JP2004243386A - ローラ矯正におけるロール位置設定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被矯正材の反りや波形状を平坦化、あるいは所望の値に制御するローラ矯正におけるロール位置設定方法を提供する。
【解決手段】被矯正材に対し、ある矯正条件で該被矯正材を矯正した際の残留曲率と、理論的あるいは実験的に求められた出側ロールの設定位置の変化が残留曲率の変化に及ぼす影響係数とから,次パスのロール設定条件を算出する。上記影響係数は、出側ロールの設定位置と残留曲率との関係を線形と見なして算出するが好ましく、また、被矯正材の厚さ、最大加工度のいずれか一方または双方により層別されていることが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】被矯正材に対し、ある矯正条件で該被矯正材を矯正した際の残留曲率と、理論的あるいは実験的に求められた出側ロールの設定位置の変化が残留曲率の変化に及ぼす影響係数とから,次パスのロール設定条件を算出する。上記影響係数は、出側ロールの設定位置と残留曲率との関係を線形と見なして算出するが好ましく、また、被矯正材の厚さ、最大加工度のいずれか一方または双方により層別されていることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数本のロールを上下に千鳥状に配置し、そのロール間に被矯正材を通して繰り返し曲げを与えることによって、被矯正材の反りや波形状を平坦化、あるいは所定の値に制御するローラ矯正(ローラレベラ)におけるロール位置設定方法に関するものである。
【0002】
なお、本明細書で単にロールという場合は、被矯正材に直接接触して、これに曲げを加える「ワークロール」を意味し、ワークロールを支持するバックアップロールと区別するときのみワークロールと呼ぶことにする。
【0003】
【従来の技術】
板材、形材等の圧延や冷却などで発生した反りや波形状を平坦化、あるいは所定の値に制御するために、複数本のロールを上下に千鳥状に配置したローラレベラが用いられる。
【0004】
ローラレベラは、下ロールに対し上ロールを押し込んだ状態で、被矯正材を通材し、被矯正材に繰り返し曲げを与えることによって、被矯正材の反りや波形状を平坦化、あるいは所定の値に制御する。このとき、ローラレベラの各ロール押込量は、被矯正材の寸法、材料定数やローラレベラの剛性(ゼロ点設定誤差を含む)、被矯正材の反り・波形状の変動範囲などを考慮して、所定の反り・波形状を得るために必要な値となるように設定される。ここで、ロール押込量とは、該ロールの頂点と、該ロールの上下流側に隣接するロールの頂点を結ぶ直線との距離が被矯正材の厚みと等しくなる状態のうち、該ロールの頂点と、該ロールの上下流側に隣接するロールの頂点を結ぶ直線とが交差しない状態を基準にして、この基準点からの該ロールの押し込み方向への押し込み量を指すものであり、以下、押し込み方向を正、離反方向を負として説明する。
【0005】
一般的なローラレベラは、各ロールピッチが一定で、しかも、上下一方のロール群の位置が固定され、他方のロール群を傾動することで、各ロールにより被矯正材に押し込みを与える機構のものが多い。このような機構を持つローラレベラでは、可動のロール群の入側および出側のロール位置を設定して操業する。このとき、被矯正材の反りや波形状をローラ矯正中に十分に均一化し、かつ、残留反りが所定の値(範囲)となるように入出側ロール押込量を設定する。
【0006】
しかし、被矯正材の材料定数の予測誤差やローラレベラのロール位置のゼロ点設定誤差などが少なからず存在することにより、1パスのローラ矯正で全ての被矯正材の残留反りを所望の値とすることは非常に困難であり、1パス矯正における残留反りの向き・大きさをもとに、オペレータの経験・勘により、ロール位置を再設定している。
【0007】
このとき、熟練したオペレータであっても、必ずしも全ての被矯正材の残留反りを当該パスの次パスにおいて所定の値とすることはできず、ロール設定位置について試行錯誤を繰り返して被矯正材の残留反りを所定の値としているのが現状であり、余分な矯正パスが必要となることから、生産性の低下を招くという問題がある。また、余分な矯正パスにより不必要な加工を被矯正材に付与することになり、材料特性の劣化をも招いてしまうという問題がある。
【0008】
このような問題に対し、特許文献1には、被矯正材の残留反りを自動検出する手段を設け、さらに、この検出情報に基づいてローラレベラの矯正条件を自動的に調整する手段を設けることにより、被矯正材の残留反りを適正な範囲内とする発明が開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、被矯正材の残留反りを検出し、これより適切なローラレベラのロール設定条件を演算・学習し、次回の矯正条件に反映させる発明が開示されている。
【0010】
【特許文献1】
特開昭61−123418号公報
【特許文献2】
特開昭62−33015号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特許文献1や特許文献2に記載の発明は、検出した反り情報に対し、ローラ矯正におけるロール位置設定条件をどのように調整するか、具体的に示されておらず、実用的な解決方法とはなり得ないものである。
【0012】
そこで、本発明は、少ない矯正パス数で被矯正材の残留反りを平坦化、あるいは所定の値とすることができるローラ矯正におけるロール位置設定方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ローラ矯正中の被矯正材の変形挙動について、数多くの理論検討および実験検討を行った結果、以下の知見を得た。
【0014】
図1は、ある被矯正材に対し、入側ロール押込量を固定して出側ロール押込量を変化させた場合の出側ロール押込量と残留反りとの関係を概念的に示す説明図である。なお、ここでは、残留反りはその曲率で示されているものとする。このように、出側ロール押込量の変化により被矯正材の残留反りが変化することから、出側ロール押込量を変化させることで被矯正材の残留反りを制御することが可能なことがわかる。つまり、ローラ矯正において、被矯正材の残留反りに大きく影響を及ぼすのはローラレベラの出側ロール押込量であり、ある被矯正材をある矯正条件で矯正したときの残留反りが所定の値とは異なる場合、出側ロール押込量を調整して矯正を行うことにより、被矯正材の残留反りを所定の値とすることが可能である。
【0015】
加えて、ある被矯正材に対し、出側ロールの設定位置の変化が残留反りの変化に及ぼす影響は、ほぼ線形となり、また、被矯正材の厚さ、最大加工度(被矯正材に与える最大曲率の絶対値を被矯正材の降伏曲率で除した値)に応じて変化することを見出した。これより、ある被矯正材をある矯正条件で矯正したときの残留反りの測定結果と、該被矯正材に対する出側ロールの設定位置の変化が残留反りの変化に及ぼす影響係数とから、該被矯正材に対し、所定の残留反りを与える出側ロール押込量が求められる。
【0016】
本発明は、以上の知見に基づくものであり、その要旨とするところは以下のとおりである。
(1) 複数本のロールを上下に千鳥状に配置し、そのロール間に被矯正材を通して繰り返し曲げを与えることによって、被矯正材の反りや波形状を平坦化、あるいは所定の値に制御するローラ矯正におけるロール位置設定方法において、被矯正材を所定のロール設定条件で矯正した際の残留反りの測定結果と、出側ロールの設定位置の変化が残留反りの変化に及ぼす影響係数とを用いて、次パス以降のロール設定条件を算出することを特徴とするローラ矯正におけるロール位置設定方法。
(2) 前記影響係数を、予め理論計算によって算出しておくことを特徴とする上記(1)に記載のローラ矯正におけるロール位置設定方法。
(3) 前記影響係数を、少なくとも2条件以上のロール位置設定条件における被矯正材のローラ矯正後の残留反りの測定結果から算出することを特徴とする上記(1)に記載のローラ矯正におけるロール位置設定方法。
(4) 出側ロールの設定位置と残留反りとの関係を線形と見なして、前記影響係数を算出することを特徴とする上記(1)ないし(3)のいずれか1項に記載のローラ矯正におけるロール位置設定方法。
(5) 前記影響係数が、被矯正材の厚さ、最大加工度のいずれか一方または双方により層別されていることを特徴とする上記(1)ないし(4)のいずれか1項に記載のローラ矯正におけるロール位置設定方法。
(6) 被矯正材に対するロール設定条件、および/または、被矯正材に対する前記影響係数を学習することを特徴とする上記(1)ないし(5)のいずれか1項に記載のローラ矯正におけるロール位置設定方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
本発明のローラ矯正におけるロール位置設定方法では、被矯正材を所定のロール設定条件で矯正した際の残留反りを測定し、その測定された残留反りを平坦化、あるいは所定の値になるように、予めまたは直前に求めた、出側ロールの設定位置の変化が残留反りの変化に及ぼす影響係数を用いて、次パス以降のロール設定条件を算出し、設定する。
【0019】
本発明を適用できる被矯正材としては、金属材料であれば、厚さ、幅、金属種などで特に限定されるものではない。
【0020】
また、ここでの残留反りとしては、所定長さ当たりの反り高さ、曲率、または曲率半径などいずれのものも用いることができる。また、この残留反りの測定方法としては、特に限定するものではなく、公知の方法を用いることができる。
【0021】
ここでの影響係数とは、残留反りの出側ロール押込量に対する微係数を指すものであり、最も単純な場合は直線の傾きで表されるものである。この影響係数は、好ましくは予め理論計算によって算出しておくのがよく、また、操業中の少なくとも2条件以上のロール位置設定条件における被矯正材のローラ矯正後の残留反りの測定結果から算出するようにしてもよい。なお、この影響係数は、被矯正材の厚さ、最大加工度の寄与が大きいため、これらのいずれか一方または双方により層別されていることが望ましい。
【0022】
被矯正材に対するロール設定条件、および/または、被矯正材に対する前記影響係数は、学習することで、種々の外乱を有利に排除することができ望ましい。
【0023】
本発明によれば、被矯正材に対し、少ないパス数で被矯正材の残留反りを所定の値に制御することが可能となり、大幅な生産性の向上を実現し、また、過度の材料特性の劣化を防止することが可能となる。
【0024】
なお、本発明は、個別にロール位置を設定可能なローラレベラの場合にも、例えば、その出側から2本目のロールに関するロール押込量の変化が残留反りの変化に及ぼす影響係数を理論計算あるいは実験的に把握しておくことで適用可能である。つまり、本発明は、各ロールピッチが一定で、しかも、上下一方のロール群の位置が固定され、他方のロール群を傾動することで、各ロールにより被矯正材に押し込みを与える機構のローラレベラへの適用に限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更することもできる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施の形態をその実施例に基づいて、さらに具体的に説明する。
[実施例1]
本実施例に用いたローラレベラは、図2にその概念側面図を示すように、合計9本のロール1〜9からなるローラレベラであり、4本の上ロールと5本の下ロールとがそれぞれ千鳥状に配置されている。5本の下ロールからなる下ロール群は、下ロールハウジング11にその位置が固定された固定ロール群であり、一方、4本の上ロールからなる上ロール群は、上ロールハウジング10とメインハウジング16との間にある入側押込装置12と出側押込装置13とを用いて、下ロール群に対して傾動押し込みを行うことが可能となっている。なお、ロール1〜9のロール径は380mmである。また、ローラレベラの出側には、被矯正材の残留反りの指標として、残留曲率を計測する反りセンサ14が設けられている。なお、本実施例では、反りセンサ14は、残留曲率の正負を、上反りを正、下反りを負として計測するものを用いた。計算機15には、その上位(図示しない)より被矯正材の板サイズや材料特性、必要な平坦度等の情報が入力され、これをもとに入、出側ロール押込量が演算され、これを実現するように入、出側押込装置12、13を作動させる。また、反りセンサ14による被矯正材の残留曲率の測定値も入力される。なお、ここでは、被矯正材が板材の場合を例とし、また、被矯正材の残留曲率をゼロとすることを目標としている。
【0026】
まず、出側ロール押込量の変化が被矯正材の残留曲率の変化に及ぼす影響を数値解析で検討した。被矯正材として板厚20mm、板幅3000mmの普通鋼板(降伏応力392MPa)を用いており、初期曲率がゼロの被矯正材に対して、最大加工度3を与えられるように、本実施例では#2ロール押込量が4.1mmとなるように入側押込装置12を作動させた。このローラ矯正条件に対して、出側押込装置13を作動させることで、#8ロール押込量の変化が残留曲率の変化に及ぼす影響を検討した。その結果、図3に示すような関係が得られた。
【0027】
次に、#2ロール押込量が4.1mm、#8ロール押込量が0.9mmとなるように入、出側押込装置12、13を作動させ、該被矯正材を通材して矯正を行った。このとき、被矯正材には−0.015(1/m)の残留曲率が発生した。図3において、残留曲率が−0.015(1/m)の場合、ロール押込量を0.2mm増加させると残留曲率がゼロとなることがわかるので、出側ロール押込量を0.2mm締め込めば良い。そこで、入側押込装置12は固定したまま、#8ロール押込量が1.1mmとなるように出側押込装置13を作動させ、該被矯正材を通材したところ、該被矯正材の残留曲率をゼロとすることができた。
【0028】
さらに、以降の矯正作業において、板厚20mm、板幅3000mmの普通鋼板(降伏応力392MPa)に対するロール設定テーブルとして、出側ロール押込量は1.1mm(#2ロール押込量は4.1mmのまま変更なし)とすることで、以降の矯正作業においては、ほとんどの被矯正材に対し、第1パスで被矯正材の残留曲率をゼロとすることが可能となった。このとき、第1パスでの残留曲率がゼロとならなかったものについては、図3に示した出側ロール押込量の変化と残留曲率の変化との関係を用いて出側ロール押込量の修正量を算出、設定して、被矯正材を通材することで被矯正材の残留曲率をゼロとすることができた。
[実施例2]
本実施例に用いたローラレベラは、図2に示す、実施例1で用いたものと同一のものである。また、ここでも、被矯正材が板材の場合を例とし、また、被矯正材の残留曲率をゼロとすることを目標としている。
【0029】
まず、出側ロール押込量の変化が被矯正材の残留曲率の変化に及ぼす影響を数値解析で検討した。被矯正材として板厚20mm、板幅3000mmの普通鋼板(降伏応力392MPa)を用いており、初期曲率がゼロの被矯正材に対して、最大加工度5を与えられるように、本実施例では#2ロール押込量が6.7mmとなるように入側押込装置12を作動させた。このローラ矯正条件に対して、出側押込装置13を作動させることで、#8ロール押込量の変化が残留曲率の変化に及ぼす影響を検討した。その結果、図4に示すような関係が得られた。これより、ここでは、出側ロール押込量の変化と残留曲率の変化との関係を線形であると仮定し、その影響係数を0.14(1/(m・mm))と同定した。
【0030】
次に、#2ロール押込量が6.7mm、#8ロール押込量が0.1mmとなるように入出側押込装置12、13を作動させ、該被矯正材を通材して矯正を行った。このとき、被矯正材には0.03(1/m)の残留曲率が発生した。出側ロール押込量の変化と残留曲率の変化との関係の影響係数は0.14(1/(m・mm))であるので、残留曲率を0.03(1/m)減じるためには、出側ロール押込量を0.2mm開放すれば良い。そこで、入側押込装置12は固定したまま、#8ロール押込量が−0.1mmとなるように出側押込装置13を作動させ、該被矯正材を通材したところ、該被矯正材の残留曲率をゼロとすることができた。
【0031】
さらに、以降の矯正作業において、板厚20mm、板幅3000mmの普通鋼板(降伏応力392MPa)に対するロール設定テーブルとして、出側ロール押込量は−0.1mm(#2ロール押込量は6.7mmのまま変更なし)とすることで、以降の矯正作業においては、ほとんどの被矯正材に対し、第1パスで被矯正材の残留曲率をゼロとすることが可能となった。このとき、第1パスでの残留曲率がゼロとならなかったものについては、出側ロール押込量の変化と残留曲率の変化との関係の影響係数を0.14(1/(m・mm))として、出側ロール押込量の修正量を算出、設定して、被矯正材を通材することで被矯正材の残留曲率をゼロとすることができた。
[実施例3]
次に、出側ロール押込量の変化と残留反りの変化との関係の影響係数を実験的に求める場合の実施例について説明する。
【0032】
本実施例に用いたローラレベラは、図2に示す、実施例1で用いたものと同一のものである。また、ここでも、被矯正材が板材の場合を例とし、被矯正材の残留曲率をゼロとすることを目標としている。
【0033】
まず、#2ロール押込量が6.7mm、#8ロール押込量が0.1mmとなるように入、出側押込装置12、13を作動させた。このローラ矯正条件に対して、板厚20mm、板幅3000mmの普通鋼板(降伏応力392MPa)を被矯正材として通材したところ、残留曲率は0.02(1/m)であった。次に出側押込装置13のみを作動させて、#8ロール押込量が−0.2mmとして該被矯正材を通材したところ、残留曲率は−0.01(1/m)となった。以上の結果から、ここでは、出側ロール押込量の変化と残留曲率の変化との関係を線形であると仮定し、その影響係数を0.10(1/(m・mm))と同定した。これより、該被矯正材の残留曲率をゼロとするためには、#8ロール押込量を−0.1mmとすれば良いと考えられる。そこで、入側押込装置12は固定したまま、#8ロール押込量が−0.1mmとなるように出側押込装置13を作動させ、該被矯正材を通材したところ、該被矯正材の残留曲率をゼロとすることができた。
[実施例4]
本実施例に用いたローラレベラは、図2に示す、実施例1で用いたものと同一のものである。また、ここでも、被矯正材が板材の場合を例とし、被矯正材の残留曲率をゼロとすることを目標としている。
【0034】
被矯正材として、板厚10〜40mm、板幅1000〜4500mm、降伏応力245〜588MPaの鋼板を用いた。被矯正材の板厚・板幅、降伏応力などの情報に応じて、最適な#2ロール押込量および#8ロール押込量となるように入、出側押込装置12、13を作動させて矯正を行った。このとき、#8ロール押込量と残留曲率との関係を線形と見なし、被矯正材の板厚、最大加工度ごとに、#8ロール押込量の変化が残留曲率の変化に及ぼす影響の影響係数を予め理論計算により算出し、これを計算機15に記憶させておき、また、第1パス出側の残留曲率を測定し、被矯正材が十分には平坦化できていなかった場合には、計算機15により出側ロール押込量の修正量を演算し、また、これを実現するように出側押込装置13を作動させて該被矯正材を通材させた。
【0035】
一方、比較例として、熟練したオペレータの経験・勘に基づいて、矯正を行った。
【0036】
このとき、それぞれ1000本の被矯正材に対し、これを平坦化するために要した矯正パス数の平均値は、本発明の実施例においては1.4パスであるのに対し、比較例(従来法)では1.8パスであった。本実施例では、比較例(従来法)に比し、少ない矯正パス数で被矯正材を平坦化できており、本発明により効率的な矯正作業が実現できていることがわかる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、理論的あるいは実験的に出側ロールの設定位置の変化が残留反りの変化に及ぼす影響係数を求めることにより、被矯正材を平坦化するロール設定条件が直ちに算出できるので、効率的な矯正作業を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ローラ矯正における出側ロール押込量の変化がローラ矯正後の残留反り(曲率)の変化に及ぼす関係を示す概念図である。
【図2】本発明の実施例1〜4に用いたローラレベラを概略的に示す側面図である。
【図3】本発明の実施例1における、#8ロール押込量の変化が残留曲率の変化に及ぼす影響の理論検討結果を示す図である。
【図4】本発明の実施例2における、#8ロール押込量の変化が残留曲率の変化に及ぼす影響の理論検討結果を示す図である。
【符号の説明】
1…#1ロール
2…#2ロール
3…#3ロール
4…#4ロール
5…#5ロール
6…#6ロール
7…#7ロール
8…#8ロール
9…#9ロール
10…上ロール群ハウジング
11…下ロール群ハウジング
12…入側押込装置
13…出側押込装置
14…反りセンサ
15…計算機
16…メインハウジング
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数本のロールを上下に千鳥状に配置し、そのロール間に被矯正材を通して繰り返し曲げを与えることによって、被矯正材の反りや波形状を平坦化、あるいは所定の値に制御するローラ矯正(ローラレベラ)におけるロール位置設定方法に関するものである。
【0002】
なお、本明細書で単にロールという場合は、被矯正材に直接接触して、これに曲げを加える「ワークロール」を意味し、ワークロールを支持するバックアップロールと区別するときのみワークロールと呼ぶことにする。
【0003】
【従来の技術】
板材、形材等の圧延や冷却などで発生した反りや波形状を平坦化、あるいは所定の値に制御するために、複数本のロールを上下に千鳥状に配置したローラレベラが用いられる。
【0004】
ローラレベラは、下ロールに対し上ロールを押し込んだ状態で、被矯正材を通材し、被矯正材に繰り返し曲げを与えることによって、被矯正材の反りや波形状を平坦化、あるいは所定の値に制御する。このとき、ローラレベラの各ロール押込量は、被矯正材の寸法、材料定数やローラレベラの剛性(ゼロ点設定誤差を含む)、被矯正材の反り・波形状の変動範囲などを考慮して、所定の反り・波形状を得るために必要な値となるように設定される。ここで、ロール押込量とは、該ロールの頂点と、該ロールの上下流側に隣接するロールの頂点を結ぶ直線との距離が被矯正材の厚みと等しくなる状態のうち、該ロールの頂点と、該ロールの上下流側に隣接するロールの頂点を結ぶ直線とが交差しない状態を基準にして、この基準点からの該ロールの押し込み方向への押し込み量を指すものであり、以下、押し込み方向を正、離反方向を負として説明する。
【0005】
一般的なローラレベラは、各ロールピッチが一定で、しかも、上下一方のロール群の位置が固定され、他方のロール群を傾動することで、各ロールにより被矯正材に押し込みを与える機構のものが多い。このような機構を持つローラレベラでは、可動のロール群の入側および出側のロール位置を設定して操業する。このとき、被矯正材の反りや波形状をローラ矯正中に十分に均一化し、かつ、残留反りが所定の値(範囲)となるように入出側ロール押込量を設定する。
【0006】
しかし、被矯正材の材料定数の予測誤差やローラレベラのロール位置のゼロ点設定誤差などが少なからず存在することにより、1パスのローラ矯正で全ての被矯正材の残留反りを所望の値とすることは非常に困難であり、1パス矯正における残留反りの向き・大きさをもとに、オペレータの経験・勘により、ロール位置を再設定している。
【0007】
このとき、熟練したオペレータであっても、必ずしも全ての被矯正材の残留反りを当該パスの次パスにおいて所定の値とすることはできず、ロール設定位置について試行錯誤を繰り返して被矯正材の残留反りを所定の値としているのが現状であり、余分な矯正パスが必要となることから、生産性の低下を招くという問題がある。また、余分な矯正パスにより不必要な加工を被矯正材に付与することになり、材料特性の劣化をも招いてしまうという問題がある。
【0008】
このような問題に対し、特許文献1には、被矯正材の残留反りを自動検出する手段を設け、さらに、この検出情報に基づいてローラレベラの矯正条件を自動的に調整する手段を設けることにより、被矯正材の残留反りを適正な範囲内とする発明が開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、被矯正材の残留反りを検出し、これより適切なローラレベラのロール設定条件を演算・学習し、次回の矯正条件に反映させる発明が開示されている。
【0010】
【特許文献1】
特開昭61−123418号公報
【特許文献2】
特開昭62−33015号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特許文献1や特許文献2に記載の発明は、検出した反り情報に対し、ローラ矯正におけるロール位置設定条件をどのように調整するか、具体的に示されておらず、実用的な解決方法とはなり得ないものである。
【0012】
そこで、本発明は、少ない矯正パス数で被矯正材の残留反りを平坦化、あるいは所定の値とすることができるローラ矯正におけるロール位置設定方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ローラ矯正中の被矯正材の変形挙動について、数多くの理論検討および実験検討を行った結果、以下の知見を得た。
【0014】
図1は、ある被矯正材に対し、入側ロール押込量を固定して出側ロール押込量を変化させた場合の出側ロール押込量と残留反りとの関係を概念的に示す説明図である。なお、ここでは、残留反りはその曲率で示されているものとする。このように、出側ロール押込量の変化により被矯正材の残留反りが変化することから、出側ロール押込量を変化させることで被矯正材の残留反りを制御することが可能なことがわかる。つまり、ローラ矯正において、被矯正材の残留反りに大きく影響を及ぼすのはローラレベラの出側ロール押込量であり、ある被矯正材をある矯正条件で矯正したときの残留反りが所定の値とは異なる場合、出側ロール押込量を調整して矯正を行うことにより、被矯正材の残留反りを所定の値とすることが可能である。
【0015】
加えて、ある被矯正材に対し、出側ロールの設定位置の変化が残留反りの変化に及ぼす影響は、ほぼ線形となり、また、被矯正材の厚さ、最大加工度(被矯正材に与える最大曲率の絶対値を被矯正材の降伏曲率で除した値)に応じて変化することを見出した。これより、ある被矯正材をある矯正条件で矯正したときの残留反りの測定結果と、該被矯正材に対する出側ロールの設定位置の変化が残留反りの変化に及ぼす影響係数とから、該被矯正材に対し、所定の残留反りを与える出側ロール押込量が求められる。
【0016】
本発明は、以上の知見に基づくものであり、その要旨とするところは以下のとおりである。
(1) 複数本のロールを上下に千鳥状に配置し、そのロール間に被矯正材を通して繰り返し曲げを与えることによって、被矯正材の反りや波形状を平坦化、あるいは所定の値に制御するローラ矯正におけるロール位置設定方法において、被矯正材を所定のロール設定条件で矯正した際の残留反りの測定結果と、出側ロールの設定位置の変化が残留反りの変化に及ぼす影響係数とを用いて、次パス以降のロール設定条件を算出することを特徴とするローラ矯正におけるロール位置設定方法。
(2) 前記影響係数を、予め理論計算によって算出しておくことを特徴とする上記(1)に記載のローラ矯正におけるロール位置設定方法。
(3) 前記影響係数を、少なくとも2条件以上のロール位置設定条件における被矯正材のローラ矯正後の残留反りの測定結果から算出することを特徴とする上記(1)に記載のローラ矯正におけるロール位置設定方法。
(4) 出側ロールの設定位置と残留反りとの関係を線形と見なして、前記影響係数を算出することを特徴とする上記(1)ないし(3)のいずれか1項に記載のローラ矯正におけるロール位置設定方法。
(5) 前記影響係数が、被矯正材の厚さ、最大加工度のいずれか一方または双方により層別されていることを特徴とする上記(1)ないし(4)のいずれか1項に記載のローラ矯正におけるロール位置設定方法。
(6) 被矯正材に対するロール設定条件、および/または、被矯正材に対する前記影響係数を学習することを特徴とする上記(1)ないし(5)のいずれか1項に記載のローラ矯正におけるロール位置設定方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
本発明のローラ矯正におけるロール位置設定方法では、被矯正材を所定のロール設定条件で矯正した際の残留反りを測定し、その測定された残留反りを平坦化、あるいは所定の値になるように、予めまたは直前に求めた、出側ロールの設定位置の変化が残留反りの変化に及ぼす影響係数を用いて、次パス以降のロール設定条件を算出し、設定する。
【0019】
本発明を適用できる被矯正材としては、金属材料であれば、厚さ、幅、金属種などで特に限定されるものではない。
【0020】
また、ここでの残留反りとしては、所定長さ当たりの反り高さ、曲率、または曲率半径などいずれのものも用いることができる。また、この残留反りの測定方法としては、特に限定するものではなく、公知の方法を用いることができる。
【0021】
ここでの影響係数とは、残留反りの出側ロール押込量に対する微係数を指すものであり、最も単純な場合は直線の傾きで表されるものである。この影響係数は、好ましくは予め理論計算によって算出しておくのがよく、また、操業中の少なくとも2条件以上のロール位置設定条件における被矯正材のローラ矯正後の残留反りの測定結果から算出するようにしてもよい。なお、この影響係数は、被矯正材の厚さ、最大加工度の寄与が大きいため、これらのいずれか一方または双方により層別されていることが望ましい。
【0022】
被矯正材に対するロール設定条件、および/または、被矯正材に対する前記影響係数は、学習することで、種々の外乱を有利に排除することができ望ましい。
【0023】
本発明によれば、被矯正材に対し、少ないパス数で被矯正材の残留反りを所定の値に制御することが可能となり、大幅な生産性の向上を実現し、また、過度の材料特性の劣化を防止することが可能となる。
【0024】
なお、本発明は、個別にロール位置を設定可能なローラレベラの場合にも、例えば、その出側から2本目のロールに関するロール押込量の変化が残留反りの変化に及ぼす影響係数を理論計算あるいは実験的に把握しておくことで適用可能である。つまり、本発明は、各ロールピッチが一定で、しかも、上下一方のロール群の位置が固定され、他方のロール群を傾動することで、各ロールにより被矯正材に押し込みを与える機構のローラレベラへの適用に限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更することもできる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施の形態をその実施例に基づいて、さらに具体的に説明する。
[実施例1]
本実施例に用いたローラレベラは、図2にその概念側面図を示すように、合計9本のロール1〜9からなるローラレベラであり、4本の上ロールと5本の下ロールとがそれぞれ千鳥状に配置されている。5本の下ロールからなる下ロール群は、下ロールハウジング11にその位置が固定された固定ロール群であり、一方、4本の上ロールからなる上ロール群は、上ロールハウジング10とメインハウジング16との間にある入側押込装置12と出側押込装置13とを用いて、下ロール群に対して傾動押し込みを行うことが可能となっている。なお、ロール1〜9のロール径は380mmである。また、ローラレベラの出側には、被矯正材の残留反りの指標として、残留曲率を計測する反りセンサ14が設けられている。なお、本実施例では、反りセンサ14は、残留曲率の正負を、上反りを正、下反りを負として計測するものを用いた。計算機15には、その上位(図示しない)より被矯正材の板サイズや材料特性、必要な平坦度等の情報が入力され、これをもとに入、出側ロール押込量が演算され、これを実現するように入、出側押込装置12、13を作動させる。また、反りセンサ14による被矯正材の残留曲率の測定値も入力される。なお、ここでは、被矯正材が板材の場合を例とし、また、被矯正材の残留曲率をゼロとすることを目標としている。
【0026】
まず、出側ロール押込量の変化が被矯正材の残留曲率の変化に及ぼす影響を数値解析で検討した。被矯正材として板厚20mm、板幅3000mmの普通鋼板(降伏応力392MPa)を用いており、初期曲率がゼロの被矯正材に対して、最大加工度3を与えられるように、本実施例では#2ロール押込量が4.1mmとなるように入側押込装置12を作動させた。このローラ矯正条件に対して、出側押込装置13を作動させることで、#8ロール押込量の変化が残留曲率の変化に及ぼす影響を検討した。その結果、図3に示すような関係が得られた。
【0027】
次に、#2ロール押込量が4.1mm、#8ロール押込量が0.9mmとなるように入、出側押込装置12、13を作動させ、該被矯正材を通材して矯正を行った。このとき、被矯正材には−0.015(1/m)の残留曲率が発生した。図3において、残留曲率が−0.015(1/m)の場合、ロール押込量を0.2mm増加させると残留曲率がゼロとなることがわかるので、出側ロール押込量を0.2mm締め込めば良い。そこで、入側押込装置12は固定したまま、#8ロール押込量が1.1mmとなるように出側押込装置13を作動させ、該被矯正材を通材したところ、該被矯正材の残留曲率をゼロとすることができた。
【0028】
さらに、以降の矯正作業において、板厚20mm、板幅3000mmの普通鋼板(降伏応力392MPa)に対するロール設定テーブルとして、出側ロール押込量は1.1mm(#2ロール押込量は4.1mmのまま変更なし)とすることで、以降の矯正作業においては、ほとんどの被矯正材に対し、第1パスで被矯正材の残留曲率をゼロとすることが可能となった。このとき、第1パスでの残留曲率がゼロとならなかったものについては、図3に示した出側ロール押込量の変化と残留曲率の変化との関係を用いて出側ロール押込量の修正量を算出、設定して、被矯正材を通材することで被矯正材の残留曲率をゼロとすることができた。
[実施例2]
本実施例に用いたローラレベラは、図2に示す、実施例1で用いたものと同一のものである。また、ここでも、被矯正材が板材の場合を例とし、また、被矯正材の残留曲率をゼロとすることを目標としている。
【0029】
まず、出側ロール押込量の変化が被矯正材の残留曲率の変化に及ぼす影響を数値解析で検討した。被矯正材として板厚20mm、板幅3000mmの普通鋼板(降伏応力392MPa)を用いており、初期曲率がゼロの被矯正材に対して、最大加工度5を与えられるように、本実施例では#2ロール押込量が6.7mmとなるように入側押込装置12を作動させた。このローラ矯正条件に対して、出側押込装置13を作動させることで、#8ロール押込量の変化が残留曲率の変化に及ぼす影響を検討した。その結果、図4に示すような関係が得られた。これより、ここでは、出側ロール押込量の変化と残留曲率の変化との関係を線形であると仮定し、その影響係数を0.14(1/(m・mm))と同定した。
【0030】
次に、#2ロール押込量が6.7mm、#8ロール押込量が0.1mmとなるように入出側押込装置12、13を作動させ、該被矯正材を通材して矯正を行った。このとき、被矯正材には0.03(1/m)の残留曲率が発生した。出側ロール押込量の変化と残留曲率の変化との関係の影響係数は0.14(1/(m・mm))であるので、残留曲率を0.03(1/m)減じるためには、出側ロール押込量を0.2mm開放すれば良い。そこで、入側押込装置12は固定したまま、#8ロール押込量が−0.1mmとなるように出側押込装置13を作動させ、該被矯正材を通材したところ、該被矯正材の残留曲率をゼロとすることができた。
【0031】
さらに、以降の矯正作業において、板厚20mm、板幅3000mmの普通鋼板(降伏応力392MPa)に対するロール設定テーブルとして、出側ロール押込量は−0.1mm(#2ロール押込量は6.7mmのまま変更なし)とすることで、以降の矯正作業においては、ほとんどの被矯正材に対し、第1パスで被矯正材の残留曲率をゼロとすることが可能となった。このとき、第1パスでの残留曲率がゼロとならなかったものについては、出側ロール押込量の変化と残留曲率の変化との関係の影響係数を0.14(1/(m・mm))として、出側ロール押込量の修正量を算出、設定して、被矯正材を通材することで被矯正材の残留曲率をゼロとすることができた。
[実施例3]
次に、出側ロール押込量の変化と残留反りの変化との関係の影響係数を実験的に求める場合の実施例について説明する。
【0032】
本実施例に用いたローラレベラは、図2に示す、実施例1で用いたものと同一のものである。また、ここでも、被矯正材が板材の場合を例とし、被矯正材の残留曲率をゼロとすることを目標としている。
【0033】
まず、#2ロール押込量が6.7mm、#8ロール押込量が0.1mmとなるように入、出側押込装置12、13を作動させた。このローラ矯正条件に対して、板厚20mm、板幅3000mmの普通鋼板(降伏応力392MPa)を被矯正材として通材したところ、残留曲率は0.02(1/m)であった。次に出側押込装置13のみを作動させて、#8ロール押込量が−0.2mmとして該被矯正材を通材したところ、残留曲率は−0.01(1/m)となった。以上の結果から、ここでは、出側ロール押込量の変化と残留曲率の変化との関係を線形であると仮定し、その影響係数を0.10(1/(m・mm))と同定した。これより、該被矯正材の残留曲率をゼロとするためには、#8ロール押込量を−0.1mmとすれば良いと考えられる。そこで、入側押込装置12は固定したまま、#8ロール押込量が−0.1mmとなるように出側押込装置13を作動させ、該被矯正材を通材したところ、該被矯正材の残留曲率をゼロとすることができた。
[実施例4]
本実施例に用いたローラレベラは、図2に示す、実施例1で用いたものと同一のものである。また、ここでも、被矯正材が板材の場合を例とし、被矯正材の残留曲率をゼロとすることを目標としている。
【0034】
被矯正材として、板厚10〜40mm、板幅1000〜4500mm、降伏応力245〜588MPaの鋼板を用いた。被矯正材の板厚・板幅、降伏応力などの情報に応じて、最適な#2ロール押込量および#8ロール押込量となるように入、出側押込装置12、13を作動させて矯正を行った。このとき、#8ロール押込量と残留曲率との関係を線形と見なし、被矯正材の板厚、最大加工度ごとに、#8ロール押込量の変化が残留曲率の変化に及ぼす影響の影響係数を予め理論計算により算出し、これを計算機15に記憶させておき、また、第1パス出側の残留曲率を測定し、被矯正材が十分には平坦化できていなかった場合には、計算機15により出側ロール押込量の修正量を演算し、また、これを実現するように出側押込装置13を作動させて該被矯正材を通材させた。
【0035】
一方、比較例として、熟練したオペレータの経験・勘に基づいて、矯正を行った。
【0036】
このとき、それぞれ1000本の被矯正材に対し、これを平坦化するために要した矯正パス数の平均値は、本発明の実施例においては1.4パスであるのに対し、比較例(従来法)では1.8パスであった。本実施例では、比較例(従来法)に比し、少ない矯正パス数で被矯正材を平坦化できており、本発明により効率的な矯正作業が実現できていることがわかる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、理論的あるいは実験的に出側ロールの設定位置の変化が残留反りの変化に及ぼす影響係数を求めることにより、被矯正材を平坦化するロール設定条件が直ちに算出できるので、効率的な矯正作業を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ローラ矯正における出側ロール押込量の変化がローラ矯正後の残留反り(曲率)の変化に及ぼす関係を示す概念図である。
【図2】本発明の実施例1〜4に用いたローラレベラを概略的に示す側面図である。
【図3】本発明の実施例1における、#8ロール押込量の変化が残留曲率の変化に及ぼす影響の理論検討結果を示す図である。
【図4】本発明の実施例2における、#8ロール押込量の変化が残留曲率の変化に及ぼす影響の理論検討結果を示す図である。
【符号の説明】
1…#1ロール
2…#2ロール
3…#3ロール
4…#4ロール
5…#5ロール
6…#6ロール
7…#7ロール
8…#8ロール
9…#9ロール
10…上ロール群ハウジング
11…下ロール群ハウジング
12…入側押込装置
13…出側押込装置
14…反りセンサ
15…計算機
16…メインハウジング
Claims (6)
- 複数本のロールを上下に千鳥状に配置し、そのロール間に被矯正材を通して繰り返し曲げを与えることによって、被矯正材の反りや波形状を平坦化、あるいは所定の値に制御するローラ矯正におけるロール位置設定方法において、
被矯正材を所定のロール設定条件で矯正した際の残留反りの測定結果と、出側ロールの設定位置の変化が残留反りの変化に及ぼす影響係数とを用いて、次パス以降のロール設定条件を算出することを特徴とするローラ矯正におけるロール位置設定方法。 - 前記影響係数を、予め理論計算によって算出しておくことを特徴とする請求項1に記載のローラ矯正におけるロール位置設定方法。
- 前記影響係数を、少なくとも2条件以上のロール位置設定条件における被矯正材のローラ矯正後の残留反りの測定結果から算出することを特徴とする請求項1に記載のローラ矯正におけるロール位置設定方法。
- 出側ロールの設定位置と残留反りとの関係を線形と見なして、前記影響係数を算出することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のローラ矯正におけるロール位置設定方法。
- 前記影響係数が、被矯正材の厚さ、最大加工度のいずれか一方または双方により層別されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のローラ矯正におけるロール位置設定方法。
- 被矯正材に対するロール設定条件、および/または、被矯正材に対する前記影響係数を学習することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のローラ矯正におけるロール位置設定方法。
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2003
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