JP2018012127A - 演算装置および演算方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷間圧延において、良好な圧延形状が得られるように影響係数を設定できる演算装置および演算方法を提供すること。
【解決手段】演算装置は、圧延材(8)における複数箇所間の、補正による伸び率差の変化量を示すと共に、補正値を変数として含む数式を用いて補正値を算出する変化量算出部(23)を備え、数式は、伸び率差に及ぼす形状制御機構の影響度を示す影響係数を含み、影響係数は、圧延材(8)の単位幅に加えられる荷重と圧延材(8)の幅とを変数として含む関数で表されている。
【選択図】図6

Description

本発明は、冷間圧延における圧延材の形状制御に用いられる形状制御機構の制御量を補正するための補正値を算出する演算装置および演算方法に関する。
冷間圧延では、圧延中(稼働中の圧延ライン)の圧延材の圧延形状を、圧延機出側に配置された形状検出器を用いて測定し、その測定結果から制御式に基づいて、ロールベンダー、ロールシフト機構、およびバックアップロールのサドル押込み、等の形状制御機構の制御量を補正する方法が一般的に採用されている(非特許文献1参照)。圧延形状とは、圧延材の板形状のことであり、代表的な形状不良としては、耳伸び(圧延方向において薄板の中央よりも板端部の伸びが長い)、および中伸び(圧延方向において板端部よりも中央の伸びが長い)がある。
また、このような圧延機出側での形状検出に基づく形状制御に先立って、圧延開始前に、形状制御機構等の制御量の関数で表わした制御式に基づいて圧延形状を予測し、形状制御機構の制御量を初期設定するプリセット制御が一般に行われている。
圧延中の形状制御およびプリセット制御のいずれの場合においても、制御式には、伸び率差に及ぼす形状制御機構の影響度を示す影響係数が用いられる。この影響係数は、板幅、板厚、または材質等の区分毎にテーブル設定される。或いは、影響係数は、板幅、板厚、および材質等の関数として数式化される。
社団法人日本鉄鋼協会 編,「板圧延の理論と実際(改訂版)」,2010年9月30日,p310〜p312
しかし、影響係数を板幅、板厚、または材質等の区分毎にテーブル設定する場合、テーブルの区分が粗いと、同一区分内の影響係数の誤差が大きくなり、精度が悪くなる。そのため、影響係数を組み込んだ制御式に基づいて得られる圧延形状が悪化し得る。したがって、テーブルの区分を細かくして、多数のテーブルを用意することが必要となり、コンピュータの記憶領域に占める割合が大きくなるとともに、テープル値の管理も複雑となるという問題がある。
また、影響係数を数式化する場合、影響係数の高精度な近似式がなく、以下のような問題があった。すなわち、例えば、板幅、板厚、および材質(材料の変形抵抗)の関数として近似した場合、影響係数の誤差が大きくなり、影響係数を組み込んだ制御式に基づいて得られる圧延形状が悪化する場合があるという問題がある。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、良好な圧延形状が得られるように影響係数を設定できる演算装置および演算方法を提供することにある。
本発明の一態様における演算装置は、圧延材の圧延形状を制御する、冷間圧延機が備える形状制御機構の制御量を補正するための補正値を算出する演算装置であって、前記圧延材における複数箇所間の、補正による伸び率差の変化量を示すと共に、前記補正値を変数として含む数式を用いて前記補正値を算出する算出部を備え、前記数式は、前記伸び率差に及ぼす前記形状制御機構の影響度を示す影響係数を含み、前記影響係数は、前記圧延材の単位幅に加えられる荷重と前記圧延材の幅とを変数として含む関数で表されている。
本発明の一態様における演算方法は、圧延材の圧延形状を制御する、冷間圧延機が備える形状制御機構の制御量を補正するための補正値を算出する演算方法であって、前記演算方法は、前記圧延材における複数箇所間の、補正による伸び率差の変化量を示すと共に、前記補正値を変数として含む数式を用いる方法であり、前記数式に含まれる、前記伸び率差に及ぼす前記形状制御機構の影響度を示す影響係数を算出する影響係数算出工程と、算出された影響係数を含む前記数式を用いて前記補正値を算出する補正値算出工程とを含み、前記影響係数は、前記圧延材の単位幅に加えられる荷重と前記圧延材の幅とを変数として含む関数で表されている。
本発明の一態様においては、良好な形状の圧延材が得られる影響係数を設定することができる。
本発明の実施形態1における演算装置を備える多段圧延機の一例としての6段圧延機の構成を示す概略図である。 板端部における伸び率と板幅中央における伸び率との差Yに及ぼす中間ロールベンダー力Fiの影響を示すグラフである。 ワークサイドの伸び率とドライブサイドの伸び率との差Yに及ぼす、差荷重Sの影響を示すグラフである。 中間ロールベンダー力Fiの影響係数A1に及ぼす、単位幅荷重pおよび板幅Wの影響を示すグラフである。 差荷重Sの影響係数A2に及ぼす、単位幅荷重pおよび板幅Wの影響を示すグラフである。 前記6段圧延機が含むプロセスコンピュータの概略的な構成を示すブロック図である。 前記プロセスコンピュータが実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。 本発明の実施例において圧延された鋼帯の板端部における伸び率と板幅中央における伸び率との差Yの目標値と実績値の差の分布を示すグラフである。 従来法で圧延された鋼帯の板端部における伸び率と板幅中央における伸び率との差Yの目標値と実績値の差の分布を示すグラフである。
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について、図1〜9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、以下の記載は発明の趣旨をより良く理解させるためのものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、本明細書において、「A〜B」とは、A以上B以下であることを示している。
以下の説明においては、本発明の一態様における演算装置についての理解を容易にするために、先ず、前記演算装置が算出する補正値を用いて形状制御機構の制御が行われる多段圧延機の一例としての6段圧延機の概要を、図1に基づいて説明する。
(6段圧延機の概略的構成)
図1は、本実施の形態における演算装置を備える多段圧延機の一例としての6段圧延機1の構成を示す概略図である。6段圧延機1は、圧延材8を冷間圧延する冷間圧延機である。この6段圧延機1は、複数の圧延機が連続的に配置された圧延システムにおける最終パスの圧延機であってもよいし、最終パスを含む複数パスを実行する単一の圧延機であってもよい。圧延材8としては、例えば鋼帯等の金属帯である。圧延材8は樹脂材であってもよい。
図1に示すように、6段圧延機1は、圧延材8をその厚さ方向に挟み込む一対のワークロール9、一対のワークロール9をその対向方向に各々押圧する一対のバックアップロール11、および、ワークロール9とバックアップロール11との間に配され、ワークロール9を支持する一対の中間ロール10、を備えている。図1において、これらのロールは、紙面に対して垂直方向が長手方向となっており、圧延材8は紙面上を右方向から左方向へと流れて圧延されるようになっている。
また、6段圧延機1は、中間ロールシフト機構2、中間ロールベンダー3、差荷重発生装置4、形状検出器7、およびプロセスコンピュータ6を備えている。ここで、中間ロールシフト機構2および中間ロールベンダー3は、圧延後の薄板の圧延形状の対称成分を制御する形状制御機構である。また、差荷重発生装置4は、圧延後の薄板の圧延形状の非対称成分を制御する形状制御機構である。
中間ロールシフト機構2は、片側端部に1段あるいは多段のテーパ部を設けた中間ロール10をその軸方向に移動させることにより、該テーパ部を移動させ、これにより、中間ロール10と、ワークロール9およびバックアップロール11との接触荷重分布を変化させ、圧延後の薄板の圧延形状を制御する。なお、中間ロール10はテーパ部が設けられていなくてもよい。
中間ロールベンダー3は、中間ロール10が圧延材8の厚さ方向に曲がる力を、中間ロール10に付与する。
差荷重発生装置4は、バックアップロール11の長手方向における荷重の非対称性を制御するための差荷重を発生させる装置である。ここで、バックアップロール11には、その両端の軸受部(チョック)を介して、油圧により荷重がかかるようになっていてもよい。この場合、荷重がかかるのは、ドライブサイドのチョックと、ワークサイドのチョックとの2箇所である。ドライブサイドとは、6段圧延機1において、前記ワークロール9を回転させるためのモータ(図示せず)が設けられている側であり、ワークサイドとは、6段圧延機1を挟んでドライブサイドの反対側のことである。差荷重発生装置4は、ドライブサイドのチョックにかかる荷重と、ワークサイドのチョックにかかる荷重とについて、互いの荷重に差を発生させる装置であり、この荷重の差が差荷重である。
形状検出器7は、圧延後の圧延材8の形状を検出する装置であり、検出結果を示す信号をプロセスコンピュータ6に出力する。
プロセスコンピュータ6は、形状検出器7の出力信号に基づいて、中間ロールシフト機構2、中間ロールベンダー3、および差荷重発生装置4を制御する。
さらに6段圧延機1は、プロセスコンピュータ6を制御する上位コンピュータ5を備えている。上位コンピュータ5は、制御パラメータ等を表示する表示部5a(例えば、液晶ディスプレイなどの表示装置)、および制御パラメータを変更するための入力を受け付ける入力部5b(例えば、マウス、キーボード)を備えている。
詳しくは後述するが、本発明の一態様における演算装置は、前記プロセスコンピュータ6に含まれる装置として実現することができる。プロセスコンピュータ6では、該演算装置が算出する補正値を用いて形状制御機構の制御が行われる。
(発明の知見の概略的な説明)
以下、前記6段圧延機1を例にして、本発明の一態様における演算装置の技術的思想について説明する。なお、ここでは6段圧延機1を例にするが、4段圧延機、12段圧延機、および20段圧延機等の、6段圧延機以外の多段圧延機に対しても同様に本発明が適用されることは勿論である。4段圧延機の場合には、ワークロールベンダーおよび差荷重発生装置を制御対象として、本発明を適用することができる。
本発明者らは、圧延材の板幅方向の両端部における、板幅中央に対する伸び率差を表す数式モデルを用いて圧延形状を制御する場合に、良好な圧延形状が得られるように影響係数を高精度に近似する方法を種々調査検討した。その結果、影響係数を単位幅荷重(圧延材の単位幅に加えられる荷重)および板幅の関数で表すと、高精度に影響係数を近似できることを見出した。この新たな知見について順に説明する。
本発明者らは、6段圧延機1において、以下のようにして圧延材の圧延形状を制御することとした。すなわち、中間ロールシフト機構2の制御量(シフト位置)を固定した状態において、形状検出器7の出力信号に基づいて、中間ロールベンダー3および差荷重発生装置4を制御して、圧延材の圧延形状を制御することとした。ここで、次のように、圧延形状の対称成分を2次式で近似し、圧延形状の非対称成分を1次式で近似した。
y=a・(2x/W)
y’=b・(2x/W)
上記式において、
y:圧延形状の対称成分
y’:圧延形状の非対称成分
W:板幅
x:板幅方向位置(ワークサイドの板端:−W/2、板幅中央:0、ドライブサイドの板端:W/2)
a、b:係数
である。
そして、圧延材の圧延形状を制御する式として、下記の式(1)、(2)に示す制御式を用いた。
ΔY=A1・ΔFi (1)
ΔY=A2・ΔS (2)
上記式において、
:板端部における伸び率と板幅中央における伸び率との差(ワークサイドおよびドライブサイドの平均)
:ワークサイドの伸び率とドライブサイドの伸び率との差(伸び率差)
Fi:中間ロールベンダー力
:差荷重
ΔY:板端部における伸び率と板幅中央における伸び率との差の変化量(ワークサイドおよびドライブサイドの平均)
ΔY:ワークサイドの伸び率とドライブサイドの伸び率との差(伸び率差)の変化量
ΔFi:中間ロールベンダー力の変化量
ΔS:差荷重の変化量
A1:中間ロールベンダー力の影響係数
A2:差荷重の影響係数
である。
図2は、板端部(圧延材の幅方向の端部)における伸び率と板幅中央(圧延材の幅方向の中央)における伸び率との差(伸び率差)Yに及ぼす中間ロールベンダー力Fiの影響を示すグラフである。なお、前記伸び率差は10−5を単位とし、この単位をIunitと表示した(以下の記載においても同様に、Iunitとは10−5を表す単位である)。
中間ロールベンダー力Fiの変化は、ワークロール9、中間ロール10およびバックアップロール11の撓みの変化となって現れ、圧延材の形状を変化させる。中間ロールベンダー力Fiとロールの撓み量との関係は、弾性領域における変形を対象としていることからほぼ線形な関係にある。したがって、図2に示すように、伸び率差Yも中間ロールベンダー力Fiと線形関係にある。そして、図2の線形関係における傾きが中間ロールベンダー力Fiの影響係数A1であり、このことは前記式(1)にて表される。
図3は、ワークサイドの伸び率とドライブサイドの伸び率との差Yに及ぼす差荷重Sの影響を示すグラフである。つまり、伸び率差Yに及ぼす差荷重Sの影響を示したものである。差荷重Sの変化は、ワークロール9、中間ロール10およびバックアップロール11の撓みの変化となって現れ、圧延材の形状を変化させる。差荷重Sとロールの撓み量との関係は、弾性領域における変形を対象としていることからほぼ線形な関係にある。したがって、図3に示すように、ワークサイドの伸び率とドライブサイドの伸び率との差Yも差荷重Sと線形関係にある。そして、図3の線形関係における傾きが差荷重Sの影響係数A2であり、このことは前記式(2)にて表される。
従来、このような前記式(1)および(2)の数式モデルに用いられる、中間ロールベンダー力Fiの影響係数A1、および差荷重Sの影響係数A2を高精度に近似する方法は知られていなかった。そこで、本発明者らは、影響係数A1およびA2を高精度に近似する方法を種々調査検討した結果、以下のような知見を得た。
例えば、板厚0.8mm〜4.0mm、板幅850mm〜1050mm、材料の変形抵抗700N/mm〜1200N/mmの範囲において、中間ロールベンダー力Fiの影響係数A1を形状予測の数値解析により求めた結果を図4に示す。図4は、中間ロールベンダー力Fiの影響係数A1に及ぼす、単位幅荷重pおよび板幅Wの影響を示すグラフである。この形状予測の数値解析は、既存の解析プログラムを用いて行うことができる。
具体的には、既存の解析プログラムを用いて、板厚、板幅、および材料の変形抵抗を上記の範囲で変化させて解析を行い、それぞれの条件で影響係数A1(中間ロールベンダー力Fiを変化させて解析したときの、中間ロールベンダー力Fiの制御量と伸び率差Ysとの線形関係における傾き)を算出する。これにより、図4に示すように、板幅Wと単位幅荷重pが、影響係数A1に及ぼす影響について整理できる。ここで、板厚、板幅、および材料の変形抵抗は圧延材の形状に影響するが、その影響のほとんどは圧延荷重分布を介したロール撓みの変化によって生じる。また、圧延荷重のワークロール9への作用領域は、板幅に依存して変化する。
したがって、本発明者らは、中間ロールベンダー力Fiの影響係数A1は、単位幅荷重pと板幅Wで整理できるのではないかと考えた。また、図4に示すように、同じ板幅の場合、単位幅荷重pの増加とともに、中間ロールベンダー力Fiの影響係数A1の絶対値は減少し、単位幅荷重pの大きいところでは単位幅荷重pが影響係数A1に及ぼす影響が小さいことがわかった。そして、板幅Wが増加するにつれて中間ロールベンダー力Fiの影響係数A1は減少する。このことから、板幅Wの影響度に単位幅荷重pが影響するという新たな知見も得た。
そこで、本発明者らは、中間ロールベンダー力Fiの影響係数A1を高精度に近似する式を探索し、下記の式(3)を用いることによって、影響係数A1を高精度に近似することができることを見出した。
A1=a1・(1/p)+a1・(W/p)+a1 (3)
上記式において、
A1:中間ロールベンダー力Fiの影響係数
p:単位幅荷重
W:板幅
a1、a1、a1:中間ロールベンダー力Fiの影響係数A1の近似式における係数
である。
図4に示すデータについて、前記式(3)を用いて重回帰分析を行った結果、近似式における各係数は表1に示すようになり、高い相関関係が得られた。
Figure 2018012127
同様に、板厚0.8mm〜4.0mm、板幅850mm〜1050mm、材料の変形抵抗700N/mm〜1200N/mmの範囲において、差荷重Sの影響係数A2を形状予測の数値解析により求めた結果を図5に示す。この形状予測の数値解析も、既存の解析プログラムを用いて行うことができる。ここで、板厚、板幅、および材料の変形抵抗は圧延材の形状に影響するが、その影響のほとんどは圧延荷重分布を介したロール撓みの変化によって生じる。また、圧延荷重のワークロール9への作用領域は、板幅に依存して変化する。
したがって、本発明者らは、差荷重Sの影響係数A2についても同様に、単位幅荷重pと板幅Wで整理できると考えた。また、図5に示すように、同じ板幅の場合、単位幅荷重pの増加とともに、差荷重Sの影響係数A2の絶対値は減少し、単位幅荷重pの大きいところでは単位幅荷重pが影響係数A2に及ぼす影響が小さいことがわかった。そして、板幅Wが増加するにつれて差荷重Sの影響係数A2は減少し、板幅Wの影響度に単位幅荷重pが影響する。
このことから、上記した中間ロールベンダー力Fiの影響係数A1と同様に、差荷重Sの影響係数A2についても、下記の式(4)を用いることによって高精度に近似することができることを見出した。
A2=a2・(1/p)+a2・(W/p)+a2 (4)
上記式において、
A2:差荷重の影響係数
p:単位幅荷重
W:板幅
a2、a2、a2:差荷重Sの影響係数A2の近似式における係数
である。
図5に示すデータについて、前記式(4)を用いて重回帰分析を行った結果、近似式における各係数は表2に示すようになり、高い相関関係が得られた。
Figure 2018012127
これらの前記式(3)および(4)をまとめると、以下のように表すことができる。すなわち、中間ロールベンダー力Fiおよび差荷重Sといった形状制御機構の影響係数Aは、単位幅荷重pと板幅Wとで整理でき、式(5)で近似できる。
A=a・(1/p)+a・(W/p)+a (5)
上記式において、
A:影響係数
p:単位幅荷重
W:板幅
、a、a:影響係数の近似式における係数
である。
以上のように、式(3)および(4)を用いて、高精度に影響係数を近似することができ、近似した影響係数を用いて高精度な形状制御を行うことができる。具体的には、形状解析モデルを用いて、板厚、板幅、および材料の変形抵抗を広範囲に変化させて解析を行い、それぞれの条件で影響係数A(形状制御機構を変化させて解析したときの、形状制御機構の制御量と伸び率差との線形関係における傾き)を算出する。これにより、図4および図5に示すように、板幅Wと単位幅荷重pが、影響係数Aに及ぼす影響について整理できる。そして、影響係数Aを式(3)または式(4)で表したときの係数(a1、a1、a1)または係数(a2、a2、a2)を、それぞれ重回帰分析により予め求める。
予め求めた係数を代入して、式(3)で表される近似式を用いることにより、或る単位幅荷重pおよび板幅Wにおける影響係数A1を算出することができる。また、その単位幅荷重pおよび板幅Wにおいて、式(4)で表される近似式を用いて、影響係数A2を算出することができる。そして、これら影響係数A1および影響係数A2を用いて、式(1)および(2)に基づいて、中間ロールベンダー力Fiおよび差荷重Sの制御量を制御することにより、形状制御を高精度に行うことができ、良好な圧延形状が得られる。
(本発明の一態様における演算装置の構成)
以上の検討に用いた圧延機と同一の6段圧延機1において、中間ロールシフト機構2の制御量(シフト位置)を所定値に固定し、中間ロールベンダー3および差荷重発生装置4を制御して、形状検出器7の出力信号に基づいて形状制御を行う際に本発明を適用した例を、図6に基づいて以下に説明する。その中で、本発明の一態様における演算装置の構成について説明する。
本発明の一態様における演算装置は、例えば前記6段圧延機1が含むプロセスコンピュータ6の一機能として実現することができる。なお、本発明の一態様における演算装置は、プロセスコンピュータ6とは異なるコンピュータ(例えば、上位コンピュータ5)を用いて実現されてよく、ハードウェアは特に限定されない。
図6に示すように、プロセスコンピュータ6は、制御部20および記憶部30を備えている。この制御部20には、プロセスコンピュータ6の外部に設けられた上位コンピュータ5、形状検出器7、および形状制御機構40が接続されている。
上位コンピュータ5は荷重算出部5cを備えている。本実施の形態における形状制御機構40は、中間ロールシフト機構2、中間ロールベンダー3、および差荷重発生装置4(図1参照)であるが、ここでは中間ロールシフト機構2の制御量(シフト位置)は所定値に固定することとする。
制御部20は、影響係数算出部21、補正目標値算出部22、変化量算出部23(算出部)、および機構制御部24を備えている。記憶部30は、所定係数データ31および制御パラメータ32を格納している。
制御部20は、プロセスコンピュータ6全体の動作を制御する、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部20が備える各部は、例えばCPUによって動作するソフトウェアとして実現されてよい。
制御部20における、影響係数算出部21、補正目標値算出部22、変化量算出部23、および機構制御部24の詳細な説明は、プロセスコンピュータ6が実行する、形状制御機構の制御量を補正するための補正値を算出する処理の流れの一例の説明と合わせて後述する。
記憶部30は、制御部20において用いられる各種データを記憶する不揮発性の記憶装置である。
所定係数データ31は、前記式(3)および(4)が含む各係数を示すデータであり、上述したようにして予め求めた係数のデータである。所定係数データ31は、上位コンピュータ5に入力された圧延条件に対応した係数を影響係数算出部21が選択することができるように予め用意されていればよい。
制御パラメータ32は、各種の圧延条件(ワークロール9の回転速度、ワークロール9の径、摩擦係数、板幅、入出側板厚、平均入出側張力、圧延材8の変形抵抗等)を含む。また、制御パラメータ32は、6段圧延機1による圧延後に目標とする圧延材8の圧延形状を規定する圧延形状目標値を含む。例えば、圧延後の圧延形状が平坦(板幅方向の各場所で伸び率差が0)であることを目標とすれば、YsおよびYがいずれも0であることが圧延形状目標値となる。
この制御パラメータ32は、上位コンピュータ5の入力部5bを介してユーザによって入力され、荷重算出部5cによる圧延荷重の算出にも用いられる。
(処理の流れ)
上記のような本発明の一態様における演算装置としてのプロセスコンピュータ6が実行する処理の流れの一例を、図7を用いて説明する。図7は、本実施の形態のプロセスコンピュータ6が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
ここで、上位コンピュータ5には予め圧延条件(ワークロールの回転速度、ワークロール径、摩擦係数、板幅、入出側板厚、平均入出側張力、圧延材の変形抵抗等)が入力されている。荷重算出部5cが、圧延荷重式に従って圧延荷重Pを算出し、式(6)に板幅Wを代入して単位幅荷重pを算出する。
p=P/W (6)。
なお、圧延荷重Pは、予め入力された圧延条件から予測される荷重であり、ドライプサイドの荷重とワークサイドとの荷重の和である。
予め入力された圧延条件の一部(ワークロールの回転速度、平均入出側張力など)は、圧延中に変動することがあり、それに伴って圧延荷重Pも変動し得るが、その変動の影響は小さいため考慮しないこととしている。
なお、単位幅荷重pを算出する上位コンピュータ5も本発明の演算装置であると見なしてもよい。また、上位コンピュータ5の代わりにプロセスコンピュータ6が単位幅荷重pを算出してもよい。
また、プロセスコンピュータ6の記憶部30には、予め求められた、表1および表2に示した係数a1、a1、a1および係数a2、a2、a2が所定係数データ31として格納されている。
図7に示すように、先ず、影響係数算出部21が、式(3)および(4)を用いて、板幅W、前記算出された単位幅荷重p、および所定係数データ31を代入して、影響係数A1および影響係数A2を算出する(ステップ11;以下S11のように略記する)(影響係数算出工程)。
圧延中において、形状検出器7は、圧延材8の形状を検出して、当該形状を示す検出信号を補正目標値算出部22に送信する。補正目標値算出部22は、形状検出器7からの出力信号に基づいて、圧延後の圧延材8の形状と、制御パラメータ32が含む圧延形状目標値との差(補正目標値)を算出する(S12)。例えば、伸び率差Yの目標値をY 、形状検出器7で測定した伸び率差をY とすると、補正目標値としての伸び率差の変化量ΔYは、Y −Y となる。この変化量ΔYは、形状制御機構40の制御量を補正する前の伸び率差と補正後の伸び率差との差に相当し、実際の伸び率差をどれだけ縮めれば目標値Y に一致するかを示す値である。
次に、変化量算出部23は、前記算出した影響係数A1と、前記補正目標値としての伸び率差Yの変化量ΔYとに基づき、式(1)を用いて、中間ロールベンダー力Fiの変化量ΔFiを算出する(S13)(補正値算出工程)。この変化量ΔFiは、中間ロールベンダー3の補正後のベンディング力の差に相当する。
そして、変化量算出部23は、前記算出した影響係数A2と、前記補正目標値としての伸び率差Yの変化量ΔYとに基づき、式(2)を用いて、差荷重Sの変化量ΔSを算出する(S14)(補正値算出工程)。
このように、変化量算出部23は、圧延材8における複数箇所間の、補正による伸び率差の変化量を示す数式を用いて、形状制御機構の制御量を補正するための補正値を算出する。
その後、機構制御部24が、中間ロールベンダー力FiをΔFi、および差荷重SをΔS変化させて補正する。
これにより、6段圧延機1による圧延後の圧延材8を、良好な圧延形状とすることができる。
(実施例)
本実施の形態の6段圧延機1を用いて、板厚0.8mm〜4.0mm、板幅850mm〜1050mm、材料の変形抵抗700N/mm〜1200N/mmの範囲で条件を変えて、50個の条件にて圧延を行った。このとき、形状制御機構40(中間ロールベンダー3および差荷重発生装置4)の影響係数A1およびA2を板幅、および単位幅荷重の関数として近似した。
また、比較のため、形状制御機構の影響係数を板幅、板厚、材料の変形抵抗の関数として、従来の方法に基づいて近似した場合について、上記と同様の範囲で条件を変えて、50個の条件にて圧延を行った。
本発明の一態様により、形状制御機構40の影響係数A1およびA2を単位幅荷重と板幅との関数として近似した場合は、図8に示すように、板端部における伸び率と板幅中央における伸び率との差Yの目標値と実績値との差(ワークサイドとドライブサイドで絶対値が大きい方)の絶対値は25Iunit以内に収まっていた。
これに対して、従来法により板幅、板厚、材料の変形抵抗の関数として近似した場合は、図9に示すように、板端部における伸び率と板幅中央における伸び率との差Yの目標値と実績値の差(ワークサイドとドライブサイドで絶対値が大きい方)の絶対値が35Iunit以上になるものもあった。
〔実施形態2〕
以下、本発明の他の実施形態について説明する。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記実施形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
前記実施の形態1の6段圧延機1では、中間ロールシフト機構2の制御量(シフト位置)を所定値に固定し、中間ロールベンダー3および差荷重発生装置4を制御対象としていた。また、式(1)および(2)として、板端部における伸び率と板幅中央における伸び率との差(ワークサイドおよびドライブサイドの平均)である伸び率差の変化量ΔY、および、ワークサイドの伸び率とドライブサイドの伸び率との差である伸び率差の変化量ΔYを用いて圧延形状を評価していた。これに対して、本実施の形態の演算装置では、圧延中に用いる形状制御機構として、中間ロールシフト機構2および中間ロールベンダー3を用いると共に、圧延形状の評価に板端部だけでなくクオータ部(中間部)も考慮する点が異なっている。形状制御機構としての差荷重発生装置4については、稼働させない、または制御量(発生させる差荷重)が所定の値に固定されている。
本実施の形態の演算装置では、圧延形状の評価にクオータ部を考慮して演算を行い、中間ロールシフト機構2および中間ロールベンダー3の制御値の変化量を算出する。ここで、前記クオータ部とは、圧延材8の板幅方向において、板幅中央部と板端部との間に位置する部分である。クオータ部の位置は、板幅中央部と板端部との間において特に限定されないが、例えば、板幅中央部から板端部までの距離の70%の位置とすることができる。クオータ部としては、ワークサイドのクオータ部と、ドライブサイドのクオータ部とがある。
クオータ部を考慮する場合には、2点の板端部(ワークサイドおよびドライブサイド)並びに2点のクオータ部(ワークサイドおよびドライブサイド)のそれぞれの伸び率と、板幅中央の伸び率との差で圧延形状を評価すればよい。
具体的には、本実施の形態では、圧延材の圧延形状を制御する式として、下記の式(7)、(8)に示す制御式を用いることができる。
Δεe=Ae・ΔFi + Be・Δδ (7)
Δεq=Aq・ΔFi + Bq・Δδ (8)
上記式において、
εe:板端部における伸び率と板幅中央における伸び率との差(ワークサイドおよびドライブサイドの平均)
εq:クオータ部における伸び率と板幅中央における伸び率との差(ワークサイドおよびドライブサイドの平均)
Fi:中間ロールベンダー力
δ:中間ロールシフト位置
Δεe:板端部における伸び率と板幅中央における伸び率との差の変化量(ワークサイドおよびドライブサイドの平均)
Δεq:クオータ部における伸び率と板幅中央における伸び率との差の変化量(ワークサイドおよびドライブサイドの平均)
ΔFi:中間ロールベンダー力Fiの変化量
Δδ:中間ロールシフト位置δの変化量
Ae:板端部における伸び率と板幅中央における伸び率との差に及ぼす中間ロールベンダー力Fiの影響係数
Be:板端部における伸び率と板幅中央における伸び率との差に及ぼす中間ロールシフト位置δの影響係数
Aq:クオータ部における伸び率と板幅中央における伸び率との差に及ぼす中間ロールベンダー力Fiの影響係数
Bq:クオータ部における伸び率と板幅中央における伸び率との差に及ぼす中間ロールシフト位置δの影響係数
である。
影響係数Ae、Aq、Be、Bqは、上述した式(5)と本質的に同じ式(9)、(10)によって表現することができる。
A=a・(1/p)+a・(W/p)+a (9)
B=b・(1/p)+b・(W/p)+b (10)
p:単位幅荷重
W:板幅
、a、a:影響係数の近似式における係数
、b、b:影響係数の近似式における係数
以下に、前記式(7)、(8)に基づく、本実施の形態の演算装置が実行する処理および圧延形状の制御について概略的に説明する。
前記実施の形態1と同様にして、形状解析モデルを用いて、板厚、板幅、および材料の変形抵抗を広範囲に変化させて解析を行い、それぞれの条件で影響係数AおよびB(形状制御機構を変化させて解析したときの、形状制御機構の制御量と伸び率差との線形関係における傾き)を算出する。具体的には、伸び率差εeについて、それぞれの条件で中間ロールベンダー力Fiを変化させたときに、図示しないが、図2に類似する線形関係を示すグラフが得られ、傾きとしてそれぞれの条件に対応した影響係数Aeが求まる。これにより、図示しないが、図4に類似するグラフが得られ、板幅Wと単位幅荷重pとが、影響係数Aeに及ぼす影響について整理できる。その結果、前記実施の形態1と同様にして、影響係数Aeの近似式における係数(a、a、a)を得ることができる。
また、伸び率差εeについて、それぞれの条件で中間ロールシフト位置δを変化させたときに、図示しないが、図2に類似する線形関係を示すグラフが得られ、傾きとして影響係数Beが求まる。そして、上記のことと同様に、影響係数Beの近似式における係数(b、b、b)を得ることができる。
伸び率差εqについても同様にして、影響係数Aqの近似式における係数(a、a、a)、および影響係数Bqの近似式における係数(b、b、b)を得ることができる。
影響係数算出部21は、これらの係数を式(9)または式(10)に代入し、或る単位幅荷重pおよび板幅Wにおける影響係数Ae、Aq、Be、Bqを算出する(影響係数算出工程)。
また、圧延中において、形状検出器7が、圧延材8の形状を検出して、当該形状を示す検出信号を補正目標値算出部22に送信する。補正目標値算出部22は、形状検出器7からの出力信号に基づいて、圧延後の圧延材8の形状を示す値と、制御パラメータ32が含む圧延形状目標値との差(補正目標値)を算出する。これにより補正目標値としての伸び率差の変化量ΔεeおよびΔεqが得られる。
そして、変化量算出部23(図6参照)が、前記式(7)、(8)に影響係数Ae、Aq、Be、Bq、並びに、伸び率差の変化量ΔεeおよびΔεqを代入して、中間ロールベンダー力Fiおよび中間ロールシフト位置δについて連立方程式を解くことにより、中間ロールベンダー力Fiの変化量ΔFiおよび中間ロールシフト位置δの変化量Δδを算出する(補正値算出工程)。
その後、機構制御部24(図6参照)が、中間ロールベンダー力FiをΔFi、および中間ロールシフト位置δをΔδ変化させて補正する。
これにより、6段圧延機1による圧延後の圧延材8を、良好な圧延形状とすることができる。
〔ソフトウェアによる実現例〕
上位コンピュータ5およびプロセスコンピュータ6の制御ブロック(特に、荷重算出部5c、影響係数算出部21、補正目標値算出部22、変化量算出部23、および機構制御部24)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、上位コンピュータ5およびプロセスコンピュータ6は、各機能を実現するソフトウェアである情報処理プログラムの命令を実行するCPU、前記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、前記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が前記プログラムを前記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。前記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、前記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して前記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、前記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔まとめ〕
本発明の態様1における演算装置(プロセスコンピュータ6、または、上位コンピュータ5およびプロセスコンピュータ6)は、圧延材8の圧延形状を制御する、冷間圧延機(6段圧延機1)が備える形状制御機構(中間ロールベンダー3および差荷重発生装置4、または、中間ロールベンダー3および中間ロールシフト機構2)の制御量を補正するための補正値を算出する演算装置であって、前記圧延材8における複数箇所間の、補正による伸び率差の変化量を示すと共に、前記補正値を変数として含む数式を用いて前記補正値を算出する算出部(変化量算出部23)を備え、前記数式は、前記伸び率差に及ぼす前記形状制御機構の影響度を示す影響係数を含み、前記影響係数は、前記圧延材の単位幅に加えられる荷重と前記圧延材の幅とを変数として含む関数で表されている。
従来の方法により、影響係数を、板幅、板厚、および材料の変形抵抗の関数として近似した場合、影響係数の精度はあまり高いものではなかった。そのため、従来法において、形状検出器を用いて圧延材8の板幅方向の複数箇所間の伸び率差を検出し、その検出した結果と上記得られた影響係数とを用いて、形状制御機構の制御量を補正するための補正値を算出した場合、その補正値に基づいて形状制御機構の制御量を変化させたとしても、圧延形状の計算上の変化と、実際上の変化との間の誤差が大きくなることがあった(図9参照)。
これに対して、本発明の一態様における、上記の構成によれば、影響係数を、圧延材の単位幅に加えられる荷重(単位幅荷重)と前記圧延材の幅とを変数として含む関数で表される式によって、高精度に近似することができる。そのため、形状検出器を用いて圧延材8の板幅方向の複数箇所間の伸び率差を検出し、その検出した結果と上記得られた影響係数とを用いて、形状制御機構の制御量を補正するための補正値を精度良く算出することができる。その結果、この算出した補正値に基づいて、形状制御機構の制御量を適切に変化させて補正することができる。したがって、冷間圧延機が圧延した圧延材の圧延形状を良好なものとすることができる。
本発明の態様2における演算装置は、態様1における演算装置において、前記影響係数は、下記式で近似され、
A=a・(1/p)+a・(W/p)+a
上記式において、Aは影響係数、pは単位幅荷重、Wは前記圧延材の幅、a、aおよびaは係数であるとすることができる。
上記の構成によれば、予め求めておいたa、aおよびaの係数を用いて、上記式に基づいて、単位幅荷重pと前記圧延材の幅Wとを変数として含む関数で表される式によって、高精度に近似された影響係数を得ることができる。そのため、冷間圧延機が圧延する圧延材を変更して(圧延条件を変更して)、板幅、仕上げ板厚、材料の変形抵抗が変わった場合に、上記式に基づいて、高精度に近似された影響係数を得ることができる。つまり、良好な圧延形状が得られるように影響係数を設定することができ、圧延材の圧延形状を良好なものとすることができる。
本発明の態様3における演算装置は、態様1または態様2における演算装置において、複数箇所間の伸び率差として、前記圧延材の幅方向の端部における伸び率と幅方向の中央における伸び率との差、前記圧延材の幅方向の両端部間の伸び率差、または、前記端部よりも前記中央に寄った中間部における伸び率と前記中央における伸び率との差が用いられている。
上記の構成によれば、圧延材の幅方向の両端部間の伸び率差を用いた場合、圧延材の非対称成分を考慮して、圧延形状の評価をすることができる。また、端部よりも前記中央に寄った中間部における伸び率と前記中央における伸び率との差を用いた場合、圧延形状をより正確に評価することができる。
本発明の態様4における演算装置は、態様1〜3のいずれか1における演算装置において、前記数式は、前記伸び率差に及ぼす複数種類の前記形状制御機構の影響度を示す影響係数をそれぞれ有する複数の影響項を含んでよい。
上記の構成によれば、演算装置は、或る箇所間の伸び率差に複数種類の形状制御機構が関わる場合に、先ず、その複数種類の形状制御機構のそれぞれについて、単位幅荷重と圧延材の幅とを変数として含む関数で表される式によって、高精度に近似された影響係数を得ることができる。そして、その複数種類の形状制御機構の影響係数をそれぞれ有する複数の影響項を含む数式を用いて、その複数種類の形状制御機構の補正値を算出することができる。これにより、或る箇所間の伸び率差に複数種類の形状制御機構が関わる場合であっても、冷間圧延機が圧延した圧延材の圧延形状を良好なものとすることができる。
本発明の態様5における演算方法は、圧延材の圧延形状を制御する、冷間圧延機が備える形状制御機構の制御量を補正するための補正値を算出する演算方法であって、前記演算方法は、前記圧延材における複数箇所間の、補正による伸び率差の変化量を示すと共に、前記補正値を変数として含む数式を用いる方法であり、前記数式に含まれる、前記伸び率差に及ぼす前記形状制御機構の影響度を示す影響係数を算出する影響係数算出工程と、算出された影響係数を含む前記数式を用いて前記補正値を算出する補正値算出工程とを含み、前記影響係数は、前記圧延材の単位幅に加えられる荷重と前記圧延材の幅とを変数として含む関数で表されている。
上記の構成によれば、上記態様1と同様の効果を奏する。
1:6段圧延機
2:中間ロールシフト機構
3:中間ロールベンダー
4:差荷重発生装置
5:上位コンピュータ
6:プロセスコンピュータ
7:形状検出器
8:圧延材
9:ワークロール
10:中間ロール
11:バックアップロール
23:変化量算出部(算出部)

Claims (7)

  1. 圧延材の圧延形状を制御する、冷間圧延機が備える形状制御機構の制御量を補正するための補正値を算出する演算装置であって、
    前記圧延材における複数箇所間の、補正による伸び率差の変化量を示すと共に、前記補正値を変数として含む数式を用いて前記補正値を算出する算出部を備え、
    前記数式は、前記伸び率差に及ぼす前記形状制御機構の影響度を示す影響係数を含み、前記影響係数は、前記圧延材の単位幅に加えられる荷重と前記圧延材の幅とを変数として含む関数で表されている演算装置。
  2. 前記影響係数は、下記式で近似され、
    A=a・(1/p)+a・(W/p)+a
    上記式において、
    Aは、影響係数
    pは、単位幅荷重
    Wは、前記圧延材の幅
    、aおよびaは係数
    である請求項1に記載の演算装置。
  3. 複数箇所間の伸び率差として、前記圧延材の幅方向の端部における伸び率と幅方向の中央における伸び率との差、前記圧延材の幅方向の両端部間の伸び率差、または、前記端部よりも前記中央に寄った中間部における伸び率と前記中央における伸び率との差が用いられている請求項1または2に記載の演算装置。
  4. 前記数式は、前記伸び率差に及ぼす複数種類の前記形状制御機構の影響度を示す影響係数をそれぞれ有する複数の影響項を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の演算装置。
  5. 圧延材の圧延形状を制御する、冷間圧延機が備える形状制御機構の制御量を補正するための補正値を算出する演算方法であって、
    前記演算方法は、前記圧延材における複数箇所間の、補正による伸び率差の変化量を示すと共に、前記補正値を変数として含む数式を用いる方法であり、
    前記数式に含まれる、前記伸び率差に及ぼす前記形状制御機構の影響度を示す影響係数を算出する影響係数算出工程と、
    算出された影響係数を含む前記数式を用いて前記補正値を算出する補正値算出工程とを含み、
    前記影響係数は、前記圧延材の単位幅に加えられる荷重と前記圧延材の幅とを変数として含む関数で表されている演算方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の演算装置としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラムであって、前記算出部としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラム。
  7. 請求項6に記載の情報処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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