JP6154945B1 - テーパ形状決定方法およびパススケジュール設定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧延対象となる複数種類の圧延材に関して良好な圧延形状が得られる圧延条件(特に、中間ロールのテーパ形状)を決定することができる方法を提供する。【解決手段】中間ロールシフト機構(2)を備えた冷間圧延機が有する中間ロール(10)のテーパ形状を決定する方法であって、圧延材(8)の形状制御が可能となる範囲を示す形状制御領域を定めるための、テーパ形状以外の条件を入力する入力工程と、第1条件および第2条件において、形状制御領域が2次元座標平面の原点を含むようにテーパ形状を決定する決定工程とを含む。【選択図】図3

Description

本発明は、冷間圧延機が備える中間ロールのテーパ形状の決定方法、および多段圧延機におけるパススケジュールの設定方法に関する。
従来、冷間圧延において、中間ロールを備える多段圧延機(6段圧延機、12段圧延機、20段圧延機等)が広く用いられている。中間ロールを備える多段圧延機は、圧延対象である圧延材(例えば、金属帯)をその厚さ方向に挟み込む一対のワークロールと、該一対のワークロールのそれぞれの背後に設けられた一対の中間ロールと、該中間ロールを介して前記ワークロールを支える一対のバックアップロールと、を少なくとも備える。前記ワークロールは、圧延材の変形抵抗を受けてたわむため、多段圧延機は、圧延後の薄板の形状を制御する各種の形状制御機構(形状制御手段)を備える。
冷間圧延では、圧延開始時にロールベンダーやロールシフト等の形状制御機構の制御量を初期設定するとともに、圧延機出側に設置された形状検出器を用いて圧延中の圧延材形状を測定し、測定結果に基づいて形状制御機構の制御量を補正する方法が一般的に採用されている。
圧延後の薄板の形状には耳伸び(圧延方向において薄板の中央よりも板端部の伸びが長い)、中伸び(圧延方向において板端部よりも中央の伸びが長い)等の単純な形状不良だけでなく、クォータ伸びや各種伸びが組み合わさった複合伸びがある。したがって、圧延形状を薄板の幅方向における複数個所において評価することが好ましい。具体的には、板端部およびクォータ部の板幅中央に対する伸び率差で圧延形状を評価し、それぞれの伸び率差が目標値となるように形状を制御することが一般的に行われている。なお、クォータ部とは、板幅方向における薄板の中央と板端部との間の部分を意味する。
6段圧延機、12段圧延機、20段圧延機等の多段圧延機では、形状制御機構として、片側端部に1段あるいは多段のテーパを設けた中間ロールを軸方向に移動させる中間ロールシフトが用いられる場合がある。中間ロールシフトは、中間ロールを軸方向に移動させることによりテーパ部を移動させて、これにより、中間ロールと、ワークロールおよびバックアップロールとの接触荷重分布を変化させ、圧延後の薄板の形状を制御するものである。そして、中間ロールのテーパ形状(テーパ角、テーパ長)が適正化されていれば、中間ロールシフトおよびロールベンダー等の形状制御機構と組み合わせて、高精度な形状制御システムを用いて形状制御を行うことにより、効果的に形状制御が行なわれ、良好な圧延形状が得られる。しかし、中間ロールのテーパ形状の決定は、経験に基づく試行錯誤に頼っており、テーパ形状が適正化されていないことにより、良好な圧延形状が得られないことがあった。
そこで、例えば、特許文献1には、数値解析モデルを用いて、圧延形状を予測し、この予測形状をなるべく目標形状に近付けるようにする方法が記載されている。詳しくは、多段圧延機の中間ロール形状を、未知数を含む4次以上の関数で近似し、最小2乗法を用いて、中間ロール形状を表現する未知数を決定する方法が記載されている。
しかし、圧延材の板幅、板厚、材質等の圧延条件毎に中間ロールの形状を変更することは、生産管理上困難である。そのため、製造現場では、同一形状の中間ロールを用いて広範囲な圧延条件で圧延を行うことが好ましい。特許文献1に記載の方法で形状を適正化した中間ロールでは、同一形状の中間ロールにて、該中間ロールが対象とする圧延条件全体にわたって良好な圧延形状を得ることは困難であった。
このような問題を解消するため、特許文献2には、標準の圧延パススケジュール以外でも良好な圧延形状が得られるように、形状予測の数値解析を行うとともに形状評価関数を定めて多段圧延機用中間ロールのテーパ形状を決定する方法が提案されている。
日本国特許公開公報:特開昭62−142012号公報(1987年6月25日公開) 日本国特許公開公報:特開平6−39414号公報(1994年2月15日公開)
特許文献2に記載の方法を用いて決定した中間ロールを使用することによれば、決定したテーパ形状の中間ロールを用いて、良好な圧延形状が得られる圧延条件の範囲が広がる。しかし、特許文献2に記載の方法により決定したテーパ形状を有する中間ロールを用いても、対応できる圧延条件の範囲には限界があり、良好な圧延形状が得られない場合があった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、圧延対象となる複数種類の圧延材に関して良好な圧延形状が得られる圧延条件(特に、中間ロールのテーパ形状)を決定することができる方法を提供することにある。
本発明におけるテーパ形状決定方法は、圧延対象である圧延材の圧延形状を制御する形状制御機構を複数種類備え、前記形状制御機構のひとつとして、片側端部にテーパ形状を有する中間ロールを当該中間ロールの軸方向に移動させる中間ロールシフト機構を備えた冷間圧延機が有する前記中間ロールの前記テーパ形状を決定する方法であって、前記圧延材の幅方向の端部における伸び率と幅方向の中央における伸び率との差をx座標とし、前記端部よりも前記中央に寄った中間部における伸び率と前記中央における伸び率との差をy座標とした2次元座標平面において、複数種類の前記形状制御機構を作動させることによって前記圧延材の形状制御が可能となる範囲を示す形状制御領域を定めるための、前記テーパ形状以外の条件を入力する入力工程と、前記中間ロールに関して予め設定された幅範囲における最大幅を有する圧延材を形状制御対象としたときに、前記圧延材への単位幅荷重が最小となる第1条件、および前記幅範囲における最小幅を有する圧延材を形状制御対象としたときに、前記単位幅荷重が最大となる第2条件において、前記形状制御領域が前記2次元座標平面の原点を含むように前記テーパ形状を決定する決定工程とを含む。
本発明におけるパススケジュールの設定方法は、複数のパスを実行する多段冷間圧延機のパススケジュールの設定方法であって、最終パスを実行する冷間圧延機は、圧延対象である圧延材の圧延形状を制御する形状制御機構を複数種類備え、前記形状制御機構のひとつとして、片側端部にテーパ形状を有する中間ロールを当該中間ロールの軸方向に移動させる中間ロールシフト機構を備えており、前記最終パスの冷間圧延機に関して、前記圧延材の幅方向の端部における伸び率と幅方向の中央における伸び率との差をx座標とし、前記端部よりも前記中央に寄った中間部における伸び率と前記中央における伸び率との差をy座標とした2次元座標平面において、複数種類の前記形状制御機構を作動させることによって前記圧延材の形状制御が可能となる範囲を示す形状制御領域が原点を含むようになる、単位幅荷重の範囲を特定する特定工程と、前記特定工程で特定した単位幅荷重の範囲内に、前記最終パスの冷間圧延機における単位幅荷重が収まるように、前記多段圧延機の少なくとも1つの圧延条件を設定する設定工程とを含む。
本発明の一態様においては、複数種類の圧延材に関して良好な圧延形状が得られる圧延条件を決定することができる。
本発明の実施形態1におけるテーパ形状決定方法の適用対象の一例としての6段圧延機の構成を示す概略図である。 (a)は、圧延材の板幅が形状制御平面に及ぼす影響を示したグラフであり、(b)は、単位幅荷重が形状制御平面に及ぼす影響を示したグラフである。 前記6段圧延機が含む上位コンピュータの概略的な構成を示すブロック図である。 前記上位コンピュータが実行する、テーパ形状を決定する処理の流れの一例を示すフローチャートである。 (a)は、本発明の実施形態1の実施例で設定したテーパ形状を有する中間ロールの対象とする板幅範囲の中で最大板幅において最も最終パスの単位幅荷重が小さくなる条件、および最小板幅において最も最終パスの単位幅荷重が大きくなる条件における形状制御平面を示したグラフであり、(b)は、圧延された鋼帯の圧延形状をプロットしたグラフである。 本発明の実施形態2におけるパススケジュールの設定方法の適用対象の一例としてのタンデム圧延機の構成を示す概略図である。 中間ロールの対象とする板幅毎に形状制御平面が原点を含むような単位幅荷重の範囲を示したグラフである。 前記本発明の実施形態2における6段圧延機が含む上位コンピュータが実行する、パススケジュールの設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。 (a)は、本発明の実施形態2の実施例で設定したテーパ形状を有する中間ロールの対象とする板幅範囲の中で最大板幅において最も最終パスの単位幅荷重が小さくなる条件、および最小板幅において最も最終パスの単位幅荷重が大きくなる条件における形状制御平面を示したグラフであり、(b)は、圧延された鋼帯の圧延形状をプロットしたグラフである。
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について、図1〜5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、以下の記載は発明の趣旨をより良く理解させるためのものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、本明細書において、「A〜B」とは、A以上B以下であることを示している。
以下の説明においては、本発明の一態様におけるテーパ形状決定方法についての理解を容易にするために、先ず、前記テーパ形状決定方法の適用対象の一例としての6段圧延機の概要について説明し、次に、本発明の知見の概略的な説明を行った後、前記テーパ形状決定方法に関して詳細に説明する。
(6段圧延機の概略的構成)
図1は、本実施の形態におけるテーパ形状決定方法の適用対象の一例としての6段圧延機1(冷間圧延機)の構成を示す概略図である。6段圧延機1は、圧延材8を冷間圧延する冷間圧延機である。この6段圧延機1は、複数の圧延機が連続的に配置された圧延システムにおける最終パスの圧延機であってもよいし、最終パスを含む複数パスを実行する単一の圧延機であってもよい。圧延材8としては、例えば鋼帯等の金属帯である。圧延材8は樹脂材であってもよい。
図1に示すように、6段圧延機1は、圧延材8をその厚さ方向に挟み込む一対のワークロール9、一対のワークロール9をその対向方向に各々押圧する一対のバックアップロール11、および、ワークロール9とバックアップロール11との間に配され、ワークロール9を支持する一対の中間ロール10、を備えている。中間ロール10は、片側端部にテーパ形状を有する。図1において、これらのロールは、紙面に対して垂直方向が長手方向となっており、圧延材8は紙面上を右方向から左方向へと流れて圧延されるようになっている。
また、6段圧延機1は、中間ロールシフト機構2、中間ロールベンダー3、差荷重発生装置4、形状検出器7、およびプロセスコンピュータ6を備えている。ここで、中間ロールシフト機構2、中間ロールベンダー3、および差荷重発生装置4は、圧延後の薄板の形状制御に用いられる形状制御機構である。6段圧延機1は、形状制御機構を複数種類備え、そのひとつとして中間ロールシフト機構2を備えている。
中間ロールシフト機構2は、中間ロール10をその軸方向に移動させることにより、中間ロール10が有するテーパ部を移動させ、これにより、中間ロール10と、ワークロール9およびバックアップロール11との接触荷重分布を変化させ、圧延後の薄板の形状を制御する。
中間ロールベンダー3は、中間ロール10が圧延材8の厚さ方向に曲がる力を、中間ロール10に付与する。
差荷重発生装置4は、バックアップロール11の長手方向における荷重の非対称性を制御するための差荷重を発生させる。
形状検出器7は、圧延後の圧延材8の形状を検出する装置であり、検出結果を示す信号をプロセスコンピュータ6に出力する。
プロセスコンピュータ6は、形状検出器7の出力信号に基づいて、中間ロールシフト機構2、中間ロールベンダー3、および差荷重発生装置4を制御する。
さらに6段圧延機1は、プロセスコンピュータ6を制御する上位コンピュータ5を備えている。上位コンピュータ5は、制御パラメータ等を表示する表示部5a、および制御パラメータを変更するための入力を受け付ける入力部5bを備えている。
(発明の知見の概略的な説明)
一般的な圧延機において、冷間圧延後の薄板には、耳伸び、中伸び、およびクォータ伸び、等の各種伸びが組み合わさった複合伸びが発生する。そのため、一般的に、板端部およびクォータ部の板幅中央に対する伸び率差で圧延形状を評価し、それぞれの伸び率差が目標値となるように圧延形状を制御することが行われている。良好な圧延形状とは、板端部およびクォータ部の板幅中央に対する伸び率差が小さく、板形状が平坦であることを意味する。
圧延形状に影響する変動要因には、板厚、材質、潤滑状態、圧延荷重等の外乱や中間ロールベンダー、ワークロールベンダー、中間ロールシフト等の形状制御機構の制御量がある。板厚は、重要な品質項目であり、通常は自動板厚制御によってほぼ一定値となるように制御されている。材質及び潤滑状態は圧延形状に影響するが、その影響の大半は圧延荷重の変動に応じてロール撓みが変化することにより生じる。したがって、圧延中に形状変化をもたらす主要因は、圧延荷重および形状制御機構の制御量である。
つまり、同一の圧延機を用いる場合、或る圧延条件において、該圧延機に搭載された形状制御機構の制御量の範囲に基づいて、圧延形状を制御できる範囲が決定される。
この圧延形状を制御できる範囲について、図2に示すような形状制御平面(形状制御領域)を用いて視覚的に表すことができる。該形状制御平面について以下に説明する。
圧延材の幅方向の端部における伸び率と幅方向の中央における伸び率との差をx座標とし、前記端部よりも前記中央に寄った中間部(クォータ部)における伸び率と前記中央における伸び率との差をy座標とした2次元座標平面を考える。この伸び率の差(伸び率差)は、簡単のために10−5を単位として表すこととする。
そして、この2次元座標平面において、各形状制御機構の制御量が最大値のときと最小値のときの組み合わせにより得られる点をプロットする。該プロットは、既存の解析モデルを用いて、演算に必要なパラメータを入力し演算処理することによって得ることができる。例えば、形状制御機構として、中間ロールシフト及び中間ロールベンダーを備える圧延機に関しては、基本的に、中間ロールシフト及び中間ロールベンダーの制御量の最大値と最小値の組合せでできる4点(x座標:板端部の伸び率差εe、y座標:クォータ部の伸び率差εq)を結んでできる四角形が形状制御平面となる。形状制御平面は、複数種類の形状制御機構を作動させることによって圧延材8の形状制御が可能となる範囲を示す。ただし、後述するように、形状制御機構の制御量の範囲のみで形状制御平面が決まるわけではなく、その他の圧延条件も形状制御平面の形状および位置に影響を与え得る。
この形状制御平面が原点、すなわち板端部およびクォータ部の板幅中央に対する伸び率差がいずれもゼロとなる点を含むか否かを評価することによって、形状制御機構を制御して良好な圧延形状が得られる可能性があるか否かを評価することができる。つまり、形状制御平面が原点を含まない場合には、高精度な形状制御システムを用いても良好な圧延形状を得ることができない。一方、形状制御平面が原点を含む場合には、高精度な形状制御システムを用いることにより良好な圧延形状を得ることができる。
本発明の一態様では、良好な圧延形状が得られる圧延条件を得るために、この形状制御平面を用いている。形状制御平面を用いる理由について以下に説明する。
従来の方法を用いて決定した中間ロールでは、圧延対象となる複数種類の圧延材を圧延する場合、圧延材によって圧延条件(板幅、圧延荷重等)が変化するため、良好な圧延形状が得られない場合があった。
本発明者らは、圧延対象となる複数種類の圧延材に関して良好な圧延形状が得られる圧延条件(特に、中間ロールのテーパ形状)を決定することができる方法を種々調査検討した。その結果、圧延形状に及ぼす板幅および単位幅荷重の影響に着目し、板幅が広いほど、単位幅荷重が小さくなるほど形状制御平面が中伸びおよびW型伸び方向に移動すること、並びに、板幅が狭いほど、単位幅荷重が大きくなるほど形状制御平面が耳伸びおよびクォータ伸び方向に移動することを明確にした。ここで、単位幅荷重とは、圧延荷重を板幅で割って得られる、単位幅あたりの荷重の値である。
このことについて、図2の(a)および(b)を用いて説明する。図2の(a)は、圧延材の板幅が形状制御平面に及ぼす影響を示したグラフであり、(b)は、単位幅荷重が形状制御平面に及ぼす影響を示したグラフである。ここで、板端部は、板端から50mmの位置とし、クォータ部は板幅中央から板端部までの距離の70%の位置とした。
図2の(a)に示すように、圧延材の板幅を850、950、1050mmと変化させ、それぞれの場合における形状制御平面を、計算により求めた。結果は、板幅が広いほど形状制御平面はx座標が負の方向(中伸び)およびy座標が負の方向(W型伸び方向)に移動した。一方、板幅が狭いほど形状制御平面はx座標が正の方向(耳伸び)およびy座標が正の方向(クォータ伸び方向)に移動した。
また、図2の(b)に示すように、単位幅荷重を3.46、4.17、4.84kN/mmと変化させ、それぞれの場合における形状制御平面を、計算により求めた。結果は、単位幅荷重が小さくなるほど形状制御平面はx座標が負の方向(中伸び)およびy座標が負の方向(W型伸び方向)に移動した。一方、単位幅荷重が大きくなるほど形状制御平面はx座標が正の方向(耳伸び)およびy座標が正の方向(クォータ伸び方向)に移動した。
このように、本発明者らは、圧延機が備える複数種類の形状制御機構の制御量の範囲がそれぞれ予め定められているという前提においては、前記2次元座標平面に形成される形状制御平面の位置および形状が変化する主要因が、中間ロールのテーパ形状(テーパ角、テーパ長)、板幅、単位幅荷重であることを見出した。形状制御平面は、圧延材の材質、板厚、張力等の圧延条件が変わっても同一の単位幅荷重であれば大きくは変化しない。
これらのことから、本発明者らは、中間ロールの対象とする板幅範囲の中で最大板幅において最も単位幅荷重が小さくなる条件、および最小板幅において最も単位幅荷重が大きくなる条件で形状制御平面が原点を含むようにテーパ形状を設定すれば、前記中間ロールの対象とする製造品種全体にわたって形状制御平面が原点を含みやすく、良好な圧延形状が得られるという技術的思想に至った。
つまり、図2に示す2次元座標平面において、中間ロールの対象とする板幅範囲および各種の圧延条件に基づいて形状制御平面を算出し、形状制御平面が最も左下方向にシフトする条件と、最も右上方向にシフトする条件との両方において、形状制御平面が原点を含むようなテーパ形状を採用すれば、前記板幅範囲内の板幅を有する、圧延対象となる複数種類の圧延材に関して良好な圧延形状が得られるということを見出した。
(上位コンピュータの構成)
以上に説明した本発明の知見に基づくテーパ形状の決定方法の具体例について以下に説明する。本実施の形態では、本発明の一例として、6段圧延機1が含む上位コンピュータ5を用いて、圧延対象となる複数種類の圧延材に関して良好な圧延形状が得られるテーパ形状を決定する方法を示す。なお、テーパ形状決定のために使用するコンピュータは、形状制御平面を決定するためのプログラムがインストールされているコンピュータであればよく、上位コンピュータ5とは異なるコンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータ)を用いて行われてもよい。
上位コンピュータ5の構成について、図3に基づいて説明する。図3は、本実施の形態の6段圧延機1が含む上位コンピュータ5の概略的な構成を示すブロック図である。なお、ここで説明することの他に、上位コンピュータ5は圧延を制御するための様々な機能を有している。
図3に示すように、上位コンピュータ5は、制御部20、記憶部30、および出力部40を備えている。上位コンピュータ5には、入力部5b(例えば、マウス、キーボード)、表示部5a(例えば、液晶ディスプレイなどの表示装置)、およびプロセスコンピュータ6が接続されている。
また、制御部20は、形状制御平面決定部21、表示制御部22、および単位幅荷重算出部23を備えている。記憶部30は、圧延パラメータ31、形状制御平面決定プログラム32、単位幅荷重算出プログラム33を格納している。
制御部20は、上位コンピュータ5全体の動作を制御する、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部20が備える各部は、例えばCPUによって動作するソフトウェアとして実現されてよい。
制御部20における、形状制御平面決定部21、表示制御部22、および単位幅荷重算出部23の詳細な説明は、上位コンピュータ5が実行する、テーパ形状を決定する処理の流れの一例の説明と合わせて後述する。
記憶部30は、制御部20において用いられる各種データを記憶する不揮発性の記憶装置である。
圧延パラメータ31は、入力部5bを介して入力されたデータである。この圧延パラメータ31は、6段圧延機1単体の圧延条件であってもよいし、6段圧延機1を含むタンデム圧延機のパススケジュールの決定に用いられる圧延条件であってもよい。圧延パラメータ31は、単位幅荷重算出部23による単位幅荷重の算出、および形状制御平面決定部21による演算に用いられる。
形状制御平面決定プログラム32は、形状制御平面決定部21による演算に用いられ、単位幅荷重算出プログラム33は、単位幅荷重算出部23による単位幅荷重の算出に用いられる。形状制御平面決定プログラム32および単位幅荷重算出プログラム33として、既存のプログラムを用いることができ、例えば、圧延機メーカ等が構築した解析モデルを用いることができる。
出力部40は、制御部20からの各種の指令を、プロセスコンピュータ6に出力する。
(テーパ形状を決定する処理の流れ)
次に、上位コンピュータ5が実行する、テーパ形状を決定する処理の流れの一例を、図4を用いて説明する。図4は、上位コンピュータ5が実行する、テーパ形状を決定する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4に示すように、先ず、入力部5bが、ユーザからの各種データ(テーパ形状以外)の入力を受け付ける(ステップ11;以下S11のように略記する)(入力工程)。制御部20は、この入力された各種データを、記憶部30に圧延パラメータ31として格納する。圧延パラメータ31は、圧延条件としての、例えば、原板厚み、仕上げ厚み(製品厚み)、板幅、圧延材の材質(変形抵抗)、ロール径、ロール材料間摩擦係数、スタンド間張力、等を含む。さらに、圧延パラメータ31は、中間ロール10が処理対象とする圧延材の幅の範囲を示すデータを含む。
続いて、単位幅荷重算出部23が、圧延パラメータ31および単位幅荷重算出プログラム33を記憶部30から読み出し、6段圧延機1における最大単位幅荷重および最小単位幅荷重を算出する(S12)。この最大単位幅荷重は、入力された圧延条件(圧延パラメータ31)から予測される荷重の範囲における最大荷重を、中間ロール10の処理対象となる複数種類の圧延材の板幅うちの最小の板幅で除算したときに得られる値である。また、最小単位幅荷重は、前記荷重の範囲における最小荷重を、前記複数種類の圧延材のうちの最大の板幅で除算したときに得られる値である。
その後、入力部5bが、ユーザからの中間ロール10のテーパ形状を示す数値(テーパ角、テーパ長)の入力を受け付ける(S13)。前記テーパ形状を示す数値として、ユーザが使用可能な複数種類の中間ロール10が有するテーパ形状のいずれかを示す数値を入力してもよい。また、既存のプログラムを用いて形状予測の数値解析を行った結果、好ましいとユーザが判断したテーパ形状を示す数値を入力してもよい。なお、多段テーパの場合は、各テーパ角および各テーパ長を入力すればよい。
次に、形状制御平面決定部21が、圧延パラメータ31、中間ロール10のテーパ形状を示す数値、並びに、単位幅荷重算出部23が算出した最大単位幅荷重および最小単位幅荷重を用いて、以下の第1条件および第2条件における形状制御平面の作成に用いられるプロットを算出する(S14)。すなわち、第1条件とは、中間ロール10に関して予め設定された幅範囲における最大幅の板幅を有する圧延材8を形状制御対象とし、その圧延材8にかかる単位幅荷重が最小となる条件である。第2条件とは、中間ロール10に関して予め設定された幅範囲における最小幅の板幅を有する圧延材8を形状制御対象とし、その圧延材8にかかる単位幅荷重が最大となる条件である。
形状制御平面決定部21は、これら第1条件および第2条件のそれぞれについて、形状制御平面を規定する4点を算出する。そして、表示制御部22は、形状制御平面決定部21が算出した4点の座標を用いて、前記第1条件および第2条件のそれぞれについて、形状制御平面を示す画像を生成し、当該画像を表示部5aに表示させる。
続いて、ユーザは、前記第1条件および第2条件のそれぞれについて、表示部5aに表示された形状制御平面が、2次元座標平面の原点を含むか否かを判断する(S16)。
前記第1条件および第2条件の少なくともいずれか一方の形状制御平面が、2次元座標平面の原点を含まない場合(S16でNO)、ユーザは、入力部5bに中間ロール10のテーパ形状を示す数値(テーパ角、テーパ長)を入力して、S13〜S16の処理を繰り返す。
前記第1条件および第2条件の形状制御平面が、いずれも2次元座標平面の原点を含む場合(S16でYES)、このときの中間ロール10のテーパ形状を示す数値を採用する。換言すれば、中間ロール10のテーパ形状を決定する(決定工程)。
なお、本実施の形態では、形状制御機構として中間ロールシフトおよび中間ロールベンダーを有する6段圧延機を対象に本発明の一態様におけるテーパ形状決定方法について説明したが、12段圧延機や20段圧延機等の6段圧延機以外の圧延機に対しても同様に本発明が適用されることは勿論である。また、形状制御機構として、中間ロールベンダーの代わりにワークロールベンダーを備えていてもよい。
(実施例)
図2の検討で用いた圧延機と同一の6段圧延機において、1050mm〜1250mmを対象板幅範囲とする中間ロール10を用いて仕上げ板厚0.8mm〜2.0mmの鋼帯を形状制御する場合に、本発明の一態様におけるテーパ形状決定方法を適用した例を説明する。
なお、形状制御平面における板端部を板端から50mm位置、クォータ部を板幅中央から板端部までの距離の70%の位置とした。圧延材8の板幅を、中間ロール10の対象とする板幅範囲における最大板幅である1250mmとし、最終パスの単位幅荷重が最小の3.47kN/mmである第1条件、および圧延材8の板幅を、前記中間ロールの対象とする板幅範囲における最小板幅である1050mmとし、最終パスの単位幅荷重が最大の4.47kN/mmである第2条件において形状制御平面が原点を含むように、テーパ条件を検討し、テーパ条件をテーパ長230mm、テーパ角35/10000に設定した。
図5の(a)に示すように、テーパ長230mm、テーパ角35/10000では、前記第1および第2条件の両方において形状制御平面が原点を含んでいる。なお、前記テーパ条件の前記中間ロール10の対象とする製造品種全体にわたって形状制御平面が原点を含むことを形状予測の数値解析により確認した。前記中間ロール10を適用して圧延したときの最終パスの形状測定結果を図5の(b)に示す。形状検出器データより、板端部およびクォータ部の板幅中央に対する伸び率差εe、εqをそれぞれ算出した。εe、εqともに目標値以内に収まった。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図6〜9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記実施形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
前記実施形態1のテーパ形状の決定方法では、第1条件および第2条件の形状制御平面が、いずれも2次元座標平面の原点を含む場合に、このとき設定していた中間ロール10のテーパ形状を採用するようになっていた。これに対して、本実施の形態では、テーパ形状を種々の値に変更しても、第1条件および第2条件の形状制御平面が両方とも2次元座標平面の原点を含むようなテーパ形状の値が得られない場合に、パススケジュールの設定を見直す点が異なっている。
本実施形態の方法の一例として、第1条件および第2条件の何れかが2次元座標平面の原点を含むようなテーパ形状に決定した上で、第1条件および第2条件の形状制御平面が、いずれも2次元座標平面の原点を含むような最終パスの単位幅荷重の範囲を特定し、最終パスの単位幅荷重がこの範囲に入るようにパススケジュールの設定を見直す方法が考えられる。
前記実施の形態1では、例えば圧延工程の最終パスとして設けられた6段圧延機1を用いて、本発明の一態様におけるテーパ形状決定方法について説明した。一般的に、冷間圧延は、複数の圧延機が直列に並べて設置され、1つの圧延材を連続的に圧延する連続式冷間タンデム圧延にて行われることが多い。このタンデム圧延機の概略について、図6を用いて説明する。図6は、本発明の実施形態2におけるパススケジュールの設定方法の適用対象の一例としてのタンデム圧延機50の構成を示す概略図である。
図6に示すように、タンデム圧延機50(多段冷間圧延機)は、圧延工程の最終パスとしての6段圧延機1と、3基の4段圧延機51とを備えている。なお、4段圧延機51の数は、当然これに限定されず、また、タンデム圧延機50は、4段圧延機51ではなく、6段以上の多段圧延機または2段圧延機を備えてよく、特に限定されない。図6において、圧延材8は紙面上を右方向から左方向へと流れて圧延されるようになっている。
4段圧延機51は、それぞれ、圧延材8をその厚さ方向に挟み込む一対のワークロール51a、および一対のワークロール51aをその対向方向に各々押圧する一対のバックアップロール51bを備えている。各4段圧延機51は、図示しない各種のセンサおよびコンピュータによって、ロールの間隙やロール速度等が高度に制御され、圧延中の板厚制御が行われる。
タンデム圧延機50によって、圧延材8の板厚が段階的に縮減される。タンデム圧延機50の各圧延機(スタンド)において、圧延材8にどの程度の圧延荷重をかけるか(板厚を縮減するか)という条件設定は、パススケジュールと呼ばれる。
パススケジュールの設定を変えることによって、上記6段圧延機1における圧延条件としての単位幅荷重の値を変化させることができる。具体的には、例えば、3基の4段圧延機51における単位幅荷重を増加させる(入側板厚と出側板厚との差を大きくする)ことによって、6段圧延機1における単位幅荷重を低減させることができる。
本発明の実施形態2におけるパススケジュールの設定方法によれば、前記実施の形態1におけるテーパ形状の決定方法をそのままでは適用できない場合であっても、複数種類の圧延材に関して良好な圧延形状が得られる圧延条件を決定することができる。このことについて以下に詳細に説明する。
前記実施形態1のテーパ形状の決定方法では、第1条件および第2条件の形状制御平面が、いずれも2次元座標平面の原点を含む場合に、このときの中間ロール10のテーパ形状を採用するようになっていた。しかし、板幅の範囲および単位幅荷重の範囲が広い場合には、前記中間ロール10の対象とする板幅範囲の中で最大板幅において最も最終パスの単位幅荷重が小さくなる第1条件、および最小板幅において最も最終パスの単位幅荷重が大きくなる第2条件の両方において形状制御平面が原点を含むようなテーパ条件が得られない場合がある。
加えて、前記第1条件および前記第2条件の両方において形状制御平面が原点を含むようなテーパ条件を決定でき、中伸びおよび耳伸びを防止できた場合でも、中間ロール10の対象とする複数種類の圧延材に関して(板幅および単位幅荷重のそれぞれの最大と最小との間の範囲において)、クォータ伸びまたはW型伸びが生じる場合があった。
本発明者らは、最終パス後の圧延形状は最終パスの圧延条件でほぼ決まり、それまでのパスの圧延条件の影響は小さいので、最終パスの形状制御平面が原点を含むようにパススケジュールを設定すれば、良好な圧延形状が得られることに着目した。つまり、上記のような場合には、中間ロール10のテーパ形状を固定した上で、圧延対象とする板幅に関して、形状制御平面が原点を含むような単位幅荷重の範囲を明確にし、最終パスの単位幅荷重が前記範囲内に収まるようにパススケジュールを設定すれば、良好な圧延形状が得られやすいという新たな知見を見出した。
この単位幅荷重の範囲について、図7を用いて以下に説明する。図7は、中間ロール10の対象とする板幅毎に形状制御平面が原点を含むような単位幅荷重の範囲を示したグラフである。
中間ロール10のテーパ形状を固定し、圧延材の板幅を固定し、各種の圧延条件が与えられれば、例えば図2の(b)に示すような、形状制御平面を描くことができる。そして、このとき、圧延条件の1つとしての単位幅荷重を変化させることによって、形状制御平面は2次元座標平面を移動する(図2の(b)参照)。このように単位幅荷重を変化させることにより、形状制御平面が原点を含む単位幅荷重の範囲を決定することができる。
具体的には、例えば、図7に示すように、板幅を1050mmとした場合、形状制御平面が原点を含む単位幅荷重の範囲が、約2kN/mm〜6kN/mmの範囲であるということを決定することができる。このようにして、中間ロール10が対象とする板幅毎に形状制御平面が原点を含むような単位幅荷重の範囲を明確にすることができる。
板幅が狭い場合には形状制御平面が原点を含むような単位幅荷重は小さくなり、板幅が広い場合には形状制御平面が原点を含むような単位幅荷重は大きくなる。このように、圧延対象とする板幅に関して、形状制御平面が原点を含むような単位幅荷重の範囲を明確にし、最終パスの単位幅荷重が前記範囲内に収まるようにパススケジュールを設定すれば、良好な圧延形状が得られる。
このようなパススケジュールの設定は、前記実施の形態1にて説明した上位コンピュータ5を用いて行うことが可能である。以下に、パススケジュールの設定処理の流れの一例を、図8を用いて説明する。図8は、本実施形態におけるパススケジュールの設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8に示すように、先ず、入力部5bが、ユーザからのテーパ形状および板幅の入力を受け付ける(S21)。このテーパ形状は、第1条件および第2条件の何れかが2次元座標平面の原点を含むようなテーパ形状であることが好ましい。これにより、形状制御平面が原点を含むような単位幅荷重の範囲が得やすい、または該範囲が広がる。
ユーザから入力がなされると、単位幅荷重算出部23は、圧延パラメータ31および単位幅荷重算出プログラム33を記憶部30から読み出し、上記入力された板幅の情報を用いて、最終パスにおける単位幅荷重を算出する。ユーザは、入力する圧延パラメータ31を変更することにより、複数の単位幅荷重を単位幅荷重算出部23に算出させることができる。なお、ユーザは、単位幅荷重算出部23を利用せずに、経験的に好ましいと考えられる複数の単位幅荷重を上位コンピュータ5に入力してもよい。
そして、形状制御平面決定部21が、上記単位幅荷重および他のパラメータを用いて、形状制御平面の作成に用いられる4点の座標を算出する。表示制御部22は、この4点の座標を用いて、形状制御平面を示す画像を生成し、当該画像を表示部5aに表示させる。
ユーザはこの表示された形状制御平面が原点を含むか否かを判断しながら、入力部に入力する単位幅荷重の値を変化させる。これにより、形状制御平面が原点を含む単位幅荷重の範囲を特定することができる(S22)(特定工程)。
このステップS22では、形状制御平面が原点を含むような単位幅荷重の上限値と下限値とを求める。付与可能な単位幅荷重の最大値を入力して解析した後、入力する単位幅荷重を小さくする方法、およびゼロ近傍の単位幅荷重を入力して解析した後、入力する単位幅荷重を大きくする方法のどちらの方法を用いてもよい。
その後、最終パスの単位幅荷重が、上記特定した範囲内に収まるように、パススケジュールが再設定される(S23)(設定工程)。具体的には、タンデム圧延機50に含まれる、最終パス以外の圧延機の圧延荷重を変更することにより、最終パスの圧延機に入る圧延材8の厚さを変更し、その結果、最終パスの圧延機における単位幅荷重が前記範囲内に収まるようにする。このようなパススケジュールの再設定は、ユーザが手動で行ってもよいし、任意のプログラムを用いて行ってもよい。
なお、本実施の形態では、タンデム圧延機50について説明したが、本発明の一態様におけるパススケジュールの設定方法は、1つの多段圧延機を圧延材が往復することによって圧延を行うレバース圧延機にも適用できる。
(実施例)
図7の検討で用いた圧延機と同一の6段圧延機において、850mm〜1050mmを対象板幅範囲とする中間ロール10を用いて仕上げ板厚0.8mm〜2.0mmの鋼帯を形状制御する場合に、本発明の一態様におけるパススケジュールの設定方法を適用した例を説明する。
なお、形状制御平面における板端部を板端から50mm位置、クォータ部を板幅中央から板端部までの距離の70%の位置とした。中間ロール10の対象とする板幅範囲における最大板幅1050mmで最終パスの単位幅荷重が最小の3.46kN/mmの条件、および前記中間ロールの対象とする板幅範囲における最小板幅850mmで最終パスの単位幅荷重が最大の4.84kN/mmの条件で形状制御平面が原点を含むように、形状予測の数値解析によりテーパ条件の適正化を検討した。しかし、両方の条件を満足するテーパ条件が得られなかった。そのため、最大板幅で最終パスの単位幅荷重が最小の条件のみにおいて形状制御平面が原点を含むように、テーパ条件をテーパ長330mm、テーパ角35/10000に設定した。図9の(a)に示すように、テーパ長330mm、テーパ角35/10000では、最大板幅で最終パスの単位幅荷重が最小の第1条件のみにおいて形状制御平面が原点を含んでいる。そして、中間ロール10の対象とする板幅毎に形状制御平面が原点を含むような単位幅荷重の範囲を求めた。その結果を示したものが前述の図7である。
そして、最終パスの単位幅荷重が前記範囲内に収まるようにパススケジュールの設定を見直した。具体的には、タンデム圧延機50に含まれる、最終パス以外の圧延機の圧延荷重を変更することにより、最終パスの圧延機おける単位幅荷重が前記範囲内に収まるようにした。
前記テーパ形状を有する中間ロール10を適用して圧延した場合の最終パスの形状測定結果を、パススケジュールの設定を見直さずに圧延した場合と比較して図9の(b)に示す。形状検出器データより、板端部およびクォータ部の板幅中央に対する伸び率差εe、εqをそれぞれ算出した。パススケジュールの設定を見直さずに圧延した場合はεe、εqが目標値をはずれる場合があったが、パススケジュールの設定を見直した場合はεe、εqともに目標値内に収まった。
〔まとめ〕
本発明の一態様におけるテーパ形状決定方法は、圧延対象である圧延材8の圧延形状を制御する形状制御機構を複数種類備え、前記形状制御機構のひとつとして、片側端部にテーパ形状を有する中間ロール10を当該中間ロール10の軸方向に移動させる中間ロールシフト機構2を備えた冷間圧延機(6段圧延機1)が有する前記中間ロール10の前記テーパ形状を決定する方法であって、前記圧延材8の幅方向の端部における伸び率と幅方向の中央における伸び率との差をx座標とし、前記端部よりも前記中央に寄った中間部(クォータ部)における伸び率と前記中央における伸び率との差をy座標とした2次元座標平面において、複数種類の前記形状制御機構を作動させることによって前記圧延材の形状制御が可能となる範囲を示す形状制御領域(形状制御平面)を定めるための、前記テーパ形状以外の条件を入力する入力工程と、前記中間ロール10に関して予め設定された幅範囲における最大幅を有する圧延材8を形状制御対象としたときに、前記圧延材8への単位幅荷重が最小となる第1条件、および前記幅範囲における最小幅を有する圧延材を形状制御対象としたときに、前記単位幅荷重が最大となる第2条件において、前記形状制御領域(形状制御平面)が前記2次元座標平面の原点を含むように前記テーパ形状を決定する決定工程とを含む。
上記の構成によれば、圧延対象となる複数種類の圧延材に関して良好な圧延形状が得られる中間ロールのテーパ形状を決定することができる。
また、本発明の一態様におけるパススケジュールの設定方法は、複数のパスを実行する多段冷間圧延機(タンデム圧延機50)のパススケジュールの設定方法であって、最終パスを実行する冷間圧延機(6段圧延機1)は、圧延対象である圧延材8の圧延形状を制御する形状制御機構を複数種類備え、前記形状制御機構のひとつとして、片側端部にテーパ形状を有する中間ロール10を当該中間ロール10の軸方向に移動させる中間ロールシフト機構2を備えており、前記最終パスの冷間圧延機(6段圧延機1)に関して、前記圧延材8の幅方向の端部における伸び率と幅方向の中央における伸び率との差をx座標とし、前記端部よりも前記中央に寄った中間部(クォータ部)における伸び率と前記中央における伸び率との差をy座標とした2次元座標平面において、複数種類の前記形状制御機構を作動させることによって前記圧延材8の形状制御が可能となる範囲を示す形状制御領域(形状制御平面)が原点を含むようになる、単位幅荷重の範囲を特定する特定工程と、前記特定工程で特定した単位幅荷重の範囲内に、前記最終パスの冷間圧延機(6段圧延機1)における単位幅荷重が収まるように、前記多段圧延機の少なくとも1つの圧延条件を設定する設定工程とを含む。
上記のパススケジュールの設定方法によれば、テーパ形状を種々の値に変更しても、第1条件および第2条件の形状制御平面が両方とも2次元座標平面の原点を含むようなテーパ形状の値が得られない場合であっても、圧延対象となる複数種類の圧延材に関して良好な圧延形状が得られるようにパススケジュールを設定することができる。
そのため、複数種類の圧延材に関して良好な圧延形状が得られる圧延条件を決定することができる。
1 6段圧延機(冷間圧延機)
2 中間ロールシフト機構(形状制御機構)
3 中間ロールベンダー(形状制御機構)
8 圧延材
10 中間ロール
50 タンデム圧延機(多段冷間圧延機)

Claims (2)

  1. 圧延対象である圧延材の圧延形状を制御する形状制御機構として、片側端部にテーパ形状を有する中間ロールを当該中間ロールの軸方向に移動させる中間ロールシフト機構および中間ロールベンダーを備えた冷間圧延機が有する前記中間ロールの前記テーパ形状を決定する方法であって、
    前記圧延材の幅方向の端部における伸び率と幅方向の中央における伸び率との差をx座標とし、前記端部よりも前記中央に寄った中間部における伸び率と前記中央における伸び率との差をy座標とした2次元座標平面において、前記中間ロールシフト機構および中間ロールベンダーを作動させることによって前記圧延材の形状制御が可能となる範囲を示す領域を形状制御領域とし、
    前記形状制御領域を定めるための、圧延条件を示す数値を入力する第1工程と、
    前記中間ロールのテーパ形状を示す数値を入力する第2工程と、
    前記中間ロールに関して予め設定された幅範囲における最大幅を有する圧延材を形状制御対象としたときに、前記圧延材への単位幅荷重が最小となる第1条件、および前記幅範囲における最小幅を有する圧延材を形状制御対象としたときに、前記単位幅荷重が最大となる第2条件における前記形状制御領域のそれぞれを、前記第1および第2工程において入力された数値を用いて決定する第3工程とを含み、
    前記第3工程において決定した形状制御領域のそれぞれが前記2次元座標平面の原点を含むように、前記第2工程において入力する前記テーパ形状を示す数値を変えながら、前記第2工程および第3工程を繰り返すテーパ形状決定方法。
  2. 複数のパスを実行する多段冷間圧延機のパススケジュールの設定方法であって、
    最終パスを実行する冷間圧延機は、圧延対象である圧延材の圧延形状を制御する形状制御機構として、片側端部にテーパ形状を有する中間ロールを当該中間ロールの軸方向に移動させる中間ロールシフト機構および中間ロールベンダーを備えており、
    前記最終パスの冷間圧延機に関して、前記圧延材の幅方向の端部における伸び率と幅方向の中央における伸び率との差をx座標とし、前記端部よりも前記中央に寄った中間部における伸び率と前記中央における伸び率との差をy座標とした2次元座標平面において、前記中間ロールシフト機構および中間ロールベンダーを作動させることによって前記圧延材の形状制御が可能となる範囲を示す領域を形状制御領域とし、
    前記形状制御領域を定めるための、圧延条件を示す数値および前記テーパ形状を示す数値を入力する第1工程と、
    前記最終パスを実行する冷間圧延機における単位幅荷重を入力する第2工程と、
    前記第1および第2工程において得られた数値を用いて前記形状制御領域を決定する第3工程とを含み、
    前記第3工程において決定した形状制御領域が前記2次元座標平面の原点を含むように、前記第2工程において入力する単位幅荷重を変えながら、前記第2工程および第3工程を繰り返すことにより、前記形状制御領域が前記2次元座標平面の原点を含むようになる前記単位幅荷重の上限値と下限値とを求め、
    前記上限値と前記下限値とによって定まる範囲内に、前記最終パスの冷間圧延機における単位幅荷重が収まるように、前記多段冷間圧延機の少なくとも1つの圧延条件を設定する設定工程をさらに含む設定方法。
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