JP6988947B2 - 離型フィルム - Google Patents

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Description

本発明は離型フィルムに関し、更に詳しくは、電子部品、特に、固体高分子型燃料電池の構成部材である膜−電極接合体(MEA)を製造するために好適に使用される離型フィルムに関するものである。
固体高分子型燃料電池(PEFC)の構成部材である膜−電極接合体(MEA)は、高分子電解質膜の両面に触媒層が積層された構成になっている。高分子電解質膜は、プロトン伝導性樹脂が使用されており、側鎖にスルホニウム基を有したポリマーが使用されている。その例としては、強酸性であるパーフルオロカーボン(−CF2−)で構成されたスルホン酸系の樹脂が使用されている(例えば、DuPont社製Nafion(登録商標))。また触媒層は、白金担持カーボンをバインダー(プロトン伝導性樹脂)に分散させた構成になっている。
これらMEAの製造方法の一例として、高分子電解質膜と、触媒層をそれぞれ別々の支持フィルムにキャスト法で成型し、150℃以上の高温で熱圧着して両者を接合する方法が提案されている。
前記支持フィルムには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表されるフッ素系樹脂フィルムにより、シリコーンなどの汚染がなく、高い耐薬品性、耐熱性をもつものが使用されてきている。しかし、かかる従来技術はロール ツー ロール方式で加工するとき、PTFEフィルムの貯蔵弾性率が室温においても低いため、腰感が弱く加工性が必ずしも十分ではないという問題点があった。
また、PETフィルムに離型層を設けたフィルムは、フッ素系フィルムに比べ安価で加工性に優れ、離型性があるが(例えば特許文献1〜3参照)、かかる従来技術はPETフィルムの弾性率が高温でも高いため、触媒層の熱転写時に転写部に圧力が均一にかかりにくく転写ムラが生じ易いという問題点があった。
特開2015−119016号公報 特開2014−154273号公報 特開2003−285396号公報
本発明は、上記、固体高分子型燃料電池の構成部材であるMEAの特殊な事情に鑑み、従来技術の課題を背景になされたものであって、本発明の目的は、触媒層塗工時の加工時のハンドリング性を保持しつつ、転写工程での圧力均一性を向上させることができ、転写性に優れた離型フィルムを提供することにある。
即ち、本発明は、以下の構成よりなる。
[1]ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層を有する離型フィルムであって、前記離型フィルムの30℃における貯蔵弾性率が1500MPa以上であり、かつ100℃における貯蔵弾性率が1000MPa以下であり、
離型層表面の表面自由エネルギーの極性成分と水素結合成分を合計した値が8mJ/m 以下であることを特徴とする離型フィルム。
[2]電子部品製造用途として用いられることを特徴とする上記[1]に記載の離型フィルム。
[3]150℃における貯蔵弾性率が、20MPa以上500MPa以下であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の離型フィルム。
[4]ポリエステルフィルムは、ホモポリエステルと共重合ポリエステルが混合使用されてなるポリエステルフィルムであることを特徴とする[1][3]のいずれかに記載の離型フィルム。
[5]ポリエステルフィルムの融点が256℃未満であることを特徴とする[1][4]のいずれかに記載の離型フィルム。
[6]ポリエステルフィルムは、テレフタル酸とエチレングリコール及びネオペンチルグリコールを構成成分とするポリエステルとポリエチレンテレフタレートとの混合物、又は、テレフタル酸とエチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールを構成成分とするポリエステルとポリエチレンテレフタレートとの混合物を含むことを特徴とする[1][5]のいずれかに記載の離型フィルム。
[7]離型層が、オレフィン系樹脂、フッ素系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むことを特徴とする[1][6]のいずれかに記載の離型フィルム。
[8]オレフィン系樹脂が、環状ポリオレフィン又はポリメチルペンテンであることを特徴とする[7]に記載の離型フィルム。
本発明によれば、固体高分子燃料電池部材成型用途に代表される電子部品製造用途等に好適に使用される離型フィルムとして、触媒層塗工時の加工時のハンドリング性を保持しつつ、転写工程での圧力均一性を向上させることができ、転写性に優れた離型フィルムを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
(離型フィルム)
本発明の離型フィルムは、基材であるポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層を有する離型フィルムである。そして、前記離型フィルムの30℃における貯蔵弾性率が1500MPa以上であることが好ましい。30℃における貯蔵弾性率が1500MPa以上であれば、室温での剥離時の機械強度が不足することがなく、また、室温でのハンドリング性が保たれて好ましい。特に好ましくは2000MPa以上であり、更に好ましくは2500MPa以上である。但し、あまりにも30℃における貯蔵弾性率が大き過ぎると、剛性が強過ぎて、逆に取扱性が悪くなる場合があるので、7000MPa以下としておくことが好ましい。より好ましくは5000MPa以下である。
また、本発明の離型フィルムは、100℃における貯蔵弾性率が1000MPa以下であることが好ましい。100℃における貯蔵弾性率が1000MPa以下であると、離型フィルムに積層した触媒層と電解質膜を熱圧着するときに圧力が均一にかかるため触媒層と電解質膜の密着性が向上し離型フィルムから触媒層が転写しやすくなる。そのため離型フィルムからの触媒層の転写性が向上するため好ましい。更に好ましくは700MPa以下であり、特に好ましくは600MPa以下である。但し、あまりにも100℃における貯蔵弾性率が低過ぎると、耐熱性が不十分となるおそれがあるので、150MPa以上であることが好ましい。
更に、本発明の離型フィルムは、150℃における貯蔵弾性率が20MPa以上であることが好ましい。150℃における貯蔵弾性率が20MPa以上であると、触媒層の熱転写時の熱に耐え得る耐熱性を実現でき好ましい。更に好ましくは30MPa以上、特に好ましくは50MPa以上である。また、本発明の離型フィルムは、150℃における貯蔵弾性率が、500MPa以下であることが好ましい。150℃における貯蔵弾性率が500MPa以下であると、触媒層の熱転写時に十分に変形するので、電解質膜の表面凹凸に対する追従性に優れ、触媒層と電解質膜の密着性が向上し好ましい。更に好ましくは200MPa以下であり、特に好ましくは100MPa以下である。
(ポリエステルフィルム)
本発明において基材フィルムとして使用されるポリエステルフィルムは、好ましくは、共重合ポリエステル構成成分として含むポリエステルフィルムであり、特に好ましくは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートに代表されるホモポリエステルと共重合ポリエステルが混合使用されてなるポリエステルフィルムである。また、前記のポリエステルフィルムは、二軸延伸フィルムであることがより好ましい。以下に前記のポリエステルフィルムに用いる原料、好ましい製造方法を記述する。
本発明において好ましく使用されるポリエステルフィルムは、芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコール及び、分岐状脂肪族グリコール及び/又は脂環族グリコールを含むグリコール成分とから構成される共重合ポリエステルを、二軸配向ポリエステルフィルムの原料の一部に用いることが好ましい。
前記共重合ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸成分が主としてテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体からなるが、全ジカルボン酸成分に対するテレフタル酸および/またはナフタレンジカルボン酸成分の量は70モル%以上、好ましくは85モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、とりわけ好ましくは100モル%である。
また、分岐状脂肪族グリコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオールなどが例示される。脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロールなどが例示される。
これらのなかでも、ネオペンチルグリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールが特に好ましい。さらに、本発明においては、上記のグリコール成分に加えて1,3−プロパンジオールや1,4−ブタンジオールを共重合成分とすることが、より好ましい実施態様である。これらのグリコールを共重合成分として使用することは、前記の特性を付与するために好適であり、さらに、透明性や耐熱性にも優れ、密着性改質層との密着性を向上させる点からも好ましい。
さらに、必要に応じて、前記共重合ポリエステルに下記のようなジカルボン酸成分及び/又はグリコール成分を1種又は2種以上を共重合成分として併用してもよい。
テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体とともに併用することができる他のジカルボン酸成分としては、(1)イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4′−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体、(2)シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体、(3)シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体、(4)p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
一方、エチレングリコール及び、分岐状脂肪族グリコール及び/又は脂環族グリコールとともに併用することができる他のグリコール成分としては、例えばペンタンジオール、ヘキサンジオール等の脂肪族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族グリコール及びそれらのエチレンオキサイド付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ダイマージオール等が挙げられる。
さらに、必要に応じて、前記共重合ポリエステルに、さらにトリメリット酸、トリメシン酸、トリメチロールプロパン等の多官能化合物を共重合させることもできる。
前記共重合ポリエステルを製造する際に用いる触媒としては、例えば、アルカリ土類金属化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、チタン/ケイ素複合酸化物、ゲルマニウム化合物などが使用できる。これらのなかでも、チタン化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、アルミニウム化合物が触媒活性の点から好ましい。
前記共重合ポリエステルを製造する際に、熱安定剤としてリン化合物を添加することが好ましい。前記リン化合物としては、例えばリン酸、亜リン酸などが好ましい。
前記共重合ポリエステルは、成型性、密着性、製膜安定性の点から、固有粘度が0.50dl/g以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.55dl/g以上、特に好ましくは0.60dl/g以上である。固有粘度が0.50dl/g未満では、成型性が低下する傾向がある。また、メルトラインに異物除去のためのフィルターを設けた場合、溶融樹脂の押出時における吐出安定性の点から、固有粘度の上限を1.0dl/gとすることが好ましい。
本発明において基材フィルムとして使用されるポリエステルフィルムは、共重合成分が多い共重合ポリエステルをホモポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)とブレンドして、共重合成分量を調整する。
ブレンド法を用いてフィルムを製膜することによって、共重合ポリエステルのみを用いた場合と同等の柔軟性を維持しながら透明性と高い融点(耐熱性)を実現することができる。また、ホモポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)のみを用いた場合に対し、弾性率が高くなり過ぎず、触媒層の熱転写時に転写部に圧力が均一にかかりやすくなり、転写ムラが生じにくくなる。
また、前記共重合ポリエステルと、ポリエチレンテレフタレート以外のホモポリエステル(例えば、ポリテトラメチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート)を少なくとも1種以上ブレンドして、本発明の成型用ポリエステルフィルムの原料として使用しても構わない。
ポリエステルフィルムの滑り性、巻き性などのハンドリング性を改善するために、フィルム中に不活性粒子を含有させてもよい。
本発明の離型フィルムのヘイズは、10%以下であることが好ましい。ヘイズを10%以下とすることで、得られた離型フィルムの外観検査を容易にすることができる。
本発明においてポリエステルフィルムの厚みは特に限定されないが、12〜100μmの範囲であることが好ましい。12〜75μmがより好ましく、16〜50μmがさらに好ましい。12μm以上であると触媒層を成型、転写する際にシワが入いりにくく好ましい。また、100μm以下であるとコスト的に有利であり、剛性が強過ぎない(硬すぎない)ので好ましい。
本発明に用いるポリエステルフィルムは、製造される離型フィルムの熱収縮率を抑制するために小さい熱収縮率を有していることが好ましい。例えば、後述の離型フィルムの熱収縮率と同様の測定方法によって、160℃で30分処理したときの熱収縮率が、2.5%以下であることが好ましく、より好ましくは、2.0%以下であり、さらに好ましくは1.5%以下であり、特に好ましくは1.0%以下である。但し、本発明の離型フィルムの小さな熱収縮率は、単に基材フィルムとなるポリエステルフィルムの小さな熱収縮率からもたらされるものではなく、後述の離型剤塗布後の乾燥工程条件の好適化などを含めて達せられるものである。
本発明に用いるポリエステルフィルムの離型層を積層する面の領域表面平均粗さ(Sa)は、1〜50nmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは2〜30nmである。本発明に用いるポリエステルフィルムの離型層を積層する面の最大突起高さ(P)は、2μm以下であることが好ましく、より好ましくは1.5μm以下である。Saが50nm以下であり、Pが2μm以下であれば、触媒層を転写する場合に、触媒層に割れやピンホールが発生するおそれがなく好ましい。
基材となるポリエステルフィルムは、単層であっても、2種以上の層が積層したものであってもよい。また、本発明の効果を奏する範囲内であれば、必要に応じて、フィルム中に各種添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐光剤、ゲル化防止剤、有機湿潤剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤などが挙げられる。フィルムが積層構成を有する場合は、必要に応じて各層の機能に応じて添加剤を含有させることも好ましい。
ポリエステルフィルムは、例えば上記のポリエステル樹脂をフィルム状に溶融押出、キャスティングドラムで冷却固化させてフィルムを形成させる方法等によって得られる。本発明のポリエステルフィルムとしては、無延伸フィルム、延伸フィルムのいずれも用いることができるが、機械強度や耐薬品性といった耐久性の点からは延伸フィルムであることが好ましい。ポリエステルフィルムが延伸フィルムである場合、その延伸方法は特に限定されず、縦一軸延伸法、横一軸延伸法、縦横逐次二軸延伸法、縦横同時二軸延伸法等を採用することができるが、上述のように二軸延伸ポリエステルフィルムが特に好ましい。
ポリエステルフィルムの表層には、密着向上層との密着性を向上させるため、アンカーコート層、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理などの表面処理を行うこともできる。アンカーコート層を設ける場合は、コストなどの観点からインラインコーティングで行うことが好ましい。
本発明の離型フィルムは、150℃以上加熱時の熱収縮を制御し、ポリエステルフィルムから析出するオリゴマーを抑制することが好ましい。熱収縮を制御する方法としては、特に限定されないが、ポリエステルフィルムをアニール処理することが挙げられる。アニール処理は、ポリエステルフィルムを成型するときにインラインで行っても、成型後の離型層加工時などのオフラインで行ってもよい。
ポリエステルフィルムから析出するオリゴマーを抑制する方法としては、特に限定されないが、ポリエステルフィルムに用いる樹脂を改質する方法や、ポリエステルフィルムにコーティングなどの手段を用いてオリゴマー析出防止層を設けることが挙げられる。
本発明に用いる基材ポリエステルフィルムの熱収縮率を抑制するためには、ポリエステルフィルムを製膜中(インライン)にアニール処理を行ってもよいし、オフラインでアニール処理を行ってもよい。また、インラインのアニールとオフラインのアニールを併用してもよい。
本発明において基材フィルムとして使用されるポリエステルフィルムは、二軸延伸フィルムであることが特に好ましい。本発明においては、二軸延伸による分子配向により、前記のフィルムの微小張力(初期荷重49mN)下での熱変形率を制御することができ、未延伸シートの欠点である耐溶剤性や寸法安定性が改善される。すなわち、未延伸シートの加熱時の変形し易さ(電解質膜の表面凹凸に対する追従性)を維持しつつ、未延伸シートの欠点である耐溶剤性や耐熱性を改善することができるものである。
前記二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法として、例えばポリエステル樹脂を必要に応じて乾燥した後、公知の溶融押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、静電印加などの方式によりキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸シートを得た後、かかる未延伸シートを二軸延伸する方法を用いる。
二軸延伸方法としては、未延伸シートをフィルムの長手方向(MD)及び幅方向(TD)に延伸、熱処理し、目的とする面内配向度を有する二軸延伸フィルムを得る方法が採用される。これらの方式の中でも、フィルム品質の点で、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸するMD/TD法、又は幅方向に延伸した後、長手方向に延伸するTD/MD法などの逐次二軸延伸方式、長手方向及び幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方式が望ましい。また、同時二軸延伸法の場合、リニアモーターで駆動するテンターを用いてもよい。さらに、必要に応じて、同一方向の延伸を多段階に分けて行う多段延伸法を用いても構わない。
二軸延伸する際のフィルム延伸倍率としては、長手方向と幅方向に1.6〜4.2倍とすることが好ましく、特に好ましくは1.7〜4.0倍である。この場合、長手方向と幅方向の延伸倍率はどちらを大きくしてもよいし、同一倍率としてもよい。長手方向の延伸倍率は2.8〜4.0倍、幅方向の延伸倍率は3.0〜4.5倍で行うことがより好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムを製造する際の延伸条件は、本発明で規定した上記特性を満足させるために、例えば、下記の条件を採用することが選択することが特に好ましい。
縦延伸においては、後の横延伸がスムースにできるように、延伸温度は50〜110℃、延伸倍率は1.6〜4.0倍とすることがさらに好ましい。
通常、ポリエチレンテレフタレートを延伸する際に、適切な条件に比べ延伸温度が低い場合は、横延伸の開始初期で急激に降伏応力が高くなるため、延伸ができない。また、たとえ延伸ができても厚みや延伸倍率が不均一になりやすいため好ましくない。
また、適切な条件に比べ延伸温度が高い場合は初期の応力は低くなるが、延伸倍率が高くなっても応力は高くならない。そのため、25℃における100%伸張時応力が小さいフィルムとなる。よって、最適な延伸温度をとることにより、延伸性を確保しながら配向の高いフィルムを得ることができる。
しかしながら、前記共重合ポリエステルのエステル構成ユニット(例えば、テレフタル酸とネオペンチルグリコールからなるエステル構成ユニットや、テレフタル酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールかならるエステル構成ユニットなど))を1〜40モル%含む場合、降伏応力をなくすように延伸温度を高くしていくと、延伸応力は急激に低下する。特に、延伸の後半でも応力が高くならないため、配向が高くならず、25℃における100%伸張時応力が低下する。そのため、本発明において、共重合したポリエステルを用いたフィルムの場合、横方向の延伸温度は、以下の条件とすることが好ましい。
まず、予熱温度は50℃〜150℃とすることが好ましい。次いで、横延伸の前半部では延伸温度は予熱温度に対して−20℃〜+25℃とすることが好ましく、特に好ましくは−15℃〜+25℃とする。また、横延伸の後半部では、延伸温度は前半部の延伸温度に対して0℃〜−40℃とすることが好ましく、特に好ましくは−10℃〜−40℃とする。このような条件を採用することにより、横延伸の前半では降伏応力が小さいため延伸しやすく、また後半では配向しやすくなる。なお、横方向の延伸倍率は、2.5〜5.0倍とすることが好ましい。
さらに、二軸延伸後にフィルムの熱処理を行うが、この熱処理は、オーブン中で行う。また、熱処理温度及び熱処理時間は必要とされる熱収縮率のレベルによって、下記の範囲内で設定する。熱処理温度は120〜245℃の範囲が好ましく、特に好ましくは150〜240℃である。熱処理時間は、1〜60秒間行うことが好ましい。なお、かかる熱処理はフィルムをその長手方向及び/又は幅方向に弛緩させつつ行ってもよい。なお、本発明においては、前記熱処理温度は前記の熱処理温度の範囲内でも、使用するフィルム原料の組成によって好適な範囲が異なるので、フィルムの面配向度が0.095以下となるように熱処理温度を設定することが重要である。その理由は、後で詳述する。
インラインでアニール処理を実施する場合、例えば、一般的に下記の方法を利用することができる。フィルムの長手方向及び横方向の160℃での熱収縮率を小さくするためには、熱処理温度を高くすること、熱処理時間を長くすること、弛緩処理を行うことが好ましい。熱処理温度は200〜230℃で、弛緩率1〜8%で弛緩させながら行うことが好ましい。さらに、再延伸を各方向に対して1回以上行ってもよく、その後熱処理を行ってもよい。
フィルムの長手方向及び横方向の160℃での熱収縮率を小さくするために、製造ラインを長くして熱処理時間を長くすることは設備上の制約により困難である。また、フィルムの送り速度を遅くすると、生産性が低下してしまう。このように、延伸区間までは区間温度を100℃近傍とかなり低温にすることが重要である。一方、熱固定では200℃程度の高温に速やかに昇温することが重要である。したがって、該課題を解決する方策として熱処理ゾーンに遠赤外線ヒータを設置し加熱を補強することが好ましい実施態様として推奨される。
さらに、延伸区間と熱固定区間の間に1m以上の断熱区間を設け、断熱区間以後の加熱効率を上げる方法が挙げられる。具体的には、区間ごとの仕切りを強化して熱流の漏れを小さくすることで加熱効率を上げることができる。また、風量のバランス及び強さを調整することにより、風量を確保しつつ、オーブン内圧力を調整し、熱流の漏れを抑制する方法を用いてもよい。また、熱風加熱では不足する加熱に関しては強加熱区間に赤外線ヒータを付加する方法も好適である。そのほかに、熱固定区間の長さ、区画数を増やすことで、加熱量を増加させる。などの方法も有効である。
本発明の離型フィルムは、フィルムの長手方向及び幅方向における30℃における貯蔵弾性率が1500MPa以上であり、100℃における貯蔵弾性率が1000MPa以下であることが好ましく、より好ましくは、更に、150℃における貯蔵弾性率が20MPa以上500MPa以下であるが、このような貯蔵弾性率を達成するためには、前記の共重合ポリエステルを構成成分として含むフィルムを製造する際に、フィルムの面配向度を特定範囲に制御することが好ましく、すなわち、フィルムの面配向度を0.095以下に低くすることが好ましく、特に好ましくは0.001〜0.090に制御する。このように面配向度を低くすることにより、前記のフィルムの貯蔵弾性率を調節することができる。
しかしながら、単にフィルムの面配向度を低くしただけでは、貯蔵弾性率が小さくなりすぎる。本発明の好ましい実施態様である分岐状脂肪族グリコール及び/又は脂環族グリコールを共重合成分とする共重合ポリエステルをフィルム原料として用いる場合、該グリコール類の分子構造の嵩高さにより高温での分子運動性を抑制することができる。さらに、特定の延伸条件を用いてフィルムの面配向度を低くすることによる相乗手段により、前記の離型フィルムの貯蔵弾性率を前記範囲に制御することができる。
上記のごとく二軸配向ポリエステルフィルムの面配向度を低いレベルに設定することが好ましい実施態様の一つである。一般に、面配向度を下げる手段としては延伸倍率を下げる方法と熱固定温度を上げる方法が知られているが、前者の方法はフィルムの厚み斑が悪化するので好ましくない。したがって、後者の方法が好ましい。後者の場合は前記の課題が生ずるが、好ましい実施態様として例示した方法等で回避できる。また、本発明においては二軸配向ポリエステルフィルムとして共重合ポリエステルを用いる必要があり、融点が均一重合体に比して低いため、熱固定温度を高くすると、横延伸工程でフィルムを保持するクリップにフィルムが融着しやすくなる。したがって、テンター出口でクリップがフィルムを開放するときにクリップ近傍が充分に冷却することが重要である。具体的には、フィルムとクリップとの融着を防止するために、(1)クリップが加熱されにくいように、クリップ部分に熱遮蔽壁を設ける方法、(2)クリップ冷却機構をテンターに付加する方法、(3)冷却能力の強化を行うために熱固定後の冷却区間を長く設定し、フィルム全体の冷却を十分行う方法、(4)冷却区間の長さ、区画数を増やすことで、冷却効率を増加させる方法、(5)クリップの戻り部分が炉の外側を走行するタイプを用いてクリップの冷却を強化する方法、などを採用することが好ましい。ここで、融点とは、いわゆる示差走査熱量測定(DSC)の1次昇温時に検出される融解時の吸熱ピーク温度のことである。該融点は、示差走査熱量分析装置(デュポン社製、V4.OB2000型)を用いて、昇温速度20℃/分で測定して求める値である。
オフラインでアニール処理を実施する場合、後述する離型層を塗布するときに同時に行うことができ、この方法が特に効果的に製品である離型フィルムの熱収縮率を抑制できるので好ましい。
(オリゴマー析出防止層)
本発明では、前記ポリエステルフィルムの少なくとも片面にオリゴマー析出防止層を設けてもよい。オリゴマー析出防止層を設ける面は、ポリエステルフィルムの後述の離型層を設けた面の反対側に設けることが好ましく、加えて離型層とポリエステルフィルムに挟まれた界面に設けることでポリエステルフィルムの両面からのオリゴマーの析出を防止することがさらに好ましい。オリゴマー析出防止層を設けることで、オリゴマーが析出しやすいポリエステルフィルムを用いてもオリゴマーの離型フィルム表面への析出を抑制し、オリゴマーによる工程汚染や転写物である固体高分子型燃料電池構成部材への移行が少なくすることができるため好ましい。
オリゴマー析出防止層に用いる樹脂としては特に限定されないが、ポリエステル系樹脂、イソシアネート系樹脂、アクリレート系樹脂、メラミン系樹脂の少なくとも1種類以上を含むことが好ましい。これらのオリゴマー析出防止層は、コーティングによりポリエステルフィルム上に設けることが好ましい。オリゴマー析出防止層はポリエステルフィルムの製膜時に設けてもよく、離型層の塗布時に連続して設けてもよい。
(離型層)
本発明では、前記ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層を設けることが必要である。離型層に用いる樹脂としては特に限定されないが、オレフィン系樹脂および、フッ素系樹脂の少なくとも1種類以上を含むことが好ましい。これらの離型層は、コーティングによりポリエステルフィルム上に設けることが好ましい形態である。
離型層に用いるオレフィン系樹脂の例としては、共重合ポリエチレン、環状ポリオレフィン、ポリメチルペンテンなどが挙げられるが、耐熱性の観点から、環状ポリオレフィン、ポリメチルペンテンなどを用いることが好ましい。前記樹脂を離型層に用いることで、150℃以上で熱処理した場合にも、ナフィオンなどの電解質膜などに使用されるバインダーとの離型性を保つことができるため好適である。
共重合ポリエチレンは、ポリエチレンに、プロピレン、n−ブテン、n−ペンテン、n−ヘキセンなどのα―オレフィンなどを共重合することができる。これらの樹脂には、ヒドロキシル基やカルボキシル基などの官能基を導入し、架橋剤と架橋させることで、ポリエステルフィルムとの密着性を向上することができる。
環状ポリオレフィンは、重合成分として環状オレフィンを含む樹脂のことである。環状オレフィンは、環内にエチレン性二重結合を有する重合性の環状オレフィンであり、単環式オレフィン、二環式オレフィン、三環以上の多環式オレフィンなどに分類することができる。単環式オレフィンの例としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの環状C4−12シクロオレフィン類などが挙げられる。二環式オレフィンの例としては、2−ノルボルネン;5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネンなどのアルキル基(C1―4アルキル基)を有するノルボルネン類;5−エチリデン−2−ノルボルネンなどのアルケニル基を有するノルボルネン類;5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネンなどのアルコキシカルボニル基を有するノルボルネン類;5−シアノ−2−ノルボルネンなどのシアノ基を有するノルボルネン類;5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネンなどのアリール基を有するノルボルネン類;オクタリン;6−エチル−オクタヒドロナフタレンなどのアルキル基を有するオクタリンなどが例示できる。
多環式オレフィンの例としては、ジシクロペンタジエン;2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン、メタノオクタヒドロフルオレン、ジメタノオクタヒドロナフタレン、ジメタノシクロペンタジエノナフタレン、メタノオクタヒドロシクロペンタジエノナフタレンなどの誘導体;6−エチル−オクタヒドロナフタレンなどの置換基を有する誘導体;シクロペンタジエンとテトラヒドロインデン等との付加物、シクロペンタジエンの3〜4量体などが挙げられる。
これらの環状オレフィンは、単独もしくは二種以上を組み合わせて使用できる。これらの環状オレフィンのなかでも二環式オレフィンを用いることが、柔軟性と離型性を両立できるため好ましい。環状オレフィン全体に占める二環式オレフィン(特にノルボルネン類)の割合は10モル%以上であってもよく、例えば、30モル%以上、好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上であり、二環式オレフィン単独(100モル%)であってもよい。特に、三環以上の多環式オレフィンの割合が大きくなると、ロール・ツー・ロール方式での製造に用いることが困難となるため好ましくない。
二環式オレフィンの具体例としては、ノルボルネン(2−ノルボルネン、置換基を有していてもよい)、オクタリン(オクタヒドロナフタレン、置換基を有していてもよい)などが例示できる。前記置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、シアノ基、アミド基、ハロゲン原子などが例示できる。これらの置換基は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。これらの二環式オレフィンのうち、ノルボルネンやアルキル基(メチル基、エチル基などのC1−4アルキル基)を有するノルボルネンなどのノルボルネン類が特に好ましい。
環状ポリオレフィンは、さらに鎖状オレフィンを重合成分として含む環状オレフィン−鎖状オレフィン共重合体であるのが好ましい。前記共重合体を用いることで柔軟性を付与することができ、加工しやすくなる。
鎖状オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどの鎖状C2−10オレフィン類などが挙げられる。これらの鎖状オレフィンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの鎖状オレフィンのうち、好ましくはα−鎖状C2−8オレフィン類であり、さらに好ましくはα−鎖状C2−4オレフィン類(特に、エチレン)である。
環状オレフィンと鎖状オレフィンとの割合(モル比)は、例えば、環状オレフィン/鎖状オレフィン=100/0〜1/99、好ましくは90/10〜10/90、さらに好ましくは70/30〜20/80程度である。環状オレフィンの割合が少なすぎると、耐熱性が低下し、剥離性も低下するため好ましくない。
他の共重合性単量体としては、例えば、ビニルエステル系単量体(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど);ジエン系単量体(例えば、ブタジエン、イソプレンなど);(メタ)アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸、又はこれらの誘導体((メタ)アクリル酸エステルなど)など]などが例示できる。これらの他の共重合性単量体は単独で又は二種以上組み合わせてもよい。これらの他の共重合性単量体の含有量は、環状ポリオレフィン全体に対して、例えば、5モル%以下、好ましくは1モル%以下である。
環状ポリオレフィンは、付加重合により得られた樹脂であってもよく、開環重合(開環メタセシス重合など)により得られた樹脂であってもよい。また、開環メタセシス重合により得られた重合体は、水素添加された水添樹脂であってもよい。環状ポリオレフィンの重合方法は、慣用の方法、例えば、メタセシス重合触媒を用いた開環メタセシス重合、チーグラー型触媒を用いた付加重合、メタロセン系触媒を用いた付加重合(通常、メタセシス重合触媒を用いた開環メタセシス重合)などを利用できる。
本発明で用いる環状ポリオレフィンのガラス転移温度(Tg)は10〜250℃程度の範囲から選択できるが、耐熱性の点から、例えば、60〜250℃、好ましくは100〜250℃、さらに好ましくは150〜250℃程度である。ガラス転移温度が低すぎると、耐熱性が低下し、高すぎると、ロール・ツー・ロール方式での生産が困難となる。
環状ポリオレフィンの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、例えば、1000〜150000、好ましくは5000〜120000、さらに好ましくは10000〜100000(特に20000〜90000)程度である。
環状ポリオレフィンの市販品としては、TOPAS(登録商標)(ポリプラスチックス社製)があり好適に使用することができる。TOPAS(登録商標)のシリーズの中でもTOPAS(登録商標)6017SはTgが170℃以上あるため、150℃以上の熱処理でも離型層の変質は起こりにくく特に好ましい。
環状ポリオレフィンの市販品としては、ARTON(登録商標)(JSR社製)もあり好適に使用することができるが、ARTON(登録商標)は、一般的に分子内に極性基をもつため、離型層の表面自由エネルギーの極性成分が大きくなり、TOPAS(登録商標)に比べると離型性が劣ることがある。
本発明における離型層に用いるポリメチルペンテン樹脂としては、少なくとも構成単位Aと構成単位Bを含む共重合物である。構成単位Aは、4−メチル−1−ペンテンまたは/および3−メチル−1−ペンテンに由来する樹脂を合計50モル%以上含むことが好ましく、より好ましくは70モル%以上含み、85モル%以上含むとさらに好ましい。それぞれ単独で用いてもよいし併用してもよい。
構成単位Bは、エチレンおよび炭素原子数が3〜4のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種類以上のオレフィン由来の樹脂からなり5モル%以上含むことが好ましい。構成単位Bを含有する上限は、50モル%以下が好ましく、より好ましくは30モル%以下であり、15モル%以下がより好ましい。
構成単位Bに用いられる炭素原子数3〜4のα−オレフィンの例としては、1−ブテン、プロピレンが好適なものとして用いられるが、プロピレンを用いる方が物性などの観点から望ましい。炭素原子数3〜4のα−オレフィンやエチレンなどは、単独で用いてもよいし複数を組み合わせて用いることもできる。
前記ポリメチルペンテン樹脂には、構成単位Aおよび構成単位B以外にも、その他重合性化合物をの構成単位を有してもよい。例えば、スチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナンなどの環状構造を有するビニル化合物;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和有機酸またはその誘導体;ブタジエン、イソプレン、ペンタジエンなどの共役ジエン類;1,4−ヘキサジエン、オクタジエン、シジクロペンタジエン、ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの非共役ポリエン類などが挙げられる。
前記のその他重合性化合物は、構成単位Aと構成単位Bの合計100モル%に対し10モル%以下の比率で含有することができる。より好ましくは、5モル%以下である。
本発明に用いられるポリメチルペンテン樹脂は、変性されていてもよく、酸無水物基、水酸基、カルボキシル基などの活性水素含有基、エポキシ基などの1種類以上の官能基を有することも好ましい形態の一つである。これら官能基を有することで、架橋剤との併用により、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル樹脂への密着性が向上させることができる。これら官能基の導入方法は既知の方法で行うことができる。導入する官能基量は、ポリメチルペンテン樹脂に対し10当量以下であることが好ましい。
本発明で用いるポリメチルペンテン樹脂の重合方法は、既知の方法を用いることができ、例えばメタロセン触媒などのオレフィン重合用の触媒下で重合することで得ることができる。
本発明で好ましく用いられるフッ素系樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PVF(ポリフッ化ビニル)、などやこれら樹脂を用いた共重合体や、PFA(四フッ化エチレン(C2F4)とパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共同合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン(-C2F4-)とエチレン(-C2H4-)の共重合体)などである。また、アクリレート変性したフッ素系の樹脂を多官能アクリレートなどへ添加し使用することもできる。
離型層には、さらに既知の添加剤が含まれていてもよい。既知の添加剤としては、例えば、充填剤、滑剤(ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドなど)、帯電防止剤、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤など)、難燃剤、粘度調整剤、増粘剤、消泡剤、フィラー、紫外線吸収剤などが含まれていてもよい。
本発明における離型層には、上記樹脂以外に架橋剤を用いることもできる。架橋剤としては、イソシアネート系、カルボジイミド系、エポキシ系、メラミン系、金属キレート系などを使用することができる。離型層に用いる樹脂に反応性の官能基を有する場合は、架橋剤を併用することでポリエステルフィルムとの密着性を向上させることができるため好適である。
本発明における離型層の膜厚は、0.03μm以上、5μm以下であることが望ましい。より望ましくは、0.05μm以上、3μm以下である。0.03μmよりも薄いと離型性が不十分になる可能性があり、5μmよりも厚いとフィルムのカールやコストに影響を与えることがあるため、望ましくない。
本発明の離型層の表面自由エネルギーγsは特に限定されないが、表面自由エネルギーの極性成分γspと水素結合成分γshの合計が8mJ/m以下であることが好ましく、5mJ/m以下の方がさらに好ましく、2mJ/m以下がさらに好ましい。表面自由エネルギーの極性成分γspと水素結合成分γshの合計が8mJ/m以下であると、150℃以上での熱圧着工程を経た後でも離型性が損なわれることがなく好ましい。表面自由エネルギーの極性成分γspと水素結合成分γshの合計の下限としては、0mJ/mのものも製造可能である。
本発明の離型フィルムは、160℃で30分熱処理した後の熱収縮率が2.5%以下であることが好ましい。より好ましくは2.0%以下であり、更に好ましくは1.5%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.8%以下である。本発明でいう熱収縮率とは、後述の測定法によって、試料フィルムの縦方向と横方向のデータをそれぞれ採取して、そのうち大きいデータを採用するものである。熱収縮率が2.5%以下であると、150℃以上の高温での熱成型であっても、高分子電解質膜や触媒層に割れなどがなく成型できるので好ましい。但し、採用条件によっては、熱収縮率の下限値は、若干のマイナスデータとなる場合もあり、例えば−1.0%以上であれば好ましい。最も好ましくは±0%であると言える。
本発明における離型層は、高温で熱処理されても離型性を有するため、150℃で10分熱処理を行った場合でも離型性が良好であることが好ましい。またさらに170℃10分熱処理を行った場合でも離型性を保つことができるとさらに好ましい。そのため、離型層には前記樹脂の中でも耐熱性に優れる材料を使うことが好ましい。
本発明の離型層を設ける手段としては特に限定されないが、ポリエステルフィルムに溶液塗工することで設けることが好ましい。溶液塗工で設けることで、平滑な離型層を設けることができ、かつオフラインでのアニール処理を同時にすることができコスト的にもメリットがある。
本発明の離型剤を塗工する場合の溶剤は特に限定されず既知の溶剤を使用することができる。溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソロブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソロブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソロブ)、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類などが挙げられる。
離型層を設ける塗工方式は特に限定されず、既知の方法を用いることができる。例えば、グラビアコート法、ダイコート法、リバースコート法、スプレーコート法、カーテンコート法、バーコート法などが挙げられる。
離型剤を塗工した後の乾燥温度は、90℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがさらに好ましい。特にオフラインでアニール処理を実施する場合は、130℃以上が必要であり、より好ましくは150℃以上である。乾燥温度の上限は、200℃以下が好ましく、さらに好ましくは190℃以下である。前記温度をかける時間は、3秒以上、120秒以下であることが好ましく、5秒以上90秒以下であることがさらに好ましい。さらに好ましくは、5秒以上60秒以下である。前記時間内とすることで、目的のアニール処理を達成し、かつ熱シワなどが良好なフィルムが得られる。
オフラインでアニールする場合、離型層を乾燥するときの乾燥炉内のフィルムにかかる張力は、1500mN/mm以下にすることが好ましい。さらに好ましくは1000mN/mm2以下である。1500mN/mm以下に張力とすることで、フィルムに実質的に張力がかからず、目的の温度でアニール処理することができ、MD方向の160℃熱収縮率を2.5%以下にすることができる。なおフィルムにかかる張力は、以下の計算式から求めた。
フィルムにかかる張力(mN/mm)=乾燥炉内の張力(mN)÷フィルムの幅(mm)÷フィルムの厚み(mm)
前記、乾燥温度と乾燥炉内張力を最適に組み合わせることで目的の熱収縮率を得ることができる。より理想的の例としては、乾燥温度150℃以上、乾燥・アニール時間10秒以上、乾燥炉内張力800mN/mm以下である。これらの条件を組み合わせることで、160℃30分熱処理後の熱収縮率をより低くすることも可能であり、固体高分子型燃料電池部材成型用途等の離型フィルムとして好適に使用することができる。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、もちろん本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本発明に用いた評価方法は以下の通りである。
(ポリエステル樹脂の固有粘度(dl/g))
JIS K 7367−5に準拠し、溶媒としてフェノール(60質量%)と1,1,2,2−テトラクロロエタン(40質量%)の混合溶媒を用い、30℃で測定した。
(離型フィルムの貯蔵弾性率)
動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御(株)製、DVA 225)を用い、下記の条件下で、フィルムの長手方向(MD)及び幅方向(TD)における30℃、100℃及び150℃での貯蔵弾性率(E′)を求めた。測定は、引張モードで行った。
(a)サンプル幅:5mm
(b)測定温度範囲:20〜250℃
(c)周波数:10Hz
(d)昇温速度:10℃/分
表1においては、フィルムの「長手方向(MD)/幅方向(TD)」の順にデータを記載しており、本発明の離型フィルムに含まれるかどうかは、各温度測定における規定範囲にいずれか一方向のデータが該当すれば含まれることとする。
(離型フィルムヘイズ)
本発明のフィルムヘイズはJIS K 7136に準拠し、濁度計(日本電色製、NDH2000)を用いて測定した。
(ΔHz)
150℃で30分熱処理した後のヘイズの変化量は、離型フィルムを熱風オーブンにて150℃30分熱処理を行った後、同様にヘイズを測定し、熱処理前のヘイズとの差を算出した。即ち、以下の式のようである
150℃30分熱処理前後のフィルムヘイズの変化量(△Hz150)(%)
△Hz150(%)=熱処理後ヘイズ(%)−熱処理前ヘイズ(%)
(オリゴマー転移性評価)
本発明の離型フィルムのオリゴマー転移性については以下の基準で評価した。△Hz150(%)が低いほどオリゴマーの析出が少なく、工程汚染や触媒層などへの転移による電池性能の低下がないと評価した。
○:△Hz150(%)が0.5%以下の場合
△:△Hz150(%)が0.5〜1.0%以下の場合
×:△Hz150(%)が1.0%よりも大きい場合
(表面粗さ)
非接触表面形状計測システム(VertScan R550H−M100)を用いて、下記の条件で測定した値である。領域表面平均粗さ(Sa)は、5回測定の平均値を採用し、最大突起高さ(P)は5回測定の最大値を採用した。
(測定条件)
・測定モード:WAVEモード
・対物レンズ:50倍
・0.5×Tubeレンズ
・測定面積 187×139μm
なお、表1の(Sa)及び(P)は基材ポリエステルフィルムの離型層を積層する面のデータを示している。
(熱収縮率の測定)
離型フィルム等(基材となるポリエステルフィルムも同様に測定可能である)の試料フィルムについて、10cm×10cmの正方形に裁断し、熱風オーブンにて160℃30分熱処理を行った。熱処理後、試料フィルムの縦および横方向の寸法を測定し、下記(1)式に従い熱収縮率を求めた。測定はn=5回行い、試料フィルムの縦方向及び横方向の熱収縮率データの各々の平均値のうち、大きい方の熱収縮率データを採用し、その離型フィルム等の熱収縮率データとする。なお、熱処理前後の寸法を測定するときは、サンプルフィルムを25℃の部屋で12時間以上エージング後に測定を行った。
熱収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/ 収縮前の長さ}×100 (%) (1)式
(表面自由エネルギー)
表面張力が既知の水、ジヨードメタン、ブロモナフタレンの接触角を25℃、50%RHの条件下で接触角計(協和界面科学株式会社製: 全自動接触角計 DM−701)を用いて測定した。計算に用いた接触角は、各液を滴下後10秒後の接触角を採用した。
得られた接触角データを「北崎−畑」理論より計算し離型フィルムの表面自由エネルギーの分散成分γsd、極性成分γsp、水素結合成分γshを求め、各成分を合計したものを表面自由エネルギーγsとした。本計算には、本接触角計ソフトウェア(FAMAS)内の計算ソフトを用いて行った。
(離型性)
離型性については、触媒層および電解質膜によく使用されるNafion(登録商標)(デュポン社製)を用いて擬似触媒層を形成し下記のように評価を行った。
擬似触媒層塗液 (Nafion(登録商標)とカーボンブラックの固形分が質量比で2/8)
20% Nafion(登録商標)20Dispersion Solution DE2021 CS type 10.0質量部
(和光純薬工業社製、固形分20wt%)
カーボンブラック(CABOT社製、VERCANX72R) 8.0質量部
水 24.6質量部
イソプロピルアルコール 57.4質量部
上記擬似触媒層塗液を遠心攪拌機にて分散を行い擬似触媒層用スラリーを得た。得られた擬似触媒層スラリーをアプリケーターを用いて、乾燥後の膜厚が20μmになるように離型フィルムの上に塗工し、熱風オーブンで90℃2分乾燥を行った。乾燥後、150℃で10分間、または170℃で10分間熱処理を行い、1cm×10cmの範囲をメンディングテープを用いて剥離した。剥離できたものを○、剥離できなかったものを×とした。また剥離はできたが、離型フィルムの一部にNafion(登録商標)層が残ったものを△とした。
(触媒層の割れ性評価)
触媒層の割れなどの外観評価は以下のように行った。
擬似触媒層塗液 (Nafion(登録商標)とカーボンブラックの固形分が質量比で2/8)
20% Nafion(登録商標)20Dispersion Solution DE2021 CS type 10.0質量部
(和光純薬工業社製、固形分20wt%)
カーボンブラック(CABOT社製、VERCANX72R) 8.0質量部
水 24.6質量部
イソプロピルアルコール 57.4質量部
上記擬似触媒層塗液を調製し遠心攪拌機にて分散を行い擬似触媒層用スラリーを得た。
得られた擬似触媒層スラリーをアプリケーターを用いて、乾燥後の膜厚が5μmになるように離型フィルムの上に塗工し、熱風オーブンで90℃1分乾燥を行った。作成した擬似触媒層付き離型フィルムを10cm×10cmの大きさに裁断し熱風オーブンで150℃で10分間、または170℃で10分間熱処理し擬似触媒層の状態を以下の基準で評価した。

○:擬似触媒層にひび割れがなく良好
△:擬似触媒層の一部(全面積の10%未満)にひび割れなどの外観不良が見られた
× :擬似触媒層の大部分(全面積の10%以上)にひび割れなどの外観不良が見られた
(触媒層塗工時の加工時のハンドリング性評価)
触媒層に塗工するときの加工性評価を以下のように行った。A4サイズにカットしたフィルムサンプルに前記擬似触媒層塗液をアプリケーターを用いて乾燥後の塗膜厚みが5μmになるように塗工し、120℃に熱した熱風オーブンに2分間入れたあとにガラス板に上にサンプルを置きフィルムの平滑性を評価した。乾燥後のフィルムにシワやフィルム端部のカールがなかったものを○、シワやフィルム端部のカールをあった場合に×と評価した。
(転写工程での圧力均一性評価)
触媒層の転写工程での圧力均一性評価を以下のように行った。前記擬似触媒層塗液をアプリケーターを用いて、乾燥後の膜厚が20μmになるように離型フィルムの上に塗工し、熱風オーブンで90℃2分乾燥を行い、疑似触媒層転写フィルムを作成した。次に、疑似電解質膜として、12μmの厚みのPETフィルム(東洋紡社製 E5100−12μm)にNafion(登録商標)(20Dispersion Solution DE2021 CS type)を乾燥後膜厚が10μmになるように塗工し90℃2分乾燥し疑似電解質膜を作成した。作成した疑似触媒層転写フィルムの触媒層積層面と疑似電解質膜の電解質積層面を重ね合わせ150℃に加熱されたプレス機で圧力50kgf/cm下で30秒間プレスした。その後、フィルムを剥がし疑似電解質膜に転写された触媒層が均一に転写された場合を○、部分的にプレス均一性が悪く転写残りがある場合を×と評価した。
(ポリエステルフィルムAの製造)
芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位100モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位40モル%及びネオペンチルグリコール単位60モル%を構成成分とする、固有粘度が0.69dl/gの共重合ポリエステルのチップ(A)と、固有粘度が0.69dl/gで、かつ、シリカ粒子(富士シリシア化学株式会社製、サイリシア310、平均粒子径(SEM法)2.7μm)を0.09質量%含有するポリエチレンテレフタレートのチップ(B)をそれぞれ乾燥させた。さらに、チップ(A)とチップ(B)を25:75の質量比となるように混合した。次いで、これらのチップ混合物を押出し機によりTダイのスリットから270℃で溶融押出し、表面温度40℃のチルロール上で急冷固化させ、同時に静電印加法を用いてチルロールに密着させながら無定形の未延伸シートを得た。
得られた未延伸シートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に90℃で3.3倍に延伸した。次いで、一軸延伸フィルムをテンターに導き、120℃で10秒間予熱し、横延伸の前半部を110℃、後半部を100℃で3.9倍延伸した。さらに、横方向に7%の弛緩処理を行いながら235℃で熱固定処理を行い、厚さ50μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
なお、熱固定処理ゾーンには、延伸区間との間に2mの中間区間を設け、熱固定ゾーンの加熱用区間には遠赤外線ヒータを設置し、区間ごとの遮蔽板をフィルムに接触しない限界位置まで拡大し、設置した。加熱後の冷却区間においても区間遮蔽を強化し、クリップの戻り方法として外部リターン方式を用い、かつクリップ冷却装置を設置し、さらに20℃の冷風で強制冷却し、テンター出口でのクリップ温度を40℃以下とするクリップ融着防止対策を行った。
(塗布液1の調整)
ジメチルテレフタレート(95質量部)、ジメチルイソフタレート(95質量部)、エチレングリコール(35質量部)、ネオペンチルグリコール(145質量部)、酢酸亜鉛(0.1質量部)および三酸化アンチモン(0.1質量部)を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。次に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(6.0質量部)を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、250℃で減圧下(10〜0.2mmHg)、2時間かけて重縮合反応を行い、数平均分子量が19,500で、軟化点が60℃である共重合ポリエステル(1)を得た。
塗布液1は以下の配合で調整した。調整後、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が10μmのフェルト型ポリプロピレン製フィルターで精密濾過し、塗布液1を得た。
水 59.88質量%
イソプロピルアルコール 25.70質量%
共重合ポリエステルフィルム(1)の水分散液(固形分30質量%) 13.33質量%
スノーテックス(登録商標)XL 1.00質量%
(コロイダルシリカ、日産化学工業社製、平均粒径40nm、固形分40質量%)
MP−4540 0.04質量%
(コロイダルシリカ、日産化学工業社製、平均粒径450nm、固形分40質量%)
界面活性剤 フッ素系ノニオン型 0.05質量%
(DIC社製、メガファックF444)
(ポリエステルフィルムBの製造)
芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位100モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位70モル%及び1,4−シクロヘキサンジメタノール単位30モル%を構成成分とする、固有粘度が0.71dl/gの共重合ポリエステルのチップ(C)と、固有粘度が0.69dl/gのポリエチレンテレフタレートのチップ(D)(粒子含有せず)を50:50の質量比となるように混合し乾燥した。次いで、これらのチップ混合物を押出し機によりTダイのスリットから270℃で溶融押出し、表面温度40℃のチルロール上で急冷固化させ、同時に静電印加法を用いてチルロールに密着させながら無定形の未延伸シートを得た。
得られた未延伸シートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に90℃で3.5倍に延伸した。次いで、一軸延伸フィルムの片面に、上記塗布液1をリバースキスコート法により延伸前の樹脂固形分が0.2μmとなるように塗布した。塗布層を有する積層フィルムを乾燥しながらテンターに導き、120℃で10秒予熱し、横延伸の前半部を105℃、後半部を100℃で3.9倍延伸した。さらに、横方向に7%の弛緩処理を行いながら220℃で熱固定処理を行い、厚さ50μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
なお、熱固定処理ゾーンには、延伸区間との間に2mの中間区間を設け、熱固定ゾーンの加熱用区間には遠赤外線ヒータを設置し、区間ごとの遮蔽板をフィルムに接触しない限界位置まで拡大し、設置した。加熱後の冷却区間においても区間遮蔽を強化し、クリップの戻り方法として外部リターン方式を用い、かつクリップ冷却装置を設置し、さらに20℃の冷風で強制冷却し、テンター出口でのクリップ温度を40℃以下とするクリップ融着防止対策を行った。
(ポリエステルフィルムCの製造)
上記の固有粘度が0.69dl/gで、かつ、シリカ粒子(富士シリシア化学株式会社製、サイリシア310、平均粒子径(SEM法)2.7μm)を0.09質量%含有するポリエチレンテレフタレートのチップ(B)と、上記の固有粘度が0.69dl/gのポリエチレンテレフタレートのチップ(D)(粒子含有せず)をそれぞれ乾燥させた。さらに、チップ(B)とチップ(D)を70:30の質量比となるように混合した。次いで、これらのチップ混合物を押出し機によりTダイのスリットから275℃で溶融押し出した。
そして、押し出した樹脂を、表面温度30℃の冷却ドラム上にキャスティングして静電印加法を用いて冷却ドラム表面に密着させて冷却固化し、未延伸フィルムを作成した。
得られた未延伸シートを、78℃に加熱されたロール群でフィルム温度を75℃に昇温した後、赤外線ヒータで105℃に加熱し、周速差のあるロール群で、フィルム長手方向に3.4倍に延伸した。
次いで、得られた一軸延伸フィルムをクリップで把持し、フィルム幅方向に延伸を行った。幅方向の延伸温度は120℃、幅方向の延伸倍率は4.0倍とした。次いで、240℃で15秒間の熱処理を行い、185℃で3.1%の緩和処理を行い、厚さ50μmのポリエステルフィルムCを得た。
各離型剤は以下のように調整した。
(離型剤A−1)
環状ポリオレフィンのTOPAS(登録商標)6013S(ポリプラスチックス社製)をトルエンに固形分が2質量%になるように投入し、冷却管付きのフラスコでトルエンが還流するまで加熱し、トルエン溶液を得た。
(離型剤A−2)
環状ポリオレフィンのTOPAS(登録商標)6017S(ポリプラスチックス社製)をトルエンに固形分が2質量%になるように投入し、冷却管付きのフラスコでトルエンが還流するまで加熱し、トルエン溶液を得た。
(離型剤A−3)
環状ポリオレフィンのARTON(登録商標)G7810(JSR社製)をトルエンに固形分が2質量%になるように投入し、室温で12時間攪拌しトルエン溶液を得た。
(離型剤B)
窒素下にした1.5L攪拌機付きオートクレーブに、4−メチル−1−ペンテンを750mL、トリイソブチルアルミニウムの1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75mL投入し攪拌した。次に60℃まで加熱しゲージ圧0.12MPaになるようにプロピレンで加圧した。次にあらかじめ調整しておいたメチルアミノキサンをAl換算で1mmol,ジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.005mmolを含むトルエン溶液0.34mlを窒素下でオートクレーブに圧入し、重合反応を開始した。重合反応中、オートクレーブ内温が60℃になるように温度調整を行った。重合開始1時間に、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧に戻した。その後、反応溶液にアセトンを攪拌しながら投入し、得られた溶媒を含むパウダー状の重合体を130℃、減圧下で12時間乾燥した。得られたポリマーは34.7gで、ポリマー中の4−メチル−1−ペンテン含量は94mol%、プロピレン含量は6mol%であった。ポリマーの融点(Tm)は200℃であった。
得られたポリメチルペンテンポリマーをメチルシクロヘキサンに固形分2質量%になるように溶解した。
(実施例1)
幅1000mm、厚み50μmのポリエステルフィルムAに、離型剤A−1をグラビアコート法にてコロナ面に乾燥後の膜厚で100nmになるように塗工後、170℃で9秒間乾燥させた。このとき乾燥炉内の張力は40N/m(単位は幅1m当たりの張力(N))になるように調整し、アニール処理も同時に行うことで離型フィルムを得た。
(実施例2)
離型剤をA−2に変更した以外は、実施例1と同様に加工することで離型フィルムを得た。
(実施例3)
離型剤をA−3に変更した以外は、実施例1と同様に加工することで離型フィルムを得た。
(実施例4)
離型剤をBに変更した以外は、実施例1と同様に加工することで離型フィルムを得た。
(実施例
ポリエステルフィルムBに離型剤をA−2塗工した以外は、実施例と同様に加工することで離型フィルムを得た。
(実施例
乾燥温度を130℃に変更した以外は、実施例と同様に加工することで離型フィルムを得た。
(実施例
乾燥温度を150℃に変更した以外は、実施例と同様に加工することで離型フィルムを得た。
(実施例
乾燥条件を175℃75秒に変更し、乾燥炉内の張力を12N/m(単位は幅1m当たりの張力(N))に変更した以外は、実施例と同様に加工することで離型フィルムを得た。
(実施例
乾燥条件を120℃30秒に変更し、乾燥炉内の張力を120N/m(単位は幅1m当たりの張力(N))に変更した以外は、実施例2と同様に加工することで離型フィルムを得た。
(比較例1)
幅1000mm、厚み50μmのポリエステルフィルムCの片方面に、離型剤A−2をグラビアコート法にてコロナ面に乾燥後の膜厚で100nmになるように塗工した以外は、実施例2と同様に加工することで離型フィルムを得た。
(参考例1)
厚み50μmのPTFEシート(ニチアス社製 ナフロン(登録商標)PTFEシート TOMBO No.9000)を用いて評価を行った。
実施例および比較例の離型フィルムについて評価を行い、表1にまとめた。
Figure 0006988947
発明によれば、固体高分子燃料電池部材成型用途に代表される電子部品製造用途等に好適に使用される離型フィルムとして、触媒層塗工時の加工時のハンドリング性を保持しつつ、転写工程での圧力均一性を向上させることができ、転写性に優れた離型フィルムを提供することができる。

Claims (4)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層を有する離型フィルムであって、前記離型フィルムの30℃における貯蔵弾性率が1500MPa以上であり、
    100℃における貯蔵弾性率が1000MPa以下であり、
    150℃における貯蔵弾性率が、20MPa以上500MPa以下であり、
    離型フィルムを160℃で30分処理したときの熱収縮率が1.0%以下であり、
    離型層表面の表面自由エネルギーの極性成分と水素結合成分を合計した値が8mJ/m以下であり、
    ポリエステルフィルムは、ホモポリエステルと共重合ポリエステルが混合使用されてなるポリエステルフィルムであり、
    離型層が、環状ポリオレフィン又はポリメチルペンテンを含む
    ことを特徴とする離型フィルム。
  2. 電子部品製造用途として用いられることを特徴とする請求項1に記載の離型フィルム。
  3. ポリエステルフィルムの融点が256℃未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の離型フィルム。
  4. ポリエステルフィルムは、テレフタル酸とエチレングリコール及びネオペンチルグリコールを構成成分とするポリエステルとポリエチレンテレフタレートとの混合物、又は、テレフタル酸とエチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールを構成成分とするポリエステルとポリエチレンテレフタレートとの混合物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の離型フィルム。
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