JP6069036B2 - 燃料電池製造用積層体及びその製造方法並びに燃料電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体高分子型燃料電池の構成部材である膜電極接合体を製造(製膜)する際に使用される離型フィルムとイオン交換樹脂を含む層(固体高分子型燃料電池の電解質膜、電極膜又は膜電極接合体)との積層体(積層フィルム)及びその製造方法並びに固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造方法に関する。
固体高分子型燃料電池は、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)と称される基本構成を有している。MEAは、イオン交換膜である固体高分子電解質膜の両面に、白金族金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とする電極膜(触媒層又は電極触媒膜)を積層し、得られた積層体を導電性の多孔膜である燃料ガス供給層と空気供給層とでさらに挟み込んで得られる。このMEAにおいて、電解質膜及び電極膜のいずれにもイオン交換樹脂が含まれているが、通常、電解質膜及び電極膜はキャスト法及び/又はコーティング法で形成される。電解質膜と電極膜との積層方法としては、通常、支持体にそれぞれ形成された両層を接触させて、130〜150℃程度、圧力1〜10MPa程度で加熱圧着することにより密着した後、支持体を剥離する方法が用いられる。そのため、支持体としては離型フィルムが用いられるが、離型フィルムには、電解質膜及び電極膜に対する適度な剥離性と密着性とが要求される上に、耐熱性も要求される。離型フィルムとしては、例えば、フッ素系フィルム、シリコーン塗布ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどが知られている。しかし、電解質膜及び電極膜に含まれるイオン交換樹脂は、離型性の高いフッ素樹脂の主鎖と、離型性の低いスルホン酸基を含む側鎖とを有する特異な構造を有する樹脂であり、剥離性に関する挙動を予測するのは困難であり、剥離性と密着性とのバランスをとるのも困難である。
特開2003−285396号公報(特許文献1)には、少なくとも固体高分子電解質からなる電極膜及び/又は電解質膜を表面に形成した基材フィルムにおいて、基材フィルムが支持フィルムとその少なくとも片面に離型性を有するフィルムが積層されている電極膜及び/又は電解質膜の製造用基材フィルムが開示されており、離型性を有するフィルムとしてはフッ素系樹脂が記載されている。
しかし、フッ素系フィルムは、耐熱性、離型性、非汚染性には優れているもの、高価である上に、使用後の廃棄焼却処理において燃焼し難く、有毒ガスを発生するという問題点も有している。さらに、弾性率が低いため、ロール・ツー・ロール方式での製造が困難であり、生産性も低い。
特開2009−54362号公報(特許文献2)には、燃料電池の固体電解質として用いられるグリーンシートを成形するために使用される離型フィルムであって、二軸配向ポリエステルフィルムの両面にシリコーン樹脂の離型層を有する離型フィルムが開示されている。
しかし、シリコーン樹脂は、耐熱性や離型性には優れているものの、シリコーン樹脂が電解質膜や電極膜に移行して汚染を引き起こし、品質が損なわれ易い。
特開2009−87604号公報(特許文献3)には、基材フィルムの一方面上に触媒層が形成された燃料電池用の触媒層を転写するためのフィルムであって、前記基材フィルムは、ガラス転移温度が50℃以上且つ融点が200℃以上の樹脂からなるフィルムAとガラス転移温度が50℃未満且つ融点が200℃以上のオレフィン系樹脂からなるフィルムBとの積層フィルムであり、前記触媒層は、フィルムB側に形成されている触媒層転写フィルムが開示されており、フィルムBを構成する樹脂としては、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリエチレン、ポリプロピレンが記載されている。
しかし、ポリメチルペンテンで形成されたフィルムは、低分子量成分を含んでおり、低分子量成分が電解質膜や触媒層に移行して汚染を引き起こし、品質が損なわれ易い。また、ポリエチレン又はポリプロピレンで形成されたフィルムは、耐熱性、剥離性ともに低い。
一方、特開2011−88387号公報(特許文献4)には、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)系樹脂を主成分とし、180℃30分の熱処理前後のフィルムの長手方向及び幅方向の熱収縮率がそれぞれ0.1〜1.0%である二軸配向フィルムと、軟質フィルムとを積層したフレキシブルプリント基盤製造用積層体が開示されている。この文献には、ベースフィルム上にエッチング等により形成された電気回路を保護するためのカバー樹脂として、SPS系樹脂を含むフィルムが利用されている。
しかし、この文献には、燃料電池については記載されていない。さらに、この文献の実施例では、基盤、カバーレイ、積層フィルムを順に重ねて加熱圧着プレスした後、積層フィルムを剥離し、カバーレイの外観を観察しているが、カバーレイの詳細は記載されていない。なお、仮にこのフィルムを燃料電池の製造に用いた場合でも、柔軟性が高すぎるため、生産性が低下する。
特開2011−94268号公報(特許文献5)には、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を延伸して得られる合成樹脂フィルムからなる剥離層を有する合成皮革製造用剥離フィルムが開示されている。この文献には、合成皮革としてポリウレタン系樹脂が記載されている。
しかし、この文献にも燃料電池については記載されていない。さらに、この文献には、合成樹脂フィルムなどの基材と剥離層とで形成された剥離フィルムが記載されているが、基材の詳細や意義については記載されていない上に、2層の積層フィルムでは製造工程数が多く、リサイクル性などにおいても不利である点が記載され、実施例でも使用されていない。
特開2001−287316号公報(特許文献6)には、プリント基板成形時の離型フィルムとして、最外層の少なくとも片側にシンジオタクチックポリスチレン単体樹脂を使用し、中間層を前記シンジオタクチックポリスチレン樹脂以外の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる樹脂で構成した積層フィルムが開示されている。この文献の実施例では、中間層として、酸変性ポリオレフィン、高密度ポリオレフィン、ポリカーボネートを使用し、共押出により積層フィルムが製造されている。
しかし、この文献にも燃料電池については記載されていない。さらに、押出成形フィルムであるため、フィッシュアイなどの凹凸状欠陥が発生し易く、表面平滑性が低い。離型フィルムの平滑性が低く、厚みが不均一であると、電解質膜及び電極膜の表面も離型フィルムの影響を受けて、平滑性が低下する。そのため、電解質膜と電極膜との界面、電極膜とガス拡散層との界面において、密に接触する部分と疎に接触する部分とが発生し、触媒の劣化度合いに差が生じるため、電池寿命が短くなる。
特開2003−285396号公報(請求項1及び2、段落[0008]、実施例) 特開2009−54362号公報(請求項1) 特開2009−87604号公報(請求項1、段落[0014]) 特開2011−88387号公報(請求項1、段落[0002]、実施例) 特開2011−94268号公報(請求項1、段落[0002][0019]〜[0023]、実施例) 特開2001−287316号公報(請求項1、段落[0001]、実施例)
従って、本発明の目的は、固体高分子型燃料電池の構成部材である膜電極接合体の生産性を向上できる積層体(積層フィルム)及びその製造方法並びに固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、ロール・ツー・ロール(roll to roll)方式で加熱処理して製造しても、電解質膜又は電極膜と離型フィルムとの層間で剥離することなく、安定して膜電極接合体を製造できる積層体及びその製造方法並びに固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、電解質膜や電極膜を汚染することなく、固体高分子型燃料電池用膜電極接合体を製造できる積層体及びその製造方法並びに固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、特定の弾性率を有する合成樹脂で形成された基材層と、この基材層の少なくとも一方の面に形成され、かつシンジオタクチックポリスチレン系樹脂(SPS系樹脂)で形成された離型層を含む離型フィルムの上に、固体高分子型燃料電池の電解質膜、電極膜又は膜電極接合体を積層することにより、前記膜電極接合体を製造するために適した剥離性及び耐熱性を有するため、前記膜電極接合体の生産性を向上できる。
すなわち、本発明の積層体は、離型フィルムと、この離型フィルムの上に積層され、かつイオン交換樹脂を含む層とで形成された積層体であって、前記離型フィルムが、150℃において100〜1000MPaの弾性率を有する合成樹脂で形成された基材層と、この基材層の少なくとも一方の面に形成され、かつシンジオタクチックポリスチレン系樹脂で形成された離型層とを含み、かつ前記イオン交換樹脂を含む層が、固体高分子型燃料電池の電解質膜、電極膜又は膜電極接合体である。前記離型層表面の中心線平均粗さRaは1〜50nmであってもよい。前記基材層は、ポリエステルで形成された延伸フィルムであってもよい。前記離型層はコーティングで形成されていてもよい。前記イオン交換樹脂は側鎖にスルホン酸基を有するフッ素樹脂であってもよい。本発明の積層体は、ロール・ツー・ロール方式で製造される積層体であってもよい。
本発明には、離型フィルムの上にイオン交換樹脂を含む層を積層する積層工程を含む前記積層体の製造方法も含まれる。
また、本発明には、前記積層体から離型フィルムを剥離する剥離工程を含む固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造方法も含まれる。
本発明では、特定の弾性率を有する合成樹脂で形成された基材層と、この基材層の少なくとも一方の面に形成され、かつシンジオタクチックポリスチレン系樹脂(SPS系樹脂)で形成された離型層を含む離型フィルムの上に、固体高分子型燃料電池の電解質膜、電極膜又は膜電極接合体が積層され、前記離型層が前記膜電極接合体を製造するために適した剥離性及び耐熱性を実現できるため、前記膜電極接合体の生産性を向上できる。特に、前記離型フィルムは適度な弾性を有しているため、ロールでの巻き取りが可能であり、ロール・ツー・ロール方式で連続的に製造でき、ロール・ツー・ロール方式で加熱処理(例えば、140℃以上に加熱処理)して製造しても、電解質膜又は電極膜と離型フィルムとの層間で剥離することなく、安定して製造でき、生産性を向上できる。また、シリコーン化合物などの低分子量の離型剤を含まずに、離型性を向上できるため、電解質膜や電極膜を汚染することなく、燃料電池用膜電極接合体を製造できる。
[積層体]
本発明の積層体は、離型フィルムと、この離型フィルムの上に積層され、かつイオン交換樹脂を含む層(電解質膜、電極膜又は膜電極接合体)とで形成されている。
(離型フィルム)
離型フィルムは、固体高分子型燃料電池の膜電極接合体(MEA)を製造するための離型フィルムであって、150℃において100〜1000MPaの弾性率を有する合成樹脂で形成された基材層と、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)系樹脂で形成された離型層とを含む。本発明の離型フィルムは、特に、イオン交換樹脂を含む電解質膜及び/又は電極膜をその上に積層し、MEAを製造した後、MEAから剥離するためのフィルムであってもよい。
(A)離型層
SPS系樹脂は、主鎖に対して側鎖のフェニル基が交互に突出した規則的な配列(立体規則性)を主要な構造として有していればよい。立体規則性の程度(タクティシティー)は、同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR)で、連続する構成単位である2連子(ダイアッド)、3連子(トリアッド)、5連子(ペンタッド)などを定量することにより評価でき、シンジオタクチック構造の場合、例えば、ラセミダイアッド、ラセミペンタッドの割合で評価してもよい。SPS系樹脂のラセミダイアッドの割合は、例えば、75%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは95%以上であってもよく、ラセミペンタッドの割合は、30%以上、好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上であってもよい。立体規則性が低すぎると、SPS系樹脂の結晶性が低下し、離型フィルムの耐熱性が低下する。
SPS系樹脂の融点(Tm)は270℃以下程度であってもよく、例えば、200〜270℃、好ましくは220〜270℃、さらに好ましくは240〜270℃程度である。SPS系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、100℃以下であってもよく、例えば、40〜100℃、好ましくは60〜100℃、さらに好ましくは80〜100℃程度である。ガラス転移温度及び融点が高すぎると、樹脂の製造が困難となる。なお、本明細書において、ガラス転移温度及び融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定できる。
SPS系樹脂の結晶化度は、例えば、10%以上であってもよく、例えば、10〜100%、好ましくは20〜80%、さらに好ましくは30〜50%程度である。なお、本明細書において、結晶化度は、X線回折装置を用いて広角X線を測定して求めることができる。
SPS系樹脂を形成するための芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、アルキル置換スチレン(例えば、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのビニルトルエン、ビニルキシレン、p−エチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレンなど)、アルコキシ置換スチレン(例えば、メトキシスチレン、エトキシスチレンなど)、ハロゲン置換スチレン(例えば、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−ブロモスチレン、o−フルオロスチレンなど)、α位にアルキル基が置換したα−アルキル置換スチレン(例えば、α−メチルスチレン、α−エチルスチレンなど)、アリール置換スチレン(例えば、フェニルスチレンなど)、ビニルナフタレンなどが挙げられる。これらの芳香族ビニル単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの芳香族ビニル単量体のうち、スチレン、C1−4アルキル置換スチレン(m−メチルスチレンやp−メチルスチレンなどのビニルトルエン、p−t−ブチルスチレンなど)、ハロゲン置換スチレン(m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、p−フルオロスチレンなど)、α−C1−4アルキル置換スチレン(α−メチルスチレンなど)が好ましく、スチレンが特に好ましい。スチレンと他の芳香族ビニル単量体(p−メチルスチレンなど)とを組み合わせる場合、他の芳香族ビニル単量体の割合は、スチレン及び他の芳香族ビニル単量体の合計量に対して、例えば、50モル%以下であってもよく、例えば、1〜30モル%、好ましくは3〜20モル%、さらに好ましくは5〜15モル%程度である。
SPS系樹脂は、立体配位性(結晶性)を損なわない範囲で、前記芳香族ビニル単量体と共重合可能な単量体との共重合体であってもよい。共重合可能な単量体としては、例えば、α−オレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテンなどのC2−8オレフィンなど)、アクリル系単量体(例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸C1−10アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸フェニルなど)、シアン化ビニル系単量体(例えば、(メタ)アクリロニトリルなど)、不飽和多価カルボン酸又はその酸無水物(例えば、(無水)マレイン酸など)、ジエン類(例えば、ブタジエン、イソプレンなど)、環状ジエン類(例えば、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンなど)などが挙げられる。これらの共重合可能な単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。全単量体中の共重合可能な単量体の割合は50モル%以下であってもよく、例えば、1〜50モル%、好ましくは3〜40モル%、さらに好ましくは5〜30モル%程度である。
SPS系樹脂としては、ポリスチレン、スチレンとp−メチルスチレンとの共重合体、スチレンとエチレンとの共重合体などが好ましく、ポリスチレンが特に好ましい。また、SPS系樹脂は、水素化ポリスチレン系樹脂であってもよい。
SPS系樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、例えば、1万〜100万、好ましくは10万〜50万、さらに好ましくは15万〜40万(特に18万〜35万)程度である。分子量が低すぎると、耐熱性が低下し、大きすぎると、SPS系樹脂の製造が困難となる。
SPS系樹脂は、耐熱性に優れているが、ロール・ツー・ロール方式での生産性などの点から、適度な弾性を有しているのが好ましく、例えば、150℃における弾性率は500MPa以下であってもよく、例えば、1〜500MPa、好ましくは10〜400MPa、さらに好ましくは30〜300MPa程度であってもよい。弾性率が大きすぎると、生産性が低下する。
離型層は、SPS系樹脂単独で形成されていてもよく、SPS系樹脂を含む組成物で形成されていてもよい。
組成物には、さらに慣用の添加剤が含まれていてもよい。慣用の添加剤としては、例えば、充填剤、滑剤(ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドなど)、帯電防止剤、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤など)、難燃剤、粘度調整剤、増粘剤、消泡剤などが含まれていてもよい。表面平滑性を損なわない範囲で、有機又は無機粒子(例えば、ゼオライトなどのアンチブロッキング剤など)を含んでいてもよいが、表面平滑性を向上させる点からは、含まないのが好ましい。
特に、本発明では、電解質膜や電極膜を汚染し易いシリコーン化合物などの低分子量の離型剤を含んでいなくても剥離性を向上でき、シリコーン化合物を実質的に含んでいないのが好ましい。
離型層の表面は、表面平滑性に優れ、固体高分子型燃料電池の電解質膜及び/又は電極膜の表面平滑性及び厚みの均一性を向上でき、燃料電池の寿命を向上できる。また、適度な粗さを有しているため、取り扱い性に優れる。離型層表面の中心線平均粗さRaは1〜50nm程度の範囲から選択でき、例えば、10〜40nm、好ましくは15〜35nm、さらに好ましくは20〜30nm(特に20〜25nm)程度である。Raが小さすぎると、イオン交換膜を含む層を塗工した際に塗膜のはじき、欠損が起こり易い上に、基材層と離型層との密着性が低下する一方で、Raが大きすぎると、燃料電池の寿命が短くなる。
なお、本明細書では、中心線平均粗さRaは、JIS B0601に準拠した方法で測定できる。
離型層は、フィルム強度を向上させる点から、延伸フィルムで形成されていてもよい。延伸は、一軸延伸であってもよいが、フィルム強度を向上できる点から、二軸延伸が好ましい。さらに、二軸延伸は、逐次二軸延伸であってもよいが、表面平滑性に優れる点から、同時二軸延伸が好ましい。逐次二軸延伸では、縦延伸時にロールとの接触により傷が付きやすく、傷が付くと、剥離性が低下する上に、電解質膜や電極膜の表面平滑性が低下し、電池特性の低下(接着強度の低下による電池寿命の減少など)が生じ易い。延伸倍率は、縦及び横方向において、それぞれ、例えば、1.5〜5倍、好ましくは2〜4.5倍、さらに好ましくは2.5〜3.5倍程度である。延伸倍率が低すぎると、フィルム強度が不十分となり、高すぎると、シート厚みが不均一になり易い。
離型層は、SPS系樹脂(又はSPS系樹脂を含む組成物)で形成された層を表面に含む積層構造を有していてもよく、例えば、SPS系樹脂を含む異種の複数の層で形成された積層構造(例えば、SPS系樹脂で形成された層と、SPS系樹脂及びアンチブロッキング剤で形成された層との積層体など)であってもよく、SPS系樹脂を含む層とSPS系樹脂を含まない他の層との積層体であってもよい。特に、前記離型層が未延伸フィルムである場合、他の層と組み合わせるのが好ましく、例えば、ゴムやエラストマーで形成された中間層の両面に離型層が形成された積層体や、特許文献4に記載されている軟質フィルムの両面に離型層が形成された積層体であってもよい。
離型層の平均厚みは、例えば、0.1〜100μm、好ましくは0.3〜80μm、さらに好ましくは0.5〜50μm程度である。特に、離型層がコーティング膜である場合、薄肉であってもよく、例えば、0.1〜5μm、好ましくは0.5〜3μm、さらに好ましくは0.8〜2μm程度であってもよい。離型層が薄肉であると、取り扱い性に優れ、ロール・ツー・ロール方式などに適するとともに、経済性も向上する。
(B)基材層
SPS系樹脂は、結晶性が高く、一般的には耐熱性が高い樹脂として知られているが、燃料電池のMEAをロール・ツー・ロール方式で製造するときには、フィルムには、製造工程で加熱処理に加えて張力も負荷されるため、SPS系樹脂の伸びにより電解質膜又は電極膜と離型フィルムとが剥離し易い。これに対して、本発明では、特定の基材層と積層することで、このような剥離現象を抑制できる。すなわち、離型フィルムは、燃料電池の製造工程において、離型フィルムの寸法安定性を向上でき、特に、ロール・ツー・ロール方式において張力が負荷されても、伸びを抑制でき、さらに乾燥工程や加熱圧着処理などによって高温に晒されても、高い寸法安定性を維持し、安定に製造できる点から、特定の弾性率を有する基材層と、この基材層の少なくとも一方の面(通常、一方の面)に離型層が形成されている。
基材層としては、耐熱性及び寸法安定性の高い基材層が好ましく、150℃における弾性率が100MPa以上の合成樹脂で形成されていてもよい。前記弾性率は、例えば、100〜1000MPa、好ましくは150〜1000MPa、さらに好ましくは200〜1000MPa(特に250〜1000MPa)程度であってもよい。弾性率が小さすぎると、寸法安定性が低下し、ロール・ツー・ロール方式での製造において電解質膜や電極膜との剥離が発生し、燃料電池の生産性が低下する。
このような合成樹脂としては、例えば、各種の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が使用できるが、ロール・ツー・ロール方式で製造できる柔軟性を有する点から、熱可塑性樹脂(ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、セルロースエステルなど)が好ましく、耐熱性と柔軟性とのバランスに優れる点から、ポリエステルが特に好ましい。さらに、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリC2−4アルキレンアリレート系樹脂が好ましく使用できる。
前記離型層は薄肉である場合(特にコーティングで製造された場合)、基材層表面の凹凸形状が離型層に追随され易いため、基材層表面も適度な表面平滑性を有するのが好ましい。基材層表面の中心線平均粗さRaは1〜50nm程度の範囲から選択でき、例えば、10〜40nm、好ましくは15〜35nm、さらに好ましくは20〜30nm(特に20〜25nm)程度である。Raが小さすぎると、基材層と離型層との密着性が低下し、ロール・ツー・ロール方式での製造に用いることも困難となる一方で、Raが大きすぎると、離型層の表面平滑性が低下する。
基材層もフィルム強度を向上させる点から、延伸フィルムで形成されていてもよい。延伸は、一軸延伸であってもよいが、フィルム強度を向上できる点から、二軸延伸が好ましい。延伸倍率は、縦及び横方向において、それぞれ、例えば、1.5倍以上(例えば、1.5〜6倍)であってもよく、好ましくは2〜5倍、さらに好ましくは3〜4倍程度である。延伸倍率が低すぎると、フィルム強度が不十分となり易い。
基材層の平均厚みは、例えば、1〜300μm、好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは10〜100μm(特に20〜80μm)程度である。基材層の厚みが大きすぎると、ロール・ツー・ロール方式での生産が困難となり、薄すぎると、寸法安定性が低下する。
離型層と基材層との厚み比は、例えば、離型層/基材層=5/1〜1/10、好ましくは3/1〜1/5、さらに好ましくは2/1〜1/3(特に1/1〜1/2)程度である。
離型フィルムの製造方法としては、慣用の方法を利用でき、単独の離型層で形成されている場合は、例えば、押出成形で得られたフィルムを延伸してもよく、基材層との積層体の場合は、例えば、コーティング、共押出や押出ラミネート、加熱圧着などの方法であってもよく、粘着剤や接着剤を介して積層してもよい。
これらのうち、離型層は、離型層の平滑性の点から、コーティングが好ましい。コーティング方法としては、慣用の方法、例えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、リバースコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーター、スクリーンコーター法、スプレー法、スピナー法などが挙げられる。これらの方法のうち、ブレードコーター法、バーコーター法などが汎用される。
離型フィルム(特に離型層)をコーティングで製造する場合、SPS系樹脂を溶解する溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、脂環式炭化水素(シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘキセンなど)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタンなど)、環状アミド(N−メチル−2−ピロリドンなど)、環状エーテル(ジオキサンなど)などが挙げられる。これらの溶剤は単独で使用してもよく、混合して使用してもよい。
コーティングで形成された離型層は、接着層を介して基材層と積層されていてもよい。接着層は、慣用の接着剤(例えば、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤など)や粘着剤(例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、オレフィン系粘着剤、シリコーン系粘着剤など)を利用できる。接着層の平均厚みは、例えば、1〜40μm、好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは1〜10μm(特に1〜5μm)程度である。
(イオン交換樹脂を含む層)
イオン交換樹脂としては、燃料電池で利用される慣用のイオン交換樹脂を利用できるが、なかでも、強酸性陽イオン交換樹脂や弱酸性陽イオン交換樹脂などの陽イオン交換樹脂が好ましく、スルホン酸基を有するイオン交換樹脂(例えば、スルホン酸基を有するフッ素樹脂、架橋ポリスチレンのスルホン化物)が特に好ましい。特に、固体高分子型燃料電池では、側鎖にスルホン酸基(又は−CFCFSOH基)を有するフッ素樹脂、例えば、[2−(2−スルホテトラフルオロエトキシ)ヘキサフルオロプロポキシ]トリフルオロエチレンとテトラフルオロエチレンとのブロック共重合体などが好ましく利用される。
イオン交換樹脂のイオン交換容量は0.1meq/g以上であってもよく、例えば、0.1〜2.0meq/g、好ましくは0.2〜1.8meq/g、さらに好ましくは0.3〜1.5meq/g(特に0.5〜1.5meq/g)程度であってもよい。
このようなイオン交換樹脂としては、デュポン社製「登録商標:ナフィオン(Nafion)」、旭硝子(株)製「登録商標:フレミオン(Flemion)」、旭化成(株)製「登録商標:アシプレックス(Aciplex)」、ジャパンゴアテックス(株)製「登録商標:ゴアセレクト(GORE−SELECT)」などの市販品を利用できる。なお、イオン交換樹脂としては、特開2010−234570号公報に記載のイオン交換樹脂などを用いてもよい。
イオン交換樹脂を含む層は、前記イオン交換樹脂で形成された電解質膜、前記イオン交換樹脂及び触媒粒子を含む電極膜であってもよい。
電極膜において、触媒粒子は触媒作用を有する金属成分(特に、白金などの貴金属又は貴金属を含む合金)を含んでおり、通常、カソード電極用電極膜では白金を含み、アノード電極用電極膜では白金−ルテニウム合金を含む。さらに、触媒粒子は、通常、前記金属成分を、導電材料(カーボンブラックなどの炭素材料など)に担持させた複合粒子として使用される。電極膜において、イオン交換樹脂の割合は、例えば、触媒粒子100重量部に対して、例えば、5〜100重量部、好ましくは10〜80重量部、さらに好ましくは20〜50重量部程度である。
電解質膜の平均厚みは、例えば、例えば、1〜500μm、好ましくは5〜300μm、さらに好ましくは10〜200μm程度である。
電極膜の平均厚みは、例えば、例えば、1〜100μm、好ましくは5〜80μm、さらに好ましくは10〜50μm程度である。
[積層体及び膜電極接合体の製造方法]
本発明の積層体の製造方法は、離型フィルムの上にイオン交換樹脂を含む層を積層する積層工程を含む。
前記積層工程では、離型フィルムの上に、電解質膜及び/又は電極膜をコーティングにより形成すればよく、例えば、第1の離型フィルムの上に電解質膜をコーティングにより積層し、離型フィルムの上に電解質膜が積層された積層体を製造し、かつ第2の離型フィルムの上に電極膜をコーティングにより積層し、離型フィルムの上に電極膜が積層された積層体を製造してもよい。
電解質膜及び電極膜をコーティング(又は流延)により形成するために、電解質膜及び電極膜は、イオン交換樹脂(及び触媒粒子)を溶媒に溶解した溶液の状態でコーティングされる。
溶媒としては、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノールなどのC1−4アルカノールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの溶媒のうち、取り扱い性などの点から、水や、水とC1−4アルカノールとの混合溶媒が汎用される。溶液中の溶質(イオン交換樹脂、触媒粒子)の濃度は、例えば、1〜80重量%、好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは10〜40重量%程度である。
コーティング方法としては、離型層の項で記載された慣用の方法を利用でき、ブレードコーター法、バーコーター法などが汎用される。
イオン交換樹脂(及び触媒粒子)を含む溶液をコーティングした後、加熱して乾燥することにより溶媒を蒸発させてもよい。乾燥温度は、50℃以上であってもよく、電解質膜では、例えば、80〜200℃(特に100〜150℃)程度であり、電極膜では、例えば、50〜150℃(特に60〜120℃)程度である。
本発明では、前記離型フィルムが柔軟性に優れるため、このような積層工程をロール・ツー・ロール方式で行うことができ、生産性を向上できる。さらに、離型層と基材層とを組み合わせた離型フィルムでは、寸法安定性に優れるため、ロール・ツー・ロール方式でも、離型フィルムが張力による伸びが抑制される。そのため、イオン交換樹脂を含む層が剥離することなく、ロール状に巻き取ることができ、生産性を向上できる。
積層工程で得られた積層体は、密着工程に供される。密着工程では、第1及び第2の離型フィルムの上にそれぞれ積層された電解質膜と電極膜とを密着させて膜電極接合体(MEA)が調製される。
電解質膜と電極膜との密着は、通常、加熱圧着により密着される。加熱温度は、例えば、80〜200℃、好ましくは100〜180℃、さらに好ましくは110〜150℃程度である。圧力は、例えば、0.1〜20MPa、好ましくは0.5〜15MPa、さらに好ましくは1〜10MPa程度である。
密着工程で密着した複合体(電解質層と電極膜とが密着した積層体)は、イオン交換樹脂を含む層(電解質膜及び/又は電極膜)から離型フィルムを剥離する剥離工程に供され、固体高分子型燃料電池の膜電極接合体が得られる。本発明では、前述の乾燥工程や加熱圧着処理を経た積層体であっても適度な剥離強度を有するため、積層工程や密着工程では離型フィルムとイオン交換樹脂を含む層とが剥離せずに、剥離工程では容易に離型フィルムを剥離でき、作業性を向上できる。
離型フィルムとイオン交換樹脂を含む層との剥離強度(特に、剥離工程での積層体の剥離強度)は、例えば、0.1〜10mN/mm、好ましくは0.5〜8mN/mm、さらに好ましくは1〜7mN/mm(特に2〜6mN/mm)程度である。剥離強度が大きすぎると、剥離作業が困難となり、小さすぎると、積層工程及び密着工程での作業性が低下する。
本明細書では、剥離強度は、23℃、50%RHで1時間以上静置した後、300mm/分の条件で180°剥離する方法で測定できる。
さらに、第1の離型フィルムを剥離した電解質膜に対して、前記密着工程及び剥離工程と同様に、さらに第3の離型フィルムの上に電極膜(第2の離型フィルムがアノード電極用電極膜である場合、カソード電極用電極膜)が積層された積層体の電極膜を密着させて剥離し、慣用の方法で、各電極膜の上に燃料ガス供給層及び空気供給層をそれぞれ積層することにより膜電極接合体(MEA)が得られる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例及び比較例並びに参考例で得られた離型フィルムの剥離性は、以下の方法で評価した。
[中心線平均粗さRa]
JIS B0601(2001)に準拠し、非接触表面形状計測システム((株)菱化システム製「VertScan2.0」)を用いてフィルムの離型層表面の粗さを測定し、測定数N=5の平均値を用いた。
[剥離性]
実施例及び比較例並びに参考例で得られた離型フィルムとイオン交換樹脂層との積層体を20℃、50RH%で1時間以上静置後、150mm×15mmのサイズにカットし、イオン交換膜上にセロハンテープ(ニチバン(株)製「CT405AP−15」)を貼り合わせ、300mm/分の条件で180°剥離を行った。
参考例
(離型フィルムの製造)
離型フィルムの基材層として、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム((株)東レ製「ルミラーT60」、厚み38μm)を用い、離型層として、二軸延伸SPS系樹脂フィルム(クラボウ(株)製「オイディス」、厚み50μm)を用いて、これらをドライラミネート用接着剤(東洋モートン(株)製「TM569/CAT−RT37」)で貼り合わせ、離型フィルムを作製した。
(積層体の製造)
得られた離型フィルムの上に、イオン交換樹脂溶液(デュポン社製「ナフィオン(登録商標)DE2020CSタイプ、イオン交換樹脂の水−アルコール分散液、固形分濃度20重量%)を用意し、メイヤーバーを用いて前記離型フィルム上に前記溶液をキャストし、その塗膜を100℃のオーブン内で乾燥させて、イオン交換樹脂層(厚さ5μm)を形成した。その後、さらに130℃のオーブン内で30分間熱処理をし、積層体を作製した。
実施例1
(SPSの製造)
不活性ガスで置換した反応容器中に、トルエン600ml、メチルアルミノキサン120mmol、テトラエトキシチタン0.6mmolを充填し、次いで、スチレン600mlを加えて50℃で2時間重合反応を行った。反応終了後、塩酸及びメタノールにより反応を停止し、生成ポリマーを濾別後、乾燥し、数平均分子量25000のSPSを100g得た。
(離型フィルムの製造)
得られたSPS1重量部を、シクロヘキサノン9重量部に溶解し、塗工液を調製した。基材として、二軸延伸PETフィルム(ユニチカ(株)製「エンブレットS50」、厚み50μm)を用い、塗工液をメイヤーバーコーティング法によりコーティングし、120℃の温度で3分間乾燥して離型層(厚さ1μm)を形成した。一方、離型フィルムの基材層として、二軸延伸PETフィルム(ルミラーT60)を別途用意し、離型層と基材層とをドライラミネート用接着剤(東洋モートン(株)製「TM569/CAT−RT37」)を用いて、接着剤の厚み(5μm)で貼り合わせ、接着剤層と反対側の二軸延伸PETフィルムを剥離し、離型フィルムを作製した。
(積層体の製造)
参考例と同様にして積層体を作製した。
実施例2
離型フィルムの基材層を、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製「テオネックスQ51、表面処理品」、厚み50μm)に変更する以外は実施例1と同様の方法で、積層体を作製した。
比較例1
離型フィルムを、離型層がメラミン系樹脂で形成されている離型フィルム(ダイセルバリューコーティング(株)製「T9004」、基材層:PETフィルム)に変更する以外は参考例と同様にして積層体を作製した。
比較例2
離型フィルムを、PETフィルム(ユニチカ(株)製「エンブレットS50」)に変更する以外は参考例と同様にして積層体を作製した。
比較例3
離型フィルムを、離型層がオレフィン系樹脂で形成されている離型フィルム(ユニチカ(株)製「TR6−38」、基材層:PETフィルム)に変更する以外は参考例と同様にして積層体を作製した。
比較例4
離型フィルムを、ポリエステル系離型フィルム(東洋紡(株)製「TN200」)に変更する以外は参考例と同様にして積層体を作製した。
実施例及び比較例並びに参考例で得られた電解質膜の剥離性を評価した結果を表1に示す。
Figure 0006069036
表1の結果から明らかなように、実施例の離型フィルムは、適度な剥離性を有するのに対して、比較例の離型フィルムは、剥離強度が高く、生産性が低下する。
本発明の積層体は、固体高分子型燃料電池を製造するために用いられる。

Claims (8)

  1. 離型フィルムと、この離型フィルムの上に積層され、かつイオン交換樹脂を含む層とで形成された積層体であって、
    前記離型フィルムが、150℃において100〜1000MPaの弾性率を有し、ポリエステルの延伸フィルムで形成された基材層と、粘着剤又は接着剤を介して、この基材層の少なくとも一方の面に形成され、かつシンジオタクチックポリスチレン系樹脂で形成された平均厚み0.1〜5μmの離型層を含み、かつ
    前記イオン交換樹脂を含む層が、固体高分子型燃料電池の電解質膜、電極膜又は膜電極接合体である積層体。
  2. 離型層表面の中心線平均粗さRaが1〜50nmである請求項1記載の積層体。
  3. 基材層が、ポリC 2−4 アルキレンアリレート系樹脂で形成された延伸フィルムである請求項1又は2記載の積層体。
  4. 離型フィルムの離型層の平均厚みが0.5〜3μmである請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  5. イオン交換樹脂が側鎖にスルホン酸基を有するフッ素樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
  6. 離型フィルムの上にイオン交換樹脂を含む層を積層する積層工程を含む請求項1〜のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  7. ロール・ツー・ロール方式で、離型フィルムの上にイオン交換樹脂を含む層を積層する請求項6記載の方法。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の積層体から離型フィルムを剥離する剥離工程を含む固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造方法。
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