JP6085185B2 - 燃料電池製造用離型フィルム及び積層体並びに燃料電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体高分子型燃料電池の構成部材である膜電極接合体を製造(製膜)する際に使用される離型フィルム並びにこの離型フィルムを含む積層体(積層フィルム)及びこの離型フィルムを用いて前記膜電極接合体を製造する方法に関する。
固体高分子型燃料電池は、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)と称される基本構成を有している。MEAは、イオン交換膜である固体高分子電解質膜の両面に、白金族金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とする電極膜(触媒層又は電極触媒膜)を積層し、得られた積層体を導電性の多孔膜である燃料ガス供給層と空気供給層とでさらに挟み込んで得られる。このMEAにおいて、電解質膜及び電極膜のいずれにもイオン交換樹脂が含まれているが、通常、電解質膜及び電極膜はキャスト法及び/又はコーティング法で形成される。電解質膜と電極膜との積層方法としては、通常、支持体にそれぞれ形成された両層を接触させて、130〜150℃程度、圧力1〜10MPa程度で加熱圧着することにより密着した後、支持体を剥離する方法が用いられる。そのため、支持体としては離型フィルムが用いられるが、離型フィルムには、電解質膜及び電極膜に対する適度な剥離性と密着性とが要求される上に、耐熱性も要求される。
例えば、離型フィルムとしては、フッ素系フィルムも知られており、特開2010−272136号公報(特許文献1)には、離型フィルムとして、ポリテトラフルオロエチレンフィルムを用いた燃料電池用電極の製造方法が開示されている。
しかし、フッ素系フィルムは、耐熱性、離型性、非汚染性には優れているもの、高価である上に、使用後の廃棄焼却処理において燃焼し難く、有毒ガスを発生するという問題点も有している。さらに、弾性率が低いため、ロール・ツー・ロール方式での製造が困難であり、生産性も低い。特に、フッ素系フィルムは押出成形フィルムであるため、フィッシュアイなどの凹凸状欠陥が発生し易く、表面平滑性が低い。離型フィルムの平滑性が低く、厚みが不均一であると、電解質膜及び電極膜の表面も離型フィルムの影響を受けて、平滑性が低下する。そのため、電解質膜と電極膜、電極膜とガス拡散層との界面において、密に接触する部分と疎に接触する部分とが発生し、触媒の劣化度合いに差が生じるため、電池寿命が短くなる。
特開2010−234570号公報(特許文献2)には、シクロオレフィン系コポリマーからなる離型フィルムが開示されており、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの基材のフィルムの上にシクロオレフィン系コポリマー溶液をコーティングして形成された離型フィルムも記載されている。この文献には、離型フィルムの表面平滑性については記載されておらず、実施例では、ポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、流延装置を用いて、エチレンとノルボルネンとの共重合体を含む溶液をキャストし、厚さ0.5μmの離型フィルムを形成している。
しかし、この離型フィルムも表面平滑性は低く、電池寿命を向上できない。なお、汎用のフィルムは、アンチブロッキング性や、ロール形態での保存性、ロール送り性などの取り扱い性を向上させるため、フィルム表面は適度な粗さを有している。
特開2010−272136号公報(特許請求の範囲) 特開2010−234570号公報(特許請求の範囲、段落[0025]、実施例2)
従って、本発明の目的は、離型層が薄肉であっても、固体高分子型燃料電池の電解質膜及び/又は電極膜の表面平滑性及び厚みの均一性を向上でき、前記燃料電池の電池寿命を向上できる離型フィルム並びにこの離型フィルムを含む積層フィルム及びこの離型フィルムを用いて燃料電池の膜電極接合体(電解質膜及び/又は電極膜)を製造する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、表面が平滑で厚みが均一な電解質膜及び/又は電極膜を安定して製造でき、かつ膜電極接合体を製造するために適した剥離性を有する離型フィルム並びにこの離型フィルムを含む積層フィルム及びこの離型フィルムを用いて燃料電池の膜電極接合体(電解質膜及び/又は電極膜)を製造する方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、高い耐熱性を有し、ロール・ツー・ロール(roll to roll)方式で固体高分子型燃料電池の電解質膜及び/又は電極膜を製造できる離型フィルム並びにこの離型フィルムを含む積層フィルム及びこの離型フィルムを用いて燃料電池の膜電極接合体(電解質膜及び/又は電極膜)を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、基材層の上に、環状オレフィン系樹脂で形成され、表面の中心線平均粗さRaが0.001〜0.05μmであり、かつ平均厚みが0.2〜5μmである離型層が積層された離型フィルムを、固体高分子型燃料電池の膜電極接合体を製造するための離型フィルムとして用いることにより、離型層が薄肉であっても、固体高分子型燃料電池の電解質膜及び/又は電極膜の表面平滑性及び厚みの均一性を向上でき、前記燃料電池の電池寿命を向上できる。
すなわち、本発明の離型フィルムは、固体高分子型燃料電池の膜電極接合体を製造するための離型フィルムであって、基材層と、この基材層の少なくとも一方の面に積層され、かつ環状オレフィン系樹脂で形成された離型層とを含み、前記離型層表面の中心線平均粗さRaが0.001〜0.05μmであり、かつ前記離型層の平均厚みが0.2〜5μmである。前記離型層はコーティングにより形成された層であってもよい。前記基材層表面の中心線平均粗さRaは0.001〜0.05μmであってもよい。前記基材層は、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール系重合体、ポリエステル、ポリアミド及びセルロース誘導体からなる群より選択された少なくとも1種で形成されていてもよい。本発明の離型フィルムは、イオン交換樹脂を含む電解質膜及び/又は電極膜をその上に積層し、膜電極接合体を製造した後、膜電極接合体から剥離するためのフィルムであってもよい。
本発明には、固体高分子型燃料電池を製造するための積層体であり、前記離型フィルムと、この離型フィルムの離型層の上に積層され、かつイオン交換樹脂を含む層とで形成された積層体も含まれる。前記イオン交換樹脂を含む層は、電解質膜及び/又は電極膜であってもよい。
本発明には、前記離型フィルムの離型層の上に、イオン交換樹脂を含む電解質膜及び/又は電極膜を積層する積層工程を経て、固体高分子型燃料電池の膜電極接合体を製造する方法も含まれる。前記積層工程において、第1の離型フィルムの離型層の上に電解質膜をコーティングにより積層し、かつ第2の離型フィルムの離型層の上に電極膜をコーティングにより積層してもよい。本発明の方法は、第1及び第2の離型フィルムの離型層の上にそれぞれ積層された電解質膜と電極膜とを密着させて膜電極接合体を調製する密着工程をさらに含んでいてもよい。本発明の方法は、電解質膜及び/又は電極膜から離型フィルムを剥離する剥離工程をさらに含んでいてもよい。
本発明では、基材層の上に、環状オレフィン系樹脂で形成され、表面の中心線平均粗さRaが0.001〜0.05μmであり、かつ平均厚みが0.2〜5μmである離型層が積層された離型フィルムを、固体高分子型燃料電池の膜電極接合体を製造するための離型フィルムとして用いるため、離型層が薄肉であっても、固体高分子型燃料電池の電解質膜及び/又は電極膜の表面平滑性及び厚みの均一性を向上でき、前記燃料電池の電池寿命を向上できる。また、離型層の表面は平滑で、かつ適度な表面粗さを有しており、基材層と離型層との密着性が高いため、表面が平滑で厚みが均一な電解質膜及び/又は電極膜を安定して製造でき、かつ膜電極接合体を製造するために適した剥離性も実現できる。さらに、高い耐熱性を有するとともに、適度な表面粗さを有するため、ロール・ツー・ロール(roll to roll)方式で固体高分子型燃料電池の電解質膜及び/又は電極膜を製造できる。
[離型フィルム]
本発明の離型フィルムは、固体高分子型燃料電池の膜電極接合体(MEA)を製造するための離型フィルムであって、基材層と、この基材層の少なくとも一方の面(通常、一方の面)に積層され、かつ環状オレフィン系樹脂で形成された離型層とを含み、前記離型層表面の中心線平均粗さRaが0.001〜0.05μmであり、かつ前記離型層の平均厚みが0.2〜5μmである。本発明の離型フィルムは、特に、イオン交換樹脂を含む電解質膜及び/又は電極膜をその上に積層し、MEAを製造した後、MEAから剥離するためのフィルムであってもよい。
(離型層)
離型層表面の中心線平均粗さRaは0.001〜0.05μmである。本発明では、離型層表面の中心線平均粗さRaがこの範囲にあるため、表面平滑性に優れ、固体高分子型燃料電池の電解質膜及び/又は電極膜の表面平滑性及び厚みの均一性を向上できるだけでなく、適度な粗さを有しているため、基材層と離型層との密着性が高く、ロール・ツー・ロール方式での製造に用いることも可能である。Raが小さすぎると、基材層と離型層との密着性が低下することに加えて、ロール・ツー・ロール方式での製造も困難となる一方で、Raが大きすぎると、表面平滑性が低下し、電解質膜及び/又は電極膜の表面平滑性及び厚みの均一性が低下し、燃料電池の寿命が短くなる。中心線平均粗さRaは0.001〜0.04μmであってもよく、好ましくは0.0015〜0.03μm、さらに好ましくは0.002〜0.025μm(特に0.0025〜0.022μm)程度である。
なお、本明細書では、中心線平均粗さRaは、JIS B0601に準拠した方法で測定できる。
離型層の平均厚みは0.2〜5μmである。本発明では、離型層がこのような薄肉であっても、基材表面の平均粗さRaを調整することにより、基材表面の凹凸形状による影響を抑制して、離型層の平均粗さRaを前述の適度な範囲に調整できる。離型層の厚みが厚すぎると、基材の影響が小さくなるため、本発明の効果を発現できない上に、経済性も低下する。一方、離型層の厚みが薄すぎると、厚みの均一性を保持するもの困難である上に、基材との密着性が低下する。離型層の平均厚みは0.22〜4μmであってもよく、例えば、0.25〜3μm、好ましくは0.28〜2.5μm、さらに好ましくは0.3〜2μm(特に0.3〜1μm)程度である。
なお、本明細書では、平均厚みは、離型層の塗工量(単位面積当たりの固形分重量)及び密度に基づいて算出できる。
環状オレフィン系樹脂は、重合成分として環状オレフィンを含む。環状オレフィンは、環内にエチレン性二重結合を有する重合性の環状オレフィンであり、単環式オレフィン、二環式オレフィン、三環以上の多環式オレフィンなどに分類できる。
単環式オレフィンとしては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの環状C4−12シクロオレフィン類などが挙げられる。
二環式オレフィンとしては、例えば、2−ノルボルネン;5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネンなどのアルキル基(C1―4アルキル基)を有するノルボルネン類;5−エチリデン−2−ノルボルネンなどのアルケニル基を有するノルボルネン類;5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネンなどのアルコキシカルボニル基を有するノルボルネン類;5−シアノ−2−ノルボルネンなどのシアノ基を有するノルボルネン類;5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネンなどのアリール基を有するノルボルネン類;オクタリン;6−エチル−オクタヒドロナフタレンなどのアルキル基を有するオクタリンなどが例示できる。
多環式オレフィンとしては、例えば、ジシクロペンタジエン;2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン、メタノオクタヒドロフルオレン、ジメタノオクタヒドロナフタレン、ジメタノシクロペンタジエノナフタレン、メタノオクタヒドロシクロペンタジエノナフタレンなどの誘導体;6−エチル−オクタヒドロナフタレンなどの置換基を有する誘導体;シクロペンタジエンとテトラヒドロインデン等との付加物、シクロペンタジエンの3〜4量体などが挙げられる。
これらの環状オレフィンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの環状オレフィンのうち、剥離性と柔軟性とのバランスに優れる点から、二環式オレフィンが好ましい。環状オレフィン全体に対して二環式オレフィン(特にノルボルネン類)の割合は10モル%以上であってもよく、例えば、30モル%以上、好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上(特に90モル%以上)であり、二環式オレフィン単独(100モル%)であってもよい。特に、三環以上の多環式オレフィンの割合が大きくなると、ロール・ツー・ロール方式での製造に用いることが困難となる。
代表的な二環式オレフィンとしては、例えば、置換基を有していてもよいノルボルネン(2−ノルボルネン)、置換基を有していてもよいオクタリン(オクタヒドロナフタレン)などが例示できる。前記置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、シアノ基、アミド基、ハロゲン原子などが例示できる。これらの置換基は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。これらの二環式オレフィンのうち、ノルボルネンやアルキル基(メチル基、エチル基などのC1−4アルキル基)を有するノルボルネンなどのノルボルネン類が特に好ましい。
環状オレフィン系樹脂は、ロール・ツー・ロール方式での製造に利用できる点などから、さらに鎖状オレフィンを重合成分として含む環状オレフィン−鎖状オレフィン共重合体であるのが好ましい。
鎖状オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどの鎖状C2−10オレフィン類などが挙げられる。これらの鎖状オレフィンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの鎖状オレフィンのうち、好ましくはα−鎖状C2−8オレフィン類であり、さらに好ましくはα−鎖状C2−4オレフィン類(特に、エチレン)である。
環状オレフィンと鎖状オレフィンとの割合(モル比)は、例えば、環状オレフィン/鎖状オレフィン=100/0〜1/99、好ましくは90/10〜10/90、さらに好ましくは70/30〜15/85(特に50/50〜20/80)程度である。環状オレフィンの割合が少なすぎると、剥離性が低下する。
他の共重合性単量体としては、例えば、ビニルエステル系単量体(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど);ジエン系単量体(例えば、ブタジエン、イソプレンなど);(メタ)アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸、又はこれらの誘導体((メタ)アクリル酸エステルなど)など]などが例示できる。これらの他の共重合性単量体は単独で又は二種以上組み合わせてもよい。これらの他の共重合性単量体の含有量は、環状オレフィン系樹脂全体に対して、例えば、5モル%以下、好ましくは1モル%以下である。
環状オレフィン系樹脂は、付加重合により得られた樹脂であってもよく、開環重合(開環メタセシス重合など)により得られた樹脂であってもよい。また、開環メタセシス重合により得られた重合体は、水素添加された水添樹脂であってもよい。環状オレフィン系樹脂の重合方法は、慣用の方法、例えば、メタセシス重合触媒を用いた開環メタセシス重合、チーグラー型触媒を用いた付加重合、メタロセン系触媒を用いた付加重合(通常、メタセシス重合触媒を用いた開環メタセシス重合)などを利用できる。
環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は10〜220℃程度の範囲から選択できるが、耐熱性の点から、例えば、30〜215℃、好ましくは50〜215℃、さらに好ましくは100〜215℃程度である。ガラス転移温度が低すぎると、耐熱性が低下し、高すぎると、ロール・ツー・ロール方式での生産が困難となる。なお、本明細書において、ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定できる。
環状オレフィン系樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、例えば、1000〜150000、好ましくは5000〜120000、さらに好ましくは10000〜100000(特に20000〜90000)程度である。
離型層には、さらに慣用の添加剤が含まれていてもよい。慣用の添加剤としては、例えば、充填剤、滑剤(ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドなど)、帯電防止剤、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤など)、難燃剤、粘度調整剤、増粘剤、消泡剤などが含まれていてもよい。また、表面平滑性を損なわない範囲で、有機又は無機粒子(特にゼオライトなどのアンチブロッキング剤)を含んでいてもよい。
特に、本発明では、電解質膜や電極膜を汚染し易いシリコーン化合物などの低分子量の離型剤を含んでいなくても剥離性を向上でき、シリコーン化合物を実質的に含んでいないのが好ましい。
(基材層)
基材層は、燃料電池の製造工程において、離型フィルムの寸法安定性を向上でき、特に、ロール・ツー・ロール方式において張力が負荷されても、伸びを抑制でき、さらに乾燥工程や加熱圧着処理などによって高温に晒されても、高い寸法安定性を維持し、電解質膜や電極膜との剥離を抑制できる点から、耐熱性及び寸法安定性の高い基材が好ましく、150℃における弾性率が100〜1000MPaの合成樹脂で形成されていてもよい。前記弾性率は、例えば、120〜1000MPa、好ましくは150〜1000MPa、さらに好ましくは200〜1000MPa程度であってもよい。弾性率が小さすぎると、寸法安定性が低下し、ロール・ツー・ロール方式での製造において電解質膜や電極膜との剥離が発生し、燃料電池の生産性が低下する。
このような合成樹脂としては、例えば、各種の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が使用できるが、ロール・ツー・ロール方式で製造できる柔軟性を有する点から、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン(ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィンなど)、ポリビニルアルコール系重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、セルロース誘導体などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの熱可塑性樹脂のうち、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール系重合体、ポリエステル、ポリアミド及びセルロース誘導体からなる群より選択された少なくとも1種が好ましく、耐熱性と柔軟性とのバランスに優れる点から、ポリエステルが特に好ましい。さらに、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリC2−4アルキレンアリレート系樹脂が好ましく使用できる。
前記離型層は薄肉であり、基材層表面の凹凸形状が離型層に追随され易いため、基材層表面も適度な表面平滑性を有するのが好ましい。基材層表面の中心線平均粗さRaは0.001〜0.05μmであってもよく、例えば、0.001〜0.04μmであってもよく、好ましくは0.0015〜0.03μm、さらに好ましくは0.002〜0.025μm(特に0.0025〜0.022μm)程度である。Raが小さすぎると、基材層と離型層との密着性が低下し、ロール・ツー・ロール方式での製造に用いることも困難となる一方で、Raが大きすぎると、離型層の表面平滑性が低下する。
基材層は、フィルム強度を向上させる点から、延伸フィルムで形成されていてもよい。延伸は、一軸延伸であってもよいが、フィルム強度を向上できる点から、二軸延伸が好ましい。さらに、二軸延伸は、逐次二軸延伸であってもよいが、表面平滑性に優れる点から、同時二軸延伸が好ましい。逐次二軸延伸では、縦延伸時にロールとの接触により傷が付きやすく、傷が付くと、平均粗さRaが大きくなり、離型層の剥離性が低下する上に、電解質膜や電極膜の表面平滑性が低下し、電池特性の低下(接着強度の低下による電池寿命の減少など)が生じ易い。延伸倍率は、縦及び横方向において、それぞれ、例えば、1.5倍以上(例えば、1.5〜6)であってもよく、好ましくは2〜5倍、さらに好ましくは3〜4倍程度である。延伸倍率が低すぎると、フィルム強度が不十分となり易い。
基材層の平均厚みは、例えば、1〜300μm、好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは10〜100μm(特に20〜80μm)程度である。基材層の厚みが大きすぎると、ロール・ツー・ロール方式での生産が困難となり、薄すぎると、寸法安定性が低下する。
基材層の表面は、離型層との密着性を向上させるために、表面処理に供してもよい。表面処理としては、慣用の表面処理、例えば、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾンや紫外線照射処理などが挙げられる。これらのうち、コロナ放電処理が好ましい。
(離型フィルムの製造方法)
離型フィルムは、基材層の上に環状オレフィン系樹脂を含む溶液をコーティング(又は流延)した後、乾燥する方法により製造できる。
コーティング方法としては、慣用の方法、例えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、リバースコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーター、スクリーンコーター法、スプレー法、スピナー法などが挙げられる。これらの方法のうち、バーコーター法などが汎用される。
溶媒としては、非極性溶媒を利用でき、例えば、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素類、ソルベントナフサなどの芳香族系油などを利用できる。これらの溶媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。これらのうち、トルエンなどの芳香族炭化水素類、ソルベントナフサなどの芳香族系油が好ましい。
溶液中における固形分濃度は、例えば、1〜50重量%、好ましくは3〜30重量%、さらに好ましくは5〜25重量%(特に10〜20重量%)程度である。
乾燥は、自然乾燥であってもよいが、加熱して乾燥することにより溶媒を蒸発させてもよい。乾燥温度は、50℃以上であってもよく、例えば、50〜200℃、好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは80〜120℃程度である。
[積層体]
本発明の積層体は、固体高分子型燃料電池を製造するための積層体であり、離型フィルムと、この離型フィルムの離型層の上に積層され、かつイオン交換樹脂を含む層(電解質膜、電極膜、膜電極接合体)とで形成されている。
前記イオン交換樹脂としては、燃料電池で利用される慣用のイオン交換樹脂を利用できるが、なかでも、強酸性陽イオン交換樹脂や弱酸性陽イオン交換樹脂などの陽イオン交換樹脂が好ましく、スルホン酸基を有するイオン交換樹脂(例えば、スルホン酸基を有するフッ素樹脂、架橋ポリスチレンのスルホン化物)が特に好ましい。特に、固体高分子型燃料電池では、側鎖にスルホン酸基(又は−CFCFSOH基)を有するフッ素樹脂、例えば、[2−(2−スルホテトラフルオロエトキシ)ヘキサフルオロプロポキシ]トリフルオロエチレンとテトラフルオロエチレンとのブロック共重合体などが好ましく利用される。
イオン交換樹脂のイオン交換容量は0.1meq/g以上であってもよく、例えば、0.1〜2.0meq/g、好ましくは0.2〜1.8meq/g、さらに好ましくは0.3〜1.5meq/g(特に0.5〜1.5meq/g)程度であってもよい。
このようなイオン交換樹脂としては、デュポン社製「登録商標:ナフィオン(Nafion)」、旭硝子(株)製「登録商標:フレミオン(Flemion)」、旭化成(株)製「登録商標:アシプレックス(Aciplex)」、ジャパンゴアテックス(株)製「登録商標:ゴアセレクト(GORE−SELECT)」などの市販品を利用できる。なお、イオン交換樹脂としては、特開2010−234570号公報に記載のイオン交換樹脂などを用いてもよい。
イオン交換樹脂を含む層は、前記イオン交換樹脂で形成された電解質膜、前記イオン交換樹脂及び触媒粒子を含む電極膜であってもよい。
電極膜(触媒層又は電極触媒膜)において、触媒粒子は触媒作用を有する金属成分(特に、白金などの貴金属単体又は貴金属を含む合金)を含んでおり、通常、カソード電極用電極膜では白金を含み、アノード電極用電極膜では白金−ルテニウム合金を含む。さらに、触媒粒子は、通常、前記金属成分を、導電材料(カーボンブラックなどの炭素材料など)に担持させた複合粒子として使用される。電極膜において、イオン交換樹脂の割合は、例えば、触媒粒子100重量部に対して、例えば、5〜100重量部、好ましくは10〜80重量部、さらに好ましくは20〜50重量部程度である。
電解質膜の平均厚みは、例えば、例えば、1〜500μm、好ましくは5〜300μm、さらに好ましくは10〜200μm程度である。
電極膜の平均厚みは、例えば、例えば、1〜100μm、好ましくは5〜80μm、さらに好ましくは10〜50μm程度である。
[膜電極接合体の製造方法]
本発明では、前記積層体を用いて、膜電極接合体(MEA)を製造できる。すなわち、本発明の膜電極接合体の製造方法は、前記離型フィルムの離型層の上に、イオン交換樹脂を含む層(イオン交換樹脂を含む電解質膜及び/又はイオン交換樹脂を含む電極膜)を積層する積層工程を経て前記積層体を製造し、この積層体を用いて固体高分子型燃料電池の膜電極接合体を製造できる。
詳細には、積層工程(積層体の製造方法)では、第1の離型フィルムの離型層の上に電解質膜をコーティングにより積層し、離型フィルムの離型層の上に電解質膜が積層された積層体を製造し、かつ第2の離型フィルムの離型層の上に電極膜をコーティングにより積層し、離型フィルムの離型層の上に電極膜が積層された積層体を製造してもよい。
電解質膜及び電極膜をコーティング(又は流延)により形成するために、電解質膜及び電極膜は、イオン交換樹脂(及び触媒粒子)を溶媒に溶解した溶液の状態でコーティングされる。
溶媒としては、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノールなどのC1−4アルカノールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの溶媒のうち、取り扱い性などの点から、水や、水とC1−4アルカノールとの混合溶媒が汎用される。溶液中の溶質(イオン交換樹脂、触媒粒子)の濃度は、例えば、1〜80重量%、好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは10〜40重量%程度である。
コーティング方法としては、前記離型フィルムの製造方法で例示された慣用の方法が挙げられる。これらの方法のうち、ブレードコーター法、バーコーター法などが汎用される。
イオン交換樹脂(及び触媒粒子)を含む溶液をコーティングした後、加熱して乾燥することにより溶媒を蒸発させてもよい。乾燥温度は、50℃以上であってもよく、電解質膜では、例えば、80〜200℃(特に100〜150℃)程度であり、電極膜では、例えば、50〜150℃(特に60〜120℃)程度である。
本発明では、前記離型フィルムが柔軟性に優れるため、このような積層工程をロール・ツー・ロール方式で行うことができ、生産性を向上できる。さらに、離型層と基材層との組み合わせにより、寸法安定性にも優れるため、ロール・ツー・ロール方式でも、離型フィルムが張力による伸びが抑制される。そのため、イオン交換樹脂を含む層が剥離することなく、ロール状に巻き取ることができ、生産性を向上できる。
積層工程で得られた積層体は、密着工程に供される。密着工程では、第1及び第2の離型フィルムの離型層の上にそれぞれ積層された電解質膜と電極膜とを密着させて膜電極接合体が調製される。
電解質膜と電極膜との密着は、通常、加熱圧着により密着される。加熱温度は、例えば、80〜200℃、好ましくは100〜180℃、さらに好ましくは110〜150℃程度である。圧力は、例えば、0.1〜20MPa、好ましくは0.5〜15MPa、さらに好ましくは1〜10MPa程度である。
密着工程で密着した複合体(電解質層と電極膜とが密着して積層体)は、イオン交換樹脂を含む層(電解質膜及び/又は電極膜)から離型フィルムを剥離する剥離工程に供される。本発明では、前述の乾燥工程や加熱圧着処理を経た積層体であっても適度な剥離強度を有するため、積層工程や密着工程では離型フィルムとイオン交換樹脂を含む層とが剥離せずに、剥離工程では容易に離型フィルムを剥離でき、作業性を向上できる。
離型フィルムの離型層とイオン交換樹脂を含む層との剥離強度(特に、剥離工程での積層体の剥離強度)は、例えば、0.1〜20mN/mm、好ましくは0.5〜15mN/mm、さらに好ましくは1〜13mN/mm(特に2〜10mN/mm)程度である。剥離強度が大きすぎると、剥離作業が困難となり、小さすぎると、積層工程及び密着工程での作業性が低下する。
本明細書では、剥離強度は、23℃、50%RHで1時間以上静置した後、300mm/分の条件で180°剥離する方法で測定できる。
さらに、第1の離型フィルムを剥離した電解質膜に対して、前記密着工程及び剥離工程と同様に、さらに第3の離型フィルムの離型層の上に電極膜(第2の離型フィルムがアノード電極用電極膜である場合、カソード電極用電極膜)が積層された積層体の電極膜を密着させて剥離し、慣用の方法で、各電極膜の上に燃料ガス供給層及び空気供給層をそれぞれ積層することにより膜電極接合体(MEA)が得られる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例及び比較例で得られた離型フィルムの剥離性は、以下の方法で評価した。
[塗布量]
離型フィルムを10cm×25cmに切り出してサンプルとした。サンプルの重量を測定した後、テトラヒドロフランを用いて、基材層から離型層を溶出させて剥離した後、拭き取って完全に離型層を基材層から除去した。離型層を剥離した基材層の重量を測定し、重量の減少量に基づいて塗布量を算出した。
[平均厚み]
離型層の平均厚みは、離型層の塗布量及び密度に基づいて算出した。
[平均粗さRa]
JIS B0601(2001)に準拠し、非接触表面形状計測システム((株)菱化システム製「VertScan2.0」)を用いてフィルムの離型層表面の粗さを測定し、測定数N=5の平均値を用いた。
[離型層の密着性]
温度23±5℃、相対湿度50±10%の条件下で、離型フィルムの離型層表面に、50mmを超える長さのテープ(ニチバン(株)製「セロテープ(登録商標)CT405AP−24」)を重ね、離型層に接触させるために指先でしっかりとテープをこすって押し付けた。テープ全体が均一に離型層に付着していることを確認後、5分以内に、離型層の表面に対してできるだけ60°に近い角度でテープの端をつかみ、0.5〜1秒間で引き離した。テープを付着した部分を観察し、密着性を以下の基準で評価した。
○…全く剥がれない
△…部分的に剥がれる
×…全面が剥がれる。
[剥離性]
実施例及び比較例で得られた電解質膜を150mm×15mmのサイズにカットし、イオン交換膜上に両面テープ(ニチバン(株)製「ナイスタックNW−15」)を貼り合わせ、23℃、50RH%で1時間以上静置後、300mm/分の条件で180°剥離を行った。
[燃料電池特性]
各セルへの供給ガスは水素及び酸素を用いた。供給ガスは、いずれもバブリングにて加湿し、2.5気圧の供給圧とした上で、単セルにかかる温度を70℃に保持した状態で運転した。電流密度が1A/cmで1000時間までのセル電圧を測定した。
[離型フィルムの製造例1]
環状オレフィン系樹脂(ポリプラスチックス(株)製「TOPAS 6013S」)をトルエンに攪拌溶解し、固形分濃度15重量%の塗布液を調製した。
離型フィルムの基材層として、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム((株)東レ製「ルミラー50T60」、厚み50μm、中心線平均粗さRa0.010〜0.015μm)を用い、このフィルムの片面にコロナ放電処理を施した。コロナ放電処理を施した面に、塗布液をメイヤーバーコーティング法によりコーティングし、100℃の温度で1分間乾燥して離型層を形成し、離型層の乾燥厚みが0.3μmであり、表面の平均粗さRが0.010μmの離型フィルムAを得た。
[離型フィルムの製造例2]
離型層の乾燥厚みを0.1μmに変更する以外は製造例1と同様の方法で、表面の平均粗さRaが0.009μmの離型フィルムBを得た。
[離型フィルムの製造例3]
基材層として、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製「テオネックスQ65WFA、表面処理品」、厚み125μm、中心線平均粗さRa0.001〜0.003μm)を用い、離型層の乾燥厚み0.5μmに変更する以外は製造例1と同様の方法で、表面の平均粗さRaが0.003μmの離型フィルムCを得た。
[離型フィルムの製造例4]
基材層として、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ(株)製「エンブレットS50」、厚み50μm、中心線平均粗さRa0.025〜0.030μm)を用い、離型層の乾燥厚みを2.5μmに変更する以外は製造例1と同様の方法で、表面の平均粗さRaが0.022μmの離型フィルムDを得た。
離型フィルムA〜Cの中心線平均粗さ及び離型層の密着性を測定した結果を表1に示す。
Figure 0006085185
表1の結果から明らかなように、離型フィルムBは、離型層の厚みが薄いため、離型層の密着性が低い。
実施例1
(電解質膜の製造)
離型フィルムAの離型層の上に、イオン交換樹脂の溶液として、イオン交換樹脂溶液(デュポン社製「ナフィオン(登録商標)DE2020CS」、イオン交換樹脂の水−アルコール分散液、固形分濃度20重量%)を用意し、ドクターブレードを用いて、前記離型層の上にイオン交換樹脂溶液をキャストし、その塗膜を130℃のオーブン内で乾燥させて、電解質膜であるイオン交換樹脂層(厚さ20μm)を形成した。
(アノード電極用電極膜の製造)
Pt−Ru担持カーボン(田中貴金属工業(株)製「TEC66E50」、Pt/Ruのモル比1/1)10重量部、前記イオン交換樹脂溶液40重量部をボールミルで混合し、アノード電極用電極膜の塗布液とした。離型フィルムAの離型層の上に、ドクターブレードを用いてアノード電極用触媒の塗布液を塗工後、80℃で10分乾燥し、膜厚が30μmのアノード電極用電極膜を形成した。
(カソード電極用電極膜の製造)
Pt担持カーボン(田中貴金属工業(株)製「TEC10E50E」)7重量部、前記イオン交換樹脂溶液35重量部をボールミルで混合し、カソード電極用触媒の塗布液とした。離型フィルムAの離型層の上に、ドクターブレードを用いてカソード電極用触媒の塗布液を塗工後、80℃で10分乾燥し、膜厚が30μmのカソード電極用電極膜を形成した。
(燃料電池の製造)
アノード電極用電極膜とカソード電極用電極膜の間に、電解質膜をアノード電極/電解質膜/カソード電極の順になるよう積層し、120℃の熱圧プレスで接合して膜電極接合体(MEA)とした。離型フィルムを剥がし、得られたMEAの両端にガス拡散電極としてカーボンペーパーを配して単セルに組み込み、評価用のセルとした。
実施例2
離型フィルムCを用いる以外は実施例1と同様の方法でMEAを作製し、評価用のセルを得た。
実施例3
離型フィルムDを用いる以外は実施例1と同様の方法でMEAを作製し、評価用のセルを得た。
比較例1
離型フィルムとして、市販のフッ素系フィルム(日東電工(株)製「ニトフロン900UL」、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜)を用いる以外は実施例1と同様の方法でMEAを作製し、評価用のセルを得た。
比較例2
離型フィルムとして、市販のポリオレフィン系フィルム(三井化学(株)製「オピュランX88B」、ポリ4−メチル−ペンテン−1)を用いる以外は実施例1と同様にしてMEAを作製し、評価用のセルを得た。
実施例及び比較例で得られたMEAの剥離性及び燃料電池特性を評価した結果を表2に示す。
Figure 0006085185
表2の結果から明らかなように、実施例のMEAは、適度な剥離性を有し、作業性が優れる上に、電池特性も優れている。一方、比較例1のMEAは、剥離性が高く、作業性が低く、電池特性も低い。また、比較例2のMEAは、剥離性が若干高く、電池特性も低い。
本発明の離型フィルムは、固体高分子型燃料電池の膜電極接合体を製造するために用いられる。

Claims (11)

  1. 固体高分子型燃料電池の膜電極接合体を製造するための離型フィルムであって、
    基材層と、この基材層の少なくとも一方の面に積層され、かつ環状オレフィン系樹脂で形成された離型層とを含み、
    前記離型層表面の中心線平均粗さRaが0.001〜0.05μmであり、かつ前記離型層の平均厚みが0.2〜5μmであり、
    前記環状オレフィン系樹脂が、ノルボルネン類及びエチレンを含む環状オレフィン系樹脂であり、前記環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度が100〜215℃であり、かつ前記環状オレフィン系樹脂の数平均分子量が20000〜90000である離型フィルム。
  2. 離型層がコーティングにより形成された層である請求項1記載の離型フィルム。
  3. 基材層表面の中心線平均粗さRaが0.001〜0.05μmである請求項1又は2記載の離型フィルム。
  4. 基材層が、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール系重合体、ポリエステル、ポリアミド及びセルロース誘導体からなる群より選択された少なくとも1種で形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の離型フィルム。
  5. イオン交換樹脂を含む電解質膜及び/又は電極膜をその上に積層し、膜電極接合体を製造した後、膜電極接合体から剥離するためのフィルムである請求項1〜4のいずれかに記載の離型フィルム。
  6. 固体高分子型燃料電池を製造するための積層体であり、請求項1〜5のいずれかに記載の離型フィルムと、この離型フィルムの離型層の上に積層され、かつイオン交換樹脂を含む層とで形成された積層体。
  7. イオン交換樹脂を含む層が、電解質膜及び/又は電極膜である請求項6記載の積層体。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の離型フィルムの離型層の上に、イオン交換樹脂を含む電解質膜及び/又は電極膜を積層する積層工程を経て、固体高分子型燃料電池の膜電極接合体を製造する方法。
  9. 積層工程において、第1の離型フィルムの離型層の上に電解質膜をコーティングにより積層し、かつ第2の離型フィルムの離型層の上に電極膜をコーティングにより積層する方法であって、前記第1の離型フィルム及び前記第2の離型フィルムが請求項1〜5のいずれかに記載の離型フィルムである請求項8記載の方法。
  10. 第1及び第2の離型フィルムの離型層の上にそれぞれ積層された電解質膜と電極膜とを密着させて膜電極接合体を調製する密着工程をさらに含む請求項9記載の方法。
  11. 電解質膜及び/又は電極膜から離型フィルムを剥離する剥離工程をさらに含む請求項8〜10のいずれかに記載の方法。
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