。他の共重合性単位の割合は、環状オレフィン単位(A1)及び鎖状又は環状オレフィン単位(A2)の合計に対して、例えば、10モル%以下、好ましくは5モル%以下、さらに好ましくは1モル%以下である。
環状オレフィン系樹脂(A)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、例えば10000〜300000、好ましくは20000〜250000、さらに好ましくは30000〜200000(特に50000〜150000)程度である。分子量が小さすぎると、製膜性が低下し易く、大きすぎると、粘度が高くなるため、取り扱い性が低下し易い。
環状オレフィン系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は210〜350℃程度の範囲から選択でき、耐熱性と機械的特性とのバランスの点から、例えば210〜340℃、好ましくは220〜330℃(例えば220〜310℃)、さらに好ましくは230〜300℃(特に260〜290℃)程度であってもよい。ガラス転移温度が低すぎると、積層フィルムの耐熱性が低下して、高温での処理が困難となり易く、高すぎると、生産が困難となる。なお、本明細書において、ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定できる。例えば、示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製「DSC6200」)を用い、JIS K7121に準じ、窒素気流下、昇温速度10℃/分で測定してもよい。
環状オレフィン系樹脂(A)の重合方法に特に制限はなく、慣用の方法、例えば、チーグラー型触媒を用いた付加重合、メタロセン系触媒を用いた付加重合などを利用できる。具体的な重合方法としては、例えば、特開2004−107442号公報、特開2007−119660号公報、特開2008−255341号公報、Macromolecules, 43, 4527(2010)、Polyhedron, 24, 1269(2005), J. Appl. Polym. Sci, 128(1), 216(2013), Polymer Journal, 43, 331(2011)に記載の方法などを利用できる。また、重合に用いる触媒も、これらの文献に記載の方法で合成された触媒などを利用できる。
触媒の割合は、環状オレフィン系単量体100質量部に対して、例えば0.0001〜0.05質量部、好ましくは0.0005〜0.01質量部、さらに好ましくは0.001〜0.01質量部程度である。
さらに、環状オレフィン系樹脂(A)の重合には、慣用の助触媒を用いてもよい。助触媒としては、通常、トリメチルアルミニウムなどのアルキルアルミニウム(原料)の部分加水分解物であるアルミノキサン化合物が利用される。アルミノキサン化合物としては、例えば、メチルイソブチルアルミノキサン、メチルアルミノキサンなどのC1−6アルキルアルミノキサン、ポリメチルアルミノキサンなどのポリC1−6アルキルアルミノキサンなどが挙げられる。これらのアルミノキサン化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
助触媒の割合は、十分な触媒活性を発現させることができる割合であれば、特に制限はなく、触媒活性に応じて選択できる。アルミノキサン化合物を用いる場合、通常、触媒1分子当たりのアルミニウム原子の割合が、等量から10,000倍量、好ましくは10〜5,000倍量、さらに好ましくは50〜2,000倍量程度である。
(B)ポリメチルペンテン系樹脂
本発明では、前記環状オレフィン系樹脂(A)をポリメチルペンテン系樹脂(B)と組み合わせることにより、離型性を向上でき、離型層の塗工性とイオン交換層に対する離型性とを両立できる。ポリメチルペンテン系樹脂(B)は、少なくとも繰り返し単位としてメチルペンテン単位を含んでいればよく、単独重合体であってもよく、共重合体であってもよい。
メチルペンテンとしては、例えば、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。これらのメチルペンテンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのメチルペンテンのうち、4−メチル−1−ペンテンが好ましい。重合成分全体に対してメチルペンテン(4−メチル−1−ペンテン)の割合は、例えば50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上(特に90モル%以上)であり、メチルペンテン単独(100モル%)であってもよい。メチルペンテンの割合が少なすぎると、離型層の離型性が低下する虞がある。
ポリメチルペンテン系樹脂(B)は、メチルペンテン以外に他の共重合性単位を含んでいてもよい。他の共重合性単位を形成するための共重合成分(単量体)としては、例えば、環状オレフィン系樹脂(A)の項で例示された単量体、例えば、メチルペンテン以外のオレフィン、ビニルエステル系単量体、ジエン系単量体、(メタ)アクリル系単量体などが挙げられる。これら他の共重合成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これら他の共重合成分のうち、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセンなどのα−C2−6オレフィン、特に、エチレンやプロピレンなどα−C2−4オレフィンが好ましい。共重合体には、ランダム共重合体、ブロック共重合体、又はグラフト共重合体が含まれる。
メチルペンテンと他の共重合成分との割合(モル比)は、前者/後者=100/0〜50/50程度の範囲から選択でき、好ましくは100/0〜70/30、さらに好ましくは100/0〜80/20(特に99.9/0.1〜90/10)程度である。
ポリメチルペンテン系樹脂は、アタクチック構造であってもよいが、アイソタクチック、シンジオタクチック、メタロセン触媒により生成する高い立体規則性を有していてもよい。これらのうち、簡便性及び経済性の点から、アイソタクチック構造を有するポリメチルペンテン系樹脂が好ましい。
ポリメチルペンテン系樹脂(B)のメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238(荷重:5kg,温度:260℃)に準拠した方法において、例えば5〜500g/10分であり、好ましくは20〜300g/10分、さらに好ましくは50〜200g/10分程度である。MFRが大きすぎると、製膜性が低下し易く、小さすぎると、粘度が高くなるため、取り扱い性が低下し易い。
ポリメチルペンテン系樹脂(B)の融点は150〜350℃程度の範囲から選択でき、耐熱性と機械的特性とのバランスの点から、例えば160〜300℃、好ましくは180〜280℃、さらに好ましくは200〜250℃(特に210〜240℃)程度であってもよい。融点ガラス転移温度が低すぎると、積層フィルムの耐熱性が低下して、高温での処理が困難となり易く、高すぎると、生産が困難となる。ポリメチルペンテン系樹脂(B)の融点は、ASTM D3418に準拠して、DSC法で測定できる。
ポリメチルペンテン系樹脂(B)としては、例えば、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などのポリメチルペンテン、メチルペンテンとα−C2−6オレフィンや(メタ)アクリル酸又はそのエステルとの共重合体などが例示でき、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などのポリメチルペンテン、4−メチル−1−ペンテンとエチレン及び/又はプロピレンとの共重合体が好ましい。ポリ(4−メチル−1−ペンテン)としては、例えば、三井化学(株)から、商品「TPXシリーズ」として入手することができる。また、ポリメチルペンテン系樹脂(B)は、慣用の方法で製造してもよい。
(C)離型層の特性
環状オレフィン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)との重量比は、前者/後者=99.99/0.01〜50/50(例えば99.95/0.05〜70/30)程度の範囲から選択でき、塗工性の点から、例えば99.9/0.1〜80/20、好ましくは99.85/0.15〜90/10(例えば99.8/0.2〜95/5)、さらに好ましくは99.7/0.3〜96/4(特に99.7/0.3〜97/3)程度である。環状オレフィン系樹脂(A)の割合が多すぎると、離型層のイオン交換層に対する離型性が低下し、少なすぎると、離型層の基材層に対する密着性が低下する虞がある。
離型層には、さらに他の樹脂や慣用の添加剤が含まれていてもよい。他の樹脂としては、例えば、鎖状オレフィン系樹脂(ポリエチレンやポリプロピレンなど)、側鎖に炭素数2〜10のアルキル基を有さないオレフィン単位を含む環状オレフィン系樹脂(エチレン−ノルボルネン共重合体など)などが挙げられる。慣用の添加剤としては、例えば、充填剤、滑剤(ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドなど)、帯電防止剤、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤など)、難燃剤、粘度調整剤、増粘剤、消泡剤などが含まれていてもよい。また、表面平滑性を損なわない範囲で、有機又は無機粒子(特にゼオライトなどのアンチブロッキング剤)を含んでいてもよい。
離型層中の環状オレフィン系樹脂(A)及びポリメチルペンテン系樹脂(B)の合計割合は、例えば、離型層全体に対して80重量%以上、好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上(例えば95〜100重量%)であってもよい。
離型層の平均厚みは、例えば0.1〜300μm、好ましくは0.2〜100μm、さらに好ましくは0.3〜50μm程度である。特に、離型層がコーティング膜である場合、薄肉であってもよく、離型層の平均厚みは、例えば0.1〜3μm(例えば0.1〜2μm)、好ましくは0.15〜2μm、さらに好ましくは0.2〜1μm(特に0.25〜0.5μm)程度であってもよい。離型層が薄肉であると、取り扱い性に優れ、ロール・ツー・ロール方式などに適するとともに、経済性も向上する。なお、平均厚みは、コーティング膜の場合、離型層の塗工量(単位面積当たりの樹脂組成物の重量)及び密度に基づいて算出できる。
離型層の表面自由エネルギーは20mN/m以上であり、例えば20〜40mN/m、好ましくは25〜39mN/m、さらに好ましくは30〜38mN/m(特に33〜37mN/m)程度である。表面自由エネルギーが小さすぎると、離型層に対するイオン交換層の塗工性が低下し、大きすぎると、離型層のイオン交換層に対する離型性が低下する虞がある。離型層の表面自由エネルギーは、表面の接触角を測定して算出できるが、詳細には後述の実施例に記載の方法で測定できる。
離型層は、表面において、JIS B0610に準拠した算術平均粗さ(Ra)は1μm以下(例えば1nm〜1μm)であり、例えば1〜800nm、好ましくは1〜500nm、さらに好ましくは1〜300nm(特に1〜200nm)程度である。Raが大きすぎると、イオン交換層に対する適度な密着性や基材層に対する密着性が低下する虞がある。
(基材層)
本発明の積層フィルムは、さらに基材層を含んでおり、この基材層の少なくとも一方の面に、前記離型層が積層されていてもよい。基材層は、例えば、燃料電池の製造工程において、離型フィルムの寸法安定性を向上でき、特に、ロール・ツー・ロール方式において張力が負荷されても、伸びを抑制でき、さらに乾燥工程や加熱圧着処理などによって高温に晒されても、高い寸法安定性を維持し、電解質膜や電極膜などのイオン交換層との剥離を抑制できる点から、耐熱性及び寸法安定性の高い材質で形成されているのが好ましく、具体的には、150℃における弾性率が100〜1000MPaの合成樹脂で形成されていてもよい。前記弾性率は、例えば、120〜1000MPa、好ましくは150〜1000MPa、さらに好ましくは200〜1000MPa程度であってもよい。弾性率が小さすぎると、積層フィルムの寸法安定性が低下し、ロール・ツー・ロール方式での製造において離型層とイオン交換層との剥離が発生し、燃料電池の生産性が低下する虞がある。
このような合成樹脂としては、例えば、各種の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が使用できるが、ロール・ツー・ロール方式で製造できる柔軟性を有する点から、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン(ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィンなど)、ポリビニルアルコール系重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、セルロース誘導体(セルロースアセテートなどのセルロースエステルなど)などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。本発明では、離型層が基材層に対する密着性に優れるため、これらの熱可塑性樹脂は、密着性を向上させるための反応性基や極性基(反応性基で形成された側鎖など)を実質的に有さないのが好ましい。これらの熱可塑性樹脂のうち、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール系重合体、ポリエステル及びセルロース誘導体からなる群より選択された少なくとも1種(特に、ポリオレフィン、ポリエステル及びセルロースエステルからなる群より選択された少なくとも1種)が好ましく、耐熱性と柔軟性とのバランスに優れる点から、ポリエステルが特に好ましい。さらに、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリC2−4アルキレンアリレート系樹脂が好ましく使用できる。
基材層は、積層フィルムのフィルム強度を向上させる点から、延伸フィルムで形成されていてもよい。延伸は、一軸延伸であってもよいが、フィルム強度を向上できる点から、二軸延伸が好ましい。延伸倍率は、縦及び横方向において、それぞれ、例えば、1.5倍以上(例えば、1.5〜6倍)であってもよく、好ましくは2〜5倍、さらに好ましくは3〜4倍程度である。延伸倍率が低すぎると、フィルム強度が不十分となり易い。
基材層も、前記離型層の項で例示された慣用の添加剤を含んでいてもよい。基材層中の合成樹脂の割合は、例えば、基材層全体に対して80重量%以上、好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上(例えば95〜100重量%)であってもよい。
基材層の表面平滑性は、コーティングにより離型層を形成できればよく、特に限定されないが、JIS B0601に準拠した算術平均粗さRaは1μm以下であってもよく、好ましくは100nm以下(例えば10〜100nm)程度である。
基材層の表面は、離型層との密着性を向上させるために、表面処理に供してもよい。表面処理としては、慣用の表面処理、例えば、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾンや紫外線照射処理などが挙げられる。これらのうち、コロナ放電処理が好ましい。
基材層は、慣用の接着性樹脂で形成された易接着層(例えば、基材層がポリエステル樹脂である場合、低分子量のポリエステル樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂などの接着性樹脂で形成された易接着層など)を有していてもよい。易接着層の平均厚みは、例えば30〜200nm、好ましくは40〜180nm、さらに好ましくは50〜150nm程度である。
基材層の平均厚みは、例えば、1〜300μm、好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは10〜100μm(特に20〜80μm)程度である。基材層の厚みが大きすぎると、ロール・ツー・ロール方式での生産が困難となり、薄すぎると、寸法安定性、ロール・ツー・ロール方式での搬送性が低下し、シワなどが混入する虞がある。
(アンカーコート層)
前記基材層と前記離型層との間には、両層の密着性を向上させるため、さらにアンカーコート層を介在させてもよい。アンカーコート層を介在させることにより、易接着層を有していない基材層や表面処理されていない基材層であっても、離型層を基材層に強固に固定できる。アンカーコート層は、慣用の接着層であってもよいが、環状オレフィン系樹脂を含む離型層の基材層に対する密着性を向上できる点から、塩素含有樹脂を含むのが好ましい。
塩素含有樹脂は、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどの塩素化された樹脂であってもよいが、通常、塩素含有モノマーを重合成分とする重合体である。塩素含有モノマーとしては、例えば、塩化ビニルモノマー、塩化ビニリデンモノマーなどが挙げられる。これらの塩素含有モノマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、基材層及び離型層(特に離型層)に対する密着性の点から、塩化ビニリデンモノマーが好ましい。
塩素含有樹脂は、塩素含有モノマー単位以外の他の共重合性単位を含んでいてもよい。他の共重合性単位を形成するための重合成分としては、例えば、前記環状オレフィン系樹脂(A)の項で例示された単量体(オレフィン系単量体、ビニルエステル系単量体、ジエン系単量体、(メタ)アクリル系単量体など)などが挙げられる。前記単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。前記単量体のうち、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルなどが汎用される。
他の共重合性単位(共重合性モノマー)の割合は、塩素含有樹脂の特性を損なわない程度であればよく、塩素含有樹脂全体に対して、通常0.1〜50質量%(例えば0.3〜25質量%)、好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは1〜15質量%(特に3〜10質量%)程度であってもよい。
塩素含有樹脂としては、例えば、塩化ビニル系重合体[塩化ビニルモノマーの単独重合体(ポリ塩化ビニル)、塩化ビニル系共重合体(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)など]、塩化ビニリデン系重合体[塩化ビニリデンの単独重合体(ポリ塩化ビニリデン)、塩化ビニリデン系共重合体(塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリロニトリル共重合体など)など]などが挙げられる。これらの塩素含有樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの塩素含有樹脂のうち、離型層と基材層との密着性を向上できる点から、塩化ビニリデン系重合体(特に塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体などの塩化ビニリデン系共重合体)が好ましい。塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体において、塩化ビニリデン単位と塩化ビニル単位との割合(モル比)は、例えば、前者/後者=99/1〜5/95、好ましくは97/3〜10/90、さらに好ましくは95/5〜50/50程度である。塩化ビニリデン系重合体は、水性エマルジョンに含有される乳化剤、界面活性剤などを含んでいなくてもよい。
塩素含有樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、例えば、10,000〜500,000、好ましくは20,000〜250,000、さらに好ましくは25,000〜100,000程度であってもよい。
アンカーコート層は、離型層と基材層との密着性を高めるために、必要により、接着成分をさらに含んでいてもよい。前記接着成分としては、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン系グラフトコポリマーなどの変性ポリエチレンなど)、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂(熱可塑性共重合ポリエステルなど)、反応性接着成分[イソシアネート系化合物、イミノ基含有ポリマー(ポリエチレンイミンなど)など]などが挙げられる。これらの接着成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの接着成分のうち、反応接着成分が好ましく、イソシアネート系化合物が特に好ましい。
前記イソシアネート系化合物は、末端イソシアネート基を有するプレポリマー又はオリゴマーなどであってもよいが、通常、ポリイソシアネート、例えば、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香族イソシアネート、これらの誘導体などであってもよい。
前記脂肪族イソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などが挙げられる。前記脂環族イソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添トリレンジイソシアネート(水添TDI)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、水添ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)などが挙げられる。前記芳香族イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)などが挙げられる。
また、イソシアネートの誘導体としては、例えば、上記イソシアネートの多量体[2量体(ウレットジオン基含有イソシアネート)、3量体(イソシアヌレート環含有イソシアネート)、5量体、7量体など]、上記イソシアネートの変性体(アロハネート変性イソシアネート、ビュレット変性イソシアネート、ウレア変性イソシアネート、カルボジイミド変性イソシアネートなど)、多価アルコールと前記イソシアネートとの付加体などが挙げられる。
これらのイソシアネート系化合物のうち、TDI、MDI、XDI、TMXDIなどの芳香族イソシアネート及びこれらの誘導体が好ましい。
接着成分の割合は、前記塩素含有樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜20重量部、さらに好ましくは1〜10重量部程度であってもよい。
アンカーコート層も、前記離型層の項で例示された慣用の添加剤を含んでいてもよい。アンカーコート層中の塩素含有樹脂及び接着成分の合計割合は、例えば、アンカーコート層全体に対して80重量%以上、好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上(例えば95〜100重量%)であってもよい。
アンカーコート層の平均厚みは、例えば0.01〜80μm、好ましくは0.05〜50μm、さらに好ましくは0.1〜20μm(特に0.2〜10μm)程度であってもよい。
(積層フィルムの特性)
本発明の積層フィルムは、基材層の少なくとも一方の面に、必要に応じてアンカーコート層を介在させて離型層が積層されているが、基材層の上に離型層をコーティングにより形成できるため、薄肉で均一な離型層を形成し易くなる。
さらに、コーティングにより離型層を調製することにより、環状オレフィン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)との相溶性を向上できるため、前述のように離型層の表面平滑性を向上できるだけでなく、積層フィルムの透明性も向上できる。本発明の積層フィルムは、全光線透過率が70%以上であってもよく、例えば80〜99%、好ましくは82〜95%、さらに好ましくは84〜92%(特に85〜90%)程度である。本発明では、全光線透過率は、JIS K7361−1法に準拠して測定でき、詳細には後述する実施例に記載の方法で測定できる。
本発明の積層フィルムは、光散乱性も低く、ヘーズが30%以下(例えば0.1〜30%)であってもよく、例えば0.2〜20%、好ましくは0.3〜15%、さらに好ましくは0.5〜10%(特に1〜5%)程度である。本発明では、ヘーズは、JIS K7136法に準拠して測定でき、詳細には後述する実施例に記載の方法で測定できる。
本発明の積層フィルムは、離型性に優れるため、工業用の離型フィルムなどに利用でき、イオン交換層の塗工性に優れ、イオン交換層に対して適度な密着性と離型性とを有するため、固体高分子型燃料電池や水素供給装置の膜電極接合体(MEA)を製造するための離型フィルムに利用でき、イオン交換樹脂を含む電解質膜及び/又は電極膜をその上に積層し、MEAを製造した後、MEAから剥離するためのフィルムに好ましく利用できる。
[積層フィルムの製造方法]
本発明の積層フィルムの製造方法は、特に限定されないが、薄肉で表面平滑なフィルムを形成し易い点から、基材層(アンカーコート層を形成する場合、アンカーコート層)の上に樹脂組成物及び溶媒を含む離型層用コーティング剤(例えば、溶液状コーティング剤)をコーティングする方法が好ましく、具体的には、基材層の上に環状オレフィン系樹脂(A)、ポリメチルペンテン系樹脂(B)及び溶媒を含むコーティング剤をコーティング(又は流延)した後、乾燥する方法であってもよい。
コーティング方法としては、慣用の方法、例えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、リバースコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーター、スクリーンコーター法、スプレー法、スピナー法などが挙げられる。これらの方法のうち、ブレードコーター法、バーコーター法、グラビアコーター法などが汎用される。
溶媒としては、環状オレフィン系樹脂(A)及びポリメチルペンテン系樹脂(B)に対する溶解性に優れる点から、少なくとも炭化水素類(ハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素類)を含有するのが好ましい。炭化水素類としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどのC5−12脂肪族炭化水素など)、脂環族炭化水素類(シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどのアルキル基を有していてもよいC3−8シクロアルカンなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)などが挙げられる。また、ハロゲン原子を含む炭化水素類としては、例えば、塩化炭化水素類[ハロゲン化C1−6脂肪族炭化水素(クロロホルム、四塩化炭素などの塩化メタン、トリクロロエタンなどの塩化エタンなど)など]、塩素原子及びフッ素原子を有する炭化水素類(ジクロロジフルオロエタン、トリクロロジフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンなど)、臭化炭化水素類(テトラブロモエタンなど)、ヨウ化炭化水素類(四沃化炭素など)などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの溶媒のうち、シクロペンタンやシクロヘキサンなどのメチル基を有していてもよいC4−8シクロアルカンが好ましく、溶解性の点から、メチルシクロヘキサンなどのメチル基を有するC5−7シクロアルカンが特に好ましい。
離型層用コーティング剤中における樹脂組成物濃度(有効成分濃度)は、例えば0.1〜50重量%、好ましくは0.3〜30重量%、さらに好ましくは0.5〜20重量%(特に0.8〜15重量%)程度である。
乾燥は、自然乾燥であってもよいが、加熱して乾燥することにより溶媒を蒸発させてもよい。乾燥温度は、50℃以上であってもよく、例えば、50〜200℃、好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは80〜120℃程度である。
アンカーコート層を形成する場合、アンカーコート層の形成方法も、特に限定されないが、均一で薄肉のアンカーコート層を形成し易い点から、基材層の上に塩素含有樹脂及び溶媒を含むアンカーコート層用コーティング剤(例えば、溶液状コーティング剤)をコーティングする方法が好ましく、具体的には、基材層の上に塩素含有樹脂及び溶媒を含むコーティング剤をコーティング(又は流延)した後、乾燥する方法であってもよい。コーティング方法としては、前記離型層を形成するためのコーティング方法を利用できる。
溶媒としては、塩素含有樹脂を溶解できれば、特に限定されず、例えば、離型層のコーティングで例示された非極性溶媒の他、極性溶媒も利用できる。極性溶媒としては、例えば、アセトンやメチルエチルケトンなどのジアルキルケトン類、テトラヒドロフランやジオキサンなどのエーテル類などを利用できる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、非極性溶媒と極性溶媒との組み合わせが好ましく、両者の重量割合は、非極性溶媒/極性溶媒=1/99〜50/50(特に10/90〜40/60)程度である。特に、非極性溶媒は、芳香族炭化水素類(トルエンなど)であってもよい。また、極性溶媒は、ジアルキルケトン類(メチルエチルケトンなど)と環状エーテル類(テトラヒドロフランなど)との組み合わせであってもよく、両者の重量割合は、ジアルキルケトン類/環状エーテル類=1/99〜50/50(特に10/90〜30/70)程度である。
アンカーコート層用コーティング剤中における樹脂組成物濃度(有効成分濃度)は、例えば0.1〜50重量%、好ましくは0.3〜20重量%、さらに好ましくは0.5〜10重量%(特に0.8〜5重量%)程度である。
乾燥は、自然乾燥であってもよいが、加熱して乾燥することにより溶媒を蒸発させてもよい。乾燥温度は、50℃以上であってもよく、例えば50〜200℃、好ましくは80〜180℃、さらに好ましくは100〜150℃程度である。
本発明では、柔軟性に優れた基材層を選択することにより、積層フィルムの製造をロール・ツー・ロール方式で行うことができ、生産性を向上できる。
[積層体]
本発明の積層体は、前記積層フィルムと、この積層フィルムの離型層の上に積層され、かつイオン交換樹脂を含むイオン交換層とを含む。本発明の積層体は、前記積層フィルムが固体高分子型燃料電池を製造するための離型フィルムである場合、前記積層フィルム(離型フィルム)の離型層の上に、イオン交換樹脂を含むイオン交換層(電解質膜、電極膜、膜電極接合体)を密着させる。そのため、本発明の積層体は、積層フィルムの離型層の上にイオン交換層が積層された積層体(離型フィルムとイオン交換層との積層体)であってもよい。
前記イオン交換樹脂としては、燃料電池で利用される慣用のイオン交換樹脂を利用できるが、なかでも、強酸性陽イオン交換樹脂や弱酸性陽イオン交換樹脂などの陽イオン交換樹脂が好ましく、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基などを有するイオン交換樹脂(詳しくは、電解質機能を有する電解質基として、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基などが導入されたイオン交換樹脂)などが挙げられ、スルホン酸基を有するイオン交換樹脂(電解質基としてスルホン酸基が導入されたイオン交換樹脂)が特に好ましい。
前記スルホン酸基を有するイオン交換樹脂としては、スルホン酸基を有する各種の樹脂を使用できる。各種の樹脂としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、フッ素樹脂などが挙げられる。
前記スルホン酸基を有するイオン交換樹脂のなかでも、スルホン酸基を有するフッ素樹脂、架橋ポリスチレンのスルホン化物などが好ましく、スルホン酸基を有するポリスチレン−グラフト−ポリエチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリスチレン−グラフト−ポリテトラフルオロエチレン共重合体などであってもよい。なかでも、離型性などの点から、スルホン酸基を有するフッ素樹脂(少なくとも一部の水素原子がフッ素原子に置換されたフルオロ炭化水素樹脂など)が特に好ましい。特に、固体高分子型燃料電池では、側鎖にスルホン酸基(又は−CFCFSOH基)を有するフッ素樹脂、例えば、[2−(2−スルホテトラフルオロエトキシ)ヘキサフルオロプロポキシ]トリフルオロエチレンとテトラフルオロエチレンとの共重合体(ブロック共重合体など)などが好ましく利用される。
イオン交換樹脂のイオン交換容量は0.1meq/g以上であってもよく、例えば、0.1〜2.0meq/g、好ましくは0.2〜1.8meq/g、さらに好ましくは0.3〜1.5meq/g(特に0.5〜1.5meq/g)程度であってもよい。
このようなイオン交換樹脂としては、デュポン社製「登録商標:ナフィオン(Nafion)」などの市販品を利用できる。なお、イオン交換樹脂としては、特開2010−234570号公報に記載のイオン交換樹脂などを用いてもよい。
イオン交換層は、前記イオン交換樹脂で形成された電解質膜、前記イオン交換樹脂及び触媒粒子を含む電極膜であってもよい。
電極膜(触媒層又は電極触媒膜)において、触媒粒子は触媒作用を有する金属成分(特に、白金(Pt)などの貴金属単体又は貴金属を含む合金)を含んでおり、通常、カソード電極用電極膜では白金を含み、アノード電極用電極膜では白金−ルテニウム合金を含む。さらに、触媒粒子は、通常、前記金属成分を、導電材料(カーボンブラックなどの炭素材料など)に担持させた複合粒子として使用される。電極膜において、イオン交換樹脂の割合は、例えば、触媒粒子100重量部に対して、例えば、5〜300重量部、好ましくは10〜250重量部、さらに好ましくは20〜200重量部程度である。
イオン交換層も、離型層の項で例示された慣用の添加剤を含んでいてもよく、例えば、無機粒子や無機繊維などの無機材料(炭素質材料、ガラス、セラミックスなど)を含んでいてもよい。
イオン交換層は、離型層の少なくとも一方の面に形成されていればよく、離型層の両面に形成されていてもよく、離型層の一方の面のみに形成されていてもよい。
イオン交換層の平均厚みは、例えば、1〜500μm、好ましくは1.5〜300μm、さらに好ましくは2〜200μm程度である。
電解質膜の平均厚みは、例えば、1〜500μm、好ましくは5〜300μm、さらに好ましくは10〜200μm程度である。
電極膜の平均厚みは、例えば、1〜100μm、好ましくは2〜80μm、さらに好ましくは2〜50μm程度である。
[積層体及び膜電極接合体の製造方法]
本発明の積層体は、前記積層フィルムの離型層の上に、イオン交換層(イオン交換樹脂を含む電解質膜及び/又はイオン交換樹脂を含む電極膜)を積層する積層工程を含む製造方法で得られる。イオン交換層の積層方法は、通常、コーティング方法が利用される。本発明の積層体は、例えば、第1のフィルム(離型フィルム)の離型層の上に電解質膜をコーティングにより積層し、第1の離型フィルムの上に電解質膜が積層された積層体を製造し、かつ第2のフィルムの離型層の上に電極膜をコーティングにより積層し、第2の離型フィルムの上に電極膜が積層された積層体を製造してもよい。
電解質膜及び電極膜をコーティング(又は流延)により形成するために、電解質膜及び電極膜は、イオン交換樹脂(及び触媒粒子)を溶媒に溶解又は分散した溶液又は分散液の状態でコーティングに供される。
溶媒としては、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノールなどのC1−4アルカノールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの溶媒のうち、取り扱い性などの点から、水や、水とC1−4アルカノールとの混合溶媒が汎用される。溶液又は分散液中の溶質又は固形分(イオン交換樹脂、触媒粒子)の濃度は、例えば、1〜80重量%、好ましくは2〜60重量%、さらに好ましくは3〜50重量%程度である。
コーティング方法としては、前記積層フィルムの製造方法で例示された慣用の方法が挙げられる。これらの方法のうち、ブレードコーター法、バーコーター法などが汎用される。
イオン交換樹脂(及び触媒粒子)を含む溶液をコーティングした後、加熱して乾燥することにより溶媒を蒸発させてもよい。乾燥温度は、50℃以上であってもよく、電解質膜では、例えば、80〜200℃(特に100〜150℃)程度であり、電極膜では、例えば、50〜150℃(特に60〜120℃)程度である。
前記積層工程で得られた積層体は、通常、密着工程に供されるが、連続的に製造する場合は、密着工程の前に、積層工程において、密着工程が行われる場所に搬送される。
本発明では、前記積層フィルムが柔軟性に優れるため、このような搬送を伴う積層工程をロール・ツー・ロール方式で行うことができ、生産性を向上できる。さらに、離型層と基材層との組み合わせにより、積層フィルムの寸法安定性にも優れるため、ロール・ツー・ロール方式でも、積層フィルムの張力による伸びが抑制される。そのため、イオン交換層が剥離することなく、ロール状に巻き取ることができ、生産性を向上できる。
得られた積層体は、密着工程に供してもよい。密着工程では、第1及び第2の離型フィルムの離型層の上にそれぞれ積層された電解質膜と電極膜とを密着させて膜電極接合体が調製される。
電解質膜と電極膜との密着は、通常、加熱圧着により密着される。加熱温度は、例えば、80〜250℃、好ましくは90〜230℃、さらに好ましくは100〜200℃程度である。圧力は、例えば、0.1〜20MPa、好ましくは0.2〜15MPa、さらに好ましくは0.3〜10MPa程度である。
密着工程で密着した複合体(電解質層と電極膜とが密着した積層体)は、イオン交換層(電解質膜及び/又は電極膜)から離型フィルムを剥離する剥離工程に供され、固体高分子型燃料電池の膜電極接合体が得られる。本発明では、前述の乾燥工程や加熱圧着処理を経た積層体であっても適度な剥離強度を有するため、積層工程や密着工程では離型フィルムとイオン交換層とが剥離せずに、剥離工程では容易に離型フィルムを剥離でき、作業性を向上できる。
離型フィルム(積層フィルム)の離型層は、イオン交換層に対して、所定の離型性を有する必要があり、離型層とイオン交換層との剥離強度(特に、剥離工程での積層体の剥離強度)は、例えば0.1〜20mN/mm、好ましくは0.1〜15mN/mm程度である。剥離強度が大きすぎると、剥離作業が困難となり、小さすぎると、積層工程及び密着工程での作業性が低下する。
本発明では、剥離強度は、20℃、50%RHで1時間以上静置した後、300mm/分の条件で180°剥離する方法で測定できる。
さらに、第1の離型フィルムを剥離した電解質膜に対して、前記密着工程及び剥離工程と同様に、さらに第3の離型フィルムの離型層の上に電極膜(第2の離型フィルムがアノード電極用電極膜である場合、カソード電極用電極膜)が積層された積層体の電極膜を密着させて離型フィルムを剥離し、慣用の方法で、各電極膜の上に燃料ガス供給層及び空気供給層をそれぞれ積層することにより膜電極接合体(MEA)が得られる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例及び比較例で得られた離型フィルムの特性は、以下の方法で評価した。
[使用した原料]
(t−BuNSiMeFlu)TiMe:(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジメチル
MMAO−3A溶液:Modified methyl aluminoxane type 3、東ソーファインケム(株)製、[(CH)0.7(iso−C)0.3AlO]nで表されるメチルイソブチルアルミノキサンのトルエン溶液、濃度2.23モル/L
ポリ(4−メチル−1−ペンテン):三井化学(株)製「TPX(登録商標)DX820」
2−ノルボルネン・エチレン共重合体(Nb/Et):TOPAS Advanced Polymers GmbH社製「TOPAS(登録商標)6017S−04」、ガラス転移温度178℃
塩化ビニリデン系重合体:旭化成ケミカルズ(株)製「PVDCレジン R204」
易接着性PETフィルムA:易接着性二軸延伸PETフィルム、東洋紡(株)製「コスモシャイン(登録商標)A4100」、厚み50μm、易接着層あり
PETフィルムB:二軸延伸PETフィルム、ユニチカ(株)製「ポリエステルフィルム エンブレット(登録商標)S50」、厚み50μm、易接着層なし
離型フィルムA:ポリ(4−メチル−1−ペンテン)フィルム、三井化学東セロ(株)製「オピュラン(登録商標)X−88B」
離型フィルムB:フッ素樹脂フィルム、旭硝子(株)製「アフレックス(登録商標)50N」
白金ブラック:Jhonson Matthey社製「Hispec(登録商標)1000」
イオン交換樹脂溶液:側鎖にスルホン酸基を有するパーフルオロポリマーの溶液、デュポン社製「ナフィオン(登録商標)DE2020CS」、固形分20重量%
イオン交換樹脂膜:デュポン社製「ナフィオンNRE−212」。
[平均厚み]
基材への塗工前後の重量差から塗工量を求め、樹脂の比重から塗膜厚みを求めた。
[電極膜の塗工性]
実施例及び比較例で得られた電極膜(触媒層)を含む積層体の電極膜側の表面を観察し、以下の基準で評価した。
○…電極膜が均一に作製できる
△…電極膜がはじき気味である
×…電極膜に割れ、剥がれがある。
[電極膜の離型性]
イオン交換樹脂膜と、実施例及び比較例で得られた電極膜を含む積層体の電極膜側の面とを、温度120℃、圧力3MPaで圧着後、離型フィルムを剥離し、離型性を以下の基準で評価した。
○…離型層に電極膜が残存していない
△…離型層に電極膜が僅かに残存している
×…離型層に電極膜が残存している。
[環状ポリオレフィンの合成例A(Nb/Oct)]
乾燥した300mLの2口フラスコ内を窒素ガスで置換した後、ジメチルアニリウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート8.1mg、トルエン235.7mL、7.5モル/Lの濃度でノルボルネンを含有するトルエン溶液7.0mL、1−オクテン3.3mL、トリイソブチルアルミニウム2mLを添加して、反応溶液を25℃に保持した。この溶液とは別個に、グローブボックス中で、触媒として、92.9mgの(t−BuNSiMeFlu)TiMeをフラスコに入れ、5mLのトルエンに溶解させた。この触媒溶液2mLを300mLフラスコに加えて重合を開始した。2分後に2mLのメタノールを添加して反応を終了させた。次いで、得られた反応混合物を塩酸で酸性に調整した大量のメタノール中に放出して沈殿物を析出させ、濾別、洗浄後、乾燥して、2−ノルボルネン・1−オクテン共重合体Aを5.0g得た。得られた共重合体Aの数平均分子量Mnは21,000、ガラス転移温度Tgは269℃、2−ノルボルネンと1−オクテンとの組成(モル比)は、前者/後者=85/15であった。
[環状ポリオレフィンの合成例B(Nb/Hex)]
乾燥したガラス反応器に、トルエン646.1mL、2−ノルボルネン117.5g、1−ヘキセン114.7mL、及びMMAO−3A溶液7.0mLを添加した。次に、トルエン2.6mLに溶解させた(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジメチル0.0074gを、前記反応器に添加した。40℃で3時間攪拌して重合を継続した後、メタノール3gを添加して反応を終了させた。その後、重合反応液を多量の塩酸酸性メタノールに注いで重合体を完全に析出させ、濾別、洗浄後、70℃で3時間以上減圧乾燥して、2−ノルボルネン・1−ヘキセン共重合体Bを8.7g得た。得られた共重合体Bの数平均分子量Mnは32,000、ガラス転移温度Tgは300℃、2−ノルボルネンと1−ヘキセンとの組成(モル比)は、前者/後者=88/12であった。
[環状ポリオレフィンの合成例C(Nb/Dec)]
乾燥したガラス反応器に、トルエン646.1mL、2−ノルボルネン117.5g、1−デセン174.7mL、及びMMAO−3A溶液7.0mLを添加した。次に、トルエン2.6mLに溶解させた(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジメチル0.0074gを、前記反応器に添加した。40℃で3時間攪拌して重合を継続した後、メタノール3gを添加して反応を終了させた。その後、重合反応液を多量の塩酸酸性メタノールに注いで重合体を完全に析出させ、濾別、洗浄後、70℃で3時間以上減圧乾燥して、2−ノルボルネン・1−デセン共重合体Cを8.5g得た。得られた共重合体Cの数平均分子量Mnは27,000、ガラス転移温度Tgは244℃、2−ノルボルネンと1−デセンとの組成(モル比)は、前者/後者=85/15であった。
[環状ポリオレフィンの合成例D(Nb/HexNb)]
乾燥したガラス反応器に、トルエン199.3g、2−ノルボルネン33.9g、5−ヘキシル−2−ノルボルネン15.4g、及びMMAO−3A溶液3.1gを添加した。次に、トルエン0.87gに溶解させた(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジメチル0.0074g(20μモル)を、前記反応器に添加した。40℃で7時間攪拌して重合を継続した後、メタノール3gを添加して反応を終了させた。その後、重合反応液を多量の塩酸酸性メタノールに注いで重合体を完全に析出させ、濾別、洗浄後、70℃で3時間以上減圧乾燥して、2−ノルボルネン・5−ヘキシル−2−ノルボルネン共重合体Dを21.3g得た。得られた共重合体DのMnは175,000、Tgは331℃、2−ノルボルネンと5−ヘキシル−2−ノルボルネンとの組成(モル比)は、前者/後者=79/21であった。
[離型フィルム(積層フィルム)の製造例1]
1重量部のポリ(4−メチル−1−ペンテン)を、メチルシクロヘキサン99重量部に溶解し、溶液Xを調製した。次に、2−ノルボルネン・1−オクテン共重合体Aを、メチルシクロヘキサンに溶解し、溶液Yを調製した。溶液Xと溶液Yとを混合し、全固形分濃度3重量%、2−ノルボルネン・1−オクテン共重合体A/ポリ(4−メチル−1−ペンテン)=98/2(重量比)の塗工液Zを調製した。基材層として、易接着性PETフィルムAを用い、塗工液Zをメイヤーバーコーティング法により基材層の片面にコーティングし、100℃の温度で1分間乾燥して離型層(乾燥厚み0.3μm)を形成し、離型フィルム1を得た。
[離型フィルムの製造例2]
トルエン、メチルエチルケトン、及びテトラヒドロフラン(トルエン:メチルエチルケトン:テトラヒドロフラン(重量比)=1.5:1.5:7)を混合・攪拌して均一な溶媒を調製した。この溶媒に塩化ビニリデン系重合体100重量部、トリレンジイソシアネート(TDI)1.5重量部を溶解し、固形分濃度5重量%の塗工液Aを調製した。
基材層として、PETフィルムBを用い、このフィルムの片面にコロナ放電処理を施した。コロナ放電処理(表面張力60.0mN/m以上)を施した面に、塗工液Aをメイヤーバーコーティング法によりコーティングし、130℃の温度で1分間乾燥してアンカーコート層(乾燥厚み0.3μm)を形成した。さらにアンカーコート層上に、樹脂の割合を、2−ノルボルネン・1−オクテン共重合体A/ポリ(4−メチル−1−ペンテン)=99/1(重量比)とすること以外は製造例1と同様の方法で調製した塗工液Zをコーティングし、100℃の温度で1分間乾燥して離型層(乾燥厚み0.3μm)を形成し、離型フィルム2を得た。
[離型フィルムの製造例3]
2−ノルボルネン・1−オクテン共重合体Aの代わりに2−ノルボルネン・1−ヘキセン共重合体Bを用いること以外は製造例1と同様にして、離型フィルム3(離型層の乾燥厚み0.3μm)を得た。
[離型フィルムの製造例4]
2−ノルボルネン・1−オクテン共重合体Aの代わりに2−ノルボルネン・1−デセン共重合体Cを用い、樹脂の割合を、2−ノルボルネン・1−デセン共重合体C/ポリ(4−メチル−1−ペンテン)=99.5/0.5(重量比)とすること以外は製造例1と同様にして、離型フィルム4(離型層の乾燥厚み0.3μm)を得た。
[離型フィルムの製造例5]
2−ノルボルネン・1−オクテン共重合体Aの代わりに2−ノルボルネン・5−ヘキシル−2−ノルボルネン共重合体Dを用い、樹脂の割合を、2−ノルボルネン・5−ヘキシル−2−ノルボルネン共重合体D/ポリ(4−メチル−1−ペンテン)=99.5/0.5(重量比)とすること以外は製造例1と同様にして、離型フィルム5(離型層の乾燥厚み0.3μm)を得た。
[離型フィルムの製造例6]
1重量部の2−ノルボルネン・エチレン共重合体を、9重量部のトルエンに溶解し、塗工液を調製した。基材層として、易接着性PETフィルムAを用い、塗工液をメイヤーバーコーティング法により基材層の片面にコーティングし、100℃の温度で1分間乾燥して離型層(乾燥厚み1μm)を形成し、離型フィルム6を得た。
[離型フィルムの製造例7]
樹脂の割合を、2−ノルボルネン・エチレン共重合体/ポリ(4−メチル−1−ペンテン)=20/80(重量比)とすること以外は製造例1と同様にして、離型フィルム7(離型層の乾燥厚み0.3μm)を得た。
実施例1
白金ブラックと水とを混合後、イオン交換樹脂溶液を触媒量に対するイオン交換樹脂量が15重量%となるように添加し、固形分濃度30重量%となるように1−プロパノールを加えて、ボールミルで混合し、電極膜(電極用触媒層)用のインクとした。離型フィルム1の離型層の上に、ドクターブレードを用いて電極膜の塗布液を塗工後、120℃で10分乾燥し、Pt目付量が0.5mg/cmの電極膜を含む積層体を得た。
実施例2〜5及び比較例1〜3
離型フィルム1の代わりに、それぞれ離型フィルム2〜6、A及びBを用いる以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
実施例及び比較例で得られた積層体を評価した結果を表1に示す。
Figure 2016210129
表1の結果から明らかなように、実施例の離型フィルムは、塗工性と離型性のバランスに優れている。一方、比較例1の離型フィルムは、離型不良のため収率の低下となる虞がある。比較例2〜4の離型フィルムは、触媒層の割れや剥がれによって、収率の低下となる虞がある。
本発明の積層フィルムは、離型性及び耐熱性に優れるため、各種の工業用離型フィルムなどに利用でき、特に、イオン交換層に対する適度な離型性とイオン交換層の優れた塗工性とを有するため、固体高分子型燃料電池の膜電極接合体を製造するための離型フィルムに好適である。

Claims (17)

  1. 環状オレフィン系樹脂(A)及びポリメチルペンテン系樹脂(B)を含む樹脂組成物で形成された離型層と、基材層とを含む積層フィルムであって、前記環状オレフィン系樹脂(A)が、側鎖に炭素数2〜10のアルキル基を有するオレフィン単位を含む環状オレフィン系樹脂である積層フィルム。
  2. 環状オレフィン系樹脂(A)が、繰り返し単位として、炭素数2〜10のアルキル基を有する鎖状オレフィン単位及び/又は炭素数2〜10のアルキル基を有する環状オレフィン単位を含む請求項1記載の積層フィルム。
  3. 環状オレフィン系樹脂(A)が、繰り返し単位として、炭素数2〜10のアルキル基を有さない環状オレフィン単位(A1)と、炭素数2〜10のアルキル基を有する鎖状又は環状オレフィン単位(A2)とを含む共重合体である請求項1又は2記載の積層フィルム。
  4. 鎖状又は環状オレフィン単位(A2)が、炭素数4〜8の直鎖状アルキル基を有するエチレン又はノルボルネン単位である請求項3記載の積層フィルム。
  5. 環状オレフィン単位(A1)と鎖状又は環状オレフィン単位(A2)との割合(モル比)が、前者/後者=50/50〜99/1である請求項3又は4記載の積層フィルム。
  6. 環状オレフィン系樹脂(A)のガラス転移温度が210〜350℃である請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. 離型層がコーティングで形成された層である請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. 環状オレフィン系樹脂(A)とポリメチルペンテン系樹脂(B)との重量比が、前者/後者=99.9/0.1〜80/20である請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルム。
  9. 離型層の平均厚みが0.1〜2μmである請求項1〜8のいずれかに記載の積層フィルム。
  10. 基材層が、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール系重合体、ポリエステル及びセルロース誘導体からなる群より選択された少なくとも1種を含む請求項1〜9のいずれかに記載の積層フィルム。
  11. 固体高分子型燃料電池の膜電極接合体を製造するための離型フィルムである請求項1〜10のいずれかに記載の積層フィルム。
  12. 塩素含有樹脂を含むアンカーコート層をさらに含み、離型層と基材層との間に前記アンカーコート層が介在する請求項1〜11のいずれかに記載の積層フィルム。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の積層フィルムと、この積層フィルムの離型層の上に積層され、かつイオン交換樹脂を含むイオン交換層とを含む積層体。
  14. イオン交換樹脂が側鎖にスルホン酸基を有するフッ素樹脂であり、かつイオン交換層が電解質膜及び/又は電極膜である請求項13記載の積層体。
  15. ロール・ツー・ロール方式で製造される請求項13又は14記載の積層体。
  16. 積層フィルムの離型層の上にイオン交換層を積層する積層工程を含む請求項13〜15のいずかに記載の積層体の製造方法。
  17. 請求項13〜15のいずれかに記載の積層体から積層フィルムを剥離する剥離工程を含む固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造方法。
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